2023年4月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和5年4月26日(水)18:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順
(注)○部会長代理
 
 
欠席委員(3名)五十音順
(注)◎部会長

 
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  倉持憲路(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 安全管理監) 他

議事

○事務局 それでは定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日、課長の吉田が所用により出席できませんので、私、松倉が冒頭の議事を申し上げます。本日は皆様、お忙しい中、御参集を頂き誠にありがとうございます。
 まず初めに、当部会の委員として、慶應義塾大学医学眼科学部教室の根岸一乃先生に、今回、新しく御就任いただいています。本日、御欠席ですが御紹介をさせていただきます。
 続きまして、本日のWeb会議における委員の出席状況についてですが、佐藤直樹委員と今、申し上げました根岸委員から御欠席の御連絡を頂いています。このほか長谷川委員、堀委員、代田委員から遅れて御参加されるとの御連絡を頂いています。また、現時点で高橋委員と田﨑委員がまだ会議に参加されていないようです。以上の結果、現時点において当部会委員数21名のうち13名に御出席を頂いていますので、定足数に達していることを御報告します。 
 続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告します。まず機構ですが、新薬審査第一部長に中村龍太が新しく就任しています。同じく機構新薬審査第二部長が柳原玲子です。また同じく機構新薬審査第三部長が朝倉渡です。
○医薬品医療機器総合機構 朝倉です。よろしくお願いいたします。
○事務局 なお、薬事分科会規程第11条への適合状況についてですが、全ての委員の先生方より適合している旨を申告いただいていますので、御報告をさせていただきます。委員の皆様におかれましては、会議の開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 失礼しました、欠席委員の追加ですが、部会長の森先生が本日御欠席ということで承っていますので、以降の進行については合田先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 部会長代理の合田です。本日の進行役を務めさせていただきます。それでは本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告を行ってください。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~13及び参考資料1と2を用いますので、お手元に御用意いただけますか。
 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料No.13に記載のとおりです。こちらは、これまで内容を読み上げて御紹介させていただいていましたが、資料として配布させていただいていますので、この会議から読み上げての御紹介は割愛させていただければと思っています。
 これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
まず議題1「ユルトミリス」、退室委員なし、議決に参加しない委員は、中西委員、長谷川委員です。
議題2「シロリムス」、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。議題3「フェンフルラミン塩酸塩」、退室委員なし、議決に参加しない委員
は高橋委員です。
議題4「レダセムチドトリフルオロ酢酸塩」、退室委員、議決に参加しない
委員は長谷川委員です。
議題5「odevixibat」、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。議題6「Leniolisib」、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。議題7「ベルモスジルメシル酸塩」、退室委員なし、議決に参加しない委員
は高橋委員です。以上です。
○合田部会長代理 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありませんか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとします。
 本日は、審議事項7議題、報告事項2議題、その他事項1議題となっています。それでは、審議事項の議題に移る前に、今後の希少疾病用医薬品の指定の可否に関する審議の方針について、委員の皆様に御確認いただきたい事項がありますので、事務局よりよろしくお願いいたします。
○事務局 これまで、希少疾病用医薬品の指定の可否についての御審議は、1品目ごとに御審議いただいていましたが、これまでの審議の状況等を踏まえまして、会議全体の進行を円滑に行う観点から、今後の部会では、希少疾病用医薬品の審議品目をまとめた一覧表を作成の上、一括して御議論いただくことを検討していますが、いかがでしょうか。この一覧表については、今回、参考資料1としてお送りしています。なお審議からの退席等の取扱いについても、一括して取り扱いまして、該当する品目がある場合は一括して退室等とさせていただくこととなりますが、事前に資料送付もさせていただいていますので、もし御意見がある場合には、個別の品目ごとに申出いただきましたら、個別の品目ごとに御意見を頂く機会を設けるなど、適宜、議事の中で対応させていただきます。以上です。
○合田部会長代理 今の事務局からの説明に委員の先生方から御質問等はありませんか。Webの先生方、よろしいですか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとしまして、次の部会から、希少疾病用医薬品の指定の可否についての御審議は、一括して進めさせていただければと思います。
