2023年8月1日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第49回) 議事録

日時

令和5年8月1日(水)9:30~12:02

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 612会議室

出席者

今村主査、酒井構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、西岡構成員、三宅構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 定刻になりましたので、ただいまから第49回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の岡崎です。よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりを頂き誠にありがとうございます。  
今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡になりますが、会議中は御自身が御発言される場合以外は、マイクをオフにして音声をミュート状態にしていただくようお願いいたします。また、質疑応答などの際に御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除し御発言ください。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
本WGの出席状況について御報告させていただきます。今村主査、酒井構成員、西岡構成員、宮崎構成員、安井構成員が会場での御参加、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、三宅構成員がオンラインでの御参加となっております。梅崎構成員は本日御欠席の連絡を頂いております。また、関口構成員は御都合により会議途中までの参加予定となっております。
昨年度で2名の構成員の方が退任なさいました。大木構成員、志藤構成員です。今年度から新たに2名の構成員の方に就任していただいています。今年度から新たに就任なさいまして、本日、御出席の西岡構成員から一言御挨拶を頂ければ幸いです。
 
○西岡構成員
 立正大学の西岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 ありがとうございました。本来であればここで当室参事官の石塚より御挨拶を申し上げるところですが、本日は業務の都合により欠席をさせていただいております。
続きまして、資料について御説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におきましては、お手元に、事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1から資料4まで、参考資料が1から6までとなります。資料の不足などがございましたらお知らせください。
それでは、この後の進行は当WGの主査である今村先生にお願いしたいと思います。それでは、今村先生、お願いいたします。
 
