2023年3月29日 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和5年3月29日(水)10:00~12:00

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)
事務局(3月29日時点)
  • 佐々木 昌弘 (生活衛生・食品安全審議官)
  • 鳥井 陽一    大臣官房審議官
  • 成松 英範  (生活衛生・食品安全企画課長)
  • 扇屋   りん  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近藤   恵美子 (食品基準審査課長)
  • 小池 紘一郎 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今井 美津子 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長)
  • 田中 里依  (食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長)
  • 三木   朗   (食品監視安全課長)
  • 森田 剛史  (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 福島 和子  (HACCP推進室長、食中毒被害情報管理室長)

議題

  1. (1)審議事項
    1. 1.ミネラルウォーター類の成分規格の改正について
    2. 2.食品添加物の指定等について
    3. 3.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2. (2)報告事項
    1. 1.食品添加物の規格基準の改正について
    2. 2.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  3. (3)文書による報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  4. (4)その他の報告事項
    1. 1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
    2. 2.令和5年度輸入食品監視指導計画とその概要について
    3. 3.生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案(令和5年3月7日提出)について

議事

議事内容

○扇屋補佐 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。本日の司会をいたします、生活衛生・食品安全企画課長補佐の扇屋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日もWebでの審議とさせていただきます。何か不具合がありましたら、お電話又はチャット機能にて御連絡いただければ対応いたします。
 はじめに本日の分科会委員の出席状況ですが、有薗委員、高田委員、津金委員、二村委員、森委員、脇田委員から御欠席の御連絡を頂いております。現在の分科会員総数22名のうち、現時点で15名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達しておりますので本日の分科会が成立いたしますことを報告申し上げます。なお、曽根委員は途中退席の旨伺っております。
 続いて事務局の紹介をいたします。佐々木生活衛生・食品安全審議官、鳥井大臣官房審議官、成松生活衛生・食品安全企画課長、近藤食品基準審査課長、小池残留農薬等基準審査室長、今井新開発食品保健対策室長、田中器具・容器包装基準審査室長、三木食品監視安全課長、森田輸入食品安全対策室長、福島HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長です。なお、審議官等については公務のため適宜退室させていただく場合がありますので、御了承ください。
 一般傍聴については、ライブ配信による動画中継での傍聴としております。一般傍聴の方については、厚生労働省ホームページに分科会の資料を公開しておりますので、適宜御確認ください。
 続いて審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問される委員におかれましては、カメラをオンにした上で挙手をお願いします。分科会長から順に発言者を御指名いただきます。なお発言されるとき以外はマイクをミュートでお願いします。それでは、議事に移ります。
 本日の議題はお手元の議事次第にありますように、審議事項として、①ミネラルウォーター類の成分規格の改正について、②食品添加物の指定等について、③食品中の農薬等の残留基準の設定についての3件について御審議いただいた後、事務局から報告事項を報告いたします。なお、本日の審議事項に関して、利益相反の対象はありません。それでは村田分科会長、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 それでは審議事項(1)①「ミネラルウォーター類の成分規格の改正について」、審議を行います。事務局から御説明願います。
