第15回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ 議事録

日時

 令和5年9月14日(木)14:00~16:00

開催方法

 オンライン開催

議題

  1. 1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進等について
  2. 2.その他

議事

議事内容

○高齢者医療課 長谷川専門官 定刻となりましたので、ただいまより第15回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキングをはじめます。構成員の皆様にはご多忙のところご参加いただきありがとうございます。会議中ご発言の際は、手を挙げるボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けてからミュートをはずしてご発言くださるようお願いいたします。発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。はじめに構成員の先生方に変更がございましたので、事務局よりご紹介いたします。新しくご着任になった構成員の皆様におかれましては、簡単に一言ご挨拶いただきますようお願いいたします。五十音順でご紹介させていただきます。鈴木孝昌構成員がご退任になり、徳島県後期高齢者医療広域連合事務局長の川原正樹構成員にご就任いただいております。
○川原構成員 事務局長の川原でございます。よろしくお願いいたします。
○高齢者医療課 長谷川専門官 宮川政昭構成員がご退任になり公益社団法人日本医師会 常任理事の坂本泰三構成員にご就任いただいております。
○坂本構成員 日本医師会の坂本でございます。出身は兵庫県で内科をやっております。兵庫県は瀬戸内から日本海までありまして、大都市から人口の少ない島までありまして私のところはだいたい5万人の人口のところでございまして、高齢者の保健事業も色々と行政と協議して続けております。大都市と4~5万の人口の都市とかなり色々とやり方も課題も違ってくるのかなと思っております。よろしくお願いします。
○高齢者医療課 長谷川専門官 よろしくお願いします。それから沼田美幸構成員がご退任になりまして、公益社団法人日本看護協会の宮崎正美構成員にご就任いただいております。
○宮崎構成員 皆様こんにちは。日本看護協会健康政策部長の宮崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○高齢者医療課 長谷川専門官 よろしくお願いします。また、本日はご欠席となっておりますが、小玉剛構成員がご退任となりまして、公益社団法人日本歯科医師会常務理事の野村圭介構成員にご就任いただいております。その他、本日のご出席状況ですが、池田構成員にかわり、公益社団法人国民健康保険中央会保健福祉部長の植松賢参考人に、また、西村構成員にかわりまして公益社団法人日本栄養士会常任理事の加藤すみ子参考人に代理のご出席をいただいており、伊藤構成員、田中構成員からはご欠席とのご連絡をいただいております。それから事務局も体制が変更となっておりますのでご紹介をさせていただきます。本年7月に厚生労働省保険局高齢者医療課長に安中が着任をしております。それから一体的実施調整官の宇野でございます。そして私が保健事業推進専門官の長谷川でございます。よろしくお願いいたします。それではお手元の資料について確認させていただきます。事前にお送りしておりますとおり議事次第のほか、資料1 高齢者の保健事業の進捗状況について、資料2高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進に係る支援等について、参考資料1高齢者の医療の確保に関する法律に基づく高齢者保健事業の実施等に関する指針、それから構成員一覧をお付けしております。不足がございます場合は、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。なお、本会議は「公開」とさせていただき、会議終了後、録画映像をYouTube厚生労働省動画チャンネルに投稿する形で公開いたしますが、公開期間は、会議翌日から当省ホームページに議事録が掲載されるまでの期間となっております。また、本日の資料につきましてもホームページに掲載済みでございます。それでは、ここからの進行は、津下座長にお願いしたいと思います。津下座長、よろしくお願いいたします。
○津下座長 皆様こんにちは。津下です。前回から引き続きの構成員の皆様いつも活発なご意見ありがとうございます。また今回改選があり新しい構成員の皆様、新たな視点で一体化の実施につなげていければと思いますのでどうかよろしくお願いします。本日の議題は、高齢者の保健事業の進捗状況について、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進にかかる支援等について の2点が用意されております。それでは、まず、議題の1つ目「高齢者の保健事業の進捗状況について」ということで資料1について事務局より説明をお願いします。
○事務局 ご説明申し上げます。資料1では、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の実施状況、一体的実施実施状況調査案、第四期医療費適正化基本方針、高齢者保健事業の実施等に関する指針、データヘルスの推進に係る進捗状況についてご説明申し上げます。
 2ページでございます。一体的実施は令和6年度までに全ての市町村において実施することを目指しています。令和6年度には1667市町村、全体の約96%の市町村で実施の目処が立っております。
 3ページでございます。こちらは前回3月のWGでお示しした都道府県別の実施状況を示したグラフです。令和5年度から実施予定の市町村分の色をピンクから水色に変更してございます。実施済が青、令和6年度から実施予定はピンク、赤が未定を示しています。未定が多い都道府県は、北海道、東京、沖縄となっております。その後、6月と8月に広域連合に調査を行いまして、現在の状況をお示ししたものが4ページでございます。
こちらは、7月末時点の実施予定なし市町村数をまとめたものでございます。管内全ての市町村で実施予定の目途がたっている広域連合は38であり、全体の約8割となっています。実施予定なし市町村は前回調査の11月末時点から8か月が経過し、74市町村から56市町村となり、残り3%となっております。
 5ページでございます。未実施市町村についてまとめたスライドでございます。令和5年7月末時点の未実施市町村は56でございまして、北海道、秋田、山形、東京、長野、京都、島根、鹿児島、沖縄広域連合の管内市町村でございます。
高齢者の医療の確保に関する法律上では、広域連合から委託することにより広域連合から市町村に対し、被保険者情報の提供が可能となり、高齢者の保健事業に関する指針においては、一体的実施で求める取組として、KDB等を用いた課題分析、高齢者に対する個別的支援、通いの場等への積極的な関与等がございます。一体的実施に取り組むためには、KDBシステム等を活用し、データ分析を行い、地域の健康課題を把握するほか、庁内の連携を図り、一体的実施に係る事業の企画・調整をおこない、地域の医療関係団体との調整を図るなど、企画・調整、分析、評価を行う保健師等の医療専門職の配置が必要となります。今回未実施市町村56について、国保保健事業、高齢者保健事業、介護予防地域支援事業の事業実態と、企画・調整担当医療専門職の配置の有無を確認したところ、保健事業の実態があり、市町村として専門職の配置はあるが、少数の配置であり、業務時間の不足等により企画・調整担当を配置することはできない市町村が多く、56市町村のうち、53が企画・調整を配置できないと回答いたしました。常勤の専門職の配置がない村が3つあり、いずれも離島でございます。右側に令和5年度中の対応方針案をまとめております。未実施市町村の多くは、事業実態があり、専門職の配置もあるが、企画・調整の配置が困難という状況でございます。このような状況ですが、配置要件は令和3年以降専従要件の緩和も行っており、令和4年以降離島・へき地については職種の緩和も行ったところでございますので、引き続き、一体的実施の取組を推進することとしております。なお、離島等の被保険者数が著しく少ない場合や、医療専門職の配置がない場合については、広域連合より別途ご相談いただくこととし、令和6年度の対応方針については、引き続き実施状況調査や、広域連合ヒアリングにより、状況を把握し、必要な対応について検討して参ります。
 6ページでございます。令和4年度の実施状況調査から見えた課題と対応については、左側に市町村の課題、及び広域連合の課題をまとめてございます。市町村の課題としては、医療専門職の確保が困難、目標・評価指標の設定、事業評価・効果検証が難しい、関係部署間での合意形成・庁内連携が図れない、KDBの機能を十分活用することが難しいといった課題があげられました。また、都道府県、広域連合の課題としては、支援するマンパワー、ノウハウの不足、広域連合、都道府県、国保連等の共通理解、情報共有の不足、広域連合の課題として、実施主体としての事業評価、進捗管理の在り方がわからないという課題が明らかになっております。右側に対応方策をまとめており、今年度実施する内容は赤字でお示ししてございます。
 一つ目、研修会でございますが、5月に支援者研修会として、広域連合、国保連合会、都道府県、厚生局を対象としWEB研修会を国保中央会様と共催で実施し、アーカイブ配信を実施してございます。二つ目の赤字でございますが、高齢者の特性を踏まえたガイドラインの見直しを今年度予定しております。三つ目ですが、一体的実施KDB活用支援ツール、実践支援ツールについては、広域連合・国保連の皆様のご意見を踏まえ、事業検証を行い、今年度さらなる拡充に取り組みます。
 一番下の四角でございますが、データヘルス計画策定の手引きを昨年度末に見直しをしております。計画様式・評価指標の標準化を進めており、研修会等でお伝えしていきます。広域連合が管内市町村の進捗管理、事業評価を行いやすくするために毎年市町村から提出されている、一体的実施計画書・実績報告書の集約ツールの作成と計画書・報告書を用いた研究班による事業評価を行う予定です。こちらの項目については資料2で詳しくご説明させていただきます。以上が一体的実施の実施状況でございます。
 7ページでございます。続きまして今年度行う一体的実施実施状況調査についてでございます。各広域連合、市町村における実施状況及び都道府県の支援状況をとらえ、事業の充実と必要な支援につなげるため、今年度も実施状況調査を行います。調査対象は広域連合、都道府県、市町村です。実施期間は11月の配布、12月回収、12月末に集計結果速報をまとめ、3月末に高齢者保健事業のあり方検討ワーキンググループでご報告の後、報告書公表予定で進めます。
