第85回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年11月11日(金)14:00~17:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)がん対策推進基本計画の見直しについて
  2. (2)その他

議事

議事内容
○原澤がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第85回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の原澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本協議会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 また、健康局長は公務のため欠席とさせていただいておりますので、御了承ください。
 まず初めに、委員の出席状況についてでございます。茂松委員より御欠席、森内委員より途中からの御参加、松田委員より途中での御退席と伺ってございます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
 議事次第、資料1-1から資料2-5まで、及び参考資料1から6までがございますので、御確認ください。
 それでは、以上で撮影等は終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただくように御協力をお願い申し上げます。
 それでは、以降の進行は土岐会長にお願いいたします。
○土岐会長 皆様、よろしくお願いいたします。12月までの原案の作成に向けてかなり回数も多くなってきておりまして、皆様に御負担もおかけしているところでございます。
 今日は皆様から多くの意見を頂戴したいのですけれども、前回に引き続きまして資料1-2とか資料2-5のように事前にいただいた御意見もまとめておりますので、こちらも踏まえてできる限り多くの方から御意見をいただけますように、簡潔に御発言のほう、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題(1)「がん対策推進基本計画の見直しについて」を始めたいと思います。
 本日は、がんの一次予防に関して御議論いただきます。
 議論に先立ちまして、資料1-1につきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料1-1を御覧ください。「『がんの一次予防』分野に係るがん対策推進基本計画の見直しについて」でございます。
 2ページ目から「生活習慣について」ということでお示ししております。
 3ページ目は、健康日本21(第二次)の概要についてお示ししております。内容については、委員の皆様方よく御存じかと思いますので、詳細な説明は省かせていただきます。
 4ページは、健康日本21(第二次)の概念図についてお示ししております。「全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」ということを目標に掲げて、お示しのような形で取組を進めているという状況でございます。
 5ページは、健康日本21(第二次)最終評価についての整理でございます。こちらは53の項目について最終評価をおまとめしたもので、左上のところに結果が書いてございます。「目標値に達した」というAという評価になっている項目から、「悪化している」というDの項目、また、「評価困難」とされた項目までございまして、左側の下に書いてあります「目標値に達した項目」の中の2つ目の行を見ていただきますと、「75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少」などが含まれているということが見てとっていただけるかと思います。
 6ページ目から9ページ目までは最終評価に係る目標達成状況の概要について、それぞれお示ししています。6ページ目の上半分のほうに書いてある「2.主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標」の中に「がん」の項目が含まれておりますので、御参照ください。
 10ページ目は、次期プランに向けた検討が進んでおりまして、次期プランのビジョンについて案として提示された資料でございます。御覧いただいているような形ですが、ビジョンとしては「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」ということで、その中で2つ、「誰一人取り残さない健康づくりを展開する」ということと、「より実効性を持つ取組を推進する」といったことが掲げられております。
 11ページ目は、特に今のマル2、より実効性のある取組を進めるという観点で、2つ目のポツ、次期プランの策定後に、具体的な方策については、別の委員会を立ち上げた上で、具体的な方策についての議論等を進めるという方向性で議論が進んでいるということでございます。
 12ページ目以降は感染症対策についてでございます。
 13ページ目は、肝炎についてでございます。先生方も御存じのとおり、肝炎につきましては、特にB型肝炎、C型肝炎のところで感染を放置すると肝硬変や肝がんに進行していくといったことが知られております。そういった中で、右側の「肝がんの原因内訳」を見ていただきますと、今、申し上げたような肝炎ウイルスに起因するものが多く、がん対策の中でもこちらについては重要なポイントになってくるというところでございます。
 14ページ目には肝炎対策基本法に基づく、肝炎対策の基本方針が定められております。
 15ページ目には肝炎の進行と対策のイメージということでお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
 16ページ目は、感染症対策の中でHTLV-1総合対策ということで、こちらは成人T細胞白血病リンパ腫、ATLの原因となる感染症でございまして、その対策のための取組についてお示ししているという状況でございます。
 17ページ目からHPVワクチンと子宮頸がんの話題になります。こちらは子宮頸がんの治療を早く受けるためにということで、HPVワクチンでHPVの感染を予防するとともに、子宮頸がん検診でがんを早く見つけて治療しましょうといったことで、メッセージを打ち出しているという状況です。
 18ページ目は、年齢階級別の子宮頸がんの検診の受診率についてお示ししております。特に20~25歳の子宮頸がん検診の受診率が低いといったところが見てとっていただけるかと思います。
 19ページは御参考で、子宮頸がん検診のリーフレットについてお示ししております。一般の方々にもこの取組の重要性を分かっていただいて検診を受けていただけるようにということで、こういった広報活動も進めているところでございます。
 20ページ目は、HPVワクチンの接種状況の推移ということで、HPVの定期接種の被接種者数・実施率の推移をお示ししてございます。こちらについては、令和2年度は令和元年度に比べて実施率や接種者数が上昇傾向になっているというところが、見てとっていただけるかと思います。
 21ページ目は、HPVワクチンの接種状況の推移マル2ということで、上半分には定期接種化から令和3年12月までの医療施設へのワクチン納入数の推移をお示ししております。下段については定期接種化から令和3年12月までの副反応疑い報告の推移をお示ししてございますので、御参照ください。
 22ページ目は、HPVワクチンのキャッチアップ接種についてでございます。今年4月からの定期接種の年齢に対する積極的勧奨の再開とともに、これまでの9年間の積極的勧奨差し控えによって接種の機会を逃したとされる平成9年度生まれから平成17年度生まれの9学年の方々に対して、キャッチアップ接種という取組を進めてございます。期間は3年間としております。
 23ページ目に9価のHPVワクチンの定期接種化に関する資料をお示ししております。記載については御覧のとおり、令和4年10月に基本方針部会において、9価ワクチンの定期接種化に向けた具体的な議論が行われました。
 24ページ目において基本方針部会における議論のまとめがなされております。こちらは令和4年11月8日の予防接種基本方針部会で御議論いただいた内容でして、一番上の(1)、令和5年度から9価のHPVワクチンの安定的な供給が可能であるということから、令和5年4月からの定期接種を開始するといった形でまとめがなされております。
 25ページ目からは「第3期中間評価・見直しの論点について」ということです。
 26ページ目に生活習慣に関する中間評価の指標をお示ししております。
 27ページ目は、「感染症対策に関する中間評価の指標」と「がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項」という形で整理していただいた内容についてお示ししてございますので、御参照ください。
 28ページ目は、「がんの一次予防」分野の見直しの検討の視点ということで、3点お示ししております。がんの一次予防については、がんの年齢調整罹患率を引き続き低下させるため、第3期基本計画における取組を継続することとしてはどうか。また、その取組内容については「健康日本21」の見直し内容も踏まえることとしてはどうかということでございます。
 2つ目、2022年4月より個別の接種勧奨が実施されているHPVワクチンの接種状況と子宮頸がんの年齢調整罹患率の国内外の推移を確認し、必要に応じて子宮頸がん検診の指針を見直す等、科学的根拠に基づく子宮頸がん対策を推進してはどうかということでございます。
 一番下のポツは、評価につきましては、「健康日本21」の指標や第3期基本計画に用いた指標等を引き続き活用することとしてはどうかということで、お示ししております。
 資料1-1につきまして、事務局からの御説明は以上でございます。
○土岐会長 それでは、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。資料1-2のほうに事前に意見をいただいておりますけれども、もちろん重複しても構いませんので、この場でまた御意見を伺えたらと思います。御意見のある委員の方はウェブで挙手のほうをよろしくお願いいたします。それでは、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 「見直しの検討の視点」というところで、「評価については、『健康日本21』の指標や第3期計画で用いた指標等を引き続き活用することとしてはどうか」とお示しいただいています。資料としてお見せいただいたこの数値が下がったとか上がったという傾向は数字として見てとれるのですが、これが上がったり下がったりという傾向が生まれた要因とか原因というものは評価されているのでしょうか。数値だけがただ独り歩きしていくということではなくて、これがどのように下がってきているのかという検証がされている数値という理解でいいのでしょうか。
○土岐会長 これはどうしましょうか。では、後ほどまた。
 続きまして、阿久津委員、よろしくお願いします。
○阿久津委員 阿久津でございます。
 事前意見にも書かせていただいたのですが、一番強調したいところなのでもう一度お話をさせていただいて、御回答もいただきたいところではあるのですが、がん教育のときにもお話をさせていただいたのですが、生活習慣病ベースの表現が一次予防の大枠を占めていることに多大な違和感がございます。この後これが進んだ後に6年後ということを考えますと、家族性とか遺伝性のお話をどこの場所に入れておくのかというのは考えていただいたほうがいいのかなと考えております。土岐先生も事前の御意見でも頂戴しているのですけれども、この辺りの知識、研究の啓発とか、遺伝性の社会的な思い込みも含めて、きちんと「遺伝性」「家族性」という文字を入れておいていただかないと、教科書も何も変わってこないのではないかなと思います。
 そして、感染症からがんにつながるという知識がない方がまだ非常に多いので、子宮頸がんに対して今後進めていただくところに期待をしたいと考えております。
 以上です。
○土岐会長 阿久津委員、了解しました。
 それでは、続きまして、中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 先ほどの阿久津委員の御意見と重複するのですけれども、遺伝性、家族性に加えて、最近ゲノム医療の進歩によって、ゲノム情報に基づいてより広い個別化予防が、恐らく研究段階から実装へ向かうのだろうと理解していますので、今の阿久津委員の遺伝性、家族性を含めて、遺伝子情報に基づいた個別化予防という点についても触れておいたほうがいいのではないかなと思いましたので、コメントをさせていただきます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 最初の大井委員の数値、ここに様々な指標の数字が出ておりますけれども、それの原因の検討とか要因の検討、そういったものがなされているのかという質問でございました。いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただきありがとうございます。事務局のほうでまとめてお答えさせていただきます。
 大井委員からいただいた御質問については、私のほうから今、即座に健康日本21の各指標についての評価、及びなぜそのような変化が起こったのか、どこまでの分析がされているかという点について正確な回答ができませんので、もし可能であれば担当部局から補足をいただければと思っておりますが、そちらについて本日回答が不十分だった部分については、整理した上でお答えできるように準備したいと思います。
 がんのほうの指標については、先生方に中間評価という形で評価指標の推移を見ていただいた上で、御議論いただくというステップを踏むことによって、取組状況を確認しておりますので、その点については申し添えさせていただきます。
 続きまして、阿久津委員と中釜委員より頂戴いたしました予防の文脈で遺伝性、家族性といった要素とか、ゲノム医療に関連した個別化の予防の実装といったところについて触れる必要があるのではないかという御意見をいただきました。こちらについては、基本計画の本文の記載は後ほどお示しする資料2-2にもございますように、記載するという形になっておりますので、ぜひ具体的な記載ぶりについて御意見をいただければと思っております。
 そういう意味では、阿久津委員からは遺伝性ということについて研究やそういった知識の啓発というものも必要ではないかという御意見を資料1-2のほうでも頂戴しておりますので、そのような御意見として承りました。
 その上で、そのほか、記載していく上で、もっとこういう要素を盛り込むべきであるとか、記載するときにこういった点には注意が必要ではないかといった具体的な御意見があれば、併せていただけると大変助かります。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 ここは新しい項目というか、新しい記載になっていくと期待されるところでございます。
 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 健康日本21に関して、担当部局の健康局健康課が同席しておりますので、そちらからもし回答があればお願いできますでしょうか。
○健康課 厚生労働省健康局健康課でございます。いつもお世話になっております。
 先生からいただきました御質問でございますけれども、最終評価というのは、こちらの地域保健健康増進栄養部会及びその下の専門委員会でアカデミアあるいは関係の先生方を含めまして御議論いただいて、まさにどういった理由でこの評価になっているのかというのは検証あるいは議論をしたところでございます。それを踏まえまして10月に報告書をホームページに掲載してございますので、そちらに詳細は記載しているところでございます。そういったものもご覧いただければ詳細がございますけれども、さらに御質問があれば、事務局でまた別途回答させていただければと思います。
○土岐会長 健康課のほうからありがとうございました。
 それでは、続きまして、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 私は、中間評価のときに申し上げましたが、一次予防、喫煙のところです。多くの健康日本21の目標と合わせることは可能と思いますが、喫煙に関しては、私は以前から反対です。理由は事前意見のところに記載のとおりですけれども、このがん対策について、禁煙に関しましては、健康日本21の対象とするがんを含めた全体の感染症などの疾患を考えた場合に、禁煙に対する効果はがん対策において絶大であるということ。
 それから、法律が健康増進法とがん対策基本法で別の法律に規定されているので、合わせる必要は全くないと。
 それから、中間評価報告は、こちらのほうが先行して終わっているので、同じ時期にはなるのでしょうけれども、先手を打ってこちらのほうががん対策の目標を少し深くしたほうがいいだろう。
 それと、健康日本21の最終評価を見ていただくと分かりますが、「B*」になっているのです。これは目標達成が危ぶまれるという項目になっています。健康日本21でも禁煙対策というのは、喫煙対策が不十分だということがこの評価を見ても明らかで、阿久津委員が記載のとおり、成人の喫煙率はほぼ横ばいだという状況を考えると、こちらの第4期のがん対策ではより厳しい喫煙率の低い目標にするということが必要だということです。ですから、ここに関しては合わせないほうがいいと思っています。そのほうが国民へのメッセージが非常に強く伝わるのではないかと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 石岡委員が今おっしゃられたとおりだと思います。がん対策ということであれば、喫煙率はゼロを目指すということが本来のところだと思いますけれども、そこはさておきまして、もう一つ、喫煙問題に関しては、最近電子たばことか、いわゆる新型のたばこが増えてきておりますが、それに対する科学的なエビデンスに基づいたより強いメッセージを出していく必要があるのかなと感じております。特に家庭の中での受動喫煙の場合に、電子たばこ等がかなりの割合を占めている可能性も高いと思いますので、子供を守るという視点からいっても、電子たばこ類が現状どれくらいの状況になっているのかということとしっかりとした科学的なエビデンスを収集して、それに対する対策的なメッセージを出していく必要があるのかなと感じました。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、松田委員、どうぞ。
