令和3年度第1回化学物質のリスク評価検討会(ばく露評価小検討会) 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年11月16日(火) 13:30~15:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12I
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング12階)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書について 【公開】
    (2)リスク評価対象物質のばく露評価について【非公開】
     (初期リスク評価)
      ジエチルケトン
      N・N-ジメチルホルムアミド
     (詳細リスク評価)
      タリウム及びその水溶性化合物
      ピリジン
      チオ尿素
      テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
     

議事

○福田有害性調査機関査察官 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、定刻になりましたので、令和3年度第1回ばく露評価小検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、有害性調査機関査察官の福田と申します。どうぞよろしくお願いします。
最初の議題につきましては公開となっておりますが、2つ目の議題「リスク評価対象物質のばく露評価について」は非公開扱いの資料を審議するため、その後の傍聴はできなくなりますので、オンラインの通信を遮断させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず本日の委員の出席状況についてですが、本日は6名の先生方全員に御出席いただいております。会場参加とオンライン参加の併用という形で開催させていただいておりまして、2名の先生がWebでの参加となっております。また、本日の会議の一般の傍聴者につきましてはWebでの参加としまして、音声配信のみとさせていただいております。
それから、留意事項となりますが、オンライン参加の委員の皆様方におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがございますので、御発言される場合を除きましてマイクをミュートに設定していただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、令和3年度第1回ばく露評価小検討会の開催に当たりまして、化学物質対策課長の木口から一言御挨拶申し上げます。
よろしくお願いいたします。
○木口化学物質対策課長 化学物質対策課長の木口でございます。
先生方には日頃から労働安全衛生行政の推進に御支援を頂きまして、大変ありがとうございます。年度が変わりまして、リスク評価を担当する評価室のメンバーも交代しました。前年度に引き続き、よろしくお願い申し上げます。
今年はリスク評価に係る検討会のスタートが例年より遅くなったのですけれども、昨年11月のこの検討会でも御説明いたしましたように厚生労働省において今後の化学物質管理のあり方に関する検討を行いまして、今年の7月19日に報告書を公表しております。
大きな流れとしては、職場における化学物質管理に関しまして、特化則や有機則などで個別具体的に規制していくという方法から、化学物質の危険性・有害性情報の確実な伝達、また伝達された情報に基づくリスクアセスメントを踏まえた健康障害防止措置を実施する自律的管理への転換が提言されたものでございます。これを受けて、特化則などへの規制物質の追加は行わないという方向性になっております。
化学物質のリスク評価に関しましては、多くの省庁がそれぞれの行政目的から化学物質管理に関与する中にあって、規制のよりどころとなる化学物質のリスク評価は各省庁ばらばらで行うのではなくて連携して行うべきとの指摘もありまして、引き続き関係省庁との連携を取りながら検討していくという方向性になっております。
現在、この報告書における提言内容を踏まえた制度見直しの作業を順次進めているところでございますけれども、新たな仕組みにおけるリスク評価のあり方につきましては先生方にも引き続き御支援等を頂きたいと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 ありがとうございました。
続きまして、本年度、事務局側に異動がございましたので、御紹介いたします。
