第42回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録

日時

令和4年2月22日(火) 15:00~17:00

場所

AP虎ノ門11階B室(オンライン)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

議題

  • 全国家計構造調査のデータの取扱いについて
  • 令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方について
  • 過去の生活保護基準見直しによる影響分析の作業方針について
  • その他

議事

(議事録)
■小塩部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第42回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
最初に事務局より、本日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いいたします。また、オンラインで出席されている委員の方がいらっしゃいますので、会議での発言方法等についての説明もよろしくお願いいたします。
■大熊社会・援護局保護課長補佐 本日の委員の御出欠状況でございますが、全ての委員に御出席をいただいております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、本日は一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。
議事録につきましては、後日ホームページに掲載いたしますので、御承知おき願います。
本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、
資料1「全国家計構造調査のデータの取扱いについて」。
資料2「令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方(案)」。
資料3「過去の生活保護基準見直しによる影響分析について(方針案)」。
参考資料1「被保護者調査(概数)の結果(令和3年11月分)」。
参考資料2「平成30年以降の生活保護基準見直しの概要」。
参考資料3「平成29年生活保護基準検証の概要」となっております。
資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
会議の進行に当たっては、お手元の資料を御覧になりながら御参加いただければと思いますが、事務局からの資料説明の際にはZoomの画面上にも資料を表示するようにいたします。
また、会議中、発言を希望される際は、カメラに向かって挙手をお願いいたします。部会長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。
それでは、これからの議事運営につきましては、小塩部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、大変恐縮ですが、カメラ撮影の方々は、これで御退室をお願いいたします。
それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。
最初に、資料1「全国家計構造調査のデータの取扱いについて」、これは前回から引き継ぎの議題になりますが、事務局のほうで資料の修正等、何か連絡すること、補足事項はございますでしょうか。
■大熊社会・援護局保護課長補佐 前回、第41回の資料2を、今回、第42回の資料1として用意しておりますが、資料番号以外の変更はございません。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、前回、阿部委員が途中で退室されましたので、もしこの資料につきまして御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。御意見はございますでしょうか。
■阿部委員 大丈夫です。ありがとうございます。
■小塩部会長 よろしいでしょうか。それでは、この件につきましては、事務局からお示しいただいた方針で今後の検証を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議事に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
■大熊社会・援護局保護課長補佐 続きまして、資料2及び資料3を一通り説明させていただいた後に質疑応答とさせていただきたいと思っております。
それでは、まず、資料2「令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方(案)」を御覧ください。こちらは、今後、令和4年度に行います検証作業の大枠について、大きく2点挙げさせていただいています。
1点目、「過去の生活保護基準見直しによる影響分析」についてです。こちらの検証作業の基本的な考え方ですが、まず、これまで平成29年検証時も実施した検証手法を踏襲した分析を行います。これは、
・生活扶助基準の見直しによる影響額の把握、
・生活保護受給世帯の家計に与えた影響の把握、
・生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識に与える影響の把握
です。
これらに加え、「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」において論点として整理された事項についても分析を行います。これは、
・保護の開始・停止・廃止の状況の分析、
・生活保護世帯の消費支出の変化の分析
になります。
さらに、有子世帯の扶助・加算に関して、平成30年度に「児童養育加算」、「母子加算」、「教育扶助及び高等学校等就学費」の見直しが行われたことから、これらの扶助に係る基準額の変化等の状況を確認します。
なお、米印に記載していますが、福祉事務所に対するヒアリングについて検討することとしていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、実施を見送ることといたします。ただし、平成30年に運用を含めた見直しが行われた学習支援費に関しては、福祉事務所からの報告をまとめることで、見直し後の支給状況などを確認することを予定しています。
次に、2ページになります。具体的な作業内容について記載されているところですが、こちらは後ほど説明する資料3で図表を交えて説明させていただきますので一旦飛ばさせていただきます。
4ページになります。大きい2つ目で、「生活扶助基準の水準等の妥当性の検証」となります。まず基本的な考え方です。1点目です。現行の生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を維持する「水準均衡方式」の考え方により設定されていることから、生活扶助基準の水準に関する評価・検証に当たっては、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという観点から検証を行うことを基本とします。
2点目で、消費実態との比較検証に当たりましては、使用する2019年全国家計構造調査の取扱いとして、全国消費実態調査から調査手法が一部変更されていること、調査対象期間が2019年10月・11月となり、同年10月に消費税が改定されたことに伴ういわゆる駆け込み需要の反動による影響等を受けている可能性があることには留意をすることとします。
3点目です。生活扶助基準の水準検証については、基準設定の基軸とされる標準世帯が33歳、29歳、4歳の3人世帯であることを踏まえ、これまでも夫婦子1人世帯をモデル世帯として消費実態との比較検証を実施しているところであり、引き続き夫婦子1人世帯をモデル世帯として検証を行うことを想定しています。そして、この比較検証に当たって消費実態を参照する所得階層については、直近の2019年検証時に変曲点理論を用いた消費の変動分析が行われ、その結果、「夫婦子一人世帯の生活扶助基準については、年収階級第1・十分位を比較対象とする所得階層と考えることが適当である」とされていますことから、引き続き、夫婦子1人世帯の年収階級第1・十分位を対象として比較検証を行うことを考えています。ただし、この際、消費実態を参照する集団の状況について、平成29年検証時に参照した集団の状況と大きく変化していないかを確認する観点から、参考となる指標の確認を行うことを想定しています。
次に、5ページになります。基準体系(較差)の検証の話になります。生活扶助基準は、標準世帯に係る基準額を基軸として、級地、世帯人員数、世帯員の年齢階級の別に基準額が設定されていることから、この基準体系(較差)について、これまでも級地、世帯人員数及び世帯員の年齢階級ごとの消費実態の較差との比較による検証を行ってきたところです。今回も、過去の検証手法を踏襲して同様の検証を行うことを予定しています。
米印1点目ですが、その際、個人単位の生計費である第1類の経費は、級地、世帯人員数、年齢階級の別に基準額が設定され、世帯共通的な経費である第2類の経費は、級地及び世帯人員数の別に基準額が設定されていることを前提に、それぞれの体系に沿って検証を行うことといたします。
米印の2点目です。生活扶助基準における級地区分については、基準部会での分析結果のまとめを踏まえまして、現在、厚生労働省において級地区分の在り方について自治体等と調整しながら検討しているところです。今後、厚生労働省が基準の設定を行う際には、見直し後の級地区分を前提としたものとなります。一方で、基準部会において現行基準と消費実態の級地間較差の比較検証を行うことになります。その際、現行級地区分は6階級ですが、これを前提とした消費実態の較差を用いるほか、検証時点で見込まれる級地区分、階級数、級地指定を踏まえた消費実態の較差を用いることが考えられます。
次に、新たな検証手法についてですが、平成29年の生活保護基準部会報告書において指摘がなされていることから、今回の検証に当たっては、これまでに報告された最低生活費に関する研究結果等を補完的な参考資料として参照するほか、生活保護世帯において生活の質が維持されているかという観点から生活保護受給世帯及び一般世帯の生活実態についての分析を併せて行うこととしてはどうかと考えています。
次の点ですが、2019年の調査時点以降の新型コロナウイルス感染症による影響等を考慮して、現在の生活扶助基準について、どのように評価すべきか検討をお願いしたいと考えています。
次に、6ページになります。ここからは具体的な作業内容です。「マル12019年全国家計構造調査の取扱いの留意点」について。1点目です。調査対象期間が2019年10月・11月であることに関しては、月次の消費動向を確認できる家計調査により、夫婦子1人世帯における低所得層(年収階級第1・十分位及び年収階級第1・五分位)の2019年10月・11月前後の生活扶助相当支出の動向を確認して、以後の検証に当たってこれを留意する形としてはどうかと考えています。
