第30回政策評価に関する有識者会議 議事録

日時

令和4年3月11日(金)15:00~17:00

場所

オンライン開催

出席者

菊池座長、渥美委員、井深委員、岩佐委員、岩崎委員、印南委員、大西委員 河北委員、玄田委員、新田委員、平野委員、藤森委員、本田委員、皆川委員 村上委員、山田委員

議事

 

○肥沼補佐

 皆様、お待たせいたしました。まだ、印南先生のほうは調整中ですが、1510分になりましたので、ただいまから第30回政策評価に関する有識者会議を開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼です。どうぞよろしくお願いします。委員の皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力いただきまして大変感謝申し上げます。会議の途中で不都合が生じた場合には、WEBEXのチャット機能、又はお電話にて事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、宮崎委員におかれましては、本日は御都合がつかないということで御欠席です。

 本日の会議に当たり、御注意いただきたい点を申し上げます。本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りした会議資料を使いまして議事を進めさせていただきます。回線の負担軽減のため、御発言時以外は音声をミュート、ビデオは停止としていただくよう、ご協力をお願いいたします。御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局にお伝えください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を座長が指名いたしますので、座長から指名を受けましたらミュートを解除して御発言ください。発言に合わせて御自身の映像を表示される場合には、「ビデオを開始」をクリックしていただければ、皆様の画面及び会場のモニター上に映像が表示されます。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにするとともに、ビデオも停止していただくようお願いいたします。それでは、会議に先立ちまして、政策立案・評価担当参事官の山田から御挨拶を申し上げます。

 

○山田参事官

 山田と申します。着席のままで失礼します。本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。有識者の皆様におかれましては、日頃より厚生労働行政の推進に多大な御協力を頂いておりますことに厚く御礼を申し上げます。

 この2年以上、新型コロナウイルス感染症により、国民生活は大きな変化を強いられ、対応を余儀なくされております。厚生労働行政は国民生活に密接に関連しており、国民の皆様の厚生労働省の施策への関心はますます高くなっていると認識しております。当省の政策について、客観的に評価を行い、実効性の高い政策に向けて改善を続けていくことの重要性が増していると考えております。

 本日は、当省における政策評価について、第4期の最後の有識者会議、全体会議となります。本年度末をもって、当省の政策評価に関する第4期の計画期間が終了し、令和4年度から第5期の計画期間が開始となります。本日有識者の皆様には、これまでの御議論を踏まえての第5期の基本計画案などについて、忌憚のない御意見を頂戴したいと考えております。

 有識者会議とWGグループの運営上の工夫、評価書の分かりやすさの向上、分野横断的な課題の評価の実施などが新たな政策体系と合わせて含まれております。基本計画は、当省における政策評価の礎となるものです。有識者の皆様から幅広い観点からの御助言を賜り、当省における政策評価を推進していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 

○肥沼補佐

 それでは議事を進めたいと思います。本日の議事進行については、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

○菊池座長

 皆様、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。印南先生は無事に入られたようです。御不便をおかけして大変申し訳ありませんでした。

 本日の議事次第に記載されている議事のうち、「政策評価に関する基本計画(5)()等について」を中心に、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。本日の議論の進め方について事務局から説明をお願いします。

 

○肥沼補佐

 本日の議論の進め方について御説明いたします。お手元に議事次第はございますか。議事次第に記載のとおり、本日は、令和4年度を始期とする第5期基本計画や第5期の実施体制など様々な点について御意見を伺いたいと思います。

 具体的には、議事次第の2(1)の①から④に示した項目について、順番に御議論いただきたいと思います。テーマごとに、冒頭に事務局が資料を御説明し、その後に御意見を伺いたいと思います。事務局からは以上です。

 

○菊池座長

 それでは早速、議事の(1)の①について、事務局から説明をお願いします。

 

○肥沼補佐

 それでは議事の(1)の①について御説明いたします。お手元に資料3を御用意ください。最初に、資料1-1についての補足です。第5期基本計画案については、現在、省内で文書審査中であり、内容面の変更はありませんが、若干の文言修正が加わる可能性がある点について、あらかじめ御了承ください。それでは資料3の説明に移ります。

 資料の裏面ですが、政策評価の概要と第5期基本計画の位置付けについて記載しております。政策評価は、平成13年に公布された政策評価法に基づいて、平成14年度から各府省で実施している取組です。政策評価法では、各府省に対し、基本計画の策定を義務付けております。基本計画は、各府省が政策評価を実施する上で、どのような施策を事前評価又は事後評価の対象とするか等を定めるもので、計画期間は3年から5年とされております。多くの省庁で5年のスパンを採用しており、厚労省でも5年の計画期間としております。

 現在は第4期基本計画ということですが、令和3年度末で期限を迎えるため、今年度末までに令和4年度から令和8年度までを対象とする「第5期基本計画」を策定する必要があります。第5期基本計画案については、第4期からの変更点をまとめたものが、資料3の下段の①②③というボックスに記載している部分です。この3点については、それぞれ別の資料を御用意しておりますので、これから順に御説明します。

 まずは①、有識者会議の効率化と議論の深化という部分について、資料4をお手元に御用意ください。それでは、資料4の御説明に移ります。1ページ、こちらについては「有識者会議とWGの所掌の整理」ということですが、昨年3月の有識者会議におきまして、座長より、有識者会議とWGそれぞれの発展経過等も踏まえた上で、両会議の在り方を改めて整理するよう御指示を頂きました。この御指示を受け、今回事務局で検討をした資料となります。

 政策評価制度が施行されたのは、先ほど申し上げたとおり平成14年度ですが、厚生労働省では、平成159月に有識者会議を、平成182月にWGを設置いたしました。現在は評価書の作成は5年のローテーションで実施しておりますが、平成23年度末までは2年のローテーションで評価書を作成し、その一部のみを有識者会議で御審議いただいておりました。そのため、多くの事務作業を有する一方で、必ずしも評価の精度が向上しない、そういった問題点を抱えておりました。そこで、平成24年度からの第3期からは、WG3WG制に拡充するとともに、評価書の作成を2年ローテから5年ローテに変更する。その一方で、作成した評価書は全てWGで御審議いただき、更に評価の前提となる目標設定等については年度末の有識者会議で御審議いただくという現在まで続くスキームがここで確立されました。

 2ページ、現行の会議運営の課題については、年度末の有識者会議で事前分析表の御審議を頂く際に、3WG分の施策を議題とするため、会議時間が長時間化し、お忙しい中、会議に参加されている委員の皆様にとっても御負担をおかけしている状況です。

 会議で活発に御議論いただくことと効率的な会議運営を実施することをどのように両立するかという点が課題となっております。これに対しての改善の方向性としては、2ページの下段、4.改善の方向性の所に記載しております。事前分析表の審議では、目標設定等の確認を頂きますが、これは実績評価を適切に行うための作業であると考えております。そのため、実績評価書をWG単位で御審議いただいていることと合わせますと、事前分析表についてもWG単位で御審議いただくことが適当ではないかと考えております。

 一方で、他のWGの施策にも関連するような御意見の共有、また施策の親和性・関連性などの観点から担当WG以外の委員から御意見を聴くことが有益なものについては、有識者会議にWGの議論の概要を報告し、適宜、御意見を伺いたいと思います。

 今申し上げた内容を図で整理したものが3ページ目になります。端的に申しますと、実績評価書に加えて、今後は事前分析表についても、原則WGで御審議を頂き、その概要等を有識者会議に御報告する。その点については開催要綱に明記するということです。

 4ページ、これまで御説明した内容を踏まえて、第5期における会議開催イメージを示しております。令和6年度の部分を御覧ください。令和68月の所です。第4期と同様に、実績評価書をWG単位で御議論いただきます。その後、第4期では、年明けの3月の有識者会議で事前分析表を御議論いただいておりましたが、第5期では、赤字のとおり、令和72月にWG単位で事前分析表を議論いただき、3月の有識者会議において、夏のWGと年明けの2月のWGの両方の分の審議の概要を御報告させていただきます。

 なお、令和73月の有識者会議の部分に、「横断的施策の評価案」との記載がありますが、これについては後ほど、資料7で御説明いたします。以上を踏まえますと、第4期は皆様に毎年度2回御参集いただきましたが、第5期は3回の御参集をお願いさせていただくことになります。

 また令和4年度に限りましては、本来、今年度末に審議すべき事前分析表が積み残しとなっておりますので、それらは年度が明けてから8月までの間にWGを開催して御審議いただく予定であるため、WG1年度に当たり3回と、有識者会議が1回、計4回の御参集をお願いすることになります。委員の皆様には御負担をおかけすることとなり、大変恐縮ですが、御協力のほど、よろしくお願いします。資料4の御説明は一旦終了します。

 続きまして、資料5に移ります。資料345をまとめて一旦御説明し、その後、質疑に移らせていただきます。お手元に資料5-1と資料5-2を対比させながら見られるように、2つを並べて御覧ください。

