2023年4月28日 第17回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

日時

令和5年4月28日(金) 15:00~17:00

場所

厚生労働省 仮設第2会議室(オンライン会議会場)
東京都千代田区霞が関1-2-2

議題

  1. (1)令和4年度事業の最終報告について
  2. (2)令和5年度事業(業務手順書等の見直し)について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、第17回 高齢者医薬品適正使用検討会を開会いたします。
本日ご出席の構成員の先生方におかれましては、ご多用のところご出席いただきまして、ありがとうございます。本日は、構成員19名中15名の出席をもちまして、検討会を開催させていただきます。また、2名遅れて参加されると報告を受けています。
本日の検討会の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、ご理解、ご協力のほどお願いいたします。議事録については、後日厚生労働省ホームページに掲載いたします。
本日はWeb開催のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ち、審議の進行方法について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局よりご説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、ご発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願い致します。
ご意見、ご質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
発言のタイミングが重なった際は、座長から順に発言者をご指名いただきます。
会議中、マイクの調子が悪くなった場合などは、メッセージにご意見等を記入していただくようお願いをする場合がございます。
その他、システムの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号までご連絡をお願いいたします。もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールでご連絡いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
ご不便等おかけするかもしれませんが、何卒ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
それでは、これ以降は議事に入ります。
以降の進行は座長の印南構成員にお願いします。印南構成員、よろしくお願い致します。
○印南座長 座長の印南です。座長を務めさせていただきますので、皆さまには円滑な議事進行にご協力をお願いいたします。
今回もオンライン開催ということで、事務局から説明がありましたが、これまでのご説明にご質問、ご意見等はございませんでしょうか。
○事務局 本日の資料を確認させていただきます。
 資料はあらかじめメールでお送りしております。順に確認させていただきます。
 議事次第と配付資料一覧。
 開催要項。
 資料1-1から1-5。
 資料2。
 参考資料が1から3となります。
 不足等がございましたらお知らせください。
 なお、これらの資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、傍聴の方はそちらを御覧ください。
○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。
 議題1は、令和4年度事業の最終報告についてです。まずは事務局から、本議題の進め方について説明をお願いします。
○事務局 資料1-1により御説明いたします。
 資料2ページを御覧ください。
 令和4年度事業として、令和2年度にポリファーマシー対策の取組を始める際や業務運用体制を体系的に構築・運営する際に役立てていただくために作成した業務手順書・様式事例集である「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(スタートアップツール)」、参考資料3としておりますけれども、この業務手順書等を地域で活用するに際し、不足する内容や課題等を明らかにすること、課題を解決するために有効な取組等があれば、今後の活用に向けてそれらの情報を整理することを目的に4つの地域を採択して、地域でのポリファーマシー対策の取組における課題抽出等を行っております。
 資料3ページを御覧ください。
 令和4年度事業の採択団体は、広島市薬剤師会、富山県薬剤師会、神奈川県保険医協会、宝塚市薬剤師会の4つになりますが、スケジュールに記載しているとおり、昨年の11月にこれらの団体には取組状況の中間報告をしていただいておりまして、本日は最終報告をしていただきます。
 資料4ページを御覧ください。
 最終報告の進め方ですが、1団体当たり10分で御説明いただき、その後、意見交換や質疑応答を5分ほどで行います。なお、各団体の報告につきまして、9分経過したらベルを1回、10分経過したらベルを2回鳴らしてお伝えします。4つの団体の報告が終わりましたら、各団体の取組で最終報告までに取り組んでほしい内容や取組を通して見えた業務手順書等の実用性と課題について意見交換を20分ほど行います。
 5ページ以降では、本事業の過去の取組状況をお示ししております。
 説明は以上になります。
○印南座長 ただいまの説明につきまして、何か御質問等はありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、各団体からの説明に入りたいと思います。まず、広島市薬剤師会から説明をお願いします。
○広島市薬剤師会 広島市薬剤師会の栗原と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
 では、資料を共有いたします。
 まず、当会の概要です。
 今回の取り組みは、広島市薬剤師会、佐伯薬剤師会で行いました。合計で456薬局、996人の会員数となっております。
 広島市地域薬剤師会では、2018年より広島市・医師会・薬剤師会間でポリファーマシー対策における連携協定を結び、ポリファーマシー対策事業を行っています。このスライド以降の中間報告で御報告した内容については、スライドのみお示しして詳細は割愛させていただきます。
 国保の保険請求データから一定の条件で抽出した約4万4000人を対象に、服薬情報のお知らせとポリファーマシーに関するリーフレットを配布し、服薬情報のお知らせを薬局に持参していただき、それを基にポリファーマシー対策を行うものです。
 会員薬局薬剤師へのアンケート調査です。
 これまでの事業により「ポリファーマシーに関する知識・経験がより増えた」「患者とのコミュニケーションが取り易くなった」などの薬局薬剤師のポリファーマシー対策に対する意識を高めることができています。
 業務方針になります。
 当会におけるポリファーマシー対策活動の現状として、以下の点を中間報告として御報告いたしました。
 「業務手順書における課題確認と課題に対する実施事項」になります。
 こちらは当会の実施事項とポリファーマシー対策の進め方の対応表となっております。
 「作業計画、スケジュール」になります。
 「作業体制」です。
 高齢者医薬品適正使用推進委員会を設置しました。
 「事業内容(概要)」になります。
 準備事項として事業説明会、研修会を実施、そして、委員会を設置しました。
 スクリーニングとして、薬局に来られた患者さんのうち、65歳以上で、指針の注意すべき医薬品のA~Lの薬剤が処方され、複数の薬剤による有害事象が発生している方を薬局薬剤師が選別しました。
 実施事項として、処方医に疑義照会もしくは服薬情報等提供書によりポリファーマシー対策を実施します。また、並行して研修会を実施しました。評価項目として、事業終了後のポリファーマシー対策を行った薬剤師に対するアンケートを実施しました。最後に、そのアンケートの集計解析を行いました。
 「成果」となります。
 こちらは実施スケジュールです。全て計画どおりに実施を行うことができました。
 取組内容の詳細になります。
 まずは「高齢者医薬品適正使用推進委員会の設置」です。
 この中で当会役員より6名、広島市医師会役員より1名を選出しております。
 こちらは事業説明と研修会の内容になります。
 講演は、国立長寿医療センターの溝神先生にお願いしました。
 こちらは第1回症例検討会の内容となります。
 今回の取組で報告のあった症例を題材にして症例検討会を行いました。ちなみに医師は4名参加しました。
 今回の事業における一症例を紹介いたします。
 精神科病院と内科医院から合計12種類のお薬が処方されている方で、翌日の眠気から睡眠薬が減量となりましたが改善されていませんでした。その後、患者さんとの話の中で、内科医院で腎機能の低下を指摘されたことが判明し、精神科病院の主治医に、腎機能低下時に血中濃度の上昇が報告されているミルタザピン、そして、睡眠薬のエスゾピクロンの中止について提案を行い、これらが中止になった後、眠気が改善された症例となっております。
 こちらはポリファーマシー対策の実績ですけれども、当初の目標は500症例としていましたが、ポリファーマシーの問題のある患者、多剤処方による弊害が起こっている患者ですけれども、これの選別の難しさや患者の同意が得られにくいといったハードルがあって、結果、21症例という数字に表れたと推測しております。
 結果ですけれども、ポリファーマシー対策を行った患者の背景として、性別では、女性が71%、男性が29%、年齢は52%が70歳代でした。
 服用する薬剤の種類数は、43%が10剤以上の方でした。
 服用期間は、43%が5年以上でした。
 処方日数は、67%が14~30日未満でした。
 介入した薬剤の薬効分類は、38%が催眠鎮静薬・抗不安薬と最も多く、次に消化性潰瘍治療薬、高血圧治療薬、消炎鎮痛剤といった順番でした。
 検討した、つまり、服薬情報等提供書を作成して処方医に減薬に関する提案を行った方ですけれども、57%が減薬につながりました。また、その患者が当該薬局をかかりつけ薬局として利用している割合が29%となっていました。厚労省の診療統計では、かかりつけ薬剤師指導料の算定数は、処方箋受付件数の1.3%程度ですので、かかりつけ患者であることがポリファーマシー対策を行いやすい要因になったのではないかと推測をしました。
