2023年5月30日 第13回「精神障害の労災認定基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和5年5月30日(火) 18:00~20:00

場所

厚生労働省専用第22~24会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
厚生労働省:事務局

議題

  1. (1)精神障害の労災認定の基準について
  2. (2)その他

議事

議事録

○本間職業病認定対策室長補佐 定刻となりましたので、第13回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、会議に御出席いただき、ありがとうございます。
 今回は、座長の黒木先生、品田先生、丸山先生、吉川先生以外の先生方につきましては、オンラインでの御参加となってございます。
 また、三柴先生におかれましては、遅れての御参加との御連絡をいただいているところでございます。
 初めに、事務局で人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 補償課長の児屋野です。
○児屋野補償課長 児屋野です。よろしくお願いします。
 職業病認定対策室から引き続きでございますが、よろしくお願いします。
○本間職業病認定対策室長補佐 職業病認定対策室長の水島です。
○水島職業病認定対策室長 水島です。どうぞよろしくお願いいたします。
○本間職業病認定対策室長補佐 ありがとうございます。
 なお、本日、梶原審議官におかれましては、所用のため、欠席となってございますので、御了承願います。
 オンラインで参加される方に発言の際のお願いでございます。
 マイクのミュートを解除した上で、お名前と「発言があります」旨の発言をしていただくか、または、メッセージで「発言があります」と送信してください。その後、座長から「誰々さん、お願いします」と指名がございますので、その後に御発言をお願いいたします。
 検討会に先立ち、傍聴されている皆様にお願いがあります。携帯電話などは必ず電源を切るかマナーモードにしてください。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中はこれらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。
 万一、留意事項に反するような行為があった場合には、この会議室から退室をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。
 写真撮影等はここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いいたします。
 次に、本日の資料の御確認をお願いいたします。
 本日の資料は、資料1「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」。
 資料2「第12回検討会の議論の概要」。
 参考資料といたしまして「団体からの意見要望」となってございます。
 本検討会はペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットで資料の確認をお願いいたします。
 それでは、座長の黒木先生、以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○黒木座長 それでは、始めます。
 今回は資料1「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」について検討いたします。
 令和3年12月から1年以上にわたって様々な視点から検討してきた内容を踏まえ、事務局で報告書案の形で取りまとめたものになります。
 用意された報告書案は、大きく、ⅠからⅩに項目が立てられております。
 本日の検討では、幾つかのパートに分けて検討を進めていきたいと思います。
 初めに「Ⅰ はじめに」「Ⅱ 精神障害の現状」について検討します。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、事務局のほうから、資料1の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」について御説明をいたします。
 先ほど黒木先生から御指摘がございましたように、幾つかに区切って、御説明をさせていただき、御議論をいただければと存じます。
 まず初めに、ⅠとⅡについてのみ御説明をさせていただきまして、その後、御議論をいただければと考えてございます。
 なお、資料の全体でございますけれども、資料2は前回の議事概要、参考資料は全国労働安全衛生センターからいただきました意見要望となりますけれども、こちらについては御説明を割愛いたしますので、適宜御参照をお願いいたします。
 それでは、資料の1でございます。
 1ページ目が目次となってございまして、10章に分かれていることが1ページ目、2ページ目の目次で見て取れるかと思います。
 PDFでは3ページ目からページ番号1を打ってございますけれども、そちらが「Ⅰ はじめ」にという形になります。
 「Ⅰ はじめに」と「Ⅱ 精神障害の現状等」について、御説明をさせていただきます。
 まず「Ⅰ はじめに」です。
 ここは、この検討会の開催の背景あるいは検討状況、検討の視点をまとめたものとなってございます。
 平成23年や令和2年の検討会の報告書の冒頭でも、こういった内容について記載をしているところでございます。少し章立ては整理をしてございますが、いろいろな検討会報告書に、通常置いている項目になります。
 この検討会では、こういった章立てで御議論をいただくのは初めてということになりますので、御確認をいただければと思ってございます。
 まず、検討会の開催の背景でございますけれども、開催要網にも記載いたしまして、また、これまでの御議論の中でも言及がございましたとおり、現行の認定基準は平成23年に策定したものでございますけれども、その後の請求件数は、どんどん増加してきている状況にございます。
 その背景には、働き方の多様化あるいは職場環境の変化などの社会情勢の変化があると考えられるところでございまして、認定基準の策定から10年あまりが経過いたしましたところで、最新の医学的知見を踏まえた検証、多角的な検討が必要であるということで、先生方に御参集を賜り、御検討いただいたところでございまして、その旨を記載してございます。
 そして「2 検討状況」のところにありますとおり、第1回以降、認定要件ですとか、業務における心理的負荷評価表の内容をはじめとしまして、認定基準の全般について、最新の医学的知見を踏まえた検討を行っていただいた経過を整理してございます。
 「3 検討の視点」でございます。
 まず(1)として現行の平成23年の認定基準の策定の経緯を整理してございます。
 本文のほか、次の2ページ目には、表という形で経過を整理してございますけれども、本文のほうを見ていただければと思います。厚生労働省が、昭和59年の2月に、設計技術者に生じました反応性うつ病を業務上と認定して、その旨を通達で示した。そういったものが示されたことがスタートとなってございます。
 厚生労働省のほうでは、しばらくは個別判断で決定をしておったところでございますけれども、その後、平成11年に判断指針というものを示しまして、業務上外の考え方が具体的に示されることとなったところでございます。
 その頃は、「その他業務に起因することの明らかな疾病」という形で、労災認定がされてございましたけれども、平成22年に労働基準法の施行規則別表に例示列挙されたところでございます。
 この例示列挙されたことですとか、11年以降、どんどん請求件数が増えていたことなども踏まえまして、専門検討会で御議論をいただき、その報告書を踏まえまして、平成23年に現行の認定基準が策定されたものでございます。
 この基準で現在も業務上外の判断を行っているところでございますが、(2)のところですけれども、令和2年にパワーハラスメント防止対策が法制化されたこと等に伴ってパワーハラスメントの出来事を追加したという改正がなされています。
 同じく令和2年に、法改正で、労災保険法の改正で、複数業務要因災害という新たな給付が設置されたことに伴いまして、これに対応した改正がなされています。こういった状況を(2)のほうに記載してございます。
 (3)が、今回の検討会で御検討いただきました検討の視点でございます。
 冒頭御説明しました背景を踏まえて、厚生労働省のほうでは、令和2年度にストレス調査、それから文献収集、これらを委託事業としてお願いしたところでございます。
 この検討会におきましては、そういった最新の医学的知見を精査いただきまして、さらに個別の決定事例ですとか、裁判例等も御確認をいただきまして、認定基準の全般にわたって、現在の基準の妥当性を検証していただいたということ、認定基準全般に多角的かつ詳細な検討を行っていただいたという検討の視点を示してございます。
 簡単でございますが、まず「Ⅰ はじめに」については、以上でございます。
 続きまして「Ⅱ 精神障害の現状等」についても、併せて御説明いたします。
 こちらについては、元としましたのは、第1回、第2回の検討会で御検討いただきましたデータでございます。
 この案に示しているもの以外にも、お示しをしたデータがございますけれども、お示しをしたもののうち主要なものにつきまして、直近のデータを追加して案とさせていただいてございます。
 Ⅱ章は、大きく1と2に分けてございまして、1は、労災に限らない精神障害あるいは自殺全体についての状況を記載してございます。
 2のほうは、労災保険制度における精神障害の状況となります。
 まず、4ページ目、患者調査の状況を示してございます。こちらは、3年に1回の調査でございまして、第1回の検討会では、29年までのデータを示してございましたけれども、こちらには令和2年のデータを追加して示してございます。
 一日当たりの受診者数の推計ということで、患者総数ではございませんが、近年は50万人強の水準で推移しているデータとなってございます。
 続いて、5ページ目でございます。
 この検討会でも御指摘をいただきまして、第2回のほうで御確認をいただきました、協会けんぽのデータということになりますけれども、健康保険の状況でございます。
 傷病手当金を受給されている方、すなわち傷病により会社を休業されている方のうち、精神障害による休業をされている方は、直近の令和3年の数字では約33%、32.96%という状況でございます。ここ10年間、毎年少しずつ増えている状況にあるところでございます。
 続いて、6ページ目と7ページ目は、自殺の状況でございます。
 6ページ目は、自殺者数の年次推移でございます。こちらは、最新が令和4年の数字となってございます。
 自殺者数につきましては、平成21年以降は、毎年減少しておったところではございますが、令和2年には、前年より増加となりました。
 また、令和4年につきましても、前年より増加になってございまして、令和4年の数字を見ますと、年間で21,881人の方が自殺をなさっていらっしゃる状況となってございます。
 女性については、3年連続の増加、男性は13年ぶりの増加という形になっております。
 総数としましては、男性のほうが女性より多く、男性の自殺者は女性の約2.1倍となっているところでございます。
 続いて、7ページでございますが、自殺された方の原因や動機についてでございます。
 7ページのグラフは、青い部分が勤務問題を原因・動機の一つとして自殺をされた方の人数になります。
 令和4年は、2,968人という数字になってございます。動機の中では、4番目に多い理由となってございます。
 なお、このグラフは、令和3年と4年の間に赤い点線を引いてございますけれども、令和4年から統計の取り方が変更となってございます。それについては、注のほうに記載をしてございますけれども、令和3年までは、遺書などの資料がある場合に限り、お一人当たり3つまでの理由をカウントしていた。令和4年からは、御家族のお話なども含めて、幅広に理由を推定することとされまして、また数もお一人当たり4つまで計上可能となったということでございます。
 このため、3年と4年のデータ、3年以前のものと4年以降のものを単純に比較することはできませんけれども、令和4年で勤務問題を理由の一つとして自殺された方は、約3,000人といった状況となっているところでございます。
 続きまして、8ページ、9ページは、労災保険の状況でございます。
