2023年1月18日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第47回) 議事録

日時

令和5年1月18日(水)14:02~15:55

場所

オンライン開催

出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容

○事務局
 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから、第47回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。改めまして、新年、明けましておめでとうございます。本日は、新型コロナウイルスの第8波の流行にリスクヘッジをいたしまして、昨年中からオールオンラインでの開催を計画して、今回そのとおりに実施させていただいております。厚労省としては、回線ネットワークの安定には万全を期しているところではありますが、年末年始にシステム移行を行った関係があり、場合によっては一部不安定となったりして、御不便、御迷惑をお掛けするかも分かりませんが、その場合はWebexのチャット機能等でお知らせいただきますようお願いいたします。
 ここで、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、三宅構成員が御欠席です。
 御説明の前に、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。12月1日付けで、参事官に石塚が着任いたしました。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 皆さん、お忙しいところありがとうございます。12月から前任の山田に代わって参事官室に参りました石塚と申します。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。本日の資料に関しては、事務局から事前にメールでお知らせした厚労省ホームページ「独立行政法人評価に関する有識者会議」の第47回労働WGの「資料等」に掲載しております。お手数をお掛けいたしますが、そちらを御覧ください。
 続いて、本日の議事について説明いたします。本日の議事は、「高齢・障害・求職者雇用支援機構の次期中期目標案及び中期計画案」に係る意見聴取を行うこととなっております。時間としては、おおむね2時間を予定しております。本件については、参考資料1の「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第四号「その他一から三までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして意見を賜るものです。
 厚労省所管の中期目標管理法人については、厚労大臣が中期目標を定め、当該法人は、定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は、御意見を頂く上で密接な関係にありますので、本日は、目標と計画について同時に御議論いただきたいと考えております。令和5年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、資料を基に簡単に御説明させていただきます。
 ちょっと遅れましたが、本日の資料については、参考資料が1から8、資料については1-1から3-2まであります。それでは、お手元に参考資料2を御用意していただければと思います。一番上の四角い囲みに、令和4年8月、独立行政法人の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出とあります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」については、このワーキングで昨年8月に開催した会議において、皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえて、参考資料5と6にありますように、厚労大臣から総務省の独立行政法人評価制度委員会へ通知しております。
 続いて、中ほどの四角囲みの中を御覧ください。令和4年9~12月、独立行政法人評価制度委員会の審議・決定とあります。参考資料7を御用意ください。昨年12月5日に総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」について審議し、目標策定に向けての考え方等を決定したものです。高齢・障害・求職者雇用支援機構に関しては、11ページから12ページに、目標策定に当たって目標に盛り込むことについて検討していただきたい点として整理された留意事項3点が示されております。
 次に、参考資料8を御覧ください。昨年4月8日に、総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を取りまとめたものです。以上が、本日の議事資料についての説明です。
 これらを踏まえて作成されたのが、本日、御議論いただく次期中期目標と中期計画案です。次期中期目標の策定については、「独立行政法人の目標策定及び評価実施要領」において、参考資料4にあります目標策定のルールを定めております。本日は、この観点からも御議論いただければと存じます。事務局からの説明は以上です。
 それでは今村先生、議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 どうもありがとうございます。聞こえますか。大丈夫ですか。まずは、今いろいろな資料で事務局から御説明いただきましたが、それについて御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。まずは事務局説明への御質問です。資料がたくさんありますので、どうぞ御自由にお願いいたします。大丈夫でしょうか。後で分かると思いますが、目標と計画と同時並行して説明されるという、これは今までと違うところでしょうか。事務局にちょっとお伺いしますが。
 
○事務局
 事務局です。事務局としては、同時並行というか、議事としては同時にという形ですが、当然、順番を追って目標、その後計画という流れを想定しております。以上です。
 
○今村主査
 特に質問がなければ始めさせていただきたいと思います。それでは、まず高齢・障害・求職者雇用支援機構の次期中期目標及び次期中期計画案について御議論いただきたいと思います。最初に、厚生労働省法人所管課から、次期中期目標案について御説明いただき、その後、法人側から、次期中期計画案について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人所管課から、次期中期目標案について御説明をお願いいたします。
 