 処方医との連携は、81%が服薬情報等提供書(トレーシングレポート)を行っていました。
 連携先は、処方医と病院薬剤師が半々でした。
 処方医からの返答があったと回答したのは82%でした。
 59%が今回の服薬情報等提供書を作成したことによる調剤報酬の算定をしておりませんでした。
 今回の取組の結果、今後の処方元との連携について、45%が「行いやすくなった」と回答しています。
 服薬情報等提供書の提出件数に関して、62%が「増える」と回答していました。
 今後の課題としては「ポリファーマシーの問題を有する患者のスクリーニングの難しさ」「患者の理解が得られない」といった順番でした。
 費用対効果ですけれども、1か月の薬価で計算しますと、2万202円70銭となりました。
 現時点での業務手順書の有効性と課題について触れます。
 「有効性について」ですけれども、意識調査を行うことでポリファーマシー対策の意識を高めることができました。
 「地域の理解を深める」では、薬剤師会・医師会会員を対象とした合同研修会を開催することで、ポリファーマシー対策の理解を深めることができました。
 「担当者を決める」では、地域薬剤師会・医師会で委員会を設置することで、各施設の情報伝達をスムーズに行うことができました。
 「担当患者は対応可能な範囲で決める」では、期間を3か月に設定したことで、ポリファーマシー対策の意識を高めることができました。
 「患者の理解が得られない」では、日本製薬工業協会及びくすりの適正使用協議会作成のリーフレットを継続して配布しております。
 地域医療では、患者の意向が薬物治療に関して大きな影響を持ちます。多くの薬を服用することが、より健康につながるという観念を持つ患者も多く、患者へのポリファーマシー問題に関する啓発活動が重要であり、地域の医療において、本リーフレットの使用によりその有用性を再認識しました。
 「課題・改善策について」です。
 地域におけるポリファーマシー対策を行う上での課題ですが、まず、保険薬局においては、カルテの参照ができないため、病名や処方意図の把握が難しく、対象患者のスクリーニングが困難です。
 2番目に、病院と薬局、薬局間、介護施設と薬局における連携が、病院内と比べて取りにくいことが挙げられます。これら課題の対策としては、医師薬剤師等多職種を対象とした合同の研修会や症例検討会等の実施が有用と考えています。
 3番目として、地域医療では、処方に関して患者の意向が強く反映されます。そのため、減薬する際の同意が得られない場合があります。対策としては、地域住民へのポリファーマシーに関する啓発活動として、リーフレットの配布やポピュレーションアプローチ事業を継続して行っています。また、市民公開講座の実施について検討をしております。
 広島市が行っているポピュレーションアプローチ事業について御紹介します。
 これは広島市(行政)と薬剤師会の協働による地域の通いの場での活動で、その地区の担当保健師と、その地区の薬局薬剤師が、通いの場での参加者に向けた健康教育と個別指導を行うもので、その中でポリファーマシーに関する問題を取り上げています。
 最後に、業務手順書ですけれども、中間報告で御説明させていただいた内容のとおりで変更ありませんので、割愛させていただきます。
 以上、御清聴、ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 内容につきまして、御質問や御意見等がございましたらお願いします。議題1の最後に全体を通しての意見交換の時間も設けますので、そのときに御意見いただくことでも構いません。どなたか御質問や御意見はありますでしょうか。
 橋場先生、お願いします。
○橋場構成員 日本薬剤師会、橋場でございます。
 広島市薬剤師会様、どうもお疲れさまでした。大変だったかと思いますけれども、その中で1つ教えていただきたいのですが、課題3のところにも書いてありますが、なかなか患者さんの同意が得られなかったということで御苦労されているような感じに見受けられたのですが、患者さんの同意を得られない一番の理由・原因というのを、どういう形で考えられておられているのかということを教えていただければと思います。
○広島市薬剤師会 橋場先生、御質問、ありがとうございます。
 患者さんからの同意が得られない原因としては、やはり多くの薬を服用することによる患者さんの安心感ですね。薬が減ることによってそれが不安感につながるといったことが一つ大きいのではないかと。
 もう一つは、処方された先生との関係性のところで、例えば症状があって薬をお願いして出してもらっていたところを、よくなったからやめてほしいといったことはなかなか言いづらいところがあるのかなとは実感しております。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 そうしますと、今の原因に対して、どうやってそれを乗り越えていったらいいのかというところの解決策のところなのですけれども、今、改善策ということで、スライド27で幾つか書かれておりますけれども、もう少し具体的なところを教えていただけるとありがたいと思います。
○広島市薬剤師会 御質問、ありがとうございます。
 課題に対する改善策として、こちらのリーフレットの配布に関しては、ポリファーマシーといったものがどういうことなのかというのを地域の住民様にしっかり理解していただくというところが一番大きいのではないか。薬というのは、飲めば飲むほど健康になるというような思いがありますから、たくさん飲むことによる弊害というのをお知らせしていくといった活動が重要かなと思っています。その1つとして、もう一つは、ポピュレーションアプローチ事業の中で、それらを入れていくということで、今、検討しております。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 私からは以上で大丈夫です。
○事務局 そのほかの先生、いかがでしょうか。
○印南座長 よろしいですか。
 美原先生、お願いします。
○美原構成員 自分も聞きたいことがあったのですが、実績例が22例とありましたよね。そうすると、これは、調査対象としての母数があるわけですね。そうすると、理解が得られたのは全対象例分の22ですよね。その母数は一体どのぐらいで、どのぐらい理解が得られなかったというのを一つお聞きしたい。
 もう一つは、課題の1で、いろいろな病院の、カルテを見られないから、何が処方されているか分からないという課題があったかと思うのですが、最近ですとマイナカードが出てきてほとんど見られるようになりました。この頃はまだマイナカードなどは見ることができなかったのでしょうから、これはマイナカードが普及すると、どのような処方を受けているかというのは随分把握できるようになったように感じているのですが、いかがでしょうか。
 その2点です。
○広島市薬剤師会 美原先生、ありがとうございます。
 まずは母数のところなのですけれども、これは広島市の薬剤師会の中で、入会されている各会員が、日々の業務の中で対応した患者さんに対して、今の服薬情報等提供書を用いてポリファーマシー対策ということを意識して行った症例が22例だったということになりますので、母数というのは何分の何というのはなくて、要は、その期間に全ての処方箋を扱った中での22症例ということになります。
○美原構成員 ありがとうございます。
 恐らくこのような研究というか調査をするときに、患者さんに理解が得られなかったのが一体どのぐらいあるのか、その原因はいろいろあったかと思いますがそれが減っていかないといけないわけですよね。そういう意味では、ポリファーマシーの対象となった患者さんの数を把握しておいて、そして、その対策が取れたという数を把握できると、なおいいかもしれないなと思いました。
 以上です。
○広島市薬剤師会 ありがとうございます。
 もう一つ、先ほどのカルテの参照ができないということについてなのですけれども、恐らく、服用している薬剤というのは全て把握できたとしても、その薬がどういった症状に対していつから出たのか、それに対して、その薬を飲むことでどこがゴールなのか、そういったところが、やはりカルテを参照できないと分からないところがあるという意味でここに書かせていただきました。ありがとうございます。
○美原構成員 どうもありがとうございます。
○印南座長 いいですか。ありがとうございました。
 それでは、続いて、富山県薬剤師会から説明をお願いします。
○富山県薬剤師会 では、始めさせていただきたいと思います。
 富山県薬剤師会、永野です。標記タイトルについて、最終報告を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本会の組織概要です。
 令和3年度は、後期高齢者医療広域連合からの委託事業として、ポリファーマシー対策に取り組みました。
 令和4年度は、広域連合に加え、富山県から国保前期高齢者を対象としたポリファーマシー対策事業の委託を受けました。
 現状ですが、富山県内では、病診連携、薬薬連携を含め地域としてポリファーマシー対策に取り組んだ実績はありませんでした。今回、魚津地区において、基幹病院入院中に処方の見直しを行い、退院後も減薬を維持できる体制を構築することを目的に、本事業を実施しました。
 魚津地区では、ここに示したように多くの課題が挙げられました。
 事業実施に当たり、富山労災病院、地域医療機関、保険薬局、魚津市が連携し、地域全体として取り組むことができるよう作業体制を構築しました。
 ここに示した作業スケジュールで実施いたしました。
 手順書を参考に、魚津市内の地域包括ケアシステムを担う関係者とポリファーマシー対策連携協議会を立ち上げ、現状把握と課題を抽出するためにアンケート調査を実施しました。
 「人手不足で、対象者抽出や、検討する時間を作れない」に対しては、入院時初回面談チェック表を病院薬剤部で作成、運用しました。同様に保険薬局での服薬指導時に使用するために、薬局用のチェック表を作成し、運用を開始しました。
 「他職種連携が十分でない」については、院内ポリファーマシー対策チームを設置し、メンバーは医師、薬剤師、看護師、管理栄養士としました。
 他職種による症例検討会を年8回開催しました。
