第13回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和2年12月17日(木) 14:00~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール12E(一部オンライン)
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング12階)

出席者(五十音順)



 

議題

(1)「医療扶助に関する検討会」の検討状況について
(2)その他
 

議事

(議事録)

○西澤室長 定刻となりましたので、ただいまから第13回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ御参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、菊池委員が少し遅れて出席される予定です。
また、駒村委員については途中で退席される予定と伺っております。
続きまして、委員の異動について御紹介させていただきます。
前回、令和元年12月の第12回の開催以降、大野委員が退任されまして、新たに全国民生委員児童委員連合会副会長の池永彰美委員が任命されております。
一言、御挨拶をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○池永委員 ただいま御紹介いただきました、全国民生委員児童委員連合会副会長の池永彰美と申します。高知県民生委員児童委員協議会連合会の会長をしております。これから、高知県民児協の会長の立場で発言させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
○西澤室長 ありがとうございます。
本日は、岡崎委員の代理として、高知市健康福祉部副部長の川村参考人、福田委員の代理として川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室室長の田辺参考人、吉村委員の代理として大阪府福祉部地域福祉推進室社会援護課課長の林参考人に出席いただいております。
川村参考人、田辺参考人、林参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西澤室長 ありがとうございます。出席委員につきましては21名となっており、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしております。
続きまして、前回の部会以降、事務局に人事異動がございましたので、事務局から紹介をさせていただきます。
社会・援護局長の橋本ですけれども、本日公務で中座させていただきますので、ここで一言御挨拶をさせていただければと思います。
○橋本局長 8月から社会・援護局長を拝命しております橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の部会におきましては、医療扶助におけるオンライン資格確認につきまして、医療扶助に関する検討会で検討していただきました内容を説明させていただきますので、これについて御議論いただきますようよろしくお願い申し上げます。本日御議論いただいた内容も踏まえつつ、法的、制度的な検討や具体的な仕組み作りをさらに進めてまいりたいと考えております。
また、本日は新型コロナウイルス感染症の影響と対応ということにつきましても御報告をさせていただきますが、新型コロナ感染症の拡大状況等を踏まえまして、新規相談者が増加する中での生活困窮者自立支援制度の相談支援ですとか、住居確保給付金の支給ですとか、あるいは申請件数が100万件を超えている緊急小口資金等の特例貸付ですとか、生活保護行政の的確な実施ですとか、地域における見守り支援ですとか、こういった様々なことにそれぞれ御尽力いただいている社会福祉関係の皆様方に対しまして、この場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
私ども厚労省といたしましても、引き続き様々な困難を抱えておられる方への支援に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
先ほど司会から申し上げましたように、本日、他の公務の関係でこれにて失礼させていただきますので、何とぞ御容赦いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤室長 もう一人、人事異動がございまして、地域福祉課生活困窮者自立支援室長の唐木でございます。
○唐木室長 地域福祉課生活困窮者自立支援室長の唐木でございます。よろしくお願いいたします。
○西澤室長 続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事については公開となってございますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。
なお、議事録につきましては後日、当省のホームページに掲載することとしておりますので、御承知おき願います。
それでは、本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日の資料は、座席表のほか、議事次第、資料1「医療扶助におけるオンライン資格確認について」。
資料2「生活困窮者自立支援における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」。
