2023年3月29日 第12回健康・医療・介護情報利活用検討会議事録

日時

令和5年3月29日(水)17:00~19:00

場所

WEB開催

出席者

構成員(五十音順、敬称略)
オブザーバー(五十音順、敬称略)

議題

  1. (1)医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について
  2. (2)医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループの検討状況について
  3. (3)介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について
  4. (4)電子処方箋について

議事

議事内容

○山本企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第12回「健康・医療・介護情報利活用検討会」を開催いたします。
 私、本日の事務局を務めております、情報化担当参事官室政策企画官の山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 この検討会、実開催となりますのは昨年5月以来となりますけれども、皆様におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の出席者ですが、お手元の出席予定者リストのとおりとなります。高倉構成員と宮田構成員が御欠席、利光構成員と松本顧問が途中退席予定、宍戸構成員が途中参加の予定との連絡を受けております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、出席予定者リスト、資料1から4まで、参考資料1から3まで、合計9点を事前にメールで送付しております。ウェブ会議の画面上、見えにくい場合などございましたら、その資料をお手元で御覧いただければと思っております。
 それでは、これより議事に入りますけれども、本日はウェブ会議の方式を採用しております。御発言に当たりまして御協力いただきたい事項をこれから2点申し上げます。1点目です。御発言の意思があるときはZoomの手挙げボタンを御使用いただき、森田座長から指名があった方のみ御発言をお願いいたします。2つ目、御発言の際は、御所属とお名前を告げてから御発言をお願いいたします。
 また、本日の会議は開催要綱に基づきまして公開としております。一般の方、プレスの方はユーチューブのライブ配信を通して傍聴しております。
 事務局からは以上となります。
 それでは、この後の議事進行につきましては、森田座長によろしくお願いいたします。
○森田座長 皆様こんにちは。森田でございます。本日は議題もたくさんございますので、早速ですけれども、議事に入らせていただきたいと思います
 まず、議事1「医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○田中医政局参事官 医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室でございます。
 それでは、資料1「医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況報告」について御説明をさせていただきます。
 まず、1つ目が、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版の改定についてでございます。
 現在、こちらのガイドラインは5.2版が昨年3月に改定された5.2版を基に皆様に御協力いただきながら、運用されているところでございます。2023年4月からの保険医療機関・薬局におけるオンライン資格確認システムの導入の原則義務化により、おおむね全ての医療機関等において本ガイドラインに記載されているネットワーク関連のセキュリティー対策等が必要になります。これを踏まえ、5.2版から中長期的に検討を継続することとした論点等に加え、全体構成の見直しを行うこととして、第6版の改定のパブコメを今後行っていくところでございます。
 具体的な改定方針としては、全体構成の見直しが大きな柱でございますが、概説編、経営管理編、企画管理編、システム運用編の4編構成とし、これはそれぞれの読み手に合った形での4編構成とさせていただいております。この中で、具体的に色で分けて書いてございますが、まずは概説編として、ガイドラインの各編を読むときに、前提として必要な知識や各編の基本的な概要をまとめた内容になっています。経営管理編は、経営の方針を策定して、情報化戦略を立案する経営管理層に必要な考え方や関連法制度などをまとめたものでございます。また、企画管理編は、先ほど申し上げた経営方針等に基づいて、実際にシステム利用者、管理者、事業者で情報化を管理する考え方や方法論をまとめる方が読むもの。そして、実際にシステム運用編では、システム運用を実現するために関連法制度を遵守した考え方とその実装方法、活用する技術などの具体的な考え方などをまとめたものとしております。
 5ページにスケジュール案をお示ししておりますが、医療等情報利活用ワーキンググループの第15回で第6版のパブリックコメント案の審議を持ち回り開催で行った後、第16回として3月23日に第6版の対応内容の審議を行いました。本日が利活用検討会でございますが、この状況を報告させていただき、3月下旬にパブリックコメントを開始させていただきたいと存じます。1か月のパブリックコメントを行った後、そのパブリックコメントの結果を踏まえた第6版の最終案に向けた調整を行い、5月中旬には資料の公表という形でさせていただきたいと思います。
 続きまして、医療機関の立入検査の概要でございますが、先ほどガイドラインの改定について御説明させていただきましたが、その背景には近年、医療機関で頻度が増えておりますが、ランサムウェア等によるサイバーセキュリティーの事案が増えています。このような中で、医療機関が行うサイバー対策の強化が非常に重要になってきています。そのような中で、今回、私どもの方では病院や診療所等が法令に規定された人員及び構造設備を有し、かつ適正な管理を行っているか否かについて検査し、不適正な場合は指導等を通じ改善を図ることにより、病院・診療所等を良質で適正な医療を行う場にふさわしいものとするという立入検査、この目的に合わせて今回、サイバーセキュリティーの対策を医療機関の管理者が遵守すべき事項へ位置づけることをワーキンググループの中で議論を行ってまいりました。
 8ページでございますが、これまでのワーキンググループで、昨年5月から複数回にわたって議論を重ね、この遵守すべき事項へ位置づけるということで対応の方向性について医療法施行規則第14条第2項を新設し、病院・診療所または助産所の管理者が遵守すべき事項として、サイバーセキュリティーの確保について必要な措置を講ずることを追加する。令和5年3月10日公布、4月1日施行予定ということでございます。
 必要な措置としては、最新の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを参照の上、サイバー攻撃に対する対策を含め、セキュリティー対策全般について適切な対応を行うこととする。ただ、皆様御存じのとおり、このガイドラインは非常に内容が多いものでございまして、その中でも優先的に取り組む事項については、厚生労働省においてチェックリストを作成し、各医療機関で確認できる仕組みとするという形で進めさせていただくことを御了承いただいております。
 9ページに参考ということで参照条文をつけております。
 また、今後のスケジュールでございますが、省令改正の施行が4月1日、5月末ごろには医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱の一部改正について及び令和5年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施についての通知を発出予定でございます。例年6月ごろから立入検査が始まるというものでございます。
 続きまして、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について御報告させていただきます。
 令和4年9月11日から全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大、これはレセプト情報を基にした情報の確認でございますが、ACTION1の運用を開始し、透析情報等の診療情報共有の運用が始まっております。その際、手術情報の共有については、同意画面で丁寧に同意をとる仕組みを構築するということで、運用を令和5年5月ごろを目途とお知らせしておりましたが、令和5年5月11日から運用を開始することが決まりましたので、御報告させていただきます。
 既にこちらの検討会の中でもお示ししておりますが、同意画面などについては参考資料2として添付しておりますので、お時間おありの際に御確認いただければと思います。
 資料1の説明は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。ただいま御説明のありました議事1「医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について」でございますが、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 それでは、まず遠藤委員から、お願いいたします。
○遠藤構成員 日本歯科医師会の遠藤でございます。