 その結果、富山労災病院では、薬剤総合評価調整加算、薬剤調整加算、退院時薬剤情報連携加算ともに前年度より大幅に算定件数が増加しました。
 「お薬手帳がうまく活用されていない」では、各種媒体、啓発ポスターを活用しました。
 薬局の地域への事前アンケートで、ポリファーマシー対策の浸透が十分ではなかったことから、病診連携症例検討会を利用して、ポリファーマシー対策に関する情報共有を試みました。
 検討会は4回開催し、院内だけではなく市内の医師にも参加いただきました。
 薬薬連携では、連携方法やポリファーマシー対策の必要性を5回の研修会を通して認知・周知しました。
 事前アンケート結果で、高齢者のポリファーマシーへの理解度が低かったことから、市民への広報として啓発ポスターを作成し、市内各所に掲示しました。
 事前アンケートで、お薬手帳は普及しているがうまく活用されていないことが課題として示されましたので、地域で対策を検討しました。
 うまく活用されていない理由の一つとしては、記載内容が盛りだくさんとなり、また、多科受診、多剤服用により新たな手帳が作成され、基本情報の更新が十分にされていないことが考えられたため、患者基本情報カードを作成しました。
 「見直し後の処方内容を、かかりつけ医へフィードバックする体制が構築されていない」についての対策として、返書専用の服薬情報提供書を用いて返信することとしました。
 薬薬連携研修会で、情報提供書の流れをここに示したように周知しました。
 退院時服薬情報提供書の入院要約や、特記事項に処方変更の理由や、退院後に薬局でフォローしてほしい内容が記載されています。これらについて、薬局では退院した患者に確認し、返書として病院に報告する体制を整備しました。これにより、患者がかかりつけ医に戻った後の処方内容を確認することができるようになりました。返書用の服薬情報提供書を作成後、報告件数は増加しています。
 「ポリファーマシーであるかを判断することが難しい」「病態全体をとらえることが難しい」の対策として、ポリファーマシー対策研修会や、病院医師による情報提供研修会を開催しました。また、薬局チェック表の活用を行っています。
 これまで実施した事業について、事業前後でアンケート調査を行いました。
 ポリファーマシーに対する理解度は、医師で100%となり、服薬情報提供書の認知度も上昇しました。
 高齢者では、ポリファーマシーという言葉を聞いたことはあるが意味を理解されていない方が多いこと。また、薬が多いと思っていても相談する環境が十分ではないことが明らかとなり、今後も体制を整えることが重要と考えられました。
 また、保険薬局では、減薬提案や退院後患者に関する情報提供の実績が増えたことが明らかになりました。
 本事業での医師の関与について、アンケート回答数や検討会参加人数に大きな変化はありませんでした。しかし、症例検討会では、減薬について活発な意見交換が行われており、今後、多剤服薬者の処方見直しについて積極的に提案していただけるものと期待しております。
 事業はほぼ予定どおりに実施することができました。
 手順書活用と今後の取組についてですが、本事業では、手順書を活用して、魚津市内での体制を構築することができました。一方、手順書に不足している点として、高齢者でも、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師を持たない場合、ポリファーマシー対策に関わる鍵となる医療従事者がいないことになり、その際の対応方法が課題として上がってきました。
 院内のポリファーマシー対策チームでは、多職種で症例検討会を行い、情報を共有しました。
 病院の課題としては、薬局からの返書専用情報提供書を活用し、退院時処方の維持状況や、処方見直しに起因した問題の発生状況を確認し、ポリファーマシー対策の向上につなげていただくことが挙げられます。
 病診連携症例検討会では、ポリファーマシー対策症例を取り上げ、検討していただきました。
 今後は、多職種で処方見直しを行うことを目的に、病院・医師会・薬剤師会の合同処方解析検討会の開催が必要と考えています。
 薬薬連携では、返書専用情報提供書を用いて、薬局から薬剤部へフィードバックする体制を構築しました。また、薬局用チェック表を用いて、対象患者のスクリーニングを開始しました。
 今後も症例検討を継続して、薬局でも積極的に取り組める体制を構築したいと考えています。
 患者が利用している医療機関が複数になると、ポリファーマシーに対する情報を共有しにくくなることから、お薬手帳と併せて「患者基本情報カード」を周知・活用し、医療機関での情報共有ツールとなるように運用を進めたいと考えています。
 アンケート結果から、ポリファーマシーに対する認知度は上がりましたが、まだ十分とは言えず、今後も周知方法を検討し、ポリファーマシー対策が進むように努めたいと考えています。
 報告は以上となりますが、課題については、次年度以降も地域全体で対策を立てて取り組んでいきたいと考えています。
 御清聴、ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いします。
 よろしいですか。
 最後に時間を取ってありますので、御質問がありましたらそのときにまたお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、神奈川県保険医協会から説明をお願いします。
○神奈川県保険医協会 このたびは、このような貴重な機会を与えていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 私のお話は、共有画面も含めて必ずしも資料の順番どおりにはなっていません。お聞き苦しいところもあると思われますが、お手元の資料を御参照いただければ幸いに存じます。それでは、始めさせていただきます。
 業務手順書をそれぞれの地域で利用した場合の有効性、課題を探るために、我々はお薬手帳を医療の情報共有のツールとして最大限活用しました。お薬手帳は、患者が携帯いたしますので、患者を中心に据えた医師・薬剤師間の連携ツールとしてとても有効であると考えています。
 本事業は、まず患者の理解を得る目的で、薬剤師から薬剤調整の必要性を簡単に説明いただき、患者の同意を得ることから始めます。薬剤師は処方箋に則って調剤しており、薬剤が変更された場合、薬の変更理由については情報が皆無となります。本事業では、薬剤を中止・減量・他剤に変更した際には、日付・薬剤名を記載し、その理由についてもコメントを入れていただきますので、お薬手帳を開くだけで医薬の情報共有が可能になります。
 また、これらの情報については、お薬手帳を携帯している患者の目にも触れますので、患者も、なぜ自分の処方箋が変更されたのか確認できるというメリットがあります。
 さらに、見直し後もお薬手帳を活用し、医師・薬剤師が協働し、患者の状態をフォローするため、服薬調整後の状態についても、医師・薬剤師双方にフィードバックされ、情報共有することが可能です。
 本事業について、お薬手帳を最大限活用した点が成果の一つであり、業務手順書を地域で活用する際にも有効な手段になると考えています。
 我々は、ポリファーマシーに対する認識を高め、本事業を推進させるため、研究会を2回開催しております。その際に、保険医協会単体ではなく、地域の医師会や薬剤師会に働きかけ、研究会開催に対し御協力をいただいております。このことも今回の事業の成果の一つと捉えております。
 2回にわたる研究会の中で、研究参加者の意識は確実に変化しており、一定の効果が得られたと考えております。ただし、ポリファーマシーの課題やその対策に関心を示さない医師・薬剤師に対し、どのように行動変容を促していくのか、1年間という時間の中で結論を導き出すことはできませんでした。
 お薬手帳を用いた本事業の結果につきましては、配付してあります資料の30~31ページに、また、事業に手挙げいただいた8医療機関を対象に行ったアンケート調査の結果を27~29ページに掲載しておりますので、御確認ください。
 30ページを御覧ください。
 本事業は無床診療所と調剤薬局それぞれ6件に協力いただきました。薬剤師からの減薬提案を受け、医師が減薬を検討した91薬剤のうち、処方変更なしで薬を継続したケースが58件、64%ありました。そして、そのコメント欄には「病状的に必要な薬で変更・中止できない」と記載されていました。
 確かに、処方薬が6剤以上になると薬物関連の有害事象が増えるという報告や、ガイドラインに掲載されている29種の「特に慎重な投与を要する薬物」を服薬している患者は、現状問題なくとも、将来的に有害事象を起こす可能性が高まり、単に薬を減らすことがポリファーマシー対策につながるという見方があることも事実です。しかし、その患者にとって、病状をコントロールする上で必要変更できない薬があることも忘れてはいけないと思います。
 31ページは、処方見直し後の医師・薬剤師によるフォローアップのデータです。
 中止・減量・代替薬に切り替えた33件のうち、薬を変更後も「患者の状態が変わらなかった」あるいは「改善した」と回答した件数は、処方見直し1か月後で28件、85%に上っていました。
 ページ32の「現時点での業務手順書の有効性と課題・改善策について」を御覧ください。
 繰り返しになりますが、我々はお薬手帳の利活用は、業務手順書に記載されているポリファーマシー対策の大きな柱になると考えています。本事業は、自院の処方薬について行われましたが、今後、他科の処方についてどのように取り扱うかが課題になると考えています。
 他科の処方薬を調整するには、まず、お薬の一元管理が必要になります。近い将来、デジタル化により処方内容が一元化されれば、この課題は解決すると思われますが、実現には一定の時間がかかり、現状では紙媒体のお薬手帳を活用するべきと考えます。ただし、超高齢化社会を迎え、高齢者の方は複数の医療機関を受診されており、お薬手帳を複数冊持たれている場合も多いと思われます。その場合、受診のたびに手持ちのお薬手帳を全て持参いただく必要があり、現実的ではありません。メリット・デメリットはそれぞれありますが、デジタル化の一つのツールとして、電子お薬手帳の使用も選択肢と考えます。
 話を戻しますが、自院以外で処方されている薬を調整する必要がある場合は、一つの手段として、相手の医師に対し、文書等での情報提供を行うことが考えられます。その際には、相手の医師の立場を尊重し、判断を委ねる姿勢が必要と思います。
