2023年7月31日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第32回) 議事録

日時

令和5年7月31日(月)10:01~11:48

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 講堂

出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、太田構成員、河村構成員、鈴木構成員、田宮構成員、名里構成員、松原構成員、三田構成員

議事

議事内容

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐 
 それでは、ただいまから第32回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の岡崎でございます。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。今回の会議は、対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡になりますが、会議中は御自身が御発言される場合以外は、マイクをオフにして音声ミュート状態にしていただくようお願いします。また、質疑応答などの際に御発言の希望がある場合には、Webexの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりましたら、再度、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 本WGの各構成員の紹介については、会議資料の配布をもって省略させていただきますが、令和5年度から就任される構成員について御紹介させていただきます。石渡構成員の後任として就任した鈴木敏彦構成員です。鈴木構成員から、一言、御挨拶いただければ幸いです。
 
○鈴木構成員
 今年度よりお手伝いをさせていただくことになりました、淑徳大学の鈴木でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐 
 次に、本日の出席状況について御報告します。本日は五十嵐構成員、石井構成員、鈴木構成員、名里構成員が会場での御参加、真野主査、太田構成員、河村構成員、田宮構成員、松原構成員、三田構成員がオンラインでの参加になります。
 本WGの開始に当たり、参事官の石塚より御挨拶申し上げます。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 皆さん、おはようございます。参事官の石塚でございます。今日はお暑い中、またオンラインの参加ということで参集いただきましてありがとうございます。ちょっと部屋が暑くなってますけれども、恐らくこれから下がっていくのではないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。今日は活発な議論等をしていただけるよう、よろしくお願いしたいと思います。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐 
 資料について御説明いたします。本日の資料に関してはお手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におきましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1~資料4まで、参考資料が1~6までとなります。資料の不足がございましたらお知らせください。
 それでは、真野主査、議事の進行をお願いいたします。
 
