第108回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 

1.日時 令和5年10月4日(水)10時00分~11時19分
 
2.場所 AP虎ノ門会議室Bルーム(※一部オンラインでの開催)
         (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○明治大学法学部教授 小西 康之
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○大阪大学理事・副学長 水島 郁子

(労働者代表委員)
○UAゼンセン労働条件局部長 柏田 達範
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○全日本海員組合中央執行委員政策局長 立川 博行
○日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
○日本科学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 永井 学

(使用者代表委員)
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
○日本通運株式会社人財戦略部次長 武知 紘子
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 本荘 太郎
○西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由

4.議題 
(1)  令和5年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)
(2)  心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正について(報告)
(3)  特別加入制度の対象範囲の拡大について
(4)  その他

5.議事
○労災管理課長 お待たせしております。小西委員がまだ接続できておりませんが、時間になりましたので議事を進めさせて頂きます。
 本日はお集まり頂き、本当にありがとうございます。私は労災管理課長をしております松永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいまから、第108回労災保険部会を開催いたします。本日の部会は会場とオンラインの両方で実施をいたします。今日は、委員改選後初めての部会ということでございますので、部会長の選出まで私のほうで議事進行を務めさせて頂きます。
 議事に入る前に、新しく当部会の委員に就任されました委員の皆様を御紹介いたします。配布させて頂きました委員名簿を御覧頂きながら、お聞き頂ければと思います。
 今回より新しく御就任頂いた委員は3名いらっしゃいます。まず、労働者代表でございますが、前任の楠博志委員に代わりまして、全日本海員組合中央執行委員政策局長の立川博行様でございます。
○立川委員 立川でございます。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 次に、使用者代表でございますが、前任の池田祐一委員に代わり、日本通運株式会社人財戦略部次長の武知紘子様でございます。
○武知委員 武知です。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 次に、前任の本多敦郎委員に代わり、西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長の最川隆由様でございます。
○最川委員 西松建設の最川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○労災管理課長 ありがとうございました。以上の委員の皆様に、新たに御就任頂いております。どうぞよろしくお願いいたします。なお、当部会の部会長でございますが、労働政策審議会令第7条第4項の規定に基づき、公益を代表する労働政策審議会の本審の委員の中から選挙するということとされておりますが、当部会におきましては公益を代表する本審議会委員は守島委員のみでございますので、引き続き守島委員に部会長をお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。
 また、前回から事務局にも異動がありましたので、紹介をさせて頂きます。改めまして労災管理課長の松永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、補償課長の児屋野でございます。
○補償課長 児屋野でございます。よろしくお願いします。
○労災管理課長 私からは以上です。この後は守島部会長から進行をお願いいたします。よろしくお願いします。
○守島部会長 皆様方、おはようございます。部会長のお役を仰せつかりました守島でございます。皆さま方の御協力、御支援を頂きながら部会の運営に務めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の出欠状況なのですけれども、宮智委員、平川委員、二宮委員が御欠席と伺っております。武林委員が遅れてオンラインでの御参加の予定というふうに伺っております。したがって、公益、労働者、使用者それぞれの3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしておりますので、ここに盛会とさせて頂きたいと思います。
 それでは、まず部会長代理を指名させて頂きたいと思います。労働政策審議会令第7条第6項に基づき、部会長代理は当該部会に所属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長が指名するということとなっておりますので、私から指名させて頂きます。まだ入られておらず御不在ですけれども、部会長代理は武林委員にお願いしたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
それでは、カメラ撮影はここまでとさせて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。第1の議題は「令和5年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について」でございます。まず、資料の御説明を事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 それでは令和5年度の第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について御報告いたします。この検討会は労災保険料の一部を財源としております、社会復帰促進等事業で実施している各事業について、アウトプット・アウトカムの目標を設定しまして、それについてA~Dの評価をして、この検討会で御報告をし、今後の予算あるいは事業のあり方を検討頂いているものです。
