2023年8月9日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第51回) 議事録

日時

令和5年8月9日(水)11:12~12:44

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 講堂

出席者

今村主査、酒井構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、西岡構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 事務局です。定刻には少し早いのですが、皆様おそろいのようですので始めさせていただきたいと思います。ただいまから「第51回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催します。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡になりますが、会議中は御自身が御発言される場合以外は、マイクをOFFにして音声ミュート状態にしていただくようお願いいたします。また、質疑応答などの際に御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局にお知らせください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除し、御発言ください。御発言が終わりましたら再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 次に、本WGの出席状況について御報告します。本WGは、今村主査、酒井構成員、関口構成員、土橋構成員、西岡構成員、宮崎構成員、安井構成員が会場での御参加、土井構成員がオンラインでの御参加、梅崎構成員、三宅構成員が御欠席です。
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におかれましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1~3、参考資料が1~6となります。資料の不足などがありましたらお知らせください。
それでは今村先生、議事の進行をお願いいたします。
 
○今村主査
 今回は、「勤労者退職金共済機構」につきまして、「令和4年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。まず法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明しますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。本日の会議は概ね2時間を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは早速議事に入りたいと思います。まず、勤労者退職金共済機構の令和4年度業務実績評価について、御議論いただきたいと思います。初めに法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから質疑応答という流れで進めさせていただきたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構総務部長
 勤労者退職金共済機構の総務部長をしております佐藤と申します。私のほうから、勤労者退職金共済機構の令和4年度の業務実績評価について、御説明をさせていただきたいと思います。資料2-1に基づき、御説明したいと思いますので、お手元のタブレットの資料2-1を御覧いただければと思います。
1ページです。独立行政法人勤労者退職金共済機構の業務の概要をここに書かせていただいております。当機構を御存じの方も多いと思いますが、業務の中身については、中小企業のための退職金の共済制度と、勤労者のための財産形成促進制度の中で勤労者が住宅を購入する際の融資制度という、大きく分けてこの2つを実施しております。
そのうち、中小企業の退職金共済制度については、更に細かく分かれております。まず、一般の中小企業退職金共済制度ということで、通常の中小企業の方を対象として、その事業主に掛金を払っていただき、従業員がその企業を退職した場合に退職金を支給する制度が1つです。もう1つは、特定業種退職金共済制度といって、現在は建設業、清酒製造業、林業の3つを業種指定しており、ここで雇用される期間雇用者を主な対象としております。現場で期間雇用者が働いたら、手帳に1日当たり証紙を1枚貼っていただくという制度で、期間雇用者が業界を引退する際に、まとめて退職金をお支払いするという仕組みで、これが3業種あります。
 さらに、先ほど申し上げたように、財形貯蓄を行っている勤労者が住宅を購入する際に、事業主等を通じて融資を行う仕組みが勤労者財産形成持家融資制度ということで、事業を行っております。あと、ここには書いていないのですけれども、雇用促進融資事業というものを実施しております。かつて事業主が勤労者のための福祉施設を設置する場合に融資を行っておりました。新規の融資は既に行っておりませんけれども、過去に貸し付けたものの回収業務を、経過措置的に行っているものです。
 2ページに、各事業ごとの自己評価を書いております。一般の中小企業退職金共済事業(中退共)についてはA評価、建設業・清酒製造業・林業の特定業種についてはB評価、財産形成促進事業についてもB評価、雇用促進事業についてもB評価と、それぞれ付けております。また、業務運営に関する部分は、基本的にはB評価ですけれども、その他業務運営に関する重要事項のうち、内部統制や情報セキュリティについては昨年同様、A評価を付けております。
 3ページからが各事業ごとの評価です。退職金共済事業の中のいわゆる中退共、一般の中小企業を対象としている退職金共済事業です。まず、こちらに前の中期目標期間の中期目標が書かれております。退職金の共済事業なので、加入していただいて、その方々から掛金を集めて、資産を運用し、確実に退職金をお支払いするというのが基本的な業務の中身になります。したがって、それに応じた様々な目標を設定いただいています。資産運用であったり、確実な退職金の支給のための取組であったり、加入促進、サービスの向上という目標をそれぞれ立てていただいています。
 「指標の達成状況」が4ページです。まず「資産の運用」については、前の中期目標期間ではベンチマーク収益率が指標として設定されておりました。ベンチマーク収益率を指標とすることの是非については、今年の1月にこの場でも御議論いただき、この4月からの新しい中期目標では、ベンチマークを指標とはせず、新たにプロセス評価というのを導入いただいておりますが、今回は前中期目標期間中の評価ということで、ベンチマーク収益率を載せています。資産運用については、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4つに分類して行っております。ベンチマーク収益率との対比では、国内債券と外国株式が下回っておりますが、国内株式と外国債券については上回っているという状況です。これも年度ごとの状況を一喜一憂するものではありませんけれども、一応5年トータルで見ると、4資産ともにちゃんと上回っているという実績になっております。
 (2)の「確実な退職金の支給に向けた取組」についても、実は平成27、28年の制度改正の影響で、退職した後に通算できるような期間が2年から3年に延びたということで、ちょっと様子見をされて請求されない方が増えてきていることもあり、目標の達成が相当難しい状況になってきています。これもこれまでこの場で申し上げてきたところですが、新しい中期目標については、その状況を踏まえた適切な数値目標の設定を頂いておりますが、前の目標は1.3%と0.4%、なかなか達成が難しい目標のままとなっておりますが、そういう状況もあり、達成率が低くなっているという状況です。
 (3)の「加入促進対策の効果的実施」については、中期目標期間を通じて目標を上回る加入者数を達成できております。令和4年度も目標31万9,000人に対して、実績が36万3,018人ということで、113.8%という達成度になっております。
 次に、5ページの(4)の「サービスの向上」です。18業務日以内の退職金支給は達成しており、ホームページのアクセス件数も、通信監視サービス分を除いても111.3%の達成となっております。以上が指標との関係です。
 中退共についてはA評価を付けさせていただきましたけれども、その根拠として6ページに様々書かせていただいております。中でも資産運用のベンチマーク収益率対比については先ほど御説明したとおりですが、それ以外に、(3)以降のところですが、運営面、さらに資産運用については、それぞれの経理ごとに分かれていた資産運用の基本方針を一本化し、新しい資産運用の基本方針を令和4年度作るとともに、後ほど建退共のところでも出てきますが、委託運用部分については、全経理合同運用を達成するということになりました。こうしたことを含め、資産運用については前の中期計画期間中、様々な取組を行ってきましたけれども、様々な改善について一通り行ったという状況になっております。こうしたことを踏まえ、中退共についてはA評価を付けさせていただいています。
