第6回多様化する労働契約のルールに関する検討会(議事録)

日時

令和3年8月31日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省労働基準局第1会議室 中央合同庁舎第5号館16階
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者(五十音順)

  • (あん)(どう)(むね)(とも) 日本大学経済学部教授
  • (えび)(すの)(すみ)() 立正大学経済学部教授
  • (くわ)(むら)()()() 東北大学大学院法学研究科教授
  • (さか)(づめ)(ひろ)() 法政大学キャリアデザイン学部教授
  • (たけ)(うち)(おく)()寿(ひさし) 早稲田大学法学学術院教授
  • (もろ)(ずみ)(みち)()  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  • (やま)(かわ)(りゅう)(いち) 東京大学大学院法学政治学研究科教授

議題

無期転換ルールに関する論点について

議事

議事内容

○山川座長 おはようございます。
 定刻となりましたので、ただいまから、第6回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方、本日も御多忙のところ御参加いただきありがとうございます。
 本日の検討会も新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえて、Zoomでの開催となります。
 では、議題に入ります前に、事務局からオンラインの操作方法の説明、それから、資料の確認をお願いします。
○竹中課長補佐 それでは、事務局より操作方法の御説明と資料の確認をいたします。
 本日の資料は、事前に送付しておりますとおり、資料1と参考資料1から6でございます。説明時に画面に投影いたしますので、そちらも御覧ください。
 御発言の際にはZoomのリアクションから手を挙げるという機能を使用して御発言の意思をお伝えいただき、座長の許可がございましたら御発言ください。御発言時以外は今マイクをミュートにしていただき、御発言の際にミュートを解除の上、御質問等をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 不安定な状態が続く場合には、座長の御判断により会議を進めさせていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
 続きまして、資料の御確認をお願いいたします。まず、資料1「無期転換ルールに関する論点について」が今回の資料でございます。
 参考資料は1から6までございまして、参考資料1と2は第5回と第1回の資料の再掲でございます。参考資料3については無期転換関係の裁判例をまとめておりまして、参考資料4ではこれまでに行ったヒアリング結果をまとめております。また、参考資料5につきましては本検討会の開催要項でございます。こちらは2ページ目の参加者名簿の一部に変更がございましたので、今回お送りしております。参考資料6につきましては、昨日の労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料のうち、本日の議題に関連するものを抜粋したものでございます。
 不備等がございましたら事務局までお申しつけください。
 以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。
 それでは、カメラ撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。
 では、本日の議題に入ります。資料1を御覧ください。
 事務局から無期転換ルールに関する論点について説明をお願いします。
○竹中課長補佐 それでは、事務局より資料1全体について御説明いたします。
 今回、無期転換ルールに関する論点についてということでございまして、まず論点一覧でございます。論点一覧については、これまでの検討会での御議論等を踏まえまして、第1回でお示しした論点のうち無期転換ルールの論点について詳しく記載したものでございます。
 無期転換ルールの論点は相互に関連する部分もございますので、本日御議論いただきたいもの以外も含めて記載しているところでございます。もし追加すべき論点等がございましたら、後ほど御指摘いただければと思います。
 まず(1)の総論でございます。
 アのところで、無期転換ルールの活用状況をどう評価し、その要因をどう考えるか。
 イでありますが、無期転換ルールは「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図る」ことを目的として創設されたが、有期契約労働者の雇用の安定にどのような効果があったと考えられるか。
 ウでありますが、無期転換ルールは企業の雇用管理にどのような影響があったと考えられるか。
(2)無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保であります。
 ア、無期転換ルールについて労使双方に対する認知度向上のため、さらなる周知が必要ではないか。
 イでありますが、自らの無期転換申込権が発生しているかどうか分からない労働者が一定数いる中、無期転換を希望する労働者の転換申込機会を確保する上で、使用者からの個別の転換申込機会の通知等について、どのような対応が考えられるか。転換申込機会の通知等について何らかの対応を行う場合、その方法や時期、内容についてどう考えるか。
 ウでありますが、無期転換後の労働条件が不明確であれば、有期契約労働者が無期転換を希望するか否かを決められないほか、転換後にトラブルとなりかねないが、無期転換後の労働条件の明示についてどのような対応が考えられるか。
(3)無期転換前の雇止め等であります。
 ア、無期転換前の雇止めやその他の無期転換回避策とみられるものについて、無期転換ルールの趣旨、日雇い法理や裁判例等に照らし、どのようなケースに問題があると考えられるか。また、問題があるケースに対してどのような対応が考えられるか。
 イ、あらかじめ5年以内の更新上限を設けるケースが見られるが、これをどう考えるか。
(4)通算契約期間及びクーリング期間です。
 ア、通算契約期間5年について運用状況を踏まえてどう考えるか。
 イ、クーリング期間6か月について、運用状況を踏まえてどう考えるかであります。
(5)無期転換後の労働条件です。
 ア、無期転換ルールは原則として期間の定めのみを変更するものであるが、無期転換後の労働条件について別段の定めを行う場合、労働契約法の労働条件変更に係るルールとの関係をどのように考えるか。
 イ、無期転換後の労働条件について有期労働契約時と変わらない労働者が多い実態が見られるが、無期転換後に本人の希望も踏まえ、業務の内容や責任等が変更されることで、それに見合った待遇の見直しが行われるためにどのような方策が考えられるか。
 ウでありますが、フルタイムの無期転換労働者に対しては、パート・有期法に規定する通常の労働者との間の不合理な待遇の禁止規定が適用されないが、無期転換労働者とほかの無期契約労働者(いわゆる正社員、多様な正社員等)との待遇の均衡についてどう考えるか。
(6)有期雇用特別措置法の活用状況です。
 ア、第1種の活用状況についてどう考えるか。
 イ、第2種の活用状況についてどう考えるか。
(7)その他です。
 ア、無期転換に係る制度を定めるに当たって、有期雇用労働者及び無期転換者の意見が反映されるようにすることをどう考えるかでございます。
 本日御議論いただきたいのは論点(1)から(4)でございます。
 続きまして、2(1)の総論のところでございます。
 こちらは1の論点については先ほど見ていただいたものと同じでございますので割愛します。
 この総論の論点に関連して、これまで委員の方々からいただいた主な意見等ということで掲載しておりますが、例えば無期転換とはどういう労働者にとっての権利なのかというお話ですとか、もしくは一番下の4つ目でありますが、事業所独自の無期転換と法定の無期転換ルール、いろいろな違いがあることは明らかになったというような御指摘もあったところであります。
 次の7ページ目でありますが、ヒアリング先からいただいた主な御意見等ということで、ざっくり御説明いたしますと、無期転換導入の効果ですとか課題、もしくは無期転換や正社員登用を希望しない理由について、企業、もしくは労働組合等の立場からるるいただいたところでございます。
 あとは使側弁護士の方からグローバル企業と中小零細企業ということで、同一平面上で論じられるものではないというお話があったほか、無期転換ルールの意義については重要であり画期的な制度だけれども、活用状況が不十分だと労側の弁護士からいただいたところでございます。
 ここから8ページ目以降は基本的な資料ということですので割愛させていただくところもありますが、法律の条文ですとか通達などを掲載しております。
 続いて10ページ目でございますが、こちらはヒアリングで把握した事例等を基に、無期転換制度の導入パターン例というものを挙げております。
 例えば①の法定無期転換ルールのみということであればD組合とかと記載していますが、ヒアリングした会社名というのは非公表ということですので、A、B、Cなどと表記しておりますが、各事例の詳細につきましては、参考資料の4を御参照いただければと思います。その下の無期転換後の制度だとか、正社員転換制度の例ということで、こちらも参考までに厚労省のパンフレットから抜粋したものでありますが掲載しております。
 次の11ページ目以降は、これまでに御紹介してきたデータのうち、総論の論点に関するものを基本的に再掲しているものでございます。
 まず、有期契約関係というものをもう一度掲載しているほか、あとは先ほど御説明した論点アの活用状況に関するようなデータに関して再掲しているところでございます。
 続いて15ページ目でございますが、こちらも7月の検討会の中でお出しした資料が左側でございますけれども、右側のデータを追加しているところでございます。
 まず、左側でありますが、無期転換権が生じた人がいる事業所のうち、無期転換権を行使した人がいる事業所は35.9%ということで7月に御紹介しましたが、7月の検討会で安藤委員からの御指摘で、無期転換権が生じた人がいる事業所の中でも、その行使率に偏りがあるのではないかというような御指摘もいただきましたので、その問題意識に沿ってデータを再集計したようなものであります。こちらは分母としては無期転換権が生じた人がいる事業所のうち、例えば青いところは無期転換を申し込んだ人はいないというところで64.1%であるのに対して、この赤いところは全員無期転換を申し込んだというのが15.7%でございました。
 続いて、16~18ページ目につきましては、7月の資料と同じですので割愛させていただきます。
