第7回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ (議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和4年10月5日(水)
10:00~12:00

場所

主婦会館プラザエフ スズラン

議事

下記のとおり
2022-10-5 第7回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ
 
○土屋専門官 ただいまから、第7回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
本来であれば、構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点を踏まえて公開の検討会として実施、従前どおり資料や議事録については厚労省ホームページで公開、ただし、傍聴については事前に御希望があった報道の方については体調不良がないことをあらかじめ御申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の方の傍聴はなし、YouTubeライブ配信ありという形での開催とさせていただくこととしております。構成員の皆様におかれては、あらかじめこの点について御了承ください。
今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とオンラインで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には遠藤構成員と加納構成員、そのほかの構成員の方にはオンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
また、オブザーバーとして総務省消防庁救急企画室救急専門官の飯田専門官にオンラインで御出席いただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。オンライン参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から手を挙げるをクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、手を挙げるを解除していただきますようお願いします。手を挙げるボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなど、表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1、2、参考資料1から3をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方におかれましては、厚労省ホームページより資料のダウンロードをお願いいたします。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は「救急・災害医療の見直しの方向性について」の一つでございます。
本日は、本ワーキンググループのこれまでの議論を踏まえまして、事務局から方向性の案が示されております。事務局から御説明いただきますけれども、その前に、加納構成員より関連して参考資料が提出されておりますので、まずは御説明いただく時間を取りたいと思います。加納構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○加納構成員 貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。少し説明させていただきたいと思います。参考資料1、日本の救急医療における民間病院の役割ということで少し説明させていただきたいと思います。
スライドの1のところ、全国に占める割合で見ると、「2・3・4、8・7・6」の法則と勝手に私は称して説明させていただいている文言がございます。これは何を示しているかといいますと、病院数、今回、コロナで非常に有名になりましたが、病院の8割は民間病院であるということと、病床数の7割は民間病院、また、救急搬送の約6割は民間病院が受け入れていることを簡略化して分かりやすい言葉で示したものであります。公より民が日本の医療を結構実際は支えているのではないかということが確認できる言葉だと思っております。
2ページ目のところに、その根拠となる数字、ベッド数等が書かれております。最新のもので書かせていただいております。
3ページ目を見ていただきますと、これは令和3年度版の救急救助の現況という形で総務省が毎年出していただいている数字から、このパーセントを取っております。それぞれの都道府県における国立、公立、公的、それから、民間医療機関という区分けで毎年総務省がきっちりと搬送数を都道府県別にこういった形で提示しております。これを見ると、公的の中には日赤、済生会等が入ると認識しておりますが、民間病院の受けた数もこれで確認できるということで、真ん中から右の3分の1のところにパーセントで表しているところ、それぞれの割合として各都道府県別に集計させていただきました。
スライド4を見ていただきますと、これは実は民間病院が救急搬送受け入れの50%を超えているエリアの都道府県でございます。20の都道府県がございます。スライド5を見ていただきますと、それぞれの都道府県の名称が出ております。70%を超えているところが5都府県ございまして、60%、50%を超えるところという形で県名を出させていただいております。実は民間病院が救急車受け入れを50%以上、公よりは民間が急性期を主体的にやっているエリアと考えていいかと思うのですが、そこの日本の人口に占める割合、実はこの65.4%、日本の総人口の3分の2のエリアは民間病院が主体で救急を担っているということが出ているかと思います。
これは逆もありまして、次の6ページのところには、逆に27の県においては公が頑張っているところという形で表現していいのでしょうか、7ページのところに70%を超えるエリアの県、60%を超える県、50%を超える県という形であります。やはり今の診療報酬で考えますと、おのずと救急医療を維持して運営していくには、やはり人口密度の少ないところでは厳しいことは分かることだと思いますし、その結果、やはりそこは公的病院がしっかりと医療を支えなくてはいけないということで、公は救急車に占める割合は増えていると私は認識しております。
ただ、例外的に、パッと見て分かると思うのですが、愛知県が入っているのです。人口密度が高いのに、なぜか愛知県が公的病院が主体、6割ですかね、ほぼ公が受けているというエリアになってしまっています。これは実は理由がございます。愛知県といえばトヨタというイメージがあるかと思うのですが、トヨタ一社だけではないのですが、トヨタに関連する会社による税収入等が増えますと、やはりそこの自治体が裕福になるという現象が起こります。自治体が裕福になると、今、自治体の首長さん、市長さんなり知事さんなりは何をするかといいますと、唯一箱物行政で許されている、また、県民、市民にも喜ばれる病院の建替え等々を進めるという、どうもそういう流れができてしまっております。
その結果、愛知県においては例えば小牧市民病院という有名な公立病院ができますと、周りの5つあった民間の救急病院は全部つぶれました。淘汰されてしまうという現象が起こるということで、このことによって愛知県に関しては人口密度が多いのに、やはり民間が負けてしまう結果になってしまっているということであります。愛知県を除くと、日本の人口に占める公が主体的でやっているところは28.6%の人口、4分の1の人口エリアはやはり公が支えなくてはいけないのかなということであります。
それを分かりやすくしたのが8ページの表であります。左が民間優位、右は公的優位の都道府県です。富山県などを見ますと、民間病院の救急車受け入れの割合はわずか8%であります。左の民の優位の埼玉、東京、福岡、大阪等では8割近くは民が受けているという差があるということで、国会議員の先生方もどちらかの出身で背景を考えますと、それぞれの言う立場が変わるというのは、こういう背景があるということで御理解いただきたいと思います。
今後、高齢者が増えるに当たって、次のスライド9、これはもう前に、2025年に備えて今後増えるであろう高齢者の割合で、ブルーが今の状況で、かつこれから増えるのが上のオレンジ色という形であります。
次のスライド10を見ていただきますと、これが2040年まで、2015年から比較しますと、薄い色のところがこれから高齢者が増えるところでありますし、高齢者の占める割合で並んでいるわけなのですが、こういう状況で、これから2040年までに534万人が増えるわけです。その中で、ピンクのゾーンのところ、ピンクは実は民間が主体で救急を担っているエリアです。ということは、これから増えるピンクのゾーンの高齢者の人口というのが実は80%を占め、これから増える人の80%のエリアは民間主体のところで高齢者が増えるということで、今後、二次救急が高齢者救急といえば、やはりこの二次救急を特に民間主体で維持することが、今後の20年間、我々にとって大事な役割ではないかということであります。
そこでちょっと気になるのは、先ほど申しましたピンクのゾーンの前のほうに3本ほどブルーが入っているかと思いますが、これを見ていただくと先ほどの理論どおりで、一番上が愛知県、次が静岡県、次は広島なのです。上から言えばトヨタ、静岡はホンダ、スバル、広島はマツダという、まさしく日本の基幹産業が車だということが分かりますし、自動車産業により自治体が裕福だと、どういうわけか、やはり民間病院が淘汰されてしまっているということも分かるかと思います。今後の高齢者に関して、大きく高齢者人口が増えるエリアでは民間病院が頑張っているという視点で考えていただきたいということであります。
次のスライドは2021年10月に提示したものであります。これは実はコロナ禍において民間病院が非常に頑張っていたということを示すために出しました。ずっとページを見ていただきますと、14ページは大阪の推移という形で、当初、大阪でも民間病院は無理でした。これはやはりマスクもなければ消毒薬もない、PPEもない中で8割の民間病院が受け入れられなかったということであります。私の病院は当初から2009年の新型インフル対策でちょっと備品を持っていましたので受けましたけれども、そういうことがない多くの病院は受けられなかったというのは事実だと思いますし、そこは公が先導的に受けたというのは事実だと思います。このクロスしているとおりで、やはり民間がしっかりと体制が整えば参加していける、つまり支援金等やPPE等が揃えば右上がりできれいに上がっていることが分かっていただけるかと思います。