○雇用開発企画課長
 職業安定局雇用開発企画課長の小宅です。私から御説明させていただきます。まず、この法人の立ち位置等についてです。御議論いただくわけですが、最初に機構を取り巻く状況、課題等について御説明して、その後、資料に沿って計画の中身について御説明したいと思っております。
 厚生労働省においては、高年齢者の雇用の確保・再就職の促進・就業機会の確保、障害者の雇用の促進・その他職業生活における自立の促進、事業主その他の関係者による職業能力の開発・向上の促進、労働者の自発的な能力開発の向上に関すること等々の業務を所掌しております。こういった国の施策の実現に向けて、機構においては、高年齢者等の雇用の確保、障害者の職業的自立の促進、求職者をはじめとする労働者の職業能力の開発・向上のための総合的な支援を実施しています。
 こういった課題に関しては、まず我が国における人口減少、少子高齢化という大きな問題があります。労働力不足を招来するということです。こういったことを踏まえて、いわゆる骨太の方針等においても、創造性を発揮して付加価値を生み出していく原動力である「人」について、多様な人材一人一人が持つ能力を最大限発揮できるようにということが言われています。また、個々の労働者の希望に応じてセーフティネットを利用できるように、あるいは多様な働き方を選択できるようにと、こういった環境整備が求められています。こういったものに対応するためには、機構がこれまで培ってきた支援に係るノウハウとか専門性、全国組織といったところを強みとして、これらの強みを最大限発揮することが重要ですので、そういう認識の下に次期中期計画について設定したところです。
 資料1-1の概要で御説明いたします。今申し上げたことを踏まえて、課題と大きな対応の方向性を整理すると、高年齢者関係については、人口減少、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少というのが課題でして、高年齢者が年齢に関わりなく個々の希望に応じて多様な働き方を選択できる環境の整備が課題となっております。これへの対応として、70歳までの就業機会の確保に取り組む事業主に対する支援の充実というのが重要です。
 障害者関係だと、障害の有無に関係なく、希望や能力、適性等に応じて活躍できる社会の実現、個別性の高い支援を必要とする障害者に対する専門的な支援、就労支援ニーズを支える地域の各種の機関における支援力の向上といったことが課題となっております。これへの対応としては、個別の職業リハビリテーション計画に基づく専門的支援の着実な実施、事業主へのオーダーメード型の支援、あるいは雇用・福祉の両分野に横断的な基礎的知識を身に付けた地域の就労支援人材の育成といったことが重要です。
 職業能力開発に関しては、DX、GXといったことの進展への対応が大きな課題になっております。それへの対応としては、中小企業等の着実な事業展開、生産性や技能・技術の向上に必要となる人材の確保・育成の支援を充実するといったことが課題です。
 次ページは、そういったことを実際にやっていく上での共通的な課題をまとめております。まず、そのための業務の効率化という観点からは、情報システムの整備、管理について、政府方針を踏まえて、デジタル化の推進、情報セキュリティ対策の強化を中心にやっていくと。それから、その他の項目ですが、各業務間においてシナジー効果が発揮されるようにする、事業主支援、個別支援に取り組む、各業務に共通で利用できる知見とかノウハウを活用していくといったこと、機構内部の人材確保・育成について、引き続き職員の質の向上を図るといったことに取り組むこととしております。
 では、資料2-1により、具体的にどういった目標かということについて御説明させていただきます。冒頭部分は、今申し上げたところを総論的に申し述べているところです。3ページの1を見ていただくと、この辺りから高年齢者についてのことを書かせていただいております。改正された高年齢者雇用安定法が令和3年4月に施行されて、70歳までの就業機会の確保の努力義務が始まっております。これにより、事業主に自発的に取り組んでいただくことを促進するように、事業主への更なる支援の充実が重要になっております。このため、中期目標期間においては、給付金の支給とか、高年齢者等の雇用に関する技術的事項についての相談・援助に取り組むこととしております。
 前期からの具体的な変更点は、3ページの1の(1)の①②の辺りです。給付金業務については、ホームページとか説明動画によって、給付金の更なる活用促進に向けた周知広報に取り組む、それから、オンラインによる助成金の申請受付等、事務手続の合理化等を通じて、効率的な運営を図るとともに、事業主にとって利便性が高いものになっていくようにとしております。
 次ページです。1の(2)の①のアの辺りです。高年齢者等の雇用に関する相談・援助業務について、「70歳雇用推進プランナー」等による事業主へのアドバイス、相談・援助の実施に引き続き取り組むこととしておりますが、その際には、関係機関と連携して、高年齢者の多様な就業機会の確保や負担のかからない作業環境への改善といった観点からの支援を行う等、効果的・効率的な支援に取り組むこととしております。4ページの1の(2)の①のウの辺りですが、各産業ごとの課題を踏まえて、高年齢者の雇用が促進されるように、産業団体が産業別の委員会において策定するガイドラインの会員に対する普及を支援することとしております。
 目標達成に関する指標ですが、主な変更点としては、5ページの指標の2です。8月に開催されたこの会議での御指摘等を踏まえて、指標の見直しを行っております。制度改善提案を行った事業主に対して追跡調査を実施し、60%以上の事業主から「提案を受けて見直しを進めた」という旨の回答が得られるようにすることとしております。これは、現在の目標値を大きく上回った実績を上げているということ、一方で、次の中期目標期間においては、現在の目標期間においては改善提案の対象外であった小規模事業主などについても対象としていくことを鑑みて、このようにしております。それから、指標の3についてです。産業別の委員会において策定するガイドラインの会員企業に対する普及を支援することとしておりますが、これに伴って、指標についても、産業別高齢者雇用推進事業に取り組む産業団体会員企業にアンケート調査を実施し、85%以上の企業からガイドラインが有用であるという回答が得られるようにするということを追加しております。
 続いて6ページです。障害者の関係ですが、障害者職業センターに関する業務です。これは、地域障害者職業センター等における障害のある方に対する職業リハビリテーションの実施、障害のある方を雇用する事業主への助言その他の援助、障害者就業・生活支援センターなど地域の関係機関への助言・援助を行う業務です。障害特性や働き方の多様化、技術革新など、障害者雇用を取り巻く環境が変化し、支援ニーズが増大しております。このため、そういったことを踏まえた、個別性の高い支援を必要とする障害のある方への専門的支援の着実な実施、事業主への相談支援の強化、地域における就労支援ニーズに対応するため、地域の関係機関の支援力を向上させることに総論的には取り組むということにしております。
 具体的な変更内容ですが、6ページの2の(1)の①においては、障害のある方に対する職業リハビリテーションの実施について、個別性の高い専門的な支援を必要とする障害を有する対象者に対して、キャリアのいずれのステージにおいても、希望や適性に合わせた働き方を実現できるように、求職中・在職中の支援、さらには休職中の復職支援等、個別の職業リハビリテーション計画に基づく専門的支援を着実に実施するとしております。②は、事業主への助言その他の援助に関することですが、企業が抱える障害者雇用に関する課題に対して様々な支援プランを提示する提案型事業主支援や、外部専門家「障害者雇用管理サポーター」と連携した専門的な相談支援など、企業に対するオーダーメード型の支援を強化する、その際には、テレワーク等ICTを活用した新しい働き方の実現のための環境整備に向けても、企業に対して、好事例の紹介や、ニーズに応じた助言その他の援助を実施するとしております。
 地域の関係機関に対する援助の関係は、7ページの下のほうですが、(2)の②という所です。障害者就労を支える人材をこれまで以上に地域において育成するため、地域センターは、障害者職業総合センターと共同して、雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修を新たに実施し、障害者の就労支援に携わる雇用・福祉分野の人材に対して、両分野横断的な知識を習得させることとしております。また、これらの変更に伴い、所要の目標の見直しをしております。
 次に、障害者雇用納付金制度関係の業務です。9ページに3として書いております。この業務においては、納付金制度に基づく納付金の徴収、調整金、各種助成金の給付、障害者技能競技大会(アビリンピック)等により、社会への障害者の技能や雇用促進に係る意識啓発を図るといったことをやっております。具体的な内容は9ページの下以降です。現目標からの大きな変更はありませんが、先ほど申し上げた高年齢者の場合と同様に、電子申請の活用の促進など、事務手続の合理化を通じて、合理的な事業運営を図るとともに、事業主にとっての利便性向上を図ることにしております。
 続いて、職業能力開発の業務です。11ページ以降です。この業務においては、離職者を対象とする職業訓練、高度技能者養成のための職業訓練、在職者を対象とする職業訓練及び事業主等との連携・支援に区分しておりますが、いずれにしても、デジタル・トランスフォーメーション、グリーン・トランスフォーメーションといったものの進展という大きな変革の中で、中小企業等の着実な事業展開、生産性や技能・技術の向上に必要となる人材の確保・育成の支援というのが重要になっております。このため、次期中期目標においては、これらに対応した訓練コースの開発・充実、見直し、指導員の技能向上ということを盛り込んでおります。それに加えて、地域のニーズを踏まえた職業訓練コースの設定が重要ですので、国、都道府県が開催する地域職業能力開発促進協議会の議論を踏まえて、職業訓練コースの設定に努めると同時に、訓練受講後に安定的に就労につなげるという観点からカリキュラムの開発を進めていくということで、これは昨年8月の本会議でも御指摘いただいたことです。
 これを踏まえての具体的な変更内容ですが、12ページを御覧いただくと、(1)で離職者訓練のことを書いております。そのうちの②で、ものづくり分野において、DXの加速化を見据え、デジタル技術に対応した職業訓練コースの開発・充実、訓練内容の見直し等を図ると。また、脱炭素化に資する技術・技能等が習得できる訓練コースの開発・充実、訓練内容の見直しに機動的に対応することとしております。目標達成に関する指標についても、同様のことをしております。
 13ページは、高度技能者の養成、下のほうでは在職者訓練について記述しております。高度技能者や在職者訓練についても、先ほど申し上げたのと同様に、DXとかGXといった流れを踏まえて、デジタル技術及び脱炭素化に対応した職業訓練コースを充実・強化する、そういったものに対する訓練を充実するということで、同様の見直しをしております。
 15ページですが、訓練指導員の養成、訓練コースの開発等について記述しております。(4)の⑥においては、国及び都道府県が開催する地域職業能力開発促進協議会の議論を踏まえた訓練コースの設定に努めるとともに、訓練受講後に安定的な就業、長期的な就業につながる観点からカリキュラムの開発を進めていくということにしております。
 続いて、5ということで、15ページの一番下から次ページにかけてですが、障害者職業能力開発業務についてです。16ページの3段落目から4段落目に書いておりますが、この業務の中では、機構が運営している障害者職業能力開発校において、職業訓練上特別な支援を要する障害のある方に対する訓練を実施しています。また、機構の運営する障害者職業能力開発校においては、先導的な取組を通じて開発した指導技法等を、都道府県等が運営するほかの職業能力開発校に対して普及するという役目も担っています。この業務についての大きな変更点としては、16ページの(1)ですが、機構の実施する訓練において、障害のある方が希望や適性に応じた働き方を選択できるよう、障害種別によらない職業訓練、多様な働き方に対応できるような職業訓練を実施するということにしております。
 求職者支援制度については、17ページの6ですが、この業務も機構でやっております。この業務については、法律に基づいて行うべきことが定まっているものですので、これを確実に実施するということで、目標自体については特段の変更は行っておりません。中期目標に関する御説明は以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、続いて中期計画について御説明をお願いいたします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 それでは、次期中期計画(案)について御説明申し上げます。私は高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長の飯田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、御説明いたします。次期中期計画(案)の資料は、次期中期目標(案)の計画案の資料とパラレルで、資料1-2が概要、資料2-2が計画(案)の本文、資料3-2が第4期中期計画と新しい第5期中期計画(案)の新旧対照表になっております。先ほど厚生労働省の小宅課長から、次期中期目標(案)の本文の主な変更点について丁寧に御説明いただきましたが、こちらの変更内容は、私どもの中期計画(案)の本文にもすべからく踏襲してお出ししている状況です。ですので、本日は、資料1-2の1枚紙の表裏に中期計画(案)の内容を書かせていただいておりますが、こちらの資料をベースにして、私ども機構がこの5年間、高年齢者雇用関係業務、障害者雇用関係業務、職業能力開発業務において、具体的な取組でどのようなことをやっていくのかについて、一番下に参考の形で、令和5年度における主な取組を記載していますので、それも併せて御説明をさせていただきます。
