2021年4月16日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和3年4月16日(金)17:00~

場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room A(4階)

出席者

出席委員(16名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 他参考人1名
 

欠席委員(7名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長の河野でございます。定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、14名の先生に御出席いただいております。一色先生からは、遅れて到着されるという御連絡を頂いており、清水先生も遅れて到着される予定になっております。
 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題1について、埼玉医科大学形成外科・美容外科教授の市岡滋先生にWebで御参加いただいております。どうぞ、よろしくお願いします。
○市岡参考人 埼玉医大の市岡です。よろしくお願いします。東京都知事も「東京には来ないでほしい」と言っていますので、今日は埼玉から参加させていただきます。よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 局長の鎌田でございますが、公務により本日は欠席の予定でございます。また、4月1日に、機構内にプログラム医療機器審査室が設置されまして、室長に岡崎が着任しておりますので、御報告いたします。
 続きまして、部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の先生方から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。
 委員の先生方におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただきまして、御負担をお掛けしますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局より御説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明いたします。本日の全ての議題について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。カメラ撮りの方につきましては、恐れ入りますが御退席をお願いいたします。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせいたしましたとおり、本日の部会においてもペーパーレスで会議を進めたく、お手元には議事次第及び座席表のみを紙でお配りしています。タブレットの操作等について御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声かけいただければと思います。
 続いて、本部会の利益相反について御報告いたします。資料7「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。今回の審議品目である医療機器「エピフィックス」ですが、難治性潰瘍の治癒促進に用いられるヒト羊膜・絨毛膜由来の材料であり、外国製造医療機器製造販売承認申請がなされております。2ページは、使用成績評価の指定の要否に係る審議品目である医療機器「Alto 腹部ステントグラフトシステム」、3ページ以降は議題3に係る品目に関する資料となっております。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料7に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づき、審議に参加できない委員はいらっしゃいません。また、薬事分科会審議参加規程第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に参加できない委員は、議題2において松宮委員が該当しております。以上、御報告いたします。
 それでは、以降の進行について、荒井部会長にお願いいたします。
○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について、御質問はよろしいでしょうか。
 初めに、この時期にもかかわらず、このようにお集まりいただいて誠にありがとうございます。Webという方法もあるのですが、機器の承認に関する最も重要な会議ですので、Face to Faceでディスカッションできればと考えておりました。余り長い時間にはしたくないと思っておりますが、是非、御協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題に入らせていただきます。議題1、医療機器「エピフィックス(EpiFix)」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定の要否、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の要否、こちらを始めさせていただきます。
 本議題については、先ほど御紹介いただきましたが、参考人として市岡滋先生にWebで御参加いただいております。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題1について、事務局より御説明いたします。お手元の資料1のファイルをお開きください。本議題では、医療機器「エピフックス」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。
 まず、ファイルの1ページを御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器については、部会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することになります。今回、「エピフィックス」に対応して新設を予定する一般的名称は、「ヒト羊膜使用組織治癒促進用材料」です。定義は、「組織治癒促進の目的で患部に適用されるヒト羊膜由来の同種移植片である。なお、絨毛膜等羊膜以外の組織を含むものもある」となっております。本品は、クラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要はない医療機器であり、指定は不要と考えております。一般的名称の新設に関する説明は以上となります。
 また、本品の承認に当たり、「ヒト羊膜又は絨毛膜を含有する医療機器」を特定生物由来製品として指定することを予定しております。
 ここで、特定生物由来製品指定制度について御説明いたします。薬機法第2条第11項におきまして、「特定生物由来製品」とは、生物由来製品のうち、販売後において当該生物由来製品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置が必要なものであり、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するものとされております。
 具体的な考え方については、当日配布資料2として準備しております、平成26年度発出の通知に示しております。フォルダを一つ戻っていただきまして、当日配布資料2を御確認いただければと思います。特定生物由来製品は、こちらの資料の2ページの(1)にあるとおり、マル1ヒト血液を原料及び材料並びにそれらの原材料として用いる医薬品・医療機器等、マル2ヒト又は動物に由来する原料等を用いる医薬品・医療機器等であって、病原体に対する不活化・除去処理を行うことが困難であるもの、又は一定の病原体の不活化・除去等が行われているが、感染性因子を内在するリスクがあるもの。このようにされております。
 現在、特定生物由来製品として指定されている医療機器については、同じ当日配布資料2の最終ページの告示別表を御覧ください。特定生物由来製品として指定された製品については、「保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置が必要である」という指定の考え方に基づき、例えば次のような法的対応が求められます。医療機関は、患者又はその家族へ製品の便益性と感染リスクについて適切な説明を行い、理解を得ること。医療機関は、使用対象者の氏名・住所、製品名称・製品番号又は記号、使用年月日、保健衛生上の危害発生・拡大防止の必要な事項の記録をし、使用日から起算して、少なくとも20年間保存すること。製造販売業者においては、製品に関する記録を30年間保存すること。製造販売業者においては、当該製品に関連する感染症の発生状況などに関して、6か月ごとに厚生労働省に報告すること。このようになっております。以上、一般的名称及び特定生物由来製品に関して、御説明いたしました。