 それでは、審議事項の議題に移ります。まず議題1です。医薬品ユルトミリス点滴静注300mg、同HI点滴静注300mg/3mL及び同HI点滴静注1,100mg/11mLの製造販売承認事項の一部変更承認についてということで、機構から概要を説明していただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構新薬三部です。よろしくお願いいたします。それでは議題1、資料No.1、医薬品ユルトミリス点滴静注300mgほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。 
資料No.1の「審査報告書」を御覧ください。審査報告書の一番下、全34ページの通し番号で5ページ、「起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤の対象疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害、以下、「NMOSD」と略しますが、本疾患は、重度の視神経炎及び横断性脊髄炎を特徴とする中枢神経系の自己免疫性炎症性脱髄疾患です。NMOSDは、予後不良な再発を繰り返すことで神経障害が段階的に蓄積され、単回の再発で失明や車椅子生活に至ることもあるとされており、本邦では視神経脊髄炎として指定難病とされています。
 本剤は、既にNMOSDに対する適応を有するエクリズマブの重鎖の四つのアミノ酸を置換したヒト化モノクローナル抗体であり、エクリズマブと同様に補体C5に結合して、その活性化を阻害します。本剤と補体C5の結合体はピノサイトーシス後にエンドソーム内で解離した後、本薬は再び細胞外に戻されてリサイクルされるため、本剤の終末補体阻害時間はエクリズマブよりも長いとされています。本邦では、本剤は2019年6月に「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、2020年9月に「非典型溶血性尿毒症症候群」、2022年8月に「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」の効能・効果で既に承認されています。
 今般、NMOSD患者を対象とした国際共同第III相試験の成績に基づき、本剤のNMOSDに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。NMOSDの効能・効果に係る海外での承認状況については、欧州では2023年3月にEMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)にて、製造販売承認に対して肯定的意見が採択されており、米国では現在審査中となっています。
 本申請の専門委員として、資料No.12に記載されている5名の委員を指名しています。
 本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。まず有効性についてですが、審査報告書の通し番号で11ページの表8及び図1を御覧ください。NMOSD患者を対象とした非盲検非対照の国際共同第III相試験であるNMO-307試験が実施され、本剤の有効性は、NMO-307試験の本剤群とエクリズマブのNMO-301試験のプラセボ群の主要評価項目の結果の比較に基づき、評価がなされました。その結果、NMO-307試験の主要投与期とされた「すべての患者が50週の来院を完了又は早期中止した時点」までに、本剤投与において再発例は認められず、主要評価項目である「独立評価委員会により判定された初回の治験中再発までの期間」では、NMO-307試験の本剤群とNMO-301試験のプラセボ群との間に統計学的有意差が認められており、本剤のNMOSDに対する有効性は示されたと判断しました。
 次に安全性についてですが、審査報告書の通し番号で19ページから始まる「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。今般、提出された試験成績から、NMOSD患者と既承認効能・効果の対象患者の間で、本剤の安全性プロファイルに大きな差異は認められませんでした。したがって、既承認効能・効果での使用時と同様に、本剤使用時には髄膜炎菌感染症のリスクを考慮した安全対策を実施する必要があることから、NMOSDの診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師及び医療機関の下で、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ、本剤の投与が行われる必要があると考えます。以上の安全対策が適切になされた上で、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問等はありませんか。Webの先生方、よろしいですか。非常によく効いている結果が出ていますので、特に問題がないというように委員の先生方は判断されたのではないかと思いますが、よろしいですね。
 それでは議決に入りたいと思います。なお、中西先生と長谷川先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がある先生はいらっしゃいませんか。それでは承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題2に移ります。議題2は、シロリムスを希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。議題2について、事務局から概要を説明していただけますか。
○事務局 議題2、資料No.2、シロリムスを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。
 報告書最初のページ中段を御覧ください。申請者は「ノーベルファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「限局性皮質異形成II型に伴うてんかん発作」です。