2点目です。収支項目分類の制約から、これまで生活扶助相当支出の対象外品目としてきた「男子用学校制服」及び「女子用学校制服」が把握できないことについては、対象品目でなかったものが溶け込んでしまうということになりますので、2019年10月・11月の家計調査により、夫婦子1人世帯における低所得層の当該項目に係る消費支出額の程度を確認し、以降の検証に当たって留意する形としてはどうかと考えています。
3点目です。2019年全国家計構造調査の集計世帯に、6か月の継続調査である家計調査世帯が含まれることについて、その影響があるということですが、これは家計調査世帯特別調査の対象世帯を除く場合の集計結果を併せて行って、その差が大きくないいうことを確認しておいてはどうかと考えています。
「マル2生活扶助基準の水準の検証」について。1点目です。生活扶助基準の水準の検証に当たっては、平成29年検証における分析結果を踏まえ、2019年全国家計構造調査により、夫婦子1人世帯の年収階級第1・十分位における生活扶助相当支出額の平均を算出し、生活扶助基準と比較することにより評価・検証を行うことを想定しています。
米印は、夫婦子1人世帯の範囲は、平成29年検証で参照範囲と同様に設定する旨を記載しています。
2点目です。この検証の際には、消費実態を参照する集団(第1・十分位)の状況が平成29年検証時に参照した集団の状況と大きく変化していないかを確認する観点から、参考とすべき指標について検討を行い、その状況を確認することとしてはどうかと考えています。
7ページです。「マル3生活扶助基準の較差の検証」についてです。級地、世帯人員数及び世帯員の年齢階級ごとの消費実態の較差との比較による検証です。こちらは、これまでの平成24年検証、平成29年検証での手法を踏襲して行うことを考えています。具体的には、2019年家計構造調査の個別世帯のデータを用いて、低所得世帯を対象として、第1類相当支出及び第2類相当支出それぞれについて回帰分析を行います。その際、説明変数は、各世帯の世帯構成、級地、収入及び資産等を説明変数とします。その結果を基に消費実態の較差(指数)を推計し、その推計結果の指数と現行の生活扶助基準における較差を比較することにより評価・検証を行います。
この際、展開手法の改善の観点から必要がある場合には、参照する所得階層や具体的な説明変数の設定などの回帰分析の細部について、基準部会においてあらかじめ検討して、従前の方法による結果と併せて算出することを想定しています。その方法による消費実態の較差の推計が多様な世帯類型の消費実態の較差を反映したものとなっているかを確認する観点から、参考とすべき指標について検討を行い、その状況を確認することを想定しています。
次に、「マル4新たな検証手法に関する検討」についてです。こちらは基準部会で報告された「MIS手法による最低生活費の試算」及び「主観的最低生活費の試算」の結果について、これまでの議論を踏まえ、必ずしも基準額の設定の直接的な根拠となり得るものではないことに留意しつつも、消費実態に基づく検証に当たって、補完的な参考資料として参照することを想定しています。
8ページです。消費実態だけでなく生活の質も踏まえた検証を行う観点から、基準検討会で報告のあった「生活保護世帯における生活の質の面からみた消費支出や生活実態等の分析」を参考に、「社会保障生計調査」や、「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」を用いた分析を行うこととします。
最後に「マル5コロナウイルス感染症による影響等」についてですが、これは月次の消費動向を把握できる家計調査により、2019年以降の夫婦子1人世帯における低所得世帯の生活扶助相当支出の動向を確認し、これを踏まえた上で、現在の生活扶助基準について、どのように評価すべきか検討することとしてはどうかと考えています。
9ページは、今御説明しました検証作業について、4月以降順次行ってまいりますスケジュールということになります。
資料2についての説明は以上です。
次に、資料3です。2ページになります。生活保護基準の定期的な評価・検証を行うに当たっては、直近の消費データを活用して現行の生活保護基準を検証するほか、これまでの見直しによる影響の把握を行うことも重要と考えています。
平成29年検証では、生活扶助基準について、
・生活扶助基準の見直しによる影響額の把握、
・生活保護受給世帯の家計に与えた影響の把握、
・生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識に与える影響の把握
が行われました。
また、令和3年3月に取りまとめられた「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」の論点整理では、
・保護の開始・停止・廃止の状況の分析、
・生活保護世帯の消費支出の変化の分析
を行うことが提言されています。
次に、有子世帯の扶助・加算に関しては、平成30年に「児童養育加算」、「母子加算」、「教育扶助及び高等学校等就学費」の見直しが行われたため、これらの基準額の変化を確認することを考えています。
検討事項としては、これらの分析を具体的にどのような方法で行うのかということになります。
次に、5ページまで飛んでいただいて、「分析作業の進め方(案)」の説明に入らせていただきます。
「(1)生活扶助基準の見直しによる影響額の分析」となります。こちらは「児童養育加算」と「母子加算」を含めた影響額の分析となります。平成29年検証時と同様の方法により、平成30年被保護者調査の個別世帯のデータを用いて、基準見直し前後の基準額表に基づいて個々の世帯の世帯構成に対応した基準額を推計し、その変化の状況を把握することを考えています。集計は全世帯のほか、世帯類型を高齢者世帯、母子世帯、傷病者・障害者世帯、その他の世帯の4区分とし、世帯人員別に行うことを考えています。
個別の基準額の推計に当たっては、当該世帯の世帯員の年齢、人数、所在地域、居宅・居宅以外の区分(救護施設等入所、入院、介護施設入所)、加算の有無などに応じて算定することになります。
算定の対象とする生活扶助費については、原則として加算も含めて全ての生活扶助費を算定の対象と考えていますが、
・移送費や家具什器費などの一時扶助や、
・算定月が異なる冬季加算や期末一時扶助、
・加算額が実費となっている介護保険料加算
は除くことを考えています。
続いて、6ページです。こちらも平成29年検証時と同様の方法により、平成30年度被保護者調査の個別世帯のデータを用いて、生活扶助基準の見直しによって「金銭給付がなくなる世帯数」、言い換えますと、「最低生活費が収入充当額より低い状態となる世帯数」を推計することを考えています。集計は全世帯のほか、世帯類型を高齢者世帯、母子世帯、傷病者・障害者世帯、その他の世帯の4区分とし、世帯人員別に行うことを考えています。
まず、生活扶助基準の見直しの前の時点で「マル1金銭給付の保護費がある世帯数」を推計することになりますが、これは個別世帯ごとに、5ページで算出した「平成30年4月時点の基準額表に基づく生活扶助基準額」に、平成30年度被保護者調査による平成30年7月の住宅扶助、教育扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助及び一時扶助の決定額実績(医療扶助、介護扶助は含まない)を加えて、平成30年4月時点の基準で最低生活費を推計し、最低生活費よりも「収入充当額」が低い世帯を抽出します。
また、生活扶助基準の見直し後に「マル2金銭給付がなくなる世帯数」を推計することになりますが、これはマル1で抽出した世帯について、5ページで算出した「令和2年10月の時点の基準額表に基づく生活扶助基準額」に、マル1と同じ住宅扶助、教育扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助及び一時扶助の決定額実績(医療扶助、介護扶助は含まない)を加えて、令和2年10月時点の基準で最低生活費を推計し、最低生活費よりも「収入充当額」が高い世帯を抽出します。なお、「収入充当額」は平成30年度被保護者調査による個別の被保護世帯について、「収入認定額」から「実費控除額」、「新規就労控除額」、「未成年者控除額」、「その他の控除額」、「勤労に伴う必要経費」を控除して算出した額となります。
続いて、7ページです。「(2)生活保護受給世帯の家計に与えた影響の把握及び消費支出の変化の分析」となります。こちらは、平成29年度から令和元年度の社会保障生計調査を用いて、生活保護受給世帯について世帯類型ごとに、平成29年度から令和元年度の各年度における費目別の消費支出額及び保護金品を含む実収入額を集計し、その変化を確認することを考えています。集計に当たっては、実収入、特に保護金品(保護基準)が世帯人員によって違ってきますので、世帯類型を高齢者単身世帯、高齢者2人世帯、母子2人世帯、その他単身世帯、その他2人世帯、その他3人世帯の6区分と、世帯人員ごとに絞って集計したいと考えています。
また、平成29年検証時と同様の方法により、社会保障生計調査のサンプルバイアスを除去するため、令和元年度被保護者調査による被保護世帯を母集団として、令和元年度被保護者調査による世帯数の構成割合と等しくなるように拡大乗数を設定して補正することを考えています。
次に8ページです。こちらは、平成29年度から令和元年度の社会保障生計調査と家計調査により、世帯類型ごとに同期間における一般世帯の費目別の消費支出額を集計し、変化の状況を比較して確認を行うことを考えています。
また、集計は高齢単身、高齢2人、母子2人、その他単身、その他2人、その他3人の6類型で行うことを考えています。
9ページです。「(3)生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識に与える影響の把握」となります。これは、平成29年検証時と同様の方法により、家庭の生活実態及び生活意識調査のデータを用いて、平成22年、平成28年及び令和元年の各年における生活保護受給世帯の社会的必需項目の不足状況を確認し、併せて、一般世帯の状況との比較を行うことを考えています。
前回の生活扶助基準の検証でも、生活の質を踏まえた検証を行うため、先行研究を参考に「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」を活用した分析が行われています。社会的必需項目は、前回検証と同様、これまでの先行研究の調査結果等により、社会的必需項目であると判定された項目(50%以上の回答者が必要であると回答した項目)を考えています。集計は全世帯、高齢者世帯、母子世帯、単身世帯の4区分を考えており、生活保護受給世帯も一般世帯も同様です。
10ページです。「(4)保護開始・廃止・停止の状況の分析」となります。これは月次で被保護者調査から、世帯類型別に、過去からの保護の開始・廃止・停止世帯数の推移を確認することを考えています。集計は、開始・廃止世帯については、世帯類型を高齢者世帯、母子世帯、傷病者・障害者世帯、その他の世帯の4区分で行うことを考えています。また、開始・廃止の理由別で世帯数を把握することも可能ですが、「生活扶助基準の見直しによる最低生活費の減少」を理由として保護が廃止となった世帯のみを把握することはできない調査設計となっています。
