2022年6月22日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

日時

令和4年6月22日(水)13:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)五十音順
行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、令和4年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会を開会いたします。本日、御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてどうもありがとうございます。
 本日の部会の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、YouTubeによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。また、今回もWeb開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。前回と同様ではありますが、議事に先立ちまして、審議の進行方法等について事務局より説明をさせていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問いただく際は、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。御発言のタイミングが重なったりした場合は、部会長から順に発言者を御指名いただきます。会議中にマイクの調子が悪かった場合などは、音声の代わりにメッセージに御記入いただくようお願いする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。また、もし、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合にも、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。事務局からは以上になります。
 それでは、以降の議事進行は岡部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○岡部会長 よろしくお願いします。議事に入る前に、委員の出欠状況、審議への参加等について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。小宮根委員、佐藤薫委員、多賀谷委員、戸部委員、舟久保委員、脇田委員より御欠席との御連絡を頂いております。本部会の委員25名中、現時点で19名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、伊藤委員より、14時前に御退席、柿崎委員より、14時前後の30分ほど一時御離席されるとの御連絡を頂いております。
 また、委員の交代がございましたので、今回の部会より委員として御参画いただくことになりました先生を御紹介いたします。群馬大学大学院医学系研究科教授でいらっしゃった小松康宏委員が御退任され、東京医科大学茨城医療センター総合診療科教授の小林大輝委員が御着任されました。小松先生にはこの場を借りて、これまでの御議論において貴重な御意見を頂きましたことにつき御礼を申し上げます。小林先生からは、一言御挨拶をお願いできますでしょうか。
○小林委員 御紹介ありがとうございます。東京医科大学茨城医療センターの総合診療科の小林と申します。何分、不慣れな点で皆様に御迷惑をお掛けするかと思いますが、一生懸命させていただきますので、どうぞ御指導をよろしくお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。続いて、議事参加について御報告をいたします。本日、御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金、契約金などの受取状況を御報告いたします。本日の議題に関して、対象品目、競合品目の製造販売業者については、事前にリストを各委員にお送りして確認を頂いております。石井委員より、バイエル薬品株式会社と大正製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、舟越委員より、バイエル薬品株式会社より50万円以下のお受け取り、斎藤委員より、大正製薬株式会社より50万円を超えて500万以下のお受け取り、清水委員より、バイエル薬品株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取りと御申告を頂いております。斎藤委員、清水委員におかれましては、議題1の審議中、御意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わることができます。なお、これらの御申告についてはホームページで公表させていただきます。
 最後に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条には「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員より適合している旨を御申告いただいております。報告は以上になります。
○岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明について、何か御意見や御質問等はありますか。よろしいでしょうか。
 続いて、事務局から配付資料についての御説明をお願いいたします。