○近藤課長 (1)審議事項①ミネラルウォーター類の成分規格の改正について、説明いたします。資料1の3ページを御覧ください。まず経緯についてです。これまでもミネラルウォーター類の規格基準については当部会でも御審議いただいておりますが、平成14年のコーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウォーター類の規格の設定や、我が国の水道法の水質基準改正の動きを受け、食品規格部会で御審議いただき、平成15年7月の内閣府食品安全委員会の発足とともに評価依頼しました化学物質について、食品健康影響評価の結果が得られたものから順次、再度部会において御審議いただき、規格基準の改正を行っているものです。
 今回審議対象とされている鉛については、今申し上げたとおり平成15年7月に食品安全委員会に評価依頼を行い、令和3年6月に食品安全委員会から評価結果が通知されたことから、令和4年12月16日付けで厚生労働大臣から薬事・食品衛生分科会長宛てに諮問され、12月26日の部会にて御審議いただきました。
 2.審議の結果を御覧ください。部会では「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないもの」と「殺菌又は除菌を行うもの」について、平成22年の部会決定事項である「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」を考慮して御審議いただいております。
 4ページを御覧ください。食品安全委員会の評価結果については、有害影響を及ぼさないとされる摂取量、いわゆるTDIなどの健康影響に基づく指標値は設定されておりません。この理由については、※以降に記載がありますが、まず日本人の平均的な血中鉛濃度は1μg/dL程度、あるいはそれ以下とされておりますが、この血中濃度において小児の神経行動学的発達や成人の腎機能等に、何らかの影響がある可能性が示唆されるとの疫学研究結果があります。しかしながら、複数の疫学研究において一貫した結果が見られないこともあり、知見の不確実性の観点から現時点においては有害影響を及ぼさない血中鉛濃度を導き出すことは困難であると判断されました。
 しかし、日本人の平均的な血中鉛濃度が疫学研究における何らかの影響があるとされる血中濃度と近いことから、今後も鉛ばく露低減のための取決めが必要であるとしております。
 この評価結果を受け、現時点では健康影響に基づく指標値が設定されなかったこともあり、現行の水質基準等の国内外での基準との整合を図り、基準値を0.01mg/lに改正することが妥当であると判断いただいております。なお、7ページに水道法における水質基準、WHOの飲料水水質ガイドライン、CODEX規格値を示しておりますが、いずれも0.01mg/lとなっております。
 5ページを御覧ください。まとめですが、この部分が答申案となります。先ほど説明いたしましたが、表に示したとおり、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないもの」、「行うもの」それぞれについて0.01mg/lに改正するという案になっております。参考として、その下にこれまでの経緯について示しております。食品安全委員会における評価については、若干時間が掛かっておりますので、その評価の経緯について補足をいたします。
鉛の食品健康影響評価については、厚生労働省から食品安全委員会に、このミネラルウォーター類のほかに、器具・容器包装についても評価依頼を行っております。一方食品安全委員会においては、この厚生労働省からの評価依頼のみならず、食品全般における食品健康影響評価を行うことが適当であると判断し、自ら評価として実施をしております。評価依頼の後、2008年(平成20年)7月~2010年(平成22年)3月まで審議をされましたが、その当時の結論として知見が不十分であり、耐容摂取量を設定することは困難といった中間的な報告がまとめられました。今後、新たな知見が集積された段階で継続審議となり、その後食品安全委員会においても新たな知見を継続して収集し、2019年(令和元年)5月から新たに設置されたワーキングにおいて審議が行われ、先ほど申し上げたとおり令和3年6月に評価結果が示されたものです。
 ただ、令和3年6月の評価結果においても、先ほど説明しましたとおり現時点において有害影響を及ぼさない血中鉛濃度を導き出すことは困難であり、健康影響に基づく指標値TDI等は設定することができないという判断でした。なお、鉛の国際的な評価としては、1986年にJECFAが暫定の耐容週間摂取量25μ/kgを設定しましたが、平成22年に再評価が行われ、本耐容摂取量が健康に影響を及ぼさないものと見なすことは適当ではないという判断で、これが取り下げられているという経緯があります。事務局からの説明は以上です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、五十君部会長から報告いただくことはありませんか。
○五十君委員 ただいま、いろいろな経緯について詳細に報告があったとおりで、私からは特に追加事項はありません。