 資料5-2は、第4期中に作成した事前分析表及び、それに対応する実績評価書です。資料5-212ページが事前分析表、34ページが実績評価書となります。事前分析表や実績評価書は会議で御審議いただくとともに、厚生労働省のホームページに公表しております。政策評価法第1条に規定されているとおり、政策評価に関する情報を公表することは、国民の皆様に対する行政の説明責任、いわゆるアカウンタビリティを徹底するものです。そのため、より分かりやすい情報を公表することで、国民の皆様にとって理解しやすい資料となるよう改善を図ることを目的として、第5期からは、事前分析表と実績評価書の概要を作成したいと思います。その概要のフォーマットが資料5-1です。

 また、担当部局が評価書を作成する際、そしてWGで委員の先生方に評価書を御審議いただく際に、事務局として、どのような観点から御審議いただきたいか、そういったものをまとめさせていただきました。こちらが、それぞれ事前分析表、実績評価書の裏に付いている政策評価の観点と言うべき、確認すべき主な事項の部分にリスト化されております。PDCAと、よく政策評価は言われますが、このPの部分に相当するのが、正確な現状把握とそれに基づく課題設定、その課題解決のための目標設定であるかと思います。また、評価結果で、特に当初期待した成果が得られなかった場合には、その要因を適切に分析して、今後の改善方策に結び付けていき、それを具体的に考える、そういった部分がPDCAAの部分に当たると思います。これはCの部分にも入ってくるかと思うのですが、CAかというところです。この一連のプロセスが政策評価の意義であると考えております。

 こうしたような点を、より分かりやすく外部に情報発信していくために、今後は資料5-2の評価書に対応する概要として、資料5-1にお示ししているような概要という資料を作成し、活用してまいりたいと考えております。長くなりましたが、議事(1)の①についての事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問などございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。村上委員、お願いします。

 

○村上委員

 ありがとうございます。連合の村上です。今回初めて参加いたします。よろしくお願いいたします。

 先ほどの資料4の「有識者会議とワーキンググループの所掌の整理」ですが、このような方向性は必要とは思っております。これまでも多角的視点からの有益な意見交換をしてきたのが有識者会議だと思っており、その評価体制の見直しによって分野横断的な視点を含めた活発な意見交換ができなくなることがないように十分御留意いただきたいと思います。

 私ども連合は、医療・衛生ワーキンググループ、福祉・年金ワーキンググループには参加しておりませんが、生活者あるいは保険料拠出者の立場から、引き続き、これらのワーキングが所掌する分野に関しても必要に応じて意見を述べてまいりたいと思っております。今回御提案のように、事前分析表に関する議論が各ワーキングで行われることになっても、資料提供を含めて有識者会議への意見表明の機会も確保していただけるよう、お願いしたいと思います。

 また、資料5-1についてですけれども、こちらの目標を達成されたかを評価するための測定指標として、ふさわしいデータを用意することが重要かと思っております。資料9に、前回の指摘に対する回答をいただいておりますが、その中では、目標年度に評価を実施しようとしても必要なデータがそろっていないということもあるかと思います。適切な政策評価を行うという意味では、政策の実施、評価、調査集計の時期や在り方について、何をもって評価するのかも含めてですが、整理することも必要ではないかと思っておりますので、その点も御検討いただければと思います。以上です。

 

○肥沼補佐

 今御指摘いただいた点、1点目につきましては、ほかのワーキングで御議論いただいた内容も、きちんと委員の皆様にフィードバックして共有できるよう工夫してまいりたいと思います。

 また、資料5-1に関しまして、測定指標としてふさわしいデータをということで、村上委員が御指摘のとおりです。資料8で説明しようと思っているのですが、これまで、ややもすると、評価年度の指標だけれども判定不能になってしまうような場合もありました。こういったものは、評価として非常にもったいないような状況ですので、今後はそういったものが出ないように、事務局としても原局と、測定指標の在り方について、きちんと議論を進めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 それでは、続きまして新田委員、お願いいたします。

 

○新田委員

 御指名ありがとうございます。経団連の新田です。御説明いただきましてありがとうございました。資料5-15-2に関してコメントを申し上げたいと思います。これまで資料5-2にありますとおり、非常に詳細な資料を作っていただいて、それに基づいて我々はいろいろ議論をしたところですが、確かに、我々としても資料をこと細かに見るということで非常に負担があったのは否めないと思っているところです。

 そうした中で、今回資料5-1という形で簡略化した事前分析表や実績評価書をこのような形に落とし込んで、よりシンプルにした上で議論をさせていただくことは非常に有益なことだと思っております。したがいまして、この方向で是非進めていただきたく改めてお願いしたいと思います。他方で、これまでと同様の詳細な資料も作った上で、5-1のフォーマットも作ると理解したところです。そうしますと、それぞれの原局におかれましても、既に業務が非常に多忙な中で更に負担が増すことも懸念されるところですので、まずは、5-1のような概要を作ることの意義の周知徹底を是非図っていただくことと、併せまして効率的に作業を進められるように、更にフォーマット等の簡略化・効率化が何かできないかについても、引き続き御検討いただければと思います。私からは以上です。

 

○肥沼補佐

 新田委員、御意見をありがとうございました。おっしゃるとおり、確かに厚労省は非常に多忙でございまして、資料5-1のような資料を新たに作成することは、作成する側からすれば負担になるのは確かです。負担になるからといって、単なるペーパーワークに終わってクオリティーの低いものが出てしまうことは、結局、余り意味をなさないと考えておりますので、そこは事務局のほうから、作成する意義、また、どういう点を記載してほしいのかを、ある程度初期の段階で、かなり手厚くフォローをしながら進めていきたいと考えております。ひいては、原局が今まで作っていたものの中から、どういった部分を引っ張ってくればいいのかということも含めて、ある程度簡単なインストラクションができるような工夫をしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。それでは、山田委員、お願いいたします。

 

○山田委員

 ありがとうございます。事務局におかれては、多分、事務局のメンバーや委員が代わっても、安定的に有識者会議が運営されるように、非常に練った案だと受け止めました。その上で、今まで出てきた意見とも重なるのですけれども、私のほうからは2つあります。1点目は、分野横断的に議論するところが、一度は御提案のとおりやってみて、やっぱり後退するなというのがあれば、資料42ページの下にありますように、会議に参集する回数が、各委員につき1回増えるのであれば、むしろ、長めの分野横断的に、これは座長の御負担が非常に重くなるかもしれませんけれども、例えば、お昼を挟んで午前、午後というような形で、分野的に、横断的にやってもいいのかなと。ただ、それは今御提案のものを動かしてみて、やはり議論が深まることが難しいというのであれば、そうした方向性もあるのではないかと。参集する機会の回数が1回増加するのであれば、いちどきに長めに議論することも、座長の負担は増えるかとは思うのですが、委員の負担としては、それほど負担にはならないので。一度、御提案のとおりにやってみるというのは賛成です。

 2点目は、資料5-1で、事務局からも回答がありましたように、非常にお忙しい中で事務局が、更に5-1を用意するとなると、やはり負担で、もちろん事務局のほうで調整されるとは思うのですけれども、場合によってはクオリティーにばらつきが出てくるかもしれない。もう1つの方向性としては、先ほど新田委員からもありましたように、5-2のような詳細な資料を読み込むのが大変であれば、むしろ委員のほうに、例えばこういうポイントをチェックするといいよとか、要するに資料5-2のような詳細な資料を最初から全部見るわけですけれども、どこがポイントなのかを、例えば新任の委員は探し出すのが難しいということであれば、そうした委員側のマニュアルみたいなもので、もう少し、どこを見ていけばいいかというポイントを皆さんで共有されて、もし委員が交代しても、ポイントとしてどこを押さえればいいかということが共有されていくということは実現できるのではないかと思います。以上2点になります。どうもありがとうございます。

 

○肥沼補佐

 山田先生、御意見をありがとうございます。確かに、今回事前分析表もWG単位でしますと、今まで他のワーキングの先生方から御意見をいただいていた部分のメリットが、どの程度維持できるかは、正直やってみてという部分もあります。ですので、そこら辺は、委員の皆様方の御負担が1回増えるほうがいいよ、会議時間が短くなるのでいいよと考えるのが効率的なのか、それとも、1回に長めにやって議論を深めてしまうのが効率的と考えるのか、いろいろな考え方があると思いますので、そこは走りながら考える形にはなるかと思います。今回決め打ちで、今後も永遠にやっていきますというものでは必ずしもないので、引き続き委員の皆様、また座長の先生と御相談させていただきたいと考えております。

 また、資料5-1、主に御指摘の趣旨は、新田委員と同じように、我々厚生労働省の事務方の負担の増を御懸念されて、その結果としてのクオリティーのばらつきについての御懸念だったと思います。確かに、資料5-1のような資料を作るということは、非常に大変ではあるのです。御指摘のとおり、委員の先生方へのインストラクションというやり方もあると思います。ただ、我々としましては、今回の国民の皆様への分かりやすい情報発信という点も考えて、委員の先生だけという形ではなく、最終的にホームページに公表される資料であります。やはり、ホームページに公表されると、国民の皆様は、今の状態だとやや分かりにくい部分もあるかということを踏まえての5-1ですので、ただ、それでクオリティーが維持されないようなものが出てくるときにどうするかというのは、実際に令和4年度以降にやってみながら考えていきたいと考えております。貴重な御意見、ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、井深委員、お願いいたします。