 7ページに資産運用の実績を付けております。右下の表を御覧いただければと思います。令和4年度については国内債券が若干下回り、外国株式も下回り、国内株式、外国債券はベンチマークを上回るという状況でしたけれども、5年トータルで見ると、4資産全てベンチマークを上回っている状況です。これは先ほど申し上げたとおりです。
 8ページは、1月のこの場でも御議論いただきましたので、詳細な説明は割愛させていただきますけれども、そもそもベンチマークだけを指標とすること自体の是非を御議論いただいたと思っております。それぞれ期待収益率と実際の収益率の差の要因をちゃんと分析し、その要因ごとに必要な対応を取るというプロセス評価を導入し、これができているかどうかを、今の中期計画から評価していただくという仕組みになっております。9ページがその結果です。この中期目標期間中、必要な利益剰余金をしっかり積み上げてきて、令和4年度は市場の影響でどうしてもマイナスが出ておりますけれども、それでも必要な利益剰余金は、問題ない水準をちゃんと維持できているという状況です。
 10ページが先ほど申し上げた未請求のところです。未請求については、どういう理由で請求されないのかというアンケート調査を毎年度実施しております。これまでも申し上げてきたように、金額が多い方々については、やはり通算を見込んで請求されていない方が多くなっております。一方で金額が少ない方については、手続が面倒ということで請求されないという、今までと同様の傾向が見て取れたということです。11ページの累積の受給者数や、金額に対する未請求の比率で見ると、長期的には低下傾向にありますので、引き続き頑張っていきたいと考えております。以上が中退共です。
 12ページからは特定業種の中の建設業、我々が「建退共」と呼んでいるものについてです。中期目標は同じように、「資産の運用」「確実な退職金の支給」「加入促進対策の効果的実施」「サービスの向上」という柱が立っておりますけれども、「確実な退職金の支給」が、建退共の場合は手帳制度を取っておりますので、手帳の未更新というのがこの間、一番大きな問題になっています。この未更新者がどんどん積み上がってきたのを、いかに減らすかというのが一番大きな論点になっています。
 13ページが「指標の達成状況」です。資産運用については合同運用になり、中退共と全く一緒なので、説明は割愛させていただきます。(2)確実な退職金の支給では、手帳の未更新の方を減らしていくということで、昨年度は大きく減らして、中期目標の数字を達成したのですけれども、今年度は更にそこから減らすことができました。(3)加入促進対策の効果的実施は、令和4年度の目標が10万6,000人に対して、実際の実績が10万2,268人ということで、達成度は96.5%となっております。建設業の従事者自体が減っていく中で、令和4年度は達成が難しかったのですが、中期目標期間全体で見ますと、何とか目標の54万5,000人を達成したという状況になっております。14ページの、ホームページのアクセス件数については、通信監視サービス分を除いても140%の達成度となっているという状況です。
 建退共については、資産運用は合同運用になりましたので、令和4年度分は割愛させていただき、17ページを御覧ください。長期未更新の方が長年ずっと増えて積み上がってきたところを、令和2年度から反転して下げることができて、令和3年度に中期目標期間の目標を達成しました。令和4年度は、更にそこから減らすことができました。どのような取組をしたかというのが18ページに書いてあります。建退共については以上です。
 19ページからは、同じ特定業種の中でも清酒製造業についてです。目標は、建退共と大体似たような構成になっております。清酒製造業の実績を見ていただければ分かるとおり、長期未更新等は順調に減らせているのですけれども、この間、加入促進がずっと難しかったという状況です。その辺りの資料として26、27ページを御覧いただければと思います。
まず26ページです。清酒製造業は、皆様も御存じのとおり、お酒は免許がないと造れない事業です。免許を持っている方の93%に、既にこの制度に加入いただいております。あとは業界自体が大きくなっていかないと、なかなか新しい人が入ってきませんし、既存の業界でどんどん新しい方を雇っていただかないと増えていかないという構造になっています。そうした清酒製造業の中で、悪いことではないのですけれども、期間雇用者の割合が減ってきて、通年化が進んでいます。期間雇用者を対象としているこの制度自体の対象が減っているというのが、まず課題として1点あります。
 さらに27ページです。コロナ禍でお酒の製造量自体が減って、それがなかなか戻ってきていないという状況があります。いろいろな取組はしましたが、そういう状況がありますので、清酒製造業の期間雇用者を主な対象とする退職金共済事業の加入者を増やすことが難しい状況にあったというのが、令和4年度の加入者数が達成できなかった、令和4年度に限らず、この期間はずっと達成できなかったのですが、そういう状況にあります。
 続いて28ページからが林業です。林業も、目標は建設業や清酒製造業と同じような4本柱になっております。林業も加入促進が課題になっているというのは、清酒製造業と同じような問題があります。さらにもう1点、林業につきましては累積欠損金がありますので、この解消をしなければいけないというのが目標の所に書かれています。
 29ページが「指標の達成状況」です。累積欠損金については、累積欠損金の解消計画がありますので、これに基づいて解消していくことになっておりますけれども、一応その目標値を上回る数字になっています。一方で、(3)加入促進対策の効果的実施で、加入促進の達成度は83.8%と書いてあるとおり、ここがなかなか難しい状況です。その資料が後ろのほうに付いておりますので、34ページを御覧いただけますか。左側のグラフを御覧いただくと分かるとおり、林業従事者がずっと経年的に減っている中で、さらに林業労働者の中でも期間労働者が減っています。林野庁としても、政策として林業労働者の通年雇用化を進めてきたという状況の中で、制度の対象である期間雇用者が相当減ってきているという状況があります。林野庁としては、この先、林業労働者は減らないという推計を出されておりますけれども、厳しい状況は引き続き続くことが予想されます。こうした状況もあり、林業についても加入促進がなかなか目標どおりいかなかったという状況です。以上が林業です。
 さらに、36ページは「財産形成促進事業」、中でも財形持家転貸融資制度です。目標については、融資業務を着実に行うということで、審査期間は5業務日以下ということ、2番に書いてあるように、新規借入申込件数は2,080件以上、相談受付件数は700件以上というのが主な目標として設定されております。37ページが実際の実績です。平均審査日数は5業務日というところについて、3.97業務日ということで達成しております。そして一番大事なのが、2の(1)の2つ目の四角にある新規借入申込件数です。令和4年度は目標の343件に対して501件ということで、達成度は146.1%となっております。中長期計画期間全体を見ても、大体150%を超えるような達成度になっているという状況です。また、情報提供についてはアクセス件数を目標としておりますが、こちらも通信監視サービス分を除いても、大きく超過達成をしているという状況です。
財形については、先ほど申し上げたとおり、ホームページでの情報提供の質の向上に取り組んできましたが、39ページを御覧いただければと思います。ホームページに一番細かく制度の説明が載っておりますが、そこまでどうやって誘導してくるかというのが一番の課題でした。いろいろな調査をした結果、特設サイトを設けて、そこから来ていただくのが一番効果がありそうだということが分かりました。昨年度も特設サイトを設け、制度の説明の所にうまく誘導してきたところです。以上が財形制度です。
 40ページが「雇用促進融資事業」です。先ほども申し上げましたが、新規の融資は既にしておらず、淡々と今ある債権の回収を行っているところです。こちらは淡々と実施しているということで、B評価を付けさせていただきました。
 41ページ以降が「業務運営の効率化に関する事項」です。こちらについて、特に電子化ということで、中退共については現在システムの再構築を行っているところで、建退共については電子申請の導入について既に制度を始めているところで、現在もそれぞれ必要に応じて手直しをしています。こうした状況もあって、自己評価はBを付けさせていただいております。
 それから、48ページまで行っていただけますか。「その他業務運営に関する重要事項」の内部統制、情報セキュリティ対策については、この場でも、これまで様々な取組をやってきたと申し上げましたが、昨年度も「内部統制の強化」と「情報セキュリティの推進等」をしっかりやったということで、A評価を付けさせていただいているところです。
ガバナンス体制については、51ページのとおり、前の中期目標期間中に一応形を作り、引き続き今中期計画期間もしっかりとこれを運用していきたいと考えております。令和4年度評価についての説明は以上です。どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは、令和4年度の実績評価について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。オンラインで参加の構成員も適宜御発言ください。
 