 まずは検討会で御報告した内容について、概略を御説明したいと思います。別に配っております参考資料を見て頂ければと思います。そちらの参考資料にあります資料1、最初をめくって頂いた2枚目です。実績評価の対象事業43事業ありまして、それの令和4年度の評価をしております。A評価というのがアウトプット指標、アウトカム指標いずれも達成したものでありまして、2つの指標のうちのいずれか、あるいは両方が達成できなかった場合はB、C、Dの評価を受けることになります。今回43の事業がありましたが、昨年度の実績評価についてB、C、Dとなった事業は、全部で8事業、約19%です。8つの事業は下の方に事業名が記載されております。コロナの影響を受けました令和2年度は、B、C、Dのものが18事業で約40%、それから令和3年度はB、C、Dとなったものが13事業、約30%ありましたので、令和4年度は約19%ということで、コロナ前の水準に戻ったというような状況になっております。
 それから資料のかなり後ろの方になりますが、参考6を御覧頂ければと思います。オンラインで御覧になっている方ですと、資料の143枚目になります。参考6を御覧ください。社会復帰促進等事業の予算額の推移を載せております。大きく分けますと社会復帰促進事業、それから被災労働者等援護事業、それから安全衛生確保等事業の3つの事業に区分されております。とりわけ右側の方になりますが、令和3年度の予算額真ん中辺りのところで、未払賃金立替払事業費というのがあります。令和3年度から新型コロナの影響によりまして、倒産する事業所が増加した場合のセーフティネットとしまして、この立替払事業費を大きく進めまして、220億円の予算を組んで、令和4年度も同様の状況でした。
 令和5年度は実績を踏まえて半分程度まで引き下げておりますが、それでもコロナ前の水準よりは多めの予算を用意しているというような状況です。こうしたセーフティネットについては、しっかりと措置するといたしましても、それ以外の事業については、予算規模等適切な見直しをすべきという御指摘を頂いております。この表の一番下の欄になりますが、この社会復帰等促進事業費の中の未払賃金事業費を除く額については、令和2年度の予算は816億円でありましたが、これを令和3年度は759億円、令和4年度は720億円、令和5年度は700億円と、順次縮減しているという状況です。こうした予算の全体像の中で、今回御審議を頂いたというところです。
 参考資料から今日の部会の資料のほうに戻って頂きまして、部会資料1の議事要旨を御覧頂ければと思います。
まず総論についての御意見としましては、1つ目の○ですが、社会復帰促進等事業費について、メリハリを付けた予算配分を行うこと、それから社会復帰促進等事業が本当に担うべき事業なのか事業の趣旨等実態のあり様について常に見直しを行うこと、そうした見直しを行い、一刻も早く2013年の水準、これは大体480億円程度なのですが、この水準に戻してほしいという御意見を頂いたところです。
 次に個別の事業についての意見です。13番の労災特別介護施設運営費・設置経費です。これは在宅で介護を受けることが難しい労災の重度被災労働者に対しまして、専門的なサービスを提供する施設を運用していくという事業でして、評価はB、具体的にはアウトプット指標、入居率が未達成というものでした。こちらについては、まず最初のポツですが、施設の更新や回収の時期が集中して多額の予算が必要とならないように、更新時期を把握し、長期計画を作るべきではないかという御意見それからコロナ禍で入居率が下がったことについて、入院患者の受入れが難しいコロナ禍こそ募集を行い、目標を達成すべきであった、どういう募集の仕方をしていたのかという御意見、それから運用費用補助体系について、これも見直すなど、効率化に向けて一度ゼロクリアで、どういうやり方がよいのかを考える時期にきているという御意見を頂きました。
 これに対しましては、大規模修繕は中長期計画を策定して、優先順位が高いものから対応しているということ、それから運営費用補助体系の見直しについては、労災の重度被災労働者の障害特性に応じた適正な介護の実施が必要であるというところですが、施設のあり方については絶えず見直さなければならないことは、十分認識していることを御説明しております。
 次のページになりまして、職場における受動喫煙対策事業です。こちらは労働局での周知啓発や委託事業として相談窓口の開設、説明会の開催、それから飲食提供施設への喫煙室の設置費用の助成を行うものでありまして、評価はBです。アウトプット指標、補助金の利用件数が未達成というものでした。御意見につきましては、実績が低調でありますので、助成をいつまで続けていくなど、計画的に行わないと事業の止めどきがなくなってしまわないか、大胆なやり方の見直しが必要ではないかという御意見を頂いております。
 これに対しましては、今後の助成金については、健康増進法の付則で、法施行後の検討規定があるということを踏まえまして、周知の方法や相談体制を整え、相談が助成金につながるようにして対策を講じていきたいという説明をさせて頂いております。
 次が建設業等における労災防止対策費であります。これは建設業における死亡災害の約4割を占めます墜落、転落災害の防止のために、手すり先行工法等の普及を促進すること、また一人親方の業務特性や作業実態を踏まえた安全衛生のテキストの作成、あるいは研修会を実施するというものでして、こちらの評価はBです。一人親方に対する研修会参加人数が未達成というものでした。御意見としましては、そこの2つのポツにありますが、現場の声も聞いて受講しやすい日時設定など、利用促進を引き続き図ってほしいという御意見を頂きました。
 次は自動車運転者の労働時間等の改善のための環境整備等です。こちらは周知用のコンテンツやガイドラインをまとめたポータルサイトの運用ですとか、それからトラック運送事業者と荷主向けの相談センターの運営を行う事業でして、評価はBです。好事例の収集数が未達成というものでした。御意見としましては、2024年度に向けて是非充実した事業として実施してほしいという御意見や認知度の調査結果を踏まえて引き続き周知を実施することですとか、あと2024年問題の対応として国交省、あるいは業界団体の様々な取組との連携による利用促進の実施を図ってほしいという御意見を頂いております。
 次は産業医学振興経費であります。こちらの評価はAであったわけですが、御質問を頂いておりまして、この産医大の運営体制の確保に向けての取組ですとか、長期にわたってこの産医大が定員削減を受けているということについて、どう考えているのか教えてほしいという御質問を頂いております。これに対しましては、定員削減は財務省の通知によるところであるわけですが、必要な増員要求をして相殺をしておりまして、今後も必要な体制確保を行いたいという旨の説明をしております。
 次が未払賃金立替払事務実施費です。こちらも評価はAであったわけですが、御意見といたしまして、現在倒産件数が除々に増えてきていますので、予算が足りなくならないよう、是非予算を充実したものにしてほしいという御意見を頂いております。
 次が過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直しです。これは働き方改革に関して相談支援センターを運営するとともに、助成金とポータルサイト運営の事業がありまして、こちらも評価はBです。助成金の支給件数が未達成というものでした。御意見といたしましては、助成金の事業につきましては、このアウトプット目標については各コースで目標を設定しているわけですが、全体でまとめた目標を設定するという方法もあるのではないかという御意見ですとか、それから次のページの2つ目のポツになりますが、働き方改革を進める上で、働き方改革推進支援センターでのコンサルティング事業、それから相談事業は非常に重要であるので、今後も十分な予算を確保してほしいという御意見を頂いております。