○真野主査
 それでは、よろしくお願いします。今回は、福祉医療機構についての、令和4年度業務実績評価と中期目標期間の実績評価に関わる意見聴取となります。これは例年そうですが、法人のほうから各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いただいて、その後、評価の内容を中心に構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思っております。2時間ほどを予定しておりますので、円滑な運営に御協力をお願いしたいと思います。
 では、早速、始めていきます。先ほど申しましたように、令和4年度の業務実績評価と中期目標の実績評価とあるわけですが、まず令和4年度の業務実績評価、こちらがメインになりますが、お願いしたいと思います。では、法人から簡潔に御説明いただいて、その後、こちらの構成員からいろいろ質問していくという順番で進めていきたいと思います。それでは、法人のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 おはようございます。福祉医療機構の林田と申します。私から、令和4年度福祉医療機構の業務実績を説明させていただきます。資料については2-1パワーポイント資料になります。なお、説明の際のページ番号については、画面の資料ごとの右下に番号を振っておりますので、そちらの番号で御案内をいたします。
 それでは、まず1ページからお願いいたします。独立行政法人の位置付けと福祉医療機構の事業概要です。資料上段の体系図のとおり、法律に基づく社会福祉法や医療法など、各個別法の目的に則しまして、国や地方公共団体により、地域共生社会や地域医療構想などの各種政策・プランが策定される中、独立行政法人は国の行政活動の実施機関として位置付けられています。
 それらを踏まえ、下段、機構事業体系図のとおり、私どもは福祉医療貸付事業や退職手当共済事業をはじめとする全11事業を一体的に実施することにより、主務官庁である厚生労働省並びにこども家庭庁の政策実現に取り組んでいるところです。これらの活動のアウトカムについては、独立行政法人通則法に定められた独立行政法人の使命である国民生活の安定と社会経済の健全な発展への貢献という形で表わされることになります。
 2ページをお願いいたします。令和4年度業務実績の自己評価一覧です。こちらは、1-1「福祉医療貸付」、1-2「福祉医療経営指導」、1-4「退職手当共済」、1-6「WAM NET」、この4事業をA評価、そのほかはB評価としており、令和3年度と同様の自己評価となりました。なお、1-7にあります年金担保・労災年金担保貸付事業については、令和3年度末に新規貸付けを終了し、第4期中期目標等も変更され、令和4年度からはそれぞれの債権管理回収業務を開始しておりますので、今回から事業名が変更となっております。業務の実績並びに評価の根拠等については、各事業の説明資料により御説明いたします。
 3ページをお願いいたします。福祉医療貸付事業です。本事業は、民間の福祉医療施設の整備に必要な資金を政策融資の役割を踏まえ、長期・固定・低利で融資しています。政策優先度に則し、介護基盤整備、待機児童の解消、地域医療構想に基づく施設整備などへの融資に加え、令和2年度から実施した新型コロナ対応の緊急融資を令和4年度も継続するなど、様々なニーズに対応して地域における福祉医療施設の基盤整備を支援しております。
 4ページをお願いいたします。中期目標の内容です。貸付事業では、貸付制度の周知・広報回数、協調融資金融機関数の拡大、さらには債権悪化未然防止のためのフォローアップ、この3つの目標が設定されております。その達成状況については、資料中段に記載のとおり、全ての目標項目において120%超の達成度となりました。
 5ページをお願いいたします。評定根拠です。1つ目、政策融資の取組としまして、国の福祉医療政策と連携して、医療及び介護の総合的な確保を推進する施設整備や新子育て安心プランをはじめとする各種プランなど、政策優先度に則した効果的かつ効率的な政策融資を実施しております。また、一時期のピークは過ぎましたが、コロナ融資については、令和4年度も状況を踏まえ、優遇融資の内容を見直しつつ、引き続き実施いたしました。さらに、コロナ禍以後を見据え、令和4年度においては今回のコロナ感染拡大を機に、感染症対策のための施設整備の必要性が高まったことを受け、感染者用の個室化や専用病床の整備、換気空調設備などの設置・整備について優遇融資を創設しております。また、令和5年度から、コロナ資金の残高を有する施設が施策に基づく老朽整備や耐震化整備、また報酬改定等による機能変更など、必要性の高い整備がコロナ融資を理由に滞ることのないよう、本来必要な施設整備が推進できるようにするための優遇融資を創設いたしました。
 2つ目です。民間金融機関等への情報提供に係る取組として、コロナ禍以後も民間金融機関による福祉医療施設の金融支援が円滑に行われるよう、勉強会の開催やデータ提供を行ってまいりました。また、コロナ禍以後の福祉医療現場でのニーズを把握するため、福祉医療関係団体との意見交換会を開催して、意見・要望等を踏まえ、融資メニューの見直しや創設につなげております。さらに、地方公共団体の施設整備担当部署に対して、コロナ禍での施設経営状況や審査のポイントなどの情報提供を行い、行政サイドからの福祉医療施設への支援体制づくりを後押ししております。このように、福祉医療を取り巻く周辺関係機関全体での支援体制を構築するため、それぞれとの連携強化に努めているところです。
 3つ目です。適切な期中管理の取組です。新型コロナの影響を受けた既往貸付先への対応として、当初6か月の返済猶予に加え、6か月経過後は個々の経営状況を勘案して猶予の延長にも対応をしています。また、コロナ資金を含む債権悪化の未然防止の取組として、事業報告書や決算書による全ての貸付先のモニタリングに加え、リスク特性を踏まえたフォローアップ管理への見直しを図ることにより、信用リスクの悪化を最小限に抑えることに努めております。
 リスク管理債権化のおそれが高い先については、中期目標に則し、フォローアップ調査を行い、それ以外の先については経営改善に資する情報提供を行うなど、より効率的なフォローアップを実施しております。さらに、コロナ資金の融資により急増した貸付債権へ対応するため、人員配置を含め業務体制の見直しを行い、定型業務は外部委託することにより、機構職員が貸付先支援に注力できる体制を構築いたしました。コロナ融資により大きく変化した貸付ポートフォリオを的確に分析し、将来のリスクを予見して、その対応にいち早く取り組んできております。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、コロナ融資により急増した貸付債権へ対応するための体制整備や、コロナ禍後を見据えた対応にも取り組むなど、質的な充実にも取り組んだことを併せ、令和4年度福祉医療貸付事業の自己評定はA評定といたしました。
 6ページをお願いいたします。新型コロナ対応に係る参考資料になります。まず、資料左側がコロナ禍での対応をまとめたものです。福祉医療貸付においては、平時は国の政策に基づき、設置・整備資金により福祉医療基盤の整備に貢献しているところですが、今回の感染症拡大や災害発生時のような緊急時には、迅速に運転資金の需要に対応し、施設経営の安定化を支援しているところです。中段グラフのとおり、これまでの大きな情勢変化による緊急対応としては、リーマンショック時の緊急融資と東日本大震災に係る災害復旧融資がありましたが、事象ごとにまとめると、今回のコロナ融資については、令和2年度から直近まで実質3年間で、件数、金額ともに大幅にこれらを上回り、過去に類を見ない規模となっています。機構といたしましては、この緊急事態に最優先かつ迅速に対応したところです。
 資料の右側になります。コロナ資金融資後の債権管理への取組については、コロナ資金により貸付先が急増していること、またコロナの影響を受けて財政基盤が悪化した貸付先への経営的側面からの支援が課題となっています。まず、(1)です。福祉医療施設の維持・存続を最優先し、貸出条件緩和による金融支援に加え、金融機関と連携して機構のノウハウによる経営改善支援により、経営再建につなげていくこととしています。
 中段のグラフのとおり、現状の貸出条件緩和債権額はコロナ前と比べ急増しており、その要因は大半がコロナの影響を受けた貸付先への支援が増加していることによるものです。また、コロナ融資による貸付先数は3倍となる3万8千件超、残高については平時から1.5倍の5兆3千億、さらに無担保貸付残高は1兆9千億円と、コロナ前と比べ急増しています。
 これらへの対応として、債権管理の定型的な業務の外部委託範囲を拡充することに加え、専門性が必要な福祉医療事業者への直接的な再建支援と、貸付先の急増に対応する適切な業務執行を両立するため、厚生労働省と協議の上、機構の十分な管理・統制のもとで、債権管理回収業務の一部をサービサーへ委託することも検討しており、現在、導入に向け準備を進めております。外部アドバイザーの意見も活用しつつ、元金償還スタートのピークが到来する前の早期段階から、重要性の高い債権管理のコア業務に機構職員を集中させる体制整備を推進しているところです。
 以上のとおり、機構のコロナ対応については、コロナ禍での緊急時における資金供給のステージから、コロナ融資により変化した貸付ポートフォリオに対する的確な期中管理により、福祉医療施設の経営安定化に向けた支援のステージに移行をしているものと考えております。
 8ページをお願いいたします。こちらは、融資実行後のフォローアップに係る取組の参考資料です。昨年度開催された次期中期目標策定に向けての総務省独法評価制度委員会において、コロナ融資による貸付債権の増加に伴う機構の債権管理態勢強化が留意事項とされており、こちらの有識者会議におきましても、今後の対応方針や態勢整備などについて御議論、御意見を頂きました。令和4年度の業務実績の説明資料の作成に当たり、頂きました御意見等を踏まえ、貸付債権の急増に対する対応方針や態勢強化の取組、また効率的な債権管理手法の検討・見直しに係る取組などについて整理をしたところです。
 ページの中央に、融資の実施から完済まで縦軸で債権管理の時系列を示しており、左側がリスク管理債権化の未然防止のための取組です。まず、融資実行後、毎年全ての貸付先から事業報告書並びに決算書を徴求し、業況の確認や財務データの作成・分析をした後、イエローランクの判定付与を行い、貸付先の業況変化の把握と高リスク先の捕捉に努めているところです。その後、下の黄色の囲みに記載していますが、フォローアップ態勢として、大口先、高リスク先、また継続フォロー先など、リスク特性に応じて実地調査やアドバイスを実施しており、貸付先の業況把握について漏れのない仕組みを構築しています。
 また、その他の区分としまして、非保全額は低いものの経営悪化が懸念される先については、フォローアップ体制を補完するため、貸付先にとって経営改善の参考となるデータや情報を冊子に取りまとめて情報提供をするなど、きめ細かな管理を徹底し、効果的かつ効率的な信用リスク管理体制の構築に取り組んでおります。
 資料右側です。経営悪化先への対応フローとなります。約定償還の途中に経営悪化により業績が不芳となった貸付先に対しては、貸出条件緩和申請の申し出を受けた後、赤枠囲み記載のとおり、条件緩和の金融支援に加え、機構のノウハウを活かした経営改善支援により経営再建を図り、約定償還に戻っていただくよう支援を続けています。
 以上、コロナ融資で貸付債権の急増により信用リスクの質・量ともに大きく変化し、これらの債権管理対応が喫緊の課題である中、いち早く体制の強化並びにリスク管理手法の高度化に向けた見直しに取り組み、適切な期中管理の実施に努めているところです。以上が福祉医療貸付事業です。
 続きまして、9ページをお願いいたします。福祉医療経営指導事業です。本事業については、概要図のとおり、セミナー、リサーチ、コンサルティングの3つの手法を用いて、全国の福祉医療施設の経営の安定化、効率化を支援しています。
 10ページをお願いいたします。中期目標の内容です。本事業では、セミナーの受講者数、リサーチレポートの公表数、リサーチレポートのマスコミ等への引用回数、個別経営診断件数の4つの指標が設定されています。指標の達成状況については、まずセミナーの受講者数は、令和4年度もコロナの影響によりほとんどをオンラインセミナーとして開催したため、令和2年度から引き続き評価対象から除外し、実績値達成度は「-」表記としています。セミナー以外の目標については、記載のとおり、平均で120%を超えて目標を達成しております。
 要因分析は資料の一番下です。セミナーについて、新型コロナの影響によるものですので、外部要因を理由に評価対象から除外しています。しかしながら、代替措置として実施したオンラインセミナーについては、質的な成果に資する取組として自己評価をしておりますので、こちらは次ページで説明をいたします。
 11ページが評定の根拠です。まず1つ目、セミナーの代替開催です。コロナ禍が続き、受講機会が減少している施設経営者のニーズに応えるため、前年度に引き続きオンラインセミナーを開催し、より多くの受講者に必要な情報を提供できたと考えています。また令和4年度は、試行的にオンライン配信と集合形式の併用開催を実施しました。感染拡大防止に十分配慮した上で、169人が直接受講をされました。セミナーについては、報酬改定の影響や感染症対策と今後の施設経営など、時宜を得たテーマ設定により、ログイン数は令和2年度以降右肩上がりとなっており、アンケートでも96%を超える有用度を頂くなど、集合セミナーが開催できない状況下においても福祉医療施設の経営支援に取り組んだところです。
 2つ目は、独自の取組による安定的かつ効率的な経営支援として、機構のノウハウ等を、外部団体研修会への講師派遣や外部媒体への記事執筆を行ったほか、施設動向調査においては、近年の社会情勢を踏まえ、原油価格や物価高騰による影響を調査・分析し、リサーチレポートで公表するなど、多様な方法で積極的な情報発信に努めるとともに、貸付部門と連携して、民間金融機関に対してもコロナ禍での経営環境や施設経営の課題、審査のポイントなど、情報提供を続けています。
 さらに、社会福祉法改正以降、社会福祉法人のガバナンスや財務規律の強化に向け、行政の役割が大きくなっていることから、行政担当者向けのセミナーを企画提案し、地方公共団体の社会福祉法人監査担当者を対象としたセミナーを3自治体で開催しております。受講者アンケートにおいても、有用度は97%と高い評価を頂いております。
 3つ目は、国や地方公共団体の業務受託を通じて、福祉医療基盤の安定や効率化を支援しています。令和4年度は、前年度からの継続分を含め4自治体から業務を受託し、これまでの業務で得たデータ・ノウハウを活用した報告や提案を行っています。
以上のとおり、セミナーは評価対象から除外したものの、代替のオンラインセミナーは前年度を上回るログイン数を確保したこと、また福祉医療施設の経営支援に資するよう関係する機関・団体等へのノウハウの提供に加え、行政担当者向けのセミナーの実施など、質的な充実に向けても取り組んでいることから、自己評定は昨年度に引き続きA評定としております。以上が福祉医療経営指導事業です。
 少し飛びまして、15ページをお願いいたします。退職手当共済事業です。社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づき、社会福祉施設に従事する職員が退職した際の退職手当金を支給しています。本事業を安定的に運営することで健全な施設経営が図られることにより、職員の処遇向上と福祉人材の確保・定着につながることで、福祉サービスの向上につなげていくという効果を期待しています。
 右側グラフのとおり、本制度加入者については、第4期中期目標期間中は増加基調にあり、直近では安定的に推移をしております。
 16ページをお願いいたします。中期目標の内容です。本事業は重要度が「高」であり、定量指標のうち、退職手当金の支給期間の短縮の目標については、政府が人材確保を進める中で、この制度は加入者、給付者ともに増加傾向にあることから、前中期と同水準の維持は困難であるという理由で、目標の難易度が「高」に設定されています。そのほか、利用者の利便性の向上を図るためのシステム利用促進の目標が設定されています。その達成状況については、中段に記載のとおり、いずれも目標を達成しております。
 17ページをお願いいたします。評定根拠です。1つ目、事務処理期間の短縮の目標を達成するための取組です。令和4年度は、コロナの影響を受けた経済活動が回復する中で退職手当金の支給者数は増加しており、第4期中で最多であったことに加え、介護職員処遇改善支援補助金の創設等に伴い、その登録事務など支給に係る業務が前年度から大幅に増加する中で、業務処理スキームの再点検・見直しにより、前年度よりは長期化したものの目標を達成することができました。
 2つ目は、コロナ対策として、コロナの影響が長期化している状況を勘案し、共済掛金の納付期限の延長、並びにコロナの影響で出勤調整を行った場合は、基本方針に基づき業務に従事した日とする措置を継続しています。コロナの影響を受けた社会福祉施設への支援や施設従事者への不利益回避のため、厚生労働省と連携して引き続き対応をいたしました。
 3つ目は、制度の安定的運用による人材確保への貢献です。積極的かつ効率的に周知広報活動を展開し、共済契約者並びに加入者を安定的に確保したことに加え、利用者の利便性向上にも取り組んだ結果、共済契約者アンケートでは、96%の方から本制度が「職員の安定的な確保に役立っている」との回答を頂いております。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、質的な充実への取組と併せ、前年度に引き続き自己評定Aとしております。以上が退職手当共済事業です。
 少し飛んで21ページをお願いいたします。WAM NET事業です。福祉保健医療に関する制度や施策等を一元的かつ正確に情報提供する総合情報サイトであり、国が進めるデジタルガバメント計画を踏まえ、情報セキュリティ対策をしっかりと講じた基盤により事業を実施しております。ページの右側、事業の特徴の②です。独立行政法人としての信用力を活かして、社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムをはじめとする、国の施策に基づく公表制度による4つのシステムを、現在、WAM NET基盤上で運営管理をしています。
 22ページをお願いいたします。中期目標については、提供情報の整備充実及び機能の見直しの取組と、年間ヒット件数の2項目が設定されています。その達成については記載のとおり、いずれも120%を超える達成度となっています。
 23ページをお願いいたします。評定根拠です。1つ目は、提供情報の質と利便性の向上に向けて、令和4年度は政策動向や利用者の要望を踏まえ老健局と連携し、介護現場の生産性向上関連情報コンテンツを新たに立ち上げたほか、既存のコンテンツについては、情報の探しやすさや見やすさといった利用者目線での機能改善を行った結果、利用者アンケートでは、98%超の満足度と非常に高い評価を頂いております。
 2つ目は、国の施策に基づく情報システムの運用及び管理です。現在、先ほども申しました社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムをはじめ、4つのシステムを安定的に運用管理を行っていますが、今回、※で表欄外に記載しています、令和5年度に運用が始まる社会福祉連携推進法人の財務諸表等電子開示システムにも対応できるように、令和4年度中に整備を完了して円滑な運用を開始したところです。国のシステムについて、安定的かつ適切な運用管理を行うことで、全ての利用者が正確な情報を安心して一元的に入手できる環境を整えております。
 3つ目は、機構の各事業と連携した上で、WAM NET基盤を活用することにより、業務の円滑かつ効率的な実施を推進しております。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、質的な充実に向けた取組により、WAM NET事業については前年度に引き続き自己評定をAとしております。
 A評定とした事業は以上です。そのほかの事業並びに共通事項については、中期目標に定められた目標を着実に実施しておりますので、前年度と同様B評定としています。本日、個別の説明は省略させていただきます。
令和4年度業務実績の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは今の御説明に対して、御質問がある方はよろしくお願いします。先ほど申しましたように、これがわりとメインになると思いますので、お時間の許す限りいろいろと議論をしていきたいと思います。それでは構成員の方いかがでしょうか。ちょっとオンラインではない人は私のほうから見にくいので、事務局のほうから指名いただければと思います。オンラインの方は大体分かりますが。意見ないですか。よろしいですか。では河村先生お願いします。
 
