第86回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年11月30日(水)13:00~16:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)がん対策推進基本計画の見直しについて
  2. (2)その他

議事

議事内容
○原澤がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第86回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の原澤でございます。よろしくお願いいたします。
 なお、本協議会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 また、健康局長は公務のため欠席とさせていただいておりますので、御了承願います。
 まず初めに、委員の出席状況でございます。茂松委員より御欠席の御連絡、黒瀨委員より一時、途中で離席されるとの御連絡、また、久村委員より途中で御退席されるとの御連絡をいただいております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 議事次第、資料1から4まで及び参考資料1から6までがございますので、御確認ください。
 それでは、以上をもちまして撮影等は終了させていただきますので、これ以降の映像等の使用についてはお控えいただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 以降の進行は土岐会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐会長 それでは、早速、議題に移りたいと思います。
 今日は議題(1)としまして「第4期がん対策推進基本計画案について」でございます。
 いよいよ大詰めになってきて、皆様の御意見も多数頂戴しているところでございます。その御意見を資料4に事前にまとめさせていただいております。こちらも参考にしながら、一人でも多くの方の御意見をこの場でも頂戴したいと考えておりますので、また御発言も後ほどよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議論に先立ちまして、資料1から3につきまして、事務局より簡潔に御説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。それでは、資料1から3まで順に簡単に御説明させていただきます。
 まずは資料1を御覧ください。「第4期がん対策推進基本計画(案)」でございます。
 こちらは3枚目のページから目次が始まってございます。
 目次については改変したポイント等を、下線等を引いてございませんが、項目が全体に多少変更があり小項目まで記載されておりますので、御確認いただければと思います。
 続いて、さらに3枚進んでいただいて「はじめに」からでございます。
 全体、記載を整理しておりますが「はじめに」から始まって次のページ、2ページ目と番号が入っているところで「●●●」になっている全体目標のところ。こちらは資料2で御説明させていただきます。
 続いて、3ページ目を御覧いただければと思います。
 「第1 全体目標と分野別目標」以降のところを修正してございますが、修正・追記させていただいた点については太字下線に変えて記載してございますので、記載内容について御確認いただければと思います。
 以降、基本的に太字下線で追記してございますが、書き込んだポイントとしまして、例えば5ページ目を御覧いただきますと、1次予防については今回新たに記載を整理してございますので(現状・課題)は全て太字下線になっている状況です。
 さらにお進みいただいて、例えば14ページを御覧いただきますと、こちらはがん検診、2次予防に関する個別目標のところでございますが、こちらはこのように個別目標については前回議論をいただいた時点ではブランクだったと思います。ここについては各項目について個別目標を記載させていただいておりますので、各分野、そのようになっております。
 全体としては、個別の項目を御説明していると時間がかなり長くなりますし、事前に資料もお送りさせていただいているところもあるので、詳細な説明は割愛させていただき、具体的な御議論の中で御意見等をいただければと思います。
 資料1については以上でございます。
 続いて、資料2を御覧いただければと思います。「第4期がん対策推進基本計画全体目標について」という資料でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 こちらはこれまでの基本計画における全体目標をお示ししてございます。これは御覧いただいているとおりですが、第3期がん対策推進基本計画のところを直近ですので言いますと「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という全体の目標を立てた上で、個別の分野別の目標としてマル1からマル3までを記載していたということでございます。
 次の3ページ目を御覧ください。
 これまでの協議会における御議論の中で、全体目標に関していただいていた主な御意見として御紹介させていただいております。全て読み上げることはいたしませんが、一番上のところで「いつでも」「どこでも」という要素に加えて「誰もが」と明記していくことで、誰一人取り残さない、包摂性・多様性といった価値を全体目標の中で示すことができたらよいのではないかという御意見をいただいています。
 真ん中の●で、全体目標に対する具体的な案として「がん患者を含めた国民すべてが、がんを知り、関わり、一人ひとりのWell-beingを実現する」といった御提案を頂戴していたこと。
 あとは、一番下で、患者、家族、遺族を代表する者ががん対策推進協議会に参画し、切れ目なく将来のがん対策に寄与していくためにというところで患者・市民参画は非常に重要なことであるといった御発言をいただいてございます。
 こういった御意見等を踏まえて、事務局で一旦、案文を作成しております。4ページ目を御覧ください。
 第4期基本計画の全体目標の案文で、黄色い枠囲みの中でございますが「誰もが、正しくがんを知り、納得できるがん医療を受けられ、自分らしく生きられる社会を、全ての国民でつくりあげる」。
 それで、含めている要素として下に3つ記載してございますが、これまでの御議論の中で御意見の多かった「情報の均てん化」や「地域間及び医療機関間における取組状況の差」についての要素を埋め込むことと、基本計画の3つの柱である「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」という要素を埋め込むこと。また、新たに「基盤」に位置づけられる「患者・市民参画の推進」を意識して記載する形で整理してございます。こちらについても御議論いただければと思っております。
 資料2については以上でございます。
 続いて、資料3を御覧ください。ロジックモデルの案でございます。
 こちらは全体の資料1と特に関連してくるところで、資料1の項目の整理の中で緩和ケアの部分を医療に移動したりしているところもあって、少し見え方が前回お示ししたものと違っているかと思いますが、基本構造は変えておりません。
 基本ロジックモデルは1ページ目にお示ししているとおりで、次の2ページ目からがん予防に関する指標、3ページ目以降ががん医療提供体制等に関する指標という形で続いてございます。
 お進みいただいて、番号がそれぞれ振ってあると思いますが、番号の15番目から前回お示しできていなかった共生に関するロジックモデルの案も今回整理して更新してございますので、御参照いただければと思います。
 こちらについては、基本的なロジックモデルの構造についてこういった形で案として作成していってよいかどうかをまず御議論いただきたいところでございます。
 事務局からの御説明は、簡単でございますが、以上でございます。それぞれの御議論に従って、また補足等が必要であればこちらからさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 一旦、以上でございます。土岐会長、よろしくお願いいたします。
○土岐会長 皆様、よろしいでしょうか。資料の確認をしていただきました。
 それでは、今日は何分、分量が多いので、幾つかの部分に分けて検討していきたいと思います。全体目標と分野別目標、その後で本文の中のがん予防、がんの医療、がんとの共生、これらを支える基盤。この順で、全部で5つのパートに分けて今日は議論していきたいと思います。
 それでは、資料4も併せて御覧いただいて御意見を頂戴したいと思います。
 まず、今日いただいた資料1の3ページ、4ページに全体目標と分野別目標がございます。それと、その内容について説明いただきました資料2がございます。まずは、この資料1の3ページ、4ページと資料2。ここに全体目標の案もございますけれども、こちらについて御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方は挙手をよろしくお願いいたします。
 まずは、久村委員、どうぞ。
○久村委員 久村です。私のほうでは、まず、全体目標(案)についての意見を述べさせていただきます。
 この全体目標(案)ですけれども、がん対策の趣旨を国民に分かりやすく伝えることができるように、なるべく簡潔な文章にまとめることが肝要かなと考えています。資料2の4ページに記載された全ての要素を含めるのは難しいかなと私自身は思っています。
 実は、この第3期の全体目標の「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という、この文章は非常にシンプルで分かりやすいのですけれども「がんの克服を目指す」という部分についてはどうしてもがんの根治治療とか治癒を目指すという印象を与えてしまう場合が多いのではないかと考えていますので、この「がんの克服」という言葉の意味するところは、がんの治療だけではなくて、がんやその治療による心身の苦痛を克服することや、がんによる偏見とか社会的不利とか様々な格差も克服することも意味していることがより明確に伝わるようにこれを改訂したらどうかと考えています。
 例えば、全ての国民が正しくがんを知り、がんの撲滅あるいは制圧と、がんによる苦痛・格差の克服を目指すなど、苦痛の克服であるとか格差の是正をもっと多くの人に分かりやすく簡潔な文言を使って表現するのはいいのではないかと考えています。自分らしく生きるというフレーズは非常に魅力的なワードだとは思うのですけれども、苦痛の克服なしには自分らしく生きることは難しいのではないかというのが私の考えです。
 もう一点、分野別の目標については、がん医療に関する分野別目標の2.の「患者本位で」という、この部分を「誰一人取り残さない持続可能ながん医療の提供」という見出しにして、その下の文章の最初に「誰もが」を追記していただいて、誰もが適切な医療を受けられる体制を充実させることで、がん生存率・がん死亡率の改善を目指すというふうにしてはどうかと考えています。
 その理由ですけれども、次期基本計画のがん医療の分野には緩和医療や妊孕性温存療法に関する記載が加わっていますし、難治性がん、希少がん、それから、小児・AYA、高齢者のがんといった様々な人々のがん医療に関する内容が盛り込まれるようになっています。特に緩和ケアについては、以前の協議会で谷島委員がおっしゃっていたように記憶しているのですが、緩和ケアについて知っていても知らなかったとしても提供されるべきものであって、緩和医療を受けて、がんによる苦痛をできるだけ取り去っていただくこと。そして、最後まで望んだ場所で過ごせることは基本的人権で、このような医療を受けられない状況に置かれることは人権の侵害に値するというメッセージも込めて「誰一人取り残さない持続可能ながん医療の提供」という見出しにしてはどうかと私自身は考えています。
 それから「持続可能な」の部分についてですけれども、医療経済の問題もあると思うのですが、私自身は労働管理の問題もあるかと思っています。がん医療に携わる医療従事者が心身の健康を維持して、燃え尽きずにモチベーションを保って働き続けられるような環境を整えなければ、幾ら専門的な医療人材を育成してもそれを十分に生かすことはできないと思います。それは患者さんへの医療やケアの質に直結する問題だと思っています。
 実は、この最後の基盤の整備、がん研究にも関連する内容にもなるのですけれども、限られた医療人材や資源の中でどのようにしたら良質ながん医療を提供し続けることができるのか。まずは持続可能ながん医療体制に関する政策をつくっていただくための研究を推進していくことも重要だと考えています。医学だけではなくて、社会科学や人文科学、そして、実装科学などの研究者がオールジャパンで取り組んでいただくべき課題ではないかと考えています。
 がん医療に携わる医療従事者も取り残さないがん対策であってほしいという願いも込めて「誰一人取り残さない持続可能ながん医療の提供」という分野別目標の見出しを提案したいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 全体目標は、さっき事務局から説明があったけれども、そこは前回と全く変えていないのですね。
 それで、資料4を出してほしいのです。3ページで、皆さんの意見がそこに書いてあるので、それを出すほうが多分早いと思うのですが、私も今の久村委員の意見に賛成で、もっとシンプルにしたほうがいいと思うのです。
 今、私、海外にいて、パソコンの画面が1つしかないので、今、見えていますね。私のところを出してください。
 そこに書いてあるとおりです。国民全てが、全ての国民でもいいのですが、満足できるがん医療と社会基盤を構築する、あるいは国が構築するというシンプルなキャッチコピーがいいのだと思います。
 それで、事務局がいろいろ用語を拾ってくれたのですが「国民全て」とか「満足する」というものがそれらの用語を全部拾えるだろうということで、私は簡単に、覚えやすいようにしたほうがいい。
 あと、分野別目標については、私、大体、6ページですか。この下のほうを見てください。
 6ページは、ちょっと小さいので、大きくならないですか。
 少し名前を変えたほうがいいという、立てつけは悪くないと思いますけれども「科学的根拠に基づく」はキャッチではないので「がん予防・がん検診」は全てほぼ疫学ですので「疫学」にしたほうがいいのではないか。それはサイエンスの一部になっているのです。
 それから「患者本位」もかなり古いですし、どこかに理由を書きましたが、患者本位の医療は海外では医療のごく一部を指しているのです。ここの「患者本位」は第3期で書いたのだけれども、これは医療全体に「患者本位」と書いている国はほとんどないです。ですから、そこは踏み込み過ぎたというか、ここまで言ってみたのは間違っていたのではないかと思います。ですから「患者本位」は、そもそも医療は患者本位なので、それはもういいでしょうということで、持続可能の御意見があったので、私は「持続可能」のほうがいいかなと思います。
 ただ、持続可能という、持続可能にするための方策についてはどこにも一言も書いていないので、もし「持続可能」にするのだったら、どういうやり方で持続可能にするかを書き足さないといけないだろうと思います。
 全体目標と分野別目標については私からは以上です。
 すみません。「3.尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」のところですが、そこだけが「がん」という言葉がないのです。分野別項目だけが独り歩きすることがよくあるので、ここは「がん患者が尊厳を持って」というふうに「がん患者」と入れたほうがいいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、共有を解除していただきまして、続きまして順番は、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 よろしくお願いいたします。
 先ほどから話が出ています「3.尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」の3ページ目の一番下から3行目の「がん患者やその家族等が住み慣れた地域社会で生活をしていく中で、必要な支援を受けることができる環境を整備する」。それで、今、皆様方御存じのように、政府等でもかかりつけ医機能に関して非常に多くの御意見をいただいておりますし、今後、地域の医療を守っていく。その重要なキーワードとしてはやはりかかりつけ医機能かなと私たちは思っています。