○安井構成員
 御説明いただきましてありがとうございました。まず、5ページの下のほうに「ホームページアクセス件数」というのがあります。ここは、ここ2、3年ぐらい、我々は、ホームページのアクセス件数を分析したほうがよろしいのではないでしょうかということをずっと主張してきたところでしたが、最後の所に、「なお、指標として適切か否か検討を行った結果、第5期においては本指標を設定しないこととされた」とあります。これを見ても、ホームページのアクセス件数を分析している、例えばGoogleアナリティクスみたいなものを使って分析しているような感じに見受けられないのですが、そういった中で、結局、我々がこういうものの分析をやっていかれてはどうかとご提案していたものの、突然に本指標は設定しないと決定されたということですが、その背景を御説明いただければと思います。
 7ページの「原因」の最初の○の所で、「外国株式における収益率がベンチマークを下回ったのは、長期的な成長が見込まれ長期保有目的で購入されている銘柄の株価について、急激な金利上昇の影響(収益予想値の割引現在価値低下による自動的売却)が強く出たことが主因である」とあります。これは、長期的な成長が見込まれるから長期保有目的で購入したが、その外国株式の現在価値が金利上昇に伴い下がってしまったから、長期的に保有すると言っていたのに自動的に売却してしまったということでしょうか。それが質問の2点目です。
 最後が、先ほど驚いたのですが、人事の話で機微に触れる内容になるので、余り質問したくないのですが、外部委員として質問せざるを得ないというところです。去年を思い出していただくと、前理事長の最後の挨拶の所で、「私の理想としては、隣にいますが、総務担当理事の西川理事が一緒に次の中期計画を作って、理事長の任期は5年ですから、私は作って退任しますが、それを持ち上がりで総務担当理事が理事長になるという、通常そうですよね」と発言されております。昨年の会議を思い出していただくと、ずっと理事長は御質問に答えずに、代わりに全部、西川理事が回答されておりました。そして最後に、ややドラマチックに、前理事長が西川理事が次期理事長として十分実力があるとまとめていらっしゃいました。ということで、前理事長のお気持ちとしては、西川理事が理事長になられるということだったと思いますが、そうならなかったということは、前理事長の思いというものが拒否されてしまったということだと思いますが、何らかの背景があるのでしょうか。昨年の会議の様子を踏まえると、外部委員としては質問せざるを得ないというところですので、よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(小林)
 御質問ありがとうございます。総務担当理事の小林です。よろしくお願いいたします。私のほうから、まず1つ目の、ホームページのアクセスの分析ですが、これは実は令和5年6月に中退共のホームページを見直した際に、導入することを検討はしたのですが、Googleアナリティクスのアクセス解析ツールの導入について、従来だと無償でしたが高額なお金がかかるということに変更になったということがありましたので、現在、費用対効果の観点から、改めて利用の是非について検討を開始したところです。無料であれば導入しようかと思っていたのですが、お金が結構かかるということで、費用対効果の観点から改めて検討ということを考えております。
 もう1つ、考え方としては、多分、先生がおっしゃっているホームページのアクセスの分析は何のためにやるかと言うと、制度を今利用していらっしゃる方の利便性を向上することや、あと利用されていない方や加入されていない方に入っていただくにはどうしたらいいかとか、両方の観点があるかと思います。それについては、中退共なり、いろいろな事業本部のほうでアンケート調査をやって、加入に関して、例えばどういうことを重視しているかを聞いておりますので、そこを重点的に広報していくことをやっていきたいと思っております。それが2点目です。
 3つ目は、私のほうからは前の理事長の思いを代弁させていただくと、本来、理事長の大きな仕事は、自分の後任者を作ることだということで、最も望ましいのは、やはり総務担当理事が持ち上がりでやるのが望ましい、そういう思いでいるということです。理事長は厚労省さんのほうの任命なので、私からどうして総務担当理事ではないかというお話はできないのですが、ただ、前理事長の思いを引き継いで、今、第5期の新しい中期計画に入っておりますので、総務担当理事の私が全体の新しい中期計画の進捗についてはしっかり見させていただいていると思っております。私からは以上です。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 私から中退共のホームページについて、若干、補足説明させていただきます。私ども、昨年から1年間をかけて準備をし、今年の6月にホームページをリニューアルいたしました。この1年間ずっとGoogleアナリティクスを入れるという前提のもとで走っていたのですが、ちょうど今年の6月から無償化が終わってしまいまして、新しいGA4というものでは、初期費用が100万円以上、月間15万円以上の費用がかかるということになってしまいました。このため、これを入れるに当たっては、どのレベルのサービスを入れるかを十分に費用対効果の観点から検討してからでないと入れられないということでもありますし、また、それだけの金額をかけるのであれば、今度はスポットで1年間に2回とか1回とか、そういうスポットの分析を有料で業者にやってもらうという選択肢も出て参りますので、どちらが費用対効果的にいいのかという観点からも、今、検討を行っているところです。分析を諦めたわけではありません。
 それから外国株式の件ですが、これは私どもの運用の方針として、基本的に長期的な視点から投資をしております。その中で、特に長期的な、将来的に高い成長率が見込まれるという株を、短期的な株価の変動や業績の変動では売らないで、長期保有するという運用戦略で運用している委託先があります。ところが、令和2年のコロナ禍で世界的に金融政策が緩和されて、資金が株式市場に流れ込んだときに、そういった長期保有目的以外の投資家も、機構の運用委託先が長期保有の目的で持っていた企業の株を買ったわけです。ところが、今度は逆に、金利が上がり始めたときに、プログラム売買みたいなことをやっている投資家は、金利が上がると投資先企業の収益見通しの割引現在価値が低くなるので、自動的に売ってしまうわけです。その結果として、株が大きく下がったわけですが、私どもの運用委託先は、中長期保有目的で持っていますので、そこで売り抜けることをしないので、パフォーマンスが下がってしまったということです。書き振りが分かりにくくて恐縮ですが、そういう意味です。
 
○安井構成員
 株の話はよく分かりました。てっきり売られたのかなと思ったのですが、その自動売却、プログラム売却の影響で、株価が下がったことに伴い、保有している株の時価も一緒に下がったということだったのですね。承知いたしました。
 あとホームページの件ですが、そういうことでしたら、「検討した結果、高額であったため」とか、「費用対効果を検討して」とか書いていただくと、私も理解できました。書いていないと、唐突感を感じてしまいます。
 あと例の人事の話については、厚労省さんの御意見もお伺いできればと思います。
 
