2023年7月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和5年7月24日(月)16:00~

出席者

出席委員(14名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
 
 
欠席委員(7名)五十音順

 
行政機関出席者
  •  城克文(医薬・生活衛生局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。開催が若干遅れまして、大変失礼いたしました。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
始めに、新しく当部会の委員として、国立医薬品食品衛生研究所薬品部長の佐藤陽治先生に御就任いただいておりますので、御紹介いたします。前任の合田委員には部会長代理を務めていただいておりましたので、部会長代理を指名する必要があります。薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうち、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理することとされており、部会長代理については部会長から御指名を頂くこととなっております。森部会長、よろしくお願いします。
○森部会長 それでは、私の方からは佐藤陽治委員に部会長代理をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。特に御異議ないようでございます。よろしいでしょうか。それでは部会長代理につきましては、佐藤陽治委員にお願いをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 それでは、部会長代理については佐藤陽治委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
また、本日の会議から対面の会議とWeb会議を併用して実施いたします。厚生労働省全体の取組として、審議会のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜、事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
 本日の会議における委員の出欠についてです。赤羽委員、大谷委員、川上委員、柴田委員、根岸委員、前田委員、松野委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、まだ会議に参加されておりませんが、高橋委員が後ほど参加されるということで聞いております。本日、現在のところ、21名のうち13名の委員がこの会議に御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 続いて、事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。厚生労働省医薬・生活衛生局長の城です。大臣官房審議官の吉田です。医薬安全対策課長の野村です。医薬品審査管理課長に着任いたしました中井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、薬事分科会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の皆様には会議の開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。それでは森部会長、以降の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入らせていただきます。まず事務局から
資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について、報告を行ってください。
○事務局 それでは、本日の会議に係る資料の確認をいたします。本日はあらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~12を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目、競合企業リストについては、資料No.12に記載のとおりです。
 これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
議題1の「ジャカビ」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、中西委員、長谷川委員です。
議題2の「ソリリス」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、高橋委員です。
議題3の「希少疾病用医薬品の指定の可否」は、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
議題4の「オルケディア」は、退室委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、中西委員、長谷川委員です。以上です。
○森部会長 今の説明につきまして、特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に確認いただいたことにいたします。本日は審議事項が4議題、報告事項が3議題、その他事項が1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移らせていただきます。では議題1につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ジャカビ錠5mg、同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については資料No.1「ジャカビ錠5mg、同錠10mg」の審査報告書を御覧ください。
 造血幹細胞移植における移植片対宿主病(以下GVHDと略す)は移植関連死の主因の一つであり、移植片側の免疫応答に起因して発症します。GVHDは、病理組織学的所見や臨床徴候により、急性GVHDと慢性GVHDに分類されます。いずれのGVHDに対しても一次治療にはステロイドが用いられますが、約半数の患者でステロイド抵抗性又は依存性となり、二次治療が必要となります。現時点で急性GVHDに対する二次治療として抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞、ミコフェノール酸モフェチルが承認されていますが、比較試験で有用性が示されている薬剤はなく、慢性GVHDに対する二次治療としてイブルチニブ等が承認されていますが、標準治療は確立しておりません。
 ルキソリチニブリン酸塩(以下、本薬と略す)はヤヌスキナーゼ1及び2の阻害剤であり、造血及び免疫機能に重要なサイトカイン及び増殖因子のシグナル伝達を阻害することから、GVHDに対する有効性が期待されます。今般、申請者は急性GVHD患者及び慢性GVHD患者を対象とした国際共同試験をそれぞれ実施し、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
