2023年8月1日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第10回) 議事録

日時

令和5年8月1日(火) 16:00~18:38

場所

経済産業省別館 227各省庁共用会議室

出席者

土岐主査、亀岡構成員、河村構成員、田極構成員、根岸構成員、本田構成員、三角構成員、山口構成員

議事

議事内容
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいまから第10回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院ワーキンググループを開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の岡崎です。よろしくお願いいたします。
さて、本ワーキンググループの構成員について御説明いたします。昨年度末で3名の構成員の方が退任なさいました。松尾構成員、斎藤構成員、富田構成員が退任なさっております。今年度から新たに3名の構成員の方に就任していただいております。土岐祐一郎構成員、根岸茂登美構成員、三角隆彦構成員です。また、当ワーキンググループの主査につきましては、当省より土岐構成員にお願いしております。それでは大変恐縮ですが、令和5年度から就任された構成員の皆様から、一言御挨拶をいただければ幸いです。まず、根岸構成員からお願いできますでしょうか。
 
○根岸構成員
 皆様、こんにちは。藤沢タクシーの根岸と申します。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ありがとうございました。続きまして、三角構成員にお願いいたします。
 
○三角構成員
 こんにちは、今回から参加させていただきます。公的医療機関として済生会の代表ということで、横浜市東部病院の三角と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ありがとうございました。続いて本日の出席状況について御報告いたします。本日は亀岡構成員、河村構成員、田極構成員、根岸構成員、本田構成員、三角構成員が会場での御参加。山口構成員がオンラインでの参加になります。ここで土岐構成員について御連絡差し上げます。現在乗っていた飛行機が遅れておりまして、本会場への到着が遅れている状況です。こちらに向かっていただくか、あるいは空港からオンラインで参加をするか、今対応を検討しております。その対応がはっきりするまでは、大変僭越でございますが、事務局で進行を代行させていただきたいと思います。どうぞ御了承くださいますようお願いいたします。また、本ワーキンググループ当室参事官の石塚より御挨拶差し上げるところですが、石塚は業務の都合で到着が遅れております。あらかじめ御了承ください。
 資料について御説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納しておりますので、そちらを御覧ください。本日の資料は資料1~4、参考資料が1~6までとなります。資料の不足などがありましたらお知らせください。
 それでは、ここで土岐先生に進行をお願いするところではありますが、僭越ながら事務局から代読させていただきます。
 本日は議題として「国立病院機構」の「令和4年度業務実績評価」、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」に係る意見聴取を行うこととなっています。1つ目の議題である「令和4年度業務実績評価」と2つ目の議題である「中期目標期間見込評価」についてですが、法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明しますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。3つ目の議題である「業務・組織全般の見直し」については、「次期中期目標」の内容に反映することを目的として実施するものでございます。これにつきましても、本ワーキンググループの御意見を賜わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日の会議はおおむね2時間半を予定しており、少々長丁場になりますが、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。早速、議事に入りたいと思います。
まず、「令和4年度業務実績評価」について、御議論いただきたいと思います。はじめに、法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人より説明をお願いいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 では、資料2-1で御説明いたします。まず、概要を簡単に御紹介しますが、この中でセーフティネット分野という言葉が左下に出てまいります。この資料の中でも何度か出てくる言葉ですけれども、これは他の設置体では、人材面の制約や、不採算であるということから、なかなか実施することが難しいとされる分野でございます。具体的には、この1~4の分野を指しております。
 それから、もう1点、4.に、患者数が出てまいります。入院患者数、外来患者数ですが、この数字については、昨年度も含めて、人口減少や患者の受療行動ということを背景に減少しているというところです。
 早速ですが、令和4年度の業務実績です。2ページを御覧いただきたいと思います。評価項目の診療事業(医療の提供)に、幾つか項目を設定しております。そして重要度、難易度ということもあらかじめ設定しておりまして、これらを踏まえまして、当機構の自己評価から、総合評価をあらかじめ算式が決まっておりますので、これに当てはめて合計すると、Aとなります。では簡単に、医療の提供から順番に概要を御説明したいと思います。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 本部医療部長の秋野でございます、よろしくお願いします。ページ番号を述べさせていただきます。スライドの右下の番号がその番号でございます。
 診療事業につきましては、3つの評価項目がございますので順に御説明させていただきます。まず3ページを御覧ください。重要度「高」、自己評価をAとしております。根拠としては、4ページの上段の表を御覧ください。定量的指標は全て100%を超える達成度でした。特に、特定行為を実施できる看護師の配置数は指定研修機関の拡大により91名増加し、達成度は145%でした。
 また、このページの下段の評定の根拠の「理由」欄に記載のように、過去最大の感染の波が二度あった中で、セーフティネット系病院でも感染対策を徹底し、新型コロナ患者を受け入れたことで前年度より受入病院数・延べ入院患者数ともに増加させたこと、さらに、オンラインによる診療・面会の拡大、長期療養患者の外出イベント再開等により、患者が安心して質の高い医療を受けることができる体制の構築を進めたことを質的に顕著な成果としまして自己評価をAとしています。
 具体的には、5ページを御覧ください。左上ですが、新型コロナへの対応については、NHOは発生当初からワンチームとして積極的に取り組むという大方針の下、国や自治体からの病床確保や看護師派遣などの依頼に対し、一貫して積極的に協力しております。令和4年度においては、地域から求められている救急医療、産科・小児科・精神科等の病床などの診療機能を維持することにより、一般医療のみならず基礎疾患を有する新型コロナ患者や合併症を発症した場合にも幅広く対応してきました。
 また、セーフティネット系病院でも、感染対策を徹底して新型コロナ患者を受け入れ、前年度よりも受入病院数は16病院増、延べ入院患者数は1万5,523人増加し継続的に地域医療に大きく貢献したところです。
 また、患者が安心して療養できる診療体制の確保については、感染対策を行いつつ、質の高い診療を行うため、電話やオンラインによる診療を115病院で実施、面会が制限される中にありましても感染を防ぎつつ、できる限り対面による面会を実施し、114病院で対面の面会を実施しております。
 また、対面面会が難しい場合におきましてもオンライン面会等、工夫を凝らした面会を実施しまして、オンライン面会につきましては108病院で実施、6万4,000人以上の利用がありました。
 右側です。感染症の対策の観点から、これまでに止むを得ず中止や限定的な開催が多くなっていた特にセーフティネット系分野の患者さん、長期療養の患者さんに対する外出行事などについて感染対策を徹底の上、再開しました。
 NHOにおいては、質の高い医療の提供及びタスク・シフトを目的に特定行為を実施できる看護師の配置を進めております。例えば、これまで医師が実施していた長期療養中の患者の気管カニューレ交換を特定看護師が実施することで、医師の到着を待たずに入浴後のカニューレ交換、生活援助のタイミングに合わせた特定行為が実施でき、患者のQOL向上にも寄与しています。
 また、患者の目線に立った医療の提供のために毎年、患者満足度調査を実施し、必要なサービスの改善に取り組んでおります。令和4年度の調査では、入院・外来ともに、診療内容について、このページの右下の表ですけれども、日本医療機能評価機構の平均値を上回る評点という高水準の結果となっております。
 続きまして、地域医療への貢献についてです、6ページを御覧ください。重要度「高」、難易度「高」、自己評価をSとしております。根拠としましては、7ページを御覧ください。上段の定量的な指標の表ですが、このうち短期入所の延べ利用者数及び通所事業の延べ利用者数については、新型コロナの流行の中、入院患者の増加のため、受入れを一時的に中止・制限せざるを得ない状況であったことから、令和3年度の評価同様に、令和4年度も評価対象から除外することとしておりますが、それ以外の指標については、おおむね目標を達成することができたこと、そして下段の評定の根拠にも記載しておりますが、老人福祉施設への感染防止・拡大対策指導を目的とした医師・看護師等の派遣を実施し、自治体等からのクラスター対応を目的とした派遣要請についても、感染症専門医や感染管理認定看護師等で編成されたクラスター対策チームの派遣を実施するなど、地域の感染対策指導にも貢献したことなどを質的に顕著な成果として挙げて、かつ難易度「高」であることを踏まえ、自己評価をSとしています。
 8ページ目の左上を御覧ください。令和4年度においては、過去最大の感染の波が二度訪れる中にありましても、新型コロナ対応と一般医療等の維持・両立を図りながら、地域から求められる医療を安定的かつ継続的に提供し、都道府県からの要請に積極的に応じ、重点医療機関は98病院、協力医療機関は10病院の指定を受けています。地域の医療・介護福祉施設への職員の派遣については、上のグラフで示しておりますように、昨年度の8倍となる309施設へ派遣を行い、特に老人福祉施設への感染拡大防止対策指導を目的とした派遣が増加しました。
 その下ですが、三重病院の事例です。地域全体の感染予防・感染防止対策の向上のために地域医療機関と新興感染症の発生を想定した感染対応力向上のための訓練も実施しております。また、NHO各病院では、COVID-19研修の取組を行っており、これらにつきまして外部への積極的な情報提供や研修動画の公開を行うために、外部ポータルサイトを運用して内外の医療従事者や地域の住民でも当機構の動画等のコンテンツにアクセスできるようにしております。また、感染症対応の充実を図っているところです。
 9ページ目、左上を御覧ください。5疾病5事業及び在宅医療につきまして、各病院では、新型コロナに対応しつつ地域で必要とされる役割を果たしてまいりました。具体的には、救急車の受入数については、4万6,467件の増加、手術件数については5,385件の増加と、新型コロナに積極的に対応しつつ地域医療にも大きく貢献したものです。また、在宅医療機関と連携し、緊急時に在宅患者の入院を受け入れる在宅療養後方支援病院については、前年度に比べて13病院増えまして39病院となりました。また、受入患者数についても前年度の186.6%増となる336人の患者を受け入れ、地域における在宅医療の推進及び在宅医療提供体制の確保に寄与しております。
 右側です。地域の医療機能の再編による安定的で持続可能な医療提供体制の構築についての取組として、医師確保が困難な状況が続いておりました長野県上田市の市立産婦人科病院につきまして、NHO信州上田医療センターが産科医師等の医療スタッフの確保や施設整備等の体制整備等を行い、地域の産科の医療機能について集約化を図り、地域の安定した分娩体制の構築に貢献しました。
 右下です。令和3年9月に施行されました医療的ケア児支援法において、都道府県が設置することとされている医療的ケア児支援センターについてですが、甲府病院は県の要請を受けまして令和4年8月、院内に「医療的ケア児支援センター」を設置しました。同様の支援センターについて、NHOの5病院において設置しております。
 10ページ目を御覧ください。ここからは国の医療政策への貢献の評価項目でございます。重要度「高」、難易度「高」、自己評価はSとしております。根拠としましては、11ページの上段の定量的指標を御覧ください。地域の実情に応じた感染症対応に係る研修については、目標を大きく上回る達成度となる126.5%でした。また、それ以外の指標についても、達成度100%を上回るとともに、下段の評定の根拠に記載のように、全国的に感染が拡大し、国からも新型コロナ病床の確保が求められる中、令和4年3月に東京都に開設した臨時医療施設には、既に人的な余力がない中にあっても、医師・看護師等を全国のNHO病院に派遣し、東京都からの感染拡大を防ぐことに貢献するなど、質的にも顕著な成果を上げ、かつ、難易度「高」であることから自己評価をSとしております。
 具体的には12ページの左側を御覧ください。過去最大の感染の波が二度あったことから、令和4年度においても、病床確保の要請の高まりがありました。セーフティネット分野の医療や行政から特に継続が求められる救命救急センターや周産期医療などの機能は維持しつつ、一般医療の提供と両立を図りながら、NHO病院間の職員派遣などの工夫を凝らすことで病床を確保し、122病院で過去最多延べ33万人もの新型コロナ患者を受け入れました。
 右側を御覧ください。全国的に感染が拡大し、国からも新型コロナ病床の確保が求められる中で、令和4年3月に運営を開始した最大80床の東京都臨時医療施設では、令和5年3月末までに延ベ5,661人の新型コロナ患者を受け入れました。臨時医療施設の運営には、医師・看護師等の継続的な確保に加えて、マニュアル等の整備や地域の医療機関等との連携を新たに構築する必要があるなど、全く新しい病院を1つ設立することに匹敵する多大な人的・物的リソースを投入しました。また、全国で感染拡大し、NHOの各病院において新型コロナ患者の受入れや国・地方自治体からの医師、看護師等の派遣要請にも応じる中で更に医師、看護師等を東京都臨時医療施設に派遣することは大きな負担でありましたが、NHOのネットワークをいかすことで何とか捻出し、その他の職種も含め、延べ9,575人に上る多様な人材の確保をしたところです。
なお、臨時医療施設には、セーフティネット中心病院からも医療従事者を派遣しており、これにより地域の他の施設で受入れが難しかった認知症や知的障害を有する患者さんや要介護度の高い患者さんを多く受け入れることが可能になりました。一時は東京都の病床利用率を大きく超える利用率となるなど、東京都の多くの患者を受け入れ、高い評価を得たところです。
 13ページですが、令和4年2月に厚生労働大臣から当機構に対してなされた機構法第21条第1項に基づく要求での看護師派遣については、4月以降も引き続き派遣することを要請されるなど、国及び自治体からの要請に対し、延べ1万4,117人もの医療従事者を派遣しました。左側中段の部分は教育研修事業の項目で御説明させていただきます。
左側下の感染症に係る機能強化として、令和4年12月に感染症法が改正され、当機構を含む公的医療機関に対して医療提供の義務が課されたところです。このため、同法に基づく使命を果たせるよう、病院と本部の保有資金から拠出する資金を財源とする基盤強化推進基金を創設し、当該基金を活用して感染症対応にかかる機能強化を含めた医療機能の強靭化に向けた取組を進めることとしております。
 右側ですが、厚生労働省のDMAT体制への貢献として、令和4年度からDMAT事務局内に感染症対応部門が新設されることとなり、7月に新興感染症対策課を正式に設置しました。都道府県からの要請でクラスター対応等の支援を行っております。
 国際的な活動としましては、2月にトルコで発生しました大地震に対応するために、WHOが設置した医療チーム本部にDMAT事務局から人員を派遣しております。また、ロシアのウクライナ侵攻により、多数の難民がモルドバへ流入しましたが、難民救済のための国際医療チームにもメンバーを派遣しております。
 