 19ページ目でございます。こちらも上のほうについては7月にお示しした資料と同じでございますが、真ん中の辺り、7月に復元後の常用労働者数に占める無期転換者の割合というものが2.9%と御紹介したところ、安藤委員のほうから無期転換した人数の推定もできるのではないかということを御指摘いただきまして、その際に、事務局のほうから口頭でお答えした内容を下の四角囲みの部分で改めて文面で記載しているものであります。改めて申し上げますと、この調査結果において常用労働者5人以上の事業所において、2018年度、2019年度に無期転換した人数は約158万人、そのうち無期転換ルールにより無期転換した人数は約118万人と推定されると記載しております。
 参考までに、その下の括弧のところですが、こちらも常用労働者が5人以上の事業所において、通算勤続年数が5年を超える有期契約労働者の人数というのが約474万人と推定されると記載しております。
 続いて、20ページ目は7月の資料と同じです。
 21ページ目については、無期転換者の方の働き方に関する満足度ということで、この全数の数値については7月にお示ししたところですが、戎野先生から7月の検討会で、企業規模別に見る必要もあるのではないかということで御指摘がありましたので、規模別にも見ているところでございます。
 右側のところでありますが、論点イの関連で、雇用の安定に効果があったかという点に関連しましては、満足している理由というところで失業の心配は当面ないからとかいうことなどもございます。
 一方で、満足していない理由のところで、いつ解雇や雇止めされるか分からないかなという記載もございます。
 次の22ページ目のところでありますが、こちらは有期契約労働者の無期転換の希望の有無ということで、これも一部改編しているところがございまして、全数の18.9%という下に、7月のときには企業規模別のデータを載せていたのですが、代わりに通算勤続年数別のデータを載せているところであります。こちらで見ますと、3年以内よりは3年超5年以内のほうが無期転換の希望の率が増えている。逆に5年超になりますとそれが減るというところでございます。
 続いて、23~25ページ目につきましては、7月の資料と同じですので割愛させていただきます。
 26ページ目でありますが、論点ウ企業の雇用管理への影響に関連するデータを並べているものでございます。右側のデータは7月にお示したものでありますが、左側のデータを追加しております。2011年7月の時点でも同様のデータを取っていたので、無期転換ルールの導入前後での傾向というのも見られるかなということで並べておりますが、2011年7月時点では勤続年数の上限を設けているというのが12.3%であったのに対して、右側の2020年4月時点では14.2%ということでありました。5年以内の上限があるという割合につきましては87.8%だったのが94%になっているところであります。
 続きまして、ここから先は改正労契法と上限設定との関係など、7月までにお示したデータを並べているものですので割愛させていただきます。
 続きまして、無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保でございます。こちらについては32ページ目、まず論点については先ほどお話ししたものと同じですが、この中のイのところ、使用者からの個別の転換申込機会の通知等について、何らかの対応を行う場合、その方法や時期、内容についてどう考えるかという部分に関連しまして、どういった方法が考えられるかというものを事務局のほうで整理しております。
 こちらの方法として考えられる例としましては、例えば義務化する、もしくは努力義務化する、もしくは通達やQ&Aなどで、使用者からの個別の無期転換申込機会の通知等について周知啓発するということが考えられるかと思います。
 続いて時期として考えられる例でありますが、こちらのヒアリングの中で提案があったものを載せていますが、労働者の募集時であるか、労働契約締結時か、それとも無期転換権が発生する労働契約の締結時期かということでございます。
 あとは通知などの内容でありますが、無期転換申込機会のみか、それとも無期転換後の労働条件も含めてかということで記載しております。
 続いて、この論点に関連して委員の皆様からいただいた意見等でありますが、おおむね無期転換権とそれに関する制度について、労働者に認知させるような政策について検討することは重要な論点であるなどの御発言をいただいているところでございます。
 続きまして、ヒアリング先からの主な御意見ということで、35ページ目でありますが、例えば労側の弁護士の方からは、使用者から労働者に対して通知しなければならないという義務を課すことは極めて有効だというようなお話をいただいた一方で、使側の弁護士の方からは、特に中小零細企業などに対する規制の強化というのは、かえって雇止めを誘発する可能性も高いのではないかというような御発言もいただいてきたところでございます。
 続いて36ページ目であります。まず、厚労省としての無期転換ルールの周知啓発等に関する取組の現行のものでございますが、ここでポータルサイトの開設ですとか、ネットを活用した周知広報などを記載しておりますが、この一番上のポータルサイトの開設というところに関して、それがどういった画面かということで、37ページ目のスライドをお付けしているところでございます。
 続いて38ページ目でありますが、個別通知等の方法として考えられる例ということで、関連規定を載せているものでございます。この一番上で申し上げますと、民事法規的な形の例として労働契約法の4条のようなものも考えられますし、もしくは取締法規的な形の例として、労働基準法の15条の中で労働条件明示という規定があるわけですが、その明示事項自体は労働基準法施行規則5条の中で規定されているところでございます。今も有期契約関係ということであれば、この中の1号だとか、1号の2のところで契約期間に関する事項ですとか、更新基準に関する事項というものがあります。
 また、この労働基準法15条のスキームで、現在、無期転換ルールに関して明示義務が係っているものがございまして、次の39ページ目でございます。こちらは有期雇用特別措置法の関係で、特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第5条の特例を定める省令ということでありまして、この中で有期特措法の対象者に対しましては、この1号のところで、労働契約法18条1項の規定の特例の内容に関する事項が明示すべきものとされております。1号の具体的な内容としては、このすぐ下の基本的な指針のところで記載がありまして、この中の3行目の中ほど、例えば第二種、つまり定年後再雇用者に対しては定年後引き続いて雇用されている期間、無期転換申込権は発生しないことを明示することとされています。
 次の労働基準法89条については就業規則の関係でお付けしているものであります。
 続きまして、39ページ目は使用者側から労働者側への通知に関する直近の法改正ということで載せておりますが、育児休業の法律の法改正でございます。この中の21条の下線部でありますが、労働者に対して育児休業に関する制度、その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、意向を確認するための面談、その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならないとされているところであります。
 こちらは省令に落とされているような部分があるわけですが、そういった部分について、参考資料の6を御覧いただければと思います。こちらにつきましては、昨日の雇用環境・均等分科会において示された育介法の省令案要綱ということでありまして、昨日、公労使でおおむね妥当との結論だったと伺っておりますが。こちらの2ページ目を御覧いただきますと、この第2の1の部分とかで、少し見にくくて恐縮ですが、事業主が労働者に知らせなければならない事項ということで育児休業に関する制度ですとか、育児休業申し出の申し出先などが記載されております。そのほか、3ページ目以降も、どういった方法で知らせていくのかだとかということが書かれているところでございますので、参考までに御紹介させていただきます。
 資料1のほうに戻っていただきまして、次に現行の育児休業法の法律でありますが、こちらは現行では下線部、労働者に周知させるための措置を講ずるよう努めなければならないということで記載されていまして、この40ページ目の記載については、その努力義務の例ということで記載しているところでございます。そのすぐ下の男性の育児休業取得促進策等についてという建議でありますが、育介法の改正に至るまでの議論等が分かるかなと思いまして掲載しております。
 続いて41ページ目でありますが、ここからは、その運用面で無期転換に関して、使用者から労働者に対して周知を促していくという現行の取組の例でございます。まず、厚労省のほうで出しているモデル労働条件通知書であります。こちらは少し見にくくて恐縮ですけれども、右下のほうです。こちらの中では無期転換ルールについて少し記載をしていることのほか、あとは左上のほうで先ほど御紹介した有期特措法の記載を御紹介しているものでございます。
 次の42ページ目でありますが、こちらも厚労省のモデル就業規則ということで、無期転換に関して設けておりまして、この中で右下の下線部、ここでも定年など有期契約労働者には通常適用されない労働条件を無期転換後の労働条件として適用する必要がある場合には、あらかじめ就業規則等により、その内容を明確化しておくようにしてくださいということを記載しているところであります。
 続いて43ページ目でありますが、無期転換の申込書だとか受理通知書について、厚労省のほうでひな形としてホームページに掲載しているものの御紹介であります。
 44ページ目以降は以前にお示ししてきたデータの再掲ということで認知状況ですとか、もしくは無期転換に関して企業のほうでどのように規定、もしくは説明を行っているかとか、説明をしていることと認知度の相関関係のデータを入れているものであります。
 続いて2の(3)無期転換前の雇止め等ということでありまして、こちらの論点、ページ数でいきますと53ページ目でありますが、アのところ、どのようなケースに問題があると考えられるかということに関連しまして、その下の○のところでありますが、無期転換前に雇止めが行われるケース等の具体例ということで、この中で①から⑩と記載しておりますのは、これは第1回の検討会の資料6の中でお示ししたものと同じでありまして、一覧化したものであります。後ほど御議論の中で、①から⑩のどれが問題かだとか、どう対応するべきかだとか、もしくは①から⑩以外に考えられるケースはあるかなど、御意見をいただければと思いますが、後ほど図とともに①から⑩について御紹介したいと思います。