 なお、海外では、本薬は急性GVHDに係る効能・効果で、米国及び欧州を含む62か国で、慢性GVHDに係る効能・効果で、米国及び欧州を含む60か国で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料No.11に示している専門委員を指名しております。
 それでは、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性に関して、審査報告書通し番号16ページ、表12を御覧ください。12歳以上のステロイド抵抗性の急性GVHD患者を対象とした国際共同第III相試験(C2301)において、主要評価項目である「Day28の奏効率」について、本薬群の現状で利用可能な最良の治療群(表ではBAT群と示す)に対する優越性が示されました。
 また、審査報告書通し番号24ページの表25を御覧ください。12歳以上のステロイド抵抗性の慢性GVHD患者を対象とした国際共同第III相試験(D2301試験)において、主要評価項目である「24週目(審査報告書ではC7D1と示す)の奏効率」について、本薬群のBAT群に対する優越性が示されました。
 日本人集団については、審査報告書通し番号32ページ、表37を御覧ください。急性GVHD患者を対象としたC2301試験において、全体集団と日本人集団で異なる傾向は認められませんでした。また、審査報告書通し番号35ページ、表40を御覧ください。慢性GVHD患者を対象としたD2301試験においても、全体集団と日本人集団で異なる傾向は認められませんでした。
 なお、審査報告書通し番号31ページ、2行目からの段落を御覧ください。C2301試験では、併用禁止薬の使用などの治験実施計画書からの逸脱が比較的多くの症例で認められました。併用禁止薬の使用については、急性GVHDは感染症の合併が多く、また短期間のうちにGVHDの症状や重症度が変化することがあり、これらに対して治療が必要になることなどの疾患特性を踏まえると、併用薬に規定されていない薬剤を使用したことはやむを得ないものと考えております。
 C2301試験の主解析はこれらの症例を含むFASが解析対象でしたが、それらの症例を除外したPPSを対象とした解析でも主解析と同様の結果が認められております。また、PPSにおいても、各臓器の臓器障害ステージの判定に係るデータが欠測又は逸脱していた症例が複数認められましたが、PPSからそれらの症例を除外した感度分析の結果においても主解析と同様の結果が認められました。
 また、審査報告書通し番号34ページ、一番下の段落を御覧ください。D2301試験でも同様の逸脱が認められましたが、それらの症例を除外したPPSを対象とした解析で主解析と同様の結果が認められました。また、PPSにおいても、肺の障害スコアを判定するために必要なデータが欠測していた症例が1例認められましたが、PPSから当該症例を除外した感度分析の結果においても、主解析と同様の結果が認められました。以上より、機構は急性GVHD及び慢性GVHD患者における本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 続いて、安全性に関して、審査報告書通し番号38、39ページの表42~45を御覧ください。C2301試験及びD2301試験における有害事象の発現状況について、表42及び表44から、BAT群と比較して本剤群で副作用及び重篤な副作用の発現割合が高い傾向が認められましたが、Grade3以上の有害事象、重篤な有害事象及び死亡に至った有害事象は両群で大きな差はありませんでした。日本人集団については、全体集団と比較して臨床上問題となるような傾向は認められませんでした。
また、いずれの試験においても、血球減少に関連する事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、審査報告書通し番号41、42ページ表49及び表50を御覧ください。本薬群とBAT群で重篤な血球減少及び治験薬の投与中止に至った血球減少の発現割合に、臨床的に意味があるような差異は認められていないと判断いたしました。以上より機構は、造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を有する医師の下で本薬が投与されるのであれば、安全性は管理可能と考えております。
 以上、機構での審査の結果、ステロイド剤の投与で効果不十分な造血幹細胞移植におけるGVHDに対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
なお、本申請に係る本薬の再審査期間は、追加される効能が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年と設定することが適切と判断いたしました。機構からの説明は以上になります。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。堀委員、お願いします。
○堀委員 一点、質問させていただきます。今回、12歳以上の小児に適用が広がったことというのは、患者の家族にとってはとても有難いことだと思っております。ただし、一点、心配な点がございますので質問いたします。12歳以降は成長段階でありまして、今までの従来のステロイド薬の一次治療においては、副作用として成長障害ということも懸念されていると私はお聞きいたしました。この該当薬に関しましては、12歳以上の小児に長期に服用する場合においては、成長障害のような心配はないのでしょうか。一点、お尋ねします。お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。成長障害に関しては、現在のところということになりますが、本薬では特に報告はされておりません。
○堀委員 ありがとうございます。また、投与の期間に関しましても、もう一点、質問をさせてください。この投与においては、患者の状態により、適宜減量又は休薬をすると記載がありました。この場合、12歳から服用する場合においても、休薬をしながらでも、特に長期において服用することが可能なのかどうなのか、現状で分かっていらっしゃる情報をお知らせください。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。本剤に関しては、小児においても長期投与は可能と考えておりますが、基本的に、治療効果が認められた場合には、本剤の漸減を検討することが適切と考えておりますので、その旨、添付文書の7.10項の所に、漸減方法とともに記載させていただいております。
○堀委員 ありがとうございます。そうしましたら、担当の主治医の先生と相談をしながら、長期に様子を見ながら服用していくという形でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その理解で問題ないと思います。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。私からは以上です。
○森部会長 そのほか、御質問はいかがでしょうか。では、私から一点。先ほど、長期に使用している場合に、症状が寛解した後に減量を行うわけですが、減量後に症状が再発した場合の対応について、今、添付文書の7.10の項目ですと、「漸増する」と記載がございます。この7.10の、減量中に再発した場合の漸増を考慮するということに関する根拠について確認をしたいと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御回答させていただきます。こちらは、臨床試験におけるプロトコルの規定に基づいており、規定に関しては、申し訳ないですが、審査報告書や事前に配布している申請資料中には記載はないのですが、治験実施計画書に「ルキソリチニブ漸減中にGVHDの再燃が生じた場合、患者は以前の用量(最高10mg/1日2回)に増量してもよい」という規定がありましたので、こちらの規定に基づきまして、添付文書に御指摘いただいたような記載をさせていただいております。
