2022年11月25日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和4年11月25日(金)16:00~

出席者

出席委員(17名)五十音順
(注)◎部会長
欠席委員(4名)五十音順
(注)○部会長代理
 行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議におきます委員の出席状況についてですけれども、大森委員、合田委員、小崎委員、武田委員より御欠席との御連絡を頂いております。そのほか、飯島委員からは遅れて御参加との御連絡を頂いております。そのほか、赤羽委員、佐藤直樹委員、田﨑委員が、まだ会議に参加されておりませんが、後ほど御参加いただけると承知しております。したがいまして、本日ですが、現在のところ当部会員数21名のうち13名の委員が、このWeb会議に出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合する旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、森部会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~No.17と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。このほか、資料No.20として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.21として「専門委員リスト」、資料No.22として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。
 資料No.22の1ページ、「ネキソブリッド」です。本品目は、深達性II度又はIII度の熱症における、壊死組織の除去を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、「ガラフォルド」です。本品目は、ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、「アリドネパッチ」です。本品目は、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、「トレプロスト」です。本品目は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、「ヴィアレブ」です。本品目は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページ、「タバリス」です。本品目は、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページ、「ラジカット」です。本品目は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページ、「Maralixibat chloride」です。本品目は、アラジール症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから、競合品目はなしとしております。
 9ページ、同じく「Maralixibat chloride」です。本品目は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 10ページ、「ケノデオキシコール酸」です。本品目は、脳腱黄色腫症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 11ページ、「Rilzabrutinib」です。本品目は、慢性特発性血小板減少性紫斑病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 12ページ、「エフガルチギモド アルファ」です。本品目は、慢性特発性血小板減少性紫斑病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 13ページ、「apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa」です。本品目は、血栓性血小板減少性紫斑病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○森部会長 今の事務局からの説明について特段の御質問、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものとさせていただきます。
 それでは、委員からの申出状況につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、及び第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。
 議題1、「ネキソブリッド」。退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。
 議題2、「ガラフォルド」。退室委員なし、議決に参加しない委員、川上委員、長谷川委員です。
 議題3、「アリドネパッチ」。退室委員なし、議決に参加しない委員、佐藤直樹委員、代田委員です。
 議題4、「トレプロスト」。退室委員なし、議決に参加しない委員、佐藤直樹委員、代田委員です。
 議題5、「ヴィアレブ」。退室委員なし、議決に参加しない委員、佐藤直樹委員です。
 議題6、「タバリス」。退室委員なし、議決に参加しない委員、佐藤直樹委員です。
 議題7、「ラジカット」。退室委員なし、議決に参加しない委員、川上委員、長谷川委員です。
 議題8、「Maralixibat chloride(アラジール症候群)」。退室委員なし、議決に参加しない委員、川上委員です。
 議題9、「Maralixibat chloride(進行性家族性肝内胆汁うっ滞症)」。退室委員なし、議決に参加しない委員、川上委員です。
 議題10、「ケノデオキシコール酸」。退室委員、議決に参加しない委員、ともになし。
 議題11、「Rilzabrutinib」。退室委員なし、議決に参加しない委員、川上委員、佐藤直樹委員です。
 議題12、「エフガルチギモド アルファ」。退室委員、飯島委員、議決に参加しない委員、佐藤直樹委員です。
 議題13、「apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa」。退室委員、飯島委員、議決に参加しない委員、川上委員です。
 以上です。
○森部会長 今の事務局の御説明について、御意見、御質問等はありませんか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。本日は、審議事項13議題、報告事項4議題となっています。それでは、審議事項の議題に移ります。では、議題1について、機構から概要説明の準備をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 新薬審査第一部です。それでは、議題1、資料No.1、医薬品ネキソブリッド外用ゲル5gの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。熱傷のうち、比較的深い深達性II度又はIII度の熱傷では、「焼痂」と呼ばれる壊死組織が生じ、感染症の原因となり、また、壊死組織が残存することで皮膚の回復が遅延するため、壊死組織を速やかに除去することが重要です。壊死組織を外科的に除去する場合、確実に除去できるものの、周辺の正常組織も含めて除去することで自然上皮化が妨げられることがあり、また、形状が複雑な手や、皮膚が薄い小児等では、高度な技術が必要となります。
 本剤は、パイナップル茎由来のタンパク質分解酵素を主な有効成分とする外用剤であり、壊死組織に塗布することでタンパク質を分解し、本剤を拭き取ることで壊死組織の除去が可能なことから、高度な技術は不要であり、深達性II度又はIII度の熱傷における壊死組織を除去する方法として開発されました。
 今般、熱傷患者を対象とした国内及び海外試験により、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。2022年8月時点において、「成人の深達性II度又はIII度の熱傷における壊死組織の除去」に係る効能・効果で、欧州等41か国で承認されています。また、本剤は、「深達性II度又はIII度の熱傷における壊死組織の除去」を予定される効能・効果として、当部会で御審議いただき希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の専門協議では、本日の配布資料No.21に示します専門委員を指名しております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
 有効性に関しては、審査報告書青字の通し番号22ページ、中ほどを御覧ください。深達性II度又はIII度の熱傷を有する患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「壊死組織が完全除去(完全除去は壊死組織除去面績割合95%以上)された被験者の割合は88.6%であり、95%信頼区間の下限値が事前に設定した20%を上回りました。
 続いて、審査報告書青字の通し番号25ページ、表25を御覧ください。深達性II度又はIII度の熱傷を有する患者を対象とした海外第III相試験において、主要評価項目である「壊死組織が完全除去された被験者の割合」は、本剤群で93.3%、プラセボ群で4.0%であり、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。以上の2試験の結果から、本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性について、審査報告書青字の通し番号22ページ、表22を御覧ください。国内第III相試験において、発熱、適用部位感染、適用部位疼痛等が一定の割合で認められました。これらの事象は海外第III相試験においても認められましたが、いずれも重度な事象ではなかったことから、一般的な熱傷診療でのモニタリングや治療、あるいは疼痛管理を行うことで対応可能と考え、臨床試験で実施された対応方法の詳細を、医療従事者向けの資材にて情報提供することが重要と考えました。以上の検討も踏まえ、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上、機構での審査の結果、深達性II度又はIII度の熱傷に対する本剤の有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、本日、御欠席ですが、武田委員より、「有効性は十分にあると考えますが、海外での市販後調査で重篤なアナフィラキシーが報告されており、ラテックスアレルギーの患者さんがパイナップルにもアレルギー反応を示すことがある。今回のラテックスアレルギーと本薬剤のアレルギー反応との関係はいかがでしょうか」、という事前の御質問を頂いております。
 この御質問について、提出された資料などからは、ラテックスアレルギーと本剤との関係を示すような結果は示されてはおりません。しかしながら、武田委員からの御指摘のとおり、ラテックスアレルギーとの関係を否定することはできません。本剤の成分に対して過敏症を有する患者は、既に禁忌に設定はさせていただいており、また、アナフィラキシー等に関しても、添付文書だけではなく、医師向けの資材にも十分注意するよう記載しておりますが、頂きました御意見を踏まえ、申請企業に対しては、他の成分との交差反応の情報についても、製造販売後で収集するように申し伝えることを考えております。
 機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いします。大谷先生、どうぞ御質問お願いします。
○大谷委員 よろしいでしょうか。大谷です。今の武田委員の質問とも関係してくるのですが、こちらのパイナップルの茎由来の成分ということで、添付文書には、今、御説明がありましたように、本剤含有の成分に対する過敏症では、禁忌という形になっておりますが、一般にパイナップルの成分に対して、かなりアレルギー反応を示す方とか、パイナップルを食べたり飲んだりして、かゆみを感じる方も結構いらっしゃると思うのです。そういう意味では、かなりアレルジェニックなものだと思っているのですが、今回の添付文書上に書かれている内容が、例えばパイナップルそのものに対するアレルギーでは、禁忌とは取れないわけです。その辺りは、本剤の成分又はパイナップルにとか、そういう形で書かなくて大丈夫なものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。添付文書の禁忌に関しましては、ほかの薬剤との兼ね合い、並びもありまして、記載上はこのようになっておりますが、具体的な資材等においては、パイナップルやそういった成分に対して、過敏症を有する患者さんには投与しないでくださいということで、しっかりと情報提供をするようにしております。
