2022年11月28日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

日時

令和4年11月28日(月)14:00~

出席者

出席委員(14名)五十音順

(注)◎部会長 
 

欠席委員(6名) (注)○部会長代理
 

行政機関出席者
 
 八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
 山本史 (大臣官房審議官)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 中井清人(医薬安全対策課長)
 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他
 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。この度の部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催とさせていただきます。
 会議を始める前に、新たに委員に任命された方々を御紹介させていただきます。医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団会長の奥田晴宏委員です。それから、国立国際医療研究センター感染病態研究部上級研究員の酒井愛子委員です。よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況についてですが、稲葉委員、新保委員、多賀谷委員、平石委員、本間委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、神田委員、木下委員におかれては、後ほど参加されると承知しております。したがいまして、現在のところ、委員20名のうち13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 本日ですが、審議事項議題1の参考人としまして、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会保険医療委員会委員長の藤岡治先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。また、審議事項議題2の参考人としまして、日本肥満学会理事長の横手幸太郎先生に御出席いただく予定としております。よろしくお願いします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。それでは、太田部会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○太田部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 Webでの審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただくようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際には、マイクがミュートになっていないことを御確認の上で御発言ください。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長により発言者を順番に御指名いただけます。適宜メッセージ機能も御利用ください。以上でございます。
○太田部会長 それでは、これまでの御説明に御質問、御意見等はございますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。本日の会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りした資料のうち、主に資料1~3を用いますので、お手元に御用意ください。このうち、資料2については追加がありましたので、当該資料について別途、事前に電子メールにてお送りしております。また、チェックシートの案については差し替えがありましたので、差し替え後の当該資料についても別途、事前に電子メールにてお送りしておりますので、お手元に御用意ください。
 このほか、資料4として「競合品目・競合企業リスト」、資料5として「専門委員リスト」、それに加えて、製剤サンプルの写真を事前に電子メールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。資料4を御覧ください。競合品目、競合企業及びその選定理由について御説明します。議題1の「アレグラFXプレミアム」は、フェキソフェナジン塩酸塩及び塩酸プソイドエフェドリンを含有する鼻炎用内服薬です。効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。議題2の「アライ」は、オルリスタットを含有する内臓脂肪減少薬です。効能・効果は「腹部が太めな方注)の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る) 注)腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上」であり、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○太田部会長 ただいまの事務局からの説明について御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、各委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 事務局でございます。各委員からの申出状況について報告させていただきます。議題1、「アレグラFXプレミアム」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員は多田委員です。議題2、「アライ」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。以上でございます。
○太田部会長 ただいまの事務局からの説明について御意見はございますか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとし、議題に入ります。本日は、審議事項が2議題、報告事項が1議題となっております。
 それでは、審議事項に移ります。議題1の資料1-1について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 機構から、資料No.1-1「アレグラFXプレミアム」について御説明いたします。Web会議にて実施する関係上、錠剤サンプルの写真は、事前に電子媒体で送付させていただきました。それでは、審査報告書を御覧ください。本剤は、医療用医薬品であるディレグラ配合錠を、要指導・一般用医薬品にスイッチするものであり、有効成分として、フェキソフェナジン塩酸塩及び塩酸プソイドエフェドリンを含有した製剤です。申請者はサノフィ株式会社です。
 2ページを御覧ください。効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」、用法・用量は「成人(15才以上)、1回2錠、1日2回朝夕の空腹時に服用してください」です。
 3ページ後段、イの項目を御覧ください。ディレグラ配合錠は、アレルギー性鼻炎を適応症として2012年に承認され、2020年に再審査結果が通知されております。
 4ページ上段を御覧ください。外国での使用状況について、本剤と同一の製剤は承認されておりませんが、フェキソフェナジン塩酸塩及び塩酸プソイドエフェドリンを含有する医薬品として、米国では1日2回投与製剤及び1日1回投与製剤が、それぞれ1997年及び2004年に医療用医薬品として承認され、2011年には一般用医薬品として承認されております。また、カナダ、オーストラリア等、20か国以上において、フェキソフェナジン塩酸塩60mg/塩酸プソイドエフェドリン120mg配合剤及びフェキソフェナジン塩酸塩180mg/塩酸プソイドエフェドリン240mg配合剤が承認されています。