こちらについては、今回、6ページのマル2で生活扶助基準の見直し後に「金銭給付がなくなる世帯」を推計させていただきますが、統計調査ではなかなか把握が困難な部分について、これに代わる数字として補完的にお示しさせていただこうと考えています。
11ページです。「(5)有子世帯の扶助・加算の見直しによる影響分析」となります。児童養育加算、母子加算の見直しについては、前ページまでの生活扶助基準に関する分析において一体的に行うことを考えています。教育扶助及び高等学校等就学費の基準額については、一般家庭の平均的費用の実態を踏まえて支給額を改定しています。こちらについては、生活扶助基準の見直しと同様、平成30年度被保護者調査の個別世帯のデータを用いて、基準見直し前後の基準額に基づいて、個々の世帯における子の就学状況に対応した各扶助の基準額を推計し、その変化の状況を把握することを考えています。
なお、個別世帯のデータについては、平成30年度被保護者調査における
・教育扶助の決定額が1円以上の世帯については小学生・中学生の世帯員数、
・高等学校等就学費の決定額が1円以上の世帯については高校生の世帯員数
・教育扶助及び高等学校等就学費の決定額がいずれも1円以上の世帯については小学生・中学生・高校生の世帯員数
により世帯類型を区分して集計を行うことを考えています。
12ページです。運用の見直しと併せて基準見直しが行われた学習支援費に関して、福祉事務所からの報告により、当該受給状況を把握することを考えています。ポイントとしては、「家庭内学習費用」、「クラブ活動費」に対応していた学習支援費を、「クラブ活動費」のみの対応として、月額で定額を給付する支給方法から、年間で上限額を設定した上で必要なタイミングで必要な額(実費)を支給する方法に見直しています。また、運用の手続面でも、クラブ活動に要する費用が確認できる資料によって事前給付を認めるなど、できる限り被保護者の負担とならないよう措置したところです。
学習支援費は、このように単純な見直し前後での比較による評価は難しいことから、「見直し以前であれば、6,000円のグローブを購入するためには、被保護者は毎月支給される一定額をやりくりして購入しなければならなかったものが、そのタイミングで実費が学習支援費として支給されることになるため、そのようなケースがどれぐらいの頻度で起きているか」という視点で、見直しの影響を把握することを考えております。それが右側のマル4「うち見直し前の水準以上の月数」となります。
また、一般的な支給状況として、扶助受給人員数に対する学習支援費の受給実人数の割合も確認しますが、「扶助受給人員数」には学習支援費の対象とならない「課外クラブ活動へ参加しない小学生・中学生・高校生等」が含まれることについて留意が必要と考えています。
13ページです。今回は運用の手続面でも何点か確認することを考えています。こちらは過去の基準部会や、昨年の「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」でいただいた御意見なども踏まえた確認事項としています。
1つは、
・生活保護受給世帯への学習支援費に関する事前の案内(周知)の有無、
・生活保護受給世帯からの物品等の購入前の相談の頻度、
・事前給付による学習支援費の支給の頻度、
・生活保護受給世帯から、事前給付ではなく、精算給付の方法で申出があった要因として考えられるもの
となります。これらは福祉事務所の事務負担との関係がありますので、一つ一つを積み上げたものではなく、日々の業務の中で把握される概況の報告を受けるものとなっています。
以上となります。
■小塩部会長 ありがとうございました。
ただいま事務局から資料2、資料3の説明を併せてお願いしたところですが、これらの資料につきまして、委員の方々の御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、山田委員、お願いいたします。
■山田委員 生活保護基準見直しによる影響分析について詳細に詰めていただきまして、ありがとうございます。こちらの資料については、おおむねこれでよろしいのではないかと思うのですけれども、2点ほど、やらなくてはいけないことというので指摘させていただければと思います。
まず1点目なのですけれども、生活保護基準見直しによる影響分析について、生活保護制度内でのことについては非常に詳細に詰めていただいているのですが、過去の報告書においても、生活保護基準が引き下がったことによって、一般低所得世帯も影響を受けることになります。これはもう釈迦に説法でございますけれども、生活保護基準が引き下がった地域では、50近い制度が直接・間接に生活保護基準を参照しておりますので、その地域では低所得層の消費も下がった可能性があるわけですね。具体的には障害福祉サービスの利用負担額、保育料とか介護保険料の利用料の上限額とか、就学援助とか、諸々の50近くの制度が連動していると。あと、住民税非課税の限度額というのももちろん連動しておりますし、国民年金保険料の減免措置というのも連動してあると。
我々が前回の報告書でも懸念しているのは、生活保護基準が引き下がった地域では、この連動によって低所得層の消費も下がっている可能性があると。低所得層を我々はこれから比較対象として生活保護基準が妥当かどうか見ようとしても、低所得層の消費が下がっているとすると、生活保護基準の引下げによって低所得層が引き下がったものを参照してまた生活保護基準が妥当かどうかを決めると、要するに循環参照が起こってしまうという問題があり、それを前回も非常に懸念していて、前回については、報告書にも明記させていただいたと思うのですけれども、その点については十分な検証を行うことができなかったとしております。ですから、今回は生活保護基準見直しの影響分析について、まず循環参照が起こっていないかというのを確認する必要があります。これについて、まず含めていただきたいということになります。
2点目については、今回、前回とは異なる点としては、資料2の5ページの1つ目のマルのところに米印が入っておりますけれども、級地区分を見直すということになります。級地区分を先行して見直してやっていくと。この際に気になるのは、やはり生活保護基準にどういう影響があるかということで、具体的に資料3の5ページに、こちらについても級地区区分の見直しによって生活扶助基準が変化したり、もしくは受給できなくなってしまうということが起こる可能性がございますので、級地区分の見直しについても、ぜひ資料3の5ページのような分析を行っていただきたいということになります。
あと、長くなってすみませんが、資料2の書きぶりでございますけれども、例えば4ページの3番目のマルの最後に、この際、消費実態を参照する集団の状況について、平成29年検証時に参照した集団の状況と大きく変化していないかということなのですけれども、何が大きく変化していないかということについては色々と判断の余地はあろうかと思いますが、第1・十分位が循環参照によって本当に妥当な比較対象なのかというのは、平成29年当時は妥当だという結論は出されているわけですけれども、循環参照が万が一起こっているとすると妥当ではない可能性もあるので、実はこの「ただし」という部分が非常に重要なことではないかと。
ただ、これに類する言葉は6ページの最後から7ページの最初にかけて消費実態を参照する集団の状況云々について書かれていますけれども、ここのところは循環参照が起きていないかというのを確認した上で、本当に妥当な参照基準、参照とする集団なのかというのを考えていく必要があるのではないかと。
以上になります。
■小塩部会長 山田委員、どうもありがとうございました。3点、重要なポイントを指摘していただきましたが、他にも二、三人の委員の方々の御意見を併せて伺いたいと思います。阿部委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
■阿部委員 私からも、今、最後に山田先生がおっしゃった点と、新たにもう一点申し上げたいなと思います。
第1・十分位を比較対象とするかということについて、前回は非常に長い時間をかけて検討を行ったと。それをしたのにも関わらず、その第1・十分位という水準が憲法25条で保障する最低生活を保障するものかどうかという確認は、最終的には取れなかったのですね。なので、MISですとか、その他のベンチマークとなるような方法を検討しましょうということで前回終わったかなと思います。
今回も、今、山田先生がおっしゃってくださった資料2の4ページの最後のパラグラフで資料の確認を行うというようなことで、確認という言葉が何回か入っているのですけれども、一体何をもって確認したと。確認しました、見ました、ではどれだけ差が大きかったらとか、どれだけどうだったらという、その後のことが見えてこなくて、結局そこのところが一番の論点になるかなと思うのです。
ですので、私は、この資料についても、確認し、妥当でないと認められた場合には修正するというような、もうちょっと強い書きぶりで書いていただきたいと思います。このパラグラフについてもです。
それから、MISですとか、その他の山田先生がおっしゃった主観的手法のものとかも、参照すると書いてあるのですけれども、参照してどうなるのだという話なのですね。前回もそういったものはあったわけですね。でも、前回までと違いますねと言っていて、その違いというのをどのように生活保護の保護基準体系の中で埋めていくのかという、その議論をしなければいけないはずですので、参照をするといったところよりも、そこからやはり参照した上で何をするかということを、もう少しこの方針案のところでも書いていただきたいなと思います。
なので、参照する、確認するだけではなくて、その先をどうするのかですね。どういったときにそれが妥当でないと判断するかということも含めて書いて頂きたいなということがあります。
もう一つが、非常にマイナーなところなのですけれども、資料3の12ページで学習支援費のお話がありました。ここのところは申請制にしたという非常に大きなやり方の違いがあるわけなのですね。そうしたときに、例えば、実際にクラブ活動費について申請してきたのが1万件ありましたと。その1万件というのは一体どうやって、それがよいとするのか、よいとしないのかという判断が今の状況では全くできなくて、むしろ懸念しているのは、その数が少ないということなのですね、今までは全員支給していたものが、申請制にしたことによって、もちろんその金額以上のものも申請できるようになったということはありますけれども、それよりも、恐らく多くの被保護世帯の御家庭は、ぼんと入ってくる生活保護費の中で、このうちのいくら分は学習支援費なのだということを分からずに消費しているわけですから、何となく、あれ、保護費が下がったなぐらいしか思っていないと思うのですね。そうした中で、それを申請するということを知らない方もすごく多いと思います。ですので、本来はやはりここのところは、申請すべき人がちゃんと申請しているかということを取らなくてはいけないのですけれども、今の方法ではそれができないと思います。