 まず、「対象者数について」、限局性皮質異形成II型は、指定難病である限局性皮質異形成のうち、病理組織学的所見として異形細胞が認められるものであり、限局性皮質異形成の推定患者数や限局性皮質異形成全体におけるII型の患者割合に関する報告を踏まえ、限局性皮質異形成II型の患者数は約1,000人と推定されております。以上より、対象者数の要件を満たすと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」、限局性皮質異形成は、主にてんかん発作を呈する疾患であり、乳幼児ではてんかん性脳症を呈することもあることに加え、発作は年齢とともに軽減することなく難治性であり、てんかん重積状態を引き起こし重篤な後遺症を残すこともあることから、疾患は重篤です。また、本邦において、当該効能・効果で承認されている薬剤はありません。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」、限局性皮質異形成II型に伴うてんかん発作を有する患者を対象とした医師主導の国内第II相試験が実施され、当該試験成績等に基づいて国内第III相試験が計画されており、本薬の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございました。本件につきまして委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。Webの先生方はよろしいですか。ないようですので、それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。皆様、御異議はございませんか。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3は、フェンフルラミン塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。この議題3につきまして、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題3、資料No.3、フェンフルラミン塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。
 報告書最初のページ中段を御覧ください。申請者は「ユーシービージャパン株式会社」、予定される効能・効果は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法」です。
 まず、「対象者数について」、Lennox-Gastaut症候群は指定難病であることから、要件を満たすと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」、Lennox-Gastaut症候群は、小児期に発症する難治性てんかんを主症状とするてんかん症候群であり、約5%は死亡に至り、80~90%は成人以降もてんかん発作が持続し、ほぼ全例で認知及び行動に重度の障害が認められることから、疾患は重篤です。また、本邦においてLennox-Gastaut症候群に係る効能・効果で承認されている薬剤はラモトリギン及びルフィナミドのみであり、これらの薬剤を用いた多剤併用療法が試みられておりますが、治療抵抗性となることが多く、既存治療では十分に管理できない患者が存在します。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」、既存治療で十分に管理できないLennox-Gastaut症候群患者を対象とした国際共同第III相試験において、ベースラインからの転倒発作頻度変化率について、プラセボ群と本薬群との比較において有意差が認められていること等から、本薬の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございます。委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。Webの先生方、よろしいですか。特に御質問等はないようですので、それでは議決に入りたいと思います。なお、高橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようですね。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。レダセムチドトリフルオロ酢酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。本議題4につきまして、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題4、資料No.4、レダセムチドトリフルオロ酢酸塩について、「栄養障害型表皮水疱症」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定することの可否について御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。
 報告書最初の中段を御覧ください。申請者は「塩野義製薬株式会社」、予定される効能・効果は記載のとおりです。
 まず、「対象者数について」ですけれども、表皮水疱症は指定難病であることから、指定基準を満たしていると考えております。
 次に、「医療上の必要性について」ですけれども、栄養障害型表皮水疱症は、皮膚基底膜と真皮の接着分子であるVII型コラーゲンの遺伝子COL7A1変異によって発症すると言われております。VII型コラーゲンが完全欠損あるいはCOL7A1にアミノ酸置換型変異を有する症例においても、水疱やびらん、潰瘍を生じて、その潰瘍治癒後の瘢痕形成と水疱・潰瘍の再燃を繰り返した結果、癒着や食道狭窄を合併するとともに、皮膚有棘細胞癌の合併も多いとされています。栄養型表皮水疱症に対する治療は、経口及び注射用ステロイド剤、並びに再生医療等製品のヒト(自己)表皮由来細胞シートがあるものの、前者は長期投与による副作用の観点から、後者は局所に使われるものであることから全身性作用は期待できません。一方で、本剤はHigh mobility group box 1(HMGB1)の部分ペプチドですが、HMGB1は重度の生体内組織損傷時に大量に血中に放出されて、骨髄由来の間葉系幹細胞を血中に動員することで、壊死細胞への集積を誘導することが報告されております。本剤の投与によって損傷した皮膚に間葉系幹細胞が集積して炎症抑制作用等を発揮することが期待されることからも、今回、医療上の必要性は高いのではないかと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」ですけれども、現在、栄養障害型水疱症患者を対象とした臨床試験が実施中であり、本試験の結果等に基づいて製造販売承認申請予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上となります。