今年度新たな事項として、一番下の、その他に記載しています。1ぽつ目、第3期データヘルス計画の標準化に向けた取組状況、共通の計画様式、評価指標の活用の際の課題等を調査します。2ぽつ目、自治体での保健事業の実態、ポピュレーションアプローチの実施状況について把握する項目を追加します。3ぽつ目、今年度ガイドライン改訂を予定しているため、ニーズを確認いたします。
 8ページには広域連合票、都道府県票にて調査する項目、設問内容についてお示ししています。左側広域連合票では取組体制、取組状況、ガイドラインの活用状況、第3期データヘルス計画の策定について調査を行います。赤字が今年度新規に追加する項目になります。右側、都道府県票では、体制、支援状況、広域連合が策定する第3期データヘルス計画への支援、ガイドライン等の活用状況について調査を行います。
 9ページでございます。続いて市町村票においては取組体制、実施状況、広域連合、都道府県、国保連からの支援、後期高齢者の質問票の活用状況、KDBの活用状況、ガイドラインの活用状況を共通で調査を行います。また右側、実施状況に応じて調査項目を分けて調査を行います。未実施市町村には事業実態と必要な支援を調査する予定でございます。以上が、実施状況調査についてのご説明でございます。
 10ページでございます。こちらは、一体的実施計画書、実績報告書の集計ツールの作成についてのご説明になります。毎年、市町村から広域連合を通じて国に提出されている一体的実施計画書、実績報告書の集計ツールを作成予定です。広域連合が管内市町村の状況を把握し、進捗管理、事業評価に活用できるよう、市区町村から毎年提出される計画書、及び実績報告書を集計するツールを作成し、広域連合に提供いたします。
国・広域連合が状況把握や事業評価の分析に活用することを見据え、令和6年度から使用する一体的実施計画書・実績報告書の様式をより簡素化、標準化し見直ししてまいります。
市町村が記入しやすく、広域連合が状況把握、進捗管理、事業評価しやすくなるような集計ツール及び様式を作成してまいります。
 11ページでございます。前回のワーキング以降で動きのあった事項についてご報告申し上げます。6月に閣議決定された骨太の方針で示されている事項について、関連事項に下線を引いております。健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大するためにも、健康づくり・予防・重症化予防を強化し、第3期データヘルス計画を見据え、エビデンスに基づく保健事業を推進する。リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る。オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、等が示されております。
 12ページでございます。続いて第四期医療費適正化計画が令和6年から開始となります。医療費適正化計画は都道府県が策定する計画ですが、7月にその基本方針が示され、今回の見直しで左側「1新たな目標の設定」の1ぽつ目、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的効率的な提供等高齢者の心身機能の低下等に起因した疾病予防・介護予防が示されております。今後、都道府県の医療費適正化計画においても、一体的実施の推進に向けての目標設定が示されます。右側、既存の目標に係る効果的な取組として、健康の保持の推進では特定健診・保健指導の見直しにおいてアウトカム評価の導入、ICTの活用が示され、医療の効率的な提供では、重複投薬・多剤投与の適正化などが示されております。医療費適正化計画とも調和のとれたデータヘルス計画策定が求められます。
 続きまして13ページは、高齢者の保健事業の実施等に関する指針を8月31日に改正いたしました。今回の改正では、データヘルス計画策定の手引きに記載した総合的な評価指標・共通評価指標について追記を行っております。事業の評価は健康・医療情報を活用して、費用対効果の観点も考慮しつつ行うこと。なお、評価の際に用いる指標は全国の広域連合において次の総合的な評価指標・共通評価指標を設定するほか、各広域連合独自の評価指標を設定して差し支えないとしております。具体的な評価指標項目は、健診受診率、歯科健診実施市町村数及び割合、質問票を活用したハイリスク者把握に基づく保健事業を実施している市町村数及びその割合、保健事業の実施市町村及びその割合、保健事業におけるハイリスク者数及びその割合、平均自立期間を記載しております。
 14ページでございます。次に、高齢者の保健事業の指針において共通評価指標について記載がされたとご報告いたしましたが、本資料ではデータヘルス計画の標準化にかかる「保険者データヘルスに関する背景と経緯」をまとめております。左下の枠内にあるとおり、「レセプトや健診情報等の分析に基づき、効率的・効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施していくための事業計画」がデータヘルス計画ですが、健診の実施やレセプト等の電子化の進展、KDBシステム等の整備により、データヘルス計画に必要な保健事業の評価等が行えるようになってまいりました。また、右の経緯にあるとおり、基盤整備が進む中、平成25年日本再興戦略において全保険者にデータヘルス計画策定が求められ、令和2年以降、標準化の取組や評価指標の設定の推進を国として取り組むことが示されました。そこで、保健事業実施計画策定の手引きを昨年度見直しし、令和6年度からデータヘルス計画の3期の策定に今年度取りくんでいただくという予定でございます。
 15ページでございます。広域連合が策定するデータヘルス計画におけるPDCAの特徴をお示ししています。広域連合が策定するデータヘルス計画の場合、他の保険者と異なり、計画・評価・改善は広域連合が主に実施し、保健事業の実施(Do)は 広域連合から委託を受けた市町村が実施することが多く、データヘルス計画策定等の主体と保健事業実施の主体が異なることが大きな特徴です。なお、データヘルス計画の期間は、他の保健医療計画との計画期間を考慮すること、とされており、医療計画等の計画期間に鑑み、通例6年となっております。
 16ページは第3期データヘルス計画についてご説明申し上げます。第3期データヘルス計画の手引きにおいては、令和5年3月に検討会等の議論を踏まえて手引きを策定してございます。今回の見直しにおいては、標準化を推進するにあたり、共通評価指標の設定とともに、計画様式の提示等を行いました。広域連合は、本計画様式に則して整理を進めていただくことにより、データヘルス計画の策定に取り組んでいただいています。
中程にデータヘルス計画の標準化のねらいと対応をまとめております。計画策定や保健事業運営の負担が軽減されるだけでなく、共通の評価指標を用いることで広域連合間、広域連合内の市町村間の実績を比較可能とする。また、効果的な保健事業の方法や体制をパターン化することにより、事業効果を向上させるといったねらいがございます。
右側の図にお示しのとおり、共通評価指標の設定により、客観的な評価を行い、アウトカム指標を見ることで成果を上げる工夫、アウトプット指標を見ることで実施率をあげる工夫を整理し、方法や体制を見直すことで成果・実施率の向上につなげることを可能とします。
 17ページでございます。こちらは第3期データヘルス計画の評価指標等について、今回の手引きにおいて整理・提示した内容をおまとめしてございます。左側の青い表は、総合的な評価指標、共通評価指標で、データヘルス計画を策定するにあたり、全広域連合に対して指標として評価をお願いしている項目です。真ん中のピンク色の表は、策定の際に確認が必要なデータ例として、医療費や介護給付費をお示ししています。右側の緑色の表は、個別事業の評価指標例として、低栄養や重症化予防等の内容をお示ししています。
 18ページでございます。効果的・効率的な保健事業の実施に当たっては、KDBシステムの活用が欠かせませんが、その機能の理解やデータ活用の困難さが課題としてあげられておりました。そこで、一体的実施・KDB活用支援ツールを研究班の助言に基づき、国保中央会に開発いただき、CSV形式による保健事業対象者の自動抽出を可能とし、業務の簡素化・標準化を図ることを進めてまいりました。
 19ページでございます。こちらは、5月の支援者研修会でお示しした資料でございます。総合的な評価指標、共通評価指標については、計画策定において困らないように、また標準化がよりはかられるよう、その算出方法や確認方法について一覧として整理し、各広域連合にお示しています。こちらのアウトカム指標は先の18ページでお示ししたKDB活用支援ツールの使用を前提としてお示ししてございます。 
 続いて20ページでございます。健診受診率については、これまでも算出方法が統一されず、比較が難しいことが課題となっており、ワーキングでもご指摘をいただいていました。このことを踏まえ、令和6年度以降の後期高齢者医療制度事業費補助金の交付対象について、特定健診の除外対象者と同一とすることとしたことに加え、健診受診率の算出方法についてお示しし、5月の研修会でもご説明しております。令和6年度以降は、国がデータヘルス計画策定後の報告等を求める際に、この算出方法による数値を報告いただくこととしております。
 21ページは、個別事業の評価指標例として、低栄養、糖尿病性腎症重症化予防、健康状態不明者対策、服薬指導、口腔、身体的フレイルという6つの個別事業のアウトプットやアウトカムの例をお示ししております。19ページの個別事業の評価指標例におけるアウトカム指標の評価方法については、22ページ、23ページで参考までにお示ししています。またこの具体的な確認方法についても研修会でお示しています。
 24ページでございます。令和5年7月に、全広域連合に対し、7月末時点での第3期データヘルス計画の進捗状況等について調査を行いました。その結果、全広域連合においては計画策定の取組が開始されており、「計画様式に則して、現状把握のためのデータの把握が概ね完了した」が最も多く、大半がアセスメントの準備が整った状況であることがわかりました。なお、データヘルス計画策定において困っている事項としては、マンパワー不足、他計画との調整、市町村への説明のしかた等が挙げられました。
 資料1の御説明は以上となります。
○津下座長 ありがとうございました。高齢者の保健事業は令和2年度から始まった制度ですが、年々進捗してきて、実施市町村も増えてきています。また、調査を毎年同じ時期に行い、状況を把握し改善を重ねています。今回も実施計画書・実績報告書について集計ツールを使うことの検討が行われています。その理由として自治体の簡素化もあるし一定の情報がきちんと取れるようになるということで、PDCAサイクルがより回りやすくなる仕組みを入れたというお話がありました。
 また、国の方針の中でも骨太の方針での位置づけや医療費適正化計画の基本方針、これは今まで都道府県の関与に自治体間格差も見られたところでした。実施主体は広域連合と市町村ですが、広域連合に対して都道府県がどうバックアップしていくか、その辺りが課題だったと思います。医療費適正化計画への都道府県の役割が大きくなってきたことも大きな変化かと思います。データヘルス計画の中で、評価は同じ基準で見ていくこと、1つの広域だけで評価してもいけないので、共通評価項目を立てて標準化していく。広域においても、評価の方法に悩むよりも、評価の結果を考えてどうするかを考えられるようにしていくという方向性になるということです。以上について、コンパクトに御説明いただいたと思います。