 この論点に関しまして、54ページ目でこれまでの委員からの主な意見ということで御紹介していますが、例えば3つ目の○とかでも、5年よりも短い通算契約期間とするという条項は脱法にならないのではないかなどの御意見もあったところであります。
 ヒアリング先からの主な意見ということでありますと、この3つ目、4つ目などの使側の弁護士の方からは雇止めですとか、更新上限に関する規制には反対であるというようなお話をいただいたほか、労側の弁護士などは無期転換権行使の妨害を禁じる規定を入れるべきだとか、もしくは不更新条項に関しても規制をというような話、あとは雇止めの規制をという話があったほか、不更新条項に関して、そういう条項を入れるのだったら、その必要性について説明させるべきだという話もあったところであります。
 次の56ページ目以降、基本的な資料ということで、法令の御紹介、雇止め法理ですとか労働基準法にぶら下がっている告示ということで、雇止めの予告などを定めているようなものを掲載しております。
 続きまして59ページ目でありますが、第1回のときのように図とともにお示ししますと、まず①でありますが、無期転換申込権が発生する直前に合理的な理由のない雇止めというケースで、②については無期転換権発生前に新たに更新条項を設定して、当該条項を理由に雇止めをするというケースであります。
 まず、①のほうの無期転換権発生直前に雇止めというケースです。これに関連する裁判例で無期転換回避目的の雇止めであると労働者側が主張した裁判例でありますが、グリーントラストうつのみや事件の中では、下線部でありますけれども、無期転換権の発生を回避するためという、それ自体は格別不合理な行為ではないというような判示がされている。
 他方で、高知県公立大学法人事件のほうでは、まず地裁のほう、この中では、下線のほうで法を潜脱するかのような雇止めを是認することはできないというお話があった後に、高裁のほうで、第1審判決とは異なって、法を潜脱するかのような雇止めを是認することはできないという趣旨の説示はないところであります。
 なお、ここから裁判例をるる御紹介しますけれども、その詳細については参考資料3にまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
続いて、ここからは厚労省のほうで出しているQ&Aなどの御紹介でありますが、この中で無期転換ルールを意図的に避けることを目的として、無期転換権が発生する前に雇止めや契約期間中の解雇等を行うことは労働契約法の趣旨に照らして望ましいものでありませんですとか、あとは更新上限等に関しても同様にメッセージを出しているところでございます。
 次の62ページ目も、より詳細に同じような趣旨のことを記載しているところであります。
 続いて63ページ目でありますが、先ほどのケース②、つまり途中で更新上限を設けるようなケースに関連する裁判例でありますが、契約更新に対する合理的期待が既に発生している状態で更新上限条項を追加しても合理的期待は減殺されないとした裁判例ということで博報堂事件ですとか、山口県立病院機構事件がございます。
 続いて64ページ目でありますけれども、こちらも②に関連する裁判例ということで、更新時における不更新条項等を含む契約書への署名押印行為に関する裁判例でありますが、上から4行目辺りですけれども、労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合に限り、労働者により更新に対する合理的な期待の放棄がされたと認めるべきとされているところであります。
 次の65ページ目でありますが、③5年の更新上限を設けた上で、一定の場合に無期雇用するという制度を設けているものの、不合理な要件ですとか、厳しい試験等を課して、実際は不合格とするというようなケース、④については再雇用を約束した上で雇止めをし、クーリング期間経過後に再雇用するケースであります。これに関してもQ&Aということで、これまでお示ししているところであります。
 続いて次のケース、67ページ目でありますが、⑤無期転換申込権が生じる前に派遣や請負を偽装して、形式的にほかの使用者に切り換えをする。⑥無期転換後の労働条件について不合理な別段の定めをすることによる無期転換申込の抑制。⑦無期転換申込の拒否というケースであります。
 こういったものについて、それぞれのケース、⑤は派遣や請負の偽装という話に関連して施行通達の中で、法を潜脱するものに関する話を書いているほか、ほかのケースについても通達だとかQ&Aなどでるる掲載をしているところでございます。時間の関係もありますので、また御関心に応じて御覧いただければと思います。
 72ページ目でございます。⑧の無期転換申込権の事前放棄の強要ということですとか、⑨の細切れ定年を設定し、無期転換後数年で定年退職というようなケースであります。これについても同様に施行通達等で公序良俗に反し無効と解される等を記載しているところであります。
 あとは74ページ目であります。⑩の当初の契約締結時から更新上限を設定して無期転換申込権の発生前に雇止めをするということでありまして、これに関連する裁判例でありますが、当初の雇用契約締結時における更新上限の条項というものが明示的に示されていたときに、下線のところですが、更新に対する合理的期待が形成される以前であり、労働者において労働者が契約するかどうかの自由意思を阻害するような事情はないということで、使用者が5年を超えて労働者を雇用する意図がない場合、当初から雇用上限を定めることが直ちに違法に当たるものではないとされているところであります。
 次の76ページ目です。更新期間の上限設定の可否に関する学説ということでありまして、この「詳説労働契約法」の本でありますが下線部であります。有期労働契約を5年以内の上限を付与して利用することについては脱法行為や公序違反行為と見るべき特段の事情がない限りは、違法無効と解するべき理由はないと思われるということで、継続雇用期間の上限設定が使用者と労働者の個別的な合意によりなされた場合には、自由意思による合意がなされたといえるかという事実認定の問題が生じると記載があります。こういった部分に関連して※で事務局注と書いておりますが、下のほうでまた事務局注と記載しまして、同じ本の中なのですけれども、違う部分で関連する記載がありましたので記載しております。この中のアのところです。当初の有期契約締結日から明示されている場合については、雇用継続への合理的期待は原則として否定されるということで記載がございます。
 ここまでが更新上限そのものに関する参考資料でありますが、ヒアリングの中では、労側の方からは不更新条項を入れるからには、その必要性を説明させるべきとの主張もあったところでございます。それに関連しまして、使用者等に理由を説明させるものの例ということで、77ページ目でありますが、労基法の中で退職時等の証明がありまして、この中で、特にこの2項のほうですが、解雇の予告がされたのであれば、その証明書の請求があったときには、使用者は遅滞なく交付しなくてはいけない。
 あと、そのすぐ下の告示です。有期労働契約の締結更新及び雇止めに関する基準の中では、雇止めに関して規定がありまして、一定の雇止め予告の場合において、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならないとされているところであります。
 他方、この不更新条項自体ではありませんが、かつて無期転換ルール導入に関する議論のときに併せて、下の点線囲みですけれども、有期労働契約締結時に有期労働契約を締結する理由を明示させることについても議論になったところでありますが、この建議にもありますとおり、措置を講ずべきとの結論には至らなかったというものがございます。
 ここまでが参考資料ということで、ここからは関連するデータを掲載しておりますが、こちらも以前に御紹介したものと同じですので割愛させていただきます。雇止めの状況ですとか、トラブルの状況等を再掲しているものであります。
 続いて通算契約期間、クーリング期間でありまして、89ページ目であります。この件に関してヒアリング先からの主な御意見ということで申し上げれば、2つ目の○でありますが、一人前になったか見極めるのに5年程度かかるという御意見があったほか、使側の方からは上から4つ目のところ、現状の5年という期間がちょうどいいという御意見もあったところであります。
 他方で、労側の方からは3年ですとか、2年とか、もっと短くすべきではないかというお話もあったところであります。
 続いて、クーリングの件に関しましては、下から3つ目のところでありますが、企業側からクーリングの仕組みがなくなると困るというようなお話があったほか、あとはクーリングに対するこれ以上の規制導入には反対というお話もあったところです。
 他方で、労側の方からはクーリング期間について悪用されている実態があるので廃止すべきだという話もあったところであります。
 次の90ページ目でありますが、こちらは通算契約期間に関する無期転換ルール創設時の国会答弁ということでありまして、この中では1つ目のところでありますけれども、有期契約の反復更新による濫用を防止する必要がある一方で、雇用機会の確保ですとか、需給変動への対応といったバランスを慎重に考慮したところで決定したのだということです。
 次の2つ目のところになりますが、ドイツだとか韓国は2年でイギリスは4年ということであるものの、一定例外を設けていると、そういった中で、日本の5年というのが長いとは一概には言えないのではないかという話があったというところであります。
 最後の3つ目でありますが、これは議論の経過みたいな話ですけれども、労側からは1年から3年、使側からは7年から10年との意見があったということで、最終的には5年ということで合意になったというところであります。
 続いてクーリングについて91ページ目でありますが、こちらはクーリングに関して短すぎる場合でも、長すぎる場合でも問題になってくるので、バランスを取ったのだという話があるほか、一番下のほうでありますが、クーリング期間というものを認めないこととしますと、5年で離職した労働者が再度同じ企業で働くことが事実上困難になるということで、労働者の職業選択の幅が狭められてしまう恐れがあるのではないかという話があったところであります。
 次の92ページについてはクーリング仕組みの周知の一環でこういったQ&Aを出しているという御紹介であります。
 あとはその関連データということで、これまでお示ししたものと同じです。
 次の94ページ目であります。こちらの右側のデータは7月にお示ししたものと同じでありますが、これも先ほどと同じように2011年7月と比較できるものがありましたので見てみますと、クーリング期間を置いているという割合が3%で同じであったというところであります。