○合田部会長代理 ありがとうございます。委員の先生方から本件につきまして御質問等はございますでしょうか。Webの先生方、よろしいですか。ないようですので、それでは議決に入りたいと思います。なお、長谷川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですね。それでは、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移ります。審議事項議題5、Odevixibatを希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題5、資料5、「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。Odevixibatの「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定することの可否について、御説明いたします。
 報告書最初のページ中ほどを御覧ください。申請者は「ジェダイトメディスン株式会社」、予定される効能・効果は記載のとおりです。以下、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症はPFICと略させていただきます。
 まず、「対象者数について」、PFICは指定難病であることから、指定基準は満たしていると考えております。
 次に、「医療上の必要性について」ですが、PFICは常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる非常に稀な疾患です。現時点で本邦においてPFICに係る適応を有する医薬品は承認されておらず、胆汁うっ滞や肝機能障害に対してはウルソデオキシコール酸や胆汁酸吸着薬、そう痒に対しては抗ヒスタミン薬等の対症療法が行われておりますが、その効果は限定的となっております。本薬は、膜貫通タンパク質である回腸胆汁酸トランスポーターを阻害する経口剤となっています。このトランスポーターの阻害による胆汁酸再吸収の抑制は胆汁うっ滞性疾患の有用な治療法になり得ると考えられ、本剤は、PFICの治療薬として医療上の必要性が高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」ですが、PFIC 1型又は2型患者を対象とした本薬の海外二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験が実施され、空腹時の血清胆汁酸が改善した被験者の割合について、プラセボ群に対して本薬群で統計的に有意な差が認められております。本邦においては、PFIC 1型及び2型の日本人小児患者を対象とした国内第III相試験が開始予定であり、これらの試験結果等に基づいて製造販売承認申請予定でございます。以上より、本剤の開発の可能性は高いのではないかと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているのではないかと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございました。本件につきまして委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。皆さんもよろしいですか。大丈夫ですね。それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。よろしいですね。それでは、指定を可としまして、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題6に移ります。審議事項議題6、Leniolisibを希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。本議題6につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明申し上げます。資料6の「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」を御覧ください。Leniolisibの「活性化PI3Kδ症候群」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定することの可否について、御説明いたします。
 報告書の中ほどを御覧ください。申請者は「Pharming Technologies B.V.」、予定される効能・効果は記載のとおりでございます。以下、活性化ホスホイノシチド3-キナーゼδ症候群はAPDSと略させていただきます。
 まず、「対象者数について」ですが、APDSは指定難病であることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。APDSは、クラスIA PI3Kの触媒サブユニットp110δの機能獲得型変異、又はp110δの制御サブユニットp85δの機能喪失型変異により発症する免疫不全症になっております。免疫不全と免疫異常が併存することで、幼児期より重度の耳鼻及び気道の感染症を繰り返すことが知られています。また、慢性のウイルス血症や腸炎、慢性の下痢などの胃腸症状等を認める患者さんもいらっしゃいます。APDSに対して承認された治療薬はなく、対症療法として、細菌感染者に対しては抗生剤、リンパ増殖に対してはラパマイシン等が用いられておりますけれども、効果は限定的とされており、重篤な有害事象が発現するリスクがあることが知られております。本剤は、APDSの発症につながる機能獲得変異を有するクラスIA PI3Kのp110δサブユニットに選択的に結合することでPI3K活性を阻害することから、APDSの有効性が期待されております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」ですが、海外第II/III相試験において、主要評価項目の統計学的な有意な差を認めていること、また、本邦においては、日本人のAPDS患者を対象とした国内臨床試験が開始される予定であり、これらの結果に基づき製造販売承認申請を行う予定です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 説明ありがとうございました。委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。皆様、よろしいですね。それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に入ります。審議事項議題7、ベルモスジルメシル酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。事務局から議題7につきまして概要の説明をお願いいたします。