○松田委員 まず、肝炎対策について意見を申し上げたいと思います。肝炎検査が無料の検査も含めて以前から行われているわけですが、肝炎検査の受検率はどれくらいでしょうか?また、B型あるいはC型肝炎ウイルスが陽性という結果が得られたときにどの程度の人たちが経過観察や治療に結びついているのでしょうか?非常に重要な点だと思いますので、お分かりになれば、ぜひお教えいただきたいと思います。
 もう一つ、一次予防としてたばこと感染症の予防についても、年齢調整死亡率を諸外国と比較しようというふうに今回踏み込まれて書かれていますので、喫煙率およびHPVワクチンの接種率が諸外国でどうなっているのか、その結果として年齢調整死亡率ないし罹患率が諸外国でどの程度減っているのか。是非それを日本と比較して、日本のこれからの方向性を見据えるべきだと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、谷口委員、よろしくお願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 先ほど松田委員のほうからお話があって、私も意見で書かせていただいたのですけれども、肝がん対策については、前回の計画も見させていただいたのですが、先ほど今の実態をある程度把握しながら一歩踏み込んだ書きぶりが必要ではないかなと考えております。男性にしても女性にしても肝がんは結構多いし、具体的に一次予防、ウイルス肝炎の治療をすることで随分と減るということも分かっていますので、この辺りはもう少し対応が必要なのかなと思って意見を言わせていただきました。
 以上です。ありがとうございます。
○土岐会長 では、一旦まとめさせていただきますと、石岡委員からは喫煙の目標を健康日本21よりもより厳しくするべきであると。黒瀨委員からは電子たばこのリスクのエビデンスを明らかにすべきではないか。松田委員からは肝炎ウイルス、これは検診でちゃんとピックアップできているのかという御意見でございました。あとは喫煙率、HPVワクチンの受診率と発がんの関係を海外のデータを基に明らかにすべきであると。谷口委員からも肝炎に関しての御意見でございました。
 事務局のほうから何か追加できることはございますか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。がん・疾病対策課でございます。
 まず、石岡委員からいただきました喫煙率の目標値の設定についてでございます。石岡委員からはがん対策という文脈で、より厳しい数値目標を設定するべきではないかという御意見を頂戴しました。そちらについては黒瀨委員からも同様の趣旨の御発言があったと理解しています。
 他方、健康日本21において進められているものというのは、がん対策も含めた全国民の予防、健康の増進という形になりますので、あくまでも目標値を2つ設定するというような趣旨の御発言だったかと思いますが、対象となるのは全ての国民に対する目標値の設定であるということもありますので、健康日本21の評価指標について、担当の部局であるとか、そういったところの運営する専門委員会等の検討の場において御意見、御議論いただいて、その上で策定されているというものでございまして、一定適切なものであると理解しております。
 がん対策推進基本計画の一次予防という観点でもそれらの指標と合わせていくことによって、今後各都道府県においてしっかり取組を進めていただくという観点でも、混乱を生じさせないという形になりますので、そういう意味では足並みをそろえて実施をしていきたいと事務局としては考えております。
○石岡委員 反対。
○原澤がん対策推進官 石岡委員の御発言については以上です。
○石岡委員 大反対。
○原澤がん対策推進官 一旦皆様の御発言について回答させていただきます。
 松田委員からいただきました肝炎検査の実態等についての情報は、肝炎室が同席しておりますので、後ほど補足をいただければと思っています。
 海外のデータとの比較について、直ちに御回答できるものは持ち合わせておりませんが、重要であると考えますので、どのような形でお示しできるかということは現時点でお答えできませんが、検討していきたいと思います。
 最後に、谷口委員から頂戴いたしました実態把握とより踏み込んだ記載についてということも、松田委員からいただいた御発言の趣旨と同様だと思いますので、もし肝炎室から補足事項があればお願いしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
 関係部局、補足があればお願いいたします。
○肝炎対策推進室 肝炎対策推進室の野沢でございます。御意見ありがとうございました。
 一次予防としての肝炎ウイルス検査に関しましては、自治体における検査の件数については把握しているところでございます。ただ、全体の受検率自体は現状出ていないというところですので、そちらに関しては受検者数などを含めて検討させていただいて、持ち帰らせていただきたいと思っております。
 また、自治体検査に関しての陽性者数に関しては、毎年検査結果を出しておりまして、B型肝炎ウイルスに関しましては、令和元年度が最新となりますけれども、0.54%、C型肝炎ウイルスに関しては0.25%という結果が出ております。こちらのほうを精密検査、治療に結びつけるというところを現在の課題としているところでございます。
 以上でございます。
○土岐会長 よろしいですか。
 それでは、続きまして、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 先ほどの内容と重複するかもしれませんけれども、健康増進法改正の際の附帯決議でありました指定たばこについて、紙たばこと同様の扱いにあるということで、「指定たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する調査研究を一層推進し、可能な限り早期結論を得て、その結果に基づき、紙たばこと同様に取り扱うなど必要な措置を速やかに講ずること」と書いてありますが、これについてはどのようになっているのか教えていただけたらと思います。
○土岐会長 それでは、後ほどよろしくお願いします。
 続きまして、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 すみません。私も前田委員と全く一緒のことを聞きたいと思っておりました。こちらに関しては、前田委員がおっしゃったように、どういう対応をするのかというのが求められていると思うので、その辺をお聞きしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 事務局、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 こちらは受動喫煙対策を所管している健康課より発言等ございましたら、お願いしたく存じます。いかがでしょうか。
○健康課 健康課でございます。
 先生方御指摘のとおり、健康増進法の附帯決議で加熱式たばこ等について言及があるということでございまして、まさに我々のほうで厚生労働科学研究ということで、加熱式たばこも含めましたエビデンスの収集というのは継続的に行っているところでございます。
 ただ、健康増進法の見直しにつきましては、法施行後5年というところで一つのめどがあるところではございます。そういったところに向けて、エビデンス、ある程度長期的に見ていくところが必要なものもございますので、そういったものも含めましてこちらでしっかり情報、エビデンスを集めながら検討していきたいと考えている次第です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 では、私から1点、ハイリスク因子についてです。皆さん、割とたばこには厳しいのですけれども、お酒にはちょっと甘いかなという気がしておりまして、私の専門の食道がんではたばこもお酒も同じぐらいの罪だと感じておりますが、こちらのほうは今後前面に出していただけるのであれば、よろしくお願いしたいと思います。意見でございます。
 ほかはございませんでしょうか。石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 先ほどの説明は全く納得できないということです。政策的にすり合わせを2つやるというのは、官僚の立場として理解できますが、我々の立場としては違う意見を持っているということです。協議会で複数の意見が出ているのに、合わせないといけないという意見を繰り返すというのはいかがなものかと思います。
 それと、フレバードスモーキングとか電子たばこですけれども、これは最近のエビデンスでは明らかに健康被害、特に発がんに関わるという論文が複数出ていますので、一応皆様には紹介しておきます。
 以上です。
○土岐会長 石岡委員、貴重な意見、どうもありがとうございます。
 よろしいでしょうか。大井委員、どうぞ。
○大井委員 たばこの今のところに追加で質問ですけれども、厳しくするのをそろえなければいけないというのであれば、全体を厳しくするということは可能なのでしょうか。それと、健康日本21のほうもハードルを上げていくということは可能でしょうか。受動喫煙を全面的に禁止しているロンドンとかニューヨークとか香港の場合、実際に禁止した当初はすごい反対があったけれども、その後どうなったかということをWHOとか世界銀行がデータを報告していて、たばこ税としての収入は減ったけれども消費税としての税率収が増えました。要するに、20%程度の喫煙者しかいないので、80%の非喫煙者の方たちがそこで食事に行くことで税収は上がって、健康対策にそれが寄与できるという形の動きが生まれたという報告をしているのです。実際にハードルを上げることによって、吸っている方たちと吸っていない方たちの健康状態をさらに改善していくような仕組みをつくっていけると思うのです。横並びにそろえなければいけないというのを、上の数値にそろえるのでなくて、下の数値にそろえていくとことはできないのでしょうか。先ほど石岡委員がおっしゃったような形で、厳しくするのを片方の数値だけというのがアンバランスだと言うのだったら、全体の数値を下げるという方向に持っていけないのでしょうか。
○土岐会長 いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今おっしゃっていただいた点については、その目標設定を次期プランにおいてどのように設定するかということについて、まさに御議論いただいている状況だと理解しておりますので、もし担当部局の健康課のほうから補足事項等があれば、お願いしたいと思います。
○健康課 健康課でございます。
 今、がん・疾病対策課からもありましたとおり、まさにその目標値を含めまして議論をさせていただいているところということでございます。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、健康課のほうがネットワークの不良で落ちたので、ちょっとお待ちいただけますでしょうか。
 すみません。大井委員、お手を挙げていただいていますが、担当部局に聞こえない状態になってしまうので。
○健康課 すみません。今、戻りました。健康課でございます。
 繰り返しになって恐縮ですけれども、がん・疾病対策課からもありましたとおり、まさに今、次期プラン策定専門委員会で御議論させていただいているところでございますので、その中で今日いただいた意見も含めまして考えていきたいと考えております。
○土岐会長 大井委員、今ので聞こえましたでしょうか。
○大井委員 聞こえましたが、議論ががん対策基本法の基本計画が5年の計画から6年になって、いろいろな計画と横並びの形でいろいろな指標を定めていこうということでこの流れになっていると思うのですけれども、今の話でいくと、片方は片方で議論しています、片方は片方で議論していますという状況だと、こちらはこちらでこの計画を立てたときに、健康日本21がどういう数値を出すかということは見えていないわけです。
 そうではなくて、ちゃんとそろえていくというのであれば、そろえていく形で情報を共有していく。それをお互いに示すということはその計画立案に重要な因子だと思うのです。こちらでは検討しています、あちらでは検討していますということだと、目標値を一体どこにすればいいのか。我々は議論ができないような気がするのですけれども。
○土岐会長 分かりました。これは引き続き健康日本21とこちらのがん対策基本法のほうで相談していきたいと思っております。現段階ではそのようにお答えさせていただきます。
 ほかに御質問はよろしいでしょうか。
 それでは、次の議事に移りたいと思います。議題(2)「第4期がん対策推進基本計画案について」です。こちらは資料2-1から資料2-4までございます。こちらについて、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料2-1から順に御説明をさせていただきます。資料2-1が第4期がん対策基本計画(案)の策定に当たっての考え方についてお示ししたものでございます。概要だけざっと御説明すると、資料2-2がその考え方に基づいて現時点で記載できた部分について、がん対策推進基本計画の案の全文をお示ししております。資料2-3はロジックモデルの考え方について、資料2-4がそれに基づいて現在策定しているロジックモデル案及び指標の案というイメージになりますので、そちらを後ほど御説明させていただきます。
 それでは、資料2-1のほうから御説明をさせていただきます。
 2ページ目は「各分野に記載すべき事項の考え方(案)」ということで、一旦このような形で記載すべき事項を整理してはどうかというふうに事務局のほうで整理させていただいています。「がん予防」分野については、がんの一次予防、二次予防に係る事項について引き続き記載する。
 「がん医療」の分野については、がんの医療提供体制や、がんに対する治療に係る事項について引き続き記載する。2つ目のポツで、治療と併せて医療者が提供すべき事項(リハビリテーションや支持療法等)について引き続き記載することとし、同様の観点から、新たに緩和ケアの提供についても記載を追加する。3つ目のポツで、希少がん、難治性がんや、世代に応じたがん医療について引き続き記載する、としてはどうかということでございます。
 続いて、「がんとの共生」分野でございます。こちらは、「緩和ケア」は治療と併せて提供されるものであるが、身体的苦痛だけでなく、社会的苦痛・精神的苦痛等といった全人的な苦痛に対し、医療者を含めた多職種で、さらには地域で連携して提供するという性質のものですので、引き続き共生の分野にも記載する。そうした上で、2つ目のポツで、就労を含めた社会的問題、サバイバーシップ支援、ライフステージに応じたがん対策について引き続き記載するということで、整理してはどうかということでございます。
 一番下の「基盤」の分野につきましては、分野横断的な事項について記載するとともに、2つ目のポツで、「患者・市民参画の推進」及び「デジタル化の推進」を新設する。また、「がん登録」については、がん検診の精度管理等、医療分野以外における利活用を推進するという観点で、こちらの「基盤」分野に記載することとしてはどうかという御提案でございます。
 今の考え方に沿って、順番は前後しますが、5ページ目のところに骨子(案)という形で目次をお示ししておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 3ページ目は「ロジックモデルの活用及び評価指標の設定について(案)」ということでございます。一番上の四角からでございますが、第3期基本計画の中間評価において指摘された以下の課題を克服するためということで、「以下の課題」というのは何かというと、小さい文字になっているところですが、第4期の基本計画で中間評価の指標を検討するとともに、新たに指標を設定する場合には、施策が行われる前の数値を明確にしておくことが望ましいということですとか、2つ目のポツで、第3期の基本計画の策定時には評価指標は決定しておらず、目標への達成状況について評価が困難な施策があったので、第4期の基本計画策定時には、目標の設定と併せて、モニタリングする指標についても検討することが望ましいといった御意見がありました。課題が指摘されております。
 そういったところを踏まえて、第4期基本計画ではロジックモデルを活用し、計画本文と評価指標を併せて議論・策定していただくという形ではいかがでしょうかという御提案でございます。
 2つ目の大きな四角のところでは、基本的な考え方として、評価指標については、国だけでなく都道府県がん対策推進計画においても御活用いただけるように、公表されている統計データや調査結果等を活用するということを基本としてはどうかということと、一番下には、評価指標の設定に当たっては、各分野の施策の効果を正しく評価できるかという観点にも留意することとしてはどうかというふうに書かせていただいています。
 4ページ目はイメージでございまして、「目標・評価指標の設定について(案)」という形で、今、申し上げたような形でロジックモデルを活用して、各分野について個別目標と、そこから分野別目標という形で立てるのに加えて、全体のコンセプトについて、全体目標。これは具体的な案文はまだございませんが、こちらについても設けるという形でいかがでしょうかということを御提案しているという形でございます。
 資料2-1についての御説明は以上でございます。
 続いて、資料2-2ですが、全体で50ページ超あるので、構成のみ御説明をさせていただきます。「がん対策推進基本計画(案)」という形で、1枚進んでいただいて、目次という形で、先ほどの資料2-1の5ページ目にお示ししている目次の構成で、第1で「全体目標と分野別目標」、第2で「分野別施策と個別目標」という形にした上で、第2の1ポツから3ポツまでが「予防」「医療」「共生」、4ポツに「基盤の整備」というものがございます。
 1枚進んでいただいて、第3のところで「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」ということで、都道府県による計画の策定等について触れているという形でございます。
