第69回厚生科学審議会感染症部会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

令和5年1月23日(月)13:00~15:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 大ホール(7階)
 

議題

(1)新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけに関する論点整理
 

議事

    
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第69回「感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私は、本日議事進行を務めさせていただきます結核感染症課の杉原と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、前回と同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYouTube用の撮影資材のカメラ撮り以外は、議事進行に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御協力、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日は、新型コロナウイルス感染症における今般の状況を勘案しまして、ウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手をいただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、座長から指名されてから御発言いただくようお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしております番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。御出席の委員におかれましては、通信の確認も踏まえまして、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。五十音順に失礼いたします。
 今村委員。
 大曲委員。
 賀来委員。
 釜萢委員。
 越田委員。
 白井委員。
 調委員。
 菅原委員。
 谷口委員。
 戸部委員。
 中野委員。
 中山委員。
 成田委員。
 森田委員。
 山田委員。
 脇田委員。
 よろしくお願いいたします。
 なお、味澤委員、西山委員からは、御欠席の連絡をいただいております。
 また、大曲委員は途中で退席するとの御連絡を受けております。
 また、オブザーバーとしまして、全国保健所長会より内田様、全国知事会より國分様、全国衛生部長会より中澤様の御出席をいただいております。
 現在、感染症部会委員18名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
(カメラ退室)
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 議事次第及び委員名簿、座席表、資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料となります。不備がございましたら、事務局のほうまでお申し出ください。
 それでは、ここから脇田部会長に進行をお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、皆様、今年初めての感染症部会となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、議事に早速入ってまいりますが、各委員には事前に資料を送付、説明をいただいているところですけれども、事務局から簡潔に必要な部分について御説明をお願いいたします。
○江浪結核感染症課長 結核感染症課長の江浪でございます。私のほうから資料の御説明をさせていただきます。
 資料1でございます。「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけに関する論点整理」ということでございます。
 1枚めくっていただきまして、まず「感染症法上の位置づけの検討に当たっての前提」ということでございますけれども、新型コロナに関する知見、また、これまでの新型コロナ対策を踏まえまして、先般成立いたしました感染症法の改正法案の審議の過程で新型コロナの感染症法上の位置づけについて速やかに検討するという旨の検討規定が追加されたことを踏まえまして、この新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけにつきまして、御議論いただきたいということでございます。
 次のページでございますけれども、本日御議論いただきたい点、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについての検討ということでございますが、大きく3点御議論いただければと思っております。
 まず1点目が現在の新型コロナウイルスの特徴、あるいは「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられていることにより可能となっている措置などの観点から、感染症法上の位置づけの変更についてどのように考えるかという点が1点目でございます。
 2点目はこの位置づけの変更の検討に当たりまして、新型コロナの特徴、あるいは見直した場合の医療への影響なども踏まえて、どういった対策の検討が必要かという点でございます。
 3点目は位置づけの変更を行った場合の具体的な対応として、以下の5つの点につきまして御検討いただきたいというものでございます。この以下の5つの点に関しましては、次の3ページ以降にございますけれども、まず、法律に基づく入院勧告や措置、患者さんや濃厚接触者の外出自粛について見直すこととか、あるいは現在講じている公費支援などの対応についてどのように考えるかという患者さんなどへの対応という点でございます。
 また、次に医療提供体制ということで、これまでコロナの診療を行っていなかった医療機関の参画とか他の疾患との公平性などを踏まえて、位置づけ変更後の医療体制の在り方についてどのように考えるかという点でございます。
 3点目はサーベイランスということでございまして、位置づけを変更した場合に、季節性インフルエンザと同様に、定点による動向の把握に移行することが考えられるわけですけれども、変更後のサーベイランス体制をどのように考えるかという点でございます。
 4点目が基本的な感染防止対策ということでございまして、例えばマスクの着脱ということも含めまして、位置づけの変更後もウイルスの性質が変わるものではないことから、ハイリスク者を守るための一定の対策が必要という点もあるかということでございますけれども、どういった事項が必要と考えられるかということでございます。
 また、その他といたしまして、位置づけの変更、社会的に非常に広範な影響があるという中で、例えば国民の皆様への説明の在り方などについてどのように考えるか、その他ということでの論点でございます。本日はこの大きく3つの論点につきまして、御意見をいただければということでございます。
 参考資料といたしまして、資料2に論点ごとの関連資料、また、資料3といたしましてアドバイザリーボードにおきまして提出されました専門家からの提言2つとアドバイザリーボードにおける議論の概要を御参考としてお配りしております。本日はこの3点につきまして御議論いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局からの御説明を踏まえまして、委員及び参考人の皆様から御意見をいただければと考えております。本件につきましては、幅広い観点からの御意見をいただきたいと思っております。そのため、あらかじめ事務局から御連絡をしていますが、名簿の順番に従って指名をさせていただきますので、簡潔に御発言いただければと思います。ただ、今日御欠席の味澤委員から御意見をいただいていますので、事務局から代読させていただきます。よろしくお願いします。
○南結核感染症課総括調整官 味澤委員より御意見をいただいておりますので、事務局より代読させていただきます。
 代読いたします。
 意見集約の際、述べたとおり、基本的に5類移行は必然と思っています。しかし、東京都には以下のような事情がありますので、念頭に置いていただければ幸いです。東京都では、第6波以降、臨時の高齢者等医療支援型施設を設置し、現在約700床が稼働し、介護度の高い高齢者の受け皿として有効に機能しています。5類への移行に伴い、これら施設の設置の根拠が失われてしまいます。介護度の高い高齢者を守るため、臨時の医療施設を一定期間継続できるように対応していただければと思っています。
 以上になります。
 以上で代読を終わります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、順番に御指名させていただきますので、まず、今村委員から御発言をお願いしたいと思います。今村先生、お願いいたします。
○今村委員 今村です。私からは最初に5類への移行についてコメントします。最も重要なのは、単に5類にするということではなく、社会活動や生活を回復させながらも流行が続く中でいかに国民の健康を守りながら移行していくかということです。できる限り国民への医療提供に悪影響が出ないようにしつつ、うまく軟着陸させていく方法を図ることが本来の議論の焦点なのだと考えています。感染症の類型が変わってもウイルスが変わるわけではありません。今後も流行の時期や規模が予想できない状況が続くことが予想されています。したがって、5類へ移行していく上では、段階的な移行ということが具体的に何を指しているのかをしっかりと議論して、中長期的なプランを立てることが必要です。見えない感染者数が増加すれば、それにしたがって、入院を必要とする高齢者は増加するでしょう。類型の移行期には特に高齢者への対策を中心に、これまで有効に機能していた臨時医療施設のような様々な施策についても経過を見ながら段階的に解除していくことが望ましいと考えます。