その次のページが、実際にコロナ患者の受け入れた人数です。第3波の途中以降はもう民間が大阪では主体的に受けております。六十数パーセントを受けるというのが民間主体でございます。これは後でまた一番近い数字も出てきますので流していただいて、あと、重症患者のほうも結構民間が診ていたことが、これで分かるかと思います。
次に沖縄県、これは沖縄の第1波ときから2波以降までの経緯を見ていただいたのですが、沖縄も実は民間が頑張っていたというのが数字的に分かっていただけます。
最後に、23ページに東京都の数字が出ております。これは私立大学病院、民間病院を合わせますと、ほぼ50%であるということで、やはり民間が頑張っていた。そういったサマリーを書かせていただいております。
あと、数字的な分かりやすいページとして、26、27には、それを経時的に追った数字を出させていただいております。
近々の状況を28ページ以降に書かせていただいていますが、これが今の数字でございます。途中で折れ線グラフがぐちゃぐちゃとなっているのは、絶対数が少なくなって、患者さんが一桁台になりますと、こういうクロスするところが出てきたのですが、主にずっと経過を見ていただきますと、民間のシェアが圧倒的に高いということで、大阪では自治体立の3倍以上の数を民間が受けていたということでございます。
その集計が、最終的に34ページ、第7波までの集計を書かせていただいております。ここで占めている民間病院の割合が赤の中に入っておりますが、本当に3波以降、準備が整い次第、しっかりと民間病院が頑張ったということだと認識しております。
最後のスライドは当院の病院の問題でして、第7波においては、35ページに書いてある大阪府からの指示により、例えば脳梗塞で救急患者が来て、後でコロナと分かったら、原則コロナ病床に入れないでくれという指示が出ましたので、36ページは実は先ほどの集計に漏れた状況がこのように出たということを確認する数字でございます。赤線のところが実際に当院で受けた、一番ピークのときは1日50名までコロナ患者の入院を受けたわけなのですが、そのとき大阪府への報告では20名ぐらいになっていたという形で、そういう意味で、ここらの推移が乖離しているのを認識しなくてはいけないということで御理解いただきたいと思います。
一応、民間病院のほとんど、今回、大阪で受けた病院の9割以上が二次救急病院でございました。二次救急病院が今回のコロナで対応したことは非常に評価されるべきではないかと思っておりますし、この前から気になっているのは、今回、新興感染症の対策として国公立で体制を組むという話が出ましたが、大阪においては、実は先ほど見ていただいたとおりコロナ患者受け入れの六十数パーセントが民間でありまして、この中で、今回の対象となっている地域支援病院というのは2割なのです。そうすると、残りの8割でいきますと、大阪においてはコロナを受け入れた数の5割、半分以上は、今回発表された中には入らない可能性が出てくるということになりますので、新興感染症が新たに起こったときの対策として、それでいいのかどうかということもちょっと検証していただきたいかなという資料になるかと思っております。また、その資料に関しましては提供させていただきたいと思っております。
以上です。貴重な時間をありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
救急医療とコロナ対応に関する民間病院の役割について御報告をいただきました。
ただいまの御報告について御意見等がおありになるかと思いますけれども、これから事務局から資料の説明をいただきますので、それとまとめて意見交換をしたいと思います。
それでは、事務局から、資料の1「第8次医療計画における救急・災害医療の見直しの方向性について」、資料の2「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループにおける意見の取りまとめ(案)」、この2つについて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○土屋専門官 資料について御説明いたします。
資料1、2ですが、資料2については資料1の内容のうち対応の方向性と指標例を転記したものとなります。
それでは、資料1「第8次医療計画における救急・災害医療の見直しの方向性について」です。まず、救急医療について御説明いたします。
1ページが目次ですけれども救急医療(1)から(4)までございます。
2ページを御覧ください。(1)救急医療機関の役割、論点としましては、救急医療機関の役割について、加納先生の資料にもございましたけれども、特に増加が見込まれる高齢者の特性も踏まえてどのように考えるかでございます。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。救急医療機関の役割、高齢者の救急搬送が増加していく中で、第二次救急医療機関は地域で発生する高齢者救急の初期診療と入院治療の主な受け入れ先を担い、第三次救急医療機関は重篤患者に対する高度な専門的医療を総合的に実施することを基本としつつ、複数診療科の介入を要する症例や診断が難しい症例等、ほかの医療機関では治療の継続が困難な救急患者の受け入れを担う。特に高齢者の患者が帰宅する際には、受診後に安心して生活できるよう、生活の留意点に関する指導や必要な支援へのつなぎを進める。
下り搬送の促進、高次の医療機関からの下り搬送を促進する。具体的には受け入れ先となる医療機関と患者を受け入れる際に必要な情報や受け入れ可能な時間帯、搬送方法等についてあらかじめ共有しておく。
その他、高度救命救急センター等の地域の基幹となる救急医療機関は、平時から重症外傷等の特に高度で専門的な知識や技術を要する患者へ対応可能な人材の育成、配置、院内の体制整備を行い、地域における重篤患者を集中的に受け入れる役割を担う。厚生労働省が実施する外傷外科医等養成研修事業を活用して、テロ災害発生時等に対応ができる外科医等を増やす。
こちらに関連して1つ目の※外傷外科医養成研修事業を修了した医師看護師数を指標とする。こちらを指標例として御提案させていただいております。
2つ目の※ですが、生命予後だけではなく、病院前救護活動から救急医療、救命後医療の全てにおいて総合的な取組が行われた結果を評価するために心原性心肺機能停止患者(一般市民が目撃した)のうち、初期心電図波形がVF、または無脈性VTの1か月後社会復帰率をアウトカム指標に追加すると御提案させていただいております。
3ページを御覧ください。(2)居宅・介護施設の高齢者の救急医療、論点としましては、医療関係者、消防関係者、介護関係者が居宅介護施設の高齢者の意思に沿った救急医療について連携・協議する体制を構築するべきではないかでございます。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。医療関係者、介護関係者は地域包括ケアシステムやACPに関する議論の場等において、患者の希望する医療について必要なときに確認できる方法について検討する。
自治体や医療従事者等は患者や家族が人生の最終段階において、どのような医療を望むかについて日頃から話し合うことを促す。
ACPに関する議論や救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針等は、例えば救急医療の関係者や地域包括ケアの関係者、消防関係者等、地域の関係者がそれぞれ実施する会議を合同で開催するなどにより地域の関係者が協力して検討する。
※ですけれども、こちらはACPに関する議論が進み、それぞれの関係者が患者の希望する医療について議論をした結果として、心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針を定めている消防本部の割合を指標とすると御提案させていただいております。
4ページを御覧ください。ドクターヘリ・ドクターカーについて、論点としましてはドクターヘリの広域連携の推進についてどう考えるか、ドクターカーの今後の活用についてどう考えるかでございます。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。ドクターヘリについて、都道府県はドクターヘリが同時に要請された際や、都道府県境付近の患者からの要請時により効率的な対応ができるよう隣接都道府県と協議し、効率的な広域連携体制を構築する。
ドクターカーについては、地域にとって効果的な活用方法を検討するため、まずは全国の様々な運行形態を調査し、ドクターヘリとともに救急医療提供体制の一部として、より効果的に活用する。
5ページを御覧ください。(4)新興感染症蔓延時における救急医療、論点としましては、新興感染症への対応と救急医療をどのように両立していくべきか。平時から人材育成をすることについてどのように考えるか。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。救急患者を受け入れるために必要な感染対策を講じることができる人材を平時から育成する。
医療機関は救急外来の需要が急増した際に、外来機能を拡充する方法について平時から検討する。
救急外来を受診しなくても済むような電話等による相談体制及びオンライン診療を実施する体制を平時から充実させ、新興感染症の蔓延により救急外来の需要が急増した際にも対応可能な体制を整備する。
加納先生からの資料にもありましたけれども、救急患者を地域全体で受けとめられるよう、新興感染症発生時に救急医療機関が通常の救急患者に対しても適切な医療を提供できるよう、第二次救急医療機関や第三次救急医療機関及び地域全体において必要な体制を構築する。
精神疾患を有する患者、小児、妊婦、透析患者等、特に配慮を要する患者を含め、新興感染症蔓延時に受け入れる医療機関について、あらかじめ地域の実情に応じて検討する。例えば一旦患者を幅広く受け入れ必要な処理を行った上で、入院が必要な際にはほかの医療機関に転院させる外来機能に特化した医療機関の整備や、患者や医療人材を集めて対応する大規模な医療機関の整備、第二次救急医療機関や第三次救急医療機関に患者を分散して対応する体制等、地域の実情に応じた体制を平時から検討する。
6ページを御覧ください。救急医療体制の構築に係る指標の見直しとして考え方とこれまで※でお示ししていた新たに追加する指標(案)をお示ししております。
