2022年6月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和4年6月2日(木)16:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(2名)五十音順
行政機関出席者

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議における委員の出席状況ですけれども、小崎委員、佐藤雄一郎委員より御欠席との御連絡を頂いております。そのほか、現時点で、川上委員、長谷川委員、佐藤直樹委員、松野委員がまだ会議に参加されておられませんけれども、後ほど御参加いただけるものと認識しております。したがいまして、本日ですが、現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員にこの部会に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは森部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入らせていただきます。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストの報告を行ってください。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料9-10を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。このほか、資料10として、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11として、「専門委員リスト」、資料12として、「競合品目・競合企業リスト」を、事前に電子メールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料12の1ページを御覧ください。まず、「エジャイモ点滴静注」ですが、本品目は「寒冷凝集素症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 2ページです。「カナグル錠」ですが、本品目は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「ボックスゾゴ皮下注用」です。本品目は「骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページを御覧ください。「エパデールEMカプセル」です。本品目は「高脂血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページを御覧ください。「イグザレルト錠」です。本品目は「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページを御覧ください。「リツキサン点滴静注」です。本品目は「視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページを御覧ください。「ベオビュ硝子体内注射用キット」です。本品目は「糖尿病黄斑浮腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページを御覧ください。「TAK-611」です。本品目は「異染性白質ジストロフィー」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上でございます。
○森部会長 今の御説明につきまして、特段の御意見等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の了解を得たものとさせていただきます。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1の「エジャイモ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員です。議題2の「カナグル」、退室委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は代田委員、長谷川委員です。議題3の「ボックスゾゴ」、退室委員、議決に参加しない委員はともになしです。議題4の「エパデールEM」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員です。議題5の「イグザレルト」、退室委員は代田委員、議決に参加しない委員は川上委員、佐藤直樹委員です。議題6の「リツキサン」、退室委員は飯島委員、議決に参加しない委員は長谷川委員です。議題7の「ベオビュ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、代田委員、長谷川委員です。議題8の「TAK-611」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員です。以上でございます。
○森部会長 今の御説明で、特段の御質問、御意見等はございませんでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたこととさせていただきます。
 本日は審議事項が8議題、報告事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。では、審議事項の議題1につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。それでは議題1、資料1、医薬品エジャイモ点滴静注1.1gの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。寒冷凝集素症は、IgM誘発性古典的補体経路活性化により引き起こされる自己免疫性溶血性貧血の一つの病型であり、赤血球細胞表面タンパク質であるI抗原に結合する寒冷凝集素と呼ばれる自己抗体の存在を特徴とします。寒冷凝集素による補体経路活性化を介して溶血を生じ、疲労、脱力、浮動性めまい等の貧血症状のほか、血栓塞栓症を呈します。
 本薬は、ヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、古典的補体経路の特異的セリンプロテアーゼである補体第1成分sサブコンポーネントC1sと結合することにより、古典的補体経路の活性化を阻害し、寒冷凝集素症における溶血抑制が期待され、開発に至りました。今般、寒冷凝集素症患者を対象とした国際共同試験により、当該患者に対する本薬の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、今回の審査報告書作成時点では、承認されている国又は地域はありませんでしたが、その後、2022年2月に米国にて承認を受けております。また、本薬は「寒冷凝集素症患者における溶血抑制」を予定される効能・効果として当部会で御審議いただき、希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します専門委員を指名しております。
 以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性に関しまして、審査報告書の青字の通し番号18ページの表17を御覧ください。6か月以内の輸血歴を有する寒冷凝集素症患者を対象とした国際共同第III相試験におきまして、主要評価項目である「26週間におけるレスポンダー基準を達成した被験者割合」の95%信頼区間の下限値が、事前に設定した30%を上回ったことから、本薬の有効性が示されました。
 続きまして、安全性について、審査報告書の通し番号23ページの表23を御覧ください。海外第I相試験及び国際共同第III相試験におきまして、重篤な感染症を含む感染症、infusion reactionに加えて重篤な有害事象が一定の割合で認められました。しかしながら、認められた重篤な有害事象は、寒冷凝集素症の病態や合併症の悪化に主に起因するものであり、重篤な感染症は、主に感染症のリスク因子を有する被験者で認められていたことから、いずれも臨床的に大きな問題はないと考えました。また、本薬は古典的補体経路の活性化を阻害し、莢膜形成細菌等の感染症のリスクがあるため、寒冷凝集素症の診断、治療に精通し、本薬のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関の下で、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売に当たって必要な措置を講じる必要があると考えました。さらに、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後、全症例を対象に使用成績調査を実施し、本薬投与時の安全性情報等を早期に収集する必要があると考えました。したがって、これらの点については審査報告書の通し番号3ページに記載しました承認条件を付すことが適切と判断しました。
 以上、機構での審査の結果、寒冷凝集素症に対する本薬の有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本薬は、希少疾病用医薬品に指定されていることから再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、本品目につきまして、2020年11月の機構での審査終了直後に、申請者より、予定していた一部の原薬製造所での製造が困難となったという報告がなされ、その対応について申請者側で検討が行われてきました。今般、申請者にて適切な対応がなされたことが確認できたことから、医薬品第一部会へ上程するという運びとなりました。機構からの説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。
○代田委員 代田ですけれども、かなり限られた専門施設での使用を想定されているようですが、具体的にはどういう施設でこれが使われると想定されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。特殊な疾患ですので、寒冷凝集素症の治療に精通した医師がいる医療機関で使用されると想定しております。
○代田委員 その患者さんの分布とか、全国的にどのように今この疾病が見られているかという現状については、どのように把握されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。今回、希少疾病用医薬品に指定されており、日本国内で100人程度という、かなり限られた疾患となります。限られた病院において患者さんを診られており、それらの病院で使用されると想定しております。