 もう一つの課題は、医師一人体制の診療所では、他業務が忙しく、ポリファーマシー対策に時間を割くことができないことが挙げられます。個々の医師・薬剤師の負担を増やすことなくポリファーマシー対策を行うには、地域ごとにそれぞれの地域に見合った体制を構築するべきと考えますが、この点につきましても、既存のお薬手帳を活用し、連携を進めていくことが解決の糸口になると考えています。
 また、地域での体制づくりの際に、入院時の処方変更の多い患者の退院時の処方については、病院薬剤師と地域の調剤薬局あるいは診療所間で、処方内容のみならず薬剤の変更理由も明記した文書等での情報共有が必要になると思います。
 最後に、本事業の成果として、お薬手帳を用いた情報共有と、地域の医師会・薬剤師会との協働・連携を行うことができたことを挙げさせていただきます。一方、時間的制約もあり、事業を幅広く浸透させることができなかったことが、今後の課題であると考えます。
 当該事業は令和5年3月をもって一区切りつきますが、ポリファーマシーに対する意識の向上を目的に今後も研究会を継続することが必要と考えています。事業終了後も、地域の医師会・薬剤師会に協力を仰ぎ研究会等を継続していくつもりでおります。
 以上です。御清聴、ありがとうございました。
○印南座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見等があればお願いいたします。
 橋場先生、お願いします。
○橋場構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会、橋場です。
 中間報告でも御質問させていただいた点ですけれども、お薬手帳を使ってのポリファーマシー対策ということで、特に、こういった取組をしているということが患者さんの目に触れるというところが面白いと感じておりました。結果も、27枚目ですか、患者さんの意識が変わったということも見受けられたということと思っておりますけれども、もう少し、もし分かればですけれども、患者さんの意識の変化というところが、具体的にこういったことがあったということが分かればお知らせいただきたいという点が1点。
 もう一点ですけれども、今回はお薬手帳を使っての活用ということがあるのですが、今の情報連携ツールという意味では、服薬情報等提供書というものがありますけれども、こちらとの組合せみたいなものがあったのかなかったのか、御検討があったのかということをお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
○神奈川県保険医協会 御質問、ありがとうございます。
 1点目につきましては、ページ27に「医療者・患者の意識変革を促進」と書いてありますけれども、あくまでも、この事業に参加・協力いただいた8医療機関の先生方がこの事業を行うに当たって、患者さんの意識の変革というものを、医師の側からの判断に基づいて回答しておりますので、先生の御質問の、具体的なところには踏み込めないように思います。御了承いただければと思います。
 それから、2番目の服薬情報等提供書との併用ですが、今回の事業のなかでは行っておりません。お薬手帳の利点の一つは、患者さんが携帯をするというところにありますし、あくまでも患者さんを中心に据えた医薬の連携ができるというところに利点があると思います。今後お薬手帳の中に、今以上にいろいろな情報を盛り込むことも可能と考えます。今回は、我々はお薬手帳を活用しての事業を行ったということでございます。よろしいでしょうか。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 今の最後の御回答の中で、もう一つ加えての質問になるのですけれども、服薬情報等提供書とお薬手帳を活用した際の違いというのは、患者さんが受診時でないと、お薬手帳は、医師の側が見られないと思いますので、服薬情報等提供書ですと、受診前に見られるというところが利点なのかなと思います。
 その辺のところの、医師がお忙しい中で、受診時にお薬手帳をしっかり読み解けるというところが、今回のやられたことの柱かなと思いますけれども、その辺についての課題等というのはありましたでしょうか。
○神奈川県保険医協会 薬剤師の先生は、毎回、患者さんが受診する毎にお薬手帳を当然見られているとは思うのですけれども、先生がおっしゃったように、医師の場合は、通常、何か有害事象があるとか、あるいは薬の相互作用がどうなのだという形で毎回チェックをするようなことはないと思います。ただ、こういった事業をすることによって、薬剤師側からの情報もお薬手帳に残りますので、必ず、この事業を通じてはお薬手帳を見ざるを得ないというか、そういった動機づけの一つにはなっていたのかなとは思っております。お答えになっていますでしょうか。
○橋場構成員 ありがとうございました。
 私からは以上です。
○神奈川県保険医協会 ありがとうございました。
○印南座長 それでは、池端先生、お願いします。
○池端構成員 御発表、ありがとうございました。
 私からは1点だけです。先ほど、御発表の最後のほうに少し触れられましたけれども、今回、お薬手帳を使ってのすばらしい取組だと思いますが、一方で、政府もかなり前がかりで医療DXを進めていて、その中で電子処方箋もようやく緒に就いた状況で、まだまだこれが広く汎用している状況ではありませんが、先生の印象でも結構ですので、もしこれから電子処方箋がどんどん進んできた場合に、電子お薬手帳ということに置き換わってくことが可能なのかどうか。当然進めていかなくてはいけないと思うのですが、そうするために、ここがこうなったら電子お薬手帳はいいよねということ、先生が今お薬手帳を使っていて、ここだけは絶対織り込んでほしいということがあれば、何か教えていただけるとありがたいと思いました。
 以上です。
○神奈川県保険医協会 ありがとうございます。
 先生、電子処方箋ということでよろしいのですか。
○池端構成員 いや、電子お薬手帳。お薬手帳を電子化するときのハードルで、ここがクリアできなければというところがあればということです。
○神奈川県保険医協会 今、超高齢社会ということで、高齢の方が多いものですから、電子お薬手帳も、何回か使って慣れてくると、そんなに大きなハードル、問題もないとは思うのですけれど、やはり最初の段階で、若い人と比べると、高齢の方の場合にはアプリ等の操作がなかなか難しいところもあると思います。そういう意味では、早急に電子お薬手帳に変えていくということはやはり難しいと考えております。一定の時間が必要だと思いますけれども、高齢者の方が受け入れてくれるかどうかを考えると、少し難しい面もあるのかなと正直思っております。ありがとうございます。
○池端構成員 おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございました。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
 北澤先生、お願いします。
○北澤構成員 北澤です。
 御発表、ありがとうございました。
 お薬手帳は1冊にまとめたほうがいいというのは、医療関係者は耳にタコができるほど聞いているし、皆さん御存じだと思うのですけれども、それにもかかわらず、まだまだ浸透していなくて、複数のお薬手帳を医療機関ごとに持っていらっしゃる方がいらっしゃるというお話だったかと思います。1冊にまとめるというのを今後徹底していくかについて、何かアイデアをお持ちでしたらお願いいたします。
○神奈川県保険医協会 どうもありがとうございます。
 先生のおっしゃるように、今の紙のお薬手帳を1冊にまとめるというのはなかなか難しいと思います。高齢の方というのは、どうしてもいろいろなクリニック、いろいろな科を受診されておりますのでより難しいとは思うのですけれども、デジタル化ということで言えば、まだまだ時間はかかりますけれども、電子処方箋というのも、課題の解決方法になり得ると考えます。ただ、これは短期間でできることではありませんので、先生、何かいいアイデアがありましたら、ぜひ改めて御教授いただければと思います。ありがとうございます。
○北澤構成員 ありがとうございます。
 キャンペーン活動といいますか、お薬手帳は1冊にまとめよう、そのほうが絶対いいんだという、何かメディアも巻き込んだようなものをやらないと、なかなか広まらないのかなと、お聞きしながら考えておりました。どうもありがとうございました。
○神奈川県保険医協会 ありがとうございました。参考にさせていただきます。
○印南座長 ほかによろしいでしょうか。
 では、取りあえずということで。ありがとうございました。
 それでは、最後に宝塚市薬剤師会から説明をお願いします。
○宝塚市薬剤師会 宝塚市薬剤師会の畑と申します。
 では、最終報告をさせていただきます。
 宝塚市薬剤師会の概要です。これは中間報告と同じです。
 取組としてもう一度お話しさせていただきますと、宝塚市薬剤師会及び地域の病院で、他職種も含めてなのですけれども、2015年頃からポリファーマシーの対策というのは始めてきたところがあります。最初に書いています、宝塚市地域包括ケアシステム研究会、その下の宝塚市薬剤師地域連携研究会、これは先ほど申しました2015年からやっていまして、特に薬剤師の地域連携研究会に関しては、ポリファーマシーをどうにかしたいというところから始めた会になります。そこから8年かけて、主に薬薬連携、もしくは医師会の先生を交えた医薬連携のところも含めての問題解決を取り組んできたものになります。その中で生まれたもので、退院時薬剤情報提供書、入院時のところ、吸入指導というところも近年、市内統一のフォーマットをつくって取り組んできたものになります。
 「行政事業との連携」というところで、これは3年ほど前から、ほかの地域でもされていると思うのですけれども通知事業です。ポリファーマシーになっているものをレセプトから抽出して、患者さん御本人に通知して、それを医療機関に持っていっていただいて対策をするというところです。
 あと「市民・多職種への啓発活動」で、これも数年前から行っているものになります。
 「通知事業」に関しては、中間報告でもお話しさせていただいたので流させていただきます。
 通知事業に対するに対する実態調査というのもアンケートで行いました。
 通知事業後の改善された該当数等のデータになります。
 さらに、通知事業の実施だったり薬局にアンケートを取りました。
 このような内容で取りました。