○森部会長 今の話から、添付文書の7.10のような記載の内容にしてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より追加で御説明させていただければと思います。こちら、「以前の用量に増量してもよい」ということですので、GVHDの症状の再燃が起きる一つ前の用量で、最大用量は10mgが1日2回の中でという規定になっておりますので、「漸増」という表現で問題ないと考えております。
○森部会長 いかがでしょうか。もう少し正確に記載することも可能かと思うのですが。何かよい代わりの表現があればとは思っているところではあります。この「漸増」という言葉がやや曖昧なので、もう少し実臨床の際の、また治験で実際に行われた内容が反映されている記載に改めるとした場合、どのような選択肢がありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。すぐには出てきませんので、また改めてこちらの方でよりよい表現がないか検討しまして、部会後に御報告させていただくことではいかがでしょうか。
○森部会長 本日共覧が間に合わないようですので、治験のプロトコルでの規定の文面の確認と、実際、それでどのような治験の症例の方が、その規定に沿って対応したかということ、またその対応で十分だったかの検証が必要かと思いました。
 漸減して再発した際に、その一つ前の用量に戻すことで十分なのかどうかは、GVHDの病状が急激に悪化したりするリスクのことを考えますと、やや不安があるところです。臨床試験の中で実際に有効だということが確認されている手順や、また実際に増量した後の臨床経過を確認することで、適した量に回復できるように、どのように対応したら良いかということについては、専門家の意見を聞くことを含めて検討した方がよいと思っております。
 委員の先生方、追加で御発言はございますせんか。この場で十分議論するだけのデータが手元にないということもありまして、機構の方から臨床試験のときのプロトコルやその後の実臨床上の経過について、少し再検討していただいて、その内容を踏まえた上での記載整備ということになるかと思いますので、その方向でよろしいでしょうか。では、機構の方、その方針で進めてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。それでは、こちらは、一応、専門協議では専門委員の先生方に一度見ていただいて大丈夫ということでしたが、再度、検討して、また資材で詳細な状況を提供するなどの選択肢も踏まえて、こちらの方で検討させていただければと思います。
○森部会長 一点、お伺いしたいのですが、専門協議の際には、実際に再燃した患者さんがどのような用量を使って症状が寛解したかということについて、そこまで確認されていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。実際に、漸減中に症状が再燃した患者さんで、どのような用量を投与されていたのかについての確認はしておりませんので、そちらも申請者に確認をしたいと思います。
○森部会長 分かりました。ここは添付文書でこのように明記するには、相応の根拠と確認が必要かと思いますので、十分、御確認の上、この記載にする、若しくは記載整備することで進めてよろしいでしょうか。宮川委員、どうぞお願いします。
○宮川委員 非常に重要な御指摘だと私も思っております。専門家協議というのはよく分かるのですが、それは専門家であれば専門家であるほど当たり前のように捉えてしまって、使う側の方の配慮が十分できてないような、そういう意味での記載になっているような気がいたしますので、しっかりとした記載になるようにしていただきたいと思います。
 それについては部会長預かりでよろしいのでしょうか。きちんとできているということを確認して、部会長がお許しいただければそれでいいのでしょうが、私たちは確かめる術がございませんので、どのように配慮していただけるか、資材ではきちんとしていただくことは当然のことだろうと思います。丁寧な記載をしなければ臨床現場では困るわけですが、その添付文書でも、丁寧でわかりやすい表現にされることが非常によろしいのかなとは思います。いかがでしょうか。
○森部会長 今回のこの記載整備につきましては、機構の方と申請者の方でデータの整備、確認をしていただき、そのデータや経過について、場合によっては専門委員の先生に改めて共有させていただいて、専門的な見知から御意見を頂いた上で、現行の7.10の記載でよいのか、ないしはもう少し詳しく説明すべきかについて御意見を伺うということにしたいと思っています。また、資材作成の際に御助言も頂くという形にして、万全を期したいと思いますが、いかがでしょうか。機構の方に大変お手数をお掛けしますが、是非その点、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 かしこまりました。そのようにさせていただきたいと思います。
○森部会長 そのほか、本議題につきまして、追加の御発言、御意見等がございましたらお願いいたします。
○代田委員 代田ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 どうぞお願いします。
○代田委員 症例数が少ないので何とも言えないのかもしれないのですが、日本人の集団で貧血や血小板の減少が比較的多いようにも見えるのですが、この点、何か議論があったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。御質問ありがとうございます。正に見た目として少し多いようには見えますが、やはり例数が少ないので何とも言えないところかと考えております。ですので、そちらに関しては、製造販売後の調査で引き続ききっちり検討していきたいと考えております。
○代田委員 これ、用量はグローバルと一緒の用量で治験を行われているわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 その通りです。日本人と海外では同じ用量で実施されております。
○代田委員 ありがとうございます。フォローアップをよろしくお願いします。
○森部会長 機構の方に改めて確認ですが、海外と日本人で同様の用量で治験を行うということについての根拠となった内容を、今一度、御紹介いただくことは可能ですか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。お待たせしました。機構よりお答えさせていただきます。こちらに関しては、先行しているがんの領域では同じ用量であることと、内因性要因には海外と日本で違いはなく、また治療体系に関しても日本と海外で差はないと考えておりますので、同じ用量で投与することが可能と考えております。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。代田委員、それでよろしいでしょうか。追加の御発言はございますか。