○代田委員 ありがとうございます。実は私も1例過去に診たことがあって、そういう人たちが一体どういう施設で把握されていて、いわゆるクリーゼ(感染等を契機とした急性の溶血発作)になったときに実際にそういう施設にアクセスできるかどうかということを心配してお聞きしたわけですが、その辺りはどのように把握されていますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回は全例調査を実施することとなっており、その調査において、どういった施設でどのように使用されているのか等の情報が収集でき、具体的な本邦での医療実態が明確になるのではと期待しております。以上です。
○代田委員 ありがとうございました。しっかりと把握できればと思ってお聞きしました。以上です。
○森部会長 ありがとうございます。今の点、添付文書の冒頭の警告の所を確認させていただきますと、1.1.3の所で、特に髄膜炎菌感染症に関する緊急時の十分な措置ができる医療施設及び医師の下で、そういった医療機関と連携して使用することということを頂いています。また、当然ながら寒冷凝集素症に十分知識を持つ医師の下でこの薬剤を使うということですので、主治医の先生は血液内科等の御専門の先生が御担当なさり、感染症医師の緊急体制と連携するといったことが、この薬剤を使用する上で重要という理解でいいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。御意見ありがとうございます。そのような御理解で問題ございません。企業にも、今回のお薬の使われ方ということにつきまして、資材等を用いて適切に使用できるようと申し伝えておりますが、本日頂きました御意見につきましても、適切にフィードバックさせていただきたいと思います。
○森部会長 特に患者さんに御心配がないように、他の医療機関と連携ということも前提になっている可能性もありますので、分かりやすく周知していただければと思っています。ありがとうございました。そのほか御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただきます。なお、川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ございませんようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題2に移らせていただきます。議題2に当たりまして、佐藤直樹委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題2の審議の間、会議から御退出いただきまして、御待機いただくことになっております。佐藤直樹委員、恐れ入りますが、御退出をお願いいたします。

(佐藤(直)委員退室)

○森部会長 では、議題2につきまして、機構より概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品カナグル錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 本剤は、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジン水和物を有効成分とし、2型糖尿病を効能・効果として承認されています。今般、海外で実施された心血管リスクの高い2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、本剤による腎保護作用が期待されたこと等から、本剤の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に対する開発が行われました。本剤は、2021年4月現在、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に関する効能・効果で、欧米等を含む40か国以上で承認等されています。本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
 それでは、本剤の有効性及び安全性について、主な臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 まず、有効性につきまして、審査報告書7ページの表4を御覧ください。2型糖尿病及び顕性アルブミン尿を伴う慢性腎臓病患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が、国際共同第III相試験として実施されました。主要評価項目は、血清クレアチニンの倍化、末期腎不全への進展、腎死及び心血管死から構成される複合エンドポイントについて、いずれかのイベントを最初に発現するまでの期間と設定され、主要評価項目について本剤群のプラセボ群に対する優越性が示されました。また、審査報告書8ページの表5に示すとおり、主要評価項目を構成する各項目についても、いずれのイベントもプラセボ群に比較して本剤群で減少する傾向が示されています。
 次に、審査報告書13ページの表13を御覧ください。国際共同試験と同様の患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が、国内第III相試験として実施されました。主要評価項目は、治療期終了時のeGFRがベースラインと比較して30%以上低下した被験者の割合とされ、投与104週後のeGFR30%低下発生割合のプラセボ群と本薬群の群間差の点推定値は0を上回り、事前に設定した基準を満たしました。
 続いて、安全性につきまして、審査報告書21ページの表24を御覧ください。国際共同第III相試験及び国内第III相試験における有害事象の発現状況について、プラセボ群と比較し本剤群で有害事象の発現割合に大きな差は認められませんでした。また、特に注目すべき事象として、体液量減少に関する有害事象や腎関連有害事象等について、また、患者背景別の有害事象の発現状況として、腎機能障害の程度や年齢等についても検討した結果、プラセボ群との比較において、本薬群で安全性を懸念する結果は得られておらず、今般、実施された臨床試験においては、既存の効能・効果で認められる安全性プロファイルを超える新たな懸念は認められないことから、添付文書における注意喚起を引き続き行うことで、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に関する効能・効果について、承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品に該当することから、本剤の再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。
○武田委員 武田でございますが、一つお聞きしたいのですけれども、先ほど御説明がありました13ページの表13で、国内第III相試験のFASの結果が出ているのですが、これはプラセボ群と本薬群で有意差は統計学的にあったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。国内第III相試験は、事前に規定された解析として有意差を求めるような計画ではございませんでした。本試験が実施された目的は、日本人も含めて実施した国際共同第III相試験での日本人の症例数が比較的少なかったということから、国際共同第III相試験結果を補完するために実施された試験となっています。
 国内第III相試験は、国際共同第III相試験で得られた有効性の結果と比較する目的で、eGFR30%低下割合発現割合に着目して実施されました。国際共同第III相試験と国内第III相試験の類似性として、プラセボ群と本剤群の群間差の点推定値が0を上回るということを一つの基準として実施されております。したがいまして、国内第III相試験においては、有意差については主たる解析としては検討されていないということになります。
○武田委員 もう一つ、先ほど国際共同試験の中で日本人の数が少ないというお話だったのですが、6ページの7番の国際共同第III相試験の数字を見ると、プラセボで日本人が53例、本薬で日本人が57例と。これだと少ないので、追加データとして154例ずつということは、これはどういう基準で計算されたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。症例数の設定根拠につきましては、審査報告書12ページの脚注の11に記載しています。国内第III相試験については、日本人症例数が限られていた国際共同第III相試験を補足する目的で実施されています。その評価項目として、eGFRが30%低下した被験者に着目され、今までに得られている情報から症例数を設定したという経緯になります。
○武田委員 そのように記載されているようで、大体理解できましたが、通常は150例、150例でやった場合は有意差を計算できるのではないかと思うのですけれども、しない約束でやったということですか、治験が行われたとき。
○医薬品医療機器総合機構 主たる解析としては、有意差に関しては計画されていなかったということになります。
○武田委員 分かりました。
○森部会長 この点で何かほかの先生方から御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、そのほかの点につきましても御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 特にないようでございましたら、議決に入ってよろしいでしょうか。なお、代田委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議ないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。では、ロビーで御待機の佐藤直樹委員にお戻りいただきますよう御連絡ください。

(佐藤(直)委員入室)

○森部会長 続きまして、議題3に移ります。議題3につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料3、医薬品ボックスゾゴ皮下注用0.4mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 本剤は、遺伝子組換えヒトC型ナトリウム利尿ペプチド(以下、「CNP」)の類縁体であるボソリチド(遺伝子組換え)を有効成分とする、骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症に対する皮下投与用製剤です。
