2023年5月15日 第18回新型インフルエンザ対策に関する小委員会・第7回ワクチン作業班会議(合同開催)議事録

健康局結核感染症課パンデミック対策推進室

日時

令和5年5月15日(月)14:00~16:00

場所

Web開催
事務局:厚生労働省 仮設第2会議室

議題

プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類について

議事

議事内容
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、皆様、定刻になりましたので「厚生科学審議会感染症部会第18回新型インフルエンザ対策に関する小委員会・第7回ワクチン作業班会議(合同開催)」を開催したいと思います。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
 私、本日、議事進行を務めさせていただきます健康局結核感染症課パンデミック対策推進室の竹下と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 なお、カメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレスの関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、ウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、座長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いします。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 それでは、委員の出欠状況の確認をさせていただきます。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、お名前を呼ばせていただきます。
 五十音順に、大曲委員。
 押谷委員。
 加藤委員。
 釜萢委員。
 川名委員。
 齋藤昭彦委員。
 坂元委員。
 谷口委員。
 多屋委員。
 中里委員。
 信澤委員。
 長谷川委員。
 坂元委員と中里委員と釜萢委員については、つながり次第、もう一回お声がけをさせていただきます。
 なお、吉川委員、齋藤智也委員からは、御欠席の連絡を受けております。
 現在、14名うち9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 なお、先ほど御説明させていただいた3名の方も御出席と御連絡をいただいておりますので、この方々を入れると12名になります。
 次に、審議参加について御報告いたします。
 本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金などの受け取り状況について申告いただき、事務局において当該内容を確認しました。その結果、審議に不参加となる基準に該当された委員はいらっしゃいませんでしたので、併せて御報告いたします。
 釜萢委員、よろしいでしょうか、どうぞよろしくお願いします。
○釜萢委員 宜しくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 中里委員、いらっしゃいますでしょうか。(中里委員よりチャットで出席の連絡あり)
 それでは、あと2名の方には、適宜連絡をさせていただきます。
 なお、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
(カメラ撮り終了)
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、配付資料の確認を行わせていただきます。
 資料は議事次第、委員名簿、資料1、参考資料1、参考資料2になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は谷口座長にお願いいたします。
○谷口座長 それでは、早速、議事に入りたいと思いますので、まずは、資料1につきまして、事務局から御説明をお願い申し上げます。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、資料1のほうの投影をお願いいたします。
 それでは、資料1について御説明をさせていただきます。
 今回の議題に関しましては「プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類について」ということで、御説明をさせていただきます。
 まず1つ目としまして「プレパンデミックワクチンの備蓄の経緯」ですが、平成9年に世界で初めて香港において鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスによる、感染確定者が報告されました。
 この病原性の高いH5N1ウイルス由来の新型インフルエンザが発生した場合、その病原性の高さにより、大きな健康被害が引き起こされると想定されたことから、我が国では平成18年度からH5N1株プレパンデミックワクチンの備蓄を行うこととしました。