 ただいまの資料1について御質問または御意見等をいただければと思います。30分程度のディスカッションの時間が用意されていますので、御遠慮なく御発言をお願いしたいと思います。どなたからでも結構ですが、「手を挙げる」、または画面にむかっての手挙げでも結構ですので、意思表示をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 鈴木でございます。昨年度までは津下先生の研究班でこういう問題をずっと一緒にやらせていただいていたにもかかわらず、すっかり忘れてしまっているかもしれませんが、一体的実施でいろいろな評価項目とか、重点的な項目をきちんとおまとめいただいて、非常に分かりやすくていいのですが、この中で認知機能についての問題をどうするかというのが、あまり明確になっていないように思います。認知症の件は別立ての施策か何かで考えるということだったのでしょうか。というのは、対象者の抽出、あるいは対象の方々への取組の評価というところで、認知機能がほとんどなかったかなと思って今、確認のために御質問させていただきました。
○津下座長 ありがとうございます。事務局より回答はありますか。
○宇野調整官 認知機能については後期高齢者の質問票の中で項目として含まれておりまして、そこでハイリスクとなった方々に関しては医療機関の受診を推奨するなどの取組がなされてございます。資料2で御説明します「ガイドライン(第2版補足版)」にて、健康状態不明者対策などにおいてもどういった方に対応するのか、また、後期高齢者の質問票を用いてスクリーニングした後に、医療機関につなぐということを対応していただいています。通いの場等につなぐということで、介護予防との一体的な実施を推進しているところでございます。
○鈴木構成員 了解しました。大変結構だと思います。評価指標例としては載せていないということですが、もちろん後期高齢者の質問票にも入っておりますし、通いの場でもかなり大きな課題の1つなので、認知機能のところも少しコメントなり注釈なりを資料1のどこかにおつけになられるほうがいいのかなと思います。ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございます。追加的な内容ですが、18ページに「一体的実施・KDB活用支援ツール」とありまして、一定の条件で対象者は抽出されますが、そのCSVの項目の中に、レセプトで、認知症で治療されていることについてはKDBから情報が抽出されることになっております。そういう方のデータを積極的に活用して、もう既に治療に入っている方であれば改めて医療につなぐ必要はないかもしれませんが、認知症に対応できるような介護予防事業、地域支援事業などにつなげていくことは可能になるのではないかと思います。質問票プラスレセプト情報の活用で認知症の把握がある程度行われていると思います。ただ、認知症予防というのは、この一体的な実施よりは、どちらかというと介護保険のほうに入っているので、保健事業としては大きくは表現されていないのかなという気はするのです。そんなところでよろしいでしょうか。
○鈴木構成員 了解しました。ありがとうございます。
○津下座長 貴重な御意見をありがとうございます。他にいかがでしょうか。植松参考人、お願いします。
○植松参考人 国保中央会の植松と申します。御指名ありがとうございます。本日は構成員である常務理事の池田が所用で欠席ということで、代理で参考人という形で出席させていただいております。
 まず、私ども中央会は一体的実施に向けての努力を、高齢者医療課様と足並みをそろえて、御一緒にいろいろと携わらせていただいております。先ほども御紹介がありましたが、今年5月にも御一緒に研修会などをさせていただきまして、私どもの活動も御紹介いただきました。ありがとうございました。また、KDB支援のほうも現在、さらにバージョンを上げた、ツールの開発のほうの御依頼もいただいておりまして、それに向けての努力を最大限させていただいているところでございます。
 私どもの池田のほうから1点、意見といいますか、伝えておいてくれということで指示がありまして、それをお伝えさせていただければと思います。資料の4ページ、5ページで、一体的実施の現在の実施状況の御報告がございました。かなりの地域の皆さんが実施している中で、最後に残ったところは離島などを含むような非常にへき地で、大変人口が少ないところが残ってしまっているということでございます。
 その中で、今回、池田のほうからお伝えさせていただきたいのは、類似する地理的な条件や人口などの規模、こういった自治体さんの中でもいろいろな形で工夫して取り組んでいらっしゃるところがあるのではないかということでございまして、そういったところで同様にお悩みになるような皆さんに、そういった課題も含めまして情報の共有、こういった機会をつくっていただくこともいかがだろうかということで御意見をお伝えさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。これは御意見ということでよろしいでしょうか。コメントはありますか。
○宇野調整官 御意見ありがとうございます。未実施市町村を抱える広域連合の皆様とは定期的にヒアリングなどを実施してございます。厚生局においてはブロック単位での意見交換会なども行っておりまして、県を超えた事例の共有など、課題として、未実施市町村の対応をどうするかというところを検討されている広域連合様とよくよく意見交換をしているところでございます。離島については、専門団体の皆様、職能団体の皆様に支援していただいている事例や、地域で定年を迎えられた保健師様がフォローされている事例などを伺っているところでありまして、そういった好事例の共有ができるよう努めてまいりたいと思っております。
○津下座長 よろしいでしょうか。国保中央会さんにはKDBの研修会に取り組んでいただいています。健診、医療、介護、全てのデータを一元的に見ることができるKDBという仕組みがあるからこそ、成り立っているような制度でもあります。それを全国に研修会として発信する、また、都道府県単位で連合会が市町村や広域連合を支援するという形で、この制度を動かすエンジンとして御尽力いただいていると認識しております。また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。そのほか、いかがでしょうか。
○植松参考人 どうもすみません、中央会の植松でございます。おっしゃっていただいたお言葉どおり、今後もまた努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございます。そうしましたら、当てさせていただいてよろしいでしょうか。広域連合の立場からいかがでしょうか。御質問、御意見等がございましたら、川原構成員、お願いしたいのですが。
○川原構成員 承りました。徳島県広域の川原でございます。実は先日、私ども中四国ブロックで勉強をさせていただく機会がございまして、その中で、先ほどの表にもございましたが、保健事業と介護予防の一体実施について、島根県広域は島嶼部や中山間地が多いということがあり、完全実施に向けて大変苦慮されているということでございました。
 その中で、県との連携ということになるのでしょうか。地域の保健所も含めたあらゆる連携を欲しているというお話がありましたので、この場を借りまして、そういった声が現場にあることもお伝えしたいと思います。国において、島嶼部などの地域の事情を踏まえた支援をお考えであると思いますので、そうした声があることも踏まえた対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございました。それでは、引き続き全国市長会として高知市の水野構成員、御発言いただけますか。
○水野構成員 高知市の水野です。よろしくお願いいたします。20ページの健診の受診率の算出方法の統一ということで、一定統一されることはいいことかなと考えております。ただ、高齢者ということで、一定病院にかかっている方もおられるということで、将来的には医療DXとか情報集約が進んでいくことと思われますので、特定健診自体を見直すときが来るのかなと思っております。これは将来的な方向で考えていっていただけたらと思います。意見となります。
○津下座長 ありがとうございます。この健診について、厚生労働省さん、いかがでしょうか。
○宇野調整官 御意見いただき、ありがとうございます。健診を含めました保健事業については、疾病の発症予防や重症化予防及び心身機能の低下を防止し、できる限り長く在宅で自立した生活を送ることができる高齢者を増やすことが目的ということで保健事業を実施してございます。こうした保健事業の実施においては、生活の質の維持向上が図られるよう、年齢を区切ることなく実施していくものと考えておりまして、高齢者の健診情報と診療情報の活用というところで、どのような保健事業のあり方がよいのかというところは引き続き委員の皆様の御意見をいただきながら検討してまいりたいと考えております。後期高齢者の95%が医療機関を受診しているという状況がございますので、診療情報を活用することなども検討しているところでございます。
○津下座長 ありがとうございました。特に質問票については、今回は健診の機会で実施しているということが中心になります。日常診療の場でも、検査だけではどうしてもフレイルは発見できないので、後期高齢者の質問票をやっていただくことに意義があると思います。そして検査値についても、保険者としては年に1度は把握できるとか、そういう仕組みが必要です。それは健診という言葉ではあるのですが、そういうデータが保有できているということで、健康状態不明者が減らせることにもなります。医療の場で質問票が実施され検査値が保険者に提供されるという体制が確立してきた暁には、またこの健診という考え方が変わってくるのかなとは思います。水野構成員、よろしいでしょうか。これまでも何度も議論にはなったところではありますが、レセプトだけでは健康状態を全て把握できないので、検査値と質問票をしっかり取っていこうということで、健診という位置づけで今は行われているという事情になるかなと思います。
○水野構成員 御説明ありがとうございました。私のほうは大丈夫です。
○津下座長 ありがとうございます。引き続きこの辺りについては皆様の御理解をいただくことがすごく大事ですし、通常の日常診療と違って、年に1回はきちんと総合的に全部診ようねという日があってもいいのではないかという気がしておりますが、これも国民や医療関係者の理解が非常に重要かなと思います。ありがとうございました。
 それに関して、坂本構成員、何か御意見等はありますか。それだけでなくても結構です。