○今村主査
 おはようございます。本日の議題は、労働者健康安全機構の「令和4年度業務実績評価」、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織の見直し」に係る意見聴取を行うこととなっております。1つ目の議題である令和4年度業務実績評価と、2つ目の議題である中期目標期間見込評価についてですが、法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明をしますので、評価の内容を中心に、皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。さて3つ目ですが、業務・組織全般の見直しにつきましては、次期中期目標の内容に反映することを目的として、実施するものです。これにつきましても、本WGの意見を承りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議はおおむね2時間半を予定しております。内容豊富のためと少々長丁場になりますが、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
早速議事に入りたいと思います。まず、令和4年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。はじめに、法人から簡潔に御説明をいただき、説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構総務部長
 それでは御説明いたします。労働者健康安全機構の総務部長の髙橋です。よろしくお願いいたします。機構のほうから、資料2-1から資料2-5までをお出ししておりますが、資料2-1で御説明させていただきます。
 右下のページで御説明します。1ページについては、法人の概要です。左上は、設立ですが、当機構は平成28年4月に2つの独法が統合して設立されたものです。主な役割については、真ん中から下に書いております。労働安全衛生総合研究所、日本バイオアッセイ研究センター、労災病院をはじめとしまして、各都道府県に設置した産業保健総合支援センター、労災病院に併設している治療就労両立支援センター等の施設を運営するなどして、労働者の健康及び安全、福祉の増進に取り組んでいるところです。
 2ページを御覧ください。業務実績の評価項目一覧です。14項目になっておりますが、今回の御説明については、赤字で示している重点化対象項目、及びA評価以上の項目に絞って御説明をさせていただければと思います。
 続きまして、3ページを御覧ください。労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進です。こちらについて、自己評価はA評価としております。下段に指標の達成状況を記載しております。研究評価、法令等への貢献、ホームページアクセスなど、4つの指標がありますが、いずれも目標を大きく上回っている状況です。
 4ページに移ります。その要因について整理しております。上のほうにありますが、厚生労働省の政策担当部門との意見交換を密に行いまして、行政施策と研究内容のすり合わせや、研究成果の報告等について協議し、行政への貢献度が高くなるように努めたことによりまして、高い評価が得られたと考えております。
 5ページに移ります。各研究の例を整理しているものです。一番左側ですが、プロジェクト研究の一例です。「化学物質リスクアセスメント等実施支援策に関する研究」を挙げております。化学物質を取り扱う作業中に発生する火災や、爆発事故を防ぐためのリスクアセスメント等の進め方をまとめた説明資料、支援ツールを作成、公開し、研究成果については、厚生労働省の通達にも引用されたところです。真ん中の部分ですが、協働研究の一例です。ここの例としては、「じん肺の新規バイオマーカー及び迅速評価法・治療法の開発に向けた探索的研究」を挙げております。日本バイオアッセイ研究センターが中心となりまして、労働安全衛生総合研究所と、労災病院等がコラボいたしまして、それぞれの強みを活かしながら、実施をしているところです。じん肺に関する有用なバイオマーカーはほとんどない状況で、本研究において、基礎となる知見が得られることで、じん肺の診断可能な新たなツールやメカニズムの理解、治療方法への応用等が期待されるものです。
 右側が、行政要請研究となります。こちらについては、厚生労働省からの要請に応じて、比較的短期に研究成果を出すといったものです。具体例として、「騒音障害防止対策に関する調査」を挙げております。「騒音障害防止のためのガイドライン」の見直しを見据えて、諸外国の規制と我が国の規制の整合性及び騒音作業場の実態調査を行いました。騒音源が移動する場合等における騒音レベルの測定方法として、個人のばく露測定の必要性を示し、その研究成果についてはガイドライン改正につながったところです。
 資料の下段に記載しているように、厚生労働省が定める第14次労働災害防止計画について、その策定のための検討会にも参加しております。また、令和5年度から協働研究、行政要請研究において、転倒防止・腰痛予防対策の研究を開始するため、令和4年度においては、研究課題の準備を進めているところです。
 このように、労働安全衛生総合研究所ならではの知見や労災病院をはじめ、機構内の施設との協働によりまして、相乗効果を発揮して、研究の成果を上げているところです。また、研究評価については、厚生労働省からの評価とともに、外部有識者からも高い評価を頂いているところです。
 続きまして、6ページを御覧ください。労災疾病等に係る研究開発の推進です。自己評価は、A評価としております。下のほうに、評定の根拠がありますが、詳しくは7ページで御説明します。
 まず1点目、「勤労世代肝疾患」のテーマについてです。C型肝炎を主とするウイルス性慢性肝疾患については、勤労者世代にも多く発生する疾患です。従来のインターフェロン治療では、通院や副作用、治療や通院期間が長期に及ぶといったことが、勤労者にとって負担となっておりました。2014年から導入された経口薬による治療、インターフェロンフリー治療によりまして、C型慢性肝疾患患者の治療期間は、最短で8週間まで短縮されたところですが、従来の治療でも見られた治療後の肝癌発生リスクについては、いまだ明らかになっていないため、癌検査で年数回の受診が必要となっています。本研究におきましては、C型慢性肝疾患患者の経過観察を行いまして、その後、発癌や関連因子を検討したところ、勤労世代におけるインターフェロンフリー治療がインターフェロン治療と同等に発癌を抑制すること、また、治療後に注意すべき発癌リスク要因が明らかになりました。本研究によって得られた知見により勤労世代のC型肝炎患者の治療就労両立支援の更なる促進が期待されるところです。
 2点目は右側、「メンタルヘルス」関係です。鬱病等の精神疾患では、抑鬱気分等が改善した後も、認知機能が十分に回復するまで時間を要することがありまして、それがスムーズな職場復帰を妨げていたり、十分なパフォーマンスを発揮できない要因になっていたりするのではないかと言われております。本研究によりまして、客観的認知機能と労働生産性に有意な関連があるといったことが示唆されたところです。
 日本におきまして、初めて一般労働者の客観的認知機能と労働生産性の関係を調査した研究ということで、今後、客観的認知機能の評価の研究、活用が進むことで、職場復帰支援やメンタルヘルスの評価促進が期待されるところです。
 このように得られた研究成果については、厚生労働省に報告することはもちろん、ホームページ、学会発表、論文掲載などで普及活動を行いまして、多くの医師、産業保健関係者、勤労者の方に御活用いただいているところです。
 続きまして、8ページに移ります。労働災害調査事業です。こちらについては、A評価とさせていただいております。次に、10ページを御覧ください。こちらにおいては、直近で公開した例をお示ししております。下の左側、災害調査実績の一例を御覧ください。船の荷物を積んでいるところで発生した爆発災害ということで、こちらについて、現場調査、模擬実験装置を用いた油ミストの着火性実験等による検証の結果、ボルトのガス炎による切断作業を行った際、火種に気化した油などが引火したことが原因と判明したものです。右側は、ジブグレーンの取付けボルトの破損による倒壊災害です。現場調査や電子顕微鏡を用いたボルト破損部の負荷荷重の調査等による検証などの結果、ボルトの疲労破壊が原因と判明したものです。これらの再発防止については、厚生労働省に報告し、労働災害防止に活かされているところです。
なお、近年の災害調査で多いパターンは、建設現場での倒壊や、有害物による中毒等の健康被害、可燃性のもの、粉じんによる爆発などが挙げられます。あらゆる事案に対応できるよう、建設分野、機械分野、化学分野等の複数の分野の専門家によるチームを組みまして、労働安全衛生総合研究所が持つ高度な科学的知見が必要とされる災害調査等を実施してまいりたいと考えております。
 続きまして、11ページに移ります。化学物質等の有害性調査事業です。自己評価は、B評価としております。12ページを御覧ください。12ページの上のほうですが、近年の日本バイオアッセイ研究センターの業務の経過を図で示しております。厚生労働省の「職場における化学物質管理に関する検討会報告書」が、令和3年7月に公表され、その中で、今後、国が行うべき有害性調査の在り方も示されております。新たな化学物質規制におきましては、事業者にきちんと検証された危険有害性情報を提供していくということが重要となりますが、そのためには、化学品の危険有害性を、世界的に統一された一定の基準に従って分類する、GHS分類を行う必要があります。流通しているもので、危険有害性の分かっていないものについては、GHS分類を行うに当たって、不足する有害性情報の調査が必要となります。
さらに、検討会報告書におきまして、発癌性スクリーニングの一環として、国が実施している長期発癌性試験については、自律的な管理の仕組みにおける役割、必要性を整理し、必要に応じて見直しを行うことが適当であると記載されております。
このようなことから、令和4年度におきましては、長期吸入試験に替わる有害性調査の具体的な実施方針などについて、厚生労働省、当機構、日本バイオアッセイ研究センター、労働安全衛生総合研究所などと調整して、今後の方針を固めたところです。今後は、国際的な試験方法を定めたOECDテストガイドラインなどに基づき、短期間での吸入試験、労働現場における情報の蓄積が少ない経皮試験を中心に実施するということで進めています。
 また、現在の日本バイオアッセイ研究センター施設は老朽化も著しく、今後の新たな試験方法に不向きであるといったことから、現行の施設で実施することは不適切と判断して、厚生労働省と協議を行い、新たな試験方法に対応し得る施設ということで、民間の貸しラボに移転することとしておりまして、令和4年度から移転の準備を開始したところです。この民間の貸しラボには、日本バイオアッセイ研究センターのみならず、労働安全衛生総合研究所登戸地区の化学物質情報管理研究センターの研究員のうち、動物関係の研究員も貸しラボで研究を行うこととしております。ここで労働安全衛生総合研究所の研究員と一緒のラボスペースで研究を行うことによりまして、人的交流が図られるものと考えております。
 下段のほうですが、中期目標に掲げられている試験法の開発、研究成果の情報発信についても、引き続き取り組んでいるところです。
 試験法の開発として、吸引性粉じん肺の早期検出マーカーの開発を実施しているところです。また、研究成果の情報発信も行っております。アクリル酸ポリマーの吸入ばく露関連で、インパクトファクターの高い論文掲載を複数行っているところです。
 また、令和4年度から日本バイオアッセイ研究センターの研究員が研究代表者となって行う協働研究が2課題スタートしております。こういった協働研究の実施により、労働安全衛生総合研究所の研究員とのコラボによる人的交流を図っているところです。
試験方法に関する手順書からの逸脱行為については、令和3年度に標準操作手順書の改正、自己点検の実施、研究倫理研修の実施など、再発防止に向けた一連の整備を行ったところです。倫理研修については、令和4年度も引き続き実施したところで、令和4年度以降も日本バイオアッセイ研究センターのみならず、当機構全体で継続的に実施します。これらのことから、令和4年度の自己評価としては、国から示されたミッションは達成したものとして、B評価としています。
 今後については、令和5年度、貸しラボへの移転準備及び移転作業を行います。そして、次期中期目標の初年度となる令和6年度から移転先での業務を開始する予定です。今後も化学物質の発癌性試験を実施している唯一の機関として、今までの経験、ノウハウを活かしつつ、人的交流も行いながら、GHS分類に係る有害性調査に貢献し、研究成果についても、国内外に発信できるよう取り組んでまいりたいと思います。
 続きまして、13ページを御覧ください。労災病院事業についてです。自己評価は、A評価としております。下段の指標の達成状況ですが、受託検査件数と治験症例数については、新型コロナウイルス感染拡大等により、開業医に患者が戻らず、開業医からの検査依頼が減少したことや、労災病院自体がコロナ対応に追われたり、院内で感染が発生したということもありまして、目標未達ということになりましたが、そのほかの指標については、目標を達成したところです。
14ページに、評定の根拠についてお示ししております。大規模労働災害等への対応ということで、各労災病院において、自治体からの病床確保要請等を踏まえ、地域の医療体制の確保を図りつつ、コロナ専用病床の確保、新型コロナウイルス感染症患者の受入等に積極的に取り組んだところです。詳しくは、15ページに整理しておりますので、15ページを御覧ください。
 15ページの左上の図ですが、令和4年度はコロナ対応のために、年間平均1日当たり1,203.9床の病床を確保いたしました。これは専門センターを除く、29病院の総稼働病床1万750床の11.2%に当たりまして、当機構としては、最大限の病床を確保したと考えております。なお、第7波の感染拡大がありました8月には、1日当たり最大1,502.4床を確保したところです。
 その右の表ですが、陽性患者の入院受入については、29病院で実施いたしまして、令和4年度については、令和3年度の約1.4倍の入院患者を受け入れたところです。
 下の図では、関東労災病院、大阪労災病院、長崎労災病院の各病院における受入可能病床数と受入患者数の推移を一例として示しておりますが、感染が拡大し、第7波となった8月、9月、第8波となった12月、1月の時期については、自治体からの要請に応じて、確保したコロナ専用病床の上限に達する患者を受け入れたところで、地域の医療体制確保に貢献したものと考えております。加えて、政府等からの要請を受けて、感染拡大地域である沖縄県、大阪府の医療施設等へ看護師を10名派遣しております。
 14ページにお戻りください。14ページの評定の根拠の2項目の地域の中核的役割の推進、地域の医療機関等との連携強化ですが、新型コロナウイルス感染症患者の受入及び感染拡大防止への対策等を積極的に行っている中で、「紹介率・逆紹介率」、「症例検討会・講習会開催回数」、「患者満足度」について計画を達成したところです。
 次の北海道中央労災病院の統合については、円滑な統合に向けて、市と協議、調整を進めたところです。
次のアスベスト問題に係る総合対策への協力としては、「アスベスト疾患センター」等におきまして、アスベストの健診、アスベストによる健康障害に関する相談に対応したほか、労働基準監督署長等からの依頼に基づき、石綿ばく露に関する医学的所見の確認を行う石綿確定診断委員会も実施したところです。
 このように、新型コロナウイルス感染症の影響により、実施が制限された事業についても、可能な限り実施に向けて取り組み、公的な医療機関として新型コロナウイルス感染症に積極的に対応し、地域医療に貢献をしてきたところです。
 次に、16ページを御覧ください。産業保健活動総合支援事業です。自己評価については、A評価としております。下段の指標の達成状況ですが、専門的研修については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、認定産業医研修など、一部の研修が実施できなかったため、僅かながら目標未達となりましたが、それ以外については、目標を達成したという状況です。
 17ページを御覧ください。17ページには、評定の根拠をお示ししております。説明のほうは、18ページです。左側「1」ですが、専門的研修については、令和3年度終わりから令和4年度初めにおける新型コロナウイルス感染症の第6波の影響を受けて、第1四半期の研修の実施実績が、対計画数10%という低調な動き出しでスタートしたところですが、電子会議システムを活用した形式で実施するほか、動画配信サービスによるオンデマンド研修といった形を実施することによりまして、研修の実施に努めました。
 また、研修利用者からの評価については、94.7%という高い評価を受けたところです。
 次に真ん中の「2」については、地域における嘱託産業医の資質向上、登録産業医の協力体制の強化を目的として、産業医ネットワークモデル事業を実施し、地域の事業所の協力の下、産業医を対象として、実地で職場巡視研修会を実施したところです。
 一番右の上の「3」ですが、保健師・看護師については企業内の産業保健スタッフとして、新型コロナウイルス感染症対策、長時間労働、メンタルヘルス対策の重要な役割を一人で担うことが多く、他の企業の保健師等との交流が欠かせないということで、保健師等のネットワーク作りに寄与するため、関西4県の産業保健総合支援センターにおきまして、「保健師・看護師学習交流会」を開催したところです。
 右下の「4」については、福島第一原発における健康支援相談窓口ですが、この窓口の設置運営については、医師会や東北地域の関係機関と連携して実施しているところです。福島第一原発所内に健康相談窓口を設置し、事業者、廃炉作業員、安全衛生推進者等からの相談に対応するほか、健康管理体制の向上に資するため、「1F構内の一般健康管理」等をテーマとして研修会を実施したところです。
 このように新型コロナウイルス感染症の影響により実施が制限された事業もありましたが、可能な限り実施に向けて取り組み、難易度が高い事業を着実に実施したことを踏まえ、所期の目標を上回る成果を上げているということで、自己評価をAとしております。
 19ページを御覧ください。治療就労両立支援事業についてです。自己評価については、所期の目標を上回る顕著な成果を上げているということで、前年度同様、S評価としております。
 下段にありますが、指標の達成状況については、支援した罹患者の有用度が目標80%以上に対して、実績98.4%と非常に高い評価を頂いております。
 20ページで評定の根拠をお示ししておりますが、資料の説明については次の21ページです。21ページの上の二重線で囲った部分ですが、当機構では、仕事を有する患者さんに対して、就労継続や職場への復帰を念頭にきめ細やかな支援を実施してきております。両立支援事例は、令和4年度は1,347件収集し、その事例を活用するということで、支援の質の向上を図っております。これらで得た知見を基にして、企業に対する支援としては、各都道府県に設置している産業保健総合支援センターにおきまして、事業主を対象とした両立支援啓発セミナーを行っておりまして、259回実施したところです。また、両立支援の相談対応については、7,308件と、前年度を上回る実績を着実に積み上げることができました。研修修了者の勤務先は、企業、医療機関など、幅広く会社の意識改革と受入体制の整備によりまして、トライアングル型のサポート体制の更なる促進につながっております。
 その下の両立支援コーディネーター養成については、令和3年度に引き続き、基礎研修をWeb形式で実施して、前年度を1,000人以上上回る過去最高の5,608人を養成したところです。研修の実施に当たりましては、ただ聞くだけの研修ということにならないように、オンデマンド配信の講義途中での確認テストの実施や、アンサーパッドにより、個人演習を増やすなど、質の向上に取り組んだところです。
 加えて、基礎研修修了者を対象として、各産業保健総合支援センターでグループディスカッションによる事例検討会を開催しております。事例検討会におきましては、労災業務や両立支援センターの両立支援コーディネーターをファシリテーターとして参加させるなど、機構で培ったノウハウを活用、提供することで、両立支援の実施につながるスキルアップを図り、質の向上を推進しているところです。
 このような取組によりまして、右側にありますとおり、受講者から高い理解度及び有用度を得たと考えております。
 図の下のほうですが、当機構以外のノウハウの提供ということで、厚生労働省が主催した両立支援のシンポジウムにおけるパネルディスカッションのファシリテーターとして参加したほか、両立支援コーディネーター交流会、事例検討会において、改訂したマニュアルの普及にも努めたところです。
 こういった取組が認められて、「治療と仕事の両立支援」が、日本専門医機構による専攻医の講習及び専門医更新のための必修講習になっております。
 令和3年度、令和4年度にかけては、「両立支援に関わる人材基盤と支援体制」について調査を行ってきましたが、その結果、コーディネーターの配置の多い医療機関では支援件数も多いという結果となっておりまして、支援を広げるためには、両立支援コーディネーターの増員の必要性が明らかになっているところです。
 このように、国の政策で求められている取組について、量的かつ質的に高水準の成果を上げて、難易度が高い事業を着実に推進しているところです。
 続きまして、25ページの御説明をいたします。未払賃金立替払事業です。こちらの自己評価は、A評価としております。下段の指標の達成状況については、原則、週1回の立替払を堅持して、目標値20日以内に対して、実績値14.7日ということで、迅速かつ適正な立替払を実現したところです。
 26ページに移ります。こちらのほうで評定の根拠について説明いたします。審査手続をより迅速化するために、Web会議システムを活用した研修会の開催や、裁判所・関係機関向けに立替払制度概要等をまとめたリーフレットを作成し、裁判所等に配付するといった取組に加えて、令和4年度は新たに当機構のホームページにチャット方式で質問に答える「未払賃金立替払事業のチャットボット」を設定して、請求者等からの質問に24時間対応できるようにしたところです。
 こちらについては、6割を超える利用者から、「今回の回答で解決した」と評価を頂いているところです。これらの取組によりまして、所期の目標を上回る迅速かつ適正な立替払の実施を実現したところです。
 さらに、迅速化の長期的対応として、令和4年度にシステムの抜本的な見直し及び電子申請化等の検討を行っておりまして、令和7年度のシステム稼働に向けて、引き続き検討を重ねてまいります。
 続きまして、28ページを御覧ください。納骨堂の運営事業です。自己評価については、令和4年度の特別な事情も踏まえて、非常に困難な状況の中で、所期の目標に達していることから、A評価ということとしております。下段の指標の達成状況については、98.9%の遺族の方々から「慰霊の場としてふさわしい」との評価をいただき、目標を達成したところです。
 評定の根拠については、29ページを御覧ください。令和4年度の慰霊式については、5年に一度、皇室の御臨席を賜る式であり、各政党代表を含め多くの来賓の参列となるため、宮内庁はもとより、各方面との調整、当日の準備等、通常の慰霊式よりも、その対応が複雑困難なものでありました。加えて、令和4年度も引き続きコロナ禍であったため、感染対策に万全を期す必要があり、また、7月には元総理への銃撃事件が発生したということで、要人警護に当たってより一層きめ細かな対応が求められたところです。
さらに、今回初めて秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席を賜ったため、その準備にも多くの時間を割くこととなりました。式典には、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席を賜り、御遺族をはじめ、衆議院議長、各政党、労働団体等の各界を代表する来賓にも御参列いただきまして、感染対策や安全対策を行う中、滞りなく慰霊式を執り行うことができました。5年前の皇室御臨席時におきましては、参列者の方から「献花までの待ち時間が長かった」との御意見が多かったことを踏まえ、式典スケジュールを変更して、献花の開始時間を繰り上げ、また、場内のモニターを増やして待機時間に霊堂の紹介動画を放映するなどの取組を行ったところです。こうした取組の効果もありまして、遺族の方々から、前回皇室の御臨席を賜った時以上の評価を頂いたところです。
 以上、それ以降の1-10以降の御説明については割愛させていただいて、御説明については以上となります。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは令和4年度の実績評価について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。オンラインで御参加の構成員も是非、御発言ください。新しい構成員の方も是非、積極的に御発言をお願いいたします。どうぞ御自由に。
 