 軟骨無形成症は、成長板における軟骨細胞の増殖及び分化の負の調節因子である線維芽細胞増殖因子受容体3(以下、「FGFR3」)の機能獲得型変異に起因する疾患であり、著しい低身長や、上腕及び下肢の短縮等の骨格構造の変化が認められ、また、平均寿命は一般集団より約10年短いとされています。CNPは、FGFR3シグナルカスケードの下流を阻害することから、本剤は軟骨無形成症患者の軟骨細胞における恒常的なFGFR3活性化を抑制することにより、有効性が期待されます。
 海外では、2022年3月現在、米国、欧州及びブラジルにおいて承認されています。本邦における軟骨無形成症の患者数は、約6,000人と推定されており、本薬は希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門医として指名しております。
 それでは、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 まず、有効性について審査報告書45ページの表54を御覧ください。5歳以上18歳未満の軟骨無形成症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。その結果、年間成長速度のベースラインから投与52週時までの変化量について、プラセボ群に対する優越性が示されました。続いて、審査報告書44ページの表51を御覧ください。5歳未満の軟骨無形成症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。現時点で得られている結果は、安全性等を評価することを目的に非盲検で投与された少数例の結果ですが、年間成長速度や身長Zスコアについて、同年齢の患者での無治療時の推移との比較で改善する傾向が認められています。
 続いて、安全性について審査報告書52ページの表68を御覧ください。軟骨無形成症患者を対象とした臨床試験における有害事象の発現状況を示しています。本剤群及びプラセボ群で有害事象の発現状況は同程度でした。続いて、審査報告書55ページ、「7.R.2.2 血圧低下」の項を御覧ください。CNPは血管拡張作用を有しており、非臨床試験においても血圧低下が認められたことから、臨床試験における本剤投与時の血圧低下に関して検討しました。その結果、表71に示すとおり、プラセボ群に比較して本剤群の血圧低下の幅が僅かに大きく、また、血圧低下に関連する有害事象の発現割合についても、プラセボ群に比較して本剤群で高い傾向が認められました。認められた事象については、いずれも非重篤であり一過性であることを考慮すると、臨床試験で認められた安全性プロファイルは許容可能と判断しましたが、添付文書においては本剤による血圧低下に関する注意喚起を行うとともに、製造販売後においても引き続き情報収集する予定です。
 なお、日本人における投与経験が極めて限られていることから、製造販売後は全投与症例を対象に製造販売後調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付すことが適当と判断しております。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しております。本剤は、希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 ありがとうございました。では、委員の先生方から御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。では、私から一つ。本剤では身長の延伸が期待できるわけですが、患者さんのプロポーションに関しては、どういった知見が得られているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。今回実施された臨床試験では、成長に関してプロポーションについても評価されております。具体的な成績については、審査報告書の46ページの表55、上体と下体の身体比率として記載しています。ベースラインからの変化量について、特段ベースラインと比較して変わらないこと等から、認められた成長については、特段、プロポーションに対して悪影響を及ぼすようなものではないと考えています。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
○代田委員 代田ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○代田委員 これは、1日1回毎日打つことになるわけですか。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。
○代田委員 そうすると、実際には小児に親御さんかどなたかが自宅で打つというようなことになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では、自宅にて、恐らく多くの場合は保護者の方が投与されるということを想定しています。
○代田委員 それについての説明書等の準備はされているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 保護者の方若しくは患者さん用の投与に関する資材に加えて、医師の方から保護者の方、若しくは患者さんに説明するための資材も用意しております。
○代田委員 それがきちんと分かりやすくできていることを確認いただければと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○森部会長 いかがでしょうか。私からもう一点、本疾患の患者さんの平均余命が約10年短いといった記載が冒頭にありましたが、専門委員の先生方の議論の中で、本薬剤が患者さんの心身の成長を促すということのみならず、生命予後に関する影響はどういったことが予測されるか、御議論はあったでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。実際の専門協議では、生命予後に関してまでの議論はなされませんでした。今回実施された試験は、最長でも投与期間として5年程度となっており、対象疾患としても骨端線の閉鎖前の患者さんになりますので、現在、存在する情報から議論することには限界があると考えているのですが、今後実施される調査等から予後に関しても情報を得られるのではないかと期待しています。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御意見、御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に御報告とさせていただきます。
 続いて、議題4に移ります。議題4について、機構より概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品エパデールEMカプセル2gについて、機構より御説明いたします。紙資料は資料4の審査報告書を御覧ください。タブレットで御覧になる場合は、資料4のフォルダを開き、★の付いている審査報告書ファイルをお開きください。
 審査報告書の一番下、全28ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、イコサペント酸エチルを有効成分とする脂質異常症の治療薬です。本邦では、イコサペント酸エチルを有効成分とする軟カプセル製剤が1990年以降、「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善」及び「高脂血症」の効能・効果で承認され、主にトリグリセリド(以下、「TG」)の高値を示す高脂血症に対し使用されておりますが、1日に複数回の投与が必要であることから、1日1回投与が可能な本剤が開発され、今般、国内臨床試験成績を基に、「高脂血症」を申請効能・効果として製造販売承認申請されました。海外では本剤は開発されていません。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書の通し番号13ページを御覧ください。TGが高値の日本人患者を対象とし、有効性について、本剤2gの既存のイコサペント酸エチル製剤1.8gに対する非劣性、及び本剤4gの本剤2gに対する優越性を検討する第III相試験が実施されました。本剤群では本剤2g又は4gが1日1回経口投与され、既存品群では既存品を1回当たり0.9g、1日2回又は3回経口投与されました。主要評価項目は投与期終了時の血清TG値のベースラインからの変化率とされ、審査報告書の通し番号14ページ、表18に示しますように、本剤2g群と既存品1.8g群の変化率の差の両側95%信頼区間の上限値は、事前に定めた非劣性限界値を下回っており、本剤2g群の既存品1.8g群に対する非劣性が示されました。また、本剤4g群の2g群に対する優越性が示されました。本試験で示された既存品群のTG低下率は、既存品の過去の検証試験の成績と大きく異ならず、遜色ないことも踏まえ、本剤2g及び4g投与の臨床的に意義のある有効性は示されたと判断しました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書の通し番号15ページ、表20に示しますように、既存品で注意喚起している出血関連事象及び肝機能障害関連事象を含め、既存品と比較して本剤に特有の安全性の懸念は認められませんでした。既存品の製造販売後に得られた安全性情報も精査し、現時点では、出血及び肝機能障害に関するリスクについて既存品と同様の注意喚起をすることで、本剤は適切な臨床使用が可能であると判断しております。なお、本剤が上市された際には、既存品と併せて、効能・効果や用法・用量が一様ではないイコサペント酸エチル製剤が増えることになるため、取り違えに対する防止策として、医療従事者向け資材及び患者向け資材において、本剤及び既存品の用法・用量、外形や包装等の違いについて、写真等も示して分かりやすく情報提供することを申請者は予定しております。
 次に、本剤の効能・効果について、審査報告書の通し番号23ページ、「7.R.5 効能・効果について」の項を御覧ください。本剤は、1日1回の投与で有効成分が同一の「高脂血症」を効能・効果とする既存品と同等の有効性及び安全性が得られる製剤として開発されたため、検証試験では主要評価項目をTGとし、申請者が意図した臨床的位置付けを支持する成績が得られたことから、本剤の効能・効果は、既存品の効能・効果と同じ「高脂血症」とすることが妥当と判断しております。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新剤形医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問、御意見等をお願いいたします。堀委員、お願いいたします。