○坂本構成員 医師会の坂本でございます。今日初めての参加ですが、資料1を使っていただきまして、ちょっと疑問に感じているのは、特定健診、健康診査です。75歳以上も含めまして、受診率もかなり地域によってパーセントも違うのではないかということと、90%以上の方が医療機関にかかっているというお話でしたけれども、私は以前から地元で、通いの場も含めて、医療機関や健診も含めて、そこに来られない方とか参加されていない方が非常に気になっております。通いの場とか健診に来られる方は本当に最初から意識が高くて、集団としてかなり意識が高い集団かなと思っております。低栄養とか、重症化予防という言葉は出てきますが、その中でハイリスク者の把握というところで、実は医療機関にかかっていない、健診にも来られていない方がかなりハイリスクというか、かなり病状も含めて悪化した状態で医療機関に来られることがよく見受けられるので、その辺が気になっております。
 データとしてはかなりよいデータで、皆さん頑張られて上がっていくと思いますが、埋もれている方とか、対象者とか、ハイリスクの把握を今のままでいいのかというのが今日のところは疑問を感じております。どうもすみません、初めての参加なので、その辺に関しても対策はされているのかなと思っておりますけれども。以上です。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。厚生労働省さん、いかがでしょうか。
○宇野調整官 御意見いただきまして、ありがとうございます。坂本先生のおっしゃるとおり、通いの場にも来られない、健診の場にも来られないという方への対応が非常に重要である、そこを見逃すわけにはいかないということは現場の保健師さんたちも非常に意識高く思っていらっしゃいます。そういった中で、一体的実施の中で健康状態不明者対策という事業がありまして、医療機関も受診されず、介護の認定も受けておらず、健診も受けておられない方がある一定程度おられますけれども、その方々に対して質問票をお送りして、リスクを把握したり、訪問指導等をされているという取組が、一体的実施の中では最も多くの市町村で取り組まれている事項でございます。これについては現場の保健師さんたちが、新型コロナウイルス感染拡大のタイミングを契機として、受診控えによる悪化等、地域の高齢者の皆様の健康状態を気にして活動していただいていると伺っております。私どももその事例から多くを学ばせていただいておりまして、医療機関につなぐこと、歯科医療機関につなぐこと、地域包括支援センターにつなぐというケースが多々見受けられると伺っております。こういった取り組みについて一体的実施を通じて行っていただければと考えてございます。
 先生御指摘のとおり、健診だけでは片手落ちという御指摘もございますので、その辺りを包含しての保健事業のあり方を引き続き検討してまいりたいと思います。津下先生、補足あればお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。実際に健康状態不明者、健診、医療、介護、全てない方々は自治体で4%ぐらい見えます。その方の半分はどちらかというと健康と思っていて町の健診を受けていないような方も見えるけれども、半分ぐらいは本当に健康状態が悪くて、医療機関もかかるのをやめているとか、セルフネグレクトに近い方もいらっしゃると。認知機能が落ちて病院に行けないとか、そういう方々の発見につながっているということで、自治体でかなり動いていただいている分野ではないかと思います。健康状態不明者で、まずは健診を受けてもらうという流れで動いているところが多いのですが、そこで健診を受けてみると、検査値も悪くて、重症化予防の対象者になるなどの人が発見されているという声が自治体から上がっておりました。
 保健事業については、見えているデータだけでものを言いやすいのですが、今回、健診、医療、介護のデータを包括的にすべて見ているので、全ての情報がない人という、今まで見えなかったところにアプローチができ始めているというところはうまく活用していく必要があるのかなと思っています。自治体の皆さんはその辺りを頑張っていらっしゃると思っておりますので、ぜひ応援していただけるとありがたいと思います。坂本先生、よろしいでしょうか。
○坂本構成員 ありがとうございます。その辺が常々、私は地元でも気になっておりまして、保健事業で保健師さんたちも大変な御努力で、一軒一軒回られてやられているのもよく見ていますけれども、人口規模によっては担当できる人数も少なくて、保健事業もかなりいろいろな事業がありますので、みんないっぱいいっぱいかなと。マンパワーですね。郡部に行きますと交通機関もないという、どうやって医療機関にかかるのか、健診に行くのかという問題もございますし、先ほど御指摘のあったように認知症、独居の方もかなりいらっしゃるので、その辺の方も十分考慮していただいて、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○津下座長 どうもありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。資料1について、欠席の構成員から御意見をお預かりしているということですので、事務局より御紹介いただけますか。
○宇野調整官 田中構成員より資料1について御意見をいただいておりますので、代読させていただきます。データヘルス計画の標準化が図られることは、国、広域連合、市町村にとっても大きなことである。市町村間、広域連合間の比較が可能となり、各関係団体の皆様や庁内ほか他部門への説明、有識者に助言を求める際に有用であるという御意見をいただいております。
○津下座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。石崎先生、また吉村先生、ワーキング当初よりいろいろ御指導いただいておりますが、この進捗状況について御意見、御発言をいただけますか。
○石崎構成員 市町村単位では一体的実施を始めている市町村は96%になりますが、今、市町村においては1圏域であってもやっていれば、その自治体はやっているというカウントの仕方です。ですので、次のステップとしては、市町村単位というよりも、次には生活圏域においてどのぐらい行っているかというところが統計的にというか、公衆衛生的には必要な指標であるというのが1点。2点目はKDBシステムについてですが、私が幾つか見ている自治体では、国保のときのKDB個人番号と後期になってからのKDB個人番号が別になるという自治体が幾つかあります。つまり、一体的実施というのは、私の理解では、保健事業と介護予防との一体的はもちろんですけれども、国保と保健事業との一体的なということも含まれていると考えますと、KDBシステム上においても、75歳になったらKDBの個人番号が変わるということがない新しい仕掛けが必要なのではないかと感じているところであります。
○津下座長 ありがとうございます。今、2点御指摘いただきました。圏域ごとについてと、KDB個人番号についてと。厚生労働省、いかがでしょうか。
○宇野調整官 御意見いただき、ありがとうございます。石崎先生のおっしゃったとおり、現在お示ししている方法は市町村単位でのカウントということで、生活圏域が全て網羅されているかどうかというところはお示ししておりません。今年度行う予定の、一体的実施計画書や実績報告書などの集約ツールをもって、どれぐらいの生活圏域がカバーできているのか、この辺りは注意して見ていきたいと思っております。
 2点目の御指摘、KDB番号の接続についてでございますが、現行の制度上、国保と後期をつなげて見るようにということで法整備はなされておりますが、一つボトルネックといたしましては、保険者番号が変わることでKDB番号が変更になるということがあり、自治体の皆様はそこを御苦労されているとも伺っております。システム、仕組み上でできることがあるのかないのか、そこは引き続き検討していきたいと思っています。都道府県単位で俯瞰的に情報を見ていただくということで、マクロ的な評価などをしていただくことも一つの方法かと思っています。
 以上です。不足がございましたら、お願いいたします。
○津下座長 石崎先生、ありがとうございます。確かに大きな市町村ですと、モデル圏域だけ行って全圏域でやっていないということも実際に少なからず拝見しております。全圏域に広がっているかどうかを確認していくことはこれからの大きな大事なポイントかなと思います。保険者についての御指摘について、また厚生労働省さんも中央会さんと相談しながら、できるだけ現場負担がないようなシステムをつくっていただけるとありがたいと思います。またよろしくお願いいたします。吉村先生、いかがでしょう。
○吉村構成員 先生、ありがとうございます。東京大学の吉村です。最初の頃から参加させていただいて、今回の結果をお伺いしまして、大変飛躍的な前進と申しますか、96%の市町村が既に計画を立てているということを聞いて大変驚いたというか、感銘を受けた次第です。特にKDB活用支援ツールが非常に有益ではないかと思っておりまして、この一体的実施に非常に役に立つと思いました。最初に津下先生がおっしゃったように、横の比較をするときに同じような内容を選んでこられるという意味でも、客観性を保つ意味でも、このようなツールの導入は非常に大きな役割を果たすと思っております。それが1点です。
 もう1つだけ、この抽出される支援対象が高齢者の問診票ごとに選ばれているのは、最初の評価としては当然だと思うし、それは大事なことですが、高齢者は、御案内のように、いろいろな病態が重なっている方が多くございます。
 具体的に言いますと、1番が低栄養、5番が身体的フレイルとなっております。身体的フレイル(ロコモ含む)というときに、ロコモは肥満の人でもなるので、フレイルと一体になると少し難しい問題があるのですが、身体的フレイルのみを狭義の意味で捉えますと、低栄養というのは必要な要件になってきます。ですので、本当の意味でのフレイルを抽出したいときは1番も選ばねばならないということになってくるので、最初は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10で評価するのは大事なことですが、今後さらに一歩進めるときに、今度は1と5、あるいは1と2と5というような多重性を持った評価もお考えいただければと思います。
○津下座長 吉村先生、ありがとうございます。まず宇野さんからお願いします。
○宇野調整官 厚生労働省でございます。吉村先生、御指摘ありがとうございます。先生御指摘のとおり、今回お示しした10のメニューの中でも特にリスクが重複する方については優先度が高いと私どもも認識しておりまして、研究班から御提案いただいている実践支援ツールにおいては、重複リスクを保有している対象者も分かるようになっております。特に自治体が優先して関わったほうがよいということで、重複リスク者についてもリストアップが可能です。御指摘を踏まえまして、限られた人員で効果的な保健事業を行うにはどうしたらよいかということは引き続き検討してまいりたいと考えております。自治体の皆様も、低栄養と口腔を組み合わせて事業を実施されているケースとか、フレイルと糖尿病を組み合わせて事業を実施されているケースなどもございますので、市町村の事例からも学ばせていただきながら、ガイドライン等への反映も検討したいと思います。