 

○井深委員

 このたび新しく概要を提示くださるという提案で、方向性については、国民への分かりやすい発信という点を踏まえ、非常によく分かります。その上で、1点コメントですけれども、今回、事例として御紹介いただいております資料5-12ページ目にある事前分析表の図が、恐らくイメージとして来年度以降、概要として公表されるものではないかと思います。こちらは非常に分かりやすくまとめられていて、現状を把握した上で課題を整理し、その上で達成目標を定めて、それに対してどういう測定指標で測定を行うかということが整理されているかと思います。同時に政策評価という観点から考えますと、やはり具体的にどういう政策を行ったのかという視点が、政策評価というフレームワークの中では重要ではないかと考えております。もちろん、むやみに資料を複雑化すると、当初の意図から外れていくこともありますので、細かいことをここに記載する必要性は余りないかと思うのですけれども、まずは、どういう施策が実際に行われていたのかという点についても、概要の中に触れる場所があってもよいのではないかと考えました。以上です。

 

○肥沼補佐

 井深先生、御指摘をありがとうございました。確かに、もともとの評価書、事前分析表には施策の概要という欄がありますので、そこが5-1の資料には抜けているという御指摘は、ごもっともです。先ほど来、委員の先生方から負担が増えるという御懸念があったというところで、今考えていることとしては、負担が増えないような形で施策の概要を説明するのであれば、例えば別紙という形で、取り組んでいる施策の概要が分かるような既存の資料を付けるということで、どのような施策をやっているのかという内容が見えるような別紙を付けるという対応を考えております。5-1に書き込むと資料がもっとごちゃごちゃしてしまいますので、別紙で概要が分かる資料の添付を求めるという形で対応していこうと思います。いかがでしょうか。

 

○井深委員

 ありがとうございます。ほかの先生方からも御指摘があった負担の軽減という点に関しましては、私も同意するところですので、事務局の負担をなるべく増やさない形にするということで、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、頂きました御意見を更に踏まえながら進めていただきたいと思います。

 それでは、続きまして「第5期における政策体系案」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

○肥沼補佐

 それでは、資料6を用いて御説明させていただきます。まず、政策体系について簡単に御説明すると、政策体系とは、基本計画の別紙に位置付けられるもので、政策評価を体系的に実施するために厚生労働省が行っている行政分野全般について網羅的に概念を整理したものということになります。最も大きな概念が「基本目標」、それをもとに「施策大目標」、そして1-1という枝番で定めているのが「施策目標」という形になります。この施策目標単位、枝番単位で評価書を作成しております。今回の改正では、従前からの継続性も踏まえつつ、新型コロナへの対応、DXの進展等の第4期の間の社会・経済の変化を踏まえた修正を行っております。具体的に、修正箇所を幾つか御説明いたします。

 資料11ページ、一番上の1-1です。赤字が修正箇所になります。1-1については、医療計画を策定し、施策内容の実現を図っていくものをまとめております。従前より記載しておりました地域包括ケアシステムに加え、地域医療構想についても明記いたしました。また、令和6年度からの第8次医療計画では、これまでの5疾病・5事業に加え、感染症対策についても記載事項となりますので、「新興感染症等への対応も含めた」という文言を追加しております。

 その下の1-2、医療従事者の働き方改革ですが、令和64月から平成30年改正労働基準法に基づく新たな時間外労働に対する規定が適用されるとともに、また、医療は医師だけではなく多様な職種の連携によりチームで提供されるものです。こういった点を踏まえて、「医療従事者の働き方改革を推進すること」ということを施策目標として、新しく立てさせていただきました。

 続いて、5-11ページの中段辺りです。こちらはコロナの経験を踏まえて、感染症対策の強化が強く求められている現状です。これまで1施策目標であった「感染症の発生・まん延防止」というものを施策大目標に格上げするとともに、「感染症危機管理の体制整備」については、5-2という形で新たに施策目標として新設しております。

 2ページの中段の11-1についても、コロナの経験を踏まえて、地域保健体制の強化のためには新興感染症への対応も重要になるため、これを明記させていただきました。

 続いて、12-1です。近年は御承知のとおり、豪雨被害等が毎年発生しているような状況です。そのような中で、災害対応力の強化が求められているということで、この点を明記させていただきました。

 3ページ下段、基本目標Ⅳの2-1、非正規雇用労働者の人材の育成・待遇の改善の所で、「人材の育成」という文言が削られております。これは、非正規雇用労働者の人材育成については、4ページの中段の基本目標Ⅵの施策大目標1の「経済社会の変化を踏まえ、時代のニーズに対応した人材育成の強化」の所にまとめて、人材育成関係の施策全般の中に記載させていただくという記載箇所の移動になります。

 続いて、4ページの基本目標Ⅵの1-1で、左から右に矢印が3本出ていると思います。これは、従前は1つの施策目標の中に非常に多岐にわたる内容が詰め込まれておりましたので、丁寧な評価を実施するために、3つに施策目標を分割しております。同じような理由で、5ページの中段の基本目標Ⅷの1-1ですが、こちらも3つに分割させていただきました。また、同じように6ページの上段、基本目標Ⅸについても、障害関係の施策が1つにまとまっておりましたが、3分割にしております。

 7ページです。基本目標ⅩⅣの1-2についてですが、「データヘルス改革」というのは、最近取り組んでおりますオンライン資格確認、医療等の情報の共有、電子処方箋、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の推進等をはじめとした「データヘルス改革の推進」というものを内容として考えております。雑駁ではありますが、事務局からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○新田委員

 御指名ありがとうございます。経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。様々な部分に修正をかけられているということで理解いたしました。このうち1点だけ、御意見を申し上げたいと思います。

 3ページの基本目標Ⅳの非正規雇用労働者の所について「人材の育成」という文字を削除して、人材の育成に関しては、4ページの基本目標Ⅵの所にまとめたという修正の御説明がありました。ただ、この行先の基本目標のⅥには、「非正規労働者」という文字が全く入っていません。この御説明を聞けば分かるのですが、説明を聞かずに単に資料だけを見ると、先ほどの3ページの基本目標Ⅳの非正規雇用労働者の所で「人材の育成」が抜け落ちているようにしか見えないというのが率直な感想です。

 したがって、そもそも経団連では非正規という言い方をしないのですが、あえて非正規と申し上げますが、非正規労働者の方々についても、人材育成や教育をしていくことの必要性というのは、労使双方が一致している部分でありますので、そういった観点からも、誤解を生じないように、何かしらの工夫が必要ではないかと考えます。

 例えば、4ページの基本目標のⅥの所に、少なくとも「非正規雇用労働者」という文言を入れるとか、そういった工夫は考えないといけないのではないかと思います。全体を見ると、例えば障害者や若年者については、それぞれ基本目標ⅤとかⅥに、内容に応じて書き分けられておりますので、そういった部分を御参考にしていただいて、要らぬ誤解を生じないように御検討いただければと思います。私からの意見は以上です。

 

○肥沼補佐

 御指摘ありがとうございました。今、頂いた御意見については担当部局とも相談し、関係する部局もありますので、そちらと御発言の内容を踏まえて検討させていただきたいと思います。少々お時間を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

 

○菊池座長

 今日の議論を踏まえて、また原局とも、調整すると。

 

○肥沼補佐

 そうですね、原局と、御発言を踏まえて検討させていただいてという形になると思います。

 

○菊池座長

 よろしくお願いします。それでは村上委員、お願いします。

 

○村上委員

 ありがとうございます。連合の村上です。私からは5ページの基本目標Ⅶについてです。事前の御説明の際に、こども家庭庁が設置されていく際には、この中のものも幾つかはそちらに移管されていくのではないかということをお伺いしたところです。その際に、例えば施策大目標2の「児童虐待防止や配偶者による暴力等の発生予防」については、恐らく全部がこども家庭庁に行くわけではなくて、それぞれ厚生労働省にも残るものがあるのではないかとも考えられます。その両方になった場合、どのようにしていくのかということについての質問です。連携して実施していくということであれば、厚生労働省の施策、政策評価としても必要なものは残していくことも必要ではないかという意見です。以上です。

 

○肥沼補佐

 御指摘ありがとうございます。今、こども家庭庁の法案が国会に提出されている状況で、その中で必要な修正等も行われるかもしれないので、確たることを申し上げられないのですが、村上委員が御指摘のとおり、厚労省に残る部分があるということであれば、それは引き続き厚労省の政策評価の中で取り扱うべきと考えております。

 また、両方で取り扱うとなった場合に、これまでも内閣府でも、子ども・子育て支援の施策は実施しております。少子化対策全般ということは取り扱っておりますが、そこを実施している政策をある程度きれいに住み分ける方向をきちんと確認した上で、厚労省でやる部分はどこなのか、政策評価というのは、ある程度役所ごとに実施している部分がありますので、「内閣府と連携しながら」と今まで書いていた部分は、こども家庭庁とも連携しながら、こういうような施策を実施しているので、そこについては厚労省の政策評価で扱うという書き方をさせていただくと思います。