○堀委員 御指名いただき、ありがとうございます。私からは、本剤の服用の仕方についてお尋ねいたします。2点あります。まず1点目は、今まで服用されている従来のエパデールには幾つかいろいろと種類があると思いますが、そのエパデールのお薬から今回の本剤に、変更というのは簡単にできるのかどうかということです。2点目は、飲みやすさについてお尋ねいたします。このお薬は、従来のイコサペント酸エチルに乳化剤を加えたものと書いてありました。それで、頂いた製剤写真を拝見しましたが、中の一つ一つの小さいカプセルが球状で、39~41カプセル入っているということでした。その点に関しては、今までのエパデールと比較して、飲みやすさという点においてはどのようなのか、教えていただきたいと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。まず1点目に関してですが、既存の製剤から本剤への切替えは可能です。医師に御相談いただいて御判断いただければとは思いますが、エパデールの既存のものから本剤への切替えもできますし、本剤からまた元に戻すという切替えも可能と考えております。
 2点目の飲みやすさの点ですが、既承認の製剤でエパデールSというものがあり、これも小さなカプセルがスティック状の容器に入っています。その既存の製剤は、大体一つの粒が4mmで、スティックに入っているカプセルの数は本剤より少し多いものとなっています。
○堀委員 今回の薬剤は一つの粒が6mmということでしたがいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 既存品と比べ、粒の大きさは少し大きく、数は少なくなっております。既存品は45カプセル入っています。
○堀委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 飲みやすさを直接評価したデータ等はありませんが、臨床試験で、この大きさや数について飲みにくかったといった報告はありませんでしたし、それを理由に中止したような被験者も特に目立ってはいないので、特に問題なく飲めるのではないかと考えているところです。
○堀委員 ありがとうございました。まず1点目に関しては、先ほど機構より患者さん向けの資材を作っていただけるということだったのですが、やはり同じ名前「エパデール」と書いてあるものなので、患者にしますと混乱する可能性がすごくあると思います。その切替えの部分に関しては、例えば、医師から前のエパデールの薬を飲み切った後で今回の新しいものを処方するという形など、その辺の配慮が必要なのではないかと思います。と言いますのは、資材もエパデールのようにたくさんの種類があると、患者はどれがどれなのか分からなくなってしまうところがあって、混乱してしまうと、せっかく1日1回だった本剤を1日2回3回飲んでしまう、そうすると、かなり危ないと思ったので、心配でお聞きしました。
 2点目に関しては、御高齢の方や飲み込みがなかなか難しい方もいらっしゃるかと思うので、治験者の方たちには御高齢の方もいらっしゃったのでしょうか。お尋ねいたします。
○医薬品医療機器総合機構 ただいま、治験の被験者背景の数値を確認いたしますので、しばらくお待ちください。
 今回の第III相試験に組み入れられた被験者の年齢の平均値が約55歳で、65歳以上の被験者が大体20%程度組み入れられており、高齢の被験者も含む結果であったと考えられます。
○堀委員 分かりました。調べていただき、ありがとうございました。安堵いたしました。私からは以上です。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。では、私から。パッケージの写真も添付していただき拝見しましたが、今回のこのEM製剤のパッケージには1日1回ということは特に書かれないのでしょうか。差別化の上で書いておくことも1案かと思ったのですが。個別包装、スティックの「患者さんへ」の所で、上下逆になっていますが、もう一行ぐらい入れられそうなスペースがあるように見えるので、既存のものを飲んでいる方との差別化もあり、1日1回といったことをここに入れておくことも可能かなと思って見ていますが、いかがなものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見をありがとうございます。現状のパッケージには、そういった記載はございません。スペース的に書けるかという話と、包装に記載すべき事項等の規制の中で、そういった表示ができるのかというところ、両面を含めて検討させていただければと思います。
○森部会長 分かりました。今のエパデールSよりは、パッケージが横に長いのですか。10cmとありますが、今の既存のものですと7、8cmでしたか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、本剤のほうがエパデールSよりは横長のパッケージですです。
○森部会長 横長ですね。
○医薬品医療機器総合機構 細長です。
○森部会長 そうですね。追記が可能かどうか、御検討ください。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○森部会長 小さな粒ではありますが40粒ぐらいは入っている製剤のようですので、今回は特に見本がなく、どなたも飲んでみたことがないかとは思いますが、何か飲み込みに関して先生方で御心配されていること等がございましたら、御意見いかがでしょうか。これと同等の大きさの錠剤のようなものがたくさんある製剤というと、ほかにございますか。ロトリガも粒状のものでしたかね。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。ロトリガが似たような製剤にあたります。
○森部会長 ロトリガの剤形は各1錠当たりがどのぐらいのパッケージだったか、確認してみたところ4mmでした。ということは、今回のエパデールEMの製剤はもう一回り大きくなっていると確認できています。ロトリガについて服用のときの注意喚起は何かありましたか。
○医薬品医療機器総合機構 ございません。今回、包装見本の最後のほうに1口で飲めない場合の飲み方が書かれているかと思います。40カプセルを一度に口に入れなければいけない訳ではないので、1口で飲みにくい場合は何口かに分ければ飲めるのかなとは考えています。
○森部会長 少しずつ飲んでいただくということもできるわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○森部会長 分かりました。その辺りは資材を御作成いただく際に、高齢の方への注意喚起、小さな粒がたくさん入っているので、飲み込みの悪い方については注意して服用いただくということを注意喚起していただくほうが望ましいでしょうかね。資材を作るときには、それは可能でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 可能だと考えております。
○森部会長 先生方から何かほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。なお、川上委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、議題5に移ります。議題5に先立ち、代田委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題5の審議の間、会議から一旦、御退室いただき、御待機いただくこととなっております。恐れ入りますが、代田委員は御退室をお願いいたします。

(代田委員退室)

○森部会長 確認できました。それでは、議題5について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品イグザレルト錠2.5mgにつきまして、機構より説明させていただきます。紙資料は資料5の審査報告書を御覧ください。タブレットで御覧になる場合は、資料5のフォルダを開き、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。
 審査報告書の一番下、全53ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤の有効成分であるリバーロキサバンは、経口投与可能な活性型血液凝固第X因子の直接的阻害薬です。本邦では、成人に対して10mg及び15mgの製剤が、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」及び「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」の効能・効果で承認されております。今般、国際共同第III相試験の成績を基に、「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認申請がなされました。海外では、120以上の国又は地域で承認されており、今回の申請効能・効果につきまして、本剤は欧米を含む30以上の国又は地域で承認されています。
 本品目の審査の概略につきまして、臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書の9ページを御覧ください。下肢血行再建術施行後の症候性末梢動脈疾患(以下、「PAD」)患者を対象に、血栓性血管イベントの抑制効果について、アスピリン単独投与に対する本薬上乗せ投与の優越性を検討するプラセボ対照二重盲検比較試験が実施されました。用法・用量は、本薬2.5mg又はプラセボを1日2回経口投与することとされ、基礎治療として、いずれの投与群でもアスピリン100mgを1日1回経口投与することとされました。
 審査報告書の11ページの表6を御覧ください。主要評価項目は、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管死、急性肢虚血又は血管系の原因による大切断の複合エンドポイントで構成される血栓性血管イベントの初回発現までの期間とされました。血栓性血管イベントの発現抑制効果について、プラセボに対する本薬の優越性が検証され、血栓性血管イベントの構成要素のうち心血管死のみ、プラセボ群に対する本薬群のハザード比は1を上回る結果でしたが、血栓性血管イベントのハザード比の点推定値の0.85は、抗血小板薬の臨床試験成績等に基づき試験計画時に想定した0.8と大きく異ならなかったことから、臨床的意義のある有効性は示されたと判断いたしました。