 8ページのグラフは、精神障害の労災補償状況ということで、毎年私どものほうで公表しているものとなります。
 現時点では、令和3年度までの数字が取りまとまっておりますけれども、青い棒グラフが請求件数でございます。こちらは、非常に大きく増加傾向にあるところでございます。
 そして、請求も増えておりまして、支給、不支給を合わせた決定件数も増えておりまして、赤い棒グラフは支給決定の件数でございます。こちらも、近年増加傾向にあるところでございます。
 緑のところは、支給決定のうち自殺、未遂の方も含んでおりますけれども、うち自殺の件数となってございます。
 そして、本文のほうには、業種、職種、年齢別の状況も示しているところでございまして、平成23年から令和3年度までの11年間を足して内訳を見ますと、業種では「製造業」が一番多くて、次いで「医療、福祉」。職種ですと「専門的・技術的職業従事者」が一番多くて、次いで「事務従事者」。年齢別ですと、40代が一番多くて、次いで30代、20代という形になってございます。
 その次からは、訴訟の状況でございます。
 本文は8ページで、グラフは9ページとなってございます。
 9ページのグラフを見ながら御説明をさせていただければと思いますけれども、新規提訴件数が青の折れ線となってございます。
 年によって増減はございますが、年間30件から50件ぐらいが新規に提訴されている。行政の行った不支給決定に納得がいかれないということで、訴訟が起こされているということでございます。
 そして、赤のほうが判決件数でございます。判決のほうは、地裁、高裁、最高裁とあり得るところでございますので、新規提訴件数よりも多くなってございます。年間当たり50件から70件程度という数となってございます。
 一番下の緑の折れ線グラフが、請求認容判決、すなわち国敗訴の事案の数となってございます。
 大体一桁で推移をしているところでございますけれども、平成23年以降で見ますと、平均的には年6件程度、判決全体における割合としましては、9.6%となっているところでございます。
 「Ⅱ 精神障害の現状等」についての御説明は、以上でございます。
 ⅠとⅡにつきまして、併せて御議論をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございます。
 事務局から「Ⅰ はじめに」「Ⅱ 精神障害の現状等」について御説明がありました。Ⅰ、Ⅱを通じて御意見、御質問があれば、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 丸山先生、何かありますか。
○丸山委員 では、確認したいのですが、3ページの真ん中辺に「治ゆ(寛解)」という言葉がありますが、1つの報告書で用語の使い方は統一したほうがいいと思うのですが、大体後で出てくるのは「治ゆ(症状固定)」で出てきますけれども、ここの部分は、特にこうしておいたほうがいいのでしょうか。
○黒木座長 いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 こちらは、もともとの委託事業のときに、こういった形でお願いをしていたことから、このように一旦させていただいたところでございますが、御指摘はごもっともでございますので、今の御指摘を踏まえて、次回には修正をさせていただきたいと思います。
○黒木座長 ありがとうございました。
○丸山委員 あと、幾つかの図表が挙がっていますが、多分内容としては、それぞれの報告書で書いてあるのでしょうけれども、図によっては男女が示されていないものがあったり、そういう違いがあります。
 例えば、1つ目の精神障害及び自殺の現状、特に推計患者数は、多分女性のほうが多いのではないですかね。だから、元の図がこういう図しかないのであれば、そういうコメントをつけていただくとかして、ある程度それぞれの図の中の違いが分かるように統一してもらったほうがいいかなと思いました。
 特に労災の関係で言えば、かなり男女の違いといいますか、それごとに数字を挙げていますし、特に就業状態で言えば、正規、非正規、実際には、ほとんどと言ってもいいぐらい正規がかなり多いですね。そういったコメントも、どこかつけていただいたほうが、より見方がはっきりするのではないかと思いました。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 その辺は、どうでしょうか。性差、雇用形態とか、コメントができるかどうか。
○西川中央職業病認定調査官 まず、男女の関係でございますが、患者調査のデータも再度確認をいたしまして、お示しが可能であれば、検討させていただきたいと思います。
 労災のほうでも、男女をいつから示していたか確認をした上で、どういった形で示せるか、グラフが既に1つのグラフに3要素書いてございますので、本文での対応ということになるかも分かりませんけれども、そこも含めて、確かにそれぞれのグラフで示しているものに、あまり齟齬がないようにという御指摘かと思いますので、御指摘を踏まえて対応をさせていただきたいと思います。
 また、就業形態につきましても、労災保険のほうにおきましては、就業形態別の決定を示しておりますので、こちらも本文のほうで対応できるものは、対応をさせていただきたいと考えます。
 よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかには、いかがでしょうか。
 品田先生、何かございますか。
○品田委員 では2点で、1点目は「Ⅰ はじめに」のところの文脈において、少し日本語として訂正したほうがいいと思うところがあるということで、細かいことですので、これは、あとで事務局のほうに御相談をさせてもらいたいと思います。
 もう一点目は、皆さんどう思われるか、Ⅱの表題ですけれども「精神障害の現状等」と、また「1 精神障害及び自殺の現状」となっているのですが、中身を見ると、精神障害者もしくは精神障害患者のこと及び自殺者のことを言っているので、精神障害という概念が問題となるⅢ章以降はいいと思うのですが、Ⅱ章の表題としては、精神障害患者の現状等とすべきかなと。
 さらに、その後の1は、精神障害患者及び自殺者の現状という気がするのですが、2以下はいいと思うのですけれども、この辺、皆さん、どういう印象を持たれますでしょうか。
○黒木座長 いかがですか。
 確かに品田先生がおっしゃるように、精神障害というよりも精神障害者の現状、精神障害者及び自殺者の現状というほうが明確にはなると思います。
 事務局のほう、何かございますか。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘を踏まえつつ、また、先生方とも御相談をさせていただきまして、対応を検討させていただきます。
○黒木座長 これは事務局で検討させていただくということで、よろしいでしょうか。
○品田委員 はい。
○黒木座長 そのほかには、いかがでしょうか。
 ほかにはどうでしょうか、先生方いかがでしょうか、何かコメントなり、御意見なりはございますか。
 小山先生、どうぞ。
○小山委員 できるだけ精神科は、不適切用語排除という方向で動いておりますね。そうなれば、今のところ精神障害という言葉は使ってはいるのですけれども、特に疾患などになったら、括弧して精神疾患という言葉を括弧づけで入れてあったりしておりますし、それから、精神障害者数の類推というところも、精神疾患を有する患者数の推移という言葉で、厚労省は、たしか書いていたと思いますので、精神障害の言葉をどうするのかというのは、大きな問題なのですけれども、少し検討していただければと思います。
 できるだけ精神障害という言葉を使わないようにということで、今のところは、精神障害と精神疾患もほぼ同義に使っていますので、DSM-5の表題も精神疾患の分類と診断の手引き(2014年)になっている。精神障害(精神疾患)というような記載をしているところもありますので、特に病気の説明のところなどは、精神障害の特性とか、種類ではなくて、精神障害(精神疾患)と記載してはと思いますが、いかがなものでしょうか。ご検討ください。
○黒木座長 ありがとうございます。
 何かこれについて、御意見はございますでしょうか。
 丸山先生、何かありますか。
○丸山委員 多くの精神科医が入っている日本精神神経学会というのがありますけれども、そこで用語委員会が、こういった議論は常々やっていますので、現在どういう用語の使い方をしているかということを確認した上で、決めていくのがいいと思いますが、いかがですか。
○小山委員 すみません。その用語委員会の一員ですので、精神障害の障害という言葉を使わないようにということで、病名の障害も~症というように病名を変えていこうという動きがあります。
 そういう意味で、精神障害の分類というときも、精神障害と精神疾患は、ほぼ同義語として使いますので、精神障害を使う限り、括弧して病気のとき、精神疾患という言葉を入れてみるのも、一つの手かなと思いますので、検討してみてください。
○黒木座長 ありがとうございます。
 確かにICD-10、DSM-5では障害、ICD-11では、この障害をなくして症にしようという動きがあることも事実ですので、そのことも踏まえて、丸山先生の提案もありましたので、事務局のほうで、また、これも検討をさせていただくということで、よろしいでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 方向性としては、できるだけ障害という言葉を使わないという考えはあるかと思うのですけれども、ただ、法律というか、労働基準法の施行規則の別表の文言として、精神障害という言葉を使っておりますので、それに従うと、法律用語として、認定基準においても精神障害という言葉を今のところは使わざるを得ないのではないかと思うのです。
 そうしますと、あまりこの報告書の中で、精神障害と精神疾患という言葉が混在することで、かえって読む人に混乱をもたらしてしまわないかということに、少し懸念を持ちました。
 ですので、長期的には、障害という言葉を使わないという方向で整理をしていくこと、全体を統一する形で整理をしていくことができればいいのかなと思うのですけれども、あまり言葉が混在しないようにしたほうがよいのかなと、施行規則の別表の文言と統一する形で、この報告書は考えたほうがよいのかなというのを一つ思いました。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。小山先生、どうぞ。
○小山委員 中野先生の言われたとおり、法律上は精神障害という言葉を使っておりますので、今、全体を変えるわけにはいきませんが、近年の流れですのでどこかで簡単に精神障害と精神疾患の言葉のつかいかた(疾患、疾病、障害の定義も必要なのでしょうが)の説明を入れ、病気・疾病に関しての説明の箇所は、精神障害(精神疾患)と記載するのはどうかとの提案で、ご検討ください。
 近々には、ICD-11も出てまいりますので、そのときにと言っているよりも、今回、せっかく新しい視点での報告書を出すので、精神障害で、かなり病気の説明をしているところもありますので、その箇所には、括弧して精神疾患を記載した方が、一般の方にもいわゆる障害でなく病気として理解されるのではないでしょうか。
 先ほども言ったように、厚労省の患者統計も精神疾患を有する患者数のという表現をしていますし・・・。
○黒木座長 ありがとうございます。
 今、小山先生がおっしゃったこと、それから中野先生がおっしゃったこと踏まえて、一応事務局のほうで検討をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に進んでよろしいでしょうか。
 それでは、次に「Ⅲ 精神障害の成因と業務起因性の考え方」「Ⅳ 対象疾病等」について検討します。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 報告書案のⅠとⅡについて、御議論ありがとうございました。
 次に「Ⅲ 精神障害の成因と業務起因性の考え方」「Ⅳ 対象疾病等」について、御説明をさせていただきたいと思います。
 ここからは、Vのところと、まとめのところを除きまして、前回第12回において、これまでの議論の整理ということで御議論をいただいてございます。そちらをベースに案を作成しているものということになります。
 それでは、まず「Ⅲ 精神障害の成因と業務起因性の考え方」についてでございます。
 10ページから「1 精神障害の成因」です。