○代田委員 結構です。経過をしっかり見ていただく必要はあると思います。
○森部会長 では、続いて宮川委員から御発言をお願いします。
○宮川委員 今、代田委員が御指摘されたように、この有害事象のところですが、やはり急性腎障害についても全体集団だけでなく日本人集団においても10%以上認められたと審査報告書19ページにあります。評価対象となる症例数が少ないということは、今、お話になったとおりなのですが、そういう意味では、日本人の症例をしっかりとフォローしていかなければいけない部分がありますので、それに関しても御配慮いただければ幸いかなと思います。よろしくお願い申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。御指摘どうもありがとうございます。製造販売後も、引き続きフォローしていきたいと考えております。
○森部会長 機構の方に本件に関して一点お願いがありまして、日本人の症例数が少ないということで、市販後、実臨床で使用した場合の有害事象の対策について、より綿密に注意しながら使っていくということについても、資材の中にうまく織り込めていただけるように、専門委員の先生に御意見を聞くときに、どういった点に注意をして記載整備をしたらいいかということについて併せて御確認いただくということはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。そちらについても併せて確認させていただきたいと思います。
○森部会長 これらの助言を踏まえた上で、添付文書並びに資材の記載整備を行うことによって、より安全性に配慮した実臨床への応用について準備をするということでいかがでしょうか。そのほか、委員の先生方から追加の御意見、御発言はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは、本件の議決に入らせていただきたいと思います。なお、佐藤直樹委員、中西委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようでございますので、承認を可とさせていただきます。薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、議題2に移らせていただきます。議題2について、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。新薬審査第三部です。議題2、資料No.2、医薬品ソリリス点滴静注300mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 資料No.2の「審査報告書」を御覧ください。審査報告書の一番下、全30ページの通し番号で5ページ「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤の対象疾患である重症筋無力症は、筋力低下を特徴とする自己免疫疾患であり、本邦では指定難病とされております。本剤はヒトC5に対するヒト化モノクローナル抗体の注射剤であり、補体C5に特異的に結合して神経筋接合部における補体活性を阻害することにより、全身型重症筋無力症(以下「gMG」と略します)の症状を改善すると考えられています。本邦では2017年12月に「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」の効能・効果で承認され、成人患者に対する用法・用量が設定されております。
 今般、gMGの小児患者を対象とした国際共同第III相試験の成績等に基づき、gMGに対する小児の用法・用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。gMGに対する小児の用法・用量に関する海外での承認状況について、欧州では現在審査中でして、2023年6月にEMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)で製造販売承認に対して肯定的意見が採択されました。
本申請の専門委員として、資料No.11に記載されている6名の委員を指名しております。
 本品目の審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書の通し番号で10/30ページを御覧ください。抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性のgMGの小児患者を対象とした非盲検非対照の国際共同第III相試験であるMG-303試験が、既承認の非典型溶血性尿毒症症候群(以下「aHUS」と略します)に対する小児の用法・用量と同様の設定で実施されました。その結果は11/30ページの表7のとおり、主要評価項目としたQMG総スコアはベースラインと比較して統計学的に有意に改善しました。
 加えて、15/30ページの表10を御覧ください。gMGの成人患者を対象としたMG-301試験の結果と比較して、MG-303試験におけるQMG総スコアの低下は、自然推移やプラセボ投与による推移を上回る改善傾向が認められたと判断できること、MG-303試験の副次評価項目のMG-ADL総スコアも主要評価項目と同様の傾向が認められたこと等を踏まえ、本剤はgMGの小児患者に対しても有効であると判断いたしました。
 また、MG-303試験においては結果的に12歳未満の患者は組み入れられませんでしたが、本剤の投与対象となる抗アセチルコリン受容体抗体陽性のgMGの病態は年齢により異ならないことに加え、同じく15/30ページの表11のとおり、MG-303試験の各症例の結果から、年齢により本剤の有効性が異なる傾向は認められなかったこと等を踏まえると、MG-303試験に組み入れられなかった12歳未満の患者に対しても、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 次に、安全性についてです。同じく審査報告書の通し番号18/30~23/30ページの「7.R.3の安全性について」の項を御覧ください。今般提出された臨床試験成績等から、gMGの小児患者とaHUSの小児患者を含む既承認の範囲内での使用時の安全性プロファイルに大きく異なる傾向は認められませんでした。したがって、現行と同様に髄膜炎菌感染症をはじめとする感染症の発現には注意が必要ではあるものの、これまでと同様の安全対策の下で使用されることを前提とすれば、gMGの小児患者における本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本剤は希少疾病用医薬品ではあるものの、gMGの成人患者では承認後、本邦において一定の使用実績が蓄積されていること等を踏まえ、再審査期間は6年1日とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。では堀委員から御質問があります。お願いいたします。