 続きまして、審査報告書の13ページの表9を御覧ください。日本人集団における有効性の結果について、血栓性血管イベントのプラセボ群に対する本薬群のハザード比の点推定値は1を下回り、日本人集団において全体集団と一貫した傾向が認められ、血栓性血管イベントの各構成要素についても、いずれも主要評価項目の結果を支持する良好な結果でした。
 先ほど説明しましたとおり、本試験の全体集団において、「心血管死」のプラセボ群に対する本薬群のハザード比が1を下回らなかったことを踏まえて、本薬の血栓性血管イベントの発現抑制効果について詳細に検討いたしました。審査報告書の18ページの「7.R.2.1 試験17454の有効性について」の項を御覧ください。本試験における心血管死の期間別の発現状況を表14に示しており、本薬群で認められた心血管死の多くはoff-treatment期間、特に治験薬最終投与30日超から最終コンタクト日までの期間に認められています。本薬の既承認時の臨床試験及び非臨床試験の結果からは、本薬の投与や中止により心血管死を増加させる懸念は示されていないこと、PADと同じ動脈硬化性疾患である急性冠症候群及び冠動脈疾患患者を対象とした本薬の臨床試験においては、off-treatment期間を含む試験期間を通じて、心血管死の発現抑制効果が示唆されていることから、本薬の投与や中止が心血管死を引き起こした可能性は低いと考えられました。また、治験薬の投与中止後に実施した抗血栓療法の内容にも群間で違いが認められていないことを踏まえると、本薬中止後に実施された抗血栓療法の差異がoff-treatment期間の心血管死の発現に差をもたらした可能性も低いと考えられました。
 続きまして、審査報告書の23ページの「7.R.2.2 有効性に影響を与える因子について」の項を御覧ください。下肢血行再建術の術式及びクロピドグレルの使用の有無別の血栓性血管イベントの発現状況を表18に示しており、血管内血行再建術が施行された集団で、心血管死のプラセボ群に対する本薬群のハザード比が高くなる傾向が認められました。下肢血行再建術の術式及びクロピドグレルの使用の有無別の患者背景の分布を比較した結果は表19に示していますが、表20のとおり、被験者背景のカテゴリー別での有効性に大きな違いは認められなかったことから、年齢、体重、腎機能といった被験者背景の分布の違いが術式別の心血管死の発現状況に影響を及ぼした可能性は低いと判断いたしました。また、血管内血行再建術が施行された部分集団における本薬群のon-treatment期間で心血管死イベントが認められた47例の個別の発現状況からは、本薬投与と心血管死の発現に明らかな関連性は示唆されておらず、心血管死イベントに本薬が明らかな関与はしていないと推定されました。
 心血管死の発現については、専門委員からの意見も踏まえて更なる評価を行い、その結果を審査報告書の45ページの「1.2 有効性について」の項に記載しております。表31に示しましたとおり、血管内血行再建術が施行された部分集団での心血管死の発現については、要因が特定されなかったoff-treatment期間での発現が影響していること、血管内血行再建術が施行された部分集団でも、急性肢虚血や血管系の原因による大切断の重大な肢イベント(以下、「MALE」)及び心筋梗塞の発現を抑制する傾向は示されていることを踏まえると、血管内血行再建術施行後のPADにおける本薬の有効性を否定する結果とまでは言えないと判断いたしました。
 以上の検討等により、新たに本薬の投与対象から除外するまでの対応を要する集団はないものの、これらの検討結果は医療従事者向け資材等を用いて適切に情報提供した上で、製造販売後調査において、本薬投与後の心血管死の発現状況を改めて確認して必要な対応を取ることが適切と判断し、この機構の判断は専門委員に支持されました。
 続きまして、安全性について御説明いたします。審査報告書の30ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本薬投与時に最も懸念される副作用は出血ですが、本試験での出血を含む有害事象の発現状況からは、既に添付文書で出血に関して十分な注意喚起がなされていると判断できることから、現時点で追加の注意喚起を要する内容はないと判断いたしました。
 続きまして、審査報告書の35ページの「7.R.4 本薬の投与対象及び効能・効果について」の項を御覧ください。脳卒中又は一過性脳虚血発作(以下、「TIA」)の既往歴のある患者について、本試験では除外されていましたが、本試験の試験期間中に脳卒中又はTIAを発症した患者の安全性情報や、既承認効能・効果における脳卒中又はTIAの既往歴のある患者の安全性情報等を踏まえると、患者ごとに出血の有無を確認しつつ、投与の可否を十分に検討した上で使用することは、安全性上許容可能と判断いたしました。
 続いて、用法・用量について御説明いたします。審査報告書の38ページの「7.R.5 用法・用量について」の項を御覧ください。本試験で認められた有効性及び安全性を踏まえると、下肢血行再建術施行後のPAD患者に対する用法・用量を本薬2.5mg1日2回投与とすることは妥当と判断いたしました。また、本試験の規定に従い、用法・用量に関連する注意に、アスピリンと併用する旨、下肢血行再建術施行後の初期治療において抗血小板薬2剤併用療法(以下、「DAPT」)との併用が必要な場合は、アスピリンとクロピドグレルの併用とし、DAPTによる出血リスクを踏まえ、アスピリン及びクロピドグレルとの併用期間は必要最低限にとどめる旨、記載する必要があると判断いたしました。ただし、本薬とアスピリンの併用については、有害事象の発現等の理由により、一時的にいずれか一方を中断する等、併用されない状況も想定されることから、本試験の規定と同様に、患者の状態に応じて、本薬又はアスピリンのいずれかの中断等を考慮する旨も注意喚起することが適切と判断いたしました。
 続きまして、製造販売後調査について御説明いたします。審査報告書の49ページ目から記載している「1.6 医薬品リスク管理計画(案)について」の項を御覧ください。日本人において、本薬とアスピリンを長期間併用投与したときの安全性情報は限られていることから、使用実態下における出血の発現状況について、患者背景、併用薬等を情報収集することにより、出血のリスク因子を検討することを目的とした製造販売後データベース調査を実施する予定です。加えて、MALEイベントの発現抑制効果等も含めて、総合的に本薬の有効性は期待できると判断しましたが、心血管死については、製造販売後に使用実態下での本薬投与時の発現状況を、製造販売後データベース調査等により適切な対照と比較する等して確認することが妥当と判断いたしました。調査計画の詳細は、今後、申請者と疫学調査相談等を活用して決定する予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品及び剤形追加に係る申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間を4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、審査報告書に誤記がありましたので、医薬品審査管理課より別途メールにて追加送付しました修正表のとおり訂正させていただきます。本修正について、審査へ影響がないことは確認しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(直)委員 一つだけお伺いしたいのですが、DAPTの中に、恐らくシロスタゾールとかは含まれていないと思うのですが、この疾患でよく利用される、再狭窄予防等に使われることもあると思います。これとの併用に関するデータがあるかないかと、そのことについて、何らかの資材でもいいのですが、通知する予定があるかどうか等も含めて、教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。シロスタゾールとの併用に関しては、試験17454の規定上、併用は禁止とされており、併用時のデータはありません。
○佐藤(直)委員 そうだとすると、実際は使われる可能性というのは高いのではないかと思うのですが、それに対してはどのように対応される予定なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 抗血小板薬との併用時の注意喚起としては、添付文書の8.4項に「抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがある」と注意喚起しております。
○医薬品医療機器総合機構 加えて、シロスタゾールとの併用時の安全性について、少なくとも臨床試験で併用実績がないことなどについては、資材等を用いて情報提供できないかを検討させていただきます。
○佐藤(直)委員 場合によっては、添付文書にそのデータはないというような記載も検討いただいたほうがいいかなと思ったので、お伺いしました。ありがとうございます。
○森部会長 今の御指摘の点ですけれども、シロスタゾールを含めた他の抗血小板薬の臨床試験の成績がないということについて、追記をすべきでしょうか。いかがでしょうか。是非、御検討いただきたい点だと思います。
○宮川委員 宮川です。臨床の現場では必要な情報なので、佐藤委員と同じように、そこは強く記載していただくほうが現場は困らないのではないかと思います。以上です。
○森部会長 是非、御検討いただきたいと思います。柴田委員、御発言ください。
○柴田委員 先ほど御説明いただきました、出血に関する製造販売後データベース調査についてお伺いします。対応されるということは妥当だと思うのですが、現在日本で使えるデータベースで、出血を正確に把握できるものというのはあるのでしょうか。質問を変えると、どういう形で出血を把握するなど、そういうところは詰められているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 定義を特定しているかどうかは少し確認させてください。なお、本薬の既承認効能・効果の小児に対する製造販売後調査でもデータベース調査を実施する予定で、その調査に出血をアウトカムとした検討が含まれておりますので、可能と考えています。
○柴田委員 分かりました。そういう前例があるのであれば大丈夫だと思います。こういう取組はすごく重要ですし、こういうものがきちんと審査報告書の中で取り上げられて議論されているのはいいことだと思いますので、フィージビリティのところも詰めておられると安心して判断できます。どうもありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど、シロスタゾールとの併用に関して、添付文書上に情報を記載するべきではというお話を頂いたのですが、添付文書の用法・用量に関連する注意において、アスピリンと併用する旨と、DAPTが必要な場合は、クロピドグレルと併用する旨を記載させていただいております。「データはない」という記載ではなく、「クロピドグレルと併用すること」という記載をしているのですが、この対応では不足しているという御意見と理解しましたが、間違いございませんでしょうか。