○勤労者生活課長
 厚労省の勤労者生活課です。確かに、去年、前理事長が最後のほうで、理事長の思いということでおっしゃったのだと思います。法人所管課が、理事長の人事権を持っているわけではないので、なかなかお答えしにくいところですが、理事長は、法人全体のガバナンスとか、いろいろな観点から、総合的に判断して、適任の方が選ばれたということだと思います。
 結局、前理事長の下で中期目標も定めましたし、中期計画も定めまして、理事のメンバーは変わっておりませんので、その内容を受け継いで今取り組んでおられるのだと考えております。以上です。
 
○安井構成員
 では、適切に公募等をされて見つけられたという理解でよろしいですか。
 
○勤労者生活課長
 今回、理事長は、特に公募という形は取ってはおりませんが、厚労大臣任命ということで、人事の担当のほうで適任の方を探して任命されたということだと思います。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。資料の3ページ、中退共の自己評価ですが、重要度が「高」だということと、ベンチマークを下回るというか、損失がベンチマークよりは小さかったということで、両方合わせてAにされているのだと思われますが、質的に重要なり難易度が高いのは分かるのですが、そうは言っても、4ページを見ますと、当年度は金利の上昇があって外国債券と株式が下がったという影響もあって、トータルの運用がやはりマイナスになっていて、決算書を見ますと、トータルで930億円の赤字が出ている中で、中退共が790億円ぐらい赤字が出ていますので、さすがにここまで赤字が出ている状況で、ベンチマークより小さい損失でしたという意味で、目標は達成したという意味で、B評価だと分かるのですが、さすがに質的に重要だからということを加味して、計画を大幅に上回る実績を達成したというAが付くのかなというところは、個人的にはBではないかと思いますので、その点だけコメントさせていただきます。以上です。
 
○今村主査
 これは自己評価の話なので、法人からお願いします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。確かに超過収益率という観点から言うと、基準を満たしていないのはそのとおりだと思います。私どもの自己評価は、主にガバナンス、資産運用のガバナンスにおける取組において大きな成果を上げた点を評価したものです。私たちに課せられた使命というのは、中長期的に安定的に必要な収益を上げていくということだと思っております。そのための体制作りを行ったのが、第4期中期目標期間であり、その総仕上げを令和4年度に実施したと考えております。令和4年度について言えば、例えば、「資産運用の基本方針」の統一や、建退共の合同運用への参加、そういった成果を上げることができたという意味で、評価の軸に乗っていないことを認識はしているのですが、私どもに課せられた大きな使命を果たしたという観点からは、自己評価としては、A評価を付けさせていただいたものです。
 
○宮崎構成員
 考え方の相違なので何とも言えませんが、最終的には主務省のほうで判断いただければと思いますが、ただ、掛金を預けて勤労者のために運用しているわけですから、ガバナンス強化をされたこと自体は分かるのですが、それによって勤労者が何かすごく便益を受けたのかと言うと、当然、ガバナンスを強化していただくのは、ある意味当たり前のような気もしますので、それを成果だと言うのは、考え方としてはいろいろあるのかなと思いますので、努力されていることは私はよく理解していますが、そのガバナンス強化を通じて、勤労者に便益を還元して、パフォーマンスが上がるというところまで行って、評価を上げていただくのが、個人的には良いのかなと思いますので、ここの最終評価は主務省のほうかと思いますので、外部委員としては、そういう見解もあるということで、検討いただければと思います。以上です。
 
○今村主査
 今の宮崎構成員の御質問に対するお答えですが、ガバナンスの部分というのは、令和4年度に資産運用の基本方針等で、何かガバナンス構想、特に何か具体的に、つまり簡単に言うと、120%以上でないとAにはならない、しかし、定性的な質的な部分で大いに努力されていればAにしましょうというのが従来からの考え方なので、そこの質的な部分を、ガバナンス一言で片付けないで、もう少し説明していただければと思います。既に説明されていると思いますが、もう少し分かりやすく説明していただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。先ほども申し上げましたが、大きな成果としては、まずは建退共が合同運用に参加して、全ての経理において、委託運用の部分については合同運用になったということです。それを契機として、私どもの資産運用における憲法とも言えます、資産運用の基本方針を、それまでは経理別に設けられていたものを全て一本化して、新たに制定し直したということです。さらには、第5期中期計画に向けての体制整備という格好で、今まで中退共を担当する課と、特退共を担当する課という、そういう形での縦割り構造になっていたわけですが、それを業務内容による横串を刺す格好で、委託運用課と自家運用課という課の構成に変更したという、そういう体制変更も行ったということです。
 このように、中退共が先行して実施して来た一連の改革の中で培ってきたと言いますか、ためてきた知見、あるいはスキルといったようなものを、機構全体の資産運用に均てんできるような体制を整え、中長期的に、安定的に収益を上げ得る体制が完成したと考えておりますので、それをもって、ガバナンスの改善と申し上げたということです。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それを令和4年度に実施されたということですね。引き続き、どうぞ御質問をお願いします。
 
○西岡構成員
 御説明、ありがとうございました。今年度からの構成員のため、過去の説明であったのかもしれませんが、確認を含めて教えていただきたいと思います。
 スライドの10ページの所に、「確実な退職金の支給に向けた取組に関する事項」があります。請求しない主な理由を先ほど御説明いただき退職金額によって変わってくるというのは分かったのですが、先ほどの説明では、例えば手続が分かりにくいとか、手続が面倒だとか、例年どおりこの数字ですということでしたが、これは私から見ますと、非常に高い数値で驚きました。手続が面倒とか、手続が分かりにくいというのは、何かしら方法、措置をとって、これに取り組んでいかないと何の変化も起こらないのではないか。令和元年から令和4年度を見ても数値がほぼ一緒ということですので、この期間もしくは令和4年度に関してでも構わないのですが、この結果に対してどういう取組をされたのか、この数値をどう捉えているのかということも含めて教えていただきたいと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 中退共を担当しておりますので、私のほうから御説明させていただきます。おっしゃるとおりで、手続が面倒という理由に拠る未請求者がなかなか減らないというのは頭の痛いところですが、逆に言うと、手続が面倒でなくなるような措置を取っていけば、減る可能性があるということです。したがいまして、例えば、以前は、退職金を請求するときに、振り込むための銀行口座を確認するため、銀行に行って口座の確認を取ってきてくださいという手続をお願いしていたのですが、これが結構面倒くさいというお話もありましたので、通帳のコピーを送っていただければ結構ですという形で、手数を軽減したとか、あるいは手続のための書類も、今まで手書きでなければいけなかったのが、ホームページ上で書式をダウンロードしてPCを使って書き込めるようにするとか、そういった形での手続負担の軽減措置を取っております。あるいは、ホームページを、手続を調べやすいように改訂するというような対策など、いろいろと工夫してはおります。
 