○堀委員 ありがとうございます。今、説明をお伺いしましたが、大変臨床試験での症例が少なく特に12歳未満の症例がなかったというなかで、12歳未満の患者にも有効性が期待でき、12歳未満も対象になると判断されているというのが、ちょっと私は合点がいかなくて、添付文書の6の所の用法及び用量を拝見しますと5kg以上10kg未満の患者さんに関しても、これが投与可能ということを考えると、大体2歳、それこそ5kg以上であれば1歳の患者さんに関しても該当するということになるかと思います。、市民の立場からは、症例がない中で、幼児にも投与してしまっていいのかどうか、かなり不安なのですが、その点に関してはいかがでしょうか。教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 まず小児期に発症するMGですが、発症年齢は5歳未満にピークがあることが知られています。患者によっては、かなり年齢が低いころから治療を要する状況があると機構としては認識しています。機構として、臨床試験に組み入れられなかった低年齢、低体重の症例に対して、本剤を提供可能であるかどうかについて、検討させていただきました内容を説明させていただきたいと思います。
 まず7/30ページの表4を御覧ください。今回、体重区分としては30kg以上40kg未満の患者が1例入って、この患者は結局12週目に40kgを超えた患者なのですが、いずれの体重区分でも規定された用法・用量を投与すると、概ね曝露量は同じような値になって、また薬力学の指標である遊離C5濃度、これが下がると補体C5が阻害されている指標の一つになりますが、それも体重区分によらず規定された用量を投与すると、同じような低下がみられています。
 また9/30の表5ページを御覧ください。表にgMGとaHUSの小児患者における体重区分別の曝露量のデータを示しています。今回gMGに関しては、低体重の患者は組み入れられなかったのですが、aHUSでは投与経験があり、お示しのとおりの曝露量になっています。また同じ体重の所を比べますと、疾患によって本剤の曝露量などに変わりがないということを確認しています。
 以上の内容と先ほど御説明したような本剤の有効性に関しては、あくまでもC5を阻害するということで発揮されるもので、大体、同程度の遊離C5濃度であれば症状改善が認められているというところも考慮して、有効性が期待できるだろうと考えています。
 またこの薬剤自体は、小児に対しても既に別の効能ですが使用経験が多くあります。その中での安全性上の問題というところは、先ほどお話した感染症に関して十分な注意をすれば、問題なく管理ができるだろうと判断をしています。以上の内容を踏まえまして、機構としては臨床試験に組み入れられなかった低体重、低年齢の患者も含めて、用法・用量を設定するということが妥当と判断しています。以上です。
○堀委員 ありがとうございました。ご説明をいただいたのですが、専門知識がない一般市民なのでよく分からないのですが、販売承認後1歳、2歳や低体重の方たちに投与をしたときに、やはり副作用など、そういうものに関して何かあったら、やはりすごく心配なので、その点に関してはかかりつけのお医者様などから説明対応をしていただけたら、非常に有り難いと思いました。私からは以上です。
○森部会長 機構の方、専門協議の中の1.1の有効性に関しても、12歳未満の方の小児に対する有効性に関する検討がなされています。ここは少し補足で御説明していただくのはいかがでしょうか。審査報告書の26ページです。
○医薬品医療機器総合機構 有効性について御紹介いただいた26/30ページを御確認ください。専門協議での議論ですが、まずMG-303試験の主要評価項目、副次評価項目の結果等に基づいて有効性を総合的に評価するということについて、専門委員からも機構の審査方針は妥当であるという御意見がありました。あとMG-303試験の結果から、小児患者において本剤のgMGに対する有効性は確認できたという機構の判断に御支持を頂きました。
 また、先ほどもお話をさせていただきましたが、本邦での小児期のMGは5歳以下に発症のピークがあるということに加えて、眼筋型が多く、抗アセチルコリン受容体抗体価が低いことが知られているのですが、12歳未満の患者でも抗アセチルコリン受容体抗体陽性のgMGの報告は散見をされていまして、免疫抑制剤等による治療でも、効果が十分ではない症例も存在するということを御意見として専門委員よりいただきました。
 また抗アセチルコリン受容体抗体陽性のgMGの病態は、小児と成人で違いがないと考えられるという御意見もあり、そういった状況を踏まえますと、MG-303試験に結果的に組み入れられなかった12歳未満の患者でも、本剤のgMGに対する有効性は期待できるという御意見を頂戴しています。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。専門協議の中では、小児の特に12歳未満の方のMGは眼筋型の発症が主体であって、gMGの症例は一部にとどまる、ただしその場合の治療に抵抗性の方もいらっしゃるという見解をお示ししたと思っていただいています。
 今回、国際共同第III相試験のMG-303試験について、報告書の10ページの補足の7を見たのですが、12歳~18歳の患者さんに対しては、組み入れの症例規定がありますが、6歳以上12歳未満の被験者については、規定を設けていなかったという治験上のプロトコルの背景があります。これは恐らくここの症例は組み入れられていないが、治験がそのまま進行したということだと思いますが、このような規定を設けていなかったことの背景については、機構はどのように理解されているところでしょうか。先ほど、全体的に眼筋型が多い中で、このgMGの方の組入れがやはり難しいという背景でしょうか、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、部会長からおっしゃっていただいたように、12歳未満の対象となる症例数が非常に限られている状況がありますので、特別な規定はなされなかったと理解をしています。その点については、機構としてはやむを得ないものだと考えています。
○森部会長 ありがとうございました。もし可能でしたら、石川委員、神経診療のお立場から、このMGの小児の治療に関する全体的な御見解はいかがでしょうか。
○石川委員 石川です。御指名ありがとうございました。小児に関しては経験がないので何とも申し上げられないのですが、成人の場合はこのお薬を使って、それまで不安定だった方がかなり安定したというケースが結構多くありました。先ほどお話がありました無菌性髄膜炎等の感染症に注意していれば、問題なく使えるという機構さんの御説明どおりで、我々も同じように感じています。
 副作用と申しますか感染症対策というのは、小児科の専門の先生がなさるので大丈夫なのだろうと思っていますが、一方でこのお薬が使用できないとMGに苦しむ患者さんが残されてしまうことになりますので、使用ができるという選択肢が増えるということには、大変賛成しています。以上です。
○森部会長 御発言どうもありがとうございました。続きまして、長谷川委員から御発言いただくことになっています。お願いいたします。
○長谷川委員 長谷川です。ソリリスを使うときに、いつも気になることがありまして、ちょっと質問させていただきます。先ほどから出ています髄膜炎菌感染症というのが、非常に注意しないといけないことになって、2歳以上であれば、ワクチンが接種可能となるのですが、先ほど言われていた5kg~10kg未満であれば、使えない場合、あるいは髄膜炎菌のワクチンが安全性が確認されていない、臨床試験が実施されていないなどとお伺いしていますので、その場合に余り積極的に打てないのかなと思いますが、そういう場合の対策なども考えておられるのか教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 現行、小児の用法・用量が承認されているaHUSでの状況になりますが、2歳未満であってもワクチンを投与して使用されている状況もあると聞いています。ワクチンが投与できない場合には、抗菌剤を投与しながら本剤が使われている状況もあると聞いています。