○大谷委員 ありがとうございます。一応、公式文書となりますから、添付文書でありますので、ほかとの兼ね合いという意味がよく分からないのですが、禁忌というものは、しっかりと添付文書上で、パイナップルの成分に関しても禁忌若しくは使用上の注意事項ということで、しっかりとそこは明記をしておく必要はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。禁忌の文言については、関係部署とも相談させていただき、頂いた御意見も踏まえ、どこまで固有名詞というか、情報提供できるかも含め、検討させていただきたいと思います。
○大谷委員 これは、もしパイナップルアレルギーの方で、アナフィラキシーの確率が高いということになりますと、しっかりと明記しておかないと、後々まずいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 頂いた御意見を踏まえ、関係部署とも相談させていただいて、記載方法等も含め、どういった情報提供ができるかというところも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○大谷委員 ちなみに、パイナップルに対してアレルギーの方では、アナフィラキシーが起こりやすいとか、そういう状況は生じているのでしょうか。若しくは、そういったことを市販後調査していく予定はあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今のところは、特にアナフィラキシーを発症された患者さんが、パイナップルのアナフィラキシーを持っていたかどうかの情報までは、入手できておりませんので、実際にアレルギーがあったから、必ずアナフィラキシーという関係ではないのですが、アレルギーを持っている患者さんについては、より何か情報収集できるものがあれば検討させていただきたいと思います。
○大谷委員 そちらも合わせてよろしくお願いします。私からは以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○森部会長 機構の方、今、大谷委員からの御発言にも関連していますが、この薬剤は欧州で承認されていて、資料1.6に外国における使用状況等における資料で、添付文書の英文、それから翻訳した日本語文も載せていただいています。そちらを参照しますと、禁忌の所に、「本剤、パイナップル若しくはパパイン、若しくは本剤の添加剤への過敏症がある場合。」としていますが、ここのところは整合性を取る必要はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。頂いた質問に関しては、本剤の成分に対して過敏症があるというところで、一度は包含されているのではないかというところで検討させていただきました。また、具体的なパイナップル由来であるので、例えばパイナップルであるとか、パパインであるとかといった固有名詞については、医療従事者向けの資材には明記して、より具体的に注意喚起するように検討はさせていただいていたところです。また、本日頂きました御意見も踏まえ、添付文書での記載、後は資材でどう提供するのかについては、改めて検討させていただきたいと考えております。
○森部会長 委員の先生方から、添付文書に禁忌に関する記載を盛り込んでいくかどうかについては、御意見はいかがでしょうか。大谷委員からは、添付文書に正式に盛り込むべきという意見が出ていましたが、何かほかの先生方から御発言はありますか。
○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 どうぞお願いします。
○宮川委員 ラテックスフルーツアレルギーというのは、一般的ではありませんが、実際の医療現場ではかなり聞かれている事象です。資材だけで十分なのか、添付文書にそのところはある程度分かりやすく示していくことが、非常に重要なのではないかと私も考えていますので、適切な御配慮をよろしくお願い申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。頂いた御意見も踏まえ、添付文書でより具体的に記載できる方法はないかも含めて、検討をさせていただきたいと思います。
○森部会長 もう1点は、本剤を使用する際の医療者が、ラテックスグローブを使う可能性が当然有り得るので、この点も医療者向けの資材に含めるかは要検討でしょうか。ただし、この薬を使って、すぐに感作が生じるとは考えにくいですね。分かりました。では、是非、添付文書に関する記載追記をお願いしたいと思います。
○大谷委員 一応、ほかのものとの整合性というお話もありましたが、例えば卵白などですと、卵白由来の成分に関しては、ちゃんと禁忌の所に本剤以外に卵白と書かれているわけですよね。ですから、整合性とおっしゃる意味は、よく分からないので、そこはそこまでこだわらずに、しっかり書いていただくことは可能だと思うのですが、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど、ほかの整合性と言ってしまいましたが、禁忌に記載できる内容や、ほかの場所での記載も含めて、どういった形で情報提供できるのかについて、改めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○大谷委員 分かりました。
○森部会長 これは部会の決定として、パイナップルとパパインについては、追記するように意見として答申してもいいですか。
○医薬品審査管理課長 検討させていただいてよろしいですか。
○森部会長 はい。
○事務局 先生方に御連絡させていただきます。
○森部会長 分かりました。ありがとうございます。そのほか先生方から御意見、御発言はありますか。先ほどの海外添付文書に関することで少し補足があるのですが、本剤の国内の臨床試験で、低血圧の有害事象が8.6%報告されているのですが、海外の添付文書では、ACE阻害薬と併用した場合に、血圧低下の有害事象は起こりやすいということが注意喚起されているのですが、本邦で低血圧が生じた症例については、ACE阻害薬との因果関係などは検討されていらっしゃいますか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。特にそこまでの内容までは確認はできておりませんので、併用については改めて確認はさせていただきますが、実際に国内の症例で、そういったところまでは、確認はできていなかったかなと認識しております。
○森部会長 日本では海外ほどACE阻害薬の使用頻度は高くはありませんが、やはり降圧薬として一般的に使用されている薬剤ですので、これは日本での安定性上の問題、特に生じていない状況でも、添付文書に準じて注意喚起すべきかどうかは、御検討いただけますか。同じくベンゾジアゼピン薬に関しても注意喚起されているようでしたので、この点についても、我が国でも注意喚起が必要かどうかは、併せて検討いただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今頂きました御意見も踏まえ、他剤との相互作用というか、併用時の注意喚起について、どういった状況だったのかを確認するとともに、必要に応じて、注意喚起するかどうか等を含めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 もう一点は、本剤を使用調整する際に関する注意事項ですが、熱傷III度ですと、極めて感染の生じやすいところで、また、免疫のバリアも破綻しているので、なるべく無菌的に調整をして、塗布することが望ましいと思うのですが、調剤をして、患者さんに塗布する際の手順については、どのような情報提供をする予定でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 医療従事者向けの資材については、かなり特殊な薬剤ですので、どういった形で混ぜるのか、それでしっかり混ぜてというところも含めて、医療従事者向けの資材で情報提供するようにしております。添付文書にももちろん記載はあるのですが、資材で分かりやすく記載した方が、より分かるだろうということで、資材で検討させていただいて、混ぜ方や塗り方など、その後の除去の仕方等も含めて、一連の流れを資材で提供するようにしております。
○森部会長 欧州の添付文書ですと、使用する方についても、手袋、目の防御、サージカルマスク、防護服と明確に記載されているので、日本の使用者についても、塗布する医療者に対する危険性がないように配慮も含めて、資材の作成をしていただきたいということを、要望として挙げてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そういった点も含めて確認させていただいて、改めて申請企業にも伝達させていただきます。ありがとうございます。
○森部会長 また、ラテックスフルーツの状況については、実際の使用の状況の中でも情報を集めていただくということで、理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その点で情報収集できるように努めさせていただきます。ありがとうございます。
○森部会長 分かりました。そのほか先生方から御意見等はありますか。よろしいですか。大谷委員も、今の審議の内容でよろしかったでしょうか。
○大谷委員 結構です。ありがとうございます。
○森部会長 どうもありがとうございました。それでは、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、議題2に進めさせていただきます。議題2の概要説明について、御準備をお願いしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題2、資料No.2、医薬品ガラフォルドカプセル123mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。本剤はミガーラスタット塩酸塩を有効成分とするファブリー病治療薬であり、16歳以上の患者に対して2018年3月に既に承認されています。今般、12歳以上のファブリー病患者に対する用法・用量を追加する開発がなされました。
 ファブリー病は、リソソームにおいてスフィンゴ糖脂質を分解する酵素であるα-ガラクトシダーゼAをコードするGLA遺伝子の変異に起因する疾患であり、X染色体連鎖性遺伝疾患です。
 本薬はα-ガラクトシダーゼAの基質であるスフィンゴ糖脂質の末端ガラクトースの類似体であり、薬理学的シャペロンとして変異型α-ガラクトシダーゼAに結合することにより、リソソームへの輸送を促進し、リソソームにおける当該酵素の活性を上昇させることで、ファブリー病に対する有効性が期待されます。
 海外では、2022年2月現在、43か国で承認されており、12歳以上の患者に対しては欧州において2021年7月に承認されています。
 本邦におけるファブリー病の患者数は約1,600~1,700例と報告されており、本剤はファブリー病を予定する効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の専門協議では、資料No.21に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。それでは本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
 有効性について、審査報告書23ページ中の8ページ、表4を御覧ください。海外において、12歳以上18歳未満のファブリー病患者を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。当該患者に対して、既承認と同様の用法・用量により本剤を投与した結果、主な有効性の評価項目である腎機能及び心機能に関するパラメータについて、試験期間を通して維持される傾向が認められました。また、スフィンゴ糖脂質の一つであるlyso-Gbの血漿中濃度については、おおむね低下又は維持される傾向が示されました。
 安全性について、審査報告書の同じ8ページ、表5を御覧ください。12歳以上18歳未満のファブリー病患者において、成人ファブリー病患者で認められた安全性プロファイルと異なる傾向を示唆する結果は認められておらず、また、ファブリー病の病態や本剤の作用機序を考慮しても、12歳以上16歳未満の患者において成人患者と比較して、特段懸念すべき点はないと考えられることから、既存の添付文書の注意喚起を行うことを前提に、安全性は許容可能と判断しました。
 なお、日本人における投与経験は極めて限られることから、製造販売後は全投与症例を対象に製造販売後調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に取得し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付すことが適当と判断しています。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
 本申請は、小児に係る新用量の追加に係る申請であり、本品目は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は6年1日とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から、御質問等がありましたらお願いいたします。特段、御質問はありませんか。よろしいですね。
