第2回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会船舶に関するワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年2月17日(月) 16:00~18:00

場所

労働委員会会館講堂(7F)
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)船舶 の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
    (i) 船舶WGにおける論点について
  2. (2)その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 それでは、定刻よりも少し早いですが、皆様お揃いのようなので、ただいまより「第2回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 船舶に関するワーキンググループ」を開催いたします。本日は大変お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、以下の議事進行につきましては豊澤座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○豊澤座長 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは、お手元のタブレットを御確認ください。これまでの、建築物に係る検討会とかワーキンググループ、過去に行った検討会の資料につきましては参考資料という形で、それぞれフォルダーに入れて御用意をしております。本日の資料ですが、一番下のほうにある00から08までの資料になっております。まず00は議事次第ということで、議事、議題等、配布資料一覧を示しております。01は資料1で、本日御議論いただく論点について提示している資料です。それから、03から08までは参考資料1として、シップリサイクル条約等に基づく「インベントリ適合証交付要領」ということで、これは国交省さんのホームページ等から頂いた資料です。参考資料2についても、同様に国交省さんのホームページ等で掲載されているインベントリ適合に係る証明についての報道発表ということで付けております。参考資料3については、有害物質インベントリ作成ガイドラインで、インベントリの記載例等が分かる資料ということで付けております。参考資料4はいわゆるシップリサイクル法の条文の関係する条文の所を抜粋して、御用意しております。参考資料5は、前回のワーキンググループで参考資料としてお出ししておりました「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」の中の一部「主なアスベスト使用部位と推定使用期間」を抜粋した資料です。最後に参考資料6は、「船舶安全法」の定期検査に係る条文の所を抜粋しております。以上が資料についての御説明です。過不足等がありましたらお願いいたします。
○豊澤座長 ありがとうございます。よろしいですか。資料はありますか。それでは、本日の議事に移りたいと思います。議事の1-1「船舶ワーキンググループにおける論点」についてです。資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは、資料1を開いてください。本日は第2回の船舶ワーキンググループです。このワーキンググループで御議論いただきたい論点として、前回お示しした論点を、前回の御意見等も踏まえて少し掘り下げた形での論点ということで示しております。
 まず、1)の「事前調査の資格要件について」の所です。(既存の制度の活用について)ですが、船舶に含有される有害物は石綿を含む有害物ということでPCB等も含まれるものですが、この調査については、現在、シップリサイクル条約において、総トン数500t以上の船舶について、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述した「有害物質一覧表」以下、「インベントリ」とさせていただきますが、このインベントリを作成・維持し、解撤時に船舶リサイクル施設に引き渡すこととされており、国土交通省において、作成されたインベントリを確認し、適切なものについては適合証を交付する仕組みが設けられているということです。このため、500t以上の船舶であって、かつ国土交通省等が交付した「インベントリ適合証」を有する船舶については、当該インベントリの作成をもって、事前調査が行われているものとみなすことができるのではないか、ということが1つ目の論点です。
 また、この場合、仮に「インベントリ適合証」を有する、いわゆるインベントリを作成している場合は、作成している船舶、船舶の解体・改修を行う事業者は、石綿則第3条に基づく事前調査については、このインベントリを船主から入手し、確認することで当条の義務を履行したものとみなす(一定の知識等を有する者による改めての事前調査は不要とする)こととしてはどうか、ということが2点目の論点です。500t以上のインベントリを作成している場合は、こういった整理ができないかというところです。
 一方で、(新たな資格制度の検討について)ですが、総トン数500t未満の船舶については、船舶に含有される有害物質を調査するという既存の仕組み、インベントリのような仕組みがないため、建築物に係る事前調査と同様に、一定の知識等を有する者による調査が必要なのではないか。この場合、石綿に関わる船舶の調査に必要な知識等としては、どのような内容が考えられるかということで、例えば、インベントリの作成に携わっている専門家に必要とされている知識等、そのインベントリは石綿に限らず、その他の有害物に関係するので、この場合は石綿に関わるものに限るとしますが、そうした知識等や育成のための研修・教育等の仕組みがあれば参考になるのではないかということで、この辺りを論点として御議論できればと考えております。
 続いて、2)簡易届出制度の対象についてですが、(届出対象とする作業の範囲)として、論点を2つ示しております。まず、船舶については建築物と同様に一部に石綿が使用されている可能性が高いと考えられる一方で、建築物については石綿の使用部位の特定は建築物全体に広く使用されていることで、その特定が困難となっていますが、船舶の構造のうち石綿が使用されている可能性の高い部位が一部に特定されていると言えるものなのかどうかについて、前回のワーキンググループにおいては特定されるのではないかというような御意見もありましたので、そこの部分について改めて御議論いただければと考えております。
 また、1つ目の論点の所で、仮に特定されていると言える場合、簡易届出の対象については、石綿が使用されている可能性の高い部位に係る作業を対象とすることとしてはどうかという2点について御議論いただければと考えております。
 一方で、前回のワーキンググループで、定期検査に向けた定期修理が一定の期間ごとに行われているということで、その取扱いについての御意見がありましたので、これについても、2つの論点について掘り下げて御議論いただければと考えております。
 1つ目は、船舶については、建築物と異なり、一定の期間ごとに定期検査に向けた定期的な整備や修理が行われているとのことです。平成18年9月に石綿の製造使用等が禁止されておりますが、それ以降に国内で製造され、かつ海外での修繕等の可能性がない内航船については、石綿が使用されていないことが明らかである一方で、定期修理の度に建造年月日の届出を制度的に求めるのは合理的かどうか、というところを御議論いただければと考えております。建築物については、平成18年9月1日以降に新築された建築物の解体・改修については、事前調査結果として着工年月日を届出させるとされたことに対して、船舶について同じように求めることが合理的かどうかということです。
 また、こうした内航船については、制度改正後の初回の定期修理時に建造年月日の届出を求め、その後の定期修理時は届出不要と整理してはどうかということです。合理的かどうかで、その次に、今申し上げたような整理ができるかどうかを御議論いただければと考えております。
 続いて、3)事前調査の対象についてです。建築物につきましては、石綿が使用されていないことが明らかであって、その切断等・除去・取り外し時に建築物を損傷させるおそれのない作業は、建築物の解体・改修作業には当たらないものとして、事前調査の対象にしないという議論が行われていますが、船舶についても同様のことが考えられるのかどうか。例えば、平成18年9月よりも前に建造された船舶や、海外で建造された船舶であっても、法令等に基づく定期検査に向けた修理・修繕により、既に石綿が使用されていないことが制度的に担保されているような部位があって、かつ船舶を損傷させることなく、その当該部位の修理等を行うような作業が想定されるかどうか。その辺りについての御意見、御議論を頂ければと考えております。以上が、本日御議論いただきたいと考えて整理した論点でございます。
○豊澤座長 ありがとうございます。ただいま事務局から、第1回ワーキンググループでの議論を踏まえて、より具体的な論点として整理していただいて提出していただいています。この3つの論点について、順番に議論していきたいと思います。まず、論点1の事前調査者の資格要件について、御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小西委員 1番の、既存の制度の活用についての所に関しては、前回も御意見を申し上げたのですが、インベントリを作成して、それに対して国土交通省が適合証を出しているということで、通常の建築物と同じように事前調査の流れとほぼ同じような流れでやっていることではないかと思うので、この500t以上の船舶についてのインベントリを活用することに対しては私は賛成します。無駄に何回も同じことをやらなくても、もう既にやられているのであれば、それをきちんと利用したらいいのではないかという気がいたします。
 ただ、2014年4月から国交省で制度が始まったのだと思うのですけれども、今のところ分からないのですが、インベントリの適合証の公布数はどれぐらいになるのですか、ちょっとそこが知りたいのですが。500t以上で、もし分かれば。