 備蓄するワクチン株については、第19回厚生科学審議会において、検討時点において、(1)近年の鳥インフルエンザ発生の疫学的な状況、(2)パンデミック発生の危険性、(3)パンデミックが発生した際の社会への影響、(4)発生しているウイルスとワクチン株の抗原性の4つの視点を踏まえた上で「危機管理上の重要性」が高いワクチン株の備蓄を優先することとしています。
 第25回厚生科学審議会感染症部会において、近年の鳥インフルエンザの発生状況から、H7N9株を備蓄することとしておりました。
 第60回「厚生科学審議会感染症部会」においても、現時点で製造可能な亜型の中ではH7N9株が引き続き最も「危機管理上の重要性」が高いと考えられるため、H7N9株の確保を継続することとしておりました。
 この第60回の「厚生科学審議会感染症部会」が令和4年4月のものでございますので、そういった方向で、現在、進んでいるのが現状でございます。
 「今後備蓄すべきワクチン株について」ということで、御説明させていただきます。
 先ほど令和4年の話をさせていただきましたが、過去5年間に世界でヒトが感染した鳥インフルエンザウイルスは、7種のインフルエンザウイルスの亜型に属しておりました。
 令和3年以降、Clade2.3.4.4bに属する高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)の世界的な感染拡大に伴い、海生哺乳類を含む野生の哺乳類や農場のミンクなどでも発生が見られております。
 実際の鳥インフルエンザの発生状況においては、参考資料1の5ページ目に掲載しておりますけれども、2022年7月以降の高病原性鳥インフルエンザの発生状況を示しております。
 なお、Clade2.3.2.1cの令和2年以降についてはアジアで限局的に発生が認められておりますが、この株については、報告では世界的な感染拡大は認めていないという現状でございます。
 続いて「ヒトへの感染について」ですが、ヒトのHPAIV(H5N1)感染事例は、平成30年から令和5年3月3日時点までに、発生報告のなかった平成30年を除き、世界各地で散発的に報告されております。世界保健機関に報告された感染者数は合計13例で、うち4例が死亡しております。なお、平成15年から平成29年までの報告では860例、うち死亡454例ということでして、平成30年以降の報告数は大きく減少しているのが現状でございます。
 なお、令和2年以降、H7N9鳥インフルエンザウイルスのヒトでの感染事例は報告されていない状況でございます。
 H5N1は効率的にヒトからヒトへ感染する能力を獲得しておらず、現時点ではヒトでのパンデミックに至る可能性は低いと考えられますが、世界的に鳥類での感染拡大が認められ、哺乳類の感染例も多数報告されていることから、H5N1へのヒトの曝露機会が増加しており、今後も散発的なヒト感染例が報告される可能性が高いと考えられております。
 実際、日本国内でもH5N1の哺乳類については2例出ておりまして、北海道のほうでキツネとタヌキから出ております。
 参考資料1の7ページ目に「鳥インフルエンザA(H5N1)のヒトへの感染対応について」というのがございますので、そこに最近の現状等の記載がございます。
 なお、動物で感染が拡大する中でアミノ酸変異が蓄積して、ヒトへの感染性がより高くなったウイルスが今後出現する可能性も否定できないと考えられております。
 こういった現状を踏まえた上で「H5亜型clade2.3.4.4bワクチン株の流行株との抗原性」についての検討状況についても御紹介したいと思います。
 世界的に流行をしているClade2.3.4.4bのうちWHOが示すワクチン候補株はH5N8であるA/Astrakhan/3212/2020またはH5N6であるA/Fujian-Sanyuan/21099/2017とH5N1であるA/chicken/Ghana/AVL-763_21VIR7050-39/2021であります。
 このうち安全性及び抗原性について、WHOによる確認が完了したワクチン株として使用可能であるのは、A/Astrakhan/3212/2020でございます。
 また、流行株とワクチン株の抗原性の比較のため、A/Astrakhan/3212/2020に対するフェレットの感染血清を用いた赤血球凝集阻止試験を実施したところ、A/Astrakhan/3212/2020に対する血清は最近の流行株とよく反応したと判断されております。
 このような状況を踏まえた上で、今後の備蓄方針について、以下のように考えております。
 上記の検討を踏まえ、今年度備蓄するワクチン株については、A/Astrakhan/3212/2020とすることとしてはどうか。
 令和6年度以降、備蓄するワクチン株を変更するかについては、引き続き、企業での製造可能性を含め、最新の知見を踏まえて早期に検討を行っていくこととしてはどうかと考えております。
 御検討のほど、よろしくお願いいたします。
○谷口座長 御説明いただきまして、ありがとうございます。
 では、今、いただきました説明を踏まえて、委員の皆様から御意見を頂戴しようと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ挙手をもってお話しいただければと思います。