 それでは、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお、川上委員、長谷川委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっています。
 では、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3について、機構から概要説明の準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料No.3、医薬品アリドネパッチ27.5mg及び同パッチ55mgについて、機構より御説明させていただきます。
 資料No.3の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全43ページの通し番号で4ページ、「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本邦では、ドネペジル塩酸塩を有効成分とする経口剤、以下、既存品と申し上げますが、1999年以降、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制の効能・効果で承認されています。
 アルツハイマー型認知症(以下「AD」とする)では疾患の特徴上、患者自身による服薬管理が困難な場合があることなどから、剤形の選択肢を広げ、服薬アドヒアランスの向上及び介護負担の軽減につながることを期待し、ドネペジル塩酸塩の活性本体であるドネペジルを有効成分とする経皮吸収型製剤の本剤が開発され、今般、国内臨床試験成績を基に、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を申請効能・効果として、製造販売承認申請されました。海外では、本剤は開発されていません。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明します。審査報告書の通し番号15ページ、「6.R.1 本剤の製剤設計経緯について」の項を御覧ください。本剤27.5mg及び55mgは、それぞれ既存品5mg及び10mgを経口投与したときと同程度の曝露量が得られるよう設計されています。
 軽度及び中等度ADに対する本剤の有効性について、審査報告書の通し番号18ページ、7.2.1項を御覧ください。既存品の軽度及び中等度ADに対して承認された有効用量は5mgであることから、軽度及び中等度のAD患者を対象に、本剤27.5mgの経皮投与の既存品5mgの経口投与に対する非劣性を検討する第III相試験が実施されました。既存品は、承認用法・用量のとおり、開始用量を1日1回3mgとし、2週間後に5mgに増量し、本剤は既存品5mgに相当する本剤27.5mgを漸増を経ず投与しました。
 主要評価項目は、認知機能評価であるADAS-Jcogのベースラインからの変化量とされ、審査報告書の通し番号19ページ、表18に示しますように、本剤群と既存品群の最小二乗平均値の差の両側95%信頼区間の上限値は、既存品の初回承認時に軽度及び中等度AD患者を対象に実施された4試験のメタアナリシスの結果を基に、事前に定めた非劣性限界値を下回っており、本剤群の既存品群に対する非劣性が示されました。
 本剤の第III相試験で示された既存品群のADAS-Jcogの変化量は、既存品の過去の検証試験の成績と異なっていたことから、本試験の結果に基づき本剤の有効性が評価可能であるか、審査報告書の通し番号27ページ、7.R.2.2項に示す検討を行い、既存品の検証試験が実施された1990年代後半と本試験が実施された2020年前後では、承認されているAD治療薬の有無をはじめ、医療・介護環境が大きく変化したことなどが、これらの試験結果の相違に影響した可能性があると判断しました。
 さらに、既存品承認後に実施されたガランタミン及びリバスチグミンの国内臨床試験の結果を考慮すると、本試験の既存品群で見られたADAS-Jcogの変化は、コリンエステラーゼ阻害剤投与時の有効な結果として生じ得る範囲と推察できたことから、本試験の結果が本剤と既存品との無効同等を示している可能性は低く、この第III相試験において軽度及び中等度ADに対する臨床的に意義のある本剤の有効性は示されたと判断しました。
 次に、高度ADに対する有効性について、ページが前後しますが、審査報告書の通し番号22ページ、7.2.2項を御覧ください。既存品10mgを経口投与中の高度AD患者を対象に、既存品10mgに相当する本剤55mgに切り替える非盲検非対照試験が実施され、審査報告書の通し番号23ページ、表24及び25に示しますように、本剤に切り替え、24週間及び52週間経過後においても、認知機能の顕著な悪化は認められませんでした。
 本剤の製剤設計並びに軽度及び中等度ADに対する本剤27.5mgの有効性は、既存品5mgと同様であったことも踏まえますと、本剤は高度ADに対しても既存品と同様の治療効果が期待できると判断しました。
 続いて、安全性について御説明します。審査報告書の通し番号30ページ、「7.R.3 安全性について」の項に示しますように、本剤の剤形に関連するリスクである貼付部位の有害事象及びドネペジルの既知のリスクに関連する有害事象のうち、胃腸障害関連の有害事象を除き、有害事象の発現状況について、既存品を上回る懸念は示されなかったことから、それらに関しては臨床的に許容可能であり、既存品と同様の注意喚起を行うことが妥当と判断しました。
 臨床試験で認められた貼付部位の有害事象については、その重症度、中止例、転帰等を踏まえると、皮膚刺激を避けるため貼付部位を毎回変更する等の注意喚起を行うことで、許容可能なリスクと判断しました。
 胃腸障害関連事象については、審査報告書の通し番号32ページ、表32に示しますように、臨床試験において既存品と比較して、本剤で下痢や悪心といった消化器系の有害事象の発現割合が高い傾向が認められました。
 一方で、治験薬との因果関係のある重篤な事象や治験薬の投与中止に至った事象は認められなかったことから、本剤27.5mgから投与を開始した場合及び本剤55mg投与時の胃腸障害関連事象のリスクは、臨床的に許容可能と判断しました。この判断は、専門協議で支持されましたが、貼付剤である本剤の薬物動態プロファイルから、経口剤よりも胃腸障害リスクが低いと誤解されないような情報提供が重要であるとの意見が専門委員より出され、当該意見も踏まえて、医療従事者向け資材等で本剤の安全性プロファイルについて、既存品群と比較可能な形で適切に情報提供することとしました。
 なお、武田委員より事前に、「有効性は十分にあると理解しますが、貼付剤特有の有害事象である皮膚障害が問題となると考えます。審査報告書の通し番号18ページにある第I相試験の表17によれば、皮膚紅斑は背部で45.3%、胸部26.7%、上腕部で6.5%であり、背部では約半数で皮膚障害が発生します。それにもかかわらず、添付文書案14、適用上の注意の14.2.1では、「本剤は背部、上腕部又は胸部の正常で健康な皮膚で」と記載されています。臨床治験のプロトコルのためと想定しますが、背部以外の部位、例えば大腿部、臀部などの方が皮膚障害が少ないのであれば、今後は推奨する貼付部位を変更すべきと考えます」とのコメントを頂いています。
 第I相試験の0111試験は、背部、上腕部又は胸部のいずれかに1日1回24時間、17日間反復貼付する方法で行われていたことや、使用した製剤のサイズ等は市販製剤と同一ではないことなどから、表17に示しました0111試験の結果は、必ずしも市販製剤を推奨用法・用量で投与したときの部位ごとの安全性の比較にはなっていない可能性があります。実臨床で推奨する用法・用量では、背部、上腕部、胸部をローテーションして、貼付することが可能であり、製剤見本の6ページ及び7ページの図に示しています14か所をローテーションすることで、同一部位への貼付間隔を十分に空ける方法を、患者向け資材等で情報提供する予定としています。
 市販製剤を推奨用法・用量で投与した場合でも、投与部位間で皮膚症状の発現頻度が異なる可能性は否定できませんが、第III相試験0301試験の二重盲検期は投与部位を背部に限定して、24週間投与され、忍容性が確認されたことから、貼付部位に背部を含めることは妥当であり、特定の貼付部位について、特に注意を要するような対応は不要と判断しました。
 本剤の製造販売後調査では、貼付部位の情報も収集し、皮膚症状の発現状況を確認する予定です。また御指摘を踏まえまして、今後の貼付剤の開発においては、有効成分の十分な血中への移行が認められ、かつ有害事象が生じにくい部位を幅広く探索できるよう留意します。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本品目は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年。生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はそれぞれ毒薬及び劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。 
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
○堀委員 堀です。今、御説明いただきました製剤見本の6ページ、7ページに明示していただいた14か所の表についてお尋ねすることと、その使い方についてお尋ねします。
 まず1点目です。6ページ、7ページで説明していただいたこの14か所のチェック表は、これはパッケージの後ろの部分の所に書かれていると解釈してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 この表自体はその通りです。
○堀委員 そうすると、この表は袋の後ろ側にあって、それで切り取りをしたその後ろ側にこれが書かれているということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。
○堀委員 分かりました。確かに患者の同じ部位に、介護する人間が貼らないようにという目的で、これをここに印刷していただいているのは非常に有り難いのですが、これをどのように活用するかということは、患者向けの資材には書かれているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 実際にローテーションするときにこのようにローテーションをすることをお勧めします、貼る前にここの欄を使って貼付部位にチェックを入れてくださいなど、の使用法に関する情報については、患者向け資材に記載予定となっています。
○堀委員 なるほど、分かりました。1日1回ということなので、例えばここに日付を書いていただいて、それを介護する方が、例えばメモや健康手帳のようなものなどに貼っていただいて、同じような部位への貼付の重複がないように、これを活用してください。などという形で、もう少し詳しく説明していただくと、よりこの表が利活用できるのではないかなと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見ありがとうございます。本日、頂きました御意見も企業に伝えまして、分かりやすく、ここの部分を活用できるような情報提供の仕方を、もう少し工夫するように検討したいと思います。
○堀委員 ありがとうございます。それから患者向け資材についてですが、貼付をするときの留意事項が、この添付文書の14の適用上の注意の所に、かなりいろいろと書いてありますが、例えば特に夏場などでは、汗をかいていらっしゃる患者様などがいらっしゃいますので、やはりそういう部位はちゃんと拭うなど、この添付文書よりはもう少し具体的に資材に書いていただくと、介護する人間は非常に分かりやすいと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今、頂いたような情報についても記載予定となっていますが、詳細について機構の方でも引き続き確認していきたいと思います。
○堀委員 もう1点です。添付文書の4の所で、今回、効能又は効果ということで、「認知症症状の進行抑制」と書いてあります。そして、5の所で、「本剤はアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」と書かれています。もちろんお医者様のような医療関係者の方々は、この二つの意味合いというのが理解できるかと思いますが、一般の患者又は患者の家族はこの二つの意味合いというものが、病態そのものの進行を抑制というものと、その症状の進行を抑制するというものが、非常に分かりにくいのではないかなと思いました。ですので、是非、担当医から、この違いというものを医師向けの資材に関しても、患者およびその家族にはより具体的に説明していただけると、誤解を招かないのではないかなと思いました。私からは以上です。ありがとうございます。
