2021年9月6日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和3年9月6日(月)14:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  大原拓(医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医療機器審査管理課長 これから、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。先生方におかれましては御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。本会議は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWeb会議形式を併用して開催いたします。
 まず、事務局に異動がありましたので御報告いたします。医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部長に田宮憲一が着任しております。本日は、都合により欠席しております。現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、17名に御出席いただいておりますので薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。また17名のうち12名の先生には、Webシステムを用いて御参加いただいております。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての先生から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の先生方におかれましては会議の開催の都度、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力いただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○事務局 続きまして、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題は再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせしていましたとおり、本日はペーパーレス会議で進めたく、会場の皆様のお手元には議事次第、座席表、アロフィセル注の製品外観資料のみをお配りしております。製品外観資料については、部会後に回収いたしますので、お持ち帰りいただかないよう御注意をお願いいたします。Webにて御参加されている皆様は、事前にお送りした紙資料を御覧ください。タブレットの操作について、御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を御説明いたします。審議中は、マイクミュートでお願いいたします。御発言される際には、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。会場で御参加されている先生方におかれましては、資料3「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。タブレットの資料では、1ページの「アロフィセル注」について、競合品目リストを掲載しております。Webで御参加されている先生方については資料をお送りしておりませんので、これからの音声に耳を傾けていただければと存じます。
 1ページの「アロフィセル注」ですが、「非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における肛門周囲複雑瘻孔」を対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 具体的に3品目についてお話いたします。競合品目1は、レミケード®点滴静注用100(一般名:インフリキシマブ(遺伝子組換え))で、競合企業名は田辺三菱製薬株式会社。競合品目2は、インフリキシマブBS点滴静注用100mg「NK」(一般名:インフリキシマブ(遺伝子組換え))で、競合企業名は日本化薬株式会社。競合品目3は、インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」(一般名:インフリキシマブ(遺伝子組換え))で、競合企業名は日医工株式会社です。以上、御報告いたします。
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明について、特段の御意見、コメント等はありますか。皆様、よろしいでしょうか。今日は、Webと会場とのハイブリッドでやっておりますので、先ほど手のマークを押していただくとのことでしたが、それだけではなく声を出していただいても。特にWebで御参加の先生方は、何かありましたらマイクを使って声を出していただくか、直接画面上でも何かアクションしていただければ、私の席からは皆様方の顔が見えますので、そこで対応したいと思います。どうぞよろしくお願いたします。それでは、ただいまの説明で、特にコメント等はありませんか。
 よろしいですね。特にないようでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては委員の皆様の御了承を得たものといたします。
 それでは、委員からの申出状況についてもお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1・議題2のいずれの議題についても薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条に基づき、議題1におきまして、議決に参加できない委員は、宮川委員となっております。この際、御退室いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○合田部会長 ただいまの事務局の説明について、御意見はありますでしょうか。皆様、よろしいですか。よろしいですね。それでは、よろしければ、これより議題に入ります。それでは皆さんに御確認いただいたものといたしますので、本日は議題1が審議事項、議題2が報告事項となっております。