 まず、簡単に、資料1-2の表面の構成について御説明します。一番上段については、先ほど厚生労働省の小宅課長から御説明いただいたように、機構に対して、次期中期目標期間の5年間で、どのような対応をしてほしいかという方向性を書いております。その課題を踏まえ、具体的に中期計画(案)で行うTo Doの部分については、スライドの真ん中の部分に、次期中期計画(案)に記載した、今後の5年間で、高年齢者、障害者、職業能力開発業務で具体的に行っていくものの柱の概要を書かせていただいています。
 さらに、その下段に令和5年度の取組と書いています。次期中期計画は5年間の内容で、若干、内容が抽象的な面がありますので、中期計画(案)に書いてある内容ではないのですが、参考まで、中期計画を踏まえて、令和5年度に、高齢、障害、職業能力開発の各業務について、どのようなことをやっていくかについて記載しております。そちらも併せて御説明させていただきます。
 まず最初に、資料1-2の1ページ、高年齢者雇用関係の業務について御説明いたします。高年齢者雇用関係業務については、皆様、御案内のとおり、令和3年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務とされていますが、私どもは、こちらの改正法施行前の令和2年11月から、70歳までの就業機会の確保が適切に講じられるように、事業主への相談・援助等を先行して始めているとともに、給付金の支給等の支援を行ってきています。
 そして、高年齢者の方が年齢に関わりなく個々の希望に応じて多様な働き方が選択できる環境を整備するため、先ほど厚生労働省からお示しのありました、次期中期目標期間における主な課題を踏まえた対応に基づいて、スライドの高齢者の部分に主な取組を3点挙げています。1点目は、70歳までの就業機会の確保について、事業主等の自発的な動きを広げるための給付金の支給を適正かつ効率的に実施すること。2点目が、70歳までの就業機会の確保に向けて、70歳雇用推進プランナー等による専門的・技術的な相談・援助を実施すること。3点目は、生涯現役社会の実現に向け、高年齢者雇用の促進に関しての社会全体での気運の醸成を図るための啓発・広報活動を実施すること。大きな柱として、3点を中期計画に書かせていただいています。
 これについて、具体的な取組の方向ということで、この下の欄です。令和5年度で高年齢者の雇用関係業務をどう進めていくかについて御説明いたします。まず、1点目については、私どもはオンラインをしっかりやっていかなければいけないと捉えており、事業主の方の負担軽減及び利便性の向上に資するため、オンライン申請の機能を搭載した高年齢者の助成金システムの構築を進めたいと考えております。現在も、システムの要件定義等はある程度固まっており、来年度以降、システム構築の業者を決定し、システムの構築を進めていきたいと考えております。
 2点目は、これまで、65歳超雇用推進プランナー等により、事業主にいろいろな制度改善提案を行っていたのですが、70歳雇用推進プランナーと名前を変えた上で、次期中期については、これまでの従業員31人以上の企業から、従業員21人以上の企業に対象を拡大して、より小規模な企業にも70歳までの就業機会の確保に向けて相談・援助を進めていきたいと考えております。また、65歳までの雇用確保から70歳までの就業機会の確保へと軸足を移していく中で、多くの企業が直面すると考えられる、総額人件費増大への対応、そして、高齢労働者のモチベーションの確保といった課題に的確に対応できるように、相談・援助に当たっては、賃金・評価制度をはじめとする高年齢者雇用のための技術的助言の実施に重点をおいて、具体的な制度改善を展開していきたいと考えております。
 3点目としては、啓発広報活動として、人口減少・少子高齢化が進む中、生涯現役社会の実現に向けて、引き続き、「高年齢者活躍企業コンテスト」や「シンポジウム」等を開催し、開催した内容については、ホームページやYouTubeの動画などという形で広げていきたいと考えています。
 続きまして、真ん中の欄で、障害者雇用関係業務について御説明いたします。近年、障害者雇用の取組は着実に進展しつつありますが、障害の有無に関係なく、希望や能力、適性等に応じて活躍できる社会の実現に向けて、先ほど厚生労働省からもありました次期中期目標期間における主な課題を踏まえた対応に則して、スライドに、次期中期計画における主な取組として4点書かせていただいています。
 1点目は、個別性の高い専門的な支援を必要とする障害者(精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者等)を中心に、求職中・在職中の支援や、休職中の復職支援等、障害者に対する専門的支援を着実に実施すること。2点目は、企業が抱える課題に対応したプランを提示する提案型事業主支援等、障害者雇用を支える企業に対するオーダーメード型の支援を実施すること。3点目は、「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修」を新たに実施すること。4点目は、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用納付金制度に基づく助成金支給業務の適正な実施です。
 こちらの大きな4本の柱について、令和5年度における取組の方向性を簡単に御説明いたします。まず1点目、障害のある方に対する支援については、個別性の高い専門的な支援を必要とする方を中心に、求職活動中の方への就職支援に加え、在職中の方が少しでも長く働き続けられるように支援すること。さらに、一時的な疾病等で企業等を休んでいる休職者の方々に対して復職支援を行うなど、障害者の方のキャリアのいずれのステージにおいても、希望や適性に合わせた働き方が実現できるよう、引き続き全都道府県に設置されている、地域障害者職業センターが専門的な支援を着実に進めていくこととしております。
 2点目の事業主支援ですが、障害者での質の高い雇用が求められる中で、第5期の中期目標等においては、個々の企業が抱える障害者雇用の課題に対して、全国全ての地域センターで、様々な支援プランを提示する提案型事業支援を実施していくことを考えております。また、外部専門家である障害・疾病に詳しい医師や、障害者を多数雇用する企業の人材担当者などとも連携した支援を行うなど、企業のニーズに一層即したオーダーメード型の支援も強化をしていく予定です。
 3点目の就労支援機関への支援については、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業者といった地域の就労支援機関が、自立的に支援を行っていけるように、地域の就労支援人材の育成を通じて、地域の就労支援の基盤を整備していくことが、一層求められている状況ですので、まずは、地域センターにおいて、これらの就労支援機関に対して、積極的に助言・援助を行っていく予定です。また、新たに今後、雇用と福祉の両分野の就労支援人材に対して、「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修」を実施していく予定ですが、令和5年度においては、この研修をはじめ、就労支援人材の研修体系全般や研修カリキュラムの検討など、機構本部を中心に、今後も新たな研修の実施に向けた必要な準備を進めていく予定です。
 4点目の障害者雇用納付金については、収納率が99%を超えているわけですが、引き続き、障害者雇用納付金制度の周知や、未申告・未納付事業主に対する督励等を的確に実施していきたいと考えております。
 続きまして、右側の職業能力開発業務について御説明いたします。職業能力開発業務については、引き続き雇用のセーフティネットとしての機能を発揮しつつ、DX、GXの進展といった大きな変革の中で、中小企業等の生産性や技能・技術の向上に必要な人材の確保、育成の支援を進めていくために、先ほど厚生労働省から御提示のあった、次期中期目標期間における主な課題を踏まえ、スライドで4点書かせていただいています。
 1点目は、引き続き、雇用のセーフティネットとしての離職者訓練をしっかり実施していくこと。2点目は、地域職業能力開発促進協議会の議論を踏まえた職業訓練コースの設定、安定的かつ長期的な就労につながるカリキュラムの開発及び訓練の実施等をすること。3点目は、ものづくり分野における職業訓練の実施に加え、DX・GXに対応した職業訓練の実施、職業訓練コースの開発・充実、訓練内容の見直し、職業訓練指導員へ新たな知識及び技能・技術の付与等をすること。4点目が、生産性向上人材育成支援センターにおいて、中小企業等の課題解決に向けた事業主支援を実施すること。この4点を挙げております。
 これら4点について、令和5年度における取組の方向性を御説明いたします。まず1点目は、ものづくり分野におけるDXやGXに対応した職業訓練を実施していくこと。2点目は、改正職業能力開発促進法に基づき、国及び都道府県が開催する地域職業能力開発促進協議会の議論を踏まえながら、職業訓練コースの設定等に努めるとともに、訓練受講後に安定的な就業や長期間的な就業につながるという観点から、訓練カリキュラムの開発等を初年度からしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 3点目は、これまでの第4期では、第4次産業革命に対応した職業訓練コース、電気・電子系の科目を中心に展開していたわけですが、この間の技術革新の新技術も踏まえながら、新たな今後5年間においては、機械系、電気・電子系、居住系と、大きく3本柱の分野で訓練を展開していますが、それらの全ての系統において、IoTやAIといった要素を含む、DXやGXに対応した職業訓練コースの拡充に向け、既存カリキュラムの点検、訓練内容の見直し等を行い、順次、訓練を拡大していきたいと考えています。
 4点目は、中小企業の支援です。DX・GXという大きな変革に加え、物価高騰に伴う構造的な賃上げが求められる中、中小企業等の生産性や技能・技術の向上に必要な人材の確保・育成の支援を進めるため、引き続き、個々の中小企業等が抱える課題に寄り添いながら、生産性向上人材育成支援センターにおいて、課題解決に向けた必要な支援を一貫して実施していきたいと考えております。
 中期計画(案)における、高齢、障害、職業能力開発業務の主な取組については、以上です。
 続きまして、裏面について御説明をいたします。中期計画(案)では業務以外に、第2の業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置から第7のその他主務省令で定める業務運営に関する事項について記載するとなっていますが、裏面には、それらについて包括的にまとめて記載しております。このうち、第2の業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置と、第6章のその他業務運営に関する重要事項については、基本的に国の中期目標(案)と同様の記載をしておりますので、次期中期目標期間からの新たな取組のポイントになるところだけ御説明させていただきます。
 まず、非常に財政が厳しい中で、第2の2、業務運営の効率化に伴う経費削減については、引き続き、業務効率化を通じ、一般管理費の節減、業務経費の節減にしっかり努めていきたいと考えております。
 下にいっていただくと、11と12が赤字になっています。中期目標にもありましたが、独立行政法人の目標策定に関する指針が、私どもの第4期の中期計画・中期目標ができた後に改正され、新たにこの点についてもきちんと入れるようにと指針が見直されたことを踏まえ、具体的には、法人の長によるトップマネジメントに関する取組、人材確保・育成方針の策定が求められています。これを踏まえ、内容を変更させていただいております。
 まず、11の内部統制の充実・強化についてです。こちらは、もともとは、法人の長がリーダーシップを発揮して、法人の役割・目標等を組織内の各階層に浸透させることが重要であるとされており、その中で、中期目標(案)では、私どもの内部統制の充実・強化をするようにという内容が盛り込まれています。それについては、右側に図を書かせていただいています。私どもとしましては、内部の総務部と内部監査室の二元体制で、不祥事等が起きないように、しっかりと内部統制体制を講じているということです。また、具体的な業務において、きちんと理事長がリーダーシップを発揮して組織内の各階層に浸透させる、そういった業務も大変重要と考えております。こちらについては、中期目標(案)・中期計画(案)には書かれていませんが、私ども機構では、月1回、理事長と理事長代理の下に、担当の役員、業務担当の部長が集まる事業連絡会議を開催しております。こちらの会議で、中期目標という形で国から示された指標がきちんと目標達成できているのかどうかということで、PDCAの一環として、各業務の目標達成の状況や現場の課題、現場の企業にどのようなニーズがあるかなどについて、毎月、理事長に報告しています。その報告を踏まえ、理事長から直接、各担当部に対して取組を指示するなど、こういった形で、理事長のリーダーシップの下、業務面のほうのマネジメントもしっかりできる体制を講じております。
 2番目の12の人材の確保・育成についてです。機構においては、障害者職業カウンセラーや職業訓練指導員といった専門職、そして、専門職と協力しながら幅広い業務を支える事務職の確保・育成が、私どもが政策の課題をしっかりこなしていく上で大変重要な課題であるということを踏まえ、人材確保・育成方針を次期中期目標期間中に策定して、業務をより効率的かつ効果的に遂行するための人材の確保、専門性の向上につなげていきたいと考えております。
 それ以外、左側に小さく書いていますが、第3の予算、収支計画及び資金計画については、5か年の予算規模等を示すのですが、現在、まだ関係省庁と協議中ということで、現時点で具体的な案を示すことができません。最終的には、中期目標に基づく5年間の予算、収支計画、資金計画を記載する予定です。また、第4の短期借入金の限度額から第6の剰余金の使途については、おおむね今の中期計画と同じ内容を書き込む予定です。さらに、第7のその他主務省令で定める業務運営に関する事項についても、項目としては、人事に関する計画、施設整備に関する計画、積立金の処分に関する事項が定められていますが、そちらも、基本は第4期等をおおむね踏襲する形で書いていきたいと考えております。機構の中期計画(案)の御説明は以上です。
 