 最後、個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業についてです。こちらは全国の総合労働相談コーナーにおける相談サービスの事業と多言語相談支援ということで、13か国語で対応できる体制を構築するというものでありまして、評価はDです。アウトカム指標、通訳・翻訳機器を利用した相談件数割合が未達成というものでした。御意見としましては、本事業の目標について、達成できなかった目標がアウトカム指標としてふさわしいのかという御意見、それから4ポツ目になりますが、外国人に向けた様々な相談窓口があるので、周知を一本化する取組が必要ではないか、外国人はインターネットやSNSを活用する傾向が強いと言われており、外国人への対応を検討してほしいという御意見を頂いております。
 こちらに対しては、アウトカム指標は難しい点があるが、今後も引き続き検討してまいりたいということと、それから外国人向けの相談体制の強化というのは、重要な施策でありまして、周知のやり方やSNSへの対応は今後検討していきたいという御説明をさせて頂いております。概略的ではありますが、以上が検討会の御報告ということになります。私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等がありましたらお受けしたいと思います。会場からの委員におかれましては挙手を、オンラインの方におかれましては、チャットのメッセージから発言希望、若しくはズームの手を挙げる機能がありますので、どちらでもよろしいので発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。永井委員お願いします。
○永井委員 日本化学エネルギー産業労働組合連合会の永井です。3点意見を述べます。
まず、№42、個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業について。多言語相談支援事業はD評価とされ、その理由の1つに新規入国者数の制限が挙げられています。新規入国者の増減により達成率が左右されるような評価基準というものが、適切かどうかの検討が必要ではないかと思っております。
もう1点は、外国人労働者の就労環境の整備について。相談支援体制は大変重要です。改善すべき事項にある体制整備や利用促進に加えて、当該事業の更なる周知・啓発を図りながら、今後も事業の継続的な実施拡充を是非とも図って頂きたいと思っております。
 最後の1点は、№35の産業医学振興経費についてです。検討会でも質問はあったようですが、産業医科大学では、教職員の定員削減が進められており、23年度は教員も減らされたと聞いています。産業医科大学は働く人々の安全と健康を支援し、快適な職場の形成に寄与する労働安全衛生の専門職の育成を担っており、労働安全衛生分野において、果たすべき役割は極めて大きいと感じています。大学運営に支障を来すことのないよう、体制の維持、拡充に努めて頂くことを改めてお願いしたいと思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか御意見、御質問等がおありになる方、いらっしゃいますでしょうか。立川委員お願いします。
○立川委員 全日本海員組合の立川です。2点ほどあります。まず1点目は、自動車運転者の労働時間等の改善のための環境整備等についてです。時間外労働の上限設定の施行が来年4月に迫っていますが、荷主とか元請け運送事業者、それから利用者や消費者なども含めて幅広い周知啓発が重要であると思っています。特に人手不足、運転者不足という問題がここに内在しており、自動車運転者の長時間労働の是正につながるよう、実行性ある取組を進めて頂きたいと思います。
 2点目は、未払賃金の立替払事務実施費についてです。賃金をはじめ労働債権は労働者の生活に欠かせないものです。引き続き必要な予算の確保とともに、立替払の迅速化だけではなく、制度そのものの周知の取組も一層強化して頂きたいと思います。
 次に何点か質問させて頂きます。成果目標である請求書の受付から支払日までの期間について、平均20日以内を達成され、A評価としていますが、最長と最短の日数はどうなっていますでしょうか。また、令和元年からの決算等の推移が示されていますが、この決算額は立替払いの総額という理解でよいのか、その場合、代位取得した賃金債権の回収額はどのくらいあるのか教えて頂きたいと思います。
 それから、コロナ禍における倒産件数の推移、為替や物価などの経済動向を踏まえて、予算計画を策定されていることと思いますが、倒産件数や負債総額の推移と申請数、それが立替額の推移に何らか、たとえば比例するような関連性があるのでしょうか。
 また、不備事案の内容と、件数の推移がどのようになっているのか、また、不備事案となった後の取扱いはどのようになっているのか、それと最後に、令和3、4年度ともに予算執行率が非常に低くなっていますが、この低下についてどのように分析されているのかについて、教えて頂きたいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。答えはどうされますか。
○事務局 それでは順番に担当に答えて頂ければと思います。永井委員からの御質問からでよろしいでしょうか。産業医学振興経費の件からお願いいたします。
○計画課機構・団体管理室室長補佐 産業医学振興経費について御要望を頂きました。私、安全衛生部計画課機構・団体管理室の井上から御回答申し上げます。事務局からも御説明申し上げたとおり、産業医科大学の職員は国の補助金で措置されている関係上、財務省の通知によりまして、定員削減計画の対象となっております。これに従いまして、随時削減を行ってきているところではありますが、御指摘を頂きましたとおり、教員が果たす役割というのは、この産業医科大学の存在意義に照らしまして非常に重要であると我々も認識しております。このことを鑑みまして、厚生労働省としましては、大学とも連携しまして、令和6年度要求において、この削減数に見合う増員要求を行うという対応を行っているところです。今後とも産業医科大学の体制維持に関しましては、十分に留意してまいりたいと考えております。
○事務局 ありがとうございます。続いて、個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業の件についてお願いいたします。
○雇用環境・均等局総務課雇用環境・均等監察室監察官 雇用環境・均等局の安達と申します。私のほうから説明させて頂きます。2点ありまして、まず、アウトカム指標の設定について、新規入国者の増減によって、その達成率が変わるのは設定としておかしいのではないかという御質問で、これにつきましては委員の御意見も踏まえまして、十分これから検討していきたいと思っております。
