令和5年度第12回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和5年10月30日(月) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 仮設第3会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、先生方おそろいですので、令和5年度第12回「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
 本日御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 今回の会議の公開につきましては、YouTubeによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 また、今回のウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ち、審議と進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
 発言のタイミングが重なったりした際は、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
 その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 また、もし、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等おかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。
 事務局からは以上です。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 今回もウェブ開催ということで、ただいま御説明がありましたけれども、これまでの御説明に何か御質問等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告します。
 現時点で6名中6名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により定足数に達していることを御報告申し上げます。本日の会議は成立することを報告申し上げます。
 続きまして、本日、参考人として参加いただく先生方を紹介いたします。
 議題1「要指導医薬品ベポタスチンベシル酸塩のリスク評価」の関係で、日本耳鼻咽喉科学会より、京都第二赤十字病院副院長・気管食道外科部長、出島健司先生に御出席いただいております。
 また、議題2「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」の関係で、国立感染症研究所ハンセン病研究センターセンター長・真菌部部長、宮﨑義継先生に御出席いただいております。
 また、東京女子医科大学呼吸器内科学講座教授・講座主任、多賀谷悦子先生から書面で御意見を提出いただいております。
 以上です。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について、御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金等の受け取り状況を報告いたします。
 対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいたところ、石井委員より、大正製薬株式会社、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り。
 柿崎委員より、塩野義製薬株式会社より、50万を超えて500万円以下のお受け取り、田辺三菱製薬株式会社、ギリアド・サイエンシズ株式会社より50万円以下のお受け取り。
 舟越委員より、田辺三菱製薬株式会社、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り。
 多賀谷参考により、MSD株式会社より50万円以下のお受け取り。
 出島参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、久光製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
 宮﨑参考人より、MSD株式会社より50万円以下のお受け取りと御申告いただいております。
 柿崎委員におかれましては、議題2の審議中、御意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
 その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人につきましても、意見陳述が可能なことを確認しております。
 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
 報告は以上です。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に対して、御意見、御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関して、資料1-1と1-2、議題2に関して、資料2-1から2-4及び参考資料の2-1から2-4がございます。
 このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
 なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照ください。
 以上です。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
 それでは、議題1「要指導医薬品ベポタスチンベシル酸塩のリスク評価」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 ありがとうございます。資料1-1を御覧ください。
 表に記載されている品目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