○オブザーバー(国土交通省海事局) 国交省でございます。すみませんが、今は正確な数字を持ち合わせておりませんが、現状、作成することが義務付けられている環境にはありませんので、おっしゃるとおり現時点では、特殊な用途で、海外で求められている区域に入港するような船舶が主に取っているという状況だと考えています。
○小西委員 分かりました。
○豊澤座長 よろしいですか。
○関元委員 数は、今のところは具体的にはっきりしないという。
○オブザーバー(国土交通省海事局) 別の課が担当していますので、そちらに問い合わせてみます。
○豊澤座長 小西委員からは、この議論について同じようなことであれば、既存の制度の活用については賛成されるということでしたけれども、そのほか御意見はございますか。
○野口(雅)委員 国際航海に従事する船であれば、既にどんどんインベントリの作成はしています。ただし、500t以上であっても内航船、要は排他的経済水域内を走る船については、船主さんの考え次第で、積極的にはインベントリ作成をしていないような感じがしました。ただ、インベントリという制度があるわけですから、当然インベントリを持っていても、再度の調査は重複しますので、私もこの論点については賛成です。
○豊澤座長 何らかの形で調査されているなら、二重に調査することはないということ。
○野口(雅)委員 だから国の適合証を持っているということは、お墨付きを与えられたインベントリということですから、再度調査する必要はないということです。
○豊澤座長 そのほかに、何か御意見はございますか。
○関元委員 中小造工の関元です。中小造工としても特に異議はございません。結構かと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 論点の3つ目にもあるのですけれども、インベントリを作成している船を解体・改修するときに、その事業者がインベントリを入手できた場合について、入手して確認することで、この同条の義務を履行したものとみなすという整理にしていますので、単純に作成しているだけではなくて、解体・改修の工事業者が、そのインベントリを入手し、確認することで事前調査に代ええられるということですけれども、基本的に、入手はできると考えてよいということでよろしいですか。
○豊澤座長 (新たな資格制度の検討について)も含めて、何か御意見がございましたらお願いします。
○林委員 今、当社にもインベントリ作成の認定者がおるのですが、これは皆さんも御存じだと思うのですが、特別の講習会とか試験等を受けておるわけではなくて、OJTを数回実施しまして、シニアの方からClass NKに申請するということで、新たに、この作成に関わる資格を有する講習会等を受けるということになると、中身に相当のギャップが出てくるような気がします。恐らく講習会として座学を受けて、基本的な事柄、この類いのことからアスベストの特性等も含めて、随分細かな内容になると思いますので、現状の認定者とのギャップが非常に大きくなるような気がしております。
 我々としては現在の認定者をそのまま認めてもらうのが一番よろしいのですけれども、新たに、そういう特別教育等々を受けることになると、時間と費用の発生も出ますので、その辺は皆さんでちょっと話し合いをする必要があろうかという気がします。
○野口(雅)委員 現在の認定者はどういう資格を。
○林委員 資格と言いましょうか、インベントリ作成に携わることで、既にNKから認定された主任者がおりまして、その人について実際の現場に足を運んで、何回か指導してもらいながら現場の確認とか、インベントリ・リストの作成、サンプリングチェックの要領、あとルール関係がありますので、その辺を何回か繰り返して、主任者が見て、これでいいと、一人でできるという確認が取れた段階で、NKのほうに申請をして、認定を頂くというのが現状の姿です。ほかの企業の方、また民間でもインベントリ作成をしている会社がありますけれども、そちらのほうは多少違ったやり方をしているかもしれないのですが、現状は我々の会社ではそういう形で認定者を育成しておるという現状です。
○化学物質対策課長補佐 認定者をOJTで訓練する側の、その主任の方ですか、どういう背景をもった方なのでしょうか。
○林委員 その方は最初はNKから指導を受けております、随分もう昔ですけれども。どのような内容かは私も把握しておりませんけれども。
○化学物質対策課長補佐 何か研修とかの仕組みがあるわけではなく、実際の現場で口伝えでやっているようなイメージと捉えればいいですか。
○林委員 そうですね、特別これがインベントリのサンプルですけれども、多い船になりますとドキュメントを含めますと結構厚くなりますので、簡単には独り立ちというかできない部分があって、そのたびに確認をしたり、チェックをしてもらったりという形でやっております。
○野口(雅)委員 NKから認定を頂いているということですが、別にインベントリはアスベストだけですか。
○林委員 そうです、有害物質ですから、その一部ですね。ですから、なおさらのこと薄味ではないですけれども、アスベスト・オンリーではないですから、インベントリのリストというのは有害物質全般にわたりますので。
○化学物質対策課長 ちょっと教えていただきたいのですが、このインベントリは、例えば途中で国外で改修をした場合、その新しい情報が随時そのインベントリには追記されて、現行にあるものが最新のものに更新されているのかどうかという点と、あと、資格者の話が出てきたのですが、多分居住室というか、お客様又は乗組員の方が入られる区域では比較的建築物に近いような建材も使われているかと思います。建材については含有率で以前は規制がかかっていなかったが、現行では0.1%超えで規制がかかる話などから調査が難しいのではないかというような御議論があったところですが、その辺の難しさも現在の登録者の方々にはOJT中心とお聞きしたのですが、付与されていると理解していいでしょうか。この2点、分かりましたらお願いします。
○林委員 1つの例として、昨年以降は環境絡みで、スノックスの改造を主に中国でやるのですが、やはりインベントリ作成するに当たって、その辺のヒストリーを船主さんに伺って、実際あった問題としては、エンジン検針辺りを半分ぐらい取りますので、あの辺のケーブルとか、そういう貫通部分に、やはり中国ではアスベストを含んだシーリング材を使っているという例があったということは私も聞いておりますので、日本だと、そういうおそれは恐らくないと思いますけれども、海外調達でもって、中国とか、あっちから持って来るような機器に、パッキンとかシール材にアスベストを含んだものを使われている可能性がある。それから改造を外地、中国とかあっちこっちでやっていた場合に、そういうおそれが多少なりともありますので、それはやはり船主に確認が必要であればサンプリングの形で、実際にこれも日本籍船ですけれども、サンプリングでアスベストが発見されたという分析結果を、ここに頂いております。
○化学物質対策課長 そうすると随時、このインベントリには書かれるという理解でいいですか。
○林委員 船主さんにもよりますね、その辺こまめにアウトプットというか、補足をしていく場合もあるでしょうし、無頓着な船主さんもおられるかもしれないし、そこまでは把握はしておりません。
○小西委員 インベントリの現実におやりになっている方たちは、人から人での教育をしてやっておられるというお話ですけれども、逆に、このアスベストに関しては石綿作業主任者という資格があって、実際に事業とか工事をやるときはそういう人たちがいなければいけないわけですね。要するに今の船の工事に携わっている人たちに新しい資格を作るのか、あるいは逆に、今は事前調査という資格制度があって、それで資格を持った人たちに、船はちょっと特別なのでプラスアルファーで船の教育を別に今度してもらうと。船に関して、限った石綿に関するところを教育してもらって、その教育を受けた人が例えば500t未満とか、やってないものについては、やるということは可能ですか。
○林委員 それは可能だとは思うのですが、現状こういうインベントリ以外の、今我々が話し合っている内容の案件が、我々の会社の立場として、今後どれぐらい出るかというところにもよるのですね。例えば当社のほうでは、500t以下の船はほとんど手掛けないのです。ですからどれぐらいの案件というか、物量が発生するかというところがよく読めませんし、もちろん他の企業の方もそうでしょうし、その辺がちょっと掴めないと、逆にいうと現状のままのほうがいいかなというところもあります。
○菅委員 そもそも石綿の作業主任者の資格を取るのに、それがどれぐらいのハードルなのかという問題もあると思うのです。500t未満の船を扱うというと、地方の方たちがやりますので、かなり老齢化している方たちではないかなと想像するのですが、その人たちがそれを取れなくなって仕事ができなくなってしまう、そういうケースもあろうかと思うので、そのハードルが、講習を受けるだけでいいとか、この試験をパスしないと駄目だとか、そういったことについてちょっと教えていただけないでしょうか。
○小西委員 今、私が申し上げたのは、船の定期修理をやっているとか、そういう大型のものでなくてやっているような所の方がということではなくて、既に建築物とかそれの解体とかをやっている所に関しては、その資格制度があって、それを持っている人たちは結構いるわけですよね、その講習を受けて。その人たちに、船に関しての別のプラスアルファーの教育をして、その教育を受けた人は船の事前調査ができますよという形にもっていったらどうかと。なぜ、こんなお話をしたかというと、前回お話があったのは、アスベストがあったら、もうそっちを専門業者に任せてしまうというお話があったものですから。それだと、その専門業者の中にはそういう資格をお持ちになっている方もいらっしゃるかもしれないのですが、それは建物と船との違いがあると思うので、そういう人たちに船のことに関しての教育を、実地教育が必要なのかもしれませんけれども、そういう教育をして、プラスアルファーで、船もできますという形のものをやると、どのぐらい人数が必要かというのは分かりませんけれども、どれだけかという数が分からないので。ですけれども、特に完全に新しい資格を作るよりは、そのほうが、できる人たちで充足しやすいのかなという気がしたものですから、そのお話をしたのです。実際の石綿作業主任者の資格というのは通常の決められた時間内の講習ですから、そんなに大変な資格ではないのではないかと思っています。