8月1日付けで化学物質評価室長に佐藤が着任し、7月20日付けで室長補佐に吉見が着任しております。吉見は所用がございまして遅れて参ると思いますが、佐藤から一言御挨拶申し上げます。
よろしくお願いします。
○佐藤化学物質評価室長 ただいま御紹介いただきました佐藤と申します。8月1日付けで内田の後任として着任いたしました。リスク評価につきまして、委員の皆様、また、委託事業で実際に分析いただいた中災防の皆様方には大変お世話になっております。今後ともよろしくお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 先ほど出席のところで申し上げ忘れたのですが、本日、ばく露評価の関係で中災防の皆様方にも参加いただいております。
それでは、今年度も名古屋先生に座長をお願いすることといたしまして、名古屋座長に以降の議事進行をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
まず議題(1)「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告について」ですが、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 それでは、資料1の共有をお願いいたします。
約2年かけまして職場における化学物質の新しい規制のあり方というものが議論されておりまして、今年の7月に公表されております。
資料の5ページ目をお願いいたします。
左側に青い図で三角形のピラミッドがありますけれども、現行は個々の化学物質に対して規制がかかっております。上のほうから厳しい規制がかかっておりまして、上の8物質はつくっても使ってもいけないというものになります。
その下が自主管理が困難で有害性が高い物質ということで、特別な規則、特化則、有機則といった法令に基づきまして、個々の物質に対して、こういったことをしてください、こういった作業場を作ってください、こういった作業をしてくださいというような個別具体的な措置まで決めております。
その下に許容濃度またはばく露限界値が示されている危険有害な物質とあるのですけれども、一定の目安となる濃度、ばく露を受ける濃度が決まっている物質があります。
この上から2番目と3番目の物質に対しまして、右側にありますように、製品に必ずラベルを付けてください、名称から含めて必ず表示をしてくださいと。あとはSDS、安全データ情報シートというものがあるのですけれども、危険性・有害性の情報を漏れなく網羅した詳しい資料になります。それを製品を渡すときに添えて危険性・有害性の情報も伝達してくださいという義務がかかっております。そうした渡された情報に基づきまして、実際にその化学物質を扱う方が、どのようにその物質を扱ってどのような危険性を防げばいいのかというリスクアセスメントを実施する。そういった義務がかかっております。
左側のピラミッドの下のほうにGHS分類で危険性・有害性がある物質と書いてありますが、国際的な化学物質の分類の仕方がありまして、それを略してGHS分類と言っておりますけれども、それに基づきまして、何かしら危険性・有害性がある物質がかなりの数あります。
左側のほうに注意していただきたいのですが、赤字で「労働災害の8割はここで発生!」と書いてあります。上のほうの厳しい規制がかかっている物質が原因の労働災害もあるのですが、労働災害の8割が比較的緩い規制がかかっている化学物質が原因で起きているという現状がございます。今、化学物質の規制は個々の化学物質について一つ一つリスクを分析いたしまして、それに基づいて、こういった措置を講じてくださいというようなお示しの仕方をしているのですが、それではなかなか下の原因の8割の化学物質まで手が届かないというのが現状です。
そういったことを踏まえまして、1ページ目に戻っていただきたいのですが、2番目のところに参集者がありますけれども、「本検討会」と技術的な検討を行う「リスク評価ワーキンググループ」の2つに分かれまして、約2年間かけて検討を行っていただきました。今日の会議の座長を務めていただきます名古屋先生にもリスク評価ワーキンググループのメンバーとして御検討いただきました。
報告書につきましては今年の7月に公表されております。ホームページでどなたでも御覧いただくことができます。今日説明している資料はパワーポイント版ということで、図表を用いた資料になります。報告書本体は文章でもっと詳しくいろいろ書いてございます。
資料の2ページ目をお願いいたします。
(1)にあります「労働災害の発生状況」ということで、比較的緩い規制がかかっている化学物質が原因で8割の労働災害が起きているということを御説明いたしました。それはなぜかといいますと、2つ目の白丸にございますように、厳しい規制がかかった物質を使うのを避けてしまって、危険性・有害性がまだ十分に確認されておらず評価されていないため規制対象外になっている物質を使う傾向にあるということが推測として分かっております。