 エピフィックス(EpiFix)の審査の概要については、医薬品医療機器総合機構より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1の「エピフィックス(EpiFix)」について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、資料1の13ページに記載している3名の専門委員の御意見を頂きました。以降は、審査報告書に基づいて御説明いたします。なお、ページ番号は、ページ下に緑色で記載している全体の通し番号でお示しいたします。また、事前に配布した審査報告書に修正がありますので、当日配布資料1の正誤表にてお示しいたします。本件、深くお詫び申し上げます。
 審査報告書に基づいて説明いたします。資料は、資料1の14ページからとなります。初めに、本品の概要を御説明いたします。20ページの1行目からの審議品目の概要を御覧ください。本品は、難治性潰瘍に対し、治癒を促進することを目的として使用する「ヒト羊膜使用組織治癒促進用材料」です。本品は、ヒト胎盤から採取された羊膜及び絨毛膜を原材料とし、洗浄、乾燥及び滅菌して製造される乾燥ヒト羊膜/絨毛膜です。本品は、羊膜/絨毛膜に由来する複数の細胞外基質タンパク質、増殖因子等を含有します。
 20ページの中央の図1を御覧ください。お示ししたとおり、本品は四角形、また円形のシート状であり、滲出液をドレーンするための孔のあるものとないものがあります。使用時、どのタイプも創傷部の大きさ及び形状に合わせてカットし、適応の潰瘍部位に貼り付けます。本日はサンプル品を御用意しておりますので、併せて御覧ください。
 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。21ページの上から8行目、中央に太字で記載のある、イ.開発の経緯及び外国における使用状況等に関する資料の開発の経緯を御覧ください。難治性潰瘍は、何らかの治癒を阻害する要因によって、正常な創傷治癒が進行しない潰瘍です。その一例である糖尿病性潰瘍は、国内外を問わず増加傾向にあり、感染症の発生、足の切断リスクが上昇することが知られています。そのため、難治性潰瘍に対しては、増悪因子を除去するとともに、適切な修復因子を用いて治癒を促進する必要があります。難治性潰瘍に対する標準的治療として、各国のガイダンスより、壊死組織や感染組織の除去、免荷、十分な血流の確保、適切な湿潤環境の維持などがあります。また、本邦では、ほかにも植皮やNPWTと言われる局所陰圧閉鎖療法、トラフェルミン投与等などが挙げられます。一方、海外では、培養した他家皮膚組織や組換え血小板由来増殖因子製剤なども使用されています。
 本品の原材料となる羊膜/絨毛膜は、一般的に、構造コラーゲン並びに細胞外マトリックス、細胞及び多数の重要な再生分子で主に構成されています。これらが創傷治癒を促進すると考えられ、羊膜/絨毛膜は、海外にて100年以上にわたり、創傷被覆材として臨床使用されてきました。しかし、臨床使用のための調製、保存、品質の担保などが問題でした。その後、2006年に、米国において、スクリーニング後、帝王切開を受けた妊婦より採取された胎盤組織を洗浄及び乾燥する方法が開発され、乾燥ヒト羊膜/絨毛膜の製造が可能となりました。本品は、2011年に米国より臨床使用が開始されています。今回、本邦において難治性潰瘍治療のバリエーションの一つとして本品を導入することで、治療の選択肢の幅を広げることを目的とし、本品の申請がなされたものです。
 22ページの下の表1から11行上にある、外国における使用状況を御覧ください。本品は、2011年4月11日に米国にて販売が開始され、2021年3月時点で、米国、欧州、豪州を含む14か国で臨床使用され、○○○○枚以上が販売されています。また、23ページの下にある表2を御覧ください。米国FDAに報告された有害事象は、2017年に2件ございますが、いずれも本品に起因するものではないと判断されています。
 次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は、24ページの上から3段落目、ロ.設計及び開発に関する資料を御覧ください。当該欄は27ページまで続いております。本品の物理、化学的特性、生物学的安全性、安定性及び耐久性並びに性能に関する試験成績より、本品の非臨床に関する特性を確認し、特段の問題はないと判断しております。
 次に、本品の原材料及び製造工程について御説明いたします。29ページの一番下のパラグラフに太字で記載されている、ホ.製造方法に関する資料を御覧ください。本品の原料は、医療機関での予定帝王切開分娩時に、米国組織バンク協会の許可及び/又は米国FDAに登録された業者により回収されたヒト羊膜/絨毛膜に由来します。当該原料を提供するドナーの適格性評価として、問診、医学的記録の評価及び血液検査が行われ、感染症等が否定されております。採取された羊膜/絨毛膜は、洗浄、乾燥、電子線滅菌などの工程を経て製造されます。本品の製造工程におけるウイルスの不活化/除去工程として、電子線滅菌が設定され、提出されたウイルスクリアランス試験成績から、当該工程に一定のウイルス不活化能を有することが示されております。また、当該原料の品質及び安全性確保上、必要な情報が記録され、保管されております。本品は、生物由来原料基準、ヒト細胞組織原料基準に適合しており、ヒト細胞組織由来原料としての安全性は確保されております。
 次に、本品の臨床成績について御説明いたします。概略は、30ページの三つ目のパラグラフに太字で記載の、ヘ.臨床試験の試験成績に関する資料又はこれに代替するものとして厚生労働大臣が認める資料を御覧ください。当該欄は57ページまでございます。羊膜/絨毛膜が古くから使用され、本品が米国において10年以上の使用実績があることを踏まえ、本申請においては、海外市販後臨床試験や文献調査、米国FDAの有害事象データベース情報から構成される臨床評価報告書が、臨床成績に関する資料として添付されております。
 35ページの表の下から始まる文章を御覧ください。臨床評価報告書において、まず、海外での臨床使用成績を本邦における有効性及び安全性評価に外挿する妥当性が検討されました。臨床評価報告書において、国内の使用経験は5例の臨床研究しかありません。しかし、本品の適応である難治性潰瘍の判断基準及び標準的治療は、国内外で同等であることから、海外での本品の使用成績を本邦へ外挿可能としております。
 次に、有効性評価について御説明いたします。36ページの表6を御覧ください。この表は38ページまで続いております。難治性潰瘍の大半は静脈性下肢潰瘍及び糖尿病性足潰瘍が占めていることから、これらを含む論文を抽出しました。以下、静脈性下肢潰瘍については「VLU」、糖尿病性足潰瘍については「DFU」と言います。
 まず、VLUを対象とした論文は5報あり、いずれも標準的治療より治癒期間又は治癒率の優越性が示されております。以下、標準的治療群を「SOC群」と言います。例えば論文No.3では、12週後の治癒率は本品群60%、SOC群35%と、本品群がSOC群の治癒率を上回っておりました。また、論文No.8でも、本品群66%、SOC群40%と、本品群がSOC群の治癒率を上回る結果が報告されました。
 一方、DFUについては、市販後臨床試験が実施されております。そのうちの一つである海外市販後臨床試験マル1について、御紹介いたします。39ページを御覧ください。海外市販後臨床試験マル1では、DFUの治療に対する本品の有効性との安全性を検証するため、本品併用群13例及びSOC単独群12例の比較試験が実施されました。表7に、試験の概要を記載しました。試験結果は、39ページの表下、ⅰ.主要評価から始まり、41ページの上から2行目まで記載しております。主要評価として、完全閉鎖を達成した被験者の割合が設定され、本品群では、13症例中12例が6週時点で完全治癒を達成し、SOC群では、12症例中1例のみ6週時点で完全治癒を達成しました。副次評価としては、4週間後の治癒率及び治癒までの平均時間が設定されました。4週間後の治癒率は、本品群で平均97.1%、SOC群で平均32%でした。治癒までの平均時間は、本品群で2.5週、SOC群で5.0週と、本品群が有意に治癒を達成しました。また、41ページの上から3行目より、46ページのⅱ.副次評価の欄まで記載している、その他の海外市販後臨床試験のうち、マル3及びマル4においても、本品群がSOC群を上回る治癒率を達成しております。マル2は本品の適用頻度を検討した試験ですが、こちらでもほかの試験と同様に、本品の良好な潰瘍治癒率を確認しております。