 現段階で、Ⅶの全部が、こども家庭庁に行くのかどうかというところについては、明言を避けさせていただきます。申し訳ございません。

 

○菊池座長

 貴重な御指摘をありがとうございます。私は午前中に別件で、社会保障審議会の障害者部会に参加していたのですが、そこでもやはり、こども家庭庁との兼ね合いというのが議論になっていて、今、肥沼さんからお話があったように、個別具体的な施策のすり合わせというか、所管というのは、これからというような印象を受けています。所管が決まっても連携するというやり方もあり得ますし、まず施策レベルでどうするのかというのは、多分これから個別具体的な話になっていくと思います。来年度にかけて、更にその上で政策評価として、どちらでやっていくかとか、これも連携しながらというのもあり得るかもしれませんし、いずれにしても、これからしっかりと、その辺は対応をお願いしたいと、私からもお願いしておきたいと思います。貴重な御指摘をありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでしたら、次のテーマに移らせていただきます。

 続いて、令和4年度に評価を行う分野横断的な政策案について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○肥沼補佐

 それでは、お手元に資料7を御用意ください。こちらで御説明させていただきたいと思います。資料6も見るかもしれませんので、念のために資料6もお手元にお願いします。先ほど資料6でお示ししたとおり、厚生労働省で実施している幅広い政策を丁寧に評価するという観点から、資料6に記載している評価の単位というのは、ある程度細かい単位ということで示しております。一方で、近年では複合的な課題を抱える方に対して、複数の個別施策が連携してアプローチするケースが出てきています。個々の施策につきましてはWG単位で評価を頂いておりますが、複数の施策が連携して分野横断的に実施している場合には、その全体を評価する必要性というものが生じています。

 そこで第5期からは、新たな取組として「分野横断的な課題・政策」の評価という取組を実施したいと考えています。もちろん、複数の分野にまたがる課題に対応する制度自体の変更、また制度自体の改正につきましては、個々の審議会等の場で議論されるべきものと理解しています。

 政策評価の場につきましては、政策の対象となるターゲット層が複合的な課題を抱えていたり、その状態像が多様であるが故に、医療・労働・福祉の分野の個別の施策が連携して、アプローチしている政策が現にある場合に、その政策全体を評価する場を設け、今後の改善につなげていきたいという趣旨です。具体的には、年度末の有識者会議でテーマを決め、次の年度末の有識者会議で評価書を御審議いただく予定です。

 1年後の令和4年度末に評価を行うテーマ案としまして、本日、事務局から提案させていただくのは「就職氷河期世代への支援」というものです。このテーマを取り上げた理由ですが、政府全体での「就職氷河期支援プログラム」では、令和2年度からの3年間を集中的な取組期間としておりますので、令和4年度末が集中取組期間の最終年度に当たることから、この資料の右側に記載している省内で各種部局が横断的に実施している各種施策が、どの程度有効に機能しているのかといった点を評価し、その結果を今後も継続的な支援を実施していく上での改善につなげたいと考えています。また、第5期の間、令和4年度から令和8年度になりますが、この期間中にどのようなテーマを「分野横断的な政策の評価」として取り上げるべきかについても御意見等がございましたら、この機会にお伺いしたいと考えています。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問がございましたらお願いいたします。ただいま説明のあった資料以外にも、今後に向けてのテーマや課題案のようなアイディアがあれば、それも含めてということでお願いいたします。山田委員、お願いします。

 

○山田委員

 ありがとうございます。先ほど資料6で申し上げるべきことでしたが、この中に新たに基本目標のⅧに、例えば「ひきこもり」が入っていたり、就職氷河期世代についても、しっかりと新たにワードとしてタイトルに入れていただくと。具体的には、基本目標のⅥの2-1ですけれども、そういった点で、現行での重要な政策課題について明示的に挙げるような改定を行っていただき、ありがとうございます。その上で、分野横断的な課題の評価ということで、こちらは資料7も出ているようですけれども、まず、ひきこもりについては、特にアウトリーチが必要な領域ですので、そのアウトリーチについて分野横断的に分かるようにしていただきたいということです。

 あと、実現可能なアイディアかどうか分かりませんけれども、今、コロナ禍対応で、例えば生活困窮者に対して緊急避難的に様々な政策が行われているわけですが、緊急的にいろいろなお金を付けたりというのがあります。それを、ある意味で本当に平時に戻ったときに、いつ戻るか分かりませんけれども、有効な政策手段だったかどうかというのは分野横断的に、例えば貸付等も含めて評価してもいいのではないかと、そういうふうに思いました。私からは以上です。

 

○肥沼補佐

 御意見、ありがとうございます。ひきこもりについては、なかなか実態把握が難しい部分でありまして、御指摘のとおりアウトリーチが必要な部分でございます。自治体ごとに取組の内容も異なるかと思いますが、そこら辺が少しでも見えてくるような評価書の作成に努めたいと思います。また、先生御指摘のとおり、今、コロナ禍で緊急避難的に各種の施策を拡充してやっていますが、今すぐに評価というのはなかなか実績が難しいかと思います。おっしゃるとおりコロナ禍がどこで収束するかは分からないですけれども、ある程度落ち着いてきた段階で、あの政策は本当に有効だったのかというような検証も必要かと考えていますので、検討課題として事務局のほうで引き取らせていただきます。御意見、ありがとうございます。

 

○菊池座長

 それでは、次に村上委員、お願いします。

 

○村上委員

 ありがとうございます。私から3点申し上げたいと思います。1点目は、本日の資料でお示しいただいている分野横断的な政策として、就職氷河期世代への支援ということが掲げられています。就職氷河期世代で不安定な就労形態で働いていらっしゃる方々が、高齢期に差し掛かるまで残された時間は決して長くはないということから、このような方々が高齢期を迎えても安心して生活できる所得保障のために、社会保険の適用拡大を早急に進めることが必要だと考えています。そのような観点から、2.政策内容のほうにも社会保険の適用拡大の状況について入れていくべきではないかということが、1点、意見でございます。

 それから、あとの2つは少しアイディアというか、感想めいたものですけれども、1点目は、これは厚生労働省の施策に直接的に関係するものではないですが、政策評価の視点の1つとしてジェンダー平等の視点もあるのではないかと考えています。シングルマザー支援であるとか、子育て後の女性の復職支援などの施策は、政策のターゲットを明確化する観点からは有効だと思います。一方で、施策が本当に必要な方を逃してしまったりはしないだろうかとか、決めつけとかアンコンシャスバイアスにつながるおそれもあるのではないかと思います。これからの時代にふさわしい施策としていくために、もう一度、横通しでチェックすることも必要なのではないかと考えています。

 最後に、子ども・若者の関係です。コロナ禍では子どもの育成環境にも大きな影響がありました。また、学校から就労へというステージにいた若い皆さんにも、職業能力形成などの面で様々な影響があるのではないかと感じています。また、昨今、ヤングケアラーの皆さんの課題もあります。このような子どもや若い方と、コロナ禍の影響などの点から施策について検討していくことも必要ではないかと考えています。以上です。

 

○肥沼補佐

 御意見、ありがとうございました。1点目の就職氷河期世代への支援の施策を強化する際に、社会保険の適用拡大を入れるべきではないかという点については、担当部局と相談した上で考えさせてください。検討させていただきたいという次第です。

 2点目と3点目、貴重な御意見をありがとうございます。おっしゃいますとおり、恐らくアンコンシャスバイアスというのはありまして、シングルマザーという言葉はいろいろ定着していますけれども、その中で父子家庭、要するにシングルファザーが取り残されてしまっているという情報も、これまでは少しあったように思います。そういったところについて、今までなかなか施策をジェンダー平等の観点で見ていなかった部分もありますので、事務局としても貴重な気付きとなりました。

 また、コロナ禍の影響という部分は、先ほど山田先生から生活困窮者という点にフォーカスして御意見を頂きましたが、子供・若者の観点にも非常に影響がございます。就労への影響というものもありますし、学校が休校することによって一時期、自殺者が増えてしまったという問題もありますので、これらをどう取り扱っていけるかというのは検討してまいりたいと思います。貴重な御意見、ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは本田委員、お願いいたします。

 

○本田委員

 本田です。今日はいろいろ御説明をありがとうございました。私からは、今までのお話を伺っての感想と、今回、私は2期務めさせていただいて最後になるので無責任なことを言ってもあれですが、思ったところも述べさせていただきたいと思います。まず資料6のほうで、私は医療の分野の担当でしたが、これまで感染症のところを余りきちんと議論したことがなかったように記憶しています。今回のようなコロナのことがあったからというのも何ですが、きちんと目標の中にそういうことが書き込まれていること。更にワクチンも含めた薬の開発の部分とか、承認の問題、どうやって使っていくかといった問題、そういうところもきちんと目配りしてやっていっていただければと感じています。