○河村構成員
 御説明ありがとうございます。コロナ後、3年過ぎてということで、いろいろこれまで指摘させていただいたことへの対応も含めて、大変よく充実した対応をしてくださっているなというふうに思います。評価項目の付け方については特に異存はありません。福祉医療貸付についてはちょっと最後のほうで申し上げますけど、それ以外の所でも、例えば退職手当共済やWAM NETの所であるとか、非常にこれまでWAMさんがやってこられた取組というのが本当にジワジワと、それからしっかり効果を発揮してきていて、退職手当共済のほうについては、やはりこの分野の方の定着にすごく役立っているようですし、WAM NETのほうもこれだけたくさんのデータを回して公開されていながら、大きなトラブルうんぬんということが出てきませんけど、出てこないのはやはりすごく大事なことで、それだけしっかりなさっているということだと思いますし、そういうところが評価されていて、今度もっと病院とか医療関係もデータ開示をしたほうがいいのではないかということで、それがWAM NETのほうにも載ってくることになるようですけれども、それも世の中全体から評価されているという結果ではないかなというふうに思っています。
 私は財政制度等審議会のほうの委員でもあるのですが、そちらのほうでもやはりこの医療の情報開示とか、WAM NETであれだけできているのだから、もっとやればいいのではないかという意見も出ておりますし、やはりそういうところからの評価の声も出ているということはお伝えしたいと思います。
 ちょっと意見を申し上げたいのは、福祉医療貸付の所です。今回のA評価、これについては特に異存はないんですけれども、今コロナから3年たって、しかもコロナ危機で今までの政策金融機関としてのやり方を大きく変える、融資の転換をなさったわけですよね。WAMさんとして、それを今後どうしていくのか、どうしてやっていけばいいのかという方向性のところで、ちょっと2点ほど申し上げたいと思います。例えばいろいろ御説明くださった8ページ、融資実行後におけるきめ細やかなフォローアップの実施ということで、御尽力くださっていることはよく分かります。ただ、このページの左側の1の所を見ても、要するに融資実行した先から決算書を全て徴求して分析して、イエローランクが付くかどうかを見るとか、これをやることにしましたということですが、これで前向きに評価できるかといったら、これね当たり前なんですよ。こんなこともしないでお金貸しては駄目ですよ。しかも運転資金でしょ。設備投資資金ではないのでしょ。これはある意味やって当然なんです。それで、そのためにものすごい金額、ものすごい件数の融資、運転資金の融資をなさって、業務が円滑に回るようにということで、いろいろ体制と工夫もなさってくださっていることは評価できますけれども、でもそれはある意味、そういうレベルでやって当然だということだと思います。
 あと1つ、方向性で申し上げたいのは、このページの一番右下のほうに書いてある所です。赤字で書いてありますけれども、「福祉医療施設の維持存続を最優先とした期中管理を実施」と書いてあるのですね。これはそうなのかなと私は思います。本当に危機が来た当初、これ諸外国だと普通1年間ぐらいですよ。長くて2年間。皆もうこんな危機対応の政策金融は、とっくによその国はほかの国も含めてやめてます。何でかというと、ダラダラやったら結局その危機が原因で駄目だったのではなくて、ほかの要因でもともと事業が時代の要請に合わなくなっていたところが覆い隠されてしまい、危機が理由だとして、そういう言い訳でずっと延命させるということが、その取引先に対してもよくないし、世の中全体に対してもよくないしということが分かっているからです。これ経済学の世界では、政策金融というのは、もともと市場メカニズムにまかせただけでは対応できない、「市場の失敗」に対して対応するのが政策金融の意義だというふうに言われてますけれども、危機対応ももちろんそのとおりで、こういう危機のときに対応してくださるのはいいのですが、政策金融もやり方によっては、その「市場の失敗」の補完ではなくて、逆に「政府の失敗」を引き起こすと言われてますね。この維持存続を最優先という局面は、私はもう終わっていると思います。それで今回のコロナ危機でもいろんなところから言われていることでもありますけれども、どういう医療機関、それから社会福祉機関に影響が出たかというと、やはりそれまでの体力というか、地力のところがすごくはっきり出たと。もともとかなり弱ってきたというか、なかなか時代の要請に合わなくなってきた。それから地域社会の人口動態の変化とかもありますよね、患者さんも減っているとか、周りに住んでいる方が減っているとか、そういう影響も受けて、かなりまずくなってきたなというところに、コロナ危機の影響が来たところがやはり大きく影響を受けたと。危機の当初は一気に倒れることのないように支えることが必要だと思うんですが、もうそういう段階ではないのではないですか。それをズルズルやると結局「政府の失敗」になってしまう。最優先すべきことは何かというと、「国の負担の最小化」だけではないと思いますよ。ズルズルやったって国の負担というのはね、結局、一番最後の最後ではかかってくることになる、返せなくなるのだから。要するに、先送り先送りにするということは避けて、やはりきちんと金融としてなさるわけですから、政策金融機関であるとしても、取引先ですね、取引先の病院や医療機関なり、それから社会福祉機関なり、やはりよくデータとかも見ながら、それから実際の現状のヒアリングとか、本当に膝を付き合わせていろいろな相談や議論をなさっていただいた上で、どうやっていくのがいいのかということをきちんと考える方向でやっていただきたいと思います。もう維持存続が最優先かどうかは分からない。逆にものすごく人口が減ってきているというところでは、今の事業というのは一回見直して、新しい形でもっとほかの少し離れたところと一緒になって事業をやり直すとか、そういう方向にもっていったほうがいいということだってあるでしょうから。そういうところでこそ金融機関の出番だと思います。
 あと、もう1つ申し上げたいのは、少しちょっとページが戻りますけど、協調融資の所です。4ページでも指標を取って御説明くださって、充実させてやってくださっているということなのですが、ここでもやはり、お気を付けいただきたいことがあります。民間金融機関が政府系金融機関と組むとき、どういうメリットを感じているか。これ本音では、自分たちだけではリスクを取り切れないところで政府系金融機関が出てきてくれるのが有り難いというのもあるのですけれども、私も金融の世界の人間ですから、巷のいろいろな金融関係の雑誌とか見ますと、結構現場の支店長の本音とかいろいろ書いてあるものもありますよね。そういうところでよく出てきますけれども、結局とてもではないけど自分たちではやり切れないと思ったとか、危ないとは思っていて単独ではとても貸せないなと思っているところを、政府系金融機関さんと一緒でそちらがリスクを取ってくれるのならということで、安易に協調融資に乗るとか、よくそういう本音が出ているものも目にします。これを経済学の世界では「逆選択」といいます。アドバースセレクションです。要するに政府が付いてくれるのであれば本当は自分たちだったら、ちょっと貸せない、リスクが高すぎるなというところを回しちゃう。そういうところでも回ってくることがないかどうか。やはり今この分野の政策金融の進め方を見てますと、ちょっと過度に倒れないことばかりを優先にしているところがありますので、そういうふうになっていかないように、金融としての本来の社会的な意義を発揮していただいて、助けるべきところは助ける。危機のときは当然です。でももう危機も過ぎ去りつつあるわけですから、やはり本当のその地域医療構想の進展などを見る必要がありますけれども、地域の人口動態の変化とかも併せてきちんと考え直していくお手伝いをする。維持存続が最優先とは必ずしもならないのではないかな。そういう局面ではないかなと思いますので、今後是非、そういうところを御検討いただきたいと思います。私からは以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。法人のほうから何かコメントとかいかがでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 ありがとうございます。先ほどの1つ目です。維持存続を最優先にという所の御意見を頂いたところでございますが、今回、コロナ禍における支援ニーズというのは、政策に基づきまして、迅速に対応をすることが求められましたので、そちらを最優先にやって参りました。今回この資料にもまとめましたとおり、今後は、コロナ融資先、更にはコロナで影響を受けた先が、やはり一番課題になってくると考えております。ただ一方で、福祉医療施設というのは、政策的なところで維持存続が求められておりますので、このコロナ禍で、コロナ融資によって、今後経営が悪化することのないように、私どものノウハウ等も使いながら取り組んでまいりたいと考えており、的確な期中管理を行っていきたいということで、記載をさせていただいたところです。
 ただ、先ほど河村先生から頂きました御意見を踏まえながら、今後の取組については検討していきたいと思っております。
 もう1点、協調融資でございます。協調融資について、逆選択のお話が今ありましたけれども、私ども今回、コロナ融資またコロナで影響を受けた先への対応というのは、先ほどの説明のとおり、政策等に基づきながら最優先で当たっていこうと考えておりますが、当然ながら協調融資先、また関係金融機関先との関係は、先ほども実績のほうで述べさせていただきましたが、民間金融機関との連携を非常に強めているところでございます。まず、この経営状況が悪化した場合においては、関係金融機関と連携いたしまして、当然、何かあったときにはバンクミーティング等を積極的に開催、参加するなど、今後の対応については金融機関と協力して経営改善等に取り組んでいきたいと考えています。以上でございます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。河村先生、いかがでしょうか。
 
