令和3年6月23日 第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年6月23日(水) 18:00~20:00

場所

WEB会議(厚生労働省 共用第9会議室(17階))

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、及び令和3年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
 全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
 なお、柿崎委員より会議の途中で退席する旨の御連絡をいただいております。
 また、本日は、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等について」の関係で、一般社団法人日本循環器学会より、国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科学教授、岸拓弥参考人にお越しいただいております。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 本日の座長につきましては、岡安全対策調査会長にお願いしたいと思います。
 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席された委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者はファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。なお、本日御出席の岸参考人は武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
 なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
 石井委員、宮川委員、岸参考人は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。また、岸参考人はアストラゼネカ株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○岡座長 それでは、次に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1~1-5-3、資料2、一般社団法人日本循環器学会提出資料、多屋委員提出資料、参考資料1~9になります。
 不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○岡座長 よろしいでしょうか。
 それでは、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、まずは資料1-1-1~1-4-3について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 まず資料1-1、1-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
 資料1-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
 今回の集計対象期間は令和3年6月13日報告分までとなっております。
 2ページ目をご覧ください。
 表の一番下の部分、合計(2021年6月13日現在)の行をご覧ください。表の左半分がコミナティ、右半分がモデルナとなっております。
 まず左のコミナティです。6月13日までの推定接種回数は2324万5041回接種、医療従事者、高齢者別の内訳につきましては、表の下の3つ目の※に記載しております。表に戻っていただきまして、副反応疑いの報告件数は1万3671件、報告頻度としましては0.06%となっております。前回の合同部会報告時が0.08%でしたので、前回と比べると約0.02%低い値となっております。うち、重篤の報告件数が1,710件、頻度としましては0.01%。前回報告時も0.01%でしたので、大きな変化はありません。死亡事例については254件としておりますが、製造販売業者からの報告事例も含めまして、資料1-3-1にてまとめて御説明させていただきます。
 続いて、右半分のモデルナになります。6月13日までの推定接種回数は44万278回接種、副反応疑いの報告件数は79件、頻度としては0.02%で前回と同一の値となっております。うち重篤の報告件数が3件、死亡事例0件となっておりますが、後ほど資料1-3-2にて補足説明をいたします。
 5ページ目、マル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数をご覧ください。報告基準に定められた症状でありますアナフィラキシーにつきまして、コミナティは2月17日以降、モデルナについては5月22日以降の累積を集計したものとなります。6月13日までに医療機関からはコミナティで1,462件、モデルナでは4件のアナフィラキシー事例が報告されております。
 以降のページにおきましては、コミナティ、モデルナ別にこれまで同様に性別、年齢別等で集計しております。
 なお、1点補足がございまして、10ページ目をご覧ください。
 症状別の集計表でございますが、表の下のほうの肝機能異常とぶどう膜炎の右型の部分に注とつけております。表の脚注にも記載しておりますが、肝機能異常の報告のうち6件とぶどう膜炎の全件28件につきましては、同一の医療機関から報告があったものですが、誤報告だったという一報をいただいております。集計期間の関係で計上されておりますが、それぞれ6件、28件を除いたものが正しい数字となりますので、補足で説明いたします。
 各症例のラインリストについては、コミナティを資料1-1-2-1、モデルナを1-1-2-2という形でお示ししております。
 続いて、資料1-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
 こちらも集計対象期間は6月13日報告分までとなっております。
 2ページ目の表の一番下の合計(2021年6月13日現在)の行でございます。左から見ていただきまして、まずコミナティですが、報告件数については、こちらは重篤なものが報告対象となっておりますが、4,519件。頻度としましては0.02%で、前回と同一の値となっております。死亡事例については後ほどまとめて資料1-3-1にて改めて御説明させていただきます。
 続いて、右半分のモデルナですが、副反応疑い報告について9件報告されておりまして、死亡事例については1-3-2にて改めて御説明いたします。
 3ページ目、アナフィラキシー事例の報告件数は、コミナティで1,407件、モデルナで3件報告されておりまして、ブライトン分類の評価結果につきまして後ほど資料1-4-1、1-4-2にて御報告させていただきます。
 続きまして、資料1-3-1「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧ください。
 コミナティの接種後の死亡事例について御報告いたします。
 1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに81件あり、接種開始以降6月13日までに報告された事例としましては277件となっております。なお、上記に加えまして、集計対象期間外となりますが、14日から18日までに医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例が78件ございました。
 「2.専門家の評価」でございます。6月13日までに報告された277事例を対象としまして、専門家の評価を実施しております。結果としましては、βが5件、γが275件となっております。
 表の下の※の部分をご覧いただきたいと思います。
 複数の症状が報告されておりました3症例につきまして、症状別にβ、γの評価が分かれておりますので、表においてはいずれの評価結果も足し合わせております。したがいまして、症例数としましては277例となりますが、α、β、γの総数としては280件となっております。
 飛んでいただきまして、24ページ目をご覧ください。
 No.197以降が今回初めて御報告する事例となります。
 さらに飛んでいただきまして、1-3-1の最後の37ページ目、別紙2をご覧ください。
 今回の集計対象期間中までに報告がありました277事例につきまして、死因等の症状を性別、年齢別で件数を集計しております。ここの集計結果はいずれも現時点ではβまたはγと評価されている症例を集計したものになりますので、ワクチン接種が原因で亡くなった方を集計したものではないということについては御留意いただければと思っております。
 また、資料全体の構成のお話としまして、前回も御説明させていただきましたが、本資料につきましては、5月26日の部会までは各症例の概要をおつけしておりましたが、これまでの議論におきまして、個々の事例について専門家の評価を行っていくとともに、集団としてのデータを系統的に検討していく必要があるという議論がございましたので、前回より死因につきまして年齢や性別による集計を行った表の参考2を代わりにおつけしております。基礎疾患等やあるいは症例の概要といったものにつきましては、資料1-2-3-1や資料1-2-3-2という形でまとめておりまして、死亡例につきましてもこれまでと同様に詳細な情報をおつけしております。ただ、前回の部会から追加で情報があったものを掲載しておりますので、もし過去の分が探しづらい等ございましたら、御指示いただければ、特定の症例につきまして、報告書を事前に委員の皆様にお送りさせていただきますので、お申し出ください。
 続きまして、資料1-3-2「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(モデルナ筋注)」をご覧ください。
 モデルナ筋注の死亡事例について御報告いたします。
 1ページ目、「1.報告状況」でございます。先ほど1-1-1と1-2-1の中でも御報告しましたとおり、モデルナ筋注の副反応疑い報告におきまして、集計対象期間中に死亡として報告された事例はございませんでした。なお、集計対象期間外となりますが、上記に加えまして14日から18日までに医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例が1件ございました。具体的な事例につきましては2ページ目にお示ししておりますが、94歳男性のくも膜下出血の事例でございます。
 1ページ目に戻っていただきまして、「2.専門家の評価」になります。今回の1例目は集計対象期間外の報告となりましたので、評価中としておりますが、この1例目も含めまして、6月14日以降に報告された事例につきまして、今後専門家の評価を進め、報告させていただきます。
 続きまして、資料1-4-1「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー事例として製造販売業者から報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧いただければと思います。
 コミナティにつきましては、これまでの御議論を踏まえまして、製造販売業者からの報告内容に基づき、ブライトン分類の評価を実施しております。
 1ページ目、「1.報告状況」です。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、製造販売業者からアナフィラキシーと報告された事例が新たに250件あり、接種開始以降6月13日までに報告された事例は計1,407件となっております。
 「2.専門家の評価」でございます。この1,407事例を対象としまして、ブライトン分類の評価を実施しております。結果については表にまとめたとおりとなっております。概要については、2ページ目の一番上の参考1の部分に記載してございます。ブライトン分類レベル1~3の報告件数は2324万5041回接種につきまして238件、100万回当たりですと10件となってございます。これまでの推移については、後ほど資料1-5-1にてお示しいたします。
 以降は238件について集計したものですので、適宜御参照いただければと思います。
 続きまして、資料1-4-2「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして報告された事例(モデルナ筋注)」をご覧ください。
 モデルナにつきましては、当初コミナティで実施していたとおり、ある程度事例が集積されまして、企業報告についてもトレンドの把握が可能となるまでの期間につきましては、医療機関からの報告内容に基づきブライトン分類の評価を実施しております。
 1ページ目、「1.報告状況」でございますが、6月13日までにモデルナ筋注の副反応疑い報告におきまして、医療機関からアナフィラキシーと報告された事例は4件ございました。
 「2.専門家の評価」でございますが、この4例を対象にしまして専門家の評価を実施しておりまして、結果については4件ともレベル4となっておりますので、以降の説明は割愛したいと思います。
 最後になりますが、資料1-4-3「コミナティ筋注ロット別アナフィラキシー報告件数」をご覧ください。
 前回の合同部会の議論におきまして、複数の委員よりコミナティのロット別の解析、特にブライトン分類1~3につきまして評価の必要性があるのではないかという御指摘をいただいておりました。それを踏まえまして、今回の集計対象期間までで製造販売業者からのアナフィラキシー報告事例についてブライトン分類1~3に該当する事例をロット別に性別、年齢群別に集計した表となります。
 結果としましては、表の真ん中にある「うちブライトン分類1~3該当件数」から右の部分となりますが、これまでアナフィラキシーの報告で見られていた傾向と同様に、比較的初期のロットのほうで100万回当たりの報告件数が多くなっているという状況でございました。理由としましては、これまでも本部会において御議論いただいてきたところとなりますが、初期のロットにおきましては1回目接種でなおかつ医療従事者が中心であったこと、また、接種開始直後ということもありまして、特に慎重なモニタリングが行われていただろうということなどが想定されます。また、資料1-1-1や1-2-1の中でも御説明しておりますが、ここでの推定接種者数は納入者数であって、実接種者数ではないということも関連している可能性がございます。
 資料1-1-1~1-4-3までの説明は以上となります。
○岡座長 それでは、引き続き資料1-5-1について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-5-1につきまして御説明申し上げます。
 資料1-5-1「副反応疑い報告の状況について」でございます。
 まず全体の資料構成でございますけれども、2ページ目から8ページ目までが死亡あるいはその因果関係に関しての議題についてでございます。また、9ページ目から14ページ目までがアナフィラキシーに関するスライドとなっております。また、今回、岸参考人に御登壇いただいておりますけれども、15ページ目以降につきましては心筋炎についてのテーマとなっておりまして、最終的に24ページ目で心筋炎関連事象についてのまとめ及び全体のまとめといった資料構成となっております。
 お戻りいただきまして、2ページ目より御説明申し上げます。