 続いて、3のその他ということで載せておりますが、こちらは外国との比較ということでありまして、日本、EU、イギリス、ドイツ、フランス、韓国というそれぞれの国について無期転換、もしくは無期みなしのような制度について比較しているほか、あとはその上限だとか、通算契約期間、クーリング期間、無期転換後の労働条件ということについて、確認できる範囲で記載しているものであります。このうちドイツ、フランスのところとかも、どういった場合に有期規約を結べるのか、もしくは韓国のところで2年を超えて有期契約を使用できるケースはどういうことなのかということに関して、その詳細について最後のページのところで具体的に御紹介しているものでございます。
 長くなりましたけれども、事務局からの御説明は以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。
 それでは議論に入っていきたいと思います。資料1の御説明をいただきましたが、3ページに論点の一覧があります。本日は論点一覧そのものと、そこに書いてあります(1)の総論から(4)の通算契約期間及びクーリング期間の項目まで、それぞれ議論をしていければと思っております。
 論点一覧につきましては、これまでの委員の皆様方の御意見等をまとめていただいたものですけれども、この論点の一覧の箇所に追加すべきと思われる論点がございましたら、御指摘をお願いいたします。各論点の中身については、その後、御議論をいただきたいと思います。まず、論点一覧の記載についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、各論点についての議論に入っていきたいと思います。(1)の総論についてですが、各論と密接に関連していますので、各論についての議論が一巡した後に、時間があれば再度議論していただくことになろうかと思われます。現時点で総論について何かありましたら御発言をお願いいたします。
 竹内委員、お願いします。
○竹内(奥野)委員 ありがとうございます。
 後ほど各論で御検討いただくとのことなので、あまり意味がないかもしれませんけれども、1のとりわけアについて申し上げさせていただければと思います。
 活用状況をどう評価し、要因を考えるかに関して、特に評価の点については、もともと2012年にこの労契法18条を入れたことによって、どのような変化を期待していたか、もともとの目標が何かあって、それとの関係でどう評価するかということに本来なっていくのではないかなと思います。もちろんそれは何か数値で示されていたというものではないとは思うのですけれども、法的に見れば、有期雇用というのは期間の満了時に当然雇用が終了するというのが原則ですので、その意味では無期雇用契約に比べて不安定な雇用形態とされている。そのような不安定な雇用形態にある人たちを減少させて、法的に見ればより雇用が安定していると相対的にいえる無期雇用に移行させていこうということ、基本的にはそういう目標なのだと思います。
 ここまでヒアリング調査を御教示いただいて勉強してきた中では、もちろん企業において権利の内容、制度の内容等について周知をしている企業等も少なからずあるわけですけれども、これはやや印象ということでもあるかもしれませんけれども、権利が発生していても権利を行使しない人たち、労働者の割合というのは思ったよりもいるのではないか。要するに本来だったらもっと権利がある人たちの中で権利を行使すると、しないと決断をしている人たちも一方でいるわけですけれども、権利を行使する人たちがいてもいいのではないか。そのような意味では、権利の行使を促すような議論というものが各論の検討においては必要になってくるのではないかと思います。
 その中で、制度の認知度にそもそも問題があって、権利の行使が進んでいない可能性もあると思いますし、また、転換後の労働条件が例えば明確ではないとかいう問題があって権利を行使していない可能性もヒアリング調査の中からは伺うことが不可能ではないという印象を抱いています。
 今申し上げたような要因をどう認識するか自体は議論の対象でしょうけれども、そのようなものを踏まえて、基本的には権利行使をより促していく形での検討というのがあっていいのではないかなと考えているということを特に1の(1)のアに関しては申し上げさせていただければと思う次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 ほかに(1)総論につきましていかがでしょうか。無期転換ルールの活用状況、運用状況等に関する評価と(2)以降との結びつけに関わるお話になってくるかと思います。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 ありがとうございます。
 竹内先生が指摘されたような改善すべき点はいろいろあるのですが、大まかに言えば、調査・ヒアリングの結果を伺う限りでは、無期転換制度を根幹から見直さなければならないような大きな問題が生じている状況ではなく、この制度の本来の目的や機能がより適切に実現されるためには、どのような修正が必要かを考えていくことになるのではないかと思いました。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見等はありますでしょうか。
 安藤委員、お願いします。
○安藤委員 安藤です。よろしくお願いします。
 もう既にこの後の各論に書いてある内容ではありますが、無期転換ルールの活用状況を評価するという観点からは、どのくらい無期転換に及んだかだけでなく、雇止めになったなど、意に反する結果になった人とのバランスを全体的に考え評価する必要がありますが、その点は、この後にも(3)などで議論されているから適切かと思っています。
 また、総論のウに書いてありますが、企業の雇用管理にどのような影響があったのか。このルールが一通り、少なくとも企業側には知れ渡った後に、新たな有期雇用契約がどのような形で行われるようになったのかというところからも評価をしていけるのではないかと感じています。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 坂爪委員、お願いします。
○坂爪委員 ありがとうございます。
 全体の評価というところに関してです。先ほど御説明がありました資料からは、企業独自の無期転換を活用している企業では、どちらかというと若年層を中心に転換をしていることに対して、この無期転換を活用している企業では、比較的有期雇用全体の年齢層と近いところが無期転換されていると捉えることができます。その意味では、企業独自の無期転換だけでは拾うことができなかった層が無期転換されているのであるとするならば、その点は非常に評価できるのではないかと考えております。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。いろいろ、各論で御議論いただく点も含めて御指摘をいただきましたけれども、現行法の根本的な骨格的なこと自体に問題があるという御意見は見られなかったのではないかなと拝察いたしました。
 個別的な点は、これに引き続いて議論に移っていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、続きまして論点の2に移ります。無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保についてということでありまして、既にコメントを一部いただいておりますけれども、改めて御意見等があればお願いいたします。
 竹内委員。お願いします。
○竹内(奥野)委員 ありがとうございます。
 (2)に関して、特にアとイの点です。ウにも関係してくることになると思いますけれども、まとめて、ちょっと長くなってしまうかもしれませんけれども、申し上げさせていただければと思います。
 先ほど総論に関して申し上げたところで、権利が思ったよりかは行使されていない側面があるのではないか、その一つの要因というのは認知度にもあるのではないかと考えられます。特にこれまでの調査の中でも制度について知らない人については、権利行使についてどうしたらいいか、行使するともしないとも決めかねている人の割合が顕著に高かったというデータがあったと認識をしております。
 特にその点等を踏まえると、様々なルートを通じて広報するということと、また、特に労働者に制度の内容についての周知が行われることが非常に重要かと思います。
 その点に関連して、これは戎野委員が質問ないしは意見をおっしゃっていただいたことが以前あったと思いますけれども、労働者としては雇われている使用者を通じてその情報を入手することの割合が非常に高かったと認識をしております。そういう意味では、使用者を通じた制度の周知ということが認知度向上の観点では重要となってくるのではないかなと、アに関してはいろいろなルートが必要ですけれども、特に使用者を通じた周知というのが重要でないかというのが私の考えであります。
 その観点で申しますと、イで論点として挙げられているような使用者の個別労働者に対する転換申込権の機会、制度についての通知・周知だとか、あるいは権利行使ができるような段階における意向の確認というものを、具体的にどのような形でというのは、もちろん議論の余地は多々あろうと思いますけれども、基本的には義務化していく方向で検討すべきではないかと考えております。
 同じように考えられるかどうか自体は様々な御意見があろうかと思いますけれども、期待されたほどに権利行使がまだ進んでいないということに関連して、周知が欠けているという点で言うと、先ほど事務局から説明があった育児介護休業法の今般の改正において、個別の、これは周知ではなくて、権利行使の意向確認ですけれども、義務化されていった点について、その義務化されていった背景の中には、育児休業の取得率の低迷という、特に男性におけるですけれども、その取得率の低迷を改善させていこうという政策的な考えがあったと考えられるわけですけれども、無期転換についても権利行使を促していこうということであれば、同じように考えて、政策として、周知とともに権利行使ができる段階での意向確認というものも義務化していくことは検討の対象になるのではないかと考えております。
 もちろんどのような法体系の下で規定するかということもあるかと思います。もちろんそれは労基法など、いろいろ御説明を事務局からいただいたところでありますけれども、契約上の権利について実効性を確保するという観点でも、それは契約法上の規制としてあり得なくはないのではないかと考えられます。そういう意味では、労契法18条に端的に規定を追加するという方法もあり得るのではないかなと思っております。
 通知の時期に関してなのですけれども、意向確認については、これは権利が発生することが確実な段階、最も確実なのは5年超の契約が締結された、5年超の契約の更新が現になされた段階かとは思うのですけれども、5年超となる契約更新が確実となる段階、要するに5年超になる契約に入ることがほぼ確実になる若干手前の段階で意向確認をさせるということがあってよいのではないかなと思います。
 制度の周知という点に関して言うと、5年超の雇用をおよそ予定していないという使用者は別かもしれませんけれども、そうでなければ雇用時とか、あるいは契約更新のときに制度の周知をさせることとして、契約条件通知書等で併せて通知させることが考えられます。