○独立行政法人国立病院機構総合研究センター長
 次に、臨床研究事業について御説明申し上げます。14ページを御覧ください。自己評価はA、重要度「高」、難易度「高」としております。
 15ページを御覧ください。指標の達成状況ですが、機構全体で研究により得られた成果を国内外に広く情報発信するという意味で、英語の論文の掲載数を指標として挙げております。令和4年度は2,738本ということで、達成されております。評定の根拠の項目は大きく分けて2つです。大規模臨床研究の推進と診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化については、16ページで内容を御説明申し上げます。
 1番目、大規模臨床研究の推進では、コホート調査が挙げられます。令和4年度には、2行目にありますように、「新規新型コロナワクチンを含むコホート調査並びに副反応シグナル調査」に参加いたしました。その結果、全体として延べ69病院で5,085人を対象にコホート調査を行い、健康日誌の記載及び副反応情報の報告を行い、ワクチンの安全性や接種状況など、国民への情報発信に貢献いたしました。
 2番目の診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化には、3つの項目があります。1つ目は、NCDAの活用についてです。ここでは、COVID-19の新規入院患者数、在院患者数などを解析し、中ほどにありますように、流行状況、重症度、医療負荷を評価いたしました。その結果、その下にありますような条件もクリアしているという特徴がありますが、NCDAは電子カルテデータを利用しているために、このサーベイランスによる医療機関の負荷は一切なく、かつ、迅速にデータが得られることになっております。下の下線部に示したように、令和4年度においてもNCDAを用いて次世代感染症サーベイランス手法の確立を目指して、効率的な収集方法等の検討を行っております。
 2つ目の○は、外部データベースとの連携です。MID-NETを活用した医薬品の安全対策の高度化に協力させていただいております。また、最後の部分の下線にお示しますように、令和5年度のレセプトとDPCの連携データ提供の運用開始に向けて、調整、準備、GPSP省令の対応のため各種規程・手順書の準備を進めております。
 3つ目の○は、外部機関へのデータ提供です。次世代医療基盤法に基づき、日本医師会医療情報管理機構へ55病院からのデータを提供させていただいております。NHOが50%占めているところですが、さらに、国が進める政策の実現に向けて、今後も取組を進めていくこととしております。
 3番目としては、迅速で質の高い治験の推進です。NCDA等の診療情報データベースを参加意向調査などに活用していますが、令和4年度の新規課題数は207課題となっております。また、企業から依頼された治験実施症例数は3,982例となり、令和3年度の実績を超える成果を収めました。臨床研究の項目は以上です。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 続いて、教育研修事業についてです。17ページを御覧ください。自己評価Aとしております。根拠としては、このページ下段の表に記載の定量的指標において、特定行為研修修了者数については、目標を大きく上回る達成度150%となる135名の特定行為研修修了者を出し、また、地域住民を対象とした研修会の開催件数は451件で、達成度146%、その他の指標についても、おおむね目標を達成できたこと、そしてeラーニングシステムやテレビ会議システムを活用した非対面形式での研修を積極的に実施するなど、引き続き質の高い医療従事者の育成・確保に取り組んだことから、自己評価をAとしております。
 具体的には、19ページ左上を御覧ください。地域医療に貢献する研修事業の実施として、令和3年2月に中期目標が改定され、新たに中期計画に加わった地域の実情に応じた感染症対応にかかる研修について、地域の医療機関・介護施設等を対象として、NHOの知見を活用した感染症対応にかかる研修を、NHO全体として120%以上と、目標を上回る496件実施し、外部の受講者は1万879名の参加でした。
 各病院の得られた経験等を、可能な限り外部へ情報発信するため、地域の医療従事者向けの研修会や近隣の障害者施設や高齢者施設への出張講座を開催するなど、地域との関わりを維持し、地域全体での感染拡大防止に貢献する取組を実施しました。
 右側の2つ目の○です。外部等の連携による新型コロナ対応研修の例としては、臨床検査受託会社の協力を得て、PCR検査及び生理機能検査感染対策等について研修を実施し、431名が受講しました。その下ですが、コロナ禍における新たな研修形態として、eラーニングシステムを導入し、テレビ会議システムを活用したオンライン形式での研修も積極的に実施し、新型コロナ流行前に近い水準の研修を実施することができております。20ページの左上を御覧ください。強度行動障害医療への多職種専門医療としての底上げを目的とした研修を実施し、54病院から83名が受講しております。
  2番目として、質の高い医療従事者の育成・確保です。国が進めている特定行為研修制度について、例えば宮崎県では、県からの要請に応える形で、地域のニーズに応じた分野の指定研修機関となるなど、機構全体で35病院が指定研修機関となりました。また、指定研修機関との連携により自施設での実地研修が可能となる協力施設の拡大に取り組むなど、法人として、より積極的、かつ主体的に特定行為を実施できる看護師育成のための体制を整備したことにより、研修修了者は目標を45名上回る135名、達成率150%でした。
 右側です。看護師のキャリアパス制度の充実として、令和4年度は国立病院機構の理念に沿った看護を実践できる看護師を育成するための看護職員能力開発プログラムACTyで培った能力を土台として、看護管理者に求められる能力と目標及び学習実践内容を示した看護管理者能力開発プログラムCREATEを整備し、研修の体系化に取り組み、個々の看護職員がキャリアを発展させるための支援体制を構築したところです。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 続いて、21ページです。次の項目の「業務運営等の効率化」ですが、難易度「高」を踏まえ、自己評価はAとしております。
 22ページです。定量的指標ですが、経常収支率(目標率100%)について、令和4年度はこれを達成しています。具体的には23ページからになります。まず、職員のモチベーションの維持向上を図るための取組です。コロナ患者等の診療等に従事した職員に対して、従事手当等を支給しています。また、全ての職員を対象とする特例措置として臨時特別一時金も支給しております。
 右側ですが、法人全体の資金の有効活用による強靭化に向けた取組として、先ほど診療事業部門の所でも少し感染症に絡めて説明があったところです。アンダーラインの所ですが、当機構の役割をしっかり果たしていくため、感染症対策・災害医療対策の建物の整備やICT基盤整備といった医療機能の強靭化に向けた取組を、各病院だけではなく法人全体の資金を有効活用して早急に進めていくということで、各病院の理解を得て、それぞれの病院と本部の保有資金から拠出する資金(約1,000億円)規模の基金を創設しております。この基金を活用して、医療機能の強靭化に向けた取組を進めていくこととしております。
 24ページです。経常収支についてです。アンダーラインの部分ですが、経常収支については587億円の黒字となり、経常収支率は105%となったものの、病院経営の主軸である医業収支については、逆に432億円の赤字ということで厳しい状況になっております。
 下のグラフを御覧ください。青い棒が経常収支ですが、平成30年、令和元年度から、コロナで令和3年度がかなり高くなっており、令和4年度は少し低くなっております。一方、赤い棒の医業収支を御覧いただきますと、コロナの中でR2、R3、R4は、逆にマイナスになっています。また、右のほうに、コロナ関係費等を除いた場合のグラフがあります。一定の前提を置いて新型コロナに係る収益や費用を除いて収支を推定しますと、経常収支、医業収支、ともにマイナスということで非常に厳しい状況だと考えております。
 こうした状況の中にあっても、我々の機構の役割をしっかり果たしていく上で、従来の機能を維持するための投資に加え、新たに先ほど申しました感染症対策、災害対策や医療DXといった強靭化のための取組も必要であると考えております。しかしながら、資金調達に係る法的制約があったり、現下の医業収支の厳しい状況の中で、当機構に求められる役割をしっかりと果たし続けるために必要となる投資の資金能力は必ずしも十分ではないと考えております。また、経費節減への取組として、令和4年度も医薬品や大型医療機器とともに、大型医療機器以外の医療機器、あるいは個人防護具等についても共同調達を進めているところです。
 次の項目、25ページを御覧ください。予算、収支計画及び資金計画については、自己評価Bと設定しております。具体的には、26ページですが、長期債務については約定どおり償還しております。第2段落について、防衛財源の特措法がこの6月に公布されて施行されておりますが、この法律により、当機構の積立金の中から422億円を今年度末までに納付するという規定が定められております。この点について当機構としては、先ほどから申しておりますように、感染症や災害対応のための施設整備の強靭化が急がれる中で、また、運営費交付金についても、令和3年度から0となっております。そういった中で国庫納付の仕組みについては、厳しい決定だと受け止めているところです。
 27ページです。これは去年との比較ということで記載しております。先ほど、経常収支についてはプラスですが、医業収支についてはマイナスということで、なかなか厳しい状況だと御説明いたしましたが、少し状況を御説明いたします。経常費用ですが、人件費については増えています。コロナの関係もあり、また、最低賃金が伸びているということで、人件費や委託費が伸びていると考えております。材料費についても物価上昇等を背景に伸びています。水道光熱費についても、かなり伸びています。経常収支については、100%以上を達成しているものの、非常に厳しい状況が続いていると、我々は受け止めております。
 最後に、28ページです。その他主務省令で定める業務運営に関する事項ですが、これは自己評価をAとしております。具体的には、29ページですが、幾つか申し上げますと、2のコンプライアンス徹底への取組です。令和4年3月30日に公表した「取引業者との癒着に起因する倫理規程違反等」の事案について記載しております。この事案については、昨年度、この委員会でも詳しく御報告いたしましたが少しおさらいさせていただきますと、内部通報を端緒として、徹底した内部調査を行った結果、倫理規程等に違反する行為が幾つかの病院で確認され、該当者には処分を行っております。さらに、倫理保持の観点から、外部調査委員会を設置したところです。それを受けて、本文の2行目ですが、令和4年5月には、契約担当に限らず全ての常勤職員及び契約担当の非常勤職員に対して全国調査を行い、全員から回答を得るとともに、取引業者との癒着を許さないというNHOの明確な意思を職員に伝えたところです。なお、外部調査委員会からは、こういった点について高い倫理観とモラールの高さが評価されています。さらに、研修を行い、再発防止に努めているところです。
 最後に、30ページの左上です。勤務環境に係る取扱いの明確化についてです。令和5年2月から、NHOの現場における勤務環境を巡る一連の報道がありました。改めてNHOが一丸となって勤務環境の改善に取り組んでいく必要があるという認識のもとで、勤務時間等の取扱いについては、ばらつきがあるのではないかということで、明確化し、全ての職員に理解を共有しているところです。また、全ての職員を対象としたアンケートを、これから実施していく予定です。確実に改善を図っていくこととしております。以上です。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ありがとうございました。先ほど土岐主査がオンライン会議室に入室なさいましたので、これからマイクテストをさせていただきます。少々お待ちください。土岐先生、事務局でございます。こちらの声は届いておりますでしょうか。
 
○土岐主査
 はい。こちらはいかがでしょうか。大丈夫ですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 先生の声はクリアに届いております。ただいま、法人から令和4年度の実績評価についての説明が終わったところでございます。今後の進行をお願いしてよろしいでしょうか。
 
○土岐主査
 本日は遅れまして申し訳ございません。それでは、議事のほうに戻りたいと思います。ただいま、法人のほうから令和4年度の実績について報告がございました。こちらにつきまして、御意見、御質問等がございましたら、委員の先生方からよろしくお願いします。私からは会場のほうが見えませんので、会場で挙手されている委員の先生がいらっしゃいましたら、事務局のほうからよろしくお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 かしこまりました。
 