○副主任中央労働衛生専門官 制度の御紹介をさせていただきますと、石綿作業主任者の技能講習としては、講習科目として、健康障害及びその予防措置に関する知識ということで、石綿に関する病理とか病状、予防方法、及び健康管理について2時間の講習。それから、作業環境の改善方法に関する知識として、石綿等の性質及び使用状況、それから石綿等の製造及び取扱に係る器具その他の設備の管理、建築物等の解体等の作業における石綿等の粉じんの発散を抑制する方法、作業環境の評価及び改善の方法、これで4時間。
 更に、保護具に関する知識として、石綿等の取扱いに係る保護具の種類や性能、使用方法及び管理、これで2時間。あと関係法令として、安全衛生法等の法令についてを2時間。合計10時間の講習が技能講習規定の中で定められており、更に技能講習において、修了試験は筆記試験又は口述試験によって行うと規定されております。制度としては以上になります。
○関元委員 今の件ですが、定期検査とか、そういう検査をやっている造船所の立場として、船が入って来たときに初めてその船を見ると、そのときに事前調査になるわけです。前回申し上げましたけれども、もしあったら外注で、造船所としては基本的にはタッチしないというのが基本になっていまして、本当に必要なのはどういう作業をするかというよりも、どこにありそうだということを見るような勘を持っている人ということで、ちょっとフェーズが違うと思うのです。そうすると、船が入るたびに、今おっしゃったようなことであると、陸上の試験を受けた人が来て、その度に見ないといけないと。我々の立場からすると、それは現実的ではないのです。むしろ、船をよく知っている人が、会社にいる人が教育を受けて、それで船が入ったときに事前にチェックするというのが一番あり得る姿かなという気はします。
○野口(雅)委員 建築物の調査者講習のテキストをちょっと見たのですが、その中で調査者に求めるものは、分析方法の違いを理解して、適切な採取位置、採取箇所から必要な資料を得る工夫が必要というのがあって、実態は解撤現場にセプロが入っている場合は、どこに石綿があるかないか、これはない、これはあるかもしれないと、そういう整理はマニュアルから把握はできると。ただそこに、ここには石綿があるということであれば、専門の業者に任せると。だから資料採取うんぬんというようなところまで、その資格要件に加えられると、では誰が教えるとかという問題が出てくるというのが実態です。
 資料採取のところまで調査者に求めるのであれば、船舶に特価した講習を設けなければいけないし、またそういう講習をする機関を探さなければいけないというようになるかと思います。ただ、需要が少ないですから、例えば日造工でやれと言われてもとても重荷でできない、費用も掛かるという問題がございます。
○豊澤座長 一応、事前調査は必要で、ある程度知識を持った人が必要で、かつ船についてよく知っている人でないと駄目でしょうという話ですね。先ほど言った事前調査者に求められている試料の採取とか細かいその辺までは必要ないでしょうと。
○野口(雅)委員 それは専門業者に任せればいいかなと。
○豊澤座長 専門業者にやってもらう。
○野口(雅)委員 だから調査者の資格要件としては、試料採取のところまで求められると、ちょっとしんどいかなと。
○豊澤座長 ある程度、船舶に特化した調査者で、かつ、その教育も結構負担になるので、そこはどこかに補助とかをお願いしたいということですか。
○野口(雅)委員 陸上の業者も、ここにアスベストがありますと言えば、きっちりと分析はできると思うのです。陸上の人に、いちから船を見てもらってという話になってくると、船の構造もよく分かってないし、いろいろな装置や機器類、機械の名称も分からないと。居住区は陸と変わらないと思うのですけれど、ただ効率がすごく悪くなるかなと。
○豊澤座長 陸上の場合も、調査者と分析者は別の資格なので、そこはやはり分けているのですね。
○野口(雅)委員 調査者講習を見ていると、試料採取というようなのも入ってきているので。
○豊澤座長 試料採取に対する知識が必要なのでしたか。
○林委員 この資格制度は誰に対するものなのか、要するに、造船所で持つと定められているわけでもないですよね、提案ではないですよね。ですから、誰が取ってもこれはいいわけですよね、商売としてやりたいということであれば。いろいろなパターンがありますし、その前にどれぐらいの、先ほど申し上げましたけれども、需要というか、案件が今後出るのかどうか。もし非常に少ないと、升が少ないということであれば、前回も申し上げましたけれども、インベントリを作成している我々とか、ABSとかNKとかClassや、あと民間の企業がありますが、あと商者、船主もやっていますから、少なくてもリストアップすれば10以上のそういう認定機関が日本にはあるのではないかと思うのです。ですから今後の需要、それにカバーできるだけの資格を持った機関があるかどうかというところをしないと、どれぐらいの需要があるのか分からないのに資格制度を決めるのも、ちょっとあれかなという気がします。今後どんどん増えていくということであれば、それに対応するために、スムーズに仕事を処理するために、認定者を増やしていく必要がありますけれども、今後どれぐらいのものがあるか分からないところで、そういうものを具体的にどうするかはちょっと難しいところがあるのではないかと思います。
○化学物質対策課長補佐 今おっしゃった需要ということで言えば、平成18年以降にできた船は別として、それ以前の船であれば解体なり改修、それは定期的な修理も含めてですが、それをやるときは必ず調査ということが、そもそも今は義務になっているわけですけれども、そのときに必要な調査の人の資格だと思いますので、正に船の改修とかの件数が今後どうなるかということ次第なのかなということだと思います。
○林委員 ただ、それらは時間がたっていますから、先ほど言われたように、既にちゃんと管理されている船主においては、そういう手を打っている可能性もあるわけです。既に手を打ってノンアスに変えていることもあるでしょうし、500t未満であるけれども自社の管理、船員の管理をするために、独自にインベントリを作成する船会社もあるかもしれないわけです。500t以下の全てがインベントリを持っていないとは、ここでは断言できないわけです。
○小西委員 例えば船が500tぐらいの船と仮定したときに、その耐用年数はどれぐらいのものなのですか。船の寿命と言うのですか、その船を改修しながらいくのでしょうけれども、建物なども、それで大体、年数で何棟ぐらい出てくるかと試算しているわけですよね。
○関元委員 海外売船を何年かたつとするのですが、22、23年ぐらいが平均かな、早いのが14、15年で海外売船、遅くなると30年とかもありますけれども、大体、日本の内航船で言いますと20年ちょいぐらいで、もう海外売船に持っていくと。だから、どんどん減っていく方向にはあるはずです。多分もっと大きな船になると、もっと早く海外売船になるのではないかと。その辺は菅委員のほうが詳しいかもしれないです。
○小西委員 逆に、そういうことで言うと、そのときに作られた、例えば500t以上の内航船というのは、その船の建造数の統計データとかはないのですか。そういうのが何かあると少し予想が。今言われた平均寿命で計算すると大体どれぐらいの数が出てくる可能性があるとか、前回もそうでしたけれども、その数がはっきりしないので。
○関元委員 内航総連で、内航オーダだと130隻ぐらいですか。かつては、もっと造っていたのですが、今は毎年130ぐらいではないでしょうか。
○小西委員 建造数ですね。
○関元委員 建造数。
○小西委員 内航船の世界では2つの高齢化、船員さんの高齢化と船の高齢化、老齢船が問題になっています。数は知らないのですが、現状は、今は景気が悪いから老齢船がどんどん増えていく。だから20年以上の船も結構あるかとは思います。ちなみに、平成30年度の解撤をした船は70隻ありました。これは国土省に確認したのですが、30年には70隻の登録抹消という、解撤による登録抹消がされていると。大体、毎年そんなものでしょうということでした。
○関元委員 その70隻というのはどれぐらいの大きさの船ですか。
○小西委員 いろいろ、20t以上の中で70隻だったと。
○副主任中央労働衛生専門官 事前に国土交通省から、20t以上の船舶の中で、日本籍の船舶の数としては、2019年12月現在の数字で7,048隻という数を頂いております。20t以上の内航船というか、日本籍の船舶です。
○豊澤座長 ありがとうございました。時間が押してきているのですが、どうしましょうか、一旦ここで1つ目の論点について終わっていいですか。それとも、もうちょっと何かありますか。一旦進めますか、では2つ目の論点の簡易届出制度の対象について御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
○野口(雅)委員 石綿が使われているということで言えば、居住区、あるいは船員さんが業務をするような業務区画の断熱材ですよね。これは古い船であれば、石綿が使われている可能性はある。あとは配管関係で防熱材、そういったものも可能性としては否定できないということです。途中で整備などを行っていれば石綿ではなくて、石綿ではない防熱材に交換されているとは思いますが、思い浮ぶのは、その2つが特に石綿があるのではないかなと、特定できる場所ではないかなと思います。
○関元委員 簡易届出制度もそうなのですが、その後の事前調査の対象ということにも関係すると思うのですが、前回も言いましたが、船舶というのは2年から3年、2年半ぐらいでドック入りして、その度に国の検査を受ける。検査だけではなく、一般的にメンテナンスもやるわけです。この対象というのが、それも含むのか。一般的にその検査、あるいはメンテナンスというのは、あるものを壊すわけではない。もともとの省令を見ると、解体、破砕等に改修が含まれると書かれています。これは我々としては、解体しようと思ってやっているのではなく、分解してチェックをする。それをまた組み立てて使うというだけなので、あくまでもメンテナンス、維持管理の一環ということで、本来的にこれには該当しないのではないかなと私としては思っています。ですので、定期修理、しかも検査は2、3年おきにずっとやってきている中で、変えるものはどんどん変えていって、その中にはかつては使われていたものがあるかもしれない。でも、規制が平成18年9月にあって、それ以降も検査を何回か受けてきているということで、ほとんどがなくなっている。その中で、こういう規制は、我々にとってはちょっと過剰な規制ではないかなと、もちろん労働者保護は非常に重要だと思って、これはやらないといけないと思っているのですが、それに対応する規制として、ものすごい小さなものをやるために余りにも大きな規制を掛けすぎているのではないかなという印象が非常にあります。これは業界が本当に付いていけるかどうかというのは、ちょっと疑問に思っています。ですので、もうほとんどないようなものに対してすごく大きな網を掛けているのではないかなという気がします。ちょっとどうかなという気がします。