資料3「生活保護制度における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」。
参考資料1として「医療扶助に関する基礎資料集」。
参考資料2として「委員名簿」となってございます。
会議の進行に当たっては、そちらを御覧になりながら御参加いただきますようにお願いいたします。
なお、画面のほうにこちらの資料を映してまいりますので、そちらも御覧いただければと思っております。
本日、オンライン出席の方につきましては、御発言される場合には「手を挙げるボタン」を押していただくようにお願いいたします。申し訳ございませんが、最初の事前にお送りしたインストラクションのほうで、その他のボタンのほうから押すと「手を挙げる」が出てくるというふうになっていたのですけれども、ソフトのバージョンアップがあったようで、「参加者」というボタンを押していただくと「手を挙げる」というところが出てきますので、そちらのほうで手を挙げていただくようにお願いいたします。
会場のほうで御参加の委員の方には、いつもどおり一度挙手いただければ結構でございます。
部会長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただければと思います。
それでは、これ以降の進行を宮本部会長にお願いいたします。
冒頭のカメラ撮影は、ここまでとさせていただきます。撤収方、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、部会長よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 皆様、年末のお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
今日は、大変大事な議題が2つほど用意されていると思います。なるべく効率的に、しかし議論するべきところはきちんと議論を尽くしてまいりたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いをいたしたいと思います。
先ほど事務局のほうから手の挙げ方等の御説明がありましたけれども、よろしいでしょうか。まだちょっとよく分からない、あるいはそんなボタンは見つからないという方がおられたら、遠慮なくお知らせください。場合によっては、画面でサインをしていただいても構いません。そこは臨機応変に進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題の1になりますけれども、「医療扶助に関する検討会の検討状況について」、事務局のほうから資料説明をお願いいたします。
○西澤室長 資料1でございます。説明の便宜上、恐縮ですけれども、9ページから開始いたします。画面のほうにも映してございます。
医療扶助のオンライン資格確認という議題でございますけれども、前提として医療保険のほうでオンライン資格確認というものが始まるということを少し御紹介させていただきます。
また少し飛ばしまして、12ページがオンライン資格確認の概要でございます。医療保険で受診する場合、今まで保険証を医療機関に提示して受けるということでございましたけれども、医療保険の保険者が資格の情報をオンラインでシステムのほうに登録し、そのシステムに登録された資格情報を患者さんがマイナンバーカードを医療機関に持って行って、カードリーダーで読み取って資格を確認するという仕組みでございます。これが、もう法律は通っておりまして、来年の3月から開始されるということでございます。現在、厚労省のほうでカードリーダーを医療機関に配布する事業などを進めているところでございます。
次のページでございますけれども、なぜこんな制度改正をしたのかということでございます。一番大きなメリットとしては、御案内のとおり日本の医療保険制度は国保、健康保険、共済などに分かれております。ですから、仕事が変わったり、住所が変わったりいたしますと保険が変わるということになります。そういった場合に、例えば古い保険証を使ってしまったといったようなケースにつきましては、間違った保険者に請求されて返戻されてしまうといったようなことが結構起こっている。これを、最新の資格情報をオンラインで管理するということで、こういった手戻しがなくなるということが最大のメリットとして挙げられております。
もう一つとしては、これは当然患者さんの同意を得たという前提の下で、特定健診の情報や薬剤の情報を医療機関が見ることができる。そして、それに応じた、より適切な医療を提供できるということもメリットとして書かれてございます。
こちらの医療保険の制度改正を行ったときに、医療扶助はどうするかということもございましたけれども、その時点では対応を見送っていたということでございます。そして、昨今、政府全体としてマイナンバーカードをできるだけ使って、使い勝手もよくしていこうということの中でいろいろな検討が進められてございまして、15ページ目でございますけれども、昨年12月、デジタル・ガバメント実行計画というものを閣議決定してございます。
この中では、医療保険でのマイナンバーカード使用ということに加えて、様々な行政サービスもマイナンバーカードを使えるようにしていこうということで工程表を作っておりまして、この赤囲いのところですけれども、医療扶助については令和5年度中に運用してはどうかということで閣議決定をさせていただいているところでございます。