 このセキュリティーに関しては大変重要なことではあるのですけれども、なかなか個人の診療所では対応が難しいところがあるかと思います。特に、オンライン資格確認等システムを導入するに当たって、99%を超えるところが申込みをしているわけですけれども、個人的な診療所においてはプライベートなネットワークを活用しながらの導入ということもかなりの数に上っておりますので、こういったところがどういったセキュリティー対策をとらなければいけないのか。例示でいろいろ示されるチェックリストもあるということですけれども、そのチェックリスト自体の意味も自分の診療所のネットワーク環境とどうなのかというのは、非常に分かりにくいのではないかと思います。
 そういったこともありますので、セキュリティーに関してはかなり分かりやすく、特に、小規模なところが対応できるような内容にしていただきたいと思います。特にネットワーク環境が医院ごとにかなり異なっていると思います。光回線を取り入れたところから、中のネットワークがかなり個人的な、個別の対応がなされているものと思いますので、そういうところは必要な対策と言われてもとりづらいところもありますので、十分配慮した対応をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 個別の小規模なところに対する対応というのは、十分な内容が盛り込まれるということでよろしいのでしょうか。
○田中医政局参事官 御質問ありがとうございます。資料の4ページでございますが、小さくて大変恐縮でございますが、右側に別添資料がございまして、この中に御指摘の診療所や薬局等の小規模医療機関向けの特集を記載しておりまして、まさにそういった医療機関等がオンライン資格確認の仕組みを導入する場合や電子カルテを導入する場合に、特にどういったことに気をつけて進めるべきかを分かりやすい形でお示しした特集記事みたいなものを作成しております。当然ながら、小規模医療機関等の先生方の御意見を伺いながら作成しておりますので、比較的皆様に受け入れやすいような形になっているのではないかと考えております。
 また、サイバーセキュリティーに関する特集も併せてガイドラインとは別にお示しする予定にしておりまして、このような考え方をより分かりやすい形でお示ししていくということで考えておりますので、ぜひ御活用いただければと思います。
○遠藤構成員 ありがとうございます。小規模なところでは自分のところのネットワークが安全かどうかという判断自体もかなり難しいところもありますので、よろしくお願いしたいと思います。要望です。
○森田座長 それでは、続きまして、長島構成員、お願いいたします。
○長島構成員 11ページの手術情報共有の運用開始に際しまして、なぜ手術情報だけ別の扱いにしたかというと、機微性が非常に高い。例えば、悪性疾患・がんの手術であることが手術名から分かることがそもそもの理由でした。したがいまして、この運用を開始する前には、この手術情報はどんな情報なのか、どんなことが分かるのか、場合によってはどのようなリスクがあるのかを丁寧に国民の皆様あるいは医療機関にもぜひ周知していただいて、理解を深めた上で運用開始をしていただければと思います。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 これは回答は必要ないと思われますので、続きまして、大道構成員、お願いいたします。
○大道構成員 立入検査の中で、セキュリティーに関する対策を入れるのは大賛成でございます。ただし、医療機関によっては立入検査そのものがかなりプレッシャーを感じるところもございますので、決して高圧的にならずにということをぜひお願いしたいのが1つ。
 もう一つが、助言指導とありますけれども、今の保健所の中で誰が助言指導をしていただけるのかというマンパワーの方を私は心配しているのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○森田座長 これについては、事務局からお答えいただけますか。
○田中医政局参事官 本日、お示しした資料の8ページでも、これまでのワーキンググループの議論の3つ目の○になりますが、まさにサイバーセキュリティーを確保するための一助になるような進め方が望ましいというのが、ワーキンググループの中でも頂戴した意見でございます。そのような中で、使いやすい、医療機関及びベンダーがチェックしやすいようなチェックリストをつくることなどを検討しております。
 また、高圧的にならずというは、こういった意図をしっかりと明示させていただきたいと思います。保健所のマンパワーというのは正直申し上げて、例えばどれくらいの専門性のある方がいるかというあたりについては、現状私どものほうで把握できているわけではないのですが、チェックする保健所側も負担にならないような仕組みが必要だと思っていますので、そのあたりについて立ち入る側にも御理解いただいた進め方を現在準備する方向で検討させていただいております。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 続いて、田尻構成員、お願いいたします。
○田尻構成員 日本薬剤師会の田尻でございます。
 立入検査の概要に関してですけれども、これは薬局に関係ある部分でしょうか。
○田中医政局参事官 検査の概要に記載してございますが、病院、有床診療所、無床診療所、そして特定機能病院、臨床研究中核病院ということでございますので、基本的には病院と診療所・助産所に関わる部分と御認識いただければと思います。
○田尻構成員 薬局にもそれなりの機微な処方情報等々ありますので、立入検査自体はそちらのお考えでいいのですけれども、先ほど何度か出ていました第6.0版への改定方針というガイドラインの別添の右側のグレーの部分に「薬局等の小規模」と書いてありますからありがたいのですが、まだ見ていないので、これを読んで守れば、ある程度対応できるような内容なのでしょうか、どうなのでしょうか。恐らくは通信業者・専門家に依頼してそれで終わってしまうケースが多いのではないかと思うのですけれども、その辺の内容についてはいかがでしょうか。それだけ最後に教えてください。
○田中医政局参事官 どちらかというと、この特集を読めば全てのセキュリティーの設置ができるというよりは、ベンダー側とどのように協働するかという視点も含めて書かれております。実際には私どもの認識では、小規模な医療機関等においては、まさにベンダーの方の御協力をいただかないと、実際にはセキュリティー対策を含めてシステムの運用に関しては一緒にやっているところがほとんどという認識でございますので、ベンダー側と責任分界をどうするか、事前にセキュリティー対策をどこまでベンダーでやっているかなどについて御確認くださいということが書いてありますので、まさにどのように協働していくかという視点で書かれているものでございます。
○田尻構成員 承知しました。ありがとうございました。
○森田座長 続きまして、印南構成員どうぞ。
○印南構成員 立入検査でサイバー攻撃等に対する安全対策をしているかをチェックするという概念そのものはいいことだと当然思うのですが、サイバー攻撃というのはいたちごっこみたいな部分があって、相手も日進月歩ですし、一体どこまでやっていたら対策を立てたことになるのかというのは、先ほどチェックリストとおっしゃっていたのでイメージが湧かないことはないのですが、ある程度例示がないと検査を受けるほうも混乱するのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
 例えば、去年11月にサイバー攻撃についての注意喚起が出されていますけれども、あそこに挙がっているような、例えば、メールの添付ファイルを安易に開けるとか、そんなレベルは恐らく誰でもできると思うのですが、それ以上のいろいろなサイバー攻撃に対して病院側がどこまでやれば一応やったことになるのかというのは、限界を明確に示さないとかなり混乱するのではないかと危惧します。絶対にここまでやっていれば大丈夫ということはないと思うので。ただ、検査を受けた側として、やったつもりが全くできていないではないかと指摘されても困るのではないかと思ってしまいます。いかがでしょうか。
○田中医政局参事官 御指摘ごもっともだと思っておりまして、もともとこちらのワーキンググループでサイバーセキュリティー対策を議論する際の大前提として、まずは長期に診療が停止しない、システムが止まっても数日間はどうしても病院として対応ができないことは仕方がない一方で、ここ2年ぐらいの間で数か月にわたって診療が制限されるような事案が繰り返し起こっていることを踏まえると、一定程度の期間でしっかりと診療が提供できるように戻ることも大きな目標として、まずはそのために何をしなければならないかという優先的な事項を位置づけていくことにしています。そのために必要な予防策としては、まずはサイバーセキュリティーの入り口になるような脆弱性対策はしっかりとやっていきましょうということや、バックアップをとっておいて、それが復旧できるようにする。それから、何か有事があったときには、どんな手順で復旧までしていくのか、どこに連絡するのかといったことをしっかりと医療機関の中で確認していく、まずはそういうところから始めるという観点でセキュリティー対策の検討を進めてまいりました。
 今、申し上げたような観点でのまずはチェックリスト、優先的に取り組む事項ということでお示しする予定でございます。
○印南構成員 分かりました。ありがとうございます。
○森田座長 それでは、秋山構成員どうぞ。
○秋山構成員 日本看護協会の秋山でございます。