 次に、マスクの議論についての意見を述べさせていただきます。感染症類型の5類には、もともとマスク着用に関する規定などは含まれていません。したがって、マスクについては、5類への移行とは別に検討すべき課題であると思います。
 さらに、マスク単独の議論ではなく、これからの新たな日常に向けた感染対策の一つとして、その他の対策とともに総合的に検討していく必要があると思います。
 マスクの着用にはエビデンスが存在しますが、外すことに関する科学的情報は乏しいというのが現状です。そして、まだ感染拡大している期間には、公共の施設内でも非常に感染リスクの高い場所も存在します。複数のアンケートの結果を見ても、まだマスクの着用を継続したい人も多くいます。医療者、介護関係者、家族に高齢者がいる人など、高齢者を守るために日常生活でも継続して感染をできるだけ避けたいという人もいるのです。それ以外にも、仕事の関係、受験生など、本人の希望によって屋内でも適宜マスクを着用したい人がいるということを忘れないようにしてもらいたいと思います。例えば、原則外すという言葉ではなく、つけたい人への配慮もある対応を希望しています。
 こちらからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。国際医療研究センターの大曲です。
 まず、この疾病の社会への影響という観点でありますが、厚労省のアドバイザリーボードでも議論がありましたけれども、この病気一般とインフルエンザ一般の比較、特に重篤性、死亡リスクの比較は極めて困難であるということでありますが、実際に医療が必要で検査を受けたという方で、なおかつ陽性となった方を取り出してみれば、その方々のいわゆる統計上の重篤性、あるいは死亡リスクは、確かにインフルエンザと近くなってきているというのは事実だと思います。下がってきているというところです。
 ただ、一方で、長く続く遷延する症状の問題がありますし、知見も出てきています、いわゆる続発循環器疾病等の問題、これに関連して起こる死亡というものがどうもありそうだというところで、これは大きな疾病負荷だろうと思います。これまでになかった疾病負荷であると、そしてそれが長く続くのだというところです。
 もう一つは、感染性が極めて高いので、やはり陽性者数というか罹患者数が極めて多いというところです。これも長く続く。これが医療への大きな負荷になると思います。
 ということで、この病気はやはり国民の生活と健康への中長期的な影響、そして結果的に起こる医療の負荷というのは、私は甚大だと思っています。負荷的には甚大なものだと思っています。これに公衆衛生上の対策ですとか、あるいは医療体制上の対策を積み上げて、付加的に行って、何とか支えているというのが現状だと思っています。
 現在の類型に関してなのですけれども、現在の類型があるがゆえに診断される場所、あるいは治療の場、特に入院の医療の場が現実的には限定されています。現状、医療を見ても、入院の病床にしても、これは広げないとなかなか厳しいというのが明らかだと思うのですが、そこの整備が停滞しているという状況はあると思っています。
 また、現在の類型があるからこそ隔離が必要であると、だから入院が必要であるといった入院はいまだにかなり多いと思っています。これがさらに上乗せなり医療への負荷となっているところはあると思います。
 また、いわゆる人権上の問題ですけれども、実態として感染はしているけれども診断はされていないという方が明らかに世の中に多くいらっしゃるだろうと思います。この方々は行政上の対応の対象とはなっていない。ただ、発生届の出た方々は、いわゆる隔離の対象となっているというところが現実にありまして、この矛盾はさすがに置いておけないだろうと思います。
 ということで、長くなりましたが、類型はやはり変更すべきだろうと思っています。類型を変更することによって、かなり人権上の問題、そして停滞する医療体制の整備が促進されて、もう一つは公衆衛生あるいは医療に生じているいわゆる追加の負荷が少しでも軽減するということが期待されると思います。
 ただ、やはり課題はあると思います。これからはもっと受け皿として受けていただける医療機関の幅を広げていく必要があると思うのですが、これにはやはり時間がかかると正直思っています。感情的な受入れの問題、設備、整備の問題、トレーニングの問題があると思います。ここはやはり一定の時間をかける必要があるだろうということです。
 あとは、結局これはコロナの追加の医療負荷であって、ここで消えないです。今までの医療のキャパシティーを超えてこの問題が起こっているので、こうしたものに対して底上げした分の公衆衛生対応、医療対応で必要なものはやはり当面継続が必要だろうと思っています。
 先ほど味澤先生からもお話がありましたけれども、例えば特別な背景のある方、高齢者ですとか、あるいは透析を受けていらっしゃる方ですとかの受入れは現実には難しくて、そういう方々は臨時の医療施設で実際に受けているというのが東京でもあるわけですし、ほかの地域でもあると伺っていますが、類型変更でそれらの措置ができなくなるとなると相当に現実に困るだろうと思います。ですので、やはり必要なものに関しては継続をする。段階的な削減というのはあると思いますが、どうしても今後継続的に必要な措置というものは絶対に出てくると思いますので、それは通常の医療体制に組み込む。そこに法律等の問題が出てくるかどうか、細かくはまだ存じ上げませんが、そういったところを考えております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、賀来委員、お願いいたします。
○賀来委員 賀来でございます。今日はどうもよろしくお願いいたします。
 以前の意見書にも書かせていただいたのですけれども、新型コロナの発生から3年間たって、いろいろなことのエビデンスも積み重ねられてきました。そういう意味では、重症化する方もおられるのですけれども、一般的には軽症の方も多いというようなことも含めて、5類への類型の位置づけの変更というのはある程度必要になってきている背景があると思います。ただ、この感染症は非常に特殊といいますか、先ほど今村先生、大曲先生も言われましたが、いまだに大きなインパクトがある感染症であることは間違いないと思います。新型コロナの特殊性として5点あると思うのですけれども、無症状や、あるいは症状が起こる前から感染伝播が起こりやすいこと。それから、やはり会話などの際に、口腔内からマイクロ飛沫やエアロゾルという伝播してしまうので、非常に伝播を制御するのが困難な感染症であるということ。それから、特にオミクロン株になって感染性が以前よりも増していますので、多くの方が感染する。そして、多くの方が感染した場合に一定の割合で、特に高齢者の方、あるいは基礎疾患を持っている方は症状が重症化する方もいるという点があります。また、短期間で変異株がどんどん出てきているという5つの特殊性があるので、こういった意味からは、5類への変更だとしても様々な点で大きなインパクトがある感染症であるので、様々な問題点をある程度しっかりと捉えつつ類型の変更、あるいはそれをサポートしていく細やかな体制づくりが必要になってくると思います。
 そういう意味では、一つ一つ検証しながら段階的に進めていくことも必要ではないかと思います。特に一定の割合で重症化する方、基礎疾患のある方もおられますし、先ほどからお話しになっているように後遺症の問題もあるので、こういったようなところの医療体制をどういうふうにしっかりとつくり上げていくのか。先ほど味澤先生からもありました、また大曲先生からもありましたが、いわゆる高齢者、介護施設などに入院している方が、この特措法が外れることでなかなかその方々を診られるところがなくなってくるというのは非常に大きな問題で、そういう中から亡くなる方も当然多くなってくると思われます。
 また、これが今後、新型コロナがどのようになっていくのか、完全に落ち着いていくのかどうか分からないので、これはまた後で谷口先生などからお話があるかもしれませんが、サーベイランスやモニタリングをどのようにやっていくのか。変異株についてもそうですけれども、そのような問題もあると思います。
 また、ワクチンや治療薬の自己負担の割合をどうするのか。今でもワクチンについてはなかなか受ける方が少なくなっている中で、自己負担となってきたときに、やはりかなりの割合で受けないという方も出てくるのではないかというように、予防や治療の面でも様々な課題があるかと思います。
 最後に、今回の5類の変更に当たってはマスクの議論があり、今村先生からもお話がありました。マスクについての国民の方の関心は非常に高いので、しっかりと議論しないといけない課題だと思われます。最後に、5類になることでどのような問題があるのか、あるいは課題があるのかということもしっかりと国民の方に説明していく。リスクコミュニケーションが非常に重要になってくると思いますので、5類に変更になった場合に国民の方が理解をしやすいように、ぜひとも丁寧な御説明をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、釜萢委員、お願いいたします。
 
○釜萢委員 釜萢です。新型コロナへの対応がもう3年を超える現状の中で、国も当初からできるだけの対応を全力で取り組んでこられたと私は認識しています。また、医療現場をはじめ様々な現場においてそれぞれの担当者が必死に努力し取り組んだ中で、現在までの総括としては、我が国の対応は諸外国に比べて決して劣っていないし、かなり優れた面があったということについて、ぜひ強調しておきたいと思います。日本のやり方はみんな悪くて何もかも駄目というような論評をされる向きもありますけれども、決してこんなことはないなというふうに私は感じます。