○豊澤座長 3)の事前調査の対象についても関わる議論だと思います。
○関元委員 それも含めてということです。
○豊澤座長 その辺も含めて。
○化学物質対策課長補佐 3)の議論に入ってしまって恐縮なのですが、建築物もそうなのですが、今、お話のあったいわゆる定期的な修理、要は壊す目的ではないものも含めて、現状で言うと規制の対象から外していないです。それが本当に合理的なのかどうかという議論が改めて、建築物のほうでも出ています。それが3)に書いていることなのですが、明らかに石綿がない、しかもそれを別に壊すわけではなくて取り外すだけというような作業についても、この規制の対象にするのが本当に妥当なのかという議論に、今、建築物のほうでもなっていますので、それと同じように船舶でも明らかに石綿が使われていないということがもう分かっていて、かつ今おっしゃったように、ばらすだけで、ものを別に壊すわけではない、何かを傷付けるわけではないという作業について、その規制の対象から外すかどうか、そういう議論をちゃんと整理しようということで、今回、論点として示させていただいます。
 1つだけ注意が必要かなと思っているのは、ばらしているから石綿はもうなくなっているはずだという、その「はずだ」のところをどうやって確認するのかということだと思っています。それで論点の中には、制度的に担保されているというような何らかの担保がないと、「はずだ」という議論だけで外すというのは、なかなか難しいのではないかということで、論点として挙げさせていただいたということです。
○関元委員 私もちょっと目に付いたのは、やはり制度的という所が目に付いて、その制度的と言われると検査は検査であるのですが、船は検査でやるだけではなく、もちろん船主さんが自分の財産を保護するために、それ以外の所もメンテナンスをやるわけです。それは通常、同じような恰好で。それが制度的ではないと言われると、ちょっと辛いなというところは確かにあります。でも、しっかりとやっているのです、そこは。大体同じようなことをやってきていると思います。
○野口(雅)委員 少なくとも平成18年から14年経っていて、その間に定期整備を数回やっています。国の検査官がチェックして、規制にも石綿を使っては駄目と書いてありますし、やはり定期整備に入って合格した船というのは、国土交通省による検査官が見ていると考えれば、これは1つの担保ではないかなという感じはしているのです。平成18年のものは、製造禁止ではなくて販売も全て禁止になったのですよね。ですから問題としては、例えば在庫がまだ残っていて、それを使っている可能性があるということですね。
○化学物質対策課長補佐 そうですね。在庫などだけではなく、例えば工作物などであるのですが、配管の周りに付いていて、必ずしも検査のときに絶対交換しなければならないということになっていないものについては、ものとして残ってしまっている可能性が工作物などではあるのですが。
○野口(雅)委員 ありますね。
○化学物質対策課長補佐 そこが船ではどうなのかということが。
○野口(雅)委員 当然、エンジンの配管の防熱材などは劣化が激しいので、そういう所は変えているはずなのですよ。ただ、余り劣化がしていないようなところは、おっしゃるとおり、それはあるかもしれません。
○林委員 まず、範囲についてですが、船の大きさにもよりますが、範囲となると非常に抽象的というか漠然としていますので、もしこういうものをつくるとすれば、具体的にやはり名称ですね。今、言われたように主機排気管や燃料の管の断熱材やPタイルなど具体的な名称のほうが、より具体性があって私はいいと思います。範囲となると、居住区、機関室など、そういう形になります。非常に大きな船になると、莫大な項目が出てきますから、そのための専門家がここにいますので、前に作ったこれも参考にしてもらって、より具体的な名称、装置を挙げるのが私はいいのではないかという気がします。
 それから、定期修理、この定期修理という言葉に非常に違和感を私は感じるのですが、我々は船舶の修理をずっとやっていますが、定期修理でなくても、やはり一般的な修理、船舶の修理という表現のほうが、何も定期修理のときだけやるということではなくて、普通の一般修繕やアブロートの修理などに比べると、もちろん定期修理はアイテムが非常に多いです。そういうことで、ものを外すだとか、壊すだとか、足場を掛けるという要素は多いのですが、やはり修理全般にそういうアスベストがあるとすれば、触れるということは必ずではないですが要素としては発生するわけです。ですから、定期修理という定期にはこだわらないで、やはり船舶の修理としておいたほうが私はいいのではないかという気がします。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかにありませんか。
○小西委員 今の件で、ちょっと質問なのですが、定期修理ではなくて修理全般というお話でしたが、恐らくこの定期修理と書いてあるのは、その後に検査か何かおやりになる。定期的に船の状態の検査をするということだと、定期検査に伴う何らかの修理がある場合があるということなのですか。それとも定期検査の場合には、例えばブレーキライニングなどでは何年経ったら交換しなくてはいけないという決まりのある部品もあるのかどうかということだと思います、アスベストが入っているもので。
○林委員 ありますね。
○小西委員 ですから、そういうものをちょっと区別していったほうがいいのではないのかなと、定期的にも何年経ったら必ず替えますと。そうすると、それが何年に替えた、それにはアスベストが入っていない、ノンアスとか何かに替えていますよということであればはっきりするわけです。必ず法定で替えなければいけない部品などがあるのだったら、それはそれで避けていったほうがいいのかなと。今のお話を聞いていると、外壁の塗り剤に関しての補修と、いわゆる解体に伴う除去の違いがよく似ているのです。要するに傷んだ所を直していくというのが補修で、解体に伴って全部取るというのとはちょっと意味が違うのです。後は多分、船舶というのは、保温材が一番多いのではないかと思いますが、その保温材などでも例えば傷んでいたら替えないといけない。保温材は脱落していると替えなくてはいけないのでしょうが、例えばそういう保温材だったらどれぐらいの頻度で一般的に替えることがあるのか、そういう情報が、きちんと部品ごとに区別されるといいと思います。先ほど資料に、部位等を抜粋したものがありますので、そういうものについて、少し紐解いていただくと、これは定期検査のときは必ず替えますという形で、少し仕分けしていってもらうともう少し分かりやすいかなという気がします。
○関元委員 法律や規則などというのは、そんなに細かいところまでは一般的には書いていないので、安衛法上、ここのライニングを何年で替えなさいとか、それは基本的にはないと思います。ただし、メーカーが推奨している。
○小西委員 推奨している。
○関元委員 メーカー推奨というのはあります。全てが全てあるかどうかは分かりませんが、メーカー推奨はあるはずです。
 もう1つ申し上げたいのは、船の検査などをやって取り替えているにもかかわらず、また次の検査を2年後に受けて、また同じような厳しいチェックを受けないといけない、これは不合理ではないかと、それを申し上げているのです。1回受けたら、それで本質的にはいいはずで、確認されたらいいはずなのにもかかわらず、何度も同じようにそれをやる必要があるのかというと、それは非常に不合理ではないかと。
○小西委員 それは多分、先ほどこちらに出ているもので、そういうものがきちんと特定できれば対象から外してもいいのではないかと、私はそう思っていたのですが。必ずそういうことで、きちんと決められるのであれば。
○関元委員 そうなのですよ。もともと、そういうことであれば、そういう取扱いを船主さんなり造船所はしてきたはずなのですが、今、この時点でそう言われると、それは余計な負担になってきて、またやらないといけないのかということになって、ちょっと不合理かなと。同じように検査を2、3年の度にやってきている。ですから申し上げたいのは、この定期修理と一般的な解体のものとは、ちょっとフェーズを区別して議論してもらわないと、同じようには議論できないのかなと、解体のほうは基本的にそれほど変わらないのではないかなという気がするのです。毎回、やっていかないといけないというのは、全く同じようにやられるというのは不合理だと我々は考えます。
○小西委員 そうすると、解体とそれから修理と、今の定期的なものの3つぐらいに分かれるのですか。
○関元委員 修理というか、大改修、それは解体に準じるようなものです。そうじゃなくて普通に。
○小西委員 部分修理みたいなものもあるのですか。
○関元委員 あります。それもありますが、そんなに頻度は多くない。2、3年おきに毎回同じようなことをやって、毎回そんなことをやらないといけないというのは、ちょっと不合理ではないかということと、今までそういうことであればやってきたのだけれども、今時点で全部に掛かると言われたら、遡って今までやってきたことが全部パーになってしまうというのはちょっと不合理ではないかなと。
○菅委員 よろしいですか。どのような作業に規制を掛けようとしているのか。人体に悪影響を及ぼすという観点からいきますと、多分、解体したりするときに出る粉じんなどですね、囲い込みして水を掛けてということをやるのですから。それが発生しなければ特にそこまで規制を掛ける必要はないのではないかなと思います。今、配管の話が出てきていますが、例えば年次検査なり定期検査なりで、海水ポンプを替えましょうというか全部オーバーホールしましょう、能力を確認して、また装備しましょうなど、いろいろな装置が出てきますが、とにかく船の機械というのは大体、電線とパイプでつながっているものばかりです。ポンプを外すときといったら、必ずガスケットにパッキンが入っています。パッキンの中に、こういう丸い板状のフランジをつなぐ所ですが、そこにもアスベストが入っているものもあります。ただ、それはパッキンを外したから、アスベストが飛ぶかといったら全くそんなことはなくて、外せば当然ゴミ袋に入れて捨ててしまいます。1度つぶれてるものですから新しいものに取り替えます。ですから、それほど粉じんが出るというような環境的に悪影響を及ぼすような状況にはならないので、ここで言うのであれば解体や改造などの粉じんが飛ぶような作業についての規制だということに、作業の範囲をまずは絞り込みをしていただいたほうがいいのかなと思います。