また、(2)にあるのですけれども、厳しい規制がかかる化学物質、特定化学物質障害予防規則等に基づいて規制を受けているのですけれども、作業場の環境を測定することが義務付けされております。その結果で上から1、2、3と管理区分が決められるのですけれども、一番良くない第3管理区分と評価された事業場が増加しているということも分かっております。
実際に化学物質を扱う場合にはリスクアセスメントの義務がかかっているのですが、その実施率が50%強ということで、半分近くはなされていない。人材がいない、方法が分からないということが原因となっております。
こういった現状もありますので、これらを何とかしようということも目的として検討会が進められておりました。
6ページ目をお願いいたします。
6ページ目が報告書で新しく化学物質のリスク管理のあり方を示した図になります。
今までは化学物質一個一個ごとにリスク評価を行いまして、措置をどうしましょうか、どのように対応したらいいでしょうかというのを決めていたのですけれども、これからは、有害性・危険性があるような物質について、その危険性・有害性の情報を伝達する仕組みを設けて、それに基づいて実際に扱う事業者の方がリスクアセスメントを実施し、措置を具体的に決める、そういった事業者自らに積極的に携わっていただく「自律的な管理」というものにシフトしていくような内容となっております。
真ん中に約2,900物質とあるのですけれども、国が国際的なルールのGHS分類で分類した物質が約2,900あります。これにつきまして、年度ごとに何物質と大ざっぱに目標を決めまして、化学物質の危険性・有害性の情報を伝達するのが重要ですので、ラベル表示とSDSの交付の義務付けを順次行っていきます。今は約700弱ぐらいの物質だけにこの義務がかかっているのですけれども、今後は2,900まで増やしていくことを目的としております。2,900のうち、環境だけに有害性・危険性がある物質、さらに既に義務化されている物質がありますので、それを差し引いた残りの1,800物質が当面国で義務化しようというターゲットとされている化学物質の数になります。
これらの化学物質につきましては、点線で橙色の線の中にあるのですけれども、こういった義務をかけていこうと報告書でまとめられております。繰り返しになりますけれども、まず製品にラベルを表示していただく。あと、その製品を譲渡したり提供する場合には、有害性・安全性の情報を網羅したSDSを必ず添える。そういった義務付けをします。その伝達された情報に基づきまして事業者自らがリスクアセスメントを実施し、措置を考えていただくということになります。一番下にありますように、皮膚への刺激性・腐食性・皮膚吸収による健康影響のおそれがないことが明らかな物質以外のものにつきましては、保護眼鏡、保護手袋といった保護具を必ず着用してくださいという義務を付けてはどうかという内容になっております。
ページを少し飛ばしまして、8ページ目を御覧ください。
事業所ごとにリスクアセスメントを実施していただくことを目的としているのですけれども、確かにリスクアセスメントが実施されているかどうかを労使双方からモニタリングする仕組みを設けてはどうかと報告書にまとめられております。
左側の中段ぐらいに「自律的な管理の実施状況」とありますけれども、リスクアセスメントを実施しているかどうか、その内容について記録し、労使双方がモニタリングしていくことで運用状況、実施状況を確認していくという内容になっております。
この事業所で化学物質が原因で労働災害が起きた場合、監督署が指示したときに外部の専門家の方々、左下にありますが、こういった資格を持っている方々を外部専門家として活用していただき、指導を受けていただく、そしてその指導結果を監督署に報告していただく、こういった仕組みを設けてはどうかという内容になっております。
9ページ目を御覧ください。
では実際に事業所内でどういった体制を作ればリスクアセスメントが進むのかといった内容になります。
真ん中より上のほうに、濃い橙色なのですけれども、「化学物質管理者」というものを必ず設けてくださいと。この方がリスクアセスメントをその事業所で行う責任者になります。こういった方を必ず設けてくださいと。
化学物質のばく露を低減するために保護具を付けましょうと決めた事業所におきましては、真ん中にあります「保護具着用管理責任者」、この方を必ず決めて置いてくださいということになっております。
この2種類の管理者を置くことで、リスクアセスメントの実施、保護具の着用が必ず行われるように体制を整えてくださいという内容になっております。
10ページ目を御覧ください。