○河村構成員
 是非受け止めてやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。この時期になっても経営が改善しないということは、コロナが原因ではもうなくなっているはずなので、もっと別のところに当該法人の経営に悪影響が残っているのだったら、ほかの原因がどういうことにあるかということを、きちんと一緒になって考えてやっていただけたら、それがやはり国全体のため、社会のため、そして当該法人のためだと思います。よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
 ありがとうございます。本来的に、もちろん福祉医療機構というのは今の経営支援の役割もあるわけで、お金だけではなくて、そういう意味も含めてセミナー等々もされているわけですから、その辺りは地域医療構想とかも踏まえた上で、地域の医療の最適化にサポートをする。その中でお金の問題が出てくるというのは、多分構図だと思うので、その辺は当たり前ですが御理解いただいていると思いますので、その線で進めていただければなと思います。
 ほかの先生方の意見はよろしいですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ただいま会場で名里構成員が挙手をなさっています。
 
○真野主査
 よろしくお願いします。
 
○名里構成員
 今のお話で、私は経済学とかそういうことではなくて、現場の社会福祉法人の人間なので、本当にコロナで大打撃を受けて、まだまだその影響から立ち直れていない状況です。知り合いの所でも、やはり通所系。
 
○真野主査
 今のマイクがさっきまでとは違って、少し聞きにくい気がするのですが。僕だけかもしれませんが。さっきまでは順調に会場の声が拾えていたのですが。
 
○川村構成員
 やはり聞きにくいです。
 
○名里構成員
 聞こえますか。
 
○真野主査
 もうちょっとしゃべってもらっていいですか。聞こえるのだけど、ちょっとブチブチ切れるのです。
 
○名里構成員
 私は社会福祉法人の現場の人間なので、現場の感覚でいうと、本当にコロナで大打撃を受けて、まだまだ立ち直れていない状況です。近い関係の仲間の人たちでいうと、やっぱり通所系とか小さめの法人、そんなに小さくなくても、やはり通所系の所が非常に厳しかったなと。知っている所はほとんど4年度も最終的には赤字でやっています。もちろんコロナの影響の中で、どういうふうに立て直していくかというのは内部の改革、何が改善できるのかということを、福祉医療機構さんも入っていただきながら、経営改善に向けて、いろいろアドバイスも頂いていると思うのですが、内部だけでは済まないこともあるのではないかと思っていて、例えば報酬体系はこれでいいのかとか、そういう御意見というのは、福祉医療機構さんのほうで、経営の改善に向けたアドバイスとか、相談を受ける中で、内部の改革だけではいけないのではないかみたいなことというのは、あるものでしょうか。そういったことは、例えば厚労省さんと共有するとか、そういうことというのはあるのでしょうか。
 
○真野主査
 福祉医療機構のほうからお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 福祉医療機構です。今、名里先生のほうから御指摘、御意見を頂きました。私どものほうは、まず1つは貸付事業ということで、資金の融資という形で金融支援を行っております。先ほど実績のほうでも説明いたしましたが、経営改善という意味では、貸付けなり経営指導事業のノウハウも活かしながら、御提案であるとか、支援を行っているところです。
 また、経営指導事業では、社会福祉法人の動向調査や病院の動向調査を行い、福祉医療施設の今の業況であるとか、実態を調査・把握・分析しておりまして、それらのデータを情報発信として公表しているところです。
 当然その内容につきましては、厚生労働省さんにも報告しています。お答えになっているかどうかは分かりませんが、以上です。
 