 「服薬情報提供書送信件数」なのですけれども、実際、結構前からポリファーマシー等、薬薬連携、医薬連携を取り組んできたにもかかわらず、0件というところが24件あったということで、行っているところは行っているけれども、まだまだできていない薬局も多いなということが分かりました。
 服薬情報等提供書の保険点数の算定に関しても、まだ0件が多いというところで、薬局によっての温度差があるというか、取組の差があることが分かりました。
 そういうところで、事業前の現状として、このような形が挙げられています。
 やはり病院と薬局の連携しやすい環境がより必要だというのが分かりました。
 業務手順書における課題確認というところで、以下のところが挙がってきました。今までもしている内容もあるのですけれども、特に今回力を入れてやろうとしたところが、入院時の薬剤情報提供書で、これは病院のほうが持参薬の整理、さらに、実際、今飲んでいるお薬はどれなのかという情報が知りたいと。
 ただ、薬局側では、いつの間にか入院しているというケースが多いということで、病院のほうから事前に「この方が入院するので情報を下さい」という依頼を出すというところから、入院時薬剤情報提供書の普及ということを行いました。
 あと、多職種連携で、お薬手帳カバーというのは、以前からカバーに多職種の名刺を入れよう、かかりつけ薬剤師の名刺をつけようと。あとは、お薬手帳に多職種との連携というところで、必要事項を記載するという形での活用をより積極的にやろうと考えました。
 この8点が実施事項になります。
 「医師との関わりについて」も、中間報告に書かせていただいたところです。やはり、薬剤師会としても、医師会との協議と説明がとても大事だと思っております。ここの1年間でも、当会の会長及び宝塚市立病院の薬剤部長が医師会に行って、この事業の説明もしてきまして、もちろんいろいろ御意見があったのですけれども、その辺りも何回か情報交換をさせていただいて御理解いただいたという経緯があります。
 「入院時薬剤情報提供による情報共有」というところで、このようなフォーマットで、薬局から病院へ事前の情報を提供するという形を積極的に行ってきました。
 送信しやすい環境というところで、どうしても手書きだと大変だということで、手軽に、PDFに入力する形でも対応できるような形の環境というのも薬剤師会で作成しました。
 こちらは先ほど言った話です。
 以下のスケジュールで実施してきました。
 作業体制が以上です。
 「成果」を挙げさせていただいております。以下のとおりのことを行ってまいりました。
 「高齢者医薬品適正使用のための多職種・市民を交えた取り組み」を挙げさせていただいています。
 地域ケア会議を、地域包括支援センターと、そこの地域にいる薬剤師での意見交換というものを、3年ほど前から年2回行っています。いつも挙がる内容として、やはり残薬というところなのです。いつ行ってもお薬がきちんと飲まれないで残っていると。これはポリファーマシーの一つの問題かと思っております。その意見交換というのを中心に今も定期的に行っています。
 病院薬剤師・地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の薬剤師の情報共有というところで、そういう地域連携薬局を申請した薬剤師にいろいろと説明をしてもらうと。病院薬剤師も、それも含めて一緒に行った取組を情報提供していただくという研修も行いました。
 地域包括ケアシステム研究会での研修会も、中間報告からさらに2回行いました。多職種・市民に医薬品適正使用をしてもらうための研修会というのを、実はこれは以前から行っていたのですけれども再開しています。
 地域ケア会議で、薬剤師にアンケートを一度取ったので、それを出させていただきました。外来患者で残薬持ち込みの対応というところは、9割の薬局が残薬持ち込みでの残薬整理ということを行っています。どの職種から受けたかというところが、本人家族というのが半数近くなのですけれども、これを見ると、ケアマネ、訪問看護士。医師は除いてヘルパーというところで、この医師以外の多職種で、本人家族と同じぐらいの依頼があったと。やはり残薬を築いているのは多職種、家に入っている介護を行っている方が築いていることが、このアンケートで本当に明確になったかなと思います。
 この服薬情報提供を円滑に進めるための研修会を11月26日に行いました。「宝塚だからできる!みんなでやろう!」というところで集まっていただいて、64名の薬剤師で、これは「宝つーかーの会」の特徴なのですけれども、医師会の先生にも来てもらうと。医師会の会長の栗田先生は、会長になる前から長年来ていただいている先生で、いつもその中で、医師会として、医師としての意見を最後に総括していただいて、医師会のほうにも服薬情報提供書の重要性を知っていただくということを行いました。
 さらに、先ほど言った地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の薬剤師に、前、話をしてもらって、トレーシングレポートを提出してみようという、ヤングつーかーという若い薬剤師がメインとなる会なのですけれども、そこで実際にあった症例の検討会を行いました。
 多職種の研修会も、これも先ほど説明したとおり2015年からずっと行っているものですけれども、今回、ポリファーマシーという中で、まず、ICTを活用したチームのコミュニケーションというところで、在宅訪問における連携ツール、残薬であったり服薬管理も含めた中での連携ツールの話をいたしました。
 さらにこれは2月に入ってから、こちらは私も中心になって企画をしたのですけれども、高齢者の薬の適正使用を考えようということで、薬剤師3人が実際の事例を出して、薬剤師と多職種との連携でうまくいった事例、さらに退院支援で、病院の薬剤師から話があるというところを行いました。これも薬剤師がこういう内容だと一番多くなるのですけれども、それでも34名のその他の職種の方に参加していただきました。
 その2月16日の高齢者の適正使用に関するアンケートで、これは複数の職種の方に聞いたのですけれども、やはりポリファーマシーと感じた事例はあるというのが92%。原因は何があるかというのも聞いたのですけれども、その中で、本人希望も3割あるということが分かりました。複数受診は当然そういうところで増えてくるのはあるのですが、本人が飲みたがっているのもあるのが、これは前から私も、患者さんと話をするとあるなとは思ったのですが、やはり多かったのが分かりました。
 多職種への相談によりポリファーマシーを解決したことがあるかというところで、6割があると回答をいただきました。
 多職種研修会でポリファーマシーの相談はどなたにしようと思いましたかということで、医師・薬剤師・看護師と、やはり医療職が中心となるのかなというところが出てきました。
 これもいろいろな意見を聞いて挙げさせていただいたところで、解決策はどのようなものがありますかと。やはり、サービス担当者会議、多職種連携というところで、利用者の状況、やはりそれぞれ、ポリファーマシーというのはいろいろな原因があるということで、やはり一人一人の利用者のポリファーマシーの原因から探っていかなくてはいけないのかなと。
 あとは、症状がないのに漫然と投与されているというのを挙げていただいた職種の方がいらっしゃって、そういうときはどうしたらいいのかというのをディスカッションした内容になります。
 その他、多職種研修会というところで、これも、コロナ禍前はやっていた内容になるのですけれども、介護職員、在宅介護に従事している方というのは、そういう多職種連携会を行ったとしても時間的に難しかったりするということが分かりましたので、そういう方に、都合のいい時間に多職種が開催すると。併せてですね。金曜日の夜だと集まりやすいことが分かったので、そういうことでやったり、こういうのはこれからも、やはりポリポリファーマシー対策というところで、介護職の意見であったり手助けというのは必要になってくるということで再開すると考えております。
 薬剤師会として「その他 適正使用のための研修会」ということで、今、立ち上げたのが、「正しくぬり隊」というキャッチフレーズにしたのですけれども、外用剤というのは、適当に塗っていてはなかなか治療が終わらないので、適正の量を塗布することによって、治して、すぐに薬剤を終了できるというのが、特にステロイドや保湿剤は塗り方が大事になってきます。それを、その地域の薬剤師が講師になって、各介護職に、施設であったり訪問看護ステーションであったり、介護事業所、居宅の支援事業所に行って、そういうところで講師をすることを今企画しております。これも4月以降、本格開催予定で、コロナ禍が過ぎてからやりやすくなるということで開催を計画しております。
 「市民向けの医薬品適正使用のための研修会」で、これもコロナ禍前は結構やっていました。「令和元年度10回」と書いていますけれども、宝塚市の高齢福祉課が「いきいき百歳体操」という地域の市民向けに体操を行っているのですけれども、そことコラボレーションして、体操をしてもらった後に正しい薬の飲み方、これは実際にポリファーマシーとはこういうものですよという説明を含めて行ってきました。実際、これはNHKも一回取材していただいて、地域のニュースに流していただいたこともあるのですけれども、やはりこういう集まる老人会とか、そういうコミュニティーのところで、薬剤師がポリファーマシーについて説明する、理解を市民にしてもらう。
 これは、先ほど申しましたとおり、高齢者が本人希望でポリファーマシーになるということがよくあるということで、それを、ポリファーマシーの怖さを啓蒙していくというところで大事かなと思って、これも、つい3月も行ったのですけれども、また6月にもやるのですけれども、だんだん高齢福祉課とのコラボレーションというのがやりやすくなってきていますので、これも薬剤師会としては積極的に行っていこうと思っております。
 こちら、薬局アンケートをまた取り直したものになります。
 これを見ていただくと、先ほど0件というものが多かったのですけれども、0件が少なくなってきております。これも、まだまだ0件が多いというところがあるのですけれども、これもまだこれからの取組で、たくさんの薬局が算定できるような環境をつくっていこうと思っております。
 服薬情報提供料に関しては、入院のときの、退院時の情報提供というところになってきますので、これは増えてきています。
 好事例も挙げさせていただきました。