7ページを御覧ください。こちらは今回指標例として追加を御提案させていただいているものを含めた救急医療体制構築に係る現状把握のための指標例の一覧となります。従来の指標にストラクチャー項目、病院前救護活動の機能のところに心肺停止を望まない心肺停止患者への対応方針を定めている消防本部の割合、救命救急医療機関の機能のところに外傷外科医養成研修事業を修了した医師・看護師数、全体のアウトカム指標として心原性心肺機能停止傷病者のうち、初期波形、心電図波形がVF、または無脈性VTの1か月後社会復帰率を追加しております。
以上、救急医療部分の御説明をさせていただきました。
○大山専門官 引き続きまして、災害医療の部分について資料を説明させていただきます。災害医療は資料8ページにありますとおり(1)から(2)の項目に従って説明させていただきます。
(1)保健医療活動チームについてです。論点は災害時等における災害派遣医療チーム(DMAT)、災害派遣精神科医療チーム(DPAT)、災害時に特に必要となる看護師の派遣や活動をより円滑化するためにはどのような対応が考えられるか。災害医療コーディネーターや各種保健医療活動チームの連携をより強化するためにはどのような対応が考えられるかでございます。
いただきました御意見を踏まえた対応の方向性です。DMAT等の位置づけの明確化、DMAT等の派遣や活動を円滑化する観点から、所属医療機関における隊員の活動に対する理解がより得られ派遣しやすくなり、また、研修や訓練に参加しやすくなるような仕組みの明確化について検討を進める。
DMAT、DPATは災害時のみならず、新興感染症の蔓延時における感染症患者の入院搬送の調整や感染症専門家と協力し、クラスターが発生した施設等における感染制御等の活動に対する支援を実施する。こちらに関連してDMAT感染症研修を受講したDMAT隊員の隊員数及び割合を指標例に追加することを提案しております。
DPATの業務として新興感染症対応を明確に位置づけるために活動要領の改正を行う。
続きまして、資料10ページになります。こちらは多職種連携です。災害時において、都道府県は様々な保健医療活動チームと協力することが必要であることから、災害時に円滑な連携体制を構築可能にするため、保健医療福祉調整本部の下、様々な保健医療活動チームとともに訓練を実施し、災害時におけるそれぞれの必要な役割を確認する。
被災都道府県は大規模災害発生時に都道府県の関係課及び保健所の職員、災害医療コーディネーター、災害薬事コーディネーター等で構成される保健医療福祉調整本部を設置し、当該本部は保健所、DHEAT、各種保健医療活動チーム(DMAT、DPAT、日本医師会災害医療チーム(JMAT)、日本赤十字社の救護班、独立行政法人、国立病院機構の医療班、全日本病院医療支援班(AMAT)、日本災害歯科支援チーム(JDAT)、薬剤師チーム、看護師チーム。保健師チーム、管理栄養士チーム、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT))等との連絡及び情報連携を行うための連絡窓口を設置し、災害時における保健医療福祉活動の総合調整を行う。
都道府県は災害時の保健医療提供体制を効率的に調整するため、都道府県の保健医療福祉調整本部に配置される都道府県災害医療コーディネーターと保健所、または市町村における保健医療活動の調整等を担う本部に配置される地域災害医療コーディネーターの両者を整備する。こちらに関連しまして、既存の指標例の災害医療コーディネーター任命数を廃止し、都道府県災害医療コーディネーター任命数と地域災害医療コーディネーター任命数を指標例に追加することを提案しております。
続きまして、資料11ページになります。災害時に拠点となる病院、拠点となる病院以外の病院です。論点は災害拠点病院、災害拠点精神科病院を今後さらに整備していくためにはどのような対応が考えられるか。災害時に拠点となる病院と拠点となる病院以外の病院との連携をどのように進めていくべきかです。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。災害拠点病院や災害拠点精神科病院について地域の実情に応じて引き続き指定を進める。
精神疾患を有する患者、小児、妊婦、透析患者等、特に災害時においても配慮を要する被災者に対応できる体制構築について平時より検討する。
災害時に拠点となる病院以外の病院においては、災害発生時に自院にいる患者への診療を継続するために、平時から業務継続計画(BCP)を策定した上で、施設の耐震化や自家発電機の整備、また、燃料の備蓄等を含めた必要な防災対策を実施するほか、EMISを用いて災害時に自らの被災情報を発信できる体制の構築を徹底し、災害時には災害時に拠点となる病院とともに、その機能や地域における役割に応じた医療の提供を努める。
こちらに関連して、災害時に拠点である拠点となる病院以外の病院における自家発電機の整備率を指標例に追加することを提案しております。
これらの取組が進むように、都道府県は平時より都道府県防災会議や災害医療関連の協議会等において、災害医療コーディネーターや災害拠点病院を含む地域の医療機関の代表者、そのほか、地域の災害医療に関する関係者とともに関係機関の役割、医療機関間の連携について確認する。
続きまして、資料12ページになります。止水対策を含む浸水対策についてです。論点は災害拠点病院等における豪雨災害の被害を軽減する体制の構築を検討すべきではないかです。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する災害拠点病院は風水害を生じた際の被災を軽減するため、止水板等の設置による止水対策や自家発電機等の電気設備の高所移設、排水ポンプの設置等による浸水対策を講じる。
浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在するその他の医療機関は浸水対策を講じるように努める。
こちらに関連して浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において、業務継続計画(BCP)を策定している病院のうち、風水害を対象とした業務継続計画(BCP)を策定している病院の割合を指標例に追加する。浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において浸水対策を講じている病院の割合を指標例に追加することを提案しております。
風水害も含め災害時に医療活動が真に機能するために、都道府県は地域防災会議や災害医療対策関連の協議会等に医療機関の関係者の参画を促進する。
業務継続計画(BCP)の策定は地域における医療機関の役割やライフライン復旧対策等、他機関、行政、消防、関連業者等を含めた地域全体での連携協力が必要であるため、地域防災計画等のほかのマニュアルとの整合性を取る必要があり、医療機関が独自に策定するのは難しいことから、地域の防災状況や地域における連携を研修内に組み込んでいる厚生労働省実施のBCP策定研修事業等を活用し、実効性の高い業務継続計画(BCP)を策定する。
続きまして、資料13ページになります。医療コンテナの災害時における活用についてです。論点は過去のサミット等における医療コンテナの活用実績を踏まえ、災害時に医療コンテナの活用が普及するための方策を検討すべきではないかです。
いただいた御意見を踏まえた対応の方向性です。災害訓練や実災害時において医療コンテナを活用し有用性を検証する。都道府県や医療機関は災害時等において、検査や治療に活用する。具体的には災害時の医療提供体制を維持するために医療コンテナ等を活用し、例えば仮設診療所の設置や被災した病院の施設の補完等を行う。
続きまして、資料14ページになります。こちらは災害医療体制構築に係る指標の見直しについての考え方と新たに追加する指標例を今までの資料で述べたものをまとめたページになります。
続きまして、資料15ページになります。こちらの資料は災害時における医療体制構築に係る現状把握のための指標例(案)をこちらの表に第7次医療計画に示したものを修正しましてお示ししております。
上から順番にいきますと、災害時に拠点となる病院以外の病院のストラクチャー指標のところに自家発電機の整備率を入れております。こちらは災害時に拠点となる病院以外の病院についても防災対策を進めることが必要という考え方から入れさせていただいております。
続きまして、少し右にずれますけれども、都道府県の欄にDMAT感染症研修を受講したDMAT隊員の隊員数割合をストラクチャー指標として追加しております。こちらは新興感染症蔓延時に活動可能なDMAT隊員の養成が必要と考えております。
その下に都道府県災害医療コーディネーター任命数及び地域災害医療コーディネーターの任命者数を示しております。こちらは災害時の保健医療提供体制を効率的に調整するため、都道府県の保健医療福祉調整本部に配置される都道府県災害医療コーディネーターと保健所、または市町村における保健医療活動の調整等を担う本部に配置される地域災害医療コーディネーターの両者を整備することが必要と考えております。
その下、少し左にずれますけれども、災害時に拠点となる病院、災害時に拠点となる病院以外の病院を対象としましたストラクチャー指標としまして、浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において、業務継続計画(BCP)を策定している病院のうち、浸水を想定した業務継続計画(BCP)を策定している病院の割合、浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において、浸水対策を講じている病院の割合を入れております。こちらは近年頻発している風水害による被害を踏まえ、医療機関における浸水対策が必要と考えております。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑応答をしたいと思いますけれども、事務局からは資料1のほかに資料2が提出されておりますが、資料2について特段説明は不要ですね。資料2というのはただいまの資料1の中にありますいただいた御意見を踏まえた対応の方向性、それから、指標例が出ておりますので、これをそのまま転記したものでありますので、内容的には資料1でございますので、これからの御議論は資料1をベースに意見交換をしたいと思っております。また、最終的には、本日、資料2のような形でワーキンググループの意見の取りまとめをしたいと思っておりますので、そういうような観点からも御意見をいただければと思っております。なお、先ほど加納構成員から御説明があった内容についても、もちろん御議論の対象としていただいて結構です。