○佐藤(直)委員 でも、実際に明確に書かれていないと、クロピドグレルも併用しているけれども、シロスタゾールはどうなのかとの疑問に思うことがあるかと思います。いわゆるDAPTという一般的な定義の中にはシロスタゾールというのは入らないことが多いと思うので、そうなるとちょっと誤解が生じて、リスクが出るのかなというように思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。記載方法について検討させていただきます。
○森部会長 臨床試験成績がないといったことを中心に記載いただくといいと思います。続きまして、堀委員から御発言いただきます。
○堀委員 添付文書を拝見した中で、本剤の服用方法についてお尋ねいたします。先ほど御説明いただいたとおり、本剤は、用法・用量は1日2回経口投与ということがございました。ただ、通し番号の5/53ページの6.R.2 では、食事の規定を今回は設ける必要はないと規定されていました。
 それで、私から2点お尋ねしたいのですけれども、1日2回服用ということですので、1回目と2回目の服用の間隔時間ですね、そのような間隔を設ける必要あるのかどうか。もしある場合は、どれぐらい空けたらいいのかを教えてください。2点目が、添付文書の2ページを見ていただくと分かるのですが、8.8に、「服用を忘れた場合は、忘れた分は服用せず、次の服用時刻に再開するよう指導すること」というように書いてあります。この文章から推察いたしますと、必ず服用する時刻というものは1日2回厳守という意味にも取れると思います。その場合、例えば6時半に飲むということが指定されたとき、15分、20分服用が遅れた場合も、服用を忘れた場合という形になるのかどうか。細かいことで大変申し訳ないのですが、教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 1点目の投与間隔に関しましては、試験での規定としては、服用と服用の間隔は12時間とすることと規定されておりましたので、実際に服用する場合も、基本的には投与間隔は12時間空けることが適切と考えております。
○堀委員 2点目に関してですけれども、そうしますと、12時間空けるといったとき、例えば朝8時に服用すると、それは食事に関係なくということなので次は夜の8時に飲むということになると思うのですが、その場合、服用を忘れたといったときに、8時をどれぐらい過ぎてしまったときに、服用を忘れたという形になるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そこまで厳密に、数十分ずれたから次の機会にする必要があると考えているわけではなく、あくまで目安ですので、そこは適宜、場合によっては医師と相談しながら御対応いただくことを考えております。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。多分、このお薬は入院中に患者が飲むことが多いかと思うのですけれども、患者はどうしても枕元にお薬を置いておいても、飲むのを忘れてしまうことというのはよくあると思うのです。そのときに、ふと服用しなかったことに気付いたときに時間的にどれぐらい遅れてもいいのかを知っておかなければ、、患者はすごく混乱するのではないかと思ったので、患者向けの資材はないと思いますけれども、その点も御考慮いただき、また主治医の先生にもそのようなことを不安に思う患者もいることを相談していただけたら有り難いと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○森部会長 そのほかの先生方、御意見、御質問はいかがでしょうか。
 私から一つ。脳卒中や一過性脳虚血発作、いわゆるTIAの既往がある患者に本薬を使用するかどうかということについてですが、海外での承認、添付文書上の情報に関して、少し情報提供いただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 欧州添付文書では、PADに関しては、4.4項に「脳卒中又はTIAの既往歴のある症候性PADに対する下肢血行再建術後間もない患者における検討は行われていない」という記載があります。
○森部会長 そのほかの国での情報はございますか。欧州のみですか。
○医薬品医療機器総合機構 米国添付文書では、脳卒中、TIAに関連する注意喚起の記載はございませんでした。
○森部会長 「Contraindication」の所には該当する記載はありませんか。
○医薬品医療機器総合機構 ないように思います。
○森部会長 そうですか。我々が頂いている資料の1.6の海外における使用状況における、ANNEXIのこれは、そこの4-3の「Contraindication」の所の下のほうのブロックの所に。
○医薬品医療機器総合機構 欧州添付文書に、ACS患者に対する注意喚起として、「Contraindication」に脳卒中、TIAの既往歴のある患者が記載されています。
○森部会長 その次の項目は、これは違うのですか。
○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。CADやPAD患者において脳卒中やラクナ梗塞のある患者に対する使用は禁忌となっております。
○森部会長 セクション4.4と関連しているということだったので、多分、「Other hemorrhagic risk factors」という6ページの所の、年齢の高い方は特に気を付けようと書いてある部分に該当するのかと思います。この点は専門協議の委員の先生方から議論があったように確認できるのですが、その内容をもう一度確認いただいてよろしいでしょうか。専門委員の先生方との議論について、確認してください。
○医薬品医療機器総合機構 専門委員からは、脳梗塞発症からの期間が短い場合には出血リスクが高いことから、血栓リスクとのバランスを考慮して、投与の必要性を慎重に検討する旨を注意喚起する必要があるとの意見がありました。そのことと、既承認効能・効果の心房細動や静脈血栓塞栓症では脳卒中、TIAの既往歴のある患者に対する注意喚起がなされていないことも考慮して、禁忌とする必要はないものの、リスクとベネフィットのバランスを考慮して投与の適否を慎重に検討することが妥当と判断しております。
○森部会長 そこで、今回の添付文書(案)での9.1.4の項目がそれに該当すると思うのですが、専門委員との協議の内容が、今のこの記載で十分に反映されているという御理解でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の記載については専門委員の了解が得られております。
○森部会長 特にストロークを発症した後の方がリスクが高いということは、ここには書かれているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の9.1項の下から四つ目のポツに、「頭蓋内出血発症後日の浅い患者」と記載し、そのような患者では出血の危険性が増大する旨は注意喚起させていただいております。
○森部会長 これは出血ですよね。ストロークだと脳梗塞も含まれるのではないでしょうか。ですから、一部抜けていると思うのですけれども。もう少し具体的に9.1.4に書いていただくのが望ましいと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 9.1.4項に、脳梗塞患者では出血リスクが増大する旨を記載してはどうかというご指摘と理解しました。
○森部会長 特に梗塞の比較的、発症早期ですね。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○森部会長 ここについて御検討ください。また、ヨーロッパの添付文書でも、同様の箇所に、「ストローク発症後1か月以内の方は」という添付があるので、この背景も考慮いただいて、適切に追記していただくと、専門委員の先生方の御意見が反映されるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。記載について検討させていただきます。
○森部会長 是非お願いいたします。そのほか、先生方のほうから御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 私から先生方に御質問です。この添付文書の中の臨床成績の所で、今回の国際共同治験に関する臨床成績が記載されています。これは全体における主要評価項目について中心的に書かれているものですが、この内容で添付文書上は十分で、残りの情報については、適切な資材やインタビューフォーム等に記載していただくということでよいか。添付文書にももう少し織り込んでおくべき内容があるかどうかという御指摘はありますでしょうか。特に日本人部分集団の成績などは記載されていないのですが、そういったものは資材等での提供でよろしいでしょうか。先生方が利用なさる上で必要な情報という位置付けになるのであれば、何らかの考慮があってもいいかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮川委員 宮川です。今の部会長がおっしゃった提案というのは非常に重要ですので、実際に使う実地医家が分かりやすいようにしておくほうがよろしいのではないかと思いますので、一定の書込みは必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○森部会長 具体的には、報告書の表9に日本人の使用成績をおまとめいただいていますので、表9の内容について、表若しくは文章で何らかの情報提供をしていただく形で、日本人に関するデータをより分かりやすく御記載いただくということはいかがでしょうか。是非御検討いただきたいと思います。機構の方、いかがでしょうか。可能でございますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。添付文書の17項に日本人集団の成績を書くかどうかについて、まず、これまでの記載方針の整理を御説明させていただきますと、主要な結果をなるべく簡潔に記載するということが基本で、国際共同治験の場合、日本人集団の成績やその一貫性評価において明確な懸念がない場合は、全体集団の結果のみを記載させていただいておりました。最近の数々の部会の継続審議等における部会の御指摘等や審査の過程において、日本人集団での有効性について何らかの懸念が認められたような場合においても、この17項に日本人集団の成績も詳細に記載させていただくという対応を取ってきたところでございます。