○真野主査
 名里先生、よろしいですか。
 
○福祉医療機構理事
 座長、すみません。部長からお答えさせていただいたとおりなのですけれども、機構のほうから若干補足で説明させていただいてよろしいでしょうか。
 
○真野主査
 お願いします。
 
○福祉医療機構理事
 総務担当理事の依田でございますが、今、企画管理部長のほうから御説明させていただいたとおりでございまして、福祉医療機構は融資だけではなくて、経営指導とか非常に現場に近い立場ですので、名里先生のおっしゃったとおりいろいろな現場の声、その中には先生御承知のように、コロナがこの連休明けから5類相当ということで移行いたしましたけれども、まだまだ地域差とか施設とかいろいろな状況の差異はございまして、まだまだ厳しい状況の所もございます。また、これは私どもも先ほど説明していただいた、経営レポートの件でも、正に人材確保の点、まだコロナ禍では離職率が一定落ち着いたところでございますけれども、非常に全体的な経済が活発になる中で、やはり人材確保という面では厳しくなっているとか、それから追い打ちをかけるように物価であったりエネルギー、先日WAMもレポートを出しましたけれども、建築資材が非常に高くなっているということで、設備投資も非常にこれから難しくなっていくとか、そういった現場の声はいろんな形でレポートとか、そういう形にならない形でも、厚生労働省にもしっかりお伝えをして、融資で対応できるものもありますし、必ずしもそうではないものもあろうかと思いますので、そういうのは厚労省、国のほうでもしっかりと対応していただけるように届けていくのが私どもの使命だと思っています。
 先ほど全体的な融資についての期中管理、維持存続ということでお話がありましたが、やはり融資をしている以上はしっかり債権回収していくということは、正にそのとおりなのですが、今回の第5期の中期目標においても、これは特段明記されているように、「地域における福祉・医療基盤の維持及び存続を図ることを最優先に貸付債権の適切な期中管理等を行うことが必要である」という、これは目標のほうでもそのように御指摘いただいていますので、私どもの政策融資のミッションといたしまして、こういうことをしっかり受け止めて、現場に寄り添いながら対応してまいりたいと思っております。
 
○真野主査
 ありがとうございました。名里先生、どうでしょう。
 
○名里構成員
 ありがとうございました。是非、現場の法人に寄り添って、続けていただければと思います。ありがとうございます。
 
○真野主査
 よく聞こえなかったけれども、理解しましたというお返事だったのかな。どうですかね。大丈夫ですかね。ほかの構成員の方どうですか。
 
○鈴木構成員
 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。WAM NET事業のことについてお伺いしたいと思います。先生方、私の声は届いておりますでしょうか。大丈夫でしょうか。声届いていますか。
 
○真野主査
 何かね、WAMさんの声はすごい聞こえるのだけど、構成員になった途端にブチブチ切れるんですよね。
 
○鈴木構成員
 鈴木です。マイクを変えていただきました。聞こえますでしょうか。
 
○真野主査
 ばっちりです。
 
○鈴木構成員
 御質問申し上げます。WAM NET事業のことについてです。WAM NETは、私自身も福祉の専門の教員でございますけれども、大変活用させていただいていて、本当にこの、例えば21ページにあるような、総合的なネットワークシステムとして、大変有用なものだと思っております。今回、自己評定の所で質の部分であったり、また定量的な評価の所でも、基準をクリアしているのでAということ。これも私は同意するところでございます。
 1点なのですが、このWAM NETが「全ての利用者に」という書き方をしているわけなのですが、21ページの所で模式図的に書かれておりますけれども、例えば施設の専門職員とかNPOボランティア、また名里先生のような福祉施設の経営者、また行政機関などについては、これが非常に活用されているというのは、身近な所でもよく分かっています。
 一方、一般の方、特に企業勤労者のことはちょっと私は知見がございませんけれども、一般の方については、どれぐらいこれが活用されているのだろうかというのが、気になるところでございます。たくさんコンテンツを充実させていただいているということでありますけれども、それがわりと専門的なところも多いように思っていて、もしかすると、一般の市民、あるいは国民向けのところでのコンテンツの充実というところが、もうなされていたらごめんなさい、既にそうなのかもしれませんけれども、もう少しそういったものが伸びていくと、伸ばされていく、進展していくと、ヒット数とかというのは、全く違う桁になっていくのではないかなという、それだけ信頼度のある事業ですので、この辺りの展望をお教えいただければというふうに思います。以上です。
 
○真野主査
 ではお答えのほうをよろしくお願いします。
 
○福祉医療機構理事
 鈴木先生、ありがとうございます。担当理事の依田です。先生御指摘のとおり、WAM NETは総合的な情報提供ということですが、従来、どちらかと言えば福祉事業者であったり、行政の方を中心に御利用いただいているということがおそらく実態だと思います。先生はそのように受け止められているということです。その中で、ここ数年ですが、特に全ての利用者ということで、それぞれで持っているいろいろな情報を国民の方々、サービスを利用する方々に直接お届けするということで、私どもはもっと役に立てるのではないかということで、そういうアプローチを進めてまいりました。一例を申し上げますと、一番分かりやすい例は「ここdeサーチ」というサイト、これは国の情報公表制度を活用させていただいて、例えば保育所を探したりする、近隣であったり、職場の近くなんかで探せるような、非常に便利なサイトですが、これは保育所を探されている保護者の方とかに、非常に御利用いただいておりますし、私どもはそういう方々への利用のアプローチということを進めてまいりました。お陰様で、この「ここdeサーチ」については、令和4年度で大体200万件ぐらいのヒット件数を頂いております。これは年々非常に伸びてきているということで、そういうことを意識して、例えば経済団体や労働団体とかそういう所に回って、企業の労務担当の方に、むしろ企業の従業員の方、やはり福利厚生や企業福祉の観点からお届けいただくようなことの働き掛けをしていく。それは例えば情報誌でも子供向けの、ちょっと固有名詞を出したらあれですけれども、赤ちゃんが生まれたときに読むような雑誌があるかと思いますが、そういうところに、「ここdeサーチ」という便利なサイトがあるということを掲載いただくとか、そういうアプローチもすることによって、利用を高めていくということもやっています。「ここdeサーチ」は1つの例ですが、子育て・介護と仕事の両立支援のポータルみたいなものを設けて、妊娠期からのいろいろな情報だとか、そういうことも併せてお届けするような取組を近年やっておりまして、まだまだ更に取り組む余地はあると思いますが、そういうところもしっかり目を向けてやってまいりたいと思っています。ありがとうございます。
 
○真野主査
 ありがとうございます。鈴木先生いかがでしょうか。
 
○鈴木構成員
 結構です。どうもありがとうございました。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかの方はいかがですか。松原先生お願いします。
 
○松原構成員
 WAMの情報というのは、はっきりと入手先が分かっている貴重なデータで、経営にも政策にも報酬決定にも役立ちますので、是非どんどん世の中に発信していっていただきたいと思います。以上です。
 
 
○真野主査
 ありがとうございました。田宮先生も手を挙げられています。お願いします。
 
○田宮構成員
 よろしくお願いします。私もWAMについてお伺いしたく思います。私も財務の所とかは専門外なのですが、WAMは非常に専門にも近いので、非常に貴重な存在かと思っているのです。今回、評定はいいですが、前にはもっと詳しく説明していただいていたのかもしれないのですが、思い出せないところもあって、お伺いしたいと思います。
 最初は、資料の23ページです。ちょうど資料の3行目に「厚生労働省老健局と連携して」とあるのですが、第三者評価の情報公開みたいなのは、WAMで今までどおりにやっていらっしゃるわけですよね。それで、老健局に途中で移管したサービス情報公表システムとか、老健局とWAMが一緒になって協同しながらも、かつ役割分担をしてやることになった点とかがあるように思うのですが、その辺の整理をもう一度教えていただいて、今回の新しくできたコンテンツというのは、そういう背景から言うと、どういう内容を含んでいるのかというのが、特に新規でコンテンツ、これは重要そうな内容なので、お伺いできればと思いました。
 その下のほうに、「子ども・子育て支援情報公表システム」というのあるのですが、これは具体的にどのような内容が入っていたのでしょうか。御説明を受けたかもしれないのですが、すぐに思い出せなくて。これは現在の保育園とか、そのような事業に対して、いろいろな情報公開しているものと考えてよかったでしょうか。
 もう1つ最後に、先ほど先生などのコメントがあった医療についての公表も、もっと進むべきだという話があって、私は常に本当にそのとおりだと思っているのですが、その辺についても確か何か少し進展があったように思うのですが、ここの資料には余りはっきり出ていないので、その3点です。老健局とのタイアップで新しいコンテンツがどうなっているのかというのと、子ども・子育て支援のもう少し具体的なところと、それから医療について働き方改革との連動とかもありますので、どう進んでいるかということ、これもAになっていますし、とても重要だと思うので、3点教えてください。
 