 それからもう1点、相談体制整備や利用促進につきまして、これからも周知・啓発を図りながら事業を継続していってほしいという御意見を頂きました。外国人労働者の受入や共生は我々も政府の重要課題だと認識しておりますので、これからも鋭意取り組んでいきたいと思っております。
○監督課副主任中央労働基準監察監督官 労働基準局監督課の池内と申します。立替払について御質問を頂きましたので、御対応させて頂きます。まず、立替払の周知ですけれども、本年6月に開催されました行政事業レビューにおきましても立替払の周知については、他機関との連携を含めて、しっかりと広めてほしいという御指摘を頂いております関係で、今、各都道府県労働局に対して、どのような他機関との連携をうまくやっているかという取組を情報収集しておりまして、それを分析検討した上で、新たに取組を進めていきたいと考えているところです。
 あと回収額については、ちょっと年度年度の細かい数字を今日は持って来ていなくて大変申し訳ないのですけれども、これまでの回収額につきましては、大体、支払った金額の25%程度の回収を行っているという状況です。
○労働時間特別対策室長補佐 労働条件政策課の細貝と申します。立川委員から自動車運転者の労働環境の改善について御要望を承りまして、ありがとうございます。おっしゃるとおりでして、まずは荷主の方にしっかり働き掛けるということが大事だと考えております。荷待ちが発生することによって労働時間が長くなるということですので、こういうことがないようにということを、荷主の方にもしっかり要請をしていくということを今やっております。
 併せて国民の皆様に、例えば再配達、これがやはり負担になるといったことを知って頂くことも大切でして、こういうことをしっかり広報することもやっております。このような取組を進めて、時間外労働の上限規制の円滑な施行に努めまして、トラックドライバーの働き方改革を推進してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○事務局 御質問を頂いた分についてはこれが全てになります。
○守島部会長 そうですか、ありがとうございます。立川委員、よろしいですか。
○立川委員 ほかにも質問いたしましたが、回答頂けますでしょうか。
○守島部会長 いかがでしょうか。
○事務局 今、御質問漏れがあるというところは、法を遵守するようにという、そちらのお話の件でしょうか。
○立川委員 自動車関係のことだけを言われていますか。
○事務局 30番の事業の自動車関係のお話ですよね。
○立川委員 それだけでしたか。
○事務局 担当者、お願いいたします。
○労働時間特別対策室長補佐 大変失礼いたしました。施行された後にしっかりと法律を守って頂くことが大切であると考えています。まずは、法制度を事業主の方に理解して頂くことを進めるとともに、施行後はこれを遵守して頂けるよう、労働局、労働基準監督署で丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。
○立川委員 よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問のある方、本荘委員。
○本荘委員 日本製鉄の本荘です。ありがとうございます。先ほど永井委員から御意見のありました産業医科大学の定員削減のところで、御質問に対する回答を頂いたところですけれども、その関係で2点、教えて頂きたいと思います。先ほど財務省の予算管理、計画の下で計画的に定員削減を行われているけれども、大学のほうとも相談されて、令和6年度については大学の要望も踏まえて財務省への働き掛けもしてくださるということで、厚労省としてのお考えを伺ったので大変有り難いと思っているのですが、それに関連して
2つ、御質問したいと思っていまして、1つは来年度に向けて財務省に働き掛けて頂くその大学側のニーズというものが、大学の意向を100%踏まえたような形になっているのかどうかということ、それと、これまでも厚労省から財務省への働き掛けみたいなことをずっとやっていらっしゃるけれども、計画的に削減されてきたのかどうかといった辺りを教えて頂ければと思いまして、質問させて頂きました。よろしくお願いします。
○事務局 それでは35番の事業の担当者、お願いいたします。
○計画課機構・団体管理室室長補佐 安全衛生部計画課の井上です。御質問ありがとうございます。2点御質問を頂きました。1点目が大学のニーズがそのまま反映されているのかということですが、財務省からの定員削減計画は人数だけが示されるもので、教員とか事務職員とかの区別まで示されているものではありませんので、どちらを削減して、どちらを増員するかについては大学が主体的に判断しているところです。厚生労働省としましては大学のニーズを踏まえて、そのまま財務省に伝える形で要求を行っているところです。
 2点目ですが、こうした要求を行っているけれども、その上で削減されてきたのかというような御質問に対しては、おっしゃるとおりでして、査定官庁の意向どおりにするしかないということで、これまで微数ながら削減を行わざるを得なかった状況にあり、私どもとしても危機感を持っておりますので、この増員要求に関する働き掛けについては、これまで以上に、令和6年度に向けて取り組んでいるという状況です。
○本荘委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等がおありになる方いらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですかね。オンラインのほうも大丈夫そうなので、それではこの資料についてはこれで終わりにさせて頂きます。
 次の議題は、「心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正について(報告)」です。事務局から御説明を頂きたいと思います。
○補償課長 補償課長の児屋野でございます。資料2に精神障害の労災認定の基準に関する資料を付けています。過労死の1つであります心理的負荷による精神障害の労災認定については、従前、平成23年に策定した認定基準をもって労災認定していました。その後10年以上経過する中で、平成23年においては労災の請求件数がおよそ1,200件、令和4年には2,600件と、2倍以上になっています。あるいは、この10年の中で働き方改革が進展するなど、社会情勢が変化してきております。認定基準が、この変化の中で、今の最新の医学に照らして十分に耐えうるかどうかという検証を行って頂きました。精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会の場で、精神医学の医師の方々、法学の先生方に集まって頂いて検証を行い、今年7月に報告書が取りまとめられました。その報告書を踏まえ、所要の手続を経て、令和5年9月1日に認定基準を改正して都道府県労働局長に通達を発出したところであります。