 それでは議題1に移ります。議題1は、非公開案件です。再生医療等製品「アロフィセル注」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についてです。まず、機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1資料番号1、アロフィセル注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレットの資料番号1(説明用)と書いてある長いファイルを開いていただき、諮問書から始まっていると思いますが、3ページ以降が審査報告書となっておりますので、審査報告書を御覧ください。以降の説明に用いるページ数は、お開きいただきましたファイルの最下部中央に緑の文字で52分の何々という形でページ番号を記載させていただいておりますので、その番号を使用させていただきます。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、紙資料が送られていると思いますので、お手元の資料の審査報告書という資料をお開きください。よろしいでしょうか。それでは、まずタブレット資料は6/52ページ、審査報告書は全体の4ページに当たる審査報告(1)の2ページをお開きください。タブレット資料の6/52ページ、審査報告書は4ページで、審査報告書(1)の2ページに記載されています。そのページの上から2行目以降に記載の「1.1申請品目の概要」を御覧ください。
 本品は、健康成人の皮下脂肪組織に由来する間葉系幹細胞を単離・培養して得た同種のヒト体性幹細胞加工製品です。間葉系幹細胞は炎症部位において免疫調節作用を発揮することが示唆されており、本品はクローン病による肛門周囲複雑瘻孔の治療に有効性を示すことが期待されております。
 今般、本品は「クローン病患者における肛門周囲複雑瘻孔」を効能、効果又は性能として承認申請されました。申請時に「肛門周囲複雑瘻孔」という表現が用いられましたが、少し後ろになりますが、タブレット資料の44/52ページ、審査報告書の40ページの審査報告(2)にあるとおり、専門協議の議論において「肛門周囲複雑瘻孔」という表現を「複雑痔瘻」と表現するのが適切であるという御意見を頂きましたので、以降は全て「複雑痔瘻」という表現を使わせていただきます。
 なお、本品は、2019年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。本品は、審査報告書確定後にも1か国において更に承認されましたため、現時点において、欧州を含む17か国で販売されております。本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料1-2にありますとおり、6名の委員となっております。
 それでは以降、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。タブレット資料の17/52ページ、審査報告書の13ページの表9を御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、本品をクローン病に伴う複雑痔瘻の病変内に局所投与した国内第III相試験であるDarvadstrocel-3002試験と、海外第III相試験であるCx601-0302試験の成績が提出されました。
 最初に、有効性について説明いたします。タブレット資料の24/52ページ、審査報告書の20ページの表18を御覧ください。海外のクローン病に伴う複雑痔瘻を有する患者を対象としたプラセボ対照の二重盲検試験であるCx601-0302試験において、主要評価項目とされた投与後24週時点での複合寛解率は49.5%であり、本品群とプラセボ群の間に統計学に有意な差が認められました。また、タブレット資料の19/52ページ、審査報告書15ページの表11を御覧ください。国内のクローン病に伴う複雑痔瘻を有する患者を対象とした単群試験であるDarvadstrocel-3002試験において、主要評価項目とされた投与24週時点での複合寛解率は59.1%であり、Cx601-0302試験の本品群の結果と類似した結果が得られております。
 次に、安全性について御説明いたします。タブレット資料の31/52ページ、審査報告書の27ページに記載の「6.R.3安全性について」を御覧ください。Darvadstrocel-3002試験及びCx601-0302試験において、大部分の有害事象の程度は軽度又は中程度であり、本品投与時に発現が特に懸念される有害事象は認められていないこと、Cx601-0302試験において、有害事象の発現状況にプラセボ群と比較して大きな違いは認められていないことから、本品の安全性プロファイルに特段の懸念はないと判断いたしました。ただし、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後には全症例を対象とした調査を実施する必要があると判断しております。
 最後に、品質について、一点御報告があります。タブレット資料11/52ページ、審査報告書の7ページの「2.R.1原料のTSEリスクについて」という項目です。本品の原料となる脂肪組織の原産国はスペインですが、平成17年(2005年)に、スペインで変異型クロツフェルトヤコブ病(vCJD)患者が認められたことを踏まえ、スペイン由来のヒト組織を医薬品等の原材料に用いないようにという通知が発出されております。このことを踏まえて、次のページに記載したとおり、本品のTSEリスク評価を行っております。ヒトの脂肪組織についてはBSEの感染リスクはないとされていること、スペインにおける変異型クロツフェルトヤコブ病の最終発生は2008年で、10年以上発症例はなく潜在的リスクは低いと考えられることなどを踏まえ、当面の間、本品の原料としてスペイン由来の脂肪組織を用いることはやむを得ないと判断しました。申請者には、今後、vCJD発生国以外で組織を採取することを検討するように指示しております。