 最後に、安全性評価について御説明いたします。47ページの中段の(3)安全性についてから始まる部分を御覧ください。海外市販後臨床試験における本品の重篤な有害事象を表13に記載しております。表13は、47ページから48ページにわたって記載しております。各試験において感染症、炎症等が報告されておりますが、いずれも本品との関連性はなし、又はおそらく関連なしと報告されております。
 続きまして、製造元に報告された本品の苦情一覧について説明いたします。51ページの下の表20を御覧ください。この表は51ページから52ページまでございます。2012年から2021年までに製造元に報告された苦情は、アレルギー反応、腫れ、感染、炎症等がありますが、いずれも海外市販後臨床試験におけるSOC群で報告された事象と差異がなく、創傷治癒の過程で一般的に見られる事象でした。また、その数も○○件と、○○○○枚以上の販売数に対し発生率は約0.002%です。さらに、海外における長年の使用に際して、本品が感染症を伝播した兆候は認められておりません。
 次に、本品の審査における主な論点について説明いたします。53ページを御覧ください。一つ目の論点は、(1)海外臨床成績の外挿可能性並びに本品の有効性及び安全性についてです。本品の臨床成績に関する資料として、海外の臨床成績等をまとめた臨床評価報告書が提出されました。試験の実施された米国と本邦における難治性潰瘍の判断基準は、どれも一定期間に標準的治療を行っても奏効しない症例です。一定期間については4週間と共通であり、標準的治療の内容について、評価に大きな影響を及ぼすほどの差異はないと考えられたことから、日米間の医療環境は同等と判断いたしました。また、人種別の評価がなされている海外市販後臨床試験マル3の結果から人種による差がないこと、本邦における臨床研究でも同様な結果が得られていることから、懸念すべき民族差もないと考え、提出された海外臨床成績を本邦における本品の成績として外挿することは可能と判断いたしました。また、有効性及び安全性について、先ほど御説明した本品群とSOC群の比較試験から、本品を標準的治療と併用する際の有効性及び安全性は示されていると判断いたしました。
 二つ目の論点は、(2)本品の本邦における臨床的位置付け及び導入意義についてです。55ページの上から8行目を御覧ください。本品は、論点1での説明どおり、DFU及びVLUを含む難治性潰瘍に対して、SOC群に優位性があることが示されています。本邦において、標準的治療のみでは治癒が困難である難治性潰瘍症例が一定数存在することや、本品を併用することで現在の標準的治療を上回る有効性が期待されることを踏まえると、本品を本邦に導入し、難治性潰瘍への治療選択肢を増やすという臨床的意義はあると考えました。また、本品は既存のNPWTやトラフェルミン等と違う作用機序の製品でもあることから、臨床の現場において治療の選択肢を増やすという点でメリットがあると考えます。
 三つ目の論点は、(3)本品の使用目的又は効果についてです。55ページの中央(3)から始まる段落を御覧ください。申請時の使用目的又は効果には、「4週間以上の既存治療に奏効しない、あるいは奏効しないと考えられる難治性潰瘍」と記載されていました。まず、1)期間「4週間以上」の記載についてです。4週間という期間は、難治性潰瘍に対する既存療法の実施期間の目安として既に一般的であることから、記載を削除しました。続きまして、56ページの2)「奏効しないと考えられる」の記載についてです。症例の客観的判断基準が存在しないことから、臨床現場での判断に混乱を招く可能性があると考え、当該記載を削除しました。続いて、3)難治性潰瘍全般を使用目的とすることについてです。本品の潰瘍治癒に対する作用機序は、DFU及びVLUに限らず、難治性潰瘍全般で同様です。また、難治性潰瘍の中でも、より治療が困難なDFU及びVLUに対して、本品が有効性及び安全性を示したため、難治性潰瘍全般を対象とすることは適切と判断しました。以上及び専門協議での議論を踏まえ、61ページの三つ目のパラグラフにお示ししたとおり、本品の使用目的を、「本品は、既存治療に奏効しない難治性潰瘍へ使用し、創傷治癒を促進することを目的とする」と改訂することが適当と判断いたしました。
 最後に、四つ目の論点は、(4)製造販売後安全対策についてです。56ページの下から一つ目の段落を御覧ください。本品の使用方法が、国内で一般的に使用されている創傷被覆・保護材やコラーゲン使用人工皮膚とほぼ同様で、潰瘍の形状に合わせてカットしてから貼り付け、その上に更に創傷被覆材を貼り付けるという単純な手技であるため、手技上の問題は想定されません。ついては、実施医・実施施設要件及び適正使用指針の策定は不要であり、当該要件の遵守を求める承認条件の付与も不要と判断しました。また、本品の有効性及び安全性は、海外市販後臨床試験等から示されております。しかし、本邦における本品の使用経験は、5例の臨床研究のみと非常に少ないです。このことを踏まえ、製造販売後の情報収集を行い、本邦への安全な導入及び本邦の医療環境下での有効性及び安全性を確認する必要があると考え、本品を使用成績評価の対象とする必要があると判断しました。
 使用成績評価について説明します。概要については、58ページの表21を御覧ください。症例数について、海外市販後臨床試験を参考に、本品と関連が否定できない有害事象の発生率及び脱落率を考慮して、症例数を75例と設定することは受入れ可能と考えました。また、調査実施予定期間として、予定する症例数及び潰瘍治癒過程を踏まえた追跡評価期間を考慮し、3年とすることは特段問題ないと判断しました。
 以上の審査を踏まえ、総合機構は、先ほど説明させていただいた使用目的により、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。61ページの三つ目のパラグラフを御覧ください。繰り返しとなりますが、改訂後の使用目的は、「本品は、既存治療に奏効しない難治性潰瘍へ使用し、創傷治癒を促進することを目的とする」となります。
 前述のとおり、本品の使用成績評価の調査期間は3年とすることが妥当と判断しました。また、本品がヒト由来羊膜及び絨毛膜を原料とする製品であることから、本品は、「医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第2条第11項の規定により厚生労働大臣の指定する製品として、平成26年11月5日付け薬食審査発1105第1号、薬食機参発1105第2号「生物由来製品及び特定生物由来製品並びに指定再生医療等製品の指定に関する考え方について」の第1「生物由来製品及び特定生物由来製品並びに指定再生医療等製品の指定に係る考え方について」の1(1)マル2に掲げる「感染性因子を内在するリスクがあるもの」に該当すると考えられ、「特定生物由来製品」に指定することが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、Webで御参加いただいている参考人の市岡先生から、追加の御意見を頂きたいと思います。市岡先生、お願いできますか。
○市岡参考人 はい。市岡が埼玉から発言させていただきます。今、機構からの説明にあったように、我々が難治性潰瘍、特に難治な糖尿病の足潰瘍を治療するときに、まずしなければいけないのは、多くは血流障害を合併していますので、血流を確保するということ。例えば血管外科や循環器内科で血管を拡張して。聞こえていますか。
○荒井部会長 大丈夫です。聞こえています。どうぞお願いします。
○市岡参考人 ということと、壊死した組織や感染した組織を除去することです。それはデブリードマンと言いますけれども、例えば火事になって焼けてしまった家を再建するためには、瓦礫の山を全て除いて更地にしなければ再建できないということ。そういうことをしてから、このような治癒を促進する方法を取るのですが、その基本というのは、まずモイストヒーリングといって、治癒に適切な湿潤環境を保つ創傷被覆材を使うということです。このモイストヒーリングをすると同時に、今、進歩している、治癒を強力に促進する方法を使うのですが、その一つがトラフェルミンというベーシックFGF製剤、フィブラストスプレーという商品名があるのですが、そのような医薬品と、あとは再生組織が足場になるようなスキャフォールド、人工真皮と言いますが、テルダーミスやペルナックというような製品を使う。そして物理療法として陰圧閉鎖療法という、この大体三つの手段があります。
 今回のエピフェックスという製品は、一つのgrowth factorだけでなく、約300種類のタンパク成長因子を放出するとされていて、なおかつスキャフォールドとなるコラーゲンを供給する、さらに自発的に骨髄から幹細胞に誘導する。つまり、幾つか我々が別々にしなければいけない手段をall in oneで、multifunctionalな機能を持った材料ということができるのです。こういうものが、この日本に入ってくるということは、非常に選択肢の幅が広がって、期待しているものであります。