○安井構成員
 安井です。御説明いただきまして、どうもありがとうございました。25ページの未払賃金立替払事業について御質問させていただきます。指標は請求日の受付日から支払日までの期間で、20日以内ということになっています。現在、実績値14.7日、達成度が126.5%と大幅に上回っている状況です。要因分析を拝見しますと、今後、令和5年度以降も新型コロナの感染状況やウクライナ情勢等の影響に伴って、経済情勢の見通しが困難であり、そのため企業倒産の増加の懸念があるので目標変更は適当でないと考えるとあります。しかし、目標値をもっと短くできないのでしょうか。27ページを拝見しますと、マイナポータルを活用したオンライン申請を検討中とあります。恐らくこのマイナポータルを活用すれば、もっと申請時間を短く、また公金受取口座情報を登録していますので、早急に振り込むことができるのではないかと、むしろ今後、経済情勢が仮に不安定化するのであれば、倒産件数等も増える中でできるだけ人々の不安を和らげるためにも、より早く振り込んでいくことが必要かなと思いますが、このマイナポータルを利用するとどれだけ日数が下がるのか、そしてその目標値をもっと下げていくというお考えはないのかどうかということをお伺いできればと思っています。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 労働者健康安全機構の丹羽と申します。御質問ありがとうございます。未払賃金の立替払に要する日数ですが、今、構成員からお話があったもっと短くできないのかについて、資料にありますとおり第3期が25日、第4期が20日でやってきていまして、実際、認定事案と法律事案及び受領した曜日により、最短日もちょっと異なってくることはくるのですが、実績を見ますと令和3年度は14.6日、令和4年度は14.7日、ほぼ今のシステムでやっていく限りこれは限界値ではないかなと思っています。基本、お金の支払いですので、ミスがあってはならないので、しっかりとチェックをするということが極めて大事で、ここが限界値ではないかと思っています。
 一方、今後システムを導入して、マイナポータルも活用した時には、どれだけ短縮できるかというのは、システムの構築はこれからですので日数の短縮については、これから要検討ということになろうかと思います。もしかしたら若干、短縮できるかもしれないのですが、ここはちょっと今後、目標の設定に当たっては次期中期がありますので、厚生労働省ともよく相談して決めていきたいと思っています。ただ、冒頭申したとおり、今のシステムでやっていく限りは、これはほぼ限界値ではないかなと思っています。以上です。
 
○安井構成員
 御説明いただきまして、どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 オンラインで土橋構成員が御発言を希望されています。どうぞ、つないで御発言いただければと思います。 
 
○土橋構成員
 土橋です。いろいろと御説明ありがとうございました。11ページ、化学物質の有害性調査事業で、自己評価Bという所でちょっと気になるところではあるのですが、多分、日本バイオアッセイ研究センターが信頼性の問題等も関係して、この評価になったと思いますが、今後、貸しラボ等を使っていくというようなお話だったのですが、化学物質関係は今、労働安全衛生法でも非常に重要な部分で、そういった意味では有害性調査は大変重要な事業になると思います。今の、非常に巨大な設備から貸しラボに移ることで、十分そういう機能を果たせるかというのはやや心配なのですが、その辺の見通しがあればお聞かせいただければと思います。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 労働者健康安全機構の丹羽です。御質問ありがとうございます。今、土橋構成員からお話がありましたとおり、日本バイオアッセイ研究センターについては令和5年度、今年度の冬から貸しラボの方へ移転をし始めて、今年度いっぱいで現在の神奈川県秦野市から藤沢市の方の貸しラボに移転する予定です。
 併せて、労働安全衛生総合研究所の動物関連の一部もそこに移転するということで、シナジー効果を発揮していきたいと思っているのですが、御指摘のとおり現在の秦野の日本バイオアッセイ研究センターは、非常に大型な設備を構えていまして、そこでマウス、ラットを用いて長期吸入試験、2年間の発がん性試験等をやっています。今後は厚生労働省における化学物質の今後のあり方検討会の方向性も踏まえまして、その報告書を受けて、かつ厚生労働省とも協議、御相談をさせていただきまして、2年間掛けてやってきた長期吸入試験は今後はやらないという方向で進んでいます。今後は力を入れる分野として、GHS分類で危険性、有害性がまだ未把握の部分などを中心に、短期の吸入試験や経皮試験などに注力して有害性を調査していく、そういった場所としては、今の日本バイオアッセイ研究センターは長大な設備となります。民間の貸しラボでそういった試験ができるということで、言ってみればちょっとコンパクトにして、新しい試験内容を実施していくということで調整しています。ですので、試験の長期吸入試験から短期へ切り替えて、かつ経皮に切り替えていくことにする場所として、貸しラボでもやっていけるという判断で準備を進めているところです。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○土橋構成員
 土橋です。ありがとうございました。ちょっと方針を転換するということと、シナジー効果も狙っていらっしゃるということで、是非しっかりフォローしながら進めていただければと思います。以上です。
 
○今村主査
 ちょっとすみません、話を挟んで申し訳ありません。貸しラボの件なのですが、これの機器所有関係やその他会計上の扱いは、ちょっと違ってくるのではないかと思いますが、その説明などは入っていなかったので気になってはいたのですが。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 貸しラボですので、賃料を支払います。当機構のほうで予算から賃借料を払った上で、さらに一定の予算の中から事業費も出していく予定です。今現在は、秦野の施設は土地、建物が国のもので、当機構は無償貸与を受けている身ですので、移転した後はそこを原状復帰して、国の建物、土地ですので、国へお返しするということになります。
 一方、先ほど申したとおり貸しラボでは、賃借料を払って使わせていただくということです。
 
○今村主査
 機材の所有関係などは、特に変わらないのですか。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 失礼しました。日本バイオアッセイ研究センターで持っている機器は、労働安全衛生総合研究所も一部移転しますので、労働安全衛生総合研究所の持っている機器で今後も使うものについても、貸しラボを一部改修工事させていただいて、機器は持っていきます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。三宅構成員が御発言を希望されていますので、三宅構成員、どうぞ。よろしくお願いいたします。
 
○三宅構成員
 三宅です。どうもありがとうございます。まず全体的な話として、相変わらず社会情勢が不透明な中、着実に計画を進められているということを評価します。その中で例えば数値目標のあるものと、それから定量的な指標のない項目があると思いますが、いずれにしても特にその数値目標などに捕らわれることなく、そもそもの数値目標の設定時と状況が大分変わっているとすれば、量的なものだけではなくて質、クオリティーでの判断というものを組み入れていったほうがいいのかなと思っています。
 それは全体的な話ですが、項目として私のほうは2つほどコメントさせていただきますが、1つは例えば5ページの所でいろいろな協働研究の話が出てきているわけですが、これについても全体として人的なリソースが限られた中で、いろいろ連携をしながら協働して進めているということは非常にいいことだと思いますので、さらに進めていただければと思います。それから、同じように災害調査に関しても、各専門分野にこだわることなく皆さんで取り掛かっていただいているという状況ですので、これも非常にいい取組だと思っています。
 2点目になりますが、これはやはり化学物質の有害性調査の話、先ほど土橋構成員から御質問があったことは、今回は私からは差し控えますが、一方、これまで少し不適切なことがあったと思いますが、それは改善をされていっている。そして、今回の場合でもこの項目は定量的な指標はないということですので、評価をどうするのかなと思っていたのですが、その中で例えば研究成果、あるいは論文の発表、それから規格や基準、法制化に向けた取組ということで、私としてはB評価というのは少し遠慮がちかなとも感じていますので、もう少しいい評価をしてもいいのかなと感じた次第です。質問ではなく、私の印象ですので、私からは以上です。
 
○今村主査
 どうぞ、コメントをお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 評価いただきありがとうございます。機構の丹羽です。災害調査については、労働安全衛生総合研究所の重要な仕事ですので引き続き労働基準監督署、厚生労働省等からの依頼に応じて、迅速に対応していきたいと思っています。直近では7月6日に静岡市で橋桁が落下しまして、8名負傷、うち2名死亡という重大な災害が起きましたが、あれはまだ未明の時間帯に国道の上で工事していたものが落ちたのですが、7月6日の午後には厚生労働省からの依頼を受けた労働安全衛生総合研究所の人間が現場に行って、災害調査をしました。またその後、複数回にわたって調査を実施していまして、現在、原因の分析中で、今、証拠物が別の場所に移されているそうなので、また状況が整い次第、追加の調査をしていって原因の究明に当たりたいと思っています。災害調査については引き続き、努力していきたいと思います。
 それと化学物質の有害性調査ですが、本来、中期目標、中期計画には有害性調査を計画的に実施すると書かれていますので、構成員から先ほどお話があった令和2年度末に発生した逸脱事案がありまして、ストップしたことにより評価はCとなっていたのですが、その後、試験法の開発や協働研究を実施するなど、さらに、今後の化学物質のあり方検討会、国の方針を受けて、やるべき試験を少し変えて、さらにコンパクト化して貸しラボに移転するということで、従来の想定した計画的な実施ではないのですが、新しい施設、新しい試験に向けて、今、移転の準備をしているということで、やることはやりつつ、新しい道へ向けてということで、過去2年間Cだったものを今回はBとさせていただきましたが、やはり逸脱事案を起こしたことは消せない事実で、そこは倫理研修を毎年実施しているところです。引き続きそういった研修を実施して、二度とそういう逸脱を起こさないようにしていかなければならないと思っており、そこも踏まえてBとさせていただきました。
 また移転した後、計画的に実施できた場合にはさらに評価を上げるかどうかは考えていきたいと思っています。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。三宅構成員、コメントですが大丈夫ですか。
 
○三宅構成員
 もう1つ、有害性調査のことは分かりました。一方、災害調査の話ですが、どうしても災害調査を行うと再発の防止ということはもちろん大事なのですが、今後、起こり得ることに対する事前対応のようなことに発展させていければいいなと期待していますので、どうぞよろしくお願いします。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。三宅構成員の御発言で重要なことがありますので、関連してちょっと割り込ませていただきます。数値目標のあるものとないものということで、数値目標は一応、評価としては100%を超えた場合はB評価なのです。A評価をもらうためには、数値目標だけだと120%なければいけない。ですが、パーセンテージ目標の場合120%の達成は困難なので、そういうことも含めて質的な内容といいますか、そういうものでプラスαとして100%台でもAにしよう、これはそういう従来の姿勢と基本的には変わっていないですよね。後で補足していただけると思いますが、つまり数値目標がないものについては、質的なもので大いに評価するということで、従来この機構に関してはコロナの問題で、令和2年、令和3年、大変ご苦労な対応をされていました。組織的な負担が非常に重いということで、数値目標を十分に達成できないということを考慮しながら評価してきたという経緯もあります。この令和4年もそれに該当するものと考えていますので、我々は主に質的な要因、そういうものを前向きに評価させていただきたいと考えています。
 1つ、研究の話がちょうど出ていますので、認知度低下と生産性の問題、これはSIP、戦略的イノベーション創造プログラムと関係はあるのですか、全体的に認知度の低下と経済の問題は厚生労働省全体、あるいはもうちょっと広くやっているという話を聞いたのですが、これは単独でやっていらっしゃる研究ですか。全体的に高齢化して認知度が低下するので、それは経済にどう影響を与えるかというのは深刻な問題だと思いますが。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 産業保健担当の中岡です。これについては一応、当機構の中の幾つかの研究の1つとしてやっているもので、そういった大掛かりなものではありません。ただ、一応、こういった研究というのは、今まであまりやられていないものを新しくやったということで、意義があるのではないかと考えています。
 