 冒頭部分、精神障害の成因は単一のものではなく、疾患により程度の差はあっても、様々な要因(環境由来の要因と個体側の要因)が組み合わされて発病するということ。また、精神障害の発病に至る原因の考え方として、これまでどおり、ストレス脆弱性理論によることが、現時点での医学的知見に照らして妥当という、これまでの御議論であったことから、その旨につきまして、ストレス脆弱性理論の説明や第1回での資料でも御提示をいたしました3-1の図などと併せて記載をしているところでございます。
 11ページのところでございますけれども、精神障害の生物学的側面について、参考という扱いでございますけれども、近年の医学的知見の状況ということで、生物学的分野での研究も非常に進んできていることについても言及しておくことがよいのではないかとの、座長の黒木先生からの御指摘もありまして、どのような研究が進み、どのような報告があるのかといったことについて、少し記載をさせていただいてございます。
 生物学的分野の研究は、非常に多岐にわたりますので、ここに全てを記載できるものでもございませんし、また、この中にも記載しておりますように、研究は盛んに行われておりますけれども、まだ、いまだ解明されていない部分も多く、労災の認定要件に直接影響を与えるということでも、現時点ではございませんけれども、こういった研究が様々行われていることについて、近年の知見の状況として重要なものと考えられるということから、参考として黒木先生と御相談させていただいた上で、記載をさせていただいているものでございます。
 先ほどの小山先生の御指摘も、この辺り、疾病としての精神障害に関する記載がある部分の御指摘と思って伺っておったところでございます。
 続きまして、12ページでございます。
 「2 業務起因性の考え方」でございます。
 前回の検討会でいただいた御指摘を踏まえまして、記載ぶりを少し整理させていただいております。
 ストレス脆弱性理論に依拠して精神障害の業務起因性を判断するに当たっては、精神障害の発病の有無等についての医学的判断を得た上で、業務による心理的負荷の有無、程度、業務以外の心理的負荷や個体側要因についても確認する必要があると、書きぶりを少し修正して記載をしてございます。
 その上で、次の段落でございますけれども、精神障害が発病しており、評価機関において業務による強い心理的負荷が認められ、業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められない場合には、業務起因性が肯定されるということを記載してございます。この部分が認定要件にもなってくるかと存じます。
 一方で、業務による強い心理的負荷が認められない場合や、業務による強い心理的負荷があったとしても、明らかに業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したと認められる場合には、業務起因性が否定されることになります。
 続いて「3 心理的負荷の客観的評価の検討」のところでございますけれども、こちらも前回の検討会でいただいた御指摘を踏まえまして、記載ぶりを整理、拡充しているところでございます。
 まずは、(1)のところで、ストレスとは何かといったことについて、記載をしてございます。
 (2)でございますけれども、そのうち、職業性のストレスを理解するためのモデルについても、様々議論、研究をされているところでございますので、そのうち代表的なものを示しているところでございます。
 特にアメリカの国立労働安全衛生研究所、NIOSHの職業性ストレスモデルにつきましては、図を示しまして、少し詳しく記載をしているところでございます。
 続いて(3)のところは、ライフイベント研究についてでございます。
 前回の議論の整理におきましては(1)の中で、ライフイベント研究についても触れておったところでございますけれども、労災の認定基準におきましては判断指針の頃から、こういった研究を踏まえて心理的負荷評価表を作成いたしまして、これにより業務による心理的負荷を評価してきたところがございますので、別項として少し詳しく記載をしているところでございます。
 最後(4)でございます。
 こちらは、前は(3)であったところでございますけれども、(4)といたしまして、業務起因性の判断における心理的負荷の客観的評価という表題としてございます。
 ストレス要因をどう受け止めるかということについては、個人によって異なりまして、どのようなストレス反応を生じるかということも、個人によって異なると、この辺り(1)のところでも触れているところでございますけれども、(4)のところにも記載をさせていただいてございます。
 ただ、労災保険において業務金性を判断する際に、精神障害の成因をストレスの大きさと個体側の反応性、脆弱性との関係で理解していくということに当たりましては、このストレスの大きさは、客観的に判断されなければならないということを記載しているところでございます。
 そして、前回の議論の整理におきましては、この部分に、客観的に判断されなければならないからということで、評価の基準となる同種労働者についての記載も一部しておったところでございますけれども、先般の御議論を踏まえまして、記載が重複しているという御指摘もございましたので、ここでは、客観的な評価が必要という記載までといたしまして、一方で、どのように客観的に評価するのかという点、すなわち同種労働者についての議論については、第Ⅴ章のほうに記載する形で整理をし直しているところでございます。
 Ⅲについては、以上でございます。
 続きまして、17ページの「Ⅳ 対象疾病等」です。
 こちらは、基本的に前回御議論いただいた議論の整理と、大筋同じ記載内容となってございますけれども、幾つか異なる点がございますので、そこを中心に御説明をさせていただきます。
 まず「1 対象疾病」でございます。こちらについては、ICD-11の日本語訳が確立していない現状では、現行の認定基準と同様に整理するということを、これまで御議論いただきまして、そのまま記載をしておるところでございますが、こちらも参考といたしまして、ICD-10の精神障害の分類につきまして、特に業務に関連して発病する可能性のある分類に関して記載をしているところでございます。
 次の18ページ「2 発病等の判断」につきましては、ほとんど前回の議論の整理でまとめていたものと同じような内容となってございます。
 「3 発病時期」についても、18ページから19ページの第1段落までは、前回の整理のものと同じでございますけれども、19ページの2つ目の「さらに」の段落を追加という形にしてございます。
 これにつきましては、もともと業務による心理的負荷の評価期間の留意事項として、これまで御議論をいただいた内容を移動してきたものでございます。
 心理的負荷の評価期間の留意事項の御議論を前回いただいてございましたけれども、そこに挙げておりました、特に強い心的負荷となる出来事を体験した場合に、解離等の心理的反応により受診時期が遅れることがあるが、その場合、当該反応が生じた時期の前おおむね6か月の出来事を評価することを示しており、これは現行の認定基準にもある留意事項でございますが、これを示して御議論いただいていたところですけれども、今の記載ぶりが、特に強い心理的負荷となる出来事を評価対象から漏れないようにという趣旨が、うまく書けていないのではないかといった御指摘を賜ったところでございます。
 御指摘を踏まえて案を検討するに当たりまして、この留意事項の基となりました23年の検討会の報告書、特にセクシュアルハラスメント事案についての分科会報告書の内容等も再度検討いたしまして、これにつきましては、特に強い心理的負荷となる出来事の直後に、こういった反応が起こると。そういったことであれば、その反応が起こった時期、要するに出来事の直後の時期が発病時期と判断されると。それであれば、その出来事は評価対象になるという趣旨も含めまして、この発病時期のところに記載をする形で、案として御提示をさせていただくものでございます。
 続きまして、19ページ「4 精神障害の悪化と症状安定後の新たな発病」についてでございます。
 (1)(2)(3)とも、議論の整理で御確認いただいたもの、第10回の資料で御議論をいただいたものと、おおむね同じ趣旨の記載となってございますけれども、(2)のところ、なるべく分かりやすい、伝わりやすい記載とするために、冒頭部分、少し記載を修正してございます。
 精神障害を発病して、治療が必要な状態にあるものは、一般にこういう状況にあるということを書いてございます。ここは、労災に限らず精神障害の一般論の記載となります。
 もともとの案、現行の23年の報告書にも書いてあったものでは、冒頭に業務以外の原因や業務による弱い、強と評価できない心理的負荷により、精神障害を発病してというような記載となってございましたが、ここは、先ほど申し上げましたとおり、労災に限らない一般論の記載となりますので、その記載を削除してございます。
 その代わりに、4行下でございますけれども「場合もあることから」の後ろですが「業務起因性が認められない精神障害について」という記載を補ってございます。
 こちらのほうは、悪化の業務起因性を論じる部分、次のページに、直ちに業務による出来事が、悪化の原因であると判断することができないという話につながりますけれども、ここはそういった形で悪化の業務起因性を論じる部分でございますが、当初の精神障害が業務外のものであるからこそ、悪化の業務起因性が問題になるものでございますので、冒頭で削ったものを、こちらに持ってきたという修正をしてございます。
 「(3)症状安定後の新たな発病」につきましては、議論の整理に記載していた事項を記載してございますけれども、最後のなお書きの段落、第10回の検討会におきまして、療養、治ゆ等に関する論点として御議論をいただいたものでございます。
 「対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必要な状態が生じた場合は、新たな発病と取り扱い、改めて認定要件に基づき業務上外を判断する」というものでございます。
 こちらについて、場所としては、ここに記載をさせていただく形にしているところでございます。
 21ページの「5 自殺の取扱い」につきましては、現行認定基準の内容を維持するといった内容で、これまで御議論をいただきまして、議論の整理もしておりますので、そのような記載をしてございます。
 大きなⅢとⅣについての御説明は、以上でございます。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から「Ⅲ 精神障害の成因と業務起因性の考え方」「Ⅳ 対象疾病等」ということについて御説明がありました。
 Ⅲ、Ⅳを通じて御意見、御質問があれば、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 吉川先生、どうぞ。
○吉川委員 吉川です。
 Ⅲのところでコメントをさせてください。今回の検討に当たって、かなり最新の職業性ストレスのモデルなどが、丁寧に解説されていて、特に、また、ワークエンゲージメントなどの最近の概念についても触れられている形で、最新の医学研究に基づく情報が盛り込まれていると思います。
 一点、少し気になりますのは、ストレス脆弱性理論のところに関して、図の3-1のところで、大熊先生の情報から、脆弱性モデルの引用があるのですけれども、やはりストレス脆弱性理論に関して、何らかの文献を適切に入れておくことで、それがどういうものに基づくのか理解が進むように思いました。
 この辺り、精神科の先生から御助言をいただきながら、少し文献について追加をしたらいかがかと思います。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 この件に関しては、丸山先生、何かありますか。
○丸山委員 まず、この原典、Zubinがこういう考えを示したということがありますので、その文献を引用した上で、大熊先生の文献も引用するということでいかがですかね。
 大事なのは、この図なのですけれども、少し表現が気になるところがあって、注の「a、b、c、d、eはいずれも精神障害の発病ラインを示す」とありますけれども、a、b、c、d、eは点であるので、ラインを示すというのが、表現としては少し違和感を感じました。
 それから、文中の上から8行目に「逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする考え方である」とありますけれども、Zubinが一番言いたいのは、脆弱性が大きいとされているようなものであっても、心理的負荷は何らか関係しているのだというところが大事な点なので、逆にという話ではなくて、今、言ったような表現をしておいたほうが妥当かと思いますが、いかがでしょうか。