○豊澤座長 今の御意見は、3)の事前調査の対象についての2行目にある切断。
○菅委員 2番の届出の特定対象の作業範囲。
○豊澤座長 3)の議論にも入ってしまっているのですが、3)の中の切断等・除去・取り外し時に建築物を損傷させるおそれのない作業は、解体・改修作業には当たらないものとして、対象にはしないという議論が、今、建築物のほうでもあるのですが、それと同じことを船の中でも。
○菅委員 そうですね、こちらにも関わっていますよね。
○豊澤座長 船でも入れてはどうでしょうかという論点があるので、これに賛成していただいているということですかね。
○副主任中央労働衛生専門官 建築物で行われている議論というのは、要は石綿が使用されていないことが明らかなものであって、例えばパッキンであれば除去・取り外し時にその対象となる建築物というか部位を損傷させるおそれのない作業ということになる可能性はありますが、そもそもパッキンには石綿が使用されていないことが明らかなでないと、そこから外すという話には多分ならないと思います。建築物についても、何かしらの建材、材料を取り外すときに、その建材、材料に石綿が含まれていないことが明らかなもの、例えば、木でできているもの、金属でできているもの、これを周りを損傷させることなく外すものについては対象外にしてはどうかという議論をしているところです。ですので、今、おっしゃられたパッキンは使われている可能性がある部位でもあるので、イコールとして、議論ができないと感じています。
○菅委員 それは、石綿の存在の有無ですよね。石綿の存在があったとしても、固められたものであったら、どう扱えばよろしいですか。
○副主任中央労働衛生専門官 ただ一方で、なぜその建築物でそういう議論がされているかというと、そのものの運搬や保管、取った後の保管の際にやはり適切に保管等がされないと飛散するおそれがあるから、先のことも考えて調査が必要ですという議論がされています。ですので、必ずしも取り外すときに飛散ということだけではなくて、その先の運搬や保管というところで、飛散のおそれがあるので調査の対象にしましょうという議論はされています。ですので、建築物の議論について今、御議論いただいているところなので、建築物での議論の御紹介をさせていただきました。
○菅委員 ですから、作業と保管と運搬、これもある程度分けた考え方をしないと、いろいろな弊害と言ったらあれなのですが、無駄が多くなるのではないかなという気がするのですが。
○小西委員 ただ、事前調査というのは、もともと先ほどのインベントリを作るのと同じで、船の中のどこに石綿が含有しているものが存在するかということを調べるのが、事前調査なのです。今、おっしゃったような形で、それを取り外すときに発じんしないようなやり方をするというのは、今度は作業の問題です。
○菅委員 はい。
○小西委員 ですから、今の事前調査の議論というのは、石綿が船のどこに存在しているのかしていないのか、まずそこを調べるということです。もし存在していたときに、それを除去したり交換したりするときに、今度はこうすれば発じんしませんよという作業を、どういう作業が適切なのかという議論になるのだと思います。ですから、まず今、議論しているのは、船の中に石綿があるかないかをどうやって調査をするのか、誰が調査をするのかということを、今、議論していると捉えたほうがいいのではないかと思いますが。
 ですから、1回調査をしてきちんと調べて、インベントリではないけれども、過去に1回きちんと調査をして使われていないことが証明できていれば、毎回しなくても、それがきちんと証明されていればそれでいいのではないかという議論ですよね。何回も出さなくても、証明されていれば、次のときは事前調査は要らないものとして扱っていけばということだろうと思いますが。
○関元委員 それが今までも、そういうつもりで交換はしてきているのだけれども、それを今断面で急にやれと言われると、なかなか厳しいというところがあります
○副主任中央労働衛生専門官 今回、こういった形で一旦整理をするという背景としては、建築物の検討会の中で事前調査については、例えば資格者による調査をしなければならない、事前調査結果について一定の年数保存をしなければならないという議論がされているので、今おっしゃられた、もうそもそもないでしょうというものについて、そもそもないということを確認するだけでよかったようなものまで、いわば事前調査者の資格が必要であったり、保存が必要だったりというような規制が強化されるということで改めて事前調査の対象外と整理できるものがあるのであれば、しましょうということなので、今更というところではなくて、ここは改めて調査の内容と規制の内容が少し上乗せされるので、改めて整理しましょうということなのです。これまでないことが分かっていて、ないよねという確認をしていたものを否定しているものではないので、そこは御理解を頂ければと思います。
○関元委員 ないということを何がしかの恰好で、今断面で証明する必要がありますという、そういう議論ですね。それが多分、先ほども申し上げたように、解体や何とかであれば、それはそんなに難しいことではなく、一生のうちで1回なのですが、検査、点検、整備のときだと、船が入ってきて1週間で出ていかないといけないというタイミングの中で、理由になるかは分かりませんが、しかも今まで全部そういものは取り替えてきましたと、それは証拠はないと言うかもしれませんが、船主さんにとってみれば自分でもやってきたのだから替わっていますと言えるようなものでも、何か客観的な証拠がないと駄目だと言われると非常に辛いなと。
○副主任中央労働衛生専門官 2つ論点があるのかなと思いますが、1つはそもそも法令で定めている定期検査のための定期修理や修繕が、場所や部位が限定的で、かつ制度上石綿が使われているものは全部取り替えているので、全体として事前調査の対象から外したらどうかという議論と、個別の船で見たときに、定期検査に向けた整備や修理の中で取り替えていますということが、船ごとで明確になっているものを毎回届け出ないといけないなど、そういったところの議論の2つあるのかなと思っています。
 やはり3)の事前調査の対象から外すという整理をするというのは、制度上全体を抜くというような部分でもあるので、そこの部分について制度上担保されるものがあるのかというところを御議論いただきたいと考えます。一方で、その事前調査の結果を届け出るということを毎回届け出なくてはいけないのかということは、船ごとの話かなとも思うので、その辺り別の形で御意見を頂ければと思います。
○小西委員 船で使われているアスベスト含有製品が、以前は使われていただろうと思うような製品の例えばメーカーなどは、ある程度限定されるのでしょうか。船によって使われているものは。
○林委員 1つは鉄板ではないですが、ミルシートではないですが、サッシ系統はノンアスであるという書類をちゃんと取ってあると、それを提出することは可能なのですが、なかなかね。
○小西委員 そうすると1つの方法としては、メーカーに入っているか入っていないか、入っていないなら入ってないという証明をメーカーから出してもらう。これは建材でも同じことができるわけですが、分かっているものについては、それも1つの方法かなと思います。
○林委員 今、スタートラインに立っているから、おっしゃるように、担保するというか証明するものが必要だというのは分かるのですが、インベントリがあればもちろん問題ないのでしょうし、きちんとした製品であれば、いつのドックのときにノンアスの布団に替えたとか、パッキンに替えたなど、そういうものが管理されているケースもあるかもしれないですね。一般的には、少ないような気がしますが、それがあれば、それを見せれば、それで済むことでしょうから。
○小西委員 部品を交換した船そのものについての補修の記録は、ずっと残るものなのですか、船の中で、どこかに記録されているのですか。
○関元委員 船主さんにもよります。基本的には取ってあると思います。大きなところは。
○小西委員 ある程度そういう記録で、使われている可能性のあるところの施工記録など、それが残っているとまた大分違うのでしょうね。
○林委員 それはお金につながりますから、ワークリスト、落成書の形でバウチャーと一緒に必ず残します。ただ、何年後に廃棄をするかというのは会社によって違いますが、一般的には船、それから会社の両方には保管されているはずです。
○副主任中央労働衛生専門官 3)の事前調査の対象というところは、入り口のところなので、そこの対象外にするというのは、先ほどから申し上げているように、制度で担保しているというところがないと、入り口から除外するという整理は難しいと考えています。
 一方で、届出対象の作業の範囲については、建築物は屋根から壁、内装、ありとあらゆるところに使われている可能性があるので、使用部位を特定するのは難しいので、建築物は全てに使われていることを前提に、あくまでも規模で切って届出対象にしているのですが、前回のワーキンググループの中でマニュアル等を引っ張られて、使用部位が特定されているのではないかというお話がありました。そうであれば、船舶と建築物はそこの部分については違うのではないかということで、使用されているという可能性が高い部位を特定されているのであれば、その部位というか構造だけを届出対象にしてはどうかということで、できれば御議論をしていただければと思っています。参考資料の中で、前回御意見がありましたマニュアルで整理されているとおっしゃっていた「主なアスベスト使用部位」ということで、こういうものが可能性のある部位ということで整理をされてるのかなというところで、参考資料として御用意させていただいています。この届出対象の、可能性の高い部位に係る作業を対象とすることに関しての御議論もいただければと思います。
○関元委員 そもそもの入口論は駄目だよということでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官駄目だと言っていることではないです。