 それと評価についてですが、これは感想ですけれども、今回、様々な改革の方向性を示していただいて私はとても良い方向ではないかと感じています。いろいろな先生方がおっしゃったように、このコロナ禍で、事務局である厚労省の忙しさというものは本当に大変なものがあると思いますので、そういうところはできるだけ配慮していかなければいけないと感じていますけれども、これまでの10年間ぐらいの議論を振り返ったときに、評価の軸というか目標設定のあり方など、このテーマについてはこの目標の評価のあり方でいいのか、目標の立て方の部分は違うのではないかという議論が何度かあったような記憶があります。そういう部分も事前に意見するとか、そういうことがあったほうがいいのかなと感じたこともありましたので、この辺、新たな形で進めていっていただけたと思っています。ただ、これも様々な先生方がおっしゃっていますけれども、適宜、こういうふうなところが違うよねという見直しというのは常に大事だと思いますので、引き続き、見直すべきところは見直すという視点で続けていただければいいのかなと感じています。雑駁な意見で申し訳ありません。以上です。

 

○肥沼補佐

 本田先生、貴重な御意見、ありがとうございました。資料6の感染症の部分ですが、感染症対策だけでなく、その後のお薬とかワクチンの承認の部分など、これまで日本は幸いながら、今回のコロナのような大きな感染症に直近で見舞われたことがなかったので、今回、体制が脆弱だった部分が保健所も含めて明らかになりました。これは恐らく第4期の終わりのほうで起きた最大の課題だと考えていますので、ここはきちんと政策体系のほうに入れさせていただきました。

 また、2点目、評価の軸という所で、確かにそもそもの目標設定が違いますと、立ってくる指標も「あれっ」ということがあるかと思います。恐らくそれはきちんと現状分析ができていない。現状分析ができていないと、どこが課題かというところも見えてくるものが違ってしまいます。課題を見誤ると目標設定も間違うという流れがありますので、今後はそういったところにも、原局に対して事務局のほうから注意を促していきたいと考えます。また有識者の方からも、そういった点での御意見を頂ければ幸いと思っています。以上です。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。それでは、玄田委員、お願いいたします。

 

○玄田委員

 まず、この分野横断的な政策を評価することは大変結構で、是非、第5期では目玉としてやっていただきたいと思いますが、分野横断とか施策の連携といったときに何を評価の軸にするかということは、一度、あらかじめ特定の政策以前の段階で、ワーキングを超えて評価軸をどうするか、もうちょっと議論してもいいのではないかという感じがします。例えば、連携って、一体、何をもって効果的な連携と言うかということを、ある程度みんなで見通しを持っていかないと、ばらばらの評価になるという懸念があると思います。

 もう少し具体的なことを言うと、第4期を通じて横断的な施策もいろいろあったけれども、比較的重層的な支援みたいな言い方が重要になってきている印象が非常にあります。重複的な支援というのは財政的な効率性からは慎重に進めなければいけないですが、一方で、重複ではない重層的な支援みたいな感覚、重要性というのは、多分、ワーキングを超えていろいろあって、そういうことはどういうことなのかをきちんと議論してから、個別の横断的なテーマに臨むということも大事な気がしました。

 もう1つは、これから具体的に言うことと関係しますが、そういう重層的とか横断的な政策が何をもたらすかというときに、基本的に第5期は第4期以上にキャリアアップということも重要な論点になるのではないかという気が、この氷河期世代の表を見ていて思い出しました。例えば、3年間で30万人正社員雇用目標ということでやっていますが、右側の(1)に「相談、教育訓練から就職、定着まで切れ目ない支援」と書いてある所は、「就職、定着、キャリアアップまでの切れ目ない支援」ぐらいを入れておいたほうがいいのではないかと思います。なぜ、そういうことを言うかというと、確かに今、ほぼ2年間経過しつつある中で、一番上のハローワークの専門窓口の体制拡充というのが正社員雇用に一番効果があって、今、厚労省の発表資料を見ていたのですが、令和24月から令和41月時点でハローワークの紹介でというのが約185,000人で、とても大きいのですけれども、実は、正社員化で次に効果が大きいのはキャリアアップ助成金なのです。キャリアアップ助成金の正社員化コースというのが、今年1月時点で65,000人ぐらいですから圧倒的に規模が大きくて、それ以外に短期取得コースとかいろいろありますけれども、正社員化に関しては効果が全然違うので、実際にはキャリアアップの政策というのがこういう効果にも出てきているから、この4つのポツを掲げるというのだったら、キャリアアップ助成金みたいなことを挙げておかないと、本元の厚労省が何の政策が効果をもたらしているかをきちんと評価していないというのは、いささか問題ですから、この項目の例の挙げ方とか具体的な施策の挙げ方については、実際に今、効果を持っている施策をちゃんと踏まえた形で反映したほうがいいのではないかというのが、具体的な印象です。

 ただ、一番言いたかったのは冒頭の所で、分野横断とか連携を見るときの評価する軸とか視点みたいなことは、ある程度、すり合わせをするほうが、5期の中ではいいのではないかと思った次第です。以上です。

 

○肥沼補佐

 玄田先生、御意見ありがとうございます。確かに、新しい取組を始めるときには、特に有識者会議、全体会議での御議論ということになりますので、どういう観点で評価をするのか、何を連携と考えるかという認識共有をしてからの評価でないと、議論が発散してしまったり、認識のすり合わせができないことになってしまうと思います。ですので、今の先生からの御指摘を踏まえて来年度末に評価を行うことに向けて、それまでにどういうステップが必要かという点については事務局のほうで検討させていただいた上で、委員の皆様に御相談させていただくことになるかと思います。

 おっしゃった重複の支援ではなくて重層的な支援というのは、労働の分野に限らず福祉の分野とかでも、今、行われていますので、その際の評価の軸をどう考えるのかというすり合わせですね、そこをきちんとさせていただくのは事務局としても視点が漏れていましたので、今後、検討させていただきたいと思います。また、この資料の見せ方、並べ方という点につきましても、今、やっている取組を、黒ポツで並列に書かせていただいていましたが、御指摘のとおり、特に成果が出ている部分もございますので、それを評価書に反映するときに、単に1個ずつ実績を並べていくような形ではない形になるように工夫したいと考えています。お答えになっているか不安な部分もありますが、よろしいでしょうか。

 

○玄田委員 

 ありがとうございました。大変ありがとうございます。

 

○菊池座長

 貴重な御意見をありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。ございませんか。それでは、様々な御意見を頂きましたので、それは原局とすり合わせていただきたいと思います。渥美委員、どうぞ。

 

○渥美委員

 手を挙げていたつもりが、大変失礼いたしました。簡潔に意見を申し上げます。パワポでお話させていただくので画面共有させていただきます。私は皆様御案内のとおり、政策評価をする際には統計データの分析が非常に重要だと思っています。2点、意見を申し上げたいと思います。1点は所得再分配調査ですが、先ほど来、ほかの委員の方からも御意見が出ていますように、こども家庭庁の新設に当たって1点申し上げたいのは、御案内のとおり子供の貧困問題は深刻化しています。その背景の1つが親世代の雇用環境の悪化と、それによって家庭での教育格差が生まれています。貧困削減率という概念を基にOECDの調査では、日本は唯一、子育て家庭、特にひとり親家庭での貧困率が削減されていないと。厚生労働省は所得再分配調査も所管されています。今後、今回の、こども家庭庁が新設された後も是非、世代間の再分配と、特に子供家庭において世代間の所得再分配機能がどのくらいうまく機能しているかということもきちんと分析されて、子ども家庭庁と政策連携を密にしていただきたいというのが1点です。

 もう1点は雇用均等基本調査に関してです。私は自治体や企業からの依頼で調査活動、あるいはコンサルティング、講演等に従事する機会が多いです。今年は特に育介法の改正に伴って、男性の育休に関しては、第5次くらいのブームが出ているところです。私はある自治体で企業評価の委員長をやっていますが、それの基データを更新する基準を新たにレベルアップさせるということで議論したときに、雇用均等基本調査で男女別に見た育休取得率について、新聞報道でよく知られているのは13%弱、12.7%まで男性育休が上がりましたと。ただ、産業別に見ると、女性もこんなふうに乱高下します。要するに、これはデータ数が少な過ぎるからで、全体だと3,000くらいあるので大きくぶれないのですが、産業別だとそれぞれの産業を本当に代表している数字かどうか、使いづらい数字になっています。これは地域別も同様です。