○黒木座長 ありがとうございます。
 そうすると、先生、ここは具体的にどう変えればよろしいですか。
○丸山委員 前半の審理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性は小さくても、精神的破綻が起こるし、また、脆弱性が大きいとされる精神疾患であっても、何らかの心理的負荷が関与しているということが、この脆弱性理論の大事なところかと思います。
 つまり、この論文は、1977年に出たのですけれども、そのとき、非常に話題になったのは、それまでは、例えば、統合失調症は、かなり素因といいますか、そういったものが強いと考えられてきましたけれども、Zubinでは、そうではなくて、そのように考えられてきたものであっても、やはりストレスの関与があると。相対的には少ないけれども、その点が非常に大事なのだという意見を述べました。それが非常に、その後の展開に大きな意味があったと思います。
 ですから、もともと、例えば不安障害であったり、気分障害であったり、そういうものは相対的には、脆弱性ももちろんありますけれども、いろいろな環境因子、ストレスの度合いによって発症しやすいということが言えるといいますか、以前から言われてきたわけですけれども、今言ったようなことを指摘したところが、Zubinは、脆弱性理論と言っていますけれども、そのモデルの大事なところだと思います。
○黒木座長 労災保険の労災認定の基本的な考え方の部分なので、少し分かりづらくなってもいけないので、ここをどういう表現にするかというのは、少し慎重に考えたいと思いますけれども、何か御意見はございますでしょうか。
 荒井先生、いかがでしょうか。
○荒井委員 いわゆる内因性の精神障害を見ていても、小さなストレスはあるということは、確かにその確認はできるのですけれども、脆弱性を確定できる疾患自体が、まだ精神科領域ではそう多くはないので、ここのところは、やはり脆弱性が高い場合には、小さなストレスによっても発病することが一般常識になっていますので、私は、今、丸山先生が御指摘になった点は、意味は分かるのですけれども、この図は概念図ですので、要するに、脆弱性が高ければ、非常に微細な心理的負荷によっても発症が起こるという考えで、今まで考えてきたので、よろしいのかと思っております。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。田中先生、いかがでしょう。
○田中委員 私も荒井先生と同じような考えです。
○黒木座長 ありがとうございます。小山先生、御意見ございますか。
○小山委員 私も荒井先生と同じ考えです。
 確かに最近、うつ病という内因性の疾患であっても、そういう脆弱性が強くても、心理的な負荷で発症してくることがあると分かったと出ていますけれども、元の概念図は、このままでいいのではないかなと思っています。
○黒木座長 ありがとうございます。
 それでは、ここは、丸山先生に指摘されたことが非常に重要で、学術的には本当によく分かるのですけれども、事務局のほうで、また再度検討していただくことにしていただいて、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかには、いかがでしょうか。何かほかに御意見はございますか。
 品田先生、何かありますか。
○品田委員 いいえ。
○黒木座長 大丈夫ですか。
 対象疾病についてもよろしいでしょうか。
 三柴先生、何かありますか。
○三柴委員 いいえ、ありません。大丈夫です。
○黒木座長 どうもありがとうございます。小山先生、どうぞ。
○小山委員 ここで、さっきの話を言おうと思っていたのですけれども、参考として「精神障害の分類」というタイトルで書いていらっしゃいますけれども、DSM-5では、もう精神疾患の分類という、疾患という言葉を使っているのです。ですので、いかがなものかなと思ったものですから、さっきのようなことを言ったのですけれども、そこら辺、事務局のほうで、また検討していただければと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 先生、それは、どこですかね。
○小山委員 17ページの参考の「精神障害の分類」というタイトルですが、こここそ精神障害(精神疾患)の分類はどうでしょうか。
○黒木座長 御意見ありがとうございます。
 ここは、小山先生に、また、事務局と相談していただいて、少しコメントを入れていただくということにさせていただきます。
○小山委員 19ページの精神障害の悪化のところですけれども、そこの4行目から5行目にかけて「精神障害の悪化であるのか、もともとの精神障害の症状の現れにすぎないのか等が問題となることがある」という書き方をしていらっしゃるのですけれども「もともとの精神障害」というのは、どういう意味で使われていらっしゃるのですかね。
 それから、現在の精神疾患で、これまで顕著に症状が見られていなかったが、最近症状が顕著に見られるということならば、悪化とか、増悪という言葉を使うだろうと思いますので、もともとの精神症状の現れにすぎないのかというのは、要らないのではないかと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
○黒木座長 19ページのところですか、先生。
○小山委員 19ページの精神障害の悪化の説明です。悪化の定義と、悪化したときに心理的負荷がかかっているかどうかで悪化したのかどうかと。自殺については、初期と回復期が多いと、これを悪化とするのかという説明はその通りですが、この段落の前の文章が、「もともとの精神障害の症状の現れにすぎない」というくだりですが、悪化というか増悪という一言だけで済むので、表現がかぶっているのではないかと思ったので、ここの真意を少し聞きたかったのですけれども。
○黒木座長 ありがとうございます。
 この精神障害の悪化であるのか、もともとの精神障害の症状の現れにすぎないのか、この部分ですね。
○小山委員 はい。
○黒木座長 ここが少しかぶっている感じですかね。
○小山委員 はい、かぶっている感じです。
○黒木座長 この件に関して、何か御意見はございますか。同じことを言っているような感じでもあるので、ここは、また言い回しとか、どう説明すればいいのかということについて。
○小山委員 何か別の病気が潜んでいて、それの症状が出ていなかったのが現れたのか、どちらに受け止めるかなと、少し曖昧な表現だと思うので、ここはご検討ください。
○黒木座長 事務局、どうぞ。
○西川中央職業病認定調査官 第10回に御議論をいただいたときの説明を、再度補足をさせていただければと思っておるのですけれども、第10回で御議論いたいただいた際の御説明といたしましては、実際に自分が悪くなったという形で御請求をいただいた事案について、専門部会での御検討などをいただいた結果として、それは、もともとある精神障害の同様の範囲内、想定される症状の一環であって、別に悪くなったわけでもないし、新しく発病したわけでもないし、もともとの症状からして起こり得る状況ですという御議論の結果になる事案が実際にもあるところでございまして、この「もともとの」という書きぶりが、また少し誤解を招くかもしれませんけれども、現にお持ちである、前からお持ちである精神障害、精神疾患の症状の範囲内、想定される同様の範囲内であるということを想定して書かせていただいたものでございます。
 ただ、分かりにくい、誤解を招くということがあれば、表現ぶりをどうするかということは、また御相談をさせていただきたいと思いますけれども、そういった場合を想定して記載しているところについては、御説明をさせていただきたいと存じます。
○小山委員 はい。だから今の説明だったら、症状が悪化したか、強くなったかという判定は、医者のほうが診断するはずですので、そういう意味からすれば、やはりここはダブったような意味合いに取れてしまうのではないかと思いますので、ここは、考えていただきたいと思います。
○黒木座長 御指摘ありがとうございます。
 ここは、また、事務局のほうで検討をさせていただきたいと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。
 三柴先生、お願いします。
○三柴委員 先ほどの中野先生の御意見に賛成で、その延長のコメントになるのですけれども、要は、小山先生がおっしゃられた、最初に精神障害という用語について、説明書きを入れていただくかどうかを、そこは、事務局としては、総合的な判断をいただくのがいいのかなと、結論としては、そうです。
 というのは、結局、目的に合わせてということになるので、法的に見たときにも、法律によって精神障害の用語の定義は微妙に違っていると思うのです。
 私の認識する限りですけれども、例えば、精神保健福祉法の定義、障害者雇用促進法上の定義、それから労災保険法上の定義というのがあって、1つには、疾患よりも広く、軽度のものも包括するという説明もあるし、あるいは、これは法律上の定義に限らないですけれども、長期化するものを障害と言っている例もあるし、それから、基本的には疾病性を前提にしながら、だけれども後遺障害、日常生活とか職業生活に影響するものを障害と言っているものも見受けられるし、そういうものがいろいろ法律上もニュアンスの違いがあると思いますので、それを踏まえて、あえて少しぼかしたほうがいいということなのか、それとも、最低限の定義は説明すべきなのかということを、事務局に総合判断いただくのがいいのかなと考えます。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございました。
 三柴先生がおっしゃったことは、中野先生もおっしゃいましたけれども、ここは非常に重要な点なので、総合的にどういう使い方をするかということについては、事務局のほうで検討していただければと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。
 荒井先生、どうぞ。
○荒井委員 今、精神障害と精神疾患の使い分けが議論されていると思うのですが、精神疾患といった場合には、原因とか症状とか経過とか、あるいは治療法が確立されている場合に疾患という言葉を使うことが多いので、まだ原因が不明である精神的な不調はたくさんあるわけで、精神疾患と言うのは、まだ時期的に早い、もう少し原因や症状や経過や、そういうセットがそろってきたときに、初めて精神疾患という言葉を、ほかの身体医学と同じように使ったらいいのではないかというのが、一般的な、辞書的な意味の疾患という言葉だろうと思うのです。
 ですから、法的な問題ももちろんございますし、疾患といったときの寄って立つものの蓄積が、まだ、精神医学は、それほど多くないというのが、現状ではないかと思います。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 貴重な御意見をありがとうございます。それでは、この件に関しては、一応事務局のほうで検討をしていただければと思います。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。
 次に、資料1の22ページ「V 業務による心理的負荷の評価」について検討します。
 ここでは、資料1の「業務による心理的負荷評価表」を含めて検討したいと思います。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 ⅢとⅣについての御議論、ありがとうございました。
 次は「V 業務による心理的負荷の評価」でございます。ここの章は、業務起因性の判断の中心的な部分になりますし、分量も少し長くなってございますので、Vだけ御説明して、Vだけ御議論いただければと考えてございます。
 業務による心理的負荷の評価につきましては、前回検討会でも様々御議論をいただきましたので、議論の整理の形では、御提示をしていなかったところでございます。ですので、報告書案の構成といたしましても、初めて御提示するものでございます。
 もちろん、内容につきましては、これまで御議論をいただいたものでございまして、まずは「1 評価の基準となる労働者」のところでございます。こちらは、前回第12回の検討会で御検討いただいたものをベースとしてございます。
