2023年8月2日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第34回) 議事録

日時

令和5年8月2日(水)9:30~11:39

場所

経済産業省別館 227各省庁共用会議室

出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、河村構成員、鈴木構成員、田宮構成員、松原構成員

議事

議事内容
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 定刻になりましたので、ただいまから「第34回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の岡崎でございます。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡になりますが、会議中は御自身が御発言される場合以外は、マイクをOFFにして音声ミュート状態にしていただくようお願いいたします。
 また、質疑応答などの際に、御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除し、御発言ください。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 当会議室には、スクリーンやプロジェクターが設置できず、オンライン参加の方の動画を会場内に投影することができません。そのため、会場内にはオンライン参加の方の音声のみの参加となることにつき御了承いただきたくお願いいたします。
 本日の出席状況について御報告いたします。本日は、五十嵐構成員、石井構成員が会場での御参加、真野主査、河村構成員、鈴木構成員、田宮構成員、松原構成員がオンラインでの御参加、名里構成員と三田構成員が御欠席です。なお、鈴木構成員におかれましては、若干入室が遅れている模様です。
 また、太田構成員は医薬品医療機器総合機構の運営評議会委員をされておりますので、今回の会議には御出席いただいておりません。
 本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におきましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は資料1から4まで、参考資料が1から6までとなります。資料の不足やiPadの操作方法等、御不明な点がありましたら、何なりと事務局にお伝えいただきますようお願いいたします。
 それでは真野先生、議事の進行をお願いいたします。
○真野主査
 ちょっと事情で、オンラインになってしまって申し訳ありません。本日は議題として「医薬品医療機器総合機構」の「令和4年度業務実績評価」、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」に係る意見聴取を行うことになっております。1つ目の議題である「令和4年度業務実績評価」と2つ目の議題である「中期目標期間見込評価」についてですが、法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明されますので、評価の内容を中心に構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。
 3つ目の議題である「業務・組織全般の見直し」については、「次期中期目標」の内容に反映することを目的として実施するものでございます。これについても、本WGの御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。今回、そういうことで3つありまして、2時間半ほどになって、少々長丁場になりますけれども、よろしくお願いします。
 それでは最初に、「令和4年度業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。まず初めに、法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから、質疑応答ということで進めていきたいと思います。それでは、法人の説明をよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構岸本執行役員
 では、経営企画担当執行役員の岸本から御説明したいと思います。資料2-1を御覧ください。まず、右下2ページでございます。法人の概要でございますが、4.の所にございますとおり、3大業務というものがございまして、健康被害の救済、医薬品等の審査、医薬品等の安全対策というのが3つのメインの業務になってございます。
 続きまして、3ページ目でございます。当法人、約20年前に発足しておりまして、当初は250人でスタートしておりますが、約20年、計画的に増員を図ってまいりまして、今、1,000人強の体制ということになってございます。
 4ページ、一方で諸外国との比較でございますが、アメリカ、EUと比べますと、その体制面、下の欄でございますが、アメリカ約9,000人、EUとして約1,000人で、加盟各国の当局4,500名以上の専門家を活用しているというところでございまして、まだまだ欧米に比べると、体制に差があるというような状況でございます。
 続きまして、5ページを御覧ください。これは今年度、政府のほうで決定いただきました閣議決定の文書における、我々PMDA関係の記載の御紹介でございます。これはいわゆる骨太の方針といわれるものでございますが、ここにございますとおり、臨床開発・薬事規制調和に向けたアジア拠点の強化でございますとか、小児用・希少疾病用等の未承認薬の解消に向けた承認審査体制の強化。また、プログラム医療機器の実用化促進に向けた承認審査体制の強化というところで、我々法人に対する期待というものが記載されているものと承知しております。
 続きまして、6ページを御覧ください。昨年度、大臣から頂きました確定評価と、一番右の黄色い所が令和4年度の自己評価ということになってございます。詳細は、これから御説明しますが、1-4、安全対策のところが、昨年度はSだった所を、Aと自己評価しているところが昨年度との違いになります。
 続きまして、7ページを御覧ください。まず、3大業務の1つ、健康被害救済業務でございます。これにつきましては、重要度・難易度とも「高」と設定しております。自己評価はAとしてございます。真ん中、Ⅱの所、指標の達成状況でございますが、請求から支給決定までの事務処理期間、指標としまして6か月以内の処理件数60%以上というところで設定いたしておりますが、令和4年度は実績値90.2%、達成度150%ということになっております。120%を大きく超える、過去最高の達成度となった要因でございますが、まず、例年より請求件数が1割強少なかったというところがございます。
 少し資料飛びますが、12ページを御覧いただけますでしょうか。棒グラフが2本並んでおりますが、青いほうが請求件数の推移でございます。中計期間最初の令和元年度、1,600件程度あったものが少しずつ、ちょっとコロナによる受診抑制の影響等もあったのかなと思いますが減っておりまして、令和4年度は1,230件ということになっております。
 資料7ページに戻っていただきまして、そういった他律的な要因もございますが、我々としても主体的に取組を行ったという面もございます。ⅰ)に挙げておりますとおり、個別事案ごとの症例経過概要表の作成というものを、速やかに実施することとしました。ⅱ)にありますとおり、支給・不支給決定通知を行うまでの各過程において目標とするタイムラインを設定しまして、進行管理を厳格に実施いたしました。ⅲ)にありますとおり、受理段階では紙の文書での申請になるのですが、それをPDF化するなどして、テレワーク下も含めて電子的に処理する、そういう体制を整えております。指標については、令和4年度の年度計画までは、「60%以上を6か月以内に処理」としておりましたが、令和5年度、本年度計画からは、「65%以上」と引き上げております。
 評定の根拠でございます。8ページでございます、一番上、制度の周知に努めるというところでございますが、まずは医療関係者、プロフェッショナル向けには、e-ラーニング講座の充実というようなところで周知を図っております。一般国民の皆様に対しましては、訴求効果の高い広報コンテンツを新規に制作したり、あとは医療機関とか薬局のビジョンでのCM放映を増やすなど、実際に医薬品を使用する機会を捉えた広報というのを積極的に実施してまいりました。
 こうしたことによりまして、特設サイトをWeb上に設けておりますが、そのアクセス件数、年間90万件弱と、過去最高となっております。一般国民の認知度も36%ということで、過去最高の水準に達しております。
 続きまして、2番目でございます。個別請求事案の調査の適切な実施というところで、申請時に情報が不足しているような場合がございまして、そういった場合には我々のほうから直接医療機関等に補足の資料を求めるというようなことをいたしておりまして、調査を丁寧に実施しているところでございます。
 3つ目、請求・届出のオンライン化に向けた検討の実施というところで、救済の請求・届出をオンラインで行える環境の整備に努めているというところでございます。実施は少し先になるのですが、関係機関等と調整を進めているという段階でございます。
 9ページから、少し具体的に広報の内容を御紹介しております。11ページは処理の実績数値を示しております。13ページに、数年前に運用改善の検討会を行っておりまして、そこでの提言の概要を添付しております。
 続きまして1-2、14ページでございます。スモン患者等に対する給付業務でございます。自己評価はBとしております。Ⅱの所にございますとおり、これは受託して実施しているものなのですが、契約内容に基づき適切に行っているというところでBとしております。
 続きまして15ページ、1-3、審査業務でございます。重要度・難易度とも「高」と設定しております。自己評価Sとしております。
 16ページ、Ⅱの指標の達成状況でございます。これは毎年のことでございますが、ちょっと細かくて申し訳ないのですが、我々は医薬品とか医療機器とか、大きな製品の区分ごと、また医薬品であっても新薬、ジェネリックとか一般薬とか、そういった区分ごと、更に新薬の中でも優先品目なのか、通常品目なのかというところで、細かく区分して目標、指標を設定しております。例えば一番上、新医薬品(優先品目)の総審査期間、指標80%タイルで9か月としているところでございますが、実績値8.9か月ということで、達成度は118.9%ということになっております。
 ちょっと細かくは紹介できないのですが、21ページに一旦飛んでいただけますでしょうか。上の審査期間等の所でございますが、令和4年度に評価可能な28項目(指標)のうち、16で達成度120%を超えております。審査期間は既にアメリカのFDAに次いで世界最速レベルの水準にございます。
 少し飛びますが、23ページを御覧いただけますでしょうか。これは各国地域の審査期間の比較の折れ線グラフでございます。右のほうが直近の10年間ぐらいで、左のほうが少し古い時代からのものを御紹介しております。赤の線が日本でございます。一番速いとされておりますのがオレンジのアメリカということになります。左の一番左、2006年頃を見ていただくと、日本がちょっと突出して審査期間が長いというような状況でございました。それが先ほど御紹介したような計画的な体制整備等の影響もございまして、2022年では、もうアメリカとほぼ並ぶような、世界でも最速水準の審査期間ということになっております。
 続きまして、24ページを御覧いただけますでしょうか。これは個別の品目の審査期間のばらつきを見る25%~75%タイル値の比較でございます。青で囲っておりますのが日本のものになります。下のほうが新しいデータで、上のほうがちょっと古めのデータになります。上のほう、一番左、2006年の所を見ていただければお分かりのとおり、審査期間は総じて長かったということでございますし、個別品目ごとのばらつきも非常に大きかったというような状況にございました。それが、下のほうを見ていただければ分かりますとおり、審査期間も短くなっておりますし、ばらつきも少なくなっているというところでございます。