ですので、見直し前に比べて金額が上がった人だけをカウントするようにしているのですけれども、むしろ下がった人、申請しなかった人はどれぐらいいるのか。できれば、このやり方については、周知の方法ですとか保護受給者に聞くとおっしゃっていますので、そこのところで、ケースワーカーのほうからでもいいですけれども、クラブ活動をしているだろう例えば中学生・高校生年齢の子供たちの家庭でどれくらい申請しなかった世帯があったのか。普通、中学生・高校生はクラブ活動をしていますので、どれぐらいあったと思われるかという、正確ではないにしても、あったのか、ないのかぐらいは取るなど、何か違うやり方で、申請しなかったというところを把握できるような方法を検討すべきではないかなと思います。
以上2点です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
それでは、渡辺委員、お願いできますか。
■渡辺専門委員 ありがとうございます。山田先生と重複するところではありますけれども、見直しによる影響の分析についてです。今の案は、実際に受けていた方がどうかというような話だと思いますけれども、日本は生活保護基準が様々な制度の参照水準になっている。一番大きいのは非課税基準ですけれども、非課税基準は生活扶助基準あるいは生活保護基準を参照していますので、変更された影響はすごく大きいわけですね。非課税基準というのがさらに様々な制度の、社会保障給付だったり、社会保険料減免だったり、利用者負担減免の基準になっていますので、大もととなる生活扶助基準あるいは生活保護基準が動くと、そこまで大きく波及する可能性があるわけです。ですので、非課税基準に与えた影響がどうだったのかとか、あるいは就学援助に与えた影響がどうだったのかというのは、2000年代初頭から生活保護基準が変わってきていますので、前回の改正だけではなく、本来ならば、もう少し長いスパンで、10年、20年のスパンでどれぐらいの影響だったかというのを把握すべきではないかなと思います。少なくとも前回改正からの影響というよりは、2010年代ぐらいからの影響を見る必要があるのではないかと思います。
これは今年度始まって初回の部会でも、長期的な影響を見たほうがよいのではないかという御意見が出たかと思います。特に日本は生活保護基準が様々な制度の参照水準になっているので、きちんと目配せして影響分析をするべきではないかと思います。
それから、資料3の2ページ目を見ていますけれども、基本的な考え方のところで、保護の開始・停止・廃止の状況の分析を行うということになっています。停止・廃止については被保護者調査で把握されるわけですけれども、開始世帯というのはなかなか難しいわけですね。つまり、改正前の基準だったら該当したけれども、改正後には該当しなくなってしまった世帯というのが理論上はいるわけですけれども、被保護者調査ではそこは捉えられないわけです。改正前の基準だったら受けられたけれども、改正後では受けられなくなってしまった世帯というのも影響を受けた世帯になりますので、そこの把握をどうするのかというのは抜けている点かなと思います。
あと、分析の進め方で、消費への影響分析というところで資料3の7ページを拝見していますけれども、今、6世帯で分析されるということですが、こういう6類型にされた理由は何かなというのを事務局にお伺いしたいと思います。
それから1点、さっきの長期分析というところの観点からですけれども、現在の案では、平成30年時点の基準額表に基づく生活扶助基準と令和2年の基準額表に基づく生活扶助基準で影響額を出しているわけですけれども、例えばこれを、平成21年4月時点の基準額表に基づいた場合ではどうだったかということもやろうと思えばできるわけですね。基準年を動かした場合にどのぐらい影響が出てしまっているのか、長期的に基準額が見直され、引き下がった世帯も多くいるかと思いますので、その影響分析というのが必要なのではないかなと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
今、3名の方から御意見いただきました。重複するような論点もありましたので、私のほうで整理させていただきますと、1番目の論点として、これはかなり大きい問題だろうと思うのですが、第1・十分位を基準にすべきかどうかという問題がありました。2番目の問題として、他制度への影響ですよね。循環参照という問題もありましたが、他の制度に生活保護の見直しがどういう影響を及ぼしたか、それをどう把握するかという問題がありました。3番目といたしまして、MISによる試算結果をどのように活用するかという問題がありました。4番目としては、資料3に関するものですが、テクニカルな面も含めてですが、どのように数字を具体的に上げていくかという問題があったと思います。
議論を整理したいのですが、まず1番目の問題、第1・十分位を参照基準とするかという点について議論を深めたいと思います。宇南山先生、お手が挙がっていますけれども、この点に関するものでしょうか。できたらそれに関してお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
■宇南山委員 宇南山です。まさしくそこのところであります。事前の打ち合せ後も幾つか勉強させていただいたのですけれども、水準均衡方式というのが一体何との均衡を取るのかという部分について、過去の経緯を見させていただくと、第1・十分位と均衡させることが水準均衡というふうに読み取れるような記述が多いように理解しています。また、山田先生などの御懸念のとおり、例えば全国民の中位がどんどん上がっていくのに、貧困層だけ取り残されていってしまうような状況では、第1十分位が適切でなくなるという懸念も十分に理解します。しかし、一方で、変曲点理論にしても、MIS手法や主観的最低生活費、いずれも相対的なものではなくて絶対的なものでの考え方に基づいているように理解しています。私は、水準均衡方式を絶対に守るべきだという強い主張を持つわけではないのですが、少なくともここ十数年以上守られている方式というのは非常に重いもので、国民の理解や支持を考えると、水準均衡方式から外れない範囲で何か議論をすべきなのではないか、言い換えれば、何らかの相対的な基準、絶対的なものでない基準で議論するのが、まずは先決なのではないのかなと考えています。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他の先生方の御意見も伺いたいのですが、その前に事務局から、この点について何か補足する説明がございましたらお願いいたします。
■森口社会・援護局保護課長補佐 事務局です。
まず、第1・十分位の生活水準を参照することについて、皆様、幾つか御意見あったかと思います。この点につきまして、本日の資料において提案させていただいている趣旨をちょっとお話しさせていただきます。資料2につきましては、内容にも記載させていただいているとおりかと思いますが、平成29年の検証の結果において「夫婦子1人世帯の生活扶助基準については年収階級第1・十分位を比較対象とする所得階層と考えることが適当である」という結果が得られておりましたことから、この結果を踏襲しまして、従前から比較対象とされておりますこの年収階級第1・十分位を引き続き検証に用いるということを提案させていただいているものとなってございます。
この際、資料にもございますように、消費実態を参照する集団の状況、第1・十分位の状況につきまして、平成29年検証時から大きく変化していないかということを確認する観点から、参考とすべき指標について検討を行うということで提案させていただいているものとなってございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
この点について御意見はございますでしょうか。どうでしょうか。
阿部先生、渡辺先生、お手が挙がっていますが、他の委員の方の御意見をまずお聞きしたいと思います。岡部先生、新保先生、いかがですか。もしございましたら、御意見を頂戴いたします。
では、まず岡部先生、お願いいたします。
■岡部委員 資料2の5ページにあります平成29年度の報告書の中で、水準均衡方式を導入するのはよい。しかしながら、絶対的な水準を割ってしまう懸念があると記しています。この点について改めて検討しなければいけないということで、MISと主観的調査の検討を行ってきた経緯があります。阿部委員が述べているように、これらをどう参照するかに係ってくると思っています。この点の議論が必要と思います。
それと、水準均衡方式について相対化して捉えるという考え方については、1984年度から同方式で行っているますので、それに代わる方式があれば、その検討が必要でしょうが、事務局からお話があったように確認をし、この補完、あるいは考慮をどのように考えるかということの詰めた議論をしていただければと思っています。
私からは以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、阿部先生、お願いいたします。
■阿部委員 私は、細かい点ですけれども、MISの手法についてちょっと誤解があったようなので、1点だけ補完させていただきます。MISは絶対的手法ではなくて相対的手法なのです。これが開発された元々の出発点は剥奪研究なのですけれども、そこではリラティブ・デプリベーションという名前がついているように、これは相対的概念です。ですので、イギリスなどではMISを毎年参照し直しているのですね。というのは、毎年人々の意見というのが変わってくるからなのです。その時のその社会における生き方というのは変わってくる。絶対的というのは、時代ですとか場所に参照されないものです。
イギリスでは、地域という面でも、各地域で別々にやっているので、やはりその社会においての最低限は何かと考えるといった意味で、これは相対的な概念なのですね。そこのところでちょっと誤解があるのかなと思いましたので、付け足させていただきました。ありがとうございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
渡辺先生、お手が挙がっていますが、第1・十分位の件についてでしょうか。御意見をお願いいたします。
■渡辺専門委員 第1・十分位について、前回検証では第1・十分位でおおむね均衡という結果が得られたわけですけれども、それは前回検証の結果なのですね。なので、今度、2019年のデータを使ってみてどこで均衡と出るかは分からないわけです。ですので、そもそもそこからやる必要がありますし、今回は、資料2の5ページの下から2番目のマルのところに書いてありますとおり、前回の部会報告書において比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることからも、これ以上下回ってはならないという水準の設定について考える必要があるということになっていて、これと同様の内容のことが国会の附帯決議でついているわけですので、前回検証以上に、その水準の検証というところの重要性が増しているわけです。