 次のページからがページ番号が振ってあるところですが、1ページ目から「はじめに」という形で、順に進んでおりますので、御参照いただければと思います。
 先ほど申し上げた全体目標については、ページ番号で言う2ページ目の黒丸、下線で書いてあるところがあると思いますが、「『●●●』を全体目標とした上で」という記載と、3ページ目「全体目標と分野別目標」というところにも同様に黒丸で抜いてあるところがございますので、こちらについてもどのようなコンセプトで全体を進めるかということについて、本日以降の議論の中で詰めていただければと思っておりますので、ぜひいろいろ御意見をいただければと思っております。
 現時点で記載できていない部分については、追って記載という形になっていることも、特に本日御意見をいろいろいただいたがんの一次予防については全て「追って記載」という形になっているところもありますので、全体に十分に御議論いただける状態になっているかというと、そうでない部分もありますが、現状で整理できた部分についてはお示ししているものでございます。
 資料2-2については以上でございます。
 続いて、資料2-3を御覧いただければと思います。「第4期基本計画ロジックモデル作成の基本的な考え方」ということでございます。国立がん研究センターの祖父江先生から御提供いただいた資料についてでございます。事務局のほうから説明させていただきます。
 9月5日の協議会において、ロジックモデルと基本的な考え方については御説明をいただいておりますので、詳細はそちらでお話があったので、簡単にいきたいと思います。
 2ページ目は「ロジックモデル作成の目的」というスライドでございます。構成を図で示すことによって全体像を把握するということと、アウトカムを共通認識として関係者で共有できるようにするということ。個別施策とアウトカム(中間、分野別、最終アウトカム)のつながりを確認することによって、個別施策の適切さについて検討できるようにするということ。最後に、先ほどの資料2-1の説明ともつながりますが、指標を設定することによって、その施策の評価につなげるという考え方でロジックモデルをつくっていくということでございます。
 3ページ目は、構造についてどのようになっているかということの御説明ですが、個別施策とそのアウトプット指標。具体的な施策の内容と施策の直接の成果として出力される指標というイメージでございます。それを並べた上で、個別施策ごとにアウトプット指標を設定し、そこから発生してくる中間アウトカム、分野別アウトカム、最終アウトカムとつながっていくような形で構造を整理しています。
 留意点としていろいろ記載してございますが、アウトプットとアウトカムが区別しにくい場合もあるということで、実際に後ほど資料2-4のほうで見ていただくと、そういうものもあることを見てとっていただけるかと思います。あと、幾つかの個別施策で共通のアウトカムに途中で合流してくるという形になるので、最終的には樹形図のような形の構造に近い形になってくるという状況でございます。
 4ページ目は「指標について」ということで、指標の設定について留意した点をお示しいただいております。指標は、公開されたデータソースがあって、適切な目標値の設定と評価が可能なものを中心に検討してはどうかとしております。このように整理した理由は、先ほど御説明のとおりでございます。
 具体的な指標のデータソースとしては、「通常指標」という表現になっていますが、死亡率や罹患率、喫煙率、検診受診率等については、がん登録やその他の既存統計、人口動態統計や国民健康・栄養調査等をデータソースとしてございます。
 もう一つ、患者体験指標ということで、満足度や痛み、不安などといったものについては、患者体験調査や遺族調査などをデータソースとしております。
 下のところに補足で3点書いてございますが、都道府県単位で評価ができる指標が望ましい。これは先ほど申し上げたとおり、都道府県で計画を立てていただくという要素がございますので、そういった観点でこのような指標が望ましいということ。
 2つ目で、必要に応じて格差を検討する。地域や施設、特性別といったより細かい分析ができるようなものも必要であろうということ。
 一番下、全体の指標数について、指標をどんどん増やしていくと、目標の設定というのは粒度を細かくしてできるのですが、管理が困難になってくるというところがございますので、管理可能な数にとどめるということを留意しつつ、指標の設定とロジックモデルの作成を進めております。
 今の考え方に基づきまして、現時点で整理できた範囲で資料2-4に「ロジックモデル(案)」という形でお示ししております。こちらについては、本日の時点では、基本ロジックモデルに加えて、二次予防の領域と医療提供体制に関する部分をお示ししているという形になっています。1ページ目が縦長のページでございますが、基本ロジックモデルという形で、「個別施策とアウトプット」のところに「予防」「検診」「医療」「共生」という領域と、そのベースに「基盤」があるという構造になっていて、そこから「中間アウトカム」「分野別アウトカム」「最終アウトカム」という形で、全体の構造を整理しているページだと思っていただければと思います。
 この構造になる、これと整合が取れるようにという形で、2ページ目以降、今度は横長のページになってきますが、「ロジックモデル(案)」という形で、各分野別の施策についてのロジックモデル(案)を作成しています。構造だけ御説明しますが、一番左に「個別施策」という列があって、次に「アウトプット指標」というのが並んでいます。そこから緑の箱「中間アウトカム」に移って、これも同様に指標とデータソースが書いてあります。そこから黄色い箱「分野別アウトカム」に移って、最終的にオレンジ色の箱「最終アウトカム」という形でつながっていくと。各領域のものを統合すると一番最初のページの基本ロジックモデルになるように整理するという形で、現在作業を進めているところでございますので、本日の時点でお示しできる範囲でお示ししております。
 資料2-1から資料2-4までの説明は以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、御意見を頂戴していくのですけれども、今日は資料2-2「基本計画(案)」のほうが中心になっていくと思います。そして、ロジックモデルのほうは、こういう考え方で、こういう流れで決めていくということで、細かい指標については、基本計画(案)の本文のほうができてから、それに合わせて変えていくものでございますので、現段階でそこまで厳密に決めなくてもいいと考えております。
 「検診」「医療」「共生」「基盤の整備」ということで、前回から引き続いてこの4分野になっていますけれども、まずは全体の構成、がん検診、この辺りについて御意見があれば頂戴したいと思っております。事前に資料2-5のほうに御意見を頂戴しておりますので、そちらも併せて御覧いただけたらと思います。では、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 事前意見には書かなかったのですが、事前のインタビューでは話してあったのですけれども、1期、2期、3期と来て、1期と2期と3期で書き方を大幅に変えてきた経緯があります。今回の3期から4期についての今の案ですと、ほとんど同じなのです。中身の配置を少しだけ変えたり、指標を変えたりということは具体的にやりますが、これでいいのかということを土岐会長から皆さんに聞いていただきたいと思うのです。要するに、我々は第4期を作成する意見の源になっているわけですが、1期、2期、3期の委員の人たちは大きく変えてきたのだけれども、このままで行くと、我々はほとんど変えないということを提案するという形になります。私は、それは反対です。
 2期から3期になると非常に分かりやすくなったということは私も認めていますし、「予防」「医療」「共生」「支える基盤」という構成というのは決して悪くないのですが、用語も全部同じで、立てつけも同じでしたら、国民から見たら3期と4期は何も変わっていないと見られるというのは、私は非常に不満です。
 以上です。
○土岐会長 石岡先生の御意見、よく分かります。今日いただいた資料2-1の5ページに基本的な構造のほうを書いていただいております。「がんの予防」「医療」「共生」「基盤」ということで、これでは前と変わっていないのではないかという石岡委員からの御指摘でございますけれども、基本的な構造は、私自身も第2期のはすごく羅列的、記述的なシェーマで分かりにくかったのですけれども、第3期のは結構すっきりして、「予防」「医療」「共生」「共通の基盤」ということで、結構分かりやすくなったなと思っておりまして、なかなかいいスタイルなので、これを4期で継いでいってもいいのかなと思っておりましたが、今、石岡委員が言われましたように、どういうふうに変えていくのかという辺りは、今後も引き続いて検討していきたいのですけれども、各論も総論も同時進行で行くところがございますので、この辺り、もし基本構造というところで御意見があれば。今の段階でそれに関しまして特に御意見のある方がおられましたら、発言していただいてよろしいですけれども。どなたか。今、自由に発言していただいて。この基本構造に関して御意見のある方。中釜先生、どうぞ。
○中釜委員 中釜です。
 資料2-1の5ページの骨子に関しては、今、石岡委員も御指摘のように、重要なことが予防、医療、共生と大きな柱立てとして並べられていて、これは基本的な考え方だと思います。その中で、用語、文言も共通だという御指摘なのですが、そこはより適切な表現があれば議論してもよいとは思うのですけれども、多少なりとも同じ記載ぶりでも、例えば希少・難治がんと高齢者がんを別に分けて記載するとか、その都度の重要性、あるいはその課題、積み残し等に応じた項目立てにするという点では、私はそんなに気になりません。ただ、議論はしてもいいかなと思います。
 一方、2のがん医療に関してですけれども、現在、もともと第3期では「医薬品・医療機器の早期開発承認に向けた取組」ということが、がん医療の充実の中に書き込まれていたわけですが、今回その項目が除外されています。恐らくこれは「基盤」等のところで書かれるのかなと思うのですけれども、一方で、第3期の成果として、基盤による研究の成果がより早く医療現場に実装されるという点は、特にゲノム医療等の推進によって我々は実感しているところでありまして、研究から実装のところは非常に重要だと思います。そういう意味では、これまでの第3期と違った次の開発スキーム、それから患者さんに届けるというところは、より研究と実装が近いところにあると思うので、今回の骨子案で省かれている医薬品開発について、これは意見出しのほうでも述べさせていただいたのですけれども、「新規医薬品・医療機器及び医療技術の速やかな医療実装・患者還元」、そういうものを項目として追加が必要ではないかと思います。
 例えばゲノム医療の現場においても、検査をすると同時に、医薬品の候補を広げていくためにはどうしても臨床試験、治験は必須なわけです。その辺りの課題は、例えばCRCの充実、開発研究に従事する医師の体制の強化など、第4期としてさらに充実することによって、冒頭に土岐会長もおっしゃっていた、誰一人取り残さない、いわゆるユニバーサルヘルスの考えであり、より徹底的に行うという意味では項目として加えておくべきではないかと思います。この骨子についての意見でした。
○土岐会長 大変貴重な意見で、全体の構成に関わる新たな項目を加えてほしいということでございます。理解できました。
 引き続いて、2の5の構造等につきまして、ほかに御意見のある委員の方はいらっしゃいますでしょうか。では、谷島委員。
○谷島委員 ありがとうございます。
 私も先ほどお示しいただいた資料の中に、全体目標を第3期のものをそのまま引き継いではどうかとありましたが、この5~6年の中で社会の変化も大きくありましたので、それに合わせたものに変えていくべきではないかなと思っております。第4期の全体目標には、格差を是正して誰も取りこぼさないという考え方をベースにした、多様性とウェルビーイングみたいなことをキーワードにしたメッセージを入れてはどうかなということを考えています。
 第4期の概要というのは、第3期を基本的には踏襲しつつも、社会の変化と医学の進歩に合わせてアップデートするものと認識しています。ただ、この本計画というのは本当に全国民に関わることで、この中の全体目標というのは、これからどういう未来を目指していくかという大事なメッセージであると思いますので、より社会の変化を捉えて、より国民へ伝わりやすい表現で発信するべきかなと思っています。
 アップデートすべき社会の変化と医学の進歩の持つテーマというのが、格差を是正して誰も取りこぼさないということと多様性とウェルビーイングというふうに考えているのですが、計画自体も中身を見ると、大枠は一緒ながらも、中身のほうは多様なリソースを最大限に生かして、多様な環境に置かれている多様な患者の多様ながんに対応してそれぞれのウェルビーイングを支えるというふうな中身になってきていると思います。
 均てん化、集約化、個別化、ネットワーク化、可視化とか、それぞれの適切な指標を基に、PPIやデジタル化というものを用いて、生存率だけでなくて、患者のウェルネスというか、ウェルビーイングというものの視点でも最適化していくという内容になってきているのかなと感じていますので、結論を言うと、全体目標を「がん患者を含めた国民の全てががんを知って関わって、一人一人のウェルビーイングを実現する」といったものに改めてはどうかと考えております。
 私のほうからは以上です。
○土岐会長 ありがとうございました。
 全体目標の文言については後日、皆で検討する機会を持ちたいと思いますので、今、御質問しているのは、このページの4つの構成でいいだろうかと。この中で項目立てとして大きく抜けているものがあるとか、そういう御指摘があれば御意見を頂戴したいと思っております。これに関しましてよろしいでしょうか。なければ、次の予防のところに移っていきますが。大井委員、どうぞ。
○大井委員 実際の柱の中でがん対策基本法ができた当時、2006年、その前の1990年の後半からの時期というのは、ドラッグ・ラグということが非常に言われてきた時代であって、それは臨床試験に関して欧米から遅れているのだということだったのです。研究開発はこの15年の間に物すごいスピードアップしたと思うのですけれども、新たなドラッグ・ラグというのが今、生じてきていると思うのです。研究開発が非常に重要で、そういったものというのが文言として、例えば新たなドラッグ・ラグに対する対応とか、そういった問題というものを掲げていくとか、そういう研究の分野のこと。
 緩和ケアのことに関しても、今、両方にまたがっている形になっているのですけれども、あれはああいうまたがった形の整理になるのでしょうか。たしか始まりの協議会のときに、医療のほうに振ってはどうかという議論があったと思うのですが、これはまたがった形の議論のまま進行していくということなのでしょうか。
○土岐会長 1点目については、項目として検討していきたいと考えています。
 2点目については、こちらも大分検討というか、悩んでいるところでございまして、事務局からコメントをいただけたらと思います。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 大井委員からの御指摘についてでございます。事務局の認識といたしましては、10月27日の協議会において「検討の視点」という形でお示しして、「共生」のほうにも位置づけた状態にした上で、「医療」に関連する部分についてはそちらにも併記するという御提案を「検討の視点」というところでさせていただいて、そこについては、明確な反対の御意見があったと認識しておりませんでしたので、現在の形で一旦整理をさせていただいたということでございます。御覧いただいた上で、そこについても改めてこのようにするべきではないかという御議論があり得るということは十分承知しておりますので、そこについては御意見を頂戴できればと思っています。それは後ほど「医療」もしくは「共生」の部分を御議論いただくときにお話しいただいてもいいのかもしれませんが、そこは座長に一旦お返しいたします。
○土岐会長 現段階の項目立てでは、緩和は、「共生」のほうを中心に載っておりますけれども、実際は緩和というのは医療の部分が多いので、「医療」の部分にも記載していくという構造を取りたいと考えております。
 それでは、検診のところに移っていきたいと思います。検診のところにつきまして、御意見がある委員の方。まずは小原委員、どうぞよろしくお願いします。
○小原委員 ありがとうございます。
 先ほどの全体に係るところも少しお話をさせていただきたいと思います。政策とか施策の評価のところにロジックモデルを4期から導入するというのは、プログラムとして実装性のあるものとして評価すべきと考えております。そのプロセスとして、本来ならば全体目標を先に定めて、これは社会的インパクトになりますので、このがん対策が社会的なインパクトとして何を目指すのかというところをまず定めて、そこから派生するこの4つの柱がある。そこの目標、アウトカムが出てきて、いわゆる「最終アウトカム」と書いてありますけれども、そこが出てきて、それから分野別、中間アウトカム、それから実際にアウトプットのところのどういう活動、プログラムが走るのかといったところの具体的なところが落ちていくのが本来の姿ではないかと思いました。
 ただ、それは後ほど話をされるということですので、私のほうからはがん予防に対して少しお話をさせていただきたいと思います。私は健康日本21の指標を用いるというのは、設定の標準がどこにあるかということが分からないと、どのぐらい伸びたのか、向上したのかが分からないという意味では、そういう指標を用いるということには反対ではありません。むしろ連動させて、活用できるところは活用してもいいのではないかと思っております。
 ただ、問題はこの目標値の設定のところではないかと思っております。健康日本21(第二次)において、がん検診の受診率の目標値というのは、たしか50%になっていたと思います。現時点では目標値には届いておりませんけれども、かなり改善されてきておりまして、第4期の6年間でこの目標値を使うのかどうなのかといったところを、先ほど様々な先生から議論がありましたが、こういった目標値を一緒にするというのはいかがなものかと思いました。ここには目標値を設定するというのは、ロジックモデルから言うと、その目標値に対してどういう方策を考えていくのかということにつながってきますので、そういった意味では、がん対策のところでどういうふうに目標値を設定していくのかというところはぜひ議論していただきたいと思います。