○森部会長 堀委員、どうも御発言ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ただいまの御指摘について、機構よりお答えさせていただきます。御指摘いただきました所の注意喚起とその効能・効果について、冒頭でも御説明したとおり1999年にドネペジルが承認されて以降、コリンエステラーゼ阻害薬といった認知症症状改善薬については、全て同様の注意喚起が記載されています。既存薬の使用に慣れている、特に認知症をみられている先生方にはもう周知の事実かと思いますので、本剤に関しては、特段その注意喚起を強調する必要まではないと考えていますが、新たに、認知症治療薬を使用開始される患者さんにとっては、初めて触れる情報ということもありますので、基本的にこの認知症の疾患に対して、どういう効果が期待できて、どこまでしか期待できないかというところは、誤解なく伝わるよう、情報提供の仕方を企業とも相談して工夫させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○堀委員 御検討いただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御質問はいかがでしょうか。機構の方、この貼付剤ですが、MRIは特に問題はありませんか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。本剤については、MRI検査に支障をきたす金属は含まれていないと認識していますので、問題ないと考えています。
○森部会長 ありがとうございました。それから、先ほど御説明がありましたが、既存薬との比較で非劣性の証明ということで、アリセプトの第III相試験ではADAS-Jcogが、恐らく3点以上減点されていた成績だったのですが、今回はほぼ不変だったということで、その試験成績の違いについて考察もしていただいていました。平均年齢は今回の臨床試験では79歳の集団が対象になっていたと思いますが、以前の臨床試験では、より若い集団、10歳ほど平均年齢が低い集団だったということで、確認しています。リバスタッチパッチの治験では、これはプラセボでは1.3、ADAS-Jcogは変化していますが、年齢は平均何歳ぐらいだったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 確認しますので、少々お待ちいただけますか。
○森部会長 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 大変お待たせしました。リバスタッチパッチの承認時の国内II/III相試験の年齢ですが、試験の全体集団として平均年齢74.6歳、範囲としては下限が49歳、上限85歳であり、試験の選択基準の上限が85歳と規定されていました。
○森部会長 ありがとうございました。もう一つ対象になっていたのは、ガランタミンでしたか。ガランタミンの方の臨床試験の成績の年齢はお分かりでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。ガランタミンについては、国内II/III相試験とIII相試験がそれぞれ実施されていまして、ほぼ年齢は同じなので丸めて答えさせていただくと、平均75歳、範囲としては45歳から100歳ぐらいまでになっています。おおむねリバスチグミンと同様かと思われます。
○森部会長 そうしますと、今回の本剤の臨床試験の対象は、やや平均年齢がそれぞれ上回っていたと理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。
○森部会長 分かりました。添付文書の臨床試験成績の所には、対象者の年齢は特に記載がないのですが、もしこのように年齢によって有効性の差が生じる可能性が考察されているのでしたら、臨床試験成績の所の対象集団の所に平均年齢の分布を追記していただくことはいかがでしょうか。御検討いただければと思っています。
○医薬品医療機器総合機構 少々、機構内で検討させていただきますので、お時間頂いてよろしいでしょうか。
○森部会長 大谷委員から御質問を受けてもよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 お願いします。
○森部会長 では大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 度々すみません。簡単な内容なのですが、今回、貼付剤ということで血中濃度試験はしっかりと追っているのですが、今回の薬物動態試験では尿中等への排泄は見ていないのでしょうか。と申しますのは、添付文書上の排泄の所は、経口剤の情報が流用されているのですが、投与経路が違いますので、経口剤の情報をここに載せられても、実はあまり意味がないというところもありまして、もしも尿中排泄等のデータを別途取られているのでしたら、そちらを載せていただくのが、より臨床的には有り難いのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。先生から頂いた御趣旨、理解しました。確認しますので、少々お待ちください。
○森部会長 では、しばらくお待ちします。
○医薬品医療機器総合機構 まず先に御指摘いただいていた年齢の情報の記載について、本剤の試験成績を解釈する上で参考となる情報と考えますので、患者背景の一つとして記載することを検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○森部会長 承知しました。
○医薬品医療機器総合機構 お待たせしました。先ほどの尿中排泄の件ですが、今回、ヒトでのデータは取っておりません。
○大谷委員 ないのでしたら、それは載せられないので分かりますが、排泄、このデータでは意味がないかなと思いましたので、質問させていだきました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○森部会長 そのほか委員の先生方から御質問は特によろしかったでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお佐藤直樹委員、代田委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっています。
 では本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。では御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 では、続きまして議題4に移らせていただきます。機構の方は議題4について、概要説明の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。議題4、資料No.4、医薬品トレプロスト吸入液1.74mgにつきまして、機構より説明させていただきます。資料No.4の審査報告書を御覧ください。
 審査報告書の一番下、全58ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤はトレプロスチニルを有効成分とする吸入剤であり、本邦では同じ有効成分の注射液が肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)の効能・効果で2014年に承認されています。本剤は携帯型ネブライザを用いて、患者自身が吸入可能なPAH治療薬として開発され、今般、国内外の臨床試験成績を基に、肺動脈性肺高血圧症を申請効能・効果として製造販売承認申請がなされました。本剤は海外では、2022年9月現在、米国を含む三つの国又は地域で承認されています。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本剤の有効性について、審査報告書21ページ、7.2.2項を御覧ください。PAH患者を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験が、海外において国際共同第III相試験として実施されました。その結果、審査報告書22ページ、表18に示しますように、主要評価項目である6分間歩行距離のベースラインから投与12週後までの変化量について、プラセボ群と比較して本剤群で有意に大きい結果が得られました。
 戻りまして、審査報告書19ページの7.2.1項を御覧ください。国内においては実施可能性の問題から、海外第III相試験より小規模で、主要評価項目をより客観的な評価指標である肺血管抵抗係数(PVRI)とした上で、日本人PAH患者を対象とした非盲検非対照試験が国内第II/III相試験として実施されました。
 審査報告書20ページ、表16に示しますように、主要評価項目である投与12週間後の肺血管抵抗係数(PVRI)について、ベースラインと比較して改善が認められました。国内第II/III相試験については、先行して実施されていた海外第III相試験と実施時期が10年以上異なり、医療環境が変化したこと等から、先ほど述べた試験規模や評価項目以外にも併用薬の規定等の試験デザインに違いが生じています。
 しかしながら、国内外の臨床試験のいずれにおいても、併用しているPAH治療薬の用量変更を制限する等の有効性評価への影響を可能な限り抑制する方策が取られていること、並びに、これらの試験間の共通の有効性評価項目である6分間歩行距離について、試験間で認められた患者背景の違いの影響は大きくないと判断できること、及びいずれの試験で同様に、改善傾向が認められていること等を踏まえて、海外臨床試験の成績も参考として、日本人における本剤の有効性及び安全性を説明することは可能と判断しました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書32ページを御覧ください。本剤と同一有効成分の注射液で、既知のリスクについて関連する有害事象の発現状況を確認した結果、注射液を上回る懸念は示されなかったことから、臨床的に許容可能であり、注射液と同様の注意喚起を行うことが妥当と判断しました。
 ただし、注射液では禁忌に設定されている右心不全の急性増悪時の患者、重篤な左心機能障害を有する患者、及び重篤な低血圧患者については、本剤の投与時の全身曝露量は注射液投与時と比較して低く、それら禁忌の背景に関連する本剤による低血圧の発現リスクは、注射液より低いと想定されること、及び本剤の海外添付文書では、いずれも禁忌とされていないことを踏まえて、本剤では禁忌とする必要性は低いと判断し、この判断は専門協議でも支持されました。
 また、本剤は吸入剤であることから、咳嗽や咽頭刺激感等の気道・口腔咽頭に対する局所刺激に関連する有害事象を惹起する場合があるため、臨床使用にあたり注意する必要があるものの、国内外の臨床試験で認められた局所性有害事象の大部分は非重篤であり、発現割合が高い関連事象を添付文書で注意喚起することが妥当と判断しました。
 加えて、類薬のイロプロストの添付文書で注意喚起されている気管支痙攣について、国内外の臨床試験及び海外の製造販売後における発現状況を踏まえれば、現時点では本剤の添付文書での注意喚起は不要であり、医薬品リスク管理計画の重要な潜在的リスクに設定した上で、製造販売後に情報収集することが妥当と判断し、この判断も専門協議で支持されました。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本品目は新投与経路の医薬品であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見等いかがでしょうか。
○代田委員 代田ですけれども、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○代田委員 吸入薬ということですので、患者さんに対しての使用の説明などを少し詳しくする必要があると思いますが、その辺りの資料としては、どういうものがあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。患者向け資材や医療従事者向け資材を作成しております。患者向け資材については、臨床試験での治療方法に倣って、本剤の使用方法を丁寧に説明する資材も作成しており、そちらを見て患者さんに使用してもらうことを想定しております。
○代田委員 それは、ここには付いていないのですね。
○医薬品医療機器総合機構 ただいま資料を会議のシステムを使って共有させていただきますので、お待ちください。
○森部会長 はい、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今、ファイルは御覧いただけますでしょうか。
○森部会長 はい、見えています。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの資材の15ページから、吸入器の紹介が始まって、付属品の紹介、具体的な吸入器の組み立て方、吸入方法について紹介するような形になっております。
○代田委員 お答え、ありがとうございます。
○森部会長 この資材では、気管支痙攣のことは何か触れていますか。
○医薬品医療機器総合機構 この資材においては、気管支痙攣については触れておりません。現在得られている臨床試験や製造販売後の情報からは、発現例数が多くないことや、起こっているとしても、因果関係が否定されている事象が大部分なので、現状では注意喚起は不要と判断しておりますが、先ほども説明させていただきましたとおり、医薬品リスク管理計画の重要な潜在的リスクに設定して、市販後も注視していくという対応を取っております。
○森部会長 気管支痙攣の頻度は極めて低いのでしょうけれども、起こった場合の重篤度が非常に高いと考えられます。海外で承認されている本薬の添付文書の日本語版を、今、閲覧していたのですが、注意や警告の所に、気管支痙攣を生じる可能性があるとした記載が一部されているので、何らかの注意喚起を添付文書に含めておくことも、医療現場への注意喚起という観点からは重要かなと認識しております。代田先生、若しくは佐藤先生、この点は御意見いかがでしょうか。