ですので、そもそも今回の基準の検証に当たっての出発点は、水準均衡方式でよいかというところがまさに問われているわけです。もちろん水準均衡方式の歴史は長いです。長くてもう30年、40年続いてきているわけですけれども、そもそも30年、40年続けてきてよかったのかということです。30年前、40年前とは時代、社会背景が全く異なっている。経済状況も異なっている。人口構造も全く違うという状況の中で、同じ手法で最低生活が決められるかというところが問われているわけです。
水準均衡方式になる前は、御承知のとおりですけれども、かなり頻繁にその算定方式を変えてきているわけです。その背景には、その時代時代に合った算定方式にしなければならぬということがあったわけですけれども、今は水準均衡方式がずっと続いてきてしまっているわけです。それでよいのかどうか。最低生活を保障できますかというところが問われているわけです。
下位10分の1に固定せねばならぬ理由というのもないわけですので、健康で文化的な最低限度の生活が営めるかというところが検証されねばならない。特に今回はそこが強く要請されているというところだと思っています。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
第1・十分位についての議論を色々しているのですが、他にコメントございますでしょうか。
それでは、栃本部会長代理、お願いいたします。
■栃本部会長代理 今、水準均衡方式でよいのかどうかということが問われているとおっしゃいましたけれども、この基準部会自身が設置されて何を行うかということで水準均衡方式できちんと見ていくということが部会の趣旨・使命になっていまして、これはもう最初の出発点です。委員の皆さんから色々な御意見がありましたけれども、生活扶助基準と一般国民の消費との比較に当たっては、かねてより、昭和58年の変曲点分析以前から第1・十分位の消費水準に着目してきたという歴史的経緯があります。また、前回の平成29年度の検証の際に、昭和58年以来、久しぶりに変曲点分析を行った結果、基準額と比較すべき所得分位が引き続き第1・十分位とされたこと、この2点ですよね。つまり、昭和58年の変曲点分析以前から第1・十分位で消費水準に着目してきたという歴史的経緯があることと、29年の検証の際には、昭和58年以来久しぶりに変曲点分析を行った結果、引き続き第1・十分位とされたという、この2つのことは重要な事実だということですね。
したがって、こうした事実を踏まえた上で、今回の資料にも記載されているとおり、第1・十分位の状況が平成29年の検証時に参照したものと大きく変化していないかは、参照となる指標でしっかりと確認されることになるので、消費の実態を参照するに当たっては、第1・十分位を参照することが妥当ではないかと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他はいかがですか。今の部会長代理の御意見についてコメントはございますか。よろしいですか。
宇南山委員、お願いいたします。
■宇南山委員 変曲点分析についてなのですけれども、一体どういうものなのだろうかということで、ちょっと考えてみました。その結果、変曲点というものが存在し得るというような理論上のバックグラウンドは消費者理論で組み立てることができると思っております。技術的に言えば、ストーン・ギアリー型の効用関数みたいなものを考えて、予算が一定程度小さくなると片方の財しか使わなくなるような均衡というものが出てくることのように示せると思います。しかし、それが必ずしも絶対的な生活水準とどう関連しているかというのは理論的に明らかとは思えないですし、近年のエンゲルカーブに関する研究が進む中で、変曲点みたいな概念が必ずしも経済学の主流ではないと思います。もちろん過去にやってきて変曲点分析で検証ができるのだというのはそれも重要なことだと思うのですけれども、理論的に考えると、必ずしも変曲点分析を絶対視して、例えば今回も必ずやるべきだという考え方には若干疑問を持っております。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
岡部委員、お願いいたします。
■岡部委員 今、栃本部会長代理が述べていた第1・十分位は、そのとおりであるかと思います。
2点目に挙げられた変曲点をについて、宇南山委員が述べたように、はっきりと表れた時代で、生活構造に合わせて消費構造が変わることが見えていた時代もありますが、その後明確にそういうことがどの程度言えるかがあると思います。この水準均衡方式において変曲点を、幾つかの変曲に当たるものがあります。そこをどう読み取るかということが重要になってくるのではないか。また読み取れないということならば、これは大きな課題になると思います。もう一方で、阿部委員、山田委員が行なっていることがどの程度、参照するかについて検討する必要があると思います。
私自身としては、先ほど述べましたように、水準均衡方式に代わる算定方式が提示される、あるいは水準均衡方式ではもうそれは読み取れないということがあるならば、考えなければいけませんが、前回の平成29年度の報告書の中で、先ほど渡辺委員がおっしゃった絶対的な水準を割ってしまう。要するに、最低生活の底を割ってしまうということは絶対に避けなければなりませんので、それをどうするか、検討する必要と思っています。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
色々な意見を頂戴いたしました。あまり時間もございませんので、この辺りで全体の方針を固めていかないといけないのですが、皆さんの御意見を拝聴して、第1・十分位に注目するというのは、かなり長い歴史があるということを認識しないといけないなと思っています。水準均衡方式のベースになっているということで、それで今まで制度を動かしてきたという経緯はやはり重要だと思います。
それから、前回の検証では、昭和58年のときの検証から久しぶりに変曲点分析を行ったわけですが、それで第1・十分位がいいのではないかという結論が導かれたわけです。今回もそういう経緯を踏まえると、私は、基本的には第1・十分位を参照基準とするというスタンスで一応いいのではないかなと思っています。
ただ、何人かの委員からも強く御指摘がありましたように、状況がかなり変化していることを十分認識しないといけないというのはそのとおりでして、今までの検証以上に丁寧に数字を見ていくことが重要になると思います。この点は極めて重要ですので、事務局に、今回いただいた意見を十分念頭に置いて、必要に応じて資料を修正していただくように私から指示したいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
半分了承、半分反対みたいなお顔をなさっている方が多いかもしれないですが、そういう方針で進めていくことができればいいかなと思っております。
それから、もう一つ、関連するのですけれども、他の制度への波及、影響をどのように考慮するかと。それをこの基準部会でどのように検討するかという御意見の問題提起があったのですが、これについてはいかがでしょうか。他の制度への色々な波及効果も考えないといけない。循環参照の危険性もあるという御指摘があったわけですが、これについてどなたかコメントを追加的になさりたい方はいらっしゃいますでしょうか。
では、部会長代理、お願いいたします。
■栃本部会長代理 前回も議論がありましたけれども、循環参照ということで、生活保護基準の変更が間接的に一般・低所得者の生活に影響を与える可能性はもちろんあるということです。これは多くの人が認めることだと思います。ただ、影響する制度というと非常に広範囲な話であって、各制度の影響を全て基準部会で議論することはできないと思います。保護課で把握することも現実的には困難であるということだと思うのですね。
現実的な対応としては、今回の検証で基準額と比較する所得分位の消費実態が平成29年検証から変化していないか、しっかりと確認するということではないかと思います。また、個別の他制度について、例えば文部科学省のように所管制度の実態を把握する調査、つまり準要保護者調査ですか。そういうのを持っている省庁があれば御意見を伝えるということだと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他に御意見ございますか。他の制度への影響をどう考えるかということについて、よろしいでしょうか。先ほど何人かの委員から御意見をいただいたのですけれども、他によろしいですか。
岡部先生、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
■岡部委員 生活保護基準というのは、先ほど渡辺委員が述べていた一番大きな制度、税制であるとか社会保障の関連制度、または教育の政策に影響を与えることはそのとおりだと思います。生活保護の基準は他の公共政策に大きな影響を与えるものです。そのことについて生活保護の基準部会で、守備範囲として、どう考えるかということになります。栃本部会長代理は、生活保護の制度の枠の中で考えていくということで述べられましたけれど、先ほど出された委員の方々は、どちらかというと制度が直接・間接にどう影響を与えるかということです。そこまでもやはり一定、生活保護基準部会の守備範囲とすべきであるというようなことがあったかと思います。この辺りのところをどう考えるかということを、今回、山田委員、渡辺委員、阿部委員からもお話があったかと思います。この基準部会の中で整理していくのかということも、ある程度詰めていただければと考えています。
冒頭に述べたように、生活保護の基準というのは公共政策の中の基本となるような制度に非常に多く影響を与えること、これは誰もが承知していることですので、その上でどう考えるかを、時間の関係があると思いますが、ここだけは押さえておことにするか、栃本部会長代理が述べていたところで整理をしていくか。そこのところはある程度方針を決めていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
■小塩部会長 分かりました。この件、ちょっと微妙な問題がありますね。
渡辺委員、阿部委員、追加の御質問、それから山田委員もお手が挙がっています。それでは、渡辺委員からお願いいたします。
■渡辺専門委員 基準部会の守備範囲がどこまでなのかという話がありますけれども、そもそも事務局にお尋ねしたいのですが、2013年改正のときに、生活保護基準を参照する制度を所管している部局に通知を出されていたと思います。前回改正の後はどうされていたのでしょうか。
■小塩部会長 それでは、今の渡辺委員の御質問に対して、事務局から御回答はありますでしょうか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 事務局から回答させていただきます。