 初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に御説明させていただきます。
 2ページを御覧ください。
 「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくことになります。
 背景から順に御説明いたします。
 平成25年の当時の薬事法改正により、適正使用のために、薬剤師による対面での情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に「要指導医薬品」という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この「要指導医薬品」のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務づけられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要がございます。
 2ポツにございますとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点においては、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。
 この確認については、3ポツに記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
 要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを御説明いたします。
 5ページを御覧ください。
 企業は、販売開始後、原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売開始後2年以降経過し、特別調査の目標症例数、内服薬3,000例、外用薬1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で、一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。
 一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第一類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。
 今回お願いさせていただきます評価は、5ページ目中ほどにございます、①の第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。
 続きまして、ベポタスチンベシル酸塩について御説明いたします。
 資料1-2を御覧ください。
 販売名は「タリオンAR」「タリオンR」です。
 「タリオンR」は販売されておりませんので、以降の副作用報告等については「タリオンAR」に関する内容を御説明いたします。
 効能・効果は、花粉、ハウスダストなどによるくしゃみ、鼻みず、鼻づまりといった鼻のアレルギー症状の緩和です。用法・用量は「成人(15才以上)1回1錠を1日2回、朝夕に服用する」とされています。
 製造販売後調査概要を御覧ください。
 特別調査とは、企業が個別に薬局と契約して、モニター店舗で消費者にアンケート調査票を配って実施するアンケート調査です。この特別調査では、3,244例中、副作用が100例126件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用としては、こちらに記載のとおりと報告されております。
 使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、9例13件報告され、重篤な副作用はなく、未知の副作用については記載のとおりでございます。
 また、報告書のデータロック後に報告された副作用はございませんでした。
 2ページ目は、本剤と類似の効能・効果を持つ医薬品の一覧。
 3ページは、本剤と医療用同一成分であるタリオン錠の副作用等発現状況をまとめたものになります。本剤と医療用タリオンで、安全性プロファイルに違いはございません。
 続きまして、4ページ「調査結果に関する見解と今後の安全対策」を御覧ください。
 1ポツとして「副作用発現状況に関する見解」をお示ししておりまして、副作用の発現状況については、重篤なものはなく、医療用タリオンとの安全性プロファイルと差異がないことから、現時点で「使用上の注意」の改訂を含む追加の安全対策措置を講じる必要はなく、引き続き、副作用の発現状況等に注視しながら、必要な情報提供を行っていく旨、企業から報告されております。
 また、5ページに2ポツとして「適正使用状況に関する見解」をお示ししております。「してはいけないこと」に該当する患者が使用していた例や、「用法・用量」や「効能・効果」外の使用が見られました。これらについて副作用の発現状況は、調査全体の発現と同様の傾向であり、また、特に注目すべき副作用等は認められておりませんが、このような逸脱事例について、企業は社内の一般用医薬品医療情報担当者に対して、本剤の適正使用に関する研修を適宜実施しておりまして、納入した薬局全店に対して、チェックシート、使用者向け説明書などを同梱した「適正使用セット」により、適正使用に係る情報提供を行うとともに、併せて一部の小売企業においては、製造販売後安全性調査の手順動画を企業内で共有いただき、適正使用並びに安全性に関する情報を提供しており、引き続き、適正使用状況等に注視しながら、これらの情報提供については継続して実施していくとしています。
 8~29ページは、製造販売後安全性調査報告書、30~31ページは添付文書、32~33ページはチェックシート、34~39ページは使用者向けの適正使用啓発文書、40~41ページは有害事象調査票を添付しています。
 資料の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。
 それでは、本日御出席いただいております出島参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 出島でございます。