○村田分科会長 それでは、本件について何か御意見、御質問はありますか。苅田委員、何かありますか。
○苅田委員 食品安全委員会でも鉛の基準の策定委員として関わっておりましたが、今御説明のあったとおり鉛摂取レベルは低ければ低いほどいいという結論となりました。今回の審議結果に異存はありません。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。辻委員、何かありますか
○辻委員 大丈夫です。
○村田分科会長 そのほか、どなたかありますか。もしありましたら挙手をお願いいたします。
○穐山委員 よろしいでしょうか。
○村田分科会長 穐山委員、どうぞ。
○穐山委員 御説明ありがとうございました。細かいことなのですが、単位の表示で表記の基準が0.01mg/lなのですが、通常告示は今、添加物も残留農薬もLにしていますので、ここはこのままでいいでしょうか。
○村田分科会長 事務局、いかがですか。
○近藤課長 御指摘ありがとうございました。清涼飲料水の規格基準については、このような表記をこれまでしてきているのですが、告示の際には再度確認の上、適切な表記とさせていただければと思います。
○穐山委員 よろしくお願いします。
○村田分科会長 そうですね、7ページの文章を見ていますと、上のほうにはlで、※以下の文章の中ではLになっていますね。適切なる修正願います。ほかに御意見はありますか。ほかに意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で報告ください。
 それでは(1)審議事項の②「食品添加物の指定等」について審議を行います。事務局から御説明願います。
○田中室長 フィチン酸カルシウムの添加物としての新規指定に関する御審議です。本件は、昨年の12月23日の添加物部会において、御審議いただいております。本品の構造式等を示しておりますが、フィチン酸カルシウムはフィチン酸のリン酸基にカルシウム又はマグネシウムが結合したものです。フィチン酸塩は穀類や豆類に豊富に含まれているのですが、そういったものに対して、カルシウムやマグネシウムなどを反応させて結合させたものです。化学構造式はフィチン酸のものを参考ということで示しております。
 用途は、製造用剤で、清澄剤としておりますが、本品の高いキレート作用を利用して、ぶどう酒に適用し、ぶどう酒中の鉄イオンを沈殿させ、沈殿したものを除去することにより、ぶどう酒中での鉄イオンを低減し、鉄イオンがワインにあった際に不溶性の混濁物質になってしまい品質劣化が起こるのですが、そういった劣化を防ぐことができるというものです。
 諸外国の状況は、欧州で赤ワインに8g/hL利用できるとされております。更に、フィチン酸カルシウムで処理した後にワインに微量の鉄が含まれていなければならないとなっております。米国においては、本品で処理したワインをEUから輸入して、国内で流通させるということが認められております。オーストラリアでは、加工助剤として、ワインに使用できるということです。
 食品安全委員会における評価は、本品によるフィチン酸、カルシウム、マグネシウムのそれぞれの摂取量を算出しておりますが、「現在の食事由来の摂取量と比べて少ないということ等を総合的に評価した」としています。「等」のところに、得られている人のデータであるとか、動物試験の結果などがあります。そういったものを総合的に評価した結果、フィチン酸カルシウムが添加物として適切に使用される場合に、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと評価されました。
 本品の摂取量の推計ですが、まず成人の一人当たりのぶどう酒の摂取量を算出しています。特定の集団に嗜好される可能性があるので、果実酒の販売量を飲酒習慣のある人口で割っております。飲酒習慣のある人口については、週3日以上、清酒換算で1合以上飲む方の割合を用いて、46.5mLのぶどう酒を1日当たり摂取するという値にしております。その上で、フィチン酸カルシウムの摂取量は、使用基準値案の最大使用量がそのまま残ったという過剰な推計をした場合に3.72mg/人/日を摂取するという推計です。
 次のページに、使用基準の案と成分規格を示しております。使用基準のほうが、本品はぶどう酒以外の食品に使用してはならないということと、その量に関しては、ぶどう酒1Lにつき0.08g以下でなければならないという案です。成分規格案も、こちらに示しているようなものを規定する案としております。簡単ですが説明は以上です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、添加物部会部会長の杉本委員から御報告いただくことはありますか。
○杉本委員 杉本です。事務局からの説明のとおりで、追加することはございません。
○村田分科会長 ありがとうございます。本件について、何か御意見、御質問はございますか。
○穐山委員 特にADIは設定されていないのですが、使用基準が設定されているということは、何か意味があるのでしょうか。
○田中室長 要請者から、EUと同じ形の使用が日本国内でもできるように、あるいはEUからのワインの輸入ができるように要請されています。その中で、EUにおける基準値が要請者から提案されたという経過です。