 こちらも確認していただければと思うのですけれども、やはり多職種を交えた吸入支援で薬剤が減ったという内容をここで挙げさせていただいています。こちらもトレーシングレポート(服薬情報提供書)で減薬というところを挙げさせていただいています。
 改善策というところで、宝塚市立病院は、課題をキャッチしていただいて、ポリファーマシー対策を以前から行っているのですけれども、ほかの中小病院に関しては御理解いただけるところがまだ、収益性というところが一番ネックになってきているように思っております。やはり、これもポリファーマシー対策が地域医療のために必要であるということで、多くの病院にポリファーマシーの研修会に参加していただいて、より広めていただきたいと思っております。
 ポリファーマシーの服薬困難事例が多く見られて、残薬問題の原因になっているというところ、これも地域に、多職種によるポリファーマシー対策の共通認識をこれからも積極的に行って、いろいろなところ、協会、行政等も含めての話合いで解決していければと思っております。
 すみません。長くなりました。以上になります。
○印南座長 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等があったらお願いします。
○事務局 事務局なのですけれども、平井みどり先生から御質問をいただいておりまして、チャットのメッセージのほうで個別に届いておりましたので、代読させていただければと思います。
 宝塚市薬剤師会様に対する御質問となっていて、お薬手帳カバーの活用を少し広げて、複数のお薬手帳をバッグに入れれば手帳の管理ができるのではないでしょうか。宝塚ではそういう試みはされていませんでしょうかという御質問になります。よろしくお願いします。
○宝塚市薬剤師会 お薬手帳も含めて、何か入れ物に入れるということですか。
○秋下構成員 これは、例えば福岡県でやっていますけれども、手帳とか病院のカードとか、そういった複数の関連するものを一式全部入れるようなケースをつくるという意味だと思います。
○宝塚市薬剤師会 分かりました。
 診察券、保険証、そういうのも併せて入れていただくのも、確かにそれは有用かと思います。どの医療機関に受診しているかであったり、どのような助成金をもらっている、福祉の負担、障害を持っているとか、そういうのも分かってくると思いますので、一元管理というところでは、お薬手帳カバー、そういうものは全て一緒にしていただくのが一番いいかなと思います。ありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
 池端先生、お願いします。
○池端構成員 
 高齢者施設の高齢者の方、あるいは介護職員に対する啓発活動、指導等をやっていることは、私は非常に重要だと思いますし、今回、診療報酬と介護報酬の同時改定でも、薬剤師がいない施設に対して、薬剤師と多職種がどうここに関わっていくかという点でも非常に重要だと思うのですけれども、費用負担とについて、ボランティアでやっていらっしゃるのか、別の特別な予算でやっていらっしゃるのか、その辺についてお伺いできればと思います。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
 現状で言うと、宝塚市薬剤師会及び補助事業として、兵庫県薬剤師会に申請するような形で行っています。講師料という形で言うと、正直ボランティアに近い金額になっているというのが現状ですので、確かにそれは課題に思っているところはあります。やはり、その分だけ時間を割いて、それも業務をある意味差し置いてというかやっているところになってきますので、それが、経営者であったりチェーン薬局とかが、そういうところで絡みにくい原因にはなっているかなと思います。どうしても休みの日にお願いするという形になってきますので、負担というところは確かにこれから課題になってくるかなと思います。
○池端構成員 ありがとうございます。
 もう一点だけ、介護施設側のほうの受けというか、管理者の方々を含めて、割と定期的に受け入れていただける環境でしょうか。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
 それに関しても「3つの若葉を育てる会」という地域包括ケア研究会を長年やっているというところで、そういう話を挙げやすいですし、施設の管理者の方もぜひ行ってくださいというお話はいただいていますし、コロナ禍で止まってしまったのが一番残念なところではあるのですけれども、これからまた再開したいですという話をすると、積極的に受け入れていただけるとは思います。
○池端構成員 ありがとうございました。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
○宝塚市薬剤師会 挙がっています。高齢社会をよくする女性の会様。
○印南座長 樋口先生、お願いします。
○樋口構成員 高齢社会をよくする女性の会の樋口恵子でございます。
 私は歳の割には元気だなと思っておりましたら、罰が当たってこの2年ほどの間に3回の入院を繰り返し、そして、また、ある意味で、今日ここに連ならせていただくのを喜びとしております。
 その入院の中で何が変わったかと申しますと、私、どちらも1か月も入院しなかったのですけれども、まず、男女2人連れの薬剤師さんがいらっしゃって「お薬について疑問に思っているものは何ですか」と。これは、行政が変わると一体どこが変わるだろうと思っていた節もあるのですけれども、このところ、まず、意見を聞きに来る職種が増えた。
 少し前に、栄養士さんが「お食事について何か言いたいことはないですか」と言って見えましたし、今度入りましたら、男女2人の薬剤師さんが来てくださって、服薬の中身から何から非常に丁寧に聞いてくださって、私はこの会にいなかったらそんなに感心しなかったと思うのですけれども、この会の末席に連ならせていただきまして、やはり行政の態度が変わると意見を受け止めようとする動きが変わるのだなと思いました。
 今日、話を承っておりまして、いろいろ御意見をいただいて、みんな納得、納得なのですけれど、入院中の患者というのは暇なのです。ですから、ぜひ、月に一遍でもよろしいですから、特に薬剤に関しては、専門家の先生方の一般的なお話を聞きたいという動きがございますというか、願いは大変熱烈でございます。
 今日、お話にも出ていましたけれども、どうぞ、若干お手すきの時間をつくって、専門家に薬剤についてお話を伺うとか、特に退院時にQ&A、退院時に質問をする機会とか、ぜひそんなことを実現していただけたらうれしいと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 ほかになければと思いますが、よろしいですか。
 それでは、議題1、全体を通して御意見等がございましたらお願いいたします。
○事務局 先生方、御意見がございましたら挙手をいただければと思っております。
○印南座長 美原先生、お願いします。
○美原構成員 いろいろな取組が成果を上げているように思われるのですが、心配なことが1つあります。
 情報共有をするために様々な書類が必要になる。今でさえ書類の数が非常に多いのです。情報共有のためのツールとして、そういうものができるのはいいのですが何とかそれが統一化されないか。お薬手帳に関しましても一元化という話がありました。僕の患者さん、3冊持っている患者さんがいましたし、趣味で集めているのだそうです。そういうのも結構あるのです。
 今後、情報の共有化ということで医療のDXが進んだときに、マイナカードというのも十分に活用されるような方向に行くと思います。実際、当院でも最近、マイナカード持ってこられる方が増えまして、そうすると、医療機関で処方されている薬剤はほぼ完璧に分かるようになってきました。お薬手帳の活用もいいのですが、マイナカードの活用が将来的にすぐにはいかないかもしれないけれども、現在のDXの推進を見ながら、今後の対策を立てることを検討しておくことが重要かと思われました。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
 ほかに全体を通じまして、何か御意見は。
 池端先生、お願いします。
○池端構成員 ありがとうございます。
 4つの取組とも本当にそれぞれの地域ですばらしい取組をされていると思うのですけれども、どうしても市町単位で小規模の単位が中心になると思うので、この取組をどうやって面で、地域に展開していくかということだと思うのですけれども、ここはなかなか難しい問題。それぞれ地域でも医療機関とか、よく頑張って薬剤師の方がいるとぐっと進むけれども、それを隣の地域でやろうとするとなかなかうまくいかないということがよくあると思うのです。どなたでも結構です、うちはこうやってそれを面展開できているよとか、こうすると展開できましたという何か好事例があったら教えていただきたい。逆に言うと、こが課題だよねということがあれば、それをまた教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○富山県薬剤師会 富山県です。よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○富山県薬剤師会 よろしくお願いします。
 今回、富山県の取組は、魚津地区という狭い地域でやったわけなのですけれども、これを全県下に何とか広げたいと思っております。今回は5月に、今回の取組について、病院の医師・薬剤師、それと地域の薬剤師・医師を交えての全体の発表会を行う予定でいます。それを全県下に広め、そのほかに、地域におられない方もおられるかもしれないもので、携われた方々を地域に呼んで、実際的にこういう活動をして、もっと広めていきましょうということをやろうというのは考えております。
 これは広げないと、せっかくのやったことがここで終わってしまったら残念だなという結果につながると思いますので、ぜひともこれはやりたいと強く思っております。
○池端構成員 ぜひそうしていただけるとありがたいです。そのノウハウをどんどん全国的展開できればいいかなと私も思っています。ありがとうございました。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。
 伴先生、お願いします。
○伴構成員 プライマリ・ケア連合学会の伴と申します。