 このベポタスチンベシル酸塩は、実地臨床におきまして、オロパタジンと並んで非常に多く処方された薬剤でございます。長期間の実地臨床での使用経験からは非常に安全性が高く、例えば併用禁忌薬がない、あるいは禁忌も過敏症以外は全くないということで、そういったところで多くの処方がなされてきた、そういった経験が我々にはございます。
 今回、要指導医薬品としての発売後の調査の結果を見ましても、我々が長年処方箋で使ってきたベポタスチンベシル酸塩錠の副作用の状況と特に変わりがなく、新たに重篤な副作用なども見られなかったことより、本薬剤につきましては、一般用医薬品への移行について医学的に問題はないと考えます。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思いますけども、いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 事務局に確認なのですが、今回の個別の市販後調査について、「してはいけないこと」についての部分のアンケートを取られたかと思います。やはり、こういった薬剤については、車の運転をしてはいけないものと、フェキソフェナジンのように、「してはいけない」に、車の運転等の記載がない薬剤があると思います。今回、車の運転関係がアンケート項目に入っていなかった理由について少しお伺いしたいと思います。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 舟越先生、ありがとうございます。
 企業からですが、PMS(製造販売後調査)の報告書は、アンケート調査の結果について記載しておりますが、アンケート調査の質問事項については、回答率の向上等の観点から、本剤のリスクに鑑み、特に重要なものを対象に質問事項を選択しておりまして、アンケート調査の質問事項になっていない乗り物等の運転に関する注意喚起は、添付文書だけではなく、薬局向け、患者向けの資材等でも注意喚起をしているほか、企業の薬局向けの説明会でも薬剤師等に説明していると聞いております。
 こうした注意喚起を引き続き適切に行うよう、企業に対して指導していきたいと考えております。また、企業からは、本剤服用後の自動車、機械運転等の事故は報告されないと回答が得られております。
 以上です。
○舟越委員 ありがとうございました。
 平成25年のときに、医療用のほうの添付文書も、注意して運転することや、あとは「してはいけない」とか、そういった部分で要綱を整備されたことが記憶に残っています。
 また、一時期、てんかんの薬だったり、医薬品の服用においてメディアに一時期騒がれた時期もございました。こういったものがどれぐらいリテラシーとして認識されているのか、また、もちろん、この薬剤ではなくても、途中で違うOTCにまた買い換えたり、今回の薬は長期にある程度使いますので、その中では、やはりずっとその期間、車を運転していないのかという部分とか、どのような工夫をされているかも、正直、国民の皆さんの意見というのは知りたいところでもございます。
 ここは最後はコメントでした。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 本剤に関しましては、重篤な副作用はないということで、問題ないのではないかと私も思いました。
 表現として、未知の副作用のところに有害事象2件というのがあるのですけれども、それに関しては、もう少し具体的に記載していただいたほうがよろしいのではないでしょうか。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 事務局、その辺りはいかがでしょうか。
○事務局 伊藤先生、ありがとうございます。
 有害事象については、中間報告の時点では間に合わなかったのですけれども、追加調査で、1件は有害事象ではなかったとして取り下げられる予定で、もう1件につきましては、眠気と胃の痛みの既知の有害事象について追加で報告されておりまして、その後、すぐに軽快したと報告されております。今回、中間報告書には間に合わなかったのですけれども、次回のリスク区分の審議を行うときの最終報告の際には反映されるものと認識しております。
 以上です。
○伊藤委員 承知いたしました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、議決に移りたいと思いますけれども、ただいまの御意見ですと、ベポタスチンベシル酸塩については、一般医薬品にするということで、特に強い反対の御意見というのはなかったかなと思いますけれども、一般医薬品とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん首肯していただいておりますので、一般医薬品とするということで御異議なしとさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御審議、ありがとうございました。
 製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日、御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。
 また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告させていただきます。ありがとうございました。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。出島参考人におかれましては貴重な御意見、ありがとうございました。
 これ以降は御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。ありがとうございました。
○出島参考人 退席させていただきます。ありがとうございました。
○岡座長 それでは、議題2「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1「緊急承認された医薬品(ゾコーバ錠)に係る対応について」を御覧ください。