 4ページ上段から5ページを御覧ください。申請者は、本剤を要指導・一般用医薬品とする意義として、次の8点を挙げています。1点目として、フェキソフェナジン塩酸塩は、アレルギー性鼻炎の3主徴、(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり)を改善するが、鼻閉に対する効果は強くないため、本剤には、くしゃみや鼻汁に有効な抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン塩酸塩と作用が異なり、鼻閉に有効な塩酸プソイドエフェドリンを配合したこと。2点目として、「鼻アレルギー診療ガイドライン」2020年版において、通年性アレルギー性鼻炎及び花粉症で中等症の「鼻閉型又は鼻閉を主とする充全型」への治療法の選択肢の一つとして第2世代抗ヒスタミン薬と血管収縮薬の配合剤の使用が推奨されていること。3点目として、判断力等の低下を示さないフェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリンの配合剤である本剤を提供することは、自動車運転等の機械操作作業に従事する一般生活者にも服薬の機会を与えるため、医療上の意義が高いこと。4点目として、本剤の経口投与による鼻閉症状の緩和は、鼻炎用点鼻薬の連用・濫用による効果減弱やリバウンド現象を防ぐ上で、医療上の意義が高いこと。5点目として、諸外国では、フェキソフェナジン塩酸塩や類薬であるロラタジン又はセチリジン塩酸塩等の第2世代抗ヒスタミン薬に、血管収縮薬であるプソイドエフェドリン(1日用量として240mg)を配合した一般用医薬品の鼻炎用内服薬は既に発売されていること。6点目として、フェキソフェナジン塩酸塩も塩酸プソイドエフェドリンも、本邦において一般用医薬品として使用されている成分であること。7点目として、ディレグラ配合錠の臨床試験において、フェキソフェナジン塩酸塩単味剤に比べて、鼻閉スコアを有意に減少させ、忍容性も良好であったことから、本剤の配合意義が確認されたこと。8点目として、ディレグラ配合錠の臨床試験成績及び使用成績調査等の使用実績から、本剤はアレルギー性鼻炎の3主徴の症状改善に有効であり、有用性は要指導・一般用医薬品の対象となる軽症及び中等症の集団に対しても認められたことです。
 5ページのロ項からヘ項を御覧ください。本剤は、ディレグラ配合錠と錠剤の刻印を除き同一の製剤であることから、ディレグラ配合錠の資料が提出されており、新たな治験は行われておりません。
 その下のト項を御覧ください。新たな臨床試験は行われておらず、ディレグラ配合錠申請時の臨床試験成績及び使用成績調査結果が提出されました。有効性について、ディレグラ配合錠の臨床試験であるEFC11243試験対象者のうち、本剤の適用となる中等症のアレルギー性鼻炎を有する15歳以上の患者での追加解析が行われました。表2を御覧ください。主要評価項目である治療期における鼻閉スコアの期間平均変加量は、本剤フェキソフェナジン塩酸塩で60群と比べて、鼻閉スコアの減少量が大きいことが確認されました。
 また、使用成績調査において、有効性は本剤投与2週間及び観察期間終了時点での全般改善度が5段階で評価され、本剤の対象となる症例における有効率は、本剤投与2週間及び観察期間終了時点で、それぞれ71.13%及び74.73%でした。
 続いて、安全性について6ページ下段を御覧ください。EFC11243試験における本剤群での副作用発現割合は2.3%であり、最も発現割合の高い事象は頭痛の1.1%でした。臨床試験において重篤な副作用は認められませんでした。また、使用成績調査における副作用発現割合は5.48%であり、主な副作用は、口渇、頭痛、動悸、不眠症、腹部不快感、腹痛、便秘、下痢でした。重篤な副作用は動悸1例が認められました。
 8ページ、審査の概略の有効性についてを御覧ください。ディレグラ配合錠のEFC11243試験及び使用成績調査において、本剤群ではフェキソフェナジン塩酸塩単剤群に比べて鼻閉スコアの改善が認められていること、使用成績評価における全般改善度も同様に改善が認められていることから、本剤の有効性は示されていると考え、有効性に特段の問題はないと判断いたしました。
 8ページ中段、安全性について御覧ください。ディレグラ配合錠の臨床試験及び使用成績調査において、発現頻度の高い副作用は認められなかったこと、使用成績調査で重篤な事象として動悸1例(0.11%)が認められたものの、転帰が回復であり、情報提供資料等において、「高血圧、心臓病の診断を受けた人」及び「動悸を起こしたことがある人」は服用しないよう記載されていることも踏まえ、安全性に特段の問題はないと判断しました。
 8ページ後段、効能・効果についてを御覧ください。本剤の申請時の効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻づまり、鼻みず、くしゃみ」でしたが、既承認一般用医薬品の鼻炎用内服薬と使用対象集団が大きく異なるとは判断できないことから、申請者に効能・効果の再検討を求めました。申請者は、鼻炎用内服薬の製造販売承認基準及び既承認一般用医薬品の鼻炎用内服薬を踏まえて、効能・効果を「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」に変更し、変更された効能・効果について、特段の問題はないと判断しました。
 9ページ上段の用法・用量についてを御覧ください。用法・用量はディレグラ配合錠及びアレグラFXに基づき設定され、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、使用上の注意についてを御覧ください。本剤の使用上の注意は、ディレグラ配合錠及び類薬の添付文書並びに「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意一部改正について」の通知を参考に設定されており、特段の問題はないと判断しました。
 9ページ中段、適正使用、情報提供資料及び包装単位についてを御覧ください。適正使用の方策として、申請者から次の3点が提示されました。1点目として、本剤の服用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間とし、鼻閉症状の緩和が認められた場合には、速やかに抗ヒスタミン薬の単剤に切り替える方針とすること。2点目として、添付文書のほか、チェックシート並びに薬局・販売店向け及び使用者向け情報提供資料に、本剤を1週間服用しても症状がよくならない場合は、医師及び薬剤師に相談するよう注意喚起すること。3点目として、チェックシート並びに薬局・販売店向け及び使用者向け情報提供資料に、1度に購入できるのは1箱に限る旨を記載することです。
 機構は、本剤に配合される塩酸プソイドエフェドリンは、濫用等のおそれにある医薬品に該当することから、長期の漫然とした使用を回避するために、包装単位を限定することが適切と考え、申請者に対応するよう求めました。申請者は、包装設備、EFC11243試験の追加解析結果及び使用成績調査における副作用発現時期の観点から、包装単位を5日分とすると説明し、機構は当該包装単位の設定について了承しました。
 以上から、本剤の適正使用、情報提供資料及び包装単位について特段の問題はないと判断をいたしましたが、販売に当たっては不正使用されないための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況を確認し、必要に応じて適切な措置を講ずる必要があると考えます。
 最後に10ページの総合評価です。以上の検討を行った結果、機構は提出された申請内容について、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課することが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。続いて、資料1-2について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 資料1-2に基づき、本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否について説明いたします。まず、現行の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則において、塩酸プソイドエフェドリンを含有する内用剤は、一日量中のプソイドエフェドリンとして180mg以下を含有する場合を除いて劇薬に該当すると定められているところです。
 今回の申請品目については、一日量中のプソイドエフェドリンとしては196.6mgに相当する量の塩酸プソイドエフェドリンを含有する製剤です。資料1-2の13ページにお示ししている毒薬・劇薬指定基準に基づき、本剤の各基準への該当性を見直したところ、いずれの基準にも該当しないことから、一日量中のプソイドエフェドリンとして196.6mg以下を含有する製剤は、劇薬の指定から除外することが適当であると考えられます。説明は以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としてお越しいただいております藤岡先生から、御意見や補足などをお願いいたします。藤岡先生、よろしくお願いいたします。
○藤岡参考人 日本耳鼻咽喉科学会保険医療委員会委員長の藤岡と申します。よろしくお願いいたします。まず、アレルギー性鼻炎のOTCとして市販されている薬一般にいえるのですが、一般の方が医療機関を受診することなく、鼻閉、鼻汁、くしゃみといった症状が出たときに、アレルギー性鼻炎と御自分では判断して薬局に買いに行くという例が多く見られますが、その場合でも、臨床で私たちが拝見すると、かなりの率でいわゆる感冒であるのにアレルギー性鼻炎と思って市販薬を飲んでいることが見られます。そういうことを考えて、プソイドエフェドリン、これは今回は劇薬の指定から外れてはいますが、そのようなプソイドエフェドリンのような成分がが入っている薬を、いきなり患者さん独自の判断で内服、販売をすることはいかがなものか、臨床現場の医師として感じております。