 他方で、当該周知自体は法で義務づけることになろうと思いますので、それ自体が5年を超えて更新される期待権、これは雇止め法理とかとも関連してくるかと思いますけれども、その周知自体は5年を超えて更新される期待権をもたらすものでないという整理は、他方でしておくといった工夫をしつつ、今申し上げたような形で意向確認の時期と制度の周知に係る時期というものを考えることがあり得るのではないかなと思います。
 あと、内容については、契約更新を経ていって5年超の段階で無期転換の申し込みができますよということは、もちろん最低限必要だと思います。多分、私が考えを決めかねているところで難しいなと思うのは、転換後の労働条件について、どのように知らせるかということかなと思います。というのは、現状では無期転換後の雇用形態の人がいないという段階において、企業が必ずしも労働条件を定め、要するに存在しない雇用形態の人について労働条件を定めておくことが必ずしも想定できるとは限らないと思われます。
 そういう状況も踏まえると、転換後の労働条件をどのように知らせるかということに関しては、これは現時点では考えがないということしか申し上げられないので、あまり意味がないのですけれども、少なくとも内容、労働条件面をどのように周知させるということに関しては、工夫が必要ではないかなと考えております。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 それでは、戎野委員、お願いします。
○戎野委員 ありがとうございました。
 先ほどの総論の中でもかなり言及されていらっしゃいましたけれども、やはり有効性についてどう考えるかといったときに、今、竹内委員からも引用していただきましたけれども、どれだけ多くの人が、これは経営者も含めてですが、内容をしっかり理解しているかということは重要だと思います。それをどのように活用していくことができるのかという運用面に至るまでの理解です。今後一層その理解を進めていくことが必要だと思いました。
 次に、今の申し込み状況ですが、すでにご意見がありましたように、確かに思っていたよりも少ないのではないかとも思います。ただ、今後、この必要性は今以上に高まってくるのではないかなと感じています。
 この制度が始まってからの日本の経済状況や雇用環境から考えると、比較的人手不足感が強かった中で、この制度が運用されてきたと思います。全体としてはそういう環境の中で運用されていきますと、無期転換を希望しない理由、24枚目のスライドにあるのですけれども、利用しない理由の一番は高齢だからとか、定年後の再雇用労働者だからというのもあるのですが、やはり現状に不満がないからということ、契約期間だけなくなっても意味がないからというようなことが挙げられています。これは働いている側から見れば、毎日の業務が変わるわけでもなさそうだし、賃金が変わるわけでもないし、労働時間がどうなるのかというような、いつも肌で感じる労働条件ではなくて、いよいよこの先、契約がどうなるかといったときに突きつけられるような労働条件という印象が強かったのではないかと思います。
 したがって、これを見ても女性に関しては現状に不満がないというのがトップになっていますので、今は毎日の業務の中で特に何か無期転換する必要性に特に迫られているかというと、特にそういう感じもしないなという中で、この割合だったのかなという感触を持っています。
 ただ、この先です。雇用環境が必ずしも今までどおりではないと思います。厳しくなってくる可能性もある中で、この制度を活用しようという希望や期待というのは高まってくると思います。
 そのときに、これまで労使のトラブルといいますか問題の中には、内容についての理解がしっかりしていなかったことがあると思われます。例えば、正社員になれるのではないかとか、中には正社員への第一歩と考えて進めていこうという労側の意向もありますし、いや、それとは全然違うものですという考え方の使用者側の見解もありました。そのような中で、やはり今後の方向性としては、より周知・理解を深めていくということ、その方法としては、以前申しましたように、やはり企業側、勤め先からそういう知識を得ているという人が大変多いので、そこからの周知を図ることが重要だと思います。これは単に制度の認知度が上がるということだけではなくて、実際の業務を遂行する上では、労使の相互理解というものが、やはりとても大事ですので、互いに詳細にわたって理解がある上で業務を遂行していくということが、様々な意味でとても大事だと思います。
 そして、3つ目になりますが、労働条件まできちんと説明するべきかどうかというところは非常に悩ましいところで、詳細にどうだこうだというところは、なかなか難しい面もあるだろうと思います。先が見えないということもありますし、今、御指摘がありましたように、これからつくるというところもあるかもしれません。
 ただ、転換申込がありますよ、ないですよという有無だけですと、意味が薄いと思いました。先ほど申し上げたように、労働条件が正社員みたいになるのではないか、あるいは労働条件が下がるのではないか、あるいは雇止めに遭うのではないかなど、いろいろな思いもありましたので、しっかりと分かっておくべき内容、条件というのが何らかの形で伝えられ、そして、それについての意向確認する時間があってというプロセスが必要だと思います。そして、この労働条件について、ほかの働き方の方々との処遇差等について分かるような形で伝えていく方法があったらいいのではないかと思いました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 ありがとうございます。
 イについて申し上げます。イでは、労働者に対して無期転換権の有無について個別に通知をする必要があるか、またそのタイミングをどう考えるか、という論点が含まれていると思います。この点で気になりますのが、今日御提示いただいた資料の22ページの統計でして、無期転換の希望の有無について、有期契約労働者の通算継続年数別の資料を出していただきました。3年超から5年以内については約3割が希望するのに対し、5年以上になると11.4%に下がると。これがなぜなのかについて、どのように読んだらいいのかをお聞きしたいのが1点です。
 読み方として2つあるかなと思います。もともと無期になる気がない、そういうつもりがない労働者であればいいのですけれども、例えば5年を超える契約をする、初めて5年超となる契約をするタイミングで権利を行使しなかった場合には、以降、一切権利が行使できないのではないかと考えている労働者がいて、それで5年超では、そういう権利が行使できないと考えて希望しない人がいるのではないかと思います。
 そのように考えることが可能であれば、論点に戻りますけれども、個別の転換権の通知については、5年を初めて超える労働契約を締結するタイミングだけでいいのか、それとも、それ以降、契約更新するという場合には、その都度5年超という要件を満たすということで、以降ずっと個別の通知をする必要があるのか。要するに5年を初めて超えるタイミングで、「以降、契約を更新する場合には無期転換権が発生します」という概括的な説明で足りるのか。それとも個別の契約を締結するタイミングごとに、その都度、無期転換権が発生するという通知が必要と考えるのか。その部分についても議論が必要になると考えました。
○山川座長 ありがとうございます。
 安藤委員、お願いします。
○安藤委員 無期転換を希望する労働者の申込機会の確保というお話なわけですが、まず無期転換をしたいと感じている人に対して認知してもらうことが重要であり、その支援が重要だと考えております。
 もう既に委員の先生方からも出ているお話ではありますが、例えば学生や高齢者の方などは、そもそも無期転換に興味を持っていない、関心がないということもあり得るわけです。例えば大学生などの場合には、その後に就職するつもりでいるわけですから、5年後に、そこで無期転換されるかということにはそもそも関心がない。そこの認知度を高めても仕方がないと思われますので、まずはコストをかけて周知を図るのだったら、どこがターゲットになるのかというところを定める必要があるかなと感じております。
 また、学生や高齢者でなかったとしても、職種によって、また現時点の雇用環境などに応じて、例えば今の仕事を辞めたとしても、同様の労働条件で次の仕事が容易に見つかるような状況であったとすると、やはり無期であることに対して、それほどの価値を見出さないのではないかとも感じていました。どんな人が、今は不十分にしかこの無期転換ルールを知っていないけれども、知るべきなのか、そういうところについて、もう少し限定できれば、より周知が必要という話が効果を持つのではないかと感じています。
 次に、労使双方に対する認知度といったときに、労が認知しているというのはどういう状況か、この点について関心があります。そもそも理屈として無期転換ルールというものが存在していることを知識として知っているのか、それに加えて新規で就職活動をする、実際にどの企業で働くかを選ぶというタイミングにおいて、個別企業における活用状況であるとか、この会社においてはどのように取り扱われているのか、このあたりを把握するということは、かなり難易度が違う話だと思っています。
 また、採用面接の段階で、求職者の側から無期転換の実績を教えてくださいなどという問い合わせをするということが、求人企業に対してどういう影響があるのか。これを前向きだと、うちでは長く働きたいと思って前向きだと評価してくれるところであれば、それで構わないと思いますし、反対に雇止めをするつもりでいるような企業の場合には、これはネガティブに働くかもしれないというわけで、どういう形で労働者が個別企業における活用状況を把握できるのかというところについても、もし質問するのが難しいというような実態があるのだったら、何かの公表が行われるように誘導することが望ましいのではないかと感じています。
 その観点から、この方法や時期、内容について、また、ウとも関連しますが、理想論としては、もちろん弊害もあるわけですが、有期雇用する段階、最初に雇い入れる段階で無期転換についての考え方や実績のようなものがある程度は労働者の側が把握できることが望ましいのかと感じています。それは先ほどあった話でいったら32ページでありますが、義務化するか、または努力義務とするかという点についてなのですが、人手不足が深刻な状況を前提とすれば、義務化していなかったとしても、こういう無期転換についての実態、考え方を示しているほうが、無期転換を求めるような長期間働いてくれそうな労働者を雇いやすいということを企業側が理解すれば、自然とこういうものは当然のように告知するものだと、うちの現状を知らせておくべきだとなるのではないかとも感じています。