それでは、いかがでございましょうか。御意見等を承りたいと思います。
野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 これは全ての項目に対して話すという形でしょうか。それとも項目ごとに分けてという形ですか。
○遠藤座長 全体で結構です。お願いいたします。
○野木構成員 それでは、私のほうから簡単に言わせていただきます。
1番の救急体制、医療機関の役割につきましては前回も話しましたけれども、やはり国民目線で見たときに何が必要なのかということを二次救急、三次救急ということよりも、国民が何を要求しているのかということを明確にして、その中で、二次が本当にたくさん要るのか、三次が本当にたくさん要るのかということを検討するべきだと思います。
以前話しましたけれども、私の2歳の孫のケースですけれども、本当にいつ何があってもたらい回しです。外科に行ったら小児は診られません、小児のほうに行ったら外科は診られませんという形で本当にたらい回しになっている現状にあります。ちゃんと国民から考えれば、すぐ見てもらえる、救急隊が来て、救急隊がどこに行くべきなのかをすぐに判断できる形にしてもらわないと、救急医療としては成り立っていかないのではないかなと思います。特に土日と休日体制に関しましては、ドクターカーとかドクターヘリも大切なことですけれども、やはりその辺を重点的に考えていくべきではないかと個人的には思っております。
あと、災害のところ、例えば9ページにあるのですけれども、「いただいた意見を踏まえての対応の方向性」「DMAT等の位置付け・明確化」と書いてありますが、下の2つ目の〇項目では「DMAT・DPAT」と記載されているのですが、1つ目の〇項目では「DMAT等」と記載されています。ですから、「DMAT・DPAT」としていただかないと、個人的にはDPATの事務局長としてやっていますので、下には「DMAT・DPAT」と書いて、上には「DMAT・DPAT」と書いていないということです。そこを何とかしていただきたい。それから、「DMAT等の位置付け」というのはどういうことを指しているのか明確化していただきたい。
最後に、災害拠点精神科病院を今後さらに整備していくためにはどのような対応が考えられるかということですけれども、基本的には一般科の災害拠点病院については診療報酬上とか、いろいろな面で病院を優遇している部分がありますけれども、災害拠点精神科病院についてはそういうものが全くないということが一つあります。それから、基本的には精神科病院の経営母体の90%におよぶ数が民間です。ここも加納先生がちょっとおっしゃったように、災害拠点精神科病院もやはり民間がやっていかないといけない部分がありますので、その辺の配慮をされないと、絶対にこれは進んでいかない。国公立だけに頼んでいたらこれ以上増えない可能性が高いと思います。つまり国公立にこれ以上頼ることは現実的ではなく、これからは民間精神科病院への参加の呼びかけが必要だと考えます。
最後に、細かい話です。災害時のコーディネーターの数を増やすのはいいと思いますけれども、こういうコーディネーターは専門職なので、基本的には2年間の任期が終わったら全員入れ替えますという形では災害には絶対に対応できないのです。そういう意味ではコーディネーターは熟練の方をつくっていって、災害時にはそういう方が出てくるとしていかなくてはならないと思います。
以上です。長くなってすみません。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
御意見ではありましたけれども、事務局、何かコメントがあればお願いしたいと思います。
○中村室長 ありがとうございます。
いただいた御意見、例えば最初の国民が何を要求しているのかの視点からしっかり土日・休日も含めた救急体制を構築することが必要であるということはそのとおりだと思います。こちらは地域全体の中で役割分担をしながら、どのような対応をそれぞれの医療機関でできるかということを今回の趣旨で考えているところでございます。
あと、DMAT、DPATのところでございますけれども、そちらについても、DMAT等の等のところにDPATも含まれている趣旨でございますので、こちらの記載ぶりについては検討させていただきたいと考えているところでございます。
それから、災害拠点精神科病院をどのように後押ししていくかということですけれども、こちらもどのようなことができるかということも含めて検討させていただければと考えております。
それから、コーディネーターのことです。こちらも継続的に対応できる体制が必要ということですけれども、それも非常に重要な御意見だと思いますので、そういったことができるような仕組みなどを考えていければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
田中構成員、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 台風15号が静岡県を襲ったのですけれども、被害はほぼ静岡市に集中していまして、大雨の被害として病院に対する浸水はありませんでしたが、断水がありました。断水は旧清水市、現在の清水区の浄水場の取水口に土砂がたまって、6万戸が断水して、現在もまだ1,000戸断水している状況ということです。透析の患者さん達を清水区から葵区の病院に移して対応しました。
それと、もう一つ大きいのが停電でして、この停電は12時間続いています。夜中に送電線の鉄塔が倒れたのですが、中部電力がそれに気がついたのが10時ということで、原因究明に8時間かかりました。その後、4時間で復旧しているわけですけれども、結局12時間停電が続いたということになりました。これで当院は地下にある発電機がフル稼働で14時間動いたのですが、そうすると、想定外のことが起こりました。地下の天井というのは一般の事務室のようにフラットではなくてでこぼこがあります。特に高いところに高温の空気が集まりまして、70度ぐらいに上がってアラートが鳴りっ放しになるというような状況で、長時間の地下の発電機の稼働というのがいろいろな問題を含んでいるのを初めて知りました。
そして、停電が終わった後、通電火災が実は発生しまして、病理部門の機械から火が出まして、消防の放水と、スプリンクラーによって、病理部門が使えなくなったということが起きました。これは病理の機械の中の電池が原因ではないかと消防署は言っているのですが、まだ結論が出ていませんので、また報告させていただきたいと思います。他の機械の中にも停電のときに対応できるようなシステムがあるのですが、そういうものが実は火災の原因になり得るというのを初めて知りました。きちんとした報告は消防の結果が出てからさせていただきたいと思っています。
○遠藤座長 貴重な御報告をありがとうございました。
それでは、溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 溝端でございます。よろしくお願いします。
まず、救急医療の部分で、特に修正ということではないですけれども、コメントとしまして、2ページ目に重度外傷に対する集中的に受け入れる役割を担う救急医療機関を整備していくということを入れていただきまして、この部分は大変重要なことだと考えていますので、ありがとうございます。
また、5ページ目に新興感染症のときに救急医療がどのように対応するかという論点が多くあるのですけれども、その中で、4つ目のところに、新興感染症の発生時にも救急医療が適切に提供できるように整備すると記載いただきました。この部分も重要で、新興感染症のときにいかに一般救急を維持できるようにしていくかということは大変重要な視点だろうと思っています。この意見を入れていただいたことを大変感謝しております。
意見ですけれども、救急医療の部分に関しまして、指標の部分になります。7ですけれども、今回の救急医療体制の構築の中では、地域に高齢者等が多くなって、救急医療の需要が逼迫していく中で、いかに効率的に医療を回していくかということが医療計画の中で重要な部分だろうと思います。
そういった意味で、一つは、追加された心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針を定めている消防本部の割合、これは大変重要な部分のストラクチャーかと思いますけれども、例えばそこに至る前の高齢者等がACPについての考えを決めているか、あるいはそれに対しての議論をする場を持っているかということがそもそも重要であって、それがあっての消防本部の対応だろうと思います。ですので、例えば地域包括ケアに関連する施設、高齢者施設等においてACPについての議論が行われている施設の割合とか、そういったものを入れていただくと、施設での万一のときの対応についての議論が進むのではないかなと考えています。
そして、もう一つですけれども、できるだけ救急病院、あるいは救命救急センター等における患者の回転率を高めようということで、転棟や転院調整をする者を常備配置している救命救急センター数といったものが一番右端の上に書かれています。これはもちろん重要で、24時間こういった対応していただける方が救命センターにいますとベッドの回転はよくなると思うのですけれども、例えばその結果としての調整の開始から転院までの日数が短縮したかとか、あるいは最終的に救命救急センターでは現況調査の中で応需率を公表しているかどうかといったことも評価に入れておりますので、応需率が上昇していっているかといったようなこともアウトカム指標に入れていくことで、全体の回転率の改善が得られているかどうかというものが確認できるのではないかと思います。
応需率に関しましては地域的に様々な事情がございます。地方のほうが応需率が高く、都市部では低いといったことがありますので、絶対的な応需率ではなくて、年度を通じて応需率が次第に改善していっているかどうかといったことの指標でよいかと思っています。
続きまして、災害医療の部分です。13ページに医療コンテナの活用がございます。既に論点のところで過去のサミット等におけるということが書かれていますので、今後の方向性の部分には入れる必要はないのかもしれないですけれども、コンテナの活用の部分で、1つ目に災害訓練や実災害においてとありますけれども、それに追加する形で要人対応医療や多数傷病者対応が予測されるイベントといったものも加えてもいいのではないかなと思います。