 資料を戻っていただきまして、21ページでございます。指標の見直しについてでございますが、審査につきましては、我々が審査する期間と、我々は審査中に企業側に追加のデータの提出等を求めるようなことがございまして、企業側の持ち分もあるというところでございまして、120%超の指標の見直しにつきましては、企業側の負担も考慮する必要があるというところでございます。
 そういった事情があって、毎年目標、指標をいじるというのは少し難しいところもあるのですが、ジェネリック医薬品など企業側の理解が得られた所につきましては、年々厳しい目標を設定することといたしております。
 すみません、ちょっと20ページに戻っていただきまして、一番下の所、アジア諸国の規制当局の担当者に対しまして、我々のほうで審査や安全対策についての講習というものを提供しております。これを目標としまして、指標としましては、満足度5段階評価で3以上の割合が75%以上ということで設定しておりますが、これも133.3%という達成状況でございます。
 21ページ、下の欄ですが、ここも120%を超えているわけでございますが、これも本来は対面での開催を念頭に置いたプログラムでしたが、このコロナ期間はオンラインで開催せざるを得なかったというところでございまして、また直近、徐々に対面での開催も再開できてきている状況でございますが、そうした本来の開催形式での評価も踏まえて、新しい指標の在り方については検討してまいりたいと考えております。
 続きまして22ページ、定性的な評価の根拠でございます。1つはコロナ関連製品の迅速な審査等でございます。右のほうにございますとおり、関連製品につきまして迅速審査を進め、いち早く医療現場に提供することに大きく寄与いたしました。緊急承認制度につきましても、1品目承認しております。新型コロナワクチンの助言も適切に実施しております。
 資料25ページ、これはコロナ関連製品の承認状況でございます。括弧内が令和4年度の実績になってございます。
 26ページがコロナワクチンの開発の相談でございます。下のほうにございますとおり、令和4年度も140件弱ということで、引き続き高水準の相談に対応しております、
 22ページに戻りますが、2つ目は、今、説明した120%を超える項目が多いというところでございまして、一番下の所、品質確保の関係の取組でございます。これも少し、数年前に話題になりましたが、工場での品質確保に不備があったという報道がございまして、直接これは都道府県に監督権限があるのでございますが、我々のほうとしても昨年度4月1日にGMP教育支援課というものを新設いたしまして、実際に実地で調査に入ったときに指摘した事項の中で、ほかの工場でも参考にしていただけるようなものを、オレンジレターとしてまとめて公表したり、関係者が集まってリスクコミュニケーションの促進を図るためのGMPラウンドテーブルを開催したりという取組を始めております。資料30ページ以降に、そうしたものを参考で添付してございます。
 資料33ページでございますが、オンライン化の進捗状況でございます。上の表にありますとおり、できるところから順次、オンライン申請・届出を進めてきております。一番右下の所にございますとおり、これは届出でございますが、直近5年、令和5年4月だと半分ぐらい、届出はオンラインで出ているという状況でございます。
 続きまして35ページ、安全対策業務を御説明いたします。重要度・難易度とも「高」としております。自己評価はAとしております。
 36ページの指標でございますが、2つ目、例えば医薬品の副作用情報の報告を受けてから掲載するまでの期間だとか、あと3つ目ですが、添付文書改訂の指示書のホームページへの掲載期間といったものを目標としておりまして、達成度はいずれも100%を超えているというところでございます。
 37ページ、定性的な評定の根拠でございますが、1つ目はコロナ関連製品等の安全対策に関する情報の発信というところで、特設ページをホームページに設けておりまして、そこで情報発信に努めてまいりました。2つ目がコロナワクチンの副反応疑い報告の受付、専門家による評価、審議会への対応というところでございます。
 2パラ目に、例年副反応疑い報告約1,000件というところでございますが、令和4年度は3,400件と、昨年度よりは大分落ち着いてきておりますが、例年に比べると大分多い報告件数を受け付けております。また、令和4年度は、接種対象年齢の拡大だとか、オミクロン株対応ワクチン接種が進められておりまして、世間の関心が高い中で、厚労省に迅速に報告いたしております。
 次のパラグラフでございますが、例年は年4回程度の開催頻度である審議会が、15回開催されましたが、これに対しても対応しているというところでございます。
 資料38ページに報告件数の推移を掲載しております。年々報告件数としては増えている状況でございます。
 続きまして41ページ、ガバナンス体制の構築、人材の確保・育成、広報活動等々でございます。自己評価はBとしております。
 42ページの目標、指標でございます。広報中心でございますが、審査報告書の英訳の掲載等々を目標としておりまして、これもいずれも達成度は100%を超えているという状況でございます。
 43ページ、評定の根拠でございます。まず、ガバナンスの所でございますが、毎年御紹介してまいりましたが、これまでに括弧の所で記載しておりますが、令和元年度に幹部職員の職務と責任を明確化する執行役員体制を導入しておりまして、ⅱ)にありますとおり、令和2年度には理事会の在り方を見直しまして、重要事項につきましては理事会で直接審議するような体制としております。
 ⅲ)にありますとおり、職員からの業務等に関する意見・要望を匿名で受け付ける、「みんなの声」という取組を実施しております。一番下にありますⅤ)の所でございますが、令和3年度にはリスク管理体制の強化も実施しております。リスク管理委員会の在り方を見直しまして、個別のリスク発生事案への対応から、構造的な問題の把握等、PDCAサイクルを機能させるための、再発防止を図るための組織へと改変しております。
 そういった中で、令和4年度につきましては、そういった取組とともに、引き続き理事長自らの個人面談というものも実施しておりまして、引き続き各職員から、職務上の要望等々を吸い上げるという活動を続けてまいりました。
 44ページ、人材育成の推進でございますが、新たに始めたものといたしましては、45ページを御覧いただけますでしょうか。真ん中の所にあるのですが、平成28年以降、大学病院やナショナルセンターと、包括的連携協定というものを結んでまいりまして、下の所にありますが、これまでも人事交流とか共同研究というものを進めてまいりました。
 一番右側でございますが、令和4年度は長期派遣研修というものを開始しております。46ページを御覧いただけますでしょうか。これは我々の若手職員をナショナルセンターの病院に1年間派遣するというものでございます。真ん中の枠の内容の所でございますが、薬剤部とか治験管理部門に派遣しておりますが、例えば薬剤部であれば、我々安全対策のところの添付文書の作成とか改訂等の業務をやっているのですが、それが現場でどのように活用されているかとか、そういったものを現場で学んでもらうというような研修を始めております。こうしたものにつきましては、例えばNCGMさんのほうでは、この研修を基に、安全対策に特化した、カリキュラム構築上の課題を、薬学会で発表いただいたりという活動にもつながっております。
 続きまして47ページにございますとおり、我々は組織でほめる文化の醸成ということで、各種取組を進めているところでございます。
 続きまして44ページ、BPR・DXの推進ということでございます。昨年の4月に民間人材を中心に、業務プロセスの見直しを図るBPR・DX推進室を設立いたしました。ここで既にBPR・DXの取組を始めておりまして、48ページを御覧いただけますでしょうか。例えば電子決裁・文書管理システムを今年の1月から運用開始したりとか、2の所にありますとおり、従来ですが、我々は各種専門家と多くの専門協議というものを実施しておりますが、その資料は郵送で紙でやり取りしておりましたが、それをファイル共有システムを活用することで効率化いたしました。守秘性の高い内容も含んでおりますので、紙で専門委員に配布した資料も回収していたのですが、これもファイル共有システムを活用することで、効率的に回収まで行えるということになっております。
 49ページ、加えまして押印の廃止だとか、あとは電話応対についても検討を進めてきたというところでございます。説明は以上になります。
○真野主査
 ありがとうございました。それでは早速ですが、議論をしていきたいと思います。先ほどの御説明に対して構成員の方々、何か御質問等いかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
○田宮構成員
 よろしいですか。幾つか、いろいろ頑張っていらっしゃることが見て取れるのですけれども、3ページにある職員の数がどんどん増えてきているというのが、まず、すばらしいなと思っています。これは、フルタイムとか出向とか非常勤とかの内訳がどうなのかなというのと、全体的に財政が厳しい中、これだけ増やせたのは、確か前にも伺ったかなとは思うのですけれども、傍目で見ても、着々と伸びているようなことがすごくすばらしいので、その辺で、どうしてこのようにできたのかなというところとか、多分、いろいろな工夫や努力をされたのだと思うのですけれど、その辺のことを教えていただければと思います。その結果として、非常に審査の速度が早くなって、アメリカよりも早いぐらいになったというのも、これもすばらしいので、苦労された所とか、うまくいったポイントとか、その辺を、長いこと日本は時間が掛かると言われ続けていたのは、もう一昔前のことだというのがよく分かりましたので、教えていただければと思います。
 それから、自己評価との差で、これは1-4の所の安全業務ですけれども、ちょっと聞き逃してしまったかもしれないのですが、着実にずっとよくやっていらっしゃるように思いますが、あえてSをAにされたのは何か御説明がありましたか。すみません、聞き逃していたかもしれません。まず、この2点を教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の河野です。御質問、ありがとうございます。まず、前段の資料3ページ目にある人員体制のお話に関して御質問を頂きました。年々、増員を図らせていただいている状況を御説明させていただきましたが、このページにも記載がありますとおりに、これまでも各政府の決定文書の中でもPMDAの組織・業務の拡充が求められてきていたということもあります。なおかつ、ドラッグラグが過去、社会問題になったということもあって、審査が遅いがゆえに患者さんの手元に良い薬が早く届かないということを改善しようというところは、産官学一体となってそこの改革に進んできたという経緯があったと思います。そういったようなことも含めて計画的に増員を進めてきたということもあって、いろいろな業務が我々としてもできる体制を構築していただいた結果として、現在のFDAにも引けを取らないようなスピードで審査等の処理ができるようになったというようなことが言えるかと思います。
○田宮構成員
 ありがとうございます。そうすると、もちろん政府の方針も大きい影響なのだと思いますが。その表を見ると、20年4月にいろいろなアクションプログラムとか、中間評価まとめとかが出ていますけれども、結局この辺の始まったことの成果が結構、その後になって、どんどんその後伸びてますよね。ここがトリガーになってということでよろしいですか。その後には政府のことは書いていないものですから、20年4月以降は特にはないですか。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 政府の文書という意味では、確かにここは明示的なトリガーとして、こういうことがあったということは言えようかと思います。ただ、それ以降も一定の予見性を持った上で審査業務ができる、安全対策についても確実に行うことができる体制を整備することについては、製薬企業、その他関係のステークホルダーからもそのような要望もありまして、患者・国民にきちんと良いものを届けるという観点から、我々としても努力を続けてきたということが言えるかと思います。
○田宮構成員
 そうだと思います。そうすると、これは人員はフルタイムの雇用者、それとも製薬会社からの派遣とか、パートとか、そういう方は含まれた数字ですか。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 基本的には、これはフルタイムの雇用ということです。