平成30年の見直しに際して、他省庁にどういった発信をしているかということなのですけれども、生活保護基準の見直しに当たっては、できるだけ基準見直しの影響が他制度に及ばないよう対応することについて、平成30年1月19日に閣僚懇談会で他省庁に申合せをしていまして、30年6月に各自治体等にも通知を出させていただいております。
■渡辺専門委員 その通知というのは、課長名で各地方自治体に出されているということですか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 ちょっと確認しなくてはいけないですが、多分、次官通知ということだったと思います。
■渡辺専門委員 いずれにしても、閣僚懇談会で申合せをしたり、厚労省から基準見直しの影響が他制度に及ばないよう対応することについて通知を出されていたりするわけで、省としても見直しの影響について懸念が示されているわけです。それがゆえ、2013年改正の時にはきちんと要保護世帯の調査までされていたと思うのです。基準が他制度へ影響を及ぼさないよう対応をお願いしているわけですので、その結果がどうだったかというのを見るということは、基準を検証するに当たって重要になってくるのではないかなと思います。他省庁が所管する制度だから知らぬ存ぜぬということにはならない。もしそうであるのだとしたら、通知は出さないのではないかと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
続きまして、阿部委員、お願いします。
■阿部委員 私も同じ点なのですけれども、他制度に配慮して保護基準を決めるということはするべきでないと思うのです。でも、保護基準によってどのような影響が出ていて、先ほど山田委員がおっしゃったように循環参照が起こっているのであれば、それは保護基準の決め方自身に問題があるということですので、そこは確認する必要があると思うのです。手法がないとおっしゃいましたけれども、私どもには家計調査や全消といったデータがあります。そこで、低所得の生活保護基準やそれに近い所得の方々の消費動向が、保護基準が変わったことによってどれぐらい変わったのか、それの連関を見るですとか、そういった統計的な手法はあるかなと思うのです。ですので、これをやると他の制度で就学援助費がどうのこうので、だからこれは下げられないですねという議論ではなくて、保護基準を決める中でもやはりこの情報は必要かなと思いますし、それを調べる手法もあるかなと思います。
また、それによって関連していると、それによって他の制度に波及していることによって、こちらの決め方にも問題があるということであれば、そちらの決め方をまず見直すということと、もう一つは、生活保護基準を参照しないでくださいというふうなことを取り組んでいただくしかないと思うのです。もしそれが本当に影響があると確かめられるのであればね。そうすることによって、生活保護の守備範囲をきちんと切り分けてしまうということをしなければいけないと思うのです。なので、やはり知ることに何も害もないと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員、いかがでしょうか。
■山田委員 過年度の報告書で十分な検証を行えなかったと。要するに、行うつもりがあったわけですね。ですから、やはり循環参照の問題というのは以前から気にしていることですので、他省庁での話かどうかということとは別に、ここの基準検証に必要なデータ、情報ですので、やはり取っていただきたいなと思います。
それから、先ほど第1・十分位の話もありましたけれども、第1・十分位と比べるというのが目的ではないわけですね。第1・十分位が恐らくは憲法が保障する最低限度の生活を送っている人たちだろうということでやっているわけですので、もしそれがそうでなかったとしたら、第1・十分位と参照して基準が妥当かどうかという議論はそもそも成り立たないわけですから、そこの部分は慎重に、何が何でも第1・十分位と昔からやっているから比較検証すればいいのだというわけではなくて、本来の目的である憲法25条が保障する水準にその第1・十分位が達しているかというのは慎重に見ていく必要があるというのは、もう一度確認させていただければと思います。
以上です。
■小塩部会長 貴重な御意見をありがとうございます。
事務局からコメントございますか。
■池上社会・援護局保護課長 様々な御指摘を頂戴しまして大変ありがとうございます。阿部先生のほうから、調べ方について家計調査なりを活用する方法もあるのではないかというお話も頂戴しました。事務局として考えていたのは、他制度への影響というときに、各制度個別に確認することになりますと、範囲が広範囲にわたるということ、それから、自治体の方にも過大な負担がかかるということもありまして、その目的とか効果も含めて慎重に検討が必要かなと考えていたところでございます。阿部先生の御発言、まさに部会長代理がおっしゃられたことにもつながってくるかと思います。基準額と比較する所得分位の消費実態が平成29年検証から変化していないか確認するということは、我々としても必要だと思っております。その意味で、山田先生からもお話がありましたが、今回の資料2の6ページの下のほうのところで、29年検証時に参照した集団の状況と大きく変化していないかを確認する観点から、参考とすべき指標について検討するということを書かせていただいています。どのような指標で参考としていくかということについても、また御議論いただきながら考えていきたいと思います。
そうしたことですので、他制度への影響という観点では、所管省庁で公表している資料などがありますので、事務局のほうではできるだけ整理をして、参考資料としてお出しできるよう努力したいと考えてございます。
■小塩部会長 山田委員が手を挙げてらっしゃいますので、コメントをお願いします。
■山田委員 ありがとうございます。これは可能かどうか御検討いただきたいのですけれども、もう少しダイレクトな方法としては、自治体に生活保護基準が下がった地域と上がった地域、ほとんど下がった地域が多うございますけれども、それに対して、その結果、まさに厚生労働省の所管だと思いますけれども、保険料とかそういったものが変わったのかと。その変わった理由として、住民税の非課税限度額が変わったことによって生活保護基準が動いた結果というアンケート調査でも結構ですので、もちろん私も50もの制度の全てを網羅的に調査してくださいという意図での発言ではありませんで、非常に重要な可処分所得水準に影響を及ぼしそうな部分について、アンケート調査のようなものが取れないかどうかも併せて御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
■小塩部会長 ありがとうございます。今、山田委員がおっしゃったような趣旨を私は申し上げようかなと思っていたのですが、この生活保護基準部会は、厳密には生活保護受給者への影響を検証するというのがミッションですので、受給者以外の人たちへの影響を見ることまでミッションに入るかと言われると、ちょっと微妙なところがあると思います。ただ、循環参照の問題ももちろんありますし、あるいは生活保護を受けていない所得の低い人たちをどうサポートするかという結構重要な問題と絡んでいると思います。
ですから、基準部会で全面的に議論するのは難しいのですが、もし可能であれば、これはちょっと越権行為的な発言になるかもしれないですが、できたら厚生労働省でそういう検討をしていただきたいと思います。生活保護を受けている人だけ見ていても不十分で、もう少し広めに、低所得の人たちの支援をどうすべきかという問題を、ぜひ検討していただきたいと思っています。
■池上社会・援護局保護課長 御整理いただきまして大変ありがとうございます。事務局のほうで、参考資料としてどういうものが出せるのかということについてはしっかり考えさせていただこうと思います。ありがとうございました。
■小塩部会長 ぜひよろしくお願いいたします。
それから、このテーマは我々研究者にとっても重要なテーマですよね。
栃本部会長代理。
■栃本部会長代理 今、部会長と課長からお話があって、それは本当にそうだと思うのです。それと同時に、当たり前のことですけれども、行政は色々な形で調査研究というのはできるでしょうけれども、まさにこれはある意味では研究者の務め、研究者が自らしなくてはいけないことでもあると思いました。
■小塩部会長 私たちも研究しないといけないテーマであるということですので、肝に銘じて、これからも研究を進めて参りたいと思います。
それから、もう一つ大きなテーマとして残っている、もう既に言及されている方がいらっしゃったと思うのですが、MIS等の新しい分析手法ですね。これをどのように活用するかという御意見が何人の委員からあったのですが、これについて追加的にコメントされたい方はいらっしゃいますでしょうか。いかがでしょうか。
阿部委員、お願いいたします。
■阿部委員 これは繰り返しになりますけれども、MISも主観的な貧困線の研究も、たとえ循環が起こっていないにしても、第1・十分位が最低生活費を満たしているのかと。貧困率が10%を超える我が国において、第1・十分位の方々は相対的貧困線によると全て貧困なわけですね。それも、中央値の50%を使っているというOECD基準でそうで、60%のEU基準であれば、さらに完全にもうそのレベルであるということなのですね。
それを確かめるために、その他の手法で最低限必要な生活費というのはどれぐらいかかるだろうという算出をしているわけではないですか。ですので、やはりそこのところで使うというのは非常に重要だと思うのです。今までMISなどはかなり高めに推計されてきたところがあったのですけれども、2019年度に行った調査では、少なくとも1人世帯では生活保護基準とそれほど大きく乖離していたわけではないです。でも、下になる世帯や上になる世帯がありますので、そこをより詳しく見ていって、それは第1・十分位で参照すると決めた後にやる、その方法でいいのか。これがまさに基の議論のところに戻ってくるかなと思いますけれども、そこのところに使われればいいのではないかなと思います。
だからといって、MISとかが一般世帯の消費水準と比較する方法と取って代わるものになるかというと、それは別かと思いますけれども、少なくとも費目別ですとか、世帯体系別ですとか、そういったやり方で取り入れることは可能かなと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員、お願いします。
■山田委員 2点あります。私も主観的最低生活費を分析した結果、これは前回も結論のエッセンスとして御紹介しましたけれども、前回調査と比べて今回調査で、もちろん主観的最低生活費よりも生活保護基準が上の地域もあったのですけれども、明らかに前回調査に比べて今回調査は、主観的最低生活費よりも生活保護基準が下回ってしまっているというような定性的な結果は、定量的には直接採用できないにしろ、やはり注意深くそこら辺がどういうことかというのは、今回の検証の際に見ていく必要があると思います。