○土岐主査
 いかがでしょうか。山口委員、どうぞ。
 
○山口構成員
 山口でございます。どこかに限定してではなくて、順番ではなくて、全般でよろしいのでしょうか。
 
○土岐主査
 もちろん結構です。
 
○山口構成員
 幾つかございますけれども、まず、国の医療政策への貢献ということで、コロナが始まって以来、毎年毎年国立病院機構は大変な思いをされる中で、過去最高に人を派遣したり、要請に応じてこられたということに対して、まずは敬意を表したいと思います。その上で、幾つかお尋ねしたいことがございます。
まず、5ページの所で、今、申し上げたように新型コロナウイルス感染症の対応ということで、非常に多くの人を受け入れてこられたわけですけれども、それに対してのスタッフの負担をどのように解消してこられたのか、しわ寄せがなかったのか、その辺りのところが評価をする上でも気になりましたので聞かせていただきたいと思います。その中で、5ページに、対面での家族との面会をできる限り実施したということが書かれていまして、これが非常に評価に値することではないかと私は思っています。
 コロナが始まって以来、私たちは電話相談を受けているグループですけれども、一番継続して多かった相談が、入院患者への面会制限に関することでした。もう一律、駄目というように規制してしまって、なかなか臨機応変な対応をしていただける医療機関が少なかったように感じております。その中で、114病院で対面面会を実施されていること、それから、いろいろな工夫をされて、少しでも顔が見える状況をつくられたということについては、非常に評価に値するのではないかと思っております。
 7ページの所ですけれども、今までは医療者が足りない所に実際に看護師や医師等を派遣して、そこで医療行為をするという支援をされてきたわけですけれども、コロナの状況の進展に合わせて、特に医療計画等で求められる機能の発揮というところで、309施設に、特に老人福祉施設に対して、感染防止や拡大対策の指導を目的として派遣を増加されたということについても、これも状況に合わせた他施設への支援ではないかということで、これも非常に評価に値するのではないかなと感じました。その中で、幾つかお聞きしたいことがあるのですが。
 
○土岐主査
 山口委員、順番に、取りあえず幾つか質問に絞ってからといたしませんか。また、聞いていただいて結構ですので。最初に、コロナのときの他の職種の話でしたでしょうか。あとは幾つかあったと思いますけれども、法人のほうからお答えをお願いできますでしょうか。いかがですか。
 
○独立行政法人国立病院機構理事(石橋)
 看護担当の石橋と申します。1番目の質問で、職員への負担についてどのような配慮をしたかということですけれども、看護師職員が最も多いわけでございます。コロナのフェーズが移り変わる中で、それぞれの看護師が持つ負担というのは変わってきているという状況でした。まず、初期の頃は未知の感染症で、命を懸けて患者さんを看護するというところでの非常に高いストレス、それから、周囲からのいろいろな偏見等に耐えながら仕事をしているということで、かなり看護管理者は職員の面談等を通して思いを傾聴したり、カウンセリング的な対応などをして何とか対応しておりました。それから、固定した方たちばかりがコロナ病棟に勤務するということになりますと、非常に負担が高いということで、定期的なローテーションを行うというように、配置上の工夫もしていました。
 後期のほうになりますと、コロナウイルスの全体像も大分見えてきて、患者さんの重症化というのも少なくなってきているという状況においては、コロナ病棟は比較的手厚く人が配置されているけれども、コロナ病棟でない病棟が、今度は、本来、コロナ病棟となった病棟で受け入れるべき患者様を受け入れなければならない大変さというところもありましたので、そのときの患者数等に合わせた看護師の適切な配置ができるような調整を行っているというように聞いております。また、いろいろな思いを投函できるような、職員の御意見箱的なものを作製して、思いを吸い上げるような体制を取ったという病院もありました。コロナの患者さんの看護に当っては、本当に多大なる職員の貢献と、本当に努力と使命感によって、支えられたと思っておりますけれども、とにかくそのメンタル的なところのサポートを、かなり重視して行ったというところでございます。
 
○土岐主査
 続いて、山口委員、2つ目は面会のことでしたか。
 
○山口構成員
 それについては非常に評価に値するという意見ですので。
 
○土岐主査
 次の質問は何でしたでしょうか。
 
○山口構成員
 質問はまだ、今、申し上げていないことが2つほどです。
 
○土岐主査
 では、よろしくお願いします。失礼しました。
 
○山口構成員
 いえいえ、こちらこそ。まず16ページの所で、前回も申し上げたのですけれども、次世代医療基盤法のことで、患者さんに対してどのような次世代医療基盤法に関するデータ提供をしているかという説明文章を、以前も見せていただいたのですけれども、ちょっと用語が難しいので、さらに今度、次世代医療基盤法が変更になって、仮名加工情報も入ってきますので、是非、用語説明、用語解説をした分かりやすい説明文章の作成ということをしていただきたいと思っているのですが、そういったことが可能かどうかということが1つ目です。
 あと、2つあります。2つ目として、17ページの所に、特定行為の看護師さんが150%の達成率ということで、90名の目標だったのが、135名ということで非常に増えたと思いますけれども、確かに、数として達成できているのですが、必要な病院あるいは必要な分野に配置できているのかどうかというところが少し気になりますので、その辺りを教えていただきたいというのが2つ目です。
 3つ目は、先ほど、最後に御説明があった特別措置法の国庫納付が422億円、これについては、私は厚生労働省の社会保障審議会の医療部会の委員を務めておりまして、そこに報告という形で上がってまいりました。このことについては非常に驚いて、コロナの患者さんを一生懸命に診たことによって黒字になった分を調べた上で、国庫に納付するということになった。これが医療に関することに使われるのならまだしも、防衛費に使われるということで、私は非常に違和感を覚えます。ただ、これについて、とやかく言うことはできない特別措置法だということなので、それ以上、疑問を呈することはできないわけですけれども、ただ、23ページにある基盤強化推進基金の創設、1,000億円規模ということですが、国庫に422億円を納付することの影響というものがどれぐらいあるのかということを、できれば聞かせていただきたいと思います。すみません、長くなりましたが、以上です。
 
○土岐主査
 それでは、よろしくお願いします。
 
○独立行政法人国立病院機構情報システム統括部長
 1つ目の次世代医療基盤法につきまして、情報システム統括部長から回答いたします。現在、新しい法律ができたというところに関しては、委員の御案内のとおりでございます。現在、関係各省において、まだ政省令等の準備を行なっている状況です。内閣府のほうでも、(患者への通知を)より分かりやすいものにするということに関して、非常に関心を持って取り組んでいると思っております。全体の50%を実施している法人として、関係各省ときちんと関係を持った上で、委員の御指摘については、前向きに改善をしていきたいと考えております。次世代医療基盤法については以上です。
 
○土岐主査
 特定行為研修のほうはいかがでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 2問目、特定行為研修の関係の御回答でございます。全国で令和5年3月現在で、特定行為研修の修了者は累積で6,875名です。4月1日の時点で、NHOにおける特定行為を実施できる看護師の配置数が423名ですので、全体の6.2%をNHOが占めていることになります。委員の御指摘のように、まだまだ養成数としては足りていないところですけれども、各病院で必要な分野等を見極めながら、例えばオペ室に配置して麻酔の麻酔番ができるような形でのローテーションを組んだり、先ほど申し上げましたように、慢性期病床の病棟に配置して患者さんのケアと治療について丁寧に行うといったことを実施し始めているところです。NHOとしましては、1勤務帯で1名を各病棟に置きたいと考えておりますので、今後、育成について更に加速させていきたいと考えております。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 防衛の財源の関係で、お答え申し上げたいと思います。当機構としましては、感染症や災害対応のための、施設整備の強靭化が急がれる中で、この措置というのは非常に厳しいというように受け止めているところですが、新興感染症、災害対応のための役割を果たしていくために我々も一定の計算をしますと、相当の費用が必要となる見込みと考えておりますけれども、その中で、まずは現下の法人全体の資金を最大限有効活用し1,000億円規模の基金を設けて、その基金を活用して必要な整備を早急に進めてまいりたいと考えております。厳しい医療環境の中にあっても、医療機器等を含めまして、効率的・効果的な投資に戦略的に取り組み、令和5年度につきましても、投資計画の規模については、令和4年度から1.6倍になるような規模に拡大して、引き続き経営財源、財務基盤の安定化の取組を進めてまいります。厳しい措置ではありますが、しっかり前向きに進めてまいりたいということでございます。以上です。
 
○山口構成員
 ありがとうございました。大変な状況だと思いますけれども、皆さんで取り組んでいただきたいと思います。
 
○土岐主査
 ほかはいかがでしょうか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま会場で、亀岡構成員が挙手なさいました。
 
○土岐主査
 それでは、よろしくお願いします。
 
○亀岡構成員
 亀岡でございます。すばらしい説明をありがとうございました。私は2点ほどお聞きしたいのですけれども、1点は、本部出資金の運用というところですが、先ほど、要は、セーフティネット系の病院というのは、資金的に余り豊かではないのだということですので、いわゆる本部出資金ということで、本部と少し豊な病院から集めて、そこで本部出資金の創設ということですが。先ほどの基盤強化推進基金の創設というのと、ここで言う本部出資金の創設というのは、これは内容的には異なることかもしれませんけれども。つまり、本部出資金というのは、いわゆる補助金に頼らないで自らの所でやりますということで投資を行ってきていますということが、今、言われております。そういう中で、先ほど山口委員のほうからもありましたけれども、422億円の返済が、返済というのはおかしいですけれども、出てきたということと、本部出資金と基盤強化推進基金との関係はどのようになるのか、また、使い道がどうなのかというところを教えていただければというのが1点です。
 もう一点は、今回、積極的にコロナ対応したことによって、その結果、積極的に収入が増えてきたという、これは私はいいことだと思っておりますけれども、その中で、こういうことが言われておりました。他の疾患の病床を転用して、コロナ感染患者の積極的な受け入れをしたことの影響によって、逆にコロナの収束後も患者が回復する見込みが立たないと言われております。そうすると、医業収支、私はどちらかというと、そういう目から見るのですけれども、コロナ前までの水準まで回復させることは容易ではないのだと言われております。今後、資金残高が大幅な減少を余儀なくされるおそれが高いため、私が教えてもらいたいのは、その後の、引き続き国立病院機構の理念に基づく取組を進めていくこととしているということなので、本部資金の大幅な減少を余儀なくされているおそれが高いために、引き続き国立病院機構の理念に基づく取組を進めていくこととしていると、この辺の文章のつながりが少し私は理解ができないので、ここで言うところの、今のこのような大幅な資金の減少が出ているときと、国立病院機構の理念に基づく取組との関連について教えていただければと思います。以上、2点でございます。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 では、本部出資金と、基盤強化推進基金との違いですけれども、基盤強化推進基金は、本部の資金もありますけれども、新たに各病院からも一定のルールに従いまして拠出していただくということでございます。そこが新しいところです。資金、キャッシュに余力のある所とない所がありますけれども、ある所については、少し多く出していただくと。ない所につきましても、一定のルールで出していただくということが本部出資金と違う部分です。
 
○亀岡構成員
 すみません。本部出資金は基盤強化推進基金に含まれるのですか、今のお話だと。そこだけ教えてください。
 
○独立行政法人国立病院機構財務部長
 財務部長でございます。含まれておりません。
 
○亀岡構成員
 なるほど。
 
○独立行政法人国立病院機構財務部長
 本部出資金につきましては、令和3年度に創設し、本部資金の中からセーフティネット系の病院を中心に、老朽化や感染症対策のために資金を使ったものになります。基盤強化推進基金につきましては、企画役から説明したとおり、本部資金と各病院からの拠出に基づいて1,000億円程度の基金を創設するという、これからの取組となります。
 
○亀岡構成員
 そうすると、本部出資金は、今後、どのような位置付けになるのですか。
 
○独立行政法人国立病院機構財務部長
 本部出資金については、令和3年に創設した際、各病院に、その財源を割り振っており、現在、整備を進めているところです。評価書の156ページを御覧になっているかと思いますけれども、昨年度末までの累計で32.2億円の整備が終わっております。そのほか、全体の枠としては63.2億円で、その大半については、契約済み、若しくは設計中ということになります。粗方、病院で何に使うかということは決定して進めているところです。
 
○亀岡構成員
 そうすると、本部出資金はそれを使用することによって、ほとんどなくなると想定していいのですか。
 
○独立行政法人国立病院機構財務部長
 そのとおりでございます。
 
○亀岡構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○土岐主査
 私からよろしいでしょうか。資料の数字の確認をしたいのですが、コロナに関する所で、資料5ページに、48病院、6万351人と書いてある数字と、その資料8ページに、重点医療機関は98病院、協力医療機関が10と書いてあるのが、この数字が分からないのですけれども、これは重点医療機関が98あって、そのうち受け入れたのが48ということなのでしょうか。この48病院というのが少ない感じがしたのですが。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 医療部長でございます。御指摘の5ページの左側の48病院という数字については、これはセーフティネット系の分野の病院で患者さんを受け入れた病院数が48病院ということでございます。8ページ目の左側の98病院については、都道府県とのやり取りの中で重点医療機関として指定を受けたものが98病院あるということです。
 
○土岐主査
 分かりました。では、セーフティネット系の病院の場合は、これは分母というのはどうなるのでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 分母は64病院です。
 
○土岐主査
 64分の48病院ですか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 はい。セーフティネット系の病院につきましては、病床の過半が、精神病床や障害者病床を持つ病院という形で、NHOでは規定しておりますので、その病院数の総数が64ということでございます。
 