あと、指標の部分です。先ほども御意見がございましたけれども、都道府県災害医療コーディネーターの任命者数及び地域災害医療コーディネーターの任命者数が15ページの表のところに赤く追加ということで書かれています。この任命者数を指標に入れるということで、任命者数が多ければいいのかということになってくるのですけれども、決してそうではないと思います。
本日いただいた3つ目の参考資料です。補足資料としていただいたものの3ページ目に全国の都道府県別の災害医療コーディネーターの数が書かれております。例えば私がおります大阪府には118名のコーディネーターがいるということになっておりますけれども、これだけの数の災害医療コーディネーターが本当に実災害のときに活動できるだけの知識や研修、そして、大阪における災害医療体制をしっかりと把握できているかというと、少し疑問に思うところがあります。ですので、単に任命者数だけではなくて、訓練への参加率、あるいはコーディネーターの研修の受講率など、より実効的なコーディネーターをどれだけ養成しているのかというところを指標に入れていただいたほうがよろしいのではないかなと感じました。
多くなりましたが、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
御要望がありました。事務局、何かお考え、あるいはコメントがあればいただければと思います。
○中村室長 ありがとうございます。
様々な意見をいただきました。指標の例についての御提案など様々ありますけれども、どのような指標として実際に取得可能であるかとか、そういった点も含めて、どんな形で入れられるか、そういったことについて検討させていただければと考えております。
例えば災害医療コーディネーターが多ければいいというものではないということは、ごもっともだと思いますけれども、こちらについても指標の役割としては、県が自分自身の県として、どんな形でPDCAを回していけるかということが目的でございますので、指標に入れたもの全てが多ければいいという理念で入れているものではございませんけれども、どういった形で先生の御提案などを取り入れることができるかなど、また、ほかの先生方の御意見なども踏まえながら、もし、ほかの先生からの御意見などがございましたら、いただければと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
それでは、ただいまの議論も含めての先生方の御意見でも結構だと思いますけれども、続いて御意見を頂戴したいと思います。
坂本構成員、よろしくお願いいたします。
○坂本構成員 坂本でございます。私から幾つか意見を言わせていただきます。
まず、2ページ目の救急医療機関の役割のところで、今、溝端構成員からもございましたけれども、重症外傷について、これを項目立てしていただいたこと、これは重症外傷を診るためには院内の人的、あるいは設備的な整備が非常に負担になってきますので、これを集中的に行うということで、特に高度救命救急センターの役割としてそれを挙げていただいたことについて感謝したいと思います。
その上で、その指標として厚生労働省が実施する外傷外科医等養成研修事業に特定をされておりますけれども、もともとこの研修事業に先立って関連する学会が中心となり、そのひな型となるようなSSTTコース、DSTCコース、ATOMコースなど、様々な研修事業が行われておりますので、厚生労働省がどこまで把握できるかということで、厚生労働省が直接実施する事業に限るということが当面スタートとしてはやむを得ないかもしれませんけれども、これらを含めて事業等としてもう少し拡大していただきたいと思います。
それから、特にこれらの研修に対して講師として医師・看護師を派遣していることも非常に重要なことだと思いますので、講師の派遣も評価をしていただけるようにしていただければよろしいかと思いました。
それから、10ページのところでございますけれども、今、溝端構成員からは、災害医療コーディネーターについて単に数だけではなくて、研修への参加などの質的な部分の評価も重要ではないかというような御意見が出ましたけれども、もう一つ、やはり都道府県ごとということですので、都道府県の人口であるとか、あるいは二次医療圏の数によって必要とされる地域災害医療コーディネーターの数も全く異なってくると思います。規模の違う都道府県を単にコーディネーターの数という絶対数だけで評価するのは少し実情と離れるところもあると思いますので、二次医療圏の数であるとか人口当りの数も加味していただきたいと思いました。
それから、11ページのところで、拠点となる病院以外の病院についての災害時の役割ということがございます。これは災害拠点病院とそれ以外という2つだけに分けるというのではなく、後者においても、病院の機能を考えると、やはり災害時の果たすべき役割が異なってきます。この拠点となる病院以外という中に、例えば救急医療機関なのかそうでないのか、あるいは医療機能として高度急性期、急性期、慢性期、回復期のどの役割を日常的に担っているのか、あるいは病院の病床数の規模がどのくらいかということによって災害時に果たす役割、もちろん災害が非常に甚大であれば全病院が全て回復期も含めて災害に対応しなければいけないわけですけれども、やはり求められる役割がそこによって異なってくるので、平時における病院の役割、機能によって、災害拠点病院以外であっても、その果たすべき役割を分けて考えるべきではないかと考えました。
私からは以上です。
○遠藤座長 貴重な御意見をありがとうございます。
事務局、何かコメントはありますか。
○中村室長 ありがとうございます。
まず、指標の役割についての説明をさせていただきたいのですけれども、今回、もともと医療計画の指標例として挙げているものは都道府県が医療計画を進捗させる上で、自分の県の中での進捗状況を確認する、把握する上での指標の例として挙げさせていただいているものでして。ですので、今、先生がおっしゃるとおり、コーディネーターの必要な人数であるだとか、そういったものは都道府県ごとに全く異なるのは事実でございますので、自分の県の中で例えば数年前は何人だったのが今は何人まで育成しました、これはこの地域の二次医療圏の数からすると、ある程度充足したのではないかということを自分たちで判断できるようなものとして指標をお使いいただくことを想定しているものでございます。
あと、今いただきました災害時に拠点となる病院以外の病院の中にも様々な役割があるのではないかということですけれども、こちらの11ページのいただいた御意見を踏まえた対応の方向性の3ポツ目に関連する内容かと思います。我々としましてもそれぞれの病院は役割が異なると考えておりますので、こちらの3ポツ目の文章の最後のところですけれども、災害時には災害時に拠点となる病院とともに、その機能や地域における役割に応じた医療の提供に努めるということで、それぞれ自分たちの病院がどのような役割を担っているのかというようなことで、そちらに応じた対応をしていただきたい。
ただ、こちらの3ポツ目の冒頭のところに書いてあるように、やはり自院にいる患者さんへの診療とか、できるだけの防災対策をしながら継続していただきたいということで、このような記載にさせていただいているところでございます。
○遠藤座長 坂本構成員、何かございますか。
○坂本構成員 今の3ポツ目のところの御説明はよく理解できました。全ての医療機関が災害に対してのBCPを用意するべきだということに関してはそのとおりだと思います。
ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
猪口構成員、よろしくお願いします。
○猪口構成員 今の坂本構成員の話を受けて、ほかの病院もということですけれども、東京では災害拠点病院以外に災害拠点の連携病院、二次救急病院を災害のときの外傷患者も扱えるような指定の仕方をして、それのBCPも備えておりますけれども、やはり国のほうがそれを位置づけているわけではありませんので、連携病院に対してはそれほどの補助金が災害拠点病院ほど厚いものが出ているわけではありません。やはり国の計画の中にそうしたものが認められてこないと、災害業務全般に広がっていくというわけではないので、その辺のところは今後の進捗状況においては御検討いただきたいなと思います。
救急のほうでいきますと、4ページ目のドクターヘリ・ドクターカーなのですけれども、このドクターヘリ・ドクターカーに何かがあるというわけではありません。ただ、救急搬送というものは患者搬送の一つのカテゴリーという捉え方をいたしますと、前段のところの高齢者の救急医療とか、そういうところにも関わってくるわけなのですけれども、東京では病院救急車の保有を一生懸命進めております。それは高齢者の場合には急ぐわけではないけれども、なるべく早く運んだほうがいい。119番を呼ぶほどではないけれども、やはり医療監視下において患者さんを運ぶ必要があるということで、病院救急車の保有を進めておるところなのですが、今回のパンデミックにおきましても搬送に非常に役に立ちますし、災害時も多分救急を補うような形になるだろうと思います。
これまでの意見交換のところにあったわけではないので意見を言わなかったのですけれども、ぜひ救急の中、もしくは高齢者医療の中において、病院が救急車保有を促進するような施策を盛り込んでいただく計画を入れていただくのがいいのではないかなと思っております。
それから、災害のほうに移りますが、感染症の教育を受けたDMAT隊員を指標とするという件なのですけれども、今、日本DMATの隊員の教育自体が、一般の病院、災害拠点病院において隊員を増やそうと思ってもなかなか講習を受けられる現状ではないのです。思ったように講習が受けられない。こういうものを指標にした場合には、受けられる、受けられないところの差が物すごく出てまいりますし、新規に災害拠点病院になったところには教育を絶対しなくてはいけないとか、いろいろな傾斜がついてしまう可能性がありますので、ぜひこれを指標とするならば、その教育体制を充実させていただきたい。
それから、1か所、DMAT事務局に講習がずっと集中しているのだろうと思いますが、もうちょっと幅広に教育できるようなシステムだとか、そういうものも一緒に加えていただけるとありがたいなと思っております。
最後なのですけれども、これも意見交換だとか、今までの方向性で問題・課題となっているというところに出てこなかったから私のほうがあまり発言しなかったことではありますけれども、東京においてはパンデミックを1回経験いたしまして、騒ぎに対して病床を増やしていくということを一般病床から転化・転用するという形でずっとやりました。これはパンデミックもそうでしょうし、災害医療もそうなるのだろうと思いますが、現実的に10万床あるベッドからパンデミック用にベッドを転用できたのは実は7,000床が登録している病床でもありますし、入院できるのは5,000人ぐらいがせいぜいだったのだろうと思います。要するに転用では限界があることがはっきり分かりました。