○事務局 資料はあらかじめメールにてお送りさせていただいておりますが、議題1に関して資料1-1~1-4、議題2に関して資料2-1~2-6、議題3に関して資料3-1~3-7、議題4に関して資料4-1と4-2、議題5に関して資料5-1と5-2がございます。このほかに議事次第・資料一覧、委員名簿、参考資料として、薬効分類表と競合品目・競合企業リストをお送りしております。お手元に御用意のない方がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせください。以上になります。
○岡部会長 それでは、議題1「一般用医薬品のリスク区分について」に入ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料1-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第1類医薬品に分類されており、この度、製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品として第1類医薬品から第3類医薬品のいずれの区分とするかの検討をお願いするものです。
 まず、一般用医薬品のリスク区分の変更手順について御説明いたします。2ページの「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」を御覧ください。手順としては、3.(1)として、安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ、関係学会等の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は、変更案についてパブリックコメントを行います。
 (2)として、安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果等について、医薬品等安全対策部会で調査審議を行い、リスク区分の変更の要否について答申を得るといった手続をすることになっており、本日は、(2)の位置付けです。
 なお、本日御審議いただく品目に関しては、令和4年4月26日に開催された安全対策調査会で事前整理を行い、パブリックコメントを実施しています。パブリックコメントの結果は、後ほど御説明をいたします。
 続いて、一般用医薬品のリスク区分を御説明いたします。6ページを御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、又は新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務があります。
 第2類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品で、第1類医薬品を除くものであって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。
 第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされており、販売は第2類医薬品と同様、薬剤師又は登録販売者により行われ、情報提供についても努力義務ですが、薬局開設者等は、情報提供をするための設備から7m以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置を採ることとされております。
 第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売されます。
 リスク区分の変更手順についての説明は以上です。
 クロトリマゾールについての説明をいたします。資料1-2を御覧ください。販売名は「エンペシドLクリーム」です。「デリーザLクリーム」は販売されておらず、令和4年6月3日に承認整理されましたので、以降については「エンペシドLクリーム」に関する報告内容になります。
 効能・効果は、腟カンジダの再発による発疹を伴う外陰部のかゆみで、過去に医師の診断・治療を受けた方に限るとされています。また、腟症状を伴う場合は、必ず腟剤を併用することとなっております。用法・用量は、15歳以上60歳未満の成人に、1日2~3回適量を患部に塗布するものです。
 同じページの下、製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数1,033症例で、副作用が1例3件でした。いずれも既知の副作用で、このうち重篤と判断された症例はありませんでした。内容としては、6ページの報告書(1)に記載がありますが、適用部位の紅斑、疼痛、そう痒感です。使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用は1例4件でした。このうち、未知の副作用は投与部位の疼痛、腫脹、刺激感であり、重篤と判断された症例はありませんでした。
 続いて、安全対策調査会での審議の概要を御説明いたします。2ページを御覧ください。調査会は、産科婦人科の専門家の参加の下で審議を行い、参考人からは、本剤について、副作用として重篤なものは報告されていないが、注意すべきものは報告されており、第1類である類薬と同等であるとの意見が出ました。参考人の意見も踏まえ、調査会の結論としては、本剤に関しては、類薬であるイソコナゾール硝酸塩やミコナゾール硝酸塩との整合性の観点から、第1類医薬品とすることが妥当とされました。
 パブリックコメントに寄せられた御意見は、資料1-4を御覧ください。今回、1通の御意見がございました。2ページに御意見の内容及び回答案を記載していますので、こちらも踏まえ、御審議のほど、よろしくお願いいたします。御説明は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明あるいはパブリックコメントに対して、御意見、御質問等はありますでしょうか、よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。そうしましたら、事前に資料もお配りしておりますので、特に御意見がないということで進めさせていただこうと思います。