 これまでの経験を積む中で、コロナの対応のために新たに構築したいろいろな仕組み、先ほどの臨時の病床の話もまさにそうですが、類型の変更によって一気になくなるというのは、これはよくないと思います。したがって、仮に類型が変更されても、この部分は残したほうがよいという取り組みについては、しっかり今後も継続していく必要があるだろうと思います。コロナはすぐ消えてなくなることはなくて、今後も流行を繰り返してくるという見通しが今強いように思いますから、その辺りを含めて考える必要があるだろうと思います。
 医療提供体制については、コロナに対する医療の提供とともに、これまでどちらかというと少し犠牲になってしまっていたコロナ以外の医療あるいは診療体制ということについても、しっかりバランスを取って考えていく必要があります。その辺りのうまくバランスの取れる対応の検討がぜひ必要になります。
 その中で、多くの医療機関はコロナの対応に全力で取り組んできた一方で、対応できるのにあえて対応していない医療機関があるという指摘も見られます。状況を正確に把握できる身近な範囲では、対応の余力が大きく残っているところはほとんどみられず、仮に類型の変更が行われても、それによってコロナ対応がどんどん増える見通しは持てないと思います。
 その中で今後も新たな感染症の流行の拡大があったときに対応できるような日頃の準備、これはできるだけやらなければならない。もし新たに医療機関を開設するというような場合には診療所も含め、今後のこういう感染症の対応を、さらに今回の経験を生かしてよく考えた形できちんとつくっていくという取り組みはぜひ必要だろうと思います。また、既にできているところを可能な限り改修する取り組みも継続しなければなりません。
 それから、もう一点、コロナが地域に根づいてしまう、いわゆるエンデミックに移行した場合の感染リスクのレベルというのは国によって様々だということが最近かなり明らかになってきました。イギリスが昨年1月以降、感染対策を急激に緩和した結果、比較的高いレベルで地域に根づいてしまったという指摘があります。一方、シンガポールでは一時かなり感染の大規模な拡大も見られましたけれども、現状においては低い感染リスクのレベルを維持できているという指摘があります。我が国が今後、感染症法上の類型を見直した場合に、地域に定着してしまうレベルをなるべく低く抑えるために何ができるのかということをぜひ現時点でしっかり議論をして、合意を得ていく必要があると思っております。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、越田委員、お願いいたします。
○越田委員 越田です。昨年度から金沢市保健所長も兼務しておりますので、地方自治体で医療政策に関わっている立場から、以下、住民の命を守ることと地域医療体制を守ることの2点に絞って述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目の住民の命を守るという点からです。現行の2類相当の対応が今後も継続されますと、経済が回らないとか、あるいはインバウンドへの影響が大きいだけではありません。コロナ禍による結婚適齢期の出会いの減少などにより、2020年、21年の婚姻数が急激に減少したことにより、昨年の出生数が80万人を割り、少子化が進む大きな要因となっています。また、がん検診の受診控えや教育現場における影響も懸念されています。これらの事情を鑑みても、感染症法の位置づけの変更については、全く異を唱えるものではございません。
 しかし、その変更のあるなしにかかわらず、我々は個々人の命を守らねばなりません。そのためには、これまで新型コロナ感染症によって命を落とされた方々についての可能な限りの検証が必要です。単にインフルエンザとの比較にとどまらず、感染後の経過や症状をしっかりとグリップすることによって、心血管系、循環器系などの合併症を予測し、全国どこでも先手先手の治療を行うことができる知見の収集とエビデンスが必要ではないかと思います。
 その上で各自治体では危機感を持って、でき得る限りの命を守る施策を実行に移すべきであると考えます。
 2点目は地域医療体制を守るという観点から述べさせていただきます。第4波までは入院病床を持つ総合病院での治療が中心でしたが、第5波以降は郡市医師会に所属する地域の診療所が発熱外来を設けて検査を行い、在宅療養者や高齢者入所施設等の療養者に対する医療の提供やフォローを担う構図に移行してまいりました。感染症法の位置づけいかんにかかわらず、また、新型コロナ感染症に限らず、長期的な観点で感染症対策を地域医療に落とし込むためには在宅療養を支援するための訪問診療や医療のDX化、いわゆる電話やオンライン診療体制の強化が望まれます。
 また、これまで感染者数が増加するたびごとに高齢者施設等から救急搬送依頼が増えて、地域の救急医療体制が窮地に追い込まれました。医療従事者不在の施設内で高齢者に対峙されている職員の方々の御心配は十分理解できますので、特養や老健のように医師が配置されている施設はともかく、有料老人ホームやグループホーム、ショートステイを受け入れている施設などでは施設開設のための申請に必要な協力医が名実ともに施設内の感染対策に積極的に関わる仕組み、あるいは自前で有事の感染対策ができない施設はその任をしかるべき医療チームに委託するような義務化、そういったことが必要ではないかということをひしひしと感じております。新型コロナに対する医療を地域の診療所が主体となって担うことによって、総合病院への過度の負荷を吸収し、総合病院は救命のための感染症治療に徹する。総合病院は、本来果たさねばならない救命救急医療やがんや難病などの高度医療を最優先に取り組んでいかねば地域医療は崩壊し、住民の健康を守っていくことはできません。感染症法の位置づけの変更によって、新型コロナへの偏った医療資源を少しずつ平準化し、コロナに限らず医療が必要な方に適切かつ機を逸しないアクセスを担保することが地域医療を守る我々の責務です。
 一方、保健所は、法で定める役割が少なくなっても、住民に寄り添い、住民からのSOSに対して真摯に向き合うべきであると私は考えております。当面は都道府県単位の医療アクセスの交通整理、いわゆる入院調整は必要でしょうし、消防局と連携した搬送・移送の手配も継続が望まれます。これを機会に3年間にわたる地域におけるコロナ対応業務を検証し、感染症法の位置づけの変更に向けてのソフトランディングを図るために時間と公費の無駄を徹底的に拾い上げて、命を守るため、地域医療を守るために必要な施策のスクラップアンドビルドを進めていかねばなりません。都道府県や保健所は当然コスト意識をもって地域の実情に応じたオーダーメードの施策を構築することになるでしょうが、そのためには財源措置が必定です。国におかれましてはこの点を十分にお汲みおき下さいますようお願い致します。自治体にとっては、幸いこの3年間で培ったコロナ病床を持つ病院や医師会との信頼関係に基づく連携は大きな財産ですので、ともに考えてソフトランディングを図ってまいりたいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、白井委員、お願いいたします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いいたします。私からは、位置づけの検討につきましての患者等への対応、それと医療提供体制、また基本的な感染防止対策について述べたいと思います。
 事前にも資料を提供させていただいておりますけれども、新型コロナウイルス感染症患者の隔離、行動制限措置につきましては、保健所長会の中からもいろいろな意見がありましたけれども、やはり今の段階で新型コロナウイルス感染症については措置で対応できるような、コントロールできるような患者数でもありませんし、その病状についてもそうだと思っています。
 その場合には、感染症法によって隔離であるとか行動制限といったことについては、本来最小限の行使にすべきだと思っていますけれども、このような状況の疾患については、今、最小限ではない、少し過剰な対応になっていると思っています。これは過去のいろいろな感染症の対応につきましても、ハンセン病とか薬害エイズについても、これに伴っていろいろな差別とかも起こっております。こういうことにつきましても、今、2類といったような形での隔離、それから行動制限措置ということを、この法律の中で新型コロナ感染症に対応するということについては、これは措置の対象から外すということを申し上げたいと思っております。
 感染症法というのは感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらのものに対する良識的かつ適切な医療の提供の確保というような理念が掲げられておりますし、これに伴ってその目的を実現する段階だと思っています。
 また、医療体制の問題ですけれども、地域医療の再構築が本当に必要だと思っていますので、ここについては、今、感染症法や特措法で限定された医療機関での診療ということをできるだけ緩和というか、本来の医療に戻していく、ゆがんだ地域医療を助長しないような形で進めていく必要があると思っています。
 また、自治体の事業とか、今、医療体制の整備にも係ってきますけれども、予算上の措置でありますとか、今は年度末でございますので人員体制の見直し、異動も含めて新たな方針を考えるというようなチャンスになっておりますので、今回の見直しについてはタイムリーに御対応していただき、また、もちろん医療費であるとかそのような医療体制のソフトランディングということにつきましては、準備が必要かなと思っています。
 基本的な感染防止対策の中で今までも先生方がおっしゃった中でも、特に高齢者医療であるとか介護施設、障害者施設でありますとか、そこにつきましてはやはり今までの課題としては感染症に弱いというような状況が露呈されたかと思います。そもそも介護、または当該の施設については、医療施設ではなく生活の場ということの意識があったと思いますけれども、そこをやはりコロナを経験したことで底上げするということが重要だと思いますので、それにつきましては、平時の環境整備としての設備投資の予算というか財源が必要かと思っております。