一方で、臨時医療施設というものをつくって、臨時医療施設の中にはタイプがいろいろあるのですけれども、今使っていない元病院のところに医療関係者を入れて使用した場合、それから、休眠している老健であったり、体育館をつくり直したものであったり、そういう臨時医療施設をつくった、これが結構有用だったのです。
今までの計画のほとんどが病院の転用、場合によっては災害拠点病院においては入院200%ぐらいがイメージであるなどという話も聞いたことがありますけれども、そんなことは現実的に無理だということがはっきり分かりました。ですから、今後の災害医療計画の中においては、臨時医療施設になるようなスペースを都道府県ごとにつくる。
この運用なのですけれども、現実的に言うと、発想的には公立病院だという発想になるかもしれませんが、現実的には民間病院がやったほうがはるかにうまくいったというのも東京の経験であります。ですから、サージキャパシティーとしての建物をつくっておくという計画をしておいて、運用に関してはじっくり考える必要があるだろうとは思いますけれども、こういったスペースを用意しておかないことにはなかなかうまくいかない。こういったところを災害用の訓練施設として民間の力で活用しておくということもあるでしょうし、いろいろな形の使用方法があると思いますが、ここに来て災害医療、それから感染医療に関しての発想の転換、要するに通常のものを使うというところから、それ専用のものを用意しておくというような発想に転換したらいかがかなと思います。これは議論にこれまで出てこなかったので言うチャンスがなかったのですが、話をさせていただきました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ただいまの御意見、あるいは新しい提案等々が出てまいりました。事務局としてのお考えがあればお聞かせください。
○中村室長 ありがとうございます。
まず、病院救急車の活用についての御意見をいただきました。病院救急車の活用につきましては、厚生労働省でもモデル事業というような形で病院救急車の活用など、使い方だとかの検証などを行っているところでございまして、そういったものも踏まえながら、どのような形で今後使っていけるかなど、検討を進めさせていただければと考えております。
また、DMATの研修を受けられるか、受けられないかということについて、いっぱいになって受けられないというようなお話もございますので、DMAT講習、これからそういうことがどれくらいカバーできるかといったことも併せて検討させていただければと思います。
あと、地域でまさにサージキャパシティーといいますか、どのような形で有事が起こった際に病床などを確保するかということについてですけれども、東京都で、どのようにやったかという御紹介をいただきましたけれども、おっしゃるとおり、そういうような例示なども示させていただくとか、そうしながら各都道府県で、例えば災害であれば都道府県防災会議とかの災害医療関連の協議会等において、災害医療の体制などを考えていただくことになると思いますので、県の中でやり方など考えていただくことになるのかなというように考えているところでございます。
○遠藤座長 猪口構成員、何かコメントはございますか。
○猪口構成員 病院救急車の件に関しては、モデル事業があるということで結構なのですけれども、指標に行くまでは当然、そこまで行く必要はないと思いますけれども、救急救命士が病院に所属することも可能となってきておりまして、病院救急車を利用した、要するに病院外の救急から始まるようなものも非常に重要になってくるのだろうと思います。初期救急の段階の往診だとか、それから、迎えに行くという部分も結構重要になってくると思いますので、病院救急車の活用みたいなものが計画の中に入ってくるというのが重要なところかなと思っています。
それから、最後のところのサージキャパシティーの件が都道府県に投げられるというのもそうなのですが、都道府県ではなかなか発想としてそこまで大きなものになかなかならないので、ぜひ国のほうでいろいろ検証をしていただいて、有用な方法であったなと、東京でやったり大阪でやったりいろいろなところがなさったと思いますけれども、そういったところを検証していただいて、臨時医療施設を平時から考えていくというようなところをぜひ都道府県に促していただければありがたいなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
続きまして、本多構成員。よろしくお願いいたします。
○本多構成員 埼玉県の本多でございます。
まず、救急医療の関係ですけれども、基本的に事務局案に賛成でございます。資料1の2ページに書いていただいておりますけれども、重篤患者に対する高度な専門的医療を総合的に実施することを基本としつつ、その後に複数診療科の介入を要する症例や診断が難しい症例など、ほかの医療機関では治療の継続が困難な救急患者の受け入れを担うということを三次医療機関の方向性に入れていただけたところは特にありがたいと思っております。現場ではまだ、いいか悪いかは別として、実態としてこういう必要性、一面はあると思いますので賛同いたします。
次に、災害医療についてでございます。これも基本的には事務局案に賛成でございますけれども、9ページのところでDMAT、DPATにつきまして、クラスターが発生した施設等における感染制御等の活動に対する支援を実施のところに、感染症専門家と協力しと入れていただきました。この辺は大事なところだと思いまして、入れていただいたことに感謝を申し上げます。
文言はこのままでもよろしいかとは思うのですけれども、一口に感染症の専門家といいましても、ウイルスなどの病原体の専門家もいれば、感染症の治療の専門家もいます。感染症の専門家といっても幅が広く、言葉としてはよいのかなと思いますが、私的には、ここはICDとか、ICN、特にICNが大事だと考えます。現場で実践をしていただいており、ICはインフェクション・コントロールですので、クラスターが発生した施設等における感染制御等の活動と書いていただいていますけれども、制御、もしくは施設や院内における管理を実践する専門家との協力が特に重要だという辺りがあると思います。文言としては幅広く含まれていますけれども、そういったイメージが大事ではないかなと思います。
指標として研修を入れていただいており、まず、研修からそういうメニューを入れていただくということで今後につながるかなと思います。一方、日頃の院内感染とか施設内感染を実践して苦労されている方々、これは完璧にやっても今回のコロナでも多かれ少なかれ院内感染は起こる部分のリスクは残っていて、皆さんは苦労されていますので、そういう日頃の実践を将来的に共有していくことが大事ではないかと思います。まず、研修からということで、指標のほうは一つ考え方としてよろしいかと思いますけれども、今後、そういった視点からの実践をより有効なものに高めていくために、どういった研修以外のものが必要なのか、どういう職種との連携が必要なのかという辺りが今後の課題なのかと感じます。
以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
大友構成員、お願いします。
○大友構成員 大友でございます。私からは4点お願いしたいと思います。救急医療のほうで2点、それから、災害医療で2点でございます。
まず、1点目が下り搬送の促進、ベッドの空床を確保する上で、下り搬送が滞っているためにお受けできない症例がたくさん発生する、そういうことで、この下り搬送は非常に重要でございます。
その中でいろいろ促進するとなっております。搬送方法等をあらかじめ共有となっていますが、実はここがかなり問題になっておりまして、転院する患者さんも決まっている、受け入れ先の病院も決まっているけれども、どの手段で搬送するかというときに、やはり消防の救急車を使うのは避けなければいけませんし、一方で、患者さんの病状によっては民間救急が適さない、それから、民間救急を使うと費用負担が患者さんにかかってきて、なかなかそれも支払えないという方もいらっしゃって。下り搬送の搬送手段に関して何らかの有効な対策を検討いただきたい。先ほど猪口構成員から病院救急車ということがありましたけれども、実は民間救急で運べない程、重症の場合、医師が同乗して病院の救急車で搬送することになるのです。医師と看護師が半日かけて運ぶわけですけれども、全くその対価がないという状況でやっておりますので、その辺りも御検討いただきたい。これが1点目でございます。
2点目は外傷外科医養成研修事業のことでございます。これを指標にしていただくのは大変ありがたいことでございますが、これは厚生労働省から日本外科学会に委託して実施している事業で、実はこの内容に関して企画、それから、実施を私が中心にやらせていただいているのですけれども、これはかれこれも5年間やられていて今年6年目になるわけでございます。
内容に関しまして、これは東京オリンピックに向けて、万が一テロが発生したときの爆傷や銃創患者に対して適切な外科治療が実施できる外科医を養成するというのが趣旨でございますので、各地域における重症外傷に対する高度な医療の提供ということは実は趣旨が違っておりますので、そこをどうするのか。この外傷外科医養成研修事業を修了した医師・看護師は把握していただいておりまして、国際的なイベントがあるときに、どの病院にこの研修を修了した医師がいるか、看護師がいるかというのを、その地域で公表する。これはいいと思うのですけれども、通常の重症外傷対応の話として、この指標というのはちょっとそぐわないように思います。
もしそういうことであるとすると、研修事業の内容もテロということでない内容に変えていく必要があるのではないかと思います。御検討いただければと思います。
それから、災害医療のところでコーディネーターのお話でございます。10ページの都道府県災害医療コーディネーターと地域災害医療コーディネーターそれぞれが重要である。全くそのとおりでございます。