 臨床成績からも、RCTというエビデンスレベルが高いものがそこそこにあって、例えば一つ、6週間目の閉鎖率が本品92.3%に対して標準治療が8.3%と、随分差を付けて優位性が示されているので、このベネフィットというのは期待できると考えています。以上です。
○荒井部会長 市岡先生、ありがとうございます。それでは委員の方々から御意見・御質問はいかがでしょうか。どうぞ。
○永井委員 京大の永井です。使用成績調査についての質問です。米国等でたくさん結果があるので、使用成績評価をもって治験をやらなくて承認というのはいいと思うのですが、日本ではケースシリーズという観察研究が5症例しかありません。そうした中で使用成績調査を義務付けるのはよいと思いますし、75例もいいのかもしれません。しかし、その選び方がどこにも書かれていなくて分からないのです。
 資料を見ると、担当医が返信用封筒にて患者さんの記録を製造販売業者に提出するというだけなので、実際にうまくいった75例だけが出てくる可能性もないことはありません。もし75例でするのだったら、連続症例ないし全例でというような形にした方がいいと思います。また、本当に返信用封筒に入れて送るだけで信頼性が確保され、評価できるのかという点を疑問に思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。まず、このPMSの症例数について、先生のお考えとしましては、ちょっと少ないのではというようなニュアンスになりますでしょうか。
○永井委員 そうではなくて、患者さんの選択の仕方です。
○医薬品医療機器総合機構 連続症例である必要があるのではと。
○永井委員 ひょっとしたらうまく効かなかった症例は報告するのをやめておこうかとか、うまくいった症例ばかりが集まってくる可能性があるわけです。75症例なら75症例で、うまくいったものもいかなかったものも含めて客観的に集める必要があるという意見です。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いただき、ありがとうございます。そうですね、先生に御指摘を頂きましたように、そういった心配等があるかと思うのですけれども、最終的に連続症例になります。この75例を集めるのも、糖尿病性潰瘍などの患者数から考えますと、患者数自体はとてもたくさんいるのですが、実際に本品が適応となるというような症例に至りましては、先ほど参考人の市岡先生からも説明がありましたけれども、ちょっと限られてくるようなものになってきます。実際に、そのような患者を受け入れるには、それなりの施設があるような病院で実施されることが想定されますし、なおかつ最初の方に説明させていただきましたが、本品が特定生物由来製品に指定されますと、20年トレース義務ということが課されますので、必然的に大学病院等の大きな施設で扱う患者というのが対象となってきます。その結果、これらを踏まえますと、75例というところが適切な数字となってくると考えているところです。
○荒井部会長 どうぞ。
○永井委員 すみません、改めて申しますが、75例が少ないとか多いとか言っているものではなくて、患者さんを集めるときのバイアスを心配しているのです。
○荒井部会長 そこは連続という返事でよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 原則は連続症例と考えております。先生から御質問がありましたように、調査の正確性についても市販後調査についても、相当の慣例の症例に従いまして、しっかり手順を決めてやっていきたいと考えておりますので、その辺は御安心いただきますようにお願いいたします。
○永井委員 ただ、今はそれが書いていないので、連続でということがしっかり担保されるのかという点、本当に封筒で送って返してもらうだけでいいのか、という点には疑問が残ります。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。その辺は企業としっかり確認して、実施したいと思っております。
○荒井部会長 ちょっと私から。今の説明の中で、特定生物由来製品になった場合に、それなりの施設ということで大学病院とかが出てきましたが、本当に施設が限定されますか、特定生物由来製品というだけで。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。これが特定生物由来製品に指定されますと、トレーサビリティとしまして、患者情報を適切に20年の保管という義務が課されてくるところなのです。そういったことのトレースを取るといったところでいきますと、恐らく小さな病院等では取っていくというのが難しいと考えますので。
○荒井部会長 いや、面倒だから難しいとは言い切れないのでは。成績だけを見れば、かなり良さそうだなとは感じますし、製品を否定するわけではなく、逆に、そんなに限られた施設ではなくて、かなり多くの施設で使われるのではないかなと思う訳です。だから、「特定生物由来製品だから特別の制限はつけなくても限られた施設でしか使われない」という予測は、ちょっと危ないかなということを感じました。それでちょっと伺ったのです。分かりました。ほかの委員の方々、御質問・御意見を。どうぞ、宮川委員。
○宮川委員 今、永井委員と座長からのお話があったように、特定生物由来という形になれば20年間、適切な医療機関でフォローアップするということは当然大事なことです。ですから、それを予断を持たずにしっかりとした医療機関でやらざるを得ないと考えていくべきです。先ほど75例というのが、本来からすると適正なのかと疑念を持ちます。この中に記載がありますが、副作用とか有害事象の検出に、最低75例というような形でなっているので、そもそもの計算式として、そのようなことをするべきではないと考えます。そのようなバイアスが掛かるような規律というものはあってしかるべきではないと考えます。特定生物由来製品というものは厳密にやらなければいけないものですから、そこは書き込みはしっかりしていただかなければ困ります。永井委員からしっかりと御意見を頂いたので、そのように訂正するなり、文言を整理していただくということが非常に重要なのではないかなと思います。
 ですから、適切な医療機関において、20年という長い期間ではありますけれども、トレーサビリティを担保しなければなりません。実際に75例と単純に定めるのではなくて、全ての症例をフォローアップするというような形でなければ、こういうものは認められないのではないでしょうか。日本で5例しかやっていない、実際にその中で5例の症例というのはエビデンスレベルも低く、使用成績評価自体も症例の集積という状況ではないでしょうか。そういう意味では、日本でやられているのは観察研究に近いことなのです。ですから今後、日本で臨床研究というものが行われるのかどうか、そういうことも含めて検討されているのかどうかも懸念します。しっかりとフォローしていける体制を作っていくことが重要ではないかなと考えます。以上でございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員の方、どうぞ。
○一色部会長代理 58ページの使用成績調査の計画書に、施設数が「3施設」と書いてあるのですが、これは今のお話と関連して、どういうことを念頭に「3施設」と決められたのかを教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。この症例数を集めるのに、この患者を受け入れている病院として適切と考えられる施設を、企業から上げてきたのですが、これが3施設ということになっております。回答になっていますでしょうか。
○一色部会長代理 危惧されていることがありましたので、3施設はここと指定して行うという意味なのか、3施設程度という意味での記載なのかがはっきりしなかったので、確認させていただいた次第です。
○医薬品医療機器総合機構 実際、臨床使用についてはこの3施設に限定するような予定はなくて、あくまでも使用成績調査の機関としてはこの3施設で実施すると聞いております。また、症例のエントリーの状況によって、更に施設を契約しないと、拡大することも企業から聞いております。お答えになっておりますでしょうか。
○一色部会長代理 そうすると、皆さんの危惧が払拭されないのではないでしょうか。認可されればどこでも使っていいということであれば、実態にはならないのではないかなと思います。
○荒井部会長 課長が今、お話しているので、ちょっと待ちましょうかね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、3施設についてはもう決まっておりまして、連続症例で実施すると聞いております。