○真野主査
 では、法人からお願いします。
 
○福祉医療機構理事
 先生、ありがとうございます。私は情報関係も担当している理事ですので、私からお答えさせていただければと思います。順番は変わりますが、子ども関係で御指摘いただきました子ども・子育て支援情報公表システムですが、これは国の施策で進めておりますが、御指摘のような保育所等の認可施設、それから認可外の施設もありますが、そういう施設の様々なサービスとか、諸々サービスを選択するときに必要な情報を事業者の方に登録いただいて、それを公表する制度、正にこども家庭庁からの委託を受けてやっているものです。
 併せて、先ほど「ここdeサーチ」と申し上げましたが、そういう個々の事業者の情報、例えば地図上にプロットをして、お住まいとか、職場とか、そういう所で探しやすく、サーチできることも工夫してやっているということで、「ここdeサーチ」ということで運用しておりますが、これは情報公表システムの上に乗っかった形で、私どもで利用しやすいようなサイトに形を整えて実施をしているものです。
 老健局との連携の絡みですが、先生御案内のとおり、介護関係の情報公表は実は国で実施をしており、ここの情報については、WAMとして実施を今の時点ではしていないということです。このサービスそのものについてはそうなのですが、他方、様々な行政施策は老健局とも非常に密接に連携しており、今、介護現場での生産性向上、人手の確保、ICTの活用などが課題になっておりますが、そういうコンテンツの内容について、老健局と連携をして、介護現場の生産性向上関連情報コンテンツを新設して、また、様々な介護保険関係の情報がありますが、そういうものもしっかりWAM NETで提供させていただいております。
 これは今年度の取組ということで、実は正に今日からリリースする予定ですが、今、ケアプランデータ連携システムが国でも進められておりますが、ケアプランデータ連携システムの利用状況について、実は本日から、これは国保中央会との連携ですが、老健局、国保中央会と連携いたしまして、WAM NET上で、これも地図上でプロットしていくといったことをやっていく予定としておりますし、そういうことで様々な施策について老健局とも連携してやっているところです。
 最後、医療経営情報のデータベースについてお問合せいただきましたが、これは国の審議会、検討会を経まして、先ほど河村先生からもお話がありましたが、より一層、経営情報の見える化なり、そういうものもして、また、そのデータをしっかり施策にいかしていくことで、これは法改正も行われて、ちょうどこの8月から施行されることになっておりましたが、こちらの情報、最終的なデータベースのシステムについては、WAMで実施をしていくということで、国からの要請を受けてやっていく予定になっているところです。
 
○真野主査
 はい、お願いします。
 
○田宮構成員
 ありがとうございます。マイクのせいもあって、もう少し確認させてください。大体分かりました。一番最初の保育のお話ですが、これは最近、保育の人員配置がいろいろそこによって違っているとか、結構問題になって、保育の事故とかが起きているわけですが、そういう人員配置の情報とか、何か事故が起きないように、例えばバスの中に置き去りの事件があって、ああいうことをきちんとやっているかどうかとか、そのような内容みたいなのを2点お願いします。
まず保育士の人員配置なども出ているものなのか、それから、そういう危機管理のようなことの対応についてみたいなのは、どうかというところは、まず保育については、この2点はいかがですか。そこまで入ってない。どうかしら。何かそういうのがあると大変いいかと思うのですが、レベルによりますが。
 
○福祉医療機構理事
 先生、ありがとうございます。マイクの調子も悪いということで、聞き取りづらい点等がありまして、申し訳ありません。まず、子ども・子育て支援情報公表システムの開示する内容ですが、これはWAMで決めているというよりは、国でおそらく省令ないし通知だったと思いますが、決めていることですが、いろいろなサービスの内容や利用定員、そういうもののほかに、従業者に関する情報、これはどこまで書いていたかというのは、今、手元に詳しい資料がないのですが、保育従事者、保育士、看護師等の人員体制について記載をしていくということ。
 それから、おそらく行政処分みたいなことを受けた内容については、この中に記載をする欄があるかということで、先ほど認可施設、認可外施設と申し上げましたが、実は認可外施設についても、特にいろいろな不祥事などがあって、そういう処分の内容について開示できるようにしていくべきだと。これも国の審議会等でそういう御意見があって、そういうところも今後このシステム上で公表できるような準備を国とも連携をしながら進めているところです。何かまた御不明な点がありましたら、お聞きしたいと思います。
 
○田宮構成員
 今、認可外の施設は少し内容がまだ足りないのですか。先ほど両方出ていますとおっしゃったのですが、やはり認可と認可外に差があるというのはもちろんなのかもしれませんが、これから認可外についても、いろいろ充実させていく予定であるということですね。
 
○福祉医療機構理事
 認可外について、欠けているところということで言えば、処分情報のところです。
 
○田宮構成員
 処分。
 
○福祉医療機構理事
 はい。実はベビーシッターなどでそういう不祥事があったときに、選択するときにそういう情報も欲しいという声があって、そういうところの開示項目を充実させていくべきだという議論がある中で、そういう対応が進められて、それにWAMとしては対応していくといったところです。
 
○田宮構成員
 お願いしたいと思います。それから老健局とのリンクのこと、いろいろされているということで重要だと思うのですが、LIFEのデータというのを老健局がこれから集めていくので、それなどもいろいろ貴重な情報になるので、連携していったらいいかと思うので、もしその辺で何かあれば伺いたいです。
それからちょっと聞き取りにくかったのですが、ケアプランデータ連携とおっしゃいましたか。そこがもう少し。ケアプランのデータがどう連携されて、WAMに出てくるものなのかいうことを、もう少し教えていただければと思いました。いかがですか。よろしくお願いします。
 
○真野主査
 お願いします。
 
○福祉医療機構理事
 ありがとうございます。まず、ケアプランデータ連携について御説明したいと思います。ケアプランデータ連携については、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所が、従来、いろいろな紙のやり取り、ファックスであったり、そういうものでやり取りしているものを、データ的に連携していこうということです。私どもが今回、国保中央会と連携して実施をしていくことになっているのは、ケアプランデータ連携システムの利用をしている介護支援事業所、また様々な介護サービス事業所がありますが、その施設の状況をWAM NET上で公表していくということです。それを地図上に落としていくということです。これは正に国が今進めようとしているケアプランデータ連携を後押しするということで、これは国とも連携をして、WAM NET上で地図上に落としていくということです。実は今日からWAM NET上に開示をしていくということです。まだ具体的なイメージを御想像しづらいところだと思いますが、そういった形で、個々の事業所の方々のどこが連携できているかを探せるという役割を担っていくと考えているところです。
 LIFEですが、LIFEそのものは、いろいろな制度の内容であったり、取組などは、先ほどの生産性向上などのサイトでも御紹介をしているところですが、そのLIFEそのものについて、今、WAMが噛んでいるかというと、必ずしもそうではないと思いますが、いずれにいたしましても、これからDX等を進める中でいろいろな課題があろうかと思いますので、いろいろな施策について老健局とも更に連携を深めてまいりたいと考えております。御指摘ありがとうございました。
 