 次に、プソイドエフェドリンについては、今回劇薬から外れるという報告がありましたが、実際に私たちがここ何年もの間、医薬品としてのディレグラを使っているときにも、プソイドエフェドリンの副作用、副反応について非常に注意しておりました。令和2年12月現在の資料になりますが、実際の保険審査においても、支払基金の段階では、ディレグラに関して24の都道府県では1回に処方される処方日数を制限したり、あるいは連続投与日数の制限を設けて過剰投与になることを防ぐなどの把握、注意喚起を行っております。そのようなことを考えますと、やはりこの薬をもし認める場合でも過剰投与にならないように十分注意する必要があると感じております。
 先ほどから、機構の説明をお聞きしていても、それなりに、例えば製剤を1度に1箱のみの販売しかしない、それから1週間服用して症状の改善が見られない場合には医師又は薬剤師に相談する、あるいは2週間を超えて服用するときにも相談する等の制限は設けていらっしゃいますし、チェックシートも設けてはいるのですが、そこで私たちが気になるのは、この購入者の薬歴というものが各薬局に任されていて、全国規模でのそれぞれの方の購入歴が把握できないという点です。例えば、他の薬局で購入したかどうかということは全く把握できないことになりますので、患者さんがもし意識して他の薬局で次々に買った場合には、これが連用あるいは過剰の服用になりかねないのではないかということを懸念しています。
 そういう点から考えますと、やはりもしこれをお認めになる場合でも、薬歴をしっかりと把握するシステムが構築できないのかどうかということをお聞きしたいと思っております。現在感冒薬の興奮作用を求めた過剰服用が若者を中心に社会的な問題になっております。そのようなときにプソイドエフェドリンを含む新しい薬をこのまま認める場合、過剰服用防止を考えるシステムをしっかり構築することなく認めるというのはいかがなものかと危惧いたします。
 最後に、従来からあるアレグラFXに関しては眠気がない安全な薬ということで、一般の社会においてかなり認識されており、この薬もかなりの方が服用しているということは私たちも認識しています。その中で、同じアレグラFXという名前を使って、更にはプレミアムという言葉が付け加わった形で販売する場合、一般常識的にはプレミアムという言葉が付いた際には、より効果がある、あるいは高級なものという印象を与えてしまいます。その場合、本来は必要のない方までこの薬を使う可能性が出てまいります。ですから、この名称については検討する余地があるのかどうかということもお聞きしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、先生から御指摘いただいた薬歴管理の問題、あるいは名称の問題について、まず機構から御説明いただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、いただいたコメントの1点目として、アレルギー性鼻炎なのか、鼻閉の症状がかぜ由来なのかという点についてお答えさせていただきます。鼻閉がその他の要因である可能性は完全に否定することはできないと考えております。その場合も想定して、本剤の添付文書、チェックシート、情報提供資料には、アレルギー性鼻炎かかぜなど他の原因によるか分からない人については、服用前に医師又は薬剤師に相談することを規定をしております。また、本剤の使用は最低限の日数に限定しており、1週間で効果判定をすることとしております。使用者が誤って判断した場合でも、治療機会の喪失が限定的になるよう工夫をしているところです。いただいた1点目のコメントについては以上です。
 2点目は薬歴のシステムのお話だったかと思います。こちらについては、複数の販売店から、悪意を持ってという言葉が適切か分からないですが、そのように購入されるという方がいる場合、なかなか現行の医薬品の販売ルートとして完全にそれを防ぐ手立てがないものと承知をしております。これはOTCに限らず、複数の医療機関を受診し、お薬手帳を提示しない場合ですが、医療用医薬品では同様の問題が生じるのではないかと思います。そこで、短期的には既存の販売ルールの徹底を図っていく、中長期的には今後マイナンバーへの紐付けをする等、何らかの対策が検討されると認識しております。適正販売について更なる検討、それから効果的な対策の施行が望まれると考えるものの、本剤は今回示された有効性、安全性の情報から、現行の要指導医薬品、濫用のおそれのある医薬品としての枠組みで販売することで差し支えないものと判断をいたしました。使用者の健康被害を防止するために、薬剤師が販売店でPOPを用いた注意喚起やスタッフ教育の徹底など、販売店ごとに対策を講じているということは聞いております。いただいたコメントの2点目については以上です。
 最後に、販売名のアレグラFXとプレミアムそれぞれについてのコメントを頂戴したかと思います。アレグラFXについては、審査報告書の7ページの販売名についての所に記載をさせていただいたところですが、この点については、機構からも申請者に1度説明をしていただきたいということで、審査中に求めているところです。今回、本剤がフェキソフェナジン塩酸塩に塩酸プソイドエフェドリンを配合しておりまして、一般の方からするとアレグラを用いた方がフェキソフェナジンの配合剤であることが分かりやすいという旨の説明を申請者からされているところです。また、誤解を防ぐためにパッケージで識別をできるようにすることや、広告、リーフレット等を通して、薬剤師及び使用者の啓蒙を図りたいといったところです。プレミアムについてですが、過去に一般用医薬品として承認されているものの中に、今回のように新たに成分を追加している場合、プレミアムといった名称を用いているものが多数あります。そのような背景も踏まえて、機構としては、今回この申請時の名称アレグラFX、プレミアムの名称について特段問題はないと判断をしたところです。機構からは以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。藤岡先生、いかがでしょうか。
○藤岡参考人 1番については、ちょっと順序が逆のような気もするのです。そのような副反応が出ることを問題にする薬であれば、まず最初に医師を訪れて自分の病態を正確に把握してからこの薬を使うべきだと思います。従来の抗ヒスタミン剤、特に第2世代といわれる抗ヒスタミン剤であれば、1週間飲んで効かなければ、医師の所へ行って自分の病態をしっかり把握してもらう形でよろしいと思うのですが、今回の場合はプソイドエフェドリンが入っている点から考えても、最初にまず医師を訪れて自分の病態を把握してから、その後OTCを飲むという流れが、本来の安全を考えれば正しい方法ではないかなと私たちは思っております。
 2番目については、これは確かに機構でおっしゃっているように、まだ全国で把握するシステムができていないということは私たちも認識しております。その点では、今後またマイナンバーカードの使用も含めて、新しいシステムの構築をお願いしたいと思います。
 それから、3番目の名称については、従来アレグラという名称を使っていたのでということ、それからプレミアムという言葉は従来も改良したときに使っているということなど、これまでの名称や過去の事例を基にしてしまうと、一般の方は本来より強い効能のある薬が必要ない方であっても、より改良型のものを求める可能性があると思うのです。ですから、例えば医薬品の場合でもアレグラという言葉をあえて使わずに、プソイドエフェドリンの入っているものについてはディレグラという別の名称を使っておりました。そういう点から考えると、やはり今回はアレグラFXに更にプレミアムという言葉を付けるのではなくて、プソイドエフェドリンが入っているということは別の薬剤に近い部分もあるわけですから、アレグラということを強調するよりも、プソイドエフェドリンが入っていることを注意喚起する名称の方がいいと思います。やはり名称は別の名称を付けるべきではないかと私たちは思っております。以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの藤岡先生の御発言、あるいは機構からの御説明に対して、委員の先生方からの御意見、御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。岩月先生、どうぞ。
○岩月委員 今の藤岡先生のお話を伺っていて、なるほどという御指摘だったとは思っていますが、現実には、要指導医薬品は薬剤師が対面で販売することになっております。私ども薬剤師会としても、OTC薬は配合剤が多いものですから、必要な成分が入っていて、かつ、その需要者にとって不要な成分を避けて選択できるようなマトリックス表を作って、販売時に活かすということに取り組んでおります。なるべくその需要者にとって不要な成分が含まれないことを基準にして販売をするという対応を取っていることは御理解を頂きたいと思います。