そういった中で、これはいろいろな検討が必要でございますので、医療扶助に関する検討会というものを設置させていただきました。座長は尾形九州大学名誉教授にお願いをし、そのほか自治体関係者の方、医療関係者の方、有識者の方ということで構成してございます。こちらの検討会は7月から開始させていただきまして、10月に第2回を開催し、先日の11月30日に医療扶助のオンライン資格確認導入についての基本的な方向性を取りまとめてございます。
そちらの内容の御説明に入る前に、戻って恐縮ですけれども、そもそも医療扶助と医療保険の違いなど、そういったところを踏まえながら検討が必要でございましたので、そこを少し説明させていただきたいと思います。
2ページは、医療扶助の概要でございます。これは御案内のとおり、生活保護が適用されますと、国民健康保険などは被保険者から外れ、全額医療扶助で負担するということになります。基本的には診療の内容は国民健康保険と一緒ですけれども、自己負担がないという仕組みになってございます。
次のページでございますけれども、医療保険と生活保護の医療扶助はどういうふうに違うのかということを条文でお示ししております。右側の国民健康保険のほうですけれども、日本の医療保険はフリーアクセスと言われる仕組みでして、自己負担はあるのすけれども、自分の選定する医療機関にかかるという仕組みになってございます。
一方で、生活保護の条文を見ていただくと、医療の給付を福祉事務所が委託するという形の構成になっていまして、自己負担の代わりにこういった形で福祉事務所が個々の医療について委託をするという構成になってございます。
次のページでございますけれども、そういった制度の性格上、事務の手続がどうなっているかということでございます。これは、いわゆる医療扶助運営要領という通知を図式化したものでございまして、流れとしては被保護者の方が申請をし、まず医療機関のほうに要否意見書という医療の必要性についての書類を書いていただく。それを福祉事務所に提出して医療券というものを交付して、医療券を持って受診をするという流れになってございます。
一方で、調剤についても調剤券というものがございまして、処方箋と調剤券を提示してお薬をもらうという仕組みになってございます。
5ページまでは制度的な部分でございますけれども、6ページ以降は、では実際に事務の運用はどうなっているのかというところを少し調べたものでございます。昨年度の調査研究で福祉事務所のほうに調査をさせていただきまして、事務の実態というものを調べてございます。
6ページはちょっと図が細かくて恐縮ですけれども、実際の事務の流れがどうなっているかという資料でございます。本来、先ほどのような通知を絵にしたような資料のとおりであったとすれば、医療券の交付というのは診察より前にくることになる。マル11のようなパターンになるというのが通知の原則ではございますけれども、実際に多いパターンとして、まず被保護者が申し出ていただくというのはありながら、医療機関のほうに何らかの形で受診依頼をする。それで、受診をしてしまう。要否意見書を書いていただきつつ、医療券は後で出すというのが一般的な事務の流れになってございます。
これは、例えばすぐに医療が必要な場合、ちょっと医療券の発行を待ってというようなことは、通知の原則どおりに運用しているとなかなか回らないという実態もあるかというところでございます。
それに伴いまして、当然医療券をどう交付するかということについても、事後になりますと医療機関に送付するというパターンが多いという結果になってございます。
その他の課題として福祉事務所からあったのは、医療券は個々の医療を委託するという形になりますので、例えば1人の方が精神科と内科にかかっているとそれぞれ1枚ずつ医療券が出ますし、1か月単位で出すということになっていますので、毎月かなり紙の発行が多くてその負担が多い。これは従前から言われているところでございますけれども、そういう御意見をいただいてございます。
もう一つ、医療券発行手続の運用状況といたしまして、医療券は先ほど申したとおり、基本的には個々の医療を委託するという構成になっていますので、以前は医療券の番号が医療券ごとにばらばらだったという時代もございました。
ただ、そうするとある人がどういう医療を受けているかということの全体がなかなか分からないということもございましたので、昨今、受給者ごとに番号を固定するという方針に変えてきてございまして、実態としてはかなりの自治体で今、受給者ごとに番号を固定しているところが多くなってございます。
ここまでが生活保護と医療保険の違い、または生活保護の運用の実態というところでございます。
こういった実態と制度を踏まえまして、検討会で検討させていただきました。その結果が、17ページ以降でまとめてございます。
17ページでございますけれども、こちらは医療扶助のほうでオンライン資格確認を導入してはどうかということで整理してございます。
1点目の○は、医療保険で3月から始まるということで先ほど申し上げたとおりでございます。
対応の必要性として、主に3点の観点からまとめさせていただいております。
1つは(事務コストの低減)ということで、先ほど申し上げたとおり、個々の診療について一人一人医療機関が出す紙の発行というのは福祉事務所、医療機関にとって負担になっているということです。
もう一つの点は、これは医療保険と同じでございますけれども、生活保護の場合も当然医療保険から生活保護に移って、また医療保険に戻ったりということがございますので、できるだけタイムリーに資格を把握する必要があるのではないかということでございます。