それぞれ数というか体制が必要でございますが、そのために実は災害医療コーディネーターの活動要領を整備しなければなりません。その活動要領は、この検討会の前の検討会で策定されました。そのときに私が強く申し上げたのは、都道府県災害医療コーディネーターと地域災害医療コーディネーターでは役割が違うので、そのことをきちんと書き込むべきであると申し上げたのですが、なかなかそれはお受けとめいただけなかったところでございます。都道府県のほうは被災地の病院の調整等々を担うと思いますが、地域の災害医療コーディネーターは避難生活をしている避難所とか自宅に避難している方々に対する保健医療の提供となってまいりますので、おのずと違うので、きちんと両者を整備する必要がありますので、活動要領をもう一度確認いただいて、必要に応じて見直しをいただきたいと思います。
4点目でございます。災害時に拠点となる病院以外の病院のBCPでございますが、これは非常に重要なことです。東日本大震災や熊本地震、その後の風水害等々においても、災害拠点病院はBCPの策定が義務化されて、全ての災害拠点病院はBCPを持っているわけでありますけれども、それ以外の病院が被災して、これは必ずしもその病院の特性にかかわらず、慢性期の病院も含めて被災することによって、そこに入院患者さんがいて、そうすると、全病院避難ということになって、それに対する支援というのは大変な負担になるわけでございます。ですから、災害時に何か新しく診療をやってもらうということでなくて、病院が生き延びるということが実は大事になってまいりますので、全ての病院がBCPを持っている、少なくとも自家発電装置等々は整備している必要があるということで、これは非常に大事なことだと思っております。
東京都においては、先ほど猪口構成委員からお話がありましたけれども、災害拠点病院以外の災害拠点連携病院にもBCPの策定をお願いしたわけでございますが、その病院の代表の病院長から、いやいや、我々は拠点病院ではないのでBCPの策定ということを要求されても、そういうような余裕はないというようなお話がございました。ただ、それに対して、病院が生き延びないと患者さんや職員の命を危険に曝すことになるのですよというようなことで説明をさせていただきました。ということは、多くの病院でこれから自家発電装置等々の整備をしていかなくてはいけないわけでございます。それに対して、各病院が自分たちの財政的な余力でやるのはなかなか難しいので、相当の財政的な支援が必要だと思います。今現在ある財政的支援は2億9000万円ということですけれども、全く足りないと思いますので、拠点となる病院以外の病院においてBCPの策定を進めていくのであれば、それなりの財源が必要だろうと考えております。
以上、4点でございます。
○遠藤座長 貴重な御提案・御意見をありがとうございました。
今の4点について事務局で何かコメントはございますか。
○中村室長 ありがとうございます。
いずれも非常に重要な点だと考えておりますので、どのようなことができるか考えさせていただきたいと思います。例えば下り搬送にはどういった方法があり得るのかとかいうことは、事例なども聞きながら考えていければと思います。
外傷外科の研修は、こちら、先生とも御相談させていただきまして、今後どういう形にしていければとか、そういったことを御相談させていただければと考えております。
あと、コーディネーターの地域と都道府県の役割については、活動要領の中で確かによく読むと分かるぐらいの形で明確には伝わりづらかったというところが、もしかしたら、今の県における配置の差などにつながっていた可能性もございますので、今回、この指針の中にもそれをしっかり入れていくということ、あと、活動要領自体を先生がおっしゃったようなどんな形にできるか、そういったことも含めて検討させていただければと思います。
BCP策定、それから、災害拠点病院以外の病院の防災対策について、例えば自家発電機の整備だとか、そういったことにどういった支援がこれからできるか、そういったことも含めて検討させていただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大友構成員、よろしゅうございますか。
○大友構成員 ぜひよろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 資料1のページ2及び9、救急についてと災害について、1点質問、1点意見ということでお話をさせていただきたいと思います。
まず、救急に関して、意見でございます。これまでの議論でも発言させていただいておりますが、救急外来を含め、医療提供する上で看護提供体制が大変重要であることは今回の新型コロナウイルス感染症の対応によっても広く社会で共有されたことと認識しております。
本日の資料の5ページでも平時からの体制づくりについては触れておられるところでございますが、今まで共有させていただいたように、救急外来に特化した看護師の配置基準等は現在ございません。2020年の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会でもこういった実態を説明し、その整理において、今後、新たな検討会が開催され、調査・研究を行い、議論し、必要な措置を行うこととされていることは認識しているところでございますが、医療計画においても、救急外来に特化した看護師の配置等については一定の記載をしていただく必要があると考えております。
救急外来に看護師が配置されることで、これまでワーキングでほかの構成員からの御意見、また、今日の構成員の御発言にもありましたが、高齢者の患者のみならず受診後に安心して生活できるよう、生活の留意点ですとか指導等を行いながら、必要な支援へのつなぎを進める取組が推進されることも期待できると思います。
そこで、今回示された取りまとめ案のページ1の救急医療の対応の方向性、①医療機関の役割分担についての4つ目の○の文章に一部追記し、高度で専門的な知識や技術を要する患者へ対応可能な医師・看護師等と明確に御記載いただきたいと考えております。また、これに関連し、指標にも専門性の高い看護師を含めた救急外来への看護師の配置等について明確に御記載いただけないかと考えております。
次に、災害に関して、9ページでございます。前回、災害時において特に課題となる「看護師をより確実に派遣するため、DMAT等と同様、都道府県知事と医療機関との協定を改めていくことについてどのように考えるか」ということが論点の一つと挙げられており、議論が行われたと認識しているのですが、本日の資料には、その点の記載がございません。現在、一体的な検討がされていることは承知しておりますが、本ワーキングの取りまとめ案との関連性をどのようにしていくのかについて、事務局から御説明をいただきたいと考えております。
○遠藤座長 それでは、ただいま御提案と御質問がありましたので、事務局、コメントをお願いいたします。
○中村室長 ワーキングの取りまとめのところで、最初の救急のところに医師・看護師等という文言を追記することの御意見が最初ございましたので、それはそういう取りまとめにすることを検討させていただければと思います。実際の指針を今後どうするか、今回のワーキングの取りまとめ案を受けて、また親会に報告をして、そちらの意見も踏まえて今後の指針などに行くので、そういったところは、また検討会の議論を踏まえながら進めていきたいと思いますけれども、こちらの取りまとめについていただいた御意見への追記は検討させていただければと思います。
続いて、災害のところで協定を結んでいくことについてどのように考えるかということですけれども、資料1の9ページの保健医療活動チームのところで、活動を円滑化するためのどのような対応がというところにそちらを含んでおりまして、いただいた意見を踏まえた対応の方向性の1つ目の○のところでございますけれども、まさにDMAT等の中に看護師のことも入っていますけれども、その活動を円滑化するというような観点で、より理解が得られて派遣しやすくなったり、また、研修や訓練に参加しやすくなるような仕組みということの検討の中に、今まさに同時並行で感染症の対応のことで話が動いていますので、そういったところで前回の協定を結ぶことについてということを受けているところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 井本構成員、いかがでしょうか。
○井本構成員 御説明、ありがとうございました。取りまとめ案のどこに記載があるか、御説明で理解いたしました。
ただ、これからそういったことが進められるときに、そういった都道府県知事との協定等の内容が指標なりに入っていないと、県内でなかなか取組が進められていかないのも事実だと思いますので、御検討いただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 私の意見を先に言わせていただいた上の、さらなる意見ということで恐縮いたします。
今の医師・看護師の件を含めて人材の件ですが、やはり救急というのは、今回も救命士が加わり、本当に事務からまず受け付けをして、医師・看護師はもちろん立ち会い、レントゲン技師、検査技師、薬剤師というチーム医療でやっていますので、特定の業種だけが必要だという話を持っていくのは非常にまずいのではないかなと思っております。そういう意味では、もし書くなら、そういった職種を全て含めて羅列する必要があるのではないかなと思っております。
冒頭のほうに戻させていただきまして、スライドの2ページの件でございます。今回、二次救急は地域で発生する高齢者救急の初期診療、それから、入院治療を主な受け入れ先と明記していただいたことに、まず感謝申し上げたいと思います。引き続き第三次の救急の救急医療機関の役割ということも非常に明確に書いていただけたかなと、これも非常に大事なことだと思っております。
やはり三次救急は二次救急では対応できないときの最後の砦でありますし、先ほどから出ているように、多発外傷とか、例えば妊婦さんの脳卒中とか、二次救急では手に負えないところをしっかりとやっていただくという主体の場にあるべきであります。先ほどから下り搬送の促進という形で、多くの三次救急が下り搬送で困っているのは高齢者の下り搬送の患者の治療の結果による患者の下り搬送ではないかなと思います。その点は、次のページのACPに関するこういった啓蒙が進みますと、変な形で、本来は心肺蘇生を望まないのに心肺蘇生をしてしまった蘇生された方々の対応が大変だということも聞いておりますので、そういった意味で、ここらの状況を進めることによって、こういったものもおのずと解決していくのではないかなと思っております。
先ほど冒頭には小児の外傷とか、そういった話も出ておりましたが、本来あるべき三次救急の役割を明確化すべき時期になっているのではないかなと思っております。