○津下座長 吉村先生、ありがとうございます。研究班で10がどう重複しているかとか、どういう事業につなげていくかとか、先ほど話があった認知症とか、整形外科で治療している人とか、そういう人たちがいるグループとそうじゃないグループとか、いろいろ分けて対象者をセレクトできるようなツールを昨年度試験的に作成しましたが、これが社会実装できるように今検討しているところです。そうなるとより利便性というか、より病態に合った対象者抽出ができるかなと思っておりますので、また引き続きよろしくお願いいたします。先ほど村杉構成員から手が挙がっていましたが、お願いします。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。いつもありがとうございます。1つだけ簡単な御意見、御要望という形になるのですが、その前にまず、先ほども吉村先生などからもお話がございましたけれども、各計画の整合性とか、様々な役割者の連携が図れるような体制、計画の比較、効果検証の質が高まるような工夫ということで、すばらしく前進されていることに対して本当に敬意を表するところでございます。ありがとうございます。日本薬剤師会といたしましても、都道府県の薬剤師会としっかりと連絡・調整を図りながら、市町村が実施されていらっしゃる様々な事業への理解や協力をただいまも流しているところで、実際に都道府県薬剤師会、地域薬剤師会からも国保の保健事業や高齢者保健事業、介護予防事業などに多く参画しているという報告も上がってきているところでございます。
 今回、医療費適正化計画というところで、都道府県の対応が明確化されていくというところで期待されるところですが、1点お願いです。一体的実施をしっかりと質を高くやっていこうとすると、今回も資料にございましたように、各地域の職能団体、地域資源などとの理解が非常にキーになってくると思います。当然、三師会や看護協会様、栄養士会様、歯科衛生士会様などなど、本当に協力をしていかないといけない。それは点で協力していく。例えば、薬剤師会と市が協力しているだけでは駄目だと思います。骨太の方針でもありますように、リハ・口腔・栄養、そういうものに薬剤は絶対に絡んでくるとなると、多職種・多機関との連携調整、情報の共有が非常に重要な視点になってくる世の中が来ていると思います。
 そこで、医療費適正化計画も含めてですが、様々なそういう事業には地域資源の協力・理解が必要であるということを繰り返し丁寧に発出していただく。都道府県を中心にして、そういう関係機関と連携・調整が図れるような連絡、こういうものをしっかりと発出していく。そして好事例を吸い上げていく。そういう効果検証をしていく仕組みはできてきているわけですので、横展開がうまくできるようになっているわけでございますが、繰り返し丁寧な説明と理解と協力、そういうことを促していただければと思います。
○津下座長 ありがとうございました。宇野さん、お願いします。
○宇野調整官 御意見いただき、ありがとうございます。今回、医療費適正化の基本方針で都道府県の役割が示されたことは大きいと思っています。高齢者の保健事業の指針においても都道府県の役割はこれまでも示してきたところでありますが、医療費適正化計画の側にも、都道府県の役割といたしまして関係団体との連携を図り、広域連合と市町村による一体的実施の推進に関する目標を設定するということで、医療関係団体の皆様には技術的な援助の要請に取り組むなどが示されておりまして、地域の医師会の皆様、関係団体の皆様にきちんと都道府県からも協力を要請するということで示されています。
 また、広域連合が策定するデータヘルス計画においても、今年度作成したものを関係団体の皆様に情報共有させていただいて御協力をお願いすることとなると思いますので、引き続きの御支援をどうぞよろしくお願いいたします。
○村杉構成員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。ということで、資料1についての意見交換についてはここまでとさせていただきます。おおむね実施状況について、よいのではないかという御意見を多数いただいたと思いますが、幾つか課題も指摘されましたので、また今後の検討課題としていただければと思います。それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の2つ目は「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進に係る支援等について」になります。資料2について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2について説明をさせていただく前に、安中が参りましたので、先に御挨拶をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
〇安中課長 この7月から高齢者医療課長になりました安中と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。少し前の業務が長引いてしまいまして遅参いたしましたこと、まずもっておわび申し上げたいと思います。
 今、資料1の議論の途中から拝聴いたしましたけれども、まずこの96%の市町村で一体的実施の見込みが立っていることについて、皆様方からも高い評価の声をお聞きいたしました。日頃から取り組んでいただいております広域連合、市町村をはじめ、関係の皆様に厚く御礼を申し上げる次第であります。
 その中では次の課題として、生活圏域単位で捉えるべきであるとか、あるいは、今までどこにもつながっていなかった方を本当のハイリスクの方としてどういうふうに把握していくべきなのか、そのアプローチはどう考えるべきなのかといった、非常に難しく、また重い課題も指摘があったところであります。そうしたところについて、私どものほうでいろいろとできることは、例えば共通評価指標の策定とか、今やっているそういった一体的実施の改善に向けた取組というのは年々拡充してきているところではありますが、今いただいた次に向けての課題についても今後考えていかなければいけないと考えております。
 そういう意味で、次は資料2のほうで研究班における事業の検証も予定されておりますので、そうした専門家の皆様方の御意見、また、このワーキングでの御指摘を踏まえて、私どもとしても一体的実施をさらに進めていくべく努力していきたいと思います。
 本日はどうぞ忌憚のない御議論をよろしくお願いいたします。
〇事務局 続きまして資料2についてご説明申し上げます。高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進等について、以下4点についてご説明申し上げます。
1ページでございます。令和2年~4年の3カ年で一体的実施に係る検証のための研究班には、政策科学推進研究として様々お取組をいただきました。引き続き継続して、令和5年~7年の3カ年で、一体的実施の推進及び効果検証のための研究に取り組んでいただく予定でございます。今年度は特にこちらの1から2について取組を進めていただきます。研究で得られた知見に基づき、高齢者保健事業ガイドラインの改定や、データヘルス計画中間評価へのご提案をいただく予定でございます。
 2ページでございます。国では研究班に依頼し、事業検証を進めていただくこととしております。
今年度は、一体的実施開始以降の令和2~4年度の2つのモデル広域の被保険者全体KDBデータ、KDB活用支援ツールで出力される保健事業対象者データ、一体的実施実施計画書・実績報告書データ及び、6つのモデル市町村の保健事業介入データを分析・検証していただく予定としております。(1)のデータを用いて、被保険者の健診、医療、介護の状況について整理し、(2)のデータを用いて、KDB活用支援ツールで出力される保健事業対象者について整理し、抽出基準の妥当性について検証する。(3)のデータを用いて、各広域連合、市町村の取組状況について確認し、その変化等を把握します。(4)のデータを用いて、介入者について介入効果があったかどうか非参加者と比較する。以上を検証いただく予定でございます。
 3ページでございます。次に、保健事業ガイドラインの改定についてご説明いたします。今年度は高齢者の特性をふまえた保健事業ガイドラインの改定を予定しております。
現行用いているものは、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版、及びガイドライン第2版補足版となります。
ガイドライン策定については、平成27年に厚生労働科学特別研究事業のとりまとめを受け、平成28年からあり方検討WGでのご議論をいただき、平成30年に高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインを策定いたしました。
令和元年には健康保険法の一部改正を受け、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版策定を行いました。令和2年一体的実施が開始され、適切な受診等の支援を強化する観点から、令和3年度には保健事業ガイドライン第2版補足版を策定済みでございます。現行用いているガイドライン第2版、第2版補足版について以降のスライドでご説明いたします。
 4ページでございます。ガイドライン第2版は令和元年に発出し、一体的実施の開始に向け、科学的知見を踏まえた健診・保健指導の実施内容・手順、目標設定の考え方、後期高齢者の質問票について示し広域連合及び市町村の協働・役割分担、留意点を提示してございます。
 5ページでございます。一体的実施の推進に向けた体制整備については、こちらのとおりです。
 6ページでございます。第2版に記載されている事項をまとめたスライドでございますが、左側に体制整備について右側には一体的実施プログラムの具体的な取組内容について記載がございます。
 7ページございます。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大のあった令和2年4月から、一体的実施が開始となり、新型コロナウイルス感染症の流行等により受診を控え、治療中断されている方等への対応として、令和4年には、健診、医療、介護情報のない健康状態不明者対策、未治療によるコントロール不良者対策、治療中断者への対策ということで状況を把握し、適切な受診等への支援や、サービスへの接続について示したガイドライン第2版補足版を策定いたしました。後期高齢者の95%が医療機関を受診しておりますが、健診以外の方法からの保健事業への接続を検討し、作成したものでございます。
 8ページでございます。また令和2年~4年に厚生労働科学研究班で作成いただいたこちらの成果物の内容を保健事業ガイドラインに取り込むことを予定しております。
 9ページでございます。今年度改定予定のガイドライン第3版の方向性案をお示しします。令和元年のガイドライン第2版と令和4年のガイドライン第2版補足版を統合し、令和2年から開始した一体的実施の進捗及び令和5年データヘルス計画策定の手引きの改訂、厚生労働科学研究の成果をふまえ、有識者及び実務者からなる別の検討会議で改訂案を策定予定でございます。