 それでは、クロトリマゾールのリスク区分について、議決に移りたいと思います。斎藤委員と清水委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への御参加の御遠慮をお願い申し上げます。特に皆様の御意見がないようですと、調査会の提案どおり、クロトリマゾールについては第1類医薬品とすることでよろしいでしょうか。皆様、よろしいですか。
 お認めいただいたということで、御異議なしとさせていただきます。ありがとうございました。それでは、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。御審議いただいた結果に基づき、リスク区分の変更に係る手続を進めさせていただきます。
○岡部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題2に移ります。議題2「医薬品等の市販後安全対策について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1「令和3年度の安全対策について」を御説明いたします。
 1ページ「1.過去5年間(平成29年度~令和3年度)の副作用等の報告数の推移」を御覧ください。副作用等については、医薬品医療機器等法第68条の10第1項の規定により、製造販売業者は医薬品等の副作用による疾病の発生等を知ったときには報告することが義務づけられています。また、医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者についても、同条第2項の規定により、医薬関係者が保健衛生上の危害の発生・拡大を防止するために必要があると認めるときは、副作用等を報告することが義務づけられています。この制度に基づき報告された、過去5年間の副作用等の報告数を示しています。
 (1)では、医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品を含む医薬品の国内副作用等報告について示しています。令和3年度の製造販売業者からの副作用報告は8万2,257件、医薬関係者からの副作用報告は4万374件でした。製造販売業者からの副作用報告、医薬関係者からの副作用報告のいずれについても、前年度と比較して約3万件の増加となりました。新型コロナワクチンに係る報告が、製造販売業者からの副作用報告のうち約2万件、医薬関係者からの副作用報告のうち約3万件を占めています。また、(2)では平成26年11月より報告の対象となったコンビネーション医薬品の不具合報告、(3)では平成26年4月より報告の対象となった医薬部外品・化粧品の報告について、件数を示しています。
 2ページ「2.安全対策上の措置数の推移」を御覧ください。過去5年間の、厚生労働省が行った使用上の注意改訂指示等、安全対策上の措置数の推移を示しています。一番下の「承認の取消、効能・効果の制限、用法・用量の制限」について、令和3年度は合計12件でした。12件はいずれも小林化工株式会社の品目であり、承認申請資料に虚偽の記載等が確認されたことを受け、医薬品医療機器等法第74条の2第3項第2号の規定に基づき、承認取消処分が行われたものです。
 3ページ「3.令和3年度の安全対策について」を御覧ください。(1)には令和3年度の当部会の開催結果概要を、(2)に安全対策調査会の開催結果概要を示しています。11ページの(3)には、当課が刊行している「医薬品・医療機器等安全性情報」に掲載した記事を示しています。
 続いて、13ページを御覧ください。機構のホームページに掲載している過去5年間の副作用報告の公表数を示しています。14ページから27ページには、機構のホームページに公表した副作用報告のうち、因果関係が不明なものも含め、公表した全ての死亡症例のラインリストを、また28ページ以降に、因果関係が否定できないと評価された死亡症例のラインリストを示しています。資料2-1については以上です。
 続いて、資料2-2「医薬品の使用上の注意の改訂について」を御説明いたします。令和4年3月に開催されました令和3年度第3回医薬品等安全対策部会終了後から本日までの間に、改訂指示通知を発出した品目の一覧を示しています。資料には、改訂内容、改訂理由、直近3年度の国内外の副作用症例の集積状況をまとめています。これらの使用上の注意の改訂につきましては、本部会の先生方に御確認いただいたものであり、また、改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページと「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載しています。No.22-16、コミナティ筋注、コミナティ筋注5~11歳用、スパイクバックス筋注につきましては、資料2-4にて詳細を示しています。資料2-2については以上です。
○医薬品医療機器総合機構 続きまして「MID-NET及びNDBの行政利活用の調査実施状況について」御説明いたします。タブレットの資料2-3の1ページを御覧ください。今年3月の本部会以降に調査結果を公表した案件は2件ございます。一つ目は「MID-NETを用いた抗精神病薬処方患者における消化管障害発現に関するデータベース調査」です。もう一つは「バイオ後続品の安全性評価へのMID-NET利用可能性の検討」というものです。結果の概要についてはそれ以降のページに示していますけれども、時間の都合上、案件の詳細については割愛させていただきます。資料2-3は以上です。
○事務局 続きまして、「ワクチンの安全性に関する評価について」御説明させていただきます。資料2-4を御覧ください。
 令和4年3月18日、4月13日、5月13日及び6月10日に開催された、安全対策調査会と厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会との合同部会におきまして、ワクチンの安全性について評価を頂きました。