 gMGにおきまして、このソリリスを実際にそのような状況で投与することが妥当かどうかというのは、個別の症例での担当医師の御判断になると考えています。
○長谷川委員 分かりました。それでは、2歳未満で打たれる方がいらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。一応、確か添付文書上は安全性が確認できていない、有効性が確認できていないというような記載であったかと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございました。
○森部会長 委員の先生方からの御意見を改めてお伺いしたい点ですが、このソリリス点滴静注を小児の症例に使用する対象を、どこまで今回の審議で認めていくのかという重要な議論になります。今回、臨床試験のデザインとしては、6歳~18歳までを対象とした国際共同試験という形で、実際の登録された症例は12歳未満の方は登録されていませんでしたが、臨床試験としては6歳~18歳までの方を対象とした試験が行われていた経緯で、6歳よりも更に若い小児に対しては、臨床試験の対象にも特にしていなかったといったところです。
 それで現在の添付文書の案を見ますと、体重によって用量の設定がありますが、かなり体重の小さい症例まで含んでいるということから、また年齢の制限についても添付文書の9.7.3の所では臨床試験を行った症例の年齢についての記載はありますが、それより踏み込んだ年齢の下限を定めるほどの明記ではないといったことがあります。これはなかなか臨床試験を追加で行ったりすることも大変だという事情もよく分かるのですが、臨床試験の対象でない症例について、どこまで有効性、安全性を認めていくかということになります。
 まず機構の方に基本的な確認です。専門協議のときには、6歳よりも年少の方についての使用についてはどういった議論があったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 6歳未満の患者に関しても、症例としては想定し得るし、抗アセチルコリン受容体抗体陽性のgMGという診断が付いているその病態においては、本剤の有効性自体は同様に期待できるだろうということが専門協議での議論としてありました。
○森部会長 今回、そのような議論があった中で、この専門協議の審査報告書の記載になっているということでよろしいでしょうか。そこがよく確認できなかったので、そういった議論があったということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○森部会長 分かりました。宮川委員、御発言ください。
○宮川委員 今、お話になったように病態生理というのは年齢にかかわらず、そういう意味では類似しています。そのようなことから外挿性として、低年齢に波及することは可能かどうか。そこのところに対する議論というのは、まだそれほどの専門協議の中でも、必要性はあるけれどもというところで、安全性を含めてですが、十分な議論はされていないような気がするのですが、いかがでしょうか。外挿性というか、それを類似してですから、問題ないというところなのですが、その議論にのっとって、ここで先ほどから御懸念になるように5kg以上10kg未満ということの枠を設定し、さらに今9.7.1~7.2、7.3という所でいわゆるそれ以上の有効性、安全性を使用した臨床試験は実施していないというエクスキューズを入れながら書いているのですが、その辺のところの踏み込み方がどこまで許されるものなのかどうかということで、専門家協議でそこまでしっかりとした議論をされたのかどうか機構にお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、御指摘いただいたような議論を専門協議でもさせていただきました。まず臨床試験において6歳未満の患者を含めなかった理由ですが、やはり6歳未満の患者となりますと臨床試験に参加して、規定に基づきいろいろな評価をしていくというところで、そのスコアを付けることや、介助者がどうしても必要になるなどの実施可能性の観点から難しいという判断があったようです。症例数が極めて僅かということもあります。そういうことですので、医学的な理由からではなく、まず実施可能性の観点から、6歳以上の患者を対象に臨床試験を行う計画として、実施されています。また6歳未満の患者への本剤の投与に関しても、安全性については既に他効能ですが、多くの投与実績があり、副作用の発現状況等は確認ができているということと、あとは有効性については先ほど来、ご説明させていただいているとおり、抗アセチルコリン受容体抗体陽性のgMGの病態については、その年齢によらず変わりがないので6歳未満の患者についても有効性は期待できるという御判断だったと理解をしています。
 また添付文書の記載内容についても、臨床試験では12歳未満の患者は組み入れられていないということを、適切に情報提供することは必要だという御意見を専門協議でも頂いています。現在の注意喚起の内容については、妥当と判断を頂いています。
○森部会長 機構の方、ご回答ありがとうございました。6歳未満の症例は、治験に組み込んだ場合に、有効性に関する客観的な評価がなかなか難しいという機構の今の見解を伺ったのですが、そうしますと実臨床で使用した場合にも、本剤の使用後に病状が改善したかどうかということを、どう客観的に評価していくのかということの根幹にも関わってきます。私も病態的には有効性が期待できるというところまでは理解しているのですが、臨床試験が客観的に行えないような年齢の方に使った場合の有効性評価ということは、実はこの専門協議の中でどういったことを有効性評価の指標として、そういった6歳未満の客観的、若しくは主体的な協力が得られにくい、ないしは客観的評価も難しいといった対象の方を、有効性を評価していくのか。その中で、この方には効いている、この方には効いていないという判定をするのかということについては、少し疑義がありました。長谷川委員、それから石川委員にもう一度ここで御意見を伺おうと思いますので、御準備のよい先生から御発言いただいてもよろしいですか。特に6歳未満の方の使用について、どういった御意見か、では石川委員、お願いいたします。
○石川委員 なかなか難しいです。成人でしか診ておりませんので、ちょっと分からないというのが正直なところです。すみません、御期待に応えられないのですが、小児科の先生の御意見を是非、お聞きしたいと思っています。
○森部会長 石川委員、ありがとうございました。では、次に長谷川委員に御発言を頂きます。お願いいたします。
○長谷川委員 それほど使用経験があるわけではないので、病態的には効果は期待できるのかなと思いますが、先ほどもちょっとお話させていただいたように、やはり小さい子になりますと感染症のリスクというのが、どうしても集団保育などがありますので、そのときにどう避けるのかということが、私たちとしては非常に課題になることが多くあります。特に6歳未満では幼稚園児などになりますので、その中でどうやって感染症、特に髄膜炎菌というのはそれほど多くないかもしれないのですが、もしかかったときにどうしていいのか、ワクチンでできれば避けたいけれども、小さい子はどうするのかというのが我々としてはすごく懸案事項としてありますので、その辺りがすごく議論になるところなのかなと先ほどから聞いています。以上です。