 まず、新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要でございます。ファイザー社ワクチンと武田/モデルナ社ワクチンで分けておりまして、まずファイザー社ワクチンでございますけれども、前回の審議会時点までにおきましては死亡として報告された事例は139件でございましたが、今回の審議会6月13日時点、117日間におきましては合計277件の御報告がありました。症状の概要に記載された死因等につきましては、後ほどのスライドでまとめておりますけれども、心不全37例等でございました。また、6月14日から18日までは医療機関あるいは製造販売業者から報告された事例が78件ございました。
 一方、武田/モデルナ社ワクチンにつきましては、6月13日時点までは0件でございましたけれども、14日から18日時点までで1件の報告がございました。
 続きまして、3ページ目でございます。
 こちらはファイザー社ワクチンについてのまとめでございます。経時的な死亡者数の推移をこちらでお示ししております。直近のデータとしましては、100万人当たり接種ですと16.2件、100万回接種当たりですと11.9件という状況でございまして、現在、引き続き高齢者等の接種の割合が増加していることが死亡として報告された事例の割合が増加している可能性として考えられておりますが、現状で被接種対象者が引き続き流動的に動いておりますので、そういった被接種対象者の属性に注意しながら今後も推移を見ていく必要があると考えております。
 続きまして、4ページ目でございます。
 こちらも英国に関しまして若干のアップデートがございましたので、海外の死亡例に関する最新の報告状況をご覧いただければと考えております。
 また、5ページ目でございます。
 先ほど御紹介申し上げました277例のうち、年齢及び症状の概要に記載された死因等をまとめております。まず年齢別に関しましては、65歳以上が248例、65歳未満が29例となっております。また、症状の概要に記載された死因等におきまして、因果関係を含め系統的に見ていく必要があるであろうということから、ある程度の疾患をグルーピングしながらお載せしてまとめさせていただいたものが以上でございます。
 また、括弧内の内数といたしましては、より因果関係に関して注視していく必要があると思われる65歳未満の症例をまとめておりますので、こちらも御参照いただければと考えております。現時点では心不全が37例、うち65歳未満が3例、出血性脳卒中が30例、うち65歳未満が9例等となっております。
 こちらに載せております症例のリストでございますけれども、注の1番でございますが、同一症例に複数の死因等で他のグルーピングに属するものがございました場合にはいずれも計上しておりますので、トータルとして考えますと277例を超えるような集計方法となっております。
 また、注釈の4番で記載しておりますけれども、上記は死亡として報告された事例277例の1%を超えた3例以上の死因等について記載しており、一方で、状態悪化、心臓死等など、具体的な疾患を想定できないものはその他として分類しておりますことを周知させていただきたいと思います。
 続きまして、6ページ目でございます。
 こちらは前回の審議会の資料でも参考資料とした令和元年度の年齢別の死亡者数の人口動態統計の資料でございますけれども、委員の先生方には修正資料をお送りさせていただきましたけれども、死因の総計の65歳以上あるいは65歳未満の記載で一部修正がございましたので、今回も御参考ということで再度掲載させていただいております。
 続きまして、7ページ目でございます。
 こちらは武田/モデルナ社ワクチン、現在日本ではまだ接種者数が限られておりますので、現時点でデータ集計期間内は0件、6月14日から18日までの時点で1件となっておりますけれども、参考としてお載せしているという状況でございます。
 8ページ目がまとめのところでございます。
 副反応疑い報告制度におきまして、ファイザー社ワクチンの接種後の死亡例として報告されたものは、接種開始から6月13日までで277件、また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要ではありますが、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては0件となっております。
 報告された症状等は心不全等となっております。
 死亡例につきましては、報告内容の透明性をもって公表するため、個人情報につながる情報を除き、報告事例を可能な限り公表するとともに、併せて専門家による評価も行って公表しております。
 専門家による評価は、277件はワクチンと症状名との因果関係が評価できないγ、2件はワクチンと症状名との因果関係が認められないβ、また、複数の症状が報告された3件につきましては症状ごとにβまたはγと評価されております。
 まとめといたしまして、死亡及び因果関係に関する論点として、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを引き続き系統的に検討していく。また、死亡例の報告に関しましては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑み、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御審議いただければと考えております。
 続きまして、9ページ目でございます。
 こちらはファイザー社ワクチンの日本のアナフィラキシーにおきましての医療機関からの報告状況についてでございます。最新の値といたしましては、100万回接種当たりですと63件ということで引き続き減少傾向が続いております。
 10ページ目でございます。
 こちらは製造販売業者からの報告、及びそれに基づくブライトン分類に基づいての評価件数でございますけれども、直近61件及び10件ということで、100万回接種当たりの報告件数としては減少傾向が続いております。
 また、11ページ目には、参考としてファイザー社ワクチンの海外報告をお載せしております。
 また、12ページ目は、武田/モデルナ社ワクチンの医療機関からのアナフィラキシーとして報告された件数及びブライトン分類に基づき評価された件数でございまして、100万回接種当たりの件数としては9件及び0件となっておりますが、先ほども死亡のところで申し上げましたとおり、武田/モデルナ社ワクチンとファイザー社ワクチンは被接種者の属性等が大きく異なる上、単純な比較は困難であることに留意を要すると考えております。
 また、武田/モデルナ社ワクチンのアナフィラキシーの海外情報につきましては13ページ目にまとめております。
 14ページ目にアナフィラキシーに関する報告状況についてまとめております。副反応疑い報告制度におきまして、製造販売業者からファイザー社ワクチンのアナフィラキシーとして報告されたものは、接種開始から現時点におきまして1,407件、うちブライトン分類に基づく評価においては238件がブライトン分類1~3と評価されております。
 また、ワクチン間におきましては、被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要ではあるが、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては医療機関報告は4件。4件についてはブライトン分類では1~3に分類されたものはなかったと報告されております。
 アナフィラキシーとして報告された例におきましては、こちらも透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も重要ということで、引き続きブライトン分類に基づく評価を行うとともに、海外との比較においては被接種者、対象者の違い、あるいは報告制度の違い等の理由から単純な比較は難しいと考えられますが、引き続きアナフィラキシーが一定の頻度で起きるという理解の下で進めていきたいというところでございます。
 また、アナフィラキシーとして報告されたほとんどの例で軽快したことが判明しております。
 まとめとしましては、今回の新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関しましては、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性の差等に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続することとしてよいかということで御審議いただければと考えております。
 15ページ目以降、心筋炎に関してでございます。
 前回も各国当局で注視されている心筋炎につきまして資料を御用意させていただきましたけれども、このたび、資料を少し拡充して準備しております。
 まず心筋炎の概要についてということで、日本循環器学会のガイドライン最新版、2009年時点でございますけれども、そちらを抜粋記載しております。心筋炎の概要についてでございますけれども、心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患である。心膜まで炎症が及ぶと心膜心筋炎と呼ばれる。軽症例は確定診断が困難なため、我が国における発生率や死亡率の詳細は不明である。心筋炎のほとんどは無症候性に、あるいは他疾患に姿を変えて日常診療上表れている。そのような認識がまず求められる。心筋炎は循環器疾患総体の中では発生頻度が少ない疾患に属するということが循環器学会のガイドラインとして循環器の診療に当たる医師等に向けてのメッセージとして述べられております。
 また、心筋炎の多くは細菌あるいは今回のコロナウイルス感染症も含まれていると考えられますけれども、ウイルスなどの感染症によって発症すると考えられております。
 症状につきましては、3つ目の○でございますけれども、多くの急性心筋炎患者では風邪様症状や食思不振等の消化器症状が先行し、その後数時間から数日の経過を経まして心症状が出現します。具体的な心症状といたしましては、心不全兆候、例えば息切れやむくみといった症状、あるいは心膜に炎症が波及いたしますと、心膜刺激による胸痛等が知られております。
 これらの症状の発現の有無は病変の部位であるとか、あるいは炎症の程度、心筋炎の広がりによって決まってきます。軽症例を含めれば、心筋炎は決して発症頻度が少ない疾患ではないだろう。しかし、症状や兆候が非特異的なため、臨床上の症状や兆候が明らかな心筋炎はまれであるといったことが述べられております。
 16ページ目は、心筋炎の一般的な経過治療、あるいは予後等についての概要となっております。心筋炎は幅広い病状を示すとされるが、一般的な急性心筋炎に限れば、その基本的な病状や経過は比較的単一である。すなわち、炎症期が1~2週間持続した後に回復期に至る。急性心筋炎と診断されても、心徴候のみで心症状が顕著でないのであれば、入院した上で安静臥床及びモニタリングなど注意深い経過観察のみによって対処できる。万が一急変時の心肺危機管理に関しては迅速な対応が可能なように状況を構築しておくといったことが述べられております。
 17ページ目でございます。
 前回の審議会におきましても、各国当局の心筋炎関連事象についてのステートメントを御紹介させていただいておりましたけれども、最新の状況を共有させていただきます。
 17ページ目は、米国におけるFDAからの状況でございます。こちらは若干のステートメントに変化がございますので、御承知おきいただければと考えております。
 米国におきましては、心筋炎関連事象について、1回目の接種後よりも2回目接種後のほうが報告例が多く、年齢は低く、発症までの期間は短かったとされております。また、男性の割合が多く、2回目接種後の報告例の約8割が男性であった。また、2回目接種後の報告例について、年齢による層別解析を行った結果、16~24歳の集団では実際の報告数のほうが予測値よりも大きかったといったところで、ここがアップデートされていると考えております。報告例の約8割は完全に回復し無症状となったと記載されております。
 なお、こちらにつきましては、注釈のところにございますけれども、現時点ではmRNAワクチンの接種に関して心筋炎関連事象に係るシグナルは認められなかったとされており、mRNAワクチンと心筋炎関連事象の因果関係については現時点では言及されていないといった状況になっております。
 また、18ページ目におきましては、英国と欧州の状況となっております。米国と比較いたしますと若干落ち着いたトーンで述べられておりまして、英国におきましては、報告数は一般に各年齢層における予測値と同様もしくは下回っており、現時点ではCOVID-19ワクチン接種に伴うリスク上昇は示唆されない。欧州におきましては、ワクチンとの因果関係の有無を結論づけるには引き続き解析が必要であり、製造販売業者に対してデータの提出を求めているといった状況となっております。
 続きまして、19ページ目でございます。
 国内の新型コロナワクチン接種後における心筋炎の関連事象ということで、最新のデータをアップしております。こちらは医療機関からの心筋炎関連事象を発症したとして報告された事例の概要でございますけれども、副反応疑い報告制度におきまして、ファイザー社ワクチン接種後の心筋炎関連事象として接種開始から6月13日までに医療機関からの報告としては12件、症例としては11例の報告がございました。年齢群別で分けますと以下のとおりとなっております。なお、注視しております40歳未満の男性1例が心筋・心膜炎の両者の記載があるため、1例分を2件として計上しているという状況でございます。
 具体的にこの表でお示ししますと、40歳未満、男女といったところで、男性の部分が最もボリュームゾーンとなっていることが見て取れるかと考えております。
 続きまして、20ページ目でございます。
 こちらは被ワクチン接種群のバックグラウンドの参照となるデータということで、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)によるレセプトの集計の概要をお示ししております。被ワクチン接種者における心筋炎関連事象の発生率の参考とするため、心筋炎関連病名を狭義と広義の2通りで定義し、それぞれについて性、年齢別、階級別で患者数を集計した結果が以下のとおりとなっております。
 集計方法の詳細でございますけれども、疾患の定義といたしましては、狭義の定義としましては急性の心筋炎あるいは急性の心膜炎等、こちらは米国のVSDのシステムに準じた定義づけとなっております。一方で、広義の定義づけといたしましては、膠原病性の心筋炎・心膜炎等、少し広めの疾患として取りまして、なおかつ、放射線の心膜炎あるいはがん性心膜炎と明らかにワクチンの接種との因果関係はないと推定されるものは除いておるといった状況でございます。
 患者数につきましては、定義された病名が新たに付与された患者の人数、レセプト上疑いとされたものは含めない集計を行っております。また、過去12月以内に定義された病名で受診していない場合に限るといった集計方法でありまして、複数の医療機関に受診した場合は名寄せして計上しているという状況でございます。
 集計期間は令和元年度でございます。
 注視すべきところといたしまして、40歳未満の男性が注視されておりますけれども、ワクチン被接種群においても40歳未満のところを見てみますと、狭義、広義の定義づけどちらに関しましても、若干ではございますけれども、男性のほうが多く、具体的な数値としましては100万人日当たりの発症としましては0.17あるいは0.29といったところでございます。
 なお、本データの解釈に当たりましては、先ほどのガイドラインでもございましたけれども、心筋炎の多くが細菌やウイルスの感染によって生じるとされており、風邪様症状あるいは消化器症状が先行しているといったことから、軽症の心筋炎を発症していても医療機関を受診せず補足されていない症例が潜在的に存在するということにも御留意いただきながら評価することが重要と考えております。