 今のは雇用均等基本調査の育休取得率ですが、もう1つの雇用保険からの育児休業給付金が支給されている育休取得者数、いわゆる本当の育休取得者数というのがあります。これは都道府県別で労働局が把握されています。私は厚生労働省のイクメン・プロジェクトの委員でもあったので、これは2012年にデータ開示してきました。このときは東京、広島、愛知の順番なのですが、ただ、では広島が頑張っているかというと、企業によっては本社が一括して全国の支店、支社の分を広島で申請する。例えばマツダですね。例えば、東京で取得者が出ていようが、広島の労働局で申請されると広島に数字が上がってくる。これだと都道府県別の厳密なデータ比較というのはできない。これだけイクメンに関してかなり力を入れて厚生労働省も、特に今年は頑張ってやっていくというときであれば、先ほどの雇用均等基本調査でデータを増やすのは予算の関係で難しいと思いますが、労働局を通して、企業が取得している都道府県別で出すように通達することは可能なのではないかと思いますので、そういうデータを基に政策検証、特に、まだなかなかうまくいっていない地域、九州等ですが、地域差がかなりありますので、そういったことを自治体などが政策展開しやすいように、是非、厚生労働省としても御一考いただければと思って、意見を申し上げました。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、次の議題に移らせていただきます。第5期の政策評価の改善点につきまして事務局から説明をお願いいたします。

 

○肥沼補佐 

 それでは、資料8を使って御説明をいたします。よろしいでしょうか。お手元に資料8を御用意ください。こちらでは、実績評価書における施策目標の評価区分の見直しについてお話させていただきます。まず、各指標の現状のルールと課題について御説明します。

 実績評価書では、各指標の達成状況を積み上げて総合し、施策全体としての評価結果を、1ページ目にあるとおり「目標達成度合い」として記載しています。その際に、1ページの①~⑤までの5段階の区分を適用することが総務省のガイドラインによって求められています。厚生労働省では、このガイドラインを踏まえて記載要領に、2ページ目の下段に示すようなルールで、施策の評価と結果を判定しております。この部分について幾つかテクニカルな問題がありますので、その点について、今回、見直しを図りたいと思います。

 3ページ目ですが、1つ目の課題です。下段のイメージ図の右上の枠囲みに、「◎、○、△、×」の判定基準を示していますが、◎のみ、定量的な判断基準が示されておりませんでした。運用上は120%以上かどうかの点で判定しておりますので、今後はその点を記載要領に明記したいと思います。

 2つ目の課題は、この①か②を判断する際に、「主要な指標が◎」か、どうかで判定しますが、主要な指標は複数設定される場合がほとんどです。例えば、主要な指標が3つ設定されている場合に、1つでも◎なら施策全体として目標超過達成なのか、3つ全部が◎の場合に施策全体として目標超過達成なのか、そのような点が明らかになっておりません。

 3つ目の課題としましては、主要な指標として設定した指標が「判定不能」となる場合があります。この場合の取扱いが定められていない点です。具体的には、例えば調査周期などの関係から、評価年度の実績値が出ず、また直近の実績値も4年前のものしか把握できないといった場合があります。そういった場合には、直近のトレンドが分からないということになってしまいます。このような場合には、その指標は「判定不能」と判断せざるを得ないことになります。また、主要な指標として設定した指標の半数以上が○かどうかを判定するときに、この判定不能の取扱いをどうするのかという問題が、実際に第4期の中でもありました。また、主要な指標として設定したものが、全て判定不能になってしまった場合もありました。これに対応する対応案が4ページ目になります。

 今、申し上げた3つの課題への対応策を見ていきます。まず、課題1については、目標値に対して120%以上という運用をしていましたので、先ほど申し上げたとおり、これを記載要領に明記したいと思います。課題2については、①目標超過達成となる場合の要件を明確化したいと思います。例えば、「総合的ながん対策を推進すること」という施策目標については、3つの要素に分解されています。検診体制構築、がんゲノム医療等がん医療自体のレベルアップ、また、患者さんの立場に立って仕事とがん治療の両立といったものです。主要な指標は、各達成目標につき1つ以上を設定することになっています。主要な指標とは、各達成目標、この場合であれば3つの要素のそれぞれの進捗状況を測定する上で重要なものを「主要な指標」として選定しており、3つの要素を集約した結果が施策全体の評価であると考えると、主要な指標の全てが◎となった場合に、施策としても目標超過達成、すなわち①と考えるのが適当だと思います。

 課題3については、事後に実績評価の段階で対処するのではなく、目標設定の段階、すなわち事前分析表の作成、審議の段階で対処すべきであると考えます。主要な指標について具体的には、過去の実績値から調査周期等がある程度推測できますので、評価対象年度が調査実施年度でない場合には、どのように当該指標の達成状況を判定するのかを予め事前分析表に明記する。また場合によっては、ほかの指標に差し替える等の対応を求めたいと思います。こうすることによって、主要な指標が判定不能となることを極力、未然に防いでいきたいと考えております。

 その上で、今回、コロナの際に調査対象が医療機関となっている調査もありました。こういった調査は医療機関の負担軽減のため、それまでは毎年度実施していた調査を見送ったということもありました。また、本日はちょうど東日本大震災から11年目の日となりますが、当時も災害発生があった関係で、一部の調査を見送ったものもあります。

 このように、やむを得ず判定不能という結果になってしまった指標については、この判定不能という言葉のとおり、評価に対してポジティブでもネガティブでもないため、「主要な指標の半数以上が○かどうか」を判定する際の母数には含めないという整理にしたいと思います。以上です。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長 

 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問などがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特に手が挙がっていませんので、御了解いただいたということにさせていただいて、よろしいでしょうか。

 特に御異議はなさそうですので、それでは、事務局におかれましては、このような形で第5期の施策評価が、より良いものとなるように取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、議事の(2)10回政策評価に関する有識者会議WGにおけるご意見への対応状況について、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○肥沼補佐

 資料9、横置きのA3の資料をお手元に御用意ください。こちらは昨年の7月から8月の間に開催した各WGで出た御意見への現時点での対応状況を整理したものになります。個別の内容は個々の内容を御確認いただきたいのですが、総数として、3WGを通じて83の御意見を頂きました。そのうち現時点において対応できているものが約64%、また、引き続き検討としているものが17%、対応困難としているものが13%程度です。これらの回答内容について、再度、御意見がある場合にはお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ただいま御説明ありました点について、いかがでしょうか。個別に御確認、また更なる御意見などがありましたらお願いいたします。ございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、なさそうですので、引き続き対応は事務局のほうでしていただくということでお願いいたします。

 (3)その他ですが、第4期基本計画の期間は今年度末をもって終了いたします。事務局から、今回議事として説明のあった第5期計画における様々な見直しのほかに、政策評価の取組を一層向上させていくに当たって、委員の皆様からお気付きの点などがあれば、この際、お伺いしたいと思っております。少し時間がありますので、よろしければお願いいたします。

 

○河北委員

 河北でございます。先ほど本田さんもおっしゃいましたが、私も2期やりましたので、今回でおしまいとなりますので、ですから、少し全体的な意見を述べさせていただきます。ここは政策評価の有識者会議なので、ほとんどが方法論になってしまっている。政策評価として、実際には、事前に分析をしてみて、それからそれを実績の評価にするという方法論なのですが、厚生労働省という国家としての中央政府の役割というのは、やはり政策の企画立案と最終的に評価をする、現業はできるだけ民営化するというのが中央政府の役割だろうと、私は思っています。あとは、自治体がどう関係するかということで、自治体に関しては均点化をするか、あるいは例えば競争をさせてみる、あるいは選択をする、それから民営化をどこまで進めるかという手法は取らせるべきだと思っているのです。

 それで、ちょっと2つの例を出したいと思います。今回、コロナの感染があったわけです。私どもの総合病院がある杉並区という所は、自治体病院もなければ大学病院もない。中野区の警察病院を含めて、3つのいわゆる総合病院としての病院が、人口57万人、隣の中野区を含めると約90万人、練馬区の南を入れると100万人が半径5kmの中に収まっている所なのです。20203月に杉並区長に電話をして、我々は自治体病院として対応をするから、それなりに手当てをしてくれということで、4月、5月、6月に対応していただいたのです。民間病院でも自治体病院としての機能は果たせると思っているので、そういったことも政策の中に入れていただきたい。

 なぜかというと、地域医療構想というのは、これは1985年に地域医療計画ができて、30年間ほったらかしになって2005年までそのままになっていたものです。例えば、感染症の診療圏と、急性心筋梗塞の診療圏と、がんの診療圏と、あるいは精神科疾患の診療圏は全く違うわけですよね。そういうものを二次医療圏で整えていくといっても、二次医療圏には事務局がないので何の機能もしないと。そういった政策をどう考えるかということは、1つの例としてお話しておきたいと思うのです。

 それから2つ目は、先ほど就職氷河期という言葉がありましたが、介護の人材を今後どうしていくのか。今、現場で、例えば看護師を新規に再就職で雇うというと、大体、紹介会社に払う手数料は60万から70万円ぐらいなのです。例えば、福祉士等の資格を持っている介護の人たちというのは幾ら掛かるか御存じですか。120万~140万円ですよ。それだけ人がいない、ではどうするか、海外から人を呼べばいいというわけではないと私は思うのです。海外からの競争も敗けてしまっているし、それから、日本人が実際に就職を就業しない職業を海外の人だけにやらせるなどということをやっていたら、この国の将来は全くなくなると思うのです。