○森部会長 長谷川委員と石川委員に少しお伺いしたいのですが、この小児の18歳未満、特に12歳、6歳、若年の小児を対象として、このgMGの治療をしていくということについての医学的な指針と言いますか、治療の在り方については専門家の先生方で協議されて、何らかの目安を通常、お示しになられていく方向なのでしょうか。いかがでしょうか。ガイドラインのようなものはできる可能性はありますか。
○石川委員 そうではないかと思いますが、実際、この抗アセチルコリン受容体抗体陽性の重症筋無力症というのは、やはり一番多くて、小児期にも一番多いはずだと思いますが、この薬の有効性があればやはり患者さんの経過が変わります。また、反復表面筋電図など、そういった客観性試験でも有効性が出てくるのではないかと思われます。この辺りのガイドライン等、専門の先生方が作成していかれるはずだと思いますが、私個人は重ね重ね申しますが小児においては経験がございません。成人においては、非常にそれまで難治性だった患者さんがこのお薬を使って劇的に改善したという方が何名もいるということはあります。以上です。
○森部会長 石川先生、どうもありがとうございました。長谷川先生、いかがでしょうか。
○長谷川委員 うちでも全身型は決して多くはないので、経験がすごく多いわけではないのですが、うちの小児でも筋電図を撮ってきちんと客観的な評価をして確認をしていることが多いです。ですので、効果判定というのはその辺りでできるのかなとは一応、考えていますが、ガイドラインについては通れば、これが今後なってくるのかなとは思いますが、恐らくその方向で進んでいくのではないかなと理解しています。以上です。
○森部会長 御発言どうもありがとうございました。これはやはり適切な専門家の議論の下に、小児、特に臨床試験の対象でなかった、若しくは実際に組み入れなかった若年の小児の方への使用を行っていくという、大変注意深い配慮が求められるところですので、その専門家の先生の御協力も是非、仰ぎたいところです。これはできましたら、何らかの形で国の方から御指導いただくという形が大変有り難いのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 分かりました。機構に相談して、対応させていただきたいと思います。
○森部会長 承知しました。そうしますと、そのような適正な使用、若しくは使用した場合は有効性、安全性に関する小児ならではの状況を鑑みた、きめ細やかな御配慮を専門家の先生のお知恵の下に指針をお示ししていただくということが、本剤の安全な利用に大変役立つだろうということは、本部会の先生方の御意見としておまとめしてよろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川です。今、部会長がおっしゃったとおり、そのような形でしっかりとした明記の中で、私たちは議論したと、軽々しくこれを承認したのではなく、やはり必要な子供たちに必要な治療が届く、しかしながらそれがきちんとしっかりと臨床の中で確められる、そういうお約束があるというような形で、ガイドライン等を含めてですが、専門家の先生方に立付けを作っていただくという形で、議論したということを是非、御理解していただいた中でこれは承認するというものであれば、賛同したいと思います。今部会長のおっしゃったとおりだと思います。
○森部会長 佐藤(陽)部会長代理、いかがでしょうか。
○佐藤(陽)部会長代理 部会長がおっしゃったように、添付文書では有効性及び安全性の指標とした臨床試験は実施していないとだけしか書かれていませんが、やはり長谷川委員がおっしゃっていたような懸念事項について、専門家の間でシェアしていただいて、それをさらにある特定の手段を使って使用する医師の先生方に周知するということは、大変重要だと思います。以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。低年齢の方ですと、ワクチンの接種を含めた免疫の確立の状況も個々の症例で異なってきますので、そういった点につきましても十分な配慮を頂き、本剤のリスク・ベネフィットのバランスが保たれるように御配慮をお願いしたいと思っているところです。
 そのほか委員の先生方から追加の御発言、御意見等はございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお佐藤直樹委員、髙橋委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっています。では、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようです。承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 では、続きまして議題3に移らせていただきます。議題3については、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について御説明いたします。資料No.3-1にまとめた表を付けておりますが、本来、1品目のみですので、資料No.3-2の事前評価報告書を御覧ください。今回、御審議いただく品目、「ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」ですが、申請者は「一般社団法人日本血液製剤機構」、予定効能・効果は「腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後の抗体関連型拒絶反応(AMR)の治療」となっております。また、患者数については、900人程度と推定されております。医療上の必要性について、2ページに記載しておりますが、AMRを含む臓器移植後の拒絶反応は、移植臓器廃絶の主要な要因の一つです。
 本邦において、AMRの治療の効能・効果を有する薬剤はありません。本剤は、腎移植後にAMRを発症した患者を対象とした国内第III相試験を実施されており、投与開始6か月後の移植腎生着率が95.7%との結果が得られています。こうした結果から、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等はありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議ないようです。指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、議題4に移ります。議題4について、事務局から概要説明をお願いします。
○事務局 議題4、資料No.4を御覧ください。「オルケディア錠4mgの毒薬指定からの除外」について、御説明いたします。
1.現行の規定についてですが、オルケディア錠の成分であるエボカルセトについては、平成30年3月23日に1mgと2mgの製剤が承認されており、それと同時に、薬機法施行規則において、原体は毒薬に指定された上で、ただし書きとして、成分として2mg以下を含有する製剤が毒薬から除外され、劇薬に指定されております。
 2.ですが、今般、オルケディア錠の4mgの剤形を追加する申請があり、本剤は現行の規定では4mgを含有しますので、毒薬に該当することになります。しかしながら、既承認製剤として劇薬指定されている1mg、2mg錠において、既承認の用法・用量として1日1回12mgまで投与することができるとされていることも踏まえ、本剤についても毒薬から除外し、劇薬に指定することが適切と判断しております。