 こちら、19ページ目と20ページ目を御比較いただきながら御議論いただければと考えております。
 続きまして、21ページ目でございます。
 こちらは、先ほど来御紹介申し上げておりますとおり、心筋炎の多くはウイルス感染等によって起きるとされておりますけれども、国内の新型コロナ感染症の入院患者におきまして心筋炎関連事象がどのように報告されているかということを取りまとめさせていただいております。
 COVID-19 Registry JAPANに基づく解析の概要ということで、レジストリー概要といたしましては、新型コロナウイルス感染症と診断され入院した症例。5月31日の時点では研究参加施設が922施設、登録の症例数が4万1385例、このうち集計対象としましてはレジストリー登録者のうち集計可能であった4万843人のうち15歳以上の例において心筋炎関連事象を合併したと考えられる者について集計しております。対象の者につきましては、調査項目のうち合併症「心筋炎・心外膜炎・心筋症」の欄にチェックがあった者を集計しております。
 注視すべき15~40歳未満のところに関して見てみますと、心筋炎関連事象者の数としましては男性が4例。こちら、心筋炎で亡くなったとは限りませんけれども、うち1例がなくなったとされており、女性のほうは0名といった状況でございます。また、先ほどの接種者に関しての御報告で、若年者の男性で7件6例という御紹介をしましたけれども、こちらを感染者100万人当たりの心筋炎関連事象者数に換算いたしますと、15歳から40歳未満で834例といった状況と考えられます。
 まとめますと、新型コロナウイルス感染症の合併症として心筋炎関連事象が疑われる事例が実際に報告されており、感染者100万人当たりでは、心筋炎関連事象者としては、男性はトータルとしては1,048人、女性としては607人といった状況でございました。
 続きまして、22ページ目におきましては、国内外のファイザー社ワクチン接種後における心筋炎関連事象ということでまとめております。先ほど来御紹介しておりますとおり、日本におきましては現在高齢者が進んでおりますので、そういった背景におきましての比較となりますので、こちらも御参考いただければと考えております。
 また、23ページにおきましては、武田/モデルナ社ワクチンにおいての心筋炎関連事象ということで、現時点では報告例がございませんので0件となっておりますけれども、こちらも先ほど来御紹介しておりますとおり、被接種者の属性等が大きく異なるため、ファイザー社との単純な比較は難しいということに御留意いただければと考えております。
 最後、24ページ目でございますけれども、心筋炎関連事象及び副反応疑い報告例に関する全体のまとめでございます。
 心筋炎関連事象についてのまとめ、心筋炎関連事象は一般にウイルス感染等によって発症するとされております。顕在的な症例はまれではあるが、無症候性は軽症例のものも含めると潜在的な症例が存在しているということが想定されます。
 海外の報告では、ワクチン接種後の心筋炎関連事象は1回目より2回目接種後の報告例が多く、若年の男性が多い傾向であり、また、発症しても軽症が多いとされております。
 また、我が国の報告につきまして、資料が飛びますけれども、1-5-3を御参照いただきたいと考えておりますが、全例の経過を拝見しておりますと、海外の報告と同様、1回目より2回目接種の報告例が多く、若年の男性で多い傾向にあります。若年の男性に係る報告事例におきましては、全例の軽快または回復が確認されております。
 正確な比較は困難ではありますが、若年の男性におきましては非接種者における発生頻度に比べ、接種者における発現頻度が高い可能性があります。一方、新型コロナウイルス感染症患者においても、一定の割合で心筋炎の合併が報告されており、入院をするような症例では心筋炎関連事象の発現頻度は接種者における発現頻度と比較しても相当程度に高い可能性があります。
 こうした状況を踏まえまして、ワクチン接種後の心筋炎関連事象の考え方についてのまとめでございます。現時点におきましては、ワクチン接種の体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内の発生状況や海外における報告状況を注視し、検討を継続することとしてよいか。
 全体のまとめといたしましては、死亡、アナフィラキシー及び心筋炎関連事象を含めた国内の発生状況については、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、新型コロナワクチンの接種を継続してよいかということで御審議いただければと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 続きまして、一般社団法人日本循環器学会提出資料について、今日参考人として御出席いただいております岸参考人から御説明をいただければと思います。
 岸参考人、よろしくお願いいたします。
○岸参考人 皆様、よろしくお願いします。日本循環器学会のCOVID-19対策特命チームで副委員長をしております、国際医療福祉大学の岸拓弥といいます。
 まず、ぜひ皆様にお伝えしたいこととしましては、循環器内科の領域の一臨床医として、それから、学会の中でいろいろデータをまとめていく私としては、心筋炎及び心膜炎に関しましては、多くの場合はウイルス感染症、細菌感染症の後に発症するのですが、基本的には経過観察で自然によくなっていくものばかりでございます。それから、確かに一部循環動態が破綻するような劇症型と言われるものがございますが、これも、救急体制も含めまして、通常の循環器の診療体制を敷いているような病院であれば十分対応可能なものであります。
 このたび、新型コロナワクチンによる心筋炎・心筋症のことは我々も非常に懸念しております。ただ、世界的にも、それから、現在、国内の状況を見ましても、起こったとしても基本的には軽症が主体である。つまり、そういうことが起こり得るのだということを我々が知っておけば、それから、ワクチン接種を受けた方がそういうことを知っておけばいいというような感じで考えております。
 逆に、これはウイルス感染症に伴う心筋炎・心膜炎ということを考えますと、新型コロナウイルス感染症による心筋炎・心膜炎の発症のほうをむしろ我々は懸念しております。ここにありますように、海外のデータにはなりますけれども、実は心筋炎・心膜炎の一つの特徴として、かなり無症状の方、軽症の方を我々はきちんと診断できていない可能性があります。これは海外のデータなのですが、実は米国で平均年齢19歳のアスリートの方で2.3%の方が無症状あるいは軽症の心筋炎を認めたというデータは、我々にとってはむしろ非常に衝撃的でした。正直、2.3%も発症するという感覚は我々自身もございませんし、日本循環器学会のガイドラインにもそういうところは記載しておりません。データも持っておりません。ですので、特に若年男性の2回目のワクチンの接種後にもしこういうことが起こっているのだったとしたら、我々もここはやはり留意すべきではないかと考えています。
 ただ、いずれにしましても、軽症及び無症状ということになりますので、仮に少し軽い症状があったとしても、基本的には対処療法、安静、万が一重症化しても血行動態の維持で十分対応可能なものでございます。
 したがいまして、日本循環器学会の考えとしましては、急性心筋炎、心膜炎が新型コロナワクチン後に発症する頻度に関しましては、懸念はしますが、極めてまれ、かつ軽症が主体というのが現状のデータだと認識しております。ただ、これに関しましては、なぜ起こるのかという機序に関して実は我々もまだ十分把握できておりません。それから、長期的な経過も見ていく必要があると思いますので、今後やはり注視していくべき事案だとは考えております。しかし、むしろ若年者では新型コロナウイルス感染による無症状あるいは軽症の急性心筋炎・心膜炎発症の可能性のほうが頻度としては非常に高い。ここに関して我々はしっかり注視していく必要もあると思います。
 したがいまして、新型コロナワクチン接種による感染及び重症化予防を図るメリットのほうが、新型コロナワクチン接種後の急性心筋炎及び心膜炎に対する懸念よりも圧倒的に多いというのが現状我々が持ち合わせているデータだと思います。今後注視していく必要はありますが、日本循環器学会としては、新型コロナワクチン接種後に発症することが懸念される軽度の心筋炎・心膜炎に関しましては、現在のワクチン接種及びワクチン接種後の管理体制、そして、通常の救急も含めました循環器診療体制が崩壊しないように、通常の循環器診療体制をしっかり整備しておけば、十分対応可能なものだと考えております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 ただいま、事務局から新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況について御報告いただくとともに、岸参考人から心筋炎・心膜炎について御説明をいただきました。
 岸参考人には、前回、合同部会の議論において、心筋炎・心膜炎の議論を進めるに当たりまして、循環器の専門家の御見解をぜひ伺いたいということで御説明をいただいたところでございます。
 せっかくですので、ただいまの岸参考人の御説明について、まず委員の先生から何か御意見、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。というより、日本高血圧学会の宮川ですけれども、岸先生、質問させていただいてよろしいでしょうか。
 岸先生、心筋炎・心膜炎の発症なのですけれども、ウイルス感染後、特にCOVIDの感染後の発症というのは、ウイルスによって起こってくる反応と、免疫の反応が起こったために起こってくるのかを区別しなければならないはずです。実際には、ワクチンを打った後ですと、それは感染ではなくて免疫反応として起こってくるという形になるでしょうから、議論を分けていかなければいけないと思います。発症の機序はまだ不明でしょうが、その辺をどのように整理したらよろしいのか、お教えいただければと思います。
○岸参考人 御指摘ありがとうございます。
 先生のおっしゃっているところ、まさに私も同感でございまして、新型コロナウイルス感染後に起こる心筋炎あるいは心膜炎と、ワクチン接種後のものというのは、恐らく基本的には機序は別物だと私も考えておりますので、病態、発症のいろいろな様式に関しまして、恐らく違うものを見ているのではないかと思います。
 感染後に関しましては、ほかの全てのあらゆるウイルス感染症に伴う一般的な急性心筋炎・心膜炎と基本的には変わりはないものと思うのですけれども、ワクチン接種後に関しましては、実は我々もこれまでのほかの様々なワクチン接種後に心筋炎及び心膜炎が起こるというような概念を持っておりませんでしたので、ここは今後機序も含めてしっかり研究していく、データを集めていく必要があると思うのですけれども、その点、違うものを見ていると思います。ありがとうございます。
○宮川委員 ありがとうございました。
 アメリカのJAMAの論文がありましたけれども、健常な陸上選手のCOVID感染後の心筋炎・心膜炎は非常に軽微であるいう報告がありました。私たちが全然気がつかないようなところで心筋炎・心膜炎の発症が起こっています。感染後を詳細に調べてみたら、論文のように顕在化してきたという形なのですが、COVID感染後とワクチン接種後では、明らかに病態というか発生機序は違うと考えてよろしいという形ですね。
○岸参考人 私もそう考えておりますし、日本循環器学会としてもそういうスタンスで考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
 倉根委員、どうぞ。
○倉根委員 先生、ありがとうございます。
 1つ質問いたしますけれども、この新型コロナウイルス感染による軽度の心筋炎を認めたという方たちは、本来、それまで認識されなかったような微小な心臓、心筋における基盤というか疾患のベースが何かあると考えられているのですか。それとも、全くなくて、いわゆる感染なら感染ということで起こるということでしょうか。ここはどういうふうに解釈されているのか教えていただければと思います。
○岸参考人 ありがとうございます。
 まず、総論的には、何かの基礎心疾患、あるいは、特に心筋における基礎的な疾患が何かある方のほうが、ウイルス性、細菌性の感染症を起こしたときに、急性心筋炎を起こしやすいというのは、全ての年齢を問わず、実は確かに学問的には言われてはいるのですけれども、ただ、何もない方でも起こり得る。つまり、感染症に続発するものとしては起こり得ますので、今回、特に若年の男性ということを考えますと、もともと基礎心疾患があるからかかりやすいかどうかというところに関しては、まだ我々も分かりません。一般的に基礎疾患がある人がかかりやすいかどうかということは分かりませんし、ただ、重症化しやすいと書かれています。もともと何か心筋症があるとか、あるいはもともと何か先天性に心筋に異常がある方というのは、ウイルス感染を起こしたときに重症化しやすい人とはなりますが、発症しやすいかどうかに関しましては明確なデータはありません。
○倉根委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
 伊藤委員、どうぞ。お願いします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 若年男性に多いということで、若年男性に係る報告事例では全例軽快または回復が確認されているとあるのですけれども、逆に、資料1-5-3を見ますと、65歳の男性の方と37歳の女性の方で未回復とあるのですが、これは転帰日が未記入ということですので、その後は回復されたか分からないのですけれども、若年男性では回復しやすいけれども、そうでない場合には回復しにくいという意味ではないのでしょうか。
○岸参考人 ありがとうございます。
 急性心筋炎あるいは心膜炎は、非常に病態が幅広いものでございます。ですので、高齢者の方だと基礎疾患がある方、あるいはほかの様々な疾患の関係でどうしても重症化しやすいというのは確かに現場で感じることでございます。ですので、ここはやはり議論を分けて考えないといけないかなと思いますのが、ウイルス感染によってどれくらい心筋炎が起こるかというところは、実はかなり個別に状況が違います。例えば私も経験しますけれども、本当に若い、10代あるいは子供の方などで物すごい心筋症になる方もいらっしゃいますし、高齢者でも本当に何もなくすっと回復していく方もいらっしゃいますので、正直、その状況状況に応じてかなり個別に対応するしかないというのが心筋及び心膜炎の特徴だと思いますので、もともとの基礎的な状況によって何か違いがあるのかということに関しては分からないというのが心筋炎及び心膜炎の特徴だといえます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 事務局の方にお伺いしたいのは、1-5-3のような資料で未回復というところは、もう少し後の転帰日での回復したかどうかという情報はこの後追記といいますか、変更していっていただけるのでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えいたします。
 情報については随時上がってきますので、新たな情報が得られましたらこちらのほうも更新させていただきます。
○伊藤(清)委員 承知いたしました。ありがとうございます。
○岡座長 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 岸先生、分かりやすい御説明をありがとうございます。