 また、マスクにつきましては、5類になったらしなくてもいいという話では全くないと思いますので、感染症として必要な感染源対策であったり感染経路対策であったりして、必要なものであるということの認識を改めて確認する必要があると思っています。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、調委員、お願いいたします。
○調委員 調です。よろしくお願いします。
 まず基本的な考え方としましては、病原性についてですけれども、オミクロン株では入院率、死亡率が低下していて、2類感染症の根拠となっている重篤性から見た危険性が高い感染症とは言えなくなっているということだと思います。したがって、類型の見直しというのは必要だと考えます。ただし、循環器系であるとか神経系の後遺症の問題であったり、あるいは今後の変異によっては病原性が高くなる可能性も指摘されていますので、そういったときにはこれまでの対策に戻ることも必要ではないかと考えます。
 感染性については、オミクロン株はインフルエンザの数倍の感染力があると推定されていて、これが医療機関や高齢者施設における制御の難しいクラスター発生の原因になっていると考えられます。また、感染性の増大、免疫逃避性によって当面の間、医療の逼迫を招く可能性のある流行を繰り返すと考えられると思います。
 こういったことを踏まえて、もちろん5類感染症への変更というのは必要だと思いますけれども、そこで継続していくべき対策としては、やはり院内感染対策への支援だと思います。細かい話ですけれども、例えばこれまで院内感染対策としてPCR検査が非常にたくさん行われてきたと思うのですけれども、そこへの補助などは継続して行っていく必要があるのではないかと思います。
 また、高齢者施設への支援が非常に重要だと思っていまして、早期探知、院・施設内感染拡大防止のために自治体がクラスター対策の支援を行うといったようなこと、そういったことは引き続き行っていく必要があると思います。また、研修とか人材育成、施設における感染対策の充実といったことも必要になってくると思います。
 それから、入院調整ですけれども、自治体による入院調整は最終的には一般医療に対応する体制に移行していくべきだと思いますけれども、それなりの準備期間が必要だと思います。
 それから、ワクチンのことはまた別に議論があるかと思いますけれども、ワクチンによる重症化の予防が医療体制を維持するための一つの原因になっているということを考えますと、公的補助というのは必要ではないかと思います。
 新たに必要となってくることとしましては、サーベイランスの変更というのがあると思いますけれども、今、フォローアップセンターの登録という形で感染者数が把握されているわけですが、これが体系的に行われていないために数の把握は難しくなっていると思います。したがって、定点医療機関を定めて、そこから推定できるような体制に移行する必要があると考えています。
 それから、変異の把握ということを考えますと、病原体定点医療機関を定めて、そこから定期的に検体を採取し、ゲノム解析を行うというような体制を整備する必要があると思います。
 また、広く患者を受け入れていただく新たな医療機関に対しては、様々な不安があるというふうに考えられますので、そこに対する支援、研修、それからPCR検査の補助なども必要ではないかと思います。
 リスクコミュニケーションとしましては、もちろんマスクをどうしていくのかというようなことも含めて、社会生活の変化であるべき姿というところを国民に丁寧に説明していく必要があると思います。
 私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、菅原委員、お願いいたします。
○菅原委員 よろしくお願いいたします。私は、高齢者施設のことと一般的な感染対策の話をさせていただきたいと思います。
 このたび類型が変更になるという観点で、高齢者施設は今先生方もおっしゃられたように、そもそも感染対策の準備が整っていなかったといいますか、脆弱な状況の中で、今、コロナ対策を必死に取り組んでおり、これが今後もずっと引き続くのではないだろうかと思います。
 今、第8波が収まってきそうな気配ですけれども、次の波はまた必ずやってくるというわけですので、やはりそれが繰り返される。高齢者施設のそういった感染対策の課題は継続していくのではないかと思います。
 まずは類型変更に伴うこととして、今先生方がおっしゃられたように、東京都で行われているような臨時の医療施設、高齢者施設はこれによって非常に助けられていると思うのですけれども、こういった対応の継続や、入院調整の仕組みを今後も残しておいていただきたいと感じております。
 また一方、高齢者施設では、コロナが終わったらもう感染対策は終わりというような雰囲気もなきにしもあらずに感じています。これを機に感染対策の体力をつけていく、底上げをしていくということ、これは本当に非常に大事で、その辺の財政的な支援と、人材の育成や人的支援などは、ぜひ推し進めていただきたいと思います。
 類型が変更になるということで、どの医療施設でも患者さんを診ていくということになると思いますが、やはり感染対策がとても心配だという観点は拭い切れない医療施設もあろうかと思います。日本環境感染学会では1月17日にガイドラインの第5版を公開しまして、類型の変更を見据えた形でオミクロン株の特徴を踏まえた感染対策を具体的に示しておりますので、ぜひそういうのを広く皆さんに活用していただきたいなと思います。
 一方、一般社会の感染対策は非常に過剰な面が多々見受けられるなと思います。例えば宿泊療養施設、これはなくなるのかもしれませんが、相変わらず使ったリネンを廃棄するとか、スーパーなどで働いている人たちが手袋を着用しているとか、これは感染対策以外の意味があるのかもしれませんが、そういった一般社会の過剰と思われるような感染対策については、やはり類型が変更になるタイミングで国民の皆さんに、これが必要で、これは必要ではないということをしっかりと示す必要があるのではないかなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、谷口委員、お願いいたします。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
 いただきました課題に沿いまして、まず1つ目、感染症法の位置づけですが、これはそもそも1999年に改正の議論をした際に、当時は1類から4類、基本的にその疾患のインパクトと行政側がどのような対策をするかということを中心に分類が進められています。逆に、このようないきなり莫大な医療体制が必要になるという観点での分類というのは考えられておりません。まさにこれは途上国でよく見られるEpidemic-prone diseasesのような形で、ほかの日本で見受けられる感染症の中で、今回のCOVID-19のように1年に3回も大きな流行を起こして医療体制が逼迫するような疾患はないわけです。そうすると、これを現状の類型に当てはめる、これは単に対策を軽減するという目的だけで5類に当てはめていいのかというふうに考えます。
 今後も定期的に大きな流行の危惧はあります。本来は感染症法改正というのは付け焼き刃的な対応ではなくて、包括的に考えていただいて改正をしていただく。年に3回もの大きな流行を起こして医療体制が逼迫するような疾患、これが5類でいいのでしょうかということですね。本来は当てはまらないと思います。個人的な意見では、これは新たにそういった類型をきちんと設置するというのが正しいと思っています。
 2点目です。いただいた5つの点について申し上げます。まず患者対応。基本的には地域に無症候性感染者がたくさん見えますので、積極的な患者探知というのは意味がありません。しかしながら、ハイリスク者、あるいはそのハイリスク者に関わる医療機関、施設、こういったところでクラスターが起きると大きな被害が出ますので、この意味では限定した早期探知というのは依然として必要になります。ターゲットを絞った対策というのが必要になると思っていますが、一方で、医療機関にはこれはかなり負荷がかかっています。
 この3年間、うちの医療機関は実はこれまで院内クラスターを出したことがありません。かなりスクリーニングにお金を使っていて、病院から数百万円持ち出しです。ただ、これは5類に落ちたから院内感染対策まで制限を緩めてもいいというわけではないと思いますので、そこを考えていただく。院内感染対策まで緩和しないように考えていただくことが必要だと思います。
 2番、医療提供体制です。2類相当でなくなれば、多くの医療機関でひょっとしたらコロナ専用病床というのはなくなって一般病床との併用になる、これが多分普通だと思うのです。ただ、第9波、第10波になって今回と同じような入院の必要な人が出た場合には、入院病床は逼迫するおそれが非常に高いと思いますし、逆にもう分かっているわけですね。かなり手間がかかる。お金もかかる。人手もかかる。診ない施設が増えるリスクもあります。やはり診療する医療機関をできる限り増やさない限り、この類型変更というのはなかなか難しいところがあります。ただ、全ての医療機関で院内感染管理をやって診てくださいね、これも簡単なことではない。そうすると、やはり地域医療計画で今考えられているように、地域での危機管理のための医療のサージキャパシティーをどこかに確保しておくといった考え方が必要になると思います。
 3つ目、サーベイランスです。そもそもサーベイランスは整理を行わないと、ただ届出だけで見ているだけではどうしようもありません。そもそも現在、死亡数は増加していますが、これは本当に死亡数が増加しているのかという議論もいまだにあるわけですね。しかし、こういったことはこれまでサーベイランスではいっぱい経験があるわけでして、そのソリューションもあるわけです。例えば急性期死亡以外にもいろいろな症例定義をつくって、段階的にその数を見ていく。当然のことながら超過死亡も併せて見ていく。もちろんこのコロナは、感染後3週間は死亡のリスクが81倍というデータがこの間出ていましたけれども、それは治ってから半年後、1年後も死亡のリスクは感染していない人に比べて高くなるわけです。それも含めて考えようと思うと、これはサーベイランスの常識ですが、マルチソースでの評価を行えるような体制が必要です。