 新型コロナウイルス感染症治療薬であるゾコーバ錠が緊急承認されたことに伴い、参考資料2-1としてお示ししている医薬品等安全対策部会での審議を踏まえ、安全対策調査会において副作用等報告の状況を考慮し、追加の安全対策の要否の評価をお願いするものです。
 製造販売業者からの副作用報告の状況について、御説明いたします。
 資料2-2を御覧ください。
 今回の調査会の集計対象期間は、昨年11月24日から本年10月15日であり、推定使用者数は84万1646人と製造販売業者から報告されており、こちらは納入数量に基づいて算出されています。当該期間において製造販売業者からの報告頻度は2ページ別紙のとおりです。
 3ページの別添1に症状別報告件数をお示ししていますが、流産の症例は患者のプライバシーへの配慮等を踏まえ、症例経過は委員限りとしております。
 5ページの別添2の症例一覧を御覧ください。
 前回の調査会でお示していた症例で追加の報告があったものは、アスタリスクを付している症例となり、No.23からが新しく報告された症例です。
 6ページから別添3で基礎疾患や症例経過をお示ししています。今回、副作用の転帰死亡の症例2例について追加の報告、1例の新規の副作用報告がされていますので、PMDAの外部専門委員に評価を依頼しました。
 6~13ページの症例No.6、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の評価は、本剤投与期間前から悪化傾向にあることは明らかであり、本剤が投与されていなくても同様の経過であった可能性が高いといったコメントがありました。
 15~18ページの症例No.14の劇症肝炎の評価は、意識障害を認めた際には、白血球数やCRPの増加もあり、何らかの細菌感染症などが併発していた可能性が高く、薬剤性肝障害の診断を裏づける根拠がないといったコメントがありました。
 28~29ページの症例No.29の脳出血の症例は、患者背景や死亡に至った経緯の詳細が得られておらず、情報不足のため、ゾコーバ錠と死亡との因果関係は評価できないといったコメントがありました。
 また、13~15ページの症例7の急性汎発性発疹性膿疱症、通称AGEPについて追加報告がありましたので、こちらもPMDAの外部専門委員に評価を依頼しました。
 評価は、ゾコーバ錠のDLST検査ができていないのは残念であるが、新型コロナウイルス感染、ゾコーバ錠あるいは全く偶発的にAGEPが生じた可能性があり、原因が薬以外だと断定することも否定することも不可能で評価不能であるといったコメントがありました。
 次に、医薬関係者からの副作用報告の状況について、御説明いたします。
 資料2-3を御覧ください。
 集計対象期間において医薬関係者からの報告頻度は、2ページ別紙のとおりです。症状別報告件数については、3ページの別添1を御覧ください。
 最後に、製造販売業者の公表資料である市販後安全性情報の報告を御説明いたします。
 資料2-4を御覧ください。
 集計対象期間において非重篤な副作用の報告頻度は2/15ページ、別紙のとおりです。また、非重篤症例の副作用の症状と報告件数は6~10/15ページのとおりです。
 12/15ページを御覧ください。
 RMPの重要な潜在的リスクである催奇形性に係る情報として、服用後に妊娠が判明した症例が先月から新たに10例報告され、合計で32例になったとのことです。なお、この一部には、本剤の承認後に、国立成育医療研究センター内に設置されている妊娠と薬情報センターに寄せられた相談事例の情報が含まれています。また、症例の一部で、妊娠の可能性を確認する資材の活用等が徹底されていなかった事例があったとのことです。また、一般消費者からの情報提供のみで詳細が確認されておりませんが、流産事例が1例報告されているとのことです。
 製造販売業者は、13/15ページの赤字のとおり、少しでも妊娠している可能性を排除できない場合には、本剤の投与を控えていただきたい旨、周知しています。
 また、参考資料2-4のとおり、こども家庭庁の妊婦・妊娠を考える方向けの新型コロナウイルス感染症対策に関するリーフレットが改訂され、妊娠中に内服することの安全性が確立していない新型コロナウイルス感染症治療薬もあることから、妊娠の可能性がある場合は、医師や薬剤師に相談する旨が追記されました。当該リーフレットや薬の服用時の妊娠の可能性の確認の重要性をX(旧Twitter)で周知しており、今後も周知活動を継続します。
 資料2-4にお戻りいただき、最終ページ、15/15ページを御覧ください。
 RMPの重要な不足情報である中等度以上の肝機能障害患者での安全性については、前回の安対調査会から追加された情報はありません。
 説明は以上となります。
 また、多賀谷悦子参考人に、現時点での副作用情報、妊娠事例、参考資料2-4のリーフレットに関して御説明したところ、「調査会で報告されている重篤副作用報告について、ゾコーバとの因果関係は不明であり、追加の安全対策は不要と考えます。ただ、出血事例の報告については、出血は重篤な転帰となる可能性がありますので、今後の副作用報告の集積状況を気にしておきたいと思います。妊娠事例は、事前チェックリスト、同意書、女性患者向け資材の活用が重要だと認識しています。また、参考資料2-4のリーフレットは良い取組だと思いました」との御意見をいただいています。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
 続きまして、御出席いただいております宮﨑参考による御意見をいただけますでしょうか。
○宮﨑参考人 ありがとうございます。宮﨑です。
 死亡例の報告もありまして、ゾコーバとの因果関係等について、主治医から、また、血液疾患等の基礎疾患がある場合には、その専門家も含めた検証が行われていました。その結果、ゾコーバとの積極的な因果関係が不明であるとの調査結果に対して、私も臨床研究経過を再確認いたしたところです。
 また、流産の例も確認されていて、禁忌である妊婦への処方が散見されます。これは患者さんが妊娠に気づかない状況で発生しております。
 また、その他のゾコーバとの併用禁忌薬、向精神薬等併用の症例もありましたので、適正使用の徹底を図ることが引き続き必要と考えました。これらは現在用意されていますリーフレット等で行われることと承知しております。