○田宮構成員
 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。時間も大分過ぎてしまったので、こちらはこれぐらいにしますが、やはりWAMの役割を、今日はWAM NETと財務のところが割と議論になりましたけれども、毎回同じような話、同じようなところがやはりフォーカスされますので、特に、その辺りを気を付けていただければと思います。
 また、コロナ後がどうなのだと、今がコロナ後かどうかも医療機関によっては意見が分かれるかもしれませんし、なかなかそれをどのように支援を、河村先生が言われたお金のところに結び付けるかというのが、コロナ後になっていたとしても、コロナ後に人々の行動変容が起きて、変化してしまっている部分もあるかもしれないから、そういった部分をコロナの影響と見るのかどうかとか、なかなか難しいところもあると思いますけれども、引き続き頑張っていただければなと思っております。
 それでは、次に先ほども話題に出ました中期目標期間実績評価についてです。これはどういうものかと言いますと、総務大臣が決定されているものです。「独立行政法人の評価に関する指針」において、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績の間に大幅に乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」というものであります。ですので、これを踏まえて、所管課のほうから御説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局福祉基盤課長
 社会・援護局福祉基盤課長の田中でございます。ただいま、真野主査より説明のありましたとおり、総務大臣の評価に関する指針に基づき見込評価の活用が可能かどうか、所管課として検討いたしましたので、資料3を用いて御説明させていただきます。
 資料3の2ページを御覧いただけますでしょうか。こちらの右側のほうの青く囲ってある部分が昨年度の有識者会議で御意見を頂戴し、決定をした見込評価となっております。その左中央の青枠のほうが、先ほど機構のほうから説明のありました令和4年度の実績評価ということでして、こちらを見比べていただきますと、全て見込評価と同様の評定となっております。
 また、実績評価におきまして、中期目標・中期計画に定めました各項目の定量目標及び定性的な目標について、赤枠のとおり、目標を達成していることを確認しております。
 こうしたことから、先ほどの指針の中の見込評価時から大幅な乖離や状況変化がないものというように判断をしまして、見込評価を活用することとしておりますので、当課からの御説明をもって期間実績評価に係る説明を割愛させていただきたいと思います。
 見込評価時から数値の更新等があった箇所につきましては、お手元の資料4の期間実績評価書の中で、黄色のマーカーで示させていただいておりますので、御確認いただければと思います。当課からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
 それでは、この実績評価について御意見、御質問があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫ですね。先ほども御説明があったような話でもありますので、では、こちらに関しては御意見なしということで進めていきたいと思います。
 それでは、次の議事ですが、法人理事長及び監事の方からのヒアリングということになります。法人の理事長及び監事の先生から、年度中期目標における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営についてコメントを頂ければと思います。最初に監事の先生から、次いで、法人の理事長先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
○福祉医療機構監事
 福祉医療機構の監事の砂田でございます。私からは令和4年度の監事監査結果など、当機構の業務運営状況等について御説明申し上げます。まず、令和4年度の監事監査結果については、お手元の資料2-4の監査報告に記載のとおりでございます。こちらは、主務省令で定められた記載事項に準拠しまして、総務省発出の記載例等を参考に作成しております。私ども監事は、役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会のほか、融資決定の場である貸付審査会などの主要な会議や委員会に出席しまして積極的に意見を述べるとともに、全ての理事長決裁文書の内容の確認等を通じ、当機構の意思決定過程や業務執行状況等を、常に確認しております。その中でも特に、当機構の業務が法令等に従って適正に実施されているか、中期目標の達成のために、効果的かつ効率的に実施されているか、更に、業務の適正を確保するための内部統制システムが機能しているかなどに注目しまして、会計監査人や内部監査部門と協力しながら毎年度重層的な監査を実施しております。
 当機構においては、先ほども申し上げました経営企画会議及びガバナンス委員会を軸としまして、適切なガバナンス体制の下、業務運営がなされており、目標に対する業務の進捗状況や実績管理を経営陣がマネジメントし、理事長のリーダーシップの下、各部門それぞれが求められる役割を適切に果たし、しっかりと成果に結び付けていると評価しております。
 なお、当機構のお客様である社会福祉法人や医療法人等は、お話にありましたとおり、新型コロナウイルスの感染症の影響を受けまして、更には近年、職員の採用難ですとか、建設費をはじめとする諸物価の高騰などにより、総じて厳しい経営環境にあります。当機構においては、先ほどお話にもありましたけれども、地域の福祉医療基盤の維持存続、その辺を最優先のミッションとしつつ、併せて信用リスク管理も注力しております。当機構の各部門が連携、協力して、福祉医療を取り巻く環境の変化をいち早く捉え、それらの情報発信などにより、福祉医療事業者を総合的に支援する体制を、一層強化していくことが課題と考えております。以上、簡単ではございますが、監事の意見とさせていただきます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。次に、理事長からお話をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
 
○福祉医療機構理事長
 福祉医療機構理事長の松縄でございます。よろしくお願いします。本日は、令和4年度の業務実績及び第4期中期目標期間の業務実績に関しまして、皆様から大変貴重な御意見、御助言を頂きまして、本当にありがとうございました。頂いた御意見、御助言は、当機構の今後の運営にいかしていきたいと存じます。
 私は、今年の4月から福祉医療機構の理事長に就任いたしました。もともと民間企業に勤めておりましたが、令和元年10月から理事として機構の業務に携わり、債権管理業務、退職手当共済業務、経理業務などを担当してきました。この4月から理事長に任命いただき、コロナ禍後の福祉医療基盤の維持、整備の一翼を担うべく、第5期中期目標期間における当機構の舵取りを担うこととなりました。
 私が理事長に就任するに当たっては、役職員に、今後の運営の柱として3つの項目を示しています。それは、アフターコロナ対応、政策効果の極大化、DXの推進の3点です。アフターコロナ対応では、コロナ融資で、急速に増加した貸付けの大量償還が令和7年に訪れます。それを受け入れる体制整備の準備を整斉と進め、円滑な回収業務を行っていくことが私にとって第5期中期目標期間の最大のミッションとなります。
 また、社会は徐々にコロナ禍以前の生活に戻りつつありますが、福祉医療基盤においては、まだコロナの影響から完全に回復できておらず、更に、近年のエネルギー価格、物価高騰や業種間の人材の流用性の高まりによる人材不足などもあり、依然として厳しい経営環境にあります。これら福祉医療基盤を支えるための経営相談、セミナー開催、レポートの提供やWAM助成などもコロナ禍後の大切な支援として業務を進めてまいります。
 2つ目の政策効果の極大化については、現在、行っている福祉医療機構の業務を、多くの関係者に知っていただき、制度を必要とする人に、幅広く利用いただく努力をするというものです。決して受け身ではなく、能動的にこちらから働き掛けることで、福祉医療機構で働く職員の意識改革を行い、制度を必要とする方に行き届くようにしていきたいと考えています。
 3つ目のDXの推進については、なかなか世の中で言われている変革の領域には達しませんが、セキュリティの確保を最優先にして、より分かりやすく、使い勝手の良いシステムを作っていきたいと思っています。現在、行っている最も大きなプロジェクトは、退職手当共済システムの開発です。従来、社協等を通じて行ってきた業務を、法人や退職者と直接オンラインでやり取りすることにより利便性を高めるものにする予定です。
 このほかにも、国会等で取り上げられていますが、医療法人の経営情報データベースの構築を、現在、着実に進めています。また、システム開発以外にも、コロナ禍からスタートしたオンラインでの相談会やオンラインセミナーなどはお客様にとっても、とてもメリットのある仕組みですので、今後も積極的に展開していきます。
 最後になりますが、当機構は平成15年10月1日に発足してから、今年の10月で20年の節目となります。過去の諸先輩方の功績により、福祉医療機構の認知度が高まり、業務範囲も着実に拡大してきました。また、コロナ禍を通じて、機構職員も福祉医療基盤を支えるという意識が、より一層高まってきたというように思います。このように組織として大変良いタイミングでバトンを受け取らせていただきましたが、その分、今後の運営については、相当な重責を担っているとも言えます。このような中、今後も独立行政法人として、変わらず必要とされ続けるためには、福祉医療基盤の安定のために貢献できることを模索し、お客様のニーズに応じて、自ら進化し続ける必要があると考えています。引き続き、有識者会議の構成員の皆様方の御指導を賜り、国や福祉医療に関わる事業者、利用者の力になれるよう、業務に取り組んでいきたいと思います。本日は、ありがとうございました。私からは以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、今の監事の先生と理事長からの御発言に対して、何か御指摘とか、御質問はございますか。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 今、会場の五十嵐構成員が挙手されています。
 
○真野主査
 お願いします。
 
○五十嵐構成員
 五十嵐でございます。今、監事の方から御説明いただいたのですが、確か、任期、今の対象期間は別の方が監事で、監査報告書もその方たちが出して、今、指名されたばかりですよね。先ほどの説明は、変な言い方ですけれども、御本人がやられたような説明だったのですが、ちょっとそこは違和感があります。現実にどのような形で、今後どうするか等も含めて、引き継ぎを受けたかとか、その辺のことを追加でお話いただければと思います。
 
○真野主査
 お願いします。
 
○福祉医療機構監事
 言葉が足らず、申し訳ございませんでした。7月から監事に就任しまして、就任前に前監事から引継書を頂きまして、中身をしっかり検討させていただきまして、この1か月間に機構の方から説明も受けたり、分からないところは質問したり、一応、一通りのものは拝見して、今日、臨ませていただきました。最初に言葉が足らずに、申し訳ありませんでした。よろしいでしょうか。
 
○真野主査
 よろしいですか。ほかの構成員の方はいかがでしょうか。私から1つ、先ほど、全体のお話として、やはり当然ですが、コロナの話が出ているわけですけれども、理事長のほうからもコロナ後にはなってきているかもしれませんが、結構、まだ医療機関や福祉施設は影響を受けていると。名里先生からもその話がありましたが、もちろん福祉医療機構の場合、かなり多くの医療機関とか福祉の施設を見られていると思うのですけれども、実際にどういうところが、現在コロナ後なのかどうか議論があるとしても、医療機関や福祉施設でコロナの話でどのような影響がまだ残っているというように考えられますか。エネルギーの話とか、そちらのほうはデータもいろいろ出ているので、余り触れていただかなくてもいいのですけれども、それ以外のところで、どのような影響がまだ残っていると考えられますか。教えていただければと思います。
 