 個人的には50%の設定というのは低過ぎるとも思いますし、国民にとってもっとインセンティブなものを提示して、目標値を向上させるという仕組みがあってもいいのではないかなと思っております。具体的には例えばマイナンバーでポイントがつくようなこと、国民にとってインセンティブのあるようなものを用いてがんの検診を向上させるということもあり得るかなと思いました。
 それから、分野別のアウトカムが早期がんの患者の割合、それから進行がん罹患率の割合、それから最終的なアウトカムが死亡率の低下となっていますけれども、一連の妥当性がどういうふうに提示。整合性もそうですが、このロジックモデルでは読み取れないように思います。ですので、そこに関してもこれまでの先行研究とか調査などで提示される必要がある。もしもこういうふうに提示するならですけれども、やはり妥当性と整合性をきちっと担保する必要があるのではないかと思いました。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして松田委員、よろしくお願いします。
○松田委員 よろしくお願いします。
 先ほどの健康日本21のところで「誰一人取り残さない」というキャッチフレーズが示されたのですが、がん対策についても全く同様のことが必要だと思います。がん検診に関して言うと、残念なことに多くの人が取り残されていると思います。受診率に関しても正確な数字を我々は持ち合わせていません。ロジックモデルで地域の検診と職域の検診が出てくるわけですが、職域の検診に関しては全くデータソースがない状況です。ですから、全ての人たちが受けられる状況にするには、職域におけるがん検診の法制化も将来的に必要だと思います。全ての人たちが受けられるようマイナンバーとひもづけられた、がん検診体制が必要です。今回「組織型検診」という言葉が出てきたのは非常によかったと思います。残念ながら、諸外国と比べて日本のがん検診は全く効果を発揮していないと言っても言い過ぎではないと思います。諸外国に追いつき追い越すためには、日本のがん検診の体制を抜本的に変える必要があります。それが組織型検診です。組織型検診を導入すれば、受診率はおのずと明らかになりますし、誰に対してリコールをすればいいか分かります。がん検診については誰一人取り残さないような組織型検診の体制を整備する、その方向に向かうべきだと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 今の松田先生とほぼ同じ気持ちなのですけれども、「組織型検診」といういいワードが出てきて、今、本当に測り切れていない検診率、測り切れていないという現実を皆さんに理解いただく、メッセージとしてきちんと分かりやすく出すということが非常に大事なのかなと思っております。
 3期から4期、抜本的に改革して見えるようにするような項目が何かしらないと、私も国民に対するメッセージにもインパクトにもならないと思いますので、そういったことから考えると、「検診のやり方、見直します」と書くぐらいのインパクトのあるような書き方をされたほうがいいのではないかなと思います。このまま国民健康・栄養調査を基にしてアウトカムとかをつくっていったとしても、多分全く進まないのではないかなと思いますので、今、ここが最後のタイミング、チャンスではないのかなと思いますので、この辺りを検討いただきたいなということを強く思います。
○土岐会長 皆様が共通している組織型検診、完全なものができたらいいのですけれども、それを最終ゴールとしてやっていくぞという強いメッセージがもう少し本文に欲しいということでございますが、事務局のほう、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘、御意見等いただきましてありがとうございます。
 今の検診のメッセージ性といいましょうか、どういった形を目指すのかということについて、もう少し明確に記載ができないかという御意見であったと思います。もし可能であれば、どこにどのような文言を追記するべきであるとか、そういったものがあれば補足していただけると大変助かりますというのが1点でございます。
 加えまして、最後の阿久津委員からおっしゃっていただいた項目と関連するかもしれませんが、イメージとしては、今、ロジックモデルとか指標の中で検診受診率というもののデータソースとして国民生活基礎調査を使っておりますので、それでは対策が進まないのではないかという御趣旨だと思います。他方で、現時点でも現在の数値が取れるものがないのも事実なので、一旦このような構造にせざるを得ないのではないかという御提案でもあると御理解いただければと思います。
 そういったこともあったので、検診をテーマにした協議会でも御議論いただいたように、今後の方策については引き続き検討が必要であるということも併せて御議論いただいていたと思いますので、現状の指標の設定についてはこのような案であるが、それがずっと使われるという前提に立っているわけでは必ずしもないということだと思っておりまして、引き続きの検討要素にはしているところでございます。
 ただ、使えない指標を提示するわけにはいかないというのが先ほど来申し上げていることでもございますので、その点は、両論を言っておりますが、そういった考え方で一旦整理をしているものと御理解いただければと思います。なので、今の御趣旨については、どちらかというと本文にどう反映させるのかというところが主たる論点ではないかと思っております。
 事務局としては以上でございます。
○土岐会長 よろしいですか。
 それでは、続いて、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 検診とか予防のところの分野の中で、後方のところにも出てきますけれども、患者さんたちがピアとして教育に関わってくるというところでがんを知るということが出てきますが、そういった部分でも、検診に関しても国民にどう教育していくかということが、受診のデータがどうなのかとか、実際の受診者数はどうなのかという数字を調べていって、後々の目標等を掲げていくことは重要だと思うのです。それを支える国民が動線として、患者が患者になる前に、病気にならないためにどうしていくかという教育がここに書かれていないような気がするのです。がん教育というのは、病気になって大変ですよという事実として伝えることだけでなくて、そうならないためにはこういうことをしなければいけませんよというところにも、教育という分野を書き込むことは必要なのではないでしょうか。
○土岐会長 いかがでしょうか。6ページに若干あるように思いますが。どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今いただいたところについては、現状の記載ぶりとして合致するところは、資料2-2のページ番号が振ってあるところの6ページ目の2つ目のセクション「市町村及び検診実施機関においては……また、国は……国民が正しく理解できるよう普及啓発を行う」というところかと思います。他方で、今、大井委員からも御発言いただいたものはむしろ教育などの要素に近しいような御発言の趣旨だったように思いますが、ここの文言を御覧いただいた上で、今おっしゃっていただいたさらに追加が必要ではないかという御発言であるという認識でよろしいでしょうか。
○大井委員 教育といったときに、実際に今、中学校、高校で学習指導要領に書き込まれています。それはこれから育っていく世代がそういう認識を持ってくるとは思うのですが、現状での教育の欠如という点での指摘です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 御指摘の趣旨がよく分かりました。ありがとうございます。今の文脈で項目の整理上どういうふうにしているかということも併せて御説明致しますが、資料2-2の42ページ目のところに「がん教育及びがんに関する知識の普及啓発」ということで、今おっしゃっていただいた点は、検診に限らず横断的に必要であろうという整理で、こちらにおいても記載しております。そのうちの「取り組むべき施策」のところで、今おっしゃっていただいた学生、児童生徒に対する教育という意味では、42ページ目の下から2番目のセクションですし、次のページの2つ目のところ、御発言の趣旨よりは狭いエリアかもしれませんが、「事業主や医療保険者は……雇用者や被保険者・被扶養者が、がんに関する正しい知識を得ることができるよう努める」という記載があります。こういったところをより全体に対してということであったり、検診についても特にというような趣旨の御発言であったかと受け止めておりますが、追加で御指摘等あれば、いただければと思います。
○大井委員 全体の中でライフステージに応じたという形で、シームレスにいろんな形で取り組んでいくというのに点を並べているだけで、つながっているように全然見えないのです。確かに43ページのところに「雇用者や被保険者・被扶養者が、がんに関する正しい知識を得ることができるように努める」と書いてあるのですけれども、それは「がんに関する正しい知識を」ということなので、検診とか健康に関する記載ではないように読み取れる。しかも、先ほどおっしゃったように、大学生とか、間が空いているように見えたりする。ぜひ全国民がカバーされるのだという形にしていただきたいと思います。
○土岐会長 貴重な御意見として承りました。ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、がん検診から、次はがんの医療の提供のほうに移りたいと思います。御意見のある委員の方は挙手をよろしくお願いいたします。まずは前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 先ほどの皆様の議論とかなりかぶってしまうのですが、課題別に議論がなされていて、本当に横断的なつながりができているのか、すごく心配になっています。例えばチーム医療の中にピアサポートが入っていないのに、ピアサポートの部分では「医療との連携」となっている。もしくは高齢者の問題として就労が取り上げられているにもかかわらず、就労部門では高齢者への配慮が欠けている。ということで、一応重なっているから、どちらかに文言として省いておられるのかなと思うのですが、印象として違和感を覚えています。取り組む方は専門性を持って取り組んでおられるのですけれども、いずれの部分も横断的に関わっているので、そこのつなぐ人材というものを配置していただけたらなと思います。
 また、様々なセクションでいろんなところが進んでいると思うのですが、私自身、この協議会の委員になって様々な取組や研究がされていることにとても驚くことが多くて、情報とか支援が患者に届いているとは考えにくいなと考えています。解決策とか、いろんな取組をしている中で、これが実際に患者にどう届くかまでプランニングしていただくような政策が必要かなと。つくることが目的ではなくて、どう届くかまで考えていただく文言に変えていただけたらなと思っています。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 今、資料2-2について意見を言ってもいいことなのでしょうか。
○土岐会長 はい。今、資料2-2を中心にやっています。
○石岡委員 いろいろ書きましたけれども、がん医療の充実の中に「治療と併せて医療者が提供すべき事項(リハビリテーションや支持療法)」とあります。それを書くのはいいのですが、ここには緩和ケアあるいは緩和医療の位置づけをはっきりして、2か所に書くのはどうかと。社会的な部分と、医療従事者がやる部分というのは医療ですから、それが多分主体だと思いますので、緩和ケアあるいは緩和医療の部分というのは、医療の充実に重点的に書くという形が大事だと思います。
 あと、希少がん・難治がんがあるのですけれども、これは定義がはっきりしていない。学会も定義がはっきりしていない状況というのは、我々専門家もそのとおりなのですが、ある程度希少がん・難治がんというのは何なのかということを書かないと、希少がんの話は一体何のことを言っているのかと。それが3期には欠けていたと思います。
 最近の考え方で言えば、肺がんの中でもごく僅か、0.4%ぐらいは希少フラクションがある。それも肺がんなのです。しかし、治療は全然違うと。5大がんの中にも希少フラクションがあるというものも、それは希少がんだということを学会とかでも言う人がたくさん増えてきている状況なのです。では、それは希少がんなのか、5大がんなのかということが非常に不明確になってきていますので、そういったところも丁寧に書いたほうがいいだろうと思っています。
 今、ライフステージの話が出ましたけれども、ライフステージとは何なのだということをよく聞かれます。これはある程度のインテリジェンシーが高い人だとライフステージというのは分かるのですが、でも、対象にしている国民全員がライフステージというのを理解できるかということです。これも言葉の定義をちゃんとするべきだと思います。「小児・AYA世代」や「高齢者」ということは書かれていましたけれども、では、「働く世代」という言葉はどこにも出てきていないという問題もあるかと思います。
 「患者本位」という言い方が全体として出てきているのですが、これはがん対策基本法ができたときに、超党派の議員でも「患者本位」という言葉が出てきて、そういうふうになっているのですけれども、言い方がそろそろ古いのではないか。「人に優しい」とか、ちょっと変えないと、いつまでたっても我々医療従事者は患者本位に立っていないのかというふうに思われないか。医療従事者側の立場から、そろそろ「患者本位」というのは変えたほうがいいのではないかと思っています。
 あと、地域格差や医療機関格差というのが今回のテーマに入るということは、それでいいのですけれども、国は、都道府県協議会に対して、地域間格差や医療機関格差の検討をし、支援を行うというふうに書いてあるのです。必要な提供を行うと。それだけでは不十分で、必要なデータの提供など技術的支援と指導を行うと。指導も積極的にコミットするというような書きようが必要だと思います。
 実際は都道府県協議会というのは、私も宮城県の委員をずっとやっていますけれども、県内で委員がまとまっているのです。ですから、ここで聞くことではないかもしれないけれども、県外から専門性の高い委員を入れるような立てつけをするようなところをどこかで決めてほしいなと思っています。
 最後に。もっとあるのですけれども、がん疾課の方にはこれを読んでいただきたいと思いますが、各治療法のところですが、1期、2期、3期と少しずつ変わってきていますけれども、このがん対策基本法には、皆さん、地域にかかわらず等しくスタンダードな医療を受けられるということが基本理念になっているのですが、私が2回前に申し上げたとおり、格差が拡大している領域もあるということです。これは基本理念に合っていません。
 ですから、もう一回基本に戻って、手術、放射線治療、がん薬物療法、そして先ほど話した緩和医療など、基本的な治療法に関してはもう一度ここに書いて、その上で格差がどうなったかということを指標に入れるということが大事だと思います。
 新しいことを書くということ。個別化医療。私も個別化医療をやっている専門家ですけれども、そういうことを書く、研究のことを書くというのは非常に重要ですが、基盤となる治療法についてはちゃんと項目立てて書くということが大事だと思います。3期にはそれをかなり省いてしまったのです。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 では、たくさんいただきましたので、一旦。前田委員からは、患者さんにしっかり届くような対策をしてほしいということでございましたが、これは特によろしいですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 前田委員からは、今、土岐会長がおっしゃっていただいた点と、加えて、どうしてもパートごとに議論をしているので、両側で相対して見たときに整合が取れていない記載があるのではないかという趣旨の御指摘もいただいたのではないかと思っています。両方に全く同じことを書いてしまうと分量だけ増えてしまうということもあるので、それはそれで整理が必要と思うのですが、おっしゃっていただいたように、整理中の文章でもあるので、その辺りの整合が取り切れていない部分は御指摘のとおりであろうかと思います。なので、具体的に御指摘をいただいて、私どものほうでも事務的にきちんと確認して、整合が取れるようにできるだけ取り組んでまいりますが、事後でも結構ですので、ここはこう直すべきではないかというふうに御指摘をいただければと思います。
 後段の患者さんに届くようなメッセージというか、施策につながるようにしていただきたいということについては、御意見としてしっかり承りたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 石岡委員からは非常にたくさん頂戴いたしまして、緩和医療の書き方、希少がん・難治がんの定義をちゃんとしてくださいと。それから、ライフステージのこと。「患者本位」という文言について。そして、格差の問題です。これは都道府県の協議会での格差の問題。そして医療の提供での格差の問題等々、多くの点を指摘いただきましたが、この中で事務局から答えられることがございましたら。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 事務局の認識の共有も含めてお伝えさせていただきたいと思っております。御指摘いただいてありがとうございます。希少がん・難治性がんの定義については、私どものほうでもこういった定義をしっかり整理していくべきだと思っていますが、おっしゃっていただいたとおり、学術的にも定義が定まっていないというところだと思いますので、こちらは技術的に整理が必要なので、今回の記載の中で整理し切れるものというよりは、引き続き整理をしっかりできるようにきちんと検討するべきものと認識しており、そのような形で各回の「検討の視点」の中でもお示ししてきたつもりではございます。