○今村主査
 大変失礼ましした。ちょうどSIPで、認知度の低下と経済に与える影響の関係が始まっているところなので、是非その辺も大いに研究成果を貢献していただきたい、そういう趣旨です。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 どうもありがとうございます。参考にさせていただきます。
 
○今村主査
 御発言、では新しい方から優先して。
 
○西岡構成員
 御説明いただきありがとうございました。西岡です。まず、私から2つ質問いたします。1つは、今もお話に出てきた研究の話です。今回の評定の根拠として協働研究が掲げられており、本年度も新たに新規の研究を開始されたということです。多様な研究ニーズがある中で、今回、どのようなプロセスと基準で、この新規の研究テーマを選定されたのか。さらに、今後もそういう選定基準等を踏まえて、協働研究を積極的に進められていく予定なのでしょうか。
 もう1つは、両立支援事業です。今後、中小企業における両立支援の普及や促進がますます重要になってくるかと思います。今回の資料にもその旨、御説明がありました。中小企業の現状を踏まえた上で情報を提供していくことが大切になってきた場合には、例えば、今後、中小企業に特化して支援していく、中小企業用のマニュアルを作成していくことが考えられるかと思います。
 その中で、今回、いろいろな事例を収集されており、資料の21の所でしょうか、両立支援事例の収集で令和4年度も1,347件です。この中に中小企業がどの程度含まれているのか、もし分かればお教えいただきたいです。そして、今後、特に中小企業を考えた場合に、これをどういうふうに活用されていくかお教えいただければと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問ありがとうございます。研究テーマですが、厚生労働省とは常日頃から、政策担当部門と当機構で意思疎通、意見交換を図っております。その中で出てくる要望等を踏まえてテーマは決めています。当然、国内外における労働災害、職業性疾病、さらに、産業活動等の動向も踏まえて、将来、生じ得る課題にも対応できる観点で選んでおります。
 協働研究は、平成28年に2つの独立行政法人が統合して、今の労働者健康安全機構になった時から、労災病院、労働安全衛生総合研究所、日本バイオアッセイ研究センターなどがコラボしてそれぞれ長けている所を、それぞれ短い所を補う形でやろうということで始めています。これについては、独法統合のシナジーということで7年前から力を入れているところですので、今後も引き続き協力に努めていきたいと思っております。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 勤労者医療・産業保健担当の中岡です。両立支援について説明いたします。中小企業に対する支援が大事という点に関してはそのとおりです。この点に関しては産業保健の現在の在り方に関係するのですが、産業保健については、産業医の選任義務がない50人未満の事業場に対して、地域産業保健センターで専門的相談などをさせていただいています。50人以下といっても、実際、10人以下の零細の所までは、まだ手が届いていないという状況があります。その中で、今、どうやって30人程度の所まで手を伸ばしていこうかということをしています。
 両立支援については、これはがん患者さんに対して始まったのですが、病気になったら仕事を辞めてしまう方がかなり多くいらっしゃったことに対して、事業場と病院等をつないで、病気になった人が仕事を続けられるように始めたものです。少しずつ軌道に乗ってはきている一方で、事業場の理解が前提になります。今、実際に行われている事例としては、大きな事業場が多いですし、中小零細企業には手が届いていないのが現状です。
 おっしゃるように、中小企業に対してもこういう支援を広げていかなければいけないということは問題意識として持っておりますので、それについては頑張っていきたいと思っております。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 追加させてください。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 元産業保健・両立支援を担当しており、今は総括ディレクターをしている大西です。今、中岡理事が説明してくださったとおり、産業保健全体の状況は中岡理事がおっしゃるとおりですが、御質問の両立支援だけに絞った御回答をさせていただきます。
 当機構では、現在、全労災病院で行った両立支援症例をデータベース化して、復職率が何パーセントかを見ています。今日お示ししておりますが、今年度で大体1,500、1,600例、去年もそのぐらいの症例の両立支援を実施しております。これらの症例の勤める事業場の中小企業又は50人以下の方々は、全く日本の産業構造と一緒です。約60%の方々は中小、小規模事業場です。
 当機構の労災病院に入院した患者さんに対する両立支援は全くそれと一緒で、大企業の人が働いている割合でいうと4割、中小企業は6割です。企業数でいうと97%が中小企業なので、我々の支援事例も働いている人々の6割以上は中小企業、小規模事業場です。ですから、労災病院の両立支援は企業の大きさに関係なくやっております。
 その結果ですが、数年前に東京女子医大が4万人以上の従業員を抱える、これは秘密にされていてどこの企業か分からないのですが、従業員の医療センターを抱えるような大きい所、そこには産業医、保健師が多数いて、全従業員の健康の管理をしている大きい企業があるのだそうです。その論文を見ると、そこの社員ががんになった時に復職した確率が約70%だそうです。今、申し上げた労災病院群が、6割以上が中小企業の患者さんに対しての両立支援をしています。
 当機構の3年前のがん患者だけの両立支援の復職率を見ました。やはり、6割以上が中小企業の患者さんでした。でも、復職率は五大がん、五大がんとは、肝臓がん、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんです。その復職率の平均が70%でした。
 つまり、大企業だと産業医や保健師がたくさんいて、そこだけで両立支援が完遂するのです。病院とのやり取りも企業が簡単にやってくれます。御懸念のとおり、中小企業ではそれができないのです。しかし、労災病院のように全国に広めている両立支援はそこまで手が届いており、結果も出している。今後、その他の疾患、難病や循環器はこれから統計を出していきますが、もちろん、これから産業保健はいろいろな所に手を伸ばさなければいけないのは中岡理事のおっしゃるとおりですけれども、少なくともがんの両立支援に絞れば、結果が出ていますし、十分皆さんのお役に立っていると考えております。以上です。
 
○今村主査
 西岡構成員、よろしいでしょうか。何か御発言があればお願いいたします。
 
○西岡構成員
 丁寧に御説明いただきありがとうございました。やはり、今回の資料にも中小企業が出てきていましたので、少し気になったので追加で伺わせていただきました。ありがとうございました。
 
○今村主査
 私は、ディベート甲子園というのに関わっています。立論を聞きながら、どこが説得力あるかどこがないかをチェックしています。労災病院でイコール全国に普及しているとおっしゃいますが、労災病院の立地の県は少ないですよね。労災病院でできているということは、労災病院モデルをどういうふうに全国に普及されているかの御説明が必要かと思いますが。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 ありがとうございます。先ほど申し上げた両立支援コーディネーターを労災病院で初めて作って活躍して、企業と医療側を結ぶものを作ったのが、労災病院のトライアングル型両立支援の始まりです。両立支援コーディネーターを全国津々浦々の病院、会社に配置しようとして、当機構は両立支援コーディネーターを教育して配置しています。そうしますと、労災病院システムのトライアングル型両立支援が全国津々浦々に普及するであろうということで、毎年、5,000、6,000人の養成を目指している状況です。
 
○今村主査
 これは5,608人ということですね。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 はい。
 
○今村主査
 ありがとうございます。まず、酒井構成員が発言を希望されておりますので、そちらからお願いいたします。
 
○酒井構成員
 法政大学の酒井です。今、お話のあった治療就労両立支援事業に関して質問いたします。21ページの資料で、単純にこの資料の読み方が分からないので教えていただきたいという内容です。
 基本的に高い目標達成度ということで評価できる結果かと思います。例えば、啓発セミナーの回数が前年度の169回に対して259回、相談対応も前年度に比べてかなり伸びています。この伸びに関してどのような要因があるのか。もちろん、そちらの努力で開催回数、相談対応が増えた側面があるかと思いますが、同時に、例えば、現場での要請が高いというようなことでしたら、そういう観測を教えていただきたいということです。
 それから、96%や98%という高い有用度の数字が出ています。このアンケート結果は、今回が初めてでしょうか。なぜ前年度比がないのかということを単純に思いました。
 それから、この資料の一番下の水色がかったボックスの中の一番最後の丸に書かれていることです。すごく重要なことなのかと思うのですが、「コーディネーター養成についての研究から、配置の多い医療機関では支援件数も多く、両立支援コーディネーターの増員の必要性が明らかになった」という文があります。この意味がよく分からなかったので教えていただきたいということです。
 それからもう一つだけ、別の項目に関して質問させてください。先ほど安井構成員から質問がございましたが、25ページの未払賃金立替払事業に関してです。要因分析の所で、先ほどもお話がございましたが、目標変更は適当ではないということは、私の理解では、これまでもかなり達成できているのだけれども、目標値を引き上げる必要はないという意味なのかと考えました。その理由として、ウクライナ情勢、あるいは、新型コロナ感染状況等で企業倒産の増加の懸念があるということでした。これは単純に教えていただきたいのですが、企業倒産が増えると支払日までの期間が延びてしまう可能性があるということなのでしょうか。よろしくお願いします。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 勤労者医療・産業保健担当の中岡です。まず、1番目の質問についてです。両立支援に関しては、これから企業に対する支援が大事になってくるということで、令和4年度は特に啓発セミナーに力を入れたところです。一方、令和4年度も令和3年度と同じようにコロナの影響があり、実際に支援員が出向いて支援することは回数の制限がありますので、個別訪問支援、個別調整支援は、令和3年度から比べると少ない数となっているのが現状です。
 有用度に関しては、当初からこれを数値目標にするということがあり、令和4年度も上げさせていただいています。これは毎年、令和元年度、令和2年度、令和3年度のデータがあります。有用度だけで言いますが、令和元年度は80.4%、令和2年度は95.6%、令和3年度は96.4%となっており数字が少しずつ上がってきております。
 コーディネーターの配置の多い医療機関では支援件数も多く、という質問が、3点目だったと思います。両立支援コーディネーターの養成にはどのぐらいの意義があるかというデータを、ちょうど取っているところです。両立支援を更に進めていくためには、両立支援コーディネーターが必要であろうということで、既に両立支援コーディネーターを約2万人養成しましたが、今後も両立支援コーディネーターを増やしていく必要があるという意味です。以上です。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 御質問ありがとうございます。今、中岡理事がおっしゃったことがほとんどですが、昔の話を知っている人間として2点お話いたします。コーディネーター養成のアンケートは、令和2年度ぐらいまではコロナがなかったので対面研修だったのです。それも、朝から晩まで丸1日掛けていました。有用度、理解度が80数%だったのです。
 現在は、基本事項はeラーニングでテストをしながら十分時間を掛けて何度も見直しができて、何度も勉強できる。そして、最後にライブ研修を2時間Webで行っています。それも、双方向性でこの答えはこう思いますかというアンケートをパッと取り、講師がそのアンケート結果を見て皆さんの意見を聞いて、そして、臨機応変に回答するようなライブ研修をするという方法に変えました。コロナを逆手に取ってWebにしたことで学びやすくなったということで、有用度、理解度が非常に上がっていて、この3年間は95%を全部超しています。去年出していないのは去年より悪いからではなくて、去年と同等又はそれ以上に有用度、理解度が上がっているのだということを御理解ください。
 最後のコーディネーター養成の研究について、私は研究に関与している研究員の1人ですので、あえて発言させていただきます。厚生労働省のお名前もお借りして、多くの医療機関や企業にアンケートを送付したのです。そうしたら、回答率が20%を超えるという、このようなアンケート調査では高い回答数が大企業、中小企業からありました。
 コーディネーターをたくさん配置している病院や企業両方とも、大きい規模だからたくさん居るわけではなく、コーディネーターをたくさん置いて熱心にしようという所は自然と支援数が上がっているので、先ほど主査からもお話がありましたように、コーディネーター養成が普及であり、かつ啓発であるという成果だと思っております。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(永江)
 労災病院事業を担当している永江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。追加の発言です。労災病院で支援件数が多い理由は、コーディネーターは医療ソーシャルワーカー(MSW)だけではなくて、看護師、薬剤師、医師等、多職種がコーディネーターの養成研修を受けてコーディネーターとして働いています。そういうことで、院内のチームで連携が取れて初めて支援までつながっていくという実態がありますので、そういう所には支援件数が増えてくることがあります。
 産業保健総合支援センターからの要請で、労災病院には両立支援相談窓口を開設しております。そこでは、患者さんがいつでも相談できるような体制を取っています。労災病院だけでは全国展開できませんので、産業保健総合支援センターでは、労災病院以外の公的病院など全国の主立った病院には、両立支援の相談窓口を設置してもらうよう働き掛けを行っていて、今、それに向けて機構全体で取り組んでいる状況です。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 未払賃金の立替払いの御質問について御回答いたします。令和3年度は、雇調金などの措置があったので件数は減少しました。一方、令和4年度は、円安や物価高騰など企業を取り巻く環境が厳しくなる中、企業倒産の増加に伴い支払件数が増加しました。件数が増加すると日数が掛かるのかという御質問ですが、まず、定性的に申し上げると、同じ人数で処理しており、件数が増えればどうしてもオーバーフロー気味になり日数は増えます。令和3年度は14.6日だったのが令和4年度は14.7日で0.1日増えているので、その傾向にあるのかと思っております。
 今後は企業を取り巻く状況が引き続き厳しいので件数の増加が懸念されるのですが、先ほど申したとおり、同じ人数で処理していてオーバーフローになった場合は、当機構の中で増員を少ししたりして、処理人数を増やす対応をしないと職員がパンクしてしまいますので、そうすると、日数は抑えられるかと思います。
 あと、システムの話については今後の話なので、それによって短縮できるかは要確認、要相談だと思います。システム開発は令和6年度以降、令和7年度中の見込みなので、まだ少し先になる予定です。以上です。
 