○穐山委員 では、特に安全性の懸念ということではないのですか。
○田中室長 そのように考えております。
○村田分科会長 ほかにございますか。
○合田委員 EUでは赤ワインが提案されていますが、今回の日本での規制はワインという形でやや広めにされています。そのことについては、どういう理由でそういう形になったのか、教えてください。
○田中室長 要請者に確認したところですが、EUで赤ワインに限定している理由は特に明らかにされませんでした。今回に関しては、要請者から本品はワイン全体に関して要請が出されたということです。
○合田委員 赤ワインだけに使うという話ではないのですか。
○田中室長 日本においては、両方に使いたいものということで要請が出ておりますけれども、鉄が入っているものに関して使用するということになりますので、鉄の量がある程度多いものに使われるという実態になっていくものと思います。
○合田委員 分かりました。ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにございませんでしょうか。
○今村委員 考え方の中に、1日のワインの摂取量が46mLという記載があって、年間の消費量から計算されているという御説明でした。その辺の御議論と言うか、一般的に1本720mLのワインを摂取するのに、何人でそれを飲むかということにもなってくると思いますが、そう考えると、1日当たりという期限単位でいくと、摂取量としてはもう少し増えるのかなと認識しているのですが、その辺の議論はどのようにあったのかというところがあれば、補足で教えていただければなと思います。
○田中室長 添加物部会においては、特段、そこに大きな御議論はなかったと認識しております。考え方として、ある程度信頼できるデータに基づいて数字を出したいというところはありますので、この品目に関しては販売量と、国民健康栄養調査のほうで、ある程度習慣的な回数を調査しているものがありましたので、そちらを活用したところになります。
○村田分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。ほかに御意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
                                 (出席委員了承)
○村田分科会長 ありがとうございました。事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
 それでは、(1)の審議事項の③です。「食品中の農薬等の残留基準の設定」についての審議を行います。事務局から御説明をお願いいたします。
○小池室長 資料の12ページを御覧ください。今回御審議いただく2品目については、昨年12月に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議いただいたものです。農薬2品目について、いずれもADI又はARfDの範囲内ということで御評価いただいたものです。
 まず、1つ目のピリダクロメチルです。農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定の要請及び畜産物の基準設定の要請を受けまして、今般、基準値を設定したものです。
 用途は殺菌剤で、国内の適用登録については、我が国は現行で登録されておりませんが、今般、だいず、トマト等に申請があったものです。食品安全委員会における食品健康影響評価については、ADIを0.08という値で御評価いただいているものです。
 13ページを御覧ください。今回の基準値に基づくばく露評価の結果に関して、記載のとおり、ADIの範囲内ということで特段の問題はないものと御評価いただいております。
 14ページを御覧ください。実際の基準値です。農薬登録は左から3列目の行です。現行、基準値は全て今まで設定していなかったものですが、今般の申請に伴って、左に記載される食品ごとに作物残留試験等のデータが提示され、その結果を踏まえて基準値案に記載の数値のとおり、基準値を設定させていただきたいと考えております。
 続いて17ページを御覧ください。2品目目は、メトブロムロンです。農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定の要請を受け、基準値設定するものです。用途は除草剤です。我が国の登録状況については、現行では存在しませんが、今般、ばれいしょ、だいず等について申請があったものです。
 食品安全委員会における健康影響評価としては、ADIが0.0046、ARfDが0.015という値で御評価いただいております。
 17ページの一番下のばく露評価については、記載のとおり、ADI又はARfDの範囲内ということで、問題がない旨御評価を頂いたものです。
 19ページを御覧ください。実際の基準値です。ここに記載のある4つの食品について、現行では基準がないところ、基準値案のとおりに基準値を設定したいと考えているものです。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 議論に入る前に部会での審議の状況について、穐山部会長から御報告いただくことはございませんでしょうか。