○土岐主査
 ありがとうございます。そうしますと逆に、140病院の中でコロナを受け入れられなかった病院というのは、主にどういった病院だったのでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 コロナ自体が、病院それぞれで、例えば職員が感染したり、病院の中で感染が起こったような場合には、その病院で診るという形になっているのですが、外から外来及び入院患者として受け入れるというところで、そこを病床なりで対応できない病院というのは、その残りの病院ということです。
 理由としては、例えば精神中心の病院であるとか、そういったことでコロナに対して内科的な対応ができないこととか、また、セーフティネット系の分野の病院で感染に弱い患者さんが多くいるような病院では、そういったような対応をしております。
 
○土岐主査
 分かりました。了解です。ほかには。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 先ほど、亀岡委員からの御質問の2番目のお答えが漏れておりましたので、述べさせていただきたいと思います。
 
○土岐主査
 お願いします。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 亀岡委員からの御質問の趣旨ですが、この資料の細かいほうの資料のくだりがありまして、非常に厳しい状況の中にあってもNHOとしては、各種の費用削減や患者確保等の取組を進めているということで、資金的に厳しい状況にあっても、引き続きNHOの理念に基づく取組を進めていくこととしているという記述がございます。私ども、当然でございますけれども、中期目標・中期計画の中にも一般管理費の節減とか、あるいは共同調達等を活用し費用削減の努力をしっかりと進めていくというくだりがございますので、コロナ収束後の患者の縮減という状況の中にあっても、独立行政法人として、しっかりとそういった費用節減の取組を進めてまいりたいということでございます。
 
○亀岡構成員
 分かりました。では、そういう表現にしてください。先ほどの言葉では、そういう状況であるけれどもという、でも、これはそういう表現になっていなくて、むしろ、高いから、こうしましたということなので、今の御説明のような表現にしていただければと思います。
 
○土岐主査
 ほかに、いかがでしょうか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま、会場で三角構成員と根岸構成員が挙手なさっております。
 
○土岐主査
 それでは、まずは三角構成員、よろしくお願いいたします。
 
○三角構成員
 済生会の三角でございます。お話はよく分かりました。病院の数が全国で140あって病床数が5万弱ということですが、済生会は82病院で病床数が2万5,000ぐらいですから、ちょうど半分ぐらいの規模なので、その辺の数字を考えながら大変興味深くお話を聞かせていただきました。細かいところになりますけれども4つほど確認とか質問がありますので、先生、1つ1つ聞いていってよろしいでしょうか。
 
○土岐主査
 よろしくお願いします。
 
○三角構成員
 まず、先ほどから出ているセーフティネット系のお話ですが、どうしても感染に弱い人たちがセーフティネット系の病院には入院されていると思います。その中でコロナのクラスターが起きると大変なことになるということが非常にあったと思いますが、実際、昨年度に関してはこういったセーフティネット系の病院の病棟で、どれくらいのクラスターが起きたか、あるいはどういう対応をしてそれを防いだのか、その辺りがもし分かりましたら教えてください。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 医療部長でございます。御質問ありがとうございます。NHOの各病院におきましては、セーフティ、それから急性期の病院にかかわらず、院内感染やクラスター発生に備えまして、平時から院内感染発生時の対応に関する基本指針を定めるようにしています。その上で、例えばセーフティ中心病院のクラスターに対する予防の取組としましては、病棟等への人の出入りを最小限とすることや、家族や関係者との面会を制限するなど、いわゆるバブル方式による制限を実施している病院が一定数ありました。ただし、こういった感染対策を行っていても院内での感染は発生してしまっており、そのような病院においては食器、タオル、歯ブラシ、飲料等をディスポーザブル化した上で、感染性廃棄物容器を各病室に配置して病室内で廃棄することや、マスクを装着できない患者に関わる際には、職員がN95マスクを着用したり、畳や床の上で生活しているような状態の患者さんもいますけれども、それらの方のケアの際にはシューズカバーを着用するなど、そういった取組を病院ごとに行って感染拡大の防止を図っているところです。クラスターが起こっている実数のデータは、今、手元にございません。申し訳ありません。
 
○三角構成員
 分かりました。大変努力をされたということがよく分かりました。続けて質問してよろしいですか。幾つかあります。2つ目の質問ですけれども、コロナの医療と一般医療を両方ともしっかりと提供しなければいけないということで、特に救急の話が少し出ていて、救急車の受入れ台数が令和4年度は前年度より増えたというお話でしたが、確かに自分の印象としても、昨年度に関しては救急が増えたなとすごく感じていました。これは全国的にどこも同じではなくて、地域によって違うのではないかと思いますが、結局、救急が増えて、実際に受け入れた数は増えているけれども、特にコロナの波が来たときには救急搬送困難事案というのがニュースで盛んに問題になっていたと思います。要するに、救急車の行き先が決まらない。病院側から見れば不応需ということになるわけですが、この辺の割合というか、救急車の受入れ台数は確かに増えたのですが、一般的には不応需率も増えていると思うのですけれども、その辺の数値は検討したことがございますか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 ありがとうございます。救急車の不応需率については本部で何かまとまったデータを持っているということはないのですが、今日、御説明した東京都の臨時医療施設につきましては、正にそういった状況を解消するために生まれたような施設で、不応需の状況が東京都の救急コールセンターの繋がらないという回数で表示されたりしていますが、それについて臨時医療施設でそこを受け取ることになってまいりました。
 
○三角構成員
 分かりました。ありがとうございます。ついでに3つ目としてお聞きしたかったのが、臨時の医療施設に、1つの組織としてこれだけの人数の職員を派遣されたというのは本当にすばらしいことで、それこそ、ものすごい力だなと感じるのですが、そうは言っても出す病院側の立場からすると、自分の地域でも感染が拡大しているときに、ほかの地域への臨時医療施設に人を派遣するというのは、出すほうとしても抵抗があるし、行く職員としても抵抗があるのですが、その辺は本部の機能としてうまくコントロールできたのか、何かその方策があれば教えてください。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 看護師派遣につきましては、NHO病院間で派遣できる看護師について事前にリスト化するなどして、いきなり行くという話にならないように下準備をするような対応もしていました。また、国の要請に基づいた沖縄県の派遣であるとか、東京都の臨時医療施設への派遣についてもそのような形で、看護師さんについてはブロック単位できちんとリクルートしていただき、病院から何名という形で出していただきました。強引にはならないように。
 
○三角構成員
 やはり、そうですよね。本部機能として数を決めて、ある程度は強引にやらないと、なかなか難しかっただろうなと推測いたします。無理な聞き方をして申し訳ないです。
 
○独立行政法人国立病院機構審議役
 その点は、運営した側なので簡単にお答えしますと、出す側からは当然、地元のコロナ対策をしているのにということで相当、反対の声も上がりましたけれども、やはり国全体としての機能をNHOは持っていますので、そこの理解をしていただいたのと、本部としても、臨時医療施設側にどのようなドクターが来てもできるようなサポート体制、あるいはリーダー医師を置いて、熟達した方を出せと言ったら、その病院も困るわけですが、そういう人がいるからこそ、逆にいえば、ある程度初心者の方が来ても、きちんとできるような体制を整えた上で出していただいたので、逆に臨時医療施設で経験したことが、各病院に戻ったときに、それがある程度実行できるということで、双方ともにそれなりの効果があったという中で、苦渋の決断だったと思いますが、出していただきました。
 
○三角構成員
 大変だったと思うので、すばらしいなと思って聞きました。最後、4つ目の御質問、よろしいでしょうか。ちょっと話が違って臨床研究の話ですが、むしろこれが増えているかなというデータだったかと思います。何となくここ数年の動向を見ていますと、コロナの影響も、特にここ2、3年はあるのかもしれませんが、臨床研究の指針が毎年厳しくなっていって、大学病院も含めてだと思うのですが、いろいろな施設からの臨床研究であったり、場合によっては治験も含めて何となく減っているような印象を私は感じていましたが、本当に増えているのでしょうか。もし増えているとしたら何らかの組織全体としての対策を取られているのでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構総合研究センター長
 臨床研究の研究数についてお話をしたわけではなく、治験の数が戻ってきたというお話は数字でお示しさせていただきました。あと、NHOCRBという中央治験審査委員会を持っていまして、そこで新規課題は令和4年度に29件の審査がなされていますが、それは例年とそんなに大きな差はないということです。あと、本部の中に臨床研究支援部という組織が立ち上がっていて、そこでいろいろな各施設に対して、論文を書くことやARO機能をどういうふうに発揮するかなど、そういった面で本部からも支援させていただいている点は挙げられるかと思います。
 
○三角構成員
 分かりました。最後の本部からサポートする仕組みは大変重要かと思います。長い間、質問しまして、すみませんでした。ありがとうございました。以上です。
 
○土岐主査
 続きまして、会場から根岸構成員、よろしくお願いします。
 
○根岸構成員
 根岸です。よろしくお願いいたします。本当に長期にわたるコロナ対応では様々な御苦労があったことと拝察しています。お疲れさまでございます。幾つかありますので少しずつお尋ねしたいと思います。先ほども御質問にあったかと思いますが、看護師の特定行為研修、これはかなりいい結果が出ているということで大変評価に値するところだと思います。この特定行為の区分とか、あるいは具体的に特定行為は数多くあるかと思いますけれども、もう少し具体的に、どういう行為の研修が増えているのか。あと、どういった部署なのか。先ほど、オペ室と慢性期の病棟で活躍しているという話が出ましたけれども、その他について、いかがなものかと思いまして少し具体的に教えていただければと思います。それが1点です。
 あと、教育のところで関連があるかと思いますので、続けて2つ目の質問をさせていただきますが、看護師の養成についてお尋ねしたいと思います。附属の看護師等養成所の数が31校とありますけれども、昨今の少子化ということが背景にある一方で、今のこういう特定研修も含め、質の高い看護師を育てていかなければいけないという使命もあるかと思います。
その中で、この養成所については、実際に数がある中で受験をする人たちの倍率が一部で定数割れの生じている養成所もあると聞いています。その理由としては、看護系の大学がものすごい数で増えているので、どうしてもそちらに行きやすいということもあろうかと思いますが、具体的にはどのくらいの倍率で推移しているのかということと、もう1つは、養成の結果を評価する大切な指標として、看護師国家試験の合格率がどのくらいで推移しているのか。まず、ここまでお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構理事(石橋)
 看護担当の石橋でございます。御質問ありがとうございました。まず1点目の御質問についてですが、看護師の特定行為研修について、NHOの中でどういった区分が多いのかということですが、やはりセーフティ系の病院が多いことも関係していると思っています。呼吸器関連で、気道確保に関わるもの、人工呼吸療法に関連するもの、長期呼吸療法といったものが、30名、40名という形で多くございます。あと、栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連は、修了した者が92名いますけれども、これは認定看護師のB課程で必須とされている区分でしたので、これを取得している者が多いという状況です。
 続きまして、附属養成所の状況ですが、先生がおっしゃるように附属養成所の応募者の数は学校によって差はありますけれども非常に苦戦しているのが実情でございます。応募者が過去5年間で見ても全体的に少なくなってきていて、少ない中から選抜して入学していただきますので、どうしても質の担保というところで課題が出て、なかなか所定年限で卒業できづらい学生さんがいらっしゃる所もあります。今、NHOでは、附属養成所について、学生さんの量的確保、質的確保、経営状況等を鑑みた指標を構築していて、その指標に照らしながらそれぞれの附属養成所を毎年度評価していただいているところです。その結果から経営を継続していくのか、それとも近い将来、閉校の道を辿るのかということを毎年度評価していただいている状況です。先生の御質問にありましたように、受験の倍率というところは各校で差がございますので一律には申し上げられないところです。
 それから、国家試験の合格率については非常に高く、98.1%がNHOの附属養成所の合格率です。全国平均の95.5%に対して高いという状況です。以上です。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 理事長の楠岡でございます。看護学校の件ですが、歴史的経緯として第2次世界大戦終了後、看護師が不足する状況で、国立とか公立の看護師養成所がたくさんでき、養成を行った経緯があります。その後、民間をはじめ、いろいろな所でできて、今は看護系大学が200以上あるような状況です。その状況を見ますと、看護師そのものの数が足りているか、足りていないかという需給計画は別としまして、養成に関しましては、我々国立病院機構は国の時代から担っていた看護師養成に関しては、その役割を果たしたのではないかと考えています。養成に固執するよりも、例えば特定行為研修等の新たな方向に向かうことが、我々に期待される、あるいは求められる機能であり、より明確に果たせるのではないかということで、今、そういう方向に方針を変えて進めている状況です。
 