 まず、22ページの1でございますけれども、先ほどⅢ章のところで、精神障害の業務起因性を判断するに当たっては、ストレスの大きさ、すなわち業務による心理的負荷を客観的な基準により評価することが重要という整理をしているところでございます。
 これを受けてという形になりますけれども、心理的負荷の評価に当たり、本人が、ストレス要因、すなわち業務による出来事を主観的にどう受け止めたかということではなくて、同じ事態に遭遇した場合、同種の労働者が一般的にそれをどう受け止めるかという観点から評価すること。
 それから、同種の労働者は、職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似するものと整理することが妥当であること。
 これは、労働者の職種や経験等、いわゆる属性は様々でございますので、ある出来事がもたらす心理的負荷の強度については、一旦は平均的な強度を想定して、そこから入っていくにしても、そういった経験等の属性に基づいて修正をしていくことが評価の公平性を保つものになるということ。
 そして、具体的な例として新規採用者の方の場合、こういったことを記載しているところでございます。
 その上で、1のところの最終段落で「前記Ⅲで検討したとおり」のところからの段落ですが、前回の御議論を受けて、記載を整理し直したものでございます。
 労働者が出来事によって受ける心理的負荷の強さの程度は個人により異なる。その意味で「同種の労働者」は一般的に想定される一定の幅を内包するものである。しかし、この幅は無限定なものではない。労災補償とは、業務に内在する危険の現実化に対して補償を行うものであることから、精神障害の発病が業務上の事由であるといえるためには、単に業務の状況を本人が強い心理的負荷と受け止めて発病に至ったということでは足りず、同様の状況下にあれば、同様の属性を有する同種の労働者が一般的に強い心理的負荷と受け止め、発病に至る蓋然性が高いといえることが必要であるというような形で、御指摘を受けて修正をしてございます。
 続きまして「2 業務による心理的負荷の評価期間」でございます。
 第6回の検討会での御議論におきまして、評価期間は特に診断基準を基礎といたしまして、発病前おおむね6か月することが引き続き妥当という整理をいただきましたので、(1)ではその旨を記載してございます。
 そして、(2)のところは、前回第12回で御議論をいただきました評価期間に係る留意事項でございます。
 前回の検討会では、この項目で4つの留意事項を御議論いただいてございましたが、お手元の報告書案では、ここで示しているのは2項目ということになります。
 1つ目、ハラスメントやいじめのように出来事が繰り返されるものにつきましては、それが発病前6か月以内の期間にも続いているというときには、これは、全体として1つのハラスメントとして考えられるので、開始時からの全ての行為を評価の対象とする。
 2つ目、出来事のスタートが発病の6か月よりも前であっても、その出来事後の状況が続いているというときには、発病の直近6か月の状況について評価の対象とすることを記載してございます。
 先ほど発病時期の項目で御説明しましたとおり、解離等の心理的反応が生じた場合での記載については、発病時期の項目に移動をしているところでございます。
 さらにもう一つ、請求人の方が主張する出来事が、発病の6か月より前のものであっても、発病前おおむね6か月の間をちゃんと調査しましょうという記載の是非や記載方法につきまして、前回御議論のあったところでございます。
 この点につきまして、評価期間の問題としては、今、ここに書いてある2つ目の留意事項と重なるものであるということ。それから、請求人の方の主張をどのように捉えて、どのように行政が調査をすべきかという点につきましては、評価期間というよりは、むしろ調査に関する留意点となると考えられるということから、37ページのほうに移動をさせていただいてございます。
 後ほど37ページのところで、また御説明をいたしますけれども、調査の留意事項という形で書かせていただくこととして、V章の評価期間の留意事項としては、2項目だけ示している案とさせていただいているところでございます。
 続いて「3 業務による心理的負荷評価表」でございます。
 評価表自体は、41ページから別添1として添付をしてございます。
 41ページを一旦開いていただければと思いますけれども、詳細な内容につきましては、前回までに精査いただいたものでございますので、説明は省略をさせていただきますけれども、1か所だけ前回の資料から修正をしてございます。
 具体的出来事の見出しの行でございますけれども、左から4列目、「平均的な心理的負荷の強度」の記載ですけれども、現行認定基準でもそうなのですが、これまでご検討いただいたものは、左の具体的出来事の列にもかかっている形の見出しになっておりましたけれども、内容からして、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのところだけにかけておくことが適切ということで修正をしてございます。
 そのほかは、前回御確認いただいたものと同じでございます。
 戻りまして23ページ、報告書案の本文のほうでございます。
 23ページから、別添1を取りまとめたということを、まず、記載をいたしまして、それを取りまとめるに当たって、現行の評価表の検証を行ったということ。
 第7回において、現行の評価表については、少し詳細過ぎると、そのための分かりにくさがあるのではないかなど、御検討をいただきましたので、そのような趣旨。
 その次に、今回の取りまとめに当たっての観点等を記載いたしまして、令和2年度に行っていただきましたストレス調査についての評価についても言及をした上で、令和2年度のストレス調査に基づき、また、決定事例や裁判例等も参考に検討を行ったことを記載してございます。
 「(2)新評価表の考え方」でございますけれども、こちらは、第11回の検討会におきまして、業務による心的負荷評価表の考え方として示していた部分を記載したものとなります。
 冒頭柱書のところで、強、中、弱は、それぞれどういうものかということを記載いたしまして、アのところは特別な出来事、イのところは特別な出来事以外の評価、そしてウのところは特別な出来事以外の評価に関してということになりますけれども、出来事ごとの総合評価の視点及び具体例についての考え方を記載してございます。
 (3)といたしまして、長時間労働や連続勤務の心理的負荷の考え方を整理してございます。
 長時間労働の考え方につきましては、表のほうで御議論をいただきまして、内容としては、現行のものを基本的に維持するといったような結論で、ここまで御議論をいただいているところでございます。
 第11回の検討会においてお示ししました評価表の考え方として記載をしておりました、時間外労働の定義ですとか、労働密度が特に低い場合を除いて想定していることなどについても、ここに記載をいたしまして、また、心理的負荷評価表の記載ぶりに即して、大筋23年の報告書と同様のものではございますけれども、そういったところを書き足して、考え方を説明しているところでございます。
 最後「(4)ハラスメント等に関する心理的負荷の考え方」でございます。
 第一段落は、現行の基準と同様の内容でございまして、ハラスメント等が繰り返される出来事については、全体を一体のものとして評価して、また、これが継続する状況は心理的負荷が強まるものと考えるということ。
 また、第2段落については、第11回の検討会の考え方で示しましたとおり、執拗ということについて誤解のないようにという話でございますけれども、一般的には繰り返されている場合が多いけれども、一回切りの言動であっても、その対応によっては、長時間、強烈で悪質というものについては、執拗と評価すべき場合があると記載しているものでございます。
 27ページの下のほうの「4 複数の出来事の評価」が、この章の最後になります。
 第5回の検討会で御議論いただきまして、前回第12回の検討会におきましても、考え方、文章としてまとめたたたき台を示して御議論をいただいたものでございます。
 こちらの報告書案は、基本的に前回お示ししました考え方のたたき台の内容と同じものとなってございます。
 業務による出来事が複数ある場合には、業務による心理的負荷は全体を総合的に評価する必要があるというところでございますけれども、出来事をばらばらに見て、どこかで強となるときは、全体としても強ということになると。
 そうならないときには、これらの出来事が関連しているか、関連していないかということを、まず検討した上で、関連しているときにはこう、関連していないときにはこうということで、それぞれの評価方法を記載して、事例も示す形とさせていただいてございます。
 その際、少し用語を修正しているところがございますけれども(2)のところ、出来事が関連している場合には、全体を1つの出来事として評価していくと、これはずっと御議論をいただいておった内容でございます。
 全体を1つの出来事として評価することになりますと、1つの出来事の評価というのは、総合評価と呼んでございますので、第12回の資料で全体評価としていた部分を、全体について総合評価を行うと、微妙ですけれども修正をさせていただいてございます。
 また(3)のほう、関連していない場合でございますけれども、こちらは、事例について前回、この事例だと出来事が関連しているようにも読めてしまうのではないかという御指摘があったところでございます。
 事例については、もともと実際の事例を参考にしつつ、一部分かりやすいようにということ等も含めて、修正して作成しているイメージという形で御用意をさせていただいているものでございますが、同じ事例を基にしておりますけれども、こちらの5-2の事例の記載を修正しております。この5-2の事例でございますが、1つ目の出来事は、会社で起きた事故、事件について責任を問われたというものでございます。ここは変えてございませんけれども、2つ目の出来事、もともと、手続対応等に着目して、忙しくて、といったことを「新規事業等の担当になった」という出来事として評価する例としていた部分でございますけれども、それだと、責任を問われて忙しかったということとある程度関連してくるのではないかというところもございましたので、少し着眼点を変更いたしまして、取引先との調整ですとか、社内調整等で板挟みになったところが、非常に心理的に大変であったという面に着目いたしまして、「取引先から対応が困難な要求等を受けた」例として評価する形の事例に修正をしてございます。
 Vについての御説明は、以上でございます。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございました。
 事務局から業務による心理的負荷の評価について説明がありました。
 全体で御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
すみません。
 品田先生、どうぞ。
○品田委員 今回の新しい負荷評価表を、従来のものと見比べて見て、私はかなり充実したなという印象を持っております。
 理由は3つありまして、1つは、本文の中にも書いてありますとおり、具体的な出来事に重複するものがあって、適用に迷うようなものが従来あったわけで、これを整理統合したところが1つのポイントかと思います。
 2つ目は、総合評価の視点について、従来のものは、何も書いていないものもあったようなこともありまして、そういう意味において、いかなる観点から評価すればよいのかが分かりにくいところがありました。
 この点、今回については、かなり一つ一つについて重複する部分もあるのですけれども、同じような記載もあるのですが、拡充したなという気がしております。
 さらに、3つ目として従来のものの大きな問題は、被災者の方は、業務災害であるか否かを求めて申請して来られるにもかかわらず、当該本人の主張するような出来事については、認定基準に当てはめてみても、強にはならない空欄になっている部分があるわけですね。ある意味、肩透かしに合うようなこともあったわけでありまして、それらについても、確実に、全部が全部という形には、結局なりませんでしたけれども、強と評価できるような具体例も挿入されたことにおいて、拡充されたと認識しております。