○荒井部会長 多分これは意見がいろいろ出そうなので、先にちょっとまとめさせていただきます。まず、今説明していただいた中で、先ほどの「4週間」を外す、それから、「良くなると考えられる」を外す、これはいいわけですが、「医療現場として使いやすい環境」というのは響きはいいのですが、もしかしたらでたらめに使われる可能性を否定できないとも言えます。成績を見る限り私も「相当良さそうだな」と感じておりますが、一番伺いたいのは、これがどのぐらい使われるという「読み」です。要するに、それが極めて限られているのか、実は山ほど使われるのかです。値段のこともありますし、この部会では値段のことは審議いたしませんけれども。その辺の臨床的な感覚というか、実地の感覚が分からないと、ディスカッションがかみ合わないように思われます。何か企業が出したデータとか、そちらで調べられたデータとかはありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。糖尿病性の患者さんについては、調査ではたくさんいらっしゃるのですけれども、そのうち重症化になる患者さんは、日本の人口で計算すると、数万人程度と聞いております。ただ、そのうち大半の患者さんについては、先ほど市岡先生から御説明がありましたように、既存の血流の管理だったり、デブリードマンなどによって治療することになりますので、残りのごく少数の部分が難治性という症状になると聞いております。市岡先生、何か補足を頂けますでしょうか。
○市岡参考人 市岡から発言よろしいでしょうか。
○荒井部会長 お願いいたします。
○市岡参考人 実は、この製品が出るということで、私ども日本フットケア足病学会では、先ほど機構では施設基準等は設けないと言われたのですが、やはり全く傷を診ることができない専門外の先生が、例えば感染が起こっている傷に貼ってしまうと、これは恐らく想定される金額が○○○○○○○○○○○円ほどすると思いますので、大変損失が大きいわけです。そのような状況を避けるため学会が講習を開いて、その講習を受けたドクターが使用できるというような自主規制をしようと考えております。
 もう一つには、海外の価格とか、あるいはコストから考えて、この価格は日本で○○○○○○○○○○○円ぐらいが想定されるのですが、今後、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○それによって企業が撤退するという可能性があります。これは、こういう製品が日本にも入ってくるという門戸を閉ざしてしまうので、我々学会としても、ある程度専門的に傷を診られる医師が使うようにと思っています。
 したがって、今、機構が言われましたように、重症の糖尿病性潰瘍の数というよりは、この製品を使うことができる医師を制限することで随分少なく抑えられる、そして適正な使用ができるようになると考えています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今、参考人の市岡先生の方から、逆に適正使用指針という、ある程度制限するようなものを追加することを考えておられるという御発言を頂きました。この点については機構としてはどのような、まさか寝耳に水ではないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いただき、ありがとうございます。この内容につきましては存じておりますが、本品自体の適正使用指針というよりも、実際にこれが使われることになったときのところで、どういった症例に使えばいいのかどうかといったところを学会の中で整理いただけるという話で伺っておりますので、本品自体の適正使用指針ということで設定する必要はないかと判断しております。
○荒井部会長 そうですか。どうぞ、宮川委員。
○宮川委員 それは危ない発言かもしれません。こういうものは適正使用のガイドラインにおいて、施設基準などを含めて、そのフォローをしていくということが当然の案件になろうかと思うので、あまり簡略にしてはいけないと思います。
 実際にこのような糖尿病性の足潰瘍というのは非常に症例が多いということが想定されます。また、透析などをやっている方たちの中にも多く見るわけです。そうすると、既存療法の奏効しない難治性潰瘍というものの枠組みをしっかり定めるという方が必要です。それに対して、今までやっていたトラフェルミンなどの既存療法を終えた後に本品を使用するのか、それとも併用とするのか、しっかりとした見込みを付けていかなくてはならないと思います。その中で、臨床のフォローアップをしていく中で施設の基準などをフットケア学会も含めて、しかるべき国内の学会等で基準を作っていくということが必要なのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 私の説明が不足してしまって申し訳ございません。実際に本品をどういった既存療法、標準的療法をやった後に使用するかにつきましては、添付文書の中に注意喚起がされておりまして、湿潤環境保持であったり、血糖コントロールであったり、こういった標準的治療を実施した後に使うものと制限しております。そういったところで、本品が使われるときの既存療法の内容につきましては固定しておりますので、その点については申し添えさせていただきます。申し訳ございませんでした。
○荒井部会長 では、課長どうぞ、お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 諸先生方からいろいろ貴重な御意見を頂きまして、本当にありがとうございます。幾つか御指摘がありましたけれども、まず永井先生、宮川先生から、使用成績調査の75例について、バイアスが掛からない形で適切な対応を取るべきではないか、こういったような御指摘も頂いたところです。連続した75例という形にすることで、バイアスが掛からないというような対応が可能だという御示唆も頂いたところでございますので、製造販売業者に対しては、この75例の試験の仕方を、要するに連続でやるというのも一つの方法だし、これに代わる別の方法があるのであれば、それをまた御提案していただくというような形で、バイアスが掛からない方法をきちんと考えるようにと、機構、私どもの方から指示したいと思っております。
 それから二つ目、部会長の方から、大体どのぐらいの患者数がこれを使う見込みになるのかと、そういったような御指摘もあったかと思います。なかなか使用患者数を想定するのは難しいのですけれども、例えば糖尿病の患者さんの患者調査によりますと、大体数百万規模の患者さんが日本にいらっしゃる中で、足の切断などに至るような患者さんについては、疫学調査によると0.3%ぐらいいらっしゃる、そういったデータもあると承知しております。そうすると、単純計算しますと、数千規模の患者さんがいらっしゃるということだと思いますが、全部が全部、この被覆材の適応にならないとしても、やはり数千オーダーの患者さんは、潜在的には使われる可能性があるのではないかと理解しております。
 それから、使われる医療機関であるとか、学会のガイドラインとの関係性について整理すべきではないか、こういったような御意見もあったと理解しております。
 マイプライベートファイルの資料1の「製造販売承認の可否等について」という所をお開けいただいて、78ページまで行きますと添付文書がございますので、そこを御覧いただければと思います。添付文書の中の右側の欄の方に「使用目的又は効果」、その下の所に「使用目的又は効果に関連する使用上の注意」という記載があって、現時点の考え方としては、既存療法に奏効しない難治性潰瘍に使用し、創傷治癒を促進することを目的とするという記載であるとか、その下の部分については、根本的な創傷管理、糖尿病性潰瘍に対する血糖コントロール、このようなことで十分な効果が得られない患者さんに使用することといったような記載があるところでございます。
 この辺につきまして、もう少し厳格な規定が必要なのではないかと、そのような御意見にもつながるような話だと思いました。この辺につきまして学会で今、ガイドラインを御検討いただいているというような話もある中で、もう少しガイドラインとの関係性などを整理した方がいいのではないかというような御意見であれば、その辺につきましても、機構、我々の方で検討を深めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井部会長 ありがとうございます。課長自ら御発言いただきました。今も最後の方にまとめていただきましたように、ちょっとそういった「縛り」という言葉は適切ではないかもしれませんけれども、適正使用指針と我々が通常呼んでいるような、使う人、使う施設をある程度きちんと限定する。あるいは、先ほど市岡先生の御発言がありましたように、何科とか、どういう病院とかではなくて、少なくとも使う人が一定の教育とか講習なりをきちんと受けて、そういう人たちが正しく理解した上で使うような条件を作る。こういったところについて、まず、この部会としては、今日はその細かなところをディスカッションはいたしませんけれども、「このままではなくて、何かしらそういった適正使用指針、あるいはそれに準ずるものを、この後で更に検討してもらいたい」ということでまとめさせていただければと思いますけれども、反対も含め、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決させていただく前にはなりますけれども、先ほど御説明いただいた以上に、少し使う条件を絞らせていただくということ、あるいは、先ほど御指摘いただいた市販後の調査のやり方に関しては更に詳しく検討いただくということをお願いして、そこの部分に関しては、ちょっと話をまとめたいと思いますけれども、よろしいですか。