○根岸構成員
 ありがとうございます。続けてよろしいでしょうか。質問がまだあります。
 
○土岐主査
 手短に、よろしくお願いします。
 
○根岸構成員
 ありがとうございます。9ページの所に、医療的ケア児支援センターが設置されたということで、これは本当にすばらしい取組だと思っています。子供だけでなく家族への支援ということが、多分、大きな目的の1つにあろうかと思いますけれども、この中にコーディネーターの常駐というのがございます。9ページの所にも書いてありますが、このコーディネーターの方というのはどういう人がなっているのか。それと、結果として切れ目のない支援が行われるようにとあり、言葉ではこのとおりだと思いますが、実際にこういうセンターを設置してコーディネーターを常駐させたことによって、どんなふうな結果というか効果が出ているのか教えていただきたいと思います。それが1点です。
 それから、14ページ、15ページで臨床研究事業の所です。これが昨年度はS評価で、今回は自己評価がAとなっていますが、私は先ほどの御発表の内容を伺っていますと、Sに値するのではないかというふうに感じています。というのは、本当に治験数が増えているとか、それぞれの事業を、この大変な中でものすごく進めてくださっていると受け止めています。ただ、英語論文の掲載数で達成度が令和4年度は102.5%ということで、ちょっと低かったかなと思いますけれども、ただ、令和元年度から平均を出してみますと104.6%という数字が出ていますので、それほど低いわけではないし、この英語論文の掲載数が減った要因はどんなことが分析されるのか。それと、この英語論文というのはなかなか大変なことだろうと思われますが、この英語論文掲載を増やすためにどんな支援体制があるのかを教えてください。まず、そこまでにいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 医療的ケア児の支援センターのほうからお答えさせていただきます。例に取り上げました甲府病院の医療的ケア児支援センターですが、医療的ケア児等のコーディネーターについては、小児科の医長、看護師、児童指導員、保育士などがコーディネーターとして常駐しています。
 それから、地域との連携についてのお話ですが、開いてみたところ、御家族からの御質問等もありますけれども、むしろ地域の医療機関であるとか福祉の方たちから、こういった医療的ケア児の受入れについて、どのような形でやるといいのかといったアドバイスを求めるような相談が実際に来ていると聞いています。ですから、こういったことを繋げていくことで円滑な連携に繋げていけるのではないかと思います。
 
○独立行政法人国立病院機構総合研究センター長
 臨床研究についてお答え申し上げます。英語の論文が減った要因ですが、この数十の差で要因というのはなかなか申し上げにくいところです。いろいろな臨床分野等に労力が分散されたことも1つあるのではないかと思います。あと、英語の論文は、文部科学省の学術政策研究所(NISTEP)が国際競争力評価として論文を登録していますけれども、国立病院関係でNISTEPに登録されている論文の4~5%が我々の論文という形になっています。
それと、支援体制ですが、先ほど申し上げましたように臨床研究支援部という組織が本部にございまして、若手の研究者を育成するために、3年間で英語の論文を出すことを目的に研究事業を支援しています。そういった取組も新しく始めたところです。
 
○根岸構成員
 ありがとうございます。あと2点ですが、続けてよろしいですか。
 
○土岐主査
 時間が押していますので手短に、よろしくお願いします。
 
○根岸構成員
 分かりました。まず、23ページの働き方改革についてお尋ねします。これは本格的に時間外労働の上限規制ですね、来年度からスタートだと思いますけれども、実際に医師の労働時間管理というのはどういう方法でされるのか、あるいは、もうされているのかということ。それと、今後、これが全体的に進んでいったときに懸念される診療業務への影響が、もしあるようでしたら教えてください。
それから、最後になりますが、26ページ、予算、収支計画及び資金計画の評価項目の所で、後発医薬品の採用率が非常に上昇してきていますし、採用している病院数も上がってきていますけれども、具体的に額として、どのくらいの効果が出ているのか、もし分かれば教えてください。同じく、その下に医療機器等の共同入札というのがあります。これは、たくさんの機構がある中で恐らく共同でということだと思いますが、これについても、多分スケールメリットを生かした資金の有効活用ということだろうと思います。ここに何台とか何病院というのがありますけれども、実際にどのくらいの額が効果として出ているのか教えてください。よろしくお願いします。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 ありがとうございます。まず医師の働き方改革の所です。勤務時間の把握の方法ですけれども、病院でICカードを使った電子的な管理を始めているところです。特例水準を申請する病院が、今、NHOの中で7病院ございます。140病院中7病院は特例水準の取得の意向があるということで準備を進めているところですが、ICカードで勤務時間の管理する中で、今まで紙で記録していたときよりも勤務時間がはっきり出てきますから、その中で超勤が今までよりも大きく出るような形があれば、それに対して自己研鑽の時間をきちんとルール化するとか、働き方についてチームで医療を進めるなど、様々な取組について対応する必要があると思いますが、今のところ、この特例水準を使いそうな病院は7病院であるというところです。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 後発医薬品の関係ですが、中期目標の中で数量ベースを目標にしているため、金額ベースについては記載していないところです。今、手元に金額ベースの数字はございませんが、一般的に当然、数量ベースは我々も相当頑張って、オールジャパンでも相当伸びていますけれども、目標を上回る数字です。金額ベースは、それよりもかなり下がる数字です。数量ベースに比べると金額ベースのほうが一般的に低いと受け止めています。
 それから、共同調達の関係ですが、資料に経費の節減ということで、医薬品や大型医療機器、医療材料の共同調達を進めていますけれども、医療材料費の適正化について、具体的には令和4年度が0.8億円の費用削減と記載しています。ほかにつきましては、この資料には具体的に記載していないということです。
 
○根岸構成員
 ありがとうございました。
 
○土岐主任
 それでは、続きまして河村構成員、よろしくお願いします。
 
○河村構成員
 すみません。冒頭ちょっと遅れてしまって申し訳ありません。全体として、昨年度もコロナの大きな影響が残っている中、NHOの病院だけでなくて、本当に全国あちこちへの応援も含めて、コロナだけではなくて、ほかの診療科のところも含めて国民に対する大変な貢献があったと、大変高い業績だというふうに思います。これから幾つか意見を述べさせていただいて、その後、少しお尋ねしたい点がございます。
 手短に申し上げますが、意見として言わせていただきたいのは、高い評価項目を付けておられる1番の診療事業についての意見です。1-2の地域医療への貢献のところは、評定を上げられていると思いますけれど、去年はAだったのでSにされていますね。これは、国の統一の指針、今日の参考資料にもありますけれど、それを見ますと、S評定が付くのは120%以上で、プラス質的に顕著な成果、または100%以上困難度の「高」が付いていて、それで質的に顕著な成果ということですので、この項目は難易度が「高」と付いています。質的に顕著な成果というところで御説明くださっていますように、やはり非常に感謝されているというか、特に老人福祉施設へのいろいろな対応とかもされているということで、非常に大きく派遣先の施設も伸びていると思います。ここはS評価に上げられて、妥当な評価ではないかなというように思っております。
 1-1-3のところですね。これは去年と同じでSということだと思うのですけれど、国の医療政策への貢献のところで、ここも指標は、数字だけで分かる話ではありませんけれど、もちろん100は超えていますし、質的に顕著な成果というところも、御説明くださっていますように、やはりこれだけNHOとして受け入れながら、あちこちへドクターの先生や看護師の方を派遣されて、質的に非常に顕著な成果だということで、ここもS評価は妥当だと思います。
 1-1-1のところなのですけれども、ここはちょっとどうかなというところがありまして、先ほども話題に出ていましたが、特定行為を実施できる看護師さんのところが非常に大きく数字が伸びていますよね。それで、ほかのところの定量指標を拝見しても、去年より良くなられていることは分かるのですけれども、やはり重要度、困難度が付いているわけでもありませんし、先ほど申し上げた国全体としての評価基準のところから見ますと、私はやはり、Aは少し難しいのではないかなという感じがします。Bじゃないかなという感じです。
 あと、もう1つは、29ページのコンプライアンスのところです。いろいろ取組を進めてくださっていて大変結構なことだと思いますが、1つお願いです。倫理研修などをやっていらっしゃるということで、それは大変よいと思うのですが、お書きくださっているのは事務職員の方ということになっていますが、お忙しいとは思うのですけれど、やはりドクターの先生とかにも、いろいろな誘惑が製薬会社などからあったりするかもしれませんので、是非そういうドクターの先生方や、看護師さんとかも含めて、是非そういったところをやっていただければというのが意見です。
 質問は2点です。先ほど亀岡先生が聞かれたところと少し共通するのですけれども、23ページです。これからは老朽化されている病院などの問題もあって、いろいろ本当に大変な課題を抱えていらっしゃる中で、こういう基金をつくられるというのは大変前向きな取組で評価できると思います。質問は、この点について各病院ごとで、今までいろいろな収支状況等を見せていただいても、受け持っておられる診療科も違いますし、それぞれ少し黒字になりやすい所とそうじゃない所とがあるのは、それはもう当然です。そういう中で、建物が、自分の所は建て替えが済んだけれどもというような所と、これからだけれども余力がなくてという所とで、この基金に拠出する余力というのは、なかなか病院ごとに違いが当然あるのじゃないかなと思うのです。そういった辺りは、どういう形で、全病院に納得を得ながら基金を募っていかれようとされているのか。そこの御説明を頂ければというのが、質問の1点目です。
 もう1点は、やはり今後の財務運営のところなのですが、次の24ページで、経常収支だけではなくて医業収支のほうも、それからコロナの影響を除いた場合ということで、分かりやすくお示しくださっていて、よく分かりますけれども、やはり非常に大変な課題を抱えていらっしゃるなと思っています。コロナもまだまだ残ってはいますけれども、こういう状況になってきて、行動制限とかもなくなるような感じになってきて、やはり国のほうも財政事情が非常に厳しいということもあって、コロナ関係で出していた補助金はだんだん収束に向けてやっていかざるを得ないような状況なのだろうなと思っているのですが、そうした中で、もともとコロナの影響とかがない段階でも、NHOさんとしてこれだけのお仕事をしていかれる中で、その収支を達成されることが経常収支レベルでどれだけ大変でいらっしゃるかというのは重々承知しているつもりなのですけれども、今でもスタートラインがこういう状態におられて、これはやはり何としてもこの赤いグラフなどが出ているところは少し縮めていく方向にもっていかないと、どうにもならないと思うのです。やはり国のほうも支援を出すにも限りがあるということもありますので、そこのところをどうやって乗り切っていこうとお考えになられているのか。あと、この数字には出てこないコロナの関係で、付随的な、間接的な影響が残っているような面とか、もしあればお聞かせいただきたいですし、そこの点はどのようにお考えになっているのか。以上、2点、質問です。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 ありがとうございます。新しい基金のルールについて御質問を頂きました。基金での拠出については、法人全体の基盤強化を図ることを目的としたものですが、一方で、現実的には各病院で資金余力に差がありますので、各病院の拠出につきましては、1つは事業規模、これ全ての病院、一般的な形で事業規模に応じた拠出ということとともに、2つ目として資金余力ですね。そういった利益収支に着目した拠出ということの組合せで拠出いただくというようなルールを考えております。
 それから2つ目の御質問は非常に難しい御質問でございます。この資料の24ページで、今、委員から御指摘のありましたとおり、青い棒の経常収支は高く見えていますけれど、赤い棒の医業収支がマイナスということですので、非常に深刻な状況であると受け止めておりますし、一定の試算をした推計値を右に記載しているところです。そこをどうやって回復していくかについては、先ほど申しました基金ということも、法人全体として浮上していくための方策の1つだというように考えておりますし、今日の資料の中でも、地味なことではございますけれども、もちろん1つ1つ経費の節減でありますとか、あるいは全体としての地域医療構想に沿った形で対応していくといったところも記載しております。
 
○独立行政法人国立病院機構副理事長
 補足説明をさせていただきたいと思います、よろしいでしょうか。副理事長の古川でございます。御質問をありがとうございます。基本的には、今、西川が申し上げたとおりでございますけれども、まず、このファンドをどのように理解を得たかということについても、御指摘のとおり、それぞれの病院にはお考えがございまして、決して容易なことではございませんでした。まず、病院それぞれに趣旨を御理解いただくとともに、自由に投資を判断できる枠を設けるとか、これまでは経営状況が悪かったので新規投資は認めていなかったということですけれども、一定の枠の範囲で、いわゆるペイアズユーゴ―が前提かもしれませんけれども、新規の投資を認めるという裁量制を、病院に任せるという新たな枠を作りました。
 そうした中で、病院ごとに、ある程度共有のルールに基づきNHO全体に対して出していただくというものについては、負担の差、能力に差がございますので、ICT、要するに、電カルをクラウド化するなどで、将来的にコストが、ハードの更新の際は下がりますので、そうした部分で、実質的に負担が小さくなるような部分については、まずそういう形で出していただく。頑張っていて余力のある病院については、出していただいた代わりに自由の投資枠を増やすといった形で、御理解を得るという取組をしたということでございます。
 それから、できるだけ赤字を減らすのは当然であり、御指摘のとおりです。国の支援ばかりを待っているわけにはいきませんので、大前提として、全力でこれからも法人としては取り組んでいくということでございます。正に、その典型として、このファンドがございます。本来であれば、全部病院を建て替えるというのは、期限がくればそれが望ましいというのは、私もそう思うところでございますけれども、現実的にいろいろな面、人件費等のコストも上がる中で、全部建て替えるというわけにはなかなかまいりません。診療報酬にはつながるという形で、資金余力をできる限り新たな機器に投資をする、人に投資をするということをすることによって、この赤字を小さくするという取組にしたいということで、正にファンドを、建て替えではなくて、機能改修とか機器の投資に、専らそれに当てるということにして資金余力を高める。いわば、良い方向に投資をする。それによって改築の余力も生み出すという形で、現時点で厳しい状況ではあるけれども、同じ方向に向かおうということで、ファンドについては御理解を得たということです。こうした取組を通じて、この赤字幅をとにかく小さくしていきたいと、このように考えているというところです。その意味でも、このファンドを、とにかくきちんと満額、実施したいというふうに思っているところでございます。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 理事長の楠岡ですけれども、簡単に。経営の問題でありますけれども、基本的に、患者数は元に戻らないということを、既に前提と考えております。やはりコンビニ受診等がもうなくなってしまうということがあります。今、医業収支の赤字の部分は、ベッドがありながら患者さんが入ってこないにもかかわらず、それに対して固定費は残っていますから、当然のことながら赤字になるわけです。それを補助金で補填していたわけですけれども、今回、補助金がなくなってしまったとなれば、どうするかというと、当然のことながら患者数に応じて固定費をいかに減らしていくかということになります。地域において求められる機能をしっかり果たしながら、過剰な部分は、なるだけそぎ落としていくという、そういうような方向で進めていくということです。これは地域ごとに病院の機能が違いますので、本部から一律に、こうやれと言うわけにはいかないのですけれども、こういうような基本的な考え方をいろいろな機会に各病院に御理解いただくように、今お話をしているような状況でございます。ここ数年来、院長会議等においても、この考え方を示し、進めてきておりますので、これを更に徹底していこうというように考えております。
 