○西岡構成員
 いろいろな対策を御検討いただいているかと思いますが、やはり、先ほどのオンライン化の話もありましたが、うまくホームページを活用する等で、対応できる部分もかなりあるかと思います。スマートフォンを持っている方も多く、皆さんスマートフォンからアクセスすることに慣れてきていらっしゃるので、それに対応した仕組みも御検討いただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。ホームページで言いますと、今年の5月までのホームページというのは、PCとスマホ版の内容が違っていたのです。これを6月に全く同じものを利用できるようにしましたので、今後はスマホでの利用もしていただけるようになるのではないかと考えております。今後、アンケート調査の結果等も踏まえて、手続の軽減に努めてまいりたいと思います。ただ、余り軽減してしまいますと、不正につながる部分がありますので、ある程度の厳格さは残さなければいけないのですが、その範囲内で努力させていただきたいと思います。
 
○西岡構成員
 ありがとうございます。もちろん、厳格化というのが一番大切ですので、そちらのほうは踏まえた上でということで、よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○安井構成員
 6ページ目で、資産の運用の(3)です。運用面ではという所で、「組織・体制面でも、今後見込まれるサステナビリティ関連活動への期待の高まりを見据えた高度専門人材の確保を行った」とございます。以前お話されていたときには、そのESG関連投資自体はしていかないのだけれども、証券会社等へのエンゲージメントを強化していくとおっしゃっていたと思います。エンゲージメント強化は、以前の理事長を中心にいろいろと行われていたと思うのですが、今回、このサステナビリティの専門家を雇われたということは、実際に運用されていくということなのか、それとも、そのエンゲージメントを強化する際に、そういった方が活躍するということなのか、教えていただけると有り難いと思います。
 2点目です。7ページの一番右下を見ると、委託運用部分の収益率だと5年間の年率で超過収益率が0.14%なので、5年間で見るとベンチマーク対比0.14%の超過収益率が得られたということで、よかったということになるのかなと思うのですが、ちなみに、もし御存じであれば、貴機構と同規模のファンドとかですと、どのくらいの超過収益率を獲得しているのかというのを教えていただけると助かります。
 3点目です。先ほどちょっと機微に触れる質問をしてしまったのですが、やはり何と言うのですかね、透明性を確保していくためにも、結果として、理事長はすばらしい人だったということになったとしても、やはりその、何と言うか、天下り人事ですとか、お友達人事、厚労大臣のお友達人事とかということを世間は非常に厳しく見ている部分もございますので、そこら辺、もうちょっと透明性を確保して、公募のプロセスをちゃんと作るとかといったことを、任命においては考えていくということも必要なのではないかなというように民間の者としては思うのですが、いかがでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 1番目と2番目の質問については私のほうから御説明させていただきます。まず、こちらの高度人材ですが、サステナビリティ統括役という役職で採用したところでございます。今年7月1日に既に着任しております。当面の業務内容としては、もちろん今まで力を入れてまいりましたスチュワードシップ活動の強化ということでもありますし、今、準備作業を進めているPRI署名も実現させていきたいと考えております。また将来的には、TCFDレポートの作成といったことも視野に入れております。私ども公的機関に限らず、運用機関に対しては、ESG要素を考慮した投資というものが、これからどんどん求められてくるものと思われます。そういった要請に対応するためには、海外での経験等の豊富な人材に活躍してもらわないと回っていかないだろうという観点から採用したものです。したがって、今すぐにエンゲージメント以外のインベストメントですとかダイベストメントをやるのかと言われれば、今はそういうことは考えているものではないということでございます。今後の状況を見ながら検討を進めていきたいと考えております。
 超過収益率の所なのですが、これは同規模のファンドと比べるというのはなかなか難しい。というのは、目指している収益率、私どもの場合は1.1%ですが、それが異なりますし、リスクに関する方針も異なりますので、求めている超過収益率の結果が異なると思われるからです。リスクについて言えば、私どもは基本的には安全な運用というのを心がけております。例えば、外国債券について言うと、通常ですとトリプルB以上の債券を購入していいというような所が多いのですが、私どもそこはシングルA以上というような形で、少しハードルを上げたりしておりますので、一般的な所よりは若干収益率は落ちるというところもあるかもしれません。しかし、中長期的に信用リスクというようなものを少しでも低くするという独自の運用方針を取っております。このため、他機関よりも超過収益率が若干低めになっているかもしれません。何れにしても、余り同規模のファンドと比較したことがございませんので、確たる数字では申し上げられません。ただ、中長期的に必要な収益率を確保できるように体制作りをさせていただいているということでございます。
 
○安井構成員
 1点目、2点目ともによく分かりました。どうもありがとうございました。やはり、このベンチマーク収益率との比較というのは非常に分かりやすいので、是非、今後ともこれを掲載していただいて、パフォーマンスがどうかということをお示ししていただけると有り難いと思っております。以上です。
 
○勤労者生活課長
 3点目ですが、厚労省からお答えします。これは独法の役員全体のルールなので、一所管課から答えにくいところではあるのですが、基本的に、公務員OBが任用されるようなときには公募になっていると思うのですが、今回のケースはそれには当たらないので公募は行われておりませんけれども、厚労省のホームページに、勤退機構の理事長の任命について、任命理由と、外部有識者の意見聴取を経た上で決定したという形で出ておりまして、外部有識者としては大学の教授が3人、弁護士1名という形になっているというような手続で任命されているということでございます。
 
○安井構成員
 よく分かりました。今後のことなのですが、やはり、そういう世間の目線が厳しくなっておりますので、できれば公募で何人かいて、その中から選ぶということをやっていったほうが、こちらの機構の信用度も高まるのではないかなということで御意見申し上げた次第です。
 
○今村主査
 これは、あれですか、任命規定というのは、ずっと、例えば前理事長が任命されたときの規定と、今の理事長が任命されたときの規定とは変わっていますか。
 
○勤労者生活課長
 すみません。前理事長は7年半前なので、少し前ですが、ホームページに掲載されている状況からすると、公募ではなくて、なおかつ、同様に外部有識者の意見を聴いた上で選定したということになっているので、恐らくルール自体は変わっていないのではないかと思います。
 