 そこで「国と地方公共団体」等々と書いてありますけれども、事前意見のところにも書かせていただきましたが、やはり地域のかかりつけ医機能と、あと、多職種連携あるいは地域包括ケアシステムなど、こういった文言を入れながら、それを支援する医師会等の医療関係団体ということをしっかりと明記していただいたほうがこれから先の地域のがん患者さんを守っていく、支援していく意味で言うと、よりはっきりとした目標が分かるのではないかと思いますので、その点、御検討いただければと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 これは皆様、かなり視点が重なるところも異なるところもあるようですけれども、これは事務局、なかなかお返事が難しいかもしれませんが、どうですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 基本的には御意見として賜り、全体の整理はまた会長とも御相談と思いますが、今、いただいている御意見の中で恐らく、会長がおっしゃっていただいたように、同じ場所について異なる意見がおありの委員の方もおられる。そこはもしコンフリクトするようであればここの中でぜひ意見を交換していただいて、どちらかと言うとどっちに整理していくのかというところについて合意が得られればと思っているので、その点はもし御意見をお持ちの先生方がいらっしゃれば明示的に御議論いただいたほうがよろしいかと思います。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 今のところ、よく似たポイントとしましては、患者本位というか、誰も一人残らずとか、誰も取りこぼさずとか、そういう意見。あとは「持続可能」です。私もこの文言が何を指すのか、分かりにくい気もしていたのですけれども、そういうところは共通して疑問に感じておられる委員の方が多いような気がいたしました。
 それでは、引き続いて、意見を頂戴したいと思います。
 谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 全体目標のところで御意見をさせていただきたいと思います。
 前回協議会で申し上げたとおり、健康日本21のビジョンにもあるように、格差を是正し、誰一人取り残さないという考え方をベースにした多様性とWell-beingみたいなことがこの時代のキーワードになって、計画の中でも発信すべきメッセージではないかと考えていまして、前回は「がん患者を含めた国民すべてが、がんを知り、関わり、一人ひとりのWell-beingを実現する」と提案させていただきました。
 そのあたりを取り入れて事務局案を考えていただいたのだと思うのですが、自分らしく生きるという表現はWell-beingの形の一つにすぎなくて、最近では「自分らしく」を至上とする考え方が、社会の格差を広げる要因となっているといった否定的な意見も出てきている表現になりますので、ここは「自分らしく生きられる社会」よりも、より包括的に多様性という、トレンドを意識した言葉にして「多様な人がそれぞれの幸せを実現できる社会」を「自分らしく生きられる社会」という表現の代わりに使ったほうがいいのではないかと考えております。
 私からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、阿久津委員、いかがでしょうか。
○阿久津委員 ありがとうございます。阿久津でございます。
 私は、これは提案書にも書かせていただいたのですけれども、やはり自分本位という言葉に違和感ということで先ほどから何人かの先生方もおっしゃっておられたと思うのですが、私もこの言葉から離れたほうがいいのではないかと思っております。確かに、海外の文献を見ても「患者本位」と書いているものはほとんどごく一部のものでしかないということもありますので、ここは第3期は第3期、第4期は第4期ということで「患者本位」という言葉から離れたほうがいいのではないかと思います。
 代わりに、やはりここは分かりやすい言葉でお伝えするのが非常に重要なのかなと思っておりまして、私の提案は「“つなげる つながる”がん医療」という言葉を御提案させていただきたいと思っております。これは情報の均てん化とか、あと、地域の格差の是正とか、治療につなげるという言葉と、あと、医療制度とか、様々な支援に切れ目なくつなげるで、つながる、つなげる、両方ともが合わさることによって、患者の立場からでも使える言葉で、医療者の立場からも研究する方々の立場からも使える言葉というふうに考えましたので「“つなげる つながる”」という言葉を御提案させていただきたいと思います。やはり市民参加・患者参画の推進とか健診予防も含めて、基本的には自分ごと化してもらわないと目の前に進まないことが大きくあると思いますので、そういった意味も含めて、非常に分かりやすい言葉でお伝えしたいと思います。
 一方で「自分らしく生きられる社会へ」と私はそのままつけてしまって、谷島さんと逆で大変恐縮なのですけれども、多様性はやはりすごく難しくて、多様性と言われても何が多様性なのかというぐらいの世の中がまだ、今、この状況だということを考えると、自分で選んでいいのだ、自分でチョイスもできるのだという意味を込めるということでも自分らしく生きられるというニュアンスの言葉はそのまま私は残しておいたほうがいいのではないかと思います。
 それで「誰もが」というところが多様性だったり医師だったりというところを示すと考えておりますので、私はこれは短くしたほうがいいかなという思いがありますが、まとめると「誰もが正しくがんを知り、“つなげる つながる”がん医療で自分らしく生きられる社会へ」がベストではあるのですが、がんを知るということを抜いて「“つなげる つながる”がん医療で自分らしく生きられる社会へ」という形で短めのコンパクトなものにしたほうがいいのではないかと、今までの先生方の御議論も聞いて思った次第でございます。参考になればと思います。
 以上です。
○土岐会長 それでは、もうお一方いきましょうか。
 前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。私も全体目標についてお話しさせていただきたいと思います。
 私は全体目標について「健康格差を是正し、誰一人取り残さないがん医療の実現を目指す」というものはいかがかと思います。予防にも医療にも共生にも格差があります。3つの分野、どこにも格差がありますし、その領域以外にも地域差とかがん種、情報、海外との格差など、様々な格差を可視化して、それを是正していくことが誰もがどこにいても自分が求める医療や生活が送れることにつながる、目指すべき目標にはなるのではないかと思います。今までと同じように当たり前のことを全て並べるという全体目標はやはりどこが変わったのかということになるので、第4期は格差の是正をしていくのだということを強く訴え、全体目標は短めでキャッチーな言葉でないと伝わらないと思います。
 私も、自分らしくというものは、がんにならなくても自分らしく生きられない人もいる中でがん対策として掲げる目標には違和感があります。今は格差があることを認めて、それを改善していくという具体的な目標が効果的ではないか。理想論的な目標よりも変わっていくのだということを伝える目標にしてほしいと思います。
 以上です。
○土岐会長 まとめますと、なかなかまた難しいのですけれども、皆さん、やはりちょっと長いのではないかという御意見も多いですね。今、いただいているのはきれいに4つのパートに分かれていて、その4つのパートがうまく対応しているのはそうなのですが、そうすると逆に全体としては長いイメージになってしまって力強さがない。そういうものが意見でした。これはどこまで切り詰められるか難しいけれども、そういう印象を持っております。
 それでは、次に行かせていただいてよろしいでしょうか。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 全体の意見としては石岡委員がおっしゃったような、国民全てとか全体とかに関して私としては賛同します。
 また、久村委員がおっしゃったような、がんを撲滅するとか制圧することに関しては、がんが制圧できるような状況になれば今ある状況が生まれないことを考えると、現状あるような格差とか、そういう是正プラスアルファ、そういった根本原因であるがんに対してどうアプローチするかの2つが盛り込まれるような文章を考えていただければと思います。
 ワーディングに関して、いろいろあると思うのですけれども、事務局等々でその辺は考えていただいたほうが、ワーディングばかりやっていくとどんどん時間だけ過ぎていってしまうので、この点に意見があるということを集約させていただければと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。非常に貴重な意見で、その方向で、これはもう一回、考え直す方向でやはり考えていくのかなと思っております。
 私から追加させていただきたいのは、資料1の3ページの医療のところなのですけれども「がん生存率の向上・がん死亡率の減少」。これはその上の検診のところで、検診のところは罹患率と死亡率というふうに非常にうまく呼応していて、きれいに見えるのですが、今回、緩和ケアをはじめ、かなりがんそのもの、がん細胞そのものの治療でない医療が医療のところに入ってきたのです。そうすると、この生存率の向上だけが医療の目的ではないのは結構、今回、明確になったような気がするので、生存率以外にやはりもう一言、いわゆる緩和というか、苦痛の緩和。そういうものを医療の目標に一つあるのもこの下線のところに入れていいかなとは感じました。
 私からは、この1点の追加でございます。
 ほか、今はどうしても全体目標に目が行っているところも強いですけれども、分野別目標。ここも踏まえまして、ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、事務局、全体目標のほうで大分、皆様からもう少しシンプルで力強いものにならないだろうかという御意見も頂戴しましたが、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 今の御意見と御議論の内容を踏まえて、大井委員がおっしゃっていただいたように、事務局で改めて整理させていただいて、会長と相談して案文作成をしたいと思います。
 一旦、以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、次のパートに移りたいと思います。
 次は、本文の5ページ目から14ページ目までにわたっておりますがんの予防についてでございます。こちらにつきまして、皆様から御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方は挙手をよろしくお願いいたします。
 いかがですか。事前に意見をいただいている委員の方でも結構ですけれども、皆様、結構、事前には意見を頂戴していますが、大井委員、どうぞ。
○大井委員 7ページ目で「(1)がんの1次予防」の(取り組むべき施策)の文章の中で「拠点病院等は、地域におけるがん対策を牽引する立場から」という文章があって、その次のところに「必要に応じてがん相談支援センターが窓口となり、病院全体でがんの予防に関する情報を提供できる体制を整備する」という記載になっているのですけれども、1次予防でがんでない人はがんの拠点病院に通うことはないと想像するのです。そうすると、そこが中心になって窓口となってということは、想定されているのは再発とか転移というがん、あるいは2次的な多重がんのときのがん予防を言っているのか、それとも、社会に対する発信のことを言っているのか。その辺の整理はどうなっているのでしょうか。
○土岐会長 これは事務局のほう、私も確かにもっともで、大井委員の言うとおりで、がんになる前の人が相談支援センターになかなか行くことは少ないのではないかということなので、それを予防にどうつなげるかですけれども、どういうスキームで考えておられるのでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 今、がん相談支援センターの機能の一つとして、地域の住民の方ですとか、もしくはがんの予防等の取組を実施しているような団体の方からがんの予防に関連する情報の求めがあったときにそれを適切に提供する機能も想定されているため、こういったことを書いているところではございますが、ここでの趣旨とそぐうのかという御意見はあり得ると思いますので、そういった前提でこう書いているところは御理解いただければと思います。
 一旦、以上でございます。
○土岐会長 全くそのとおりだと思います。またこれは考えていきたいと思っております。
 ほかはよろしいでしょうか。
 樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 子宮頸がんの対策についてなのですけれども、HPVワクチンの定期接種を進めるように方向性として動いていくと思うのですが、その際は若い世代への情報提供の在り方。これは副作用に関する不安が強いことからその在り方を考えて、あとは思春期の声を支える体制もセットで考えていただきたいと思います。これは、名古屋スタディではワクチンによる影響だけではなく、思春期特有の多様な症状の影響が示されていました。ワクチン接種とともに、そのような年代の方がワクチンを接種すること。そのような年代の声に向き合う体制が整備できていなければまた同じような状況になる可能性があるので、そのようなことも考慮しながら対策を講じていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 がん検診について発言させていただきます。
 全体目標としては、誰一人取り残さない。私は非常にいいと思います。ただし、がん検診に関して言うと、少なからず取り残されている人たちがいます。とりわけ、職域だと思っています。
 現行の職域におけるがん検診は誰が受けているか全く分かりません。職域におけるがん検診には法的な根拠がないため、受けられない人たちがいます。そこから一歩歩み出さなければ日本のがん検診は変わりません。そして、がん検診の対象となっているがんの年齢調整死亡率の減少を達成しなければなりません。死亡率減少までには時間がかかりますので、全ての人たちが地域・職域を問わずがん検診を受けられるようにすることが必要です。そして、誰が受けているか、たとえばマイナンバーで把握して、がん検診の効果を上げたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ただいまいただいた御意見の2点、一つはHPVワクチンの思春期の女性へのフォローです。
 こちらについては、事務局、何かございますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、いただいた2点については特段、補足等はございませんので、御意見としていただきました。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほかはございませんか。
 事務局、私から質問ですけれども、この個別目標の60%・90%はどういう根拠で今回、この6年間で60%・90%を挙げられたのですか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 事務局といたしまして、この数値をお示ししているのは、これまでがん検診のあり方に関する検討会からも御提言として頂戴していた目標値になりますので、今期間中で目指すものと考えています。
○土岐会長 下の検診に関する部会からの数字で、それは60%より高くは、やはり下の部会では設定が難しいということなのですか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 もともと検討会でも現時点で目標として掲げている50%に到達しているものが男性の肺がんのみであるが、ただ、より高い目標を設定しようというところと、実現可能性を様々議論いただいて、今の目標値の御提言をいただいていると理解しております。
○土岐会長 ありがとうございます。
 松田委員、先ほどのものでよろしいですか。
○松田委員 今の60%・90%について、一言、お話をさせていただきます。
 がん検診のあり方に関する検討会では確かに、今、事務局から御説明があったように、国民生活基礎調査による受診率では、男性の肺がんでは50%を既に超えているということなので、さらに一歩前進するとすれば受診率の目標を60%にしようと提言しました。それについては反対がなかったかと思いますが、そもそも国民生活基礎調査に基づく受診率は正確性を欠いていますので、新たな受診率の把握の方向に向かわないといけないと思います。
当面、国民生活基礎調査を用いるのは仕方がないと思いますが、それにいつまでも頼っていてはいけないと思います。後で出てくるロジックモデルもそうですけれども、その根拠が国民生活基礎調査による受診率ではいまいち正確とは言えないということを改めて申し上げたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 事務局、具体的なマイナンバーという文言はなかなか組み入れてはもらえないのですけれども、それはかなり強く意識しているということでよろしいのですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今の論点につきましては、資料1の10ページ目に「(2)がんの2次予防(がん検診)」という項目がございますが、そこでも(現状・課題)で、受診率の向上が必要不可欠であるということ、一番下では実施割合やがん検診の種類や対象者数や受診者数等を継続的に把握する仕組みがないことは明記した上で、(取り組むべき施策)の中に、1つ目として「国は、がん検診受診率をより正確かつ精緻に、また、個人単位で把握することができるよう検討する」とお示ししています。
 加えて、その下に行っていただいて、11ページ目の真ん中辺りですが「国は、職域におけるがん検診について、実施状況の継続的な把握及び適切な実施に向けた課題の整理を行う。その上で、必要に応じて、法的な位置付けも含めた対応の検討を行う」としておりますので、今の問題点については継続検討するべき、また、取り組むべきものであるということで理解してございます。