これがSDSと呼ばれるものの内容になります。化学物質の危険性・有害性を詳しく書いた資料になります。この資料を製品と一緒に相手方に渡すことで危険性・有害性の情報がきちんと伝わるということになります。今でもSDSは当然義務化されているのですけれども、そこに記載する項目を増やすということが報告書に書いてございます。
まず一番最初、「名称」ですが、これは今のままです。
2番目の「成分及びその含有量」ですけれども、右側にありますように、今は10%刻みで内容物を書いていますが、それを重量%の記載にしてはどうかということになっております。
「物理的及び化学的性質」は今のままです。
次に「人体に及ぼす作用」につきましては、ここは最新の科学データがどんどん更新される場合がございますので、5年以内ごとに必ず情報を更新する必要があるかどうか確認してくださいという義務をかけてはどうかとなっています。内容を変更する場合には1年以内にこの部分を書き換えてSDSとして再交付してくださいという内容になっております。
次に「貯蔵又は取扱い上の注意」ですけれども、ここに保護具の種類の記載を義務化してはどうかと報告書では書いてあります。
次の「推奨用途と使用上の制限」ですけれども、これは全く新しく追加になる項目です。譲渡または提供する時点で、その化学物質についてどういった用途、どういった使用上の制限があるのかを書いてくださいといった新しい項目になります。
以下5つの項目につきましては今までと同じ記載になります。
このページの下のほうにあるのですけれども、SDSの交付方法は、紙、フロッピーとかファクスといったものだったのですけれども、今後は、相手に事前に了解を得なくても、例えば容器に2次元バーコードをつけて、それをクリックすればSDSの情報に飛んでいくような仕組みはどうかと。あとはホームページで商品販売促進コーナーなどにSDSを掲載してはどうかと。そういったことで情報伝達する方法がいいのではないかと報告書にまとめられております。
続きまして、11ページ目を御覧ください。
実際に化学物質を受け渡し・購入・販売する以外にも、例えば、真ん中に絵が描いてあるのですけれども、事業所内で購入した化学物質を小分けして保存する場合もあるかもしれません。実際に小分けしたものに表示が何もついていなくて、間違って飲んでしまって事故が起きたということもありますので、そういったことを防ぐために、小分けした場合には必ず表示してくださいということも義務付けてはどうかといった内容になっております。
12ページに移ってください。
今までは規制の強化といいますか、新しく義務化される話をしてきましたけれども、今度は逆に規制を若干緩める方向の話になります。
今は特別な規則に基づいて特定の化学物質を扱っている事業所では特別な健康診断を受けてくださいとなっております。原則6か月以内に1回となっております。自律的な管理という方向性がありますので、基準としていろいろなことが書いてありますけれども、そういったものをクリアした場合には健康診断の頻度をもっと緩めてもいいのではないかというような報告書の内容となっております。
13ページ目を御覧ください。
少し分かりづらいのですけれども、特別な化学物質を扱う場合、その作業場の環境を測定しなければいけないという義務があります。その結果を上から1、2、3と管理区分として分類しているのですけれども、第3管理区分になったところからなかなか上の2や1に上がれないところがあります。ずっと3のままの状態の事業所があるということなのですけれども、そういったことを防ぐためにといいますか、作業環境を改善していただくために外部の専門家の知見を活用してはどうかという内容になっております。
具体的には、点線で囲われている橙色の部分の左側のマル1のところになります。なかなか第3管理区分から抜け出せない、上のもっといい環境に移れないといった場合には、改善の可否について外部専門家の意見を聞いてはどうかということになっております。その結果どうしても改善が困難だといった場合には、マル4に「直ちに講ずべき措置」と書いてありますけれども、個人サンプラーなどによる測定及びその結果に応じた有効な呼吸用保護具の使用、フィットテストを実施してください、こういったことをすぐやってください、その結果についても最寄りの労基署に届出してください、こういったことを行うことによって直ちにばく露を低減するような措置をしてくださいといった内容となっております。
最期の14ページをお願いいたします。
これは、がんなどの遅発性の病気について把握する仕組みをつくってはどうかという内容になります。