○今村主査
 ただいま、中期目標・中期計画(案)を続いて御説明いただきました。本日は、これを併せて同時に議論していただきます。皆さん、中期目標・中期計画を御覧になって、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。資料としては、それぞれ目標と計画の概要が資料1-1と資料1-2です。本文、案は、中期目標が資料2-1、中期計画が資料2-2、最後に、対照表がWebサイトに上がっていまして、中期目標の新旧対照表、中期計画の新旧対照表があります。いかがでしょうか。かなり内容が豊富で、詳細にわたっていますので、簡単には把握できないかもしれませんが、どうぞお願いします。
 では、最初に私がお伺いしたいことがあります。参考資料7の11ページですが、独立行政法人の総務省のほうから留意事項として3つありまして、1が、中小企業等におけるDXやGX等の新たなニーズへの対応、2が、障害者雇用支援について、支援プログラムや事業者への障害者雇用に関する助言その他の援助の充実、3に、オンラインによる助成金の申請等についての仕組みを分かりやすく使っていただけるようにと、この3つが提案されています。そこを起点として、中期目標、中期計画をお書きになったという理解でよろしいでしょうか。そういう立て付けでよろしいでしょうか。
 
○雇用開発企画課長
 そういうことを踏まえております。
 
○今村主査
 どうぞ、皆さん、お気付きになったことなど御自由にお願いいたします。
 
○安井構成員
 御説明いただき、ありがとうございました。質問は幾つもあるのですが、2点に絞りまして、時間が余れば残りは後ほど御質問させていただければと思っております。
 資料3-2について御質問いたします。13ページの4の職業能力開発業務に関する事項ですが、第4期と第5期の中期計画を比較しますと、第4期で(1)②としてあったものが、第5期の(1)①に移っております。つまり、「ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング」が最初の項目に移されています。これは、リスキリングをしていく上で、まずキャリアコンサルティングを受けて、どういうことを学び直していったらいいのかを整理してみるということが重要だ、又は、そういう学び直しをする前に、まずはコンサルティングを受けて、スキルの棚卸し等をしたほうがいいというお考えが表されたものなのかと推察されます。このキャリアコンサルティングは(1)でも書いてありますし、(2)の高度技能者の所でも、①にキャリアコンサルティングの実施ということが書いてあるように、かなり重要な機能を果たされるのだと存じますが、すでに新聞にもいろいろ取り上げられていますが、キャリアコンサルタントの処遇が低いことや、かなり高年齢化していることから、最先端のデジタルの分野については、彼ら自身のスキルがキャッチアップできていないという問題が指摘されています。形だけを作っても、キャリアコンサルタントのスキル向上が伴わないと、なかなか職業能力開発の実効性も上がってこないというところなのですが、この辺については、どのように改革されようとしているのでしょうか。これが1点目です。
 2点目です。同じページの指標1で、「訓練修了後の3か月時点の就職率」を目標にされています。先ほど来、地域職業能力開発促進協議会の話が出ていて、協議会での議論を参考にしていくということですが、私もある都道府県におけると地域職業能力開発促進協議会の議事録を拝見したところ、「就職率だけでは指標として不十分なのではないか、その後の定着率も重要なのではないか」という有識者の指摘がございました。追跡調査をして、就職できたことはよかったのだけれども、その後にすぐに辞めてしまうということがあるのであれば、その事実を踏まえて訓練内容を不断に改善していくということが求められると思うのですが、その点はいかがでしょうか。この2点について教えていただきたいと思います。お願いします。
 