 先ほども別の構成員からもお話がありましたように、サイバーセキュリティー対策の確保を加えることについては、看護協会としても賛同いたすところでございますが、助産所についてもかなり規模が小さくて専門知識のある者もおりませんので、専門的な知識がない者であっても理解できるような、先ほど御紹介のありました小規模の医療機関等を対象にしたチェックリストを作成いただくなど、あるいは相談窓口等で支援をいただくなど行っていただければと思います。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございます。では、そのようにお願いいたします。
 続きまして、葛西アドバイザリーグループ長、お願いします。
○葛西データヘルス・審査支払機関改革アドバイザリーグループ長 私は2点ありまして、セキュリティーの分野は非常に専門性が高い領域ですので、まず医療機関の責任ももちろんなのですけれども、医療機関に対して対策をしているベンダーさんに対しても、きちんと指導するような流れが必ず必要だと思います。医療機関側だけ問題だと指導されても、医療機関側もベンダーさんに言われたとおりやっただけなんだよねということだとまずいなと。そういう意味では、ベンダーさんに対して専門的な対策ガイドも示す必要が今後あるのではないかと思います。
 以上です。
○森田座長 1点目とおっしゃいましたけれども、2点目はよろしいですね。
○葛西データヘルス・審査支払機関改革アドバイザリーグループ長 2点目は、ベンダーさん向けです。
○森田座長 分かりました。
 それでは、次に高橋構成員どうぞ。
○高橋構成員 全国老人保健施設協会の高橋です。
 このガイドラインには、標準化のところがどのように書き込まれているのか失念しているのですけれども、質問として標準化することによって、どうサイバーセキュリティー対策に影響するのか。逆に、サイバーセキュリティー対策を厳重にすることによって、どう標準化に影響するのか、分かる範囲でいいので教えていただければと思います。
 以上です。
○森田座長 では、事務局、お願いできますか。
○田中医政局参事官 医療情報の標準化とセキュリティー対策について、明示的にガイドラインの中で位置づけていると書いてあるところはあるのですが、必ずしも関係がすごくあるというわけではないと言うのも変なのですが、必ずしもセキュリティーと1対1で関係しているものではないと思っていまして、どちらかというと医療情報の標準化を進めることで情報の共有などが可能になると。当然、オンライン資格確認の仕組みなどを入れるネットワークがだんだん広がっていく中でのセキュリティー対策ということで、標準化が進むとセキュリティーが弱くなる、もしくは強くなるということは一概に関係がないのかなと思っています。
 一方で、基本的にセキュリティーを強めれば標準化ができなくなるというわけでもないというのが今の我々の認識です。それは我々が医療情報の標準化で今議論をさせていただいておりまして、システムの標準化やクラウドの活用みたいなところとセキュリティーの関係については、例えば、クラウドを活用することでセキュリティーがより強固になるということは皆様御存じのとおりかなと思いますけれども、一方で、クラウドさえ使えば全てが安全というわけではないというところは、当然医療機関側で引き続き対策をとっていただく必要があると思っています。
 すみません、標準化の定義が少しあいまいなため、具体的な例をお示しいただけるとありがたく存じます。
○高橋構成員 例えば、EmotetはワードだけではなくPDFでもつくれそうと、セキュリティー観点からPDFを禁止にすることもあると思うのですけれども、3文書6情報などはPDF、エクセルで作成されていますので、そういう標準化そのもののやり直しが起きるのではないかという一つの例を示しました。
 以上です。
○森田座長 次の議題2の基盤ワーキンググループで標準化の話が出てくるのではないかと思いますけれども、また場合によりましたら御専門の方に御発言いただければと思います。
 続きまして、牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 日本介護支援専門員協会副会長、牧野と申します。1点が意見、1点がお願いでございます。
 まず、意見ですが、今回、全体構成の見直しをありがとうございました。これまでの議論からとても分かりやすく分類していただいたので、3つの視点がきちんと整理されて、また、別添資料につきましても詳細が書かれておりますので、かなり分かりやすく皆様に御活用いただけるのではないかと思います。
 2点目のお願いです。私たち介護支援専門員が対象としております方は障害者、難病の方、若年性認知症を含む認知症の方などが含まれます。どちらかといいますと情報弱者と言える方がたくさんおられまして、その方々にもこのような活動の状況をしっかり広報することをよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。これも事務局、よろしいですね。
○田中医政局参事官 はい。
○森田座長 それでは、そういうことでお願いいたします。
 ほかにこの件でよろしいでしょうか。いろいろと議題がございますので、次に移らせていただきます。
 それでは、次が議事2に当たりますけれども「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループの検討状況について」、これも事務局から御報告をお願いいたします。
○田中医政局参事官 まず、資料2の2ページになりますが、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループでは、令和3年11月から電子カルテ情報を全国的に閲覧可能とするための医療情報ネットワークの基盤に関する議論を計6回にわたって行ってまいりました。その6回の議論を踏まえ、また、昨年6月に閣議決定をされました経済財政運営と改革の基本方針において、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等及び診療報酬改定DXの取組を行政と関係業界が一丸となって進める方針が示された、このような背景の中で、今回このネットワークの中で全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤の在り方及び技術的要件について議論を取りまとめて、お示ししております文書を取りまとめておりますので、簡単に概要を御説明させていただきたいと思います。
 最初に、電子カルテ情報を閲覧可能とする目的でございますが、より質の高い切れ目のない診療やケア、災害時といった緊急時における利用を可能にする。これは電子カルテの共有によってそういったことが可能になるということや、御本人自身による活用を可能にすることによって個人の健康維持等につなげることを目的としてお示ししています。
 基本的な考え方としては、まず、交換する電子カルテ情報及び交換方式の標準化については、データの交換はHL7 FHIRの規格を用いることとし、交換する情報については、まずは医療情報として傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、救急時に必要な検査情報、生活習慣病関連の検査情報、そして処方情報、これを6情報と言います。これを踏まえた文書情報として、診療情報提供書、退院時サマリー、これが2文書となっています。もともと3文書6情報を厚労省標準規格として普及を進めることを以前もお示しさせていただいたかと思いますが、この中の健診結果報告書につきましては、オンライン資格確認等システムが導入されていない健診機関もございますし、既にマイナポータルで情報連携が進んでいるということで、まずは医療機関から発生する、先ほど申し上げた2文書を最初にしっかりと取組を進めることを基本的な考え方に位置づけています。
 全国的に電子カルテ情報を交換・共有するための仕組み、これは参考資料3に絵が描いておりますので、適宜御覧いただきながら御確認いただければと思いますが、まずは、文書情報については、医療機関から電子カルテ情報交換サービス(仮称)に対して医療情報を送信する仕組み、それと医療情報を電子カルテ交換サービス(仮称)から各医療機関への取得依頼を受けて、それをトリガーとして医療情報を取得する仕組み、これをPULL型、前者をPUSH型と呼んでいますが、こういった仕組みがある。その中で、まずは費用対効果を考慮し、PUSH型から管理する仕組みについて着実に取り組むことにしております。
 本仕組みの運用主体については、開発は社会保険診療報酬支払基金にて行うと。これはオンライン資格確認等システムを既に運用していることも踏まえて考えて開発を行っていただくこととしております。
 また、具体的な運用開始時期に関しては、医療DX推進本部において本年春に策定される工程表の内容を踏まえた上で判断するということ。
 それから、この情報の登録主体は医療機関とすることを明示しております。
 メリットですが、電子カルテ情報の共有に当たっては、それぞれの関係者がメリットを実感できる仕組みとする必要があると。それぞれの立場の考え得るメリットを記載しております。患者さん、医療機関等、国等、保険者ということで、まだできていないので、こういったメリットがあるのではないかということを記載しております。
 5ページの上段でございますが、今後、全国医療情報プラットフォームの構築により、共有する情報及び機関が拡大する予定でございまして、二次利用も含め、より多くの関係者がメリットを享受できるようになる見込みがあることも併せて記載しております。
 それから、電子カルテ情報交換サービス(仮称)の開発の方向性でございますが、それぞれ文書情報6情報の発生、それから登録のタイミング、保存期間について。具体的に6情報については、まずはオンライン資格確認等システムにおいて1週間程度保管し、確認する仕組みをつくると。文書については、6か月程度保管することを念頭に開発を行うという方向性を記載しております。