 これは話し出すと長くなるので、基本的にILIサーベイランスを立てて地域における流行情報と感染リスクを評価していただく。SARIサーベイランスにおいて入院重症例を評価していただく。モータリティサーベイランスについて死亡例の評価。そして、それとリンクした病原体サーベイランスで流行株の分子疫学的な評価をしていただくということだと思います。
 4つ目、基本的な感染防止対策です。類型を変更したらもうどうでもいいというわけではないと思います。ここはやはり体調不良の際に学校や仕事を休む。あるいはいまだにインパクトの大きな疾患ですから、これはインフルエンザ、学校に行くときには発症から5日間ですね。そういった規定をきちんとつくっていただいて、自宅療養期間を特にハイリスクのところでは定めていただく。マスクも含めたリスクに応じた柔軟な感染対策ができるような類型でないといけないと思います。
 最後にその他ですが、コミュニケーションです。類型変更の理由を明確に説明していただく必要があると思います。なぜ今、類型を変更するのか。経済を回すというためだけなのか。ウイルスの性質は変わっていません。国民の基礎免疫と変異株の特徴によって軽症例が多いですが、ハイリスク者は依然として死亡リスクが高いのですね。
 一方では軽症者、無症候例が多いですから、探知された一部の方にのみいろいろな制限をつけることは全然意味が薄れつつありますので、そういったことも含めてきちんと、なぜここでするのかというのをコミュニケーションしていただくことと、やはり現在の死亡者数、医療の逼迫、一部の方たちは恐らく人ごとだと思って見えます。これは常に国民に提供ができるような体制にしていただく必要があろうかと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、戸部委員、お願いいたします。
○戸部委員 よろしくお願いいたします。今回の類型の見直しは、専ら重症化率、死亡率の低下に着目して、現在の類型から私権制限の小さい5類に見直すということで、見直し自体には人権保障の観点から肯定的に捉えています。
 一方、感染力という点では非常に強い状態で、加えて類型の見直しで濃厚接触者の外出制限などは外れますから、今後、感染するかしないかという意味での感染リスクは確実に増すものと思います。また、罹患後症状、いわゆる後遺症の問題は非常に重要な問題だと思いますけれども、情報不足でまだよく分かっていないということがあります。ですので、マスクの着用に関しては、類型見直しと同時にいきなりマスク不要としたり、マスク着用ルールを緩和したりすることは非常に危険で、時期尚早だと思います。そもそもマスクなどの感染防止対策というのは、重症化率や死亡率とは関係なく、そもそものところで感染しない、させないための対策ですから、国のスタンスとしては、感染力の高さに鑑みて、当面、現在のマスク着用ルールは現状維持でいくべきで、これは現在の類型の見直しの議論とは矛盾しませんし、蔓延防止という感染症法の目的からしてもそうすべきだと考えています。
 次に、この点とも関連しますが、論点で言えば患者等への対応、特に治療費の公費負担の点ですが、今回の類型の見直しは、国が治療も含めて強い権限を行使して蔓延防止を図るというフェーズから、国が少し手を引いて国民一人一人の自己判断に多くを委ねていく、そういうフェーズへの移行ということだと思います。
 今まで治療費を公費負担してきたのは、国が個人の治療という側面にまで踏み込んで感染対策を講じることの裏返しとして、法律や予算で行われてきたという側面があります。類型の見直しでその前提がなくなりますので、類型見直しと同時に、治療費は基本的に自己負担とすべきと思います。
 すなわち5類になったとしても、感染症法上、国民には感染症予防に努める義務というものが第4条にあります。にもかかわらず、不用意にノーマスクで行動するなどして感染したというのであれば、それは自分でお金を払って治療してくださいと。その点も含めてどう行動するかは自分でよく考えて決めてくださいというのが多くの国民、多くの納税者が納得する考え方と思いますし、国民一人一人が感染対策について自分で判断するという5類という類型にも適合的な費用負担の在り方だと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。本日いただいたテーマは感染症法上の位置づけ、類型の見直しをどうするかということと、それに関連して4つほどの項目を挙げていただきました。それらをまとめて私なりの考え方を述べさせていただきます。
 まず、感染症法上の位置づけに関しましては、感染症を改めて1類から5類までざっと見直してみますと、2類の疾患というのは少なくとも国内では稀少疾患だと思います。患者さんの数、感染者の数はそんなに多くない。結核はちょっと多いかもしれませんが、ほかの疾患は多くないと思います。2類、1類を含めて多くない。そんな中で、これだけ3年間ずっと流行している非常にコモンな疾患となった感染症を2類相当に置いておくこと自体がもう結構無理があるのかな。これは保健医療の観点からも、ほかの観点からも無理があるのかなと思っています。
 では、これが2類相当ではなくなれば、今日も何か所かで出ておりました全ての医療機関で診療ができていないということが、2類ではなくなったらそこが解決できればいいのですけれども、それだけなのかなということもちょっと医療の現場では思っています。恐らくほかの理由としたら、例えば他の患者さんへの影響とか、その医療機関の施設の構造上の問題とか、マンパワーの問題とかいろいろな理由があるのかもしれませんが、2類、5類の議論だけで幅広くどこの医療機関でも診られるようになるかどうかということは、逆に診られるようにしないといけないかなと思っています。なぜなら、12月の持ち回り審議でも申し上げましたけれども、できるだけたくさんの国民の皆様に適切な医療を提供するためには、何の病気だからという病気の名前とか原因微生物ではなく、やはりその方の病状だと思います。そうなりますと、コロナを今の扱いをしていることで、コロナもほかの疾患も含めて適切な医療を行うべきタイミングで医療ができていない面が多々あると思いますから、今の類型から見直すことは必要だと思っています。
 あともう一点感じていることが自治体との連携です。これは都道府県も市区町村もございますけれども、特にコロナにおいては自治体の果たしていただいた役割はとても大きかった。今でも大きいと医療の現場でも思っています。私たちは病院にいてももちろん頑張らないといけないわけですけれども、例えば周産期、妊婦とか生まれてくる新生児の患者さんの収容先、搬送先は、やはり自治体の御協力なくしては、その地域の中での連絡がどれぐらい取れるかなというところもあるかと思いますので、自治体の皆様方には非常にお忙しいとは思うのですが、これだけ流行している疾患だからこそ、引き続きのお力添えをお願いしたいと思っています。
 また、コロナの問題点として多くの委員の先生方が挙げられた2つの大きな問題点があります。一つは感染力が強い、もう一つは他のコモンな一般的な疾患に比べて重症化とか長期的に及ぼす影響が大きい。そして、何よりも、これも出ておりましたけれども、1年間通じて何回も流行が認められている。これは非常に大きいですね。インフルエンザが流行する疾患としてとてもよく知られていますけれども、2009年のパンデミックのときを除けば、大体国内のインフルエンザの流行は年に1回でしたから、これは一定の時期に疾患が集中していましたけれども、現在、ほかの疾患ももちろん問題となっています。例えば小児ではRSウイルスとかメタニューモウイルスが季節外れに流行して、それはそれで現在のコロナと同じ時期に流行があると医療逼迫に拍車をかけて、熱性けいれんの子供の搬送先がないとかいろいろな問題を起こしていますけれども、RSVもメタニューモも季節外れの流行と言われるように、大体年中流行をするわけではないのですね。ところが、コロナはやはり年中複数回流行が見られるというのが問題です。
 それともう一点、例えば小児では重症化の頻度は低いのですけれども、年末に感染研が第2報としてまとめていただいた20歳未満の死亡例を見ると、20歳未満の内因死が50例だったと思いますが、年齢区分で小児科の私たちの15歳以下という区分はできていないのですが、12歳未満、すなわちゼロ歳から11歳までのコロナによる内因死が44人いらっしゃいます。9か月間で1つの病気で子供が44人亡くなる疾患ってやはりそんなにないと思いますから、重症化率は低いといっても、感染規模の大きなこと、流行規模の大きなことはやはり大きな問題だと思います。
 そういたしますと、今までも御指摘があったように、治療体制にしても、予防体制にしても充実を継続していかなければならないわけですが、先ほど来出ておりますマスクをどうするかということに関しては、具体的にどうと申し上げるまでの決定的なコメントは自分自身も心が決まっていないのですが、言ってみれば、コロナのパンデミックが始まって厄介な感染症が1つ増えたと私は考えないといけないと思うのです。2類、5類ということよりも、1つ感染症が増えて、感染症法上で対処しなければならない疾患が1つ増えてしまった。これまでだって、特に日本はマスク文化がずっとありましたので、インフルエンザ流行期には電車に乗ってもマスクをつけていた人はたくさんいらっしゃいましたし、あと、私たち小児科で言えば新生児室とか、恐らく高齢者施設でもそうでしょうけれども、感染させてはいけない方々が周囲にいる環境では、自分がうつらないことと併せて、他人に病気をうつさないということで結構マスクは使われてきました。コロナだからどうということよりも、1つ病気が増えたので、社会の感染症対策として、この場面では他人にうつさない配慮が必要だよということをもう少しメッセージとして発していってもいいのかなと思っています。