 その上で、かぜ薬は有効成分が複数配合されているものが多いわけですから、鼻炎症状に限っていえば、先生がおっしゃるように、プソイドエフェドリンが需要者の方にとって必要な成分であるかどうかを考えた上で販売をするということ、それは需要者の方々と情報交換をしながらやっていくということは御理解を頂ければと思います。
 買い回りに関しては、先ほど機構からもお話がありましたように、現状は完全に防ぐことは難しいと思います。悪意を持ったという言い方が適当かどうかは分かりませんが、買い回りをして濫用する状況にならないように、そういった方々には販売者側がきちんと寄り添うのだということ、駄目だと言って追い返すのではなくて、なるべく話を聞くというようなことも薬剤師会では進めております。そういったことが、一つの防波堤になればという思いで、今、実施をしている段階です。
 名称については、私も藤岡先生と全く同じ意見です。プレミアムという名称自体いかがかと思いますが、現状そういった商品が既に販売されている以上は、このことについても誤解を招かないように、販売の現場できちんと説明をすることが必要だと認識をしております。以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生から、いかがでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今、藤岡先生からお話があったことは当然のことと私も思います。過度なプレミアムというような名称は、今まで認めてきたからいいというのではなくて、今後も適切な使用方法を考えるということで、これは懸案事項としてしっかりと残していただきたいと思います。このような、全て前例があるから何でもいいだろうということは問題です。薬剤師会もしっかりと御指導してくださるということですが、ただ、薬剤師会に入っていない方がたくさんいらっしゃいます。それから、チェーンドラッグストアの方もいらっしゃいます。そうすると、理性的な方はされているのですが、そうでない方がたくさんいると私は思っておりますので、歯止めにはならない可能性もあります。
 ですから、藤岡先生のおっしゃるとおり、今後は名称も含めてしっかりと検討していただくことが大事なことだと思いますので、こういう前例があるからという言い方をしないで、今後も適切な管理をしていくということ、それは薬剤師の先生方のお力を信じて、そしてその中で今後もいろいろ検討していく素材を作っていくということが非常に重要なのではなかろうかと考えております。よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。川名委員、お願いします。
○川名委員 ココカラファイン薬局の川名です。宮川先生の御心配のとおり、ドラックストアでの販売について御懸念があるとは思われますが、ドラッグストアの方でも努力はしております。例えばPOSレジの機能を使って、資格を持っていない人がうっかり販売してしまうこととか、うっかり添付文書を付けるのを忘れてしまうということが防げるように、POSレジがしっかりと販売をサポートしてくれるような仕組みができております。また、研修の内容についても、お客様に不愉快な思いをさせずにお断りする文言を例文集としてマニュアルに入れている所もあります。そういった努力はしておりますので、そこについては御理解を頂きたいと思います。
 ただ、先ほどからありますように、悪意を持ったり、うっかり患者様が言わなかったりというところをどれほど見抜けるかというのは、それは個々の薬剤師の力にかかっていると思いますので、どのような言葉を用いて使用状況を把握するかなどについても、引き続き研修等を通じて、しっかり自分たちのスキルを高めていきたいと思っております。どうもありがとうございます。
○太田部会長 では、事務局からお願いします。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。特に販売名の関係について、今、現場の日本薬剤師会、あるいは岩月先生、川名先生から、これは要指導医薬品ですから薬剤師の管理下で販売されるわけですので、購入者に対して適正に販売をしていただくという方向だということをお答えいただきましたので、我々としては現状問題はないかなと思っておりますが、一方で、販売名について、プレミアム等、確かに前例があるのかもしれませんが、過度に期待させるような販売名は一般的には好ましくないという一般ルールがありますし、前例があるからということだけでよしとするのではなく、今回の御指摘を受けて、今後どうするのかということについては、一つの課題として引き続き考えさせていただくということで御理解いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生から御意見はありますか。いかがでしょうか。
○奥田委員 奥田です。1点質問させていただいてよろしいでしょうか。
○太田部会長 奥田委員、お願いします。
○奥田委員 プソイドエフェドリンの濫用の懸念は、先生方から御指摘をされていて、私もそのように思うのですが、プソイドエフェドリン含有のOTCはたくさんあると思うのです。現状、どのような対策が取られているのでしょうか。また、厚労省でも今検討中だと聞いたこともあるのですが、そこについて少し御説明を頂けないでしょうか。
○太田部会長 ありがとうございます。それでは、これは機構から回答いただけますか。
○医薬安全対策課長 医薬安全対策課長です。プソイドエフェドリン以外にも幾つか濫用のおそれのある薬物というものがありまして、それを指定しております。それについては、1人1個しか売れないとか、名前の確認とか、すみません、今、全てのことが頭に入っているわけではないのですが、そのような特別なルールがありまして、それを守っていただいているということになっております。以上です。
○奥田委員 なるほど。今のところ、それで極端なことは起きずに管理ができている状況と考えてよろしいのですね。
○医薬安全対策課長 これについては、今もちょうど、鎮咳去痰薬に限るという類型があったりしていまして、それについても安全対策部会で議論をして、より厳格にすべきではないかという御指摘を踏まえて、今はその方向性で検討しているという段階になっております。そういう意味でいくと、今はこれで全く大丈夫というわけではありませんが、利便性とバランスも含めてそういう規制をした上で、鎮咳去痰薬に限るという文言については削除すべきではないかという御指摘を踏まえて、その対策を講じているところです。
○奥田委員 どうもありがとうございました。
○太田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。藤岡先生、どうぞ。
○藤岡参考人 いろいろと活発な御討議、御回答をありがとうございます。ここで先生方にお願いしたいのは、まず濫用を防ぐための問題です。今のところは鎮咳去痰剤に対策の中心がいっているわけですが、今お話があったように、今後この薬は鎮咳去痰薬ではなく、しかも説明の段階でプソイドエフェドリンが入っていることにどういう意味があるのかということもだんだんと皆さんに分かっていただけるわけですので、是非この薬も濫用を防ぐリストの中に入れていただきたいというのが私たちの希望です。
 それから、薬剤師の先生方に是非お願いしたいのは、どうしても薬剤名の問題と絡んでくるのですが、この薬の方がより効くと、鼻詰まりもよくなるという話が出てきますと、軽症の方でも是非これを売ってほしいという方が必ず出てくるのです。そのときに、この薬は限定されたものであるし、副作用の問題もあれば、該当する方は限られてくるのだということを、薬剤師の先生方には是非勇気を持って患者さんに説明していただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 大変失礼いたしました。説明がよくなかったと思っています。プソイドエフェドリンについては、鎮咳去痰薬に限りという限定はありません。確かエフェドリンとジヒドロコデインだと思うのですが、そういう限定があったものについて、今そういうことはどうかという議論がなされています。以上です。
○藤岡参考人 ありがとうございます。