 続いて、緩和ケアの位置づけについては、石岡委員からの御発言を踏まえて、むしろ委員の先生方の中で違った御意見をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思いますので、そういったことについてはぜひ御意見を交わしていただければ幸いでございます。
 最後に、格差につきましては、おっしゃっていただいたとおり、格差があるのか、ないのかといったところも含めて実態を把握できるようにするように、指標を都道府県ごとに使っていただけるような、もしくはより粒度を細かくして地域ごとに見られるような指標はないかといった観点でも指標の整理をしております。
 石岡委員からこのような指標を使ってモニタリングしていくべきではないかといった具体的な御提案等がもしあれば、追加でいただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 私から1点追加で、格差について、都道府県で投げかけてしまうと、都道府県内で何とか帳尻合わせをしようとして必死でやってしまいます。都道府県間の格差もかなり大きい場合がありますので、ぜひ都道府県だけでなくて、国レベルでも格差のほうを見ていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 私のほうからは希少がん・難治性がんについて意見をさせてください。希少がん・難治性がんのところで「治療へのアクセス改善に向けた取組」について書き加えていただきたいと思っております。保険診療下で使える薬剤や治験の少なさというのが、小児がんやAYA世代の課題では上げられているのですけれども、希少がんや難治性がんでもそれは同様であるので、取り組むべき施策についても、小児がん、AYA世代のがん同様に「治療へのアクセス改善に向けた取組」というのを希少がん・難治性がんのほうにも入れていただきたく思います。
 私のほうからは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 全体のところに戻ってしまうようで大変恐縮ですが、先ほど石岡先生もおっしゃっていた基本に立ち返るということが本当に大事かなと思っておりまして、全体的に見渡させていただいた上で、ボリュームゾーンである患者さんにとって、どこが変わったのかが分からないというのがなかなかしんどいところなのかなと思っております。
 ですので、先ほど石岡先生から御提案があったような基本の医療もきちんと書き加えた上で、ここは重視していく、ここも進化させていくというのを明確にするというような、全体的な今回の4期の打ち出しみたいなものがあってもいいのかなと感じております。
 先ほどおっしゃっていただいたように、ライフステージとは何だというところで「働く世代」というワードがないというのは、私も前回お話をさせていただいたのですけれども、働く世代が一番のボリュームゾーン、影響を受けるゾーンだということもありますので、そういったところの医療をきちんと支えるという点も含めて書いていただきたいと思います。
 あとは就労。これは後のほうなのかもしれませんが、書きぶりとして非常にあっさりと「就労支援」と。これまでずっと入っているものなので、あっさりと書かれている部分が非常に多いので、私、今、753人の患者さんのアンケートをお預かりしているところなので、次回またお話をさせていただいて、意見を届けさせていただきたいと思うのですけれども、そういった多くの患者さんがいるゾーンの方が、今回の第4期、変わったと思っていただけるような書きぶりになるといいなと感じております。
 漠として申し訳ございません。以上です。
○土岐会長 御意見ありがとうございます。
 それでは、木澤委員、どうぞ。
○木澤委員 ありがとうございます。
 先ほど緩和ケアについて、どこにどういうふうに書くかという話になっていたと思うのですが、これは大変難しい問題ですが、まとまってどちらかにしっかり書くのがいいと思っています。緩和ケアについて書く要素は3つあると思っていまして、1つはがん治療と緩和ケアの統合。いつでもどこでも必要なときに緩和ケアが受けられるという視点で書くということが一つ。もう一つは、人生の最終段階において、disease-modifying treatmentが終わった後の患者さんのケアについてを「医療」のところに書くなら書く。もしくは「共生」のところに書く。この治療と緩和ケアの統合と人生の最終段階における緩和ケアの2つを分けて書くことに反対です。この2つは切り離されるものではなくて、共に提供していくものだと思うのです。この2つをまとめて「治療」でも構いませんし、「共生」でも構いませんし、どちらかに入れるべきだと思っています。
 3つ目です。これは鶴岡先生にも関わるのですけれども、在宅医療のことも本当は「医療」に書くべきだと思っていまして、このことも視点として取り上げていただきたいと思います。というのは、治療中に在宅ケアを受けるというのは非常に有用なことですので、この視点を書き込んでいただくというのは非常に重要かなと。これから医療の分業と言ったら悪いですが、集中と統合ということを行っていく上でも、分化させていくためにも非常に重要なので、そこを考えたほうがいいという意見です。
 一方で、1つだけ。地域包括ケアとの連携であるとかコンパッショネートコミュニティーづくりという点からすると、がんとの共生についてもやはり緩和ケアを触れなければいけないので、どちらかだけに書き込むというのは間違っていて、どこをどういうふうに切り分けるのかということを検討していただければと思います。
 今の意見を全部聞いていて、自分の意見としては、治療と緩和ケアの統合、人生の最終段階のケア、そして在宅医療までを「医療」に入れるというのが妥当かなと思いました。
 以上です。
○土岐会長 木澤委員、大変貴重な意見ありがとうございます。
 また、ほかの緩和ケアに強く関わっておられる委員からも後ほど御意見をお伺いしたいと思います。
 それでは、中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 私から2点ほど。先ほど石岡委員からも指摘があったのですけれども、例えば希少がんに関しては、定義が問題になるということなのですが、第3期の計画を立てる際の議論として、希少がんに対してはまだ十分な対応が取られていないということから検討会で議論されたと理解しており、そこではおおむね罹患人数が10万人当たり6名未満という形で、それを一応「希少がん」と定義づけていると理解しています。その際に、先ほど石岡委員から指摘があった、肺がんの中でも非常に希少なものがある、いわゆる希少フラクションについてどうするのかということです。これも排除されてはいないと思うのですが、肺がんなどのコモンながんの希少フラクションに関しては、意外と開発が進んでいるところもあると思うのです。一方で、希少がんは、いわゆるがん種としての希少性が高い。そもそも企業等での治験が進まないがんに関しては、やはり取り残されているということが懸念されています。そういう意味から、明確ながん種を規定することなく、数として10万人当たり6名未満ということが一応定義されているので、そこが曖昧であれば、この計画の中に付記しておくということが大事ではないかなと私自身は思いましたので、対応をお願いできればと思います。
 2点目の「患者本位」。確かにこれまでの取組の中で患者本位に対する取組はかなり進んできていて、患者さんが医師に対していろいろ質問しやすいという状況が生まれてきていると思うのです。ただ、私自身も経験するのですが、依然としてセカンドオピニオンを聞いてよいのかというような声は聞こえてくるので、十分に対応が取られつつあるとは思いますけれども、英語で言う「patient-centered」の考え方というのは、私自身は継承してもよいと思いました。
 以上、2点です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 一旦まとめますが、今、特にございますか。大丈夫ですか。
○原澤がん対策推進官 はい。
○土岐会長 特に事務局からはございません。
 皆様の貴重な御意見として考慮していきたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 この分野を見ていると、都道府県のがん診療連携協議会に任せていることが多いかなと思います。その際に、私も各都道府県の議事録を見させていただいたことがあるのですが、結構スタンスが各県によって違っていたり、興味に偏りがあったりしていて、それが各県のスピード感とか格差につながっているような面も見られています。「がん医療提供体制等」の均てん化・集約化の中の「取り組むべき施策」の中に、「国は、都道府県がん診療連携協議会等に対し、検討に必要なデータの提供などの技術的支援を行う」とありますが、技術的な支援だけではなく、その協議会がちゃんと機能しているか、到達目標を定めたり、進捗を見て目を入れたり、国としてその機能を引っ張るような、ファシリテーションするような仕組みを取り入れていただかないと、県の格差や差が広がっていくのではないかと思うので、そのようなことも検討していただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、鶴岡委員、どうぞ。
○鶴岡委員 ありがとうございます。
 在宅医療の現場で携わる医師としてコメントさせていただきます。緩和ケアの位置づけについてです。先ほど木澤委員から御意見をいただきまして、私は全く賛成です。在宅医療に関しても緩和ケア、「医療」として入れていただきたいなと思います。前回お時間いただいて在宅医療の実際に関してお話をさせていただきましたが、2人主治医制とか、病院と地域と一緒に見ていくということに関して、今後非常に考えていかなければいけない分野だと思っています。
 また、在宅医療に関しては、地域包括ケアの一つであるという点と多職種で連携していくという点で、介護系の人たちともうまくやっていくということがポイントになってくるわけなので、在宅医療に関しては「医療」に入れていただきたいし、緩和ケアということに関しては「共生」の部分にも少し入っていくところなのかなと思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 緩和ケアにつきまして、先ほどの木澤委員の御意見を聞いても、「医療」の部分がかなり大きくなってしまいますね。今はどちらかというと「共生」のほうが中心なのですけれども、こちらはまた事務局と一緒に考えていきたいと思いますが、かなりの部分が「医療」のほうに入るのではないかという感想を持ちました。
 ほかの委員に対しまして、よろしいですか。
 中釜委員と樋口委員の御意見について、事務局からは。特に樋口委員からは、都道府県のことをしっかり国がフォローというか、見てほしいということも頂戴しております。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 御指摘いただきましてありがとうございます。先生方からの御意見を踏まえていろいろ考えていきたいと思います。樋口委員からいただいた、国がもう少し取組の状況をしっかり見ていくべきではないか、先ほど石岡委員からあったかと思いますが、指導みたいなこともやっていくべきではないかというような趣旨の御指摘だったと思います。私どものほうでもそういったことがどのような形で提供できるかといったところは考えていきたいと思いますが、その点については、谷口委員が反対側の立場、都道府県のお立場から何か御発言等があれば、後ほど御発言のタイミングで結構ですのでいただければ幸いでございます。
 事務局からのコメントは以上でございます。
○土岐会長 それでは、続きまして、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 ありがとうございます。島根県の谷口です。
 先ほど厚労省の方からの意見もありましたので、まずそれについてお答えしたいと思います。先ほどおっしゃったことはそのとおりで、恐らく都道府県レベルでも差があると思いますし、都道府県のがん拠点を含めた国レベルのネットワークというのはあると思いますので、必要に応じてそういったネットワークとの連携をすることが、都道府県と全国をベースとした均てん化という意味では大変重要かなと思って話を聞かせていただきましたので、指導とかそういうのをぜひやっていただきたいなというふうにも思っているところであります。
 もう一点、これは何度か発言したのですが、治療へのアクセスとか情報の均てん化とか、相談支援のネットワークとか、そういうことを考えたときに、都道府県の中で1つの協議会、その中でいろいろ話すというのも大事なのですけれども、もう一つ、小さなエリア、例えばがん医療圏とか。地域のがん拠点が担っているようなエリアでもある程度。例えば市町村などの自治体も含めてこういった会を持つことが大事ではないか。患者さんはいろんなところにいらっしゃって、なおかつ患者さんから声が上がらなくても、例えばその家族とかそういう人たちが自治体の保健師とかいろんな場で相談をしたときに、いろんなネットワークを通じて必要な情報が手に入るとか、そういったヒューマンネットワークというのは物すごく大事だろうなと考えているところです。
 だから、こちらからSNSとかそういうので情報発信をするのと同時に、何か困ったときに誰かに相談したら、それが必要な情報につながっていくようなことが必要だとすると、都道府県レベルのもう少し小さな単位でそういったネットワークのような協議体があってもいいのかなということを考えておりますので、意見として言わせていただきました。
 ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 私のほうから2点意見をさせてください。
 1点目は、第3期にあったゲノム医療が項目としては今回なくなっているかなと思います。様々な分野で今回も言及はされているものの、まだまだ課題の多いところかなと。そして期待も大きいところかなと思いますので、項目としてまとまった部分があったほうがよいのではないかなと思っております。
 ロジックモデルのほうにも指標を考えていただいているので、計画のほうにもきちんと落とし込みが必要ではないかなと思っております。
 特に希少がんなどでは遺伝子パネル検査の保険適用による検査のタイミングの見直しや、回数の最適化みたいなことを前々回も意見で申し上げさせていただきましたが、そういうのも言及していっていただきたいので、1人でも多くの患者さんを治験をはじめ、その治療機会につなぐことができるように、ゲノム医療という部分に関しては、独立した項目と適切な指標を設けて推進いただきたいと思います。
 2点目です。3期のほうにあった「医薬品・医療機器の早期開発承認に向けた取組」というのが項目としてはなくなっていると思います。確かにドラッグ・ラグの解消などが進んできたものの、新たなドラッグロス等の問題が表面化してきておりますので、現在苦しむ患者さんを治療機会につなげるためにも、最も重要な項目である「新たな医療品や医療機器の早期開発と、アクセス改善に向けた取組」というのを項目化していただけないかなと思っております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、中釜委員、どうぞよろしくお願いします。
○中釜委員 先ほどの樋口委員のコメントに重ねてということになってくるのですが、都道府県における連携協議会の強化、あるいはその指導ということがあったと思います。これに対して、国から都道府県への指導という形に加えて、それ以上に、現在、例えば都道府県レベルでいろいろ連携をしながら進めていき、都道府県の協議会からさらには地域の拠点という形での連携があります。先ほど谷口委員から連携やネットワークの必要性が指摘されていましたけれども、指導という一方向のものではなく、スムーズに連携が取れることが重要だと思います。どういう体制を取るとマネジメントがうまくいってPDCAが回るのか、その辺りの文言は、単に国からの指導だけではなくて、全体のマネジメントをスムーズに運用するような仕組みにすべきと考えます。国にも責任があるでしょうし、都道府県、あるいは地域にもそれぞれに責任が伴うというものであると思いました。
 これは後半の拠点から地域完結の流れ、社会連携にもつながっていくと思うのです。例えば高齢者やサバイバーシップ、長期フォローアップなどに関しても、それぞれの領域、単位できちんと責任を持って管理し、さらには連携を持ってスムーズに進めようとする形です。恐らくこの連携は時と場合、状況によってその役割がかなり変化する可能性もあると思うので、一方向の指導だけではなく、今言ったマネジメントするような仕組み、あるいはそのために必要な指標みたいなものを設定するなどの議論が必要かなと思いましたので、コメントさせていただきます。
 具体的な文言については私も少し検討したいと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、大井委員、いかがでしょうか。
○大井委員 ありがとうございます。
 先ほどの「患者本位」という件ですけれども、書きっぷりがずっと同じではないかというコメントの続きになります。欧米でがん患者さんのことを「cancer patient」という言い方から、だんだん「people with cancer」とか「people affected by cancer」というように「がんに影響を受けた人たち」という表現になっています。「患者本位」ではなくて、実際にがん検診を受けていく全ての国民ということで考えれば、国民本位のがん医療の在り方とか、そういった表現の患者と患者になるかもしれない人たちも含めた包括的な表現で捉えていくような基本計画になれば、がんの予防のことに関してもそうでしょうし、それに関わる家族の人たちもそうでしょうしという表現になるのではないかとちょっと思いました。コメントです。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、一旦この辺りで。谷口委員から医療圏と都道府県の話。谷島委員からは「ゲノム医療」が落ちてしまったと。確かに「ゲノム医療」がどこかに行ってしまいました。また考えていきたいと思います。医薬品の開発は最初に御意見を頂戴しましたので、これもまた考えていきたいと思います。中釜委員からは連携を強化する。大井委員からは患者本位、国民本位ということについて御意見を頂戴しました。よろしいですか。
○原澤がん対策推進官 はい。
○土岐会長 それでは、続きまして、石岡委員、どうぞよろしくお願いします。