 ただ、今の時点でも、室内でも外せる機会はたくさんあるでしょうし、あと逆に室外で、ここははめていなくてもいいだろうという機会でもいっぱいマスクをはめておられることもあるので、そこをどのような方向で解除していくかというのをある程度考えなければいけないかなと思っています。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、中山委員、お願いいたします。
○中山委員 ありがとうございます。感染症法上の位置づけについてですけれども、この3年間の経験やオミクロン株の特色を踏まえ、現状の対策は2類相当の枠を出ているものも多いので、5類に変更するという方向性には賛成いたします。しかし、現在コロナの診療に当たっている医療機関やその搬送を担う救急隊などの負担は相当なもので、先日も17時間休みなく勤務した救急隊員の事故もあったぐらい、一部の現場だけにしわ寄せが行っているという状況があると思います。
 また、発熱外来で頑張っている開業医の人たちからは、軽症の患者さんには十分対応できるけれども、流行時に重症化するとどこも入院できないことが起こる可能性があって、それを開業医や救急隊が電話で探すのは大変だ。入院調整について何らかの対策を考えてほしいという意見も私のところに寄せられました。
 5類にしたからといって、先ほど釜萢委員がおっしゃったように、診療する医療機関をこの3年間で随分増やしてきたわけですから、ここで直ちに増えるとはなかなか考えられないことと、逼迫している現場がさらに逼迫する可能性があると思います。医療現場が混乱しないように財政的な配慮も含めて十分な移行期間が必要ではないかと考えます。
 一方で、5類にすることについて市民の意見は賛成と反対で大きく割れているように感じられます。5類にすることによって、もう何の感染対策もしなくてよいとして振る舞う人たちと、高齢者や基礎疾患保有者などの感染の不安を持つ人たちの間の分断が非常に心配されるところです。先ほど今村委員や白井委員がマスクのつけ方について、中野委員もそうですけれども、お話がありましたが、マスクのつけ方一つを取ってもどういうふうにしていくのか考え方が分かれるところで、これが国民の間の分断を生まないようなきめ細かい説明と、どういう対策をしていくことが今後のコロナの対策として有益なのかということをみんなで考えていく姿勢が必要なのではないかと思います。
 また、医療費やワクチン費用などにつても、5類だから費用は個人負担だという意見も十分理解はできるのですけれども、これを一気に患者負担にすることについては不安を高めることになると思いますので、これも段階的な対応が必要ではないかと考えます。
 最後に、谷口委員からもお話がありましたけれども、今回は2類と5類ということで現状の対策の中でやっていますけれども、今回の経験を含めて、このような感染症に対してはどのように対応していけばいいのかを立法的な検討も含めて引き続き議論していくことが必要ではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、成田委員、お願いします。
○成田委員 まず、都民、国民の不安や現場を担う医療機関などの混乱を招くことがないよう、5類移行後の医療提供体制や治療行動の在り方について十分な期間を設けて周知を図っていただきたいと思っております。5類移行後も当面の間、必要なサービスの提供や公費負担を継続していただき、その際の財源はこれまでどおり特定財源でお願いしたいと考えております。
 事務的な話になって恐縮でございますけれども、来年度予算をどう組むかという話がございます。少なくとも1月中には5類移行がいつになるのか、5類移行後の医療提供体制がどうなるのか、自治体が予算を組めるだけの情報提供をぜひともお願いいたします。
 次に、患者等への対応についてでございます。本日の資料に記載されていない内容として、5類移行後の感染拡大に当たって医療機関の逼迫や社会不安を改善するためにも、相談体制を維持していく必要がございます。自治体による総合的な相談窓口の運営経費について、ぜひとも国費により支援していただきたいと思います。
 次に、医療提供体制についてでございます。まず、外来についてでございますが、診療検査医療機関、発熱外来の取扱いや医師の応招義務との関係を整理した上で、全ての医療機関で発熱患者に対応する方針を明確にお示しいただくことが非常に重要と考えております。また、そうした体制を確保していくため、当面の間、新型コロナ疑い患者の外来診療に関する診療報酬上の特例加算措置を継続していただきたいと思います。
 次に、入院医療体制についてでございますけれども、当面の間、新型コロナ患者のための病床を確保できますよう、病床確保料の支給継続をお願いいたします。あわせて、保健所や都道府県が入院調整を行うことができるよう、国として方針をお示ししていただければと思います。
 また、資料に記載されていない課題として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく臨時の医療施設について申し上げたいと思います。都は、臨時の医療施設1,300床を運用し、介護度の高い高齢者や救急患者などの受け皿として有効に活用しておりますが、5類への移行に伴って特措法の適用がなくなりますため、これらの施設を設置する根拠が失われてしまいます。先ほど味澤先生、今村先生、大曲先生、賀来先生、菅原先生からもお話がございましたとおり、5類移行後も介護度が高い高齢者、障害を有する方、妊婦などの療養体制を適切に確保していくことが必要ですし、当面の間、臨時の医療施設の継続を可能にしていただきたいと思います。その際、現在の施設は特措法による消防法、建築基準法等の規定の適用除外を踏まえて設置しており、引き続き適用除外を継続していただきますよう強く要望いたします。
 次に、サーベイランスについて申し上げます。定点把握の制度設計について自治体と十分に調整を行っていただくよう要望しているところでございまして、改めてお願いいたします。
 次に、基本的な感染防止対策についてです。5類感染症への移行後も高齢者施設等において感染者を早期に発見し、クラスター発生を防止することは必要でございます。そのため、施設等の職員を対象とする集中的検査を国として継続していただくとともに、継続に必要となる自治体の経費を支援していただきたいと思います。
 その他でございます。資料に記載のない課題として、今後、治療薬の活用を一層促進していく必要があると考えます。そのため、かかりつけではない患者に治療薬をより積極的に投与できるよう、患者の既往歴やほかの薬の断薬の有無など、臨床現場での処方状況を開示して浸透を図るなど、治療薬の活用を促進するための方策を国として早急に示していただきたいと思います。
 関連する事項としてワクチンについても意見を述べたいと思います。オミクロン株対応ワクチンにつきまして、接種済みの方に関する今後の方針が明らかにされておりませんし、対象者や接種間隔など今後の接種計画を早期に明らかにしていただくことが重要と考えます。また、接種費用について、当面の間、公費による負担をお願いできればと考えております。
 最後に、必要なサービスの継続などのための自治体への財政支援につきましては、特定財源により行っていただきますようお願いいたします。
 なお、今申し上げた内容も含めて、先週20日に東京都から厚生労働省に要望書を提出させていただいておりますので、詳細についてはそちらを御確認いただけますと幸いです。
 私からの発言は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、森田委員、お願いいたします。
○森田委員 森田です。まず、現行の感染症の枠組みの中では、5類への移行は現状を考えると致し方のないことだと私は思っております。ただ、今後感染状況がどうなるのかとか、あるいは新たな変異株がまた出てくるのかというのは不透明な部分がありまして、サーベイランスが非常に気になっています。
 厚生労働省の研究班の報告では、センチネルサーベイランスで十分把握できると聞いておりますので、移行期間、時期はまだ決まっておりませんけれども、それまでには必ずこのサーベイランスのシステムがきちんと動くようにしていただきたいと思っています。
 それから、国民の関心事の非常に大きな部分はやはり医療費の負担、医療の提供の部分かと思います。特に死亡率の高い高齢者への配慮を十分にしていただきたい。先日の御説明では、感染症法に関係なく、手当てということは可能なのだというふうにお聞きしておりますので、その点十分御配慮いただけたらと思います。
 それから、最後に気になっているのは日本の異常に高い超過死亡という問題があるのではないかと思います。これは国民の不安をかき立てる一つの要素になるかと思います。厚生労働省の研究班でもいろいろ調査されていると思うのですけれども、原因を明らかにしていただいて、可能ならその対策ということも示していただけたらと考えています。
 私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、山田委員、お願いいたします。
○山田委員 山田です。最後のほうになったのでほとんどのことを先生方がおっしゃられていたと思うのですけれども、基本的にこの感染症、ワクチン接種率の向上とウイルス株の変化によって当初の流行の様態と大きく変わってきたことは事実であって、今の2類相当の対応だと過剰な部分がたくさんあって、人権問題等にも絡むようなことが起こっているのは事実だと私も思っています。したがって、何らかの措置をしなければいけないのですけれども、それを類型の見直しで行うのか、類型はこのままにしておいて運用上で何とかしていくのかという考え方もあるのではないかと思います。