2点目に、これは何度も申し上げていますけれども、絶対的か相対的かという議論はよくされるのですけれども、社会参加ができるようにしなくてはいけないということについて、これはもう絶対的なものなわけです。ただ、例えば10年前の社会とか今の社会でいくらそれが必要かということについては相対的なものになるということで、そこの点ですね。絶対的か相対的かというと、相対的だったら例えば第1・十分位と決められそうですけれども、やはり絶対的な部分について、現在の生活扶助基準というのが保障するに値する基準になっているかというところが重要になってくるので、第1・十分位とかそういったことももちろん過去の経緯としては重要なのでしょうけれども、それ以上に絶対的な部分について我々は見ていかなくてはいけないというふうに考えております。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
この件、いかがでしょうか。
宇南山委員、お願いいたします。
■宇南山委員 ありがとうございます。先ほど阿部委員からもあったのですけれども、絶対的な水準を割らないかどうかというときに、世間の認知という観点から考えても、相対的貧困ラインというものを何か参照の1つに加えるというのはあり得ないのでしょうか。知名度と使用実績を考えると妥当な水準だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
■小塩部会長 この件について、渡辺委員のお手が挙がっていましたが。
■渡辺専門委員 山田先生、先にどうぞ。
■小塩部会長 山田委員、お願いいたします。
■山田委員 すみません。ありがとうございます。御存じの方が少ないのかもしれませんけれども、日本の相対的貧困線は過去20年間にわたってずっと下がってきているわけですね。今はちょっと下げ止まっていますけれども、これは渡辺委員からもまた御議論があるかと思うのですが、相対的貧困線が下がる中での相対的貧困率をどういうふうに考えたらいいのかと。単純にそれは中位可処分所得の50%という比例で見ていますので、測れることは測れるわけですけれども、一体そこで測られる貧困というのはどうなっているのか。相対的貧困率がたとえ変わらないとしても、相対的貧困線が下がっていると。特に日本の場合には、第1・十分位の実質的な可処分所得というのも、OECD加盟国の中では珍しく、ずっと下がっているわけです。ですからこそ、我々は、絶対的に割り込んではいけないところというのに気をつけなくてはいけないということで、果たして相対的貧困線が、実質額が下がっていく中で、それにリンクづけしていいかというのは、アイデアとしては、確かに人口に膾炙しているものですから、あり得るかなと思いつつも、特にそこの部分が懸念点になると。絶対的な水準を割り込んでしまわないかというところが懸念点なのではないかというふうに、今、御意見を伺って思いました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他はよろしいですか。阿部委員、お願いします。
■阿部委員 同じような観点なのですけれども、結局のところ、今の相対的貧困線は1つだけしか出されていなくて、122万円というのが1人当たりの可処分所得で、高齢者世帯の1人世帯とかがこれだけ増えている中でそれ一本でやっているということもありますので、やはりそれを全く加工せずにというのはかなり難しくなってくると思うのです。
そうしたときに、より加工して、例えば標準世帯の中での貧困線を引き直しましょうという議論になってくると、結局今の標準線の第1・十分位とあまり変わらないような状況になってくるのではないかなと思います。また、それ自体も見ながら多くの人が知っている相対的貧困線とは違う数値が出てくるかなと思います。なので、どんどん離れていってしまうなと。ただ、今の相対的貧困線、122万円はあまりにもアバウト過ぎるかなと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
実は、今日、この会議が始まる前にうちの大学で研究会がございまして、そこで私は相対的貧困率の報告を行いました。趣旨は、今の相対的貧困率は色々な点から見ると結構問題があるというものです。それに対して、九州大学で貧困研究をされている浦川先生が討論者として色々なコメントをくださったのですが、今まさしく委員の方々がおっしゃっている絶対的貧困も結構重要だよという御指摘でした。先行研究も色々紹介して下さったのですが、非常に重要な知見が得られています。ただ、残念なのは、理論がしっかりしていないという点です。これで結構効き目がありましたというように、議論が探索的なのですね。色々な概念が登場しているのですが、政策まで落とし込むところまで、まだ熟していないという気がします。
ただ、得られる知見は極めて重要ですので、これから我々が検証する中で、そういうところにも非常に目配りをして、もしここに引っかかったらアウトですよというのが分かったら、それは非常に重要なことですので、そういうのがあればぜひ検証にも反映させていただきたいなと思っています。基本的には参照する、これは非常に微妙なところがあるのですけれども、できるだけ知見を生かしていくというスタンスでいいのかなと思っています。
渡辺先生、お手が挙がっていますが、いかがでしょうか。
■渡辺専門委員 すでに山田先生、阿部先生がコメントをされていますけれども、相対的貧困線というのは、所得分布など分析の対象とするユニットから、機械的に算出されるわけです。そのため、算出はしやすいですし、簡便ですし、国際比較もしやすいのですけれども、その水準で本当に最低限度の生活が営めるかということは問われていない水準なのです。なぜなら所得分布から機械的に算出されているからです。
ところが、我々は、その水準で本当に最低限度の生活が送れますかというところを問うているわけですので、その中身を問うていない、機械的に算出される中央値の50%という水準は使えないことになります。日本の所得分布はどんどん下方に、左側にシフトしています。そのため、相対的貧困線で最低限の生活が営めるのか、という懸念があるわけです。相対的貧困線が下がっている中で相対的貧困率が上がっている国というのは、先進国、OECD諸国を見ても日本だけです。海外調査に行った際に、日本は貧困線が下がっていて、でも貧困率は上がっているのですと言うと、大変驚かれるわけです。先進国の中で相対的貧困線が下がっている国、つまり平均的な世帯所得が下がっている国はないわけです。平均的な世帯所得が上がる中で、貧困率がどう動いていっているかということを各国は見ているわけですけれども、日本の場合、そういう意味でかなり特殊なわけです。日本全体が低所得化する中で、より低所得世帯が増えていったというのがこの30年ぐらいだと思います。そのため、健康で文化的な最低限度の生活を担保する生活保護基準に相対的貧困線を用いることは、日本でかなり難しい状況なのではないかなと思います。
ただ一方で、宇南山先生御指摘のとおり、生活保護基準がどのように算出されるのか、その根拠は何かというところの分かりやすさは大変重要だと思います。今、様々な加算があったり、経過措置があったりして、複雑になっていますので、おっしゃるように、分かりやすさ、御理解いただくというところについては、やはり工夫が必要なのだろうと思っています。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
宇南山委員、お願いします。
■宇南山委員 各委員の御指摘、ありがとうございました。
私がイメージしていたのは、可処分所得でやるべきというよりは、例えば生活扶助費相当の消費をモデル世帯でやってみる。その趣旨は何かといいますと、十分位で見ていると、どんどん下の貧困層だけが取り残されるということが起こり得るわけですけれども、一般国民というのを中位値の人だとするならば、少なくとも中位値の人の半分という意味でキャッチアップし続けられる最低限度のラインになり得るのではないかなというイメージを持ったのです。ただ、色々な御指摘がありましたように、普通は可処分所得でやっているけれども、ここでは消費ですとかとやってしまうと、分かりにくさが出てしまうと思いました。今後の課題として検討していただければと思いました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。この辺りの指標については色々これから検討すべきことがあるかと思います。得られる知見をどのように生かしていくかという点は引き続き考えていきたいと思います。
それから、もう一つ議論していかないといけない大きなテーマといたしまして、今回、級地を見直すことになるわけですが、先ほど山田委員から御指摘がありましたが、その影響についてどのように考えるのか、それを検証で議論すべきではないかという御指摘があったのですが、それについてはいかがでしょうか。
基準部会というのは基本的に現行制度というか、既に行ったことがどういう効果があるかというのを見るのがメインのミッションだったと思うのですが、これからやることについて考えるというのは過去にあったのですか。事務局の方、いかがでしょうか。
■大熊社会・援護局保護課長補佐 これまでも基準見直しによる影響については実施後に確認いただいています。生活扶助基準の見直しについてもそうですけれども、例えば、過去の勤労控除の見直しは平成25年の基準部会報告書においても「制度見直し後の実態及び効果を把握した上で本部会において議論することが必要」と記載されています。事後的に影響を確認することとされていました。
■小塩部会長 ということで、今までなかったということなのですけれども、これについて、山田委員、いかがでしょうか。
■山田委員 事実確認としては、基準見直し、こういうふうに基準を見直しますという案が出た後に、どういう影響が出てくるかというのは最後に資料として出していたように記憶していますので、今回の級地というのも、見直すのであれば、この報告書の最後にこういうふうになりますということで、それについては前回もこのように基準を見直したら、係数を反映させたらこうなりますという結果を見せていただいたので、そういった見せていただくことの一環として、一つの見せ方としては、資料3の5ページにあるようなものが出てくるのではないかと、そのような趣旨で発言をさしあげたところです。
■小塩部会長 ありがとうございました。
よろしいですか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 山田委員、御意見ありがとうございます。少し補足させていただきますと、確か5年前の29年検証の際には、最後に、様々な世帯類型に展開した場合にどういう較差が見られるかということで、参考指標として確認いただいていたと承知しております。その中で、本日示させていただいている資料3のような分析はたしか行っていなかったと承知しております。資料3のような分析は、基本的には見直しを行った後の基準額が、この令和4年の検証結果を踏まえて決まった後に分析をされているものと承知しております。