 以上のような審査の結果、機構は、タブレット資料の3/52ページ、審査報告書の1ページに記載されているとおり、「効能、効果又は性能」並びに「用法及び用量又は使用方法」で、次のページに記載しましたような承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。
 本品は、同種の脂肪組織由来間葉系幹細胞を原料とするヒト体性幹細胞加工製品であることから、指定再生医療等製品に該当し、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当と判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思います。御意見がある方は、挙手など、アクションをしていただければと思います。会場の方もよろしいですか。
○小原委員 小原ですが、質問があります。
○合田部会長 小原先生ですね。お願いいたします。
○小原委員 3点ほどあります。そもそもといった部分で教えていただきたいのですが、まず1点目、「肛門周囲複雑瘻孔」は、クローン病の患者さんのみに適応されるのかというのが1点です。2点目は、原因となる皮下脂肪組織というのは、単一のスペインの女性ドナーから由来しているのかというのが2点目です。3点目ですが、例えば日本で使用される場合は、将来的には日本人の女性の皮下脂肪組織等から採取したものが使われるのか、以上の3点です。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。まず1点目、本品の適応ですが、クローン病の患者さんに限るという適応になっております。
○小原委員 2点目はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 2点目は、ドナーですが、定期的にドナーから作られたマスターセルバンクが更新されます。1人のドナーから採取される量というのは限られておりますので、定期的に更新されることになります。その際に毎回、同じドナーというわけではありません。将来的な話ですが、現時点で申請者から聞いている限りでは、日本の女性から採取するという計画は特にございません。以上です。
○小原委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 小原先生、何か追加はありますか。よろしいですか。
○宮川委員 宮川です。
○合田部会長 では、宮川先生、お願いいたします。
○宮川委員 国際共同治験というのは確か、2018年2月に終了しているという形で認識してよろしいのでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 その認識で合っております。
○宮川委員 そうすると、海外では承認されているということですね。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりです。
○宮川委員 そうすると、海外での使用実績というのは、もう出ているのでしょうか。傍証としてですけれども、そういうものがあったら教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 適応患者がそこまで多くはないという現状があって、海外では確かに先行しているのですが、200人から300人程度の使用実績しかないと伺っております。
○宮川委員 その使用実績というのは入手できていないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 お待たせいたしました。機構よりお答えさせていただきます。市販後の有害事象、安全性に関しては、特に懸念される事象は認められていないということです。特に、この疾患に関しては、局所の痔瘻癌等の発現が問題になりますが、そちらも今のところ報告はないという回答でした。
○宮川委員 ありがとうございました。明確になりました。
○合田部会長 ほかに御質問等はございますか。佐藤陽治先生、お願いいたします。
○佐藤(陽)委員 二つか三つ御質問させていただきたいことがあるのですが、一つずつ伺いたいと思います。まず一つ目は、この製品の1回当たりの投与量というのは決まっているのですが、時間を超えての複数回投与の回数の制限はあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 薬事上では、特に回数は制限しておりませんが、実績がまだありませんので、どのように再投与を考えるかというのは、学会で今、指針を考えていただいているところです。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ありがとうございます。二つ目は、本品の対象患者の年齢とか、そういったものに関して患者の背景における制限というのはどこまであるのか、改めて御説明いただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 まず承認では、通常は成人ということで、成人を対象としております。臨床試験においては、18歳以上というところで行われております。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございます。あと、先ほどの小原委員の二つ目の質問に関連しての質問というかお願いなのですが、将来、セルバンクの更新時に改めて品質試験を行うということが想定されます。そのときには恐らく非臨床試験はやらないということになると思うのですが、その際の品質試験は、昔の方法ではなくて、その時点での試験法の進歩を踏まえたデザインを検討していただきたいということです。といいますのは、海外での治験が2009年にスペインで始まっているというところで、それ以前に恐らく実施したであろう非臨床安全性試験なり、品質試験というのが非常に古いデザインだと感じております。例えば、造腫瘍性関連の試験ですと、我が国では2019年に厚労省の医療機器審査管理課から「造腫瘍性関連試験及び遺伝的不安定性評価に関する留意点」という文書を出していただいていますので、改めてその時点での状況を踏まえた情報に基づいた試験を検討していただきたいと考えております。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 分かりました。申請者には検討するように申し伝えておきます。