 1つ伺いたいのですけれども、この心筋炎という診断は症状からされることが多いのか、あるいは、確定診断みたいなものを心エコーとかでするのか、診断についてお聞きしたいです。それから、ワクチンを打った後、どういった症状が出た場合に疑うのかという点を教えていただきたいです。
○岸参考人 ありがとうございます。
 つまり、そこが軽症あるいは無症状の方できっちり我々が全部を把握できていないというところとまさにつながる話だと思います。一般的には、息苦しさあるいはむくみ、心不全症状、それから、やはり胸の痛みというのは訴える方が多いです。それから、不整脈が出てきたときに、次の段階として、心電図や、先ほど先生がおっしゃいましたように心臓の超音波の検査、あるいは血液検査での心筋が破壊されたときに出てくるようなものを見ていく。そして、炎症反応も伴っている。つまり、炎症があって、心筋に何らかのダメージがあって、心電図や心臓の超音波の検査で、何らかの心臓の機能異常が来ているというところまで来たときに、我々は心筋炎と診断いたします。ただ、最近は画像検査でしっかり心筋のダメージを見るということによって、例えば症状がなくても心筋炎と診断がつくようなケースも増えてきておりますので、実は心筋炎の診断というのは基本的には症状と心電図、心エコーというところになってまいります。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
○岸参考人 すみません。先ほどのもう一つの質問ですけれども、ですので、ワクチン接種後の方に、我々としてぜひお伝えしたいのは、正直、これは発症から何日とか置かずに、ワクチン接種後に、胸の痛み、動悸は心筋炎のときに特徴的に出る症状になりますので、やはり胸に関すること、息苦しさ、むくみ、胸の痛み、それから、何か不整脈といいますか、どきどきするとか、あるいは、意識がふっと飛びそうになるとか、すごく脈が速いなど、心臓に関する気になる症状があるときには積極的に受診していただくというようなメッセージを発したほうがいいのではないかと考えています。
○岡座長 ありがとうございます。大事な症状についても御説明いただきました。
 多屋委員、お願いいたします。その後、山縣委員、お願いします。
○多屋委員 大変分かりやすい御説明、ありがとうございました。
 今、先生が御回答いただいたことがまさに1つ目に私が知りたかったことでした。思春期および若い男の人に多いということなので、どんな症状を持ったときに医療にアクセスするのかなと思っていました。今まさに御回答いただいたところでした。
 あと、心筋炎ですが、若い男性に起こりやすい機序ですけれども、スペキュレーションでもいいのですが、どういうことを考えたときに若い男性に起こりやすいということが起こり得るのでしょうか。
○岸参考人 ありがとうございます。
 まず心筋炎そのもの、ウイルスあるいは細菌感染症の後に若い男性に起こりやすいということがどうかは、正直、実は我々も迷っているところでございまして、本当に全ての方を検査すると、もしかしたら、多分基礎的な心疾患がある方のほうが心筋炎にかかりやすいあるいは重症化しやすいと我々としては考えておりますので、これは分からないというのが正直なところだと思います。
 今回こういうワクチン接種後に起こるということは、正直なところ、実は我々も本当に初めてのことでございますので、今後ここはしっかりデータを世界的にも日本でも蓄積していくべきだと思います。ただ、一つ言えることは、感染症を起こしたときに、先ほど先生がおっしゃいましたように、これは臨床医の感覚なのですが、感染によるいわゆる免疫反応、例えば感染により不随する症状は若い方だと確かにすごく強く出るということはありますので、そういうことがまず関係しているかもしれません。
 それから、受診が少し遅れるというところは確かにあります。特に、もともと何か心疾患を持っている方だと比較的早く病院に来ていただけるのですが、若い方だとどうしても遅れます。実は、我々も現場で本当に感じるのですが、いろいろな病院を幾つか受診して、熱ですね、風邪ですねということで、痛み止め、解熱剤だけもらってしばらく見ているうちにどんどん悪くなって、本当に大変な状況で我々のところに来るということはありますので、もしかしたらそういう人も今後出てくる可能性もありますので、そういう意味では、やはり気になる症状があるときに早めに受診をしていただくということは必要だと考えています。
○多屋委員 ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。
 本当にありがとうございます。
 あと、事務局のほうで、レセプトと特定健診のデータベースのNDBで出していただいたデータは非常に参考になりました。
 多屋先生が今御質問された点とほぼ一緒なのですが、ワクチンの場合は確かに若い男性に診断されている方が多いのですが、一方で、NDBで見ると、やはり高齢者のほうが多くて、男性の方が多い。今、岸先生がおっしゃったような基礎疾患がある人のほうが心筋炎は多く、基礎疾患の多い高齢者のほうが診断されやすいために出てきているといういわゆる選択バイアスがあり、ワクチンのほうも症状が若い人が出やすいので、若い人が診断されやすくそれで見ているというまさに疫学でいう選択バイアスがここに出ているのかなということが非常によく分かりました。どうもありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 森尾委員、お願いします。
○森尾委員 岸先生、分かりやすいお話をありがとうございました。
 循環器学会からぜひガイドライン、手引き的なものをと希望しておりまして、今日、非常に明快なお答えをいただいたと思っております。診断のところで、この資料の中に心電図・トロポニン・C反応性タンパク質や赤血球沈降速度などと書いてあるのですけれども、先ほど心エコーなどが出てきました。この検査はどうでしょうか。メッセージとして、できればやったほうがいいというぐらいの形でよろしいのか、ぜひやったほうがいいというイメージなのか、そこら辺を教えていただければと思います。
○岸参考人 ありがとうございます。
 これは急性心筋炎に限らず、やはり症状があって疑った場合には、ここにはしっかり書いてありますけれども、例えば胸部レントゲン写真も非常に重要ですし、心電図、心臓の超音波検査、全て循環器に関連する症状で循環器内科医がファーストタッチでプライマリーケアの段階で接するときに必ずやる検査になりますので、いわゆる循環器救急診療あるいは循環器の外来での診療で、当たり前のことは当たり前にやるというところが大事なところとなっています。ですので、心エコーは要らないというわけでもございませんし、胸部の超音波検査、胸部レントゲン写真が要らないというわけでもありませんし、そういう意味では、通常の循環器診療をしっかり行うことが重要になってくると考えています。
○森尾委員 どうもありがとうございました。
○岡座長 そのほか、よろしいでしょうか。
 岸先生に非常に分かりやすく御説明いただいたので、私どもも頭の中が非常に整理できたのではないかなと思います。ありがとうございます。
 そうしましたら、資料とは順番が変わってしまうのですけれども、先ほど資料1-5-1の24ページ目に心筋炎に関する議論のまとめを事務局で論点として挙げていただいております。事務局の記載で、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内の発生状況や海外における報告状況を注視し、検討を継続することとしてよいかといった議論の記載がございますけれども、この点について委員の方から何か御意見、御質問はございますか。いかがでしょうか。
 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 今までのことをまとめていくと、心筋梗塞の発症時の日常診療では、そのような胸部症状が出たらば、今、岸先生がおっしゃったように、当たり前に循環器である心臓に対する精査を行っていきます。一般医の現場で不明であれば、循環器の先生に再診を求め、速やかに継続的な精査を求めるということができればよいので、軽々に判断しないで、若年だろうが高齢だろうが、疑念が生じたならばそのような診断を進めるというような形にすればいいのではないかなと思うのですが、岸先生、それでよろしいのでしょうか。
○岸参考人 ありがとうございます。
 実は先生がおっしゃったとおりでございまして、やはり今回の件で私が一番懸念いたしますのは、特に若い方の場合、胸部症状があったときに、まず病院を受診しませんし、実は医療体制側も、若い男性で胸が痛い、あるいは何かちょっとあったとしても、いわゆる急性心筋梗塞や一般的なこれまで我々が懸念するような救急医療を要するような循環器疾患をあまり考えないというのが実は現場だと思います。ですが、今回の場合はそうではないという意味では、胸部症状、息苦しさ、むくみ、胸の痛み、不整脈に関するような脈が速い、どきどきする、あるいは一瞬意識を失いかけるようなもののような症状があったときに、ためらわず医療機関を受診すること。それから、医療機関側も、必ずしもこれまでのことではなくて、そういう場合にやはりこういうことがあり得るということを知っておいて、きちんと診断及び対応をするということをぜひ全ての国民の方にお伝えしていただければと思います。
○宮川委員 ですから、そういう意味では、年齢に関わらず診断していかなければならないと思います。今まで小児を中心に診療をされている医療機関では、心筋症や心膜炎に対して意識が低いかもしれません。若年であろうが、今回に関してはしっかりとそういう精査をしていくと考えればよろしいということでしょうか。
○岸参考人 全くその意見で賛成でございます。
○岡座長 佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 非常に勉強になりました。ありがとうございました。
 実際的な対応としてどうしなければいけないのかということは非常によく分かりました。この情報があることで非常に重大な事故、事例というのは防げるようになっており、本当に万全な体制で臨まれているということが分かってちょっと安心したところもあります。
 一方で、循環器疾患はもともと性差医療の対象になっていて、性差医療のガイドラインなどが出ていますよね。今回のように、例えば男女が同じような一定の年齢でリスクを受けるというシチュエーションがこれまでなかった中で、そういった性差の問題がここで出てきたということもあり得るのかなと。そういう印象も受けているのですけれども、先生、まだまだ症例は少ない中で難しいとは思うのですけれども、お考えがあればお伺いしたいなと思いました。
○岸参考人 ありがとうございます。
 そこは、個人的には非常に今後明らかにしないといけないところだと思います。特に循環器疾患の場合には、ある程度年齢が高くなってきたときには、やはり性差というか、非常に研究も進んでおりますし、いろいろなデータもあります。一方、若い方の場合には、むしろ、女性の方だと心筋、心臓そのものに疾患がある方も、先天的なものの中ではほぼいませんので、こういう状況で、正直、今日のデータも含めて、男女差があるというところは感覚的にはすっと受け入れ難いというか、そういう印象を持っていませんでしたので、もしこれが本当であるならば、これは大変な研究対象だと思います。我々が見出していない何かがこの背景に隠れている可能性があると思います。
 ただ、一方で、今後データが蓄積されていくと、実は男女差があるというのはある意味今の時点での印象で、実はそうではないということも分かってくる可能性もあるのではないかと思っていますので、現時点では、注目しておくということは必要だと思うのですけれども、決めつけてしまうのは非常に危険だなと思いますので、繰り返しますけれども、症状が起こった場合に、早めに受診をし、受け入れる側もすぐに診る。むしろ、ワクチン接種をしっかり進めていくということで、やはり感染を起こさない、いわば重症化を予防するというところこそが大事であると私は考えています。
○佐藤委員 ありがとうございました。長期的なモニターが必要なのだろうなと思いました。
○岸参考人 絶対に必要だと思います。
○佐藤委員 よく分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、被接種群に比べて本当に接種群で心筋炎が多いのかどうかということもまだ分からないわけですが。
 石井委員、どうぞ。お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
 今までのお話を聞いて、状況もよく分かりましたし、現状、データを集めている段階であることも分かりました。
 一方、地域では職域接種が始まっておりまして、私どものいるような大学でも学生を対象に接種を計画するような段階になっております。今まで一般のニュースなどでは、若い女性に副反応が多いということだけが流布されております。したがって、自分は副反応が出ないと勝手に理解する人が非常に多いと思いますので、どんなことがあっても男女関係なくしっかりと、あと、翌日熱が出ることだけではなくしばらく様子を見てほしいという情報発信をやはりしていかなければいけないと感じたのですが、そのような現場の対応でよろしいでしょうか。
○岸参考人 ありがとうございます。
 それはぜひ我々からもお願いしたいですし、日本循環器学会としても何らかの情報発信は考えたいと思います。といいますのが、実は確かに先ほどの若い女性の副反応のところ、すごくその情報が本当に国民、私の周りも皆さんそういう感じで見ています。あと、どうしても打った日、それから、打った翌日、その次の日ぐらいまでの熱だったり、接種部位の痛みというところばかりに目がいっていますので、この心筋炎の問題を考えますと、その後しばらくこういうことが起こり得る。しかも、本当にどれくらいの時期に起こりやすいのかというと、実は我々もまだ分かりませんので、そこら辺の皆さんの視点を変えるという意味では、接種後、それから、感染後も含めまして、こういう胸部症状が起こった場合に、やはりまず受診をしていただくということを全ての方に伝えていくということは、このタイミングですごく大事なことだと思います。
○石井委員 ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
 ちょうど今私も言いかけておりましたのがそのことで、本当に因果関係というのはもう少し疫学的にやっていかないと確認できませんけれども、接種が進んでいく中で、若年層もこれから接種していくということで、事務局においてはぜひどういうふうな形で情報発信をしていくかということを御検討いただければなと思います。あまり危険だということを強調する、先ほどの岸参考人がおっしゃったような視点でいいますと、ちゃんと注意すれば、仮に因果関係があったとしても対応は十分できるということで、ただ、かといって、御本人が気づいていただかないといけないといった側面もございますので、どういうふうに発信するかということを事務局のほうでも御検討いただければと思いますけれども、現時点で何かございますか。
 事務局、お願いします。
○事務局 現時点で何か決めているということではございませんけれども、いろいろな方法があると思いますので、少し考えさせていただきたいと思います。
○岡座長 よろしくお願いします。
 宮川委員。
○宮川委員 先ほど岸参考人がおっしゃったことで絶対に忘れてはいけないのは、新型コロナウイルス感染症による心筋症というのは、従来考えられてきたこと以上にはるかに多い可能性があるのだということです。ですから、感染のあらゆる後遺症をしっかりと考えていくから、しっかりと接種をしなければいけないのではないでしょうか。接種後の心筋炎・心膜炎のことばかり恐れるのではなくて、感染症後のほうがはるかに多い可能性があるのだというメッセージはしっかりと出した上で、私たちは正しく恐れるということを考えるべきであるというメッセージもしっかりと確認しなければいけないのかなと思っていますが、よろしいでしょうか。