○河村構成員
 ありがとうございました。経営責任でできるレベルでは多分ないなというのはよく分かりますので、理事長先生のお話を聞いてよく分かりました。大変でいらっしゃると思いますけれど、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○土岐主査
 よろしいでしょうか。かなり時間が押しておりますので、次に田極構成員の御質問で、一旦この部分は打ち切らせていただきたいと思います。それでは田極構成員、よろしくお願いいたします。
 
○田極構成員
 すみません、田極です。いろいろと御発表いただきましたし、ほかの委員からも御評価いただいたところと重なる点については割愛させていただきたいと思います。それで、私以外に本田構成員からも御意見があるようですので、私のほうは手短に申し上げたいと思います。まず7ページのところで、評価がSと付いていて、ほかの構成員の方からは異論がなかったところですが、紹介率が達成していないとはいうものの、この状況下で98.8%と、なかなか医療の紹介先が難しい問題を抱えている中で、コロナの状況下でこれだけの紹介率を上げたということについては、ほぼ達成したというように評価してよいかと思います。
 また9ページですが、先ほど医療的ケア児への対応についても非常に素晴らしい取組ですし、産科について長野県みたいな広い地域の中でのお産というのは、これからも問題になってくるところかと思いますので、こういった取組については非常に評価したいと思っております。そして、12ページの東京都の臨時医療施設についての対応ですが、これだけの大規模な対応をされたということには非常に敬意を表したいと思っております。また、こうしたことが更に活用できたというお話も先ほど頂きましたので、非常によい取組をされたということで、機構さんにとっても良い結果を生んだということで非常によかったと思っております。また、沖縄県などのように、医療的に非常に逼迫した状況のところに対しても派遣を適切にされたということで、国立病院機構として、国の取組に積極的に対応されたことについても評価したいと思います。
また、16ページ、臨床研究のところですが、新型コロナのワクチンのコホート調査ですが、非常に重要な調査を行っていただき、それを発信していただいたということで、国の政策のためにも非常に重要な取組だったと評価しております。ちょっと注文ですが、19ページの研修事業のところで、外部受講者数のところですが、臨床検査、放射線、栄養となっていますが、これは、臨床検査技師、診療放射線技師、栄養士等の職種と考えてよろしいでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長 
 はい。
 
○田極構成員
 職種については正しく表記していただきたいと思います。それから、23ページですが、医師の働き方改革につきまして、目前に迫っている中、1人当たり181時間も減らしたということについては、非常に工夫されたということと、先ほどちょっと影響についても御質問があったので、そこについての質問は割愛させていただきますが、これからも非常に大変な状況かと思いますので、地域の医療への影響なども鑑みながら適切に対応していただけたらと思っております。私のほうからは以上でございます。
 
○土岐主査
 ありがとうございます。それでは本田構成員からも御意見を頂けるということですので、本田構成員、よろしくお願いいたします。
 
○本田構成員
 すみません、お時間のないところ、専門の先生方が皆さん詳細に御質問、御意見をされていたので、私のほうは一般的な視点でしかないので、ちょっと意見のほうは割愛させていただきたいと思います。1つ質問として、地域医療への貢献というところで、コロナに関してすごくやっていただいたということに関しては、全く異論はないし、敬意を表したいと思っております。一般医療の部分も大きな役割だと思うのですけれども、9ページとかに書かれているような特段の取組というのは大変素晴らしいと思っているのですが、通常の医療、例えば癌だったりとか、そういう部分で病床を減らしたり、コロナに持っていく必要があった中で、そういうものを受けられなかった割合とか、もしくは地域の病院とか、もしくは国立病院機構の間での患者さんの協力とか、一般医療での協力体制というのは何かあったのかということを、1つ質問として伺いたいと思います。
同時に、伺おうと思っていたのですけれども、先ほど理事長のほうからありましたけれども、コロナ前に比べて、コロナ前の患者さんはどれぐらい戻ってきたのかとか、今後の見通しはということを伺おうと思っていたのですけれども、新しい見方ということで、それは受診の体制が変わったから、そういうふうに見られたのか。それとも、高齢化によって病院医療というものが変わるべきだという理由からなのかと、ちょっと疑問に思ったのですけれども。御意見を伺えればと思います。
 
○土岐主査
 よろしくお願いいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 医療部長でございます。コロナに病床を割くなどをしてという部分ですけれども、確か、病院内でクラスターが発生するなどがあり、例えばカテーテル部門が全部お休みになるとか、そういったことでの影響があったという話は聞いております。それ以外に、コロナの患者さんをコロナ病棟で受けるために、一般医療を制限するということで、地域に迷惑をかけたという話は、私のところまでは届いておりませんでした。それから、一般医療の協力体制ですけれども、これは病院間、もちろん看護師、例えばクラスターが発生したような所に看護師を送ったりしました。
今般、沖縄のほうで、感染がひどい時期がございましたけれども、それについては、九州のほうの病院から感染管理のできる看護師が応援に行くなどして、連携して、そこの医療を支えるということをグループとして取り組んでおります。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 理事長の楠岡です。まず、患者数の減っているところですけれども、入院患者において1人1日あたりの日当点、いわゆる入院費用で見ますと、どちらかというと低いところの患者さんが減っていて、高いところは余り変わっていない。すなわち癌とか、心筋梗塞のような重病の患者さんは、やはり入院していただく。今まで余り必要度がそれほど高くなかった方が、結果的に自宅療養等で入院に至らなかったというようなこともあって、そこが減ってきているのではないかと分析しております。したがいまして、今後はそういうところをしっかり受け止めていかなければならないということです。
もう1つは、やはり今後の方向として、在宅医療が大きな役割を担うかと思います。我々のところも在宅医療をやっているのですけれども、主にセーフティネット系、すなわち、難病等、他の在宅医療を支援する機関ではなかなか難しい患者さんを中心にして行っています。一般的な在宅医療に関しましては、実は我々としてもやりたいのですけれども、民業圧迫と言われてしまって、なかなか乗り出せないところもあります。例えば地元医師会から、開業している先生方が高齢化して人数が減っているので在宅医療を担ってほしいというような要請を受けた所においては、積極的に在宅医療に乗り出すというような形にしております。
 
○土岐主査
 本田委員、よろしいでしょうか。
 
○本田構成員
 はい、ありがとうございました。
 
○土岐主査
 それでは、ちょっと時間は押しておりますが、次に移りたいと思います。
 続きまして、「中期目標期間の見込評価」です。まずは、独立行政法人から説明を簡潔によろしくお願いいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 では、見込評価の説明をいたします。資料の2ページに総括しております。今回の中期目標期間の5年分のうち4年間の見込評価で、平成31年、R2年、R3年、これは確定した評価、そしてR4年の分は、今、御説明した自己評価ということでお受けしたもので、右のほうに我々の自己評価をそれぞれの項目で記載しております。総合評価については、この算式に当てはめるのは先ほどの説明と同じです。では、早速ですが、それぞれ説明をよろしくお願いいたします。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 それでは、3ページを御覧ください。こちらについては、令和2年から始まりました新型コロナウイルス感染症へのNHOにおける対応についてまとめておりますので、後ほど御覧ください。時間が限られておりますので、先ほどの令和4年度の業務実績評価と重複しない内容を中心にお話いたします。
 4ページを御覧ください。評価項目の「医療の提供」についてです。重要度「高」、自己評価はAとしております。
 自己評価の根拠としては、5ページを御覧ください。上段に記載している客観的指標のうち、特定行為を実施できる看護師の配置数については、全年度で目標を達成しました。そのほか、新型コロナ対応について、国や自治体からの病床確保及び看護師派遣等の依頼に対し一貫して協力しながら、一般医療についても徹底した感染防止対策を講じて患者を受け入れることにより、新型コロナ対応との両立を実現しました。また、オンラインによる診療等・面会の拡大等により、新型コロナウイルス禍においても患者様が安心して質の高い医療を受けられる体制の構築を進めたことなど、質的に顕著な成果を挙げ、自己評価をAとしております。
 具体的には、7ページを御覧ください。チーム医療の実施についてです。左側ですが、薬剤関連業務の充実として、本中期目標期間中に病棟薬剤師の配置を着実に推進し、89病院、569病棟に配置しております。また、診療看護師についても、44病院に対して116名を配置しております。また、右下ですが、クリティカルパスの実施割合については、全ての年度で目標値を上回っております。
 続きまして8ページ、評価項目の「地域医療への貢献」です。重要度「高」、難易度「高」、自己評価はSとしております。
 9ページを御覧ください。中段に記載しておりますが、短期入所及び通所事業については、先ほどの令和4年度の御説明でもありましたが、入院患者の安全のためにコロナ禍の中で受入れを一時的に中止・制限せざるを得ない状況がありましたことから、令和2年度から令和4年度の間は評価の対象から除外させていただきます。この2つの定量的指標以外の定量的指標については、おおむね達成し、新型コロナ禍であっても地域から求められている救命救急センター、周産期医療等の機能を維持しつつ、院内の病床についてはゾーニングなどによる運用を行い、NHO病院間の職員派遣など、人員の調整を図りながら新型コロナ患者を受け入れることで、どこよりも多くの病床を確保し、国や自治体からの要請に応え続けたこと。さらに、極めて厳しい人員体制の中、令和3年8月に沖縄県看護職員派遣を実施したことをはじめ、宿泊療養施設やクラスターの発生した地域等への積極的な看護師派遣を行ったことなどを質的に顕著な成果として、自己評価をSとしております。
 具体的には、10ページを御覧ください。左下ですが、神奈川県では神奈川病院において、県内の結核の入院患者を、コロナの期間中、集中して受け入れるということを行いました。その際、病床運営に当たり不足する看護師については、全国のNHO病院から派遣調整を行い、確保したところです。
 11ページを御覧ください。左上です。医師不足による地域の救急医療体制の維持が困難であるという課題について、弘前市では、弘前市立病院の医療機能をNHOの弘前病院へ移転し、令和4年4月に弘前総合医療センターとし、新たな中核病院として運営を開始しております。これにより二次救急医療体制が充実するなど、地域から高い評価を得ているところです。右下を御覧ください。コロナのワクチンの接種についての協力もしており、101病院において自院以外の接種への医療従事者の派遣を行うことに積極的に協力しております。
 12ページの左側中段です。入退院支援センターにおいては、入院時には在宅サービス事業者と連携し、患者の生活状態や身体機能に即した入院説明を行い、退院時には介護、福祉に関わる機関との連携や訪問看護ステーションの活用など、スムーズな在宅医療への移行に取り組んでおり、本中期期間中の入退院支援の実施件数は、各年度ともに前年度の実績を超える件数となっております。
 13ページを御覧ください。評価項目の「国の医療政策への貢献」についてです。重要度「高」、難易度「高」、自己評価はSとしております。
 14ページを御覧ください。上段の客観的指標ですが、最上段の事業継続計画(BCP)の整備については、令和2年度までに全て達成しております。また、訪問看護の延べ利用者数、後発医薬品の使用割合、地域の実情に応じた感染症対応にかかる研修について、全年度で目標を達成できました。また、機構法第21条第1項の規定に基づき、厚労大臣から要求されました新型コロナ病床の確保や医療従事者の派遣など、国からの要請に全て応え、令和4年3月には臨時医療施設を開設し、NHOの特色であるセーフティ系医療を提供する病院からも医師や看護師を派遣したことで、特に認知症や知的障害を有する患者を多く受け入れるなど、地域の様々なニーズに応じた医療を提供するなど、質的に顕著な成果を挙げたことから、自己評価はSとしております。
 15ページを御覧ください。左側です。コロナがまだ未知のウイルスという状況であった発生の当初から、例えば、中国武漢からの帰国者の対応、ダイヤモンド・プリンセス号への対応など、積極的に対応してまいりました。右上ですが、機構法第21条第1項の規定に基づく厚労大臣から要求された新型コロナ病床の確保については、目標を大きく超える2,857床を確保したところです。
 17ページです。左側のセーフティネット分野の医療の確実な提供として、1つは依存症対策についてです。久里浜医療センターが国から依存症対策全国センターに指定され、指導者養成事業や職員向け研修を行っております。その下のNICUの後方支援の取組としては、「在宅に復帰することが困難な患者等」について、毎年度20病院以上で、延べ4万人以上の患者を受け入れております。重症難病患者についても、他の医療機関での受入れが困難な患者等の受入れを行い、特定疾患治療研究事業対象疾患入院患者を毎年度、延べ140万人以上受け入れております。右上ですが、認知症疾患医療センターとして毎年度、10病院以上が指定を受けております。エイズの医療体制についても、全国8ブロック中の4ブロックにおいて、NHOの病院がブロック拠点病院に指定されております。
 