○代田委員 やはりあった方がよろしいのではないですかね。全く安全に問題がないということではなさそうに思いますし、気道の刺激が当然あるだろうと思いますが。
○森部会長 気管の過敏性に個人差がありますので、注意喚起としては添付文書の分かりやすいところに、それに対する注意喚起を含めていただくことが望ましいと考えています。御検討いただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。あくまで本剤の発現状況から添付文書の記載箇所としては、それほど序盤ではないかもしれませんが、類薬でそういった事象が出ているというところも含めた趣旨として、御指摘いただいたように、添付文書のいずれかの箇所で記載することを検討したいと思います。
○森部会長 ありがとうございます。佐藤直樹委員、この点の御発言、ありますでしょうか。
○佐藤(直)委員 はい、特にありません。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか先生方から追加の御発言、御意見等ありますでしょうか。
○堀委員 すみません、堀です。よろしいでしょうか。
○森部会長 はい、お願いします。
○堀委員 ありがとうございます。今の資材を拝見させていただいて、非常に詳しく書かれているということは理解できたのですけれども、余りにも詳しく書かれていて、結構分厚いというか、厚さがかなりあるなと思ったのですけれども、それは患者が、例えばそれを読んで、簡単にできるものなのか、それとも一度はやはり主治医の方に、このやり方とかを教わって、ちゃんとできるようになるようにした方がいいのか、そういうことは、御検討はされていらっしゃるのでしょうか。すみません、お尋ねします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。医師等が吸入方法を指導してみて、適切な吸入が難しそうだなと思われる患者に対しては、一度は医療機関において吸入のトレーニングを実施した上で、吸入ができるかどうか確認して、その後に問題なさそうであれば、自宅等で患者自身が投与するという順番になると考えております。
○堀委員 是非そうしていただけると有り難いと思います。患者はいろいろと皆さん、理解度とかも年齢によってもまちまちだと思うので、是非できれば一度、吸入方法や設置方法などを医師より御指導いただけると、患者は非常に安心するのかなと思いました。すみません、以上です。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。
○森部会長 可能でしたら、添付文書7の用法及び用量に関する注意のところで、7.2に「本剤の吸入には」という項目がありますが、ネブライザの使用の所に追記していただく形で、適切な吸入に関する資材を参照していただくということや、医療機関の十分な指導の下に行うといったことを付記していただくと、より丁寧かと思いましたので、この件も御検討いただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。検討させていただきます。
○森部会長 そのほかの方から御発言や御異議はありますでしょうか。それでは、本議題の議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお、佐藤直樹委員、代田委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、本議題への議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 では、続きまして議題5に移ります。議題5につきまして、機構から概要説明の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ヴィアレブ配合持続皮下注につきまして、機構より説明させていただきます。
 資料No.5の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全70ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤はホスレボドパ及びホスカルビドパ水和物を有効成分とする皮下注射用の配合剤です。本邦においてパーキンソン病患者では、通常、レボドパ含有製剤の経口投与による治療が行われ、疾患の進行に伴い、投与量や投与回数の調節が行われますが、経口剤ではレボドパの血漿中濃度の変動が大きいため、運動症状を十分にコントロールできなくなる患者もおります。それらの患者への経腸投与用の既承認のレボドパ・カルビドパ製剤であるデュオドーパは、胃瘻から空腸に直接持続投与することで、血漿中レボドパ濃度を至適治療域で安定させるため、運動症状のコントロールは向上しますが、投与に必要な胃瘻の増設には大きな侵襲を伴います。
 そのような状況から、手術を必要とせず、血漿中レボドパ濃度を至適治療域に維持可能な治療選択肢として、レボドパの持続皮下投与製剤である本剤が開発され、今般、海外臨床試験成績等を基に、医薬品製造販売承認申請されました。なお、本剤の有効成分は、高い溶解度を得るため、レボドパ及びカルビドパのプロドラッグであるホスレボドパ及びホスカルビドパ水和物とされています。本剤は海外では2022年9月現在、欧州8か国で承認されています。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず、本剤の開発計画について、審査報告書41ページ、「7.R.2 本剤の開発計画について」の項を御覧ください。本剤の開発は、進行期パーキンソン病患者において有効性が検証されているデュオドーパ投与時と、本剤投与時のレボドパの薬物動態パラメータの類似性を示し、デュオドーパと同様の有効性を得られることを推定する開発方針がとられました。
 ページは前後しますが、審査報告書21ページ、「6.1.1 海外PK比較試験」の項に示しましたとおり、本剤投与時とデュオドーパ投与時の投与開始後16時間までのレボドパの血漿中濃度推移が類似し、かつ投与開始後16時間までのCmaxとAUCが、生物学的同等性を評価する際の基準の範囲内であることが示されたことから、本剤投与時にデュオドーパ投与時と同様の有効性が得られることが推定可能な薬物動態の類似性が示されたものと判断しました。
 以上の血中濃度の類似性による評価に加え、本剤の有効性については、パーキンソン病患者を対象とした臨床試験で補足的に評価されました。審査報告書28ページ、7.2.1項を御覧ください。経口パーキンソン病治療薬では、運動症状の日内変動を十分にコントロールできないパーキンソン病患者を対象とした、非盲検非対照試験(M15-741試験)が国内外で実施されました。その結果、審査報告書31ページ、表34に示しますように、標準化した1日あたりの平均オフ時間(パーキンソン病症状を有する時間)、有害事象であるジスキネジアを伴わない平均オン時間(パーキンソン病症状がコントロールされている時間)、及び日常生活に支障のあるジスキネジアを伴わない平均オン時間のベースラインからの変化量について、いずれにおいても改善が認められました。
 次に、審査報告書35ページ、7.2.3項を御覧ください。海外では1日400mg相当以上のレボドパの投与を受け、運動症状の日内変動を十分にコントロールできないパーキンソン病患者を対象とした、無作為化二重盲検並行群間比較試験(M15-736試験)が実施されました。
 その結果、審査報告書37ページ、表42に示しますように、主要評価項目である標準化した日常生活に支障のあるジスキネジアを伴わない1日あたりの平均オン時間のベースラインからの変化量について、対照群であるレボドパ・カルビドパ配合錠群と比較して、本剤群で有意な高値が認められました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書44ページを御覧ください。国際共同長期投与試験(M15-741試験)及び海外第III相試験(M15-736試験)において、本剤投与により、注入部位関連事象及び幻覚関連事象が多く認められました。これらの事象の大部分は非重篤であり、無処置又は適切な処置により回復したため、概ね許容可能なリスクと判断するものの、投与中止に至る事象も認められました。そのため、注入部位関連事象については、添付文書の重大な副作用等で注意喚起した上で、本剤を使用する際には、医師や看護師等の医療従事者だけでなく、患者及び介護者も含めて、本剤の使用方法や発生する可能性のある有害事象に対する予防策、及び対処法について十分に理解し、適切な投与と管理が可能と判断された患者のみで、本剤の投与を開始すべきである旨を注意喚起する必要があると判断しました。
 また、幻覚関連事象については、レボドパ含有製剤及びドパミンアゴニストでも共通して認められる副作用であることから、それらの薬剤と同様に添付文書の重大な副作用で注意喚起するとともに、臨床試験における部分集団解析の結果を踏まえて特にドパミンアゴニスト併用例ではその発現リスクが高い旨も注意喚起する必要があると判断しました。
 加えて市販後には、デュオドーパの施設への納入時と同様に、本剤においても納入に際して施設要件(パーキンソン病治療経験の豊富な、脳神経疾患治療を専門とする医師が在籍し、注入部位関連事象の発現時に自施設又は近隣の施設への相談により対応可能な施設)や、出荷要件(施設の関係者がトレーニングを履修している)を設けること、医療従事者向け資材及び患者向け資材等も用いて、注入部位関連事象及び幻覚関連事象の発現状況や、本剤の適切な使用方法等を情報提供することを予定しています。
 さらに、本剤の投与の適否は、これらの安全管理策を実施した上で、本剤の安全性と忍容性を十分に理解して検討するよう注意喚起することが適切と判断し、本剤の注入部位関連事象等による投与中止例が多いという安全性の結果と、注意喚起の内容も踏まえて、本邦の臨床現場に提供することの意義を専門協議にて伺ったところ、専門委員からは、本剤の臨床使用には意義があり、注意喚起も妥当との御意見を頂きました。
 また、注入部位関連事象及び幻覚関連事象の発現状況と、これらのリスク因子については、製造販売後調査等を介して定期的に評価し、得られた情報に基づき、必要に応じて追加の対応を検討いたします。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本品目は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。一つ、この本剤を注入するためのデバイスに関する何か資料等はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 少しお待ちください。
○森部会長 既に頂いている資料の中に含まれていましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 部会用の資料には含めておりませんので、共有させていただこうと思います。
○森部会長 日本で既に使用されているものか、それとも新規のものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 既に使用されているものを、新たにセットにして承認を取ったということになります。
○森部会長 はい、分かりました。何か今、出ていますね。資料の共有はしていただけるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ただいま準備しておりますので、少々お待ちください。申し訳ありません。
○森部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 今、共有したファイルは御覧いただけますでしょうか。
○森部会長 はい、今、拝見しております。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらの資料もかなりボリュームがありますので、ちょっと分かりやすい箇所を探して、この辺りが全体の概要になります。
○森部会長 カニューレを使って注入するのですね。それで注入器が絵の真ん中に載っているものですね。薬剤はその本体の中に。
○医薬品医療機器総合機構 そうです、チューブを介してカニューレに接続しており、1日1回取り替えることになります。
○森部会長 1日1回、取り替えるのですね。分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 1日1回、取り替えるのは薬液の入ったシリンジでありまして、チューブやカニューレにつきましては、最大3日に1回取り替えることになっております。
○森部会長 分かりました。これはある程度、手の巧緻性が保たれていないと、操作は難しいですね。患者さんが自らというより、やはり他者の補助のもとに使用することが前提でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 かなり操作は難しいので、初回投与時は医療機関で実施することを想定しておりまして、トレーニングを経て可能な患者さんは、自宅で行っていくことになるかと思います。患者さん本人以外に家族のサポートを含めて、投与していただくような指導を医療機関で行うことを想定しております。