○石岡委員 補足を手短に申し上げます。最初に立てつけが3期と変わらないということ。中釜委員からは研究のこととか、別立てという話もあったかと思います。それから、今、ゲノムの話が出ています。
 私から提案なのですけれども、「これらを支える基盤の整備」に「がん研究の推進」というのが今まで書かれていたのですが、この際基本に戻って、予防、医療提供、共生と同じレベルに「がん研究の推進」というのを入れて、そこに「がんゲノム」などを入れるのがいいのではないかと思いました。
 皆さん、思い出してほしいのですが、がん対策基本法の理念の1番はがん研究なのです。2番が等しくがん医療を受けられるということで、3番目が患者本位となっているのです。ですから、がん対策基本法の基本理念のイの一番は「がん研究の推進」なのです。それがこの3期までにいつの間にか落ちてしまっている。「基盤の整備」に成り下がったと言ったら悪いですけれども、そこが落ちてしまったので、この際、患者さんの強い意思で研究推進という意見が強く出て、がん対策基本法のイの一番、基本理念として入ったわけですから、私はここを1ランク格上げして、「がん研究の推進」を立てつけの1、2、3のどこかに入れるというのを提案したいと思います。
 以上です。
○土岐会長 それでは、佐谷委員、よろしくお願いします。
○佐谷委員 皆さんの繰り返しになってしまうのですが、簡単に言いますと、がんゲノムは、恐らくこれから2~3年のうちにリキッドバイオプシーががんの診断やフォローアップに使われる中心的なものになりますので、今、石岡先生や谷島委員が言われたように、がんゲノムというのを1つ部門として必ず立ち上げておく必要はあると思いまして、それが経済の中あるいは診療の中にきちんとした形で据わりがよくなるようにしていただきたいと思っております。
 以上です。
○土岐会長 それでは、事務局のほうからゲノム研究、どういう位置づけにするか、アイデアがございましたら、よろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。事務局でございます。
 ここはよく委員の皆様方の御意見も改めて伺いたいと思いますが、今の記載でいくと、資料2-2の38ページ目「これらを支える基盤の整備」の中の「(1)がん研究の推進」という形になっています。石岡委員から御指摘いただいたのは、これを大項目に据えてはどうかという御指摘だったかと思いますが、そこは御趣旨の確認もさせていただきたいと思いますが、ここの記載の中では、がん研究10か年戦略という別立ての戦略が立てられており、加えて、研究全体の中間評価としては、おおむね順調に進捗しているといったことが記載されているという部分もございます。それで全てうまくいっているということではございませんが、そういった整理でもある中で、あえて特出しで書く必要があるのかという点の御議論や、先ほどおっしゃっていただいた石岡委員の御発言の趣旨が、1から3の項目に据えるというものが「置き換える」という表現なのであったとすれば、どれを。
○石岡委員 「置き換える」でなくて、新たに研究を独立させる。
○原澤がん対策推進官 並べるという整理であれば、そうすると、今のタイミングで「基盤」から特出しにするというところについては、ぜひ委員の皆様方の間でも意見交換をしていただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 39ページにありますように、がん研究10か年戦略のほうも同時進行で進んでおるところでございます。第4期のところに「がん研究」を独立させて例えば項目5番とか、逆に4番に「がん研究」を入れて、5番に「基盤」をずらすとか、そういう方法もあるのですが、ほかの国の施策とも絡んでくるところですので慎重に行くべきではないかと考えますが、中釜委員、これについて御意見ございますか。
○中釜委員 はい。では、私から。がん研究やゲノム医療に携わる者として多くの支援的な言葉をいただいてうれしいと思うのですけれども、一方で、がん研究の場合、例えば予防であり、医療であり、共生の領域でもしっかりとしたエビデンスに基づいて政策を進める必要があるという意味では、がん研究は広い領域に関わるものだと理解します。例えば支持療法にしてもしかり、サバイバーシップにしてもしかりですし、適切な緩和医療などしっかりとした臨床研究を行うことが求められていると考えます。そういった意味では、先ほど基盤として柱でなくなったという石岡委員の御意見があったのですが、私は3つの大きな柱が成立するための本当にしっかりとした基盤としての研究及び人材育成は当然あるべきで、その土台がしっかりしていないと全ての柱が立たないと理解しています。がん研究は全ての領域に係るという意味では、これらの対策を支える基盤であり、例えば一次予防にしてもしかりです。しっかりとした公衆衛生研究、社会科学研究がなければ成立し得ない話で、全ての領域が関わってくるというところから、私は今の立てつけのほうがしっくりくると個人的には思っています。
 2点目のゲノム医療に関してですが、第3期で「ゲノム医療」という項目出しをして、実際に拠点が設定され、様々な施策として、集約化に基づいたようながんゲノム医療の均てん化が取り組まれているという意味では、第3期の目標としては非常に大きな成果があったと思います。これからのゲノム医療は、ゲノムを基本としながらも、ゲノム以外の様々な情報も踏まえ、さらに全ゲノム解析にも展開するのでしょう。「ゲノム医療」という言葉が消えるのはある意味寂しいと思いつつも、やはり次のフェーズに入っていくという思いがあります。例えば研究開発の推進の際にもゲノム情報に基づいた展開は必要ですし、先ほど申し上げましたように、一次予防においても、これからは個人のゲノム情報に基づいたリスクスコアによるリスク層別化された予防対策が必要です。そうすると、ゲノムというのはいろんなところに絡んでくるとことになります。恐らく高齢者の医療においてもゲノム、あるいはそれ以外のオミックス情報が関わってくるのかなと思います。
 先ほど佐谷委員からリキッドバイオプシーは今後の早期診断、あるいは第三次予防の重要なツールになるという御指摘もありましたけれども、いろんなところでゲノム医療が関わってくる以上、少し次のフェーズに入ったという理解もできるのかなと思いました。そこは全ゲノム事業の中で見える形で大きな事業体として展開していなかったこともありますが、日本のがん対策の一部、ゲノム医療という視点は当然継承されていくのかなと個人的には思いますので、コメントをさせていただきました。
○土岐会長 貴重な御意見、どうもありがとうございました。
 それでは、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 今の中釜委員とその前に発言された石岡委員の研究というところですが、先ほど会長のほうからも御指摘があったように、海外との整合性ということでいけば、アメリカのNational Cancer Actは、「war on cancer」という形で、がんとの戦いということで研究を重要視してきたという事実。その表記の問題でいくと、確かに中釜委員がおっしゃるように、基盤を支えている部分に研究があるということは納得がいくのですけれども、階層的に見たときに、「医療」があって、「基盤を支える」の中のその下に研究があるという表記が、さらに進めていくのだというイメージにならないのではないかというようなイメージもあります。
 以上です。
○土岐会長 確かに難しいですね。表現がかなり難しいと感じました。でも、皆さんの思いは一緒だと思いますので、全て研究に基づいているという意味においては同じように感じております。
 ありがとうございます。
 それでは、ここで5分程度休憩を置きたいと思います。4時5分ぐらいから再開したいと思います。よろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○土岐会長 それでは、ディスカッションのほうを再開したいと思います。
 これまで「検診」と「医療」について話してまいりました。
 続きまして、「がんとの共生」になってまいります。こちらについて御意見がある委員がいらっしゃいましたら、挙手のほうをよろしくお願いしたいと思います。皆さん、意見があると思いますが、いかがでしょうか。阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 今日は「共生」までお話が行くと思っていなかったのであれなのですけれども、就労支援のところのがん患者の実態調査のところで、離職理由として例に挙げられているのが御自分のお気持ちばかりに特化されている書きぶりの印象になっておりまして、ページで言うと何ページになりますかね。
○土岐会長 30、31ページですか。
○阿久津委員 そうですね。ありがとうございます。
 こちらのページになっているのですけれども、そうではなく、「会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけると思った」の裏側にある、自分だけではなくて、周りとか会社の人たちのがんに対する偏見とか思い込みというものが大きいなと思っております。この後、ロジックモデルのところにも書いてありましたが、現状ある患者調査の枠組みだけでは全く調べられていない企業側の実態の調査というのが非常に必須なのではないかと感じておりまして、この部分に知識、認識不足による企業内の問題も根強くあるという形で、患者の気持ちを御明記いただけないものかと感じております。
 まず1点、以上です。
○土岐会長 せっかくですので、齋藤委員、今のことに関しまして御意見を伺えるようでしたら。どうでしょうか。
○齋藤委員 阿久津委員のお話、もっともだと思いまして、企業側の調査というのは本当に必要だと思います。というのは、特に中小企業においては、経営の課題に健康問題を掲げる経営者は多くないので、その辺りのことを実際に調べていただけたら、すごく実態が分かるのではないかなと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 「共生」のことで2点です。資料2-2の26ページに「情報提供について」という記載があります。「取り組むべき施策」の中で「情報の均てん化に向けた適切な情報提供のあり方について検討する」という記載になっているのですが、実は15ページの妊孕性温存療法のところには「情報提供……に引き続き取り組む」。17ページの希少がんのところでは「患者及びその家族等の目線に立った分かりやすい情報提供を推進する」。18ページは小児がんで同じ文章。29ページのほうも社会の連携とか、同じような記載があるのですけれども、いずれも「推進する」とか「取り組む」という表現になって、ここだけが「検討する」になっているのですが、例えば「適切な情報を提供する」とか、言い切ってしまうということはできないのでしょうかというのが1点目です。
 29ページ「社会連携に基づくがん対策」、「個別目標」の上の辺りに「国は、がん患者が望んだ場所で過ごすことができるよう、拠点病院等を中心に、在宅を含めた地域における緩和ケア提供体制について検討する」とあるのですけれども、社会保障制度改革推進法第六条第三項の中には、「医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること」で言い切っているのです。なので、例えば検討するのではなくて、整備すると言っているのだから、整備するという方向をここで打ち出すべきではないかと思います。
 それから全体にかかってくるのですけれども、「民間団体」とか「患者団体」とか、いろいろ表現があって、例えば相談のところは「民間団体による相談機関」と書いてあって、これは一体何を指しているのか。あとは「患者団体等」とか「ピアサポーター等」とか、いろいろ言葉を使い分けて書いているのですが、具体的にそれが社会資源として何を指すのかというのがあまりにも不明瞭です。要するに、患者さんたちが活動するような会と連携するということを書いているのか、そうではなくて、それ以外の専門家も含めた様々な団体と連携するということを書いているのか、その辺の言葉の使い方の統合というか、整合性をぜひ取っていただきたいと思います。
 その3点です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ただいまの点はいかがですか。どうですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 大井委員からの御指摘、ありがとうございます。
 私のほうで確認をし切れなかったのですが、指摘いただいた具体的な記載ぶりのところは、29ページの「取り組むべき施策」の記載でよろしかったでしょうか。
○大井委員 まず、29ページの「取り組むべき施策」の中の「検討する」は「整備する」でいいのではないかということです。社会保障制度改革推進法の中に「整備すること」と言い切っているのですから、ここでわざわざ「検討する」という記載はおかしいのではないかという指摘です。
 もう一点は、26ページの「情報提供について」の「取り組むべき施策」のところで、「『情報の均てん化』に向けた適切な情報提供のあり方について検討する」と書いてあるけれども、妊孕性の問題、希少がんの問題、小児がん、AYA世代のがんの問題、社会連携等々では「推進する」とか「取り組む」という形で言い切っているのに、なぜここまでまた改めて「検討する」との記載になるのでしょうか。過去に若尾参考人から情報提供に関して枠組みをこういうふうにやっていけばどうかということで、研究班として発表されているわけです。そうであれば、それを推進すればいいだけの話なので、ここでわざわざ「検討する」という形でまた前に戻ってしまうというのは、歴史的な位置づけとしては逆行しているのではないかということです。
 もう一つは全体として係るのですけれども、「民間団体」とか「患者団体」とか「ピアサポーター等」という形で、様々な言葉で使い分けていますが、もっと分かりやすくはっきり書いていただきたいと思います。その3点です。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございました。二度繰り返させてしまい申し訳ございませんでした。
 今、御指摘いただいた点は、それぞれの取組の進捗状況に合わせて記載ぶりも整理していたつもりではございますが、事務局での書きぶりが整っていない部分もあろうかと思いますので、今の御指摘を踏まえて、改めて記載ぶりの整理について検討したいと思います。
 あとは平仄の取り方というか、個々の記載事項の議論の中で出てきた文言をそのまま使って一旦書き込んでいるという部分もありますので、今、御指摘いただいた点も踏まえて、全体の平仄が合わせられる部分は整えていきたいと思います。
 事務局としては以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、久村委員、どうぞ。
○久村委員 私からの意見は、事前に書面で提出させていただいたとおりですけれども、追加で2点ございます。
 1点目は34ページ「その他の社会的な問題について」の部分で、経済的問題についてですけれども、1行目に「がん患者における社会的な問題として、離島、僻地における通院等に伴う経済的な課題等が指摘されている」という文章がありますが、経済的な問題というのは、離島や僻地に住んでいなくても多くの患者さんが一般的に経験する社会的問題の一つです。その主な原因ですけれども、がん治療に係る医療費の負担がそもそも大きいということと、あと、本人の離職とか休職に加えて家族の離職に伴う収入減少があるということ。それから社会保障制度を十分に活用していないということによるところが大きいのではないかと考えています。
 ですので、この文章は「がん患者における社会的な問題として、医療費の負担や患者本人・家族の離職・休職による収入減少等に伴う社会的な課題等が指摘されている」という記述のほうが、より現実に即しているのではないかなと考えています。
 経済的な問題というのは、一定数のがんの患者さん、特に若年の患者さんが経験する深刻な社会的な苦痛の一つなので、個別目標と中間アウトカム指標を患者体験調査のデータを用いて設定してはどうかなと考えています。可能であれば、将来的に患者さんにとって有用な社会保障制度の捕捉率、例えば傷病手当金、あるいは障害年金、介護保険などについても中間アウトカム指標としてモニタリングしていくといいのではないかなというのが1点です。
 もう一点は、今日の皆様の議論、この基本計画の立てつけであるとか、基本計画の中の具体的な内容や文言などの議論をお聞きしていて、かなりついていくのが難しいなと思ったのは、この計画の全体的な目標というか、最終アウトカム、私たちはどこに向かって議論をしているのかというところが見えにくくて、なかなか議論に追いついていくのが難しかったなというのが今日の印象です。
 資料2-4のロジックモデルの案を見ていただいて、3ページ、最終アウトカムが何になっているかというのを見ると、「死亡率」と「生存率」と「現在自分らしい日常生活を送れていると感じるがん患者の割合」というのが入っていて、この数値を上げるということが目標になっていて大丈夫なのかなというのも、ちょっと心もとなく感じています。もちろん、自分らしい日常生活を送れているとがんの患者さんが感じるというのは、とても大事な指標の一つではあるのですけれども、私たちがこれから立てていくがん対策の効果を正しく評価できる項目として大丈夫なのかなというのも心配しているところです。
 がんになることによって何らかの問題を経験したときに、その方が適切なケアにたどり着いたのか、治療をちゃんと受けられたのか、社会的な支援を十分に受けられたのかということが評価されなければ、このがん対策の評価に実はあまりダイレクトにつながっていないのではないかなと心配しています。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、木澤委員、よろしくお願いいたします。
○木澤委員 ありがとうございます。
 緩和ケアのところですが、具体的には21ページ、22ページでございます。先ほど大井委員が御指摘いただいた点ですが、人生の最終段階の治療・ケアについて、ここに書き込まれていないというのが一番大きな問題点かなと思います。これを「医療」に書くか、「共生」に書くかというのは議論しないといけないと思うのですが、要は、人生の最終段階の治療・ケアに関する整備を載せるべきだろうと思います。いつでもどこでも必要なときにという視点で書くことが重要ということが1つ。