○関元委員 何度も同じことになるのですが、建築と我々の今、船舶安全法に基づいた検査が定期的にあるというのは、かなり大きな違いがあると思っています。それを全く同じような議論でやられると負担がちょっと大きすぎるのではないかということなのですが、そこをちょっと御理解いただければと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 そこで終わってしまうと、届出の対象のところの議論になかなか進まないと思ったので、今、こちらのほうもできれば御意見をということで、3)について全面的にもうあり得ませんと申し上げているわけではないのですが。
○豊澤座長 2)の簡易届出制度の対象について、(届出対象とする作業の範囲)ということで2つ論点が示されていますが、これについての御意見を伺いたいということだと思いますが。
○化学物質対策課長補佐 すみません、1つ事務局から補足です。参考資料5に、過去に調べたもので石綿が使われている可能性が高い部位が整理されていて、推定使用期間が右側に整理されているのですが、ものによってはかなり昔に使用が終わっているものなども、この表からするとあると思います。こういったもので、既に例えばものによっては、大体これは定期的に交換することになっていて、推定使用期間が終わった後に今現在も残っている可能性はないものが、これで特定されていけば、届出を要するものの対象はもっと絞り込まれていくのではないかと思いますので、そこの精査もしたほうがいいのではないかということを、補足として申し上げさせていただきます。
○化学物質対策課長 よろしいですか。例えば、届出の対象は石綿が含有している部材を使っている可能性がある所ということになりますので、機械室と居住区域。居住区域では、ある程度まだ残っているということだったら、居住区域だけを対象として、機械室はほとんど定修などで取っぱらっているということだったら、対象としないというような考え方もできるのかどうか。あくまでも、届出のほうは網羅的というわけではなくて、可能性が高い所の把握ということになるので、この何とか機器などいろいろ書いてある、これらも全部まとめて機械室系はもうなくて、あるのは客室、乗務員室、そこだけということだったら、もうそこだけの届出対象ということもあり得るのかなと思っているのですが、その辺はいかがでしょうか。
○林委員 そういうことを言われると、今、言われた定期検査などは、しょっちゅう外したりしますので、あれも1種の排気管の防熱というのは消耗品でもあるし、熱でボロボロになったりしますから、当然、取り替えるケースのほうが多いわけです。そうなると当然、もうルール上、ノンアスでもって復旧するということが恐らく言えると思いますから、対象外から外してもよろしいかなと思います。
 ただ、居住区のシーリングやこういうPタイルやロンリウムの類ですか、そういうものはしょっちゅう取り替えるものでもないですから、可能性としては残っているかもしれません。ですから、そういう仕事の頻度から除外するとか、残すべきとかという絞り込みは可能だとは思います。
○関元委員 私も、今の御提案であれば、受入れ可能かなと思っています。
○小西委員 恐らく資料5でやっているのは、主として解体のときに注意しなければいけない場所なのですかね、解撤をしたりするときに、こういう所にアスベストが使われていた可能性があるという。
○林委員 こちらですか。
○小西委員 ええ。資料5の「参考資料2」ですが。表がありますよね、「製品別 主なアスベスト使用部位と推定使用期間」。例えばプロペラ軸系の所に書いてあるような内容の中で、「使用部位」と書いてありますよね。ここの所が、今言われた定期的なものだとか、そういうところで。
○林委員 ええ、それもできますね。
○小西委員 ここはもう触らないというように、外していけば大分違ってくるのではないかという気がするのですが。
○林委員 ですから、数は限定されますよね。ブレーキライニングだとか、先ほども菅委員が言われたような定期的に外さなければならないポンプやパイプだというのは、当然何回か外しているわけですから、ノンアスに変えているのが一般的ですよね。
○小西委員 ですから、そういう形で1回交通整理をして、解撤する前に全部取ってしまわなければいけないものが最大ですよね。それとは分けて、届出の対象にしたほうがいいような気がするのです。
○林委員 そうですね。そうなると、これの見直しという作業も出るかもしれないですね。
○小西委員 1回、その現状にあったもので見直さなければいけないのかもしれませんが。
○化学物質対策課長補佐 今、正に議論している、参考資料5の中で抜いていけるものがあるのかなのか、今、ここで議論しても結論が出ないと思うので。次回までに整理できるものがあれば、ある程度は次回までに整理をしてという感じでいかがでしょうか。
○豊澤座長 500t未満のものでも、回収すればなくなっていくものなのですか。ほとんどない状況になっていっているのですか。
○林委員 日本だと市場に出ていませんから、多少はあるかもしれませんが、一般的にルール改正で、業者もメーカーも作っていませんので、そういうものは調達は徐々にできなくなってきています。恐らく、ないと考えてもいいのではないですか。
○豊澤座長 ないという形で証明できれば、それは抜いていける可能性があると思います。
○林委員 ただ、輸入品だとか、どこかの倉庫に余りがあったとか、そういうものを使っているというのもゼロではないと思いますから、100%ないとは言い切れませんが、恐らく99%ないでしょう。
○小西委員 建材なども経過期間があるのですよね。ぴちっと切れているわけではなくて。
○林委員 ストックがありますし、処分していなかったりするケースもあるでしょうから。
○野口(雅)委員 規則で、もう、いつ以降というのがありますから。
○化学物質対策課長補佐 それは多分、違法ということになってしまうので、それはないです。
○関元委員 その話とは別に、2018年9月以降に建造された船は、これは使っていないと、はっきりルール上、そうなっています。国のチェックも受けているわけなので。
○小西委員 今、私が言ったのは、ブレーキの辺りとか、クラッチが、推定使用期間が1995年までだと書いていますが、その後、今言った2008年9月までの間に、残っていたのが使われている期間はあるかもしれないと。
○豊澤座長 そういう意味ですね。
○野口(隆)委員 基幹労連の野口です。今議論されていたように、やはり現実的なという意味でも、対象を絞っていくというのは必要かなと思うのですが、論点の2)の中の(届出対象とする作業の範囲)の2つ目のポツに、「可能性の高い部位に係る」とあるのですが、今話されていた中で、99%は使われていないという話もありましたが、可能性があるものについて、ほぼゼロに近いけれども可能性があるというものについても、しっかりと考えていかなければいけないものなのですか。どこまで縛ると言うか、法の範囲で100%になっているのであろうということでいいのか。
○化学物質対策課長補佐 先ほど高村からも申し上げたのですが、届出については可能性があるかもしれないという所を入れるのではなくて、可能性が高いものに絞ろうという議論だと思います。逆に、先ほど議論に出ていたように、そもそもの規制対象から外しましょうというのは、そもそも調べなくていいということになるので、そこは可能性が残っているものについては外せないのではないかという考え方になるのではないかと思います。
○野口(雅)委員 今の話だと、100%大丈夫だと言えない限りは、事前調査の対象になるというような理解ということですか。
○化学物質対策課長補佐 それは建築物なども同様の整理になっています。
○小西委員 可能性があるのだけれども、実際にサンプルを分析したら入っていないかもしれないわけですよね。もし、あるとして、これは石綿が入っているかもしれない。だけれども、過去のメーカーなどで証明できない場合には、サンプルを採って分析をして、入っていなければ入っていないでいいわけですからね。1%を超えて入っていなければ、入っていないと判断できるわけですから。事前調査の中にはそれが含まれているということですね。分からなければ、分析しましょうということですね。分かるものについては、別に分析までは必要ないわけです。
○野口(雅)委員 今回の定期整備で、可能性のある所は整備しませんと。こういった場合は事前調査が入るのです。同じ船でも、適正検査のときに可能性が1%でもある所を、ちょっと整備しますといったときは事前調査をする。そのようなことも可能なのですか。
○化学物質対策課長補佐 考え方としては、そういうのはあり得ると思います。
○野口(雅)委員 造船所で、整備を請け負って、ないのではないかと。仕様を見れば、その判断は付くのだと思うのです。どうでしょうか。仕様書を見て、今回の整備はアスベストは全く関係ないというような判断はできると思うのですが。
○関元委員 また同じ議論になるのですが、今まで変えてきたというのがあれば、それで何とかなると。
○野口(雅)委員 ただ、配管の防熱材を今回は少し取り換えようといった作業があった場合に、100%ないとは言い切れないようなケースは事前調査の対象にするという考え方でもよろしいのです。
○関元委員 多分、かつて使われた所があって、そこがあれに含まれていればという議論をするのであれば、ほとんど全てが対象になる。配管などに使っていますから。でも、現実には、それはほとんどない。でも、かつては使われていたので、可能性と言うか、何パーセント、絶対にという。
○野口(雅)委員 でも、かつて使われていたという。
○関元委員 かつて使われていた。でも、今はない。それを全部網に掛けるというのは、どうなのかなと。そこは制度上担保されていないと駄目だと言われると非常につらいなと。船の所有者は、ここを変えています、全部ないですと言えるのだけれども、それでも制度上担保されていないから、事前調査の対象ですと。かつては、あったかもしれませんが、今は全部変わっているというのも事前調査の対象と言われると、非常につらいと思います。何か、それを担保できるものがあったらいいなと思うのですが、制度的にと言われると、なかなか難しいです。
○副主任中央労働衛生専門官 船ごとの話になってしまうのですが、仮に、過去に整備して、修理して、取り換えましたという記録というのは、余り残っていないものなのでしょうか。
○関元委員 記録は多分あると思います。ですから、それがあれば事前調査が要らないというのであればよいのですが、それでも事前調査は要るとおっしゃるのですよね。
○副主任中央労働衛生専門官 建築物の事前調査というのはそういう書面の設計図書だったり、改修記録が追加された設計図書を確認して、その設計図書どおりかどうかを現地で目視で確認するというのが、事前調査なのです。