 実際に、ちゃんと指導を受けた、あるいは資格を持った医者が使うとなった場合には、多分いろいろな領域が出てくると思います。私はがんセンターの者ですから、放射線治療後の難治性潰瘍というのは結構日常的に見るので、そういったときも出てくるのかなと思いますし、今、頂いた御意見を参考にして、検討をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 御指摘・御意見ありがとうございます。そうしましたら、そこの部分について再度、機構、我々の方で精査させていただいて、その結果をまず部会長の方に御報告させていただきます。それである程度、御了解を頂けそうであれば、ほかの先生方にも展開させていただいて、また御了解いただけるかどうかの確認をさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 お手数をお掛けしますけれども、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。そのほか、この製品につきまして御意見をお願いします。
○永井委員 意見というか、純粋な質問なのですけれども。
○荒井部会長 はい、どうぞ。
○永井委員 これは医療機器に分類されていますが、再生医療等製品の定義を読むと、それに読めないこともないし、アメリカでは医療機器ではない分類になっていると記載されています。なぜ、これが医療機器だとアプリオリに分類されたのか、それとも何か議論があったのでしょうか。これは、実際にサイトカインなどの薬効も期待されているわけですよね。
○荒井部会長 結構ポイントがある。どうぞ。
○事務局 事務局より御回答させていただきます。再生医療等製品に該当する場合には、実際には採取された後に培養等の操作が入ってきたものが該当するということになるのですけれども、本品の場合は、採取した羊膜を、ただ単にという言い方が適切かは分からないのですけれども、乾燥させたものということで、何かしらの操作が入っていないということで、医療機器として審査させていただいております。おっしゃるように米国では少し制度が違いまして、ヒト由来の製品のうち、特に操作が少ないものとして、医療機器でもバイオロジックスでもない、登録のみが必要な製品として扱われているというところでございます。
○永井委員 今、正におっしゃった「培養等」という、その「等」のところの読み方なのかと思ったのですけれども。
○荒井部会長 よろしいですか。切り分けということですね。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 それも聞きたかったことの一つなのですが、この原材料の安全性の確保という観点から言って、羊膜/絨毛膜の回収業者の特定というところなのですけれども、「AATB許可及び/又は米国FDA登録された組織回収業者」と書いてあるのです。「及び/又は」と書いてあるのですが、本来ならば、両方で許可、それから登録されたものを日本に入れてきた方が、トレーサビリティのこともあるし、安全ではないかというので、なぜ「及び/又は」としたのかよく分からないのです。これは、できれば両方という、兼ねているような形にならないのかどうかとご質問いたします。
 それから、事業者の違いによって、ドナー組織の差異が本当に存在するのか否かということで、同等性があるかということについてもお尋ねしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 FDAの登録データベースによりますと、419社が羊膜製品を取り扱う業者として登録されております。AATBに認可されている、羊膜などの製品を取り扱える企業は36社となります。その中で、両方の資格を持っている業者は、全体の約8.5%ということになるかと思います。実際にはAATBに認可されている36社のうち、羊膜は取り扱わずに臍帯のみを取り扱っている所もあるかと思いますので、羊膜限定ということになりますと、8.5%より少ない数になるかと思います。
○宮川委員 それでは、そのパーセンテージも低いということがあって、輸入に対していろいろな障害があるように判断されるということですか。安全性ということではなくて、輸入量を含めての安定的な確保ができないということなのか、それとも、パーセンテージは少なくても、しっかりとした会社なので、両方で認定され許可されているのであるから、問題ないと言ってよいのかどうか、しっかりとした検討はされているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。そもそものところなのですけれども、この業をする上では、FDAの登録というのは必須になっているのですけれども、AATB自体は任意基準となっておりまして、取得せずとも問題ないということになっているのです。その中でもAATBに登録するという会社が、先ほど説明しましたように少ないということもございます。というのも、AATB基準につきましては、かなり厳格でして、それにやろうとしますと、やはり施設の中のアップデート等が大変ということで、登録しない企業もたくさんあるということになっております。回答になっていますでしょうか。
○宮川委員 そういう安全性の担保がしっかりできているのかどうかということが聞きたかったので、お聞きしました。
○事務局 事務局の方から補足というか、同じことになってしまうかもしれないのですけれども、発言させていただきます。まず、FDA登録については米国で必須ということで、日本に供給されるエピフィックスについては、当然全てFDAの認可がされた業者のものが輸入されてくるというところで、そこの点について一つ確保されているので、回収業者に関しての一定の基準は満たしていると思っております。
 そこに加えて、先ほど御説明がありましたように、米国にはAATBという認定もございまして、そこの認定を取っている会社であれば、そこのものについても可能とさせていただくということです。両方取れていれば、もちろんいいとは思うのですけれども、最低限FDAの登録ができている所のものが入ってくるということは必ずクリアされるというところで、安全性の確保は一定程度できているのかなと考えております。
○宮川委員 安全性の確保がしっかりできていればいいので、その言質が欲しかったのです。先ほど座長がお話になったように、放射線に対しての潰瘍も全て非常にミゼラブルです。なかなか治療の仕方というのはしにくいというところもありますので、是非そういう意味では安全性をしっかり担保していただきたいということです。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見よろしいでしょうか。大変貴重な、いろいろ有意義な御意見を頂きました。それでは、特に御意見がなければ議決を行わせていただきます。一般的名称「ヒト羊膜使用組織治癒促進用材料」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。また、医療機器「エピフェックス(EpiFix)」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定してよろしいでしょうか。また、使用成績評価は期間を3年として指定することとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきますが、先ほど申し上げましたように適正使用指針に準ずる点、いろいろ御意見を頂きました点、並びに市販後調査の点につきましては、今日の御意見を参考にして、いろいろ検討を追加していただくということを、課長からも御発言いただきましたので、この点をお願いしたいと思います。
 それでは、これをもちまして議題1を終了いたします。市岡先生、どうもありがとうございました。
○市岡参考人 どうもありがとうございました。