 今回、この品目に関して、審査では日本人集団の成績について特に添付文書にまで記載して情報提供すべきというような懸念は示されなかったと判断したところではございますが、本部会で国際共同治験においての成績によらず日本人集団の結果も添付文書の臨床成績の項で言及したほうが適切という御指摘をいただき、この剤に関しても記載するということは可能と考えております。今後は、基本的には日本人集団の成績も記載するという方針、御意見と理解すればよろしいでしょうか。
○森部会長 日本人の症例数が比較的多く、十分な情報が得られる場合には、追記していただくことが先生方にとっても有益な情報になるかと思います。今回、459例の方が参加されているということで、十分に臨床上役立つ情報になり得ると判断いたしましたので、追記をお願いしたいと思っていました。
 もう1点は、全死亡に関する点です。今の17.1.1の国際共同治験の所には、全死亡に関する情報の公開が特にないのですが、日本人のサブ集団においても全死亡のデータはありますし、日本人では0.61のハザード比だということも分かっているので、やはり併せて追記していただくことが全体としても情報提供にいいだろうと思っていますので、是非御検討いただきたいと思っています。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘につき、承知いたしました。
○森部会長 そのほか、先生方から御発言はございませんでしょうか。
 それでは、議決に移らせていただきたいと思います。なお、川上委員、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はございませんようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 ロビーで御待機の代田委員をお呼びいただきたいと思います。

(代田委員入室)

○森部会長 続きまして、議題6に進ませていただきます。議題6に先立ちまして、飯島委員におかれましては、利益相反のお申出に基づきまして、議題6の審議の間、会議から御退出いただきまして、御待機いただくこととなっております。飯島委員におかれましては、恐れ入りますが御退出をお願いいたします。

(飯島委員退室)

○森部会長 それでは、議題6について、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品リツキサン点滴静注100mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構から御説明いたします。資料6の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全32ページの通し番号で6ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
 視神経脊髄炎スペクトラム障害(以下、「NMOSD」)は、重度の視神経炎及び横断性脊髄炎を特徴とする中枢神経の炎症性疾患です。
 本剤の有効成分であるリツキシマブ(遺伝子組換え)は抗CD20モノクローナル抗体であり、本邦では、2001年6月にCD20陽性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に係る効能・効果で取得されて以降、複数の効能・効果で承認されております。今般、NMOSDに対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では、2021年10月現在、米国・欧州等約140の国又は地域で承認されておりますが、NMOSDに係る効能・効果で承認されている国又は地域はございません。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。
 本申請の専門委員として、資料11に記載されている4名の委員を指名しております。
 臨床試験成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。まず、有効性について、審査報告書の通し番号で12ページの表5及び図1を御覧ください。脊髄炎又は視神経炎のいずれかの既往を有する抗AQP4抗体陽性の日本人NMOSD患者を対象とした国内第II/III相試験であるRIN-1試験において、本剤群では再発が認められず、主要評価項目である割付時から初回再発までの期間について、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。以上から、本剤のNMOSDに対する有効性は示されたと判断しました。
 次に、安全性について、審査報告書の通し番号で15ページの表8を御覧ください。RIN-1試験における有害事象の発現状況に加え、既承認効能・効果である天疱瘡患者及び全身性強皮症患者における本剤の安全性プロファイルの比較等を踏まえると、NMOSD患者において新たな安全性上のリスクは示唆されておらず、既承認効能・効果と同様の注意喚起の下で適正使用されることを前提とすれば、NMOSD患者に対する本剤の安全性は許容可能と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特に御発言はございませんでしょうか。
 それでは、議決に入ります。なお、長谷川委員におかれましては、利益相反のお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はございませんようですので、承認を可とし、薬事の分科会に報告とさせていただきます。
 では、ロビーで御待機の飯島委員をお呼びいただきたいと思います。飯島委員、どうもお待たせしました。

(飯島委員入室)

○森部会長 続きまして、議題7に移らせていただきます。議題7につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題7、資料7、医薬品ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否につきまして、機構より御説明させていただきます。資料7の審査報告書を御覧ください。
 審査報告書の一番下、通し番号5/41ページを御覧いただき、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、ヒト血管内皮増殖因子(以下、「VEGF」)を標的とする遺伝子組換え一本鎖抗体でございまして、本邦において、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」を効能・効果として承認されております。今般、新生血管を伴う加齢黄斑変性(以下、「nAMD」)と同様に、VEGFが病態形成の中心的な役割を担っていると考えられている糖尿病黄斑浮腫(以下、「DME」)に対する開発が行われ、国内外の臨床試験成績に基づき、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。なお、海外において、欧州では2022年3月に、米国では2022年5月に、同適応で承認されております。
 本品目の審査におきまして、専門委員として資料11に記載されております4名の委員を指名いたしました。
 本品目の審査の概略につきまして、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。通し番号9/41ページの表4を御覧ください。DME患者を対象とした第III相試験として、DMEに対して本邦既承認の眼科用VEGF阻害薬であるアフリベルセプトを対照とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験が2試験実施されました。なお、両試験については、本剤の用量群が一部異なる以外は、ほぼ同一のデザインで実施されました。
 まず、有効性について御説明いたします。日本を含む国際共同試験はB2301試験でございまして、当該試験の主要評価項目の結果については、10/41ページの表5を御覧ください。投与52週時の最高矯正視力のベースラインからの変化量につきまして、その最小二乗平均の群間差の95%信頼区間の下限値は、本剤6mg群とアフリベルセプト群の対比較では-2.9文字であり、非劣性マージンである-4文字を上回ったことから、本剤6mg群のアフリベルセプト群に対する非劣性が検証されました。一方、本剤3mg群とアフリベルセプト群の対比較においては-5.1文字であり、-4文字を下回ったことから、本剤3mg群のアフリベルセプト群に対する非劣性は検証されませんでした。また、海外で実施されたもう一つの試験であるB2302試験の結果については、12/41ページの表7に示しておりまして、この試験においても本剤6mg群のアフリベルセプト群に対する非劣性が検証されております。なお、この試験では、本剤3mg群は設定されておりませんでした。以上から、本剤6mgのDMEに対する有効性は示されたと判断しております。
 次に、安全性について御説明いたします。今般実施されたDME患者を対象とした第III相試験の眼における有害事象の発現状況につきまして、19/41ページの表12を御覧ください。治験薬と関連ありとされた有害事象の発現割合が、アフリベルセプト群と比較して本剤群で高い傾向にございましたが、個々の事象は既存効能であるnAMD患者に対する本剤の使用経験から知られている事象でございまして、DME患者特有の新たなリスクは特定されませんでした。
 続いて、nAMDに使用する際の本剤のリスクとして特定されている眼内炎症の発現状況について、22/41ページの表15を御覧ください。本剤群で対照群と比較して眼内炎症の発現割合が高い傾向が認められました。しかしながら、この傾向はnAMD患者を対象とした過去の臨床試験と同様でございまして、本剤群で認められた眼内炎症の多くは軽度又は中等度の事象であったこと、対症療法などにより回復又は軽快したことから、適切な注意喚起の下であれば、nAMDに対する使用時と同様に、本剤の眼内炎症リスクは許容可能と判断いたしました。
 また、同様にnAMDに使用する際の本剤のリスクとして特定されている網膜血管炎及び網膜血管閉塞の発現状況について、24/41ページにございます「7.R.3.4 網膜血管炎及び網膜血管閉塞について」の項を御覧ください。これらの事象はDME患者を対象とした臨床試験でも認められておりまして、その発現機序として免疫応答が示唆されていること、視力低下を来すおそれもあることから、網膜血管炎及び網膜血管閉塞が認められた場合は、本剤は再投与しないなどの追加の注意喚起を行った上で、特にこれら事象に移行する可能性がある眼内炎症が認められた場合は、患者の状態を十分に観察する旨も注意喚起することが適切と判断いたしました。