2点は、(より良い医療の提供)です。これは、医療保険でできるようになることができない、ということでございますけれども、先ほど最初の説明で申し上げたとおり、医療保険のほうではオンライン資格確認の仕組みの導入とともに、医療機関のほうで本人の同意を基に特定健診の情報を見たり、医療の情報を見たり、そしてそれを適切な医療につなげるという仕組みがございます。こういった仕組みは、オンライン資格確認を導入しないとできないという状況でございます。
3点目は、(制度の信頼性の向上等)としてございます。先ほど申し上げたとおり、医療券の運用の実態としては本人が取りに来るという運用ではなくて、医療機関に送付しているところが多くなってございます。これは、本来はやはり何らかしっかり本人確認をして受診するということのほうが制度としては適当なのではないかということが1点でございます。
2点目としては、医療保険のほうでマイナンバーカードの利用は進めてまいりますけれども、そうなると例えば医療機関の窓口でカードリーダーを置いて受付をするといったような運用が一般化してきますと、医療扶助の人だけそういった受付ができないということで、やや医療機関の窓口での違いが少し顕在化してくるという懸念もございます。
そういった観点から、検討会ではオンライン資格確認を導入してはどうかということでございまして、ではその際にどういう方向性なのかということを次のページで整理してございます。
1つ目は(効率的な制度構築)ということで、こちらは医療保険のほうでシステム構築をしますので、1つは生活保護と医療保険というのは隣り合っていますので一体のシステムにしていくということと、あとは自治体のシステム改修もできるだけ効率的な形で行うように検討するということでございます。
次の点ですけれども、(医療扶助特有の機能)としてどういうことが必要かということでございます。これは検討会でも少し議論をさせていただきましたが、医療扶助は無料で適正化ということがよく言われるわけでございますけれども、一方で受診する医療機関を委託するという法的構成をとっていることによって、例えば一般の医療保険の方より受診をしている医療機関の数が少ない。要は、特定の医療機関に行っているといったこともあったりしますので、そういった形で今できている医療費を適正化する枠組みというのはある程度維持する必要があるのではないかということがございます。
その前提の上で、ではどういったシステムにしていくかということでございますけれども、医療保険の場合は基本的にフリーアクセスでどこの医療機関でも受けられるということですので、システムに入れていくのは被保険者番号とか、あるいはどこの保険者の誰だということが分かればいいわけですが、医療扶助の場合はそれに合わせてその人がどこの医療機関に医療を委託されているかということも併せて入れていくことが必要ではないかということでございます。
そして、委託した医療機関に行っていただいてそこで資格確認をして、それに伴って請求は審査者が行うという仕組み、要は医療券で行っている医療機関を特定するという機能をオンライン資格確認した場合にも残す必要があるのではないかということでございます。
ただし、例えば救急の場合に突然医療が必要になる場合もございます。これは、今でも救急車で運ばれた場合に生活保護受給者であるということを申告していただいて、後で医療券を送ったりするような運用もされております。こうしたケースもございますので、事後に委託することも一定可能にした上で対応していく必要があるのではないかということでございます。
次のページでございますけれども、では医療券とマイナンバーカードをどう使っていくかということでございます。医療券は先ほど申したとおり、紙でコストがかかるということもございます。また、制度的には本来、本人が福祉事務所に取りに行くという手間もかかったりするというところもございますし、医療保険の被保険者とできるだけ同じような形で医療を受けるほうが望ましい点もございますので、マイナンバーカードを使うということを基本的に原則にして進めながら、一方で例えば医療機関にカードリーダーがない場合などはまだマイナンバーカードを使えませんので、そういった場合には医療券なり、それに代替する手段で対応していこうということでございます。
最後に、これからのスケジュールでございます。令和5年度中の施行ということで予定してございますけれども、一定程度、時間をちゃんとかけて実務的にも検討していくべきだということを御指摘いただいております。
最後の資料は、こちらの仕組みを図で示したものでございます。
説明は、以上でございます
○宮本部会長 どうも御説明ありがとうございました。
ただいまのオンライン化の説明を巡って皆さんから御質問、御意見等をいただければと思います。どなたからでも結構でございます。先ほどお示ししたような形でサインを出していただければ、こちらで指名させていただきます。共有設定を解いていただいたほうが、皆さんを確認しやすいかと思います。
ありがとうございます。いかがでしょうか。
勝部委員、お願いいたします。
○勝部委員 マイナンバーカードの普及率はまだまだ低いということでお聞きしているのと、それからマイナンバーカードについて一定、抵抗を感じていらっしゃる方々もいるということを事前の打合せの中でもお聞きしたのですが、そのあたりの人たちがどういうふうな扱いになるのかが少し気になることが1つです。
それから、医療券の場合には、御本人に後日連絡のことがあったとしても、基本的にはまず病院にかかりたいということについては福祉事務所に相談をして、どういう医療を使うかということについての相談があった上での対応になっていくのですが、マイナンバーカードで御自身で受けるということになると、かなり御自身の自由度が高くなるというふうに理解していいのでしょうか。そのあたりをお願いします。
○宮本部会長 ありがとうございます。