以前にも山田委員からは、厚労省の判断による部分を前提として検証、議論していくのは難しいという旨をいただいているかと思いますが、まさにそうで、見直しを行った後の基準額が、この検証結果を踏まえて、その後に厚労省の検討、判断があって決まっていくものとなりますので、なかなか令和4年の基準部会で検証の御議論というのは難しいものというところは御理解いただいているかと思います。なので、今、事務局からも説明させていただいたように、また事後的に部会で検証していただく、資料3のような分析は事後的にやっていただくという形になろうかと思っております。
■小塩部会長 山田委員、いかがでしょうか。
■山田委員 御説明ありがとうございます。2つありまして、テクニカルに、こうした分析は何らかの仮定を置いても不可能だという御発言なのかというのを今確認させていただきたいのと、2点目は、少なくとも、資料2の5ページの2つ目の米印にあるように、現行の6階級の級地区分を前提とした消費実態の較差の他、検証時点で見込まれる級地区分を踏まえた消費実態の較差ということで、これはここで級地を変更した後のことについては議論されるということなのですけれども、そことの整理が分かりませんでしたので、その1点目と2点目について、教えていただければと思います。
■小塩部会長 事務局、よろしいですか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 当然、多くの仮定を置いた場合、仮にそうだった場合という分析は理論上幾らでもできるのですが、これまでそういったこともしていないと認識しておりまして、また、それには多くの仮定をそもそも御議論していただく必要があるということになりますので、なかなか今年の検証作業の中では難しいかと承知しております。
資料2の5ページの米書きの2点目との差でございますが、こちらは基準そのものが見直された後の分析ということではなく、消費の分析の中で、級地の区分数を仮にその時点で検討されているようなものを前提とした場合という、その点1点のみの仮定を置いた場合の較差の分析をすることで、これは可能になろうかと思います。話は戻りますが、実際にその後の基準額がどうなるということは、まさに今年の基準部会での検証結果を踏まえて厚生労働省において検討、判断していくものとなります。仮定される量が大分違いますので、ちょっとそこは難しいと考えております。
■小塩部会長 この点は非常に難しいと思うのです。今まで基本的には事後的な検証で色々やってきたということですね。しかし、今回は状況がちょっと違うということですし、非常に重要なテーマですので、例えば3区分を前提とした場合の消費の較差を指数で示すとか、簡便法でもいいのですけれども、何らかの方法で結果を見やすくするという工夫は事務局にお願いしたいと思うのですが、そういう対応はいかがですか。
■池上社会・援護局保護課長 今、部会長から御指摘いただいた、3区分を前提とした指数の確認ということについては対応させていただきたいと思います。
■小塩部会長 他にも色々見せ方の工夫があるかもしれませんが、引き続き検討していただきたいと思います。
ということで、残されたのはあと5分ぐらいなのですけれども、資料3で御質問をいただいています。私はメモが十分できなかったのですけれども、現時点で対応できることございましたら、事務局から回答していただきたいのですが、いかがでしょうか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 資料3について色々意見がありましたが、まず7ページ、渡辺先生のほうから世帯類型がこの形になっているのがどういうことかという、例えば高齢単身世帯、高齢2人世帯、母子2人世帯、その他単身世帯になぜなっているのかということかと思います。こちらについては、一応世帯類型として、高齢、母子とその他に分けているのですけれども、深い理由としては、サンプルバイアスを除去するため、社会保障生計調査を被保護世帯に拡大乗数を設定して集計しているのですが、生計調査のほうで欠落する階層みたいなものが出てくると、なかなか復元が難しい部分があって、一応その復元が可能な世帯に絞って世帯類型別、人数別で出すと、このような世帯類型になっているということでございます。よろしいですか。
あと、学習支援については阿部先生のほうから御指摘をいただいたのですけれども、真に必要な方がどのぐらい受けているか、ちゃんと受けられているのかというのが分からない調査になっているのではないかということなのですけれども、一応学習支援費のこちらに書いてあります受給実人数は確かに取れまして、扶助受給者数もここに書いてありますと。ただ、こちらの注に書いてありますとおり、阿部先生の問題意識でもあると思うのですけれども、クラブ活動を実際にやっている方を分母として学習支援費受給実人数を出せないかという問題意識かなと勝手に推測しております。こちらについては、実は事務負担が非常に大きいという報告を今回いただいております。この中で、世帯ごとにクラブ活動に実際に参加している方を特定してもらうと非常にこの事務が負担になるということもあって、今回のこの報告には、そういった定義で数が報告を出せていないというのが現状であります。
したがいまして、問題意識については対応していないということになってしまうのですけれども、実際に数を見ながら、こちらで書いてあるとおりに留意しながら確認するという状況が、今のところ、福祉事務所からの報告の内容については、こちらが一応内容になっておるということです。すみません。
■小塩部会長 渡辺委員、阿部委員、いかがですか。
■渡辺専門委員 御回答ありがとうございます。拡大乗数との関連だということですが、そうするとそもそもこの生計調査がどのように抽出されているかというところとも関連していると思います。生活保護で使われる世帯類型については様々課題があるわけですけれども、一見して傷病・障害世帯が入っていないなと思ってしまうわけですが、これは一般世帯の家計調査を使うので、一般世帯だと傷病・障害が特定できないからということでしょうか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 一般世帯の中に入っているという理解です。高齢、母子以外のその他という、紛らわしくて申し訳ないです。
■渡辺専門委員 その他世帯のうちの、その他単身とかいうわけではないということですね。そういう理解でよろしいですか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 はい。高齢単身、高齢2人、母子2人になっていますけれども、このその他というのは、いわゆる生活保護上のその他世帯ではなくて、高齢、母子以外の類型が全部入っているということで、その中で単身を取り出して、2人世帯を取り出して、3人世帯を取り出しているという類型になります。
■渡辺専門委員 ということは、例えば、その他3人世帯には母子3人世帯が含まれてくるとかそういうことになるのですか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 母子3人世帯は入りません。高齢、母子世帯以外の世帯類型の単身2人世帯、3人世帯が、その他という表記になっているということです。
■渡辺専門委員 そうすると、生活保護上の世帯類型でいうと、傷病・障害世帯とその他世帯を合わせて、その他にしているということでしょうか。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 そういうことになります。
■渡辺専門委員 なるほど。それはそれでいいのかどうか、色々なものが混じってしまっているような気もしますので、集計結果をどう解釈してよいのか。ここのその他単身世帯というのはその他世帯の単身も入っていれば、傷病・障害世帯での単身も入っているということになりますよね。その平均値って何だろうなと思うのですけれども、家計調査でも理論的には傷病・障害世帯の単身世帯も入っているから、それと比較するのでしようがないということになるのですかね。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 ちなみに、この世帯の区分自体は前回の検証の整理でやっております。
■渡辺専門委員 そういう趣旨だというところで、分かりました。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他はいかがですか。資料3についてよろしいですか。山田委員と阿部委員、両方お手が挙がっています。まず、山田委員、お願いします。
■山田委員 今の渡辺委員の確認なのですけれども、前回、その他世帯というのは、いわゆる生活保護制度の類型上のその他世帯だと思っていましたので、もしそうであれば、今回、その他世帯は実は障害・傷病世帯も混じっているのであれば、本当にそれを一般世帯と比較するというのは、ごめんなさい、御説明を受けていたのかもしれませんけれども、私はそういう認識ではなかったので、それは前回もやったからということではなくて、せっかく渡辺委員の御指摘もあったし、私も気づきましたので、今回は世帯類型を考えられたほうがいいかなと思いました。
以上です。
■小塩部会長 阿部委員はいかがでしょうか。
■阿部委員 今の件は全く同意ですが、先ほどの学習支援費のところなのですけれども、恐らくおっしゃりたいのは、実際にクラブ活動をやっている生活保護の子供が何人いて、そのうちで申請したのが何人いるかというのが分からない、前者のほうが分からないということだと思うのですけれども、それであれば、単純にその年代の子供がいる世帯において、どれぐらいが申請をしたかという、その数字は比較的簡単に分かると思うのです。その割合と、それを全体の子供がいる世帯の割合と、それと一般世帯でクラブ活動している子供の割合と比べてみるというのはあると思うのです。
それで、生活保護世帯の子供は10%しかクラブ活動していないのに、一般世帯の子供は90%やっていますよなどという結果が出たら、やはりこれは申請できていないのだよねと結論づけることは可能かなと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他はいかがでしょうか。
今日も色々な貴重な御意見を各委員の皆さんから頂戴いたしまして、ありがとうございます。色々な観点から御議論いただいたのですけれども、資料2の今後の検証作業の進め方につきましては、おおむね同意していただけたのではないかと思います。ただ、幾つか御意見を本日頂戴いたしました。そのいただいた御意見を踏まえて、私のほうから事務局に指示して資料を修正していただくようにいたします。
それから、資料3につきましてもおおむね合意していただいたかと思いますが、たった今、議論のやり取りがありましたように、テクニカルな面でちょっと整理する必要があるものがあれば整理していきたいと思っておりますので、事務局におかれましてはその作業を進めていただければと思います。
ということで、時間が超過してしまったのですが、事務局から御連絡することはございますでしょうか。
■大熊社会・援護局保護課長補佐 次回の開催スケジュールは調整中でございますので、追って連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。
■小塩部会長 どうもありがとうございました。