 3.今後の対応といたしましては、御承認いただきましたら、4mg以下を含有する製剤を毒薬から除外することについて、省令の一部改正を行いたいと考えております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から、本件について御質問、御意見はございますか。特に、薬学御専門の先生から御発言がありましたら、お伺いしたいと存じますが、いかがでしょうか。原理原則に考えて、これでよろしいのかどうか、御意見がありましたら。よろしいでしょうか。特に御意見はないようです。それでは、議決に入りたいと思います。なお、佐藤直樹委員、中西委員、長谷川委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっています。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議はないようです。承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、報告事項に移ります。報告事項について、議題1~3について、事務局から御説明等をお願いします。
○事務局 それでは、報告事項について御説明いたします。資料No.5を御覧ください。この一覧表に沿って御説明させていただきます。報告事項の議題1関係、資料No.6の関係ですが、「医薬品リツキサンについての製造販売承認の事項一部変更承認」についてです。本剤は、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブを有効成分とする注射剤であり、本邦では、2001年に「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫」の効能・効果で承認され、その他複数の効能・効果で承認されております。
 今般、本適応については、第54回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、本剤の「既存治療で効果不十分なループス腎炎」に関する公知申請の該当性報告書が取りまとめられました。令和5年3月3日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、「全薬工業株式会社」から効能・効果に関する申請が出されたものです。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 次のページを御覧ください。議題2、「希少疾病用医薬品の申請の取消しについて」です。今回の対象の品目は「バルドキソロンメチル」で、予定される効能・効果は、「アルポート症候群における腎機能の改善」です。指定の取消しの理由ですが、本剤はアルポート症候群における腎機能の改善」を予定される効能・効果として指定されておりましたが、本剤の別の対象疾患ですが、糖尿病性腎臓病に係る国内第III相試験の結果、「末期腎不全が最初に発現するまでの期間」について、差が認められないという結果でした。同じ腎疾患であるアルポート症候群においても、同様に製造販売承認を取得できる見込みは低いと申請者が判断して、開発が中止されることとなったために、取り消すこととしたものです。
 次のページを御覧ください。再審査の結果についてです。今回、再審査の結果について御報告する品目は、こちらの記載の資料No.8-1~8-8までの承認記載の8品目です。いずれの品目についても、製造販売後調査等の結果に基づ
き、機構における審査の結果、効能・効果、用法・容量のいずれの変更の
必要もない「カテゴリー1」に該当すると判断しております。以上です。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問がありましたら、お願いします。議題1は、特に御質問はありませんか。議題2についても、特に御質問はよろしいでしょうか。議題3、再審査結果についても、特に御異議はありませんか。特にないようですか。
それでは、報告事項、議題1~3については、御確認いただいたものとさせていただきます。
 続いて、その他事項に移ります。その他の事項、議題1について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 その他事項、議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、事務局より御説明いたします。
その他事項の資料No.9、「公知申請事前評価報告書」のファイルをお開きください。今回、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に御報告する品目は1品目あります。
 2ページを御覧ください。「一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会」より、シクロホスファミド水和物の「血縁者間同種造血幹細胞移植(HLA 半合致移植)時の移植片対宿主病の抑制」の効能・効果追加が要望されたものになっております。医療上の必要性に関しては、既に該当性ありとされております。
 続いて、青字で書いてある所の34ページ下方の8.効能・効果及び用法・用量等の記載妥当性について御覧ください。おめくりいただきまして、効能・効果に「造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制」を追加しております。また、効能・効果関連注意では、「HLA 半合致移植を実施する場合に本剤の適応を考慮することと記載すること」が適切と判断されております。用法・用量については、中ほどに記載がありますとおり、「通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、移植後3日目、4日目、又は移植後3日目、5日目の2日間投与する。なお、患者の状態により適宜減量するとし、用法・用量関連注意については、「本剤の投与量、投与スケジュール等については、診療ガイドライン等の最新の情報を参考にすること」が適切と判断されました。これらのこと、設定効果については、国内外の診療ガイドライン、教科書、公表文献等の記載内容を踏まえ、当該効能・効果、用法・用量は医学薬学上公知と判断しております。以上です。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。御質問はありますか。大変詳細に資料をおまとめいただいているところです。関連学会の今回の要望もあり、今回、公知申請に関する、該当性に関する報告書をおまとめいただいておりますが、よろしいでしょうか。それでは、特に御質問はないようですので、その他事項、議題1については、確認いただいたものとさせていただきます。
本日の議題は以上です。事務局から何か御報告、御連絡はありますか。
○事務局 次回の部会は、令和5年8月21日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 本日も大変多くの方から御質問、御意見を頂き、丁寧に審議させていただきました。厚く御礼申し上げます。では、本日、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)