令和3年5月20日 第3回 障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議(議事要旨)

日時

令和3年5月20日(木)
16:30~18:30

場所

オンライン会議(厚生労働省 部長室横会議室)

出席者

構成員
代理出席

議題

  1. (1)「障害児入所施設移行状況に関する調査」の結果(速報VOL.2)について
  2. (2)「障害児入所施設のこれから18歳を迎える(毎年18歳に到達する)者の移行についての論点整理(案)」について
  • 議事の概要
    1. (1)議題(1)について、資料1の「障害児入所施設移行状況に関する調査」の結果(速報VOL.2)を事務局から説明した。
    2. (2)議題(2)について、資料2-1の障害児の新たな移行調整の枠組みの構築に向けた論点(案)(第3回)、資料2-2の「18歳を迎える(毎年18歳に到達する)者」の移行調整の流れ(案)を事務局から説明した。その後、「都道府県等での新たな移行調整の枠組み」「移行に関する準備を始める年齢と完了する年齢」「移行の準備のために必要な制度」について意見交換を行った。
  • 構成員からの発言の概要
    (1)都道府県等での新たな移行調整の枠組みについて(2回目)
    【論点1】都道府県等での新たな移行調整の枠組みについて、どう考えるか。
    • 障害児入所施設から成人サービスを体験利用する場合に、個別に市町村が支給決定するのではなく都道府県が包括的に支給決定することとしてはどうか。
    • 一定のルールの下で、都道府県が最終的に移行先の調整を行い、保護者が居所不明の場合は都道府県が一括して財源負担し、市町村ごとに分担金を払うことも考えられるのではないか。
    • 過齢児の問題が解決しない要因は、どこが責任をとるのかがはっきりしていなかったことが大きな要因。児童福祉から障害者福祉に移行するにあたり、移行できるように責任を持つというスタンスが必要ではないか。
    • 身近な市町村でこそ調整できるケースもあるが、医療的ケア、強度行動障害のケースは選択肢をより広げないと体験利用もままならない。都道府県は広域で、市町村は身近な場所で役割分担をしながら、移行調整する仕組みができるとよいのではないか。
    • 地域移行に在宅への移行も選択肢に入れるべきであり、地域に支援が充分にあれば、在宅に戻ることもあり得るのではないか。在宅に戻る場合は、家族支援も含めて手厚くサポートをする必要がある。
    • 児童相談所と都道府県の障害福祉課で連携がとれていない場合がある。18歳で期限が来たから親元に帰された事例もきく。次の生活の場を考えずに施設を退所させて、結果として過齢児がゼロとなっているとするとどうなのか。
    • 児童相談所と基幹相談支援センターや相談支援事業所との役割が曖昧と感じる。障害福祉計画の中に記載するなどして責任を明らかにする必要があるのではないか。
    • 市町村の圏域の障害者支援施設が必ず受け入れるというのは困難ではないか。
    • 地域の知的障害者福祉協会のような団体や自立支援協議会、コーディネーターが集まるところに、地域の障害者支援施設の現状などの情報を共有するシステムが必要ではないか。
    • 都道府県と市町村との連携の枠組みを提示して進めることが大事。曖昧な役割分担では、家族にしわ寄せがいくのではないか。
    (2)移行に関する年齢と必要な制度
    【論点2】移行に関する準備を始める年齢と完了する年齢について、どう考えるか。
    • 移行のための準備は、早い段階から取組むことが必要。
    • 移行先の候補地の相談支援事業所には、市町村を通じて話をすることになる。都道府県と市町村が一緒に移行先を探す体制が必要ではないか。
    • 早い段階から市町村に関わってもらう仕組みが必要。18歳になる前から市町村が援護の実施になることが分かるような仕組みが必要。これにより、者のみなし規定による体験がしやくなり、相談支援事業所との連携が速やかにできるのではないか。
    • 高校2年の1月から3月くらいに、児童相談所から市町村に児童福祉法第63条の2、第63条の3に基づく通知や、第26条第1項第4号の送致を行い、市町村に者のみなし規定により関わってもらい、今後援護の実施主体となるという意識を持ってもらうことで、円滑な移行のための役割分担をしていく必要があるのではないか。