○太田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。本課題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当し、劇薬に該当しないとしてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として、劇薬に該当せず要指導医薬品に該当するとして、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ただし、例えば名称の問題も、今ここで御回答いただいたように、プレミアムというような付加的な名称は今後は十分検討していただくということ、それから使用に関して、患者さんあるいは来店者に対する十分な説明、鼻づまりにもっと効くというような安易な誘導を行わないということを、薬剤師の先生方には徹底していただくような制度をこれから検討していくことで、この医薬品は承認を可としたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 藤岡先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございました。
○藤岡参考人 いろいろとありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
──藤岡参考人退室 ──
○太田部会長 それでは、議題2に移りたいと思います。ロビーで御待機の横手参考人をお呼びいただきたいと思います。
──横手参考人入室 ──
○太田部会長 それでは、議題2の資料2について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構から御説明させていただきます。資料2、「アライ」について御説明いたします。今回、Web会議にて実施する関係上、製剤サンプルの写真は電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて御確認をお願いいたします。審査報告書を御覧ください。販売名は「アライ」で、一般名は「オルリスタット」、申請者は大正製薬株式会社です。申請区分は要指導・一般用薬品の区分(1)で、新有効成分含有医薬品に該当します。
 2ページを御覧ください。効能・効果は「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る) 注)腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上」であり、用法・用量は「成人(18歳以上)1回1カプセル、1日3回、食事中又は食後1時間以内に服用すること。」です。
 3ページの下段を御覧ください。外国での使用状況について、オルリスタットは医療用医薬品として120mgカプセルが1997年以降に欧州、米国等100か国以上で、一般用医薬品として60mgカプセルが2007年以降に米国、欧州等70か国以上で、それぞれ承認されています。
 3ページの一番下の行から始まる段落を御覧ください。肥満とは、一般的に脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、糖尿病や脂質異常症をはじめとした代謝性疾患等、様々な健康障害を引き起こすことが知られています。日本肥満学会における疫学研究の結果、内臓脂肪の過剰な蓄積が生活習慣病の発症や重積化と関連していることが明らかになっています。内臓脂肪を減少させるための手段として、食事や運動等の生活習慣の改善の取組が基本となりますが、その動機付けや継続性、リバウンド等の課題が存在しています。本剤は、健康障害を伴わない肥満の者に対し、生活習慣改善の動機付けやその持続のために、補助的な位置付けとして使用することを目的として開発されました。
 以降、審査内容について臨床試験成績、適正使用に関する取組を中心に説明いたします。32ページ下段のト項を御覧ください。臨床試験に関する資料として、主に次の33ページの表28に示す国内臨床試験5試験の成績が提出されました。そのうち、検証試験について説明いたします。36ページの下段、ト-3を御覧ください。内臓脂肪が過剰蓄積した日本人を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が実施されました。本試験では、試験期間中を通して継続して摂取エネルギーの削減、運動に取り組むほか、交付される日誌に体重、摂取エネルギー削減の達成度、運動、食事の内容及び量を記録することとされました。
 有効性について、37ページの表33を御覧ください。主要評価項目とされた最終評価時における内臓脂肪面積変化率は、本剤群で-13.50%、プラセボ群で-5.45%、ウエスト周囲長の変化率は本剤群で-2.51%、プラセボ群で-1.55%であり、いずれも本剤群ではプラセボ群に対し有意な減少が認められました。また、表34に示したように、体重変化率、BMI変化率についても、同様に本剤でプラセボ群より減少する傾向が認められました。
 安全性について、37ページの下段から38ページを御覧ください。本剤群で有害事象は58.0%、副作用は45.0%に認められました。認められた主な副作用は、便を伴う放屁、油の漏れ、油性排泄物、脂肪便、水様便等でした。また、本剤群において中止に至った有害事象及び重篤な有害事象は認められませんでした。
 続いて、審査の概略を説明いたします。こちらは審査上の論点を中心に説明いたします。51ページ、本剤の使用対象者についての項を御覧ください。先ほどから説明させていただいたように、肥満に対し、内臓脂肪及びその蓄積の指標となる腹囲を減少させる手段としては、食事及び運動の生活習慣の改善の取組が基本となります。本剤は、この取組を継続する意識付けを行い、内臓脂肪及び腹囲を減少する上での補助的な位置付けとして使用されることが適切であることから、機構は、本剤の使用開始前、使用中においても継続して生活習慣改善の取組を行える者を本剤の使用対象者とすることが適切と判断しました。また、OTCである本剤の使用対象者は、健康障害を伴わない肥満の者であり、医師による適切な介入が必要となる健康障害を合併している肥満の者やBMI35kg/㎡以上の高度肥満に該当する者は、本剤の使用対象者とすることは適切ではないと判断しました。
 52ページ、効能・効果についての項を御覧ください。申請時の効能・効果は「腹部が太めの方の生活習慣改善時における食事由来の脂肪の吸収抑制による内臓脂肪・腹囲の減少を伴う脂肪蓄積の緩和 注)腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上」と設定されていました。
 機構は、本剤は生活習慣改善の取組を行っている者のみが使用可能な薬剤であることを明確にする必要があること、臨床試験において「脂肪蓄積の緩和」についての効果は確認されていないことから、効能・効果について再検討するよう申請者に求めたところ、52ページの最下段に記載したとおり変更されました。
 なお、腹囲を適用対象者の指標として記載することについて、「メタボリックシンドローム診断基準」における内臓脂肪過剰蓄積のカットオフ値として腹囲が設定されていること、検証試験において内臓脂肪の過剰蓄積の指標としてウエスト周囲長、すなわち腹囲が設定され、この基準に基づき選択された被験者での有効性及び安全性が示されたことから、了承可能と判断しました。以上より、変更後の効能・効果について問題はないと判断しました。
 53ページ、使用上の注意についての項を御覧ください。本剤の使用上の注意は、臨床試験成績、CCDS、欧米における添付文書、「肥満症診療ガイドライン2016」、関連通知を参考に設定されています。先ほど御説明させていただいた使用対象者に関し、健康障害を合併している者や、BMI35kg/㎡以上の高度肥満に該当する者は本剤を使用できないことについて記載されました。また、健康障害の診断を受けていなくても、健康診断において再検査又は精密検査の必要性を指摘され、健康障害の合併が疑わしい者についても、本剤の使用前に医師又は薬剤師に相談することが記載されました。
 さらに、適正使用の観点から、本剤の漫然とした使用を防ぐため、また、国内外の肥満症診療ガイドライン、本剤の欧州の使用者向けでの説明文書を踏まえ、使用上の注意において、3か月以上服用して効果が認められない場合は、薬剤師に相談した上で服用継続の要否を判断すること、6か月以上服用して効果が認められない場合は使用を中止し、医師又は薬剤師に相談することについて記載されました。以上を踏まえ、機構は使用上の注意に問題はないと判断しました。
 54ページ、適正使用についての項を御覧ください。本剤の適正使用に資する資料として、添付文書のほか、チェックシート、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料、生活習慣記録票、お薬手帳に貼るシールが作成されています。適正使用の方策として、申請者より主に四つの方策が提案されています。
 1点目は適格性の確認です。健康障害を合併している等、本剤の使用が不適切と考えられる者に対して本剤を販売することがないよう、チェックシートが作成されており、これを用いて適格性の確認が行われます。
 2点目は、購入前3か月間及び使用中の生活習慣改善の取組状況の確認です。本剤の購入を希望する者は、購入前3か月以上の生活習慣改善の取組を行っていること、また、その取組状況についてチェックシートで確認されます。特に購入前1か月と本剤使用中は、食事内容、運動内容に関する生活習慣改善の記録、体重、腹囲等の記録を生活習慣記録票やアプリ等に残すこととなっています。また、薬剤師はこの記録を確認した上で、本剤使用の適切性を確認し、記録を確認できない場合は本剤を販売しないこととされています。