○岸参考人 私からよろしいでしょうか。
 そこをやはり一番強調したいと思います。今回のことを踏まえて、改めてワクチン接種に感染、重症化予防こそが大事であるというところをまず前面に出していただいて、今回のことが若い方を中心にワクチン接種への機運を下げることにならないことを強く願っております。
○岡座長 ありがとうございました。
 そうしましたら、時間の関係もありますので、心筋炎に関連する議論は以上とさせていただきます。
 岸参考人におかれましては、本日は本当に貴重な御意見を頂戴して、ありがとうございました。
 これ以降の議論につきましては、先生に御意見を求める予定は現時点ではございませんので、御退席されても差し支えはありません。
 本日はどうもありがとうございました。
○岸参考人 どうもありがとうございました。
○岡座長 それでは、次は死亡事例について議論をしたいと思います。
 死亡事例につきましては、事務局から1-5-1の8ページに論点として挙げられておりますけれども、今回は違ったまとめ方をしていただいておりますが、引き続き個々の事例について専門家として評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく。死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑みて、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかという2点が挙げられておりますけれども、この点について御議論いただけますでしょうか。
 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 原則なのですけれども、いろいろなマスコミ等の報道を含めてですが、報道の中でγの取扱いというのは非常に難しいなと思っております。γの場合には「情報不足等により」という形で書いてあるので、その「等」ということをちゃんと報道されていないので、ただ情報不足でそういうふうに分からないまま死亡されているのがどうなのだという報道がされているのは、私は非常に残念で、そういう意味では、現時点での科学的な知見に基づいた詳細な検討の結果、そういうことになっているのだというメッセージはしっかりと出していかなければ、今のところ、そういうところだよというようなメッセージは非常に重要なのですが、それが欠けているわけです。私たちは、それから、専門委員も、いろいろな医療に関わる人たちも、ただ漫然と見て見逃しているのではなくて、一生懸命現時点での科学的な知見に基づいた詳細な検討を行った上で、そういうような結論が出ているのだというメッセージはしっかりと出していくべきで、γというのは今までの関連の中でそういう表現になっているので、何かそれに付随して今回新たにそういうメッセージというものを世の中に出していったほうが混乱が避けられるのではないかなと思ったので、一言申し上げさせていただきました。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。非常に大事な御指摘だと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 死亡事例に関して何か御意見はいかがでしょうか。
 森尾委員、お願いいたします。
○森尾委員 宮川委員の御意見と関連してなのですけれども、事務局がまとめていただいている資料1-1-5-1の5ページは非常に重要な資料だと思っております。事象ごとで年齢を分けて出していただいていて、これを見て、そして、専門家の方に御判断いただいて、恐らく皆様が一人一人の例をご覧になられて、何かあれば深掘りさせていただくというスタンスだと思います。この基盤的なところとして、やはり皆様このところを見ていただいて、そして、確認をして議論をするということが非常に重要かなと思いますし、こういうことをしているということが非常に重要なメッセージなのかなと思っております。
 以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 集団としてのデータという中に報告した病名一つ一つを取り上げて、何か傾向がないかというようなことを個別に検討していただいているということになります。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、そういう社会への説明というのも今後検討しながら、ただ、現時点においては、死亡例についての論点はこの事務局案で基本的には進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、次にアナフィラキシーとして報告された事例についてということで、事務局から論点として挙げられておりますけれども、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関して、現時点において引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続することとしてよいかというまとめになっておりますが、アナフィラキシーについてはいかがでしょうか。
 モデルナに関してはデータが集まり始めたところということになると思いますので、しばらく見ないといけないと思いますけれども、ファイザーに関してはある程度傾向も見えてきているのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。何か気になる点等ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 そうしましたら、そのほかの新型コロナワクチンの副反応全般に関して御意見、御質問等ございますか。いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 今回、初めてロット間の差異について取りまとめをいただいて、ありがとうございました。こちらの取りまとめには書いていませんが、ロット間によっては年齢とか優先順位の接種等で様々な要因や限界点があってなかなか評価しにくいと思うのですけれども、結局、今回のまとめと資料においては、やはりロット間の差異は今の段階では見受けられないという見解で事務局はいらっしゃるのでしょうか。逆に、今回のアナフィラキシーの部分で、そういったものもロット間のことに関して資料で取りまとめていただいているので、書いてもいいのかなと少し思ったのですが、いかがでしょうか。
○岡座長 その点、いかがですか。
 お願いします。
○事務局 これまでロット別の解析につきましては、アナフィラキシー事例の報告頻度という形で確認しておりまして、今回、初めてブライトン分類1~3のほうで見ております。解析の結果としましては、おおむねアナフィラキシー事例の報告と同じような傾向だったかなと思っております。具体的には、これまで御議論いただいたとおり、65歳未満、比較的若い女性で多いという傾向は変わらなかったかなと思っておりまして、具体的にこの結果が何を示しているのかというのは、舟越委員の御指摘のとおり、なかなか限界がありますので、確定的なことはもちろん申し上げられませんが、比較的初期のロットに対してアナフィラキシーの報告事例が多かったということにつきましては、これまでも御議論いただきましたとおり、接種開始直後は医療従事者のほうがメインだったとか、1回目の接種であったとか、あるいは接種開始直後に関しましては先生方もかなり丁寧に副反応についても観察いただいていた、あるいは報告をいただいていたということがあると思っておりますので、傾向としましては、今の時点で大きくロット間の差があるとは考えてはおりません。
○舟越委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 では、多屋委員、お願いします。その後、山縣委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 今回、ブライトン分類1~3でロット間の比較をしていただいたことで、やはり初期のロットで若干アナフィラキシーが多いように見えるのです。今後、接種が進んでいけば、後半に出たロットも増えてくるかもしれないのですけれども、例えば発熱などアレルギーに関係しないものはロット間でどうだったか。アナフィラキシーですけれども、同じような例えば喘息発作であったり、じんましんとか、アレルギー反応として報告された症状はロット間に差がなかったかということを見ることで、少し多めに出ているロットについての解析がもう少し進むのではないかなと思ったのですけれども、そういうことは可能でしょうか。
○岡座長 ほかの全身反応も含めたものですけれども、事務局、いかがですか。
○事務局 もちろんラインリストという形で情報を持っておりますので、こういったものを見るべきだ、あるいはこういった年齢層、こういった性別を見るべきだということがありましたら、適宜おまとめさせていただきたいと思います。
○岡座長 よろしいでしょうか。
 では、山縣委員、その後伊藤委員、お願いします。
 山縣委員、お願いします。
○山縣委員 山縣です。ありがとうございます。
 多屋先生とほとんど同じ質問をしようと思っていました。ありがとうございます。
 もう一つ、要するに、これが本当にアナフィラキシーだけの話なのか、ほかの話なのかというのが非常に重要な点だと思いました。
 あと、現状でこの資料だけだと本当にミスリードするようなロット間に大きな違いがあるということしか見えてこないので、先ほど話された、いわゆるバイアスという、それをどういうふうに一般の方に説明するのかということはあると思いますが、特にセレクションバイアスがここに存在するために起きている可能性があるということについては、何らかの説明が必要なような気がします。それは先ほどの心筋炎・心膜炎の場合も同じで、NDBのデータも明らかに男女差がありましたし、一方で、ワクチンと違って高齢者のほうが多かった。岸先生がお話しされたことと今回どうしてそれが見つかっているかというお話とすごく整合性のあるものであったと思いますので、そういう解釈をやはりどこかでしっかりとした上で数値を出すということは必要だと思いました。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 事務局、この時点では何かよろしいですか。
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 ロット間の話でなくてもよろしいでしょうか。
○岡座長 結構です。
○伊藤(清)委員 別のことなのですけれども、モデルナのほうのワクチン、遅発性の副反応の話が以前もあったと思うのですが、今回の資料では5月22日から6月13日ということで3週間分ぐらいの報告がまとまっていると思うのですけれども、遅発性のものについてはまだ上がってきていないということでよろしいのでしょうか。例えば資料1-1-1の一番最後に4日目までの報告数があるのですけれども、それ以降はないようなのですが、それは時期的にまだ上がっていないということなのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
 資料1-1-1の20ページに、症状別報告件数ということで、ここは特に接種後どれくらいの期間を経たかにかかわらず、症状として報告があったものを全て一覧でまとめさせていただいております。現時点ではになりますが、今のところ、そういったものはないかなと考えております。
○伊藤(清)委員 今おっしゃった20ページのものも含めたものが最後の28ページにまとめられているわけではないのでしたか。
○事務局 20ページは、モデルナについて報告があった症状を全てまとめております。28ページにつきましては、ここでリストの中でお示ししているものについて、発症までの期間でさらに解析したものになりますので、20ページのほうに関しましては、報告があった症状は全てまとめております。こちらにないということですと、現時点では報告がないということになります。
○伊藤(清)委員 全ての症状についてこういう発症までの期間をまとめていただくことはされていないわけですね。それは数が多いから難しいということでしょうか。
○事務局 20ページに関しましては網羅的に集めておりまして、28ページに関しましては、実は多屋委員に御集計いただいている部分になりまして、もし多屋委員からコメントありましたらいただけないでしょうか。
○岡座長 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤先生、ありがとうございます。
 今日、後半でお話をさせていただくことになっているのですけれども、この一番最後の表は先生がおっしゃるとおりで、新型コロナワクチンが始まる前に、どの症状を積極的に報告していただくかということを議論したときがあったと思います。アナフィラキシーは報告義務、そして、ここの下に書いてあるものは、特に厚生労働省が積極的に報告をしていただきたいという疾患について表を作っています。何日目に発症したかを見ることで傾向がつかめると思いました。心筋炎がそんなにまだ日本で話題になっていないときにこれを見たら、全員が20代、30代の男性で、接種から5日までに起こっていたのです。なので、5日以降に報告された人は、この表を作った段階ではなかったということになります。よろしいでしょうか。
○伊藤(清)委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 また後で多屋委員が副反応のまとめ方についてお話しいただけるということで、そこでまた御検討いただければと思います。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、ここで今までの議論について一度まとめておきたいと思います。
 これまでに議論した上で確認できた内容といたしましては、まず副反応疑い報告の状況ですけれども、コミナティの評価期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.06%であり、前回の合同部会時の0.08%からやや低い値となった。
 また、モデルナの評価期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば報告頻度は0.02%であり、前回の合同部会時と同一であったとまとめました。
 そして、死亡事例につきましては、死亡事例の報告状況を整理いたしますと、コミナティにつきましては、前回の合同部会から集計対象期間である6月13日までに新たに81件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降、集計対象期間までに報告された277件については、272件がワクチンと症状名との因果関係が評価できないγ、2件はワクチンと症状名との因果関係が認められないβとされ、αはございませんでした。複数の症状が報告された3件は症状ごとにβまたはγと評価されております。また、14日から18日までにさらに78件の報告があった。
 モデルナについては、前回合同部会から集計対象である6月13日までに死亡事例の報告はなかった。なお、14日から18日までに1件の報告がありました。
 今回新たに報告のあった事例を踏まえても、前回までと同様であり、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられるとまとめさせていただきました。
 今後、さらに高齢者の接種が進むにつれて、新型コロナワクチンに対する社会的な関心の高さもあり、偶発的な事例や他原因による事例も含めて死亡報告が多く報告されることが想定されます。