 今、富山県の御発表があって、全県下展開というお話があったのですが、旗振りをするという中心の組織といいますか、連合体といいますか、どういう形を考えられているのでしょうか。
○富山県薬剤師会 御質問、ありがとうございます。
 まず、私の考えているのは富山県薬剤師会が中心とならないといけないと思うのですけれども、あとは富山県というのは4分割できる地域に分かれております。そこで、そこの薬剤師会、当然、行政を交えて。行政も、ポリファーマシーについてはぜひとも取り組みたいという意見がすごく出ているのです。ですから、協力体制を築いてやっていきたいと。
 ただ、この事業というのは1年で終わるわけでは決してないと思うのです。ポリファーマシーというのはずっと続けていかないと改善しない問題だと思っておりますので、継続できるように、それを意識して、地域・行政とのコラボでやっていきたいなと思っております。
○伴構成員 続けてもう一つ質問をよろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○伴構成員 私も地域でやっているものですから感じるのですが、行政はすごく縦割りですよね。それで、4地域があったら、どの4地域も同じ、例えば高齢支援課がやられるのかとか、もうそういう展開に手をつけ始められていますか。
○富山県薬剤師会 いえ、残念ながらそこまでは行っていませんけれども、取りあえず、今、5月の、富山県全体の研修会、そこをやった後で地域の薬剤師会の方々をお呼びして説明を広げたいと考えております。
○伴構成員 どうもありがとうございました。
○印南座長 溝神先生、お願いします。
○溝神構成員 溝神でございます。
 本日は貴重な御発表をありがとうございました。
 コメントなのですけれども、今日、全体を聞かせていただいて思ったこととして、まず、例えば広島県の使われている、例えば服薬情報の通知とか、あるいはお薬手帳の使い方だったり1冊にまとめるとか、こういった考え方というのは、どちらかというと医療従事者側の問題というよりも患者さん側の認識の問題が非常に大きいのではないかなと考えております。本検討会のほうでも冊子などをつくられているかと思うのですけれども、今後の、いわゆる一般の国民に対する啓蒙・啓発をもう少ししていかないと、いわゆる、ポリファーマシーということの問題というのがまだまだ全然認識されていない、お薬手帳の使い方もそうですけれども、こういった問題をもう少し認知させる必要があるのではないかなと感じました。
 以上でございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
 なければ、私のほうからですが、各地域で大変な御尽力をされていて、それ自体に大変感心させていただいているのですが、各地域で横展開するというのは、当然、この延長上であると思うのですけれども、こういう成功事例を横展開するのはほかの分野でも結構難しくて、そういうときに、各地域の努力は当然そのままやっていただくことは前提にしたいと思うのですけれども、国とかが、例えば共通の障害みたいなのです。
 今、挙がっていますけれども、例えばポリファーマシーに対する一般国民の認識があまり高くないとか、それが一つだと思うのですけれども、ほかに何か共通の障害は。共通といいますか、地域での努力では乗り越えられそうもなさそうな障害で、なおかつ、国が何かすればできるのではないかというようなものがあったら、ぜひ私はお聞きしたいのですが、どこの薬剤師さん、あるいは保険協会の方でも結構です。お知恵を借りたいなと思いますが、いかがでしょうか。なかなか難しいですか。
○広島市薬剤師会 広島市です。
○印南座長 広島市、栗原先生、お願いします。
○広島市薬剤師会 ありがとうございます。
 まずは、やはり情報の共有化という部分で言いますと、今の服薬情報等提供書、これに対しては、点数もそれほどついていないということもありますので、これは日常的に薬局の収益として、やはりしっかりと情報共有をしながら業務をしているところというのは、もっと高く評価していただくというのが一つかなと思います。
○印南座長 ありがとうございます。
 ほかにはないでしょうか。
 平井先生、お願いします。
○平井構成員 
 全然違った観点から私の考えていることを述べたいのですが、お薬をそもそも減らすというインセンティブを患者さんに持たせるというためにどうしたらいいかと思うのですけれども、そうすると、今みたいに1割、2割だけを払うのではなくて、まず全額払ってから後で返してもらうというようなシステムにしたら、お財布の中からお金が減るのは年寄りは嫌じゃないですか。だから、少しでもそこを減らそうというインセンティブが働いて、「要らないお薬を減らしてください」というようなことを主治医に言ったら減っていくのではないかなと思うのですけれども、そういうのは突拍子もない考え方でしょうか。
 以上です。
○印南座長 言っていただくのは大変ありがたいと思うのですが、なかなか難しいと思いますけれども、それでも、そういうアイデアがこういうところで出てきたということは非常に重要な事実ではあると思います。ありがとうございます。
 あと、橋場先生からお手が挙がっていると思います。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 先ほど、印南先生の御質問にも絡むのですけれども、例えば今回の4事業者の中で、昔からこのポリファーマシー対策に積極的に取り組まれているという意味では、例えば宝塚市さんというのは昔から取り組まれていることだと思うのですが、その中で、恐らく薬剤師会、薬局だけではなくて行政をかなり巻き込んでいるのではないかという気がするのですが、その辺、昔から今に至るまで、行政の関わり方とか、変わったところというものがもし何かしらあれば教えていただければと思います。
○印南座長 お願いします。
○宝塚市薬剤師会 宝塚市ですけれども、もともと、まず多職種連携の会も、市長を呼んでシンポジウムを開いたのです。やはり市長にまず知ってもらって、そこで市長に、行政主体で地域包括ケアシステムの問題、2025年問題に取り組んでいきますという発言をしていただいたというところが、やはり行政が動いてくれる、世話人として入ってくれる一因になったのかなと。やはり、首長に言って知っていただくというところが一番よかったかなと思います。
 あと、薬薬連携のほうで言うと、今、薬剤部長の吉岡先生は、薬剤部長になる前に地域連携室に行ったのです。薬剤師がです。そこで退院時にMSWさんとかに、こんな金額でこんな高いコンビネーションドラッグの状態で帰っても、この人、お金ないから帰れないよとか、あと、担当のケアマネさんに、こんな多剤服用の状態で家に帰っても、この人絶対飲めないから何とかしたほうがいいよというところを、現実を病院の薬剤師がここで初めて知ったというのがあったと聞いています。
 これは地域に帰ってから、入院時と同じように手厚いケアで服薬ができないということを理解した上での処方を医師にお願いしたというところから、さらに、家に帰ってからも、また、かかりつけ院から、またお薬が元に戻って、1日1回にしたのを3回に戻ってしまったというのを防ぐのに何とかしないかといけないところで、8年前から取り組んでいると。やはり家での環境を、医療機関側、医療従事者がもっと知らないといけない。やはり、それを考えた上で、介護従事者であったり、あとは御家族も含めて、そこを知っていただくのが一番大事なのかなと思ってやってきての今の状況かなと思っております。
 何も知らないと、医療従事者がそう言っているから、この薬は絶対この状態で飲まなければいけないと、本人家族も介護の方も思ってしまうということがありますので、やはり家での現状も医療従事者もよく分かっていかなくてはいけないというところの啓発が大事かなと思って8年間やっています。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 そういう意味では、例えば行政の縦割りであれば、横串を入れるのがトップであったり、多職種という複数のステークホルダーに横串を刺すという意味では、地域連携室とか、そういったいわゆる横串を刺せる人が中に入ると動きやすいということなのかなと思いました。ありがとうございます。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日御参加いただきました採択団体の方々におかれましては、引き続き、本日の御指摘等を踏まえて取り組んでくださいますようお願い申し上げます。
 本議題はこれで終了となりますので、各団体の方はこの段階で御退室いただいても構いません。大変ありがとうございました。
(採択団体、退室)
○印南座長 それでは、よろしいですか。
 続いて、議題2「令和5年度事業(業務手順書等の見直し)について」、事務局よりで説明をお願いします。
○事務局 資料2により御説明いたします。
 資料2の2ページを御覧ください。
 前回及び前々回の高齢者医薬品適正使用検討会での議論を踏まえ、令和5年度はポリファーマシー対策のアンケート調査(好事例の抽出等)と令和3、4年度事業の成果を踏まえた指針及び業務手順書の見直しを実施する予定です。
 ポリファーマシー対策状況のアンケート調査としては、医療機関や地域に、その取組に関するアンケート調査を実施します。業務手順書等の見直しですが、外部有識者により構成されるワーキンググループを運営し、改訂案を作成、その改訂案について本検討会でさらなる検討を行って改訂していくことを考えております。また、改訂した業務手順書等の効果的な周知方法について検討していきたいと考えています。
 業務手順書等の現時点での見直しのポイントは、大病院だけでなく中小病院、診療所、薬局(地域)でも活用できるよう見直し。
 多職種でのポリファーマシー対策チームの設置が難しい場合の取組について明記。
 連携によるポリファーマシー対策を推進するための様式とその活用方法について検討。
 電子処方箋やICTを活用した取組を追記。
 指針の別添の薬物リスト等について更新。
 指針及び業務手順書の周知方法の検討としていますが、本日の議論も踏まえて見直していく予定です。
 資料3ページを御覧ください。
 令和5年度事業の御説明は先ほどしたところですが、この内容とするに至った過去の検討会の議論をまとめています。
 続いて、資料4ページを御覧ください。
 今後のスケジュールをお示ししています。ワーキンググループは3回程度開催する予定であり、作成した改訂案を検討会において御確認いただければと考えています。