○穐山委員 事務局から御説明がありましたが、繰り返しになりますが、私から少しコメントさせていただければと思います。
 今回、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請で、ピリダクロメチルは殺菌剤で、メトブロムロンは除草剤ですが、この2つについて、食品中の残留基準を設定するものです。
 これらの農薬は、昨年12月に開催したWeb会議による部会において審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘はありましたが、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性等は認められていない、また、閾値が設定できると評価されていること、また、作物残留試験あるいは代謝試験等の結果から得られたデータに基づいて、規制対象物質やばく露評価対象物質の選定に特段の問題がないということ、また、残留農薬の分析法、作物残留のデータ及びばく露評価等の情報により、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは本件について、御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。御意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
                                 (出席委員了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございました。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
 次に、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、(2)の報告事項の①、食品添加物の規格基準の改正について、事務局から御報告ください。
○田中室長 食品添加物の硫酸銅の規格基準の改正に関する御報告です。
 硫酸銅は、既に食品添加物として指定されておりまして、銅を補給する目的で使用される状況があります。経緯として、12月の添加物部会において御審議いただきました。用途は、製造用剤です。先ほどのフィチン酸カルシウムと同じくぶどう酒に使用し、ぶどう酒の不快な臭いの除去に働くものです。硫酸銅がぶどう酒中で銅イオンと硫酸イオンに解離して、そのうちの銅イオンがぶどう酒中の硫化水素と反応して不溶性の硫化銅となって沈殿します。その沈殿したものを除去することにより、硫化水素がワイン中から除かれて、結果的に不快な臭いの除去につながるというものです。
 諸外国の状況は、EUにおいてワイン製造において使用されており、その量は1g/hL以下と定められております。また、処理された後のワイン中での銅濃度の規定がありまして、1mg/Lあるいは2mg/Lが上限となっております。米国においては、GRASとされているということと、加工助剤や栄養補助剤として使用することが可能となっております。ワインにも使用が可能で、銅換算で6mg/Lを超えないということと、最終製品中での銅濃度の上限が1mg/Lとされております。オーストラリアにおいては、加工助剤としてワインなどに使用できるという状況です。
 食品安全委員会での評価ですが、「硫酸銅」に由来する銅イオンの摂取量、あるいは硫酸イオンの摂取量が、現在の摂取量と比べて少ないといったことを総合的に評価されて、硫酸銅が添加物として適切に使用される場合には、安全性に懸念はないとされております。
 摂取量の推計です。こちらも先ほどと同様ですが、まず、ワインの1日当たりの摂取量を46.5mLと推計しております。硫酸銅に関しては、銅と硫酸は分かれますので、摂取量として、銅イオンに関しては、通常の食品の中から、20歳以上の人で健康食品などを摂取しない人においては1.14mg/人/日、健康食品などを摂取する人に関してはその分を考慮して6.14mg/人/日の銅を摂取しているという推計をしております。健康食品を摂取するような人に関して、その他の人より5mg増やした計算をしておりますが、これは、既に健康食品などに使用できる銅の添加物があり、その使用量は1日当たり5mgが目安量となっておりますので、その部分を足し合わせております。本品を使用した後のぶどう酒からの摂取量に関しては、0.093mg/人/日が本品からの摂取になるという推計をしております。硫酸イオンに関しては、食事中に含まれる量と飲料水からの量を推計すると、合わせて68から80mg/人/日程度が摂取されているという状況です。本品に由来する硫酸に関して、その全量がぶどう酒中に残るという計算をしますと、0.179mg/人/日が本品からの摂取量として推計されております。
 使用基準の案ですが、下線が引いてある所を追加しております。現在、既に母乳代替食品に使用できるという使用基準がありますので、そこにぶどう酒を足し合わせております。その量に関しては、ぶどう酒の中に1Lにつき10mg以下でなければならないということと、銅として残存する量として、1Lについて2mgを超えないという値を付けております。ご報告は以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、杉本部会長から追加説明はございますか。