○荒井部会長 それでは議題2に進めさせていただきます。医療機器「Alto 腹部ステントグラフトシステム」の使用成績評価の指定の要否を始めさせていただきます。では、事務局の方から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題2、医療機器「Alto 腹部ステントグラフトシステム」の使用成績評価の指定について御説明いたします。マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料2を御用意ください。1ページを御覧ください。今回御審議いただく品目の概要となっております。申請者はエンドロジックス社で、選任製販は日本ライフライン株式会社です。本品は、腎動脈分岐部下の腹部大動脈瘤に対して用いる経カテーテル的なステントグラフトシステムであり、ポリマーをステントグラフト周囲に充填することによって大動脈への密着性を得るものです。
 平成31年1月の部会で御審議いただいた、Ovation腹部ステントグラフトシステムの後継品であり、その使用目的や適用部位は前世代品と同様で、構造も実質的に同様であること、また、前世代品であるOvation腹部ステントグラフトシステムの使用成績評価期間中であることから、本品についても使用成績評価の対象とすることが妥当であると考えております。調査期間は既承認品と同様の考え方に基づき、調査を依頼する60医療機関での全例登録290例、追跡期間5年を予定しております。登録期間についてですが、既承認品では同じ症例数を1年間で登録する予定としていたところ、COVID-19の影響により症例登録が円滑に進まない可能性を考慮して、本品は登録期間を1.5年に延長し、準備解析期間を短縮することで既承認品と同じ7年間の調査期間とする予定です。
 なお、既承認品であるOvation腹部ステントグラフトシステムは、承認直後にその次世代品であるOvation iXがポリマーリークによりクラスI回収となったために、本邦での販売は行われず、よって使用成績調査も実施されておりません。Ovation iXで見られたポリマーリークの原因は、ポリマー充填リング周辺のPTFEフィルムの層構造の脆弱性が疑われたため、メインボディの設計と製造工程の見直し、ポリマー注入圧の低減を図ることによって、リーク率の改善を確認していることから、本品の使用成績調査は既承認品と同様にType Iaのエンドリーク発生率を重点調査項目とすることは妥当であると考えております。御説明は以上でございます。御審議のほど、お願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々から御質問、御意見いかがでしょうか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 これに関しては、既承認品というのは実際に回収があったわけですね。コロナ禍であるということから、追跡期間が5年、登録が1.5年、準備期間が0.5年、合計で7年という形なのですが、厳密にやらなくて大丈夫なのでしょうか。実際には既承認品がクラスIで回収されているということから見ると、しっかり追跡していくことが必要なのかどうか、それを聞きたかったのですが。
○医薬品医療機器総合機構 事務局からお答えいたします。質問内容を確認したいのですが、この計画としては、資料1ページの下にありますとおり、追跡期間は5年を設けております。登録期間は、先ほどの説明にもありましたとおり、COVID-19の影響を踏まえて1.5年で、290例を集めるように60施設としております。
○宮川委員 分かっています。登録期間が非常に長くなったということは、登録しにくいから長くなったということで、全体で7年ということでよろしいのですね。はい、分かりました。
○荒井部会長 そのほか御意見はいかがでしょうか。はい、どうぞ。
○松宮委員 松宮ですが、その既存品のポリマーがリークしたという事象があったというのは、大体何年後ぐらいに起こっていることなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 事務局からお答えします。基本的にはポリマーを注入した術中に発生をしております。
○松宮委員 分かりました。では、何年かしてからリークが起こったということではないという、そういう事象はないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりでございます。
○松宮委員 分かりました。追跡期間が5年でいいかということでお聞きしました。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ありがとうございます。
○荒井部会長 どうぞ。
○事務局 すみません。ポリマーのリークというものは、もちろん既承認品は本邦で販売されておりませんので、本邦では起きておらず、全世界的に見ても○○○○数例レベルのお話でした。全て注入中に血圧低下等のショック症状というかアレルギー症状が見られたということで、適切に対応して、死亡された症例もあるというような記載もありますけれども、必ずしも死亡に至るわけではないという状況でした。
○荒井部会長 よろしいですか。多分、このポリマー注入自体は三村委員がお詳しいと思いますし、一色先生もお詳しいかな。本当にやっているときに漏れてしまうということが海外で起こって、それが報告されて、さらに先ほどの脆弱性が問題になって回収になったということです。そのほか御意見はよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、議決をさせていただきます。
 医療機器「Alto 腹部ステントグラフトシステム」の使用成績評価は、いろいろな理由がありましたけれども、期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告をさせていただく予定です。これで議題2を終了いたします。
 先に進ませていただきます。議題3、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否を始めます。事務局の方から説明をお願いします。
○事務局 事務局より御説明いたします。資料3を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への指定」、及び「特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいています。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要と考えられるものが、議題1で御審議いただいたもののほかに4品目ございます。
 まず、1ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「単回使用ガス式肺人工蘇生器」です。本名称の定義は「無呼吸又は不十分な呼吸を呈する患者の換気又は補助換気に用いる携帯型の装置をいう。通常、救急車又は救命救急部門で使用される。圧縮空気供給装置若しくは圧縮酸素供給装置又はその両方に接続する。圧縮ガスチューブ、呼吸回路、マスク又は気管内チューブアタッチメント用のコネクタ及びフィルタ等を備えるものもある。」です。
○荒井部会長 資料3ですよね。資料3です、御覧ください。
○事務局 失礼いたしました。本品は、クラスIIIの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えています。
 続いて、3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「心臓用補綴材留置用デリバリーシステム」です。本名称の定義は「心疾患治療を目的として、経皮的に挿入し、心臓内の欠損部や血管内に補綴材等を導入、留置するために使用するデリバリーシステムをいう。」です。本品は、クラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えています。
 続いて、7ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「咀嚼能力検査用物質」です。本名称の定義は「咀嚼能力の検査に用いる標準物質をいう。例えば、患者が本品を咀嚼し、その後吐出した粒子数等を計測することで、咀嚼能力を検査する。吐出物を撮影するためのカメラ及び粒子数を測定するためのプログラムを含むこともある。」です。本品は、クラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えています。
 続いて9ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「手術補助用シート」です。本名称の定義は「手術の際に、術野における組織や手術器具等の視認性の向上を目的として一時的に用いる、滅菌済み単回使用のシートである。目盛りを有するものもある。」です。本品は、クラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えています。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。五つの品目につきましての説明を頂きました。御質問いかがでしょうか。よろしいですか。どうぞ、宮川委員。