○合田部会長 それでは、今お二方から質問を頂いておりますが、まず永井先生、お願いしてよろしいですか。
○永井委員 京大の永井です。よろしいですか。聞こえていますか。
○合田部会長 聞こえています。
○永井委員 海外の第III相臨床試験成績についての質問ですが、この臨床試験では205例が登録されて、41例がスタディオフになっているのです。約20%、これはかなりスタディオフが多いです。抗がん剤とかであればまだ分かるかもしれませんが、単回投与の臨床試験で20%もの症例がスタディオフになってしまうというのは何か理由があったのか。併用治療とかの問題でオフにせざるを得なかったとか。いろいろ書かれてはいますが、ちょっと多いので何か情報をお持ちだったら教えていただきたいと思います。
 それと関係するのですが、審査報告書の20ページに、主要評価項目と副次評価項目の結果が出ていますが、両方ともITT集団にかかる結果だけです。先ほどの20%のスタディオフを考えると、PPS集団の解析結果とITT集団の解析結果が異なる可能性があると思うのです。特に、今回15%以上あれば臨床的意義があるというガイドラインであるところ、15.2%というぎりぎりのところで有意な差が出ています。通常ITTの結果をロバストネス、すなわち解析結果の頑強性を補強するためにPPS解析が行われると思うのですが、もしその情報があれば教えていただきたいと思います。日本の試験はもう少し成績がいいのですが、大体似たようなものです。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 機構、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 すみませんが、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか。
○合田部会長 今の永井先生の回答には少し時間が掛かるようですので、先に大隅先生、質問をお願いしてよろしいですか。
○大隅委員 東北大学の大隅です。リモートで参加させていただきます。よろしくお願いいたします。今の永井先生の御質問と少し関係するかと思うのですが、手元の資料ですと26ページ、表23と24というものがあって、男女別にデータを取って示されているものがあります。表23では、例えば複合寛解率に関して女性の方が男性より非常に良いというデータが見えて、24の表ではどちらかというと男性の方が良くて、しかもプラセボ群よりも良い結果になっているという形です。いずれにせよ、先ほどもお話がありましたが、そんなにプラセボに比べてものすごく改善が見られているという製品ではないように感じるということと、男女の適応に関しては余り関係ない、要するに、この程度の例数では集団ごとに少しデータがばらついても仕方ないのだという見方でよろしいのでしょうか。以上、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、性別についてですが、やはり例数が少なすぎますので、性別については余り意義のある数字の差ではないと判断しております。プラセボ群との差が小さいということに関しては、統計学的な差が出たということで判断しています。
○大隅委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 機構から追加させていただきます。先ほどの永井先生からの御質問の前半の部分のスタディオフが約20%と比較的多いのではないかという御指摘でした。この件に関しては、審査報告書の19ページ、23/52ページに内訳を書いてあります。具体的に何かが特別に多いというわけではありません。こちらで読ませていただきますと、自発的な中止が4例、同意撤回が2例、選択基準違反が2例、有害事象/重篤な有害事象が13例、臨床症状の著しい悪化が11例、臨床治験実施計画書からの逸脱が4例、その他、若干不明なものも含めてですが5例となっています。一番多いのは、有害事象/重篤な有害事象の13例です。これについては安全性との関連で議論が必要かもしれませんが、全体として見たときには、この症例自体の13例という数字はそれほど多いものではないというのは、先ほど御説明させていただいたとおりです。
 それを除いた場合の一番多い部分というのは、臨床症状の著しい悪化です。実は、この治験で、ターゲットとしている効能・効果の部分というのは、必ずしも複雑瘻孔や痔瘻の広い部分を全て目的としているわけではありません。機構からの冒頭説明で申し上げたように、難治性ではあるけれども軽症というターゲットの部分に入ってくる方が、本来の効能、そして治験の被験者として適格性があるということです。クローンの瘻孔は、割と病態の変化がありますので、例えば当初は適格性があったとしても、短い時間のうちに病態が変化するということ等も十分に予想されます。先ほどの11例という数字は、その部分の変化と考えられると思いますので、私どもからしますと、それほどには何か偏ったものではないのではないかと考えております。
○合田部会長 ありがとうございます。永井先生、何かございますか。