○事務局 資料7の「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。ベルモスジルメシル酸塩の「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定することの可否について御説明いたします。
 報告書最初のページの中ほどを御覧ください。申請者は「Meiji Seika ファルマ株式会社」、予定される効能・効果は記載のとおりです。以下、移植片対宿主病はGVHDと略させていただきます。
 まず、「対象者数について」、日本造血細胞移植データセンター及び日本造血細胞移植学会の調査によりますと、同種造血幹細胞移植の実施件数は年間約3,900件であり、同種造血幹細胞移植を受けた患者の約50%が慢性GVHDを発症するとされております。そのうち32%が4年以上の長期治療を継続し、非再発死亡は慢性GVHDの診断から約10年後にも認められることが示唆されていることから、長期治療の期間を10年と仮定すると、慢性GVHDの患者数というのは約1万人と推計されます。よって、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。GVHDに対する一次治療としてステロイド剤等が用いられておりますが、約半数の患者では一次治療で十分な治療効果が得られず、二次治療が必要になっております。二次治療としてイブルチニブが承認されているものの、標準治療としてまだ確立されておらず、これらの患者さんに対する確立した治療はないことから、新たな治療薬の開発が望まれております。ステロイド依存性又は抵抗性で前治療歴が二つ以上の慢性GVHD患者を対象とした海外第II相試験において、全奏効率は72.2%、ステロイド抵抗性又は依存性の慢性GVHD患者を対象とした国内第III相試験において、全奏効率は○○%であったことから、造血幹細胞移植後のGVHDの治療薬として、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。先ほど御説明しました海外第II相試験及び国内第III相試験の結果に基づき本剤の製造販売承認申請を行う予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 説明ありがとうございました。委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。よろしいですね。それでは議決に入りたいと思います。なお、高橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。報告事項議題1、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて、議題2、医療用医薬品の再審査結果について、この両者につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、報告事項について御説明いたします。今回から、参考資料2といたしまして、報告資料についてまとめた表を作成しておりますので、そちらに基づいて御説明させていただきます。参考資料2を御覧いただけますでしょうか。
 参考資料2の1ページ、希少疾病用医薬品の指定の取消しについてですが、名称は「エクリズマブ(遺伝子組換え)」、予定される効能・効果は「ギラン・バレー症候群」として、本剤は令和3年5月24日に希少疾病用医薬品に指定されておりました。今般、この指定を受けた製造販売業者から、「国内第III相試験において主要評価項目を達成することができず、今後の開発継続が困難な状況となった」として、指定研究の中止届出が提出されております。これを受けまして、本剤の本適応に係る希少疾病用医薬品の指定の取消しをすることとしております。
 続きまして、2ページ、医療用医薬品の再審査結果について御説明いたします。今回、再審査の対象となっておりますのは、資料9-1として「ボルベン輸液」、資料9-2として「アトーゼット配合錠」です。これらにつきましては、製造販売後調査等の結果に基づき再審査の申請がなされ、機構における審査の結果、効能・効果、用法・用量のいずれの変更の必要もない「カテゴリー1」と判断されております。以上でございます。
○合田部会長代理 御説明ありがとうございました。委員の先生から本件につきまして御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、報告事項議題1については、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他に移ります。その他事項議題1、最適使用推進ガイドラインについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料No.10を御覧いただけますでしょうか。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定について御説明いたします。
 今回、ここに記載のあるレケンビ点滴静注につきまして、対象となる効能・効果を「早期アルツハイマー病の病態進行の抑制」として、今年1月16日に申請がなされております。本剤につきましては、最適使用推進ガイドラインを作成したいと考えておりますので、本剤の承認の可否に関する御審議の際には、改めてガイドラインの内容とともに御確認いただければと思っております。以上でございます。
○合田部会長代理 本件につきまして、委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、その他事項議題1については御確認いただいたものとします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 次回の部会は、令和5年6月2日(金)の午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 本日は、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)