 報告された事例につきましては、これまでと同様に当審議会で評価を行い、状況を注視しつつ可能な限りの情報発信を行っていくことが重要であると考えます。先ほど委員からも御指摘がありましたように、情報発信をどういうふうにしていくか。特にγの取扱いについては今後考えていく必要があると思います。
 さらに、死亡を含めた副反応疑い報告数が増加しつつある状況も踏まえて、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく必要があるとまとめさせていただきました。
 アナフィラキシーにつきましては、アナフィラキシーについての報告状況を整理すると、コミナティについては、接種開始から6月13日まで、医療機関から1,462件、製造販売業者から1,407件の報告があった。また、製造販売業者からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1~3に分類されたものは238件であった。
 モデルナについては、接種開始から6月13日まで、医療機関から4件、製造販売業者から3件の報告があった。また、医療機関からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1~3に分類されたものはありませんでした。
 アナフィラキシーとして報告された例は、引き続きほとんどの症例で軽快していることが確認されています。
 以上のことから、アナフィラキシーとして報告された事例については、発生動向に大きな変化はなく、現時点において引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続するということでよいのではないかとまとめさせていただきました。
 また、接種後には一定頻度でアナフィラキシーが生ずることを前提とした上で、引き続きこれまでの対策を継続するとともに、国内外の報告を注視していくことでよいのではないかとさせていただきました。
 よろしいでしょうか。
 そして、今日多く御議論いただきました心筋炎・心膜炎ですけれども、海外の規制当局において注視されている心筋炎関連事象については、現時点においてワクチンの接種体制に影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内の発生状況や海外における報告状況を注視し、検討を継続することでよいのではないか。ただし、御議論の中で情報発信について検討いただくという宿題をいただいたかと思います。
 以上のまとめにつきまして、何か御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 以上、今回報告のあった具体的な事例を踏まえまして、2種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうかについて、御意見をいただけますでしょうか。現状の取扱いを継続する方向性でよろしいでしょうか。
 そうしましたら、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 ありがとうございます。委員全員の方にうなずいていただいたことを確認できましたので、そういう形で進めさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題として、資料1-5-2「副反応疑い報告基準改訂の検討」についてということで、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 資料1-5-2「副反応疑い報告基準改訂の検討について」ということで、資料を御説明させていただきます。
 まず2ページ目でございますけれども、新型コロナワクチンに係る副反応報告基準に係るこれまでの経緯を少しまとめさせていただいております。
 ファイザー社ワクチンの特例承認後に開催された本年2月15日の副反応合同部会、及び武田/モデルナ社ワクチンの特例承認後に開催されました5月21日の同部会におきまして、新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準に関しましては、新型コロナウイルス感染症の予防接種に係る副反応疑い報告基準として、以下のような整理を行い、省令で規定しているといったところでございます。
 5月21日の部会では、新型コロナワクチンの接種が世界的に進む中で、国内においても安全性に資する知見、すなわち副反応疑い報告が集積されている状況でございましたけれども、積極的に報告を行うことを検討すべき症状については、引き続きできるだけ早期に情報の収集や整理を行った上で議論を進めていくこととされたところでございます。
 そうした状況の中におきまして、新型コロナワクチンに係る副反応疑い報告事例につきましては、個々の事例のみならず、集団としての傾向を踏まえ、副反応疑い報告基準の改訂も含め、引き続き議論を継続していくことが重要と考えております。
 今回考えられる論点の例といたしましては、例えば先ほど資料1-5-1で議題に上がりました心筋炎あるいは血小板減少を伴う血栓症、あるいはその他といったところが考えられるかと認識しております。
 資料3ページ目につきましては、現時点で新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する厚生労働大臣の指示等についてということで、5月14日のワクチン分科会の資料を載せさせていただいておりまして、中段にアナフィラキシーあるいはその他といったところ、あるいはその期間が4時間、その他につきましては予防接種との関連性が高いと医師が認める期間と定められておりまして、また、留意事項のところに、いわゆる積極的な報告を検討いただきたい症状ということで列挙しているといった現状でございます。
 4ページ目につきましては、こちらも再三御紹介させていただいておりますけれども、実際に副反応疑い報告の報告書の中では、このような記載方法をもちまして新型コロナウイルス感染症1、2ということで、あるいは右側にその他というところで設けさせていただいているということで運用状況を御紹介させていただいているところでございます。
 また、5ページ目あるいは6ページ目につきましては、こちらも以前からの資料の再掲となっておりますので、今回の御議論をいただく中で御参照いただければと考えております。
 7ページ目でございますけれども、アストラゼネカ社のワクチンにおきましては、現状では薬食審のほうで承認後、現在分科会でその運用状況について検討中といった状況でございますけれども、このアストラゼネカ社の接種後の血栓症関連事象について海外でも注目されているといったところであると認識しております。
 こちらは英国の状況をまとめさせていただいているスライドでございます。英国におきましては、アストラゼネカ社のワクチン接種後にごくまれに発生する血小板減少を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)に関して徹底的な評価を実施されております。また、この血小板減少を伴う他の血栓症についても注視されているといった状況でございます。
 1回目のワクチン接種後の血栓症関連事象の報告例については、女性の発生率が男性よりも若干高い。あるいは、2回目の接種後の血栓症関連事象の報告数は1回目に比べると少ないといったことも述べられております。また、1回目の当該ワクチンの接種後に血栓症を発症した方は2回目の当該ワクチンの接種を受けるべきではないといったことも述べられております。
 また、発症に関しましては、当該ワクチンの接種から約4日後に鎮痛剤では治まらないような激しい頭痛、あるいは会話困難を伴うような異常な頭痛等の症状が起こった場合にはすぐに医師の診察を受けるべきであるといったことが述べられております。また、現時点では、当該ワクチンが血小板減少を伴わない静脈血栓塞栓症を引き起こすとのエビデンスはないとされております。
 そういった状況を踏まえましてですけれども、発症頻度等を踏まえまして、現時点で英国におきましてはワクチン接種のベネフィットがリスクを上回る旨の勧告は変わらないといったことが述べられております。
 その他、8ページ目は欧州の報告状況ということでまとめさせていただいておりますので、こちらも御参考いただきながら御審議いただければと考えております。
 9ページ目におきましても、アストラゼネカ社のワクチン接種後における血栓症関連事象ということで、報告頻度につきましてお載せしておりますので、こちらも御参考いただければと考えております。
 10ページ目におきましては、現時点でアストラゼネカ社ワクチン(バキスゼブリア)の添付文書の当該部分を抜粋しております。「2.接種不適当者」におきましては、2.4といたしまして、コロナワクチンの接種後に血小板減少を伴う静脈もしくは動脈の血栓症を発症したことがある者につきましては、接種不適当者と記載されております。
 また、重要な基本的注意のところで、8.8におきましては、本剤接種後に重篤な血小板減少を伴う血栓症が認められている。また、その多くは、本剤接種後、14日以内に発現しており、特に本剤接種後の4日から28日後に重度もしくは持続的な頭痛等が発症した場合には、これらは注意を要するといったところが述べられております。
 また、副反応疑い報告基準に設ける際の重要な資料となっております、いわゆる重篤な副反応、11.1のところにおきましては、現時点で11.1.2としまして、血栓症・血栓塞栓症(脳静脈血栓症・脳静脈洞血栓塞栓症、内臓静脈血栓症等)とされており、こちらに付帯としまして血小板減少を伴うことがあるということが付記されております。
 こうした内容を踏まえまして、仮にアストラゼネカ社のワクチンの運用が始まりました際の新型コロナウイルス感染症の予防接種に係る副反応疑い報告基準の設定の例といたしましては、例えば症状として血小板減少を伴う血栓症、期間としては例えば28日といった記載内容が考えられると考えております。
 また、11ページ目でございます。こちらも参考でございますけれども、血栓症以外におきましては、アストラゼネカ社のワクチンにおいて、発症頻度は非常にまれではございますが、毛細血管漏出症候群(CLS)の関連事象につきまして、英国等から以下のような報告がなされておりまして、こちらに関しましては現在の時点では添付文書上は重大な副反応には入っておりませんけれども、今後そういった改訂等も含めて可能性があるということで、現時点の御参考ということで載せさせていただいている次第でございます。
 こうした資料を御参考にしていただきながら、多屋委員からの提出資料も参考に議論を深めていただければと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、引き続き多屋委員から提出資料の御説明をお願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 新型コロナワクチンの接種が始まるに当たりまして、海外の状況などをいろいろ調べてまいりました。その中で、今回、3つ代表的な機関を出しました。
 左から3つ目の列が、WHOが出している新型コロナワクチンに関するセーフティーサーベイランスマニュアルというものです。ここに書いてある病名あるいは症状がサーベイランスすべきというか監視していくべき症状として挙げられています。
 その右隣に書いてあるのは、SPEACと略語で書いてありますけれども、Safety Platform for Emergency vaccines CEPIというもので、この資料の中に、やはりサーベイランスすべき疾患、監視すべき疾患という形で、病名あるいは症状が羅列されています。それがこの列に書いてあります。
 3つ目が米国CDC。前々回ぐらいだったでしょうか、厚労省で作っていただいた資料にも引用されていたのですけれども、ACIPの会議でDr.Shimabukuroが発表されていた資料があったと思うのですけれども、そこにこういう疾患について監視している、サーベイランスしているという病名が幾つか書いてありました。そこで、これらを3つ並べて、これらのどれかに入っていれば、左側から2番目の列に日本語で病名を書きました。
一番上のオレンジにしているカテゴリーは、既に日本で報告義務となっているアナフィラキシー、そして、先ほど伊藤委員もおっしゃってくださいましたけれども、新型コロナワクチンはまだ新しいワクチンなので、これらの疾患は特に気をつけて積極的に報告をお願いしましょうと決められた疾患が書いてあります。これを見ますと、WHOもSPEACも米国CDCも、どれも監視すべき疾患として挙げているものが多いです。
 今までにどれぐらいの報告が届けられているのかという数字を右の2列に書きました。右から2列目が医療機関報告、一番右が企業報告です。例えばアナフィラキシーだと1,400余りの報告があります。今はアナフィラキシー、そして、前々回ぐらいから心筋炎などを特に注目してここで議論しているのですけれども、ほかにADEMや脳炎脳症、あるいはけいれん、ギランバレー症候群、顔面神経麻痺といった症状がこのぐらい報告されていますというのをまとめています。
 次に、その下の緑のカテゴリーにしているのは、この3つの機関で監視すべきと掲載されている疾患の中に入っているのですけれども、日本としては特に積極的にはお届けをお願いしていない病気です。しかしながら、実際に右の2列にあるように報告はしていただいておりまして、今回アストラゼネカ社のワクチンの重大な副反応に入った血栓塞栓症というのは、このページの一番下が血栓塞栓症ですけれども、具体的にはその下にどのような疾患名で報告されているかというのが書いてあります。その次のページにありますが、大脳静脈洞血栓塞栓症が医療機関から2人、企業から2人というように既に報告がなされています。下の方を見ていただいて、血栓とか塞栓というのはいろいろな病名で出てきますので、ここには実際に報告された名前を羅列しています。あと、脳梗塞、脳出血といっても様々な病名で報告されています。WHOは「haemorrhage」という形で監視する症状のリストに挙げているのですけれども、そうなるとかなり病名としては多くなってきます。
 ずっと下のほうにいっていただきまして、ここに書いてあるような病名についてはサーベイランスしていくと考えると、右の数字を見ていただきますと、実際に既に報告されているということがわかります。
 一番下に行っていただいて、ブルーのカテゴリーですけれども、これが先ほど事務局が御紹介してくださったように、副反応疑い報告書の右側にAからWとして、もしこの疾患があったら、手書きのものの場合、丸をつけて報告してくださいというものがあります。これは特にWHOやCDCやSPEACのリストの中には入っていなかった病名なのですけれども、実際このように報告がなされています。
 以上のことから、今、厚生労働省が積極的に報告をお願いしますと求めている疾患以外にも、例えばこの中から幾つか選んで、これらは積極的に報告をしてほしいという形でこの部会で決めていただくことができましたら、先ほど伊藤委員がおっしゃってくださった帳票の下に、例えば接種から何日目に起こっているかといったまとめを作ることができると考えております。
 簡単ですけれども、私からは以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、ただいま事務局及び多屋委員から御説明がありましたけれども、5月21日の合同部会のときのこの報告基準について御議論いただきましたが、そのときに報告基準について引き続き多屋委員を中心に検討を進めることになっておりましたけれども、委員の方も御存じのように、アストラゼネカ社の新型コロナワクチンが今後臨時接種で使用されることも想定される状況でございますので、本日はアストラゼネカ社のワクチンが臨時接種でも使用されることも見越して報告基準の議論をしていただければと思います。