 事務局から以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 計画案の9ページで【個別目標】のところですが、前は、喫煙のところは個別目標は前回なかったのです。今回、多分、私は紙の印刷物を持っていないからここで初めて見たのですけれども、1次予防のところは栄養・食生活、身体活動・運動、飲酒、喫煙といって、生活習慣病のリスクファクターについて一まとめにして「次期国民健康づくり運動プラン」に定める目標値の達成を目指すという書きぶりなのですよ。
 しかし、私は前から申し上げているように、ここはがん対策なので、がん対策独自に個別目標を立てるべきだと書いたと思うのです。それと逆行するような形で、これでは1次予防に関しては、目標は我々は立てない。「次期国民健康づくり運動プラン」にそのまま従うだけだということをどうしても事務局がそうしたいということですか。
○土岐会長 以前より石岡委員に御指摘いただいているところで。
○石岡委員 要するに、主体性がないということです。がん対策を立てていろいろごちゃごちゃ書いているのに、目標値はほかの政策に任せる。それでは、我々は何のために議論しているか、全く意味がないということです。
○土岐会長 国民健康はもちろん、がんも含んでいるという考えもあるのですけれども、がんを含んでいるがゆえにほかに循環器とかも入ってしまっているのがあって、それがどっちが厳しいラインを設定しているのか、よく分からないところもあるのですが、そのあたりも踏まえまして、事務局はどのように考えておられますか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。事務局でございます。
 事務局からの発言の前に、もし谷口委員から関連して御発言がおありのようであれば、自治体のお立場からということでいただきたいと思います。すみません、お手が挙がっているので。
○土岐会長 谷口委員、それに関係したことですか。別のことですか。
○谷口委員 いや、別のことなのですけれども、いいですか。
○土岐会長 ほかにこの件に関しまして、ほかに御意見のある方は。
 では、すみません。この点に絞って。
○谷口委員 すみません。谷口ですけれども、よろしいですか。
○土岐会長 どうぞ。
○谷口委員 先ほど事務局から言われた件についても意見をということでしたので、自治体の立場でということで言われると、自治体はがん対策、循環器対策、たばこ対策なども同時にやっているのですよ。そういった意味で、あまりそれぞれの目標値の中で乖離があるとすごく進めにくいというのは実際問題としてはあります。これは自治体で、恐らく都道府県とか市町村、それぞれ計画を立てると思いますので、その辺はある程度、整合性を持たせるといいかなと。これは都道府県レベル、市町村レベルの話になります。
 以上です。
○土岐会長 それも以前にお伺いしております。
 よろしいですか。この件に関しまして、ほかにある方は直接、手を挙げていただけますか。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 前回もこの議論はあったかと思うのですけれども、私としては全体として統一していくことに関して違和感は何も持たないのですが、ただ、数値の設定とか目標の設定に関して、それがより厳しいのか、それとも、現状どうなのかということを我々は把握しないままに任せましょうということに関してはすごい違和感を持ちます。
 どんな目標が出てくるか分かりませんという状態で、前回もたしか健康日本21に関しても、報告書がありますから見てくださいみたいな厚労省の担当部署からの説明があったかと思います。そうではなくて、我々がそれを把握して、この目標はいいねということで承認する。どういう目標を設定するのかを把握した上でこれでいいにするのか、それとも、より厳しいものにしてほしいということをこちらから意見がそちらに返せるのか。その仕組みがあるのかないのかを教えていただければと思います。
○土岐会長 事務局、これについてはいかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、御議論いただいている内容として、まず、先ほど石岡委員からいただいた御意見については、事務局といたしましては、都道府県ですとか各地域で具体的な取組を進めていく中で目標値が複数立っている状況では、実際に取組を考えるお立場の皆さんのところからも考えて、取組をどちらに向けてやっていけばいいのか分からなくなってしまうということもありますので、そこはある程度、連携して整合性を持ってやっていくことが必要だということでこのような形で書かせていただいています。
 今の「次期国民健康づくり運動プラン」の検討状況については、担当部署から補足があればいただきたいと思います。
○土岐会長 いかがでしょうか。
○厚生労働省健康局健康課 すみません。厚生労働省健康課でございます。
 次期プランの検討状況で、以前の説明と重複する部分もありますけれども、まだその数値について議論しているというよりは、全体のプランのビジョンとか、あるいは骨子を議論しているところでございます。
 喫煙率について上げる、目標を立てること自体は一度お話はさせていただいておりますが、どういった目標を立てるかまではこちらでは議論はしていないところでございまして、今、我々、事務局同士でも連携させていただいておりますので、こうした御意見もあったことを踏まえつつ、今後、しっかり考えていきたいという状況でございます。
○土岐会長 がん、循環器、それぞれの意見はあるとは思いますけれども、大井委員からはやはり目標である以上はより高いものを目指すべきではないかという貴重な御意見だったと思います。ぜひ、がん対策課も他部局と協働して、いい数値目標をつくっていただきたいと思います。
 石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 すみません。私は、ここは前から強い意見を持っています。こういう決め方でいいのかということです。そもそも、大井委員が話されているように、決まっていない目標値に我々がエンドースすることはできない。それでいいのか。それが一点です。
 それから、地方自治体の話が出て、これも前に申し上げました。私は過去3回、宮城県のがん対策推進計画の策定に関わってきました。これは余計なお世話なのです。国の計画が、そういうことで健康日本21とか複数出てきたときに、がん対策基本法に書いているように、合わせるのは地方自治体が自分たちの独自の判断で自主性に任せている。そういう法律の立てつけになっているのです。それをお上がそういうことをやると地方が困るだろうからということは、これは余計なお世話というか、出過ぎだと思います。
 私は地方でそういうものを決める立場であります。地域格差があって、では、うちの県はより厳しくここの部分はこちらを取りましょう、あちらを取りましょうという裁量があってしかるべきで、そもそも法律の基本的な精神はそういうことで基本計画となっているわけですから、そこを全部統一してしまうこと自体、私は国のそういうやり方に対して非常に不満があります。
 以上です。
○土岐会長 石岡先生がおっしゃっていることももっともではあるのですけれども、今、国としての目標値をむしろディスカッションしているところでございます。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 すみません。今の議論でいくと、例えばがんの場合でもがん対策基本法という法律に基づいて、今、この計画を皆さんと議論していると思いますけれども、それとは別にがん10か年計画という形で、これも過去行われた計画がずっと今も更新されてきているわけです。それはがん独自に定めているという計画というになっている立てつけになっていると思うのです。
 だから、これは例えば将来的にがんの基本法の中に位置づけられていくのだという方向性を示したり、あるいは国全体としてこういう数値目標を定めていくのだということがあればよいのですが、ただ、前提としては、我々はがんのことに関して検討している協議会の場ですので、その目標で果たしていいのだろうかという検証は必要になるのではないかということだけコメントさせていただきます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 しかし、国の健康日本21の目標と我々の目標値がとんでもなく乖離していることはやはり基本的にはないと思うので、できる限り調整していく方向の我々の意見も伝えた上で調整していただく方向で諮りたいとは思うのですが、いかがですか。よろしいですか。
 では、できる限り、お互い独立しているとはいえ、我々の意見を十分お伝えした上で決めていく方向で、そういう形で事務局は今後、調整をお願いできますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 はい。今、会長からいただいた御発言を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 そのほかに。
 谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 ありがとうございます。島根県の谷口です。
 10ページ目から11ページ目の(取り組むべき施策)の一番最初なのですけれども、もちろん、がん検診受診率をより正確に把握するために個人単位で把握するのは非常に大事なことで、それを否定するものではありませんが、ここのくだりが「できるよう検討する」なので、把握し、例えば効果的な受診率向上策について検討するとか、把握した上で何をするのかみたいなことも含めて検討していただくといいなと思って意見を言わせていただきました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 すみません。この後のがん教育とかのときでも同じ話が出てしまう可能性があるので、一度、問題提起だけさせていただきたいのですけれども、がんの1次予防に遺伝の表記がまだないというところは何か理由と、入れづらいロジックなどがあってそうなっているのでしょうか。やはりもはや乳がんで言えば、HBOCの方は調べればリスクが分かるとなるとがんの予防ができるような状況で、予防的切除も可能になっている現状を考えると、ここにその表記がないことに非常に私自身は違和感を覚えるのですが、どういうお考えの下、全くその表記がないような状況が続いているのかを教えていただきたいと思います。
○土岐会長 事務局、これは私も同じことをお伺いしたことがあるのですけれども、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘いただきありがとうございます。
 今、いただいた観点の御意見も当然あると思います。他方で現状の御説明をさせていただくと、HBOCについては現状、保険収載されている範囲のことを、実装されているという意味で言うと、あくまでも疾病を発症した状態になっている、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断がついていて、既にがんを発症している方に対する対側の乳房であったり残存している卵巣の切除が保険収載されている範囲で、完全未発症の方は対象になっていないという整理です。あくまでも医療の範囲でやっていることであるということなどを踏まえて医療の分野にあるということは、予防のところに現状で書き込むことはなかなか難しいところが一点。
 そういう点も踏まえて、十分な受け止めになっているかという御指摘はあろうかと思いますが、49ページ目の基盤の整備の文脈のところで、がん研究の推進というところの個別目標の部分で、がん予防に資する技術開発の推進といったところは書き込ませていただいているので、そういったところで遺伝情報等をどのように活用していけるのかということは検討の対象とはなり得るということだと思っています。
 一旦、事務局として現状の文章の整理上はそのような考え方で整えているということでございます。
 以上です。
○土岐会長 私も、これは本当は予防及び検診のところに、いわゆる遺伝的素因、遺伝子多系とか、そういうものが大分分かってきたので入れてほしかったのですけれども、現在のところはむしろ、まだ研究の推進の、そちらのほうになっております。
 でも、もう研究を越えつつあるのではないかという気もしていますけれども、研究のところに、49ページに書かれているということでございました。
 それでは、続きまして、黒瀨委員、いかがでしょうか。
○黒瀨委員 すみません。文言の確認で、6ページの上から2行目の「望まない受動喫煙」という言葉があるのですけれども、望む方はいないと思うのですが、あえてわざわざ、この「望まない」を入れる意味があるのでしょうか。場合によっては、誰もが望まないというのなら分かると思うのですけれども、このあえて、ここの「望まない」という言葉を入れる意味が分からなかったので、シンプルに聞きます。
○土岐会長 どうでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 こちらは担当部局からお答えいただくのがよいかと思います。健康課から、いかがでしょうか。
○厚生労働省健康局健康課 健康課でございます。
 「望まない受動喫煙」という言葉は平成30年の健康増進法改正時において打ち出されたコンセプトでございます。先生がおっしゃるとおり、基本的に受動喫煙を望む方はいらっしゃらないとは思うのですが、喫煙者の方だったり、あるいは臭い自体を好んでいらっしゃる方もゼロではないということでございます。当時、禁煙派、推進派、かなりけんけんごうごうの議論があって、両方で意見がある中で「望まない受動喫煙」というコンセプトで健康増進法が改正されまして成立した経緯がございますので、厚生労働省としてもこの言葉を平成30年以降使わせていただいている次第でございます。
○黒瀨委員 例えば親御さんがたばこを吸う、その子供さんなどは望むも望まないも関係なしに受動喫煙させられているわけですから、そういったところも含めて、この「望まない」という言葉は今の状況にはそぐわないのではないかと思いますので、この健康日本21とのすり合わせのことも含めて考えていただければと思います。
 よろしくお願いします。
○土岐会長 大変もっともな御意見であると思いました。
 石岡委員、いかがでしょうか。まだございますでしょうか。
○石岡委員 先ほどの阿久津委員からの遺伝の話ですが、会長のおっしゃるとおり、入れる入れないのちょうど、そろそろ入れたほうがいいかどうかという時期に来ていると思うのですが、国自体も厚生労働省が今、がんの全ゲノム医療をやり始めていて、これは患者に還元する立てつけになっていますので、単純な研究と診療をパラレルにやっていこうというものが国の施策で今、やられています。
 しかし、これはがんの発症した患者ということになるかと思いますけれども、一方で例えば私の所属している大学、東北メディカル・メガバンクでは5万人の健常人の全ゲノムをやって、今年度からHBOCというか、BRCA1/2遺伝子、それから、リンチ症候群のヒトのDNAミスマッチ修復遺伝子に関しましては健常人に対しても開示するのを始めます。これは全く発症していない人なのです。
 しかし、これは研究なのですけれども、これも国のプロジェクトでそれをやる状況でして、開示する対象の範囲も非常に広い。12コホートですから、そういう時代になっていて、しかもこのがん対策推進基本計画が6年続くことになると、この時点でやはり遺伝を入れておかないと、1~2年たつと、何で変えていないのだと、古くなってしまうので、私はここは勇気を持って遺伝性腫瘍のことを書いてもいいかなと思いました。
 あと、これは余談ですけれども、今、超党派の議員連盟で、学会や複数の患者の会を巻き込んで、今、ゲノム医療に関する法律をつくろうという動きがかなり出ている。これは自民党の議員も相当賛同していますので、恐らくいずれ成立するのだと思うのです。そういう状況を考えると、やはりこの対策には、あまり目立たなくてもいいので、遺伝という言葉も1次予防のところに書いても私はいいような気がしました。
 以上です。
○土岐会長 この分野はなかなか、研究という話もありましたけれども、むしろ、また医療かどうかについても、結構、今、境界領域になっているようでございまして、やはりそういったものを調べること自体が医療の一部、医療と予防の境界領域にもなっているという見解もあるようでございます。
 ほかは。
 大井委員、いかがでしょうか。
○大井委員 すみません。何度も同じところに巡ってまいりますけれども、先ほどのところにこだわっているわけではないのですが、一応、整理していただけたらと思うのですが、がん対策基本法と循環器病対策基本法、いずれも健康の中での、先ほどのような身体的な状況とか喫煙とか飲酒とかに関わってくるものになります。
 それで、先ほどの「次期国民健康づくり運動プラン」の目標値達成を目指すということを書かれているのは健康増進法になります。その位置づけが我々にははっきり見えていないのですけれども、例えば健康増進法に基づくものが全ての疾患に対して対応していくのだということの位置づけであれば、それを目標としてみんなで目指そう、循環器もがんもということその辺の位置づけが我々は見えていなくて、一つ一つの個々の問題になっているかと思います。その辺の位置づけをはっきりさせていただけたらと思います。
○土岐会長 よろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 こちらも健康増進法の立てつけについての御説明なので、可能であれば健康課からいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○厚生労働省健康局健康課 健康課でございます。