○杉本委員 事務局からの説明のとおりで、特に追加するコメントはございません。
○村田分科会長 ありがとうございます。委員の方から、御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次に、②です。「食品中の農薬等の残留基準の設定」について、事務局から御報告ください。
○小池室長 資料の8ページを御覧ください。今回、御報告の品目は先ほどと同様に、昨年12月に開催された農動薬部会で御審議いただいた品目です。動物用医薬品1品目についてADIの範囲内ということで御評価いただいたものです。ジミナゼンですが、これは平成18年のポジティブリスト制度導入時に暫定的な基準として設定した値を、今般、データ等を根拠に基準値の見直しを行うというものです。用途は動物用医薬品/抗原虫剤で、我が国における承認状況としましては、動物用医薬品として牛を対象として承認されているものです。食品安全委員会における食品健康影響評価につきましては、ジミナゼンジアセチュレートを対象としてADIを0.02という値で評価いただいています。
 9ページを御覧ください。ここに記載のとおり、ばく露評価の結果としてもADIの範囲内で安全に特段の問題はないということで御評価いただいているものです。実際の基準値は10ページを御覧いただくと、左から3つ目の欄が網掛けで基準値現行としていますが、ここは暫定的に18年当時設定した基準値で、今般、提出されたデータ等から改めて基準値を設定し直すように左から2列目を検討させていただきましたが、今までの暫定的な基準値の値と同じく、そのままの値を基準値として設定し直すということです。ちなみに、ここに記載されている各食品名のうち、牛の食用部分と記載されている下から2個目の項目ですが、11ページを御覧いただきますと、牛の食用部分というのは食用に供される部分のうち、筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓以外の部分を対象とするものです。事務局からの説明は以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告につきまして、まず穐山部会長から何か追加報告はございますか。
○穐山委員 今の報告に関して私から特にコメントはありません。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方から何か御意見、御質問はございますか。合田先生、どうぞ。
○合田委員 名前の和訳の件ですが、本体はジミナゼンで全然構わないですけれども、ジミナゼンアセチュレートという和訳で全部出ていますね。正しい字訳だとアセツラートになるのです。ただ、既に法律でどこかにそう規定されているから、そういう名前を使われたのかなと思ったのですが、本当は何かのタイミングで正しい字訳にされたほうがいい。アセチュレートと言うと何か違和感があります。物質的な日本語の翻訳の感じとしてはね。Aceturic acidの塩なのでアセツル酸塩なのです。そこはいろいろな法改正の問題があるので何かのタイミングで直すほうがいいかなと思いました。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。事務局、何かございますか。
○小池室長 御指摘いただき、ありがとうございます。今、合田先生からも御指摘いただいたように告示上も記載表記の関係があるので、反映できるかどうかは持ち帰って検討させていただきます。可能な限り適切な表現になるよう努力させていただきたいと思いますが、もしかしたらこの表記にさせていただくかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
○合田委員 それは、しようがないです。
○小池室長 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
次は、(3)文書配布による報告事項に移ります。食品衛生分科会における確認事項において、特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされています。この資料に関しましては事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問などございますか。それでは、特段の御意見がなさそうですので次へ移らせていただきます。
続いて、(4)その他の報告事項に移ります。①食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から御報告ください。
○小池室長 事務局から報告させていただきます。資料4の3ページを御覧ください。これは、前々回の分科会が昨年の9月28日、前回が12月22日に御審議、御報告を頂きました各品目についてのその後の進捗状況です。いずれもパブコメ又はWTO通報等、順次、記載のとおり進めさせていただいていますので全て順調に進んでいる旨、御報告させていただきます。事務局から以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問をお願いします。ありませんね。それではありがとうございました。