○田宮構成員
 財源は、いろいろなのですか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 理事の宇津です。どうも、御質問ありがとうございます。正に財源ということをおっしゃいましたけれども、その点も大きなものだと考えております。先ほど説明しましたように、審査体制の増強ということでありまして、審査体制、それから安全対策も含めてですけれども、この財源については多くが製薬企業からの審査手数料でありますとか、安全対策に係る安全対策拠出金という資金を出していただいたということになっております。ドラッグラグ、安全対策の充実ということで、ステークホルダーの御了解を得て、そういう資金、財源を確保していただいて体制を整備したということがあります。
 それから、審査の速度についての御質問があったかと思いますけれども。これについては、体制を整備する人数を増やすということが1つ大きな点ではありました。今まで、順番待ちになっていたものを並行して審査をできる体制ができたということもあります。それから、もう1つ大きな点として私どもが取り組んできたのが、臨床開発が失敗しないということで、臨床試験に入る前の治験相談という開発相談を充実をさせてまいりました。臨床試験が開始される前に、どういう試験が良いのかということを確認し、結果が出てからどうだったのかなということが減りました。それで審査のスピードアップにもつながったと考えています。
 それから、もう一点、安全対策業務の評価について、SからAということを御質問いただいたかと思います。これについては、2年前の状況だとコロナワクチンの接種が大規模にスタートした年で、かなりの報告数がありました。それを遅滞なく処理をしたということで、Sにさせていただきました。昨年は、まだ接種は続いていたのですけれども、その前の年に比べるとかなり数も落ち着いてきましたので、その点を考慮して、今回はAとしたということです。以上です。
○田宮構成員
 ありがとうございます。今の2つ、コメントをさせていただきます。やはり、何かいろいろ財源を工夫しないと、国のお金だけでは無理な中、これだけ、とても必要なことをされて体制を整えていると思います。製薬企業さんからのというのも当然、受益者ということであるのだと思います。その辺は当然お考えになると思いますけれども、COIとか、十分いろいろ考慮された仕組みになっているのだと思いますが、その辺をしっかりやっていただきたいということを改めて申し上げたいと思っていました。でも、そういうことをやることはエコスシステムがすごく重要なことだと思いますので、是非、そうやりながら早めていく。ただ、質も担保しつつということで是非、進めていただきたいと思います。
 それから、SからAにということで、それは副作用のいろいろな種類が減ったということは、当初、たくさんいろいろなことが出てきたというところから比べて、謙虚に減ったからということで、分かりました。ただ、長期の副作用とか、あと、事前のときにお話したのですけれども、腎機能が段々低下して透析になってしまった事例ですとか、長期に見ていかないと分からない副作用みたいなものも割と今出てきてはいるので、その辺のものも、なるべく多く、因果関係が分からなくても必ず拾い上げていけるように引き続きここは、副作用のところは大事だと思うので力を入れていただきたいと思います。私からは以上です。よくやっていらっしゃることは、よく分かりました。ありがとうございます。
○真野主査
 ありがとうございました。ちょっと関連で確認なのですが、EUで、さっき口頭で述べられたけれど、4,500名以上の専門家を活用していて、人数的にまだPMDAは1,000人で、そこの差があるみたいな説明でしたけど、ここで活用している人というのは非常勤だから、今、田宮先生が言われたような話でいくと、PMDAは全部常勤だからちょっと話が違うのではないですか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 理事の宇津です。御質問、ありがとうございます。かなり分かりにくい所かと思っております。EUの審査のやり方なのですけれども、どちらかというと、言葉は、正確ではない部分があるのですけれど、EMAという組織はどちらかというと事務局的な、専門家もいるのですけど、事務局的な体制になっておりまして、実際の医薬品の新薬の審査について言いますと、申請が上げられてEMAの方が審査するというよりも、各国の規制当局、主だった規制当局、フランスとか、ドイツとか、そういう所の専門家をラポーターと副ラポーターということで指名しまして、その人たちが実際の審査をすることになっております。それで、それがまとまったものがEMAの審議会にかかってくるということで、実際に我々PMDAと比べますと、PMDAはPMDAの中でチームを組んで審査をしていて、その点が違うことになっております。
 したがって、4,500名以上の専門家というのは、確かに常にEMAの業務をやっているわけではなくて、ドイツとか、各規制当局の業務をやっているのですが、EMAの新薬の審査とか、そういうものになったときにはノミネートされて、実際の審査を行っているということになっておりまして、そこで、ちょっとこういう数のカウントをさせていただいた、御説明をさせていただいたということです。大変、分かりにくいところで、申し訳ございません。以上です。
○真野主査
 いや、よく分かりました。聞いてよかったです。ありがとうございました。次は河村先生、お願いします。
○河村構成員
 御説明くださって、ありがとうございます。私からもちょっといろいろあるのですが。今、いろいろな議論が出ていたところもあって、私ごときから申し上げるのも何なのですけど、ちょっと一言、言わせていただければと思うのは、PMDAさん、20年間でものすごい人員の増強を図ってこられて、財政が厳しい中でとおっしゃっていましたけれど。PMDAさんのすごいところは、すごい平たい言葉でまるめて申し上げると、独立採算でやってらっしゃるのですよね、ここの審査業務のところ、そういうことだと思います。この審査に当たってくださっている方の人件費を国が予算で措置しているわけでは基本的にないということですよね、大変、立派なことだと思います。独立行政法人がいろいろあって、運営費交付金が国から出ているところもあれば、PMDAにも一部出ていますけれど、そういう意味では出ていなくて、先ほど御説明があったとおり、基本的に手数料の収入とかで賄ってやってらっしゃるという、そこはなかなかすばらしいところで、独法の性格にもよるのでしょうけど、そこは認識した上で、いろいろ評価していくのがいいのではないかなと思います。
 すみません、私からお尋ねしたいのは、一番最初の健康被害救済業務の評価の所です。ここをお尋ねしたいのは、結果的に指標は1つあって、7ページで御説明くださったように令和4年度は達成度が大変高くて150.3%だけれども、その背後にある要因とかをいろいろ分析してくださっていて、それで、そもそもの請求の件数が12ページのグラフでお示しくださったように下がってきていて、これは御説明のときにコロナの影響もあったのかもという感じでお話くださいましたが、そこをちょっとどのように見てらっしゃるかを、もう少し詳しく御説明いただけませんでしょうか。コロナがあって外に出にくくなったから、例えば予防接種自体はすごく受ける件数が減ってしまったからなのか、それとも何か別の要因があるのかというところを御説明いただければと思います。
 一方、8ページとかで御説明くださったように、国民が救済制度があるということを、みんなが知らなくなってしまっていることはなくて、そのようなことはないようにPMDAさんでいろいろ広報活動もやってくださっていて、実績も確認できていてということですので、国民がこれが、みんな知らなくなって請求をしなくなったということでは全然ないのではないかというか、そういう広報活動を私自身も、ごく一般の立場ですけれど、目にしますので、こういうのがあるのだなと思って、普通に暮らしていて目に入ってくるなと思います。でも、こうやって下がってきたところはどういう要因があるのかというところをどう見ていらっしゃるかを教えて頂けたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構本間救済管理役
 御質問、ありがとうございます。救済管理役の本間です。請求件数の現状についての認識ですけれども、コロナの影響に関しては、例えば厚生労働省の調査の中で、人口に対して入院受療率がコロナ禍の期間に突入をしてから著しく低下をしたという調査結果がありますし、また、厚労省で毎月公表しております病院報告でも入院患者数がコロナ禍前の、例えば2019年の水準にはまだまだ及ばない、10ポイント近く減少した状況にまだあることが示されております。救済給付の請求は、医薬品が投与され、その副作用による健康被害が生じて入院加療した後に私どものほうに手続がなされるというタイムラグもあります。このような実情を踏まえれば、請求件数が近年低調な状況になっているのは正にコロナ禍の影響によるものと認識をしていますし、もう暫くは同様の状況が続くと考えています。
 制度の周知広報に関しては、積極的な広報を創意工夫しながら継続的に行ってきているという状況です。一般の方々や医療関係者における制度認知の状況は、インターネット調査の方法で1つの参考値として経年変化も含めて状況を推し量るための調査を行っておりますが、この調査を開始した第二期中期計画の初年度、平成21年度頃は20%にも達しないというような一般国民の認知状況であったのが、その後、不断に広報活動に取り組み、30%を超えるような状況がこの近年は常態化してきて、令和3年度、4年度と、過去最高の数値となったことを確認できたという状況です。そういう意味では、制度普及については退化していることはなく、一歩一歩ですけれども前進はしていると状況認識している次第です。
○河村構成員
 ありがとうございます。よく分かりました。要するに、コロナというか、感染が広がったことというよりは、社会環境の変化などもいろいろあって、受診行動とか、それから入院をどれだけ受け入れられて、どういう治療行為をされているかということに影響が出ている、そこが請求件数の減に影響しているということですね。分かりました。
 今の御説明も踏まえて、評定の所での意見なのですけれども、改めて、これも私から申し上げるのもどうかなという気もしますけれども、確認ですけど、この委員会のミッションというのは、もともと、この評価を付けるときの、SにするかAにするかBにするかとかというのは、私たちの主観とか、法人の主観とか、厚生労働省の主観ではなくて、国としての統一的な方針があって、そこから判断してどうかというところを、いろいろな見方で議論する、そのためのいろいろな意見を厚生労働省の御参考のために申し上げるための委員だと思うのですが、今日お手元に配られております参考資料2の所に、中期目標管理法人の評価についてという国としての統一的な考え方が示されています。それを見ますと、S評定が付くというのは、定量目標が120%以上+質的な顕著な成果があるか、若しくは100%以上であっても困難度が「高」が付いていて、それで質的に顕著な成果があればというところなのですね、Sが付くというのは。そういうふうに考えますと、ここのPMDAさんの評価項目1-1は重要度も難易度も「高」が付いておりますよね。そして、定量指標がここに出ているように、これは150なわけです、今回。ですから、そうすると、これは要するに質的に顕著な成果があるかどうかというところでSになるかAになるかというところで、PMDAさんは若干、謙虚になされたからという感じもしますが、A評価とされていますけど、ここですね、やはり、ちょっと微妙なところ、私も若しかしてこれではSでもいいのではないかなと感じるようなところもあります。これは、本当に厚生労働省で政策評価官室で御検討いただいけたら、大臣のところで御検討いただけたらと思いますけど、確かに、こういう数字になった結果として、コロナ禍によって患者さん側の受診行動に変化があり、そして病院側でも入院とか受けたときの治療の提供の仕方に変化が出たことの影響とかがあって、こういう請求件数が減っているという中で結果的にこれだけ数字が上がっている。