 健康増進法ですけれども、健康というものがかなり明確な定義がないところでありますが、国民の栄養の改善、その他、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とするという法律でございます。その上で、健康日本21につきましては当然、食生活、睡眠、栄養、たばこ、アルコール、歯の関係を加えまして、がん・循環器対策、糖尿病対策、COPD対策等の生活習慣病についても現行規定があるところでございます。
 その意味では、もちろん、がん対策基本法あるいは循環器の法律と整合性を取っていくところであるとは思いますけれども、生活習慣病一般の対策が一つはスコープになってくるのかなという法律であるかと認識しているところでございます。
○土岐会長 いかがでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。先ほどから話題に出ている遺伝のことなのですが、私の意見を述べさせていただけたらと思います。
 もちろん、こちらで遺伝の話のことを検討されるということで考えることも一つだと思うのですが、やはり遺伝性腫瘍は肝炎とかHPVなどのように事前に対策予防することで予防できるわけではありません。受け継ぐものなので、予防の範疇に入れることは違うのかなと思います。HBOCの予防切除であったりか検診を定期的にやることも予防法ではなくて、それは治療の一つなので、それをすることで治療の一環として行うということの概念になってくるので、これを予防に入れてしまう、一緒にされてしまうことがどうなのかということは慎重に検討されたほうがいいのではないかと思います。
 あと、予防に入れることでやはり、今、がん教育もされていますので、対策が不十分だから罹患したというように子供たちの偏見・差別であったりとか、そこにもつながってくる部分もあると思うので、簡単に入れるものではないと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。大変難しい問題で、どちらに入れるか、微妙な問題であるとは認識しております。
 中釜委員、いかがでしょうか。
○中釜委員 中釜です。私も遺伝性に関する予防に関してなのですけれども、ただいま樋口委員がおっしゃった意見に私も賛同します。ここで挙げる1次予防は、現状の技術を用いて予防可能なことについて、やはり国民全体で取り組むということで書かれたと思います。遺伝性の要因に関しても、分かってきていることもあり、一部のがんにおいては、今、樋口委員がおっしゃったように、治療として反映されています。
 ただ、やはり遺伝的な情報をどのように取り扱うべきかはまだまだ研究的な側面が強いこと、ゲノムに応じた、遺伝情報に応じたリスク要因、層別化もこれからの課題だと思います。研究のところに予防に関する技術開発と書かれていますので、そのあたりで取り込むのがいいのかなと思います。
 現在進められている全ゲノム解析事業における患者還元と利活用についても、患者還元では、遺伝性のものに関しては、がんと分かった患者さんの遺伝的な素因に関する患者還元の在り方はどのようにあるべきか議論されている状況です。やはり取扱いとしては現時点ではまだ慎重にやるべきだと思いますので、私も今、樋口委員がおっしゃった考え方がよいのではないかと考えます。
 私からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 今、中釜委員がおっしゃったような形でこの遺伝情報、遺伝性のがんといったものを整理していきたいとは考えてはおります。ありがとうございます。
 それでは、予防・検診についてはこんなところでよろしいでしょうか。
 続きまして、これは15ページから32ページになります。がんの医療に関してでございます。こちらにつきまして、御意見のある先生はぜひ挙手をお願いいたします。
 今回、緩和が医療に入ってきまして、かなり医療の分野も様変わりしたような印象を持っております。御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 結構、事前の御意見は頂戴しておりますので、またこの場でもう一度おっしゃっていただいてもよろしいですけれども、では、すみません。石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 私の書いたところをかなり入れていただいたので、特に意見は言わないつもりでいました。
 ただ、要するに、時間の関係なのでしょうか。今日はいっぱい皆さん意見を言われていて、どこをどう、どの委員の意見を採用して、採用していないのかというところが我々はよく分からないので、直前に資料が来たこともあって、ですから、結局、無駄な時間を使ってしまうような気がして、そこは聞きたいと思います。
○土岐会長 なかなか一つ一つを、本当は時間をかけて、先ほどのたばこのように、一つ一つの問題を皆さん方全員から意見を聞きたいのですけれども、そこまでの時間がございませんで、もちろん、事前にいただいた意見の繰り返しにはなるのですが、特にやはり強調したいことがあればこの場でも御発言いただきたい。そういう趣旨でございます。
○石岡委員 分かりました。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 では、鶴岡委員、どうぞ。
○鶴岡委員 ありがとうございます。それでは、事前に口頭ではお伝えしているのですけれども、書面で出していなかったので、意見をお伝えします。
 19ページのチーム医療の推進や緩和医療に関してまとめて、いろいろなところでがん拠点病院を中心にということがあるのですけれども、なかなか地域での緩和ケアまでを考えた場合にがん拠点病院を中心にやっていくのがなかなか難しい側面もあるのではないかと思いました。
 細かいところで言うと、例えば19ページですけれども、拠点病院以外の医療機関においては、専門チームの設置が進んでいないことまでは分かっているかもしれませんが、地域で展開されている現状に関して把握がされていないことは書いたほうがいいのではないかと思いました。
 それと、例えば23ページなのですけれども、がん拠点病院におけるがんの治療が終了したときから考えるのではなくて、診断されたときから緩和ケアが今回明確になっているので、例えばなのですが、主治医が替わるとか、主治医が並行して一緒にやっていくことも盛り込んだほうがいいと思います。
 あと、細かい文言で言うと「在宅」という言葉がいっぱい出てきているのですが、在宅は家にいるだけなので、在宅にいて、通院して、抗がん剤治療をすることもあると思いますので、在宅医療のところはきちんと在宅医療というように記載したほうがいいかなと思いました。
 まずは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。貴重な御意見でございます。
 それでは、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 21ページの記載の部分なのですが「国は、患者が、治療に伴う副作用への見通しを持ち、身体的苦痛や外見の変化等があった際に容易に相談できるよう」とありますが、そこに「身体的苦痛や外見の変化などについて評価する体制をつくり、容易に相談できるよう」と付け加えていただきたいです。
 これは現状、相談場所があれば相談できているわけではなく、相談すべきことなのか、患者さんも相談してよいのか、治療しているのだから仕方ないと思ってなかなかつながっていない現状もあります。また、高齢になると、一つ一つの事象を把握する力であったり表現することが難しかったりもするので、まずは医療者が現状を評価することで積極的に拾い、適切な医療や場所や医療スタッフにつなげていっていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。私からは2点、述べさせていただきます。
 19ページのがんのリハビリテーションについてなのですけれども、病状の進行に伴いとあるのですが、実際にはリハビリは職場への早期復帰などにも有効であるため、誰もがリハビリを受けられるという体制を取ることが非常にこの後のQOLに関わってくるということで、誰もが受けられるような体制づくりをお願いいたします。
 それから、事前の意見にも書かせていただきましたとおり、リンパ浮腫について、第3期から変化がないというのがございます。ロジックモデルのリハビリもそうなのですが、人材を育成することと、それが実際、どれだけ患者さんにつながったかという、そこが測れていないので、実際は何回測ってもこれは一緒だと思うのですよ。また測ったのだったらそれを改善するためにアクションがないと結果は絶対変わってこないので、ただ単に研修した人の数ではなくて、リンパ浮腫であれば郭清した人数。これは乳がんと婦人科ではやはり全然違うので、それはどれだけ減ってきているのか、そこの技術の開発はどう変わってきているのか、患者さんがどれぐらいいて、どのくらい治療に結びついているのか。そういったことを検証して初めて改善に結びつくと思うので、実際の現状が測れ、支援につながるような対策にしていただきたいです。
 以上です。
○土岐会長 ロジックモデルの内容も大分御意見をいただきました。私もロジックモデルには本当にたくさん修正すべき点が多いとは感じてはおりますので、そういう御意見も拾い上げていきたいと思います。
 続きまして、谷島委員、いかがでしょうか。
○谷島委員 ありがとうございます。
 私からは少し質問なのですが、ロジックモデルについてはまた別に話す時間があるのですか。
○土岐会長 いや、ここで一緒に。
○谷島委員 ここでなのですね。
○土岐会長 はい。
○谷島委員 それであれば、ロジックモデルについて伺いたいことがありまして、このロジックモデルは今回、第3期の計画との違いにおいて非常に重要な部分であるかなと思っていて、土岐会長がおっしゃっておられたように、よく内容を見ていかなければいけない部分だと思っております。
 ロジックモデルなのですけれども、この計画の策定と同時に完全に確定させてしまうものなのですか。ロジックモデルを今回、本当に12月までにこの内容で決めてしまって、その項目とか仕様とか用いるデータソースも固定して、今後6年間、それを使ってずっと見ていくものなのですか。やっていきながらアップデートするものではなく、今年中に決めて終わりですか。
○土岐会長 これは考え方のところでございますので、事務局から説明をよろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 今回、ロジックモデルについては、政策の進捗状況の評価ですとか、そういったところで活用できるツールの一つとして検討させていただいてお諮りしているところです。その観点としましては、もともと第3期の中間評価でいただいていた指標はそもそも、計画を立てるときに目標値なり指標そのものをセットした上で取組を進めるべきだという前提があったので、この計画を立てるのと同時に御議論いただいているところでございます。
 他方で、資料1の一番後ろの59ページを見ていただきたいと思いますが、もともとロジックモデルの立てつけとしては基本計画本文とは違う形でお示ししていて、本文そのものとは別で、あくまでも参考のものとしてお示しする形で考えています。
 その上で、目標の達成状況の把握と関連してくるので、ここにも「ロジックモデルを活用した科学的・総合的な評価を行い、必要に応じてその結果を施策に反映する」と書いた上で「また、分野別目標及び個別目標の達成状況及び計画の進捗状況の把握に当たって、適切な指標が設定されているか、必要に応じて見直しを行う」ということで、基本的にはもし修正なり追加なり削除なりが必要であれば見直しあり得べしではあるのですが、他方で第3期の中間評価の中でいただいた御意見を踏まえれば一定、一旦はこれで進めましょうというところまでこの議論の中で持っていければと考えています。
 なので、ここで固めたからといって6年間ずっと固定ですということを申し上げているわけではないのですが、他方で、ここでいただいた御意見も踏まえて、ある程度、しっかり見ていけるものをつくっておきたいところではございます。
 事務局としては以上でございます。
○土岐会長 谷島委員、大丈夫でしょうか。
○谷島委員 分かりました。
 協議会だけではなくて様々な検討会であったりとかワーキンググループとか、いろいろなところがあると思うのですけれども、そういう中で今回の指標とか項目だったり仕様であったりデータソースが本当にこれでいいのかが十分議論されているのかがすごく気になります。例えば希少がんにおいて、アクセシビリティーについては患者体験調査を用いることになっているのですが、それだと患者体験調査は大部分が拠点病院の患者さんになるので、ほぼ情報を得られた患者さんに質問することになってしまいます。今の項目とデータソースで適切な数字が取れるのか大変気になっています。したがって、ロジックモデルも必要な部分に関してはアップデートしながら進めていくべきではないかと思っております。
 すみません。加えて、希少がんの部分と、16ページの手術療法・放射線療法・薬物療法についての(取り組むべき施策)の部分と、あと、27ページ辺りの希少がんについてのところで意見をさせていただきたいのですけれども、やはり希少がん、難治性がんにおいては道しるべとなるガイドラインが充実していない、まだまだ足りない部分だと思っています。よって、計画の中の文言に、これは事前の意見に書いていますのでそちらを参照いただきたいのですが「ガイドラインの作成を推進する」という文言を入れていただきたいし、ロジックモデルにもガイドラインの充実を測る指標を入れていくべきではないかと思っております。
 私からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 希少がんのガイドラインの話はよく分かりました。そして、ロジックモデルの特にアウトプットに使える指標のソースは本当に結構限られているところもあって、事務局、このデータソースについては、我々はどういうふうに考えていけばよろしいのでしょうか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 ここでお示ししているデータソースについては特に現在取れるものという形で基本的には整理させていただいています。その観点といたしましては、都道府県でもこのがん対策基本計画に基づいて都道府県に計画を立てていただかなければならないので、そういったところの進捗管理に使うものとなってくると、実際に取れて見ていくことができるものというフィージブルなものを使わなければならないため、そういう整理にしているということです。
 他方で、今、先生方にいただいているように、今は取れないが、今後取れるようにするべきものもあるだろうという御指摘があってしかるべきですし、それについては、では今後、どうやったら取れるのかとか、そもそも取るため、取る手前の話として、どれを真に見ていくべきなのか等の御議論はあってしかるべきですので、それは今後引き続き、今、いただいた御意見を踏まえつつ適宜取り込んでいく形になろうかと思っております。
 一旦、事務局からは以上でございます。回答になっているでしょうか。
○土岐会長 ありがとうございます。大変分かりやすかったです。
 続きまして、木澤委員、どうぞ。
○木澤委員 ありがとうございます。たくさん緩和ケアについて意見を出させていただいたのですけれども、端的に23ページの一番最後のところだけ、特にこれはどうにかしないといけないと思うので、意見をします。
 2008年ぐらいからずっと言われていることが、診断時の衝撃への対応が不十分であるのはずっと言われ続けているわけですけれども、ここに書き込んでいただいたのは大きな進歩かなと思っています。
 ただし、文言というか、考え方なのですけれども、緩和ケアチームとの速やかな連携などで診断時の衝撃に対応すると書いてあるのですが、これはそもそも考え方が違っていて、基本的には主治医と外来の看護師さんたちが対応することになるので、そこの対応を改善しない限り何も変わらないので、この例の挙げ方は誤っていると思います。
 ですので、やるべきは、例えば根本的にはコミュニケーション教育なのでしょうけれども、何らかの体制整備をしないといけない。僕も今すぐぱっと対応策を提案できるわけではないのですが、やはりここにどのような手当てをしていくかをちゃんと考えていくのだという文にしていただきたい。そうでないと、緩和ケアチームはただでさえ人材不足で、特に地方では人材がいなくてしっかり対応できないような状況もありますので、少し考えていただければと思いました。
 以上です。
○土岐会長 分かりました。
 続きまして、森内委員、いかがでしょうか。
○森内委員 よろしくお願いします。
 私からは24ページになります。「専門的な人材の配置等」を追記していただきましてありがとうございます。
 外来看護師は緩和ケアを推進していくことでは大変重要な役割を担っています。本協議会の中でも外来看護の充実に向けてということで御意見をいただきました。ここはもう一歩進めていただいて「外来看護師等の配置の見直しと強化」ということを追記していただけないかと思っているところです。
 以上でございます。
○土岐会長 分かりました。大変貴重な御意見でございます。
 続きまして、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。
 私も24ページです。緩和ケアは治療の初期段階から実施されるべきところなのですが、これの最後のセンテンスに終末期医療もこの分野の中に入ってしまっているので、もしかしたら誤解を招くおそれがあるのではないかと思っておりまして、この1段落をどこか別の場所に置いていただくか、工夫していただきたいと思っています。