○人材開発政策担当参事官
 厚生労働省の人材開発政策担当参事官でございます。私からお答えしてよろしいでしょうか。
 
○安井構成員
 お願いいたします。
 
○人材開発政策担当参事官
 2点、御質問をありがとうございます。キャリアコンサルティングについては、安井先生から、中期計画の記載を踏まえて御指摘いただいた内容だと思います。機構で独自にやっていらっしゃるとすれば機構にもお答えいただきたいと思いますが、私からは、キャリアコンサルタント全体の施策の状況の中での先生の問題意識について、御回答いたします。
 キャリアコンサルタントについては、先生御案内のとおり、非常に重要なお話で、特に個人の今後の自律的・主体的なキャリアを形成するためにも、こういった専門家に、今までのキャリアの棚卸し、今後のキャリアの向かう方向等について相談していくことは非常に重要だと思っています。機構の訓練だけではなくて、ほかの職業訓練も含めて、この仕組みは非常に重要ではないかと考えております。
 キャリアコンサルタント自体の処遇の問題、これは機構と言うよりは、全国に6万人以上おりますが、キャリアコンサルタント自体の処遇の問題は、確か昨年の通常国会でも議論がございました。我々としては、処遇を上げていくためには、キャリアコンサルタント自体の業務の必要性を更に高めていくことが重要だと思っています。そのためには、こういう訓練機関、需給調整機関の中での役割、企業内の役割というものを、我々がもっと周知していかなければいけないと思っております。
 また、果たしてIT等の新しい分野や動きについて、きちんとキャッチアップできているのかという御懸念もございました。これについては、実は、キャリアコンサルトというのは、1回試験に受かれば、ずっとそのままキャリアコンサルタントということではなくて、これは期間限定です。ですので、研修を受けて更新しないと、キャリアコンサルタントは続けられなくなっています。この更新制は5年間です。5年ごとに更新講習を受けないと駄目なことになっています。それは、正に安井先生がおっしゃったように、キャッチアップしていかないと、なかなか実際の労働市場の動きに合わせた的確な相談ができないということから、そういった制度になっているということです。こういった制度も活用しながら、また、その中の研修の内容も充実させながら、さらに、処遇の問題についても、これは厚生労働省の課題ということで、引き続き取り組んでいきたいと思っております。
 2点目についてです。今回、就職率については、これまで機構は80%以上という目標だったのですが、今回は人口構成も踏まえつつも、今は人への投資とかキャリアアップというのは重要なものですから、そういったものを踏まえて、82.5%という数字を挙げさせていただきました。
 確かに、就職は一番重要だと思っています。就職できないような離職者訓練は難しいものですから、これは基本中の基本の数字だと思っているのですが、安井先生がおっしゃったとおり、当然それは安定的な雇用、就労につなげる必要があると思っております。そういう意味で、今回の中期目標の中に、これも前回に御指摘いただいたと思うのですが、そういった文言をカリキュラムの見直しなどに併せて付け加えたと先ほど雇用開発企画課長の説明の中でも触れさせていただきました。ですので、カリキュラムの改定とか見直しについては、地域職業能力開発促進協議会の中で、実際にカリキュラムの検証を今後やっていこうと思っております。そういう中では、当然、機構の訓練も対象になってくると思いますし、機構は専門機関ですので、そこは機構独自に、雇用の安定、就業に結び付くような形で、カリキュラムの更新等をやっていただきたいと思っております。
 そういったものも踏まえまして、中期目標の中に、資料2-1の15ページですが、「訓練受講後に安定的な就業、長期的な就業につながる観点からカリキュラムの開発等を進めていくこと」にするという、正に定着率のような、今御指摘いただいたような問題意識を踏まえて、この項目を入れさせていただきました。
 ただ、数値目標となると達成しなくてはいけないものですから、これについては、まずは就職率、その上で、更に定着に結び付くような形のこういったカリキュラムの開発という形で、両方を併せ読みしていただければと思っております。厚生労働省からは以上です。
 
○今村主査
 機構のほうはいかがでしょうか。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 JEEDの求職者支援訓練部長の須摩です。私から回答させていただきます。まず、1点目のキャリアコンサルティングの話です。私どもの能力開発施設には、就職支援アドバイザーという形で、それぞれ訓練生と相対して、就職支援やキャリアコンサルティングを実施していく職員を配置しております。
 私どもは、以前から、就職支援というものを重視しておりまして、離職者訓練であれば、例えば6か月の訓練の中で、それぞれの段階に応じて、将来の設計をどうするとか、どういう考えであるかということについて、受講者と個別に対応しながら相談し、就職支援につなげていくという形で実施しておりまして、何とか高い就職率を維持しているところです。最近の「人への投資」であるとか学び直しと叫ばれる中、また、多様な働き方が重視される中、キャリアコンサルティングの必要性はますます重要になると考えているところです。
 もう1つの地域職業能力開発促進協議会については、ただいま厚生労働省から説明があったとおり、今後、ヒアリングであるとか、地域のニーズを吸い上げる機能を強化していくということで、各地域の協議会に私どものポリテクセンターの職員も参画するということになっていますので、一層力を入れて取り組みたいと考えているところです。以上です。
 
○安井構成員
 いただいたご回答について私の理解が正しいかどうか整理させていただきますと、まず、キャリアコンサルタントの処遇については、世の中のキャリアコンサルタントに対する認知度が高まっていく、有用性が高まっていくという中で、今後、処遇を上げていかれるということですね。需給調整機関で働くキャリアコンサルとの処遇は国が決められるものですから、厚生労働省が予算を引き上げていかないとできない話です。ただ、そこは世間の理解を得ながら厚生労働省がキャリアコンサルタントの処遇を引き上げていくということを考えていらっしゃるのだと理解いたしました。
 それから、5年の更新研修についても、そこを工夫されるということは、5年の研修時の講座として、デジタル関連の講座を提供することによって、キャリアコンサルタントの知識を向上させていくことと考えていらっしゃるのだと理解しました。
 また、定着率については、数値は出さないのだけれども、カリキュラムの部分を見直していくということなので、何らかの形で定着率のデータも取りつつ、明示的に目標に設定はしていないのだけれども、そのデータを踏まえながらカリキュラムを修正していくというように考えていらっしゃるのだと理解致しましたが、そういった理解でよろしかったでしょうか。
 
○人材開発政策担当参事官
 厚生労働省です。基本的に安井先生の御理解のとおりだと思っています。最初のキャリアコンサルタントですが、需給調整機関はハローワークだけではなくて、民間の需給調整機関も入ってきますので、処遇は国だけで決められるものではございません。そういう意味で、キャリアコンサルタント全体の必要性と言うのでしょうか、こういうキャリアコンサルタントに相談をしたいと皆さんが思ってくれるようになってくる、需要が高まれば、当然、供給の必要性も出てきますので、そういった中での処遇の向上というように考えています。
 2点目のほうは定着率です。カリキュラムの所には、先ほども申し上げたとおり、新たに「安定的な就業、長期的な就業につながる」と入れました。具体的にここをどのようにやっていくのかですが、当然、データできちんと見ていくという部分もありますし、データ以外で検証していくというところも出てきますので、私どもとしては、機構だけではなくて、全体の訓練を所管しているものとしては、その辺りの工夫は引き続き検討しながら、日々やっていきたいと思っています。また、機構のほうでも、定着率をどうウォッチしていくのかという部分については、今後、この目標を踏まえて検討していただければと思っています。以上です。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。
 
○今村主査
 土井委員、よろしくお願いいたします。
 
○土井構成員
 今、御説明していただいた中で、目標のところでDXとかGXに対応した職業訓練を実施するということは、非常に重要なことだと思います。それに関連して2点あります。
 1点目は、資料1-2の1ページの職業訓練の所です。右下の3つ目の○に「IoTやAI、ZEH等」と書いてあるのですが、ある意味IoTとAIというのはツールで、ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスなので、これはどのようにゼロ・エネルギーのハウスを作るかという話で目標になっていて、この3つが横並びになっていると、非常に違和感を覚えたのです。一方で、資料3-2の新旧対照表の中には、この単語が余り入っていないのですが、この違和感はどういうものなのかというのを教えていただきたいと思います。
 2点目です。資料1-2の2ページに人材の確保・育成というところを書いていただいていて、そういう意味で、これは非常に重要だと思うのですが、一方で、職業訓練としては、DXとかGXを行うとしていて、ガバナンスを強化すると言っているのに、人材の確保・育成の中で、機構自身の人材に対して、DX、GXの教育をどうリスキリングするのかについて触れられていないので、こういう話の……ならないようにするというのは非常に重要なことだと思います。ガバナンス・コントロールを進めていくということも、DX化していただくのは非常に重要だと思うのですが、その辺りは具体的にどのように検討されているのか教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 計画のほうですか。
 
○土井構成員
 計画です。
 
○今村主査
 機構のほうからお願いします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 まず、1点目のIoT、AI、ZEHについてです。計画の本文のほうには具体的なこうした内容はないのですが、具体的にどういう訓練をやっていくのかを分かりやすく書いたほうがいいのかなということで、訓練の内容の中身を、3つほど羅列させていただいたところです。確かに、IoTとAI、それとネット・ゼロ・エネルギー・ハウスというのは違うのですが、訓練の中に、こういうものの要素を入れさせていただくという意味で、書かせていただいた次第です。
 それから、DXに関しての職員の技能・技術の向上に関してです。今中期計画の第4次産業革命に対応した訓練というものの中でも、職員に対して、原則、全指導員に対して、指導員研修を実施しております。DXとなりますと、また違う技術の高度化等が必要になってきますので、DXに対応した指導員研修も今後どういう形で進めていくかを検討している最中です。以上です。
 
○土井構成員
 御説明ありがとうございました。2点目のほうは今の御説明で理解できました。
 1点目のほうで気になったのですが、DX、GXというのは、達成すべきゴールに向けて、AIとかIoTのツールをどのように使っていくか、そのための全体のフレームを考える、部門間にまたがってデータ連携するとか、そういうことが重要になってきますので、是非、リカレント教育のときには、その辺りをきちんと習得していただけるようなカリキュラムを検討していただければと思います。単に部門ごとでデジタル化しても、それは全然DXにはなりませんので、その辺りを是非よろしくお願いいたします。以上です。
 
○今村主査
 今の土井構成員の質問に関連してですが、この機構の場合には、ものづくりのDX、GXをメインに置いておられるのですが、例えばソフトウェアとかシステムというのは、ものづくりに入るのでしょうか。
 