 もう一つは、全体目標が多分グッドデスになるのです。ですので、アウトカムが大きく変わるということもここで考えないといけないので、その視点も持ってここは書いていかなければいけないだろうと思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 もうお一方。前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 私も木澤委員がおっしゃったことを言おうと思っていたのですが、緩和ケアについて
 早期からの診断時の支援ですけれども、具体的に診断時からアセスメント、情報提供してほしい、書いてほしいというのが1つ。おっしゃっていたように、終末期の記載がないということが問題だと思います。
 また、アウトカムについては、例えば再発告知から緩和ケアチームまでの到達日数などの実態把握というものができれば。どのような具体的につながっているのかというところの実態把握と改善に向けて、確実につながるという内容にしていただけたらいいと思っています。
 もう一つ、32ページ「取り組むべき施策」の経済的な課題というところは、介護保険の利用率などを調べていただいて、経済的な支援が届くようにしていただきたいと思っています。
 それから、患者体験調査や患者体験指標ということも先ほどから何回か出ていますが、実際に患者さんが望んでいるという指標の内容自体も、患者さんが関わってつくっていってほしいと思います。本当に患者さんのニーズが測れているのかというところ、ここにももっともっと患者さんが入っていって、私たちの伝えたいことがきちんと測れるような仕組みをつくっていただきたいと思います。
 最後に1点。患者本位のということであれば、全国がん患者団体連合会から要望書を出していますけれども、これは加盟団体53団体、約2万人の患者さんの声を一応集約している要望書となっております。今回の事前の意見書にも漏れているところを書かせていただきましたが、こういった全国の患者団体の声を踏まえてぜひ御検討していただきたいと思っております。
 以上です。
○土岐会長 今、久村委員、木澤委員、前田委員から御意見を頂戴しましたが、木澤委員、前田委員は緩和ケアについて、久村委員からは社会的なところにつきましてございましたが、事務局のほうから追加できることはございますか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 個別の御意見は、改めてその御意見を踏まえて修正、追記等を検討していきたいと思います。
 久村委員からどのような全体目標を設定していくべきかというお話もあったかと思います。そういった意味では、資料2-4のロジックモデルのところで、全体の構造としては、1ページ目にお示ししているようなものを今、全体の案としてつくっているというところになります。最終アウトカムとして、がん罹患率の減少、がん生存率の向上、そこからがん死亡率の減少というふうに構造としてあるのと、それと少し違った視点として、全てのがん患者及びその家族の苦痛の軽減、並びに療養生活の質の維持向上という観点で整理をしております。
 今、申し上げた指標の具体的なデータソースとして、先ほど久村委員から御指摘いただいたお話を一旦埋め込んでいるという状況でございます。より妥当、適切な項目があるのではないかという御指摘は当然あろうかと思いますが、先ほど来申し上げているとおり、現状の調査等で定期的に測定できる指標として使えるものは何だろうかという観点も含めて検討しているのが現在の指標でございますので、一定の技術的限界があろうことは承知しております。
 加えて、久村委員からおっしゃっていただいたような社会的なサポートがどのようにちゃんと届いているのかというものをもし指標の中に埋め込むのであれば、分野別アウトカムのほうが近いのかもしれないなという印象を受けましたが、「共生」の領域の特に分野別アウトカムについてはまだ整理している途上でございますので、今いただいた御指摘も踏まえつつ、技術的な実現可能性という部分は現時点でにわかに分かりませんが、御意見を踏まえて検討を進めたいと思いますので、また改めてお示しする際に御意見を頂戴できればと思っております。
 木澤委員、前田委員からいただいた御指摘については、人生の最終段階についての記載を緩和ケアの、特に医療の領域に入れるべきではないかという御指摘が木澤委員からあったかと思いますので、先ほど来頂戴している緩和ケアの位置づけに関する議論と併せてどのように整理するか検討したいと思いますが、また関連して別の御意見等があればいただければと思っております。
 以上でございます。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、谷島委員、どうぞよろしくお願いします。
○谷島委員 今、御説明いただいたところに関連してですが、私も久村委員がおっしゃっておられたように、様々な支援やサポートがあるとは思うのですが、それを必要としている患者がどれだけいて、そこにどれだけちゃんと届いているのかという視点をそのモデルの中で重視していただきたいなと思っているのと、前田委員がおっしゃっていたように、特にウェルビーイング的、QOL的な指標というのは、調査であったり、何を項目としていくかについては、患者の声、PPIみたいなものを取り入れながら進めていただきたいなと思っております。
 個別のところで2点あります。31ページ、がん患者のサバイバーシップの就労支援についてのところです。誰も取りこぼさないということを理念とすると、どうしても非正規雇用や自営業、フリーランスの方々が抜け落ちているなと思います。なので、そういった方々のところに関しても支援を検討していくということを入れてはどうかなと思っております。
 2点目も就労支援のところです。様々な自治体さんで助成金等の支援策について先行事例が出てきていると思います。それらについてアップデートを加えて国としても取り入れていくことを検討していただけたらなと。その辺について言及していただけたらと思います。
 私のほうからは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 先ほど木澤委員から目標としてグッドデスという話が出ていたと思うのですけれども、実際に先ほどの社会保障制度改革推進法の翌年に社会保障制度国民会議から報告書が上がっておりますが、その中の「社会保障4分野の改革」というところの「医療の在り方」という項目の中に、「死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた『QOD(クォリティ・オブ・デス)を高める医療』も入ってこよう」という表現で、指摘をされているので、どういうふうな位置づけをしていくかということはあるかと思いますが、既にそういったものが平成24年に指摘されているということを踏まえてぜひ考えてほしいということです。
 それから、先ほど前田委員から2万人の声を集めているのだという御指摘がありましたが、実際にがんサバイバーというのは300万とか350万いらっしゃると推計されているかと思います。その中の2万人というのは、声を上げられる人の声です。声を上げられない声というのがまだ300万人以上あるということなので、そういった声をどうやって吸い上げていくのかということが必要であろうと思います。全がん連の中に2万人の患者さんたちが登録されているということだけではなくて、それ以外にもたくさんの患者団体が地域で活躍されていて、そういった団体が一同に集約するようなものが患者・市民参画の中で検討できれば、350万人まで全部聞き取れるかどうか分かりませんけれども、より多くの人の声を吸い上げることができて、さらには亡くなった方たちの声なき声というものも吸い上げるような装置になっていくのではないかと感じています。ぜひそういった視点で基盤を整備するというところの中にある患者・市民参画に関してもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それから、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 非常に各論的なところですが、先ほどの緩和ケア、あるいは新たに緩和医療と言ってもいいのでしょうけれども、「がん医療提供」のところと「充実」のところと「共生」のところに分かれているのは分かりにくいのと同じように、小児・AYA世代と高齢者のところが2か所に書かれていますので、ここの立てつけは、先ほどの議論と同じように、うまく整理していただくといいと思っております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 阿久津委員、いかがでしょうか。
○阿久津委員 すみません。追加のような感じで大変恐縮でございます。多分この会議の意味するところというのは、これまであまり進んでいなかったものをどうやって患者の声や医療者の声などを用いて前に進めるかというところが一番大事で、世の中に隠れていた問題が明らかになって、それが解決していくというところに意味があり、第1期、第2期、第3期の皆様が頑張られてつくられた上に今の我々があるのではないのかなと感じておりまして、そういうところで言いますと、世の中でまだまだ話しづらい終末期とか再発した後のケアというところを、今回より強調して、よい死に方と。先ほどおっしゃっていましたけれども、そういったところをきちんと明記して、そういうところまで含めて国はサポートしていきますよ、国民の皆さんと一緒にありますよということ。がんを知って、がんと共に生き、つながる、つなげる社会みたいなところを押し出していくような形にするために、先ほどの「検診」のときの組織型検診とかもそうですが、今回の書きぶりの中でそこを重点的に持ち上げていくという形で特徴づけていくということが、書きぶりになるのかもしれないのですが、大事なことなのではないかなと思っております。
 一意見でございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 先ほど来緩和ケアのことがどこにどういうふうな書きぶりでということを伺っていて、非常に難しいなと思って聞いていて、ちょっと黙っていたのですけれども、これに関しましては、36、37ページの「高齢者について」の「取り組むべき施策」ということで、「拠点病院等は、高齢のがん患者への支援を充実させるため、地域の医療機関」云々というところがあるのですが、ここはまさに地域包括ケアかなと思っていまして、一方で、骨太の方針2022にも「かかりつけ医機能の制度整備に努める」という文言が入っていたように、これから地域包括ケアを基盤としたかかりつけ医機能を有する地域の医療機関というところをしっかりとこちらに書き込んでいただいたほうが、漠然とした地域の医療機関というよりは、より明確なメッセージになるのではないかなと感じながら伺っておりました。
 また、その次のセンテンスでも「地域における療養の在り方、再発・二次がん・併存疾患のフォローアップ体制」、ここら辺も地域のかかりつけ医をしっかり持っていただいて、そのかかりつけ医が一つのかかりつけ医機能として高齢者の方、あるいはそのフォローアップにしっかりと中心的に働いていく。あるいはACPの立て方、あるいはACPを立てるときの相談相手としてもかかりつけ医がそこに支援していく。そういったところを少し明確化していただけると、我々としても今後かかりつけ医機能ということで、その充実に努めていけるのではないかなと思いまして、また、患者さんあるいは患者さんの家族にとってもより明確なメッセージになるのではないかなと思いまして発言させていただきました。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 一旦まとめます。谷島委員からは中間指標のこと。これは後日ディスカッションする機会があると思います。大井委員からは多くの患者さんの声を生かすようなPPIをやってほしいと。石岡先生からは小児・AYAと高齢者の位置づけ。この場所は「医療」なのか「共生」なのかというところです。阿久津委員からは終末期のことです。黒瀨委員からは地域とかかりつけ医という点を御指摘いただきました。
 事務局のほうから追加することは。よろしいですか。
○原澤がん対策推進官 はい。
○土岐会長 それでは、大賀委員、どうぞ。
○大賀委員 ありがとうございます。
 先ほど黒瀨委員のほうから36ページから37ページ、高齢者のことについて発言がありましたが、36ページの小児・AYA世代の「取り組むべき施策」のところで、これの1つ前に「独自の支援を行っている地方公共団体も複数存在しているが、その実態については明らかでない」ということで、「取り組むべき施策」の2つ目のところで「切れ目ない支援体制が構築できるよう」とあるのですけれども、整合性を求めて、ここに「支援体制が地域に応じた形で構築できるよう」という文言を入れていただければと思いました。それは先ほどの黒瀨委員の地域というところと医療資源が少ないということを考えると、これは重要なことではないかなと思います。これは希少がんに関しても言えることではないかなと思います。
 2つ目は、「取り組むべき施策」の2つ目が「検討する」になっていまして、4つ目も「検討する」になっていますけれども、これだともう一歩進めたいなと。進めてほしいなと。そういう文言がいただければというふうな思いがしました。
 以上でございます。
○土岐会長 「検討する」については、後ほど事務局のほうでよく考えていただきたいと思っております。
 そして、「地域と連携して」という文言をここに加えていきたいということで、こちらのほうもぜひ検討させていただきたいと思います。
 ほか。次に行ってよろしいでしょうか。
 それでは、「基盤の整備」につきまして御意見を頂戴したいと思います。38ページから後ろになっております。石岡委員、先ほど基盤のこと。どうぞ。
○石岡委員 人材育成について申し上げます。文章には人材が不足し、さらに病院間、地域間格差の要因と書いていますが、その関係が不明瞭で、私は、「人材が不足し、がん医療を担う人材育成に病院間、医療機関格差が生じ、そのため、提供される医療の病院間、地域間格差の要因になっている」というふうにより問題、課題を明確にしたほうがいいのではないかと思います。これは事前意見のところにテキストで書いております。
 それから、デジタル化の推進のところに、今、書かれている中にも包括される可能性がありますが、我々医療提供者にとって今、非常に大きな課題になっているのはオンライン診療ですので、「オンライン診療」という用語を入れていただきたいなと思います。
 もう一点、38ページに「関連学際領域」という言葉が書かれています。これは私が中間評価報告書で「がん関連学際領域」という言葉を提案して入れていただいたのですが、具体的にこれは何のことを言っているのか、見た方は分からないと思います。あのときは腫瘍循環器学や腫瘍腎臓病学などということをたしか言ったと思いますので、具体的にどういうことを指すのかという注釈をどこかに入れる必要があると思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 幾つかの点を御指摘いただきました。
 阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 私は、「がん教育及びがんに関する知識の普及啓発」、42ページでございます。最初はお子さんから始まって、がん教育というのは全然異論はございませんし、今までもずっと進んできているということでございますが、それ以外に、がんの知識、啓発普及だけではなくて、どうやってがんとともに生きていくのかも含めて、先ほど来も出ていましたが、その合間の人たち、大学生、そして大人、我々も含めて。我々の上の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、大人のがん教育に当たるような項目をぜひ入れていただけないものかと思っております。
 がん検診のほうは、知識の啓発、知識の啓発とすごく重要視されていくのですけれども、いざがんとなった後にどうしたらいいのかという知識を教える機会は全くないという状態になっていて、それががん患者さんの不安にもつながり、たくさんのパンフレットが医療の業者とかいろんなところから出ていて、がんと診断された後にパンフレットをもらうことはあるかもしれないですが、それより前に知っておくということが大事だったりしますので、その辺りの仕組みというものを研究、検討するというような文言も含めて、大人のがん教育についての言及をぜひ加えていただきたいなと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 貴重な点でございます。
 それでは、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 今の阿久津委員の御指摘と同じような指摘になります。45ページ「患者・市民参画の推進」でも「参画する患者・市民への啓発」という言葉を使っているのですが、使い勝手がいいから「啓発」なのでしょうけれども、人材の育成、いろいろな医療者の育成というところで記載されているのと同じように、法制度を含めて学んでいくような場という意味合いもあると思います。単に「啓発」と言ってしまうと、国民を意識啓発するという問題と育成していくという問題と両側面があると思います。その辺の書きぶりを、社会の中で資する人材育成をつくっていくのだというニュアンスで書き込んでいただきたいということと、ぜひ社会的に透明な、そういった参画ができる民主主義の社会にあるのだということが分かるような表現にしていただけたらなと思っています。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほか。中釜委員、いかがでしょうか。
○中釜委員 中釜です。
 先ほどのデジタル化に関して、石岡委員からオンライン診療の話があったかと思うのですけれども、加えて、診療だけではなくて、外来のフォローアップや、例えば治験参加においてもオンラインを使ったeConsentの活用など、様々なことへの活用の必要性がこれから出てくると思うので、診療及び医師主導治験等に参加しやすい環境、eConsentなどを活用するということを書き入れてはどうかなと思いました。