○今村主査
 先ほどから、関口構成員が手を挙げていらっしゃいます。まず、関口構成員、お願いします。予定の時間がかなり過ぎておりますが、次の見込評価の時間を若干効率的に進めたいと思いますので、発言をお願いいたします。
 
○関口構成員
 関口です。聞こえていますか。
 
○今村主査
 大丈夫です。どうぞ。
 
○関口構成員
 1点だけ、14枚目の所でお示しいただいた北海道中央労災病院に関連することです。建設費用が非常に高騰している中で、開院時期を1年延ばされた影響についてどういうふうに把握されているか。少し懸念される部分なので、お分かりの範囲で教えていただければというのがあります。
 来年4月から建設業でも労働時間の上限規制などがありますし、労務費が非常に上がることが予想されている中で1年延ばされるということで、建設コストが更に更に、上がる可能性もあるかと懸念しております。
 簡単に見ただけなのですが、令和4年度の労災病院の建設仮勘定が23億程度で計上されています。この辺りがもっともっと収まらないというか、膨れ上がる可能性も懸念されるところだと思うので、現時点で結構なので、どうお考えなのかをお伺いしたいと思います。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(永江)
 御質問ありがとうございます。北海道中央労災病院と岩見沢市立総合病院の統合については、統合後は市立病院に集約されるという形で、新病院は岩見沢市がお金を出して建てることになります。したがって、当機構で建設費を負担することはございません。
 ただ、懸念されることは、1年延びたことで、医師不足の中で北海道中央労災病院を1年長く営業しなければいけない経営面での懸念、あと、医師や看護師等のスタッフの確保です。それを維持して、市民病院が新しく建ったらそちらへ移動してもらうことを前提に考えており、1年延びることで職員の確保が大変になることを懸念している状況です。
 
○関口構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○今村主査
 先ほどから、宮崎構成員が手を挙げていらっしゃいます。取りあえず、一旦、これで最後にしたいと思います。宮崎構成員、お願いいたします。
 
○宮崎構成員
 2点あります。12ページです。先ほどの御説明で一応理解したのですが、「民間貸しラボへの移転準備」と書かれています。ここだけ主語が「民間」になっており、ほかの「協働研究の実施」や「研究倫理の実施」は「機構」が主語だと思います。そうすると、これは厳密には「民間貸し」ではなく「民間借り」ないしは「民間ラボへの移転」と表記するのが適切かと思っています。私は民間に貸し出すのかと思ったのですが、意味が逆ということですので表記を工夫いただければと思います。
 もう1点は、過去の化学物質の有害性調査に違反事例があったので、評価に関して考慮されたというお話があったかと思います。そうすると、36ページの3-1の財務内容の改善ないしは13ページの1-4の労災病院の運営に関しても、今年度は、コロナの病床確保の補助金に過大受給があり返還金が40億円ぐらい発生していますので、質的には違反事例ということで評価上何か考慮していただいて、当年度だけは評価をBではなくCに下げるなど、評価上質的な面も考慮すべきではないかというふうに個人的に思いますので、意見としてコメントさせていただきます。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(永江)
 労災病院を担当している永江です。コロナの補助金の返還が発生した経緯についてです。まず、令和2年度からコロナが急に蔓延し、県の要請で労災病院もコロナ対応ということで全面的に協力して受け入れました。とにかく、どういう感染をするのかが分からない状況で、医療スタッフも、こわごわ対応しながら受け入れてやっており、県も手探り状態で進めていました。とにかく、患者を受け入れて治療しての繰り返しでやっていました。
 そういう中で、補助金については、例えば、今朝まで入院されて退院されたら、その日の退院後はベッドが空いているので労災病院としては受け入れられるわけです。県には受け入れられるベッドということで、登録していました。
 補助金の計算をするときに、県からは登録したデータどおりのベッド数で、例えば、退院日の空床の取り扱いについては登録したベッド数と合致するよう計算してくださいという指示だったので、それに従って計算して県に提出していました。そうしていたところ会計検査院が入って、その日は朝まで入院者が居たのだからそこは空床補償の対象にならないということで、返還がきているわけなのです。
 ほかの医療機関もそうですが、我々は1人でも多くコロナ患者を受け入れることに専念して、県にそれぞれ登録して受け入れていた状況です。そこの見解は、県からも届出した数で計算するようにと言われているわけですから、致し方なかったということで理解していますので、そこはどうぞ御理解いただきたいと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 補足いたします。総務担当理事の藤枝です。よろしくお願いいたします。経緯は永江理事が申し上げたとおりです。まず、補助金の申請について適正な申請ができず返還の事態に至ったことは、我々としても遺憾でありお詫びしたいと思っております。
 会計検査院からは、報告の中身を読むと、厚生労働省、あるいは、各都道府県の指示、解釈が不十分だったということが指摘されて、我々以外の病院も返還に至っておりますので、今回のコロナ対応の中で我々の確認も不十分でしたが、厚生労働省、都道府県の対応もなかなかバタバタされた中で起きた事象と承知しております。
 まず、前提として、病院事業は独立採算ですので当機構の交付金全体への影響はありません。独立採算の病院事業の中で、令和4年度の臨時損失として計上して処理させていただき、そこは会計監査人にも見ていただきました。
厚生労働省からの予算という意味では、先ほどの日本バイオアッセイ研究センターの関係は、今後、賃料を支出することになりますが、全体の合理化に努めていきたいというふうに考えているところです。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。確認ですが、そうしますとコロナの補助金返還に関しては、御機構の社内調査では、解釈の違いだけであり不正な過大請求などがあったわけではないということだけ確認したいと思いますけれども、そこはよろしいですか。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 はい。
 
○宮崎構成員
 悪意を持ってしたわけではない。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 はい。
 
○今村主査
 ありがとうございます。引き続き、次に移りたいのですが、どこで発言できるか分かりませんけれども、今回のプレゼンで大西ディレクターが中心になって発言されていた頃が懐かしいと思います。全体として、ガバナンスの横の連携が少しばらばらになっているような印象を受けますので、是非、その辺りのリーダーシップ、ガバナンスはお考えいただいて、体系的に効率的にまとめて御説明いただければという印象を受けました。あくまでも、これは印象です。
 それからあと、AIによる効率化の話が全然出てきませんでした。東大の松尾先生が、企業のトップはICTをAIと勘違いしているだけというふうな発言がありました。こういう情報処理をする上で、AIの利用は非常に重要だと思います。その辺りについて、こういうことも考えているということも含めて、若干、御説明いただければと思いました。
 それは次に関することですが、中期目標見込について進みたいと思います。時間が限られておりますので、10分程度の予定で機構から御説明をお願いしたいと思います。
 