 改正のポイントとして、(1)業務による心理的負荷評価表の見直しです。資料の4ページ以降に改正認定基準を付けています。これの17ページ以降、認定基準の一部ですが、「業務による心理的負荷評価表」があります。この表に当てはめて心理的負荷の「強」、「中」、「弱」を判断するわけですが、この表の見直し、改正を行ったということです。どのような改正を行ったかと申しますと、具体的な出来事の追加、あるいは類似性の高い出来事の統合を行うことによって、よりいっそう分かりやすくしたというものです。具体的に追加したところを申し上げますと、顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた、いわゆるカスタマーハラスメントというものを新たに追加しました。それから、感染症、新型コロナを思い浮かべて頂ければいいと思いますが、それらの病気や事故の危険性が高い業務に従事したというものを新たに追加した。あるいは見直しの一部としまして、心理的負荷が「強」、「中」、「弱」となる具体例を拡充しました。1例申し上げますと、パワーハラスメントについて6類型をすべて具体的に書く、併せまして、SOGIハラと呼ばれる性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を含むということを明記しました。
 それから、2つ目ですが、精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直しました。これまで既に精神障害を発病されている方が悪化することについて、医学的には何が原因かというのを判断するのが非常に困難ということで、労災の認定におきましては、17ページの負荷評価表の一番上にあります特別な出来事、この出来事があるだけで、およそ「強」であることがすぐに分かるというものですが、特別な出来事がある場合について、その悪化については業務起因性を認めてきたところです。しかしながら裁判結果等で、特別な出来事がなくても「強」の出来事、強い出来事があれば、悪化したことが医学的に認められるだろうというものの事例が積み重なってきました。それらを取り入れて、精神障害が悪化した場合には、その前6か月において心理的負荷が「強」であるものについて、医学的にそれが悪化の原因と判断されれば業務起因性を認めるという改正を行っています。
 それから、3つ目としまして、医学意見の収集方法を効率化しました。これまでは、専門医3名の方の合議による意見収集が必須であったもの、あるいは原則であったものについて、先ほどから申し上げておりますが、事例の収集等を踏まえて専門医お一方でも判断できるグループがあるのではないかということで、こちらを原則としまして、判断が特別困難なものについては、これまでの3名の合議というのは残していますが、専門医1名の方で認定ができるように変更しました。
 今申し上げたのが改正のポイントですが、厚生労働省としましては、引き続き業務により精神障害を発病された方に対して、改正後の労災認定基準に基づいて、いっそうの迅速、適正な補償を行ってまいりますので、よろしくお願いします。私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問がある方はお願いしたいと思います。先ほどと同じく挙手、若しくはズームでの発言希望、いろいろな方法がありますけれども、よろしくお願いいたします。それでは、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。何点か意見を申し上げたいと思います。昨今、精神障害の労災請求件数は年々増えておりますけれども、請求件数に対して業務上認められた支給決定件数が低いといった指摘も様々にされているかと思っております。今回の改正のポイントとしては、評価表の細分化や明確化が図られたものだと思いますし、業務起因性の範囲が実質的に拡大されたと捉えており、適切な認定、申請の容易化に資する側面もあると考えております。
 一方、資料2(3)のポイント3、医学意見の収集方法の効率化がありますが、これまで3名の合議によって決定していたものが原則1名で審査されるよう変更になります。これは迅速化につながるものと一定理解しているところですが、1人が判断されるということになりますので、場合によってはバランスを欠く判断がなされることがあるのではないかと懸念しています。特定の認定医に審査を集中させないことや、例えば特に困難なものの判断基準については事務局で例示するなど、認定行政において適正な運用がなされるように、是非工夫をお願いしたいと考えております。
 それから、認定基準につきましては、経済社会の環境変化に合わせて迅速に見直しが図られるべきだと考えておりますので、今後も状況に合わせた不断の見直しを検討して頂きたいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに、どなたかございますでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは、特段の御意見、御質問がないようですので、この議題については終わりにさせて頂きたいと思います。
 次の議題は、「特別加入制度の対象範囲の拡大について」です。まず、事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。
○労災管理課長 それでは、ただいまの議題について、資料3-1~3-3がありますので、そちらについて御説明をいたします。
 まず、資料3-1について、これまでの特別加入の拡大に向けた取組の経緯について御説明をします。2ページ目、こちらは令和元年12月に雇用以外での働き方で働く就業者への対応の必要性がうたわれ、この労政審での建議において「社会経済情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲や運用方法等について、適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要がある。」とされております。それを受け、令和3年4月の芸能従事者に始まり、順次対象が拡大し、直近では令和4年7月に歯科技工士を追加したという経緯です。
 次のページを御覧ください。今般、検討の契機となったのが「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆる「フリーランス法」の制定です。この法案の国会での附帯決議や、その後の閣議決定で特別加入の対象拡大に向けて取り組むということが求められており、まず、国会の附帯決議では労災保険の特別加入制度について、希望する全ての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大することとされ、その後、政府の閣議決定においては、特別加入制度の対象に一定の要件を満たすフリーランスを追加することについて労政審で審議を行い、早期に結論を得て、所要の措置を講ずるとされております。
 次のページを御覧ください。4ページの資料は、フリーランス法の概要になります。一番上の趣旨について、我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図る、等々を目的とするとされております。
 概要ですが、2.特定受託事業者に係る取引の適正化について、まず、(1)特定受託事業者、これはいわゆるフリーランスの方になるのですが、これに対して業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、これは業務の内容になりますが、それと報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないとされております。※の所で、従業員を使用していない事業者が業務委託を行うときについても同様とするとあり、この規制は事業者と特定受託事業者との間の取引、すなわち、B to Bの取引に係る規制になります。