 その上で、現在、入手可能なデータを確認させていただいた限りでは、新たな特段の追加の措置は不要であろうと私も考えました。
 以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。死亡例に関する点、それから、妊娠の副作用、注意喚起等も含め。
 石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。石井です。
 追加のいろいろなリーフレットを用意する必要はないと思うのですが、やはり、これはしっかりと、妊娠時には服用しないことということと、あと、もう一つ、薬物相互作用が非常に複雑で、投与する前にチェックするのは大変だと思うのですが、これは必ず医療者のほうがお守りいただくというのを強く言っていかなければいけないと改めて思いました。周知するというのは非常に大変なことでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
 何か事務局のほうからございますか。よろしいですか。
○事務局 併用禁忌薬の確認については、5月2日付の事務連絡等で、本剤の使用に当たっては併用禁忌及び併用注意の薬剤が多数あることから、処方時には服用中の全ての薬剤を確認することとの周知活動をしているところですが、引き続き、このような併用禁忌薬というところでしたり、妊娠事例の対応というところについては、これまでどおりの対応をさせていただければと思っております。引き続き定期的な周知活動というところをしていくかと思っております。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 基本的に妊婦関係について、また、相互作用関係については、石井委員と同じ見解でコメントとなります。
 追加で、症例の53と55について、もう少し伺いたいところがございまして、症例の53の相互作用については、こちらは患者さんが自発的な報告をされてきて、血圧の状況ということを自発報告という形なのでしょうか。
 2つ目の55については、よい意味で、入院のときに薬剤師が気づいてという形で、そのまま行かないで済んだ好事例だと思うのですが、その前の処方されるタイミングのときの処方監査や医師の部分というのは何か詳細的には、製販のほうから情報を入手しているのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
 事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 少々お待ちください。
○岡座長 もし、ほかの委員の方から何か御質問、御意見等がございましたらいただければと思いますけれども、よろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。
 No.53については、患者さんから電話があって、最終的に企業に報告された症例と伺っております。
 No.55の症例の、医療従事者の確認状況というところにおいては、本症例について、処方医及び調剤薬局で併用薬の有無に留意されながら対応されているものの、患者さんからの申し出がなく、また、お薬手帳を持参されていなかったというところで、併用禁忌薬であるベルソムラ、併用注意薬であるクエチアピンを、併用中であることに気づかなかった事例である旨、企業より報告を受けております。
 ゾコーバ錠は、同意書で、現在服用している薬剤、あるいは、今後新たに服用を開始する薬剤というところを、医師、薬剤師または看護師に伝え、確認をした上で本剤の投与を同意することになっており、その同意取得は適切に行われたとのことです。
○舟越委員 ありがとうございます。
 やはりお薬手帳を持ってこないケースや、患者さん自身が認識していないケースもあろうかと思います。こういった、要は、事例について、こういうこともあるよということを、医療従事者のほうにも伝えていただけたらなと思います。
 同意書のほうにはしっかりと書かれているので、同意書の部分については、それを認識される患者さん、または御家族がしっかりと目視することになると思いますけれども、そうでもないケースということも今回出てきましたので、ぜひ、こういったものを製薬企業のほうから、我々医療従事者にも、こういうこともありますよという事例報告でもいいので、類薬でも併用禁忌の部分は多数ありますので、啓発のほうをお願いしたいと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、議決のほうに移りたいと思います。
 柿崎委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮願います。
 今いただいた御意見としては、国民向けに併用薬の服用に関する確認の重要性、あるいは妊娠の可能性の確認の重要性を、X(旧Twitter)や厚労省ホームページによる周知を引き続き積極的にやっていただく、あるいは企業にも積極的にやっていていただくという御意見をいただきましたけれども、それに加えて、特に、現状の報告状況を踏まえますと、現時点において、さらに追加の安全対策は行わないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん首肯等されていることが確認できました。
 そうしましたら、引き続き、厚労省のほうではそうした御努力を続けていただければと思います。御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。引き続き今後の症例集積を注視してまいります。
 また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告いたします。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
 宮﨑参考人におかれましては、貴重な御意見、ありがとうございました。
 予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
 次回開催については改めて御連絡いたします。
 事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。