○森部会長 大変詳しい御説明、どうもありがとうございました。石川先生、特に本件で御意見、御発言ありますでしょうか。
○石川委員 すみません、ちょっと途中で退席していたのですけれども、私は書類を拝見して、特別問題はないかと思っております。
○森部会長 ありがとうございます。幻覚の発現頻度は、やや日本人で多いように見えましたし、中止となった事例も8%ほど見られておりますけれども、今の添付文書上の注意喚起としては、今の内容で十分でしょうか。石川先生、いかがでしょうか。
○石川委員 そうですね、実際には投与する医師からの説明が非常に重要で、そういう意味では妥当ではないかという、妥当というか、それでいいのではないかなと思うのですが、もちろん詳しければ詳しいほどいいのですが、それはそれでまた誤解を招き得るので、よろしいかと思いました。
○森部会長 分かりました。ありがとうございます。今、添付文書を御覧いただきますと、例えば注入部位に関することですと、5.1のところに注意喚起があるのですが、この5.1の近くに幻覚性の関連事象のことも追記するか、若しくは現状の重篤な副作用に関する所の記載でよろしいかということですが、その点は御意見いかがでしょうか。
○石川委員 すみません、5分後ぐらいにもう一回、発言させていただいていいですか。
○森部会長 はい、結構です。
○石川委員 すみません。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。ただいま御指摘がありました5.1項の注意と幻覚の注意を、項を書き分けた審査経緯等を、この間に説明してもよろしいでしょうか。
○森部会長 どうぞお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御説明させていただきます。本剤の幻覚の発現リスクが経口剤よりは高いことは、M15-736試験で直接比較で示されております。また本剤とデュオドーパの幻覚の発現リスクの比較に関しては、直接比較した試験はないのですけれども、デュオドーパ承認時の臨床試験の成績との間接比較では、本剤の臨床試験での発現割合の方が高い傾向ではありました。
 これらの結果も踏まえて、幻覚については十分な注意喚起が必要と判断した一方で、幻覚自体はドパミン含有製剤やドパミンアゴニストに共通したリスクでして、パーキンソン病の治療に精通した医師から見れば、特別なことではないと想定されましたため、5項では、より本剤に特徴的なリスクで、かつ投与中止の原因の多くを占めた注入部位関連事象に着目した注意喚起を記載することとしまして、幻覚については重要な基本的注意の8.3項に幻覚のリスクがある旨、ドパミンアゴニストとの併用でよりリスクが高まる旨、加えて臨床成績の項の17.1.2項に対照群の発現割合も含めて幻覚の発現状況を記載して、本剤群でリスクが高いことが分かる記載とするといった対応が適当と判断し、現行の添付文書案となっております。
○森部会長 ありがとうございます。
○宮川委員 よろしいですか。教えていただきたいのですけれども、幻覚と幻覚関連事象は分けて考えているのでしょうか。それとも幻覚関連事象の中に幻覚も入っているとするなら、そのパーセンテージがどのように添付文書の中に反映されているのか、教えていただきたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。重大な副作用に記載のある幻覚の発現割合、こちらについては幻覚関連事象の一部の事象で丸めた記載となっております。臨床成績の項に記載している幻覚の発現頻度につきましては、幻覚単独の発現状況を記載しているところになります。
○宮川委員 分かりました。妄想とかそういうものは、そこの中に入ってしまうということになりますか。幻覚関連事象として、ずっと挙げているのですけれども、審査報告書の中に、それは幻覚関連事象だから幻覚と一緒に入ってしまうのでしょうか。妄想性障害もその中に入っているのは、幻覚関連事象なのですしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 重大な副作用の方の記載については、幻覚関連事象の一部の事象をまとめた発現頻度となっております。妄想については含まれておりません。
○宮川委員 ありがとうございます。
○石川委員 森先生。
○森部会長 石川委員、どうぞお願いします。
○石川委員 先ほどの御質問に関して、すみませんでした。やはり私は、今、機構の方が御説明くださったとおりでよろしいのではないかなと思います。殊更、もちろん強調するのはいいのですけれども、実際には少量から投与するとか、換算量を計算して投与するというようにされると思いますので、この薬が特別、非常に注意しなければいけないということではないと思いますので、今の段階ではそれで妥当かなと思います。
○森部会長 石川先生、どうも御発言ありがとうございました。そのほか特に御意見ありませんでしょうか。それでは議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことになっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 では続きまして、議題6に移ります。議題6につきまして、機構から概要説明の方をお願いしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品タバリス錠100mg、同錠150mgについて機構より御説明いたします。審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全107ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
 本剤は、脾臓チロシンキナーゼ阻害薬のプロドラッグであるホスタマチニブナトリウム水和物を有効成分とする経口剤です。本剤は、脾臓チロシンキナーゼを阻害することにより、マクロファージに発現しているFcγRを介したシグナル伝達を抑制し、抗血小板自己抗体と結合した血小板の貪食・破壊を抑制すること等により、血小板数の減少を改善するという既承認の同効薬とは異なる作用機序の薬剤です。今般、国内外の臨床試験成績を基に、慢性特発性血小板減少性紫斑病を申請効能・効果として製造販売承認申請されました。なお、本剤は慢性特発性血小板減少性紫斑病の適応症について希少疾病用医薬品に指定されております。以降の説明では、疾患名は審査報告書の記載に合わせ慢性ITPといたします。
 本剤は、海外では既存療法で効果が不十分であった慢性ITPの成人患者における血小板減少症の治療に係る効能・効果について、米国で2018年4月、欧州で2020年1月にそれぞれ承認され、2022年9月時点で31か国で承認されております。本品目の審査概略について、臨床試検成績を中心に御説明いたします。有効性について二つの海外第III相試験及び一つの国内第III相試験で検討されました。まず、審査報告書48ページ、「7.3.1 海外第III相試験」の項を御覧ください。
 一種類以上の標準的なITP治療を受け、効果不十分又は忍容性に問題があると考えられた外国人慢性ITP患者を対象に、国際共同治験としてプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が実施されました。用法・用量は1日2回100mgから投与開始し、投与4週以降は効果不十分かつ忍容性が良好な場合は1日2回150mgに増量することが可能とされ、その後は審査報告書49ページ、表36及び表37に示したとおり、血小板数及び忍容性に基づき用量調節することとされました。その結果、審査報告書51ページ、表38に示したとおり、主要評価項目とされた投与14~24週までの6回の来院のうち、4回以上で血小板数が5万/μL以上を達成した被験者割合は、プラセボ群と比較して本剤群で有意に高いことが示されました。
 同様の試験デザインで実施された別の海外第III相試験においては、審査報告書53ページ、表41に示したとおり、主要評価項目について投与群間で有意差が認められませんでした。これは対象疾患が希少疾病であり、試験計画時点で効果の大きさについて事前情報が限られる中で推定された有効性に基づき例数設計がなされたこと、検討症例数の少ない状況下において、プラセボ群で偶発的にレスポンダーに該当する血小板数の回復を示す患者が含まれたこと等が影響した可能性が考えられました。
 なお、例数設計については、審査報告書48ページ、脚注12にお示ししておりますように、海外第II相試験結果を参考に、Stable platelet responseの達成割合は本剤群40%、プラセボ群5%と見積られておりました。結果として、二つの海外第III相試験のいずれにおいても、本剤群でプラセボ群よりも主要評価項目の達成割合が高い傾向が認められたこと、血小板数に関する副次評価項目についても、本剤群でプラセボ群と比較して改善傾向が認められたこと等から、両試験の成績から総合的に本剤の有効性は示されていると判断し、当該機構の判断は専門委員に支持されました。
 次に、審査報告書54ページ、「7.3.3 国内第III相試験」の項を御覧ください。国内第III相試験としてプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が実施され、実施可能性から症例数が限られたことを除き、海外第III相試験とおおむね同様の試験デザインで実施されました。その結果、審査報告書56ページ、表45に示したとおり、主要評価項目の達成割合の点推定値が計画時の想定どおり本剤群でプラセボ群を上回ったことに加え、副次評価項目についても主要評価項目の結果を支持する結果が認められ、かつ海外第III相試験と同様の傾向が認められたと判断できること等から、日本人慢性ITP患者においても本剤の臨床的意義のある有効性が得られることが示唆されたと判断しました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書72ページ、「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験において、本剤投与により下痢、好中球減少、高血圧、肝機能障害及び感染症に関連する有害事象が多く認められたこと、臨床試験で設定された用量調節基準に基づいた対応を行うことで、多くの被験者で治療継続可能であったこと等から、添付文書においては血液疾患治療に十分な経験を持つ医師の下で使用することに加え、これらの有害事象が発現するおそれがあること、定期的に適切な検査を実施すること、有害事象発現時の用量調節の目安等を注意喚起することが適切と判断いたしました。
 また、本薬の作用機序等を踏まえた、血栓塞栓症の発現リスク及びB型肝炎ウイルスの再活性化リスクについて、国内外の臨床試験において明確な懸念は示されなかったものの、専門委員の意見を踏まえ、潜在的なリスクとして添付文書で注意喚起を行うこととしました。医療従事者向け資材及び患者向け資材等を用いて、下痢、好中球減少、高血圧、肝機能障害及び感染症の有害事象の発現状況、注意すべき検査値や自覚症状、本剤の適切な使用方法等を情報提供することを予定しております。本剤の用法・用量に関連する注意においては、治療上、必要最小限の用量で使用すること、十分な有効性が得られない場合は投与中止を考慮すること等も注意喚起しております。
 製造販売後調査については、本剤が投与された全投与症例を対象に、本剤投与時の安全性等に関する情報を収集する使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本品目は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間を10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。御意見、御発言ありませんでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づいて議決の参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題7に移ります。機構の方から議題7について概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構新薬審査第三部です。よろしくお願いいたします。それでは、議題7、資料No.7、医薬品ラジカット内用懸濁液2.1%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.7の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全61ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤の対象疾患である筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」とする)は、脳及び脊髄の運動ニューロンが選択的に変性・消失し、全身の筋萎縮と筋力低下が生じ、発症後、20~48か月で死亡又は侵襲的換気が必要となる重篤な神経変性疾患です。