1つめの論点ですが、データヘルス計画の整合と保健事業のさらなる推進でございます。右列に改訂の方向性をまとめてございます。1ぽつ目、第3期データヘルス計画策定の手引きで示した標準化の意義、広域連合の役割を示してはどうか、2ぽつ目、共通評価指標(アウトプット、アウトカム)を掲載してはどうか、3ぽつ目、KDB活用支援ツール等の活用を推奨してはどうか、でございます。
2つめの論点ですが、一体的実施推進のための体制整備についてでございます。右列に改訂の方向性についてまとめてございます。1ぽつ目、体制整備について整理し、好事例を紹介してはどうか、2ぽつ目、関係者間の役割を明確化して示してはどうか、3ぽつ目、地域資源との連携について重要性を示し、事例を提示してはどうか。
3つめの論点ですが、効果的な保健事業の実践についてでございます。右列の改訂の方向性では、1ぽつ目、厚生労働研究でえられた知見を反映してはどうか、2ぽつ目保健事業対象者の抽出条件、適切な受診等への支援、3ぽつ目ポピュレーションアプローチの重要性、意義、実践事例の提示としてはどうか、でございます。10月以降有識者および実務者からなる検討会議で案を作成し3月の本ワーキングにて報告のうえ、年度末の公表を予定しております。
 これ以降は関係団体の皆様によりご提供いただきました事例についてご紹介いたします。10ページは、日本医師会様からご提供いただいた事例でございます。
高齢者保健事業においては、広域連合・市町村と群市区医師会、医療機関が契約し、健康診査を実施しています。また、保健事業の実施にあたっては、データヘルス計画への助言、保健指導実施の際にかかりつけ医からの情報提供を行っています。日本医師会様では、かかりつけ医のための適正処方の手引きなど、診療支援ツールの提供や、日医かかりつけ医機能研修事業を行い、研修会の実施や日本医師会JDOMESTIC研究などを実施されています。下には都道府県医師会からの情報発信の事例です。福岡県医師会では、介護施設・事業所で働く介護従事者等にむけて介護現場で必要となる生活習慣病、重症化予防、フレイル予防についての基礎知識をまとめた資料を作成し、情報提供をしています。東京都医師会では”住み慣れた町でいつまでも、フレイル予防で健康長寿”という資料を作成し、フレイル対策を図解でわかりやすく説明し、ホームページでもご紹介されています。
 11ページは、日本歯科医師会の取組です。日本歯科医師会では、オーラルフレイル対応マニュアル、通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアルを作成し、ホームページでの公表を行っています。国民向けには、リーフレットや、動画を作成し、保健指導の際に活用できるよう整備し、国民向けにホームページで情報提供されています。下は島根県歯科医師会と、島根県後期高齢者医療広域連合との連携事例で、歯科口腔健診から、一体的実施の低栄養、口腔機能のハイリスク者に対する個別的支援を実施している事例でございます。
 12ページは、日本薬剤師会の取組です。日本薬剤師会では、都道府県薬剤師会に向け、保険者と連携したポリファーマシー対策、後発医薬品の推進、医療費適正化事業等への取組を促しています。健康サポート機能の発揮、かかりつけ薬剤師・薬局としての機能強化及び多職種と連携等に取り組めるよう、都道府県薬剤師会を通じた支援を行っています。
下には、練馬区薬剤師会による国保保健事業における訪問服薬健康相談事業についての事例を提供いただいています。
 13ページは、保健師・看護師等の看護職に関連して、日本看護協会の取組についてでございます。日本看護協会では、まず、一体的実施の企画調整、及び地域を担当する医療専門職として、最も多く従事されている保健師の人材確保に向けて、職業紹介「ナースセンター」事業の理解及び活用促進の取組が行われています。
また、県看護協会の取組としては、岡山県看護協会や沖縄県看護協会が自治体と連携し、「まちの保健室」のしくみを活用し、地域の看護職員を活用した健康相談や個別指導の取組の事例をご提供いただいています。
 14ページは、日本栄養士会からの事例です。都道府県栄養士会を通じて、ハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチを実施できるよう、基盤整備を行っています。広域連合や市町村と都道府県栄養士会とが連携し、着実に栄養関連事業を展開できるよう栄養ケア・ステーション事業の体制整備や、健康支援型配食サービスを活用した栄養ケア活動支援整備事業、人材育成に取り組んでいます。下は、東京都栄養士会の栄養ケア・ステーションを起点としたフレイル対策の事例です。個別的支援、栄養講座など対応いただいています。東京都は、東京広域と連携し、離島の支援も行っています。
 15ページは、日本理学療法士協会の取組です。長崎県からは骨折予防対策の取組、石川県からは広域連合と連携した保健分野のフレイル予防、介護分野の生活習慣病重症化予防と連携した取組についてご紹介いただいています。
富山県からは、県の理学療法士会と市が連携し、ハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチを実施していただいている事例を提供いただいています。各専門職との連携を強化し、事業を実施されています。
 16ページは、日本歯科衛生士会の取組事例です。地域歯科衛生活動事業として、地域の歯科衛生活動に対して助成を行っています。中でも高齢者の歯科口腔保健事業では、通いの場における歯科衛生士の参画、普及啓発事業やオーラルフレイル予防事業等行っています。歯科衛生士のための事例集、オーラルフレイル予防パンフレットの作成、人材育成を行っています。
 続いて17ページは広域連合による市町村支援の事例でございます。企画調整が人事異動等もあるため新任の企画・調整担当医療専門職でも事業継続・推進できるよう情報交換や、意見交換、事例集の共有等を行っている事例を2点ご紹介しています。滋賀県後期高齢者医療広域連合では、高齢者健康づくり事業推進フォーラムを実施し、管内市町村、近隣広域に声をかけて情報提供を行っています。
下は鹿児島県後期高齢者医療広域連合における企画・調整担当者連絡会の事例です。
年2回の担当者連絡会、年1回の一体的実施セミナーを実施しています。4月は、これから一体的実施に着手する市町村や、異動により新たに一体的実施を担当する方を対象に実施する第一部と、全市町村を対象に実施する第二部に分けて意見交換会を実施しています。1月の担当者連絡会では、今年度の取組状況の共有と、次年度に向けての改善点について意見交換をしていただき、工夫や悩みなどを共有しているという事例です。
 続いて18ページでございます。第3期データヘルス計画策定に際しての取組事例を2つご紹介します。こちらは愛知県後期高齢者医療広域連合の事例です。課題としてあがっていた市町村との調整状況、他計画との調和の取り方、スケジュールについてお示ししています。赤字部分は、市町村との丁寧な対話や調整を行い、今後の予定も含めご紹介しています。
 19ページは福岡県後期高齢者医療広域連合の事例です。福岡広域では、これまでも広域連合から市町村に対して、取組区分ごとの評価指標を提示してきました。
7月の研修会では、第3期データヘルス計画における国の方針、広域連合の策定方針について説明し、ワークショップを実施し、市町村の意見をふまえて、計画策定に活かしているという事例です。今後も研修会等を通じて、標準化のメリットを伝え、データヘルスの標準化について進めていく予定ということでございます。
 20ページでございます。最後に、保険者インセンティブについてです。保険者インセンティブは広域連合による被保険者に対する予防・健康づくりの取組や、医療費適正化の事業実施の推進を支援するもので、特別調整交付金の一部を活用し、100億円の予算規模、その全額を得点及び被保険者数により案分して交付するものでございます。
左側青の部分は保険者共通評価指標であり、健診、歯科検診、糖尿病性腎症重症化予防、被保険者の主体的な健康づくり、適正受診、適正服薬、後発医薬品でございます。
右側ピンクの部分は後期固有の指標であり、データヘルス計画の実施状況、一体的実施・地域包括ケア、保健事業実施のための体制整備、市町村後方支援についてでございます。下の緑色の事業の評価に係る加点、また事業実施等のアウトカム指標について、こちらにお示しする大項目については大きく枠組みを変えずに、評価指標を見直す方針で考えております。下は島根県歯科医師会と、島根県後期高齢者医療広域連合との連携事例で、歯科口腔健診から、一体的実施の低栄養、口腔機能のハイリスク者に対する個別的支援を実施している事例でございます。
 21ページでございます。今年度の保険者インセンティブ見直しの方向性について3点お示します。1点目、一体的実施の推進に係る指標について拡充、2点目、データヘルスの標準化の取組に係る指標の拡充、3点目、医療費適正化基本方針、骨太の方針をふまえての指標の見直しを考えております。評価指標については、秋以降に広域連合代表からなるインセンティブ実務者検討班にて検討し、次回の高齢者の保健事業のあり方検討ワーキングにご報告予定でございます。
資料2についての御説明は以上でございます。
○津下座長 御説明ありがとうございました。資料2では、この制度をどのように進めていくか、研究班、そしてガイドライン、それから各職能団体や広域連合による取組の具体的な事例、そして国としてのインセンティブについて御紹介いただきました。
 その中で一体的実施に関連する事例の各団体の取組の御紹介がありましたけれども、構成員の皆様から簡単にコメントをいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 まず初めに、日本医師会の坂本構成員、よろしくお願いいたします。
○坂本構成員 日本医師会の坂本です。大変丁寧な説明をありがとうございます。全体を通して多職種、行政を含め合意を丁寧にして、共通理解と情報の共有が一番大事なのだろうということを感じております。ただ、現場では地域包括ケアの事業が非常にたくさんありまして、会議ばかりになっております。皆さん仕事の途中で参加して、情報共有、合意形成も図れないという壁に少しぶつかっているところでございます。
 先ほどもありましたが、計画、報告がありまして、私は糖尿病性腎症重症化予防などにも関わっていますが、市町で、1例でいいですよ、1例だけでも報告してくださいという感じも見受けられて、何とか1例だけ探して事業をやったことにしましょうというような感じも受けております。標準化も必要ですが、市町によって多少個性が出るようなことがあってもいいのではないかということも感じております。
 低栄養の評価に関して、先ほど御意見をいただいたのですが、健診にアルブミン等が入っておりませんので、低栄養の評価はリスクも含めてどのように評価していくのか、その辺が課題かなと思っております。