 同意取得の仕組みについては、電子カルテ情報交換サービス(仮称)への情報の登録は、現場の負担を軽減する観点から、患者本人の同意なしで登録を行える一方、情報の閲覧には同意が得られた情報のみを閲覧可能とする方向で検討します。
 コードに関する整理については、電子カルテ情報のデータコードについては原則、厚生労働省標準規格として採用されているコードを使用するということでございます。
 その他の論点として、7ページの(4)としてございますが、文書の発行形態、患者さんがその文書が今どこに登録されているかみたいなことを確認できる仕組みや、電子カルテ部門以外の部門からの文書情報の発行などについて、その他の論点としてさらに検討を要する内容について記載させていただいております。
 「おわりに」で記載してございますのは、全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤となるシステムの開発に取り組むとともに、医療情報化支援基金等を活用し、電子カルテ情報の標準化を確実に進めていくこととしております。
 今後の継続課題としては、その下に書いてある内容について引き続きの継続課題ということで取りまとめを行っております。
 9ページには構成員の皆様のお名前を記載しているところでございます。
 簡単ではございますが、取りまとめについて御説明させていただきました。
 先ほども申し上げましたが、参考資料3については少し知識を補足するようなパワーポイントが参考資料としてついておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 説明については以上でございます。
○森田座長 いかがでしょうか。
 では、田尻構成員どうぞ。
○田尻構成員 6情報の中で、処方情報が診療側からつくった情報を参考資料の照会元の医療機関から電子カルテ情報交換サービス(仮称)にPUSH型で上げるということでしょうけれども、処方情報が調剤した結果の情報とが何割か変化が起きていることに対して、カルテ情報の交換サービスはあくまでも処方情報だけでよろしいのでしょうか。実際の処方の内容と調剤された結果が違った場合に、それを利用する側、照会先の医療機関さんあたりが違う情報を基に判断されるという心配はないのでしょうか。お教えいただけたらと思います。
○田中医政局参事官 御指摘のとおり、現在、文書の中で扱う6情報の中の処方情報については、調剤の情報は含まれていないという整理でございます。一方で、今、電子処方箋の仕組みが既に運用が開始されておりまして、まさに患者様には電子処方箋の仕組みから正しい情報を医療機関、薬局のみならず、患者さんにも提供される仕組みの運用が始まったところでございますので、8ページに今後の継続課題とするということで、処方情報の取扱いを記載させていただいております。先生が御指摘のとおり、この処方情報がどういう情報なのかをしっかりと明示することと、電子処方箋と同じようなことを医療機関に登録していただく必要もないと思いますので、そのあたりについては電子処方箋を所管しております医薬局とも現在連携を進めているところでございまして、必ずしも処方情報を入れないと登録できないわけではございませんので、そのあたりは引き続きの議論というとこで整理しているところでございます。
○田尻構成員 ありがとうございました。今、電子処方箋でとおっしゃられましたけれども、電子処方箋の仕組みとすれば、処方箋の管理サービスでしたか、そちらに調剤結果をこれもPUSH型で上げるような格好になっていたと思いますので、その辺をこれからどうひもづけていくのか、もしくはデータのフォーマット自体をどうそろえていくのかがひょっとしたら問題になるかもしれません。しつこく申しますが、処方情報と調剤情報は違うものであるということをどうか頭に置いて協議していただければと思います。
 私のほうからは以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、利光構成員どうぞ。
○利光構成員 愛媛大学の利光です。御説明ありがとうございます。3点、私が資料を熟読できていないからの質問かもしれませんけれども、御教示いただければ幸いでございます。
 1点目が、電子カルテの標準化に際し、3文書6情報ということは理解いたしました。しかしながら、現在想定されている最低ラインの情報以外にも標準化に際し必要になるかと思うのですけれども、この検討に際しての今後の予定について御教示いただきたいということ。
 また、コードにつきましては、厚生労働省標準規格ということは私も理解いたしております。この標準規格については、まだまだ多くの分野で進んでいない状況だと思いますが、その進捗について教えていただきたいことと、そしてそのコード化に関しましては、医療のコードとして厚生労働省が認めておりますので、医療のみならず介護と同様のコードを使って今後行っていくという認識でよろしいでしょうか。
 この3点について御教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○田中医政局参事官 ありがとうございます。まず1点目、3文書6情報の今後の拡大についてでございますが、今後どのような情報を拡大するかということで考え方としては、救急などで活用できる情報、こういう情報を拡大するべきではないかと御指摘があった情報を現在、厚生労働省の厚労科研で幾つか検討を進めているところでございます。具体的には、透析の条件などの情報の標準化には着手していただいております。また、DNARについて、医療機関のみならず今後、在宅や訪問看護、介護の方たちと情報を共有される世界が広がっていく中で、そういった情報の共有も海外では進んでおります。そういったものも参考に、どのような形でそういう情報を共有できる仕組み、もしくは標準化を進めていくかを今検討しているところでございます。
 また、コードについては、参考資料3の20ページで取り扱うコードについて記載しております。先生御指摘のように、例えばアレルギー情報については、厚生労働省標準規格で採用されているコードはないところでございますが、こういったコードが今、研究班では検討が進められておりまして、今後学会等との調整を済ませて、将来的にはコードとして共有可能にすることに取り組んでまいりたいと思っています。
 それ以外のコードについては、おおむねこちらに記載のとおりでございます。
 それから、介護との情報連携につきましては、後ほど介護のほうからもお話があると思いますが、医療機関、介護の分野でどのような情報から共有するべきかというのは、介護側のワーキンググループで精力的に御議論されているものと承知しております。その際、お互いにどのような情報を共有し、共通のコードとしてどういうものを定めていくかは引き続き連携しながら進めさせていただきたいと。また、必要に応じ、本検討会にも御報告させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、葛西アドバイザリーグループ長、お願いいたします。
○葛西データヘルス・審査支払機関改革アドバイザリーグループ長 私がちょっと気になったのが、先ほどのパワーポイントの絵を見ると、HL7 FHIRの考え方が文書の交換のように描かれているんですね。HL7 FHIRドキュメントの交換ではないと思っていて、まず重要なのは、HL7 FHIRリソースリポジトリを経由してデータを交換する仕組みだと思います。というのは、文書化して文書を交換するとまた変換の変換ということになるので、非常に変換コストみたいものが上がってくるのと、システムの処理能力も負荷が高まるので、そのあたりHL7 FHIRという概念をもう少し因数分解していただきたいなと。
 もう一個がHL7 FHIRを使う場合にライセンスがかかるようなパッケージ製品を使うことがあるのですが、そういったものはもともとガバメントクラウドを含めて基本的にモダンクラウド、いわゆるクラウド上にただクラウドをリフトするのではなくて、クラウドシフトした状態でできるだけシステムのコストが継続性がある形で、低廉な状態で動かせるようにシステム設計をする必要があるので、技術的な考え方がいろいろなものが混ざって書かれていて、きっと設計とか調査を考えるときに前提とする技術があったのではないかと思うのですが、その技術比較はしていただいた上で最適な構成を選ぶことが大事ではないかと思います。
 以上です。
○森田座長 今の御指摘の点は、事務局、よろしいでしょうか。
○田中医政局参事官 ありがとうございます。御指摘の点を踏まえて、関係者としっかりと検討してまいりたいと思います。
○森田座長 続きまして、牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 御説明ありがとうございました。先ほど利光構成員からも御案内がありましたけれども、介護情報との連携について述べたいと思います。
 介護情報との連携につきましては、視点は3つあると思っています。まず、介護事業者間の連携、そして市区町村等との連携、また、利用者にとって有用な情報に主眼を置いて展開できたらと考えております。
 以上です。
○森田座長 これも事務局、よろしいですね。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、まだ議題がございますので、次に移らせていただきます。
 次は議事3、今お話がありましたが「介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○福田室長 老健局老人保健課でございます。