事務局に、2点ほど勝部委員からの御質問です。必ずしもカードの利用に積極的でない方の対応、それから手続的により自由度が高まるというふうに理解していいのかというあたりですけれども、いかがでしょうか。
○西澤室長 1点目でございますが、マイナンバーカードを取得していただくということについてのことかと思います。先ほど御説明したとおり、原則としてどちらを使っていくかといったときに、やはりコストの問題やメリットですね。マイナンバーカードですとカードリーダーですぐに資格確認ができますし、先ほど申し上げたような健診の情報の確認などもマイナンバーカードでないとできないということになってございますので、そういったメリットを丁寧に御説明させていただきながら取得促進を進めていくのかなと考えてございます。
もちろん医療だけではなくて、マイナンバーカードは様々な使い道がこれからできてくると思いますし、例えば免許証やパスポートがない方でもマイナンバーカードがあれば写真つきの身分証として、いろんな契約などにも使えます。そういうメリットを我々としてもきちんと説明していきたいと思っております。
2点目でございますけれども、被保護者の方が医療を受けたいということの相談を福祉事務所にするというステップは変えないつもりでございます。やはり福祉事務所が個々の医療を委託するという枠組みは残した上でやっていこうと思っています。ですから、医療を受けたい場合には福祉事務所に相談をしていただいて、どこの医療機関がいいですかということで決めていただく。その情報をシステムにも入れて、基本的にはそこの医療機関に行っていただくという形にしたいと思っております。
お答えになっているか、もしまだ御不明な点がありましたらお願いします。
○宮本部会長 勝部委員、よろしいでしょうか。遠慮なさらず、もし分からないところがあれば続けてください。
○勝部委員 医療券とルールは変わらないということなのですが、例えば御本人がいろんな医療機関にマイナンバーカードでカードリーダーを持っていれば自由にいろんな医療機関に何度もかかれるということになりますか。そのあたりをもう少し教えていただきたいと思います。
○宮本部会長 いかがでしょうか。
○西澤室長 今では医療券がないと請求できないという形になってございますので、そういった枠組みは残すつもりです。
それで、例えば委託されていない医療機関に行ってしまうといった場合はもちろんございますけれども、救急の場合などは仕方ないというところがございますので、そういった場合には事後で委託をするという仕組みで、要は事後に医療券を出すということが今でもあると思いますけれども、そういった形と同じということで、一定程度その辺をやっていかないと、急に医療にかかるということに対応できないのかなということがございます。
それで、仮にやはり決められたところに行ってくださいねということをなかなか守っていただけないようなケースというのは現在でもあると思いますし、今後もあると思います。そういった場合には、ちょっと報告書のほうでも書かせていただいていますけれども、最後にやはり個別に指導助言をするという形で適切な診療行為をとっていただくことをお願いしていくというのは、紙であろうが、仕組みを変えようが、必要な部分はあるのかなと思ってございます。
○宮本部会長 勝部委員、よろしいでしょうか。
○勝部委員 はい。
○宮本部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。どなたからでも御発言ください。
生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。生水です。
御説明ありがとうございました。伺うと、メリットがとてもあるように思うのですけれども、御説明になかったデメリットがもしあるのでしたら教えていただきたいのと、先ほど勝部さんのほうからもお話があったのですが、これを進めるに当たって障害になるようなことが何かあるのであれば、そういった情報も教えていただきたく思います。
もう一点は、オンライン資格確認の中で資料1の17ページにあります保険者の事務コストの低減をメリットとされているのでありましたら、国民健康保険のほうに統一するのがいいのではないか、生活保護受給者が国民健康保険に加入移行していくというような情報もあるのですが、こういった検討というのは進んでいるのか併せて教えていただければと思います。以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。何かいいところ尽くめのように聞こえるけれども、デメリットはあるのではないかというようなお話です。なかなか事務局としてはおっしゃりにくいところかもしれませんけれども、率直にお話しいただければと思います。
それから、社会保険ですね。国民健康保険との統合の問題をお話しください。
○西澤室長 デメリットと申しますか、やはりこれは仕組みを変えていきますので、ある程度システム改修などがございますので、予算をちゃんと確保していきたいとは思っております。
あとは、基本的な考え方は維持していくとしても、事務の流れというものをこの際、例えばちょっと要らない事務とか、そういったものもあるかもしれませんので、そういったことも含めて検討が必要かとは思ってございます。これはデメリットというか、やらなければならないところだと思います。
それから、もう一個は国保の話でございます。これは保険局の話にはなるのですけれども、そういった議論は例えば財政制度等審議会であったりしたことは事実でございます。