○労働者健康安全機構総務部長
 資料については資料3のシリーズで、説明資料は3-1です。その中で絞ってということですので、御説明するのは右下の2ページ、全項目のあるうちの1-4、労災病院事業と、資料1-6の治療就労両立支援事業について御説明させていただきます。
 まず、資料の14ページを御覧ください。こちらも先ほど御説明いたしましたことと重なりますが、指標の達成状況については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、令和2年度から令和4年度において、一部の指標については目標未達となっておりますが、新型コロナウイルス感染症患者の積極的な受入、感染拡大防止への対応等を行い地域医療に貢献してきた中で、大部分の指標については目標達成したという状況です。
 16ページを御覧ください。その中で下の方の資料ですが、地域医療との連携で、「紹介率・逆紹介率」の表です。コロナ禍ではありましたが、地域の医療機関等と連携し、紹介率は全ての年度で計画の76%を上回り、また逆紹介率についても、全ての年度で計画の63%を上回る結果となっております。
 右下の「症例検討会、講習会開催回数」の表ですが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、計画していた症例検討会・講演会を一部実施することはできませんでしたが、令和3年度からは電子会議システムの活用により、新型コロナウイルス感染症拡大の中でも可能な限り実施に努めた結果、年度計画840回を達成することができました。
 次に17ページを御覧ください。こちらで今中期目標期間における新型コロナウイルス感染症への取組について御説明いたします。左上の写真ですが、令和2年2月に横浜港に寄港したダイヤモンドプリンセス号の乗客が新型コロナウイルスを発症したということで、DMATとして4労災病院から7チーム延べ24名の医師等の派遣を行ったところです。また、感染した外国人乗船客について横浜労災病院、千葉労災病院で受入を行って、流行初期から新型コロナウイルス患者の受入に取り組んできたところです。
 右上の写真ですが、政府等からの要請を受けて患者数が増加し、医療がひっ迫している地域の11の医療機関等に看護師40名を派遣し、継続して支援を行ってきました。左下の写真です。感染管理認定看護師等の病院職員を地域に派遣し、コロナ感染防止に向けた啓発活動を実施してまいりました。具体的な事例としては、地域のデイサービスセンターで施設利用者等に対し感染防止対策について指導・助言などを行いました。また、地域のバス会社に対して具体的な事例を取り上げながら感染予防対策の指導も行いました。このほか、学校向けに修学旅行などにおける感染対策をまとめたDVDを作成し、学校に配布するといった取組を行ってきたところです。
 右下の写真ですが、新型コロナワクチンの安全性情報を発信することを目的とした新型コロナワクチンの接種開始初期の重点的調査に当機構が参画いたしまして、21労災病院において2,023人が調査に協力しました。また、それに伴うワクチンの先行接種についても4,762名に対し実施したといった状況です。
このように新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一部の指標については目標未達とはなっておりますが、労災病院ではコロナ患者の受入により、一般患者の受入制限を余儀なくされる中でも、例えば、救急搬送件数についてコロナ前からのパフォーマンスを維持するなど、積極的に地域医療に貢献してきました。これらのことから見込評価としても自己評価をAにさせていただいています。
 もう1項目については、資料23ページを御覧ください。治療就労両立支援事業についてです。先ほども令和4年度の評価のところで大分この点に関して御議論がありましたが、改めて御説明させていただきます。まず、両立支援コーディネーターの養成について、平成29年3月に政府が決定した「働き方改革実行計画」における「令和2年度までにコーディネーター2,000人を養成する」という目標については、2年前倒しして平成30年度に既に達成し、本中期期間においては令和4年度までに15,379人を養成したところです。これも先ほどの質疑の中でありましたことに関連しますが、期間中コロナ禍の影響を受けたわけですが、集合形式をオンライン形式に変更するなどして受講者数を伸ばした上で、更に研修の質を担保・向上するといったことで確認テストを新設するなど、アップデートを行いながら実施したところです。結果、受講者アンケートにおいて令和4年度は有用度が96.1%、理解度が97%と、令和元年の80%から大幅に上昇したところです。
 次に、労災病院における支援の実施について、全国の病院等のコーディネーターが参加する意見交換会の開催や好事例の共有等、質の向上に向けた取組を行った結果、支援した罹患者に対するアンケート調査結果において、令和4年度の有用度は98.4%と令和2年度の90.6%から大幅に上昇しました。なお、患者からは「担当医と両立支援コーディネーターの連携もよく、一番不安だったことを話せてストレスが軽減した。職場、仕事場へ説明もスムーズにいき、大変満足している。」といった好意的な御意見を頂いているところです。
こういった機構の取組が評価され、その一番下の所にありますが、他の施策においても両立支援の取組が広がってきていると考えております。ポツにありますように診療報酬において「療養就労両立支援指導料」が創設され、以降も対象疾患が追加されているところです。また、令和3年度からは「治療と仕事の両立支援」が日本専門医機構による専攻医の講習、専門医更新のための必須講習となっております。さらに、第4期がん対策推進計画、第2期循環器病対策推進基本計画といった計画において、両立支援コーディネーターの基礎研修の受講者数などが新たな指標に追加されているということです。
 このように国の施策で求められている取組につき、量的かつ質的に高水準な成果を上げ、難易度が高い事業を着実に実施したといったことを踏まえて所期の目標を上回る顕著な成果を上げているということで考え、自己評価をSとしたところです。説明に関しては以上です
 
○今村主査
 ありがとうございます。中期目標期間について、この2項目については過去の経緯から若干低いものもありますが、期間をまとめては、それぞれA、Sとするお申出ででございます。これについて何か御意見等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○安井構成員
 安井です。御説明いただき、ありがとうございます。先ほどと重複する部分もあるのですが、3ページのところで、2点質問があります。まず1ポツのところで、「プロジェクト研究」、「協働研究」、「基盤的研究」、「行政要請研究」、「過労死等に関する調査研究等」とありますが、今回御紹介していただいているのはプロジェクト研究、協働研究、行政要請研究の1例であり、この過労死等に関する調査研究に関しても、世の中の関心が非常に高いところではないかと思うのですが、これは今後の年度において研究がされて、その経過が公表される予定なのかどうか。もし、私が見逃していたら恐縮ですが、いつ頃公表されるかというのをお伺いできればと思います。これが1点目です。
 2点目が、4ページのところです。外部評価における研究成果の評価と、厚生労働省より「政策効果が期待できる」と評価を受けた研究報告書割合の要因分析の所に、同じような文言があり、「研究という性格上、努力したとしても必ずしも当初の結果に繋がらないものも一定の割合で存在しうること」を踏まえるということがあります。これは、どういう意味なのかを教えていただきたいのです。通常、研究は、私が申し上げるまでもなく、命題なり、仮説なりがあり、関連するデータを取ってきてそれがサポートされているか、又は棄却されるのか検証されるものだと思います。仮に、これが当初想定された仮説がサポートされなかったからといって、その研究自体が没になっているというのでしたら非常にもったいないと言いますか、問題設定自体はよいものだと思いますので、仮説がサポートされなかったという研究も、仮に厚生労働省の政策スタンスは違ったとしても、公表していくべきものではないのかなと思います。他方で、もしそういうことではなく、研究のサンプルを取ってくるといったときに、1,000ぐらいサンプルを取りたかったのだけど、蓋を開けてみたらうまくいかなくて、例えば10しか集まらなかった。それだったら検証自体ができないという理由で、結果につながらないということだったら私は理解できるのですが、どういうお考えでこのフレーズを書かれたのかをお伺いできればと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問ありがとうございます。過労死研究につきましても、毎年白書という形で発表していますので、そういった形での公表になろうかと思います。
 それと、今、お話のあった「必ずしも、当初想定した結果」という部分ですが、ここは法令基準の制改定等への貢献等ということで目標が10件ですが、常日頃テーマについては行政と意思疎通を図って決めており、研究自体は終わって外部の評価も受けますのでそれで完結なのですが、その結果を行政に返した後に、例えば法令改正になるのか、通達改正、ガイドライン改正につながるのかどうかは、当機構の手を離れているものです。当機構としては研究を完成し、評価も受けた、その評価によって、いい悪いもあるのでしょうが、成果物は国に納めていますので、言ってみれば後は、当機構の手を離れているもので、当然目標値も10件となっていますので、法令やガイドラインの改正につながっていただければ在り難いのですが、これは行政のほうでタイミングもあるでしょうし、そういった状況も踏まえてのことなので、必ずしもそこに法令改正等につながっていない部分もあるという趣旨で書いているものです。
 
○安井構成員
 それは、理解しております。「法令・基準の制改正等への貢献」の部分には私は触れておらず、それより上のところの「外部評価における研究成果の評価」や、「厚生労働省により『政策効果が期待できる』との評価を受けた研究報告書割合」の要因分析のところで、先ほど申し上げた文言が書かれていることについて、どういうことなのかなと思い御質問しました。過労死研究については、もう白書で書かれているということなので今後拝見してまいります。が、法令・基準の制改正に繋がったかどうかではなくて、研究として当初の結果につながらないから没になったということは、あるのかどうかというのをお伺いできればと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 当初想定していたストーリーにならなかった研究も中にはあります。ですので、それは、もうある段階で止めるのか、延長するのか、その時々の判断もあろうかと思いますが、純粋な意味で先ほどの法令貢献ではなく、研究自体がうまくいかなかったものがあるかという問いに対しては、残念ながら一定数なくはないというか、あるということが現状だと思っております。
 
○安井構成員
 それは最初の問題意識醸成のところで没になるのは分かりますが、リサーチ・クエスチョンとして、もうこれでいこうと決まったものの中で、でも検証してみたらストーリーに合わないから、これは止めようというのは少しもったいない気がします。仮説をサポートできないこと自体が価値があることだと思うので、それはアカデミックなジャーナルには載らないと思いますが、1つ重要な社会問題についての貢献だと思いますので、それは機構で公表されてもいいのではないかなと思って御質問しました。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター(大西)
 私は一応医学研究者ですので発言させてください。今、構成員がおっしゃるとおり、確かにこれは発がん物質だと思って、労働安全衛生総合研究所や日本バイオアッセイ研究センターで研究したものが、結局はネガティブで発がんしなかったというものもありました。それについては、今まで発がん物質とIARCで言われているものに対して、当方の研究では発がんしなかったというネガティブデータは出たので、これは重要なものですので、それはサイエンティストとして、ネガティブデータは発表するのは当たり前と考えます。確か、「Scientific Reports」誌にネガティブデータの論文を発表したと思います、最近。ですよね、丹羽理事。確かチタン関連の物質でした。これは今度、労働安全衛生総合研究所と日本バイオアッセイ研究センターが合併しますが、そういうデータもきっちりと、うちのサイエンティストたちは分かっていますので、はじめのところで失敗してしまったのは仕方ないですが、研究を行ったけれども仮説とは違ったネガティブデータは大切ですので、まして、「Scientific Reports」誌は「Nature」誌の雑誌の中でもネガティブデータも大切にする雑誌ですので、そういうところにもきっちり載せておりますので、その辺は十分教育が行き届いていると思っております。
 
○安井構成員
 どうもありがとうございます。やはりサイエンティストの方は、そういう思いでやってくださっているのだと安心しました。経営の方々は研究員の思いをきちんと組み入れて、しっかりとサポートする体制が必要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 私は、大西ディレクターが中心になって発言されていた時代が懐かしいと申し上げただけで。というのは、要するに簡単に申し上げると横の連携を取る方がもっといらっしゃると、多分もう少しまとまったガバナンスが示されると思うのですが、それを是非御検討いただきたいということだけです。
 時間も限られていますが、中期目標の評価で重要なことなので、例えば4ページに、ちょうど新技術安全研究グループというのを設置すると、令和3年度に大々的に載っていたと思うのですが、今年度には載っていません。これは、中期目標期間を通して、こうやって1年で取り上げたものが次年度は余り表に出ないという、ちょっとそういう印象を受けますので、それについてだけ簡単に御説明いただければと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御説明いたします。令和3年度に新技術グループを設置いたしました。令和4年度につきましては、新技術に関する代表的な研究課題として、「新技術が労働安全に及ぼす影響」や「機械学習を用いた作業姿勢判別と操作推定に基づく反動作業の転倒リスク評価に関する検討」などを実施しており、令和4年度もこのグループを作ったばかりのところですが、幾つかやっております。新技術によって新たな労働災害が起こり得る可能性もあるということなので、その防止対策もどうしたものができるかについても研究しているところです。
 
○今村主査
 ありがとうございます。時間も限られておりますので、もし何かありましたら。宮崎構成員、どうぞ。
 
○宮崎構成員
 すみません、1点だけです。40ページの財務内容改善の所ですが、先ほどの話を踏まえて、あえてこの表を載せるのであれば、その他収入の所に補助金の収入が入っているのであれば、単純に見た方がミスリードする可能性がありますので、令和2年度、3年度の実績には令和4年度に計上したコロナ補助金の返還金40億円が含まれているのであれば、含まれている旨だけ脚注を入れていただくとよろしいかなと思います。以上です。
 