 一方、広報のほうは努力されていて、実際の認知度が上がっていることは御説明のとおりで、私自身もそう感じますし、いいのではないかと思いますので、問題があるわけでは決してないと。そうした中で、この処理件数がこれだけ高い数字になっているということで、かなり微妙なところ、顕著に質的な成果というのがあるかないかというところの御判断になると思うのですけれど、最後は本当に大臣の御判断だと思うのですけど、本当にもしAにとどめ置くとしても、ここは極めてSに近いAなのではないかなと思いますということで、これは意見を申し上げさせていただきます。
 その関連で、先ほども御指摘が出ていました、今回、逆に評定を下げられた安全対策業務の所がありますよね。ここも先ほど御説明もありましたけれど、それに定量指標の所も踏まえて考えれば、先ほどの参考資料2にある所で見ると、A評定ということでいいのではないのかなと思いますので、そこは国の考え方に即して判断すれば今回はA評定ということでの御判断でよろしいのではないかと思います。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。何か法人からコメント等、特に前半の所はどうですか。よろしいですか。理事長、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構藤原理事長
 理事長の藤原です。Sを頂けるかどうかは厚労省の御裁量なので、私どもは粛々と決定を待つところです。河村委員にはお褒めいただきまして、感謝申し上げます。みんなのやる気がすごく出ると思いますので。
○真野主査
 ありがとうございました。次に松原構成員、お願いします。
○松原構成員
 先ほどから委員にお二人ともおっしゃっていますように、大変な御努力で、成果を上げていらっしゃいまして、本当に敬意を表したいと思います。私からの意見は、ドラッグラグは、正にアメリカに行くぐらいに大変スピードも、質も上げていらっしゃると思います。一方で、これはPMDAさんの問題というよりは、日本の国力が落ちてきていることも大きく影響しているのでしょうが、日本に申請していただけない薬が増えているということが問題になっております。これは、なかなか難しいことですが、1つの側面支援としては、PMDAさんに申請する際に、海外からのバリアを少しでも低くするように、全て英語でできるようにする体制を徹底するとか、そういうことは一部なさっていると思いますが、更なる徹底が必要ではないかと考えております。
 もう1つ、薬害の保証についても、こうした制度があるのは、世界各国を見渡しても日本ぐらいだとお聞きしておりますので、ほかの国では、例えば、薬害が出ても、患者さんが製薬企業と直接戦わなければいけなくて、とてもとても大変なことになっていると聞きますので、簡単でいいので、海外の様子と、日本で唯一こういう制度ができているということを、更に外部に発表していっていただけると大変有り難いと思います。以上です。
○真野主査
 法人からコメントをお願いします。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 松原先生、御指摘ありがとうございました。理事の宇津です。まず、ドラッグロスについては、日本に申請をしないとか、そういう点についてのお答えをまずさせていただきます。
 先生がおっしゃるように、PMDA自体でできること、できないことがあるのも事実です。正におっしゃったように、できることとしては、海外のバリアとおっしゃいましたが、申請しやすくするという点だと理解しております。我々として1つ取り組んでいるのが、我々の考え方、規制のやり方というのが、海外に十分周知されていない部分もあるのではないかということで、まず、英語での発信や説明、そういう点について取組を進めた、しつつあるということです。英語の資料の受入れについては、これまでもできる部分についてはやってきたところで、英語で、国からのレポートとか、そういう実際の資料については英語の提出を認めるということになっております。ただ、日本語で出さなければいけない資料があるのも事実です。これは審議会の関係とか、いろいろなものがありまして、すぐに全部というのはなかなか難しいということです。これについても製薬企業、ステークホルダーとも意見交換をしておりまして、今後、どういうことができるのかということも含めて、我々としても考えていきたいと思っております。正に、我々としてできることをやっていくということは、そのとおりかと認識をしております。以上です。
○真野主査
 松原構成員、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構本間救済管理役
 救済管理役の本間です。救済制度に関する情報発信についての御指摘も頂きましたが、私どもとしても、救済制度が創設された背景や制度の意義、それから、御指摘を頂いた点も含めて、積極的な情報発信を図ってまいりたいと思います。
○真野主査
 ありがとうございます。会場のほうはよろしいですか。会場は、こちらでは見えないものですから。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま会場で石井構成員が挙手なさいました。
○石井構成員
 ありがとうございます。石井です。やはり、私もドラッグロスの所が気になっています。今1つ御説明に、日本のレギュレーションの考え方を十分に理解いただくということがありましたが、何が海外と違って、何が受け入れられて、受け入れられないのか、そういった整理は明確になさっていますか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 海外の方がどういう認識をしているのかというのは、網羅的な調査をしたわけではないのですが、いろいろな意見交換をしている中で出てくるのは、当初、私どもから説明した、まずPMDAはどういう組織で、どういう審査のパフォーマンスなのかということを、今、世界でイノベーティブなものを作っていらっしゃる方、特にベンチャー企業が多いのですが、そういう方々には、そういう情報までは伝わっていないというところがあります。
 ベンチャー以外の製薬企業の方の懸念としては、日本で審査するときには、日本独自の考え方、例えば、日本人の有効性・安全性についてどう評価されるのか、そういう点について、我々が実際にやっていることと、特にグローバル企業、欧米の企業が思っている認識の違いとか、そういうものがあるのは事実です。したがって、そういう点について、実際、どういうことをやっているのか説明していくということを、オープンなシンポジウムとか、そういう所も含めてですが、そういう所で説明をしてきているという状況です。
○石井構成員
 ありがとうございます。そこで考え方があって、日本にそれだったら出しましょうと言ってくれればいいのですが、今の世の中の流れではちょっと避けられているような雰囲気を感じているので、やはり、何か改善すべきところがあれば、もう少し洗い出しが必要だと私自身は思います。
 あと、最初の骨太の所で、アジアの拠点も盛り込んでいらっしゃいますが、もしこのドラッグラグがもっと大きい問題になると、逆に、本当にアジアの拠点になれなくなってしまうのではないかという懸念もありますし、コロナでこの間まで止まっていたような教育的な所も再開された場合に、これが日本のやり方で、こうだということになってしまうと、アジアの人たちがちゃんと振り向いてくれるかどうかというのも、私自身は懸念を少し感じているところですが、その辺りの対策なり、お考えなり、アジアとか全体を含めて、あれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御指摘をありがとうございます。ドラッグロスの観点については、繰り返しになりますが、我々でできるところと、できないところがあるので、やはり、我々でできることというのは、不断なくやっていきたいと思っております。
 アジアの拠点ということですが、アジアの規制当局の状況を考えますと、我々は日米欧という形で、いろいろなガイドラインなどを作っております。アジア当局は、それを導入していこうという流れになっておりますので、そういう意味で欧米と一緒にやってきたところの周知徹底というのは、今後とも重要なポイントになってくるのだろうと思います。
 それから、ドラッグロスの関係でアジアということになりますと、アジアというのは日本にも非常に近い所だと思っておりますので、日本だけではなく、我々とアジアが一緒にやっていく部分もあるのではないかと考えております。例えば、民族的要因という話がありましたが、それは非常に近い所もありますので、そういう意味で言いますと、アジアと一緒にやっていくことがメリットになってくると思っております。そういう点について、一緒にやっていこうということで取組を進めていきたいと思います。
 また、日本で承認になると、日本の審査報告書を使いますと、アジアの規制当局が、その審査報告書を利用して簡略的な審査をしてくれるというお話もありますので、そういう点のメリットも有効に活用していきたいと思っております。
○石井構成員
 ありがとうございます。恐らく、薬害の救済制度、あるいはワクチンの副作用報告、こういったことに関してはものすごい努力をされていて、私もその会議に出ていて関係資料を読ませていただいていますが、これは本当にPMDAの皆さんの努力の賜物だと思います。こちらに関しては改めて感謝申し上げます。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。関連して、少し学問的な話になってしまうかもしれませんが、今、アジア人において、日本人のデータというのはどういう位置付けなのですか。つまり、例えば国際共同治験で、日本人のデータはどの程度要求されているのですか。趣旨と違う質問かもしれませんが。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 先生、御質問ありがとうございます。この御質問の趣旨は、アジアの規制当局で、日本人のデータがどれぐらい使えるかという御趣旨ですか。
○真野主査
 PMDAも日本人のデータを重視するかという点ですね。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 日本の審査においては、国際共同治験の中で、日本人データがどういうことかということについては、2006年、2008年だったか、国際共同治験の考え方というものが通知として出されております。評価としては、1990年代半ばから、外国人データの受入れというのを、外国の検証的試験という、大規模な第Ⅲ相試験の受入れを進めてきました。その評価に当たって、日本人に対しても、外国のデータを評価していいのだという、言ってみればブリッジングという日本と海外との橋を渡すような小規模な試験をやって受け入れるとか、そういう形をやってきたところです。2000年半ばに入って、国際共同治験の考え方を示して、それでは、外国人のデータが、日本人に相関しているかという評価をするということになっております。それではどのぐらいの人数がいるかというのは、明確にこれだというのがないのですが、参考として示しているのが、大体1割から2割入れば、外国人と日本人では、統計的に見てある程度の相関が判断できるのではないかということが言われております。
 したがって、一般的に日本でも試験が容易なものについては、国際共同治験で実施される場合は、大体1割から2割日本人が入っているというのが、通常の臨床開発という形になっております。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。そうしますと、中国などでは、当然、人口も多いのでボリュームも多いと思いますが、今のはグローバルな話で聞いてしまったからいけなかったですが、アジア人だとしても、1割か2割は日本人を入れる。ですから、比較をする場合は、全体の中の1割、2割は。全体というのはアジア人とか、アメリカ人とか、いろいろな人がいるという前提で言っていますが、アジアの人であったとしても、やはり日本人のデータが1割、2割はその中に必要だという話なのですか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御質問ありがとうございます。そのような理解で、原則論で、例えば類薬とかで、これは同じような作用機序だということが分かっているものについては、また別の判断が出るのですが、一般的に言いますと、先生おっしゃるとおり、アジアの国際共同治験においても、日本人が1割~2割というのが、何もデータがないときには、そういう形になっております。