 以上です。
○土岐会長 齋藤委員、緩和ケアのところに終末期医療が入っているということで、同じところに入っているということですね。
○齋藤委員 そうです。
○土岐会長 分かりました。
 木澤委員、これはどうなのでしょうか。
○木澤委員 これはうまく書きぶりをして、これは終末期を含めることを書かないと、今まで終末期医療についてしっかりした調査もその質の担保も行われてきていないので、終末期医療についてはしっかりやっていかないといけないと思います。
 併せてということで、両方非常に重要なので、両方に力を入れるということを書くことは非常に重要なことだと理解しています。
 以上です。
○土岐会長 ここは新しいところで、すごく記載が難しいところだと思いますので、まとめていきたいと思っております。
 小原委員、いかがでしょうか。
○小原委員 ありがとうございます。私からは新規の提案を2点、それから、先ほどのロジックモデルとの関連の中で少しお話をさせていただけたらと思います。
 1点目はチーム医療に関してですけれども、ここにあるものが、この(取り組むべき施策)の中に、拠点病院並びにそれ以外の医療機関でのチーム医療の連携体制を図るためには都道府県云々で「連携体制の議論を行う」と書いてあるのですが、もう少し実際の連携体制整備の推進するという文言を書き加えていただき、より積極的な提案をしていただけたらと思います。
 2点目が高齢者のがん対策に関する個別目標なのですけれども、多職種連携の強化というふうにございましたが、高齢者の場合は患者の望んだ場所で適切な医療ということを考えると、やはり在宅医療、地域の保健医療機関との連携も重要になってまいりますので、地域の医療機関、それから、多職種連携を強化することという、地域の医療機関を追記していただけたらというふうに提案させていただきます。
 それから、先ほどから皆様からロジックモデルの話がありましたけれども、今、様々な政策提言ではプログラム評価を用いた、いわゆるちゃんとエビデンスが出るような政策を、財源も含めてですが、考えるという方向で進んでいると思います。そういった意味からは目標値の妥当性を明示するのは非常に重要で、その目標値の明示もきちんと整合性を保った上での、いわゆるちゃんとエビデンスが出るような形でなさるのが科学的であり、これが単なる目標、これにのっとるようなというか、消極的なものではなくて、やはり科学的に提示するのが必要になるのではないかと思います。
 そういった意味では、幾つかここで提案させていただきたいのですけれども、先ほどの緩和ケアに関してですが、今回の報告書の中に「社会的苦痛」という文言が入りました。これに関しましては本当に非常に、私は社会福祉の領域ですので、感謝すべきところでございます。
 それで、分野別アウトカム、先ほどのロジックモデルの中に身体的苦痛、精神的苦痛を抱く患者さんの減少ということを書いてありまして、この中に社会的苦痛の指標がないのです。やはり包括的な、それから、全人的なケアを考えるときに、この社会的苦痛を外すのはどうかと思います。この点はもしかしたら、その他の社会問題もしくは尊厳、別の項目に入れていただくことも可能性はあるかなと思いますけれども、そういったところでのアウトカム指標もぜひ提示していただけたらと思います。
 それから、高齢者のがん対策についても、これまでは遺族調査で患者の御家族からの調査を主にしていますけれども、今、65歳でいわゆるサバイブをされている方々も多くいるわけです。今後、患者体験調査の中に65歳以上の項目を設定していただいてデータソースに加える必要があるのではないかと思いました。ここではそういう提案をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 事務局から追加等はございますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。1点補足だけさせていただければと思います。
 今の社会的苦痛のところの要素をロジックモデル上、計画の記載ぶりと合わせて、どう交通整理したかに関わるのですが、計画本体の共生の分野に社会連携の項目があると思いますが、一部、緩和ケアに関連する項目がそこに残っている立てつけになっているのと、それと関連して、ロジックモデルで言うと、ページ番号を振っていなくて恐縮なのですが、#17という、後ろから4枚目ぐらいになると思いますが、サバイバーシップに関する要素のところの分野別アウトカムや中間アウトカムのところで、仕事の継続に関連するものや治療費用の負担が原因で治療を変更や断念した患者の割合などを要素として入れているので、医療と共生の分野に緩和ケアを、ある程度、整理して分けた結果として別場所にある構造になっている。これは一定許容していかなければいけない話だと思うので、こういうセパレートの仕方がされているので、要素としてはきちんと見ていくことと、書いてあるところが合っているのかという御意見はあろうかと思います。
 事務局からの補足説明は以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 度々すみません。2点お願いします。
 26ページに妊孕性温存療法のことの記載があるのですけれども、その中で「国は、妊孕性温存療法の一層の推進に向けて、がん医療と生殖医療の連携の下、妊孕性温存療法及びがん治療後の生殖補助医療に関する情報提供と意思決定支援」と書いてあります。この書き方ですと妊孕性温存療法がありきのような書き方となってしまっています。、妊孕性温存療法は、情報を聞いた上で温存療法を選ぶ方もいますし、温存しないという人生の選択をするような方もおられます。
 妊孕性温存をするかどうかはそれを、治療を経て、どのような人生を歩んでいくか、サバイバーシップを考える上での一つの手段でしかないので、例えば書き方として「がん医療と生殖医療の連携の下、がん治療の影響をまずは知って、それから意思決定支援を適切に受けるような支援ができて、そこから妊孕性温存療法及びがん治療後の生殖補助医療に関する情報提供が行われるよう」という、多様な選択に配慮したような書き方に変えていただけたらと思います。それが1点目です。
 次が、以前もお話ししたかと思うのですが、30ページ目の長期フォローアップの件に関してです。現在、日本では患者の、特に小児・AYA世代の晩期合併症などのデータがありません。患者体験調査もロジックモデルにもあるのですが、それは罹患して3年までの人のデータとなっているため、日本の状況が見えないようになっています。
 そのため、フォローアップの在り方を、現状を見てから検討していただきたいと考えていて、検討に当たり、日本の患者の晩期合併症などに関するデータをまずは集めて、それを基に、心身だけではなく、ソーシャルサポートや経済、情報など、包括的なサバイバーシップのケアの要素を含めたガイドラインを日本でも整備して、それからケアプランや医療者向けの研修などを立てていただけたらと考えております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございました。
 非常に明確に、妊孕性については、私も共生のところにあるサバイバーシップなのか。ただ、やっていることは医療なので、どっちに区分けするのか難しいとは感じてはおりました。皆が皆、受けるものではないので、やはり画一的な医療とは言えないような気もいたします。
 2つ目が小児の長期フォローアップのほうですね。こちらも非常に大事な論点であると感じております。
 それでは、続きまして、石岡委員、いかがでしょうか。
○石岡委員 18ページです。がんの薬物療法の(取り組むべき施策)で、18ページの一番下のほうをお願いします。
 ここには「薬物療法を受けられるよう、標準的治療の提供に加えて、科学的根拠に基づく高度な薬物療法の提供についても」とある。書いてあることは間違ってはいないのですけれども、基本的には標準治療は科学的根拠に基づいている状況が一つ。
 それから、最近、高度な薬物療法の主体をなすのは今、がんゲノム医療に基づくがん薬物療法です。がんゲノム医療に基づく薬物療法は、実は科学的根拠はないのです。標準治療は終えて、がん遺伝子パネル検査をやる。そのときに推奨される治療は治験であったり、臨床試験であったり、あるいは患者申出療養だったりして、科学的根拠に基づいていない治療を推奨しているのです。そことのロジックが、矛盾が生じてしまいますので、ここは「科学的根拠に基づく高度な」はまずいと思います。ここは例えば「がんゲノム医療などの高度な」とか、言い方を工夫しないと、国がやっていることとここに書いていることに明らかな矛盾がありますので、そこが一点。
 それから、ページは忘れましたけれども、これは非常に細かいところです。難治性がんというふうにずっと書いてあるのですが、これはがん対策でしか使っていないです。国がんの患者情報センターにも難治がんと書いてあります。それから、私たちの学会で出している『新臨床腫瘍学』という分厚い専門医向けの教科書も希少がん・難治がんと書いてあります。難治性がんとは書いていないです。
 難治性というものは、我々、医者が難治性腹水とか難治性多発性骨髄腫というときに使いますけれども、一般の方向けの希少がんとか難治がんというときは難治性がんと言わないで難治がんと書くことにほぼ決まっているはずですので、ここはぜひ直してほしい。
 以上です。
○土岐会長 1点目で、治験であればもちろん、エビデンスがある薬ではないのですけれども、ただ、それを科学的根拠がないと言い切ってしまうかどうか。そのあたりは。
○石岡委員 いや、科学的根拠はないと書かないのです。科学的根拠という言い方を書いてしまうとここはおかしいと指摘されます。
 ここは全部、科学的根拠に基づく、放射線治療も全部そう書いていますけれども、これは最初の垣添先生の時代から、科学的根拠のない変な免疫療法とかが横行していた時代に科学的根拠とつけることは非常にそこをブレーキをかける意味で意味があったのですが、それをずっと今まで踏襲して科学的根拠と言うことはどうにかしたほうが僕はいいのではないかという思いもありますけれども、ここに関しては「科学的根拠に基づく高度な医療」とやってしまうと、がんゲノム医療はそれに入らないので、矛盾が生じるということです。
○土岐会長 まだ評価療養の段階ですのでね。分かりました。
 中釜先生、このあたりに関してもよろしいでしょうか。
○中釜委員 表現の仕方については御検討いただければと思いますし、今の石岡委員のご指摘ももっともなところがありますので、そこは御検討いただければと思いました。
○土岐会長 では、御意見をよろしくお願いします。
 中釜先生、どうぞ。
○中釜委員 私からは、32ページの新規医薬品のところの医療実装に関する項目についてです。これを新たに項目として取り上げていただきありがとうございました。
 これまでも議論されてきたように、例えばゲノム医療等に関しては、研究から実装が非常にスムーズに進められてきました。これに関しても各拠点が取り組むことが求められており、より早く、いち早く患者さんに適切な、あるいは改善に資するような治療を提供するのは非常に重要だと思うのです。その中で問題は、その情報が十分に患者・国民に行き届いていない、あるいはそこにアクセスする仕組みが十分とは言えないところから(現状・課題)として国が情報提供に対する仕組みについて、様々なステークホルダーの方々と検討しながら、例えばパイロット事業等で取り組んできたことがあろうかと思います。一定の現状把握の成果があったかと思うのです。
 その中で(取り組むべき施策)に関しては、必要とされる情報が非常に迅速にアップデートされるという課題もあります。それをどのようにして恒常的に情報提供し続けるかに関してはまだまだ十分に解決されていないところもあるかと思いますので、例えば(取り組むべき施策)として、国が今後とも推進に引き続き取り組むとともに、患者目線の分かりやすい情報提供の在り方について検討し、拠点病院に対して周知する。加えて、継続的な情報提供をするための体制強化とその支援の在り方について引き続き検討することとする、などを書き加えておくと良いと思います。現状はスポット的な情報提供ができる体制・仕組みが、ある程度検討されて、それが一部可能になったわけですけれども、これからもますます医療実装のところは開発研究が非常に迅速に進む中で、それに関して継続的に情報提供するための仕組みはやはり持続可能性という観点からも必要だと思います。単に拠点病院が情報提供を行うだけではなくて、それを効率化する支援の在り方、国の支援も含めた支援の在り方については引き続き検討することは、ここに書き込まれるほうがよいと思いましたので発言させていただきました。
 私からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実践のお話でございました。
 ここのところで私も、一番最後の【個別目標】で、治験への参加自体はまだ享受とは決まっていない。実際、治験の多くはフェイラーするものが多いわけであって、治験を推進することは大事なのですけれども、これを享受というふうにイメージさせてしまうことには早いのかなという気がしたので、文言が、治験が享受であるのはまだ早い、もう一段階早いものが治験と来るのではないかと感じておりました。
 それでは、谷口委員、どうでしょうか。
○谷口委員 ありがとうございます。
 私からは19ページのチーム医療の推進について、事前の意見でも多少書かせてもらったのですけれども、都道府県拠点とか地域拠点のレベルがかなりどんどん上がってきていて、ただ一方で、それ以外の一般病院との格差がより広がっているような気がしております。
 そういった意味で、この部分で、拠点病院等は院内のことをしっかりやりなさいと言いつつ、地域でも議論をしなさいと言っておられるのですけれども、ここをもう少し一歩踏み込んで、連携体制の構築に取り組むとか、連携体制の構築について議論するとか、そういうことが必要になってくるのではないか。
 例えば、各都道府県どこでもそうですけれども、三次医療圏と二次医療圏があって、地方だと都道府県が一つの三次医療圏で、二次医療圏がその下にあるのですが、二次医療圏の中に例えば拠点病院があるようなところについては、その単位でいろいろな関係機関と連携体制を構築するとか、二次医療圏の中に拠点病院のないところもありますので、そういうところについては都道府県の拠点病院が出かけていって、その地域での連携強化を図るとか、そういうことが今後必要になってくるのではないかと思って意見をさせていただきました。
 以上です。
○土岐会長 拠点病院以外との連携を強化するということで、了解いたしました。
 鶴岡委員、いかがでしょうか。
○鶴岡委員 ありがとうございます。今の谷口委員の地域の連携に関しては全く同意しております。
 今回は高齢者のがん対策のことに関して御意見申し上げます。(取り組むべき施策)で、高齢者のがんの特徴として「例えば、他臓器の合併症を有している」と書いてあるのですけれども、他臓器だけではなくていろいろな慢性疾患を抱えている、慢性疾患が併存しているところを強調したほうがいいかなと思いました。だから、生活支援が必要であったり、住まいに関する、環境に関する配慮が必要で、総合的にサポートが必要であるところを強調したほうがいいと思いました。
 それを考えると、先ほどのチーム医療とも関係してくるのですけれども(取り組むべき施策)に拠点病院等は地域と連携を進めろというふうに書いてありますが、地域拠点病院がそこまでやるのは結構大変だと思っていて、ここの主語はやはり地域の医療機関かなと私は思いました。地域の医療機関が介護施設や多職種との連携を進めるように、それを後方から支援するのが拠点病院というほうがより進むのかなと思っています。それはそのまま、地域包括ケアシステムの構築を進めということだと思うので、ここの部分にはぜひその文言を入れるといいかなと思いました。
 以上です。
○土岐会長 よろしくお願いします。
 ほかはよろしいでしょうか。
 私からもう一点、意見にも書いてあるのですけれども、同じく高齢者の31ページのところなのですが、高齢者は今回、割とさらっとした記載になっているのですけれども、実は支持療法とかチーム医療とかリハビリとか、これはほとんど高齢者をターゲットにしているものが多いのですが、これだけ見るとなかなか高齢者がそういったところの主役であるのが見えてこないような、やはりそういったものを使って高齢者の医療を維持するのが大事なので、そういう記載があってもいいのかと思いました。
 ここの【個別目標】で、高齢者が、患者が望んだ場所で適切な医療。この適切な医療というものがすごく幅広くて曖昧だなと思ったのですけれども、高齢者にとってはやはり支持療法とかというものは非常に大事なものでございます。また、高齢者にとっては治療を受けない選択肢もある。いわゆるACPというものもあるので、かなり適切な医療は本当に高齢者の場合、物すごく幅が広いものを含んでいると感じておりますので、少しでも具体的な表現ができたらとは感じております。
 これが私からの意見でございます。
 大分、御意見を頂戴して医療のところはディスカッションできましたけれども、よろしいでしょうか。
○原澤がん対策推進官 会長、1点だけ、事務局からすみません。
○土岐会長 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 すみません。本日御欠席の茂松委員から、御意見をいただいております。読み上げることはしませんが、御紹介のみで、医療の分野に特に関連して、資料4の15ページ目で放射線治療関連の御意見を頂戴しておりますので、その点だけ、各委員の先生方も御覧いただければと思いますので、御紹介させていただきます。