○今村主査
 継続して同じルールで任命されているということですね。ありがとうございます。ほかに何かありますか。
もし、なければ、私から1つ。すごく稚拙というか、単純な質問なのですが、新しい理事長にも質問することになると思うのですが、前理事長がガバナンスに関して随分ローリングプランというのをきっちり作って、ガバナンス体制というのをすごくしっかりして、特に目利き人材、その資産運用と情報システムの両方に関して内部で人材をしっかり育てるということをやっている所は評価できると私は思っています。
まず最初に、質問なのですが、ガバナンスと内部統制は同じですか、違いますかという変な質問なのです。というのは、かつて福沢諭吉が「コンペティション」を「競争」と訳したらしいという話がありますけれども、それが正しい訳なのかどうかという問題があります。そうすると、「ガバナンス」を「内部統制」というように我々は理解していいのかというのは、皆さんどう思いますか。これはChatGPTに聞くと、明らかに違うという答えが出てくるのです。前者のガバナンスをむしろ前向きにプロセスがアウトカムを変えていくと、内部統制というのはアウトカムがプロセスを制御していくみたいな、そんな印象なのです。
 私がお聞きしたいのは、ガバナンス体制について、51ページについて、新理事長がこれについて受け継がれて、御意見や御感想あるいは今後どういうように考えるかということと、もう1つはローリングプランについての実施の意向といったことについて、簡単に引き継ぎの内容を教えていただければと思います。いかがでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 理事長の梅森でございます。ガバナンスと内部統制の関係ですが、私の理解としては、ガバナンスを達成していくための1つのツールが内部統制ではないかと思っております。端的な例を言いますと、理事長が暴走しないように、チェック&バランスを効かせることが内部統制であって、それを1つのツールとして、全体としてのガバナンスが達成され、機能する、このように個人的には理解しております。これが1点でございます。
 それから、機構のガバナンス体制、リスク管理体制ですけれども、着任しての第一印象は、思った以上に強固な体制が築かれている、さすがは水野前理事長だと思った次第です。ただ、例えば個人情報の管理面を見ますと、大量の個人情報が流出しないような管理上の手当てというのはされているのですけれども、昔ながらのやり方でやっている事務周りには、まだ統制しきれていないリスクが残っているように思います。前理事長が作られた体制を適切に運用しながら、前理事長とは違った私の目で見て、必要な手直しがあればやっていくということが私の任務かと思っております。既に幾つか気付きの点があり、リスク管理面の改善を指示しているところであります。
 
○今村主査
 ありがとうございました。ローリングプランについては、今のところ原則踏襲という方向で御検討されているのでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 はい。ローリングは、しばらく経営が走ってからでないとその要否が分かりませんが、原則としては、今、主査のおっしゃったとおり、ローリングはあり得るものと思って機構を運営していく所存です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
○関口構成員
 加入促進対策の所で、ちょっとお尋ねします。特に、特退共のほうの加入促進というところは、非常に今後も苦労されるような業界かなというように思っております。特に清退共、林退共については、その産業がこれ以上どのように発展するかというところが、非常に、何と言うか困難が予想される部分ですので、その辺りをどう捉えていくかということは、これは厚労省の指定ということですので、機構としてどうこうできる所ではないのかなというように思うのですが、今後、全体でまとめたというところもありますので、その辺りをうまくやっていかないと問題は出てくるのかなというように考えています。その辺り、ちょっとどうしようもない部分と言いますか、機構としてどうこうできる部分ではないかとは思いますが。
 建退共のことでちょっとお尋ねします。今、建設業界のほうが来年度の働き方改革等々を踏まえてということで、非常に建設業界の人員確保にそれぞれ苦労されているというのが報道等でもされている部分かと思います。その辺りで、サブコンまでは既に入られる方は入られているというようなところはあると思うのですが、例えば一人親方といったところの加入に関して、今、御苦労されている部分に加えて、来年度以降の人材が枯渇しているような状況の中で、どういう手を打とうというようにお考えでいらっしゃるのか、その辺りについて、簡単で結構なのですが、お考え、あるいは見通しなどをお示しいただければと思っております。以上です。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
 建退共を担当しております岸川と申します。今の御質問ですが、正に建設技能者の数が減ってきておりますので、なかなか加入促進というのは難しい面がございますけれども、それでも、例えば外国人労働者の存在が一つ建設業にとっては大きいと思っております。特定技能の資格の制度があります。コロナの影響で令和3年度辺りは外国人の労働者が日本にいらっしゃる数が減りましたけれども、昨年辺りからまた増えているということで、そういう方たち、技能実習生も含めて、建退共に入ることはできますので、日本語のパンフレットだけではなく、特にベトナムからたくさんいらっしゃっているということもありますので、ベトナム語版のパンフレットを用意するほか、JAC((一社)建設技能人材機構)とも連携して外国人労働者の建退共加入ということを頑張っております。
また、細かく見ていくと、公共工事に参加するためには経営事項審査を通過しなければなりません。その経営事項審査に関するデータブックというものがございまして、どういう企業が経審を受けているかということで、その中の項目に「退職金制度はどうなっていますか」といったようなデータもありまして、建退共に入っている所が多いのですが、中退共を含め、ほかの制度にも一切入っていないというような企業が1割から2割ぐらいいらっしゃいます。ですから、そういった企業にダイレクトメールを送りまして、もし退職金制度を人材確保のために必要だと考えているのでしたら、建退共はどうでしょうか、といったような案内をするなど、何とか来年度以降も加入の確保を図っていきたいということでございます。ほかにもいろいろと頑張っておりますけれども、また機会がございましたら、しっかりと説明させていただきたいと思います。
 