 以上より、DME患者に対する本剤の使用に当たっては、適切な注意喚起や情報提供の下、既存効能での使用時に知られている副作用に十分注意して使用することにより、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上のような検討を行った結果、本剤は承認して差し支えないとの結論に達し、当部会にて御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間である令和10年3月24日までとすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 では、委員の先生方から御質問等をお願いいたします。柴田委員、お願いします。
○柴田委員 本剤の位置付けと有害事象に関する情報提供の2点について、お伺いいたします。アフリベルセプトと非劣性が確認されていて、一方で有害事象等は本剤のほうが多いというような状況なのですけれども、本剤とアフリベルセプトを比較した場合に、アフリベルセプトより本剤のほうが勝る部分、あるいは良い部分というのはどういう点だと解釈すればよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。DMEに対する投与方法について、アフリベルセプトの維持期の投与間隔は通常2か月と設定されている一方、本剤の維持期における通常の投与間隔としては12週と設定しています。
 硝子体内注射は、患者さんに対する負担が大きいので、基本の投与間隔が長い本剤については、アフリベルセプトと比べて一定のメリットがあると考えております。
○柴田委員 ありがとうございます。つまり、その投与間隔に関わるメリットが、有害事象の発現頻度の増加と釣り合うという判断をされたということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○柴田委員 分かりました。二つ目は性差、男性と女性の差のところについてです。結論としては受入可能だとは思っているのですが、論旨をちょっと確認させてください。基本的に性別によって薬剤の選択を変えるということはないという、審査報告書36ページに書いてある御趣旨はよく理解できるのですが、これは先ほどの1点目とも絡むのですけれども、有害事象の差というのが、ここでは対照薬になっていますが既存薬のアフリベルセプトを積極的に使ったほうがいいというほどのことではなく、先ほどの利便性のことも考えると、許容可能な範囲であるという認識の下に、このような結論が導かれていると解釈しましたけれども、それでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。専門委員の先生からのコメントには、細かい背景の御説明はありませんでしたが、機構としても、柴田先生に御説明いただいたように、今回提示されている性差のデータを踏まえても、先ほど申し上げたような本剤のメリットもあるため、性別によって一律に薬剤を変えるなどの判断に至るほどの状況ではないと考えております。
○柴田委員 分かりました。それについては別途資材では提供されるということで担保されていると理解しました。どうもありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○森部会長 柴田委員、私から一つ。男女における副作用の頻度の違いについては、詳しい解釈は資材で提供してもよいと思いますけれども、添付文書にデータだけ記載しておくことでも一定の有用性はありますでしょうか。
○柴田委員 個人的には、その添付文書に記載する分量的に問題がないのであれば、書いてあるほうがいいのではないかなと思ったのですが、そこはちょっと臨床的なリスクベネフィットバランスとの兼ね合いになるのかなと理解しております。
○森部会長 機構の方、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。男女差に関するデータを添付文書に記載する必要性については、専門協議でも議論し、そのデータをもって実臨床で患者さんの性別によって薬剤の選択を変えることはないと考えられるため、添付文書に記載する必要性は乏しいという専門委員の御意見がございました。この点を踏まえ、今回の審査に当たっては、男女差に関するデータは添付文書に記載する必要はないと判断し、資材で情報提供することになっております。
○森部会長 まだ臨床的な意義付けをすることは難しいという状況は分かったのですけれども、我々が把握している臨床試験のデータとして、臨床の先生方の今後の御参考になる可能性があるデータの一つだという可能性があると思うのですけれども。柴田委員も記載があることについては特に支障ないというお話でございましたが、ほかの先生方、御意見いかがでしょうか。何か御発言はございますでしょうか。機構や専門委員の先生方のほうで、一度議論はしていただいているわけでございますけれども。
 では、資材の中での御説明ということで、現状はよろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川ですけれども、資材の方でしっかりと書かれておれば、その懸念はないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○森部会長 分かりました。石川先生、いかがでしょうか。
○石川委員 私もそれでいいかなと思っております。部会長のおっしゃることも、よく理解できますけれども、必要になったときに閲覧できるような形でもいいのかなと思いました。
○森部会長 ありがとうございました。それでは、そのほかに先生方から御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員、代田委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ないようでございますので、承認を可といたしまして、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題8に移らせていただきます。議題8は希少疾病用医薬品に関するものでございます。事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、資料8、TAK-611を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の最初のページ、中段を御覧ください。申請者は「武田薬品工業株式会社」、予定される効能・効果は「異染性白質ジストロフィー」です。以下、異染性白質ジストロフィーは「MLD」と略させていただきます。
 まず、「対象者数」について、MLDは指定難病である「ライソゾーム病」に含まれる疾患であり、疫学調査等から本邦の患者数は24例程度と推計されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性」について、MLDはアリルスルファターゼAをコードする遺伝子の変異を原因とする先天性代謝異常症であり、アリルスルファターゼAの活性が低下することで、その基質であるスルファチドが中枢神経等に蓄積し、中枢神経障害等が引き起こされる疾患です。本邦では、MLDを効能・効果とした治療薬はなく、通常は臨床症状に対する支持療法が行われています。本剤は、ヒトアリルスルファターゼAの遺伝子組換え製剤であり、酵素補充療法として用いられることから、MLDに対する治療効果が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性」について、日本人を含む小児MLD患者を対象として、本剤の安全性等を評価することを目的とした臨床試験が実施され、脳脊髄液中のスルファチド濃度の低下等が認められ、忍容性も良好である結果が得られています。さらに、本剤の有効性及び安全性を評価することを目的とした国際共同試験が実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 では、委員の先生方から御意見等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただきます。なお、川上委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでございます。指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。こういった希少疾病に対する医薬品の開発に当たっていただいている製薬会社の方にも、心より感謝したいと思っております。
 続きまして、報告事項に移らせていただきます。報告事項の議題1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題1、医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。資料9-1~9-10までを御覧いただければと思います。今回御報告いたします品目については、メサペイン錠、ルボックス錠及びデプロメール錠、トレシーバ注、フェブリク錠の痛風、高尿酸血症に係るもの、また、フェブリク錠のがん化学療法に伴う高尿酸血症に係るもの、サムスカ錠、同顆粒、同OD錠、レボレード錠、エリキュース錠、ニュープロパッチ、トビエース錠でございます。これらの品目につきまして、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、承認拒否事由のいずれにも該当せず、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要のない「カテゴリー1」と判断されております。以上でございます。
○森部会長 それでは、委員の先生方から御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。では、報告事項の議題1につきましては、御確認いただいたものとさせていただきます。
 何か事務局から御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、令和4年8月4日木曜日、午後4時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。本日も御審議どうもありがとうございました。失礼します。

( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)