    • 責任主体の役割がどこまでなのかわかりにくい。都道府県が行き先まで決めて市町村に伝えるイメージなのか、それとも市町村と一緒に本人の成人期以降の支援を検討するのかをはっきりさせた方がよい。
    • 都道府県、市町村、相談支援事業所などが並列して責任を担うとよい。体験利用の時には市町村の支給決定が必要なので、認定調査、体験利用の段階で市町村が関わってくることになる。
    • 体験利用しながら移行先はどこがいいのかを選ぶプロセスが、最重度の方の意思決定支援として必要。そのことも移行調整の流れ(資料2-2)に記載してはどうか。
    • 移行ありきで議論されると、今の生活がないがしろにされる懸念がある。どうやって社会に出ていくかを論点において、移行先や居所、日中活動を考えていく必要がある。
    • 学校卒業後の行き先があればよいという議論になりがちなので、充分に注意と配慮が必要。段階を例示したり、今の生活を充実させることも明確に打ち出すことが重要。
    • 18歳になると障害支援区分も出る。他のサービスから考えると3年ごとに審査会にはかる仕組みがあるのでその活用も考えてはどうか。完了の年齢はまずは3年として、一度延長も可能にするよう考えてはどうか。
    • 居住地特例により、今まで支援して来た市町村ではなく、18歳前日の保護者の居住地の市町村が支給決定と財源負担をするということになるので、都道府県が全体で財政を調整できる仕組みがあったらよいのではないか。
    • 困難な子を支援している場合でも、児童相談所が最終的に責任を持ってくれるので安心感がある。社会的養護の子どもの施策と同様に都道府県がしっかり責任を持って、その上で市町村とも連携しないと子どもが守られないのではないか。
    • 施設から退所させるための支援ではなくて、リービングケアはその子の人生を充実させながら大人になるための支援。入所時や15歳からなど一律に決めるのではなく、その子の支援をどうするか本人や保護者の方と相談しながら考えていく必要がある。
    • 体験利用が必要な時に、者みなしの規定により、市町村に者のサービスを支給決定してもらうことになるが、それ以降は市町村にお任せするという意図ではない。成人のサービスへの移行に向けて、一元的に包括的に支援する仕組みが新たにできるのであれば、都道府県が移行調整の主体になれるのではないか。
    • 児童の施設だけの問題ではなく、成人サービス側の協力がないとうまくいかない。成人施設も空きがなく、上手く循環する仕組みが必要という意見は多い。65歳以上の障害者が多く在籍しており、成人施設から高齢者施設へ上手く移行できた場合の加算を創設したり、障害児を受け入れた場合にインセンティブをつけるなどしないと児童の側だけでは解決しないのではないか。
    【論点3】移行の準備のために必要な制度について、どう考えるか。
    • 居住地特例については、たらい回しにならないようにルールを明確にする必要がある。ルールの再確認と徹底が必要。
    • 自立援助ホームは22歳まで可能となっている。それを考えると障害のある人達の意思尊重の中での自立としては、18歳から5年間入所を継続できるようにすることは妥当ではないか。
    • 重症心身障害の方で医療的ケアが必要で移行が難しいケースも数もある。
    • 社会的養護の制度では18歳、20歳で社会に出るが何の制度もなかったため、退所後に貧困等になったりしたため自立援助ホームが作られた。障害は、グループホームや障害者支援施設への移行の運用が上手くいってないが移行先はある。既にある仕組みをどう上手く使うのかを考える必要がある。
    • 成人施設が足りないという課題があり、これをどう解決するか。グループホームの国庫補助や、移行に関わるという理由で障害者支援施設をユニット型に限定して作ることできるようにするなど、検討する必要があるのではないか。
    • 児童の移行の準備を柔軟にする必要がある。成人サービスを早めに柔軟に利用できる仕組みができれば、体験利用や移行に向けた支援ができるので移行がスムーズに進むのではないか。
    • 保護者が身元保証人になってもらえないケースがある。受け入れる成人施設における身元保証人の問題なども含めて移行を考えて欲しい。経済的な支援も重要で、生活保護も簡単ではないのでそのような課題も認識しておいてほしい。