 では、どうすればいいか。これは大反対があるかもしれませんが、例えば、高校を卒業した若い人たちに2年間の徴用制度みたいなものを義務付ける。徴兵ではありませんよ、選択ができるようにする。介護と農業と自衛隊というようなものを施策として、今後、考えていかなければ。それから、やはり若い人たちが日本という国を考えていくというチャンスを与えることでもあるだろうと思うのです。そういう所で、例えば2年間、本当にいい教育を受けて、将来につながっていく経験をさせてみるということから、2年間、小遣いを出して、衣食住は責任をもって確保する。そうすると、小遣いが貯まりますよね。大体2年間で、100万から120万円ぐらい貯まったならば、大学に行く前に世界一周旅行をすることもできるわけです。そういう施策を考えていくということが、今後の日本には大切なのです。これはここで議論することではないけれど、もっと厚生行政というのは均点化も大切だけれども、ダイナミックに社会に対応してほしいと思いますから、そういう観点もこの政策評価の中で、できるのであれば、是非、持っていただきたいと、これはお願いであります。

 

○肥沼補佐

 貴重な御意見をありがとうございます。なかなかダイナミックなお話なので、どこをどう落とし込んでいったらいいのかというところもありますが、関係部局とも、今後とも、そういった御意見をシェアしながら考えていきたいと、今、お話を聞いていて思った次第です。ありがとうございます。

 

○菊池座長

 どうもありがとうございます。それでは印南委員、よろしくお願いします。

 

○印南委員

 すみません、ちょっとビデオなしで。慶應大学の印南です。私からは、ちょっと質問に近いのですが、厚生労働省における会議以外の会議体でも、結構、医療介護についていろいろ議論をしております。それで、一番最近なのは、経済・財政一体改革推進会議と規制改革推進会議だと思うのです。これらの会議体の決定事項と、この政策評価の有識者会議で議論している課題設定が、KPIの有無、更にKPIの重さですね。加えて、それらの会議体の決定事項との関係がどうなっているかがよく見えないということです。例えば、推進会議の場合には骨太方針は閣議決定なので、当然のところ、もし例えば後発医薬品の使用促進のように、具体的な数字が測定指標として自動的にこちらにも入らなければいけないのではないかと思うわけです。普通は余り入らないのです。

 つまり問題は、12月に出される改革工程表なのです。これが非常に詳細な計画が付記されて、場合によってはKPIが設定されているのです。こちらは実は諮問会議決定であって閣議決定ではないのです。そうすると、この有識者会議との関係がよく分からなくなる。もちろん厚労省も参加していますから分かるはずですが、明確に、例えばそこで、改革工程表に挙がった場合には、こちらは5年のサイクルでやっているのですが、途中で毎年毎年変わってくるわけです。それが自動的に、課題が設定されているのか、調査していないので分からないですが、それがはっきりしない。それから、改革工程表ではKPIが設定されていなくて、こちらで同じフェーズがあって設定するのは、もちろん大いに結構だと思いますが、逆の場合があるのです。つまり、向こうではKPIを設定しているのに、こちらでは設定していない、あるいはそもそも課題設定されていない。また、KPIが設定されていても、その重さがこちらの政策評価のKPIと向こうのと違っていたら、それは、より有意的な目標をこちらで設定するのは十分ありだと思うのですが、そうでない場合があるのではないかと、調査もしていないで言っているのですが、そういうのがあるかどうか、ちょっと知りたいと。

 それから、毎月やっているのは、規制改革推進会議というのがありまして、あちらが時たまKPIを設定したりするのです。12月に出している中間取りまとめ案は、これは閣議決定だから余り数字は入ってこないのですが、6月に出す規制改革実施計画のほうは、結構、数字が入ってくるのです。これらは、自動的にこちらの政策評価会議の意志決定の場、政策評価の評価項目に入ってきているのかどうか、私はよく分からないので、質問させていただきました。ですから、会議体で決定する政策目標、課題目標、それからKPIの有無、KPIの重さ、その4つが、外の会議体で決定するものときちんと連動しているのかどうかを、もちろん今日でなくても構いませんので、できたら教えていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 

○肥沼補佐

 今、お答えできる範囲になりますが、まず、正に複数の大きな会議にも参加されている印南先生ならでの御質問かと思って拝聴しておりました。まず、いわゆる工程表ですね、12月に作っている新経済・財政再生計画改革工程表の中で、KPIがかなり細かに設定されているのは承知しております。実はこのKPIに設定したものは、内閣府から、各府省に対して政策評価の中でも指標にするようにという事務連絡はきておりますので、我々の事務局でも、この改革工程表は毎年度確認し、それぞれの施策の中に入れるように原局に指示をしております。実際に事前分析表を、ちょっと読みにくい点があるのですが、先ほど来の公表されている事前分析表を見ますと、例えば、施策目標の一番上の1-1-1に、測定指標を掲げていて、病院長に対する労務管理に関するマネジメント研修の受講者数(アウトプット)で、その下に、改革工程表のKPIで何番と書いてあるのです。ですので、改革工程表については政策評価にもきちんとスライドさせています。目標値も同じものを使っています。そこで違う点があるとすれば、改革工程表では最終年度の目標値を主に書いています。すなわち、毎年度目標設定はせずに最終目標を書いています。ですので、そこの間を埋める作業、つまり、令和3年度と、目標値が令和8年度であれば、直近の実績値から差分を取って、毎年度の目標の目安値を設定するように、原局に呼び掛けている状況です。

 一方で、規制改革会議については、KPIが設定される場合もあるとは認識しているのですが、それについて内閣府から、必ず政策評価の中で指標にせよという指示はきておりません。諮問会議はやや施策レベルの大きな話をする場で、規制改革会議は少し個別のテーマで扱っているという認識がありますので、中身が個々の施策目標の中で、これは最近のホットトピックなのでKPIをそのまま施策目標の中の指標にすることがふさわしいと考えられるものについては、なるべく採用する形をとっております。ですので、そこは原局との調整もありますが、政府全体の会議で決められているようなものは、政策評価にも可能な限り反映していく方針で作業を進めております。お答えになっているでしょうか。お願いいたします。

 

○印南委員

 100%されていれば、すばらしいですね。規制改革推進のほうは、内閣機関の資料がないというのがちょっと気になりましたが、資料は出すべきではないでしょうか。資料がないと時期もずれるし、計画などもずれるし、結構、複雑になるので、少し気になっていたので質問させていただきました。どうもありがとうございます。

 

○肥沼補佐

 どうもありがとうございます。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。大西委員、お願いいたします。

 

○大西委員

 御指名ありがとうございます。これまで議題として上がってきたものの中では、分野横断的な政策や、それとの関係での政策体系への施策大目標の立て方といったところに関係するのかもしれないのですが、私は、1期やってきて2期目に入りますが、特に複数の組織体の施策目標に関わるような、そういう政策に関して分野横断的な、言い換えると施策横断的な基本目標や施策目標の立て方ということに関しては、いろいろ事務局や関係部局のほうでも工夫を重ねられているなという印象を受けるのですが、特に複数の組織の施策目標や事業目標に関わる分野に関して、異なる組織の中で、組織同士や組織間で、会議体や協議会などを設定して、どのような情報共有が図られているかという視点から、基本目標なり施策目標なりを立てるというアプローチが少し少なかったかなという印象を受けております。

 それで、もしかすると、これは非常に定性的な、主観的な印象に過ぎないのかもしれないけれども、そういった政策評価の在り方の問題点が顕著に顕在化したのが、今回のコロナ対応でマスコミ等から批判を受けるような、例えば異なる組織との情報共有の在り方といった部分の問題点が顕著に現われたのではないかという印象を受けております。

 そういう意味で、次期の政策評価においては、そういった、特に新興感染症や、あとは今回の資料7でも、就職氷河期世代への支援ということで農業分野との連携強化といったことも政策内容に挙げられておりますけれども、そうなると当然、農水省などとの情報共有や、そのための会議体の設定といったことも、政策課題として上がってくるのではないかという印象も受けましたので、施策横断と組織横断、ひょっとすると鶏と卵のようなものかもしれませんが、何か分からないけれども、とりあえず異なる省庁との連絡協議会みたいなものをもって、ざっくばらんに情報交換をしていたら、こういう分野横断的な政策課題が浮かび上がってきたよねというようなことも、ひょっとすると出てくるかもしれないと思われますので、そういった視点からも、基本目標や施策目標の立て方というものを関係部局なり事務局なりでお考えいただく必要があるのではないかと思った次第です。

 

○肥沼補佐

 御意見をありがとうございます。施策横断的にとどまらず、組織横断的といいますか、複数の他省庁なり実施主体との連携というところが、確かに足りていない部分は非常に多いと思います。そこをどう施策として表現していくのか、ひいては、どう評価していくかというのは、すごく難しい課題だなとお伺いしておりました。それを今後どのように政策体系に反映させていくかという点については、もうしばらくお時間をいただいた上で検討させていただければと考えております。

 また、他の省庁などの政策評価を取りまとめている総務省自体が、今後どのようにするかと考えているのかという点についても、厚労省としても情報収集をしてみたいなと考えています。以上です。