 1ページは、新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等です。コミナティ筋注の令和3年2月17日から令和4年5月15日までの報告状況、コミナティ筋注5~11歳用の令和4年2月21日から令和4年5月15日までの報告状況、スパイクバックス筋注の令和3年5月22日から令和4年5月15日までの報告状況、及びバキスゼブリア筋注の令和3年8月3日から令和4年5月15日までの報告状況は、表1に示しています。ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと評価されています。
 続いて、アナフィラキシーの評価についてです。コミナティ筋注について、令和4年5月15日までに製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして3,254件の報告があり、うち616件がブライトン分類1~3に該当すると評価されました。コミナティ筋注5~11歳用につきましては、製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして6件の報告があり、うち1件がブライトン分類1~3に該当すると評価されています。スパイクバックス筋注につきましては、製造販売業者よりアナフィラキシー疑いとして561件の報告があり、65件がブライトン分類1~3に該当すると評価されています。バキスゼブリア筋注については、製造販売業者からアナフィラキシーとして6件の報告がありましたが、いずれも専門家評価によりブライトン分類1~3に該当すると評価されたものはありませんでした。
 2ページの血小板減少に伴う血栓症・血栓塞栓症についてです。コミナティ筋注につきましては、令和3年8月3日から令和4年5月15日までに製造販売業者より54件の報告があり、うち18件がブライトン分類1~3に該当すると評価されましたが、専門家による因果関係評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。コミナティ筋注5~11歳用につきましては、疑い事例の報告はございませんでした。スパイクバックス筋注につきましては、令和3年8月3日より製造販売業者から11件の報告があり、うち4件がブライトン分類1~3に該当すると評価されましたが、因果関係評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。バキスゼブリア筋注につきましては、製造販売業者から2件の報告があり、うち2件がブライトン分類1~3に該当し、2件については専門家による因果関係評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」と評価されました。
 続いて、心筋炎及び心膜炎についてです。コミナティ筋注について、令和3年12月6日から令和4年5月15日までに製造販売業者より心筋炎疑いとして167件、心膜炎疑いとして59件の報告がありました。専門家による評価では、心筋炎疑いで49件、心膜炎疑いで27件が、ブライトン分類1~3に該当すると評価され、うち「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例は、心筋炎、心膜炎ともにありませんでした。コミナティ筋注5~11歳用につきましては、令和4年2月21日より製造販売業者から心筋炎疑いとして5件、心膜炎疑いとして2件の報告がありました。専門家による評価では、心膜炎疑いの事例で1件がブライトン分類1~3に該当すると評価され、うち「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例は、どちらもともにありませんでした。スパイクバックス筋注につきましては、令和3年12月6日より心筋炎疑いとして89件、心膜炎疑いとして22件報告がございました。専門家による評価では、心筋炎疑い事例で36件、心膜炎疑いで13件が、ブライトン分類1~3に該当すると評価され、うち「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例は、両方ともございませんでした。バキスゼブリア筋注に関しましては、令和3年12月6日より、心筋炎関連事象疑いとしての報告はありませんでした。
 続いて、死亡症例の報告についてです。コミナティ筋注について、令和3年2月17日から令和4年5月15日までにワクチン接種後の死亡事例として1,575件、コミナティ筋注5~11歳用につきましては、令和4年2月21日より令和4年5月15日までにワクチン接種後の死亡事例として1件、スパイクバックス筋注につきましては、令和3年5月22日より令和4年5月15日までにワクチン接種後の死亡事例として149件、バキスゼブリア筋注につきましては、令和3年8月3日より令和4年5月15日までにワクチン接種後の死亡事例として1件の報告がありました。いずれも、専門家による評価により「ワクチンとの因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。
 3ページの2は、令和4年5月13日の合同部会の報告になります。新規に接種が開始される新型コロナワクチンであるヌバキソビッド筋注の副反応疑い報告基準について、現時点において臨時接種の対象となっている全ての新型コロナワクチンと同様に、アナフィラキシー、血小板減少を伴う血栓症、心筋炎、心膜炎、その他の反応を副反応疑い報告基準として扱うことが副反応検討部会委員によって議決されました。