○真野主査
 ありがとうございました。石井先生、よろしいですか。私が途中で引き取ってしまいましたが。
○石井構成員
 はい、結構です。ありがとうございます。
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはいかがですか。割とここがメインのテーマですので、もう少し時間を割いてもいいですが、大丈夫ですか。フロアのほうもよろしいですか。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 フロアでも挙手なさっている構成員の方はおられません。
○真野主査
 ありがとうございました。一度、「令和4年度業務実績評価」については終了とさせていただきます。少し早めですが、「中期目標見込評価」について御議論いただきたいと思います。それでは、法人のほうから説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構岸本執行役員
 引き続きまして、経営企画担当執行役員の岸本から御説明いたします。資料3-1を御覧ください。まず右下、2ページです。ここに縦に、先ほど令和4年度の評価でも御説明した各評価項目があります。横のほうに、令和元年度から令和3年度までの大臣から頂いた確定評価。令和4年度、先ほど説明いたしました我々の自己評価を記載しております。黄色い所が、令和元年から4年を通じた見込み評価についての我々の自己評価を記載しております。令和4年度と全く同じ評価ということになっております。簡単に、各項目について説明してまいりたいと思います。
 3ページ、健康被害救済については、Ⅱの指標の所にあるとおり、120%を超えている年度を青く色付けております。4年度のうち、多くの年度で120%を超えたというところでAとさせていただいております。その他の説明は、令和4年度と基本的に同じなので省略させていただきます。
 5ページ、1-2のスモン患者等に対する給付業務を、同様の考え方でBとしております。
 6ページ、1-3、審査業務については、これも、7ページ以降、それぞれ指標を4年度分並べておりまして、一番下に達成度を記載しております。青い部分の120%超えの部分が、項目によって、年度によって多少ばらつきはあるのですが、多くを占めるというところと、各年度はS評価というところで、見込み評価としても、自己評価はSとさせていただいております。要因分析も、基本的には同じ説明になります。
 評定の根拠の所については、20ページ、令和4年度は、コロナ関連製品に特化して御説明いたしましたが、20ページの上のほうに、法制化された制度という所で御紹介しておりますが、コロナ以外にも、先駆け審査指定品目の医薬品・医療機器や、そういったものについても、迅速な承認に努めてきたというところは追加であるということです。ほかの説明はほぼ同じになりますので、省略いたします。
 続きまして、22ページです。安全対策業務についても、指標としては各年度、ほとんど同じというところです。各年度の評価の実績等も勘案して、自己評価はAと設定させていただいております。説明についても、基本的にはほぼ同じ説明になりますので、省略させていただきます。
 最後に27ページ、ガバナンス体制、人材の確保・育成、広報活動等々です。これについても、指標面も基本的には100%を超えておりますし、設定の根拠の説明も、先ほど令和4年度の所でまとめて御説明したものと同じということで、各年度の評価のばらつきも踏まえて、Bということで評価させていただいております。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。こちらについて、構成員の方から何か御意見とかはいかがですか。
○河村構成員
 御説明くださってありがとうございます。第4期の見込み評価について、全体として御説明くださった内容で、特に大きな異存はございません。一言申し上げたいのは、組織ガバナンスの所です。最後のほうで御説明くださいましたが、この中期目標期間中、振り返ると本当にいろいろなことがあったなということで、C評価が付いた年もありましたし、これはある意味、これだけ急激に人員を増やされて、本当に処理のスピード、審査のスピードがものすごく上がって、アメリカよりもすごいというところまでいって、本当に素晴らしいと思います。やはり、これだけ短い年数の中で、これだけ急激に組織を大きくしながらという例は、本当になかなかない中で、ある意味そういった中で1つ裏の側面みたいな感じで出てきたような所がありますが、やはり、中期目標期間全体を通じて、いろいろお話を伺っておりますと、昨年度についても、いろいろな工夫を法人としてされているということがよく分かりますので、そういったことが一つ一つ実を結ぶ形で、こういうことはなかなか評価が出なくて、良くなっていることというのは、何か評価で捉えられるかというと、そういうことはなくて、やはり、逆に、ネガティブチェックのような形になってしまわざるを得ないところもあります。でも、いろいろ問題視されたりとか、報道されたりとか、何か起きているかと言いますと、そういうことではもうなくなってきていると思います。少しずつそういう取組の効果が出てきているということだと思いますので、是非、この方向で今後も手綱を緩めずに、続けていっていただきたいと思いますし、見込み評価としてはBが付いていますが、これで妥当ではないかと思います。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。ほかの構成員の方はいかがですか。大丈夫ですか。また会場のほうが見えませんが。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 会場でも挙手なさっている構成員の方はおられない状況です。
○真野主査
 はい。こちらは見込みということもあって、そんなに活発な意見は出ないかもしれませんが、よろしいですか。ありがとうございました。少しペースが早いですが、次に移りたいと思います。次は、法人の理事長、監事からのヒアリングということになります。年度・中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、理事長、あるいは監事の方から、今後の法人の業務運営にコメントを頂ければと思います。順序としては、最初に法人の監事の方、次に、法人の理事長からお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構寺林監事
 おはようございます、監事の寺林でございます。私から、令和4事業年度監事監査報告について報告させていただきます。お手元の資料2-4を御覧ください、よろしいでしょうか。監査方法及びその内容については、1ページ目に記させていただいたとおりでございます。ここは省略させていただきます。
 監査結果について、5点報告させていただきます。1.法令遵守状況及び中期目標達成状況ですが、PMDAの業務は理事長のリーダーシップの下、法令等に従い適正に実施され、また、第4期中期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されているものと認めます。
 2.PMDAの内部統制システムの整備とその運用状況。内部統制システムに関する業務方法書の記載内容は相当であると認めます。また、内部統制システムに関する理事長の職務執行について、指摘すべき重大な事項はありません。
 3.役員の職務執行に関する違法、不当な行為。役員の職務執行に関する不正行為又は法令等に違反する重大な事実は認められません。
 4.財務諸表及び決算報告書の適否。①財務諸表及び決算報告書に係わる会計監査人「EY 新日本有限責任監査法人」の監査方法及び結果は相当であると認めます。②会計監査人の職務遂行が適正に行われることを確保するための体制は相当であると認めます。
 5.事業報告書について。事業報告書は、法令等に従い、PMDAの状況を正しく示していると認めます。
 次に、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針等過去の閣議決定において定められた監査事項について、4点意見を述べさせていただきます。1、給与水準の状況、2、随意契約の適正化を含めた入札・契約の状況、3、法人の長の報酬、4、保有資産の見直しについては、いずれも適正に運営されていると認めます。私からは以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。では、引き続き理事長からよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構藤原理事長
 ありがとうございます。今日は皆様方からも貴重な御意見を頂きまして、今年度も皆様方のアドバイスを踏まえて、職務に邁進してまいりたいと改めて思いました。昨年、令和4年度を振り返りますと、コロナの対応は相変わらず大変だったのですけれども、それにもめげずに通常の、コロナ関連以外の審査、救済、安全対策もしっかりやってきたというところは、私どもとしては胸を張れるところかなと改めて思っております。
 具体的に申しますと、健康被害救済業務、先ほど皆様方からもお褒めの言葉を頂いておりますけれども、健康被害救済を非常に頑張っている現状でございまして、認知度も向上してきておりますし、スピードも非常に大変な中、特に最近の健康被害救済の資料の分量がものすごく大部なものになっております。カルテを1枚1枚全部読み直してサマリーを作って、それを解釈しているというプロセスを一度皆様方にもお見せしたいのですけれども、ものすごい作業を皆やりながら、なおかつ被害に遭われた方々をお待たせしないようにというところを徹底しているのを御評価いただき感謝申し上げます。
 先ほど、海外の状況についても松原先生から頂きましたけれども、実際コロナの最中に私、それから、その当時の救済部長の恩田さん、厚労省の林予防接種室長さんと一緒に『ランセット』というイギリスのジャーナルに、日本の健康被害救済業務を紹介するコメントを出しております。かなり反響もありましたけれども、WHO加盟国を見ても、190幾つのうち10数%しかこの健康被害救済業務を導入していませんで、特に先進国、G7をはじめとする先進国には、余りこういう仕組みは存在しておりません。フランスにありますけれども、フランスは本当に稼働しているかというと、そこまで明確に稼働しておりませんし、アメリカは御存じのように訴訟社会なので、無過失補償とかいう概念は存在せずに医者を訴えて、あるいは企業を訴えてということをやっている状況なので、これがもう少し世界に広がっていけばと改めて思いました。
 審査業務につきましては、先ほど申し上げたとおり粛々と進んでおります。非常に少ない人数でやっているということは、御理解いただけたと思います。EMAも1,000人ですけれども、先ほど宇津から申しましたように、ANSMというフランス、あるいはポール・エーリッヒというドイツ、それからイギリスのMHRAはEUから外れましたけれども、どこも1,000人近い職員をフルタイムでかかえていて、その人たちがEMAをサポートしているという体制なので、これと伍しているというのは、私どもの職員がいかに効率的に働いているかという証拠かと思います。
 今後は、タイムクロックは追い付きましたので今、中で職員に言っているのは国際誕生日といい、世界で初めて承認を出す品目が、従来は5%から10%程度しかなかったのを、もう少し引き上げて、世界の3、4割はPMDAが世界で初めて承認するというような機関になりましょうということを目標に掲げて、質的向上を図っているところでございます。
 それから安全対策ですが、何度も話題に出ていますけれども、非常に大変な業務を迅速に行っています。今後につきましては迅速な今の状況、かなり手作業、人海戦術に頼っているところが多いので、2年後に一応システムの改築が完了する予定になっていますが、その辺りに向けて、DXを活用しながら、なるべく職員が目でものを追う、あるいは手書きのFAX等を解釈するという今の状況を少しずつ改善できるように持っていければと思っております。