○独立行政法人国立病院機構総合研究センター長
 18ページは、臨床研究事業についてです。自己評価はS、重要度「高」、難易度は「高」になっております。19ページを御覧ください。指標の達成状況ですが、英語の論文掲載数は、毎年100%を超える実績となっております。20ページを御覧ください。具体的な内容ですが、コロナワクチン調査のコホート事業ですが、ここに示しているコホート事業の全てに参加しており、全部で154病院、約25,000人が参加し、様々な報告などを行い、情報発信に貢献しております。2つ目の中程の下線を引いた部分ですが、特にNCDAを用いた分析では、令和3年度にNHOが分析したデータから、入院から宿泊・自宅療養への移行及び後方支援病院への転院について、国が目安を設けて全国で病床が逼迫していた状況を改善することにつながったという成果が挙げられております。
また、外部データベースとの連携は、先ほど御説明したMID-NET、あるいはDPCとレセプトの連携の運用開始に向けて様々な準備をしております。外部機関へのデータ提供も、先ほど御説明したことと同じですが、日本医師会医療情報管理機構へ、以前は48病院でしたが、現在では55病院が情報提供している状況です。
 21ページを御覧ください。外部資金の獲得ですが、NHOでは89施設で科研費の申請が可能となっている状況です。治験については、治験実績の所を見ていただければ分かりますとおり、令和4年度では3,982例と、症例数が回復し、請求金額も48億円となり、回復してきている状況です。臨床研究については以上です。
 
○独立行政法人国立病院機構医療部長
 続きまして、教育研修事業です。22ページを御覧ください。自己評価はAとしております。根拠については、下段に記載しておりますが、特定行為研修修了者数は、全年度を通じて目標を高いレベルで達成しました。また、国から地域の新型コロナの感染拡大防止や対応能力の向上を図る役割を新型コロナ対応の知見を有するNHOが担うことが求められ、NHOのみならず地域の医療機関等を対象として研修を実施しました。そして、令和3年度にはNHO各病院の研修の取組について、外部への積極的な情報発信を行うための外部ポータルサイトを立ち上げ、更には、eラーニングシステム導入における研修を令和4年度より行うなど、引き続き質の高い医療従事者の育成・確保に取り組んだことなどを、質的に良好な成果として自己評価をAとしております。
 24ページを御覧ください。NHOの病院ネットワークを活用した質の高い医師の育成の取組として、初期研修医の育成を行っているほか、初期研修医・専攻医・専修医などを対象として、NHOのネットワークを活用し、各領域の専門性に秀でた指導医が講師を務め、講義と技術習得を組み合わせたセミナー形式の実地研修を開催しております。また、NHOの担うセーフティネット系の医療についても、例えば重症心身障害医療の概要や基礎等について、座学やハンズオンセミナーなどを組み合わせた研修も行っております。
 25ページ、左側中段です。研修の質の向上、均てん化、人的・経済的コスト削減の観点から、各グループごとに、これまで実施していた「医療安全対策研修Ⅰ」、「認知症ケア研修」等について、カリキュラムを共通化し、特に「医療安全対策研修Ⅰ」については、eラーニングの活用により多職種が参加できる体制を構築したところです。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 26ページです。業務運営等の効率化については、難易度「高」ということで、自己評価はAとしております。27ページ、数値目標については、この間、達成できております。28、29ページは、具体的なところです。先ほどの質疑の中でも話題になりましたのは、29ページの右の辺りです。救急車受入件数、手術件数については、R2年度、3年度、4年度で増加しており、頑張っているところです。
 31ページ、「予算、収支計画及び資金計画」については、自己評価はBです。32ページです。具体的には、繰越欠損金の解消ということで、中期目標期間のスタート当初は欠損金が生じておりましたが、この期間中に、これは解消いたしました。右のとおり、繰越欠損金は解消しておりますが、収入確保等あるいは経費削減の取組については引き続きしっかりやっていかなければいけないということで進めております。
 最後の33ページは、「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」です。自己評価はBとしております。34ページに少し書いておりますが、医師確保、看護師の離職防止ということで、それぞれのメニューを進めているところです。それから障害者雇用についても、法定雇用率を上回る実績を挙げております。右上の所ですが、無機転換ルールに対する取組です。法律を上回るNHO独自の取組として、無機転換ルールについても積極的に取り組んでいるところです。以上です。
 
○土岐主査
 ありがとうございます。それでは、ただいまの中期目標見込評価について御議論いただきたいと思います。山口委員、どうぞ。
 
○山口構成員
 全般的に概ね異論はございません。私はこの評価で良いのではないかと思います。ただ、1点お尋ねしたいのは、先ほど河村委員から令和4年度1-1-1の医療の提供は、Aではなく、Bではないかという御発言がございましたが、私は、やはり令和4年度の様々な取組を拝見しており、A評価が妥当ではないかと思っております。
 ただ、平成31年度からBが3つ続いて、令和4年度がAで、見込評価がAになっているのですが、例えば、4-1「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」は、同じようにBが3つ続いて、令和4年度がAで、見込評価の自己評価がBとなっています。それの1-1-1の見込評価の自己評価をAとする根拠だけ、何か計算みたいなものがあったと思いますが、その根拠だけをお示しいただきたいので、お願いいたします。
 
○土岐主査
 いかがでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 基本的に、この見込み評価と、R4年度の評価と総合したようなお答えになりますが、この特定行為研修の数値目標については目標を大きく上回っているという、特に、R4年度については145%ということで、非常に大きく乗り越えていることや、コロナ関係でも、受入れ病院が順次増えてきていると、特に、セーフティネット系の病院で受入れが非常に難しい中で、毎年、増やしてきているところですとか、長期療養者の外出イベント、オンライン面会といったところについても、順次、増えてきているところを総合的に考え、このR4年度、あるいは見込評価ともに、我々として自己評価を設定したというところです。
 
○山口構成員
 ということは、例えば、1-1-1のBは、BであってもAに近いBというようなイメージと、Aになったということも、かなりの達成率、その辺りが4-1と同じ評価の並びとは少し内容が違うという判断でよろしいでしょうか。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 そのとおりでございます。例えば、臨床研究のところも、AかSかというところで、我々も悩んで、R4年度はAとするなど、その辺りについても総合的に判断しているところです。我々としては、自己評価をそのように総合的に判断したということです。
 
○山口構成員
 そのようなことであれば、これで結構です。私はこれで同意したいと思います。
 
○土岐主査
 私からいいですか。11ページの病院の再編・統合の話ですが、これから、日本は人口が減っていくので、絶対に必要な事業ではあるのですが、この病院の経営形態についてですが、国立病院機構としてどんどん吸収していくような形態をとっていくのか、例えば、独法化とか、民間への業務委託などの方法を取ってでも病院統合を強力に進めていくのか。この病院統合をどのように進めていくのか、もし、方針がございましたら教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 理事長の楠岡です。基本的に、その地域の状況によって統合の主体となる所、そこに協力していく所が変わってくると思いますので、我々としては、何が何でも国立病院機構が中心でというような進め方をしようとは思っておりません。地域においてのいろいろな事情を含めながら、我々の所が中心になるほうが良ければ中心になりますし、むしろ我々が耐え、その機能を譲るべきと地域でお考えなのであれば、そちらに譲っていくという、そこはフレキシブルに考えていきたいと思っております。
 
○土岐主査
 そうではなくて、経営面からいうと、やはり、市民病院でも国立病院でもない民間や、独法を全く新たに作るとか、そのほうが経営効率が良くならないのでしょうかという質問です。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 我々としては、そこの判断は非常に難しい状況にあります。単純に経営効率だけを考えると、もう既に、ある意味危機的状況にある病院もありますので、そのようなところをどのようにやっていくかという問題も別途ありますが、今、申し上げたように、地域の事情等を考えると、どこが主体になって経営の形態としてどのような形、例えば、地域医療連携法人でやるほうが良いのか等は、ケースバイケースで進めていきたいと考えており、決して我々で全部をやろうというような、そのような考えではないというところでお話しているところです。
 
○土岐主査
 了解いたしました。ほかに御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま、会場で河村構成員が挙手されております。
 
○土岐主査
 河村構成員、どうぞ。
 
○河村構成員
 御説明ありがとうございます。評点のところで少し意見ですが、やはり、国として示されている統一的な方針にのっとってやるのがいいのではないかと思いますが、参考資料2を確認すると、中期目標期間評価、見込期間実績も、年度評価と同様の流れでやるというような書き方をしておりますが、先ほど、山口委員からも御指摘があったところですが、私が見ていて気になりますのは、1-1-1の所、それから、1-1-2の所です。1-1-1は、令和4年度の大臣評価がどうなるかにもよりますが、B、B、Bと来て最後の年がAで、期間全体としてAというのは、正直、どうかなと思います。1-1-2も、令和4年度はSの自己評価を挙げられていて、その前までの3年間がAですので、これもSにもっていくのは無理があるのではないかと思います。以上です。
 
○独立行政法人国立病院機構企画役
 1-1-1については、先ほど、我々としての考え方は述べさせていただきました。1-1-2について、我々の考え方を御説明したいと思います。コロナの重点医療機関については、R4年度はまた更に増えて98病院となっております。あるいは、見込評価といったところでも、そういった形で、順次、数を増やしてきているところです。一般医療との両立は、一定程度実現できたのかなと我々は受け止めております。
 それから、老人福祉施設への指導、また見込評価は4年間を通じてといったところで申し上げても、多面的な派遣、医師や看護師等の派遣を一貫して続けてきたと、極めて厳しい人員体制の中で、宿泊療養施設や、クラスターが発生した地域について積極的に派遣を行ってきたと、単年度だけでなくて続けてきたこと。それから、介護・福祉施設を含めた入退院時の連携、退院後の在宅医療支援についても増やし続けてきたところを総合的に、我々としては踏まえたということです。
 それから、もう1つ、冒頭のルールのところですが、中期目標期間の業務実績における見込評価については、当該期間に係る目標に対する達成状況や難易度といったことも踏まえながら評価しているところです。具体的な中身については、順番が逆転しましたが先に申し上げたとおりです。そういったところが我々の考え方でございます。
 
○独立行政法人国立病院機構副理事長
 補足させていただきます。評価を頂くのは私どもでございますので、皆様に御判断をお任せするのは当然ではございますが、コロナが3年間続いている中で、各事業の前年同様に行うこと自体、現場はかなり傷付いていますし、負担が重くなって疲労していることを実感するところです。そうした中でも、現場はグッとこらえて全面的に取り組んでくれていることを、是非、御理解を賜りたいと思っております。
 
○土岐主査
 よろしいでしょうか。それでは、次の議事に移りたいと思います。続いて、法人の監事及び理事長から、年度及び中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂けたらと思います。では、最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いしたいと思います。
 
○独立行政法人国立病院機構監事(伊勢)
 監事です。令和4年度の監査結果については、お手元の監査報告のとおりであり、特に問題はございません。次に、法人の業務運営の状況や今後の課題についてですが、令和4年度においては、新型コロナウイルス感染症の大波が二度にわたって押し寄せる中、国から負託を受けた公的医療機関として、理事長の強力なリーダーシップの下、自分たちの病院機能を維持する傍らで、地域の医療、介護施設等への職員派遣を積極的に行ったほか、全国の機構病院が協力して東京都の臨時医療施設を立ち上げ、運営したことを高く評価したいと思います。
 コロナ対応のための診療制限による患者数の減少、記録的な燃料費高騰等により、3期連続の医療収支赤字となりましたが、病院職員による献身的な医療提供等により、経常収支が黒字となったことは、国、自治体の期待に応えることができた証左であり、自収自弁の法人運営が果たせたものと評価しております。また、昨年3月に公表した取引業者との癒着に関する不祥事事案については、内部監査、監事監査を通じて再発防止策の徹底が図られていることを確認いたしました。引き続き、コンプライアンスの徹底並びに勤務環境改善に向けた法人の取組状況をフォローしてまいります。
 今後の課題ですが、コロナの第5類移行後も入院、外来とも患者数の減少傾向は継続しており、昨年同様に不安定な経営を強いられている中で、本年6月に決定した積立金422億円の国庫納付については、大変厳しい対応を迫られたと感じております。かかる状況下にあっても、公的医療機関として地域医療構想の中で地域から求められる医療の提供をしっかりと継続して自収自弁の経営を果たしていくこと、新興感染症への備えに主導的に取り組んでいくこと、職員が安全・安心に働くことができる働き方改革を推進すること、医療DXへの取組を着実に進めること等、様々な課題に継続的に取り組んでいかなければならないものと認識しております。
 これらの課題に対応しつつ、今期が最終年度となる中期目標を達成していくためにも、業務運営に係る改善の取組に不断の努力を継続し、安定的な法人運営を行っていくことが重要であると考えております。以上です。
 