 3ページの3は、令和4年6月10日の合同部会の報告になります。別添1にありますとおり、新型コロナワクチン接種後のギラン・バレー症候群につきまして、集団としての解析では疾患とワクチンの因果関係は明らかではなく、海外でも注意喚起は行われていない状況ではありますが、国内における副反応疑い事例の報告状況を勘案し、別添2のとおり、コミナティ筋注、コミナティ筋注5~11歳用及びスパイクバックス筋注の添付文書を改訂し、「8.重要な基本的注意」の項にて注意喚起を行うこととされました。
 4ページの4からは、新型コロナワクチン以外の各ワクチンの報告状況になります。(1)に記載の各ワクチンについて、令和3年10月から12月末までの報告状況について集計した結果を表2に示しています。これまでと比べて大きな変化はなく、新たな安全対策措置を採る必要はないとされています。5ページの(2)は死亡症例についてです。死亡症例については対象期間に4件報告され、調査中の2例を除き、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。
 5ページの5は、インフルエンザワクチンの報告状況です。令和3年10月1日から令和3年12月31日までの報告状況について集計した結果を表3に示しています。2020/2021シーズンの中間報告と比べて大きな変化はなく、新たな措置を採る必要はないとされています。6ページの(2)は死亡症例についてです。対象期間に6例報告され、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。
 6ページの6は、HPVワクチンの報告状況です。HPVワクチンの安全性につきましては、合同部会の議論に基づき、積極的勧奨の再開直後の6か月の間、合同部会の開催頻度を上げて評価をすることとされています。令和4年4月13日に開催された合同部会においては、令和3年10月1日から令和3年12月31日報告分の副反応疑い報告状況を報告し、評価されました。6月10日に開催された合同部会においては、積極的勧奨再開後の期間を含む令和4年1月1日から令和4年4月30日報告分の副反応疑い報告状況を報告し、評価されています。令和4年1月1日から令和4年4月30日までの報告状況は表4のとおりになります。死亡症例の報告はなく、4月13日の部会、6月10日の部会、いずれの開催回においても、これまでの報告状況と比べて大きな変化はなく、新たな措置を採る必要はないとされています。
 ワクチンの安全性に関する評価については以上になります。
○事務局 資料2-5を御覧ください。4月25日付けで医薬品審査管理課長及び医薬安全対策課長による連名通知「3-アセチル-2,5-ジメチルフランの医薬品、医薬部外品及び化粧品への使用について」を発出していますので、御報告させていただきます。
 資料の2ページを御覧ください。今般、香料物質である「3-アセチル-2,5-ジメチルフラン」について、国立医薬品食品衛生研究所等において実施された試験の結果、本物質は遺伝毒性発がん物質である懸念が否定できないとされました。我が国においては、医薬品、医薬部外品及び化粧品への本物質の使用は確認されていませんが、今回の試験結果等を踏まえて、1.のとおり、医薬品、医薬部外品及び化粧品への「3-アセチル-2,5-ジメチルフラン」の添加物としての使用を自粛することとしました。なお、本物質の食品における取扱いについては、令和4年4月22日付けで、厚生労働省医薬・生活衛生局食品基準審査課長及び食品監視安全課長により、当該香料及びこれを含む食品の製造・販売等の自粛を指導するよう、都道府県等に対して通知が行われたところです。また、日本香料工業会では、既に本物質の使用を中止するよう会員各社に周知が行われています。報告は以上です。
○事務局 資料2-6「レナリドミド製剤の後発品における安全管理方策について」説明いたします。多発性骨髄腫等の治療薬であるレナリドミド製剤は、催奇形性を有する薬剤であることから、胎児への薬剤曝露防止を目的とした厳格な管理手順(レブラミド・ポマリスト適正管理手順(RevMate))の実施が義務づけられています。複数の企業より、後発品を開発したいとの相談を受けたことから、令和3年6月21日の安全対策調査会において、レナリドミド製剤の後発品における安全管理方策について検討いただき、後発品についてもレブラミド・ポマリスト適正管理手順に基づき安全管理を行うことを原則とする。その際、人員等も含め、先発品と同等の安全管理を行う体制を有することを求める。特段の事情等から同管理手順以外の管理手順を用いることを希望する企業が出てきた場合には、その必要性・妥当性も含め、個別に適否を検討することとする。先発品企業と後発品企業との安全管理体制の共有の是非については、個別の後発品企業の判断に委ねるものとする。先発品企業と後発品企業の間の連携の在り方、特にシステム等の安全管理体制を共有する場合の具体的な手順の在り方については、別途検討することとする、との方針で了承され、令和3年7月9日に開催された医薬品等安全対策部会において確認いただいたところです。
 その後、サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会において、令和3年10月より2回にわたり議論いただき、「レナリドミド製剤の後発品における安全管理方策について」として取りまとめられました。内容につきましては、本資料の3ページからの別紙を御参照ください。また、この取りまとめについては、令和3年12月23日から令和4年1月21日までの間、パブリック・コメントにより、広く国民から意見を募集しました。
 以上を踏まえ、令和4年5月24日に開催された安全対策調査会において、この取りまとめに基づくレナリドミド製剤の後発品における安全管理について審議が行われました。
 「2.調査会での検討結果」にあるように、安全対策調査会では主に、後発品企業の信頼が落ちている状況に鑑み、第三者評価委員会による確認と提言を受けながら、医療機関への定期的な訪問や逸脱発生時の対応も含め、各企業において適正な安全管理体制を確保すること、後発品のシェア拡大等によって先発品企業と後発品企業の関係性が変化しても、RevMateセンターの継続的な運用を含め、各社の連携による安全管理体制を維持すること、といった御意見がございました。