 ただ、その点をいちいちここの文面に入れるかどうかということは、必ずしも必要ないと思うのですが、ただ、24ページのところ、(1)の最後の部分「さらに、決定事例や裁判例等も参考に検討を行った」と、ここだけで切ってしまうのは、やや残念といいましょうか、今回、こうしたことができた背景には、この決定事例や裁判の膨大な資料を、事務局がまとめていただいたものについて、我々は検討できたということもありますので、そういう意味においては、せめて、「さらに決定事例や裁判例等を精査し、総合評価の視点及び強度の具体例を拡充すべく検討した」というぐらいのことを入れて、この点についてもちゃんと読む人の視点が向くようにしてほしいと思います。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 今、品田先生がおっしゃった24ページのところの部分に関しては、また、検討をお願いしたいと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。阿部先生、どうぞ。
○阿部委員 一点、事務局のほうに確認なのですけれども、複数出来事の評価の書きぶりなのですけれども、たしか、これまでは関連性があるものとないもので分けて、関連性がある場合には、強または中とするみたいな書きぶりがあって、関連性がない場合については、中または強とするという書きぶりがあって、それはそれで分かりやすかった気がしたのですけれども、今回そういった書きぶりが落ちているように思ったのですけれども、それは何か理由があったのでしょうかという確認と質問です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 事務局のほう、お願いします。
○西川中央職業病認定調査官 現行認定基準におきましても、出来事が関連している場合には、全体を一つの出来事として評価すると書いていること、それ以上は書いていないこと、これは今の報告書案と同じところでございます。
 関連していない場合のところで、今、先生の御指摘ありました、中と評価する出来事が複数生じているときに、中になるか強になるかというところでございますけれども、今の書きぶりとしては、29ページの一番上のところに、2行目でございますが、総合評価が強となる場合もあり得ることを踏まえつつという趣旨で書いているつもりでおったところではございますが、これだと、もう少し書き足したほうがよいのではないかということでございましょうか。
○黒木座長 阿部先生、どうでしょうか。
○阿部委員 強または中、中または強みたいなところで、違いを出しているのかなと、報告書ではなくて、拝見したのかもしれないですけれども、前回と特に書きぶりが変わっているわけではないということですかね。
○黒木座長 いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 失礼いたしました。認定基準と報告書は、確かにそもそも書きぶりが少し違っておりまして、今、先生が御指摘の点は、現行の認定基準についてでございまして、認定基準では、出来事が複数ある場合の全体評価につきまして、まず、関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事として評価することと、それで全体評価を行うと書いた上で、「具体的には、中である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では中の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来事の出来事後の状況と見なし、当該後発の出来事の内容、程度により、強または中として全体を評価する」という記載がございます。
 もう一つ関連しないほうにつきましては、「具体的には、単独の出来事の心理的負荷が中である出来事が複数生じている場合には、全体評価は中または強となる」という記載をしてございます。
 これが、「強または中」と、「中または強」で意味があるかといいますと、そこには、正直、担当としてはあえて使い分けているということは感じておりませんでしたが、、いずれにせよ、中か強のどちらかになるということではございますけれども、そういった端的な表現は、確かに、今、この報告書案には入ってございません。そういったことを少し書き足したほうがよいのではないかというような御指摘であれば、また、先生方とも御相談をしながら、検討をさせていただきたいと思います。
○黒木座長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 ありがとうございます。
 関連しているか、していないかで分けている時点で、多分、判定も違うのだろうということで読み進めれば、そんなに分かりづらいわけではないとは思うのですけれども、前回のほうが、むしろ分かりやすかったかなと思ったので、そういう確認の質問をさせていただきました。ありがとうございます。
○黒木座長 ありがとうございました。
 ほかには、いかがでしょうか。何か御意見ございますか。
 三柴先生、何かありますか。
○三柴委員 現時点では、ございません。また、よろしくお願いします。
○黒木座長 ありがとうございます。
 田中先生、いかがでしょうか。
○田中委員 Ⅴの部分については、かなり検討を加えていっておりますので、十分まとまっているのではないかと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 荒井先生、いかがですか。
○荒井委員 私も今まで皆さんが述べられたように、いろいろ複数ある出来事についての評価の目安が示されているということで、非常に大きな進歩だろうと思っております。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 それでは、次に移りたいと思います。
 次に資料1の30ページの「Ⅵ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因の評価」及び33ページの「Ⅶ 療養及び治ゆ」について検討します。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 ありがとうございました。
 次にⅥとⅦについて、御説明させていただきます。
 まず「Ⅵ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因の評価」のところでございます。
 業務以外の心理的負荷と個体側要因につきましては、前回第12回で御検討いただきました議論の整理のほか、第8回と、それから一部は第10回においても御議論をいただいたとおりでございます。
 1のほうに考え方を示してございますけれども、冒頭部分につきまして、少し現行認定基準における運用等も踏まえまして、現行の取扱いと同様の内容ではございますが、これまで御議論いただいた内容に、少し追記して案とさせていただいている部分がございます。
 まず、第8回の検討会の際にも少し数字をお示ししたところでございますが、まず、業務による強い心理的負荷が認められた事案であって、かつ業務以外の心理的負荷または個体側要因より発病したとして、業務外とされたといったような事案については、ゼロではないわけではございますが、ごくまれといった状況でございます。
 これは、平成23年の認定基準策定当時も同様でございまして、判断指針自体には、業務以外の心理的負荷や個体側要因について、それなりに詳細な調査を行うということとしてございましたが、現行の認定基準になりましてからは、これらの調査は簡略に行うこととしてございます。
 これは、23年の報告書に基づいて、そのようにしているところでございますけれども、今回この報告書案で追記をさせていただいた部分について、今、御説明したような調査方針について、妥当として、今後も維持をさせていただければということで、その趣旨を書かせていただいてございます。
 「その上で」の前の4段落分が、現行の取扱いと、それを妥当だという形でよろしいかというところでございます。
 1の最後のところでございますけれども「その上で」でございますが、業務による強い心理的負荷が認められて、①業務以外の心的負荷及び個体側要因が確認できない場合、②業務以外の心理的負荷または個体側要因は認められるものの、それらによって発病したことが医学的に明らかであると判断できない場合、これについては、業務起因性が肯定されるという整理につきましては、少し用語の調整を図ってございますけれども、前回確認いただいたものを書かせていただいているところでございます。
 「2 業務以外の心理的負荷がある場合の評価」につきましては、第8回で御議論いただいたとおり、現行の判断方法を維持するという内容としてございます。
 45ページには別添2として、業務以外の心理的負荷の評価表をつけてございますけれども、こちらの表自体についても現行どおりという内容でございますし、これに基づいて評価する方法についても、現行どおりの内容を2のところに書かせていただいてございます。
 3のほうでございます。個体側要因がある場合の評価についてでございます。
 こちらも、これまでも御議論をいただいておったところでございますけれども、こちらは、精神障害の発病と個体側要因との関係について、より分かりやすく示したいという趣旨から、黒木先生と御相談をいたしまして、また、23年報告書の内容も踏まえまして、これまで御議論いただいた内容に、冒頭部分をさらに追記しているところでございます。
 これまで検討会の場で御議論いただいた内容につきましては、認定要件に即しまして、業務による強い心理的負荷が認められる場合であっても、業務起因性が否定されるようなケースについての記載ぶりを、いろいろと御検討いただいておったところでございます。
 その前に、業務による強い心理的負荷の有無にかかわらず、一般的に個体側要因とは、どういったものと理解するのがよいかといった部分を追記してございます。頭からの4段落分が、これに当たります。
 個体側要因とは、個人に内在しております脆弱性、反応性であることを、まず示してございます。
 その現れとしましては、23年の報告書にありますように、既往歴ですとか、社会適応状況であるとか、アルコール等依存状況、性格傾向、家族歴など様々なものが含まれるところでございますけれども、現に調査をしており、また、調査が可能なものといたしましては、既往歴等がある場合に、これに関する医学情報、すなわち診療録等の情報を調査するといった形となってまいります。
 そういった情報からは、様々な個体側要因が分かるということもありますので、そういった旨を記載してございます。
 そういった情報から分かる個体側要因につきましては、医学的に検討して、業務起因性の有無の判断の際に考慮することにつきましては、Ⅲ章のほうで整理をいたしました精神障害の成因の考え方からも、あるいは23年報告書の内容を踏まえても、妥当と考えられるといってよいかという、たたき台となってございます。
 そこが冒頭4段落分の御説明になります。
 その下の「具体的には」段落は、第10回で御議論いただいた内容でございます。
 業務による強い心理的負荷が認められる事案については、重度のアルコール依存状況がある等の顕著な個体側要因がある際に、それによって発病したことが医学的に見て明らかであると判断できるかどうか、そこの御判断をいただいて、そのせいだということが明らかだと判断できるときに限って、業務起因性が否定されることになると。
 ただ、どういった場合が、それに当たるかということについて、一律の例示はできずに、事案ごとに慎重な検討が必要だという整理を書かせていただいてございます。
 そして、次の段落「こういったこと等を踏まえ」のところでございますけれども、既往の精神障害ですとか、現在治療中の精神障害あるいはアルコール依存状況などの存在が明らかな場合については、その内容を調査いたしまして、これが顕著なものであるときには、それが発病の主因であると判断することの医学的な妥当性を、医学専門家にということでございますけれども、慎重に検討していただくことが必要だと整理をしてございます。
 32ページの最後の段落につきましては、業務による強い心理的負荷が認められない事案についての記載でございまして、個体側要因というのが、先ほど申し上げた個人に内在している脆弱性、反応性であることから、弱いストレスによって発病したケースについては、顕著な個体側要因が把握されない場合であっても、個体側の脆弱性、反応性がないことではないことに留意が必要ということで、冒頭の追記部分に対応したものとなります。
 その下につけてございます図の6-1は、心理的負荷及び個体側要因と精神障害発病との関係の概念図でございます。
 これも、なるべく分かりやすい内容としたいという趣旨で、記載をしたものとなりますけれども、御議論をお願いしたく存じます。
 続いて33ページ「Ⅶ 療養及び治ゆ」でございます。
 こちらも第10回及び第2回に御議論をいただいた内容となります。