 もともと私は谷口先生がおっしゃったように、本来であればこの感染症に特化した類型をきちんとすべきだと考えておりました。というのは、こういう新興感染症が出てきたとき、今後もこういうパターンを取ることが多いのではないかと思うのです。新興感染症の出現は避けようがございませんので、まず人間社会に入り込んだ感染症は最初はこういうふうに重症化があったり、多くの人が感染する、死亡するということが起こると思うのですけれども、それが日にちを経ることによってだんだんと人間社会に適応していって、最終的には小児の感染症になっていくというような経過をたどるのだろうと思うのです。
 そうした場合に、そういうことに対応する類型はないわけなので、谷口委員がおっしゃったような形で、本来であればそういうものに対応する類型をつくるべきだと。それを厚労省の方にお話をしたらば、法改正をしなければいけない。であれば、現在通常国会をやっているのだから、そこで緊急に審議して法改正していただければ一番いいなと思っています。
 もしそれがかなわないとすれば、現状で運用を変えるか、類型を5類にするかになるとは思うのですが、5類にすると、今までできていたことができなくなる。あるいはできていたことの法的根拠がなくなってしまうという問題が生じ、それは避けなければいけないことだろうと思っています。それをどうするのかは私ではちょっとなかなか難しい問題だと思います。
 1点、5類に落とし込んだときに心配なのは、新しいコロナウイルスが出てくれば、また新型インフルエンザ等、あるいは新型コロナ等で類型できるわけですけれども、このウイルスが、本当にそういうことが起こるかどうか科学的にはっきりはしませんけれども、豚のTGE、Transmissible gastroenteritisという腸管系のコロナウイルスがあるとき突然Sたんぱくの一部を欠失することによって呼吸器系のウイルスに変わってしまったというようなことがあります。ということは、それと似たようなことがコロナウイルスであれば欠失あるいは挿入によって新たなウイルスが出てくる可能性があるのですけれども、これは変異株になります。そうすると、5類に落とし込んだ場合に、それが新たなウイルスとなって仮に病原性が高まったときに、それをどの類型に当てはめるのかと。これは新型インフルエンザ等にも入らないし、恐らく5類のままで対応しなければならない。特措法も対応できないというようなことが起こることを考えたときにどうするのかなという疑問が残りました。
 あと、個人的なのですけれども、昨年末からちょっと海外のクルーズで旅行してきたのですが、案の定、全員コロナのワクチンは接種していますけれども、アウトブレイクらしきものが起こりました。というのは、検査すると旅行中5日間の隔離をされるので、誰も検査を受けていない。明らかにアウトブレイクが生じてお客さんの3分の1ぐらいがせきをしていたのですけれども、数日たって皆さん元気になって全く大事には至らなかったということで、2つ私は感じたのですけれども、このコロナウイルスはやはり感染性が非常に高くて、ワクチン接種を行っている人の中でもアウトブレイクが簡単に起こる。また、ワクチン接種がきちんと行われている人の中ではなかなか重症化は起こらないのだろうと。そういうことを考えたときに、ここで5類変更をしてマスク等のことを国民が聞いたときに気が緩んでいけば、確実に大きな流行が生じるだろうと。大きな流行が生じれば、感染者数が増えて病床の逼迫というのは確実に起こるだろう。重症者が増えて死亡者が増えることも確実に起こるだろう。そういう覚悟を持って、やるのならやるべきだろうと。今まで多くの先生がおっしゃっているように、医療体制の充実というのは避けられないことだろうと思います。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここから参考人の先生方にも御意見を伺っていきたいと思います。まず、内田参考人にお願いしたいと思います。
○内田参考人 全国保健所長会の内田でございます。私からは4点、まず、季節性インフルエンザと同様の医療体制で診療ができるような体制を早く準備する必要があるかなと考えております。新型コロナウイルス感染症の診断治療、それから療養管理については、全てのかかりつけ医で対応可能となるように準備が必要だと思っております。そのために、入院につきましては、かかりつけの医療機関が病院の場合にはその病院への入院が基本となりますので、全ての病院でかかりつけ患者の入院受入れの準備、例えば病棟ではなくて病室ごとのゾーニングと今言われておりますけれども、あるいは院内感染対策、それから濃厚接触者となった医療従事者の取扱いについてもある程度統一的な考え方があれば示していただいたほうがいいのかなと考えております。
 私どもの保健所の管内では、第8波におきましては、受入病院の半数にクラスターが発生するなどいたしまして、受入れができない状況になりました。その場合にかかりつけが病院の場合はその病院に入院の受入れをお願いしました。9つの病院にお願いしたのですが、1病院はお断りされましたが、8つの病院は進んで受けていただきました。やはりかかりつけの患者さんを診るのは病院の使命だということで受けていただけました。そういったこともございますので、やはり準備は必要かなと思います。
 それから、2つ目ですけれども、医療機関での感染防護についての統一的な見解を示していただけたらと思っております。かかりつけ医が主体的に診療を実施するためには、季節性インフルエンザにおける感染防護、例えば外来では発熱患者さんを専用の診察室に誘導するといったことは季節性インフルエンザではどこの医療機関でも結構されていると思うのですけれども、それだけでいいのか、それにプラス何かしないといけないのか、そういったことを早期に示していったほうがいいのではないかと思います。
 また、PPEにつきましても、いろいろ偉い先生方で意見の相違が見られることがありますので、先ほど日本環境感染学会で第5版が出たということで、それが標準であればそれを標準というふうに統一した見解として示していただいたほうがいいのではないかなと考えております。
 3つ目が入院調整の話ですけれども、これはやはり通常の病診連携とか病病連携で行うのがいいと思います。現状では多くの入院が、新型コロナウイルス感染症の重篤化ということは少なくて、どちらかというと基礎疾患の悪化であるとか、他の傷病により入院治療が必要になったけれどもコロナが陽性となったというような場合で、これは行政で準備した呼吸器内科中心の入院体制での入院調整というのは対応困難になりますし、すぐいっぱいになってしまいますし、また、通常の病診連携や病病連携のほうが合理的であります。
 それから、我々行政はどうしても数十分の電話調査に基づく入院調整になっておりまして、それよりはやはり患者さんの既往歴、家族歴等を熟知したかかりつけ医など、診断医の入院調整が望まれるところであります。
 それから、通常の病診連携や病病連携での入院調整も今は増加してきていますけれども、診断までしか対応しないかかりつけ医というのも存在しておりますので、これから全てのかかりつけ医に治療や患者管理について準備していただくよう働きかけが必要かなと考えております。
 最後に4点目です。施設集団感染への対応方針をある程度明確化したほうがいいのではないかということです。5類相当となっても施設集団感染への感染拡大防止対策は必要となります。ですので、通常の感染症でありましても、例えばノロウイルスとか一定期間に一定基準以上の感染者が発生した場合に我々行政に報告を求めるとか、そういったことになっておりますけれども、そういった基準を定めておく必要があるかなと思います。
 施設における患者管理につきましては、施設が嘱託医療機関やかかりつけ医との連携を密にして患者管理のやり方を十分検討しておくような準備も必要かなと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、國分参考人、お願いいたします。
○國分参考人 全国知事会を代表して申し上げます。まず総論といたしまして、今回の見直しは、オミクロン株主流の現在、重症化や死亡割合の低下などを背景に議論が加速しております。一方、現場では、強い感染力に伴う患者数の増加、それによる死亡者数の増加や医療・救急及び高齢者施設の負荷増大というような問題が顕著となっており、これにどう対処していくかという点もしっかり考慮いただきながら検討を進めていただきたいと考えます。また、見直しに当たっては、第8波やインフルエンザとの同時流行など感染状況の推移、変異株の動向にも注意しながら、タイミングを適切に御判断いただくようお願いいたします。
 これらのリスクを考慮した上で、見直しに伴う政策転換に際しましては、国民の理解醸成や社会への浸透に一定の時間を要することから、段階的な移行措置が必要であり、そのロードマップを早急に提示していただくことが重要と考えます。
 国民に対しては、政府において丁寧で分かりやすい説明を行っていただくとともに、自治体や医療現場に混乱が生じないよう、必要となる施策について財政措置も含め、十分な調整と準備期間の確保をお願いいたします。また、経過措置期間の財源スキームにつきましては、これまでどおり地方負担が生じないよう、併せてお願いいたします。
 次に、資料の各論の項目に応じて何点か申し上げたいと思います。まず、患者への対応についてということでございますが、入院患者の医療費や、投薬治療費等が高額になることを踏まえまして、公費負担医療の在り方については慎重な検討を行っていただき、当面の間、一定の公費負担を継続するなど、国民が必要な治療を受けられることができる仕組みが必要であると考えます。また、新型コロナによる死亡や重症化を防ぐためには、高齢者施設等のハイリスク施設の感染対策や医療支援が欠かせないことから、支援策の継続が重要となります。
 次に、医療提供体制についてでございます。感染症法上の位置づけが変わっても、新型コロナに対応できる外来診療体制、入院医療体制など継続的な体制確保が必要な分野について、今後急激に患者が増加する局面での臨時の医療施設や臨時的な増床などの取扱いを含め、制限がなくなることにより医療機能がストップしてしまうことのないよう、見直し後も必要となる施策をしっかり見極める必要があります。