次に、②令和5年度輸入食品監視指導計画とその概要について、事務局から御報告ください。
○森田室長 令和5年度輸入食品監視指導計画の概要につきまして、食品監視安全課輸入食品安全対策室長の森田から御説明させていただきます。この計画につきましては、食品衛生法第23条の規定に基づいて厚生労働大臣が毎年度、その年度の開始前に策定しているもので、昨日、公表いたしました。計画の策定に当たりましては、令和5年1月16日から2月14日までパブリックコメントを実施し、また、この期間中に意見交換会を東京、大阪の2か所で行い、さらに、浦郷委員に御配慮いただきまして、消費者団体の方との勉強会で御説明をさせていただきました。
 パブリックコメントでは8件の御意見を、また、意見交換会でもいろいろな御意見等をいただきました。内容といたしましては、監視指導体制の充実強化、情報提供等のリスクコミュニケーションの充実といった御意見を多くいただきました。案の変更を要するようなものはございませんでしたが、いただいた御意見等も参考にしつつ、今後とも適切に対応していきたいと考えています。
 概要について簡単に御説明させていただきます。目的といたしましては、輸入食品等の重点的、効率的かつ効果的な監視指導の実施を推進し、輸入食品等の安全性確保を図るというものです。令和5年度計画の基本的な考え方ですが、4.の所、実施体制といたしましては輸出国における生産の段階から、輸入後の国内流通までの各段階におきまして必要な衛生管理対策の措置を講じるとしており、基本的方向についてもこれまでの考え方を継続していくものとしています。
5.の監視指導の具体的内容につきましては、「重点的に実施すべき事項」、「輸出国段階における衛生管理対策の推進」、次の6ページの「輸入者による自主的な衛生管理の推進」等々、項目に分けて記述しています。例えば「重点的に実施すべき事項」に記述しているモニタリング検査、これは多種多様な食品について食品衛生上の状況について幅広く網を掛けて監視し、必要に応じて検査強化する等の対策を講じることを目的として実施している検査になりますが、この検査は年間で延べ約10万件を予定しています。この水準は昨年度と同水準のものになります。こうした内容は基本的に令和4年度の内容を継続していくものとなっています。
 資料の7ページ、参考資料として輸入状況についてのグラフをお示ししています。令和2年度につきましては若干下がっている形になっていますが、令和3年度には少し戻した形になっています。令和4年度につきましては前期の状況ということになりますが、令和3年度と同程度となっています。8ページ、9ページは令和3年度の監視指導結果を参考資料として添付しています。私からの説明は以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問をお願いいたします。浦郷委員から何かございますか。
○浦郷委員 ありがとうございます。全国消団連の浦郷です。輸入食品の監視指導ということで継続的に、きちんと今回も計画されるということで、この点はしっかりと運用されるものと思っています。1つ、意見というかお願いですけれども、この輸入食品監視ではリスクコミュニケーションということで東京と大阪でやっていますが、私も東京のほうに参加させていただきました。今回はコロナも大分収まったということでリアル開催されたのですが、多分、リアルだけでWebではなかった。オンラインでの接続はできなかったと思います。
参加者のほうですが、事業者の方がとても多くて消費者の参加がすごく少なかったのです。これに関しては、最近、輸入食品に関しては特に問題が起きていないということで消費者の関心も薄い部分があるのかなと思いつつ、日本は食品をたくさん輸入していますし、一部の方には、ある特定の国の輸入食品にすごく不安を抱いている方もいますので、もっともっと消費者に知ってもらう工夫、リスクコミュニケーションのところで消費者の方にも参加してもらえるような工夫を、是非、今後のところでやっていただきたいなと思います。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございました。是非、消費者の参加を促すようなやり方を検討いただければと思います。今の御発言に事務局から何かございますか。
○森田室長 御意見をありがとうございます。開催方法として、今回は実開催ということでWebを使ったものと併用しなかったわけですが、御指摘がありましたので、ハイブリッド開催の方法についても実際にできるか検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ほかにございますか。穐山委員、どうぞ。
○穐山委員 御説明ありがとうございました。基本的には輸出国のモニタリングと輸入のほうの監視のモニタリングの二重チェックが基本だと思っていますが、そこで例えば輸出国でOKだけれども輸入国の日本でアウトになるケースというのは、あまりないのでしょうか。最近、輸出国の特に台湾ですけれども、日本の作物の基準超過が結構報告されています。その辺、齟齬というか違いがあるような気がしていますが、その辺は特に問題にはなっていないのでしょうか。
○村田分科会長 事務局、分かりますか。