 

○菊池座長

 御意見ありがとうございます。あとはいかがでしょうか。ないようでしたら、そろそろ締めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 本日は、非常に熱心、かつ有意義な御議論を頂きまして、ありがとうございました。本日は最初に、令和4年度を始期とする第5期基本計画()について、第5期の変更点を御議論いただいたところでございます。その中で有識者会議とワーキンググループの役割の見直しについて、昨年度の有識者会議の最後に、事務局に対して私のほうから改めて整理を行っていただくよう、御検討をお願いしたものでございます。会議の場で議論が活発に行われるということは大変望ましいことでございます。ただ一方で、1つは御多忙の委員の皆様に掛かる御負担を勘案すると、やはり会議運営の効率性との両立が求められるのではないかと考えました。

 そして、もう1つ、余り表に出すような議論ではないかもしれませんが、多くの皆様から幸いにも御意見を頂けたので、あえて申し上げますが、この事務局、原局もですが、とりわけ事務局に掛かる負担、業務過多が、ここ2年余り見ていて、私としては非常に心配でした。もちろん肥沼さんをはじめ、優秀な方々がそろっていますので、その点は安心なのですが、限られた人員の中で業務をこなしていかなければいけない、肥沼さんはタフなので倒れることはないとは思いますが、本当に心配しました。

 やはり、これは事務局の持続可能性といったようなものを考えていく上では、会議の在り方を見直す必要があるのではないかということを、事務局のそばで見ていて非常に痛切に感じたところでございます。幸いにも、多くの先生方も、負担の面で御心配を頂き、その点はきちんと見てくださっていたのだと安心した次第でございます。ありがとうございます。

 そして、本日の事務局の説明では、第5期から事前分析表と実績評価書の審議をワーキングで行い、その議論の概要を有識者会議に報告するということでございます。このことは、ワーキングと有識者会議を一定の役割分担の下で運営することで、専門的な観点から議論を深めつつ、会議運営の効率化と事務局の負担のバランスを図る試みであると思います。すなわち、ワーキンググループは、評価対象となる施策について、特に専門的な知見をお持ちの委員に、当該施策について制度改正に向けた議論とは別に、政策評価の観点から議論をしていただくという場でございます。他方、有識者会議では、各ワーキングの議論の中で、他のワーキングの施策にも関連すると思われる意見の共有を図るとともに、施策の親和性、関連性などの観点から、先ほど玄田委員から重層的というお話もありましたが、それも含むと思いますが、そういった観点から、担当ワーキング以外の委員からの意見も聞くことが有益と考えられるものをピックアップしていただいて議論すると、こういう役割分担かと思います。

 当然、複数のワーキングにまたがる専門性や、御関心をお持ちの委員もおられるわけで、私もそうですが、ここでの理解は政策評価の対象となる施策について、制度改正をめぐる審議会などでの議論とは切り離して、あくまで政策評価の観点から、評価対象となる多くの施策につき、専門家としての知見を持つ委員間で分担して個別の施策の評価作業を行うと。そして、それぞれの個別の評価作業については、それぞれのワーキングの委員の作業を信頼して基本的にはお任せするという考え方だと理解しております。その上で先ほど述べた、必要性に応じて全体会議で議論を行うという理解です。

 委員の皆様におかれましては、今回の整理を意識して、今後の会議運営への御協力を賜りつつ、一層の活発な御議論をお願いしたいと思います。

 また、評価書の作成が単なるペーパーワーク、いわゆる評価のための評価とならないためにも、政策評価の意義を改めて意識することも必要です。この点での委員間での共通了解を図るための基礎作業といいますか、準備作業が個別の政策評価を優先した結果、ともすると、十分になされなかったのではないかという反省が私自身ございます。

 このことは、行政学の森田朗先生ら、政策評価の専門家の先生方と御一緒させていただき、政策評価そのものの在り方を毎回議論していた時代の会議にも参加していた私に、座長を仰せつかりながらも、そうした方向での事務局への依頼・指示を怠っていたという責任がありまして、この辺りは大変申し訳なく思っております。委員の皆様の中でも、政策評価という作業自体への戸惑いなどがあった方も、ひょっとすると、おられたかもしれませんが、やはり私のほうでの配慮不足という面があったということで反省しております。

 先ほど、印南委員からございましたように、最近は様々な会議体があって、KPIなどいろいろなものが出てきておりますが、9年前ぐらいに私がここに入らせていただいた当時、委員であられた行政評価の専門家である梅田次郎先生が、何を政策評価の測定指標とするかについて3つあるとおっしゃっておられました。1つは、国民の関心が高く行政上の課題となっているトピックを取り上げる。2つ目に、多くの予算を費やしている項目について費用対効果を見るために取り上げるべき。3つ目に、今後、行政自身が追求すべきと考える価値を示すものを指標として取り上げるべきであると。

 多分、この3つ目が先ほど玄田委員からお話があったキャリアアップで、お話を伺っていて、求職者支援も障害者雇用も、定着支援のところで止まっているという、確かにそのとおりだと思いました。しかし、これからの進むべき方向性としてはキャリアアップだと。キャリア権の議論がありますけれども、それをもっと広く包括したものにしていくべきだという、そこに価値を見出すのであれば、確かにキャリアアップというところまで広げるという、これも一つの在り方だなと思った次第です。

 ということで、こういった観点からの指標を通じて、行政が実施している施策が課題解決のために効果があるか、投入したコストに見合ったベネフィットがあるか、これらを客観的に評価し、その結果を政策改善につなげるという一連のプロセスが、政策評価だということを当時学ばせていただいた記憶がございます。第5期からの各所の見直しによって政策評価の質の向上が図られ、政策立案・改善にもつながることを期待したいと思いますし、委員の間で政策評価そのものに対する共通了解を図るための工夫を、改めて事務局にはお願いしておきたいと思います。

 山田委員からございましたように、まずはやってみる、ただ、そこでしっかり検証して、そこに不具合があれば必要に応じて、よりよいものに修正していく、これまでも政策評価はそうやってきましたし、これからもそういうことなのだろうと思っておりますので、今日のところは、ひとまず第5期のやり方として御承認いただいたということにさせていただきますが、必要な見直しというのは恐れずにやっていくという姿勢で取り組んでいただきたいと思っております。少し長くなりまして申し訳ございません。どうもありがとうございました。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて説明をお願いいたします。

 

○肥沼補佐

 皆様、本日は長時間にわたる御議論、本当にありがとうございました。まず、今回、御議論いただいたものの取扱いですが、第5期の厚生労働省における基本計画等につきましては、本日の御議論を踏まえまして必要な手続というものを進めさせていただきたいと思います。また多くの先生方から、事務局の負担なり、原課の負担なりという点を気に掛けていただいて、大変有り難いと思いながらも恐縮だなと思った次第でございます。

 また、最後に菊池座長からもお話がありましたとおり、この政策評価の有識者会議として何を議論するのかというようなところについても、今後は意識を向けていきたいと。また、そのために玄田先生からも御指摘があったように、評価をするために何かペーパーを作る前に、まずはみんなの中で共通了解を得るところも、評価の軸についての共通了解を得るということも、今後は必要な作業なのかなと。単に評価書を作って、それが成果という形ではなくて、少し時間は掛かるかもしれませんが、評価軸から話し合って評価書を作っていくという作業も、これまではしたことがなかったと思いますので、今後はそういったプロセスも踏む必要があるのかなと感じました。

 幸いながら、この会議体は比較的柔軟な運営ができておりますので、今後も事務局が委員の皆様、座長の先生と御相談しながら、より良い改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。最後に、本会議、有識者会議の閉会に当たりまして、山田参事官より、御挨拶をお願いいたします。

 

○山田参事官

 本日も、菊池座長の議事進行の下、活発な御議論を頂きましたことに感謝申し上げます。伺った御意見を踏まえまして、厚生労働省では、来年度からの新たな第5期の基本計画などの策定に向けまして進めてまいります。第5期におきまして、分かりやすい評価書の作成・活用、分野横断的な課題の評価などの新たな取組を含めまして、厚生労働省における政策評価を推進し、改善してまいりたく思います。

 その中で、本日の御議論の中で政府の役割、会議運営の効率性、そして皆様、そして事務局の負担、これについても御意見を頂きました。この関係で、政策評価の根拠法である「行政機関が行う政策の評価に関する法律」の第1条の後段を見ますと、政策評価の目的として2つ書かれております。「効果的かつ効率的な行政の推進に資するとともに、政府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにする」と書かれております。これらを改めて頭に入れながら、当省の政策評価を更に進めてまいりたいと考えております。

 皆様に有識者をお務めいただいてまいりましたこの間、政策評価の重要性はますます高まってきたと考えております。そして皆様のお陰をもちまして、厚生労働省における政策評価が進んでまいりました。皆様のこれまでの多大な御貢献に重ねて感謝を申し上げます。併せて、今後も政策評価の推進に向けて御指導、御鞭撻を賜ることができれば有り難く思います。ありがとうございました。

 

○菊池座長

 それでは、これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。