 コロナワクチンのときも、1日1,000件近いFAXを処理しておりまして、2020年4月にシステム改修して医療機関から電子的に報告できるような仕組みを入れたのですけれども、全然活用してもらえず、報告の10%しか電子報告がなくて、ほかは全部ファックスだったので、手書きを目で見て、それをテータベースに打ち込むという作業をしてから解釈が始まりますので、大変だったので、そこを何とか今後改善できればと今、安全対策部門は頑張っているところです。
 先ほど、河村先生にお褒めの言葉を頂きましてありがとうございます。一時期Cを取った頃は私も来たばかりでどうなるのだろうと思いましたけれども、その後、様々な改革と整備に各職員が邁進してくれまして、非常に一体感をもって今、仕事ができていると思います。今後も、職員の声を吸い上げる内部通報もありますし、みんなの声もありますけれども、それ以外に私が始めた個人面談も、最近は課長級、課長補佐級という人たちを、年に1回は意見を聴くというのを重点的に、5月、6月になると新人で心を病む子がいるので、早めに顔を見て把握しようかというので、新人の面談と共にやっており、部長級の面談は監事さんがやっておりますので、これらを通じて意識統一を図っていければいいと思っていますし、令和3年にやっていた「マジきら会」という、各部単位を対象に大体1時間ちょっとかけて、私と監事とで職員たちと顔を付き合わせて法人の運営についての議論をする会とものを、今後も2回目3回目と続けていければと思っております。
 業務効率化については、昨年度一番大きな話題としては民間人材、これは大手都市銀行から2人の人をヘッドハンティングしてきまして、BPR・DX推進室というのを設置して、PMDA内におります事務総合職で若手の課長の手前の、非常にしっかり働ける人材を配置して、管理システム改修のところを、今、重点的にこの1年やっておりました。
 これをもっと広げていければと思っております以前に比べたら業務効率化は民間の知恵も借りつつかなり進んでいるかと思います。
 最後、国際部門です。先ほどから石井先生を始めとして、いろいろな御助言を頂き大変有り難いことです。私どもの危機意識としては、このまま放っておくと日本が世界から置いていかれると、非常にひしひしと感じておりますので、薬事の分野として、何とかそれを止めるために何ができるかということをいろいろ考えて、アジアと米国に拠点を設けるとか、アジアトレセンを更に強化するとかを予定しております。
 私、こちらに赴任してからコロナ禍前後は毎月1回ぐらい海外に行っているのです。向こうの規制当局の人たちと顔を合わせて、いろいろな話をして、直接その人たちの意見や不満を聴くように心がけております。そういうものを聴きながら、WHOの用語で言えばリライアンスと言いますけれども、人間関係の信頼感というものが国と国との対応においても非常に大事になりますので、それを今後も重視して、例えば、アジア拠点はアセアンを重点的にそこの職員は回って、御用聞きではないですけれども、各国規制当局の人たち、あるいは製薬会社の人たちが何を問題意識として感じているかというのを常に把握して回るということを考えております。アメリカの拠点についても、これも今年から始めているのですけれども、今年の6月に、ボストンに私どもの職員が行きまして、いくつかの学会に参加し、ベンチャーや中小の製薬メーカーの人たちと直接話をする機会を設けたり、ケンブリッジの辺りのベンチャーキャピタルの人たち、あるいはベンチャーの人たちと直接意見交換をして、日本が如何にそこの人たちに認識されていないかということをひしひしと感じました。それを心にとめて、アメリカ拠点ができたらJETROさんや在米の大使館さんと一緒に日本の薬事行政はICHに基づいて世界標準、何も心配いりません。英語をしゃべれる職員もたくさんいます。ですから開発を是非、日本でもやってくださいという働きかけを今後やっていこうと考えております。以上、今後ともよろしくお願いいたします。
○真野主査
 ありがとうございました。組織の話はまた後で出てくるかもしれませんが、今の監事・理事長の言葉に対して、時間もありますので、コメント、意見交換ができればと思います。いかがでしょうか。私のほうから。フロアで石井先生が聞かれている。いいですよ、先にそちらで。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 フロアで五十嵐構成員が挙手をなさいました。
○真野主査
 五十嵐先生、お願いします。
○五十嵐構成員
 先ほどの年度評価の所の資料にもありましたけれども、事業体として人員規模が急成長してきて今に至っているわけですが、現在の業務の全体として考えたときに、そろそろ今の規模が人員規模適正とお考えなのか、それとも、まだまだ右肩上がりで増やしていく必要があるという認識なのか、その辺を伺いたいと思います。
○真野主査
 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の河野です。御質問ありがとうございます。先ほどの資料のほうにもありましたとおり、現在でも政府の決定文書においてもPMDAに対する役割の更なる期待が、感じられていることもございます。また、既存の業務につきましても、コロナ対応をいろいろさせていただきましたが、それをきちんと対応しながら通常の業務も行うということを考えますと、今の組織体制だけでこれを維持し続けることができるかは、やはり我々としても考えていく必要があるかと思います。そうしたときに、また次の中期計画に向けてということになろうかとは思いますが、ステークホルダー、その他の所管の省庁の皆様、そういった方々からも意見を頂きながら、今後の体制については、また前向きに考えていきたいと思っております。
○真野主査
 五十嵐構成員、よろしいですか。
○五十嵐構成員
 そうすると、具体的に、例えば何人規模ぐらいが適正だとか、そういった発想は特にないのですかね。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 次の中期計画に向けてそこをどうするかは、まさに法人の中でも議論を始めておりますし、それに基づきまして、また関係の方々とも意見を交わしていきたいと思っております。
○五十嵐構成員
 そうすると、今の段階でこのぐらいとは言えないということですか。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 現時点では具体的には難しく思います。
○五十嵐構成員
 分かりました。
 いろいろな組織の作り方とかマネジメントの仕方に非常に影響するので、財政規模と人員規模はすごく大きなあれなので、その前提がないと次の話、議論も難しいかと思って質問したのですが、いずれにしろ、まだ言えないということであれば、それはそれで結構でございます。ありがとうございます。
○真野主査
 いずれにしても、中期計画の所で揉んでいるという理解をしたところでありますけれどもね。ほかの方はどうですか。私、先ほど理事長が言われた、PMDAに最初に申請が来るような製品がある程度の割合で増えれば素晴らしいという話で、そのために一歩一歩進んでいて、もし、そういう話になれば当然ドラッグラグ・ロスなんかの話も減るはずだと思って、非常にいい話だと思うんですが、それで関連で少し大きな話になりますけれど、DXといいますか、FAXでという話もありました。あれも安全のほうかしれませんけど、申請資料というのは、国際的には、例えばFDAとかは割と電子的にやっているものなのでしょうか。あるいは、もしそうだとすると、日本でも少しずつそのように変化はしてきていると思いますが、更なるDX化について何か御意見を伺えればと思います。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 真野先生、御質問ありがとうございます。理事の宇津でございます。申請の資料という観点で申し上げますと、ICHという日米欧でスタートした産業界と規制当局の集まりがありまして、その中で申請の資料の共通化というのが図られました。コモン・テクニカル・ドキュメントというものですけれども、それについては全て電送も可能にするということで、エレクトリックCTDが国際的にも合意されております。したがって、日本もアメリカもEUも、全て電子的な申請ができるという形になっています。あと、安全対策については、副作用報告も電子的なフォーマットというのができておりまして、それも電送で出すということになっております。したがって、資料については、電子的な提出ができるようになったのですけれども、今後それをどのように評価していくかというのは、まだ各規制当局でまちまちでございます。
 安全対策に関しては、報告が電送で送られてきたものについても、人が評価していくことになってきますので、安全性情報がどんどん増えてまいりますと、人海戦術でやるのであれば、人をどんどん増やしていかないといけないという形になってまいります。これについては世界的にも、製薬企業も含めてですけれども、効率化を図らないといけないという問題意識が出ておりまして、ロボティックス、今流行りのAIとか、そういうものの活用についてどこまでできるのか、それに必要な対応というのは何だろうかというところが議論になってきていると、そういう段階にあると認識しております。以上です。
○真野主査
 よく分かりました。ありがとうございます。ほかの先生方、よろしいですか。田宮先生、お願いします。
○田宮構成員
 いろいろ工夫されているようで、ありがとうございます。先ほどお話の中に副作用データベースを構築している、今も正にお話にも出ていましたけれども、とても重要なことなので、それについてもう少しお伺いできればと思います。DXの中にあって、その後の副作用情報の追跡とか、ほかの情報、NDBとかMID-NETとかいろいろ工夫されて駆使して作られるようですが、その副作用情報の長期的なフォローとか、そういうこともできるのかも含めて、副作用データベースについてもうちょっと教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御質問ありがとうございます。副作用データベースといいますと、我々が今、持っている副作用データベースというのは、個別の症例報告を挙げていただいたものをデータベース化して持っているというのが1つあります。それから、安全対策としてデータベースとして活用するというのは、それ以外に電子カルテの情報とかレセプトの情報、これは先生がおっしゃったようにNDBとかMID-NET、そういったものを使って、こちらはどちらかというと疫学的な評価をするために用いるものです。
 したがって、我々の安全対策の評価のやり方としては、まず個別の副作用報告で挙げられたものを集団で見るという、個別副作用報告をまとめたデータベース、そちらでまず何か危ないのではないか、そういうシグナルを見つける形で評価をします。それで、安全対策ができるものはそれでやりますし、さらに、本当に医薬品等の副作用をもう少ししっかり見ないといけないというものになると、対照群をおいて評価をしなければいけなくなりますので、そちらについては、例えばNDBとかMID-NETを使って、薬を使った人、薬を使っていない人との比較評価をする、薬剤疫学的な評価を行っていく、そういう2段階の使い方をデータベースで考えています。うまく説明できたか分かりませんけれども、データベースというのは、そういう使い方をしています。
○田宮構成員
 ありがとうございます。そうすると、二本立てで、症例報告があったものの報告ベースのものと、そこからシグナルを見つけて今度は研究計画を立てて、コントロールを付けたビッグデータで見ていく、その二本立てという感じなのですね。ただ、思いましたのは、前者のほうですね。症例報告につきましては、1回症例報告があったらその後のフォローといいますか、その方がどうなったかというのが、ある程度フォローできるのかということが1つ。恐らく難しいのですけれども、そういう方たちをビッグデータの中でアイデンティファイするのは、多分匿名化しているから難しいとは思いますが、2つの方法があるというのはよく分かりました。ただ、両方が有機的にリンクするといいのではないかと思いましたので、その辺の仕組みがどうなのか、今後の可能性も含めてもうちょっと教えてもらえますか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御質問ありがとうございます。そのとおりでして、いろいろなデータベースがあって、シグナル検出とシグナルの検証という2段階構えでやっております。個別副作用報告で上がってくるのは、日本人のデータもありますし海外からのデータもありますので、個別報告は日本人と海外のデータも合わせてデータベース化しているということでございます。それから、長期のフォローというのは、なかなか難しいところですけれども、副作用が継続しているということになると、副作用報告の追加報告というのがその都度出てくる場合もあります。ただ多分、先生がおっしゃっているのは、かなり長期のフォローが必要な、年を跨ぐ報告ということになってきますと、それは継続的な報告という形では確かに難しいかと思います。