 また、あらかじめ分かっていたほうがよい実績ということについては、原則としてほぼ全ての人、希望した人の全てが転換しているのか、または無期転換には条件があって、試験に受かったからなのか、または転換時に労働条件の変更があるのか、ただ無期という選択肢があるのか、その割合等について、ある程度見えているとよろしいかなと思っております。
 最後に、無期転換について明記する、また、明示すると雇止めを誘導する、誘発するという話もあったわけですが、くどいようですが人手不足が深刻になっているような状況を前提とすると、予見可能性が高くなるという効果のほうが大きいのではないか。何らかの理由で雇止めを前提とする会社の場合には、それでも構わないという人が就職する。またはほかの面で、例えば雇止めが前提ではあるけれども、賃金などを含む労働条件がほかよりも高い、何らかの面でバランスが取れていないと人が雇えなくなるという観点から、波及効果として労働条件が向上する方向とも考えられないのかと感じています。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 ありがとうございます。私はウの点について申し上げたいと思います。
 既に他の委員も言及されましたが、無期転換について使用者から労働者に通知をする際に、転換後の労働条件も含めて知らせるべきかどうかという問題があります。私は、どこまで詳細な内容を義務付けるかという問題はありますが、権利の発生時期だけでなく転換後の労働条件も労働者に知らせるべきではないかと思います。資料にもある通り、それが分からないと、労働者が無期転換権を行使するかしないかを実質的に選ぶことができず、そこが不安で権利の行使をためらうこともありうると思うからです。
 このような義務を使用者に課す場合、無期転換後の労働条件を事前に、ある程度、具体的に明らかにしておくことが必要になります。労契法18条は、「別段の定め」がなければ転換前と同じ労働条件になると定めていますが、現行制度の問題の一つは、この「別段の定め」を設ける場合に適用されるルールが不明確であることだと思います。
 特に問題なのは、無期転換に際して労働条件が一部不利益に変更される場合です。現行法は、このような不利益変更自体を禁止しているわけではありませんが、法の趣旨を考えれば、使用者が自由に引き下げていいということにはなりません。
 そこで適用されるのが、就業規則の場合は労契法7条なのか、10条の類推適用なのか、また個別合意による場合もあると思います。また、以前に権利行使に対する不利益取扱いの禁止についても議論されていたと記憶しています。つまり、年休等にかんして、労働者の権利行使を抑制するような大きな不利益を課すことは公序に違反するという判例法理が確立していますが、それも含めて、無期転換に伴う労働条件変更にどのようなルールが適用されるのかを整理する必要があるのではないかと考えております。
○山川座長 ありがとうございました。
 坂爪委員、お願いします。
○坂爪委員 ありがとうございます。
 周知のところなのですが、先ほども出てきました資料の22ページのところで「分からない」と回答している人が、勤続3年から5年のところでも49.4%と半数いる実態があるということについてです。もちろん先ほどお話がありましたように、無期転換に興味がないから分からないという人もいるかと思うのですが、一方で、説明を受けたけれども、結局、自分は無期転換の権利を行使するのか、しないのかのジャッジがつかないという実態もあるのではないかと考えています。
 「説明を受けたけれども判断がつかない」ということに対する対策としては、先ほど安藤委員からありましたように実態の周知、つまり、私には無期転換の可能性があるけれども、この会社はそもそも無期転換制度をどのように活用しているのだろうかというような実態の周知という部分が一つ有効だと思います。また、制度の周知をするときに、そもそもわが社の無期転換とは何ぞやという部分について、労働者がきちんと理解できるような形の周知をより心がけることが有効だと思います。それは労働条件の書面をより細かく作るということだけではないような気もするのですけれども、その部分のアプローチがないと、企業は周知をしているのに受けた側が判断できないというようなことが起きるのではないかと考えております。
 それはもちろん各企業がきちんと広報していくという部分もあれば、厚労省のいろいろなサイトを通じて、有期で働く人たちにはどういう権利があって、無期転換というのはどういうものなのかということを周知していく部分もあると思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 竹内委員からお手が挙がっていたでしょうか。
○竹内(奥野)委員 もしよければ追加で申し上げさせていただければと思うのですけれども(2)の論点なのか、あるいは(3)にも関わるようなところなのかなとも思うのですけれども、先ほど両角委員から(2)のウに関してお話があったところで、不利益取扱いの関係の話が出たかと思います。
 一般的なルール、公序のルールとして、不利益取扱いの禁止の観点での制約等があり得ることを、無期転換後の労働条件の明示に関連して、御意見をおっしゃっていただいたのかなと思いますけれども、18条の無期転換申込権の実効性確保という観点から言うと、いろいろな労働法上の権利について不利益取扱いの禁止という規定は今日増えてきているかと思いますけれども、18条自体について明示的な規定として不利益取扱いの規定というものを入れるということは、これはもしかしたら追加の論点なのかもしれませんけれども、検討されてもよいのではないかなと思われます。
 他方で、両角委員からもお話があったとおり、18条の制度の設計上は、労働条件が変わり得ることはあり得る、別段の定めをするといういわば例外的な場合といえましょうが、不利益な変更も含めてあり得ることは念頭に置かれている制度ですので、労働条件が不利益に変わることが当然、直ちに不利益取扱いの禁止に抵触するわけではないという整理はしておく必要があろうかと思います。そのような注意を払いつつ、この18条の権利について、無期転換申込権について明文の不利益取扱い禁止規定を入れるということも、権利の実効性確保という観点からは検討に値しようかなと思いました。(2)なのか(3)なのか、どこで申し上げるべきなのか、迷うところはあるのですけれども、先ほど両角委員から言葉が出ましたので、私の考えとしても申し上げさせていただければと思った次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 先ほどの私のコメントのときに資料22ページの統計を指摘しましたけれども、有期契約労働者の通算勤続年数が5年超になったときに無期転換の希望者が大幅に減ると。また、「分からない」という割合も6割ぐらいいるのですが、これがなぜなのかについて、事務局の御見解をお聞きしたいというのが質問でした。
○山川座長 すみません、質問が含まれていました。
 事務局から何かありますか。
○竹中課長補佐 御質問ありがとうございます。
 先ほどの22ページ目の関係ですと、先ほどおっしゃっていただいたように、もともと無期転換する気がないということもあるかと思いまして、例えば25ページ目の中で、無期転換ルールに関する労働者の意見という中の右側で、有効でないと考える理由でありますが、下から3つ目の中でも、有期契約でも雇用はある程度安定しているからという御意見も一定見られましたので、とりわけ5年超という方々であれば、そういう傾向もより強いこともあり得るかなと思います。
 他方で、先ほど御指摘いただいたように、初めて無期転換権が生じたときだけ使えるのかなと思われている可能性もあり得るかなと思います。その点に関連して何かデータが今あるわけではないのですが、そういった可能性も踏まえた上で御議論いただけるとありがたいなと思います。
 以上でございます。
○山川座長 桑村委員、よろしいですか。
○桑村委員 ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございました。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 1点だけ、今、皆様で行われた議論で思いついたというか、感じさせられた点として(2)のタイトルにもある無期転換を希望する労働者というもの自体を、どのように捉えればいいのかということが、とても難しい問題かなと感じています。これは無期転換を希望するというのが、今、有期雇用で労働条件は変わらず、ただ無期転換すること、ただ無期になることを希望しているという話なのか、それとも、条件変更を含む、例えば正規雇用労働者と同じく責任が重くなったとしても無期転換したいのかみたいなことを含めると、幾つかの場合分けがあるからです。
 基本的には、ただ無期になるというだけだったら、労働者側でそれを否定的に捉える人はいないとは思います。もしかしたら、無期転換によって発生するネガティブな要素としては、私の中途半端な知識ですが、有期雇用のほうが、少なくとも契約した雇用期間内は雇用保障がしっかりしているといった点があるかもしれないため、無期転換にはネガティブな点が一切ないかどうかはちょっと分からないのですが、基本的にはないのではないかと思っています。
 しかし、無期転換ということが、その会社会社によって意味が違っていて、ある会社においては、ただ無期という選択肢はなくて、労働条件の変更も含んでいて、それでもやりたいと思っているという話なのか、このあたりが明確に区別されていないと、何か議論のすれ違いのようなことが起こり得るのではないかなということに懸念を持っていました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 非常に有益な御議論をいただいたと思います。特にまとめるということはまだいたしませんが、一つは周知というのは、労働基準法ですと、労働者が認識可能にすればいいということですが、現在までの議論ですと、そういうことではなくて個別の労働者等が認識するということも含んだ議論になっていたかと思います。その上で、いろいろな労働者の属性とか経済状況によって、様々なニーズがあり得るので、その上で十分な選択ができるようにするという観点から、先ほどのお話のような周知を促進するという御意見が多かったかなと思います。
 その中でも、各論点に書かれておりますように、いろいろなことが関わってきますけれども、何を周知するかという点に関しては、どこまでというのは難しいという御指摘がありましたけれども、何らかの形で転換後の労働条件も示したほうが選択に資するというようなことが御意見としては多かったかと思います。
 そのほかに、個別通知をする場合に、どのような時期にそれを実施するかとか、実効性確保の点とも関連してどういう法体系の中で行うのか、あるいは、やはり労働条件と関係がありますけれども、別段の定めに関するルールそのものを明確にしたらどうかとか、あとは不利益取扱いの禁止等の関係もあります。この点は次の(3)等でも議論の対象になり得ることかなと思います。