 以上でございます。
○土岐会長 資料4の15ページを御覧いただきたいと思います。
 それでは、次は共生なのですけれども、ちょっとお時間を、休憩を5分。
 事務局、どうしましょうか。5分ぐらいでもよろしいですか。
○原澤がん対策推進官 よろしいかと思います。ありがとうございます。
○土岐会長 ちょっと休憩を置きますので、次は14時50分頃に再開したいと思います。
 では、一旦、ここで休憩とさせていただきます。
 
(休  憩)
 
○土岐会長 それでは、時間にもなりましたので、残りの部分を始めたいと思います。
 続きましては、33ページから47ページのがんとの共生のところでございます。こちらで、事前の御意見も頂戴しておりますけれども、御意見のある委員の方はぜひ挙手をよろしくお願いいたします。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。4点ございます。
 1つ目、共生のところから医療に緩和ケアを移した経緯がございますけれども、ぜひ両方に入れていただきたいと思うのが私の意見です。緩和ケアだけではなくて、支持療法、アピアランスケア、それから、相談センター。これ全てを共生のところに入れていただきたいのが1つ目です。
 2つ目、先ほど会長から高齢者のがん対策についてお話がありましたけれども、企業として、これから労働者の年齢が上がっていくわけなのですが、がんにかかる率も社員が増えてくる可能性があるところで、医療も標準治療だけではなくていろいろな選択肢が増える中で、企業と高齢者である労働者と医療との3者が連携できるような文言をどこかに入れていただきたいのが2つ目です。
 3つ目、遺族なのですが、今回、ロジックモデルの中に患者調査はあったのですが、経済的なサバイバーシップのところに遺族への調査がないということで、やはり家族を失った人たちがどのような経済状況にあるのかもぜひ調査していただきたいと思います。
 それから、どこのページか、あれですけれども、すみません。就労支援についてのところの(取り組むべき施策)の3行目で「就労支援に携わる者が」という表現があるのですが、これが曖昧ではないかと感じています。就労支援に関わる者はここを明記すべきところで、医療者の方ももちろん含まれるでしょうし、企業側も含まれる、相談センターの方も含まれるということで、しっかりと書いておくべきではないかと思っています。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、森内委員、よろしくお願いします。
○森内委員 よろしくお願いいたします。
 45ページ、46ページになりますが、AYA世代の患者にとって、在宅療養を希望していても利用できる支援制度に限りがあって、その希望もかなわないという声はこれまでも多くの委員から意見が出ていたかと思います。そのような意味から、46ページの(現状・課題)の最後の段落に書き込んでいただいたことはとてもよかったと思っております。
 それに対応した施策が(取り組むべき施策)の4段落目に記載されている内容だと思います。「在宅療養環境等の体制整備」と書かれています。具体的にはどのような体制整備なのか、記載していただくといいと思っているところです。人生の最終段階における療養場所と考えますと、自宅や地域で過ごすことを希望する患者とその家族に対しては、医療ニーズへの対応だけではなく生活面への支援も不可欠であり、事前意見として看護小規模多機能型居宅介護への医療保険の適用等を例示として追記していただくよう提案いたしました。
 看護小規模多機能型居宅介護、通称、看多機といいますが、看護と介護を一体的に提供するサービスであって、退院後の在宅生活への移行やみとり期の支援、家族に対するレスパイト、利用者や家族の状態やニーズに応じた主治医との密接な連携の下に「通い」、「泊まり」、「訪問介護」、「訪問看護」といった多様なサービスを24時間365日提供しています。この看多機は介護保険のサービスです。AYA世代である若年層のがん患者は、医療保険の訪問看護を利用することはできますけれども、介護保険のサービスを利用することはできません。重度な状態にある人のケアニーズは世代にかかわらず共通しておりますので、訪問看護同様、医療保険でも介護保険でも看多機を利用できるよう、制度面での対応まで含めた検討をしていただけたらと思っております。
 2点目、47ページ、高齢者についてです。(取り組むべき施策)の1段落目に高齢のがん患者への支援の充実について、特に人生の最終段階に療養の場所として住み慣れた自宅を選びたいと考えたときに、在宅での療養を支えるため、訪問看護が果たす役割は大変大きいです。また、患者や家族等の状況や気持ちの変化に応じて療養の場所等について話し合う必要が生じたときに、訪問看護が入ることによって、本人の心身の状態だけではなく、自宅での生活の様子、家族の不安や介護負担の状況等についても把握した上で、必要な支援や希望する場所での療養につなげていくことができます。
 具体的には47ページの(取り組むべき施策)の2行目になります。在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション等の医療・介護を担う機関、となるよう追記していただきたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
○土岐会長 森内委員、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 ありがとうございます。
 私から1つ見解を伺いたいことがありまして、就労支援の部分について、非正規や自営業、フリーランスという方々に対しての支援が抜け落ちているのではないかということで(現状・課題)と支援策のところでもそこについて言及すべきではないかということを前回、今回も書かせていただいたのですけれども、そこに対して計画の中で言及するのが難しいのはなぜか。やはり全体目標の中でも皆さん、格差の是正であったり誰一人取りこぼさないことが大事だということをおっしゃっていたので、この辺に関して言及していくことは今回非常に大切だと思うのですが、その辺の御見解をいただけたらと思います。
○土岐会長 では、3名の委員、齋藤委員、森内委員、谷島委員というふうに御発言いただきました。それぞれ、齋藤委員は緩和の共生のところの記載はないのかと、高齢の労働者、遺族調査で遺族の経済状況とか、それから、就労支援。森内委員からはAYA世代の介護、高齢者の訪問看護。そして、最後、谷島委員からはフリーランスの方々の就労支援はないのですかという御発言でした。
 事務局から何かございますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、谷島委員からいただいた観点についてはぜひほかの委員の先生方からも御意見をいただければと思いますが、まず、今、論点になっている就労支援や両立支援に関する施策の担当部局も御出席いただいているので、そちらの部局から補足説明ですとか何かコメント等があればいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
 労働基準局から手が挙がっているようですが、発言いただいていいでしょうか。
○厚生労働省労働基準局治療と仕事の両立支援室 よろしいでしょうか。すみません。貴重な御意見をありがとうございます。
 まず、齋藤委員がおっしゃられていた部分で、就労支援に携わる方ということで、もっと具体的に明記すべきではないかという点でございますけれども、書きぶりにつきまして、またこちらで検討させていただくといいますか、いろいろな書き方があるので、そこで限定されているのではないかという懸念もあるのでこうした記載にしたところではございますので、少しこちらは検討させていただきたいと考えております。
 あと、谷島先生がおっしゃられていた、従前からのフリー、非正規雇用ですとかということで御指摘なのですけれども、今、労働基準局で進めております治療と仕事の両立支援につきましてはガイドラインを示しまして、事業主の方々に治療と仕事の両立についての留意事項ですとか取組に当たっての意義ですとか、そういったものについてガイドラインで示しているのですが、その中では雇用形態にかかわらず全ての労働者を対象にするということがございまして、これまで進めてきたところですので、あえて非正規労働者ということの特出して掲げることは、それまでの取組からすると、あえて記載しなくてもいいという認識の中で進めているところでございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続いて、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。今、谷島委員がおっしゃった非正規雇用の部分も含めてお話しさせていただきたいと思うのです。
 本件、やはり格差とか差をなくすというところがキーワードになっている部分なのかなと感じております。今回、実はデータというか、資料を入れさせていただいて、700人を超える患者さんの声を急遽集めて、就労の今という形で、もちろん、完全な形ではないのですけれども、調査をさせていただいたときに、キーワードは上司で、それは非正規雇用の方、雇用の方にかかわらず上の方とか会社の中の、企業側の調査をするという表記をどこかに入れていただきたいと思います。
 先ほど齋藤さんのところで、患者だけではなくて遺族というところですね。それで、企業と患者は就労支援の中ではやはり両輪だと思うので、両方の調査をすることで現状が明らかになるのではないか。項目の書きぶりの中にがん患者の離職と就業の実態を把握というコメントが入ってはいたのですけれども、その前にぜひ、様々な就労形態におけるなどという書き方。いまだにがん患者さんであると余計に就労形態による差が一般の方よりも出やすい事情があると思うので、この部分は、今は当たり前にこれはやっているからではなくて、そこをきちんと守るのだという意思を示すために私は書きぶりとしては書いていただきたいというお願いがあります。
 あと、ロジックモデルに関する言及になるのですけれども、これは谷島委員も書かれていて、本当に同意させていただくのですが、推進アクションの参加会社が増えるだけで測れないと思うのですよ。離職の実態の把握と言及されているのですけれども、やはり中小・零細企業を含めた企業への調査とかが何らかの指標でないとそこは測れないのではないかと思っております。
 それで、前田委員の中の御指摘に、アピアランスケアも相談できた数ではなくて質ではないかという話があったと思います。両立支援コーディネーターの研修の就労の数でもないと思いますので、ロジックモデルの中の指標についてもぜひ実態に即した形で、調査がないなら新しい調査、こんな調査をしようということも含めて、このロジックモデルの中に記入していただいて一歩進めていただきたいというふうに強く要望いたします。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大賀委員、どうぞ。
○大賀委員 46ページの2つ目のパラグラフで「地域で過ごすことを希望している中、AYA世代のがん患者は、利用できる支援制度に限りがある等の」というところがありますが、ここに「小児・AYA」が抜けてしまっていることに関しては何かございますでしょうか。事務局にお尋ねしたいと思います。
 といいますのも、小児の15歳未満の患者さんも子供ホスピスとかという考え方がございましたが、今、地域でも在宅で、やはりお家でみとりの形を私ども、持っていけるような状況に少しずつ変わりつつあります。この3~4年で変わってきてまいりました。例えば在宅で最後、みとりをしながら拠点病院のドクターと連携を取ってやる。それから、地域連携のところも小児がん拠点病院の地域の病院と連携している。ですから、ぜひ地方の場合は1A基準にそういうところを入れていただければ、20人という年間の新規のという、AとBという分け方がございますけれども、本当に国民が望んでいる、患者さんたちが望んでいるのは最後のそういうところではないかと思いますので、少子化も進んでいますし、一人一人大切に見送ってあげるためにも、その部分、ここは小児を書いていただければと思います。
 事務局にお願いいたします。
○土岐会長 では、ここで大賀委員から、小児の介護が抜けてしまっているのだけれどもという、46ページのところですね。いかがでしょうかという御質問でございました。
 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、御指摘いただいた点は、これまでの議論の中で明示的に出ていたのがAYA世代のがん患者という文脈であったので、このように(現状・課題)は記載させていただいていたのみです。(取り組むべき施策)でそれを受ける形で、一番下の段落になりますが、そちらは「小児・AYA世代のがん患者の」と書かせていただいていますので、今の御意見を踏まえて(現状・課題)にも同様であるということで追記すべきではないかという御意見として承りました。
 一旦、以上でございます。
○土岐会長 それから、阿久津委員からは、ロジックモデルの数字のことはまたできる限り取れるものも限られているので、でも、取れるものであれば実態の数字を取らなければ意味がないということですね。やはりフリーランス、非正規の方の就労支援のお話でございました。
 それでは、大井委員、いかがでしょうか。
○大井委員 ありがとうございます。この場に患者・家族・遺族を代表する者という立場で参画させていただいているかと思いますけれども、それとは別の立場として、歯科医師の立場としてコメントさせてください。
 第2期、第3期に当たっては、口腔ケアは記載されていました。特にがんとの共生になりますと、ホルモン療法で長期療養される方の中には骨粗鬆症対策とかでランマークとかゾメタとかを使われている場合に、口腔ケアは重要な位置づけになってきます。さらに人生の最終段階になったときに、栄養を取ることは可能かもしれませんが、食事を楽しむとか、そういった最後の生活を家族と有意義に過ごしていくためにはやはりそういった口腔の状況、環境のことが重要であるということで第2期、第3期に書き込まれてきたかと思います。口腔ケアが副作用での対応で、この前の議論であったアピアランス同様の領域に入ることなのか、それとも、このがんとの共生に入るのか、分かりませんが、そういった記載が欠落しているのではないかということの指摘です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。私も就労についてお話しさせていただきます。
 40ページの中ほどにありますように、病院の医療スタッフから説明があったと回答する人が約4割しかいないところが私は非常に問題だと思っています。下にも「離職の実態を把握し」などと書いてありますけれども、実態の把握については、ここ10年、厚労省や国立がん研究センター、CSRプロジェクトでも様々な研究を行っています。研究会による細かな分析では、両立の問題点として、体の問題、心の問題、社会の問題、3つが影響するということが既に示されています。
 先ほど阿久津委員の資料にもありましたとおり、かなり悩んでおられた方は、1人で奮闘して、会社と交渉して困られたという結果にはなっているのではないかと思います。ここで診断時にすぐに支援者とつながって、早期から両立について一緒に考えて、交渉して、助言をくれる専門家がいれば結果は変わっていたのではないかと私は思います。つまり、がん診断時に医療者から就労支援の専門家へ早期につながることで、両立で悩む人が減らせるのではないかと思っています。
 医療機関でどう両立支援専門職につなげるかが重要な論点にはなるのではないかと思います。離職理由として、仕事を続ける自信がなくなったとか、迷惑をかけると思った。これは、思い込みだと思うのですよ。こういうところで、いや、今はそうではないのです、あなたを支える人がいっぱいいるのですという、本人をエンパワーメントしないと、自分で諦めてしまう。そこで離職につながる。これを何とか止めるのは、やはり一番初めのがんと診断されたときつなげることが大事。だから、この39.5%をより100%に近づけ、独りぼっちにしない、自分が何をすればいいのか分からない。という人を減らす必要があります。
 具体的な対策としては、医療者から説明を受けた人を100%にする。その上で、相談したけれどもどうにもならなかった中小企業には助成金が必要だし、非正規雇用を雇う雇い主、派遣会社さんにはさらなる理解を促す対策が必要です。
 木澤委員からもありましたとおり、キーパーソンは告知時にそばにいる医療者です。そこのコミュニケーションであったりとか、支援先の理解がないと次につながらないというお話もありました。特に現場で医療者さんは本当に忙しいと思うので、スクリーニングとして、こういうことを困っていませんかというアセスメントシートなどを使うと、これは仕事のことだけではなくて、アピアランスであったり、緩和ケアであったり、いろいろつなげられる。相談支援センターは受け皿ではなくて、私はハブだと思うのです。
 まずは相談支援センターに行って、必要な支援につないでもらう。ピアサポートにつないでもらったり、両立支援相談員につなげてもらったり、緩和ケアにつなげてもらったり、そういったシステムが構築し、がんと診断されたときに、独りぼっちにさせない、その方を放り出さない、必ず誰かが伴走でき様々な支援につなげてほしいと思っています。
 以上です。