 本邦では、本剤と同一のエダラボンを有効成分とした静脈内投与製剤として「ラジカット注30mg」及び「ラジカット点滴静注バッグ30mg」が、「ALSにおける機能障害の進行抑制」等の効能・効果で承認されております。本剤はエダラボンを経口投与可能とした内用懸濁液剤であり、今般、本剤の「ALSにおける機能障害の進行抑制」に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外での承認状況については、本剤は2022年5月に米国、同年11月にカナダで承認されております。本申請の専門委員として資料No.21に記載されている6名の委員を指名しております。本品目の審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 まず、有効性についてです。審査報告書の通し番号で31ページ、表27を御覧ください。ALS患者を対象に、静脈内投与製剤と同程度の曝露量になるように設定された本剤の用量を48週間経口投与し、本剤の長期投与時の安全性を検討する目的で、国際共同第III相試験が実施され、有効性については探索的評価項目としてALSの機能障害の評価指標であるALSFRS-Rスコアが評価されました。その結果、投与24週時及び投与48週時までのベースラインからの変化量は、それぞれ、-5.2及び-9.9であり、ベースラインから24週時までの変化量と、投与24~48週までの変化量に大きな違いはなく、試験期間を通じて本剤の効果の減弱は認められませんでした。
 また、審査報告書の通し番号38ページ、表31を御覧ください。ALS患者を対象とした既承認製剤である静脈内投与製剤のMCI186-19試験(以下「19試験」とする。)のデータとの比較に基づき、本剤の有効性について評価がなされた結果、異なる試験間の比較であるため、その評価には限界がありますが、19試験の二重盲検期にプラセボが24週間投与され、その後の実薬期に静脈内投与製剤が24週間投与されたP/E集団よりも、本剤群でALSFRS-Rスコアの変化量の悪化の程度が小さい傾向が認められており、また、投与24週時までの評価においては、19試験の二重盲検期及び実薬期において、静脈内投与製剤が48週間投与されたE/E集団との比較においても、顕著な違いは認められませんでした。以上の結果等を踏まえ、ALS患者に対して静脈内投与製剤と同程度の曝露量となる本剤を経口投与したときの有効性は示されていると判断いたしました。
 次に、安全性についてです。審査報告書の通し番号で43ページ、表35、また次のページの表36を御覧ください。今般、提出された国際共同第III相試験における有害事象の発現状況と、ALS患者を対象とした静脈内投与製剤の臨床試験における有害事象の発現状況を比較した結果、ALS患者において本剤投与時に新たな安全性上のリスクは示唆されていないことから、静脈内投与製剤の安全性情報も踏まえた適正な注意喚起の下で本剤も使用されることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 また、本剤の臨床的位置付けについて、審査報告書の通し番号で56ページを御覧ください。経口投与可能な内用懸濁液剤である本剤は、ALSに対する新たな治療選択肢となるものであり、医療現場に提供する意義はあると考えております。一方で、既承認の静脈内投与製剤と同様に、本剤においても本剤投与期と休薬期を組み合わせた投与方法であることには留意が必要と考えており、添付文書や医療従事者向け及び患者向けの資材により、注意喚起や投与方法の情報提供を十分に行うようにしております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新投与経路医薬品に該当することから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
○佐藤(直)委員 佐藤です。よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○佐藤(直)委員 注射液静注薬もあり、今回は内服になるのですが、その誤投与等を防ぐことに関して、パッケージや見た目など、その辺の工夫、どのようにそれに対応するか、もし、決まっていれば説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。パッケージについては、資料として外箱の展開図等が共有されていると思います。本剤は経口液剤であり、経口投与用シリンジで投与されることになっております。このシリンジに注射針は装着できないような設計となっており、そういった誤投与のリスクにも対応がなされているところです。
 また、ラベル等、パッケージにも「禁注射」との表示がなされており、そういった経口投与用シリンジを用いて注射をすることがないよう、一定の配慮がなされている状況です。説明は以上となりますがよろしいでしょうか。
○佐藤(直)委員 ありがとうございます。逆に、静注薬を内服させたりというようなことも可能性として否定はできないので、十分、注意していただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、どなたか御意見、御発言はありますでしょうか。
○堀委員 堀です。よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○堀委員 すごく基本的なことで、大変恐縮ですが質問させていただきます。これは通院負担がなくなるということで、介護する人間にとっても患者にとっても、かなり有り難いお薬だと思っております。それで、在宅投与で行われる場合ですが、例えば、これは訪問看護によって医療従事者の方がこれを患者に投与するのか、それとも、御家族の方が投与するなど、どちらを対象にしているのか教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。御質問ありがとうございます。訪問看護又は家族どちらも投与可能と考えております。
○堀委員 ありがとうございます。その場合、例えば、添付文書で7の用法及び用量の所を拝見しますと、8時間絶食後に本剤を服用することや、先ほどおっしゃっていた投与期と休薬期等もありますので、一般の御家族の方が、このお薬を管理する上で留意すべき点の項目がすごく多くて、とても負担になるのではないかと、私は大変心配しています。ですので、先ほど資材については、医師又は介護の方、また、患者向けの資材を御用意なさっていると伺ったので、その内容に関して、一般の患者家族の方がきちんとこの投与ができるかどうかという点を考慮して作っていただいているとは思いましたが、具体的にどのような内容なのか教えていただければ有り難いなと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。資材については、本剤は空腹時投与となりますが、実際に、その投与方法については患者さん向け資材に加え、実際のパッケージの中に説明資材も同梱しており、その中で本剤の投与については休薬期と投与期がかなり煩雑ですので、投与スケジュールが患者さんにも分かりやすいよう例示しながら注意喚起をして、資材を工夫しているところです。
○堀委員 ありがとうございます。今、スケジュールとおっしゃったかと思いますが、できたら、その資材の中で、患者の家族が分かりやすいような、例えば、投与した時間、日にち等、その投与期間と休薬期が分かるようなスケジュールが見やすい、チェックできるような表などがあると非常に有り難いと思いました。もし、よろしければ御検討ください。私からは以上です。
○森部会長 堀委員ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。検討させていただきたいと思います。
 機構ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 患者向け資材については、機構でも、大変、時間をかけて検討しております。実際には具体的なスケジュール表や日にちが書き込める一覧表、何日に投与したら何日は休薬するというような印が付いた表が載っています。投与のタイミングや食事に関しても、食事の内容に応じて何時間空けてくださいというイラストが、患者向け資材には既に記載されている状況になっております。以上です。
○森部会長 御説明ありがとうございました。
○堀委員 ありがとうございました。
○森部会長 本剤は経口投与となっておりますが、これはpHが2.5~5ぐらいで口に入れた際には、どのような風味といいますか、特に不快感等はありませんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々、お待ちください。
○森部会長 無味無臭なものなのか、何かしら。
○医薬品医療機器総合機構 御説明ありがとうございます。pHが2.5~5というところですが、本剤は内服ですので、今回、胃腸障害に関する有害事象について静注とも比較しておりますが、特に、本剤で胃腸障害等の関連事象が比較的多く見られることはないと、データでは確認しているところですが、味についての御質問でしょうか。
○森部会長 そうですね。特に味がなければよろしいのですが。患者さんが実際に服用した際、苦痛に感じることは特にないと考えてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 特に、そういった報告は、臨床試験内では確認しておりませんが、服薬についてアドヒアランスは、ほぼ100%に近いということは確認しているところです。
○森部会長 分かりました。そのほか、委員の先生方から御質問はありませんでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、川上委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づいて議決の参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に、御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 では、続いて議題8に移ります。希少疾病用医薬品に関する議題となっております。議題8について事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、資料No.8、Maralixibat chlorideを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書、最初のページ中段を御覧ください。申請者は武田薬品工業株式会社、予定される効能・効果は、アラジール症候群となっております。アラジール症候群は指定難病であり、対象者数について指定基準を満たしていると考えております。
 次に、医療上の必要性についてですが、アラジール症候群はJAG1またはNOTCH2を責任遺伝子とする常染色体優性遺伝形式をとる肝内胆汁うっ滞症です。本邦ではアラジール症候群に関連する効能・効果を有する治療薬はなく、胆汁酸の再吸収を抑制する本剤はアラジール症候群に対して有用な治療と考えられ、海外第II相試験において、血清胆汁酸の減少等が認められておりますことからも、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。また、先ほど御説明いたしました海外試験に加えて、本邦でも臨床試験が実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の皆様方から御質問ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、川上委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題9も引き続きお願いします。
○事務局 議題9、資料No.9のファイルをお開きください。先ほどと同様、Maralixibat chlorideとなります。こちらは予定される効能・効果は進行性家族性肝内胆汁うっ滞症となります。以下、PFICと略させていただきます。PFICは指定難病であり、こちらも対象者数について指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性についてですが、PFICは先天的遺伝子異常を原因とする常染色体劣性遺伝子形式をとる管内胆汁うっ滞症です。本邦ではPFICに関連する効能・効果を有する治療薬はなく、胆汁酸の再吸収を抑制する本剤は、PFICに対して有用な治療と考えられ、また海外第II相試験において血清胆汁酸の改善傾向が認められていることからも、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。また、先ほど御説明しました海外試験に加えて、本邦においても臨床試験が実施中であることからも、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の皆様方、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。ありませんでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、川上委員におかれましては利益相反に基づくお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題10に移らせていただきます。では、議題10につきまして、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料No.10、ケノデオキシコール酸を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明させていただきます。報告書、最初のページ中段を御覧ください。申請者は藤本製薬株式会社、予定される効能・効果は脳腱黄色腫症になります。以下、CTXと略させていただきます。まず、対象者数についてですが、CTXも指定難病であり、指定基準を満たしていると考えております。