 まだいろいろ検討する点が多いということではありますけれども、特段ございませんでしたら、時間の関係もありまして(3)無期転換前の雇止めについて、御議論をいただければと思います。
 竹内委員、お願いします。
○竹内(奥野)委員 (3)についてなのですけれども、今スライドで示していただいている53ページで、問題と考え得る例として①から⑩というのを具体例として挙げていただいております。これは様々な御意見があって、当然異論もあろうかとは思うのですけれども、私としては、基本的には途中で、途中でというのは雇用してから途中で5年以内とする更新上限とかを設けて、それで無期転換申込権が行使される、あるいは発生する前に雇止めをしてしまうというケースは基本的に問題があると考えます。他方で、雇用の当初から5年を超えないとしている、すなわち、それは企業の雇用政策として明確にして、例えば雇用の際にも説明とかをきちんとした上で契約関係に入っている。そのような形で、実際の運用についても徹底をしている場合については問題がないのではないかなと思っています。
 これは①から⑩の対応で言うと、非常にざっくりした言い方をすると、①から⑨については何らかの形で問題がある。他方で⑩については今言ったような説明とかをきちんとしているということであれば、問題が基本的にはないと考えてよいかなと思っています。①から⑨に関して、これは全ての事例ではないですけれども、例えば①とか②に関連するような5年を超える前で雇止めをするだとか、あるいは途中で不更新条項を追加するということに関しては、事務局からも紹介していただいたとおり、裁判例等もあるわけですけれども、例えば一方的に不更新条項を入れるとしているような場合について、特に近時の裁判例は比較的慎重に、そのような不更新条項を一方的に入れることについて既に生じている雇用継続に対する合理的期待というものを打ち消すものではないという方向性で判断しているように、全般的には言えると思います。
 ②とか①を含めて、これは様々な御意見があるかと思いますけれども、①や②を見ると現在の裁判例はそれなりに問題のある事例に対応しているのではないかと思います。もちろん有期雇用の人が裁判を起こすこと自体、非常に容易ではないということがありますので、裁判に任せとけばいいという意見がどこまで十分なものかという御意見は当然あろうかと思いますけれども、①から⑨に問題があるとして、何らかの対応をするかということに関して、①②に関しては裁判例上、一定の対応を見せているのではないかと考えております。
 ③に関して言うと、これは法定の無期転換権の制度、労契法18条の制度であれば、それは契約更新をしていて5年を超える段階に入った時点で権利が当然発生するわけでして、一定の要件とかがないと権利が認められませんということは、法の設計上あり得ませんので、③は法の仕組み上あり得ないと、あえて言えば、こういうことは当然に法18条の関係で許されないということを周知徹底するということ以上の対応は、ある意味、法的にはそもそもしなくてよい、法的にそもそもあり得ないということかなと思います。
 ちょっと飛びますけれども、⑥について言うと、これは不合理な別段の定めをすることによる申し込み抑制、これは先ほど申し上げたところとも関連しますけれども、そもそもそのような不合理な別段の定め自体許されないということが労働法的には考えられると思いますし、また、不利益な取扱いのような観点からも、このようなことは許されないと考えることは可能かなと思います。いずれにせよ⑥についてもこういうことは許されないと考えられますし、⑦については18条の設計上、そのような拒否というのは法的には使用者はできませんので、これは法的にはあり得ないし、あり得ないということを周知徹底する。
 ⑧についても、これは事前放棄が許されないということは、ほぼ一致して言われていることでありますので、何が事前放棄かということをめぐる議論はあり得るかと思いますけれども、事前放棄が許されないことを周知徹底するという方向での対応というのがあり得るかと思います。
 ⑨についても、あまり明確な法的な根拠をここではまだ考えついてはいませんけれども、恐らくこれもやはりよろしくないだろうと考えることができます。
 ④と⑤は私が申し上げる中で飛ばしましたけれども、これは実質的に5年を超える形で有期雇用しているというものについて無期雇用に移行して、より法的には安定的な、それは雇用の安定そのものもそうですし、各種の権利行使についても、それを基礎としてきちんとできるようにしようという法政策との関係でやはり問題がある。しかし、必ずしも④とか⑤に関しては、明確に裁判例とかでも、これまで取り扱われていないように思いますし、十分その適法性について検討がされていないのではないかなとは思います。特にクーリング期間を挟んでいるということに関しては、現行法制度でいうと問題がないとむしろ整理されているのではないかなと思います。
 しかしながら、④とか⑤についても問題があり得る、特に⑤については雇用という形ではないですけれども、労働力を利用し続けているという点では、同じ仕事に就けて利用し続けているという点では、有期雇用を利用し続けているのと実質的にほぼ同じ状況とも考え得るわけであります。そういう意味では⑤についても問題と考えられます。
 ④についても、そもそもこのクーリング期間を現行認めて入れているわけですけれども、それを残しておく必要性がどこまであるのかということに関しては、私は正直疑問を持っております。もちろん短期で就労することを希望している人が、たまたま4年とか働いて辞めてしまったと、それでしばらく別のことをしていたけれども、またちょっと働こうと思って働いたときに、企業としてもいきなり無期雇用になり得るということを防ぐというのがあって、クーリング期間が入っているというのは分からなくはないのですけれども、しかしながら、ヒアリング等で伺ったクーリングを入れているような例などでは、むしろ継続的に当該業務が存続をしていて、しかしながら、それを有期雇用で繰り返すのに今使っていると見受けられなくない事例があったと私としては認識をしております。
 もちろん様々な利用例があるので一概には言えませんけれども、そのような利用例とかに接した観点から申しますと、クーリング期間を挟んで再雇用をしていくということが18条の制度上、問題ないままと整理し続けておくのもどうかと正直思っています。
裁判例で対応しているということで概ねよいとするものと、そもそも法制度の設計上絶対駄目ですよということを周知徹底するものと、あと、今申し上げた④とか⑤のように、問題があると考えられるけれども、何らかの対策が追加で必要と考えられるものと幾つかいろいろ細かくなってしまいましたけれども、基本的に①から⑨については、問題があるという形で整理して、⑩については今申し上げたような説明とかをきちんとするということをした上で、それについては一応問題がないのだと整理する考え方を私としては持っております。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 この(3)は雇止め等となっておりますけれども、①から⑩まで、今コメントをいただきましたが、この中には不利益取扱い等も含めて、無期転換回避策と見られるものという形で整理しておりますので、先ほど一部御議論のありました不利益取扱いについても、ここで御発言いただいて差し支えないかなと思います。労働条件については、(5)でまた改めて、恐らく次回になると思いますが御議論をいただきたいと思います。
 竹内委員、何か追加がありますか。
○竹内(奥野)委員 今座長が御整理いただいたことの確認にほかなりませんけれども、先ほど(2)の観点で申し上げさせていただいたとおり、不利益取扱いとして無期転換申込を抑制するような場合について(3)であり得るというお話でしたので、この(3)との関係でも、そういう不利益取扱いの規制の規定の追加というものについて検討されてよいのではないかということを併せて確認的に申し上げさせていただきたいと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 53ページについて、今、竹内委員から整理いただいたように①から⑨については問題がある、また問題があり得る。⑩はそれが明確であるのだったら、ここに挙げてはいるものの問題がないと整理するという方向に私も賛成です。
 あとは、この①から⑨のうち、必ずアウトという法律的にあり得ないものと、あとはこの文言をどう解釈するかという幅がありそうなものについては、もう少し考えてみたいと思っています。例えば②について、一方的に不更新条項を設置してという話です。一方的をどう捉えるのか。例えば雇用関係が開始した後、1年間たった後で、1年契約で雇われて、その後に更新する段階で、今更新するのは構わないけれども、ここで更新するタイミングで不更新条項をつけたいと言われたとき、これというのは、それを断ったら更新されないというところから力関係に差異があるということで、一方的と評価されるのかどうかなど、このあたりの一方的、どういうときにという具体例がある程度示されていたほうが親切なのではないかと感じています。
 また、③の不合理な要件というものも、何をもって不合理とするのかというのは、恐らくその会社ごとに企業文化というようなものがあって違いがあるのではないかと感じています。
 例えばある会社では正社員は採用する段階で、特定の英語の試験で一定の点数以上を取ることを求めているとします。無期転換で、かつ労働条件も少し変わって責任が重くなるような場合には、無期転換する場合にも英語の試験で一定の点数を求めているみたいなケース、しかし、仕事では直接は英語を使わないなどとなったら、仕事と直結していないことから、不合理な要件と捉えることもできるし、いやいや、その会社の中では一定の合理性がある、一種のスクリーニングの踏み絵といったら変ですかね、社員に求める基準だと、会社の中では当然だと思われている。
 このようなものが出てきたらどうするのかという意味で、一方的であったり、不合理なあたりについて、こういうものはセーフで、こういうものはアウトということがある程度示されている。またはそれが予見できるということが大事かなと思っています。
これが裁判を経て一定の相場感が出てくるまでは、よく分からないまま、手探りでというのはなかなか望ましくないのではないか。そうすると、⑩の選択のように、もう最初から更新上限を設けてという方向に行ってしまいかねないということを感じています。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 両角委員、どうぞ。
○両角委員 先ほど話題になった不利益取扱い禁止に関して、少しだけ補足させていただきます。竹内先生の御意見は、「労契法18条の権利を行使したことを理由として、労働者を不利益に取り扱ってはならない」というような規定を設けることを前向きに検討してみてはどうか、というご趣旨であろうと伺いました。