 これらの御意見に留意した上で、レナリドミド製剤の安全管理方策について、レナリドミド製剤の後発品における安全管理については、取りまとめをもとに実施する。レブラミド・ポマリスト適正管理手順については、取りまとめを踏まえ、後発品参入に合わせて改訂する。取りまとめについては、今後の後発品の使用実態や安全管理手順の実施状況等を踏まえ、実際の医療現場、企業連携、患者等にとって適切なものとなっているのか、必要に応じて見直しを行う、といった方針で差し支えないと判断されました。事務局からの説明は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。以上、説明いただきました資料2-1~2-6ですけれども、ただいまの御説明に関して何か委員の先生方から御意見、御質問等がございますでしょうか。特にございませんか。よろしいでしょうか。そうしましたら、議題2の報告は以上となります。
 次に進ませていただきます。次は議題3です。「医薬品等の副作用等報告の状況について」ですが、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料3-1を御覧ください。医薬品医療機器等法第68条12の規定に基づき、厚生労働大臣は副作用等の報告状況について薬事・食品衛生審議会に報告することとされておりますので、本資料に基づき御説明いたします。
 今回の報告期間は、令和3年12月1日から令和4年3月31日までです。資料1.には、製造販売業者からの副作用報告と感染症報告の状況を示しています。(1)には国内症例、(2)には外国症例の報告件数を示しており、国内症例については、副作用報告、感染症報告のいずれも前回と比べて減少しております。2万4,347件のうち、約3,000件はコロナワクチンに関する報告であり、コロナワクチン以外の報告は、前回の報告件数と比べると横ばいです。(1)の国内症例の内訳は資料3-2にまとめて示しています。
 (3)には、医薬品たるコンビネーション製品における機械器具等に係る部分の不具合報告件数を示しています。医薬品たるコンビネーション製品とは、インスリンペン注等、機械器具等と一体的に販売するものとして承認を受けた医薬品をいうものであり、例えばインスリンペンのペン部分の故障といった不具合の報告件数を示したものです。医療機器・再生医療等製品安全対策部会への報告件数を再掲していることから、本資料の中で、この箇所のみ報告期間が異なることに御留意ください。この内訳についても、(1)と同じく、資料3-2にまとめて示しています。
 (4)には、外国での新たな措置の報告件数を示しており、前回と比べ微増となっていますが、年単位では横ばいであり、その変動の範囲と理解しております。内容については、資料3-3に示しております。
 (5)には、研究報告の報告件数を示しており、こちらは前回と比べ件数は減少していますが、年単位では横ばいであり、その変動の範囲と理解しています。報告された文献等のリストは、資料3-4に示しています。
 続いて、2.医薬関係者からの報告について御報告いたします。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告とワクチン類の副反応報告とに分けて示しており、これらのうち、重篤症例については、企業若しくは機構が詳細調査を行うこととしていますので、重篤なものの件数、及びそのうち機構が詳細調査を行った報告の件数についても示しています。このうち、ワクチン類の副反応報告及び予防接種後副反応疑い報告の件数は、前回から約5,700件減少していますが、コロナワクチンに係る報告が前回と比較して約5,600件減少したことによると考えられます。ほかのワクチン類の報告件数はほぼ横ばいでした。
 先ほど御説明した製造販売業者からの副作用報告でも同じ傾向が見られておりましたが、これは前回報告期間と比較して、今回報告期間でコロナワクチンの接種数の伸びが鈍化したことが要因の一つと考えられます。なお、機構が詳細調査を行った報告の内訳については、資料3-5にまとめて示しています。
 最後に、3.副作用救済給付又は感染症救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告について、御報告いたします。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付について示しています。なお、その内訳は資料3-6にまとめて示しています。資料3-1~3-6については以上です。
○事務局 続きまして、患者からの医薬品副作用報告の状況について御説明いたします。資料3-7を御覧ください。患者からの医薬品副作用報告の状況については、今回報告分は、令和3年12月1日から令和4年3月31日までの分となります。今回の報告期間中の総受付症例数は464例でした。そのうち、未回復、後遺症がある、又は死亡したと報告された症例は151例でした。464例の内訳として、医療用医薬品を一つでも含む報告は462例であり、要指導・一般用医薬品を一つでも含む報告は3例ありました。全症例の副作用報告の状況は、医療用医薬品については別紙1に、要指導・一般用医薬品については別紙2にそれぞれラインリストを示しております。医療用医薬品について報告された副作用のうち、報告の多い薬効分類は、上からワクチン類、精神神経用剤、催眠鎮静剤・抗不安剤、解熱鎮痛消炎剤でした。資料3-7については以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。事務局からは資料3は以上ですよね。それでは、ただいまの事務局からの御説明に関して、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題3の報告は以上とさせていただきます。