 どなたか御発言はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 濱田委員、どうぞ。お願いいたします。
○濱田委員 多屋先生の御発表は、これは非常によく分かって、私はいいと思うのですけれども、今日はアストラゼネカのワクチンの副反応基準を決めるということですか。今日というか、今後ということですか。
○岡座長 今日決めるわけではなくて、今後ということです。そういう理解でよろしいですか。
○濱田委員 そういうことですね。
 先ほどの資料で血栓症云々は既にいろいろなところで論議されていることであるので、それを載せるかどうかというのは確かに上がってくると思うのですけれども、アストラゼネカのワクチンについて添付文書を我々はあまり詳しく見ていないのではないかと思うのです。
 今回も一部抜き出したものがあるのですけれども、あの添付文書は既にPMDAのホームページにも公開されています。これを見てみますと、切り取ったところで、重要な基本的注意の8.8には確かに血栓症というのが書いてあるのですけれども、その上の8.6のところには次のように書かれています。本剤との関連は確立されていないが、本剤接種後に、非常にまれに脱髄疾患が報告されていると。被接種者に対しては、脱髄疾患が疑われる症状が認められた場合には直ちに医師等に相談するようにということで、重要な基本的注意の中に入っております。これは重大な副反応には入っていないのですけれども、よろしいのでしょうか。あまりこうした議論がされないまま、血栓症のほうだけを議論しているのではないかと思うので、発言させていただきました。
○岡座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 今、先生にご指摘いただきましたのは資料1-5-1に関してのことかと存じますが、参考資料5をご覧いただきますと、添付文書全体をお載せしておりますので、委員の先生方におかれましてはこちらも御参照いただければと考えております。血栓症に限って御議論いただきたいというわけではございません。これまで副反応疑い報告基準とするにあたりまして重要視してきたのが、今、濱田委員御指摘の、重大な副反応に記載されている患者名でございましたので、資料1-5-1では重大な副反応の部分についてお載せさせていただいた次第でございます。もちろん添付文書全体を見ていただきながら、広く御議論いただきたいと考えております。
○岡座長 そこも踏まえてということで、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○濱田委員 分かりました。
 ニュースとか見ますと、アストラゼネカを実際に使う方向で準備を始めると載っていたので、かなり早くこれを決めなければいけないのか。今日決めなければいけないのかと思いました。そういうわけではなくてということですね。今後決めていくということで事務局としてはよろしいわけですね。
○事務局 ありがとうございます。
 御指摘のとおりでございまして、本日御審議いただいて決定するということではなく、以前の5月21日審議会と同様、引き続き副反応疑い報告基準等につき御議論を継続していただきたいと考えております。その中で多屋委員から提出いただきました資料も含め、報告された疾患全体を幅広く見ていく中で、例えば先ほど御議論がありました心筋炎、あるいは既に薬食審で承認されているアストラゼネカ社ワクチンの血栓症、こういったところはトピックとして考えられるのではないかというところでございます。引き続き広く御議論を継続していただきたいと考えております。
○濱田委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○岡座長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 今回、アストラゼネカは薬食審で審議したわけですけれども、今後ウイルスベクターとしていろいろなワクチンが出てくるはずです。そうなってくると、類似としてそのような副反応事例を検討しなければなりません。
今後の展開の中できちんと議論しなければならないという意味で、ある程度関連のある事象に関してしっかりと議論を固めておかないと、と考えます。アストラゼネカというだけではなくて、ウイルスベクターを使ったワクチンの性質を考えて、副反応検討部会でしっかりとした議論をしておかないといけないのではないかなと思った次第なのです。
 以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 分からないことなので教えていただきたいのですが、承認されて、この添付文書だけ見て、販売開始が2021年5月と書いてあると、今にでも使ってしまいそうに見えてしまうのですけれども、実際のところ、今後のステップといいますか、どういうプロセスを踏んでいつごろ使用開始になる、といった見通しを整理していただけないでしょうか。
○岡座長 手続について御説明をお願いします。
 事務局、お願いします。
○事務局 実際に接種するまでに必要な手続について御説明させていただきたいと思います。
 これは5月に薬事承認は済んでいるという段階です。次に、予防接種法に基づいて接種をするためには、この部会の上の分科会ということになりますけれども、予防接種・ワクチン分科会のほうで御議論いただいて、これを予防接種法において接種を位置づけるのかということを議論いただくことになります。その議論を経た段階で必要な厚生労働省令の改正であるとか、大臣の指示といったことをすることになります。その際、副反応報告基準をこれまでのワクチンと比べて何か変更する必要があるということであるとすれば、この部会においてもそういったことについてお決めいただく必要がございます。それが手続としての大きな一まとまりのステップです。
 もう一つ、ワクチンの供給という観点がございまして、普通であれば発売なのだと思いますけれども、このワクチンに関しましては国で一括して買い上げておりますので、これをどう実際に接種の現場にお届けしていくかというのは、またそれはそれでもう一つのステップとしてございます。
○佐藤委員 ということは、まだまだ非常に多くのステップを踏んでいく、慎重に進めていくという段階ということで、今は割とブレスト的に考えられるリスクを挙げている段階という理解でよろしいですか。
○事務局 何月何日に何の議論をするということはまたこれから決めていくことになるわけなのですけれども。
○佐藤委員 もちろんですけれども、割と闊達に、忌憚なく言ってしまうほうがいいということですよね。
○事務局 予防接種分科会のほうで引き続き議論するということになっていまして、その議論の日程が何か固まっているわけではないのですけれども、これは関心の高い事項でもございますので、今後予防接種分科会のほうでも議論が必要ですし、そちらのほうで話が固まるときには、こちらのほうは即座に決めないといけないということになると思いますので、こちらのほうも継続して御議論いただいているという形でございます。
○佐藤委員 準備をしておくということですね。分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 今日、忌憚のない御意見をいただいておいて、もし実際に使われるようであればと思いますので、ぜひよろしくお願いします。前のときと少し間が空いてしまいましたので、そういう意味でお願いできればと思いますけれども、どなたかいかがでしょうか。
 私のほうから多屋委員にお伺いしたいのですけれども、この表は病名が非常に多数並んでいるという状況で、例えばチェックリストみたいな感じでこれを記載するというのは、もしかしたらしやすいのかもしれませんが、逆に病名がこれだけ並んでしまいますと、注目すべき疾患というのが注目できないというようなところもありますので、その辺りは多屋委員としてはどんなふうにお考えでしょうか。どういうふうにしたらいいかというアイデアは何かございますでしょうか。
○多屋委員 ありがとうございます。
 既に積極的に報告をお願いしている疾患として挙げてくださっている一番上のオレンジのカテゴリーの病名に、これはやはりサーベイランスしたほうがいいよ、監視していったほうがいいと海外の複数のところが出しているようなグリーンの病気はここに入れていく。グリーンのカテゴリーに入っているものをオレンジに入れていくことで、毎週のこの部会資料としてまとめの帳票を作ることができるようになります。もう一つは、積極的に報告を求める病名をどうするかというのはできれば副反応検討部会で一定の議論をしていただけるとありがたいなと思っているところです。
 オレンジのグループの中に入っていなくても、グリーンのグループを見ていただいたらと思いますが、既に報告はしてくださっているのです。なので、オレンジのグループに入らないと報告されないということではないということは分かると思うのですけれども、やはり、今回の心筋炎もオレンジのカテゴリーの中に入れていただいていましたので、実際に日本でこれぐらい診断されているのだなということもすぐに分かりましたし、そういう意味では、もう少しこの病名を多くしたほうがいいのではないか。決してその下のところを全部入れたほうがいいとは思っていないので、このうちの一部、これらについてはオレンジに入れたほうがいいのではないかということを決めていただけるとありがたいなと思っていました。
 グリーンのグループの中に一つ、先ほどの血栓塞栓症があります。もしアストラゼネカさんのワクチンが臨時接種に使われるということになるのであれば、これまでの経緯を考えると、特に積極的に報告を求める疾患ではなくて、むしろ報告義務となるアナフィラキシーと同じような位置づけの疾患になってくるのだろうと考えているところです。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうすると、私が思うに、考え方としては恐らく2つあって、一つは、ここで実際に数字として上がってきているものと、あとは血栓症のようにより関連性が高いもの、そういった中で選んでいく形になるのかなと思いますけれども、ほかの先生方で何か御意見等ございますか。
 長谷川委員、どうぞ。お願いします。
○長谷川委員 長谷川です。
 これはアストラゼネカ用ということではなくて、この新型コロナのワクチン全体のものを統一して変えるということでよろしいのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 5月21日のときにも少し御議論いただいたと思うのですけれども、現状の枠組みといたしましては、新型コロナワクチンをひとまとまりとし、新型コロナウイルス感染症の予防接種に係る副反応疑い報告基準ということで、アナフィラキシーとその他、として設けております。このため、実際に新たな報告基準を決めていく際、例えばアストラゼネカの運用が始まる際には、アストラゼネカのワクチンの副反応疑い事例を別立てとして報告を求めるのか、それとも、新型コロナワクチン全般の副反応疑い事例として求めていくのかというところ、そういった意味で2つの論点があるかと考えております。さらに、以前にも御議論があったかと思うのですけれども、実際に添付文書上に載せられている文言と完全に一致する必要はないのですが、具体的には、例えば血栓症として求めるのか、あるいは血小板減少を伴う血栓症として求めるのかといったところにつきましても決めていく必要があると考えております。
○長谷川委員 現段階では分けるか統一なものかというのもまだ決まっていないということでよろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりとおりでございまして、そこも含めて議論するところかなと考えておりまして、以前の御議論の中ではmRNAワクチンと横並びで見ていくことも重要ではないかといった御議論もありましたので、その枠組みも含め、御議論いただければと考えております。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○岡座長 この点についてはいかがでしょうか。
 森尾委員。
○森尾委員 ありがとうございます。
 たしか今までの議論では、皆様、できるだけ統一してコロナウイルスワクチンとして見ていったほうが、比較もできますしいいのではないかという流れではなかったかなと思います。ここら辺、また確認できればと思っております。
 もう一点、多屋先生の非常に力作のところ、後でぜひコメントさせていただきたいのですけれども、まず今回、重大な副反応として、アストラゼネカで挙がっているものですよね。これはどうしても今回副反応報告基準の中に入れ込まざるを得ないのだと思いますし、これが実際にいつ使われるかというのは別にしてもある程度議論を進めておかなければいけないと思います。実際に重大な副反応としては、血栓症、血栓塞栓症で血小板減少を伴うことがあると書いてあるのですけれども、実際に参照されている2.4、8.8、15.1は明示的に血小板減少を伴う血栓症、血栓塞栓症と書いていますので、私自身としてはやはり明確に血小板減少を伴うという形にしておいたほうが整理はしやすいのかなと。一方、多屋先生が挙げていただいたような形の血栓塞栓症というのは、やはりこのような形でモニターができればいいのではないかなと感じております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 まず1番目の御意見としては、mRNA、アデノウイルスベクターの両方のワクチンに共通する報告基準をつくっておいて、その間で比較対照もできますので、共通の報告基準がよいのではないかということだったと思います。
 2番目は、記載としては血小板減少を入れたほうがよいのではないか。それ以外の血栓症についても報告できる余地を残しておくといった2つの御意見だと思いますけれども、まず共通した報告基準にするかどうかの点についてはいかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 私も今の森尾先生の御意見に賛成で、どのワクチンの場合はこれを報告すると決めるのではなくて、新型コロナワクチンに統一した報告基準でサーベイランスして、きちんと監視していくほうがよいと思っています。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 倉根委員、次に濱田委員でいきます。
 倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 以前のときも同じような意見を述べたのですけれども、やはり分けずに一つとして集めていくというのが良いと思います。必ずしもあるワクチンではゼロでほかのワクチンのみにあるということでもないでしょうし、私は、報告としては新型コロナワクチンということで一つにまとめる形が適切かと思います。
○岡座長 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 2回ほど前の部会でモデルナのワクチンを承認したときに本件を議論し、それで多屋先生にこういったものをつくっていただくという方向になったと思います。あのときは、要するに、血栓症はアストラゼネカで多いわけだけれども、コロナワクチン全体に共通した特徴なのかもしれないので、全部を網羅する重篤な副反応のリストを多屋先生に作っていただこうということだったと記憶しております。その意味で、今回のこのリストというのは、mRNAワクチンとかアストラゼネカだけではなくて、全てのコロナウイルスワクチンに共通するものとして使っていくのがよろしいのではないかと私も思います。