○永井委員 永井です。おっしゃったような、そこに御記載のことはよく分かるのですが、ワンショットで終わる治療なので、通常、有害事象があっても可能な限りプライマリーエンドポイントの観測は予定どおりすべきというのが基本です。そう考えると、何かエンドポイントが観察不能になるので、スタディオフにさせたということだったら、やむを得ないのかなと思います。コメントだけです。
○合田部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどの統計的な話の所の御回答をさせていただいてよろしいでしょうか。
○合田部会長 お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。お時間を頂き、申し訳ございませんでした。PPS治験実施計画書の対象集団における成績を今から申し上げます。群間差としては20.1%、仮説検定のP値は0.010ということで、ITT集団と同様の傾向が認められていたということを報告させていただきます。以上です。
○永井委員 分かりました。すっきりしました。
○合田部会長 それでは、佐藤雄一郎先生が手を挙げていらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
○佐藤(雄)委員 佐藤です。よろしくお願いいたします。TSEのリスクなのですが、リスクが低いということは先ほどの御説明である程度分かりましたが、それでも医薬品等の原材料としては使わないという通知もあるということでしたし、この情報は患者さんに伝えるべき情報だと思います。添付文書の使用上の注意の重要な基本的注意の所には、「説明と同意について努めること」と書いていて、これが義務とされていないのですが、その理由は何でしょうかということが1点目です。また、患者さん向けの資材の中で、このことを説明される予定があるのかということが2点目です。
○医薬品医療機器総合機構 資材については、まだ入手できていないので確認させていただきます。重要な基本事項注意に関しては、確かに、努めることという書き方には問題があるという御意見だと思いますので、これについては記載について検討させていただきたいと思います。
○佐藤(雄)委員 分かりました。また結果が分かりましたら御連絡いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○合田部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。では、森尾先生、お願いいたします。
○森尾委員 確認だけですが、11/52ページ、審査報告書の7ページの「2.2.7製品の安定性」について、保存の温度が15℃から22℃と割と狭いレンジで、添付文書を見ると、専用の輸送容器に入れるということです。これは確認ですが、そのままで薬剤を保存されて使用という、そういう認識でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりです。
○森尾委員 ありがとうございます。25℃で割と駄目になったというのは非常にアローワンスが狭いなという気がしたので、気になって質問しました。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。それでは、議決を行ってよろしいですか。再生医療等製品「アロフィセル注」については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付承認に該当せず、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいでしょうか。皆様、御異議はございませんか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、分科会にて報告を行うことといたします。これで議題1を終了いたします。
 議題2です。これも非公開案件です。「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2、資料番号2について、事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として特段の拡散防止措置を取らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
 まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での報告以降で、令和3年4月~令和3年7月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの5品目です。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続いて、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。2ページの一覧を御覧ください。令和3年4月~令和3年7月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの18品目です。これらについても機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても採られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。以上、報告いたします。
○合田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。皆様、よろしいですか。御意見等がないようですので、よろしければ議題2を終了いたします。
 本日の議題は以上です。事務局から連絡事項はございますか。
○医療機器審査管理課長 本日も御議論いただき、ありがとうございました。また、途中ハウリング等でお聞き苦しい点が多かったこと、お詫び申し上げます。次回の部会については、改めて事務局より連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)