 続いて、議題4「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題4、感染症定期報告について御報告いたします。資料は4-1~4-2になります。
 まず、感染症定期報告について、制度について説明いたします。医薬品医療機器等法に基づく副作用報告においては、製造販売業者からその製造販売をする医薬品によるものと疑われる副作用・感染症を報告することが義務づけられています。他方で、血液製剤やワクチン等の生物由来製品については、その原料はヒトその他の生物に由来するため、細菌、ウイルス等が含まれている可能性が完全には否定できません。また、その感染症自体の性質として、時間の経過に伴い軽減することなく一定期間後に症状が顕在化してくるという可能性もあります。このような性質も踏まえて、生物由来製品については、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、定期的に、製品や原料、材料による感染症に関する報告を行うことを義務づけられており、これが感染症定期報告です。なお、感染症定期報告で寄せられたものについては、本医薬品等安全対策部会のほか、血液事業部会運営委員会においても報告を行っています。以上が感染症定期報告の概要です。
 資料は4-1と4-2がありますが、資料4-2が重複を含む期間中の全ての報告になります。そのうち、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものが資料4-1になります。
 それでは、資料4-1を御覧ください。今回の報告は、令和3年12月1日から令和4年3月31日までに報告されたものをまとめています。詳細な説明は省略いたしますが、今回新たに報告された文献は59件ありました。これらの報告について、国立感染症研究所の脇田委員と宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に事前に御確認いただいております。この場で御紹介するべき御意見は特段頂いておりません。議題4については以上です。
○岡部会長 ありがとうございます。何か、ただいまの御説明について、御意見、御質問等はございますでしょうか。御確認いただけましたでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないとして、進めさせていただきます。
 議題5です。「医薬品等の回収報告の状況について」事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 医薬品等の回収報告の状況について、資料5-1及び資料5-2に基づいて説明します。医薬品医療機器等法第68条の11に基づき、医薬品・医療機器等の製造販売業者等は、その製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等を回収する際には、回収に着手した旨、及びその回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされています。また、製造販売業者等から回収の着手の報告がなされた場合には、全ての事例をインターネット上で公表しています。本件は、医薬品医療機器等法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会に報告を行うものです。
 資料5-1の1ページに、回収件数の年次推移を示しています。令和3年度に関しては、医薬品が496件、医薬部外品が18件、化粧品が77件、医療機器及び再生医療等製品との合計は942件となっています。昨年度は、一昨年度に引き続き医薬品の回収件数が増加していますが、後発品メーカーを中心に不祥事が続き、各社で自主点検の結果発生した自主回収が続いたことと、新型コロナウイルス感染症の流行によりロットを構成しない血液製剤の回収が増加したことも影響したと考えられます。
 また、2ページに、令和3年度の医薬品等の回収件数及びクラス分類を示しています。医薬品については、クラスIが251件、クラスIIが218件、クラスIIIが27件の計496件、医薬部外品は、クラスIが0件、クラスIIが15件、クラスIIIが3件の計18件、化粧品は、クラスIが0件、クラスIIが55件、クラスIIIが22件の計77件でした。なお、医薬品のクラスI回収251件は、先ほど申し上げましたように、全てロットを構成しない医薬品であって、同種他製品に影響は及ばず、かつ、当該医薬品が他者に使用されないことが確実なものでした。具体的には、血液製剤について、献血いただいた後に様々な情報に基づき、当該献血を原料にして作られた製剤について、患者に使用する前に回収されたものです。資料5-2には、令和3年度に行われた自主回収について、それぞれの製品名及び回収理由を記載しています。報告は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御意見、御質問等はございますか。よろしいですか。令和2年とともに、令和3年度も同様の傾向だったようですが、よろしいですか。ありがとうございます。それでは、特に御意見がないということで、報告いただいたということで、進めさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、予定していた議題は以上ですが、事務局から何かありますか。
○事務局 特にありません。本部会の次回の開催については、委員の先生方に改めて御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○岡部会長 ありがとうございます。それでは、本日の部会はこれで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬安全対策課 課長補佐 塩川(内線2752)