 説明は以上になります。
○印南座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があればお願いいたします。
 秋下先生、お願いします。
○秋下構成員 
 皆さんに御検討いただきたい点として、私も前回の業務手順書に関わった立場で、問題提起ということなのですが、これは見直しと言っているけれども、要するに、地域版の新しい業務手順書をつくるというように考えるのか、前のものを修正・追記していく形にするのか。つまり、前に指針の総論編をつくった後に各論編をつくりましたけれども、そのような形で新しいものをつくるのかどうかということをまず確認しておきたいと思いますが、どうなりますでしょうか。
○印南座長 ただいま件につきまして、御意見等がある方、お願いいたします。
 では、事務局のほうから説明させていただきます。
○医薬安全対策課長補佐 事務局でございます。
 まさに先生方から御意見をいただきながら検討してまいりたいと思っておりますけれども、秋下先生がおっしゃっておりますように、指針のほうにつきましては、総集編と各論編(療養環境別)ということで作成をしているところでございます。これにつきましては、令和3年度、4年度の事業等々で得た知見を踏まえまして、改正等、必要な部分があれば見直していくということかと思っております。
 特に重要だと思っておりますのは、業務手順書について、現在、医療機関を中心として作成されているというところ、これについて地域版を作成していくということが大事なのかなということで考えております。この辺りでワーキンググループの先生方と御相談しながら進めていければということで、事務局としては考えているところでございます。
○印南座長 よろしいでしょうか。
○秋下構成員 分かりました。
 新しいものといっても下敷きがあるわけですけれども、それを元に別のバージョンをつくるということで、事務局の意見としては理解いたしました。
 もう一点が、地域で、今日も私はすごく気になったのですが、宝塚市はこれまでも長い歴史があって、非常に多面的に取り組んでおられるので、例えば介護施設との関係などが出てくるのですけれども、そのほかでは一切出なかったのです。池端先生からまさにそのような質問があったかと思いますが、地域といえば、病院を除けば診療所と薬局となるのかもしれませんが、そのように単純化はできなくて、地域包括ケアシステムというものが日本ではあるわけですから、介護施設をどのように扱うのか。介護施設も形態が日本では複雑ですので、例えば各論編では、医師が常駐しているところ、していないところといった形で書き分けたわけですが、特にそこをどのように考えるのかというのは、事務局にお考えを伺っておきたいと思いますし、先生方からもできたら御意見をいただければと思います。
 以上です。
○医薬安全対策課長補佐 秋下先生、ありがとうございます。
 まず、事務局から考え方を御説明したいと思います。ぜひ、先生方からも御意見をいただければと思いますけれども、まず、秋下先生がおっしゃっていただきましたように、各論編(療養環境別)につきましては、地域・在宅、そういったところを第1部としてまとめて、第2部として急性期後の回復期・慢性期の入院医療ということで、病院についてまとまっていると。3番目に、その他の療養環境ということで、常勤の医師が配置されている介護施設等についても考え方をまとめてきたというところでございます。
 今回、地域について検討するに当たって、先生からいただいた御指摘はごもっともで非常に大事な点だと思っていますけれども、令和3年度、4年度で得られた知見を十分活用して検討を進めていきたいと。そうした中で、介護施設、もちろん宝塚市からもアプローチがありましたけれども、必ずしも十分ではない部分もあるのかなと思うところですから、まずは地域と申しましても、第1部でまとめられているような外来・在宅、この辺りを中心に検討を進めて、入院施設のものは既にあるということ。それから、外来・在宅というものが出来上がってくると。そうした中で、この介護施設についてどのように考えるかということを、順番を追って検討して策定をしていくということでいかがかなと思っております。
 どこまで行けるかというのは、まさにワーキンググループの先生、あるいはやるべきという検討会の先生の御意見も踏まえながら検討していくことになるかなと思いますけれども、我々といたしましては、まずは先生方に相談しながら、また、関係の部署とも相談しながら、場合によって検討会の先生方にも御相談させていただきながら進めさせていただければと、このような考え方でおります。
○印南座長 いかがでしょうか。
○秋下構成員 
 分かりました。そうしますと、例えば各論編の、第3部で扱った医師が常駐している介護施設、つまり介護老人保健施設ですけれども、そこは今回は置いておくと。次年度以降に持っていく、むしろ外して考えるという考え方でいいでしょうか。そこまで含めると、作業としてもかなり大変になるのかというのは思いましたので。
 診療所と薬局を中心に、そこが出入りする介護施設というのはあると思いますが、当然ステークホルダーとして出てくるのではないかなとは思いますが、老人保健施設は置いておくというような考えのほうが整理はしやすいのかなと思いました。
○医薬安全対策課長補佐 ありがとうございます。
 事務局としましては、今年度どこまで行けるか非常に難しいところでありますけれども、まずは先に、外来・在宅、そういったところを考えて、その応用がすぐに利くような形で作成できるのであれば、今年度含めていくということも視野に進めていくことでもよろしいかなと思っておりますけれども、なかなか応用が難しいだろうなということであれば、また次年度以降ということも考えていかなければいけないのかなという考え方でおります。
○印南座長 ただいまの説明につきまして、諸先生方、いかがですか。
 では、池端先生、お願いします。
○池端構成員 今の点ですけれども、私もまさにその点が気になって先ほど質問させていただいたのですが、御承知かと思いますけれども、今、来年度のトリプル改定に向けて、中医協と介護給付費分科会の合同意見交換会があって、そこの中でテーマにまさに医師・薬剤師が常駐していない介護保険施設等に対するポリファーマシー対策をいかに進めるかということがテーマに挙がってきていて、既に議論を行っているので、局は違いますけれども、ぜひ連携を取っていただいて、方向性をある程度共有していただけるといいいものが早くできるかなと思います。その中で、介護保険施設だけではなくて、障害者施設も同じように必要なので、そこが抜けないようにして対策を取れるといいのではないかと思いました。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
 ほかの先生方はいかがでしょうか。
 おおむねこの方向で御異論がなければ、それで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
 分かりました。ありがとうございます。
 今後は、厚生労働省及び委託事業者においてワーキンググループを構成しまして、具体的な検討を進めていただき、検討結果を検討会に御報告いただきたいと思っております。特に御異論がなければ、これで進めさせていただきます。
 以上で議題2を終わりにします。どうもありがとうございました。
 本日予定されている議題は以上です。その他、委員の先生方から何かございましたらお願いいたします。全体を通じてでも構いません。
 美原先生、お願いします。
○美原構成員 直接関係ないかもしれませんが、池端先生にお願いしたいのですけれども、病院に入ったときに薬剤調整加算がありますよね。それは一般病床では算定できるけれども、障害者等一般病棟や特殊疾患療養病棟では算定できません。このような病棟においても、レスパイトケア目的の短期入院の際、ポリファーマシー対策がすすめられているので、そこは検討していただきたいと思いますし、それから、適切かどうか分からないけれども、介護老人保健施設などの施設においても、そこに患者さんが入所されたときに、ポリファーマシー対策が実践されるいい場所だと思われるので、何らかの診療報酬上、あるいは介護報酬上のインセンティブがつくならば、なお一層、この対策が進むのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
○印南座長 そう言われると、ポリファーマシーという観点から、今の個別に設定されている加算やいろいろなものの算定が、本当に必要十分なのかというのは、もう一回検討すべき余地はあるのかもしれないと感じました。
 ほかに御意見等があればお願いしたいと思いますが。
 よろしいでしょうか。       
○印南座長 北澤先生、お願いします。
○北澤構成員 この検討会の令和5年度の方針について特に異論があるわけではないのですけれども、今日も伺っていて、結局、実際に薬を飲む側の高齢者が、薬が多ければ多いほどいいと思い込んでいて、ポリファーマシーの相談に同意しないといったことがあるということが改めて分かりました。結局、最終的に薬を飲むのは患者なのだから、患者がもう少しポリファーマシーについて、お金も余計に払わなければならないし、かえって害を被るかもしれないということについて、最終的な薬の消費者である患者や一般の人も含めて、考え直してもらわないと、いかに医療従事者の方が努力をされても、ポリファーマシーの解消は進まないと思います。この辺りを厚労省には考えてもらいたいなと思いました。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。全く同感でございます。
○事務局 厚労省なのですけれども、平井先生からコメントいただいておりますので代読させていただきます。
 介護施設は在宅訪問の薬剤師が行かれているようで、畑先生も行かれているようですとコメントがありましたので、リアクションさせていただきます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、次、事務局から連絡事項ということでお願いいたします。
○事務局 次回の検討会の日程につきましては、日程調整の上、改めて事務局より連絡させていただきます。
○印南座長 それでは本日の検討会はこれで閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。