○森田室長 まず輸出国で検査をしてというものになりますが、これはパターンとしては2つありまして、輸出者のほうが自主的に管理する観点から輸出国の段階でする検査と、外国の公的検査機関で正に輸出するものに対して検査するものになります。公的検査機関で検査をした結果につきましては、輸入時にその検査結果を受け入れるのが基本になっていますので、そこで齟齬が生じることはないですけれども、輸出をする方が自主的に管理している状態のものが、輸入する段階で検査したときに違反になることは往々にしてあります。そうした場合には、具体的にどういった形で違反になったのか原因究明等をしてもらった上で、二国間協議等を通じてその問題解決を図ることを1つの方法として行っています。以上です。
○村田分科会長 穐山委員、よろしいですか。
○穐山委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにございますか。ありがとうございました。
次に、③の生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案(令和5年3月7日提出)について、事務局から御報告ください。
○扇屋補佐 企画課の扇屋から報告させていただきます。生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案が、令和5年3月7日に閣議決定されましたので御報告申し上げます。改正の概要としましては大きく分けて3つあります。1つ目が食品衛生基準行政の機能強化、2つ目が水道整備・管理行政の機能強化、3つ目が所掌事務等の見直しとなっています。施行期日は令和6年4月1日としています。
 2枚目で、改正の背景ですけれども、食品安全行政の指令塔機能を担う消費者庁に厚生労働省が所管している食品衛生に関する規格基準の策定等、食品衛生基準行政を移管することで食品衛生についての科学的な安全を確保し、消費者利益の更なる増進を図るものです。これにより、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の推進や、販売現場におけるニーズや消費者行動等を規格・基準策定の議論にタイムリーに反映させること。国際食品基準(コーデックス)における国際的な議論に消費者庁が一体的に参画することが可能となります。
先生方、御存じのとおり、下の絵にあります食品の安全を守る仕組みとしまして、厚生労働省は食品衛生に関する規格基準の策定と規格基準が守られているかの監視、大きく分けてこの2つを担当していますが、規格基準の策定の部分は消費者庁に移管することとなります。
 次のページに改正の内容が書かれています。①が食品衛生法等の改正です。(1)厚生労働大臣の権限に属する事項のうち、食品衛生基準行政に係るものを、内閣総理大臣の権限とする。(2)薬事・食品衛生審議会(厚生労働省)への意見聴取事項のうち、食品衛生基準行政に係るものは、消費者庁に設置する食品衛生基準審議会への意見聴取事項とするとともに、食品衛生監視行政に係るものは、厚生労働省の厚生科学審議会への意見聴取事項とします。(3)食品衛生基準行政を担う内閣総理大臣と、食品衛生監視行政を担う厚生労働大臣の連携規定を設けています。②が、厚生労働省設置法、消費者庁及び消費者委員会設置法の改正についてです。こちらも必要な所掌事務、調査審議事項に関する規定について所要の整備を行うものです。報告は以上となります。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問をお願いいたします。浦郷委員、どうぞ。
○浦郷委員 1つだけ確認させていただきたいのですが、今回、食品基準審査課がそのまま消費者庁のほうに移管されるということ。もう1つ、食品安全企画課の国際食品室も移管されるというお話を聞いています。それで1つ気になるのは、コーデックスの連絡協議会というのがあって、こちらは全国消団連からも委員を出しています。今、こちらは厚労省、農水省、消費者庁の3つで回しているということですが、今後は消費者庁が中心になるということなのか。厚労省からコーデックスの連絡協議会への参加はどうなるのか。細かいところですけれども、そこを教えていただきたいと思います。
○成松課長 企画課長です。御指摘いただいた件については具体的にどの課が移管するのか、あるいはどの業務を具体的に移管するかは、今後、しっかり調整をしていきたいと思っています。今回、お話できるのは先ほど申し上げた法律改正の中身ということになりますので、またいろいろと御相談させていただきながら準備を進めていければと思っています。
○村田分科会長 浦郷委員、よろしいですか。
○浦郷委員 分かりました。ありがとうございました。
○村田分科会長 ほかにございますか。ありませんね。どうもありがとうございました。以上で報告事項の議事は終わりました。最後に事務局から何か連絡事項はありますか。
○扇屋補佐 長時間の御審議、誠にありがとうございました。なお、次回の食品衛生分科会は6月を予定していますが、詳しい日時は追って御連絡いたします。よろしくお願い申し上げます。
○村田分科会長 長時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして本分科会を閉会いたします。