 最後に特定健診に関してですが、私の市は兵庫県の5万人ぐらいの市ですけれども、行政、市町と医師会が合意をしまして、特定健診を受けられていない患者さんや、もう医療機関にかかっているので行かなくていいと思っている方もかなりいらっしゃるので、その方たちのデータを、患者さんの同意を得て、市町に提供しております。それによって数%ですが、受診率は上がっております。
 これは鹿児島県が一番早くやられていたようで、当初、混合診療になるのではないかと指摘されたのですが、これも厚労省のほうで混合診療にはなりませんということを通知いただいたので、患者さんの同意を得て、電子カルテ内の特定健診の内容を提供して、KDBデータのプラスデータとして追加に協力しているのが現状でございます。以上です。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。それでは続いて日本歯科医師会の取組についてですけれども、本日は野村構成員が御欠席ですので、事前にコメントをいただいているということです。事務局より御紹介をお願いします。
○宇野調整官 事務局より代読いたします。日本歯科医師会では、ホームページにてオーラルフレイル対策についての国民向けの情報提供と、専門職、医療機関向けマニュアル等の情報提供を行っています。適宜御活用いただき、事業の取組、各専門職の連携が進むことを期待したい。以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。続きまして、日本薬剤師会の村杉構成員よりコメントをお願いします。
○村杉構成員 村杉でございます。資料の12ページになりますが、日本薬剤師会では、こちらにも記載させていただきましたとおり、市町村と連携ができるように、都道府県薬剤師会と日本薬剤師会がしっかり情報共有・提供、このような形が有機的にできるような体制を結んでおります。
 したがいまして、最後の下のほうにも練馬区薬剤師会の紹介がございますけれども、対象者を抽出して、地域の薬局並びに医療機関等としっかりと調整した上で、ハイリスクアプローチですね。実際に薬剤師が訪問したり、かかりつけの薬局に住民に来局していただいたり、あるいは出前講座のような形でのポピュレーションアプローチをしたりという感じで、多方面に活動ができるような体制をつくってございます。
 そのような形にしていきますと、何の目的で、どれぐらいの人数が、そして、かかりつけ医の先生へのつなぎも含めて、連携事例がどれぐらい挙がったか、様々なプラスの評価もできるかと思います。このような形で地域の薬剤師会をぜひまた御活用いただければと思うのが1点です。
 それから、地域の健康づくりや医療提供などを牽引する役割を持っている健康サポート薬局や地域連携薬局、こういったところを中心として活用いただけるように、体制、働きかけを持っていただけると、よりうまくいくのかなと思ってございます。
○津下座長 ありがとうございます。続きまして、日本看護協会の宮崎構成員よりコメントをお願いします。
○宮崎構成員 宮崎です。ありがとうございます。資料でお示しさせていただいたような状況ではございますが、一体的実施においては企画調整等の担当者など、関わる医療専門職として、保健師をはじめとする多くの看護職が従事している状況がございます。これを踏まえまして、本会では、市町村の保健師をはじめ様々な分野における看護職の確保に向けた取組として、ナースセンターの活用の促進に取り組んでいることはもちろんのこと、今年はさらに、資料でお示ししたように、保健師の確保というところで改めて自治体の方々にナースセンターのことを御紹介しつつ、さらに活用を進めているという状況がございます。
 各県の看護協会の取組につきましても、資料のところで幾つか提示させていただいておりますが、各県では示したようなそれぞれの状況を踏まえた取組が行われていて、行政からの委託という形で行われていることが多く分かっている状況があります。
 これらの取組につきましては、一体的実施においては通いの場ともなりますし、先ほども少し話が出ていましたけれども、健康相談や保健指導を通じてハイリスク者をどう行政につなげていくかというきっかけを得るような場にもなっているかと思います。一体的実施の取組にはなじみやすい取組を、各県で状況を踏まえながらされている現状があると思っています。
 一方で、取組において、保健師をはじめとした看護職の方とどうつながっていくのか、どこに相談すればいいのかというところが非常に課題で、人の確保もそうですし、まず入り口はどこから入っていけばいいのかというところが大変課題とお伺いしておりますので、自治体の皆様等におかれましては、まずは看護職と連携したり、活用したりというところに当たっては各県の看護協会に御相談いただくと、このような形でほかにもやっている県はあるかと思いますし、一定御相談には応じていけると思っておりますので、御相談いただければと思います。
 また、本会としても機会を捉えて周知を行うといった協力をしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○津下座長 ありがとうございます。最後に、日本栄養士会の加藤参考人よりコメントをお願いします。
○加藤参考人 ありがとうございます。日本栄養士会常任理事の加藤でございます。本日は構成員の西村に代わり出席させていただいております。
 資料2につきまして補足説明をさせていただきます。本会では全国7ブロックで各都道府県栄養士会会長による地区会長会議を行っており、昨年より一体的実施についての取組と推進を統一議題として、先進事例等を全国で共有してまいりました。厚生労働省による令和4年度の実施状況調査結果を踏まえ、さらに各都道府県栄養士会の役割や支援が重要であると考えられることから、今年度もまた統一議題といたしました。
 資料2の下段のところに、東京都栄養士会が自治体からの委託による栄養ケア・ステーションの取組事例という形で紹介していただきましたが、今年度の地区会長会議では、栄養ケア・ステーションが自治体や広域連合様と連携して取り組んでいるハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチなど、新たな先進事例等の情報を得ることができました。全国で共有し、波及していきたいと考えております。
 また、東京都の事例で、自治体や広域連合様との連携により、離島における支援など、誰一人、どの地域も取り残さない栄養の取組も実施しており、その進捗や成果について、全国の離島など過疎地域にも発信できればと考えております。
 さらに、一体的取組による客観的なアウトカム評価が求められていることから、栄養ケア・ステーションが地域の栄養支援の拠点として着実に成果の見える事業を展開できるよう、本会では都道府県栄養士会と連携し体制整備を推進するとともに、人材育成にも取り組んでおりますので、引き続き御協力をお願いしたいと考えております。
○津下座長 ありがとうございました。各団体において、この制度について会員の皆様にしっかりと周知していただいていることや、自治体とコミュニケーションを取って、自治体がどういうことで困っていらっしゃるのか、どのように団体がサポートし、一緒になって動いていけるのかというきめの細かい相談をされていることや、ツールや啓発資材など様々な媒体も公表されているなど、多くの取組をしていただきながら、この制度を支援していただいている様子が分かりました。
 ということで、今、資料2については推進に係る支援について様々御報告いただいたところですが、そのほか、研究班による事業評価は、今回は保険者のデータをいただいて、また実績報告などもいただきながら、対象者の抽出の中で、カバー率や変化を検証していきます。支援が必要な対象者の一部の人だけやって「やっていました」ということではなくて、できるだけ優先順位を考えながら、自治体の資源を活用しながら、しっかりカバーしていくことも必要な観点と思います。事業検証のあり方を検討していくような取組を私どもも今進めているところになります。
 厚生労働省さんのほうから、今年度ガイドラインの改訂を予定しているということで、ガイドラインの改訂の第3版ですね。本事業はステップバイステップで進捗しているので、第2版では少し物足りない状況になってきておりまして、9ページにございますような第3版の方向性も出ております。
 またインセンティブについてのお話もありました。この資料2について、ほかの各団体のところに対しての御質問でも結構ですし、自由に御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。またはガイドラインについての御意見等でも結構です。吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 先生、ありがとうございます。大変感銘を持って拝見いたしました。特にいろいろなところの一体化、一体的実施に係る事例も非常にバラエティに富んでいて、興味深く拝見しました。1つは15ページですが、例えば骨折予防対策への取組がございまして、あとはフレイル、看護分野と。15ページのところは自分の専門にも関連しておりますので、興味深く見ました。
 特に大腿骨頸部骨折に関してですが、この二次予防について令和4年に診療報酬の改定がございまして、二次性骨折の予防に対して医療機関に対する評価が新設されました。リエゾン的な活動をしていますと、それに対して診療報酬がつくことになっております。それが大変その地域の医療機関の先生方の大きなモチベーションになっておりまして、つまり、医療機関から介護予防のほうに寄ってきているような状態がございます。高齢者の幸せな老後という点ではどちらも同じ目標だと思いますので、次のステップといたしまして、この診療行為と市町村が行う介護予防、その予防的行為のところで将来的に情報交換ができて、特に骨関節疾患などはそうだと思いますが、一体的な予防活動につなげられればいいのではないかということを個人的に感じた次第でございます。
 もう1点、小さなことですが、インセンティブに関して、例えばポリファーマシーのところでの評価基準がございました。御案内のとおり、高齢者はたくさん薬を飲んでいるのは確かですが、必要な薬も飲んでいるわけですので、薬は多いなと思って見ていても、どんなにやっても削れないという場合もございます。特に高齢者の場合、副作用が出たり、あるいは効き過ぎたりした場合に、どれを削ればいいのかというところで、合剤ではなく、一個一個違う薬を少しずつ出すなど、例えば血圧の場合はそのような対応をしている場合もございまして、事情があって投薬が多いという場合もございますので、インセンティブを、ただ数だけ減らさなければいけないという形で、高齢者自身が薬を飲んでいることに対する罪悪感のようなものを感じない方向で少し取扱いといいますか、少しお気遣いいただければと感じました。