 したがって、そういうものについては、個別の副作用報告というよりは、いろいろなその他の情報を踏まえて、必要があればそれを薬剤疫学的な検討をするとか、そういった別の評価というのが必要になってくると、そう考えております。以上です。
○田宮構成員
 ありがとうございます。中には最初のものだけではなく長期的にどのように続いているのか、服用状況はどうかとか、その辺のことも1個1個の症例を大事にフォローしていくというのも。というのは、ビッグデータだけだと、なかなか症状とかは難しいのですよね、把握できないところも多いので。その辺の個別の情報をできるだけ追っていくことと、そこからビッグデータをうまく活用する、その辺を是非、とても大事な拠点だと思うので頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
○真野主査
 ありがとうございました。今のに関連して、今、割と流行りのリアルワールドデータですね。リアルワールドデータの活用も、安全性と、場合によっては治験のほうもあるかもしれませんが、その辺り何かPMDAの考えとかあれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御質問ありがとうございます。リアルワールドデータは、正に先生がおっしゃったように注目のものです。それで、リアルワールドデータについては、様々な使い方があるのだろうということで認識しております。例えば、先生がおっしゃったように安全性の評価のこともあれば、承認審査に使うデータもあると思います。それで、安全対策の形で使うことになりますと、今は個別の副作用報告というもので安全対策をやっておりますけれども、かなり広く集めている。それから、因果関係があるかどうか分からないものまで扱っているということになります。一方、承認申請で使うとなると、現在の治験というのは、診断が正しいか、患者背景がそろっているかとか、そういう厳密な調整をして行われるのですけれども、リアルワールドデータというのは、例えば診断が統一化されているかということもありませんし、検査方法も精度管理ができるかというのをやっていません。そういうことで、審査に使う場合、安全対策に使う場合、リアルワールドデータのデータのクリーニングとかいうことも含めて、かなり段階によって違いがあるだろうと認識しております。
 そういう意味で、リアルワールドデータエビデンスを、まず使いやすいというのは安全対策だろうということで考えております。一方で、審査の中においても、仮に、例えば臨床試験が非常に難しいような領域があります。対照群を置いた試験が長期に渡る評価が必要であったり、患者数が少なくて統計的な差ができない、倫理的に対照群、プラセボを置けないといったものがあります。そういったものについては、例えばリアルワールドデータをヒストリカルデータとして、対照群において治験薬群だけを単群で行って比較をするという形もあると思います。
 そういうことで、承認審査となりますと臨床試験等ができるのかどうかということで、やはり臨床試験でありますと、かなりバイアスを下げた形で評価されますので、そういったものとエビデンスレベルとして置き変えていいものかどうか、そういう観点が出てくるかと思っております。したがって、我々として安全対策ではリアルワールドデータエビデンスというのは積極的に使ってまいりますし、審査についても、臨床試験がなかなか難しいような希少疾病や、対照群を置きにくいようなものについて使っていくというのが、現実的なプロセスだろうと考えております。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。よく分かりました。ほかの先生方、よろしいですか。
○田宮構成員
 度々すみません。ありがとうございます。先ほどの二本立ての話と、安全性評価については二本立てで、今の承認のほうは、リアルワールドデータはこれから課題が大きいとかよく分かりました。やはり安全性のほうで、もう少し伺いたいのが、症例報告が最初のトリガーにはなって、そこはお話があったように、因果関係は分からなくても、ちょっとおかしいなと思ったら症例報告をするようになっていると伺いました。その薬機法などにも明記してあって、そういうものを見つけたら報告するのが努力義務であると明文化されていると事前に伺っています。
 ただ、そこのハードルがどのようなものかというのが、やはり現場で見つけて、あれっと思ったことをきちんとできるだけ吸い上げて、それを集めて、それから、シグナルとしてビッグデータというときに、第一関門として一般の症例報告、安全性の報告、そういうのがいかに、大変ですけれども、ちょっと変だなと思っただけでも上がるシステムというのが、フロントとしてとても大事かと想うのです。その辺はどのようになっていますか。改善しているのか、その辺の工夫の方法、システムも教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 御質問ありがとうございます。正におっしゃるとおりでして、報告を挙げてもらうというのが出発点になるところであります。それで、例えば副作用報告の医療機関報告というものが、これは医師、医療関係者からPMDAに直接報告を挙げていただくのですけれども、それについて、報告を挙げていただきたいということで周知活動も行っておりますし、先ほど理事長から話があったように、電子的な報告ということで整備もしてきているところです。そういうことで、引き続きではありますけれども、そういった報告を挙げていただくことに対して、我々としても努力をしていきたいと思っております。以上です。
○田宮構成員
 是非第一線として大事なので。あと、ファックスが多いというのも、ここでしたかね。そこもあれですね。ファックスでなくてデジタルで、もう一歩進めて周知していただいてと思いますけれども、御苦労されていると思います。
○医薬品医療機器総合機構宇津理事
 そのとおりで、ファックスというのは医療機関から挙がってくるものについては、まだファックスが多かったということですけれど、ただ、この数年でも、かなりというか段階的に、電子的なものも増えてきたというのは事実であります。企業から来るものについては、先ほど御質問があったように、電子的な報告というのが国際的にもフォーマット化されておりまして、企業から来るのが大体電子的なものになっているという状況でございます。以上です。
○田宮構成員
 市場に出てからのフォローという意味では、医療機関からの情報がすごく重要なので、引き続き広報周知と、それから、報告しやすいシステムを是非頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○真野主査
 医療機関側のDXの遅れもあるので、なかなか。
○田宮構成員
 そうなんですよね。
○真野主査
 なかなかPMDAだけでは難しいところはあると思いますけどね。
○田宮構成員
 そうです。
○真野主査
 ありがとうございました。では、大分議論も弾みましたが、よろしいですかね。
 それでは、今日は、もう1つ議題がありまして、「業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容について」ということで、最後の議題ですけれども、こちらを最後にしたいと想います。それでは、見直した内容について法人所管課室からポイントを絞って簡潔に御説明いただけますか。その後に構成員との質疑応答という形にしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課長
 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課です。では、資料4を用いて次期中期目標における業務及び組織の見直しの方向性の案について御説明をいたします。まず、背景です。「近年」と書いてありますが、mRNAワクチンやプログラム医療機器をはじめとする、これまで前例のなかった革新的な医薬品・医療機器等が申請・承認されており、医薬品や医療機器等におけるテクノロジーの発展が加速しております。
 また、海外で承認されているにも関わらず、日本では承認されていない国内未承認薬が日本で開発に着手すらされないという問題である「ドラッグロス」等が新たな患者アクセスの課題と捉えられております。
 こうした状況を踏まえ、機構の業務運営の更なる効率化及び質の向上を図るべく、今から御説明するような方向で見直しを行うこととしたいと考えております。第一に、事務及び事業の見直しです。
 Ⅰの健康被害救済給付業務です。1の周知広報ですが、こちらは「救済されるべき」のところに書いてありますが、救済されるべき健康被害者が確実に救済されるためには、引き続き、より多く国民の方々に救済制度を知ってもらうことが必要不可欠であるということです。加えて、患者が救済制度を利用する上で、医師と円滑にコミュニケーションを取ることが重要となることから、医療関係者への制度周知も行っていく必要があるということです。こうした状況を踏まえ、引き続き広報活動の積極的な展開を図ることとしております。
 続いて、2の救済給付事務の効率化です。救済給付の請求・届出のオンライン化や、請求書類の合理化・縮減を行い、請求者・受給者の負担軽減及び業務効率化の推進を図ることとしております。
 それから、Ⅱのスモン患者等に対する給付業務です。こちらは、個人情報に特に配慮しつつ、引き続き着実に業務を実施することとしております。
 続いて、Ⅲの審査業務です。1のより効率的で質の高い承認審査ですが、「今後は」の所に書いてありますが、引き続き世界最速レベルの審査期間を堅持するとともに、申請電子データ等の活用や承認審査に係るオンライン化の推進を通じて、より効率的で質の高い承認審査を行うこととしております。また、イノベーションの早期実用化支援を強化するため、学会との連携や先端技術の情報収集等の新イノベーションに対し、先回りして開発環境の整備を図るといったこと。それから、これらに加え、GMP調査の質の向上等に向けた、都道府県を含めた関係者との積極的な取組に加え、国際的な取組への協力を行い、医薬品・医療機器等の品質確保を図ることとしております。
 次は、2のドラッグロス・デバイスロスの解消です。海外で承認されているにも関わらず、日本で開発に着手されていない医薬品・医療機器のうち、ベンチャー企業発や、希少疾病用・小児用といった患者ニーズの高い医薬品・医療機器の割合が比較的多くなっている状況です。いわゆる今年の骨太の方針においても、「小児用・希少疾病用等の未承認薬の解消に向けた薬事上の措置と承認審査体制の強化等を推進する」といった内容が盛り込まれたところでもあります。こうした状況を踏まえ、希少疾病用医薬品、小児用医薬品などの患者ニーズの高い医薬品・医療機器等の早期承認の支援体制の強化を図るとしております。
 続いて、3のプログラム医療機器の承認審査体制の強化です。プログラム医療機器の開発は、これまでの医療機器開発企業と異なる他業種が主流となっている面もありますので、そうした特殊性に応じた相談・審査体制を別途構築し、きめ細かなサポート等を行うことが必要不可欠であります。こちらに記載もありますが、骨太の方針での記載もありますので、こうしたことも踏まえながら、プログラム医療機器の相談・審査体制の強化を図ることとしております。
 続いて、Ⅳの安全対策業務です。1の安全性情報の収集については、医薬品・医療機器の副作用報告等の件数が過去と比べて大幅に増加しており、かつ、増加傾向にもあるというようなことです。このような状況の中、医療機器等の製品特性に応じた情報収集を効果的に行うための検討や、医薬関係者及び患者からの電子的な報告の推進による情報収集の効率化、患者・医薬関係者からの情報収集の更なる強化を図ることとしております。