 しかし、私自身は、そこは少しためらいがあります。不利益取扱い禁止規定は均等法や育児介護休業法などにもありますが、その解釈が非常に難しいと思うからです。特に、無期転換をめぐるルールがまだ整理されていない段階では、無期転換権を行使したことを「理由として」とは何を意味するのかとか、「不利益な取扱い」とは何なのかということが、法解釈として非常に難しい問題になるのではないかという心配があります。
○山川座長 ありがとうございます。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 先ほど安藤委員がおっしゃった合理的か不合理かが非常に分かりにくいという点ですけれども、現在存在している有期契約労働者の無期転換ポータルサイトでは、裁判例の掲載がないと思いますので、一般的な周知という点から、既に出ている裁判例について整理し、掲載するのがよろしいかと考えております。
○山川座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 例えば53ページの①から⑩につきましては、個々の検討はまた別途機会があるのではないかと思います。不利益取扱いの禁止等につきましては、いろいろ御意見があったところで、また改めての機会があろうかと思います。いろいろなやり方があり得るかと思いますが、現状では19条で合理的な理由を欠く場合には雇止めが許されないことになりますから、無期転換権行使を妨害するような場合は、大体それに当たってしまうのではないのかなという感じもあるところです。
 そのことと、もう一つは不利益取扱い禁止規定をつくる場合に、違反した場合の効果というものをどう考えるか。どの法律に規定を設けるのか、あるいはどういう法形式でこの問題に対応するのかということに関わってくるかと思います。そこはいろいろな手段も選択肢に入ってくるかなと思います。
 また、⑩は、その運用はともかく、契約当初から上限を設定すること自体については、そのこと自体を問題とされる委員の方々はおられなかったかと思いますけれども、それが雇止めのところに出てくると、またどうなるかというような点は、その設定の時期との関係では問題になり得るところかなと思います。
 竹内委員、どうぞ。
○竹内(奥野)委員 何度も恐縮であります。座長が今御整理された中で、不利益取扱いに関して御言及がありまして、今後また改めて議論の機会があり得るということですので、そのときでもちろん結構でございますが、座長の御発言を聞いて思ったのは、座長が念頭に置かれているのは、無期転換申込権を行使しようと思ったところ、それを抑制すべく雇止めに及んだ。そうすると、労契法19条の2号の契約更新に対する合理的な期待ということとの関係で、まさしく合理的な期待を一方的に否定しようとせんとする、あるいは合理的な期待があるにもかかわらず雇止めに及ばんとするということで、かつ客観的、合理的な理由とかもない、そういうことになって許されない。つまり雇止めの場面で、無期転換行使に対する不利益取扱いというのが顕在化しているという理解の下で御発言があったのかなと思います。
 その意味では、これは座長自身から御発言のあったところでありますけれども、不利益取扱いが具体的にどのような形で顕在化しているのか、あるいはし得るのかということを整理した上で規定するかしないか、両角委員のお話があったように規定するかしないかを検討する必要があるなと御意見を聞いていて思いました。
 私は18条の規定のところで何か追加すべきではないかと先ほども申し上げたかと思うのですけれども、問題の整理の仕方によっては18条のところに入るのか、あるいは19条との関係で整理をすることになるのかという規定ぶりにも関わってくると思いました。その観点があって、今後改めて御議論いただく際に留意点というか、検討点としてお考えいただければと思いまして発言させていただいた次第であります。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 私の発言の趣旨もそういうことで、18条、19条、いろいろなところの規定と関係のある問題になります。あまり広く捉えると⑩もある種無期転換前の雇止めということに形式的に入ってしまいますので、シチュエーションを考えていく必要があるのではないかということでした。
 ほかは何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日は(4)までを想定しておりました。通算契約期間、原則現在5年ですが、それから、クーリング期間につきまして、御意見等がございましたらお願いいたします。
 竹内委員、お願いします。
○竹内(奥野)委員 あまり確たる考えがない形で、この段階では申し上げるところになろうかと思いますけれども、先ほどそれに関して両角委員からお話がありました。まず、アの5年という通算契約期間の点です。これについては、もちろん長すぎるのではないかという御意見もヒアリング等を含めてあったかと思うのですけれども、一律の最低ラインの規制として、かつ一律のものとして設定されていると、2012年の改正では、これが一律の期間として設定されたと私としては認識しているわけですけれども、そのことから考えると、5年という期間を現時点では維持をしておくということがあり得なくはないのかなと思います。
 イのクーリング期間についてなのですけれども、もちろんこれをあまりに長くすると、就労機会の確保といいますか、提供といいますか、その観点で問題が生じてくるということは当然あろうかと思います。その意味でも慎重に考えるべきだと思うわけです。
 先ほど3の①から⑩のケースのうち④に関して、割とざっくりと申し上げましたけれども、クーリング期間を挟んで恒常的に存在するような仕事を繰り返す形で有期雇用を利用するという例についてまで放置してよいのかと、その観点では、クーリング期間の長さの問題なのか、あるいはここは長さの議論の箇所が中心なので外れた意見になってしまうかもしれませんがクーリング期間を利用する仕方を個別に規制すべきものか、どのような観点でアプローチしていくかは十分議論の余地があろうかと思います。6か月かという4のイの論点ではないかもしれませんけれども、クーリング期間の在り方について、もう少し検討が必要ではないかなと思っています。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 このア、イいずれについても、今回、こういう検討は始まってはいるものの、当初からこの制度が始まってからの期間というものが、それほどまだ長くはないことから、まず、このアやイは維持することを前提として、これを変える特段の必然性があるのかという視点から検討していくことが望ましいと考えています。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 両角委員、どうぞ。
○両角委員 私も安藤委員と同じように考えております。個人的には、ヒアリング調査等を拝見した限りでは、現行制度の基本的なところを早急に変える必要があるような問題が起きているとは認識していないのですが、もし特に変えるべき事情があるのでなければ、安定性を重視すべきではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございました。
 戎野委員、どうぞ。
○戎野委員 クーリングオフと先ほどの雇止めに関して、共通して思ったのですけれども、企業側にとっても労働者側にとっても、やはりある程度の期間の見通しが立つような約束事、働き方、業務の在り方というものをきちんと契約できる内容であればいいというところが納得感を持つのではないかなと思いました。ですので、5年間ということは、先ほども多くの委員がおっしゃったように、①から⑨のようなものはおかしいけれども、⑩のようなものは制定していいのではないかと思います。企業経営上においても、働き方においても、こういった5年以内の更新上限ということ自体は当然あっていいだろうと思います。これまでも申し上げましたように、労働者にとっても皆が皆、長期に働こうと思っているわけでもありませんし、また、企業においても業務内容や経営戦略において、そういった当然の判断があり得るだろうと思います。
 ただ、そこにおいて、これもこれまでに何度も申し上げてきましたように、やはり両者の合意、納得というところがとても重要になってきます。そのため、最初のお話につながってくるのですけれども、きちんと周知され両者の合意というものがある必要があると思います。
 あと、クーリングオフなのですけれども、これはいわゆる副大臣の御発言にもありますが、その会社で働けなくなるということでは元も子もないことなので、また働けるようにということでクーリングオフがあるのはいいと思います。ただ、今は、まだ使用率が非常に少ないので問題もあまり発生していないのではないかということも注意しておく必要があるかと思います。これの使い方に関しては、労働側としては、かなり不安視している面もあるのではないかなと思います。
 したがって、このクーリングオフの意味、何のためにあるのか。それは結局、この法律全体の意味にも繋がってくるかと思うのですけれども、そういったものの周知ということでは、経営側に対してもより理解が必要になってくると思います。特に中小企業ですと、経営者自身の情報の入手先というのはかなり限定的ですし、どこまで十分なのか不安なものも中にはありますので、厚労省をはじめとして公的機関から、このクーリングオフの意味や雇止めの意味を含めて周知するというのが今後、さらに求められるのではないかなと思いました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 周知のほか、労使コミュニケーションに関わるようなお話も含まれていたかと思います。その点はほかの論点とも関わりますので、また御議論いただく機会があるかと思います。
 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
 とりあえず本日は(1)から(4)までの論点について御議論をいただきました。
 正直時間は大丈夫かと思っていたのですが、委員の皆様方には進行に御協力をいただいたようでありまして、大変ありがとうございます。
 とりあえず、本日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。
 では、特段ございませんでしたら、次回の日程について、事務局からお願いします。
○竹中課長補佐 次回の日程につきましては、現在調整中でございます。確定次第、開催場所と併せまして連絡いたします。
○山川座長 ありがとうございます。
 それでは、これで第6回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を終了いたします。お忙しい中御参加いただきまして、大変ありがとうございました。
 

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