 3点目は定期的な健康診断を受けていることの確認です。先ほど御説明させていただいたように、健康障害の合併が疑わしい者についても、可能な限り除外する必要があります。そのため、定期的に健康診断を受け、再検査又は精密検査の必要性を指摘されていないことをチェックシートで確認することとされています。
 4点目は適切な流通です。本剤は、申請者が作成するテキストやe-learning等による教育を終了し、一定水準以上の理解度を有する薬剤師のみが販売可能とされ、適正使用の協力が得られる販売店にのみ出荷が限定されます。不適切販売が判明した場合、申請者が販売店に適正販売の申入れ、薬剤師の再教育を行います。それでも改善が認められない場合は、出荷停止等の措置を講じるとされています。
 その他、痩身目的で不適正使用がされることがないよう、使用者向け情報提供資料に、本剤は生活習慣の改善を補助するものであり、いわゆるやせ薬ではない旨を明記しています。以上の適正使用の方策について、機構は、適切に実施されることを前提として、現段階で特段の問題はないと判断しました。
 最後に総合評価です。57ページの下段、4を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに示した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、要指導医薬品に該当すると考えます。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。機構からの説明は以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としてお越しいただいております横手先生から、御意見や補足などをお願いします。
○横手参考人 日本肥満学会から参りました千葉大学の横手と申します。本薬剤につきましては、○○○○○○○の段階で、○○○○○○○○日本肥満学会に、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということを、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○いただきました。学会において、委員会あるいは理事会で○○○○○、○○○○○○○○○○○○○○○○○として、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○がございます。
 日本肥満学会では、肥満と肥満症というものを区別しておりまして、単に太っているだけでは医療の対象にはなりません。肥満症は、BMI25kg/㎡以上、体に脂肪が蓄積し、糖尿病や脂質異常症など11項目の健康障害のうちどれかがある場合に、これが医療として食事、運動、その他の治療を要するということとなります。
 一方、健康障害が出る前の段階において、内臓脂肪が蓄積していますと、将来健康障害が出る可能性も高いわけですが、この場合は自己管理の範囲で、食事・運動療法を行うことになります。これを現段階で補助するような医薬品は日本に存在していなかったわけです。このような中で、このアライという製品は、リパーゼ阻害薬という体に吸収されない、中枢神経作用などもない医薬品であり、これが的確に薬剤師さんの指導の下などで管理されるということであるならば、将来、肥満症を発症し、寿命に関わるような疾患を発症する大分前の段階の、お腹の太めな方たちに対して有効性を発揮し、健康寿命の延伸につながるのではないかというように、今日の内容をお聞きして感じました。
 また、健康障害がなくても、BMI35kg/㎡以上の高度肥満については、非常に治療が難しく、またリバウンドなども大きいので、やはりこれは医師の指導の下で対応することが適切だと思いますが、そのような点も、このチェックシートで厳密に審査されるということを先ほど御説明いただきましたので、この範囲においては、日本の国民の健康に資する医薬品に位置付けられるのではないかと感じた次第です。以上が日本肥満学会からの意見です。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問あるいは御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。宗林先生、よろしくお願いします。
○宗林委員 岐阜医療科学大学の宗林です。3点お聞きしたいと思います。まず1点目は、腹囲という言葉とイコールのようにして内臓脂肪という言葉を使っておられるようですが、皮下脂肪はどのように考えているのか。腹囲を内臓脂肪と言いかえてしまっていいのか、あるいは内臓脂肪を確認するような手段を使って確認した内臓脂肪のことを言っているのかということをお聞きしたいと思います。
 2番目は、今、参考人の先生のお話がありましたが、確かに脂質とかいろいろな肥満関連の腎臓病とかというのは理解できるのですが、例えば血圧が高いからといって、これは飲んではいけないということに、どのように直接つながるのかということを教えていただければと思います。
 3点目は、医薬品を飲んでいる人はなかなか使うという前提ではないようなので、医薬品についてはそれほど心配していないのですが、例えばサプリメントでも、脂溶性のサプリメントというのでしょうか、オメガ3とか、そういったものは吸収阻害されてしまうのかどうか、飲み方としての工夫が必要なのかどうか教えていただければと思います。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、機構から御回答いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。御質問ありがとうございます。まず1点目です。本剤は、腹囲というように規定させていただいておりますのは、メタボリックシンドロームのときにも議論になりましたように、腹囲と内臓脂肪の相関があるというような研究報告がありまして、内臓脂肪と肥満によって引き起こされる疾患が相関することはありますので、腹囲をもって対象集団を規定するという形にさせていただいたところです。したがいまして、本剤は、皮下脂肪ではなくて、内臓脂肪の相関としての腹囲を見ているということです。
 2点目です。本剤は、基本的に、健康診断において、特に何の指摘を受けていない方を対象とすべきであると考えております。先ほど、横手先生からお話をいただいたとおり、肥満と肥満症が違うというところがあって、それは単に太っているからということで病気なわけではなく、何かしらの症状が呈したときに肥満症と定義されているものだと承知しているのですが、本剤はそういった方を投与対象集団から除きたいというところがあります。何かしら健診で引っ掛かっている方は、やはり医師の診察下で治療を受けていただきたいと思っていますので、本剤の投与対象集団から外すという意味で、添付文書に記載しているような診断を受けている人を除くような形にしております。
 3点目、サプリメントとの相互作用については、サプリメントは食品のカテゴリーですので、どの程度検討しなければいけないのかということもありますが、申請資料の中では、特にそれほど詳細に検討されてはいないわけでして、薬理作用としては、脂質、リパーゼの阻害なので、脂溶性の成分というのは体内に入りにくくなるのではないかと考えられるのですが、実際、程度についての正確な数値は私どもとしては持ち合わせておりません。以上です。
○太田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○宗林委員 ありがとうございました。最後の点なのですが、審査報告書の中、あるいは添付文書の中にも、「ビタミンEの減少症になることもあるので」という言葉があったものですから、多分そういった脂溶性のものは全般的に吸収しにくくなるという考え方でいいのかなと思って確認をさせていただきました。どうでしょう。よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御指摘のように、脂溶性の成分の吸収の低下というものが懸念されておりまして、本剤と同じアライという製剤は海外でもOTCとしてあるのですが、海外のOTCの添付文書においては、「マルチビタミンとの併用を推奨する」という記載があります。私どもとしましても、その点を検討させていただきましたが、国内臨床試験の結果でも、脂溶性ビタミンの低下というものが認められてはいるものの、その程度は強いものではなかったものですから、日本国内においては、マルチビタミンの併用などは推奨するような記載はしておりません。おそらく、脂溶性の成分というのは吸収されにくくはなるのだと思うのですが、ビタミンに関していうと、それほど重大な懸念を生じるような状態にはなかったということです。仮に、そういったビタミンの吸収の阻害が起きて、欠乏症と思われるような症状が出るようでしたら、医療機関の受診、あるいは販売店の薬剤師さんとの相談の対象になってくると思うので、その点の症状に関しては、添付文書あるいは使用者さん向けの情報提供資材に具体的な症状としてお示しをさせていただいておりまして、そういった症状が認められた場合には相談していただくという形にさせていただいております。以上です。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございました。私はこれで結構です。