 資料3に沿いまして、昨年8月に本検討会に設置の御報告をさせていただいております介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について御報告させていただきます。
 まず、2ページ、介護情報利活用ワーキンググループの設置趣旨について改めて確認させていただきたいと思います。
 上の四角の1つ目の○を御覧ください。データヘルス改革工程表においては、利用者自身が介護情報を閲覧できる仕組みを整備するとともに、介護事業所間等においては介護情報を共有することを可能にするためのシステム開発を行うこととされております。
 こうしたことの実現に向けまして、下段にございます主な課題を解決することで工程表に沿った対応を進めていく必要がございます。
 まず、1つ目でございますが、共有するのに必要な情報の選定・標準化。これは利用者自身や介護事業者が共有することが適切かつ必要な情報を選定する必要がある。2つ目でございますが、介護事業所間で情報を共有することが可能となるよう、記録方法等の標準化を進める必要があるという点がございます。
 また、2つ目でございますけれども、情報を閲覧・共有するための仕組みの整備。介護情報を利用者自身が閲覧または介護事業所間で共有するためには、顕名情報を収集し共有する仕組みを整備する必要がある。
 こうした様々発生する情報の利活用に関する課題に関して検討を行うためのワーキンググループを設置し、検討しているところでございます。
 3ページにお進みいただきまして、現在までの開催状況でございます。
 第1回のワーキンググループを昨年、令和4年9月に開催させていただきまして、今日までに4回開催しております。ヒアリング等も含めまして情報の利活用の検討や共有する情報の範囲を中心に、これまで議論を重ねている最中でございます。
 4ページを御覧ください。まだ途中経過ではございますが、現時点における介護情報利活用ワーキンググループによる対応方針、対応の方向性について御報告させていただきたいと思います。
 介護情報のうち全国医療情報プラットフォームを用いて共有することを目指す情報は当面の間、以下のいずれの要件も満たすものとしてはどうか。具体的には、本人が閲覧したり、介護事業所間、市区町村等で共有したりすることが有用と考えられる情報。また、記録方法や様式が既に一定程度標準化されている情報。こうした要件を満たすものとして、さらに実現性も含めまして、具体的には赤の四角にありますような情報、要介護認定情報、請求・給付情報、LIFE情報、ケアプラン情報、こうしたものが考えられるのではないかというところが方向性として示されております。
 しかしながら、具体的な情報の範囲や標準化方策については、個別の検討が必要という状況でございます。
 5ページを御覧ください。先ほどの4つの情報、要介護認定情報、請求・給付情報、LIFE情報、ケアプラン情報をお示しさせていただきましたけれども、それぞれの情報の中にも様々な様式や情報がございます。右側が今ある情報の主な保有主体、そして作成主体をお示ししたものでございます。こうしたものについて具体的にどういう情報を誰に共有することが適当かについて、現時点で議論を深めている最中ということでございます。
 6ページでございます。こうした情報の共有の範囲や共有に関する検討を進めていく中で、さらに議論を深めるに当たっては、ここにお示ししているような方針で検討を進めてはどうかというところが現時点で議論されております。
 具体的には、介護情報の共有範囲について、必要とされる関係者に共有して原則として利用者自身も閲覧できるようにすることとしてはどうか。利用者への情報共有については、自己評価や今後の改善につながるような項目を共有することとしてはどうか。登録されている情報をそのまま共有するのではなく、特に利用者にとって分かりやすく共有することが重要ではないか。共有される各情報について、新たな対象に共有されることにより、本来記載すべき情報の内容が影響されることがないよう留意されるべきではないか。こうした点を配慮しながら検討を進めるようにという方向になっております。
 最後7ページでございます。検討事項と当面の検討のスケジュールをお示ししたものでございます。現時点で第4回まで終了しております。また、来年度も適宜開催していくところでございますけれども、議論を深めていくに当たっては、様々な現状や課題を調査研究等により整理した上で、適宜それをワーキンググループに御報告あるいはワーキンググループでの指摘の観点等を踏まえて調査研究をするという形での検討を進めていくことを予定しております。
 以上でございます。現時点での検討状況について御報告させていただきました。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの介護情報利活用ワーキンググループの検討状況につきまして、御意見がございましたら御発言をお願いいたします。
 遠藤構成員どうぞ。
○遠藤構成員 日本歯科医師会の遠藤でございます。
 介護の情報の共有について、この中では介護事業所間または本人との情報共有がまずうたわれているのですけれども、最後のスケジュールには医療と介護間の連携する情報の範囲の検討も今後あるようには伺っていますが、医療と介護の連携は非常に重要だと思いますけれども、現状ではケアマネジャーさんとの連携等で在宅医療などでは推進するわけですが、必ずしも介護情報が的確に伝わっているとも言えない部分もありますので、医療機関と在宅医療を実施するに当たって、介護の情報をどう連携するかは今後ここに盛り込まれていくということでよろしいのでしょうか。最初の設置趣旨で言うと、介護事業所間及び御本人との情報共有ということになっていますが、その辺はいかがでしょうか。
○福田室長 説明が不十分で申し訳ございませんでした。御指摘いただきました、医療機関・介護機関間で共有する情報の範囲や共有の在り方についても7ページで書いておりますとおり、今後検討していく予定でございます。御指摘を踏まえて検討したいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤構成員 よろしくお願いします。
○森田座長 それでは、松川構成員どうぞ。
○松川構成員 COMLの松川でございます。
 ただいまの資料の6ページを拝見いたしまして、どれも重要な視点であると感じました。利用者あるいは患者と家族の立場から意見を言わせていただきますと、当事者としてはどこからが医療で、どこまでが介護なのか明確に分けられる方ばかりではございませんので、その辺りを漏れのないようにということは当然なのですけれども、こういったことに関しては医療の分野であって、こういったことになったら介護になるというような、具体的で分かりやすいまとめをしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長 これについて事務局いかがですか。
○福田室長 御指摘を踏まえて検討したいと思います。
○松川構成員 よろしくお願いいたします。
○森田座長 それでは、牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 今のお話でございますが、前回の介護報酬改定におきまして、通院時情報連携加算が新設されております。介護支援専門員が主治医の先生のところに出向きまして、情報連携させていただくという活動も今進んでおりますが、今のお話をお聞きしまして、そのような活動を推進することが必要だというところも理解させていただきました。どうもありがとうございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ほかに御発言いかがでしょうか。秋山構成員どうぞ。
○秋山構成員 情報共有に当たりましては、利用者の情報が適切に守られるように守秘義務の適用を広げるなど法整備等を十分に検討いただければと思います。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございます。事務局、何かございますか。
○福田室長 大丈夫です。ありがとうございます。
○森田座長 いかがでしょうか。では、予定よりも早く進んでおりますが、続けて議題4に進みたいと思います。「電子処方箋について」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○伊藤企画官 電子処方箋サービス推進室でございます。資料4に沿って御説明いたします。
 電子処方箋につきましては、昨年から構成員の皆様にも御指導いただきながら、本年1月より運用開始しましたので、現在の導入状況や今後の機能拡充に向けた検討状況について御報告します。
 1枚目でございます。1月26日から運用を開始し、現状1,808施設が運用中となってございます。事前の導入利用申請を行った施設が約4万6,000施設。システム・運用の両面でこれまで大きなトラブルもなく、おおむね順調に稼働しています。
 2枚目です。導入施設から様々なことについて御指摘をいただいている状況でございます。主な指摘事項ということで下に書いておりますけれども、本日は上の3つ、リフィル処方箋への対応、本人同意が得られない場合の対応、院内処方について御紹介したいと思います。それ以外につきましては、例えばコードの話やお薬手帳、トレーシングレポートといった電子処方箋に関連するようなところへの早期の対応といった要望もいただいているということでございます。「等」となっておりますのは、これ以外にも非常に多く御指摘をいただいている状況でございまして、例えば、レセコンと薬歴システムが別体型のケースもございまして、こういった薬局側のシステムでどう接続していったらいいのかについて、今JAHISで御議論をいただいていることもございますので、いずれにいたしましてもこういった御要望については、一つ一つ対応していきたいと考えているわけでございます。