 長谷川先生、どうぞ。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 最近の鳥インフルエンザウイルスの世界的な流行状況を見ますと、グローバルに分布しているウイルスというのは、Cladeの2.3.4.4bになりますので、このCladeの中からワクチンを選択するというのが正しいのかなと思います。
 以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
 1つ長谷川先生にお伺いしてもよろしいでしょうか。
○長谷川委員 はい。
○谷口座長 このワクチン株でイミュナイズした動物で、他の類似株に対する発症予防効果、感染予防効果ですね、あるいは重症化予防効果というのは、動物実験とかでは示されるのでしょうか。
○長谷川委員 基本的に、CVV(candidate vaccine viruses)として登録されていますウイルス株の感染血清を用いて、その感染血清が流行している株にHI反応で、どれぐらい阻止するかというところの検討はされていますが、感染させて感染阻止もしくは重症化予防といった、ワクチンを製造してからの過程というのは、CVVの段階では行っておりません。
○谷口座長 ありがとうございます。
 坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
 非常に素朴な質問で申し訳ないのですが、現在、鳥インフルエンザが日本の養鶏場で非常に流行して、卵不足まで起こしているというのは、この原因の鳥インフルエンザは、Clade2.3.4.4bという理解でよろしいのでしょうか、長谷川先生。
○長谷川委員 はい、そのとおりです。
○谷口座長 よろしいでしょうか。
 では、押谷先生、お願いします。
○押谷委員 押谷ですけれども、谷口先生からの質問の続きみたいな感じなのですけれども、HIでやれば、交差反応があるというのは分かるのですが、これはH5N8なので、Nの部分は今流行しているH5N1とは違うわけです。HAに比べるとNAは、役割としては低いのかなと思うのですけれども、全く関係ないわけではないはずなので、この辺りはどう判断すればいいのでしょうか。
○長谷川委員 ワクチンの場合、当然、ヘマグルチニンだけではなくて、ノイラミニダーゼに対する抗体が防御に関与しているということは考えられます。
 ただ、今のところ、ワクチンの有効性と関連する指標として、ノイラミニダーゼの抗体の指標というものが存在していない状況で、ワクチンの反応性というのは基本的にレセプターバインディングドメインを含むヘマグルチニンに対する抗体で評価しているというのが現状で、今後、ノイラミニダーゼに対する抗体と、プロテクションなどのコーディネーションとの関係が明らかになってくれば、そういったものも考慮する必要があるのかなと思います。
 また、当然HAもNAをどんぴしゃり合っているほうが、効果としては期待できますけれども、今のところ使用できるワクチン株というものが、H5N1ではないという状況においては、そのNの違いというのは、仕方がないことなのかなと考えております。
 ですから、2つ目の議題になりますけれども、今後、変更するかどうかについてというのは、そこら辺の準備状況なども踏まえて検討していく必要があるのかなと思います。
 また、実験的に可能であれば、Nの亜型の違うものでワクチンの有効性の評価を動物レベルで試していきたいと思っております。
○押谷委員 ありがとうございました。
○谷口座長 ありがとうございます。
 非常に難しいところもあると思いますが、ほかに御議論を、信澤先生、お願いします。
○信澤委員 ありがとうございます。
 私も今回のAstrakhan株をワクチン株として備蓄することには、異論はございません。
 実際に、現在流行しているウイルスというのは、H5N1で、今、押谷先生がおっしゃったように、NAがワクチン株とは違いますけれども、2014年ぐらいから、2.3.4.4bのHAを持つウイルスというのが鳥の間で、かなり流行をし始めて、当初はN6とかN8とかN1ではないNAを持つウイルスがかなり主流だったのですね。
 それが、最近2020年ぐらいから、NAがN1になり、HAはそのまま2.3.4.4bのCladeのHを持ったウイルスが主流になってきているということで、昔の2005年、2006年からはやっていたH5N1とは少し毛色が違い、あの当時の株に代表されたCladeの流れは持っていますけれども、これまでのH5N1とは違うということは、事務局から、あまり説明がありませんでしたけれども、一応認識をしておく必要があるのかなという気がいたします。
 もう一点、備蓄方針ということに関してなのですが、今までも何回か意見は述べさせていただいていましたけれども、新型インフルエンザ対策として備蓄するということは、一応そういう国の方針ですので、備蓄しなくてはいけないということは理解できます。
 ただ、今回のように流行ウイルスの抗原性が変わってきたので、備蓄ワクチン株を更新するということを繰り返してきたわけですけれども、これというのは取りも直さず、現在備蓄しているワクチンは、もう効果がないということを示しているわけですね。