○太田部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方からいかがでしょうか。
○多田委員 よろしいでしょうか。
○太田部会長 どうぞ。
○多田委員 帝京大学皮膚科の多田と申します。肥満に対する薬剤ということで、大変治療効果もあっていいかなと思うのですが、実際、皮膚科で悪性腫瘍を疑うような患者さんで、最近体重減少はありますかとお聞きするときに、実は悪性腫瘍による体重減少でも、自分がダイエットをしていて、それで痩せたと思っていたという患者さんがなかにはいらっしゃるのです。今回のような薬剤の内服でちょっと懸念があるのは、肥満ということ自体も若干悪性腫瘍のリスクを上げるというところもありますので、薬剤師さんか、あるいは御本人かに、過度な体重減少や気分不快といったようなものが本薬剤の投与経過中に出てきた場合に、どこか、この薬剤とか自分の頑張りのためだけではなくて、きちっと医療機関にかからなければいけないかもしれないというストッパーみたいなのを、どこかに掛けておいた方がいいのではないかなと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○太田部会長 それでは、機構からどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。その点に関しましては、チェックシート、本剤は要指導医薬品となりますので、薬剤師さんとチェックシートを使って、販売の可否を含めて検討をしていくことになります。本剤においては、通常の要指導医薬品とは異なりまして、購入時に過去3か月分、特に過去1か月分については、生活習慣改善の程度を確認させていただいて、そこで確認できた方にのみ販売するという、過去に例がないような取組を実施したらどうかと考えているところです。したがいまして、その程度と体重減少が余りに相関しないような者にあっては、薬剤師さんは販売しない、あるいは近くの医療機関を紹介するといった形を取れるようなことになっております。もちろん、それは万全ではないと思いますが、1年に1回の定期健診と購入の度、これは約1か月ごとということになりますが、購入の度に薬剤師さんとチェックシートをやることによって、先生の御懸念のリスクも一定程度防ぐことができるのではないかと考えております。以上です。
○多田委員 分かりました。薬剤師さん以外に、御本人に対して過剰な体重減少といったものは注意が必要なのだという記載ですとか、そういった注意喚起などはどこかにないものでしょうか。自分が痩せてうれしくて、薬剤師さんに相談するのがちょっと遅れたりとか、体重減少のすごく早い場合は意外と元気だったりとかして、ですけども悪性度等が高かったりするので、薬剤師さんの方でストップを掛けていただくのはとてもいいことだと思っているのですが、御本人にとっても、それほどすごく痩せるものではないのだということは、どこかにあった方が安全かなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤は、購入に際して、薬剤師はe-learningなどによって本剤についての研修を受けることになっていて、一定程度の知識があることを認められた者が販売するようなシステムにしております。ですので、御本人が順調に体重が減少しているような場合には、まず、本剤を販売しないという選択も一つ入ってきます。したがって、そういうことも含めてチェックシートで薬剤師さんは確認をしていただくことになりますので、体重が順調に減っている場合には販売しないで、ほかの何らかの疾患によって体重が減少しているような懸念がもしあるのであれば、薬剤師さんがそのときに近医を紹介するとか、受診を勧奨するなどの対策がなされるものかなと思っております。
○多田委員 分かりました。それでいいかなと思うのですが、是非薬剤師さんの方からも、御本人に向けてそういったメッセージを伝える機会があるといいかなと思いました。以上です。ありがとうございました。
○太田部会長 ありがとうございました。
○宮川委員 宮川です。よろしいでしょうか。
○太田部会長 どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。機構の回答はなっていないと思います。今、多田先生のおっしゃったことは、薬局、販売店向けの情報提供資料又は使用者向けの情報提供資料の中に、そのような注意喚起の文言を入れ込むことが必要だということをおっしゃっていたので、ただ単に、そういう体重減少のこと、それが順調にいく、そういうこととは違う話なのです。書き込むか、書き込まないかということを、どうでしょうかということを多田先生はお聞きになったはずなのです。そのことをしっかりと受け止めて、本来であれば、1行、2行加えることは構わないことだと思うので、是非それは検討していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○多田委員 ありがとうございました。宮川先生の御意見、私も全くそれに賛成なので、もしそれができるようでしたら、是非お願いしたいと思います。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。今、いただきましたことは、御意見として、情報提供シートの方に加筆していただけるように検討したいと思います。ありがとうございます。
○太田部会長 ありがとうございました。宮川先生もありがとうございました。
○宮川委員 いえいえ。それから、もう一つよろしいでしょうか。
○太田部会長 どうぞ。
○宮川委員 機構にお尋ねしたいのですが、米国のFDAの方で、実際には肝機能障害が32例でしたか、報告されているのです。ところが、日本の国内試験では、肝機能障害に関してはそれほど出てこないということで、書き込みが余りないのですが、その差はどのようにして出てきたのか。実際には、米国の場合も含めてですが、高度肥満が多いからそういう形になったのか、どういうところに気を付ければいいのか、もう少し書き込みが、実際には胆嚢とかの書き込みはあるのですが、肝機能障害に関しては書き込みが少なかったような気がするので、どのようにそれを考えたらいいのか教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。海外で肝機能障害が認められた一方で、国内でなぜ認められた例数が少ないかということについては、詳細な検討はできておりません。ただ、米国及び欧州の規制当局において、肝機能障害発現の報告を受けて検討を行ったものの、肝機能障害と本剤との因果関係は明確になっていないと結論付けられております。
○宮川委員 ありがとうございます。そういうことであればいいのですが、実際に肝機能障害、確か審査報告書にも書いてありますよね。やはり継続的に見ていくことが必要だということであれば、1行ぐらい書き込みが中にあってもいいのかなと思ったので、質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。肝機能障害については、現時点でも、添付文書において海外と同様に情報提供を行っております。また、再審査でもその発現状況を確認していき、もし肝機能障害について新たな知見が認められた場合は適切に、更なる注意喚起の必要性などについて検討していきたいと考えております。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。奥田委員、どうぞ。
○奥田委員 今の機構の方から、再審査のことで少しお話があったのですが、新有効成分ということで、再審査期間が設定されていて、市販後の調査が行われるということなのですが、その中には肝機能とかそういったことに対する調査項目も入っているのでしょうか。例えば、市販直後調査みたいなもの、医療用医薬品であればそういったものがあるのですが、そういったシステムがあるのかどうかも含めてお答えを頂けたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。本剤の製造販売後調査においては、有害事象の発現状況ということで確認をしていきます。ですので、その中で肝機能障害の発現が認められた場合は、そちらの経緯や転帰などについても詳細な調査が行われることとなっております。
○奥田委員 特に市販直後調査のような形で行われるわけではないのですね。
○医薬品医療機器総合機構 本品は一般用医薬品になりますので、市販直後調査ではなくて、使用成績調査が実施されることになっています。