がんは発病するまでにかなり時間がかかって、原因が何か分からないということがありますので、左側のほうにあるのですけれども、一人一人の人間のうち、同じような種類のがんを発症した場合、産業医の先生の判断もしくは外部の産業医の先生の判断に基づいて都道府県の労働局に報告をしていただく。そうするといろいろな情報が集まりますので、厚生労働省では、同じ化学物質を扱っている事業所でも同じようなことが起きているのではないかというのを調査することができます。それによって素早く対応を取ることができます。こういった仕組みを設けてはどうかということになります。
また、最後になりますけれども、今、30年以上の保存が義務付けられているデータが幾つかあります。ただし、労働者の方が転職したり会社が倒産するとデータが散逸してしまう可能性がありますので、例えば第三者機関、公的な機関でまとめてそれを保存してはどうか、それによってビッグデータとして活用することも可能ではないか、そういった仕組みも検討してくださいといった報告書の内容となっております。
簡単ですが、説明は以上となります。
○名古屋座長 ありがとうございます。
今の事務局からの報告について何か御質問、御意見等あれば、お願いいたします。どうでしょうか。
○圓藤委員 御説明ありがとうございました。
教えていただきたいのですけれども、有害性情報を国が提出するということになっていたと思うのですけれども、それは今後はSDSに載っているデータで十分であるという認識なのでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 すみません、国が提出する有害性情報というのは具体的に何でしょうか。
○圓藤委員 有害性評価書というのがあります。それは一応公開していますし、それは個々の物質について作っていますよね。それは今後もなさるのか、それとも今までのは終わって、以降はSDSのデータだけで十分ということでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 SDSの情報だけで十分ということはないのですけれども、個々の物質について、例えばこのばく露評価小検討会と、もう一つ、有害性評価小検討会というのがあるのですけれども、そういった会議の場を経てリスク評価書という形で新たにまとめることは来年度以降はしないということになります。
○圓藤委員 有害性評価書は今後も出てくるのですか。
○佐藤化学物質評価室長 特別な化学物質でどうしてもリスク評価が必要だということになれば、当然そういったものは必要になるかと思います。では今具体的にどういった物質があるのかというのは全然思いつかないのですけれども、将来のことは分からないので、そのときになってみないと分からないと思います。
○名古屋座長 現時点では、今のようなリスク評価をした形で有害性評価を出すというのは今年で終わって、次年度以降は、まだ決まってはいないけれども、今までの様な評価の仕方はしないのですかということを聞かれているのだと思います。
○木口化学物質対策課長 補足します。国によるGHS分類は平成18年以降毎年50~100物質ぐらいやっているのですけれども、GHS分類は引き続き実施し、その結果でモデルSDS、モデルラベルは公表してまいりますので、それを事業場でSDSなどを作るときに参考情報として利用していただく、これは続けてまいります。ただ、このリスク評価の委員会で作っていただくような詳細な有害性評価というプロセスは今後はなくなっていくという整理でございます。
○圓藤委員 SDSは非常にざっくりとしているので、そこで実際に化学物質の有害性を評価できるかというのがあるのです。例えば代謝もなければ何もないので、これだけでいいのかなという不安はあります。
もう一つは、規制のない物質から8割の労災が出ているとおっしゃいますけれども、規制があれば当然安全なレベルにみんな抑えているわけですよね。当たり前だと思うのですけれども。そのときに見ていただきたいのは、例えば、今は特化則にも有機則にも載っていないけれども一応評価されている物質と全然何もされていない物質の間で、業務上疾病がどのぐらい別々に出ているのかというのを一度見ていただきたいと思います。
○佐藤化学物質評価室長 御意見ありがとうございました。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
ほかに何か。
○内山委員 10ページで、新しい項目で「推奨用途と使用上の制限」を書くことになっているのですが、注として「譲渡又は提供する時点で想定しているものを記載」と書いてありますので、例えば製造者から製品を作る者、あるいは製品を作る者が2社、3社あった場合、同じ物質であってもSDSが何種類か出てきてしまうというおそれはないですか。
○佐藤化学物質評価室長 確かに今御意見いただいたような事態はあり得るかと思うのですが。