○土井構成員
 入ります。今は半導体でも何でも、ソフトウェアはローコードなので、書く必要はないのですが、それをどのように制御に使っていくかは理解しないといけないので、非常に重要です。
 
○今村主査
 機構の関係にお聞きしたかったのですが、そういうことを念頭にして、ものづくりにおけるDX、GXと書いておられるのか。
 
○土井構成員
 今までだと、何々はと言って、全部分かれて作っていたのですが、それをつなげるところが非常に重要になってくるので、システム的な観点の中でそれぞれの部品を作っていくということが非常に重要になってきて、それを結び付けるのがソフトウェアなので、その辺りをきちんとやっていかないと、いつまでも日本は下請から脱することができないと思っています。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 正にそのとおりで、その視点から、機構若しくは所管課のほうに、今後のものづくりというものの定義について、もう一度確認しておきたいのですが。
 
○人材開発政策担当参事官
 厚生労働省から答えますので、補足があれば機構からお願いいたします。
 今、土井先生がおっしゃったとおり、正にそういう視点が必要だということで、今期の中期目標、第4期の中期目標では、それを我々は「第4次産業革命に対応した」という形で、職業訓練コースに入れました。その中では、例えば離職者訓練だったら、スマート生産サポート科とか、IoTシステム技術科という名前で、プログラミングも含めてやっていくという話だったのですが、今はデジタル・トランスフォーメーションでいくと、あらゆる分野がそういうデジタルという話になってきます。当然、ソフトウェアも分からないといけない、そういうのもやらないとついていけないという部分がございますので、ほかの訓練コースも含めて、そういったようなカリキュラムの見直しをしています。その中には、単にデジタルを学ぶというだけではなくて、デジタル技術を活用した業務改善、横のつながりとかのスキルを身に付けるようなカリキュラムの見直し、それを教えられるような指導員の養成、正にそれはリスキリングかもしれませんけれども、そういったものをセットでやってほしいというのが、次期の中期目標で機構にお願いしている内容と理解しております。
 
○今村主査
 目標の本文の12ページ、4の職業能力開発業務に関する事項の(2)の高度技能者の養成のための職業訓練の実施の前に、「DX、GX技術を活用して活躍できる人材として必要な知識・技術等を身に付けさせることが必要であり、そのための新たな職業訓練カリキュラムや訓練教材の開発等に加え、職業訓練指導員への新たな知識及び技能・技術の付与、訓練機器等の整備を含めた体制整備に対応することは相当な努力を要するものである」と書いてあります。先ほど検討中とおっしゃっていましたが、この辺りの御準備、対応は大丈夫なのでしょうか。改めて、念のために確認しておきたいと思います。
 
○人材開発政策担当参事官
 正に座長に御指摘いただいた部分が、我々の思いでございます。ここについては、今期の中期目標でも一定程度はやっているのですが、我々は、次の5年間に当たっては、当然これはお願いしたいと思っています。
 この職業訓練指導員への新たな知識及び技能・技術の付与の辺りについては、そのための情報収集、カリキュラムの内容を指導員に教えていくという一連のものがございます。今もやっていますが、その中身をこの5年間できちんとキャッチアップしてやってほしいというのが1つです。あと、訓練機器等の整備も含めた体制整備になってきますと、恐らく、機構の訓練内容もありますが、我々のほうも予算、お金の面も含めてサポートしていかなければいけません。いずれにしても、この辺りは、人への投資と言われている中で、我々も喫緊の課題、緊急にやらないといけないと思っていますので、そこの辺りは機構とも緊密に連携しながら進めていきたいと思っております。
 
○今村主査
 予算を含めてということを伺って、少し期待をしたいところです。ありがとうございました。
 機構から何かありましたら、是非お願いします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 先ほども少し触れさせていただきましたが、指導員等に、より一層のDX、GXに対応する研修というものは確実に実施していきたいと考えているところです。
 
○今村主査
 ほかにございますか。
 
○酒井構成員
 先ほど手を挙げさせていただいたので、今の御議論を聞いて大体いいかなと思いましたが、せっかくですので手短に質問させていただきます。
 今しがた、DX、GXに関する御見解がありました。今回の目標及び計画で、DX、GXが明確に言葉として出てきたというのが、今回の計画(案)の中で新しいことなのかなと思いますが、傾向としては、これまでの目標、計画でも、そのような方向性は変わりないのかなと思います。
 私からの疑問ですが、DXというのは、これに対応した人材を育成していくのだということに関して、総論で反対する人はいないと思います。ただ、労働経済学などの観点から考えると、DXを進めるということは、長期的には雇用を奪う可能性も出てきます。それによって雇用が失われるという側面もあると思います。ですので、DXを進めるといったものに対応するようなコースというのは分かるのですが、そういった懸念もあることに関して、どのようにお考えなのか。片や、雇用のセーフティネットとしての職業訓練をうたいながら、DXを進めていくことに関して、どのようにお考えなのかということを確認しておきたいと思います。すなわち、ここでDXに対応したコースとか、DXに対応した人材というのは、どういったものを具体的に想定しているのかを確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
 
○人材開発政策担当参事官
 酒井先生、ありがとうございます。DX、GX自体は、正にトランスフォーメーションという部分がありますので、あらゆる分野において、デジタルの知識が必要になってくるのだろうと。それは、先ほどの議論からあると思います。これは、例えば離職者訓練を考えた場合、今後、何かしら雇用が失われるような機会があった場合は、離職者訓練を通じて職種の転換が必要になってくるわけです。その職種を転換する際に、就職できるために必要な職業能力を我々は付与しなければいけません。もしそれが古いままの技術だとすると、それが十分に達成できない可能性があるということを危惧したときに、正に就職可能性を高めるという内容から、職業訓練のカリキュラムをアップデートしていく必要があるのではないかと思っております。そういう意味では、ものづくりの分野でもデジタルが必要不可欠になってきているということです。また、GXのほうは、先ほど機構のほうは住居系の例を出していましたが、いろいろなものづくりの関係とか、電気関係とか、いろいろなことに広がっていく可能性もあると思います。
 我々は、この中期目標期間中は、機構とよく調整しながら、また、政府部内全体の動きもありますので、こういったものもフォローしながら、特に離職者訓練については就職可能性を高める、そのために就職率を目標にしていますから、就職できるような、アップデートした職業訓練コースを提供する。その中で、機構は、ものづくり分野について、そういったものをカリキュラムとして作っていくというところから、今回はこういう目標を書かせていただいているということです。
 
○今村主査
 酒井構成員の質問の中で、消え去る職業と残る職業についての質問があったと思いますが、雇用の維持ということで、どのような職業訓練をされるのかということです。
 
○人材開発政策担当参事官
 おっしゃるとおりで、正に新しい求人とか、今後必要となる産業に応じた職業訓練というものは提供していきますが、これは別に機構だけがやるわけではなくて、民間の力が必要になってきます。ですので、職業訓練政策全体は、民間の訓練サービスも委託訓練も含めてやっていきます。現在、受講者ベースですが、提供する職業訓練のうち78%が民間です。民間の会社とか専門学校とか、そういう民間教育訓練機関が提供しているような時代になっています。
 ですので、機構は、民間ができない分野について、アップデートしながら就職が可能な分野を提供する。また、民間ができる部分で、正に新しい求人等が出てきた動きに対応して職業訓練コースを迅速に開発できる力がある所を、迅速に職業訓練コースとして認定するとか委託するという形にしまして、そこはそこで離職者や求職者に対して提供していく。こういう二段構えというか、全体の中で職業能力開発行政をやっていきたいと思っております。
 
○雇用開発企画課長
 雇用開発企画課長です。若干、別の観点というか、補足させていただきます。全体の雇用を考えたときに、デジタル化で雇用が失われていくというような御指摘がございましたが、一方で、少子高齢化、労働力人口の減少ということがありますし、全体としての効率的な働き方という観点からは、デジタル化ということは避けて通れないのだと思います。ただ、全労働者が高度な技能が必要かということですと、それはその職業内容にもよるでしょうから、そういったの中で、その職務に応じて一定のデジタルの知識は必要だろうし、それに応じての訓練が必要になってくるのだろうと、雇用の安定の観点からも必要になってくるだろうと考えております。
 
○今村主査
 酒井構成員、よろしいでしょうか。
 
○酒井構成員
 大体大丈夫なのですが、例えばDX導入に当たって必要な人材というのは、確かに離職者訓練として有効なのかもしれないのですが、DXを導入し終わったら、そういった人材はまた長期的には必要なくなってくるとか、そういった視点も必要なのかなという思いがあって、質問させていただきました。以上です。どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 これ自体は、厚生労働省だけではなくて、経産省、文科省、幅広い連携が必要な問題でもありますので、引き続き御検討をお願いします。
 それでは土橋委員、お願いいたします。
 