 3枚目です。まず、リフィル処方箋についての対応でございます。現状は電子処方箋では非対応であり、紙の処方箋で対応している状況でございます。こちらについて電子処方箋に対応できるように今、検討を進めているということでございます。
 検討に当たっては、まず、リフィル処方箋特有の性質として、例えば、今、電子処方箋は現状100日間処方箋データを保存しておりますけれども、リフィル処方では長期にわたる処方が行われますので、それを超えてきた場合どうしたらいいかも対応する必要がございますし、例えば3回薬局をまたがるような場合は、異なる薬局で調剤されることも想定する必要がございます。そういった場合に前回までの調剤の記録をきちんととるとか、重複投薬等チェックをどうかけたらいいのかについて必要な対応を行っていくべきだということで検討を進めさせていただいております。まだ、論点はいくつかございますけれども、今年の秋ごろを目途にいたしまして、技術解説書などを改訂して順次改修を可能にしていきたいと思っているということでございます。
 ただ、一方で、電子処方箋は既に動き始めているところも多くございますので、例えば、またモデル的に特定地域で先行的に実施するとか、ほかの様々な改修項目もございますので、そういったものに配慮した形で導入期間を設けていく、それから、しっかりと丁寧な周知を心がけていくといったことについて、今後さらに検討を進めてまいります。
 続きまして4枚目、重複投薬等チェック時の本人同意がとれない場合です。現状、電子処方箋、患者の同意の有無にかかわらず重複投薬等チェックは実施しているということでございます。マイナ保険証の場合には、オンライン資格確認の端末上で本人同意の了解を得ることになっていますが、仮に得られない場合につきましては、現状右下に過去の薬剤を確認することができない現状です。これは個人情報保護の関係からそのような整理がなされていたわけですけれども、一方で、ここが見られないと、その後患者さんとの口頭でのやり取りだと記憶に頼る部分も多くございますので、ここは患者から口頭での同意を得られた場合には過去薬剤の情報、どこで処方されたのかといった情報を見ることができるように運用変更を考えているところです。こちらにつきましては、今春ということで間もなくということですが、技術解説書を同様に改訂いたしまして、対応可能としてまいりたいと思っているところでございます。
 5枚目、院内処方への対応でございます。先ほど電子カルテの情報交換サービスの取りまとめ案の報告がございましたので、こちらについては引き続き医政局、関係部局とも連携しながら検討を深めていきたいと考えている部分でございます。現状、電子処方箋につきましては院外処方のみが対象となっておりますので、院内処方についてはデータが乗ってこない仕組みになってございます。したがいまして、お薬手帳なども使っていただきながら補完していただく必要があるということでございます。
 一方で、電子処方箋導入に当たっては、院内処方の情報に対応してもらえると電子処方箋の有効性も高まるのではないかといった御要望をいただいていることも踏まえまして、現在、機能拡充に向けた検討に着手しているということでございます。こちらについては、まだまだ検討を始めた段階でございますので、ここに論点を書かせていただいておりますが、そもそも処方箋の形とは若干異なるということでございますので、法令上の位置づけの整理、院内処方の範囲をどこまで対象とするのかといったところがございます。電子カルテ情報交換サービス(仮称)との関係で、重複する部分・情報がございますので、こういったところをどちらのシステムでやるのかを整理していきたいと考えている状況でございます。
 最後に1点だけ、サイバーセキュリティーについて先ほど田尻先生から薬局側の対応ということで御質問がございましたが、現状、薬機法の省令改正ということでパブリックコメントも今やらせていただいておりまして、医療法の施行規則と足並みをそろえる形で今準備をしておりますので、詳細は割愛いたしますが、しっかり対応していきたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの電子処方箋について、御発言をお願いいたします。
 大道構成員どうぞ。
○大道構成員 電子処方箋が運用開始されてから2か月、この間で病院が1つしか増えていない。その理由として、何がネックになっているのかというのは、どのような御理解をされていますでしょうか。
○伊藤企画官 御質問ありがとうございます。病院につきましては、現状7施設で対応いただいているということでございます。実はいろいろな形で病院、ベンダー側にもヒアリングをしている状況でございますが、1つは、現状オンライン資格確認の原則義務化に伴う対応ということで、ベンダーのリソースが逼迫しているという状況がありまして、なかなか改修が進んでいないという面もございます。
 それから、病院にまいりますと、例えば、電子署名に関わる部分がございまして、カードレスの署名対応等を希望するような病院が多いというヒアリング結果もございまして、こういったところにまだまだ対応できるベンダーが少ないといったところもあるということでございます。
○大道構成員 ぜひとも、そのあたりの隘路を何とか突き崩していただくようにお願いしたいのと、もう一つは、まだ細目が決まっていないところがあまりに多すぎて、そのあたりで病院側としては大規模なシステム改修に乗り込むのに足踏みしてしまうところがございますので、早く詳細まで決めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○森田座長 事務局、よろしいですか。
 続きまして、田尻構成員どうぞ。
○田尻構成員 日本薬剤師会の田尻でございます。
 今後のことになるのでしょうけれども、院内の処方のデータ・情報は、外来診療に戻られたときどうしても必要な情報になりますので、これについてはなるべく早く対応できるような格好でお願いしたいと思いますのと、1ページを見ますと、導入手続を行った施設はそこそこ数が増えてきたなとは思っているのですが、実際に電子処方箋が例えば1か月にどれくらい全国で発行されたということは分からないのですか。そこをお教え願えればと思います。
○森田座長 事務局お願いします。
○伊藤企画官 今、手元に数字を持っておりませんので申し訳ございませんが、毎週どれくらいの処方箋データが登録されているか、そのうち電子処方箋として選択され発行されたものがあるかというのは把握しておりますので、そういったものもこれからお示ししていきたいと思っております。
○田尻構成員 ありがとうございます。薬局の現場からすれば、紙の処方箋のデータもせっせせっせと残業してアップロードしていますので、その努力は認めていただければと思います。
 以上です。
○森田座長 それでは、牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 御説明ありがとうございました。私からは患者の本人同意が得られない場合、患者からの口頭同意を持って過去の薬剤情報を開示可能とするという仕組みについてお尋ねいたします。
 この件に関しましては、国民に対してどのような形で広報していくことが考えられているか、教えていただけたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
○伊藤企画官 御質問ありがとうございます。まさに国民向けの周知広報が非常に重要だと考えておりまして、本人同意が口頭の場合にも医師・薬剤師側に情報が伝わることについては、例えば、SNSやユーチューブ動画といったものでも発信していきたいと思っているわけでございますし、医療現場でも例えば、様々なポスターの掲示やデジタルサイネージでの表示といったところで御協力をいただきながら、丁寧に進めていきたいと思っているところでございます。
○牧野構成員 ありがとうございます。
 重ねてになってしまうのですが、情報弱者の方々についても、よく御理解いただけるようお進めいただきますようお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。私の手元ですと挙手をされている方はいらっしゃらないようですが、もう御発言ございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、特に電子処方箋に限らず、全体を通して御意見がさらにおありになる方は御発言いただきたいと思います。この検討会は随分久しぶりに開催されたこともございますし、それぞれのワーキンググループ等で行っていたことについて情報を共有するという大変貴重な機会でもあろうかと思いますので、今の電子処方箋と医療情報の関連もそうですけれども、システム間でどのような形で情報共有するかという問題なども含めまして、御意見のおありになる方は御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 印南構成員どうぞ。
○印南構成員 慶應の印南でございます。
 立入検査について、ちょっとしつこいようですが、言い忘れたことがありましたので。検査するのは保健所の方と先ほど聞いたのですが、ぜひ検査の内容や仕方について全国で統一性を確保するようにしていただきたいと思います。当然、迅速性もそうなのですが、サイバー攻撃の仕方は刻々と変わるので。特に統一性に注意していただかないと、例えば、個人情報保護やいろいろな分野でローカルなガラパゴス現象みたいなことが起きているんです。その対応が後で物すごく大変なんです。あちこちで違う方法で検査したり、違う内容でチェックしたりすると、予想以上の煩雑な手間が後で生じますので、ぜひ統一性に気を遣っていただきたいと思います。