 (2)について、給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならない、等々とありまして、ある種、労働者保護に類似した規制がかけられるということになっております。
 一番下を御覧ください。施行期日については、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日とされており、来年10、11月ぐらいまでに施行される予定となっております。
 次のページを御覧ください。フリーランスの方の業務実態について、これは以前内閣官房が行った実態調査のデータです。フリーランスとして働いていて、事業者から業務作業の依頼を受けて仕事を行う方は、273万人と試算ができます。フリーランスの方々が従事する業種をグラフにしたものが下のグラフになっております。このグラフの中で、業務のところにオレンジのマーカーをしている箇所がありますが、これは既に特別加入の対象業務となっているものです。オレンジのマーカーを引いていない、それ以外の業種が今般の議論の対象となり得るものであり、そのうち、人数の割合が多いものについては赤丸を付けています。真ん中辺りの営業ですとか、その左にあります講師、インストラクター等々辺りが比較的そういう方が多いということです。
 次に6ページを御覧ください。こちらはフリーランス協会が行ったアンケート調査で、フリーランスや副業といった新しい働き方を選択しやすくするためには何が必要かという問いに対して、労災保険を選択された方の割合が高いものになっています。こうした背景を踏まえ、本日、御議論を頂きたいと思っております。御議論頂きたい項目については、次の7ページを御覧ください。
 資料3-2で整理をしております。まずは、加入対象業務と保険料率の設定について、フリーランス法における特定受託事業者が業務委託事業者から業務委託、ここで言う業務委託は、下の※3で書いておりますが、事業者が他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成、役務の提供を委託することと法律で定義されておりますが、こういった業務委託を受けて行う事業、これは特定受託業務とこの議論では言いますが、これを労災保険の特別加入の対象とすることについて、どう考えるかというのが1つ目。2つ目としては、仮にこの特定受託業務を新たに特別加入の対象とする場合に、ITフリーランスなど既に特別加入の対象となっている業務との関係をどのように考えるか。3つ目としては、この特定受託業務の保険料率をどのように設定するか、ということで書かせて頂いております。
 2つ目が特別加入団体の在り方です。この特定受託業務は、非常に広範な業務を行うことが想定される中で、特定受託事業者を特別加入対象とする場合の特別加入団体の在り方をどのように考えるか。
 3つ目は災害防止措置の内容です。これまで特別加入の対象となっていた業務とは異なり、業務の対応が多岐にわたると、様々なフリーランスを特別加入の対象とする場合に、特別加入団体が実施すべき災害防止措置の内容をどのように考えるかというものにしております。
 以上の大きく3つの検討課題について、今日は御議論頂きたいと考えております。また、今日の議論の材料として8ページ以降で資料3-3を用意しておりますので、そちらも御説明をさせて頂きたいと思います。
 9ページを御覧ください。まず、論点1関係について1ポツ目、特別加入については昭和40年当時の審議会の答申で考え方が示されており、「労働基準法の適用労働者に準じて保護すべき者に対して、特例として労災保険の適用を及ぼすのが制度の趣旨である・・・特別加入者の従事する業務の範囲が明確性ないし特定性をもち保険業務の技術的な処理の適確を期しうるかどうかを十分に検討すべき」とされております。その上で、加えて先ほど御紹介した令和元年の建議も出ているというわけです。
 2ポツ目、労働者に準じて保護すべきかどうかということについては、先ほど御紹介した内閣官房のフリーランスの実態調査によりますと、フリーランスとして営業や講師等々に従事する者が一定数見込まれますが、これらの者は労働者でも同様の業務を行っておりますし、労働者との危険性にも差はないことが想定されるのかと思っております。
 3ポツ目、業務の明確性ないし特定性については、今般の対象業務については業務の範囲は広範にわたりますが、その業務の内容については、フリーランス法に基づいて特定受託事業者が事業者から業務委託を受けて行う物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供に限られております。また、当該業務委託に係る業務の内容については、法律に基づいて書面等により明示することが義務付けられていることになっております。
 最後のポツのなお書きについて、既存の特別加入に係る業務と今回の特定受託業務どちらにも該当する場合も想定されるわけですが、その場合に同じ業務について異なる料率が設定することがあり得るというもので、そうすると、災害率や就業形態ごとに料率を設定する趣旨に反するということも想定されますし、また、どちらに加入するかを就業者が選択できることになりますと、料率の低い業務に加入者が流れてしまうといったことも考えられるので書かせて頂いております。以上のようなことも踏まえて御議論頂ければと思っております。
 次に12ページを御覧ください。こちらは保険料率の設定についてです。先ほど御紹介した実態調査の中で見ると、既存の特別加入に入っているものを除くと営業、講師、インストラクター、デザイン制作・コンテンツ制作等々、赤丸で書いた業種が比較的多いということが想定されます。これについては、13ページを御覧ください。これらの業務が労働者であった場合に、どれぐらいの保険料率になるかというのを見たものが左側の表になります。こちらについては、どれも2.5/1000か3/1000となっております。こういった状況も踏まえて、今般の特定受託業務に係る料率の設定をどうするかということについて御議論頂ければと考えております。
 14ページを御覧ください。論点2関係(特別加入団体の在り方)について、まず、1、2ポツ目はこれまでの取扱いを整理しております。1ポツ目、これまでの特別加入の対象となる業務は各種の業界団体の要望を踏まえてその範囲を拡大してきたということであり、加入団体については、基本的に各地域の既存の団体の発意に基づいて事務運営を行うことにしてきております。また、2ポツ目、この団体については近隣の都道府県のブロック内で事務処理を行うことを基本として、これに必要な事務処理能力、経理的基礎があることを要件としております。また、一方で、この特別加入の拡大と合わせて令和3年4月からは近隣の都道府県の区域を超えるブロックにおいて、災害防止等に関する研修会等を実施する場合には、このブロックを超えて事務処理を行うことも認めています。