○津下座長 重要な御指摘をありがとうございます。保険者の事業はどちらかというと掘り起こしというか、発見して診療や地域の資源につなげていく、そこが重要な役割になりますので、逆に地域でどんなことが行われているか、診療でどのような受入れ体制があるのか、そういう情報がまた自治体に入っていくと、しっかりとつないでいけるのではないかと思います。双方向で情報共有をしていくことの重要性を感じました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。薬剤も本当に必要なもの、削ってはいけない薬剤とか、いろいろありますので、その辺は丁寧にということが非常に重要だと思います。村杉委員、何か御発言はありますか。
○村杉構成員 ありがとうございます。先ほども吉村先生、ありがとうございます。ポリファーマシーの内容で、実際に対応している地域からも報告などがたくさん挙がってございますので、簡単に御意見を申し上げます。
 ポリファーマシーの部分については、患者自身にその薬剤の必要性の理解がなかなかないと。そこがスタートになっているところも丁寧に聞き取って対応していく。あとはヒアランスを高めていくような対応が非常に重要だということが1点。
 それから、特に高齢者の場合、極端な話ですが、特養に入所されるような場合になっていくと、例えば予防介護が3以上になっているので、医療依存度も高いと。なかなか自分自身でもできることが少なくなっているという患者像、生活像を把握していくと、今まで必要であったと判断されていた薬剤がもしかしたら必要でないかもしれないという、ある意味、大胆かつ慎重な対応にもなるのですが、そのような対応は、かかりつけの先生、配置の先生と多職種が共同して、残薬ポリファーマシーの対応に当たっておられます。
 ですので、必要なお薬、薬剤の必要性みたいなこととか、患者の思いというのをしっかりと酌み取って、残すものは残すポリファーマシー対策と、加齢によって薬剤の挙動が変わって、場合によっては2倍効く、3倍効く薬剤とか、副作用の発現頻度が非常に高まっていくような、患者の体質あるいは機能によってそれが進んでしまう薬剤については、しっかりと共同しながら切っていく方向性、これを持っていくのが非常に重要かなと、この件については思います。
○津下座長 コメントありがとうございます。保険者が取り組むということで、複数の医療機関だけではなく、複数の薬局にかかっていらっしゃって全体像が見えないということがあります。お薬手帳をそれぞれの医療機関ごとに別に持って、3冊持っているみたいな話もあります。薬剤処方の全体を見られるのが保険者しかいないというところがあるので、そういう意味では個々の医療機関の御努力や薬剤師さんの御努力と、保険者として、複数のところで同じようなものが出ているということについては保険者目線で一緒に動いていくことも、この事業の1つの特色かと思います。また、一体的な実施の中でどう調整していくかという事例も御報告いただけると、保険者としても動きやすいかなと思います。保険者として何をすればいいのかということが質問として挙がることがあるので、まずは複数の薬局ですね。1つのお薬手帳でまとまっていればいいのですが、そこがそうではない現実もあるということで、保険者さんとも話を進めているところになります。
○村杉構成員 津下先生、本当にありがとうございます。御理解と御対応いただいていることに感謝申し上げます。まさにそうです。薬局からすると、患者が「これだけしか飲んでいないよ」という形で、それが医療DXのところである程度は把握できる方向にはなってきているとはいえ、重複受診者や頻回受診者というのはそういうのを言わないという対応で、かかりつけの先生方も非常に御苦労されていらっしゃいます。そういう観点からすると、本当に保険者の持っていらっしゃる情報を医療の現場で活用できるようにという形で、保険者情報の連携がこれからますます求められていく時代になっていくかと思います。坂本先生が冒頭にも御指摘されていたように、健康状態不明者は本当に大きな問題だと思います。この辺りについても保険者情報を活用するのが非常に重要な観点だと思います。私自身のところでも1件あったのですが、健康状態不明者について市の保健師が繰り返し訪問をされていくと、医療にかかった経験があって中座していると。それが坂本先生も御心配されていたような結構重篤な方だったとなると、保険者を通じて保健師からかかりつけ医、並びにかかりつけの薬局に、速やかな情報提供の共有の依頼が入りました。
 そういう形で、生の患者さんを支える対応がしっかりと現場でできる連携の体制構築というのは一体的実施の非常に大きなトリガーになっていくと思いますので、期待もしているところです。
○津下座長 ありがとうございます。患者さんが中断しても、もしかしたらほかのところにかかっているかもしれないということで、なかなか医療機関側からアクションが起こせないこともあります。全くほかもかかっていないということが保険者から分かれば、かかりつけ医もより積極的にアクションしやすいのではないかと思うので、その辺の連携も進んでくるといいのかなと感じました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。水野構成員、お願いします。
○水野構成員 水野です。よろしくお願いします。高知市として、保険者として各団体さんの取組を御紹介いただきまして、ありがとうございました。先ほどからも出ておりますが、各市町村は一体的実施とか重症化予防、特定健診をはじめ、いろいろな取組をしておりまして、マンパワー不足という市町村も多いだろうと思っております。こういった皆さんの御協力をいただけますと、何とか取組も進むのかなと思っておりますので、引き続き支援のほうを皆様よろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。非常にエンカレッジする御発言だったと思います。ありがとうございます。野村構成員からの御意見と田中構成員からの御意見の御紹介をお願いします。
○宇野調整官 事務局より代読させていただきます。歯科医師会様、野村構成員より、資料2、ガイドライン改訂についての御意見を賜っております。
 口腔に関するハイリスクアプローチにつなげるにはどのようにすればいいかを示すことが大事である。ハイリスクアプローチの実施にも濃淡があると感じている。歯科への受診率が低いのも課題の1つだと感じている。定期的に受診している人は口腔の健康の大切さを知っている。そうでない人を拾い上げるのが必要で、どう評価するのかというのが今後の課題である。ハイリスクアプローチを実施する上で専門職と協議するという文言が欲しい。歯科医師会が介入していたらやるというところもある。受診勧奨して終わりという自治体もある。保健事業のガイドラインなので多くは書けないかもしれないが、対応を検討していただきたい。以上でございます。
もう一方、田中構成員からお預かりしている資料2についての御意見を読み上げます。
 職能団体の取組、進捗状況が分かりやすくまとめられている。各専門職が力を入れている点がよく分かった。市町村や広域連合が各団体に助言や支援を求める上で参考になる。管理栄養士の役割として、低栄養対策と糖尿病重症化予防を行うことは重要。それらに加え、大和市などでは健康状態不明者対策も管理栄養士が実施し、実績を上げている。ぜひ取り組んでほしいと考えている。健康状態不明者対策に取り組むことで地域の実情や地域資源についての理解がより深まる。在宅医療、在宅介護などにおいても各所で人材不足が課題となっている。一体的実施の第一の目的は高齢者の健康状態を改善・維持することだが、一体的実施の取組が介護も含めた地域の人材育成にもつながることを期待している。また、健康状態不明者に訪問している中で、健康日本21で示されているような、自然に健康になれる環境づくり、誰もがアクセスできる健康増進のための基盤整備、例えばウォーカブルなまちづくりなどの重要性にも気づくはずである。一体的実施を通じて、こうした波及効果が広がることを期待している。以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。それでは坂本構成員、恐らく時間的にも最後の発言になると思いますが、よろしくお願いします。
○坂本構成員 ありがとうございます。最後の発言になるかもしれませんけれども、ちょっとお願いです。多職種連携、情報共有は非常に大事だと申し上げました。介護事業、地域包括事業においても、いろいろな団体の方々に出席していただく、あるいは在宅で集まって協議や相談をすることもよくあります。それに関して、厚労省の方もいらっしゃるのですが、医療介護連携に関しては診療報酬、介護報酬が十分ではないと思います。全ての多職種の方に情報共有を、在宅も含めて、そういう会議や協議、あるいは患者さんの元に出向いたときには、今後はトリプル改定もございますので、その辺も少し十分考えていただかないと、そこで行き詰まってしまうのではないかと思っております。今日の話を聞きましても、これは結局、地域包括ケアと保健や医療との連携でも、地域包括ケアの一部なのかと。一部なのか、これが全体なのか、僕は初めての参加なので今日のお話では分かりません。地域包括ケアは市町ですし、医療はどちらかというと国や県になっておりまして、その辺の整合性が現場では非常に難しく、連携も取りにくいところもございます。その辺もよろしくお願いします。特に多職種の皆さんが十分介護にも、介護予防にも参加できるように、トリプル改定のほうをよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。これについては御意見として、また厚生労働省さんに御検討いただくことにしたいと思います。ということで、本日は高齢者の保健事業、進捗状況、これまでの経緯、そして現在・今後の取組、ガイドラインの改訂、今後の研究の進め方、各職能団体の取組などを御報告いただいたところでございます。地域の多様性はありながらも一歩一歩前進していくということや、標準化ということでPDCAサイクルを回していく仕組みと、最初からそれを計画しながら制度が進められているということに共通な理解が得られまして、この必要性や意義については各構成員の皆様からも種々御発言がありました。一方、幾つか課題やお気づきになった点の御指摘もありました。御意見に対してどう対応するかということは、これまでも厚生労働省さんはやってこられましたので、また引き続き課題に対する対応策の検討をしていただいて、現場を動きやすくすることや、高齢者の健康支援が必要な人に必要なだけ届ける。ずっと手をかけ続けるわけではないと。そういう形でどう仕組みを育てていくかがこれからの大きなミッションかなと感じたところでございます。本日予定していた議題についてはこれで全て終了したと思っておりますが、よろしいでしょうか。たくさん御協力いただきまして、ありがとうございました。それでは事務局にお返しいたします。
○長谷川専門官 本日も活発な御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。構成員の皆様方からの御意見を踏まえまして、今後、厚生労働省としましても検討を進めてまいりたいと思います。次回の開催日程につきましては後日調整をさせていただきたいと思います。それでは、本日も長時間にわたり、ありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。