次に、ドクターヘリ・カーの件ですが、ドクターカーに関しましては先ほどから議論が出ていますように、今後高齢者が増えていく、冒頭に話をさせていただきましたが、580万人の方々が増えていく地域においては、在宅救急という言葉が既に出来上がっていると聞いております。そういう意味で、病院救急車の役割、救命救急士の役割は非常に大きなものになってくるかと思います。そういった面での費用負担とかも明確にしていく必要が出てくるのではないかなと思っておりますので、この点の御検討をお願いしたいと思います。
新興感染症に関しましては、これは溝端構成員がおっしゃっていただいたとおりです。日本の今回のコロナの経過を見ますと、最初の第1波のとき、欧米の多くの国が第1波のときに激増したのです。それはなぜかといいますと、欧米は急性期が集約化され過ぎまして、明らかに大きな急性期の病院にコロナ患者はもとよりふだんの救急の患者さんも全て集約された病院に集中して、感染爆発が急性期の集約された病院を中心に拡大したということです。それが日本においては先ほど冒頭に言いました当初受けられなかった8割の民間病院が一般の救急をやりながらそういう対応をして、役割分担ができたという非常に特異な経過をしたのが、日本の今回のコロナ禍の状況であったかと思います。
このことはこの委員会でも千葉市の消防局にデータとして出していただきましたとおり、コロナ禍においてコロナの患者さん1人に対して、それの10倍近い不要不急の二次救急対応の患者さんがあって、それを対応したというのが日本の救急のすばらしさではないかなと思っております。その点も評価しながら、今後のことをぜひとも考えていただきたいかなと思っております。これは意見です。
最後に、災害のところで11ページになるかと思いますが、これは先ほどから猪口構成員、坂本構成員がおっしゃっていただいたとおりで、大阪においても災害時に関しましては二次救急病院が災害医療協力病院という形で別枠で表示されております。
私もこの会議で申し上げたと思うのですが、阪神大震災のときに私は震度7のところにいまして、実際に現場を24時間ずっと見ておりました。本当に災害時は救急車が走れないのです。時間が止まったような形の救急車のサイレンの音もしない空間の中で、被災者の方を一生懸命、私もやりましたけれども、救い出しては近くの二次救急病院に担いで連れていくとか、そういう作業が実際の状況でございました。
あれを見ていますと、災害拠点、特に今回東日本ではオンリーワン的な形で災害拠点病院に搬送するというシステムが非常に有効だったかもしれませんけれども、大都会において面で受ける体制づくりを絶対にやっておかなくてはいけないわけです。そういう意味からすると、近くの二次救急病院へ運ぶ場合、そのときに受け入れできる二次救急病院の体制があるのかどうかということで、やはりこういった形で単に災害拠点病院以外の範疇にそういった病院を入れてしまうのはどうかなと思います。やはり明確に国としても災害協力支援病院とか、そういった形の名称をどうするかとかはあるのですけれども、仕分けをして、いわゆる冒頭にもありました国民が迷わず災害時に対応を求める病院があるということを示していかなくてはいけないのではないかと思います。
そういう点で、今回、災害時の拠点以外の病院という範疇ではなくて、しっかりとこの際に分けておくべきではないかなと思います。災害のときには本当に医療支援をやるところはこういう形で分けますよという形で名称も含めて計画すべきではないかなと思っております。
もう一つ、先ほどのBCP作成と自家発の話が出てきました。BCPを書くには自家発がないと駄目なのです。災害時に自家発ができないとBCPの結論には至らないわけで、そういう意味では、災害時のBCPを書けというからには、自家発電機等の設備に関わる費用の問題、これは非常に大きな問題です。これが拠点病院と同じ比率の補助率なのか、どういう形でそういった形の補助がもらえるのか教えていただけたらと思っております。拠点病院はたしかほとんど100%もらえていたのではないかなと私は思っておりますが、これは間違いでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いいたします。
○中村室長 ありがとうございます。
今、御質問をいただきました自家発電機の整備の補助の話ですけれども、こちらは災害拠点病院と、それ以外の病院で差はございません。補助率も両方とも国からの補助として3分の1という形で補助金を用意しているところでございます。おっしゃるとおり、災害拠点病院以外の病院で防災対策を進めていく。これからそれが大事なことだと思いますので、こういった補助金とかも有効に活用していただきながら、どんどん体制整備を進めていただければと考えているところでございます。
○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
費用の方は一緒だということであれば、これはこれで我々もしっかりと設備をしなくてはいけないかなと思います。
あと、その区別をするかどうかということは今後考えていくのかどうかいうことはどうでしょうか。そういう患者さんを受けるに当たって、備蓄とかいろいろな問題が出てくるわけなのです。そういった意味で、国がはっきりとそういったことに協力する病院に関してはしっかりと支援をするということを明確にしていただければ、都道府県は一応名ばかりですが、今、東京も大阪もそういう形でちゃんと二次救急に関しては災害時に頑張ってくださいねとはっきりと明示して府民、都民には知らせているわけなのです。そうなるといわゆる経済的なことも考えまして、やはり国としてきっちりと方針を示すべき時期になったのではないかなと思うのですが、その点はどうでしょうか。
○中村室長 御意見をありがとうございます。
災害拠点病院以外の病院全体として、確かにおっしゃるとおり、今、まず少なくとも自院における対応をしていただきたいであるだとか、それから、今日の資料で11ページに入れているような施設の耐震化、自家発電機の整備だとか、あと、BCPの策定、こちらは今、施設の耐震化の補助金も災害拠点病院とそれ以外の病院では差はないのですけれども、そういったほかの災害拠点病院と一緒のような形を求めていくようなことを進めているところでございます。
今、先生に御意見いただきましたような災害拠点病院、そして、災害拠点病院以外の病院、そして、その間の枠組みをこれからどうかというような御提案だと認識しているのですけれども、それはまさにそのどういう区分でつくっていけばいいのかということについては、これから先生もおっしゃったように、地域によってそういうことを今やっているところが幾つかあるというようにも聞いていますので、地域で今やっている事例だとか、そういったものを確認させていただきながら、国として枠組みという形を明確にできるかどうかということも含めて検討させていただければと思います。
○加納構成員 よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
一通り御意見は承ったと思いますけれども、ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
現場のお立場から非常に重要な御指摘をいただきました。また、事務局はそれぞれに対してのコメントをできるだけいただくようにしました。
冒頭に申し上げましたように、このワーキンググループの考え方を取りまとめる時期になっております。これは親会に報告をするタイミングからいって取りまとめなければいけないわけですが、本日の御意見は非常に多様であり、かつ重要なものもありました。
ただ一方で、この取りまとめ、要するに医療計画の中に入れる内容と今後の議論というような視点のものとか、多少混在していたところもあるかなとも思いますので、どのような形でこれを取りまとめるかということが課題になります。
考え方としては2つしかなくて、一つは皆様方の御意見をできるだけ反映するような形で、場合によっては御質問された方、御提案された方に内容のチェックを事務局からさせていただくということをしながら、事務局と座長との間で相談をするいわゆる座長預かりというやり方が一つございます。
もう一つは、ただいまの御意見等々を反映した形の事務局案をまたつくりまして、これは書面審議という形になりますけれども、それをやるかというようなものです。もう1回この会議を開くというのはタイミング的にもなかなか大変だろうということでありますので、大体この2つしかないわけなのですが、座長預かりであっても御提案者とは意見を調整しながらやっていくのであれば、実質的には書面審議と同じようなことになるかなと思います。そこで丁寧な調整をするということを前提で、私のほうとしましては座長預かりという形で対応させていただければありがたいなと思いますけれども、よろしゅうございますか。それに対して反論があれば、ぜひおっしゃっていただきたいと思います。
特段反論がないということであれば、座長預かりということにさせていただきます。事務局におかれましては、ただいま申し上げましたように少し汗をかいていただくことになりますけれども、御発言者の意図の確認とか、そういうことも含めて調整を行いながら修文をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。それでは、そのような形で取りまとめをさせていただければと思います。御協力をどうもありがとうございます。感謝申し上げます。
取りまとめができた段階で後日親会であります第8次医療計画等に関する検討会に、ほかのワーキンググループからも取りまとめ案が出ておりますので、その一つとして報告をさせていただきたいと思います。
最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○大山専門官 本日は、一般傍聴の制限をしていることから、議事録につきましては可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。構成員の皆様におかれましても、御多忙とは思いますが御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上になります。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして本日のワーキンググループを終了したいと思います。皆様、お忙しい中、本当にどうもありがとうございました。
 

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
災害時医師等派遣調整専門官 大山(4130)
病院前医療対策専門官 土屋(2597)