以上を踏まえた上で3ポツ目、今回の特定受託業務については、フリーランス法の附帯決議において、希望する全ての特定受託者が加入できるように対象範囲を拡大することとされており、また、特定受託事業者が行う業務も非常に広範にわたることになります。4ポツ目、今回の特定受託業務に係る加入団体に関しては、全国の各地において丁寧なフリーランス保護のための支援を行うとともに、併せて災害防止のための措置も適切に講じて頂く必要があると考えております。こうしたことも踏まえて、特別加入団体の在り方についても御議論頂ければと思います。
 17ページを御覧ください。論点3関係(災害防止措置の内容)について、こちらはこれまでの既存業種の特別加入とは異なり、作業の態様が様々なフリーランスの加入者への災害防止措置の内容をどのようなものにするのかというのが課題になっております。フリーランスの個々の業態・業種に着目して災害防止教育のカリキュラムを設定するのはなかなか難しい面がありますので、VDT作業やメンタルヘルス、交通災害防止、転倒災害防止など、様々な業務に共通的な災害防止教育の内容をパッケージ化して、加入者への教育を実施することが考えられるとしております。この災害防止措置の在り方について、御議論をお願いしたいと思っております。
 以上のことを踏まえて、今日は委員の皆様で議論をお願いできればと思っております。
今後の進め方については、今日は、この後、皆さんで御議論頂きたいと思っておりまして、その上で次回の部会においてはフリーランスに関わっている団体からのヒアリングを行うことと、それに加えて今日頂いた御議論を踏まえた対応案を事務局で作成して、これも次回お示しして議論をして頂きたいと考えております。よろしくお願いします。私からの説明は以上です。
○守島部会長 それでは、ただいまの御説明に関して御質問、御意見等がありましたらお受けしたいと思います。よろしくお願いします。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 社会経済情勢の変化を踏まえて労災保険の特別加入制度を拡充し、対象を見直すという議論は、働く人のセーフティネット拡充の観点から非常に重要な議論だと考えております。現在、行われている個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会でも、労働者以外の者の災害防止と補償の在り方をセットで議論すべきという意見が出ていたと聞いておりますし、そのことが報告書にも記載される方向と聞いております。補償について検討するこの部会において、業務上で被災したフリーランスとして働く方々をどのように保護していくのか議論していくことが重要だと考えております。
 事務局から御説明を頂いた資料3-2の論点として、検討課題1、2、3と示して頂いております。1つ目の加入対象業務と保険料率の設定について幾つか意見を申し上げたいと思います。まず、加入対象業務について。フリーランス法における特定受託事業者が、業務委託事業者から業務委託を受けて行う事業を対象にすると記載されておりますが、特定受託事業者が請け負っている仕事というのは、業務委託事業者からだけではなく、一般の消費者から請け負うことも当然考えられます。今回の検討の目的が、既存業種ではカバーしきれないフリーランスを保護するためであることを踏まえれば、建設業の特別加入制度ではB to Bに限らず、B to Cも加入対象としている例なども既にありますし、特定受託事業者が請け負っている仕事の一部のみを切り出して補償対象とする制度設計には疑問があります。やはり、特定受託事業者が請け負う仕事の全てを新たな特別加入制度の対象業務とするべきではないかと考えているところです。
 2点目については、ITフリーランスなど、既に特別加入の対象となっている業務との関係をどのように考えるのかという点です。料率の論点にも関係しますが、労災保険料率が災害発生率に応じて決定される仕組みであることを踏まえますと、公平性の観点から、少なくとも既に特別加入の対象となっている業種のうち、新たな枠組みで想定される料率と明らかに異なる業種については、分けて考えるほうが良いのではないかと考えます。また、災害防止に向けた措置という観点でみても、料率が新たな枠組みと同様の業種であっても、既存業種では特定業務に特化した災害防止教育を含め様々な取組がなされていると認識しておりますので、その点も踏まえて整理するべきではないかと考えております。
 最後に料率についてです。資料3-3、12、13ページで、想定される業務の料率がおおむね3/1000とありました。同様の仕事をする労働者と同じ保険料率を適用するという従来の考え方を踏まえれば3/1000に一定の妥当性はあるのではないかと思いますが、将来的に災害発生率が他より高い業種に従事する加入者のまとまりが出てきた場合には、公平性の観点から、当該業務を別途グループ化するなど、ふさわしい保険料率を設定していくことも検討すべきかと考えます。その点について、事務局のほうで何かお考えがあればお伺いしたいと思います。以上です。
○守島部会長 それでは、事務局からお願いします。
○労災管理課長 今、最後に冨髙委員からお話頂いた料率の設定について、今回、御意見を頂ければと思っております。また、今回一定の整理をした上で、将来、災害実態などを見た上で、別の枠と言いますか、細分化していく可能性はあり得るかと思っております。我々もそこはどうやって統計を集めていくかというところは1つ課題ではあるのですが、そういった可能性と言いますか、余地は十分あろうかと思っております。
○守島部会長 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。柏田委員、お願いします。
○柏田委員 先ほど論点1のところで冨髙委員がおっしゃったとおり、加入対象業務については、特定受託事業者が業務委託を受けて行う事業全てを対象にすべき、ということは、そのとおりだと考えております。
私からは、資料3-2検討課題の2と3について意見を申し上げます。まず資料3-2の「2特別加入団体の在り方」、特定受託事業者を特別加入の対象とする場合の団体の在り方については、全国から幅広い業種のメンバーが加入することが見込まれるのであれば、全国を対象にサービスが適切に提供されるかどうか等も含めて、既存の特別加入団体に求められる以上の要件が求められてしかるべきと考えます。なお、今回の新しい業種の特別加入団体においては、これまでより高い要件が求められることから、この部会におきましても団体の適正性などについて都度、確認や報告する仕組みを検討する必要があるのではないかと考えております。
 それから資料3-2の「3災害防止措置の内容」についてです。特別加入団体が事業者と見なされることによって、労働者以外の者が労災保険に特別加入できるのが特別加入制度であるということを踏まえると、新たな枠組みにおける特別加入団体においても、既存の業界の団体と同様に、相応の災害防止のための教育を行う必要があると考えております。また、既に発足している特定業務を対象とする団体とは異なり、多様な業務に従事する者が加入することが見込まれることを踏まえると、加入者の業務内容や災害発生状況考慮の上で必要な安全教育の在り方を検討していくべきと考えております。
 そこで1点確認なのですが、既存の特別加入団体が適切に安全教育を実施しているかどうか否かを、政府として現状どのように確認されているのか伺いたいと思います。併せて、その結果、行政指導を受けた団体があるのかどうかについても踏まえて教えて頂きたいと考えております。以上です。