 実際、私たちもワクチン株の更新のたびに、備蓄しているワクチンを接種したヒトの血清というのを用いて、現在流行しているウイルスの反応性がなくなってきているというのを報告して、更新をしたほうがいいでしょうという報告をしてきたわけですけれども、さらに申し上げますと、細胞培養ワクチンで有効性が高いと言われているアジュバントが入っているようなワクチンの場合にも、そのワクチンを接種したヒトの血清が、やはり数年経った後のウイルス、そのワクチン株よりも2、3年後に出てきたウイルスに対しては、反応性が非常に落ちていたということも報告しています。
 ですので、新型インフル対策としてワクチンを備蓄して、パンデミックが起きた際に有効に活用するということを、本当に目的とするのであれば、まさに今流行しているウイルスでワクチンを半年以内ぐらいにつくって、備蓄するということを繰り返すのだったら意味があると思うのですけれども、2年、3年前のウイルスでワクチンをつくっても、あまり効果が期待できないのではないかという気がします。これは、今までも申し上げてきたことで、ただ、政策上変えることができないということで、今まで続けられてきたわけですけれども、もし新型インフルエンザ対策として備蓄するのであれば、抗ウイルス薬のほうが、はるかに効果がある、あるいは今回出てきたmRNAワクチンで、非常に短期間に、今流行しているウイルスで備蓄ワクチンをつくって、毎年繰り返していくというほうが意義があるのではないかという気がしています。
 すみません。少し長くなりました。
○谷口座長 信澤先生、ありがとうございました。
 おっしゃるとおり、全体の戦略から考え直していく必要はあろうかと思うのですが、1つだけ教えていただきたいのですけれども、しょせんこういったワクチンは、感染予防効果などは、数か月、半年すれば消えてくるわけですね。
 そうすると、結局、重症化予防効果というのは極めて重要なような気がするのですけれども、今いろいろなところでやっているのは、HAで反応性を見ているだけですね。細胞性免疫が主に重症化予防に働くと思うのですが、それがどのぐらい、今、コロナですけれども、COVID-19の武漢株で予防接種しても、重症化予防効果は依然としてあるわけですね。
 そうすると、新型インフルエンザにしても、どのぐらい抗原性が変わって、なおかつ重症化予防効果があるかというのも、多分大きな問題だと思うのですが、それはいかがお考えでしょうか。
○信澤委員 先生のおっしゃるとおりだと思いますが、今までは、やはり血清中の抗体を調べるほうが安易だったということもあって、それしか我々は調べてこなかったので、もし可能であれば、そういう調査をしていただければという気はいたします。
○谷口座長 ありがとうございます。
 多分、今後、それも戦略的に考えていかなくてはいけないのだろうなと思いました。
 ほかに御意見あるいは御質問がございましたら、どうぞ。
 押谷先生、どうぞ。
○押谷委員 再びですみません。
 リスクアセスメントについてなのですけれども、齋藤智也さんのところの感染研のリスクアセスメントのデータも出ていますけれども、今後、リスクアセスメントをどのように考えていくのかというのは、結構難しくなってきているのではないかと僕は思っていて、今、鳥もヒトでの、ほかの哺乳類も含めて、これまで2003年の終わりからずっと世界中で出続けていたわけですけれども、その中心だったのは、アジアだったわけですね。その後に、エジプトが非常にヒトの感染例が増えてきたりしていて、その辺りが、今、本当に空白地帯になりつつあるのですね、鳥でも感染の報告が非常に少ない状況です。
 その一つの理由として考えられるのは、幾つかの国で、家禽へのワクチンをしているということは、もう明らかになっていて、そういうところで見えなくなってきているというところもある可能性があって、今年カンボジアで2人感染者が見つかって、1人女の子が亡くなりましたけれども、アジアでヒトの感染が見つかるというのは、少なくとも僕はWHOにいた頃は、鳥での流行があって、その周りで人が亡くなったり、重症肺炎になったりすると、H5N1とかを調べるので分かっていたという部分がかなりあると理解していたのですけれども、そういう形では、今、ヒトの感染者も見つからなくなってきている可能性があります。
 そういう中で、リスクアセスメントをどうするのかというのは、見えているものだけでは、なかなか判断できないような感じになってきているので、その辺も考えないといけないし、そもそも高病原性の鳥インフルエンザで、致死率が高いのでプレパンデミックワクチンが始まったというのは、それは理解しているのですけれども、それ以外にも豚のウイルスでH1N2とかH3N8とか、H3N8に関しては犬とかも出ていますけれども、そういったものも含めて、パンデミックのリスクはどう考えるのか、H2とかの可能性もあるわけで、そういったものも考えてパンデミックのリスクをどう考えて、こういう備蓄とかも、先ほど信澤先生が言われたように、長期的にどうするのかと、メッセンジャーRNAワクチンの問題もあるし、そういうことは考えていかなくてはいけないのかなと思います。
 以上です。