 以上です。
○森田座長 事務局、今の点はいかがでしょうか。
○田中医政局参事官 ありがとうございます。医療機関・ベンダー側に対するチェックリストとともに、立入りに入る立場の方たちのチェックがあることをどういう形で確認をし、どのように指導していくかについても、分かりやすい形で先生のおっしゃるような、ばらつかないような手引きのようなものも作成を検討してまいりたいと思います。御意見ありがとうございました。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 本日御説明の中に「医療情報化支援基金等の活用」という言葉がございました。この件に関しまして、もう少し詳しく教えていただきたく思います。よろしくお願いいたします。
○森田座長 事務局、お願いできますか。
○田中医政局参事官 この医療情報化支援基金につきましては、現状オンライン資格確認の導入、電子処方箋の導入の際の医療機関等への補助に活用されている基金でございまして、令和元年には電子カルテの標準化についても一部基金を整備したところでございます。それを受けて、私どもとしては先ほど申し上げたようなHL7 FHIRの情報を確実に出し入れできる仕組みを普及していくという観点から、そのような基金を活用して、今後電子カルテ情報の標準化を進めていくという方針をお示ししているところでございます。まだ支援基金をどのような要綱で進めるかは現在検討中でございますが、現場のお声を聞くと、オンライン資格確認の義務化や電子処方箋の運用が始まったということで、現場のベンダーの皆様や当然、医療機関等の皆様に大変な御負担がかかっていると聞いております。そのような一部混乱をしていることも聞き及んでおりますので、そういったことを確認しながら、現場の負担にならないように、だけれども、標準化が情報共有には最も大事な部分でございますので、確実に進めていきたいと思っています。もともとは、ワーキンググループではもう少し早く始めることをお示ししていたのですが、今申し上げたような状況も勘案して、可能であれば今年度中には、そういった基金の活用を始めてまいりたいと思っているところでございます。
 以上です。
○牧野構成員 ありがとうございます。
 いろいろなシステムを改修したり、様々な費用がかさんでくることだと思いますので、ぜひ基金等の活用が進めばと思っております。ありがとうございました。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。田宮構成員どうぞ。
○田宮構成員 私は介護のほうに属しておりますけれども、先ほどから牧野構成員がいろいろおっしゃっておられますように、情報弱者への配慮は本当に大事だと思っております。特に介護の場合は認知症や当人の状況が状況ですので、その分を誰がどのようにするかという議論はこれから深めていくところだと思いますが、家族の位置づけやケアマネジャーさんの位置づけなど。特にこれは介護の情報のみに限ったことではなくて、医療情報も必然的に必要になってきます。なので、医療と介護を分けて考えてしまうのではなくて、情報弱者の問題は本当に両方とも必要なので、ケアマネジャーさんの存在も介護保険のケアマネジャーですけれども、医療情報もある程度必要になってくるので、そのような横断的な、本当に情報弱者への配慮も併せて今後深めていかなければならないなと思っておりました。よろしくお願いします。
○森田座長 事務局、よろしいですね。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。もうございませんか。
 それならば、私から伺いたいことがあります。といいますのは、最後の介護のところでもそうでしたし、今日全ての分野、一番最初のセキュリティーの部分、ガイドラインは別ですけれども、それ以外の3つで出ていたと思いますが、情報の利用に関して御本人の同意を求めることが条件になっているケースがかなりあると思うのですけれども、今まさに田宮構成員がおっしゃったことでもありますが、高齢者の方、特に認知症の方から同意をとるのは大変難しいと聞いておりますし、現場でも先生方や医療従事者の方が相手の方から同意をとることについての負担が相当大きいと聞いております。したがいまして、先ほどの電子カルテの導入に関しては、同意なしに電子カルテに情報を入れるということが言われていたかと思いますけれども、実は、そもそも同意というのは何のためにとるのかということです。これは御本人の権利を守るために、御本人の意思を明確にするという趣旨があるわけですが、内容についてきちんと理解ができて同意をされる方の存在が前提になるかと思いますけれども、今のお話にございましたように、情報弱者といいましょうか、自分で御判断が必ずしもできない方も多数いらっしゃると思いますので、そうした方について、無理にとは言いませんけれども、同意を求める仕組みになっているというのはどういうことか。逆に言いますと、同意を得られない場合に御本人にとって不利なことになるのではないか。あるいは、同意をとったからいいといっても、それが本当に御本人のためになるかどうかについては、もう一度見直してみる必要があるのではないかと思っております。
 同意をとるための現場での不満・負担も考えますと、ある意味で同意を一々とらなくても、医療にせよ、介護にせよ、処方箋にしてもそうですけれども、患者さん御本人のために医療従事者の方はその情報をお使いになると思いますので、それについての信頼を得られるならば、その信頼を得られる仕組みをつくって、同意を求めることについてもう少し緩やかに考えていくほうが、医療従事者の方の負担が減るのはもちろん、患者さん御本人のためにも、あるいは介護の利用者御本人のためにもなるのではないかと思っております。
 これにつきましては、個人情報保護の観点から、個人情報保護委員会等がきちんとした形で、先ほどもございましたが、同意が必要であるという見解を示されていると聞いておりますが、実際にそれぞれのシステムあるいは現場で医療従事者の方、介護関係の方を代表している皆さんから見て、この問題はどのように考えられるのか。場合によりましては、その点について本当に患者さんや利用者のためになるような形でこの仕組みを考えていくときには、これは法制度の問題になるかもしれませんけれども、もう一度見直していくことも考えていくべきではないかと思っているところです。何かこれについて御意見がございましたらお聞かせいただければと思っておりますが、いかがでしょうか。
 牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 御説明ありがとうございました。今、森田座長がおっしゃってくださったところですけれども、とてもデリケートで少し難しい課題だと考えております。今お示しいただいております資料の中では、ガイドラインのガバナンスの分類で意思決定ということが書かれております。この部分と利用者の同意のリンクがあるのではないかと感じております旨、お伝えさせていただきます。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございます。
 一斉に手が挙がりましたけれども、葛西アドバイザリーグループ長どうぞ。
○葛西データヘルス・審査支払機関改革アドバイザリーグループ長 基本的に数年前はオプトインに偏重していたのではないかという感想は私としては持っていますが、最近は二次利用を含めていろいろ医療情報を扱う意味で、今の情報管理の在り方が効果的ではないという意見が多いと思います。その際に、だんだんオプトアウトに流れていくという風潮はあると思うのですけれども、1個世界経済フォーラムなどで定義しているAPPAみたいな、いわゆる個人対企業ではなくて、公益に資するみんなの情報はみんなでうまく活用していこうという意識をどうやって醸成するかというのが、まず一つ前提としてあると思います。そうでないと、私自身は情報システムの設計をする側なので、オプトインとオプトアウトの管理というのは、オプトアウトの方が実は精密にシステム設計をしないといけないのですけれども、その前に何となく国民の考え方が情報の管理権・アクセス権、この考え方があまり浸透していないと、ちゃんとアクセス権を管理されていれば適切に情報が使えるのだという社会的な既知の感覚がないと、どうやってセキュリティーが維持されているのかいくら説明してもなかなか理解されないのではないかというので、そういったものがうまく歯車が回るように、これは法律だけではなくて全体的な制度設計をしていかなければいけないのではないかと感じています。これが私の意見です。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。
 それでは、印南構成員どうぞ。
○印南構成員 森田座長の問題提起に全面的に賛成します。特に、規制改革推進会議等でこのあたりを大分議論しておりまして、個人の同意を前提にするのは一見安全に見えるのですが、そういうシステムにしますと、結果的に国民の福祉に医療情報が活用されないというのが最近の考え方だと思います。一番ラディカルな考え方は、オプトアウトだけでいいし、場合によっては差別的な取扱いをしなければ、そもそも同意も場合によってはオプトアウトも不要ではないかという考え方まで今出てきておりますので、ぜひこのあたりも含めて皆で検討する必要性は非常に大きいと思います。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございます。
 それでは、小泉構成員どうぞ。
○小泉構成員 全国老人福祉施設協議会の小泉と申します。