 まず、冒頭のところは、労災保険における「治ゆ(症状固定)」とは何かということについて、健康なときの状態に完全に回復した状態だけではなく、症状が安定し、慢性症状が持続しても医療効果を期待し得ない状態となった場合等をいうということ。
 それから、そういった症状が残る場合、すなわち一定の障害が残る場合については、障害補償等給付あるいはアフターケア制度の対象となること、これらを記載しているところでございます。
 そして、3段落目でございますけれども、心理的負荷による精神障害は、その原因を取り除き、適切な療養を行えば全治し、再度の就労が可能となる場合が多いが、就労が可能な状態でなくても「治ゆ(症状固定)」の状態にある場合もあると。これは、現行の考え方でございますけれども、この検討会においても妥当という整理をいただいているところでございます。
 これについて、例えばという形で、具体化、明確化しておくということでございますけれども、例えば、1つ目、精神障害の症状が現れなくなった。または症状が改善し、安定した状態が、一定期間継続した場合や、社会復帰を目指し、リハビリテーション療法等を終えた場合でありまして、通常の就労が可能な状態に至ったときには、投薬等を継続していても、通常は「治ゆ(症状固定)」の状態にあると考えられるということで、図も示してございます。
 前回の議論の整理においては、本文中「通常の就労が可能な状態に至った」の後ろに「(「寛解』後「回復』した)」というような記載をしてございましたけれども、寛解という用語で想定される内容がはっきりしないという御指摘などもいただきまして、図の7-1のほう、こちらは、標準精神医学の教科書から引いてきた図でございまして、それを一部改変して追記をさせていただいている図でございますが、こちらの図には、もともと寛解と回復が記載されてございますので、本文から先ほどの寛解後回復したというような記載を削りまして、図のほうで御理解いただければと考えて、この形で示しているものでございます。
 さはさりながら、この図はあくまで薬がよく効いた場合、治療に対して反応がよく、症状が一定改善した場合の経過を示した図でございまして、このようによく改善した場合でなければ、治ゆということではない、症状固定ではないということではございませんので、その旨は、念のため申し添えさせていただきたいと思います。
 あまりよくならない場合につきましては、次の段落になります。こちらも第10回で御議論をいただいた内容でございますけれども、34ページの冒頭でございます。
 寛解との診断がない場合も含め、療養を継続して十分な治療を行っても、なお症状に改善の見込みがないと判断され、症状が固定しているときには「治ゆ(症状固定)」の状態にあると考えられる。
 ただ、この判断につきましては、医学意見を踏まえて、慎重かつ適切に行う必要があると記載してございます。
 ただ、業務による心理的負荷で精神障害を発病して、会社をお休みされているという事案につきましては、基本的には業務から離れている、ストレス因から離れている状況にあるということには、留意する必要があると存じます。
 こういった形で、具体化、明確化していくことが重要という、これまでの御議論であったかなと考えてございます。
 また、療養期間についてでございますけれども、目安ですが、平成23年の検討会報告書にも現行認定基準にも、その当時の医学的知見として薬物が奏功するうつ病の療養期間に関する報告が示されているところでございます。
 本検討会での御議論におきましても、現時点での医学的知見を踏まえて、この目安を一概に示すことは困難でございますが、あらかじめ被災労働者の方や主治医の方に参考となる事項について、お示しをすることが円滑な社会復帰の促進のために重要と考えられるということで、ポツの2つ、うつ病の経過や適応障害の症状の持続について記載をしているところでございます。
 こちらは、議論の整理に基づいて記載しているものでございます。
 あわせて、職場復帰が可能とならない場合も含めて、医学的知見を踏まえまして、療養開始から1年6か月から3年を経過した時点で、主治医の御意見を踏まえつつ、専門医にも症状固定の有無等に係る医学的判断を求めていくことも重要だということも記載してございます。
 これは、あくまで個別に状況を確認していくものでございまして、症状経過は、事案によって非常に異なるものでございますので、決して一定の期間で一律に症状固定と判断するものではなくて、個別に慎重かつ適切な対応が求められることにつきましても、議論の整理のとおり、記載をしているものでございます。
 こういった考え方や各種の制度につきまして、関係者の理解を深めていくことが適切であるし、在職中の労働者の方の職場復帰については、事業主の取組が極めて重要ということも、前回の御議論でも御指摘がございましたので、これも踏まえて記載をしてございます。
 そして、社会復帰を促進する体制整備が重要であって、今後、医療機関及び関係行政機関との連携と、被災労働者の社会復帰支援に関する取組を検討することが必要というまとめにございます。
 こういった理解を深めていく趣旨から、次のページには、これらも参考としてでございますけれども、障害補償等給付に係る障害等級の認定基準、それから、アフターケア制度、こちらの概要につきまして、第10回の資料としていた内容と、おおむね同じものでございますが、報告書に入れ込むという形としてございます。
 ⅥとⅦについての御説明は、以上となります。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございました。
 事務局から「Ⅵ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因の評価」及び「Ⅶ 療養及び治ゆ」について御説明がありました。
 Ⅵ、Ⅶを通じて、御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。
 丸山先生。
○丸山委員 33ページの図7-1が気になっています。「治ゆ(症状固定)」という労災独特の用語の使い方が、図示されているということなので、重要な図だと思っています。
 まず、この図は、もともとはKupferが提唱したといいますか、その論文から取っています。
 それを大熊先生が臨床精神医学で記載して、それを、また、標準精神医学で引用していると、そういう流れの図なのですけれども、少しずつ表現が変わってきているので、真ん中に点線がありますね、これもある程度意味があって、点線の上には兆候、シンプトンズが入っていると、それから点線の下には、シンドロームズ、症候群という言葉が入っているということで、点線の下からは、診断基準を満たすようなレベルだという理解でいいのかと思います。
 それから、正常という表現ですけれども、正常というのは、すごくいろいろな意味を含んでいるので、ここは、うつ病の経過ということなので、正常な気分という、これは、大熊先生がそのような表現を使っていますけれども、ノーマルシーの訳なのですけれども、そうしたほうが誤解を招かないと思いました。
 再発の下に「(新たな発病)」とありますけれども、これは誤解を招くので、取ったほうがいいのではないかと思います。
 それから「治ゆ(症状固定)」の位置なのですけれども、点線と、一番上の太い実践の間に収めて、それから赤の太い矢印がありますけれども、その位置が、この図ではかなり明確になっていますけれども、少し尾っぽの辺りは点々を入れて、少し含みを持たせたほうが、いろいろ誤解を招かないかなと思いますが、いかがでしょうか。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございました。
 まず、図7-1の正常という部分と、点線の意味、それから「治ゆ(症状固定)」をもっと左側に寄せることが必要ではないかと、もっといろいろ先生のほうで、多分、お考えがあるかと思いますけれども、この点について、何か御意見とかはございますでしょうか。
 田中先生、何かありますか。
○田中委員 おっしゃるように、確かに正常という言葉は、少し気になりますね。実際、要るのかどうか、削除してもいいような気がしないでもないと思います。
 また、真ん中の点線でシンドローム等々に分けるということですけれども、もしかしたら、これはあくまでも概念的なものであるので、正常の真ん中の点線の意味づけというのは、一般の人には、なかなか分かりにくいし、定義づけも難しいと思いますので、真ん中の点線は抜いてもいいのかなと思いました。
 また、治ゆについては、まさにある一点から明確に決まった赤線が引かれていますので、その前に点々を入れて、ある程度段階を持って判断すべきタイミングなのだということを、示唆するような形にしたほうがいいかなと思いました。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 小山先生、いかがでしょうか。
○小山委員 今言われたとおりだと思うので、特に追加することはございません。
○黒木座長 丸山先生の言われたとおりということでよろしいですか。
○小山委員 はい。
○黒木座長 ありがとうございます。
 三柴先生、いかがでしょうか。
○三柴委員 私も丸山先生と同じことを、丸山先生が最後のほうでおっしゃった、右側の寛解以後の部分については、今、引かれている実線と点線の間ぐらいにレベルを下げて、落として書いていただく案はいかがでしょうかとお伝えいたしまして、ただ、事務局のほうで、そこは踏まえていただいた上で、右下の赤線の治ゆを書き加えておられたと思いますので、その趣旨をもう一度教えていただければと。
 もし、うまく伝えられていなかったのであれば、改めて点線と実線の間辺りに、少しレベルが低くても、要するに症状が固定すれば、寛解以後と認定できるのだという趣旨が明確になるようにしていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 何かコメントはありますか。
○西川中央職業病認定調査官 まず、赤で書かせていただきました「治ゆ(症状固定)」の記載と矢印、それから、再発の下に書きました「(新たな発病)」と、これは黒いですけれども、そこの記載については、基の標準精神医学にはない記載でございます。あくまで労災としてという趣旨で、なるべく分かりやすくするようにということで書かせていただいたものでございますけれども、まず「治ゆ(症状固定)」の記載をどこに置くかということにつきましては、ここの図に示されているモデルにつきましては、黒木先生からも御指摘をいただきましたけれども、薬がよく効いた場合の図であるということを御教示いただいてございますので、このモデルはよくなったモデルであって、よくなったということを前提に、このぐらいの時期から症状固定といいますか、この場合は、一般的な日本語の意味としての治ゆに近いといいますか、健康時の状態に大分近い状態だろうという想定で、これぐらいの時期であろうかということで書かせていただいているものでございます。
 縦軸は重要度という形で、もともと示されている図でございますところ、この辺りの高さから症状固定ですという情報として書かせていただくつもりはございませんで、あくまで横軸における、このぐらいの期間が症状固定に該当し得るであろうと、確かに事案によって異なりますので、丸山先生からの御指摘のありました、いきなり実線を書くのではなくて、点線で始めて、後のほうは多分実線になるのだろうけれどもというところは、御指摘として、非常によく分かるところでございます。
 縦軸の高さに意味を持たせたくないということもあって、今、軸の外に書いているところでございますが、軸の外に情報があるのもおかしいという御指摘を賜れば、確かに、それもおっしゃるとおりでございますので、また、改めて、あくまで症状固定の概念それ自体は、この文章全体で御説明をしておりますように、事案によっては、非常によくなった症状固定もあれば、事案によっては、あまりよくならない症状固定もあると、これは、精神障害に限らず、どの疾病、どの負傷でも、そういったものであるところで、いずれにしても、医療効果をこれ以上期待し得ない状態、これが症状固定の状態ということでございますが、そのことと、症状経過を分かりやすく示したいという趣旨で、このモデル、非常に治療の効果があって、状態が非常に上のほうまで戻っているモデルを使って説明していることを、矛盾なく、かつ誤解なくお示しできるのは、どういった方法がいいのかということについて、また、引き続き御相談をさせていただければと思っているところでございます。
○黒木座長 ありがとうございます。