 必ずしも、分析をやるところまでを事前調査としているわけではなくて、もう既に、例えば平成20年にこの部分は全部取り換えたという記録が残っていて、それを現地で確認できるのであれば、それはもう「ない」という判断ができると、そういう事前調査もあり得ると考えております。そうであれば、おっしゃるように、記録が残っていて、かつそれを現地で確認して、法令上求めている事前調査というのは担保されるのではないかと思います。
 我々がお願いしたいと考えているのは、書面調査及び現地での目視というところで判断できる根拠がはっきりあるのであれば、それは事前調査になりうるのではないかと考えられるところです。
○関元委員 もちろん、おっしゃる意味は分かるのです。それ自体、造船所にとってみれば結構な負担になるということなのです。いろいろな造船所があって、小さな造船所、大きな造船所があって、ある造船所は年間400隻ぐらいをそういう検査をやっている実情があります。全部それをやれるかというと、それをやろうとすると、ものすごく負担になります。もちろん、本当にそれが危ないものであればやらないといけないと思うのです。先ほどおっしゃったように、99%はないけれども、そういうように一つ一つチェックしていかないといけないのならば、それを400隻をやるとしたら、かなりの負担になる。
○副主任中央労働衛生専門官 1つは、定期修理の度に、それを全部やらなければいけないのかというのはあると思うのですが。
○関元委員 それは先ほどおっしゃったように、1回やれば、その範囲はもういいよというような御墨付を頂けるのであれば、それはそれで1つの考え方なのですが。それにしても、1回目はそういうことをやっていかないといけないというのは、それはそれで、初年度は結構な負担になるかなと。
○副主任中央労働衛生専門官 ただ、実際に作業をされる方が、本当に石綿とは関係ない次元で作業ができるかどうかというのは、やはり確認が必要ではないかということもあり、事前調査の義務付けもしていますし、その制度の見直しのための議論をしているので、ほぼないと言ってもないことに全く何も担保はない中で、何の措置も講じず修理や整備をしていいという制度ではないのだと思います。
○関元委員 分かりますが、建築のほうは全く似たようなものはないのでしょうか。定期的に保守・点検・整備をしないといけないような。
○副主任中央労働衛生専門官 可能性としてはあると思います。ですので、同じような議論というのはあり得ると思います。ただ、それもここで論点で挙げているような、制度的に担保されるようなというところですが、要は、制度上必ずその部分は取り換えているということが担保されなければ入口から抜くという議論にはならないのだろうと考えています。
○関元委員 例えばどのようなものがあるのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 もし建築物であるとすれば、エスカレータなどの定期検査などの法定検査において、必ず部品を取り替えなければいけない規定がある等。
○化学物質対策課長補佐 建築物というよりも工作物などで、例えばプラントを2年おきに、ばらして修理するということをやっている所もありますので、そういうところの議論のときに出るのだと思います。
○関元委員 今おっしゃったエスカレータとかエレベータもそうですか。
○副主任中央労働衛生専門官 ちょっとそこは制度を調べないと分からないですけれども。
○関元委員 そこは、建築物のほうでは、まだペンディングになっているということですか。
○副主任中央労働衛生専門官 今日の検討会でそういう議論があって、どうしましょうかというところの御意見等はございます。
○化学物質対策課長補佐 どうしても議論がぐるぐる回ってしまうのは、船舶の。
○関元委員 先ほど申し上げたように、解体のほうはすっきりと入ってくるのですが、制度的にやらなければいけないところについて、同じように「建築が」と言われると、うーんと。申し訳ないですが。
○化学物質対策課長補佐 今、船にどれぐらいアスベストが残っているのかという実態も、データとして余りないので、現場で持たれている感覚と、我々が議論するための材料となるデータがないというところが、議論がうまくかみ合わない1つの要因かなとは思いますが。
規制から外すという観点であれば、ある程度根拠となるものがないと、そこは難しいところがあるというのは、御理解いただければと思います。
○オブザーバー(国土交通省海事局) オブザーバーですが、今、議論がうまくかみ合っていないというお話があったのは、私も聞いていて、そうだなと思います。特に、かみ合っていないと思うのが、この石綿の解体・改修等という、石綿則の対象にそもそもなるのかならないのかという話と、今回入れようとしている簡易届出制度の対象になるのかならないのかという話と、事前調査の対象となるのかならないのかの話、この3つがどのような関係にあるのかが分かっていないまま、話をしている部分があるのかなと思います。もしかしたら、私だけが理解していないのかもしれないのですが。
 あと、皆さんが不安を持たれているところが1つあるとすると、船の知識を持っている方が、送られてきた仕様書と実際に入ってきた船の現状を見比べる、それは船の知識をよくお持ちだからこそできる作業なのですが、それが石綿の事前調査なのだという話をされるのですが、そうすると、今度はふだんは船の専門家がやっている事前調査というか、仕様書と設計図と現状が一致しているかという、作業を始める前に当然やる確認行為が、石綿の講習を受けた人でないとやれなくなるというのは、恐らくインパクトの大きな話だと思うのです。
 そこも、基本的には船の知識を持っていれば、引き続き今の仕事はできるのか、あるいはこのルールが入った後は、石綿のトレーニングなり講習を受けた者でないとやれなくなってしまうのか、そこがふわふわと分からないのかなと思いました。
○豊澤座長 石綿の届出制度と簡易届出と事前調査と、もう1つ。
○オブザーバー(国土交通省海事局) そもそも石綿則の解体・改修等という行為に該当するのか、石綿則の対象なのかどうかという話と、3段階あるのかなと思います。
○化学物質対策課長補佐 そこは実は3段階ではなくて、2段階だと思っていただければいいと思うのです。要は、石綿則の対象にするかどうかと事前調査の対象にするかはイコールだと思っていただければいいと思いますので、そのこ整理と、あとは届出の整理と、2つの論点なのかなと思います。
○オブザーバー(国土交通省海事局) そうすると、結局、設計図と船の現状を確認するという行為を、それが事前調査だとするならば、かなり網が大きく掛かるという印象を持たれてしまうというのは致し方ないのかなと思います。
○化学物質対策課長補佐 今お話のあった、船の現状と仕様書を確認する行為というのも、例えば現場に行って、この建材がこれに当たるというようなこととか、この建材は仕様書にはこうあったけれども、石綿がある可能性があるのではないかとか、そういった石綿を含有するかどうかを調査するための基本的な知識を持っている人に調査をやらせようというのが、建築物のほうの発想ではあるので、船として、実態としてどういう方がやっているのかはよく分からないのですが、それをどうやって担保するのかという議論なのかなと思います。多分、建築物も、今は誰かしらがやっていると思うのです。それで、やり方が杜撰だとか、いい加減だという問題になって、やはりちゃんと資格を持った人にやらせなければいけないという議論になっているので、船も、現状で誰かがやっているからいいのではないかという議論ではないのだと思います。
○化学物質対策課長 特に建材の場合ですと、調査されている方の知識とか経験が不十分で、誤った判断をしていると。これが非常に大きな割合を占めているという御指摘もあって、やはりある程度の知見等がある方、つまり資格者でないと難しいのではないかという議論だったと思うのです。
 それで、船舶も同じような、建築物に相当するようなところがあり、機械室のような所がある。機械室というのは完全に特殊で、船舶だけの特性だと思いますが、その延長線上で、船舶についてどう取り扱ったらいいのかというところの議論も必要かなと感じております。
○関元委員 先ほどの石綿則と事前調査は、石綿則に掛かるかどうかと事前調査とは同じなのだということだったのですが、事前調査については、解体・破砕等の場合に事前調査が必要だとなっていまして、通達では、改修は大規模なもので、小規模なものは含ないというように言っているので、そうだとすると、何か抜いているような気がするのです。必ずしも、全部に掛かっていない、一部抜かれている。勝手な解釈ですみませんけれども、あれを読む限りは、一部抜いているのかなという気がしたのですが。
○化学物質対策課長補佐 正確にお話すると、石綿則は、必ずしも解体とか改修だけではなくて、一部の試験用の物の製造などもあるのですが、基本的には、石綿則上は「解体・破砕等」となっていて、「等」には改修が入るということになっているので、基本的には「解体・改修」になるのですが、その作業において生じる石綿ばく露をどう防ぐかというための規則なので、まずは調査から始まるのです、規制そのものが。石綿があるかどうかをまず調べましょうと、もしあったら、こういうことをしてくださいという規制になっているので、そういう意味で、調査から外れるということは、そもそもこの規則の規制から外れるということになるので、先ほど「イコール」と申し上げたのです。
 今お話のあった、小規模な作業というのが、正に建築物の検討会でも、小規模な作業とは何ぞやという議論になっています。逆に言うと、必ずしも大規模以外は対象になっていないということではなくて、今、小規模な作業の明確な基準は示していないのですが、例えば小さな穴を開けるとか、全く石綿を飛散させるようなリスクがないぐらいの非常に軽微な作業は対象から外すということなのではないかという議論になっているので、いわゆる補修などが全部規制から外れているということではないということは、現状として御理解いただければと思います。
○オブザーバー(国土交通省海事局) 恐らくここでも認識の齟齬があると思っていまして、恐らく業界の皆さんが懸念されているのは、船の作業は当然、船に対して何かアプローチをすることになりますので、全ての行為が基本的には対象なのだと。それで、あと基本的には全て対象なのだけれども、対象物であるとか対象行為によって、除外をするという考え方が、うまく伝わっていないのかなと。基本的には、全て対象ですと。その上で、対象物、対象行為を除きますという、その立て付けで、どのぐらいのものが残るのか、どのぐらいの作業、どのぐらいの行為、どのぐらいの対象物が残るのかというのもはっきり見えていないということのような気がします。