 2の安全性情報の分析については、安全性情報の分析・リスクマネジメント能力向上のため、リアルワールドデータに基づく薬剤疫学的分析の活用推進による安全対策の質の向上、副作用報告の集計・分析評価等におけるDXの推進による業務の質の向上と効率化に引き続き取り組むとしております。
 3の安全性情報の提供については、「こうした状況を踏まえ」のところに書いておりますが、電子お薬手帳等を活用した一般向け情報提供や、医薬関係者向け情報提供のより効果的な周知と更なる利活用を促進し、引き続き安全対策の強化・充実を図るとしております。
 続いて、Ⅴのレギュラトリーサイエンスの推進です。第4期中期目標期間においても、外部機関との協力・連携によるレギュラトリーサイエンスの研究、人事交流や長期派遣研修等を進めてきたところですが、引き続き、人材力の強化、科学的エビデンスの充実・強化、発信力の強化を図ることとしております。
 続いて、Ⅵの国際化の推進です。こちらの真ん中に骨太の方針の記載もありますが、薬事規制調和の加速に向け、アジア地域における協力基盤の整備及び日本の薬事規制に係る知識・経験を提供するアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの活動を強化するため、アジア拠点の整備を図るとしております。また、「ドラッグロス・デバイスロス」対策として、海外のベンチャー企業等に対する我が国の薬事制度の理解に資する積極的な情報発信と、海外のベンチャー企業等が機構に相談しやすい体制を強化するため米国拠点の整備を図るとしております。あとは、多国間協力への一層の貢献を図るとしております。
 次は、第2の組織に関する見直しです。世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器等の実用化の促進に向け、専門性の高い有用な人材の効率的な育成・確保を図るとともに、必要な体制の強化を図るなど、業務運営体制の継続的な見直しを行うこととしております。
 第3の業務全般に関する見直しです。まず、Ⅰの業務運営の効率化としては、業務プロセスの見直し、DXを始めとするデジタル技術の活用により、業務運営の更なる効率化及び質の向上を図ること。
 Ⅱの内部統制の強化としては、引き続き組織横断的にリスク情報の共有化に取り組むとともに、拡大した組織を適切に運営するためのガバナンス体制を維持するため、管理部門の強化を図ることとしております。
 Ⅲの人材の育成・確保については、専門性を高めるための外部機関との交流を含め、計画的かつ中立性に配慮した人材確保及び人材育成を行うほか、ワークスタイルや執務環境の改善等に取り組むこととしております。
 Ⅳの財務ガバナンスの強化については、適切な収入見積り及び厳格な予算執行管理を実施することで、持続的で長期に安定した財政運営の確立に一層努めることとしております。
 最後に、Ⅴの情報セキュリティの強化ですが、こちらについては、引き続き、情報システムの適切な整備及び管理を行うこと、また、サイバーセキュリティ対策を強化することとしております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、議論に入りたいと思います。いかがでしょうか。最初に私から確認です。これは文言を捉えるだけのような話ですが、最初に、ドラッグロス・デバイスロスという表現があり、デバイスロスは可能性になって、ドラッグロスはもう生じているみたいな書きぶりですが、これは何か意図があってそのようにされたのかどうかというのが1つ。
 もう1つは、プログラム機器の場合に、幅広にいろいろ企業があるという話で、何か対応を変えなければいけないような言葉があったのですが、もう少し具体的にいうとすれば、どんなことでしょうか。この2つをお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課長
 まず、デバイスロスは可能性のところですが、ドラッグロスについては厚生労働省で整理したデータがあり、はっきりとこうしたことを申し上げているわけですが、デバイスロスについては、そこまで明確なデータがないものですから、あくまで可能性ということでここでは書かせていただいております。ただ、ドラッグロスと同じようなことが強く類推されますので、このようなことで課題としては位置付けしているところです。
○真野主査
 分かりました。ありがとうございます。もう1つは。
○医薬・生活衛生局総務課長
 2つ目については、SaMD、プログラム医療機器については、いろいろなベンチャーも含めて参入している業界が今までとはかなり異なる層ですので、プログラムですから、薬事に関してなかなか馴染みがないような所から参入しており、いろいろな配慮が必要だということで、こういった方向性の中でも記載をしているということです。どういった業界から特に来ているのか、そこまでの細かな数字は、今、手元にないものですから申し訳ございません。
○真野主査
 では、具体的に何かしているというのではなく、配慮していかなければいけないだろうという、あくまで方向性ということですね。
○医薬・生活衛生局総務課長
 今、当然、プログラム医療機器の申請は来ており、そういった経験の中で、やはり、なかなか薬事に馴染みがないので、サポートが必要なことはPMDAからもよく聞いているところです。
○真野主査
 プログラム医療機器の会社も医師が絡んでいたり、ある程度、医療関係の人が絡んでいる感じはありますが、やはり、それでもあれですか。少なくとも、今までのは全くの他業種から来たというよりも、そのような医療関係の人が絡んでいた印象ですが、そのようなことでもないということですね。
○医薬品医療機器総合機構河野組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の河野です。今の御説明に対して現場の実態を少し補足させていただきます。この分野は従来の医療機器メーカーだけではなく、例えば、Apple Watchに新たに心電図のソフトを導入するといった事例もありますが、これも医療機器・SaMDであったりします。そういった従来の医療機器開発になかなか馴染みのない方々も開発に意欲を持って相談に来られたり、承認申請されているという実態もございます。
 我々としても、そういった方々がどこに相談に行っていいかもよく分からないといった実態もあると伺っておりますので、PMDAの中に一元的なそのような相談窓口を設けてフォローしたりというようなことを行っていますが、今後、更にそういった充実強化を求められていると私どもは理解しているところです。
○真野主査
 相談レベルだと本当にいろいろありそうですね。よく分かりました。ありがとうございます。では、河村先生、お願いします。
○河村構成員
 御説明ありがとうございます。次期中期目標期間に向けて講ずる措置というか、国としての考え方の方向性がよく分かりました。御指摘くださっている課題も全てごもっともで、ただ、これを受け止めるPMDAさんもこれだけ課題があるということでは、本当に大変でいらっしゃるなと思います。
 私から御質問したいのは、これだけ大変なミッションが更にPMDAさんにかかっていく中での国との役割分担というか、特にお金の面で確認をお願いできればと思います。健康被害救済にしても、震災業務にしても、既にいろいろな高い水準の定量目標の達成を続けてこられていますが、やはり、更なる改善のためには、DX化、オンライン化も含めたいろいろな処理事務の効率化を確実にする。効率的にする。あとは、実際にアプライ、申請して来る側の負担の軽減もあります。
 そこがすごく大事だと思うのですが、先ほども少し話に出ましたが、審査業務とそれ以外の被害の救済業務等は、やはり位置付けが違っており、運営費交付金が国から出る、出ないという差が元々あるとは思うのですが、そういった辺り、DX化を進めるときに、PMDAさん側のシステムをきちんと整備してオンライン化に対応できる部分と、それから、世の中に訴え掛けていく。それから、医療機関側の対応も必要という話が先ほども真野先生からありましたが、そちらの面もあると思います。PMDAさんが担っている業務にいろいろと差があり、独立的にやっている所とそうでないお仕事とあると思います。
 全体として、こうしてDX化を進めていく中で、それこそ、システム改修や設備投資も相当な金額がかかることは簡単に想像がつく話ですが、今回のこの見直しの方向性が打ち出されるに際して、少しこの部分に対応して国としても運営費交付金の面などで、事業によっては運営費交付金が出るような事業に関しては、いろいろと御配慮が頂けるようなところがあるのか、それとも、やはり、あくまでPMDAさんの中でお金も遣り繰りしてという方向なのか、その辺を本省としてどのようにお考えになっておられるのか教えていただけたら有り難いです。よろしくお願いいたします。
○医薬・生活衛生局総務課長
 おっしゃるとおり、DX等を推進するのは、大変大事なことですので、我々としてもそういった支援は行っていきたいとは考えております。ただ、予算措置については、毎年度、毎年度の財務当局との調整の中でありますので、そこは、今この場で何か言えることはないのですが、そこは我々としても、当然バックアップをしていきたいという気持ちは十分持っているということです。
○河村構成員
 ですから、それは審査業務等でもそこは少しバックアップすることはあり得るということですか。ここは基本的に独立採算的な考え方でやっていらっしゃるから、その範囲でという感じになってしまうのですか。それも財務省との相談結果次第ですか。
○医薬・生活衛生局総務課長
 審査は基本的に審査手数料で賄っている世界だという認識なので、どちらかというと、そちらの世界でやられるのかと考えておりますが、そこは個別具体的にどのようなもの向けなのか、そういったことを踏まえながら、適宜判断していくことかと思います。
○河村構成員
 分かりました。ありがとうございます。財務当局との調整もおありだと思いますが、やはり設備投資の負担がそれなりにあると思いますので、是非よろしくお願いします。PMDAさんの自己収入で全部となると、それも大変かなという気もしますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。ほかの方はいかがですか。フロアも含めてよろしいですか。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 フロアで挙手をなさっている構成員の方はおられません。
○真野主査
 大丈夫ですか。よろしいですか。それでは、議論は以上とさせていただきます。それでは、これが業務・組織全般の見直しの議論になりますので、法人所管課室におかれましては、構成員の皆様から本日いただきました御意見を踏まえていただき、見直し内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。
 ということで、若干早いですが、以上で本日の議事は終了となります。最後に、事務局からお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました医薬品医療機器総合機構の「令和4年度業務実績評価」及び「中期目標期間見込評価」については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。
 また、「業務・組織全般の見直し」の内容についても、同様に、本WGにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。
 決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 なお、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」の内容については、独立行政法人評価制度委員会へ通知後、同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することとなります。そして、その次期中期目標案について、来年1月以降、独立行政法人評価制度委員会の審議に付されることが予定されているため、次期中期目標案等についても、来年1月頃に本WGでの意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思います。長時間にわたり熱心な御議論、あるいは議事進行に御協力いただきありがとうございました。それでは、これで終了となります。ありがとうございました。