○今村主査
 よろしいですか。それは、承っていただけるということでよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、次に移りたいと思います。御協力ありがとうございます。
 続いて、法人の監事及び、理事長から年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等におけるコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構監事(遠藤)
 常勤監事の遠藤です。資料2-5にあります監査報告を御覧ください。この監査報告につきましては、令和5年6月26日付けで当機構の理事長宛に提出いたしております。ページ番号がないので、申し訳ございませんが、適宜スクロールして御覧いただければと思います。
Ⅰには監査の具体的な方法と内容について記載しております。例年通り全国に展開する労災病院などへの施設監査を行いました。令和4年度の対象は28施設となり、新型コロナ感染症の影響で実施時期の変更が一部見られましたが、年度当初の計画数を3年ぶりに実行することができました。実地監査を基本としつつも、都道府県ごとに設置されております産業保健総合支援センターについては、対象10施設のうち6施設をリモート監査という形で行いました。
 Ⅱは、監査の実施結果について記載したものであります。法人の業務執行の適法性、有効性、効率性について、1~5まで個別に意見を述べております。いずれの場合も監査報告において、指摘すべき事項は見受けられなかったという結論になっております。監査報告としては以上となりますが、口頭で補足いたします。
 はじめに中期目標、年度計画についてです。監事としては重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても、本機構は真摯に取り組んでおり、コロナ禍の状況下でもおおむね期待に応える成果を挙げているという印象をもっております。また、医師の時間外労働上限規制の施行に向けては、医師を含む職員全体の意識改革を図りながら、例えば、救急部門の拡充など体制整備に取り組んでいるところです。
 次に、毎回言及しておりますが、機構にとっての喫緊の課題は労災病院を取り巻く経営状況の改善であります。新型コロナ感染症が5類に移行しても、患者の受診抑制の傾向は、現在も続いております。また、医師不足に加えて、昨今の看護師や薬剤師等の人材不足に伴う影響も出始めていることもありまして、病院経営が一層厳しくなるという危機感を強く持っております。加えて、コロナ禍以前の超高齢社会の到来や人口減少の急速な進行への対応についても、加速度的に取り組む必要があります。地域の医療ニーズを踏まえつつ、効率的な病床運用に取り組んでも、残念ながら収支のマイナスから脱却できない病院が相当数あります。今後とも勤労者医療と地域医療を持続的に支えていくためには、経営改善が不可欠であり、統廃合や病棟病床の削減、機能見直しなどの戦略的な取組が一層求められております。
 本機構は勤労者の人生を支えるという大きな役割を担っています。労災病院全体の健全経営化を図るとともに、多様な働き手一人ひとりが、働き続けたいと思えるような組織づくりに向けて、引き続き、御尽力されることを期待しております。以上です。
 
○今村主査
 では引き続き法人の理事長からお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事長
 では座ったままで失礼します。私たちの機構は平成28年度に統合することによって、現在に至っておりますが、病院等で行われる勤労者医療の充実、それから研究所が主に担うところの勤労者の安全の向上、それから産業保健総合支援センター等の産業保健の強化の3つを大きな柱、理念としてやってきました。即ち私たちの国の産業や経済の礎を維持、発展させる。と同時に勤労者一人ひとりのキャリアパスを支えようと、そういうような役割であります。
今年度は第4期の中期目標期間の最終年度となります。これまでの機構の業務を総括した上で、次期の中期目標に向けた議論を進めていきたいということも現時点での立場です。そのようなことで、今現在の中期目標期間を振り返りますと、令和元年度末から始まったところの新型コロナウイルス感染症の拡大によって、当機構の事業もかなり大きな影響を受けたところであります。労災病院については、今日の説明にもありましたが、大型クルーズ船うんぬんの話から、医療スタッフの派遣の話、それから患者さんの受入のお話がありました。自治体等も、自治体のルールにしたがってそれなりのことをきちっとやっていたのですが、見解の相違というようなこともあって、お金を返すというような大変なこともありましたが、いずれにしても公的な病院としての地域医療の体制確保に一生懸命取り組んできたところであります。
各都道府県が策定するところの第8次の医療施策においては、現在の5疾病5事業に加えて、新興感染症、コロナのような感染拡大時における医療提供体制についても、記載しようとなっております。各労災病院においては、新型コロナウイルス感染症の経験も踏まえて、それぞれの地域で引き続き求められる役割をしっかりやっていこうと。
 ちょっと追加しますと、もしこのコロナの感染症を災害というふうに考えますと、やはりその地域における比較的大きな中核的な病院と、その中核的な病院と普段連携している比較的小さな病院、それからその小さな病院に患者さんを送り込んだり、またその地域の病院から患者さんを引き取ったりするような長期療養施設というように、大小諸々の施設があります。その大小諸々の施設において、例えばコロナであれば、感染管理の方法論についての知識や技術を共有する、それからほかの災害、風水害、台風でもいいのですが、それに関してもやはり大きい施設とそれから小さい施設と、それから長期療養施設等において、それぞれの役割を立体的に勘案しながら、やはり連携していくというようなことが必要になりますので、そういうようなことも含めて各労災病院においては、引き続き求められる役割をしっかりと果していきたいと、こういう話になります。
 そして勤労者医療という柱がありますが、両立支援については、両立支援コーディネーターを養成する国内唯一の機関ということになりますので、今まで1万7,000人を超えるコーディネーターを養成してきました。そのコーディネーターが活躍するに当たっても、そのコーディネーター一人ひとりのクオリティーをよくするための研究会、研修会も引き続き取り組んできました。
 第8次医療計画においては、がん、脳卒中、心筋梗塞などの医療体制構築に関わる現状把握のための指標として、両立支援コーディネーターの基礎研修の受講者数が挙げられております。今後、益々このようなコーディネーターの需要が増していくものと思っておりますので、両立支援コーディネーターの養成は当たり前でありますが、今お話ししたようにその質の向上についても、これまで以上に取り組んでいきたいと考えている次第であります。
 先ほど監事も言及されましたが、病院の経営を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。光熱水費等々の高騰があります。医師の働き方改革への対応もあります。デジタル化やサイバーセキュリティーへの対応という様々な問題が山積しております。勤労者医療の中核的な役割を担う労災病院の安定的な経営は最重要課題です。今後も厚生労働省と一体となって、様々な課題に取り組んでいきたいと考えている次第です。
 研究の分野では、平成28年の法人統合、先ほど来お話がありますが、そのような形で相乗効果を発揮しながら、様々な研究成果を出してきました。第14次労働災害防止計画を踏まえた、行動災害の防止に関する総合的な研究なども開始しております。
 産業保健についても、先ほど来からお話にあった、中小零細企業における産業保健活動の支援をなんとしても行っていきたいと思っておりますし、新たな課題となっている個人事業者や、それから女性の勤労者の増加への対策などにも取り組んでいきたいと思っております。このようにして当機構においては、国の根幹を支える働く人たちの健康と安全の活動に寄与して、ますます頑張っていきたいと思っております。
 先ほど北海道中央労災病院の合併の話が出ました。この労災病院が合併すると、では労災病院がやってきた大事な仕事が、例えば勤労者医療とか、両立支援とか、そういうふうな話がそれで消えるのかという話になりますが、実は労災病院が一生懸命やっていることは、この国にとって必要なことを一生懸命やっているわけで、労災病院ではない病院も実はやる必要があるという認識に立っていますので、今の北海道中央労災病院に関していえば、岩見沢市の市長さん、それから岩見沢市立病院の院長先生たちに私たちはこのようなことで労災病院を今までやってきたと、地域の事情によって人口の減少だとか、それから医師派遣の困難さとか、そういうふうな諸々の条件によって2つの病院が合併するけれど、合併した暁には、労災病院が今までやってきたことで、社会的に非常に重要なことについては、是非同じようなスタンスでやってほしいというふうな話をしております。
このことは合併する時だから言っているわけではなくて、合併という話がない、極端なことを言えば労災病院がない場所においても、先ほど少し出ましたが、産業保健総合支援センターは各都道府県にありますので、そのような各都道府県を中心にしながら、各病院、例えばいわゆる市町村立病院というのは全国津々浦々にありますので、そういうような公立病院に、是非私たちが今までやってきて、これからやっていこうとすることを積極的にお話しながら広めていきたいと考えている次第であります。これは当機構の正味の仕事かと言われれば、正味ではないのかもしれませんが、国民の立場に立てばそのようなことで地域、都道府県の産業保健総合支援センターも重要な仕事であるに違いないと信じておりますので、引き続き頑張りたいと思います。
 本日は私たちが今までやってきた各事業について、有識者の皆々様が大変貴重な、大事な御意見をたくさん賜わりました。まずは心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。働く人々の健康と安全を守ると、このような目的に向かって、今お話したように、今日賜わりましたところの貴重な御意見、御指導、御助言等々たくさん感謝をする次第です。それを私たちの事業の運営にしっかりと反映させていきたいと、こういうふうに考えております。ということで本日は大変ありがとうございました。御礼申し上げます。以上、発言終わります。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。それでは今の監事、理事長の御発言内容について、御意見、御質問等がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。大丈夫ですか。先ほどちょっと私、申しかけたのですけど、この構成員会、この有識者会議というのは、何が目的かなというのをちょっと考えたときに、ちょっとディベート甲子園の話もちょっとしたのですけれども、ディベートって御存じのとおり、肯定側と否定側とで、それぞれお互いの主張を否定し合うと。中学生、高校生を見てると面白いのは、我々の主張が残りました、生きています。どうぞいかしてくださいそういう言い方をするんですよね。
そうすると恐らくこの場というのは、法人が独自評価でSです、Aですという御主張が生きているか、残っているかですよね。我々が聞いていて。それが主張して説得力があるということであれば、そのとおりになるし、どうもここがおかしいということで我々がこういろいろ質問させていただくということなので、是非それを大臣評価でいかしていただければというふうに思います。残っているか残っていないかの評価はいろいろ私たち申し上げましたので、是非それをいかしていただいて、特に中期目標期間の評価については、少し高めの評価が出ているところもありますので、そこは御検討いただければと思います。
ただ、順番が逆になりましたけど、こういうコロナ禍の中で機構はですね、高度な研究と大変な臨床と、そういう中で成果をいかされまして、産業保健活動や治療就労両立支援活動にいかしていらっしゃるということで、本当に心から敬意を表したいと思います。本当にお疲れさまでしたというか、ありがとう、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
さて、それでそういうことをいかしまして、すみません、続いて労働者健康安全機構の業務・組織全般の見直しについて議論をしていきたいと思います。はじめに見直し内容について、法人所管課室からポイントを絞って簡潔に御説明いただきまして、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○計画課長
 厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課長の松下と申します。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。私からは資料4-1と4-2を本日用意させていただきました。4-1につきましては、4-2の内容を要約した資料になっておりますので、本日は4-1を用いて説明をさせていただきます。
 はじめに、法人を取り巻く環境と課題について御説明を申し上げます。1ページの上段を御覧ください。1つ目は労災病院が行っております勤労者医療についてです。疾病の予防から診断、治療、職場復帰、治療と仕事の両立支援を行う総合的な取組を「勤労者医療」と呼んでおりますが、労働者の高齢化とともに職業生活が長期化していることで、その重要性は、今後とも引き続き高まっていると認識しています。また、これまでも新型コロナウイルス感染症等の対応につきまして、積極的に労災病院で行ってきましたが、感染症予防法等が改正されたことにより、公的医療機関等におきましては感染症発生・まん延時に担うべき医療の提供が義務づけられております。こうした改正を踏まえた対応が、労災病院でも求められているという状況です。さらに、地域医療構想も踏まえつつ、地域医療における労災病院の役割についても検討が必要となっております。
 2つ目ですが、勤労者の安全向上についてです。労働者の高齢化や第3次産業への就労者の増加に伴いまして、労働者の作業行動に起因する「転倒」などの労働災害が増加しております。また、第3次産業や中小事業場における安全対策が遅れていること、化学物質に対する事業場における自律的管理体制への移行といったことについても、対応が課題となっております。
 3つ目、産業保健について、女性労働者や個人事業者の増加に伴う健康推進等の産業保健上の対応が課題となっております。
 4つ目のその他事業についてですが、国民の利便性等向上のためのデジタル社会の実現に向けて、デジタル技術を活用した新たな事業展開についても取組を進めていくことが課題となっております。
こうした法人を取り巻く環境・課題を踏まえて、次期中期目標におきましては、これらの課題を解決するために1ページの下段のとおり勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化、その他の事業といった取組を進めていかなければいけないと考えております。具体的には2ページ以降で説明させていただきます。
 2ページの勤労者医療の充実に関する課題に対する取組といたしまして、Ⅰの労災病院事業につきまして、勤労者医療を他の医療機関より先導的に実施をしていくとともに、勤労者医療で得られた知見を、他の医療機関にも効果的に普及させていくことが必要と考えております。また、感染症の発生・まん延時においては、感染症予防法等の改正を踏まえた対応を行っていく必要があります。さらに、地域医療への貢献につきましても、労災病院も地域医療構想に含まれておりますので、地域に求められる役割を明確にし、病院機能の見直し、合理化も考えていかなくてはいけないということです。
 次に、Ⅱの治療就労両立支援事業についてです。全国9カ所の労災病院に併設しております治療就労両立支援センターにおきまして、仕事を有する患者に対して診断時から職場復帰に至るまでのきめ細やかな支援を行っていく必要があると考えております。また、企業への支援、人材育成についても適切に実施いたします。
 Ⅲの専門センター事業につきましては、労働者健康安全機構では、労災病院の他に、専門センターと呼ばれる、身体障害者となった方の社会復帰と社会生活の維持を目的とした医療リハビリテーションセンター、脊髄損傷の高度専門病院である総合せき損センター及びその分院であります北海道せき損センターについて、引き続き、効率的、効果的な運営に努めて参ります。
 次に3ページを御覧ください。勤労者の安全向上についてです。勤労者の安全向上に係る課題に対する取組といたしまして、厚生労働大臣が定めております。今年度から始まった第14次労働災害防止計画があります。この計画で示された行政課題を踏まえた研究に取り組みつつ、協働研究や労災疾病研究、過労死等に関する調査研究等、引き続き各種研究を適切に実施して参ります。
また、安全衛生の取組の効果につきまして、災害発生要因などの研究成果等について、厚生労働省のサイトである「職場のあんぜんサイト」を活用した情報発信に努めて参ります。
 さらに、化学物質の自律的管理への支援につきましては、令和4年5月に、労働安全衛生規則等が改正されております。事業者が自ら化学物質のリスク評価を行い、ばく露防止などに関する管理を行う自律的管理の方式になったことを受け、化学物質情報管理研究センターにおいて、事業場における自律的な化学物質管理の支援を行っていきます。
 次に産業保健の強化に係る課題に対する取組といたしまして、産業保健総合支援センターにおいて、事業者等を対象に産業保健活動に関する研修やメンタルヘルスに関する研修、働く女性の健康支援に関する研修を実施して参ります。また、このほか新たに化学物質に関する研修や個人事業者向けに健康管理に関する研修を行って参ります。
 次に4ページのその他事業についてです。
Ⅶの未払賃金立替払事業についましては、現在、文書での請求を行っておりますが、請求のオンライン化や、労働基準監督署のシステムとの情報連携が可能となるようなシステム改修を令和7年度末を目標に行います。
 続いてⅧの納骨堂の運営事業についてです。新型コロナウイルスのまん延などの経験から、IT技術の活用により、来堂しなくても、参拝を疑似体験できるシステムの構築を行って参ります。
 Ⅸの特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支払等業務につきましては、引き続き法令に基づき適切な支払を行って参ります。
最後になりますが、「組織の運営」、「業務全般に関する見直し」についてです。「組織の運営」につきましては、これまでも当機構においては複数の機関が統合されて、幅広い事業を行ってきております。このようなスケールメリットを生かして、効率的、効果的な組織運営を引き続き行って参ります。
「業務全般に関する見直し」につきましては、Ⅰの「業務運営の効率化」、Ⅱの「内部統制の強化」、Ⅲの「労災病院の経営改善」、Ⅳの「情報セキュリティの強化」について、それぞれ措置を講じることで、適切に業務が実施されるよう努めて参ります。
 このうち、Ⅲの「労災病院の経営改善」につきましては地域の医療ニーズを踏まえた病院機能の見直し、合理化、あるいは国立病院機構等と医薬品や医療機器等の共同購入を行うなど、他法人との連携の強化にも引き続き図って参ります。
説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。ただいまの説明内容について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。2点ありまして、1点目が、やはり、このメンタルヘルスの推進というところが重要かと思っていますので、是非、しっかり取り組んでいただければと思うのです。その中で、やはり産業構造が変換をどんどんしていまして、一次、二次産業よりも三次産業、サービス産業のほうが増えてきているのかなと思っています。あとは、DXなども推進されてきますと、どちらかと言うと、メンタルヘルスの疾患のほうが増えてきているのではないかと個人的には思っています。そうしますと、メンタルヘルスの推進のところなのですが、研修等の取組も当然重要だと思いますが、それにとどまらず、両立支援とか、疾患した場合も、職場復帰とかそういったことの取組も是非、取り組んでいただければと期待しております。これが1点です。
 もう1点が、有害化学物質の調査の所なのです。骨太の方針とか、閣議決定されている政府の「経済財政運営と改革の基本方針」などでも、GX(グリーントランスフォーメーション)ということで、例えば、水素とかアンモニアを使って化学合成燃料を作ったりとか、新しい燃料を作りましょうという技術革新に取り組むという重点施策が出てきておりますので、例えば、水素とかアンモニアを取り扱って製造とかやると、どういう危険性があるかとか、そういう新しい技術のところに関しても、是非、この有害性とか安全対策に関しては研究のテーマに入れていただければと考えております。以上2点です。
 