○宮川委員 何度も質問してすみません。このユニークなガムなのですけれども、咀嚼というところですが、どこで咀嚼するのかというような規定があるのかどうかをお聞きしたいのです。つまり、咀嚼能力があるという判定を、どこで咀嚼をするという規定があるのかということです。実際にはいろいろな人間がいて、判断しにくいと考えますが、評価を標準化させるというようなことが配慮されているのがどうかお聞きしたいのです。
○荒井部会長 どうぞ、お願いします。
○事務局 事務局から御説明させていただきます。おっしゃるように咀嚼能力を検査するときには、どこで噛むかというところが非常に大きな要素にはなってくると思うのですけれども、咀嚼能力検査そのものについては、既に保険適用がされている検査で、一般にこういったガム状のもの、あるいはグミ状のものを使って既に行われているということがありますので、その検査をより正確に行っていただくための医療機器部分として、今回、標準物質としての医療機器を指定させていただくということです。この医療機器に対しては、どこで噛むものというような指定はせずに、検査の中で正しくこれまでどおりに御使用いただくということで、今回の一般的名称の創設とさせていただいています。
○宮川委員 はい、了解しました。
○荒井部会長 委員の方々も、多分、実際のイメージが湧いていなかったと思いますが、先生の御質問のお陰で、どこで噛んでもいいことがわかりました。奥歯でも前歯でも。ありがとうございます。どうぞ、梅津委員。
○梅津委員 早稲田大学は、昔からロボットをいろいろと作っておりますが、咀嚼用の顎関節治療用ロボットも設計・製作しております。今回のような標準的な目標値を決めることで定量評価を行うということはどうしても必要になると感じながら聞いていました。感想を紹介しました。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員、いかがでしょうか。よろしいですか。繰り返しになりますが、この部会の判断は重要です。説明いただいた中でイメージが湧かないとか、今の宮川委員の御質問のようなものもウェルカムですので、みんなで理解してきちんと判断をしていきたいと思いますので、遠慮なく御質問ください。特にございませんでしたら、議決に進ませていただきます。5品目ではなくて4品目でした。
 まず最初です。「単回使用ガス式肺人工蘇生器」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。「心臓用補綴材留置用デリバリーシステム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。「咀嚼能力検査用物質」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。四つ目、最後です。「手術補助用シート」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件も分科会で文書報告を行います。これで議題3を終了いたします。
 議題4に進ませていただきます。医療機器の再審査結果及び使用成績評価の報告です。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。まず再審査ですが、再審査は、平成25年改正前の薬事法第14条4の規定に基づき、新医療機器等を対象として再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料4-1を御覧ください。販売名は「冷凍手術器 CryoHit」、申請者は株式会社日立製作所です。この品目は、生体組織を凍結・壊死させる冷凍手術器であり、小径腎悪性腫瘍を適応症として平成22年1月8日に承認されています。本品の使用成績調査は、本品を小径腎腫瘍患者に対する経皮的凍結療法として使用した場合の有効性及び安全性を確認することを目的として実施され、141例が登録されました。本品の有効性及び安全性について確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の再審査結果の区分は、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がない、カテゴリー1と判断しています。
 続いて、使用成績評価の報告に移ります。マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料4-2を御覧ください。販売名は「SATAKE・HotBalloonカテーテル」、申請者は東レ株式会社です。本品は、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動の治療のため、心臓組織を高周波アブレーションする手技に用いるものであり、平成27年11月18日に承認されました。本品の使用成績調査は、臨床使用実態下における有効性及び安全性を確認することを目的として実施され、546例が登録され、最終的に489例が12か月間追跡されました。医療機器の不具合発生及び安全性について確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の使用成績評価結果の区分は、薬機法第23条の2の5第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要はないと判断しています。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。御質問等いかがでしょうか。よろしいですか。
 それではこれで最後になります。議題5、部会の報告品目に入ろうと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 御説明いたします。資料5、横向きの資料を御覧ください。令和2年10月1日から令和3年2月末までの5か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しています。今回、医療機器は101品目が該当し、49ページ以降に体外診断用医薬品39品目を記載しています。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等に該当するものについては、販売名欄にそれらの別を記載しています。これらの報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。結構品目が多いのですけれども、御質問、御意見等いかがでしょう。よろしいですか。
 私が一つ申し上げなければいけないところで、一番最初にちょっともめましたというか、「エピフィックス」ですけれども、議決を頂き、この結果を次回の分科会で報告させていただきますということを申し上げないと、議事録に載りませんので、今更ですけれども一言追加させていただきます。
 それでは、以上をもちまして今日の予定された議題は全て終わりました。事務局の方から御連絡を頂けますか。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。委員の先生方におかれましては、本日も様々な貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。一つ御報告事項としては、プログラム医療機器の実用化促進に関し、その取組について、これまでもこちらの部会でもいろいろ御審議を頂いたり、御意見を頂いているところですけれども、本年4月1日付けで当部会の下に「プログラム医療機器調査会」の設立を含みます承認審査体制の強化を行っています。本件に関してプレスリリースを3月31日付けで行っていて、本日も、このマイプライベートファイルの当日配布資料3としてお示ししているところです。またHP等でも公表しておりますので、御報告いたします。いろいろ御協力いただきまして、ありがとうございます。
 また、次回の部会については、6月11日を予定しております。詳細については後日メール等で御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々から、特に御意見とか追加の御発言はよろしいですか。次回は6月11日ですが、この部会がこういった形でFace to Faceでできる状況であることを強く期待しております。
 それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうも長時間ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)