○守島部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 特別加入団体で既存のものは、最近フリーランスは、先ほど令和元年以降拡大してきたというところで、そちらについては当部会においても、団体が適切に教育をやっているのかという御指摘も頂きまして、今、その報告をして頂くという取組をしております。これはまたいつか当部会でも御報告をさせて頂きたいと思っております。その報告を受けて何か指導したという実績はありませんが、現状では、そういう報告を頂く仕組みを作りまして、把握するように努力をしている状況です。
○柏田委員 ありがとうございます。そういうことであれば、特別加入団体の安全教育の実施状況の把握や確認について、部会でご報告頂くことも含めて、引き続ご検討頂きたいと思います。以上です。
○守島部会長 田久委員、お願いします。
○田久委員 説明ありがとうございました。私のほうから意見と要望を言わせて頂きます。今回のフリーランスの特別加入制度や、特別加入団体の在り方という点では、幅広い業種が関わることや、災害防止の措置が非常に重要であるという観点、また業務の実態、災害の状況の把握をして、安全衛生対策を進めていく点など含めても、これまで私たち建設の特別加入団体の経験から考えても、本来は、地域要件にある近隣の都道府県のブロック単位での対応が一番望ましいと考えています。また、幅広い業種と、今まで特別加入制度ということに接していない人たちが、今後、こういった点で関わってくる可能性があることからも、特別加入制度自体の説明などをしっかり行うための窓口は近くにあるべきと考えています。14ページにもありましたように、これまで特別加入団体の拡大ではブロックを超える業務の処理を認めてきていますが、説明の中にもありましたように、災害防止の措置に対しては、ブロック単位同様のこういったことを行うことを条件としているとこれまでの議論の中で記憶しております。
 しかし、先ほど来、今般のフリーランス法が策定されたという点からも、冨髙委員からも言われたように、働く者の全てのセーフティネットを考えていかなくてはならない時期に来ているのではないかと思っています。そういう点からも、今回の拡大、こういった検討に関しては、改めて幅広い業種があるフリーランスの実態、災害の把握、また災害防止のための措置をしっかりと行えること、更には、制度説明やその後の支援、制度の中の事故があったときの説明も含めて、こういったものを含めた対応を可能とすることができる窓口が各地にあることが、今回の特別加入団体として望ましいのではないかと私自身は思っています。
 先ほど柏田委員からも言われたように、災害措置の報告も含めますと、説明や加入等の実施状況の確認はしっかりと行う必要はあるかとも思います。これは既存の特別加入団体も同様と私は考えています。そういう点からも、既存の特別加入団体からの報告についても、この議論を契機に検討を進めて頂ければとも思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ほかに御意見、御質問等ありますか。坂下委員、お願いします。
○坂下委員 資料3-2についてコメントをさせて頂きます。今回の見直しの考え方については、フリーランス法の附帯決議等を踏まえた対応ということで理解しております。この方向性については大きな違和感はないかと思っています。その上で、労側の委員からも御指摘がありましたが、やはり大事なのは、災害防止の教育をしっかりやっていくこと、その主体となる特別加入団体が、きちんと対応して頂ける状況にあるのかどうかというところがポイントになると思います。
 本日の資料の中には、今回対象となる方々の特別加入団体の御説明はないのですが、今後、対象となるような団体があるのであれば、是非、御説明頂きたいと思います。実際、どのような対応をして頂けるのかについても、ヒアリングできる機会があるといいと思っています。
 また、念のための確認ですが、対象となる方々について、フリーランス法の附帯決議は希望する全ての特定受託事業者となっています。頂いている資料では、内閣府の資料を引用されて、赤丸が付いているところがフリーランスの数が多いところということで、今回の追加の対象になり得るのではないかということでしたが、赤丸が付いていないところも、希望されれば対象になるのかということの確認ができればと思います。以上です。
○守島部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 御指摘のとおり、赤丸ではないところも含めてということです。今回、フリーランス法の枠組みは、先ほどの御説明の中にも、業務委託の定義がありまして、物の製造、情報成果物の作成、役務の提供ということになりますので、そういうことをやっている方々について対象とするということについて、どう考えますかという御提案をしております。
○守島部会長 ほかにどなたか御質問、御意見等ありませんか。水島委員、お願いします。
○水島委員 御説明ありがとうございます。論点2について、1点確認的質問と、1点要望があります。特別加入に関して、学説には現行の団体加入方式に加え、あるいは団体加入方式に代えて、個別加入方式を提案するものもあります。今回の検討では、団体加入方式を前提とし、個別加入方式を採用するか否かの検討を行わないとすることなのか確認させて頂ければと思います。
 次に今後の検討に当たり要望を申し上げます。特別加入団体の実情について情報を頂ければと思います。特別加入団体のホームページを拝見しますと、保険料以外に入会費や月会費、年会費といった会費の負担を求める団体が一般的であるように見受けられます。会費の額をどのように設定し、何に用いているのか。特に災害防止に熱心な団体について、会費をどのように用いておられるのか、実例を知ることができればと思います。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○労災管理課長 まず1点目の個別加入などもターゲットにしているのかどうかということですが、大変恐縮ですが、今回は特別加入団体を経由したという枠組みの中でどうかということを御提案したつもりで、個別加入もということであれば、それはそれで1つの御意見だとは思います。個別加入ということになりますと、こちらの体制と言いますか、多分、行政でそれを受けるということで、今、その体制がない状況でもありますので、それをやるということになりますと中長期的な課題になるのかと思っております。そういう御意見も当然あってもいいと思いますが、今回は今の枠組み、団体経由というところで御提案はしたつもりです。御意見としては承りたいと思います。
○守島部会長 ほかに御質問、御意見等ありますか。オンラインの方々もよろしいですか。ありがとうございました。それでは、特段の御意見はないようですので、これでこの議題は終わりにさせて頂きます。本日予定した議題は以上になりますので、部会は終了いたしますが、何かこの際ということで御発言されたい方がおられましたらお伺いいたします。大丈夫ですね。ありがとうございます。それでは、本日の会議はこれで閉じさせて頂きます。お忙しい中、お集まり頂きまして、どうもありがとうございました。次回の部会は、11月20日10時からを予定しておりますので、御出席のほどよろしくお願いいたします。本日は以上といたします。