○土岐会長 大変貴重な御意見をありがとうございます。今回は阿久津委員からも参考資料を頂戴しまして、あれもよく見ますとそのような御意見が書いてあったように思います。就労支援のところはぜひ漏らさないようにしていかなければいけないと感じている次第でございます。
 ほかに。
 石岡委員、いかがでしょうか。
○石岡委員 手短に。
 就労支援のところですけれども、循環器対策推進基本計画にも仕事の両立、就労支援と同じ項目があるのです。こういうところこそ基盤としてやはり合わせていくのが、やはり社会保障といいますか、社会支援の面で大事なのではないかと思います。
 さっき私がこだわっていた予防のところは、科学的な根拠は少しずつ生活習慣病と例えばがんとは当然違うので、私はそういう意味で違うべきだと言っているわけですけれども、この就労支援に関しましてはかなり構造が似ていますので、こちらはむしろ、そちらとよく協議して書くのが私はいいのではないかという印象を持ちました。
 以上です。
○土岐会長 事務局、それに関しましてはいかがですか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 先ほど両立支援や就労支援を担当している部局からも回答をいただいていますが、同じようにその取組そのものを所管している部局とよく連携しながら、それぞれの基本計画について議論を進めて計画の策定の書きぶり等の調整をさせていただいていますので、そこは基本的には足並みをそろえてやっているという考え方で受け止めていただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほかに。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 すみません。今の石岡委員の意見に関しての追加の発言になります。
 後ろのページなので、これがここでいいかどうかは分かりませんが、57ページの「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」に「1.関係者等の連携協力の更なる強化」の一番最後の追記されている部分に「なお、国及び地方公共団体は、他の疾患等に係る対策と関連する取組については、それらの対策と連携して取り組んでいくこととする」という記載を追加いただいているかと思います。
 これに関して、例えば先ほど石岡委員がおっしゃったような就労であったりとか教育であったりとか、そういったものはがんに限らず様々な疾患においても同じ問題があります。確かに就労に関しては循環器対策の基本法の中でも記載がありますので、そこのところに具体的に書き込んでいただければそういった連携が進富んでいく形意図の記載になるのではないかと思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 ありがとうございます。先ほどの前田委員との関係で発言させていただきます。
 患者調査で説明を受けた人が39.5%。これは拠点病院の話だと理解しておりますけれども、がんの診断を受ける人たちは拠点病院だけではなくて、一般医療機関でも多くの方がやはり診断を受けていらっしゃる。ポピュラーながんであればあるほど、そういう方が多くなります。私が知っている拠点病院以外での300床ぐらいの病院でも300人ぐらいが診断を受けておられるデータを私は持っておりますが、そう考えると、一般病院のレベルをどう上げていくか。先ほども話しましたけれども、拠点病院のレベルはそこそこ上がっているということで、それでも40%そこそこなので、そこはそこで取り組む必要があると思いますが、拠点病院以外の医療機関で診断を受けた人への対応をしていく必要があるかなと。
 それで、治療と就労の両立の話も、拠点病院には相談窓口がありますけれども、それ以外にはないとか、様々な問題もあると思いますので、そのあたりの記載がどこかに必要なのではないかと思って意見を言わせていただきました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、樋口委員、いかがでしょうか。
○樋口委員 ありがとうございます。
 先ほども森内委員からもお話もあったように、要望書でも出させていただいていたのですが、46ページにAYA世代のがん患者の療養環境の課題についての記載があります。「国は、小児・AYA世代のがん患者の療養環境の課題等について実態把握を行い、診断時からの緩和ケア提供体制や在宅療養環境等の体制整備について、関係省庁と連携して検討する」とあります。
 しかし、この文面ではどのように具体的に推進されるのかが見えてこず、今までもこのようなことが言われていたと思うのですが、課題に出させていただいたように、今は地域により受けられる支援に差があって、経済的な負担も住んでいる地域により差がある現状があると思います。せめて自治体へのアプローチを国から図っていただきたいと考えていて、文面をより具体的に、関係省庁と連携し、地域により受けられる支援に差がないような形に推進するような形に進めていただけたらありがたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 このAYA世代の介護保険が使えないのをどうするのだという御質問は大分前から皆さんから出ておりますけれども、事務局、これは方向性としましてはいかがしたらよろしいのですか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 まず、今、おっしゃっていただいたような地域の差がある、もしくは地域ごとに独自の支援が行われていることがあるけれども、その実態がいま一つ正確に把握し切れていないところは46ページ目の(現状・課題)の一番後ろでしっかり書かせていただいていることと、出口戦略といいましょうか、今後、どのような具体的な体制整備等を進めるのかをできれば具体的に書いてほしいということは御意見として理解いたしましたが、前段に記載してございます療養環境の課題等についての実態把握。これはやることを前提としてですが、そこがはっきりしない中で具体的な出口戦略が書き切れないので今のような漠とした書き方になっている状況でございます。
 現状の書きぶりの整理は今のような考え方でございますので、本日いただいた御意見を踏まえて、どのような整理が可能かということは検討かと思っております。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいですか。
 では、私から1点、今回、木澤先生、診断時からの緩和ケアで、診断時の精神的ショックを和らげるという話があって、それを全部、相談支援センターに持っていくのかという話もあって、ただ、私、実際、がんの診療、開業医の先生から内視鏡だけやって、がんだと言われて、私のところにぼんと来るのですけれども、その後、もちろん、ステージ4とかという人にはかなりこっちでも物すごいケアをするのですが、どうしてもステージの早い人には割とそこまでケアできていないかなという気もして、これは木澤先生にお伺いしたいのですけれども、これはやはり我々の一般のがんを診る医者がもっと勉強していく。そういうことが一番確実な道なのでしょうか。
 これは私、木澤先生に聞いてしまって申し訳ないのですけれども。
○木澤委員 ありがとうございます。
 まずは、基本的なことだとは思うのですけれども、やはり医学的な事実を伝えるだけではなくて、その方の人生であるとか生きてきている背景に思いを致すという態度教育は絶対必要だと思うのですが、そもそも私は、先生と私を一緒にしてはいけないかもしれないですが、僕らの世代だとそういうことを勉強する機会がなかったのはあると思うのです。将来的に日本の医療を考えていく上で、そういう態度教育とかコミュニケーション教育はそもそもされるべきだと思うので、それは必要かと思います。
 ただし、今の医師の、がん治療医の先生方と僕らも一緒に仕事をしていて思うのですが、非常に過酷な労働環境の中で十分な対応が医師だけでできるか。外来は本当に医師が放っておかれるような状況なので、その状況で何ができるかを考えると、私は個人的に本当に一緒に仕事をしたいといつも思っているので、いつでも紹介してくださいと言っているのですが、やはり私たちにも限界があって、専門看護師さん、認定看護師さんたちもそういう状況かと思います。
 先ほど森内委員がおっしゃっていたように、そこはワークシェアしていくしかないので、もちろん、緩和ケアの専門家もそうですが、看護師さん、心理職という人たちが一緒になって提供していくべきことかなと思います。医師もやはり、少しだけでもいいので、態度教育等はもうちょっと努力していただいたほうがいいだろうと思いますし、その研修の仕組みをつくろうと思いますが、多職種で多層的に対応できるようなことが外来で、そして、病院以外でも実装できるといいなと心から思っていますし、努力は惜しまないつもりです。
○土岐会長 本当に入院してからは割とゆっくりお話しできるのですけれども、外来のときに本当に20~30分しかないときになかなか詳しいお話ができないので、我々も困っているところでございます。ありがとうございます。
 石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 今の件ですけれども、木澤先生のおっしゃるとおりですし、土岐先生の意見も全くそのとおりだと思いますが、やはり私たちが一番、この点で問題だなと思うのは開業医だと思います。結局、がんを診断して見つけているのに、分かっているのに何も言わないで紹介するようなケースが非常に多くて、これは土岐先生が言われたように、ステージ3、ステージ4になれば我々は最初から覚悟して、腹を据えて最初の段階から緩和ケアの投入をやりますけれども、そういったところが非常に弱いのです。がんは、自分は診ない。でも、たまたま見つかってしまった。それで、送り込んでしまえ。そういうところが、実際のがんの患者さんの数を考えると、かなりそこに私は大きな問題があるような気がします。
 ですから、ここにどういうふうに書くかですが、どうしてもがん拠点病院というか、比較的、進行がんを見るところに緩和ケアの目が行ってしまいますけれども、私は先ほど木澤先生が言ったような、非常に根本的な話し方とか患者さんの気持ちを酌み取るところは医学教育から始まって、やはり開業医のレベルで少し底上げしないとうまくいかないような気がします。
 以上です。
○土岐会長 分かりました。
 今、黒瀨委員がいらっしゃらないですけれども、黒瀨委員にぜひお伝えして、患者さんのショックは実は診断時が一番大きいという話なので、そこがやはり手薄だなと思いましたので追加発言させていただきました。
 共生につきましてはよろしいでしょうか。
○原澤がん対策推進官 会長、すみません。事務局から1点よろしいでしょうか。
○土岐会長 それでは、事務局からどうぞ。
○原澤がん対策推進官 齋藤委員からだったと思いますが、緩和ケア等について共生の部分にも書くべきではないかという御意見を頂戴したかと思います。これまでの御議論の経緯の中で整理してきた方向性と一部、逆方向の御意見ではあるので、そこをどういうふうに捉えるのかについて、もし御意見のある先生方、ほかにおられましたらいただいておかないと、私どもで交通整理がし切れないので、どうしたものかと思っているところです。関連して御意見、御発言等が何かあればいただきたいと思います。
○土岐会長 いかがでしょうか。私もすごく悩んでいるところで、事前の意見も書かせていただいたのですけれども、緩和は確かに身体的なもの、精神的なものもありますが、やはり社会的な共生の部分もあるように感じております。そこをいかに書き込むか、いかに本文の中に、共生の部分に緩和も含んでいるというものを書き込むべきか。
 木澤委員、ぜひ御意見をいただけましたら。
○木澤委員 ありがとうございます。
 私も大変悩んでおりまして、御意見はよく分かるというか、私も同様に思うのですけれども、一つの整理としては一番、齋藤委員がおっしゃった、診断時からの緩和ケアを徹底するところから考えると、通常のがん治療と緩和ケアが統合されて、必要なときに提供されることを書き込むにはやはり医療のところにちゃんと書いたほうがいいだろうというのが一つはあったというのがまず医療に移していただいた一番大きな理由です。
 もう一つは、先ほど本当に御指摘いただいたことなのですけれども、僕らは診断時から終末期に至るまで患者さんを診ようと思っているのですが、それが分断して別のところに書かれることがかえって問題があるのではないかと思っています。緩和ケアも医療・ケアの一つの形ですので、そこは統合されて1か所にちゃんと書いておくのが大変重要だと思っていて、今、医療のところにメインな軸足が置かれていて、もう一つ重要なのはやはり社会づくり、誰も取り残さないという、本当にインクルージョン・アンド・ダイバーシティーをしっかり考えた上で社会をどうつくっていくかは共生に書くべきだと思うのですけれども、実際、文言を細かく見ていくと、緩和ケアのことを細かく書かれているので、私は今の書きぶりでいいのではないかと思っています。
○土岐会長 ありがとうございます。
 地域連携とか、そういうところはかなり緩和を意識して書いたものが多いというのは読めば分かるようにはなっていると感じております。よろしいでしょうか。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 今、木澤委員が御説明いただいたとおりだと思います。緩和ケアを医療のところに書き込む。それはそれでいいと思いますが、ただ、共生のところや、がん教育のところにもその文言等はやはり入れたほうがいいのだと思います。項目として載せる必要はないかと思いますが、緩和ケアの必要性が書かれたほうがいいと思います。
 ついでに、今、がん教育のことを続けてお話ししてしまってよろしいでしょうか。
○土岐会長 では、もう進みますので。
○松田委員 がん教育のところの52ページなのですが、これまでがん教育は子供たちへの教育がメインだったと思います。それはそれで否定はしないのですが、子供たち以外への教育がおろそかになっていると思います。
 具体的に言うと、職域におけるがん教育です。実際、目の前にがんがある年齢の人たちに対して正しい情報を伝えることがこれまでやはり欠けていたと思います。がんの予防やがん検診の考え方も以前とは大幅に変わっていますので、それを全ての国民、あと、医療従事者に対してもきちんと情報を伝える必要があると思います。そこに緩和ケアやがんとの共生という情報もがんになる前の人たちにもあらかじめ提供しておく必要があります。
 そうすると、がんと診断された時点ですぐに離職しなくても済むのかなと思います。話が飛んでしまいましたけれども、がん教育の中にも子供たちのみならず全ての国民に正しい情報を提供する。その中に緩和ケアも必要だと考えています。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 では、話が戻りまして、緩和ケアに関しては基本的に今のままでいいのではないか。ただ、できるのであれば緩和ケアという文言がもし入れられるところがあれば、相談支援とか病院連携、社会連携とか、そういうところに緩和ケアという文言が入れられるのであればより具体的にイメージできるのではないかという御意見だったように思います。
 それでは、共生についてはこれで一旦閉じたいと思います。
 続きまして、今、松田委員からもございましたけれども、最後の、これらを支える基盤の整備のところの話に行きたいと思います。今、教育の話をしていただきましたが、そのほかも含めまして、基盤の部分で御意見のある方は挙手をよろしくお願いいたします。
 阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 先ほどのまた繰り返しのようで大変恐縮なのですけれども、予防の部分で遺伝が入らない理由は非常に樋口委員からのお話もすごく理解が私の中で腑に落ちましたし、皆様がどういうふうに考えてそのように書かれたのかが理解できましたので、予防の中にやはり遺伝を書かなくてもよいのではないかという考えに私自身は今、変わっております。
 ただ一方で、がん教育には入れていただいています。多分、これに関して、皆さん御意見があるところではないのかとは思うのですけれども、先ほどのいろいろな話を、松田先生のお話もありましたが、子供も大人も全くがんについて知らなさ過ぎる現状が皆さんの生きづらさに全て起因してつながっているのではないかと思っているのと、ずっとがん教育のときにも一度お話をさせていただいたのですけれども、がん教育の教科書の部分に遺伝の部分が全く書かれていない。生活習慣病の文脈の中だけでがんが語られていることに関して差別を受ける可能性がもちろんある。そこも含めて、多分、教育というか、皆さんに知っていただくべきだろうと思います。
 遺伝も、いろいろな議員の皆様の働きなどもあって、今、いろいろなものが進もうとしているというお話が先ほど石岡先生からもありましたけれども、遺伝性のがん、遺伝について避けては通れない状況に来ていると思います。それによって、もちろん、中途半端に伝えると差別を呼んでしまったり皆さんからの要らぬ誤解を得るとは思うのですが、多分、そこを超えていかないとがんに対する正しい知識は広まらないと思いますし、がんに対して正しく知っていただいて、がんとともに生きていただくことはすごく難しいのではないかと思います。
 ですので、その部分、がんと遺伝性のがんの部分も書いていただきつつ、大人のがん教育も含めて知っていただくような形の書きぶりにしていただきたいと思っております。