○内山委員 なぜ心配するかというと、最近、消費者が何か被害を受けたときにSDSを請求することが結構あるのです。特に私はシックハウスとか化学物質過敏症をやっていると、これが原因ではないかと思うと、その製品に使われているSDSを全部取り寄せて持ってくることがあるのですが、例えば推奨用途以外の用途に使われているのかなというようなことがあったときに、これは非常に重要な項目だと思うのです。それから、別のところから別のSDSが出てきたということで、これは混乱するのではないかという気がいたしました。
○名古屋座長 企業によって違う可能性がありますよね。確実に同じものが出てくるわけではないということですね。その心配ですよね。出てこないと分かりませんけれどね。
○内山委員 そうですね。
あと、推奨用途以外の用途というか、使用上の制限以上のことで何か製品化されていたときに、SDSに記載されている以上のことをやったから何か害を及ぼしたのではないですかと言われたときに結構大変だなという感じがいたしました。
○名古屋座長 今のところは、内山委員の意見を受け取って、この次にこの件を検討するときにそれを参考にして生かしていただけるという形でよろしいでしょうか。
どうなんでしょうか。今のところ、これ以上の文書はないですものね。報告書だから。
○木口化学物質対策課長 SDSの中で、使用上の注意事項とか、例えば保護具の種類を書きなさいとしておりまして、いろいろな用途で使われる可能性がある中で、どういった用途を想定してリスク評価をしてこのSDSを作ったかを明確にするという趣旨でもありますので、逆に言うと、この推奨用途を外れた使われ方をされる場合には、使うときにより慎重にリスクアセスメントをしていただきたいというシグナルにもなるということで今回記載項目として追加したという趣旨でございます。推奨用途に何を置くかによって、企業さんによって保護具の種類の記載が変わってくるということもあり得るかと考えております。
○名古屋座長 内山先生、それでよろしいですか。
○内山委員 実際に使用してみて、あるいは産業界等でブラッシュアップするとかリバイスするところがあれば御検討いただければと思います。
○名古屋座長 ありがとうございました。
あとはよろしいでしょうか。原委員どうぞ。
○原委員 報告書に書いてあるとおりなのかもしれませんけれども、8ページにあります労働基準監督署というのが、今は特化則関係だけではなくて、いろいろインベスティゲーターとして調査に入っておられると思いますけれども、今後は立入検査とか、そういう立場でいろいろと指導するということはなくなっていくのでしょうか。そういう考え方でよろしいのでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 そういったことがなくなるということはないです。今までどおり立入検査は実行されます。
○原委員 そうしますと、労働基準監督官に化学物質の専門家を置いたりするようなことをお考えになっておられるのでしょうか。それとも、外部のコンサルタントとかで間接的に指導するとか、そのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 ここで書いてあるのは、労働災害が起きて化学物質が原因だった場合に外部の専門家の先生方の知見を活用してはどうかという内容になっています。先生の質問は恐らく通常の監督署の指導の話だと思うのですが、その部分は今までどおり監督署で実施していただくという方向性は変わっておりません。
○原委員 ありがとうございます。
○名古屋座長 よろしいですか。
ほかにありませんでしょうか。
○圓藤委員 今のところで、外部専門家が衛生工学のコンサルタントだけになっているのですけれども、労災が発生した場合、化学物質の場合は保健のコンサルタントのアドバイスも必要だと思うのです。だから、ここは衛生工学と決めつけないほうがいいのではないかと思いました。
○木口化学物質対策課長 その部分については、「その他同等以上の知識・経験を有する者」という中でどのような方に関与していただくか整理しているところでございます。
○名古屋座長 ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
そうしましたら、先に進めたいと思います。
それでは、次の議題に入りたいと思います。「リスク評価対象物質のばく露評価について」ということで、本日は初期リスク評価2物質、詳細リスク評価4物質を予定しております。
まずジエチルケトンにつきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 それでは、ジエチルケトンにつきまして事務局から説明いたします。
ここでばく露評価に入りますので、ここからの議事は一般の傍聴の方は非公開となります。その点は御容赦いただきたいと思います。