○関口構成員
御回答ありがとうございます。ベトナムはそういった意味で、マーケットと言うとちょっとおかしいのですけれども、今後注意をしなければいけない部分かと思うのですけれども、ベトナムのエージェントとかのところは、研究等々の一環で行きますと、やはりそこにもう少しアプローチしてもいいのかなというようには思っています。ただ、ベトナムにあるエージェントも玉石混淆ですので、非常にイリーガルなところもありますし、その辺りの御判断は難しいとは思いますけれども、直接、ダイレクトにベトナムにアクセスするというのも1つの方法かなというようには今お話を聞いていて思いました。御回答どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 ありがとうございます。ちょっと1つだけ。全体を通しての印象で、先ほどから出ているWebサイトやインターネットサイトの運営なのですが、財形に関しては39ページですか、特設サイトを設けてそれが功を奏しているというように書かれています。一方で、どちらかというとアクセス件数等に関しては消極的というか、余り重視しない。アナリティクスに関しても、現状ちょっと踏みとどまっておられる、検討しておられるということなのですが、全体としてどうなのでしょうか。
中小企業退職金共済というのと、その他の共済とで、本人の直接関与度がちょっと違うのではないかと思うのです。経営者が加入するのは中退共の場合がそういう考え方があって、加入促進というと、経営者に対する啓蒙といった部分も入ってくると思うし、それに対して、やはり建退共だと、むしろ個人的な親方とかといったところにという、そういう構造の違いみたいなものがある。そういう構造の違いと、インターネットを使ったアクセス、財形は余り参考にならないかもしれませんが、そういうマーケティングというのですか、ターゲッティングみたいなところを、うまくWebサイトあるいはスマホのサイトを使ってやられるということの全体像がまだちょっと見えないのですが、その辺はどうお考えでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 全体像に関する話ですので、理事長からお答えします。今、主査が御指摘になった点は、正しく私が着任して思った当機構の問題点の1つだというように思っております。具体的には、情報発信面において特に顕著だと思うのですが、縦割り色が強いために知見やノウハウが非常に共有されにくい面があります。特に広報や加入促進などでは、他の事業本部がやって成功したことを、自分の事業本部でもやってみようという、そういう精神に欠けるところがあります。これは大変もったいない話だと思いますので、今、広報活動の連絡会を作ってそのノウハウを共有するような取組を始めたところです。
 それから、今一つSNSの利用についても非常に消極的であるという印象を持っております。これまで公式アカウントをYouTubeにしか持っていなかったのですが、今、InstagramとTwitterにも公式アカウントを取るように指示をしておりまして、情報発信のチャネルも増やしていく方針です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。以前から議論しているように、構造的な問題として出発点の制度からいろいろと困難性を抱えているかと思いますが、どうぞ是非実現していただければと思います。ありがとうございます。もし、なければ、これで令和4年度の実績評価については一旦区切らせていただきます。
 続いて、中期目標期間の実績評価について御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか、よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは資料3-1に基づきまして、佐藤から御説明させていただきます。資料3-1を開いていただいて、基本的な作りは先ほどの令和4年度の評価と同様になっておりますので、かぶっている部分の説明は割愛させていただきます。
 2ページ目です。中期目標期間の実績評価、今度は各項目ごとの中期目標期間全体の評価でございます。こちらの自己評価につきましては、昨年度出させていただきました見込み評価の自己評価と一緒でございます。中退共についてはS、建退共についてはA、内部統制等のその他業務運営の重要事項もAでございます。
3ページ目以降、中退共の所になりますけれども、こちらも実績等につきましては先ほどの令和4年度と基本的には一緒になっております。8ページ目を御覧いただければと思います。先ほどやり取りの中でも御説明をさせていただきましたけれども、前中期目標期間の間に、特に資産運用のところにつきましては、様々なガバナンス等々の見直しを行ってございます。基本ポートフォリオを見直し、委託先、マネジャー・ストラクチャーの見直しも行い、かつ、その資産運用の基本方針を一本化し、委託運用部分につきましては合同運用を達成したというところでございます。こうした取組をちゃんと進めてきたということ、それから実際の収益率の実績のところですが、左のグラフは先ほどのところにもありましたけれども、5年間年率で4資産ともにベンチマークを上回っているということと、あと一番大事なのが右側の図表2ですが、必要な利回りを5年間しっかりと最低限のリスクで達成できたということでございます。ここは一番重要なことと考えています。
 11ページ目です。こうした資産運用に関する取組につきましては、当機構の資産運用委員会からも、しっかりと御評価を頂いたということでございます。中退共で補足すべき部分は以上となります。
 建退共のところでは、基本的には令和4年度の評価と変わらないのですけれども、21ページをご覧いただけますか。左の上にありますとおり、中期目標期間トータルで、建設技能者の実数は相当減っておりますが、減っているなかで、何とか中期目標期間の加入実績を確保できたということでございます。取組といたしましては、ハローワークでの周知ですとか、外国人労働者向けの周知ということで、ベトナム語も含めた外国語パンフレット等々も行っています。真ん中の上の所に書いてありますとおり、何とか中期目標期間でぎりぎり目標を達成したという状況でございます。
 それから、先ほどの令和4年度の中にない資料で御説明をしたほうがいいものが、36ページの林退共のところです。先ほど御説明しましたとおり、林退については累積欠損金がございまして、この解消計画というのを立ててございます。一応、累積欠損金の解消計画を上回って推移をしているというのが、こちらのグラフを見ていただければ分かるかと思われますが、こちらにつきましては、引き続き着実に解消をしてまいりたいというふうに考えてございます。先ほどの令和4年度の資料の中になくて、中期目標期間全体として御説明をする必要があるものとしては以上でございます。機構からの説明は、以上になります。ありがとうございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、ただいまの実績評価について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。先ほどの令和4年度の評価とほぼ同じ内容の意見になりますが、8ページの中退共の第3期中期計画期間の評価ですけれども、委託運用部分の収益率が5年間を通じてベンチマークを上回っているということは理解しております。また8ページの右下図表2で、通期実績として5年間で必要な利回り1.1%に対して、1.13%の5年間実績であったということも理解しております。したがいまして、概ね目標は達成している、ないしは目標を上回る達成をしたということは分かっています。ここが質的に非常に重要だということも加味すると、5年間の累計で評価がAだということであれば理解できるのですが、これがSになるというのは、個人的には過剰な評価ではないかなと思っております。ここはガバナンスの改革に取り組まれたとか、質的な要因の認識の差と思っております。私の意見としてはそこを取り組まれた御努力は分かるのですが、それを通じて、勤労者に如何に便益を還元できたかという成果のパフォーマンスとして評価すべきものと思っていますので、ガバナンス改革を通じたことは、目標を達成するための手段を整備されたということですから、手段を整備した結果で、今度成果が上がったタイミングで評価を引き上げられることがよろしいのではないかと思っております。以上です。
 
○今村主査
 いかがでしょうか。B、B、A、Bとあって、いきなりSというのは、という印象ということですね。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。おっしゃることはよく理解できたところでございます。先ほども申し上げましたとおり、私どもとして、今の中期計画の評価の軸というのが超過収益率になっているのは認識しております。ただ、先ほどもガバナンスの話が出ましたが、ガバナンスでやはり重要なのは、私どもだけではなくて、親会社である厚労省さんとのタッグを組む中でのガバナンスの整備だと思っております。その中で、例えば付加退職金制度の見直しですとか、そういったことも実現してきているところでございます。9ページを御覧いただきますと、上から5行目の付加退職金の欄がございますが、5年間で773億円の付加退職金を出しているということでございます。その上にある利益剰余金の令和4年度末における不足額が743億円です。付加退職金は毎年毎年出すかどうかは決めていくわけなのですけれども、運用実績が予定運用利回りを上回ったときには上乗せして退職金を出すけれども、運用実績が下回ったときには予定運用利回りを保証する、という仕組みが、中長期的に運用資産額の減少に繋がるという構造的な問題がありましたが、そういう問題の改正も実現しました。そういった機構だけでは取り組めないような制度改革を、関係機関とも協力しながら実現してきたというところが重要なのではないかと思っております。
 第5期の中期計画においては、例えば資産運用の評価の方法についてプロセス評価方式というものを導入しております。これは定量的な評価をないがしろにするというわけではなく、様々な定量的な方法による検証を経て、中長期・安定的に必要な収益を確保するという目的を達成するために必要な対応が適切に採られたか否か、を資産運用委員会にご評価頂くものです。併せて、制度についてご審議頂く労働政策審議会に対する適切な情報の提供、そういった一連の行動を含めて、全体として中長期的に必要な収益を確保していくということが重要だと思っております。少しでも高い収益率を目指すことが目的であれば、超過収益率の高さが評価の対象になると思うのですが、私どもに課せられているものは、いかに安定的に必要な収益を稼いでいくかということだと認識しておりますので、そのための体制を整えるというのが重要であると考えております。例えば、ある時点ですごく高い超過収益率を達成することができても、その反面として大きなリスクを背負い込んで、どこかのタイミングで大きな損失を出してしまうようなことにならないような体制を構築して運営していく、というのが私どもの考え方でございます。その意味からも、余り超過収益率に重点を置きすぎた評価の仕方は適切ではないのではないかというのが、新しい中期計画における中期目標の考え方だというふうに考えております。
 