○谷口座長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、長期的なことを考えていく必要があろうかと思います。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 先ほど説明された資料の中に、Clade2.3.4.4bが、水生哺乳類を含む野生の哺乳類等に感染が拡大していると書いてありますが、例えば日本で、養鶏場でかなりの感染が広がっているという中において、日本国内におけるヒト以外の哺乳類への感染事例というのは見つかっているのか、それとも、あまり調べられていないのか、その辺がもしお分かりになれば、先ほど、多分、押谷先生が言ったリスクアセスメントをどうするかということもあり、本当に国内でも哺乳類に広がっているというデータがあれば、一つのリスクアセスメントの材料になるかと思います。いかがでしょうか。
○谷口座長 長谷川先生、お願いします。
○長谷川委員 国内での哺乳類への感染は北海道で、キタキツネとタヌキでの感染が見つかっております。これは、札幌市内で死亡している動物を調べたら、H5N1の感染が見つかったというもので、それは、札幌市内のカラスに結構感染が広がっていて、死亡しているカラスが北大構内などでも結構見つかっていた時期があって、そういったものを捕食した動物がそのウイルスに感染して、死亡しているのではないかと推測されております。
 そのウイルス自身は、動物に対して高病原性で、特に脳などでウイルスが増えて亡くなっているという報告もあります。
 ですから、今までに比べて哺乳類で増えやすくなっているというウイルスの性質を持っているのは確かだと思います。
 以上です。
○坂元委員 ありがとうございます。
○谷口座長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 信澤先生、お願いします。
○信澤委員 すみません。もう一点だけお伺いしたいのですけれども、今回の備蓄ワクチンというのも、製剤化をして、ワクチンを何人かの人に接種して、その血清を保存しておくのですねという点と、製剤化される場合には、今メーカーが持っている製造承認で、少し細かいことなのですけれども、H5N8ワクチンというのは製造ができるのでしょうかという2点をお願いします。
○谷口座長 これは、事務局からお願いできますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 事務局から回答させていただきます。
 実際に製造したものに関して、今までのワクチンのように、そういった臨床試験をやるかどうかというのは、現在検討しているところでして、製剤ができるかどうかに関しましては、これまで備蓄したH7N9と同じような枠組みを考えております。
○信澤委員 ありがとうございます。
○谷口座長 プロトタイプワクチンとしてつくれるということなのですね。
 ほかはよろしいですか。
 さて、今後の長期的な戦略については、たくさん御意見をいただきまして、恐らくきちんとタイムフレームをつくって、順番に考えていかないと、次のパンデミックは、いつ来るか分かりませんので、それをやっていかないといけないのだろうと思いますが、今回の御提案、現在ある目前のものに対して、現在ある枠組みの中で、Astrakhan、少し発音しにくい株でもって準備をしておくということに関しましては、いかがでしょうか。今のところ、否定的な御意見はいただいていないように思いますが。
 よろしいようですかね。事務局、いかがでしょうか。おおむね御意見は出尽くしたかなと思いますが。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございました。
 本日、非常に貴重な意見をいただきましたので、今回のH5N8のAstrakhan株は、このまま製造の方向で感染症部会に上げさせていただきたいと考えております。
 また、長期的な戦略のことに関しても、いろいろ御意見をいただきましたので、引き続き先生方の御意見をいただきながら、今回のいろいろなパンデミックのこともございましたので、そういったこととかも併せて、引き続き検討をさせていただきたいと思いますので、ある程度また内容がまとまってきたら、先生方にも、また審議会で御意見をいただく形を取りたいと考えております。
 本日は、どうもありがとうございました。
○谷口座長 ありがとうございました。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、私のほうから最後にまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
○谷口座長 お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 本日は、活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
 また、次回の日程につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきたいと思います。
 本日は、お忙しい中誠にありがとうございました。