○土橋構成員
 土橋です。今いろいろ出た話でもあるのですが、DX、GXについて重点的にやるということは、非常に時代の流れに沿っていると思うのですけれども、職業訓練ということで考えると、DXのほうは割と内容はイメージできるのですけれども、GXのほうは、GXにもいろいろあるとは思うのですが、少なくとも、今、各事業者あるいは社会が何をやるかを模索中という段階と思いますので、実際、計画段階でどのようなカリキュラムにするのか、その辺をどのように考えていらっしゃるかというところを、少しお聞きしたいと思います。機構さんのほうで結構ですので、よろしくお願いいたします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 JEEDの須摩です。現在は、GXに対応した訓練として、例えば2050年カーボンニュートラルということもありますので、太陽光発電や蓄電池、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、先ほど話に出たZEHのようなものを、具体的な省エネやカーボンニュートラルという話もある中で、訓練の中に取り入れていきたいと。また、実際、一部取り入れている部分もあるということです。DXを推進することは、省力化であるとか生産性の向上といった意味からも、GX対応に該当するものが出てくるということも考えているところです。以上です。
 
○土橋構成員
 DXもGXもそうですが、特にGXはいろいろと新技術は出てきたり、あるいは、方向性や考え方も時々刻々と変わっていきますので、どのような人材が求められるかというのも多分変わってくると思うので、その辺は、いろいろと関連の所から情報を集めながら、カリキュラムのほうもフィックスではなくて、常時検討を続けるというような体制にしていただければと思います。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。まだ時間が若干残っていますが、いかがでしょうか。いきなり御発言されても構いません。すみません、では、その間に埋め草で質問させていただきたいと思います。安井委員、お先にどうぞお願いいたします。
 
○安井構成員
 すみません、恐縮です。先にどうぞ。
 
○今村主査
 私の質問は、せっかく書いてあるので、この3つ、高年齢者と障害者と職業能力開発機構ということで、最初からシナジーをうたい文句にしているのですけれども、今回のDX、GXというのは、正にその3者がシナジーをもって情報共有したりスキル共有したりするという、良いチャンスだと思うのです。特に末端の市町村レベルで、どのぐらいシナジーを発揮して目標達成していくのかという組織内の準備状況を、機構のほうにお伺いできたらと思いますが、いかがでしょうか、シナジー効果の見通しについて。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 機構の企画部長の飯田です。主査から御質問のあったのは、各地方支部でどのようにシナジーを発揮していくかということですけれども、シナジーについては、まず、本部からこういった形でシナジーの取組をしてほしいということを指示する場合があります。これは従前から御説明しているように、例えば職業訓練の現場で、もしかすると障害があるかもしれないような方について、地域障害者職業センターのカウンセラーの方のノウハウを訓練の現場に活用して、円滑な訓練を進めていくというようなこと。あと、私どもでやっているのが、高齢、障害、職業能力開発は、全部事業主支援が関わってきています。そうなると、例えば雇用推進プランナーが、小さい企業も含めて、まずは70歳までの就業機会確保に向けて、いろいろなお願い、あるいは相談・助言をしていくわけですが、その際に、例えば70歳までに雇用を広げるのだったら、より生産性を高めなくてはいけないということであれば、私どもの在職者訓練を御紹介したり、あるいは、その中で、障害者雇用で困っているのだといったようなことがあれば、地域障害者センターを御紹介する。そういった、高障求の支援を一緒に情報提供するということですとか、あるいは、新中期のほうの期間においては、高齢と職業能力開発をリンクさせて、雇用推進プランナーが企業に行く際に、私どもの訓練の内容や私どもの職業能力体系、そういったことの知識をプランナーに付与することで、シナジーを発揮したいと考えております。
 そういった本部からのことと同時に、各支部のほうでも、やはり3つの法人が統合してから時間もたってきておりますし、新たに統合した後の法人で雇用された職員も大分増えてきています。そういった中でも、当たり前のように常に日頃からシナジーをどうやろうかという形で、実際の地方支部での取組も増えてきておりますし、私どものほうが、各地方支部から具体的なシナジーの取組を吸い上げて、それを好事例展開という形で、また全国の支部に展開しているということもやっておりますので、正にトップダウンとボトムアップの両方を併せて、それでシナジーでやっていくというように考えております。以上です。
 
○今村主査
 御期待申し上げたいと思います。たまたまですけれども、この後、私は5時から高齢者介護におけるロボットの活用をテーマに、日仏の介護イノベーション研究プロジェクトがオンラインであるのですけれども、正に介護とDX、GX、特にDXが関わります。それから、遠隔でロボットを操作して障害者がカフェなどで働くという技術もありますし、是非、その辺の幅広い知識をバックグラウンドにして、大いにマクロ、ミクロのシナジーを発揮していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 すみません、お待たせしました。安井委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○安井構成員
 ありがとうございます。実は2つ質問したかったのですが、1つはシナジーの話です。これは正に今ほとんど御回答いただいたのですけれども、高齢者が長く70歳まで働くときにはスキルの陳腐化が懸念されますので、そういった方に能力開発機会を提供していくというのは本当に重要だと思っております。ここに業務運営におけるシナジーの発揮ということを掲げていらっしゃるので、もし可能であれば、こういう中期計画の中に、そういった高年齢者雇用関係業務にも、こういう職業能力開発を支援するみたいなのを書かれてはどうかと思いました。それが1点目です。
 次が、先ほどDX人材を育成していく中で、機構は民間ができない部分を担うとか、また、主査がおっしゃったように、経産省や文科省とも関係しているということだと思うのですけれども、さわさりながら、この計画を見ていきますと、DX人材を8,000人育成するとか、DX、GXに対応するための受講者数を8,000人にするとか、そういった1,000人単位の少ない規模感なのかなというように見受けられます。ただ、御案内のとおりだと思いますけれども、岸田政権は2024年末までにデジタル人材を年間45万人育成できる体制を整備すると言っておりまして、正にこの計画期間の中に入るのではないかなと。その辺り、経産省、文科省、それから民間のデジタル人材の育成の計画とどのように平仄を合わせて、JEEDがこのようなやや小規模の計画を立てられたのかについて、教えていただけると助かります。つまり、45万人というオーダーに対して8,000人というのは、ちょっと少なすぎる印象があるのですけれども、いかがでしょうかという点です。
 
○人材開発政策担当参事官
 すみません、今の2つ目のほうのお答えは、厚生労働省からさせていただきます。今、安井委員から御紹介いただきました2024年の45万人、そして、確か2026年度末まででトータルで230万人のデジタル推進人材を育成するというのが、政府目標というか政府計画になっています。これは正に先ほど来から御議論ありますとおり、文部科学省ですとか経済産業省ですとか、あと我々厚生労働省の施策ですとか、こういったものをトータルで合わせた結果が、この230万人ないしは45万人なのです。ですので、ざっくり言ってしまいますと、ほかの省庁もありますけれども、大体この3省が、若干上下ありますけれども、ほぼ三等分で養成するのだというような感じの中身になっておりまして、先ほどおっしゃられた45万とか230万人の中の一部に、実はこの機構の目標が入っています。要するに、その数字の一部として今回の目標値を設定してお願いしているという次第です。
 ですので、数字自体は多いと思われるか少ないと思われるかあれですが、これは、離職者のレベルですとか在職者のレベル、あとは、ものづくり分野のレベルもあれば、そうでない、もっと違う分野とか、いろいろな分野があります、データサイエンティストみたいな方の養成も入ってきます。そういう意味では、各省がそれぞれの強みというのをいかした形で、この230万人の達成に向けて努力していくということです。例えば厚生労働省部分でも、職業訓練だけで養成するのではなくて、例えば各企業さんが自社の従業員をDXないしデジタルで育成するというときに、その経費を助成する助成金がございます。そういった助成金のようなものも、この人数の中に入っていますので、そういったものも考慮しながら、この目標値を見ていただければと思っています。以上です。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 機構のほうからですけれども、安井先生から御指摘のあった、シナジー効果を中期計画(案)のほうにより具体的に書くべきではないかということだったのですけれども、すみません、実は今御説明した内容は年度計画に書こうと思っていたのです。ちょっと検討させていただきたいと思いますが、心としては、そういう形で先ほどお答えさせていただきました。
 