○化学物質対策課長補佐 基本的な考え方としては、現状、今、坪井さん(オブザーバー)がおっしゃったように、すごく幅広い議論が掛かっているのです。それを今回の検討会で、石綿の飛散を防止するという観点で、もっと合理的なものに絞り込めないかという議論をやりたいと思っていると御理解いただければと思うのです。なので、今ある規制の良し悪しというよりも、むしろ未来に向かって、本当に注意するべきところに、いかに合理的に絞り込んでいけるかということでの議論ができればなと思っているところです。
○オブザーバー(国土交通省海事局) そういったところで、業界の委員の皆様からは点検や整備というものは、ここの論点にもありましたように、仮に石綿があったとしても、当然それに対して飛散をさせるような行為ではないし、基本的には石綿があるものは、既に触らない状態になっているのではないかという2つのお考えが、対象物と対象行為が、基本的には既にほぼないし、今後もどんどん減っていくのではないかということが意見としてあったのではないかと思うのですが、それを、私はようやく国交省の立場として申し上げますが、国交省の規制をある程度ひも解いていくと、検査の際に、時間管理部品といった、10年で交換ですとか、5年で交換とか、100回何かをしたら交換とか、そういったことを規制している告示のようなものは、当然ありません。それは製品の特徴と言うか、製品の売りと言うか、そういうものですので。ただ、検査の際に、そういった時間管理された部品が、期限を超えて装着されているかどうかというのは検査をすることにはなっていますので、そういった製品、そういった期限が切られているような部品については、よほど長いライフサイクルのものでない限りは取り下ろされていて、石綿が含有されていないものに置き換わっているのではないかというのは、合理的に推定できると思います。
○小西委員 今のお話で時間管理されている部分というのがあります。その中で、例えばアスベスト含有の部品というのはどういうものがあるというのがきちんと分かってくると、全部の部品ではなくて石綿が入っている可能性がある部品で、時間管理されて、これは換えなければいけないのだというものがもっと明確に出てくると、それがもっとはっきりしてくるのではないかという気がするのですが、そういうものを資料として出していただけるといいのかなと思いますけれども。
○オブザーバー(国土交通省海事局) それは製品ごとということになると思うのですが、国交省として、そういうノウハウ、認識があるかは、検査に当たる部署に聞いてみますが、業界の皆さんからも、何か常識的なものがあれば、例えば参考資料5の中で、いろいろアイテムはたくさんありますが、ジャンルとしては、パッキン、保温材、断熱材、一部に吹き付け材というのがありますが、これは使用推定期間が1975年ということで、もう1987年なので、30年たっているものという意味で、先ほども船も30年、20年という船齢と比較して、どうなのだというのは、規制する側からすると、感覚としては持ち合わせていないので、業界の皆さんで、パッキン、床材、板材等といったもので、まだこれはある、もうこれはないのではないかという御意見を頂ければ、それを参考に、もう少し研究できるかもしれません。
○野口(雅)委員 国の検査官とも話をしたのですが、大体ないよねと。でも、100%かと言われると、ないとは言い切れないという回答なのです。だから、皆さんの船舶に関わっている人の感覚的には、もうさすがにないよねと。古い船でない限りは。ただ、では言い切れるかと言えば、そこまでは言えないという感覚で、だから根拠というものがないのです。あくまでも船の整備記録に書いてあれば、それでいいのだけれども、整備記録がないような船の場合は分からないと。
○小西委員 万が一ということがあるので、結局、調査をして、なければないということの証明ができるということなのですよね、基本的には。そこで、もうないということは後に全部続いていくわけです。ですから、心配な所はきちんと調査をして、ないならないということをきちんと証明しておくということが大事なのではないかなと。そうすると、1回終われば、あとはないということで続いていくわけです。
○野口(雅)委員 これから、最初の点検・整備に入るときに確認するということを最初にしなければいけないという。でも、それは業界にとっては負担なのですよね。
○小西委員 それで、ないことの証明の仕方としては、施工履歴だとか、改修履歴といったものも、図書として利用できるわけですよね。ないことを証明するために。あるいはメーカーが分かれば、メーカーにその年代の型番の部品が、もう石綿は入っていないという証明を出してもらうこともできるわけですから。まず1回は、そういうことをきちんとやって、後はもうないということでやっていくというのは、スタート時点では、どうしてもそこは通らざるを得ないことなのかなという気がします。
○野口(雅)委員 私が先ほど意見しましたが、個別の船ごとに、今回のこの船の整備に当たっては、石綿の可能性がないと。そういうときは事前調査から外していいのか。それは、仕事を請け負うときに分かると思うのです。一方で、今回は配管を少し整備するから、防熱材や保温材があれば、それは可能性としてはあると。そのときは事前調査をやるというようなこともできますかという話を質問したのですが。
○小西委員 ないことがはっきり分かっていれば、別に。その可能性がはっきりしないものをきちんと調べるということが大事なのだと思いますが。
○野口(雅)委員 ただ、それをするとなったときに、どこまでどうするのだとか、チェックをするのか。
○化学物質対策課長補佐 我々が規制から外すことに慎重になるのは、例えば、もうこれは恐らくないだろうから規制の対象にしませんといったもので、仮に、ある船で見付かりましたといったら、規制から外してしまうと、例えばそれが仮に吹き付けだったり、断熱材であったとしても、何もやらなくていいという規制になってしまうので、そういうわけにはいかないだろうと。
○野口(雅)委員 ただ、居室前の断熱材とか、吹き付け材、それは造船所だって、これはあるかもしれないということで慎重になるはずなのです。今議論しているのは、定期的検査のときにやる作業は、一般的に、もうないと、ほぼないというような感覚を持っています。そういうものにまで事前調査が義務付けられると、かなり負担になってくると。だから、居室前の断熱材は、造船所も、それはやらなければいけないと思っていますから問題はないのですが。
○化学物質対策課長補佐 そういうことなので、例えば参考資料5のリストなどを見ながら、これはもう対象から外せるのではないかというのを精査していけば、もう少し議論が前に進むのかなというように思うのですが。
○小西委員 是非、参考資料に出ている表の所の部品で、これは定期検査で基本的に、ここは一切見ませんとか、特別な場合は除いて。修理などで、ここは修理することはあるというような仕分けをしていただくと、もう少し議論しやすくなるのかなという気がするのですが。それと、解撤する場合とは、ちょっと分けなければいけないのだろうと思いますけれども。
○林委員 極端な例ですが、「届出対象とする船舶」という表現で、「2006年以前の建造船及び日本国以外で造った建造船」というような分かりやすい表現というのはないのですかね。それが、除外する対象としてはインベントリを持っている、それに代わるサーティフィケートを所有しているとか、そういう具体的な表現もあろうかと思うのですけれども。今は全ての船が対象になっていますが、条約上は、2006年以降、平成18年以降は、使ってはならないという法律ができているわけですから、それを正とするならば、そういう表現もできるわけです。この作業の範囲の前に、届出対象とする船舶という条項があってもいいかもしれません。
○豊澤座長 時間になってしまったのですが、論点3)について、皆さんは御意見を出されていると思いますが、何か付け加えたいというような御意見、全体を通してということでもよろしいので、いかがでしょうか。
○関元委員 論点3)の(事前調査の対象)の前段のほうで、我々は改修とか修理で出てきそうなのが、一番ありそうなのが、海難でどこかぶつけた、舳先をぶつけましたというのはよくある話です。これは、全くアスベストに関係ないような所で、外板を傷めましたと。そういうのは、もともとここからは外れているのかなと。そこは主張しておきたいと思います。
○野口(雅)委員 大型船で言う第二種中間検査、洋上でやるような航力試験とか、そのようなものは明らかに石綿とは関係ないだろうと言えると思うのです。そういったものは、事例の対象からは。
○関元委員 申し上げたのは、改修・修繕には違いないので、修繕でも全く関係ない所はあります。この間も議論があったように、ビルでガラスを取り換えるというのは関係ないという議論がありましたが、それと同じだと思います。
○豊澤座長 そのほかにございますか。一応、以上で本日議論いただく論点については一通り、たくさんの意見を頂きましたので、この議論の中で、いろいろな考え方が集約されてきたと思いますので、事務局は今日の議論を踏まえて、ワーキンググループとしての取りまとめの案を、次回のワーキンググループまでに準備をお願いしてよろしいですか。
○副主任中央労働衛生専門官 承知しました。
○豊澤座長 そのようにお願いいたします。その他、事務局から何かありましたらお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 次回のワーキンググループの日程ですが、3月3日(火)に予定しております。開催場所等の詳細については、改めて皆様方に事務局から御連絡させていただきます。
○豊澤座長 それでは、今日の議論は全て終わりました。事務局にお返しいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は長時間にわたりまして御審議いただき、ありがとうございました。本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公表という形にさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、以上で第2回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会船舶に関するワーキンググループを閉会いたします。本日はありがとうございました。