 以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうすると、この点に関してはその方向性で先生方の御意見は一致しているということでよろしいでしょうか。
 あと、先ほどの森尾委員の御発言の中で、報告基準を考えていくときに、アストラゼネカのワクチンが入ってきた場合に、いろいろな表現の仕方があると思いますけれども、論文などですと血小板減少を伴う血栓症というのが多いわけですけれども、そういう表現がよいかどうか、その辺りについてはいかがでしょうか。皆様の御意見を今日の段階でいただければありがたいと思います。
 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 薬食審のときにも議論になったのですが、やはり血小板減少というのはしっかり入れておかないといけないと考えます。なぜかといいますと、それは治療のところでどうしても重要になってくる形になるからです。それは治療に当たるときにガイドラインが必要であるということで、脳卒中学会と血栓止血学会で作成されました。それは血小板減少を伴うということの中でどのような診断や治療方針をするべきかというものが定められました。現場の臨床医は診断においては、MRIでT2の強調画像をすることで、それから治療に当たっては、血小板減少を伴うということの中でヘパリンを使わないでその他の治療薬を使っていくというようなことが記載されています。やはりそのようなことを考えると、副反応に関してもあらかじめ何らかの定めがないと、前進できないのではないかなと思うので、ぜひそのような文言を配慮していただけるとありがたいなと思います。
○岡座長 ありがとうございます。治療も含めて意識をしてもらうという意味でも必要なのではないかという御意見かと思います。
 そうしましたら、もし特段の反対がないようであれば、報告基準とする場合には、ここの事務局のほうで考えていただいている血小板減少を伴う血栓症といった表現で、その中に、脳の中にできたり、腹部にできたりとかいろいろするわけですけれども、そういった表現でよろしいかということ。28日というのもそれでよろしいですか。少し遅れて出てくるみたいですけれども、28日であればカバーできるかなと思いますけれども、方向性としてはこれでよろしいのではないかということでお認めいただいたかなと思います。
 あと、多屋先生から御提示いただいたものの中でどれを追加させていただくかということは、この場で決めるのは難しいかと思いますけれども、もし何かその点に関して特段の御意見があれば頂戴できればと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐藤委員 確認です。スライドの視野が切れてしまっているのですが、オレンジと緑は何が違いましたか。上のほうを見せていただけませんか。
 これはかなり細かい病名が書いてあるのですけれども、カテゴリーでまとめていくという整理はきっとされるのですよね。でないと、さっき血小板が減少するということがすごく重要な項目になってくるというお話はありましたが、それとは別に下に血栓症というのがあったりしまして、このようにばらけていると見落としがあったりするかなと思ったので。そのあたりの整理もこれからやっていかないといけないということなのでしょうか。
○岡座長 多屋先生のほうで何かお考えはございますか。幅広く報告していただくという意味では、病名がある程度あると便利だろうということ、今、佐藤委員はかえってそれで見落としてしまうようなことがないでしょうかというような御意見だと思いますけれども。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 オレンジと緑の違いは、オレンジは既に積極的に報告してくださいという副反応疑い報告書に明記されている症状です。実際に報告書には血管炎と書かれています。でも、WHOやブライトンコラボレーションは監視したほうがいいですよと書いてあるので、それを日本語に訳したのでこのようなふうになっていますけれども、血管炎として報告してもらっているのだろうと思います。
 下のほうも、英語で書いてある病名がそれぞれこういう病気を監視していきましょうという疾患なのですけれども、それを日本語にした部分と、一つにまとめて急性心血管障害と書いていますが、その中には心不全だったり心原性ショックだったりがあるので、それをカテゴリーに分けているだけなので、副反応疑い報告書の注意事項には日本語でずらっと羅列するような病名が書かれていると思うのですが、そこの病名の書き方は事務局と御相談させていただいて少し工夫をすれば大丈夫かなと思っています。これを全部書くのは絶対に無理なので、少しまとめて記載する方法がいいのかなと考えているところです。またこれは御相談したいと思います。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
 森尾委員、お願いします。
○森尾委員 森尾です。
 今回出していただいた多屋先生の提出資料は非常に貴重な資料で、もう一つ、資料1-1-1の28ページだったでしょうか。発症日別のいろいろな事象を出していただいているものがあって、先ほど多屋委員から、これから重要なものを選択していくというお話がありましたので、大変かもしれないのですけれども、いつもやっていらっしゃるということなので、言葉に甘えさせていただいて、これはぜひ毎回御提示いただいて、そして、しっかり議論して日本のいいものをつくっていくということが重要かなと感じております。特に多屋委員、今日3つの資料とおっしゃっていただきましたけれども、WHOのサーベイランスマニュアルは和訳も作っていらっしゃったりしているので、そこら辺もしっかり勉強しながら作り上げていくことが重要かなと個人的に感じております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 今、森尾委員がおっしゃったのは、1-1-1の28ページに接種後の日数を記載されているので、本当にこれは作っていただいてどうもありがとうございます。心筋炎のときにはこれは非常に分かりやすかったと思います。こういうものを作る土台となるような疾患名の表をこの制度で作ると理想的ではないかという御意見だったかと思います。
 そうしましたら、今日の段階では、時間の関係もございますので、事務局とまた御相談いただいて、この中でどういった下のところの疾患をうまくピックアップしていくかということを御相談いただいてまたこの部会で出していただくというようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進ませていただきます。
 次に、今日いろいろ御議論いただいた心筋炎関連事象につきまして、新型コロナワクチンの報告基準上どのように取り扱うべきかということについて何か御意見、御質問等ございますでしょうか。これについては、現時点で判断が難しいことも多々ございますけれども、今日頭の中ではかなり整理できたかなと思いますが、いかがでしょうか。
 現時点では、積極的に報告してくださいということにしてあるわけですけれども、ただ、まだ因果関係等についてもはっきり証明されているわけではないですし、添付文書にも心筋炎というのはあまりはっきり記載されていないと思いますので、これは引き続き検討ということでもよろしいでしょうか。アメリカで若年者の接種が始まっていって、アメリカでどういうふうに判断されるかという辺りも本当に大事かなと思っていますので、引き続きこの部会で検討させていただくということにさせていただければと思います。ありがとうございます。
 最後に、そのほかの症状について、報告基準等について何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 多分今までの議論の中でかなり出てきたかなと思いますので、それでは、報告基準については以上とさせていただきます。
 それでは、次の議題として、資料2「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)健康観察日誌集計の中間報告(8)」ということで、伊藤委員、御説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 遅くなりましたので、簡潔にお話をさせていただきたいと思います。
 2月26日に調査の概要の説明をして、3月12日に1回目の中間報告をしておりますが、今回で8回目になりました。
 ファイザー社のコミナティ筋注については、数字のリバイスだけですので、説明は省略させていただきますが、1回目接種後初期の日誌が1万9742件で回収率が99.7%、2回目が1万9414件で回収率が98.9%になっております。
 コミナティ筋注の件に関して、今回は21ページと22ページが新しい資料です。健康観察日誌に記載された自由記載欄を従前は19、20ページのような頻度順で提示させていただいておりました。日誌では高頻度にでると予測された局所反応や全身倦怠感、頭痛などについてはありとなし及びその程度という形で情報をいただいておりましたが、今回はその情報と日誌の自由記載欄を併せて、添付文書と同様のSOCと呼ばれております期間別大分類と頻度を併せてクロス表にしております。1,000人に1人以上発現した0.1%以上のAEについては頻度を入れてあります。
 この表を作った理由は、被接種者の方が副反応かもと思われる際に参照していただくことで、副反応かほかの病気かの区別をつけやすくすることを期待しています。注射をした局所の痛みや発赤などは特に不安になられる方はいないと思いますが、発疹や下痢などの消化器症状や、リンパ節腫脹や咽頭痛、関節痛などに加えて、浮動性めまいなどの自律神経症状、じんましんなど様々な症状が出るということもこの表から御理解いただけると思います。
 高齢者よりも若い人は発熱を含めて副反応が出やすいと思いますので、参考にしていただきたいと思っております。
 25ページに移りますが、25ページはCOVID-19に感染された方は7名のままでした。終了報告が増えているので、10万人日当たりの感染報告率は0.72になっています。対象期間に該当する2月17日から4月30日の我が国の一日当たりの新規感染者数が2,375人でしたから、人口の1億2536万人で割りますと、日本全体では10万人日当たり1.89なので、医療従事者の感染率として95%の抑制にはなっておりません。1.89が0.72という数字ですので、感染防御について引き続き必要だという状況だと思っています。
 今回は、モデルナ社のワクチンの1回目接種後の日誌が一部回収できましたので報告いたします。
 30ページがモデルナ社ワクチンコホート調査の概要ですが、社会機能維持者としての自衛隊の隊員や職員の方を対象に、自衛隊の部隊の近くにある国立病院機構17病院、JCHOの6病院、自衛隊9施設でワクチン接種しています。
 32ページです。5月24日からワクチン接種を開始しておりますが、これはEDCの登録状況です。21日現在では6,162名の方が登録されておりますが、セキュリティーの関係で登録が多少遅くなっておりますので、被接種者数はもう少し多いと思います。自衛隊の隊員の方々ですので、男性が95%。20代から40代の方が多くなっているという状況で、60歳以上の方は大変少ない状況です。コミナティ筋注の結果と直接比較するのは難しいことは御理解いただく必要がありますが、次のページからの図で分かりやすいように、コミナティ筋注1回目のデータを載せております。33ページは発熱の接種日以降の状況です。発熱の頻度が少し高いのですが、翌日が高くて翌々日には下がってくるというパターンはコミナティ筋注と同じです。
 34ページは局所反応ですが、発赤や腫脹などの方は同じです。頻度は後で説明いたしますが、このグラフではコミナティ筋注に比べて低く表示されています。
 36ページは全身倦怠感、頭痛ですが、こちらはやや高く表示されています。
 37ページは、発熱などの頻度を年齢階級別に表しています。コミナティ筋注のときは20代から70代まで男女別に分けておりまして、それと比較すると今回の図は随分シンプルになっておりますが、女性は年代別に分けられるほどの人数がなかったので、性別をつけずに人数だけとしております。
 ご覧になって分かるように、疼痛については年代別の変化はありませんが、発熱、全身倦怠感、頭痛は年齢とともに発症頻度が少なくなっております。
 38ページにコミナティの1万9742例のモデルナの1,456例を合わせまして、1回目接種後のAEの頻度を年齢、性別で調整してモデルナ筋注とコミナティ筋注の比較をしております。コミナティ筋注では年齢が低い方と女性が発熱、倦怠感、頭痛の頻度が高いことが分かっておりました。モデルナ筋注の被接種者は男性が95%ですので、調整をしないクルードな数値では比較ができませんので、年齢と性別をロジスティック回帰分析に入れて、こういった表を作っております。モデルナ筋注のデータはコミナティ筋注のデータの10分の1以下ではありますが、1,000人を超えておりますので、傾向はわかるかと思っております。
 1回目接種後の発熱、倦怠感、頭痛などの副反応の頻度は、モデルナ筋注は高めに出ているようです。鼻水はコミナティ筋注が2月でモデルナ筋注が5月の接種なので季節の差だろうと理解しています。1回目は2回目に比べてAE全体の頻度が低いので、ワクチンそのものの違いを表しているのかどうかというのはこの結果では分かりません。2回目接種後の調査結果次第だと思っておりますが、33~39ページのグラフで比較すると違いがあるのは、AEの発現は女性が少ないため、コミナティとモデルナを比較するとこんな形になるのだろうと思いますが、今後女性の症例数が増えますと調整オッズ比は変わってくると思っております。今回は今後このような解析をしていくという理解に留めていただければと思います。
 最後のページにまとめを書いております。今のところ、コホート調査に登録された方において、現時点でPMDAの報告とかSAE報告は発生しておりません。
 報告は以上でございます。
○岡座長 貴重な御報告、ありがとうございます。1回目のデータが随分出てきたということのようです。
 いかがでしょうか。何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 モデルナのデータは非常に興味深いものだったのですけれども、先生、モデルナアームの状況も把握すると言われていらっしゃったのですが、今回は観察期間が8日間ですよね。それでも観察することはできますか。
○伊藤(澄)委員 前回と同じように、8日以降の2回目接種の28日後までのところは、別の日誌2というもので作っておりますので、そこで分かってくると思っております。そのデータとぶつける形で後半の日誌が出てくれば分かるはずですが、多分そのデータが出てくるのがあと3週間後ぐらいになるので、それから結果を提示させていただくことになろうかと思います。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、また引き続きデータが集まりましたら御報告いただければと思います。本当にありがとうございました。
 そのほか、全体を通じまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 今日は心筋炎も含めて非常に御議論いただけたと思います。本日の議事は以上で終了となります。
 そのほか、事務局から何かございますか。
○事務局 本日は長時間にわたり、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○岡座長 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。
 活発な御議論、どうもありがとうございました。