○安井構成員 
 ありがとうございました。シナジーについてはよく分かりました。DX人材については、先日、2020年の国勢調査(就業者の産業・職業小分類別構成等に関する詳細な結果)が出されまして、デジタル人材(システムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者の和)についてみてみたところ、2020年は125万人、2015年は100万人なので、5年間で25万人、つまり年間5万人のペースで増えているという状況なのです。これを年間45万人にするのは、相当頑張らないと実現できない目標だなと思っています。是非、いろいろシナジーを発揮されたり工夫されたりして、達成していただければと思います。どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 今の機構からのお答えに対しては、厚労省のほうから、実際にデジタル人材は45万どころか70万人不足するとかいう数字がありますが、厚労省として、その辺のマーケット、労働市場の見通しについては、いかがですか。先ほど、政府の45万人の中に機構の数字が入っているという説明がありましたが、何か付け加えてありますでしょうか。
 
○人材開発政策担当参事官
 230万人の考え方自体は、これは経済産業省ですとか内閣官房のほうで考えていたのです。要するに、この230万人がデジタル人材全部というよりは、デジタル推進人材だという考え方です。推進人材と人材の考え方の違いは何かと申しますと、ある程度の人たちが増えてくると、その人材がほかの人材により影響を与えるのだと。それによって、更にまたデジタル人材が増えていくのだということを捉えて、デジタルを推進していくための先導的なというか、そういったような人材としてデジタル推進人材が230万人と言っています。ですので、多分、過去の経産省が出しているかもしれない70万とか、そういう数字と若干考え方が違っているところがあります。そこは、恐らく入っているところと入っていないところがあると思いますけれども、そういったような考え方の中で、その45万とか230万人、これはかなり野心的な数字だと我々も理解していまして、達成に向けて全力で頑張っていきたいと思っています。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。大分残り時間が少なくなってきましたが、どうぞ御発言をお願いいたします。関口委員、どうぞ。
 
○関口構成員
 ちょっと聞き漏らしてしまったかもしれないので確認なのですけれども、資料1-2の1ページ目の参考という所の3点目、「高年齢者活躍企業コンテスト」や「シンポジウム」などということで、昨年からかなり積極的にされているというイメージを持っていたりしますし、それから、昨年も機構で出された事例集などを入手して拝見したりしているのですけれども、そういったものをベースに、企業向けのカウンセリング、コンサルをされているということは、よく分かっているつもりです。また、『エルダー』等を通じて、いろいろ広く啓発活動をされているということは承知はしているのですけれども、今後の課題は、やはり雇う側だけではなくて働く側もいろいろな意識を持っている、いろいろな価値観を持っている人がいると思うので、その辺りについては今回はフォローの範囲になっているのかどうかというところを、ちょっとお伺いしたいと思っています。以上です。
 
○今村主査 
 お願いします。どちらがいいか。目標のほうですかね。
 
○関口構成員
 そうですね、どちらになるのでしょうか。中期計画の部分になってくるので、今後の目標になるのでしょうか。すみません、あいまいな質問になってしまって恐縮です。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事(三富)
 担当理事の三富と申します。よろしくお願いします。雇用されている側への支援につきまして御質問を頂きましたけれども、資料2-2、中期計画(案)の(2)①の「事業主等に対する効果的な相談・援助等の実施」の中に、プランナーが研修を行うというものが盛り込まれております。具体的に申しますと、オの所に「労働者に対して、その高齢期における職業生活の設計を行うことを容易にするための助言、援助」、「労働者が早い段階から自らの希望と能力に応じた多様な働き方を選択し実現できるよう、高齢期における職業生活の設計のための助言、援助を行う」という項目があります。事業主からの相談・援助の中で、雇用者に対する意識啓発、高齢期の就業に向けた意識改革及びコミュニケーションの見直し等々、労働者に対する研修の依頼があります。そうしたものにもプランナーが応えられるように、これは制度改善提案ではなく企画立案等サービスという形で既に事業化をしていまして、有料のメニューにはなるのですが、プランナーを通じて積極的に取り組むように働きかけているところです。以上です。
 
○今村主査 
 ありがとうございます。
 
○高齢者雇用対策課長
 高齢者雇用対策課長です。具体的な取組内容については、先ほどJEEDの理事がお答えになったことでお答えしたかと思いますけれども、この高齢者雇用の所に、中期目標のほうにも書いてありますが、先般の改正高齢法のコンセプトの1つとして、高年齢者が個々の希望に応じて多様な働き方を選択できる環境の整備ということを盛り込んでいます。高年齢者個々の希望に応じて多様な働き方を選択していただかなければいけませんので、そのためには、やはり労働者の側の意識付け、それを辞めるときではなくて早い時期から進めていく、そのための御支援が必要であるということをコンセプトとしては持っています。またJEEDともよく連携しまして、具体化を図ってまいりたいと考えています。以上です。
 
○今村主査 
 ありがとうございます。もう御議論、問題意識、御提案、きりがないと思いますので、あとは個々に厚労省の評価担当の方あるいは該当する機構の担当者に、直接御提案なり、フィードバックをしていただければと思いますが、いかがでしょうか。もし何かどうしてもということがあれば、最後にお願いします。
 もしなければ、この段階で一旦中断させていただきまして、法人所管課と法人本体から、ただいまの構成員からの意見を受けて、次期目標に向けてのアピール等を一言お願いできればと思います。まずは法人所管課のほうからお願いいたします。
 
○雇用開発企画課長
 雇用開発企画課長です。本日いろいろ御発言がございましたので、それを踏まえて対応したいと思います。いろいろ御意見を頂いたということは、それだけの期待を頂いているということだと思いますので、その辺を重々踏まえて対応をしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございます。では、法人のほうからいかがでしょうか。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
 JEEDの理事長の湯浅でございます。本日は、私どもの第5期の中期目標(案)それから中期計画(案)について御審議いただきまして、また貴重な御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。議論にありましたとおり、第5期は従前にも増して各分野とも重要な課題が山積しています。個々には申し上げませんけれども、先ほどのGXの議論に代表されるように、私ども全力で努力する所存でございます。御承知だと思いますが、人口減少、少子高齢化で労働力が不足いたしますけれども、この中においても、人の持つ想像力、これこそが国の発展の基だと思っておりますので、私どもは高齢者、障害者、離職者等の働く意欲のある方それぞれが、その能力を最大限に発揮できるよう環境を整備して、働き手一人一人がその能力、スキルを最大限に発揮するための支援、これをしていきたいと思っています。
 当機構としては、コロナで培いましたノウハウ、雇用支援に係るノウハウ、高い専門性を有する人材、それから、全国規模で展開する地方組織といった強みをたくさん持っていますので、これを使いまして国の政策課題の解決に貢献していきたいと思っています。周囲からの期待は、これまでになく高まっていますので、その責任に体が引き締まる思いでございます。御審議いただいた中期目標・中期計画(案)は、当機構の第5期の業務運営の重要な指針となるものでございます。本日頂戴しました貴重な御意見を踏まえつつ、利用者のニーズを的確に把握し、常に利用者目線で考え、当機構の創意工夫も発揮しながら、利用者本位の質の高いサービス、これを提供できるよう役職員一同全力で取り組んでまいります。委員の皆様、今後とも御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。今回DX、GXという言葉が中心になって登場したわけですが、DXも5年後にはどうなっているか全く分からないわけです。メタバース、アバターというのが注目されていますけれども、さらには、NFTを使って耳に聞こえない非可聴域でトークンを配って、そして分散型自律組織を作ろうとか、どんどん技術が進んでいますので、前広という言い方は変ですけれども、是非、先を見て機構に開発、調査の御努力を頂ければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、以上でよろしいでしょうか。議事のほうはこれで終わりにしたいと思います。あとは事務局のほうでよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 今村先生、どうもありがとうございました。事務局でございます。今後の流れにつきまして、簡単に御確認をさせていただきます。今後の流れにつきましては、会議の冒頭に途中まで御説明しました参考資料2をもう一度手元に御用意いただいて、御説明させていただきます。
 一番下の四角い囲みに、令和4年12月~令和5年3月、独立行政法人の次期中期目標・次期中期計画の策定とあります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の次期目標(案)につきましては、本日頂きました御意見を踏まえまして、必要な修正があれば修正等を行って、厚生労働大臣が総務省の独立行政法人評価制度委員会へ送付します。その後、同委員会において審議が行われまして、その審議の結果に基づいて出される意見を聞いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が確定されることとなります。
 一方、中期計画につきましては、確定した次期中期目標を基に次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣であります厚生労働大臣が内容を精査、及び財務大臣との協議を経て、年度内に認可するという予定になっています。
 確定しました中期目標と中期計画につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございました。繰り返しになりますが、今日は本当に多岐にわたる内容でしたので、何かありましたら、どうぞ事務局のほうにフィードバックを各委員からよろしくお願いいたします。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。今回はオンラインでの開催ということで新しいチャレンジですが、皆様、御協力いただきまして本当に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。では、これで終了とさせていただきます。失礼いたします。どうもありがとうございました。

(了)