 次に、医療上の必要性についてですが、CTXは一次胆汁酸合成の必須酵素であるCYP27A1の活性が低下する遺伝性疾患です。当該活性低下により血清中のコレスタノール濃度等が上昇することで、コレスタノールが様々な臓器に沈着して障害を引き起こします。本邦では、CTXに関連する効能・効果を有する治療薬はなく、ケノデオキシコール酸を有効成分とする本剤はCTXに対して有用な治療になると考えられます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。また、本邦において臨床試験が実施中であること、また、本剤の投薬により、血清コレスタノール濃度は低値で維持される等の結果が得られており、本剤の開発の可能性も高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いいたします。特段ありませんでしょうか。ちょっと確認ですけど、今、遺伝形式の表記はどちらかを使ってもよかったのでしたか、劣性と潜性という言葉は。
○事務局 「劣性遺伝」については、推奨用語として「潜性遺伝」に移行されているところと認識しております。
○森部会長 潜性遺伝と劣性遺伝は、今、移行期間でしたか。
○森部会長 移行したのですね。案の方は劣性と書いている。今回は潜性と劣性、いずれの記載でも問題ありません。
○事務局 申し訳ありません。
○森部会長 では特段、御意見も御質問もありませんので、議決に入らせていただきます。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようです。指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題11に移らせていただきます。議題11につきましても、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題11、資料No.11、Rilzabrutinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書、最初のページ中段を御覧ください。申請者はサノフィ株式会社、予定される効能・効果は慢性特発性血小板減少性紫斑病、以下ITPです。まず、対象者数について、ITPは指定難病であり、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、ITPは血小板膜糖タンパクに対する自己抗体産生、細胞傷害性T細胞活性化、免疫調整不全、血小板の産生障害等が原因となり、血小板数減少をきたすと考えられる疾患です。本邦ではITPの薬物治療として、副腎皮質ステロイドが第一選択とされ、効果不十分又は忍容性のない症例では、トロンボポエチン受容体作動薬、若しくはリツキシマブの投与、又は脾臓摘出の実施が推奨されております。しかしながら、既存の治療法では、いずれの治療にも効果不十分な症例が一定数存在していることから、新たな作用機序を有する治療薬が望まれておりました。Rilzabrutinibがブルトン型チロシンキナーゼを阻害し、マクロファージに発現するFCγ受容体及びB細胞に発現するB細胞受容体のシグナル伝達を阻害することで、血小板の破壊及び抗血小板自己抗体の産生を抑制することが期待され、海外第I/II相試験では、既存治療歴のあるITP患者においても有効性を示す結果が得られております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について。成人及び12歳以上の小児ITP患者を対象とした国際共同第III相試験に日本からも参加をしており、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、川上委員、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。では、御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題12に移ります。飯島委員におかれましては、利益相反のお申出に基づき、議題12並びに議題13の審議の間、会議から一旦御退室いただきまして、御待機いただくこととなっております。飯島委員におかれましては、御退室をお願いいたします。
──飯島委員退室 ──
○森部会長 それでは、議題12につきまして、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題12、資料No.12、エフガルチギモド アルファを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書、最初のページ中段を御覧ください。申請者はアルジェニクスジャパン株式会社、予定される効果・効能は慢性特発性血小板減少性紫斑病、以下ITPです。まず、対象者数について、ITPは指定難病であり、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、先ほどの議題11でも御説明いたしましたが、ITPについては新たな作用機序を有する治療薬が望まれておりました。本剤エフガルチギモド アルファはヒト胎児性Fc受容体、以下FcRnです。こちらを標的とするヒトIgG1抗体Fcフラグメントであり、内因性IgGとFcRnの結合を競合的に阻害し、内因性IgGのリサイクルを阻害することで、リソソームによる内因性IgGの分解を促進させ、抗血小板自己抗体を減少させることが期待されております。日本人及び外国人のITP患者を対象とした国際共同第III相試験において、有効性が確認されております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について、先ほど御説明しました国際共同第III相試験が終了しており、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題13に移らせていただきます。議題13につきましても、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題13、資料No.13、apadamtase alfa/cinaxadamtase alfaを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書、最初のページ中段を御覧ください。申請者は武田薬品工業株式会社、予定される効果・効能は血栓性血小板減少性紫斑病、以下TTPです。まず、対象者数について、TTPは指定難病であり、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、TTPは血小板の接着及び凝集に関与するvon Willebrand因子マルチマーの切断酵素であるADAMTS13活性の低下により、全身に血小板血栓が形成され、組織の虚血から多臓器の機能不全を引き起こし、死に至る可能性がある疾患です。先天性TTPの効果・効能で承認されている薬剤はなく、また、後天性TTPの急性期の薬物治療では、ステロイド投与が標準療法とされ、更に難治例ではリツキシマブが併用されていますが、先天性、後天性いずれも死亡率は依然として高いとの報告があります。本剤は遺伝子組換えADAMTS13濃縮製剤であり、先天性及び後天性TTP患者のADAMTS13活性を回復させることで急性症状の治療及び発症抑制が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について、先天性TTP患者を対象とする国際共同第III相試験、並びに当該試験を完了した被験者を対象に、本剤の安全性及び有効性を検討する国際共同第IIIb相継続試験が実施中です。また、後天性TTP患者を対象とした海外第II相試験も実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いいたします。抗体が産生される後天性のTTPに関しても、依存治療と併用した形の開発ということですね。そのように理解させていただきました。特に御意見ありませんでしょうか。
 では議決に入らせていただきます。なお、川上委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 では、御退室いただいております飯島委員に入室いただくようお願いいたします。
──飯島委員入室 ──
○森部会長 続きまして、報告事項に移ります。では、報告事項議題1~4につきまして、事務局から御説明の方お願いいたします。
○事務局 まず、報告事項議題1、医薬品マイトマイシン眼科外用液用2mgの製造販売承認について御報告いたします。資料No.14を御覧ください。本剤はマイトマイシンCを有効成分とする用時溶解眼科外用剤です。マイトマイシンCは、線維柱帯切除術等の緑内障観血的手術における、ろ過部位の瘢痕化抑制を目的として使用することが、国内外の診療ガイドラインで記載されている等の状況を踏まえて、日本眼科学会より、緑内障手術時の補助使用に係る開発要望が厚生労働省に提出され、2019年5月に開催された、医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断され、協和キリン株式会社に対して開発要請を行ったものです。今般、協和キリン株式会社から、国内外における臨床試験に関する公表文献、診療ガイドライン等の公表文書に基づき、緑内障観血的手術における補助を効能・効果とする本剤の製造販売承認申請がなされました。この審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題2、イーケプラ点滴静注500mgについて、資料15です。本剤はレベチラセタムを有効成分とする注射剤であり、2014年7月に、一時的に経口投与ができない患者における、本薬経口製剤の代替療法として承認されております。2022年現在の適用は、てんかん患者の部分発作、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない、てんかん患者の強直間代発作に対する、抗てんかん薬の併用療法として承認されております。本剤につきましても、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、てんかん重積状態に対する公知申請に該当する報告書が取りまとめられており、令和4年8月4日に開催された本部会で、事前評価が行われました。今般、当該事前評価に基づきまして、ユーシービージャパン株式会社から、てんかん重積状態に係る効能・効果、用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。この審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題3、スキャンドネスカートリッジ3%について、資料No.16です。本剤、メピバカイン塩酸塩を有効成分とする歯科用カートリッジ製剤であり、歯科・口腔外科領域における浸潤麻酔の効能・効果で、現在承認されております。こちらも、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、歯科領域における伝達麻酔に関する公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和4年8月4日に開催された本部会で事前評価が行われました。今般、この事前評価に基づき、日本歯科薬品株式会社から、歯科・口腔外科領域における伝達麻酔に関する効能・効果を追加する、一部変更の申請がなされました。審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題4、再審査結果について、資料No.17です。今般、再審査の対象となっているのはロミプレート皮下注250μg調整用です。こちらの品目について、製造販売後調査等に基づいて再審査の申請が行われ、審査の結果、承認拒否事由のいずれにも該当しない。効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要のないカテゴリー1と判断されております。以上です。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは報告事項議題1~4については、確認を頂いたものとさせていただきます。本日の議題は以上です。事務局から何か報告がありますか。
○事務局 次回の部会の予定につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。大変長時間の御議論、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)