○宮崎構成員
 御説明いただいた内容は理解しておりますが、次の中期計画からはベンチマークの達成度合いを重視しすぎない形にされたということで、私もそのほうがよろしいと思っています。ただ、今回は第四期の中期計画の評価なものですから、前中期計画で置かれた目標はあくまでベンチマークの達成率になっていますので、今回の前中期計画の評価ということで考えると、ガバナンスの体制整備をされたということの御努力はよく分かっているところですが、120%達成しているとか、質的な面を加味したとしても、ワンランク上げるとAになるのではないかというのが個人的な意見でございます。ここは幾ら議論しても平行線かもしれませんが、最終的には主務省で判断されることだと思いますので、有識者の外部の意見として申し上げて、御検討いただければと思います。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。このSという提案の裏には、いろいろな思いが込められていると思います。機構の本当にこれまでの御努力を何とか評価してほしいという思いがひしひしと伝わってきます。資料の中にローリングプランとか、いろいろ入っているのがそういうガバナンスとか内部統制のそういうことに関する努力で、ただそれを見える化するというのが、なかなか評価の中で難しいと感じておりまして、その辺は最終的に大臣評価のほうで御検討いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは次の議事に移りたいと思います。一通り終わりましたので、続いて、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。まず法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構監事(清水)
 監事の清水と申します。隣におります熊谷監事とともに7月1日より当機構の監事に就任しております。本日は前任監事からの引き継ぎにより、御報告いたします。
 当機構の令和4事業年度監査報告は、6月15日付けで理事長宛てに報告いたしました。お手元の資料2-4「令和4事業年度監査報告」のとおりです。
監査の方法については、監査実施計画に基づき、業務監査については、役員及び職員から職務の執行状況について聴取するとともに、関係書類の閲覧、理事会、その他重要な会議への出席などを通じて、機構の意思決定過程や業務活動状況を監査いたしました。また、会計監査については、会計に関する帳簿や計算書類を閲覧するとともに会計部門から聴取を行い、当機構の会計監査より、監査結果の報告を受けました。
その結果、当機構の業務は法令等に従い適正に実施され、第4期中期計画に基づき策定した令和4事業年度計画の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されていると評価しております。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、事業報告書及び財務諸表等の内容について、いずれも適正に行われており、指摘すべき重大な事項は認められませんでした。
監査報告としては以上ですが、中期計画及び年度計画について若干意見を述べさせていただければと思います。
 監事としては、重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても当機構は真摯に取り組んでおり、おおむね期待に応える成果を上げてきたという印象を持っております。引き続き法令を遵守し、効率的、効果的な業務運営に努めていただくことを期待しております。私からは以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。続いて法人の理事長からお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 本年4月から当機構の理事長を拝命しております梅森徹でございます。簡単に自己紹介をさせていただきますと、1983年に日本銀行に入行いたしまして33年間勤務いたしました。この間、金融政策の企画立案、金融システムの安定性確保、国会渉外、広報、それから現業部門の管理運営など、幅広い分野を担当いたしました。その後、全国地方銀行協会からお声掛けを頂きまして、常勤役員として約7年間勤務しておりましたところ、この度御縁がありまして当機構の理事長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 私に課せられた最大の任務は、この4月から始まった第5期中期目標の達成に向けて、機構を適切に運営していくことにあると理解しております。中でも制度のサステナビリティを支える2本柱、すなわち安全確実な資産運用と加入者数の確保に加えて、個人情報を始めとする厳正な情報管理、あるいは中退共システムの円滑な再構築、これらが重要な経営課題であると受け止めております。本日は、当機構の令和4年度と前中期計画の実績評価について熱心に御審議いただきましてありがとうございました。本日、皆様方から頂戴した御指摘やアドバイスは、現中期計画の遂行にも有益と考えられるものが少なからず含まれておりまして、今後の機構運営の参考とさせていただきます。
さて、私は着任後4か月に過ぎず、まだまだ勉強しながら当機構の運営に当たっている身ではございますが、せっかくの機会ですので、現時点における私の暫定的な所感や機構運営の方向性を申し述べさせていただきます。
 先ほど主査からの御下問にもありましたが、当機構に着任しての第一印象は、強固なガバナンス体制やリスク管理体制が構築されているという点であります。この点、陣頭に立って体制整備に当たられたと伺っております前理事長のリーダーシップに敬服する次第です。しかしながら、昔ながらのやり方が残っている日常事務の面に目を転じると、細部に若干の課題が残っているように思います。前理事長が構築した強固なガバナンス体制やリスク管理体制を適切運営すると同時に、前理事長とは異なる視点で不断に見直しを行い、必要とあれば躊躇なく改善を加えていく、こういう方針でございます。
 次に、これも主査からの御下問と関係しますが、機構の組織運営面ですが、これは業務の一層の効率化や、知見の共有を推進する余地があるように思っております。御案内のように当機構は5つの事業本部を有しまして、縦割り色の強い組織構成となっております。そうした中にあっても、前中期目標期間において各共済事業の資産運用の共同化が実現し、関連経費の削減やリスクの分散機能の強化が実現できました。この現中期計画目標期間においても、更に共同化による効率性のアップや、知見の向上が期待できる業務がないか、日常の組織運営を通じて目配りしていきたいと考えております。1例を挙げれば、今中期目標において、制度を支える柱の一つである加入促進について、これもまた主査からの御下問にもありましたが、各事業本部ごとの工夫は見られるものの、そうした工夫が十分に共有されていない恨みがあります。また、情報発信の方法も世間一般に比べて1歩遅れているという印象を持っております。そこで、広報活動の高度化を測るためにSNSの一層の活用と併せ、事業本部間での知見の共有を進めていきたいと思っております。
 最後ですが、制度見直しに資する情報提供の重要性を非常に痛感しております。この中期目標の中には、厚生労働省さんに対して、制度見直しに資する情報を収集し提供することが含まれております。既に幾つかの情報提供を開始させていただいておりますが、厚生労働省さんに、エビデンスをベースとすると同時に、時代の先行きも見据えた適切な制度見直しを行っていただけるよう、今後とも精一杯、情報の収集と提供を行ってまいる所存でございます。以上、簡単ではありますが、現時点における第一印象めいたものを述べさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございます。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
1つだけ、前理事長の業績の中で、先ほど最後に理事長がおっしゃった、制度見直しで厚労省と対話する必要が随分あると思うのですが、そこの場を作られたというところが非常に重要な貢献だと思うのですが、その辺の維持について理事長はどういうふうにお考えでしょうか。本当に制度見直ししないといけない部分が随分あると思うのですが。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 前水野理事長の作っていただいた連絡、それから相談体制は非常に優れていると思いますので、これを維持し、また可能なところがあれば、更に強化していきたいと思っております。
 
○今村主査
 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。特にほかになければ、よろしいでしょうか。
それでは以上で本WGの議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただいた勤労者退職金共済機構の令和4年度業務実績評価及び中期目標期間実績評価については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。
決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 それでは本WGはこれで終了とさせていただきます。長時間にわたって的確、真摯な、熱心な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。また、円滑な議事運営に御協力いただいたことを心から感謝申し上げます。これは構成員側のはなしですが、あと1つ会議が残っておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。どうもお疲れさまでした。