 では、事務局のほうで、これも再度検討していただくことにしていただきたいと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 先ほど来、小山先生や三柴先生から御議論をいただいている障害という文言についてなのですけれども、33ページのところで、今度は治ゆ後に残った障害の話が出てきまして、これは、精神障害として使っている障害とは、また別の意味の障害という言葉が、同じ字面で出てくるのですね。
 ですので、33ページの2段落目で出てくる治ゆ後に残った障害というのが、精神障害といっているときの障害とは違うものなのだというのが分かるように、少し説明を加えていただくか何かしたほうがよいのかなと、ちょっと思ったところです。
 すみません、対応が可能であればということです。よろしくお願いします。
○黒木座長 ありがとうございます。
 これは、例えば、一般的には、一定の後遺障害とか、そのような形が、もし可能であれば、また検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 検討いたしまして、また、御相談させていただきます。
○黒木座長 ほかには、いかがでしょうか。吉川先生、どうぞ。
○吉川委員 違った視点のところで、個体要因のところの図の6-1についてです。
 これについては、非常に分かりやすい形でシンプルな概念図で出ているものだと思いますが、今回の検討の中で、総合的な判断の中で、支援体制がないと悪化になるとか、それから、裁量度が欠如した場合には、より強になるという形の概念が、より整理されたように思いますので、もし可能であるならば、これが分かりやすければ、これでもいいのですけれども、ここにある図の中に、業務による心理的負荷のところの注釈みたいな形で、こういう総合判断になっているというのを、もし入れられれば、検討もいいのかなと思いました。
 それから、事故や災害の体験、失敗、仕事の量・質が例示に挙げられているのですが、昨今パワハラだとか、それから人間関係のことについて書いてあるので、この負荷要因のところは、今回整理された6つの視点の言葉に、若干修正してもいいのかなと思いました。これは、可能ならばと思いました。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ここをもう少し、今回整理された基準を引用できないかという御意見ですけれども、それは、また、事務局のほうで検討していただくことにしたいと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。
 大丈夫でしょうか。それでは、次に移らせていただきます。
 最後に、資料の36ページの「Ⅷ 認定基準の運用等」。38ページ「Ⅸ 複数業務要因災害」。39ページ「Ⅹ まとめ」について検討します。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 御議論ありがとうございました。
 最後に、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹでございますけれども、時間もございませんので、手短に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、36ページ、37ページの「Ⅷ 認定基準の運用等」というところでございます。
 まず「1 医学意見の収集」ですけれども、記載ぶりは、多少整理をしておりますが、記載内容は、議論の整理及び第11回の検討会で御議論をいただいたものとなってございます。
 決定事案の集積と請求件数の増大等の事情に加えまして、そこまでに御検討いただいたとおり、基準の具体化や明確化を図ったことも踏まえますと、より効率的な審査をできるようにする必要があるということで、具体的には、46ページの別添3にまとめてございますけれども、これまで、専門部会で複数の専門委員の御意見を必須としていた事案についても、専門委員の先生の御判断でもできるという形、あるいは専門委員の御意見が必要としていたものについても、一部は主治医の先生だけでできるというような形、こういった形で、もちろん高度な医学的検討が必要なものについては、引き続き、部会によって御判断いただくということで整理をしているものでございます。
 続いて「2 セクシュアルハラスメント事案の留意事項」についてでございますが、こちらも第11回の検討会で御議論をいただきましたとおり、現行の留意事項は、平成23年に分科会においてセクシュアルハラスメント事案特有の事情を踏まえて検討した結果を取りまとめられたものでございますので、これは、現時点でも重要で、維持することが妥当という整理とさせていただいてございます。
 「3 その他」でございます。「(1)本省協議」「(2)法律専門家の意見の聴取」につきましては、現行どおりという整理でございます。
 「(3)調査等」のところ、先ほどⅤの評価期間の留意事項のところで少し触れたところでございますけれども、請求人の方が主張する出来事は発病の6か月より前であっても、発病前おおむね6か月の間をしっかり調査しましょうということでございます。
 これについて、評価期間というよりは調査に関する留意点となると考えられるということで、ここに調査に関する項目を起こしまして、記載をしてございます。
 評価期間に関するものに限らず、請求人さんの申立ては調査に当たり参考とすべきものでございますけれども、おっしゃられたことだけを調べれば足りるということではなくて、行政としては、認定基準に照らして、適切な調査をする必要があるという趣旨での記載としてございます。
 続きまして、38ページ「Ⅸ 複数業務要因災害」でございます。
 こちらは、第11回の検討会で御議論をいただいたとおり、令和2年の7月に整理いただいた内容を維持するという記載でございます。
 最後、39ページから40ページにかけて「Ⅹ まとめ」となります。
 冒頭につきましては、検討の背景、検討の視点等を記載してございます。
 次の2段落目と3段落目につきましては、検討の結果あるいは明確化を行った事項など、この報告書を基に認定基準を見直すに当たって、改正事項となるような内容について、記載をしているものでございます。
 さらに4段落目です。本検討会としましては、今回の報告に基づく認定基準の改正によって、認定の公正を確保した上で、一層の審査の迅速化を期待するということ。
 また、どのような場合に認定されるかが分かりやすくなることを通じて、業務によって発病した方から請求が行われて、その方に対して円滑な認定が行われることを期待するということを記載してございます。
 行政のほうでは、周知や懇切丁寧な説明も、当然、やるべきだということも記載してございます。
 次の段落でございますが、この検討については、精神医療の分野、未解明の部分も多数ある中で、現時点での知見あるいは臨床上の経験を前提に御検討をいただいたということ。
 研究も進みますし、社会・経済状況の変化もございますので、今後も適宜検討していくことが重要だということを記載してございます。
 最後、3段落については、防止対策に関するまとめとなってございます。
 業務上の事由によりまして、被災された方については、労災保険給付が行われるところでございますけれども、生命・健康というのは、かけがえのないものでございますので、そもそも過労死等はあってはならないものであるということ。
 こういった過労死等の1つである業務による心理的負荷を原因とする精神障害の防止のために、行政としては、メンタルヘルス対策、長時間労働の削減、ハラスメント対策などを進めることが必要でございますし、事業主は、国などが行う過労死等の防止のための対策に協力するよう努めないといけないと。
 さらに、事業主、労働者の方々と協力をしていただいて、長時間労働やハラスメントの解消などについて、取り組んでいただくとともに、精神保健の分野では、そもそもかからない未然防止という一次予防、それから早期発見、適切な措置という二次予防、さらに職場復帰等の三次予防、これらが円滑に行われるよう努めることが必要であると。
 これらの行政当局、そして事業主及び労働者のそれぞれの取組により、業務による心理的負荷を原因とする精神障害の根絶を期待したいとまとめているところでございます。
 御説明は、手短でございますが、以上となります。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございました。
 事務局から「Ⅷ 認定基準の運用」「Ⅸ 複数業務要因災害」「Ⅹ まとめ」について説明がありました。
 このⅧからⅩを通じて、御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。何か御意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。品田先生、どうぞ。
○品田委員 まとめの最後の「本検討会としては」というところが、我々検討会として最もメッセージとして重要なところかと思います。
 そうした中で、この文章が、やや分かりにくいというか、曖昧なところがあるので、私自身、もう一回考えて、次のようにしてはどうかと思いますので、もし、皆さん、よろしければということなのですが、「本検討会としては、今回の報告に基づく認定基準の改正により、認定の公正さがより一層確保されるとともに、認定に係る判断が迅速かつ円滑に行われるようになると期待するものである。 行政当局においては、新たな認定基準の考え方及び内容について関係者に周知するよう、適切な手立てを講じることはもとより、相談や問い合わせがあった際には、丁寧な説明を行うよう努めていただきたい。」
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘をいただきました点につきまして、検討させていただきたいと思います。
○黒木座長 ほかにいかがでしょうか。御意見はありますでしょうか。
 吉川先生、何かありますか。
○吉川委員 一つコメントなのですけれども、まとめについては、非常に重要な内容が特に示されて、最後に防止対策について整理されているのは、すばらしいまとめになっていると思います。
 最後の39ページの「また、事業主は」から書いてある段落のところですが、快適職場の形成を図り、ストレスチェック制度の活用や環境改善ときているのですが、一次予防には、セルフケアだとか、管理監督者教育といったような、いわゆるストレス対策全般の4つのケア的な視点の文脈を少し入れたほうが、非常に包括的な言葉になるかなという印象がありましたので、事務局のほうで御検討いただければと思います。
○黒木座長 それでは、今の吉川先生の指摘も検討していただければと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上で「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」の検討を終わります。
 全体を通じて、何か御意見、御質問などはありますでしょうか。
 それでは、報告書案の検討は終わりましたが、最終確認になりますので、各委員には、本日の資料である検討会報告書案を一度お持ち帰りいただき、それぞれ十分に読み込みなどをしていただきたいと思います。
 その上で、本日の検討内容、議論も踏まえ、御指摘、御意見などがあれば、各自で事務局に報告していただきたいと思います。
 それらを反映した報告書案を、次回で最終的に確認をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○黒木座長 先生方、よろしいでしょうか。
 では、事務局は本日の検討結果、各委員の御指摘などを検討会報告書に反映させた資料の準備をお願いいたします。
 次回は、今申し上げたように、検討会報告書案を最終確認し、皆様の了解が得られれば、最終回にしたいと思います。
 それでは、本日の検討会は、これで終了にさせていただきます。
 次回の日程等については、事務局から何かありますでしょうか。
○本間職業病認定対策室長補佐 長時間の御議論、誠にありがとうございました。
 次回は、ただいま座長から御発言がありましたとおり、検討会での御議論を踏まえ、また、各委員からの御指摘をお待ちした上で、それらを報告書案に反映させる形で資料を御用意させていただくことといたします。
 次回の検討会の日時、開催場所につきましては、後日改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、お忙しいところ、大変ありがとうございました。