○奥田委員 どうもありがとうございます。
○太田部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。
○太田部会長 はい。
○宮川委員 細かいことで申し訳ないのですが、添付文書の方の「その他の注意」の所なのですが、もう少し丁寧な書き込みがあってもいいかなと思い、御提案いたします。「油の漏れ」というのはとても一般の方には分かりにくい表現になるのではないかなと思うのです。「本剤は飲食物に含まれる脂肪の体内への吸収を低下させ」とあって、ここからですが、「便などとして排泄されることから、油が漏れたり、放屁(おなら)とともに便や油が出たり、便に脂肪が混ざることがあります」と、ここからは同じですが、「なお、脂肪分の多い食事ほど、油の漏れや便又は油を伴う放屁(おなら)、脂肪便があらわれやすくなります」というような形で、少し丁寧に書き込んだ方が分かりやすくなりますし、それから、薬剤師の先生方も含めてですが、利用しやすくなるのではないかなと思います。意味が分からないような方、それから注意深く読んでいない方に対して少し丁寧に書いた方がいいかなと思ったので、御提案させていただきました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構です。いただいた御意見を踏まえて、これから分かりやすい記載について再検討させていただければと思うのですが、使用者さん向けの情報提供資材の方に丁寧に記載させていただくのも一案かなと思うのですが、それでもよろしいでしょうか。
○宮川委員 結構です。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○太田部会長 それでは、宗林委員からどうぞ。
○宗林委員 今の所なのですが、具体的にそういうことが起きたときに、どのぐらい困る感じのものなのか教えていただきたいのです。例えば、下着の替えを持って歩かなくてはいけないとかいうことなのか、人によっても違うかもしれませんし、食べるものによっても違うかもしれませんが、やはりOTCなので、3食食べて飲んだ場合に、「あら、困った」ということがないような使い方というのは、ここには具体的に何か持って出ろとかそういう話はないのですが、使ったことがないので、どのぐらいの困り方があるのでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。宗林先生、全くそうなのですよ。これは力を込めなくても、ズルッと漏れてくるのです。ですから、肛門、下着がかなり油っぽく濡れることがあるのです。ちょっとした息込みではないですが、階段を上がってというか、それからあっと驚いた瞬間とか、そういうときに出てしまう。それから、ちょっとおならをしたときにも油が出てしまって、そこで下着を取り替えざるを得ないということが、こういう薬を使ったときに起きやすくなるということなので、使用者にとっては嫌な思いをさせるタイプになるのだろうと推察はされます。ですから、それを注意喚起として丁寧に書いておいた方がいいかなと思ったものですから私も発言させていただいたのですが、宗林先生の御懸念のとおりだと思います。女性の方にとってはかなり問題です。
○宗林委員 困らないで生活をするために、買うときにアドバイスが欲しいなと思います。
○宮川委員 紙パンツを使用しないと駄目なタイプだろうと思います。これは本当にそういう実例があります。是非そういうことは、薬局の方などが知らないで出して、後で何で教えてくれないのということがありますので、宗林先生がおっしゃってくださって、大変有り難いと私は思っております。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。よろしいでしょうか。
○太田部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 すみません。今、いただいた御指摘ですが、使用者向けの情報提供資材の14ページ~15ページにかけての部分に記載はさせていただいているところではあります。「下着にパット(ナプキン)を付ける」、「おならがでそうなときや便意があるときはすぐトイレに行くようにする」、「外出時はトイレの場所を把握しておく」などの対策を書いておりますが、ここの部分は、先ほど宮川先生から御意見をいただいたとおり、不十分だということだと思いますので、具体的な事例も含めて、もう少し丁寧な情報提供ということで記載をさせていただければと思います。
 あと、先ほど宗林先生から御質問のあった、出てくる量に関してですが、やはり人によって違うとか、食べたものによって大きく影響を受けるというように申請者より聞いておりますので、一律的な記載はなかなか難しいのかなと思っております。以上です。
○太田部会長 それでは、機構からもその辺の記載を工夫していただけるということですので、是非よろしくお願いしたいと思います。ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○木下委員 よしの病院に勤めております精神科医の木下と申します。
○太田部会長 どうぞ。
○木下委員 チェックシートの4番目に、抗てんかん薬とか、抗うつ薬、それから抗不安薬、睡眠薬を使うときは相談しなさいということがあるのですが、具体的な個々の薬剤についての相互作用のデータも見付からず、相談されてどのように対応していいかが分からない状況なのですが、教えていただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。そちらの記載については、基本的には、海外の添付文書に合わせるような記載にさせていただいております。実際、このような御相談があった場合には、基本的には、医師と相談した上で使用するかどうかを判断していくことになるのではないかと思います。以上です。
○木下委員 もう一点なのですが、過食症の方がいらっしゃいますが、過食症の方はこのお薬を飲む対象にはならないと考えてよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 過食症と診断がされている方にあっては、もう既に医師の診断あるいは診察を受けている最中かと思われますので、その方におかれては、医師と相談して、医師が了解されるのであれば服用できるのだと思いますが、それは個別の判断の中で医師の方に御判断をいただくのかなと思います。基本的に、受診されている方は、チェックリストにおいて、本剤を購入することがすぐにはかなわない状況となります。以上です。
○木下委員 ありがとうございました。
○太田部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、再審査期間は8年、要指導医薬品に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、再審査期間は8年、要指導医薬品に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないとし、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。
 また、横手先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございました。
○横手参考人 ありがとうございました。大変、勉強になりました。失礼いたします。
──横手参考人退室 ──
○太田部会長 それでは、続きまして報告事項に移らせていただきます。議題3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題3、プレフェミンの再審査結果について御報告いたします。資料3を御覧ください。製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われております。機構における審査の結果、資料3-2にありますように、承認拒否事由のいずれにも該当せず、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要のないカテゴリー1と判断されております。以上、報告でございます。
○太田部会長 それでは、委員の先生方から御質問をお願いします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。特にないようですので、議題3については御確認を頂いたものといたします。その他、事務局から何かございますか。
○事務局 次回の当部会につきましては、開催日時が決まり次第、御連絡をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○太田部会長 それでは、本日の要指導・一般用医薬品部会をこれにて終了し、閉会といたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 林(内線2737)