 最終的には全ての医療機関において外来診療・検査に対応できるよう、効果的な院内感染対策など、通常診療の将来像を示すとともに、診療報酬の加算や設備機器整備等への財政支援を継続していただきたいと考えます。特にこれまでコロナ感染患者の診療を行っていない医療機関の理解、協力が得られるよう、丁寧な周知や十分な支援をお願いいたします。
 最後に、その他といたしまして、新型コロナから国民を守るためには、診療及び検査に必要となる検査試薬や薬剤等の十分な供給体制の確保が欠かせません。特に医療機関等での検査や自己検査が確実に実施できるよう、国において検査キットを十分確保し、安定供給を図るとともに、検査キットの低廉化を進める必要があります。また、ワクチン接種につきましても、費用の自己負担は接種控えを引き起こす可能性があることから、当面は全額国庫負担での接種を継続する必要があると考えます。あわせて併せて、ワクチンの効果などの科学的根拠を踏まえ、重症化リスクが高い方への公費負担の継続など、今後の定期接種化を含めた対応方針の検討をお願いいたします。
 以上、今回の見直しにつきましては、新型コロナに必要な施策は何かという視点を意識して方向性を議論していただき、現場での運用を十分に考慮くださるようお願い申し上げます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に、中澤参考人、お願いいたします。
○中澤参考人 全国衛生部長会の中澤です。もう委員の先生方から既に多くの御専門の御意見が上がっているので、私からは地方自治体の本庁組織でコロナ対策を行っている者として意見を述べさせていただきます。当初、コロナ対策において感染症法上、新型インフルエンザ等感染症と位置づけ、様々な対策をしてきたということに関しては、この法上の位置づけは適切であったと思いますし、また、3年経過した今回、この位置づけを見直そうという方向性には賛成です。
 その際には、今までの経験から、全国の地域によって流行の形が様々であったこと、また、各地域には医療等の資源が多かったり少なかったり同じではないということですね。このような地域によってそれぞれ様々な状況がありまして、独自の対策を行ってきたことも今回の見直しの過程においては留意していただく必要があるのかもしれないと考えています。
 また、実際に5類に変更を行う際には、市民や医療などの関係者の意識の転換が必要であったり、それから、今まで行ってきた対応の変更を行う必要性など、様々な面で十分な理解が得られるように、国には丁寧な説明や情報の周知、また十分な移行期間が確保できるようにお願いしたいと考えています。
 併せて、地方自治体でも市民や関係者の理解を進めるための準備など、相当な期間が必要でありますし、また、先ほど成田委員からも出ていた来年度当初予算のことなのですけれども、既に来年度予算案は全国自治体どこの議会でも審議中だと思います。法律の上での対応に必要な整理をはじめとしてコロナ対策の大幅な転換を図っていくためには、今後自治体では相当な労力と時間が必要です。このことを国には御理解していただきたく、そのための早期の情報提供や支援をお願いしたいと考えております。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。一応皆さんに御意見を言っていただきましたけれども、最後に私のほうからも一委員としてコメントをさせていただければと思います。
 これまでこの新型コロナウイルス感染症は、当初指定感染症で、その後、新型インフル等感染症に分類されまして、様々な対策を取ってまいりました。このため、日本は感染者数をかなり抑制してきて、高齢者が非常に多いにもかかわらず死亡者を抑制できてきたということにつながったと思います。一方で、取られてきた措置の中には人権制限などを含むということがあり、そのため、社会的あるいは経済的にも大きな影響があったということは否めないと考えています。ですから、今般、5類への変更ということのほうが、現在の2類相当というところよりは社会的にも納得が得られるのではないかと考えるところです。
 ただ、委員の先生方からも多く御意見があったとおり、5類としただけでこの感染症が、コロナというものが変わるわけではなくて、まだ追加の対策ということは必要な状況だと思います。特に季節性インフルエンザと同等の5類へ移行するということが報道でよく言われていますけれども、アドバイザリーボードでもリスク評価をいたしましたが、現状では季節性インフルエンザとはかなり違いがあり、もちろん見かけ上の重症化率であったり死亡率がかなり近くなってきたということはありますけれども、感染性が非常に高くて、現在の感染対策においても感染者が増加する状況で、死亡者が増えるということは皆様御認識のとおりでありますので、今ここで感染対策を大きく緩和してしまうと、非常に大きな流行をまた招いてしまうということが容易に想像されます。
 ですから、感染対策を類型変更とごちゃ混ぜといいますか、同等にして考えるのではなくて、もちろん5類の中にも様々な感染症があって、それぞれ感染対策は変わるわけです。新型コロナ感染症の感染性であったり、感染経路であったり、あるいは流行の状況に応じて必要な感染対策を今後も続けていくことが必要になると思います。
 ただし、今後長くこの感染症と我々は付き合っていかなければいけないということが予測されますので、持続可能な感染対策をどのようにして個人あるいは社会で納得して定着させることができるかということが今大きなターニングポイントにあるのだと思います。
 釜萢先生がおっしゃっていたとおり、海外でもエンデミックになっていくわけですけれども、感染対策を緩和して非常に高いプリバレンスになっている国もあるということですが、今後も日本では、持続可能な感染対策を続けながら、感染流行を可能な範囲でなるべく抑えていくということ求められると考えています。
 そのために、サーベイランスにおいては流行状況をしっかりとモニタリングできるような重層的なサーベイランス体制、これは谷口先生からコメントがあったとおりだと思います。それから、新たな病原性、感染性を持った変異株をすぐに検証できるという体制が必要だと思っています。
 医療提供体制につきましても、これは5類にすることだけで全ての医療機関が診てくれればよいということになるわけですけれども、むしろそこはなかなか難しい可能性があって、これまで様々なサポートがあって今診療していただいている病院が診ていただいているわけですけれども、そういった後押しが5類にすることでなくなってしまうと、むしろ診ていただけるところが減っていく可能性がある。あるいは今後、今診療していない病院が見ていただけるインセンティブがなければ、むしろ医療のキャパシティーは下がってしまうということになります。そうなると感染者は救急外来等へ患者が集中して、また救急医療が逼迫をしていくということも十分に考えられると思いますので、そういった医療へのサポートというものも十分に行う必要があると考えております。
 その他のところですけれども、ワクチンの重症化予防に対する有用性というものはありますけれども、目的をしっかり定めた上で、今後どのように継続できるかということも、なるべく必要な人に接種を続けるという体制が必要だと思います。
 それから、ワクチンだけではなくて、研究開発の重要性も変わらないと思いますので、研究開発のサポートも重要だと考えております。
 最後に、今日の議題ではないのですけれども、検疫について、原則として5類になると水際対策ができなくなりますので、外国で新たな変異株が発生したときに、直ちにそういった検査、あるいは陽性者対応というものも対応できるような体制が必要ではないかと考えております。
 私のほうからは以上になります。ありがとうございました。
 今、2時42分で、一応3時までこの会議は時間がありますので、もし委員の先生方、あるいは参考人の先生方から追加の御発言があれば受けたいと思いますが、どなたかありますでしょうか。
 白井先生、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。白井です。先ほど来、自治体の対応として予算とかいろいろ準備の話もありましたけれども、昨年の秋頃から、自治体ではウィズコロナの対応の方向性が示された頃から、5類になったらどうなるかということも自治体によってですが、かなりシステマチックに考えていたり、その準備を進めてきているようなところです。そういった意味で、今回のソフトランディングとか段階的にといったところを、既にそのような方向に入っているような自治体というか、地域もありますので、そういった意味で、ぜひ切り替えの判断を明確にしていただきながら、自治体が速やかに準備をできるようにというふうに願っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。今日いただきました委員の先生方、あるいは参考人の先生方からの意見を踏まえまして、引き続き、事務局においては検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題は以上になりますので、議事を事務局にお返ししたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。委員の皆様の御意見を踏まえまして、進めさせていただければと思っております。
 次回は、喫緊になりますけれども、27日の開催を予定しております。取りまとめに向けました議論をお願いしたいと考えております。
 この後、事務局のほうで記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回につきましては、事務局より改めて御連絡をさせていただきます。
 本日はお忙しい中、出席いただきまして、ありがとうございました。
○脇田部会長 皆様、どうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。