 デジタル化を推進していく中で顕在化した課題として、今回の新型コロナウイルスの感染や災害時、リアルタイムの医療の受療状況などは現状ではなかなか把握しがたいという問題もあったと思います。例えば院内がん登録や全国がん登録というのは、そのデータが出るのに少し時間がかかります。現状の把握には適していないということから、例えば現在の院内がん登録の精度をできるだけスピーディーに現状把握ができるような体制の構築も必要ではないかと思います。恐らく次の4期では実現可能な範囲ではないかと思うので、そこも書き入れてはどうかなと思いました。
 私からは以上です。
○土岐会長 それでは、一旦切りまして、がん教育の話ですね。特に成人。さらに大井委員は、それを発展して育成。がん教育のみならず、PPIに参画できるような人材を育成しなければいけないと。石岡委員からはオンライン診療と人材育成の問題を指摘いただきました。あと、学際についても注釈を入れていただきたいと。中釜委員からはデジタル化の促進の話と、がん登録のデータをもっとリアルタイム。がん登録ならず、いろんなデータをリアルタイムに利活用できるようにならないかという御指摘でございました。
 事務局のほうから何か追加はございますか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御意見等ありがとうございます。
 補足といいましょうか、御紹介ですが、教育の文脈及び大井委員から御発言いただいた患者・市民参画の文脈と関連してくると思うのですが、全体の議論にあまり出てこないセクションで、47ページ目「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」の一つに、3ポツで「がん患者を含めた国民の努力」という記載があります。もともと従前の計画からこの項目自体は存在しているところでございますが、ここの中で「以下の点についても努力していくことが望まれる」という書き方で、3つ目のポツで「患者本位のがん対策を推進するため、がん患者を含めた国民は……議論に参画するなど……重要性を認識し、行動するよう努めること」ですとか、真ん中のポツで「病態や治療内容等について、理解するよう努めること」といった形で、患者さんを含めた国民の皆さんにお願いしたいことも併せて記載されていたりします。こういったところもあるので、この辺りも含めてどこにどういう記載を持ってくるのかとか、どういう考え方を整理して埋め込んでいくのかといったところについて、もし追加の御発言等があればいただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 ほか。大井委員、追加がございますでしょうか。
○大井委員 今の事務局からの情報提供ですけれども、結局、これを見ていく人間にとって、ここに書いてありますということは分からないのです。言われてみて、ああ、なるほど、これはこういうふうに読めるかもしれないという気づきが生まれてくるので、どんな人たちも読んでいって分かるような形に文章を構成していく、全体を構成していく、シェイプしていくという形に取り組んでいただきたいと思います。
○土岐会長 注意してそのようにしていきたいと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。
 そのほか、全般を通じてこれを言い忘れたとか。石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 全般的といいますか、非常に基本的なところで大事なところを厚労に確認したいと思います。冒頭で健康日本21とこのがん対策推進基本計画、すり合わせのところですが、私は何度もこれはがん対策基本法なのだからインディペンデントだと言っているのにもかかわらず、厚労側のほうはすり合わせると言っている。法的根拠を示してほしいのです。その際、資料2を皆さんに情報で出してほしいのです。私の理解では、がん対策基本法というのは、ほかの法律には縛られていないと思います。それは第二章をみれば一目瞭然。
 共有で出してほしいのです。参考資料2です。土岐先生、もしお許しいただければ。
○土岐会長 参考資料2のほうですが。
○石岡委員 参考資料2、がん対策基本法の2のところです。3ページのところです。
(参考資料2を画面共有)
○石岡委員 ここです。第十条にがん対策基本計画を定義しています。ずっと行って下から4分の1ぐらいのところに「都道府県がん対策推進計画」が出てきます。これは宮城県あるいは島根県のものです。がん対策推進基本計画のところには、ほかの健康増進法とすり合わせろということはどこにも書いていないのです。一方、都道府県がん対策推進計画のところは、2のところを見ていただくと分かるのですけれども、「都道府県がん対策推進計画は、医療法に規定する医療計画、健康増進法の規定する都道府県健康増進計画、介護保険法に規定する都道府県介護保険事業支援計画その他の法令の規定による計画であってがん対策に関連する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない」となっています。
 ですから、がん対策推進基本計画は法律で、基本的にはインディペンデントです。これは前から私が何回も言っています。都道府県のがん対策計画というのは、そのすぐ下のものではなくて、下なのですけれどもほかの健康増進法や介護保険法にも縛られているのです。ですから、調和を取ることをしなければいけないのは、都道府県の役割であって、国の基本計画が別な法律で定められている健康増進法と調和を取る必要性というのは法的には全くないのです。この辺についての厚労の見解を教えてください。僕はこのことを何回も言っているのですが、明快な答えは1回も聞いたことがないです。土岐先生、厚労に質問していただけないでしょうか。
○土岐会長 了解しました。
 では、事務局のほうからいかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。
 資料1-1に関連する議論の中でお答えしたことにまた戻ってしまうのですが、石岡委員がおっしゃっていただいているように、国で定める基本計画を切り出してみた場合に、おっしゃっていただいたような規定が存在しないというのは、私のほうで法律の文言を今、全て一から十まで確認できているわけではないので、後ほど確認をさせていただきますが、ないというのは事実なのだろうと思います。
 他方で、おっしゃっていただいたように、この基本計画に基づいて都道府県において定めていただく都道府県がん対策推進計画においては調和を保つべきということが記載されているというのも事実でございます。
 都道府県において調和を取るべきということが分かっている上で、国として調和を取るべき計画とは異なる目標を定めるということについてはどうなのかということは、併せて事務局としては整理しなければならないという観点で、先ほどお答えしたとおり、都道府県において整合を取って、混乱が生じないような取組を進めるという観点もあって、そこは足並みをそろえていく必要があるのではないかと考えています。
 その上で、冒頭大井委員から御発言がございましたように、健康日本21の目標設定がどうなるのかということが見えていない時点で、ここについてどのように設定されるのかというのは、議論がし切れない部分はございますが、そちらでより厳しいというか、より高い目標設定をしていくという議論はあり得ると思っています。
 そちらについては、これも繰り返し申し上げているところでございますが、がん対策のみに関わってくる要素では、たばこ対策、喫煙率の低減という取組についてはがんに限ってのものではございませんので、そこはより横断的なところで議論をしていただいている、健康日本21に関連する議論の場においてしっかりと御議論いただいていると理解しております。
 石岡委員からの御指摘については、多分これでも不十分とおっしゃるのだとは思いますが、以上でございます。
○石岡委員 不十分です。ほとんど答えになっていないと思います。
○土岐会長 都道府県において混乱を来すのも大きな問題であると考えているということでございますが。石岡委員、そういう形で進めているところでございます。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 今の議論でいきますと、国の制度の中で整合性を取っていくのだということになれば、就労であったり、教育であったり、そういったこともそういうことになってきますね。就労の問題というのは、がんだけではなくて、障者の方人たちや難病の方人たちやそれ以外の疾患の方たちも課題を抱えているわけで、そうすると、がんだけで議論しているというのはいかがなものかという議論になりますし、教育のことに関しても同じように、がんだけが病気ではなくて、いろんな病気が存在するのだということになると、あちらとこちらは整合性を取なければいけないのですという議論になってしまうと、では、ここは独自にやっていいのですかというロジックに立ってしまうと思うのです。
この計画はがんを中心に見ていくのか、国民全体を見て医療全体をどう変えていくのかということに関して方向性が見えていないので、こう言えば、これはこうなのですという話になってしまうと、今の考え方でいくと、では、がんの就労とかがんの教育というものはどうなってしまうのですかという質問は、そこから生まれてきてしまうと思うのです。
石岡委員がおっしゃるように、これはがんで、インディペンデントだということであれば、それはそれで独自にやるべきだし、より高いところに合わせていくということが推進していくために必要な目標なのだと思うのです。別にそれは達成できるかどうかではなくて、目標なので、掲げる目標はどちらが高いか知りませんけれども、整合性を取るという意味で考えたときに、我々がその議論の中には入れないし、その議論の計画を今、聞くことができないということの中で、あちらに合わせなければいけないのですというのは、どうも納得いかないところだなと聞いていました。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今の御指摘についても理解できるところは十分にございますし、御指摘の点はごもっともかと思います。他方で、今、申し上げているのは、大井委員からおっしゃっていただいたがん患者に対する教育をどうするかというものについては、対象となる方ががんと切り取られた、ある程度フォーカスされた対象についての議論を一定できるという点で、先ほど来申し上げている国民全体に対する取組とは異なっている要素があって、そういった部分で切り取られた方とか議論をフォーカスして進める方法があるというところで若干異なる点があって、これは個別に論点を出し切ると切りがない部分はありますが、そういった点では若干違う切り口なのではないかというふうにも思います。
 また手を挙げていただいているようなので、追加があればお願いします。
○大井委員 今日のこの会が始まってくるときに、生活習慣の議論の中で出てきたと思うのです。そうすると、今の話で言うと、がんはがんで切り取って考えるという話になってしまうと、一番初めに生活習慣全体で見ているのだという話をされていたと思うのです。その中のがんだという位置づけで、健康日本21の指標に関して持ってくるのだという話をされていた。でも、今度はそうではなくて、がんはがん患者という形で切り取れるので、これは別個の問題で考えていいのですという話ではなくて、教育と考えたときに、例えば過去要望書で小児がんとか希少がんのところでも書かれていたかと思いますが、学校に行けなくなって、その単位に関してどうするのだという問題のことを指摘されていたことがあったと思います。
 それの問題は、別にがんの患者さんが入院加療して学校に行けないということだけではなくて、ほかの病気でも入院加療して学校に行けない子供はいるわけです。行けないということと教育の機会を奪うということに関しての問題であって、これは憲法上、教育を受ける権利があるわけで、それを保障するのかしないのかという議論になると思うのです。では、がん患者だったらそれをやる、がん患者でなければやらないのかという議論。そんなことは絶対ないと思うのです。
 だとすれば、これは今、お話ししたように切り離せる話ではなくて、同じ土俵のレベルでの問題で、それをこちらのときはこういう都合で切っていくということになってくると、どんどんこの計画が、片方は片方の水準に合って、片方は違う水準に合うということになっていってしまうのではないかなと危惧します。
○石岡委員 土岐先生、発言してもいいですか。
 大井委員は、健康増進法とこちらの健康日本21と合わせたほうがいいという御意見ですか。
○大井委員 合わせるのであれば高い目標にしてほしいということです。
合わせるためには、向こうの議論がないので議論ができないと言っているわけです。もしそうでなければ、石岡委員がおっしゃったように、こちらはこちらで新たな目標を掲げるのであれば、先ほどのがん教育であれ、がんの就労であれ、別にやっていてもそれは別に問題がないという話ではないですかということです。
○石岡委員 土岐先生、発言してもいいですか。
○土岐会長 私はどちらの先生がおっしゃることも分かるのですが、石岡委員がおっしゃることに関しましては、ある程度現場の声、現場中心に考えていくと、ある程度すり合わせが必要かなというふうには考えます。そして、大井先生がおっしゃるように、すりあわせた上で高いほうに合わせていくという形が本当は一番理想的な形ではないかなと思っております。
 教育のところについては、どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 私からの説明が不十分で誤解を招いている点もあろうかと思うので、補足させていただきます。大井委員から御指摘いただいているより領域横断的な議論は当然あってしかるべきで、それは教育全体に係るべき議論があるのだと。それは全ての領域について同じことだと思っていて、がんに対する医療の推進についても、医療提供体制というのは、がんという疾病に限ったものではないので、当然横断的に議論される。それはおっしゃるとおりです。それはそれについての議論の場があって、医療計画の議論の場であったり、介護であれば介護保険事業計画みたいな別の議論の場が存在しているという理解でございます。
 そこは双方向性に意見であったり、議論の内容が共有されてしかるべきであるということはおっしゃるとおりで、先ほど健康課のほうから申し上げたことは、ここでの議論の内容も踏まえて、向こうの健康日本21に関する議論の場においてきちんと議論するというふうに発言があったと私としては理解しておりますので、大井委員がおっしゃるように、完全にこちらと向こうの交通が遮断されているわけではないです。
 他方で、議論の順序や、検討の順序立てというのが十分にでき切っていないのではないかという御指摘については、事務局としてはそういうことはあると思っておりますので、そこは十分にこちらとして処し切れていない部分があるというのは理解しております。そこは全体の計画の策定スケジュール等との関係があって、完全には対応し切れていない部分があるという点については理解をしていますが、そこは何とぞ御理解をいただきたいというところと、可能な範囲で今のような形で、こちらで出ている議論についても他の検討の場においてもきちんと共有させていただいて、それを踏まえて御議論いただくということだと思っています。
 教育についても同じで、がんという領域から切り出されて見えてきた論点について、より横断的に別の議論の場において、では、ほかの疾病も含めて横断的にどうなのかという議論は当然あり得ると思いますし、それは関連する所管部局等にこの場に来ていただいて御説明いただいたり、議論に加わっていただいているのにもそういった効果を当然念頭に置いて実施していただいていると理解しております。
 十分な回答ではないかと思いますが、補足としては以上でございます。
○土岐会長 大井委員、まだございますか。
○大井委員 すみません。そうしますと、今の説明からいくと、がんという領域が非常に先行していて、課題を解決するためのこれからの議論、ほかの横断的な領域の先行する事例になるような形で動いているのだという説明だと思うのですけれども、先ほど石岡委員がおっしゃったように、これが独自に走っていくということに関して問題がないという理解ですか。
○土岐会長 いかがでしょう。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それはゼロイチの話ではないと思っておりまして、がん対策基本法におきましても、基本理念第二条の第六項において「保健、福祉、雇用、教育その他の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に実施されること」ということもございます。こういったところで連携について完全に遮断してよいということではないと理解しておりますので、そこはある程度の整合を持っていくということは視野に入れておくべきだと思っております。そういう意味で、全ての国民に対する目標を掲げるという観点で、がんになる患者が予測できないので、先ほど来委員の皆様方に御議論いただいているように、「患者本位」という切り出し方すら難しく、今後は「国民本位」であるべきではないかという御意見もございましたとおり、国民に対して予防のメッセージを打ち出していくという文脈の中で、健康日本21で掲げているものとがん対策で掲げているものが全く違う目標になることについては、こういった有機的に連携していくという文脈でも問題、課題があるのではないかと理解しているということでございます。
○土岐会長 時間も来ましたので、この件についてはまた別の機会で話し合っていきたいと思っております。言えるのは、この委員会として、すり合わせは事務局のほうがプロなので、我々は我々のできる範囲で取りあえずは案をつくって頑張っていくということになるのだと思います。
 大分時間も押しましたので、本日の議事は以上としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局のほうに進行をお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 本日は大変活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。
 次回以降の日程につきましては、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線2066)