○計画課長
 ありがとうございます。まず、1点目のメンタルヘルスの推進のところについては、まさにおっしゃるとおりかと思っております。我々としましても、メンタルヘルス対応というのはしっかり対応していかなければいけないと考えております。その際に、両立支援といった観点も踏まえて、次期中期目標にどのような形で反映できるのか、また、労働者健康安全機構とも相談しながら検討していきたいと考えております。
2点目の有害化学物質の調査については、現在、まさに化学物質の有害性というところで、具体的な調査、研究開発を行っているところです。御指摘を頂いたグリーンの観点の取組、水素、アンモニアといったお話については、今、行っている労働者健康安全機構の業務の建付けと、どこまで整合性が取れるかといった問題があるかと思いますが、御指摘も踏まえて、どのように対応できるのか、今後、検討していきたいと考えております。以上です。
 
○今村主査
 いかがでしょうか、ほかにはご意見は。オンラインの構成員はいないですか。では1つだけ、すみません、私から。先ほど来申し上げているのですが、4スライド目の組織の運営の所です。あっ、来たかなと思われるかもしれませんが、いろいろすばらしいことをやっていらっしゃる、個別に、それぞれの組織が、それぞれの個人の方がやっているのですが。ここに前向きの言葉として書いてあるのが、「機構のスケールメリット」、それから「効率的かつ効果的」という所はいいとして、「柔軟な組織運営」とありますが、統制という意味ではないのですが、組織のアイデンティティーとして、横の連携みたいなところが、これからイノベーションを進展するためでも、実際、協働、協力して働くという言葉を使って協働研究という言葉も使っていらっしゃいますが、それの実態を、つまり、スケールメリットをいかしながら、でも全体としては新しいものを産んでいくという、横の連携のクリエイティビティーというのですか、そういう創造の場みたいなガバナンス構造を、どのようにこの組織の上の中にいかしていくのか。
 正に、この機構というのは、研究の知見、それから臨床の知見、それを現場にどんどんフィードバックして、日本の勤労者の生活環境を変えていく。先ほどおっしゃったように、宮崎構成員もおっしゃったように、メンタルな部分とか、幅広くフィジカルからメンタルまでやっていかれるわけですが、そこのところをどう担保するかというのが、この組織の運営で本当に十分かという印象を受けるのですが、いかがでしょうか。もう少しクリエイティブに何かイノベーションを起こすような、そういうまとまりのあるガバナンスというものを、ちょっと意識できるような書き方はできないかなと思うのですが。
 
○計画課長
 ありがとうございます。我々としても、内部統制の部分の問題かと考えております。実際、労働者健康安全機構は本部を始めとして、労災病院の職員、労働安全衛生総合研究所の研究員等、かなりの人数の職員が働いております。また、その施設ごとにそれぞれの業務の目的、内容は異なってきておりますが、一方で、1つの組織体でありますので、労働者健康安全機構としての基本理念をしっかり個々の職員に認識してもらうことについては、大変重要なことかと思っております。
 そこで、そのような機構職員としてのマインドを持ってもらいつつ、今、主査からお話がありました、業務を実施するに当たっての創造性をどのように発揮していくのかということについては、もちろん内部での研修を行うことも重要かと思いますし、また一方で、外部からの人材の獲得や、外部の方の協力を得る等考えつつ、組織として考える必要があると、主務省として考えているところです。今、主査からいただいた意見も踏まえつつ、次期中期目標の設定について考えていきたいと思っております。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。主務省と理事長のリーダーシップに是非、期待したいと思います。生成AI等の浸透で働く環境もどんどん変わると思いますので、是非、柔軟に、それこそ柔軟に御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
 いかがでしょうか。土橋構成員から、どうぞ、土橋構成員、よろしくお願いします。
 
○土橋構成員
 土橋です。先ほども、水素やアンモニアに代わっていくGX関係の安全性もという話があったのですが、もともと労働安全衛生総合研究所とかは産業災害とかいろいろやっていますので、いわゆる火災、爆発というところも、かなり知見の蓄えとかもあるわけです。どちらかというと、これは全体的に何か医療関係が強い感じは受けました。しかも今、化学物質関連も有害性のほうにかなり軸足があるようなのですが、実際、今後、水素を使ったりとかいうところで、そういった危険性、火災、爆発とかの危険性のほうも重要になると思いますので、そちらのほうもできるだけ光を当てていただければと思います。以上です。
 
○計画課長
 土橋構成員、ありがとうございます。先生からいただいた意見を踏まえまして、しっかりと考えていきたいと思っております。ありがとうございました。
 
○今村主査
 そのほかいかがでしょうか。それでは特にないようでしたら、以上で、業務組織全般の見直しについての議論を終了いたします。法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日いただきました御意見等を踏まえまして、見直しの内容の修正等をよろしく御検討いただき、内容の最終的な確定をどうぞよろしくお願いします。
 どうも皆様、お疲れ様でした。以上で本日の議事は終了となります。最後に、事務局からお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室室長補佐
 今後の流れについて御連絡します。本日、御議論いただきました労働者健康安全機構の「令和4年度業務実績評価」及び「中期目標期間見込評価」につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度構成員会に通知するとともに公表いたします。
また、「業務・組織全般の見直し」の内容につきましても、同様に、本WGにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度構成員会に通知するとともに公表いたします。
決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いします。
なお、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」の内容については、独立行政法人評価制度構成員会へ通知後、同構成員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することとなります。そして、その次期中期目標案について、来年1月以降、独立行政法人評価制度構成員会の審議に附されることが予定されているため、次期中期目標案等についても、来年1月頃に本WGでの意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了させていただきます。長時間にわたり熱心な御議論を頂きまして、また、円滑な議事運営に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。今日は比較的暑さは和らいでいるようですが、なお危険な暑さでございます。どうぞ皆様、一日御健康にお過ごしいただきますよう。どうもありがとうございました。失礼いたします。