○土岐会長 この部分、非常に多くの委員の先生から意見を頂戴しております。どのような形で、どのような世代の人に、遺伝というか、もちろん、がんの家族歴とか、膵がんとかははっきり言って家族歴が一番大きなリスクファクターなので、何らかの因子があるのは、また、同定されていない因子があるのは間違いないのですけれども、そういうことも含めて、そういう遺伝的素因、遺伝子多系。そういったものを今後、どこかで教育していかなければいけないのではないかというお話をどの時点でどういうふうにやっていくか、大変大事な問題だと思います。
 この分野に関しまして、何かほかに追加する御意見はよろしいですか。
 では、石岡先生、どうぞ。
○石岡委員 私、遺伝性腫瘍の専門医でもあります。日本人類遺伝学会とか日本遺伝性腫瘍学会に入っています。それで、先ほどがんゲノム医療の話をしましたけれども、これは遺伝性腫瘍が見つかる標準医療なのです。実際、言い方は将来変わると思いますが、二次的所見という言い方をしています。本来の目的ではない、遺伝性腫瘍の可能性がある遺伝子異常が見つかる。これは非常にたくさん、うちの病院でもここ3年間で非常にたくさんの患者さんがそういう方がいらっしゃいました。ですから、それを今、市民公開講座とかで各がんゲノム医療中核拠点病院とかで市民に啓発活動もやっているので、実際は遺伝性のがんということを我々医療従事者はできるだけ市民の人に広く知ってもらうことをやっているわけですから、この国のがん対策の教育にそれが入っていて、私としては遅きに失したかなというぐらいの感じです。
 つまり、ギャップが非常に大きい状況です。患者さんから、昨日も私、外来新患をやって、そういう患者さんがいらっしゃるのですけれども、がんなんて、遺伝するものはそんなに多いのですかという知識レベルであるということと、先ほど話が出ましたが、開業医の方もほとんど知らない、分からないので、そういう両面で一般の方も、それから、医療従事者もまだがんの遺伝の頻度が非常に高いことを知らない方も多いですので、この機会に遺伝性ということは書くべきだと思います。
 あと、また用語なのですが、遺伝性がんとは言いません。学会でも遺伝性腫瘍と言っています。それは学会で遺伝性腫瘍と言っていますし、市民向けの用語集にも遺伝性腫瘍と言っています。これは余談ですけれども、最終的には用語の見直しを統一的に、あるいは正しい用語、一般的な用語は後で見直す必要があるかと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、戻りたいと思います。続きまして、佐谷委員、どうぞよろしくお願いします。
○佐谷委員 ありがとうございます。
 今のところなのですが、遺伝性がんあるいは遺伝性腫瘍の話はぜひ記載すべきだと思うのですが、子供のときにやはり教育として喫煙、それから、感染症に基づくがんの記載を特出ししておくほうがいいのではないかと思ったのです。特に子宮頸部がんの問題、それから、喫煙の問題は子供のときの教育で物を言うのではないかと思っておりますので、特にタイなどでは生魚を食べることで胆管がんが非常に起こるので、子供の教育の中に生魚を食べない教育をしているということもありますので、ここで取り立てて喫煙あるいは感染症に基づくがんを遺伝性がんとともに特出ししておくほうが子供の教育にはいいのではないかと一つ思いました。
 もう一つは、少しページが飛ぶのですが、56ページのデジタル化のところです。これは既に中釜委員もプレの意見の中に書いておられるのですが、PHRなどが普及したときにe-コンセント、つまり、デジタルで患者様から同意を取れるのは、これからこの4~5年の間、非常に重要になるのではないか。全体の中で希少がんや難治がんに対して薬剤へのアクセスが悪いので、それを迅速化すること。これはやはり治験を早く進めたり、様々な患者様から同意を取ることの迅速化がアクセスの迅速化につながると思っておりまして、そのときにe-コンセントという言葉がどこかにあると、かなり踏み込んだお話なのですが、これが今後全ての治療や診断の物事を早めていくために重要ではないかと思いましたので、発言させていただきました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 先ほどの松田委員の発言に賛同します。今、中学校、高校に関しては学習指導要領の中に書き込まれていて、教育はなされるということになりますけれども、前段で1次予防のところでがん検診の受診率60%という目標を掲げて、それを目指そうということになるのであれば、やはり受診年齢に突入してくるような大学生であるとか社会人1年生の非常に仕事とか人生を謳歌するようなときにそういう注意喚起を促していくようなことが非常に少ないですので、そちらに関しても喚起していくようなことを書いて、受診していこう、検診を受けていこうという仕組みにつなげていくような教育も盛り込んでいただけたらと思います。
 以上です。
○土岐会長 続きまして、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
子供の教育の遺伝性がんについては、遺伝性がんではなくゲノム医療も含めたぐらいのほうが私はいいのかなと思ってはいます。あくまで、今、高校生では遺伝子などの学びも生物の学習で入ってくるということなので、非常にそのあたりは自然に学べるのではないかと思いますので、遺伝性がんということではなくてゲノム医療も含めたがん教育を進めていくことがいいのかなと思います。
 あと、これは確認というか、聞きたいのですが、薬剤の安定供給とかドラッグラグの問題は何とかしてほしいというのは要望で出していたのですけれども、今回のこの計画の中ではどこも出てきていないような気がします。これについては海外との差がどんどん開いてきていまして、お薬だけではなくてコンパニオン診断薬なども入ってこなくなったり、本来、患者さんが届くべきお薬に届かない。こういう状況が6年間も放置しているとどんどん広がっていくのではないか。これは本当に切実な問題だと思っています。こういった海外との格差については必ず検証して、これを何とか克服していく。この日本のがんのお薬の開発だけではなくて、世界で開発されて、患者さんにとって有効なのに、日本に入ってこない。こういう現実は何とかしないといけないと私は思いますので、ここについてどこかに入れていただいて、きちんとこのお薬の問題については取り組んでいただきたいと思います。
 あと、最後に1点、デジタル化の推進についてなのですけれども、こういったデジタルが推進しまして、いろいろなところで気軽にデータの取扱いが起こると思います。例えば医療間だけではなくて、薬局とか保険者などにも気軽にデータで患者さんの情報は多分広がっていくと思うのですが、そういったデータの利活用が広がることでデータによる不当な扱い、不利益といったものがならないかというのはすごく心配です。がん医療、がんの遺伝子情報だけではなくて、全ての身体的なデータは貴重なものですので、データの取扱いについて厳重にガードしていただく。そういった文言が欲しいと思います。
 以上です。
○土岐会長 前田委員からありました3つ目は、かなりあれは要配慮個人情報として、結構、個人情報としては厳しく管理されるのかなとは思ってはおります。
 ほか、全体を通じまして、ドラッグラグと安定供給の話は、事務局、どうですか。ドラッグラグはどこかに、小児か何かに。
 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 薬剤アクセスの改善とか薬剤アクセスに関する課題という文脈で、例えば29ページ目の「(3)小児がん及びAYA世代のがん対策」の(現状・課題)の一番下に、これまで御議論いただいていたような治療薬の候補が見つかっても保険で使えないとか、参加できる治験がそもそも少ないといった薬剤アクセスに関する課題があるということや、同じような文脈でございますが、その1つ手前の項目の「(2)希少がん及び難治性がん対策」にも同じような形を入れて(取り組むべき施策)でアクセスの改善に向けてということを書いてはいるので、そこで触れている形だと思っています。
 事務局から、現状については以上です。
○土岐会長 前田委員、何か追加はございますか。手が挙がっていますけれども。
○前田委員 すみません。その件なのですけれども、ドラッグラグが起こっているのは小児がんとかだけではなくて、乳がんのお薬が入る目処がたっていなかったり、肺がんのコンパニオン診断薬が入ってこなくなったりという、普通のがんでも起こっているので、希少がんとか小児がんだけではなくて、これはどの分野においてのお薬も世界から格差があることをしっかり理解していただき、本気で取り組んでほしい。これは希少がんや小児がんの対策の一部ではないと私は思いますので、そのような取扱いにしていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 分かりました。
 事務局も引き続き、新しい薬については今回ありましたね。社会実装を進めると。だから、多分、そのあたりに書き込まれていくのではないかとは思いますが、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、おっしゃっていただいたように、32ページ目の「(5)新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装」と関連させると横断的な事項という整理になるのではないかと思いますので、そこにどういう形で書けるかは御相談させていただこうと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 今のでクリアです。先ほど前田委員が指摘してきたように、希少がんとか小児がんだけの問題ではないので、先ほどの32ページに書き込まれると事務局から発言があったので、それで結構です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 私から、先ほど来、議論になっているのですけれども、遺伝性腫瘍について一言追加で発言です。
 これに対する記載は非常に重要だというふう点に関して、私も同感です。現在のこの計画案の中では遺伝性腫瘍に対する記載は非常に限定的で、1~2か所しか書かれていません。52ページで遺伝性がん、子供に対する教育という形で書かれているのですが、これは議論があろうかと思うのですけれども、子供に対する教育のところで書くのがいいのか、あるいは遺伝性がんは遺伝性腫瘍に対する社会的な理解やリテラシーの向上など、さまざまなところで関わってくるものであり、さらにはゲノム医療とも関係することですので、子供の教育だけにかかわらず、広く社会全体あるいは職域の教育全体にも係ることと思います。
 例えば52ページの記載でも(現状・課題)のところで、子供に対する教育、それから、国が国民に対して知識の普及啓発に関わっていることを踏まえて(取り組むべき施策)もどちらかというと学校教育を中心にした記載になっているので、例えば国民に対する教育の中での遺伝性腫瘍のもう少し丁寧な書きぶりを記載しておいたほうがいいのかなと思いました。今、具体的にいい文案が浮かんでいるわけではないですけれども、もう少し丁寧に書いて、子供にだけ遺伝性がんの普及啓発を行うとするのでは不十分という気もするので、そういう取扱い方ではいかがかなと思いました。
 これは当初、ここに遺伝性がんということを書き入れた何か経緯もあるかと思うので違う御意見もあるかと思うのですけれども、私からはそのように感じるところです。
 以上です。
○土岐会長 ここは大分、皆の意見も固まってきましたので、子供という、まだ遺伝が何かも理解していない、メンデルの法則ぐらいしか理解できていないような子供にいきなりがんの遺伝の複雑さを教えるのは結構無理があるかもしれないので、もうちょっと上の世代、社会人とかにしっかり教えていく。そこのあたりは詳しく考えていただきたいと思います。
 ほかに。
 石岡委員、いかがでしょうか。
○石岡委員 中釜先生の意見に賛成ですが、画面を共有させてもらいたいのですけれども、お許しいただけますか。
○土岐会長 どうぞ。
○石岡委員 これが今、土岐先生も御存じかと思うのですけれども、これは超党派の議連と、あとは、要するにゲノム医療はこれから新しい医学として、あらゆる領域で、がん以外の領域も含めて、医学、医療とも深い関わりを持ってくるのは間違いないわけです。
 これに関して、いろいろな差別の問題は以前から、20年以上前から問題になっていて、なかなかこれを社会的にどういうふうに扱っていくかは議論が深まらなかった歴史があるのですけれども、ここに来てやはり患者の会の人たちもかなりこういうものをちゃんと社会的に認知して、自分たちもそれを理解する、サポートする。そして、差別のない社会をつくるための法律を整備するということで、天野さんを含めて、非常に多くの団体・学会がこのように賛同しているので、私も先ほどの小学生に教育しても駄目だと思いますが、高校生・大学生とか比較的若い、遺伝性がんは大人になって教育しても遅いのです。かなり若い世代に、一つは若年発症が特徴ですので、かなり若い世代から教育することがまず必要だということがあること。
 そして、多くの患者の会の方たちもそれをアクセプトするような社会になってきて、一歩踏み込んで、では、それなら遺伝というものをきっちりと社会が認めて、差別のない社会をつくっていこう。今、そういう動きにもなってきていますので、第4期のがん対策推進基本計画にもぜひ積極的にどこかに書いてもらうのがいいと私は思います。
 以上です。
○土岐会長 ほかはよろしいでしょうか。
 樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。私からもまた遺伝性がんに関することをお話ししたいと思うのです。
 谷島委員が事前にいただいた御意見の中ですごくいい表現で書いておられたので、私もその表現で書かれたらいいのかなと思ったので追記させていただきます。子供に遺伝子についての基礎的な内容も含めた正しい知識やがん患者経験者の声を伝えることが重要と述べておられて、やはりがんは元をたどれば全て遺伝子由来であって、それが先天的なものか、後天的に生じたものかという違いになってくると思いますので、谷島委員が書いてあるように、遺伝子についての基礎的な内容を発達段階に応じてやっていくのがよいのではないかと私も思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。そのあたり、しっかり検討していきたいと思います。
 ほかはよろしいですか。
○原澤がん対策推進官 会長、事務局からよろしいでしょうか。
○土岐会長 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 先ほど来、議論になっている52ページ目の、まず、現状の構造について補足させていただこうと思います。
 現状、タイトルを御覧いただいても分かるように「(3)がん教育及びがんに関する知識の普及啓発」で、がん教育が基本的には現在、学習過程にある方たちへの普及啓発という文脈で、学校教育の途上にあるお子さんたちなりに対する取組ですということで前段に書いてあるので(現状・課題)の前段2つはそれになっていて(取り組むべき施策)もそれを受ける形でそうなっている。後段に知識の普及啓発という文脈で、そういった教育課程から一歩踏み出した国民全体のという形になっているという現状の整理です。
 それで、今、御議論いただいた内容はむしろ後段に当たるような方々の、特に入り口部分にいらっしゃるのは若い方とか働き始める方、もしくは途中に御発言のあったがん検診の対象にこれからなる方みたいな方たちに対するアプローチが必要ではないかという御意見だと理解しましたので、そういった形でどのような書き方がいいのかは少し交通整理をさせていただければと思っていますというのが一点です。
 あと、2点目で、これはお願いでございますが、事前に御提出いただいた資料以外の画面共有はお控えいただくようにお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○土岐会長 失礼いたしました。私が許可いたしましたので、今後は気をつけたいと思います。
 よろしいですか。
 最後に、私からも1点、今回、デジタル化とかがあったのですけれども、今後の医療を、今、私は内閣府がやっていますAIホスピタルという事業に参画させていただいているのですが、AIの活用は物すごく医療を根本から変えるような時代になってくると思います。医療、診断とか、そういうところだけではなくて、例えば今、表情認識とかが物すごく進んできていますので、患者さんのケアにも多分使えることが非常に多いと思います。そういう未来志向で、デジタルのところにやはりAI活用。そういったものもどこか文言に入れられると未来志向があっていいのではないかという印象を持ちました。
 これも私の感想でございます。
 ほか、全体を通じてでも結構でございます。この資料1を通じて、全体の御意見でも結構ですが、よろしいですか。大丈夫ですか。
 それでは、本日も大変活発な御意見をいただきまして本当にどうもありがとうございました。
 本日の議事は以上となります。それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。土岐会長、ありがとうございました。
 まず、本日、委員の皆様方、活発に御議論いただきまして誠にありがとうございました。次回以降の日程につきましては、追って事務局より御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上となります。本日はどうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線2066)