○福祉医療機構理事長
 全て施設の方からお伺いした話ではございますけれども、特に施設におきましては、まだ高齢者の方がたくさんおられますので、それらの方に対しては、引き続きコロナ対応をしなければ運営ができないという状況にもございます。それ以外にも、例えば病院の方々からはコロナ禍以前ほど患者さんが戻ってきていないという実感があるとか、あと、福祉施設でいきますと、先ほど名里構成員からもお話がありましたように、やはり通所事業のほうがなかなか元どおりの状態に戻らないというお話を受けております。そういったことから、比較的コロナ禍前までには至らなくても、順調にやっている施設もあれば、引き続きしんどい思いをしている施設もあるというように認識しております。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。本当にその辺りが一般の会社などでも、新聞情報ですけれども、やはり在宅と併用している会社が4割ぐらいになったとか、コロナ前では考えられないことですが、そういう変化が今後も残るのか、あるいは先ほども言われたような、高齢者対応などは、やはりコロナに起因していると思うので、その辺りの切り分けを、もちろん福祉医療機構が全てするのは難しいと思いますけれども、医療機関とか福祉の方々と相談しつつ、適切な方向に持っていっていただければと思っております。ほかの方はどうですか。よろしいですか。このままだと終わってしまいますが、では、田宮先生、お願いします。
 
○田宮構成員
 財務のほうは専門外なのでと申し上げたのですけれども、先ほどの河村構成員がおっしゃった海外では支援なんて、とっくに切れているというお話を伺って、私もそのように違うのかなと思って伺っていました。やはりおっしゃったように、もともと経営が難しかった所が、それによって生き延びるということは、確かにちょっと話が違うのかなと思う一方、ただ、日本の場合は介護保険ということで、急にビジネスの中にいろいろな業種が入ってきて、やっと介護保険が成り立っていて、利用者も思ったよりも、ずっと増えている中、介護事業所も小さくて、会場の先生からも御意見があったように、やはりすごく厳しい状況もあるとは思うのですよね。ですから、本当にその辺を、専門外なのでと申し上げましたが、一般的なビジネスで考えたときに、経営をどうサポートするのがいいのかという知見を基にきちんと評価しつつも、まず、日本の介護の、特に高齢者が急増していて、介護利用者も介護事業所も増えていて、しかも、なかなか慣れていない小さな事業所も、地域のニーズに応じて参入してきた所もある中で、どの辺を落としどころとしていくのがいいのかなというのは大変難しいなと思いながら聞いていました。その辺を、現場の声も聞きながら、ただ、余りやり過ぎてもいけないということは、本当に国民の財政、重要なことですから、大事だと思うので、方向性を示す話ではないのですが、その辺の日本の在り方と両方考えて、何とかいいところを見いだしていければと思いました。コメントですけれども、最後に言わせていただきました。ありがとうございます。
 
 
○福祉医療機構理事長
 理事長の松縄です。すみません、今のお話にも関連してですけれども、福祉医療機構としては、先ほど来申し上げているように、福祉医療基盤の維持存続といったことを重要視しておりますが、同時に、財政融資資金の償還確実性といったこの両面を、きちんとやらなければいけないと捉まえておりますので、その辺のバランスの取り方が非常に難しいのですが、実際、融資の返済が困難になった方とは、かなり丁寧に話し合いながら、もっとこうすればいいのではないかというようなアドバイスもしつつ、対応させていただいておりますので、それに当たっては地域の実態をヒアリングしたりとか、そういった様々な取組をしていることは御理解いただきたいと思っております。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。では、石井構成員、お願いします。
 
○石井構成員
 石井でございます。今、最後に理事長のお話で、今後のことをお話されたと思いますが、今まで融資のほかに、今後、大きなシステムをどんどん開発をされるということが課題となっているように思います。そうなりますと、人材の育成や人材の採用とか、デジタルトランスフォーメーションに導くためには、かなりその辺りが大きな課題になっていると思いますが、その辺はどうなのか、対策は立てられているのか、そのお考えをお聞かせいただければと思います。
 
○真野主査
 お願いします。
 
○福祉医療機構理事長
 私の経験から申し上げますと、福祉医療機構ではシステム専門人材を過去から採用しておりまして、簡単なシステムでしたら、自前でできるぐらいの実力を持っているのが民間と一番違うところだなと思いました。加えて、年々いろいろな情報開示システムの構築を委託されておりますので、やはりシステム人材を育成していくことは大事なことだと思っておりますので、今年度も要員を拡大しておりますし、今、最も注力していると先ほど申し上げました共済システムについては、3人の特別チームを作って、そこが関係部署と連携を取りながら開発しているという形になっておりますので、そこら辺は抜かりなくやっていると思っております。御安心ください。
 
○石井構成員
 ありがとうございます。
 
○真野主査
 ありがとうございます。では、三田構成員、お願いします。
 
○三田構成員
 コメントなのですけれども、今日の理事長のコメントの中にシステムという言葉、ほかにもシステムという言葉が何度か出てきたのですけれども、私自身が障害のある方の権利擁護について研究や、実際に関わっている中で、直接WAMさんにどのようにと具体的に提案できるわけではないのですけれども、コロナということを契機に、いろいろな施設や事業所が閉鎖的にならざるを得なくなり、その中で、やはり権利侵害が見えづらくなっているということが、多々私の周囲でもあります。コロナを理由に日中の活動を制限したり、外部の目が届かないということが、そのままになってきてしまっていて、その中で、やはり不適切というか、虐待に近いような現状があることも、どうにもできないまま、そうすると利用者は離れたり、あるいはいろいろな問題が出てきているにもかかわらず、いろいろな資金を得ながら法人が生き延びているという所と、真剣にやっている、本当に真摯にやっているけれども、小さくてなかなか経営がうまくいかなくて、残念ながら閉所してしまう所と、すごくばらばらで、何かすごく私にとったら納得いかないような状況があったりしています。ですので、やはりいろいろなシステムを作っていただくのだったら、私はWAMさんに、やはり権利擁護の視点というものを、もっともっと持っていただきたいと、前々から思っております。それは難しいのですね、外から入れない分、あるいは、なかなか利用者の実態というのは分かりにくいかもしれませんけれども、ある程度の基準を持って、ここで行われていることが貸付けに値するような内容なのかというようなことが、行く行くはというか、本来、やはり福祉の事業の基盤にある利用者の権利擁護というところについて、もっともっとスポットが当たったらいいなと思っておりまして、その辺も見極められないまま、何か、取りあえず何もしないまま、もしかしたら権利侵害を行いながらも、見えないなりに経営の3年、4年とにかく安定していればいいのだというような、ちょっとうまく言えないのですが、そういう実態があるということもお伝えしたくてコメントしました。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。何か機構のほうから、今の三田先生のお話に対してコメントとかありますか。
 
○福祉医療機構理事長
 理事長の松縄です。御意見、どうもありがとうございました。それはいろいろな書き込みをして、誹謗中傷を受けているというようなことなのでしょうか。
 
○三田構成員
 権利侵害の中身ですか。
 
○福祉医療機構理事長
 そうです。どういったことなのかイメージしにくいのですが。
 
○三田構成員
 福祉の施設や事業所の中で職員から利用者に対しての虐待だったり、何のサービスも提供していないと。本当に、ただ、そこに入れておく、置いておくだけみたいな所が結構あるのですけれども、チェック機能がないのです。職員も、まともな人が辞めていっても補充しないとか、あるいは、いろいろな人を入れてしまって余計ひどくなって、悪化の一途をたどっている所が、なぜか経営だけが保障されて、生き延びているという現状があるということです。
 
○福祉医療機構理事長
 了解しました。審査の場面でどの程度のことまでヒアリングしているかは分からないのですけれども、基本的には、自治体にその施設は必要な所であるかどうかといったようなこともヒアリングしたりしながら進めてはいますが、ただ、なかなか表面に表れてこないようなところもあるかと思いますので、そういった視点でも大事にしつつ、これから融資の審査をしていきたいと思います。以上です。
 
○真野主査
 三田先生、よろしいですか。
 
○三田構成員
 難しいとは思いますけれども、そういう視点も持っていただければと思いまして発言しました。ありがとうございます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしければ次というか、そろそろ閉会の方向にと思いますが、よろしいですか。それでは、以上で、本日の福祉医療機構さんに対するWGの議事を終了したいと思います。では、最後に事務局から、今後の流れについてお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 事務局より今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました福祉医療機構の令和4年度業務実績評価及び中期目標期間実績評価につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○真野主査
 それでは、以上で、福祉医療機構に対するWGとしては終了したいと思います。長時間にわたり、ありがとうございました。