○独立行政法人国立病院機構理事長
 理事長です。本日は当機構の業務実績について説明の時間を頂き、ありがとうございました。さて、これまでの4年間を振り返りますと、まずは新型コロナへの対応と一般医療の両立に取り組んだことが挙げられます。
 先ほど御説明しました第4期中期目標期間の見込評価の説明資料に、新型コロナに対する当機構の主な対応を時系列にまとめておりますが、当機構はウイルスの特性が分からない発生初期の中国武漢からのチャーター機で帰国した方の健康観察、ダイヤモンド・プリンセス号で発生したクラスター対応と、乗客等陽性者の受入れ、東京医療センターでの国内初の新型コロナワクチン接種、国立病院機構法に基づく大臣からの病床確保や医療従事者の派遣要求、当機構の人的・物的リソースを投入し、単独で設置運営した東京都臨時医療施設等、当機構がワンチームとなって新型コロナへの対応に取り組むという大方針の下、前例のない国や自治体からの様々な要請に的確に応え続けてまいりました。
 この間、当機構の職員は最前線に立ち、自ら率先してコロナ患者の対応に尽力してまいりました。また、本来は災害時に派遣されるDMATについても、新型コロナ発生初期よりクラスター対応や都道府県庁の支援を行う等、感染症の対応に大きく貢献し、令和4年7月には、新興感染症に対応するため、当機構のDMAT事務局に「新興感染症対策課」を設置いたしました。このような新型コロナへの対応は、国や地方自治体等の関係者から高い評価を頂いており、当機構としては、広範囲に、かつ、質的に重要な役割を果たすことができたものと考えております。
 また、コロナ流行以前に設定した定量的評価指標については、コロナ禍における行動制限や新型コロナの感染状況に加え、先ほども申し上げた新型コロナに対する国や自治体からの様々な要請に最優先で取り組んできたことにより、思うように取り組むことができない中であっても、当機構の全ての病院が様々な工夫を凝らすことで、ほとんどの指標で初期の目標を達成するとともに、一部の指標では初期の目標を大きく上回る成果を上げました。
 経営面では、令和元年度からの4年間の経常収支は、単年、累計ともに黒字であり、全ての年度で定量的指標を達成し、第3期に生じた繰越欠損金は令和3年度に解消いたしました。令和2年度以降は、国等からの要請に応えて可能な限り多くのコロナ患者を受け入れる一方で、コロナ禍での患者の受療行動が変化して、コロナ前と比べて患者数が大幅に減少する中で、セーフティネット医療分野や地域から特に継続を求められている救急医療や周産期等、不採算・特殊部門とされている医療機能を運営費交付金が令和3年度にゼロとなる中で維持してまいりました。このように、コロナ医療と一般医療との両立を図りながら、各病院は費用削減につながる取組を進め、終始、改善に努めたことを御理解いただければと思います。
 一方で、本年6月に我が国の防衛力の抜本的な評価等のために必要な財源の確保に関する特別措置法が公布され、当機構の積立金のうち422億円を前倒しで国庫納付するとされました。この決定は医療機能を維持、継続しながら、今後の新興感染症や災害有事に備えるための投資を行っていく必要性を考えると、極めて厳しい措置であると受け止めております。当機構に求められる役割を果たしていくためには、速やかに医療機能の強靱化に向けた取組を行っていくことが必要不可欠ですが、一定の仮定を置いて計算すると、改修による機能維持で対応するとしても、次期中期計画期間では数千億円規模の資金が必要となる見込みです。このため、今般、各病院の理解を得つつ、法人全体の資金を最大限活用する形で、1,000億円規模の基金を創設いたしました。まずは、この基金を活用して、今できる可能な限りの医療機能の強靱化に向けた取組を進めてまいります。
 また、コロナ後を見据えた経営体力の強化に加えて、第8次医療計画への対応、医師の働き方改革への対応、生産年齢人口が減少する中で高齢者総数がピークを迎える2040年への対応等、病院経営を取り巻く大きな環境の変化の中で、各病院が引き続き地域から求められる医療を安定的、かつ継続的に提供していくことが重要となります。令和5年度は第4期中期目標期間の最終事業年度となりますが、将来を見据え、職員一同が努力を重ね、厚生労働大臣から示されている中期目標の内容を達成できるよう取り組んでまいります。
 終わりに、今般のコロナ禍が及ぼす法人経営の影響は予断を許さない状況でございますが、我々は今後とも国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修を継続的に的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献してまいります。引き続き、本有識者会議の皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。以上です。
 
○土岐主査
 ありがとうございました。ただいまの御発言で、何か御質問等はよろしいでしょうか。
それでは、次の議事に移りたいと思います。続いて、国立病院機構の業務、組織全般の見直しについて議論していきたいと思います。はじめに、見直し内容について法人所轄課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後に、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人所轄課からよろしくお願いします。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人支援室長
 それでは、医療独立行政法人支援室長から御説明いたします。資料4の「業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容(案)」です。時間の関係もありますので、最初のところは割愛し、法人の見直しの方向性ということで、2ページから御説明したいと思います。
 最初に、第1の「事務及び事業の見直し」の、1の「診療事業」の(1)医療の提供です。患者の目線に立った医療の提供を推進する観点から、患者の治療目的に合わせた適切な医療サービスの提供に努める。また、安心・安全な医療を提供するために、医療安全対策をより一層充実させ医療事故の防止に努めるとともに、院内感染対策の標準化にも取り組み、これらの取組の成果について適切に情報発信する。
 (2)地域医療への貢献です。2行目ですが、機構が有する人的・物的資源と病院ネットワークを有効に活用しながら、新型コロナにおける患者の受療行動の変化や、人口減少等による地域の医療需要の変化への対応に自主的に取り組み、必要な施設整備を行うなどにより、機能の維持に努め、地域に求められる医療に貢献する。併せて、個々の病院について、その機能、地域医療需要、経営状況及び医療人材の確保状況等を総合的に勘案した上で、再編成等の検討を含め地域ニーズを踏まえた病床規模や機能の見直しを進める。また、在宅医療支援を含めた支援強化を図っていただく。
 (3)国の医療政策への貢献です。機構の人的・物的資源や病院ネットワークを最大限活用し、災害や新興感染症発生時など国の危機管理に際して求められる医療について、必要な施設整備を行うなどにより、中核的な機関としての機能を充実・強化する。セーフティネット分野の医療について、引き続き我が国における中心的な役割を果たしていただきたい。
 3ページの2行目ですが、エイズへの取組については、必要な人的・物的体制整備の下、引き続き取組を進める。また、新興感染症への取組については、病院の機能や役割に応じた協定の締結を含めた都道府県との連携により、地域において必要とされる医療を安定的かつ継続的に提供するような体制の整備を図っていただく。このほか、医療分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)については、国の医療政策に貢献する取組を進める。
 2の「臨床研究事業」です。機構の病院ネットワークを最大限活用した迅速で質の高い治験の推進やEBM推進のための大規模研究については、我が国の臨床研究や治験の活性化に貢献するよう取り組んでいただきたい。また、電子カルテデータ等から標準化された診療データを収集・分析するデータベースを運用し、新型コロナの対応に際しても有用であったことを踏まえ、臨床疫学研究の推進等を図ること。併せて、国の医療情報政策に基づき、外部のデータベースとの連携や外部機関へのデータ提供についても積極的に貢献するよう取り組んでいただく。さらに、ゲノム医療・再生医療に関する臨床研究や新規医薬品開発等の共同研究をより充実させていただく。
 3の「教育研修事業」です。様々な診療機能を持つ機構の病院ネットワークを活用し、医療従事者を目指す学生に対する卒前教育(臨床実習)を充実させる等、質の高い医療従事者の育成を行うとともに、地域の医療従事者や地域住民に向けた研修などを実施し、我が国の医療の質の向上の貢献に取り組んで、新興感染症等対応に係る研修にも引き続き取り組んでいただきたい。
 4ページです。さらに、国においても特定行為に係る看護師の育成を進めている中で、機構においては、当該政策の推進に貢献することに加え、チーム医療の推進及びタスク・シフト/シェアによる医師の負担軽減を図る観点からも、高度な看護実践能力を持つ看護師の育成と確保を推進していただく。
 第2の「組織に関する見直し」です。病院が果たすべき機能や地域事情も踏まえつつ、必要な人材の確保に取り組むとともに、効率的な業務運営となるよう、組織の役割分担、管理や連携の体制及び人員配置について戦略的な強化を図っていただく。
 第3の「業務全般に関する見直し」です。1の「法人の長のリーダーシップを発揮できるマネジメント体制の確保」については、各病院が自主性を保ちながら、法人全体として経営の健全性が保たれるよう、理事長がより一層リーダーシップを発揮できるマネジメント体制を推進していく。
 2の「業務の効率化」です。また、関係機関と連携しながら資金の確保に努めるとともに、機構のスケールメリットをいかし、資金の有効活用に努め、必要な施設整備を行うなどにより、各病院が地域から求められる医療の着実な実施や国の医療政策の貢献に努めていただく。特に、医師や看護師におけるタスク・シフト/シェアの推進や労働時間をより確実、かつ効果的に把握・管理するための取組等を行い、効率的な業務の実施体制を構築していただきたい。
 4の「内部統制の充実・強化」です。内部統制の更なる充実・強化を図るため、各病院等におけるリスク管理の取組を推進するとともに、内部監査等の充実・強化に取り組む。そして、最後の6の「情報セキュリティ対策の強化」です。近年の情報セキュリティに係るリスクの増大を踏まえ、患者情報等の機微性の高い情報を保有する機構には、他の医療機関の模範となるような対応が求められており、我が国の医療分野のセキュリティ強化に貢献する。以上が措置の内容です。
 
○土岐主査
 今の御説明について、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま、会場で亀岡構成員が挙手なさいました。
 
○土岐主査
 どうぞよろしくお願いします。
 
○亀岡構成員
 特に反対意見ではないのですけれども、1つだけ教えてください。第3の「業務全般に関する見直し」というところで、一番最初に「法人の長のリーダーシップを発揮できるマネジメント」ということになっているのですけれども、ここで、各病院が自主性を保ちながら、そして理事長がリーダーシップを発揮できると。
 この辺が、若干、少し分かったような分からないところなのですが、リーダーシップをどんどん発揮していくのは、私はいいことだと思うのですけれども、自主性を保ちながらというところが、もともと今まで個別にあったわけですね。その自主性を保ちながらリーダーシップというか、私はもう、リーダーシップを発揮できるマネジメントというのでいいと思っているのですけれども、この辺の自主性を保つということは非常に表現としてはいいとは思うのですけれども、少し気になりました。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人支援室長
 厚生労働省から、こちらについては法人のマネジメント体制ですので、理事長がトップダウンということではなくて、その地域の実情に応じて、ボトムアップということもありますし、特にこの新型コロナウイルスの関係で各地域においての病院の役割というのも重要でありますので、そういったところで、これまでもありましたけれども、病院の自主性を保ちながらというところは入れさせていただいて、理事長が、よりリーダーシップを発揮できる体制というところで書かせていただいております。
 
○亀岡構成員
 分かりました。私はむしろ法人全体の理事会の運営の中に理事長のリーダーシップの発揮があり、その中に各病院の自主性も含まれるという、むしろ、理事会の充実みたいな内容がいいのではないかと私は思っていたものですから。
そのときには自主性というのを当然、考慮しながらというのはいいと思いますけれども。むしろ、本当のリーダーシップというか、本当の意思決定をするのは、やはり理事会でされるかと思いますので、その辺がもう少し強くうたわれるといいかなと思いました。ここで言う「マネジメント体制」というのが、多分そのことを言われているのかとは思いますけれども。
 特におかしいなどということではなくて、理事会の強化がガバナンスの強化である部分がもう少し押し出されてもいいのではないかと思いました。これはいろいろな他の非営利法人でも言われておりますので、理事長が全部やっているのではなくて理事会として、法人運営を組織としてできるみたいな。当然その中に理事長のリーダーシップはあっていいと思うのですけれども、余り理事長のリーダーシップというところだけが強調されるのは、どうなのかと思いました。
 
○土岐主査
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、法人所管課室におかれましては、構成員の皆様から本日頂いた御意見等を踏まえて、見直し内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いしたいと思います。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人支援室長
 ありがとうございました。
 
○土岐主査
 それでは、大変長時間になりましたけれども、本日の議事を終了したいと思います。最後に、事務局からよろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 事務局から今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた国立病院機構の「令和4年度業務実績評価」及び「中期目標期間見込評価」については、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。
 また、「業務・組織全般の見直し」の内容についても同様に、本ワーキンググループにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 なお、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」の内容については、独立行政法人評価制度委員会へ通知後、同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき、出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することとなります。そして、その次期中期目標案について、来年1月以降、独立行政法人評価制度委員会の審議に附されることが予定されているため、次期中期目標案等についても、来年1月頃に本ワーキンググループでの意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○土岐主査
 それでは、以上をもちまして本日の議事のほうを終了したいと思います。長時間にわたり熱心な御議論を頂き、誠にありがとうございました。