 まだ、私たち施設では、あまり情報の利活用と接点がありません。先ほどの電子処方箋の話もありましたけれども、ほとんど接点がなく、今後どのように私たちは関わっていけばいいのかというところがちょっと不安であり、準備もしないといけないなと思っているところです。特に先ほどありました本人同意も処方箋等において御家族の同意などももらっておかないといけないと思いますが、看取りをどうするのかということは御家族に入所のときにお聞きしますが、こういった情報の管理的なことについても私たちが勝手に判断するわけにいかないので、そういった同意を御家族とどう交わしておくべきなのかが心配なところです。どのように考えたらいいか御指導いただければと思います。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございます。
 それでは、山本構成員どうぞ。
○山本構成員 森田先生のおっしゃることは全くそのとおりだと思っていまして、我が国の個人情報保護法は分野を限らず同意がオールマイティーになっているのですけれども、例えば、米国のHIPAAのプライバシールールでは、基本的にはトリートメント、ペイメント、オペレーション、つまり患者さんの治療、支払い、医療機関の運営に関する利用は基本的にはオプトアウトで、基本的には同意は要らないことになっていますし、GDPRもその前文の中で公衆衛生目的の利用は同意は不要であると書いてあります。ただ、公衆衛生も物すごく広い範囲なんですね。実際の医療の実施に係ることはほとんど公衆衛生に入っています。ところが、我が国の場合は公衆衛生は例外とはなっていますけれども、公衆衛生の範囲が物すごく厳しくて、例えば、パンデミックのようなときでも同意が要るのではないかという形でヘジテイトしているところがあるんです。ですから、今の個人情報保護法をオーバーライドするためには法制度が必要だと思いますので、医療情報を利活用する個別法をつくらざるを得ないと思いますけれども、そこに進むべきだと思います。
 ただ一方で、同意があったとしても、なかったとしても、患者さんの権利は保護されなければならない。使う側の出口側のしっかりとした規制が必要だと思います。これは、国民・患者さんが納得するような形できちんと担保されているのだという仕組みをつくることがカウンターパートとしてぜひ必要だと思います。それがある前提で、同意原則を外すことは私は賛成でございます。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございます。
 長島構成員どうぞ。
○長島構成員 一番最初のところで手術情報の共有が可能になるというところで、機微性が高いものに関しては、それがどのような意味があるのか、あるいはリスクがどうなのかを十分御理解いただいた上で同意するなりを判断していただくことが必要だと申しましたが、現在、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する中間取りまとめでも、一番最初に一体化はどんな意義があるのか、国民にとってどんなメリットがあるのかをしっかりと提示した上で、これを国民に丁寧に分かるように伝えていくことが最も重要だということになっています。このような医療情報を患者さんが提供するあるいはそれに同意することの意義やメリットをまず十分に御理解いただいて、よく理解していただかないと、同意というのは議論するのがなかなか難しいと思うので、せっかく進めている医療DXがどれくらい役に立つのか、一方、どのようなリスクがあるのかをしっかり捉えながら、同時に、その場合の同意を患者さん御自身の負担も減らすためにはどうあるべきかという形で議論を進めていただければありがたいと思います。
 私からは以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 では、松川構成員どうぞ。
○松川構成員 当方では、患者さんや御家族の方からの電話相談等も数多く受けているのですけれども、情報に対する考え方が非常に様々でございまして、また、情報を開示すること、利活用に対して否定的な考え方を持っている人も決して少なくないです。そういった中で、国を挙げてといいますか、ポジティブに情報の利活用が医療の進歩だけではなくて、公益に資するのだということを望ましい形で周知していく方向性が非常に大切だと、皆さんのお話を聞いていても思いました。ぜひ、そのような形で進めていただければと思います。
 以上です。
○森田座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 少し問題提起をさせていただいたので、今までの意見も含めてコメントさせていただきますと、二次利用といいまして、それを例えば、公衆衛生の目的や医学研究あるいは創薬等に使う場合と、患者さん御自身の医療的なケアや介護のために使うのとは目的がちょっと違うと思います。
私自身ヨーロッパ、特に北欧諸国を何回か見にいったことがあるのですけれども、向こうの考え方で言いますと、医療従事者の方は患者さんについてできるだけ多くの情報にアクセスできるようにすべきだと。それによって最善の医療ができるはずだから、それは直ちに患者さんの利益になるはずであるという考え方で、逆にその患者さんが情報の利用に同意しない場合は、その分だけ情報が欠けることになり、そこで医療の限界が出てくるという考え方に立って、少なくとも御本人のための情報はできるだけ医療従事者の方が使えるようにするのが筋であると聞きまして、なるほどと思った次第です。
 ただ、それをほかに使うときには、どうしても自分は同意できないという方はいらっしゃるかもしれません。そもそも同意自体は御本人の判断になるわけですけれども、御自身のためになると判断できるかどうかも高齢社会になってくると問われてくることも考えなければならないと思います。
 もう一点は、情報を提供して医療従事者の方がアクセスできるということと、ひとたび提供しますと、山本構成員がおっしゃったところですけれども、その情報が公開されてしまうとか、ほかの誰でもアクセスできるということでは決してないわけでして、あくまでもその情報を使って御本人のために治療をする、あるいは介護をする、そうした方だけが情報にアクセスすることができるというのは御本人のためになるのではないか。そのためには、そういう人たちにきちんと守秘義務を課して情報を漏らさないことを担保するような制度的な仕組みは必要であろうと思っています。
 大分余計な時間をとってしまったかもしれませんけれども、共通してこの問題を考えていきませんと、現場の方の負担は非常に大きくなってくると思います。その意味で、そうした議論はヨーロッパでも起こり始めておりますので、このような問題提起をさせていただいたところです。これからシステムをつくって動かしていくときに、それについてお考えいただければと思った次第です。
 この論点につきましては、まだ、宍戸構成員は入られておりませんか。一番御専門なのですが。
○山本企画官 まだ入られていないようでございます。
○森田座長 分かりました。特にほかに御発言がなければ、これくらいにしたいと思いますけれども、少し時間も早いのですがよろしいでしょうか。
 田宮構成員どうぞ。
○田宮構成員 筑波大学の田宮です。
 議論が最後にこういう方向になって、私としてはずっと気になっていたところだったので、今後とても大事な方向だと思います。
 二次利用のお話も出ましたけれども、私の研究はヘルスサービスリサーチなのですが、医学を前に進める創薬なども大事ですが、本当に国民の皆さんが権利として享受できるものにちゃんとアクセスできているかとか、標準的なものがみんなに提供できているのかとか、そういう検証にもデータは非常に重要になります。なので、そういう視点で全てに同意をとることという設定ですと、そこがなかなかうまくいかないと本当に思っておりました。とても重要なところです。先日、この会ではないですがヒアリングでもいろいろ海外のお話も先生方から伺いまして、あらためてデータは国の宝で国民はそれを享受できる権利があると考えております。さっき山本先生が出口のコントロールとおっしゃっていましたが、それは十分我々も理解した上で、本当に国民のためになる結果を出していかなければいけない。そして、データによってはそういうことはもっと出し得るし、それにより政策もきちんと弱者の方のニーズも反映された国民に享受できるようなことを出していける根拠にもなると思うんです。その辺の国民の理解を得つつ進めていければと思っております。よろしくお願いします。
○森田座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御発言がなければ、少し早いようですけれども、このあたりで議事を事務局にお返ししたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、事務局、お願いいたします。
○山本企画官 本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 本日、御意見をいただいた内容を踏まえまして、各取組を進めてまいりたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事録につきましては、作成次第、御発言された皆様方に御確認をいただきまして、その後公開させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○森田座長 それでは、本日はこのあたりで閉会とさせていただきたいと思います。
 お久しぶりにオンラインでございますけれども、お会いしまして、いろいろな意味で情報の共有ができたことは大変有意義であったと思っております。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。