ただ、一方で医療保険部会のほうでは市長会、町村会から非常に慎重な意見が出ているということでございます。その理由としては、やはり国保はなかなか財政基盤が弱いという制度の中で、生活保護の方が入った場合のインパクトといったことについての懸念が掲げられていると承知しております。
一方で、経済財政諮問会議とかで医療扶助の議論というのはいろいろされています。そういったことで、国保というのはやはりなかなか難しいという御意見をいただいている中で、適正化とかガバナンスの強化といったところは指摘をされていますので、要は幅広い検討が必要なのかなという状況でございます。
これでお答えになっていれば、よろしくお願いします。
○宮本部会長 よろしいでしょうか、生水委員。
○生水委員 大丈夫です。ありがとうございました。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、挙手をされています坂町長からお願いできますでしょうか。
○吉田委員 広島県坂町の町長の吉田でございます。
まず、新型コロナウイルス感染症の拡大に際し、生活困窮者自立支援及び生活保護に係る対応について様々な取組を行っていただいておりますことに対し、関係部局の皆様に深く感謝を申し上げる次第でございます。
医療扶助におけるオンライン資格確認につきましては、マイナンバーカードの取得が前提となることから、生活保護受給者の方々に制度を御理解いただき、取得をお願いするに当たって、市町村の職員が説明しやすいようにマニュアル等、必要な御支援をお願いしたいと思います。
また、導入に係る財政支援はもちろん、施行には十分な準備期間を設けていただくとともに、自治体及び受給者の方々、双方がメリットを実感できる制度設計をお願いいたします。
さらに、医療扶助におけるオンライン資格確認に限らず、国が施策を進める運用面においては、住民と向き合うことになる市町村の負担が過大とならないように、自治体の意見を丁寧に聞き、的確に対応いただきますようお願いをいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。吉田町長のほうから、自治体の立場として大変リアルなお話がございました。
吉田町長、これは事務局から一言お願いしたほうがよろしいですね。
○吉田委員 そうですね。よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 事務局、いかがでしょうか。
○西澤室長 町長、ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。今回の制度改正の意義とか、先ほど少し話も出ましたマイナンバーカードのメリットなどをきちんと説明できるような資料、説明の仕方を我々としても整理してまいります。
御案内したとおり、議題2のほうでもコロナの話がございますけれども、場合によってはかなりスピーディーに対応をいろいろしなければいけないというときもありまして、非常に御迷惑をおかけしていることはございますけれども、常に現場のことを考えて対応してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○吉田委員 よろしくお願いします。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、佐保委員が挙手していただいているようですのでお願いできますでしょうか。
○佐保委員 ありがとうございます。私からは、2点意見を申し上げたいと思います。
福祉事務所等の事務コストの低減や、効率的な制度構築の観点も大切でありますが、医療扶助は本人の健康や命に関わることだと思っております。カードを紛失する者も一定程度想定されることから、医療扶助におけるオンライン資格確認導入により、本人の適切な医療受診が過度に制限されることのないよう、配慮をお願いしたいと思っております。
また、生活保護制度は一定の外国人に準用されており、制度が適用される外国人もマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認により医療扶助を受けることになると考えております。
マイナンバーカードの取得方法と併せて、対象者に対してマイナンバーカードによるオンライン資格確認導入後の医療機関受診の際の流れなど、丁寧な周知をお願いしたいと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。カードの発行が、医療サービスからの排除につながってはいけないというところにポイントのある御発言でした。
佐保委員、いかがでしょうか。これは、事務局から一言お願いしますか。
○佐保委員 お願いします。
○宮本部会長 では、よろしくお願いします。
○西澤室長 ありがとうございます。いろんなケースを想定しながら考えないといけないと思っています。
当然、効率性も大事ですし、いろいろなところでやや柔軟な、特にスタート地点は少し柔軟にしながらやっていかなければいけないと思っていまして、これは施行までによく現場の意見も聞きながら検討したいと思っております。
それで、外国人の方の対応もおっしゃるとおり一緒でございますので、こちらもよく説明できるような方策を検討してまいりたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
竹田委員、お願いをいたします。
○竹田委員 ありがとうございます。将来的な方向性としては良いのではないかと思っております。それで、意見として1点と、質問が2点ございます。
意見としては、病気や障害などでなかなかマイナンバーカードを自分で取得するのが難しい方も少なくないと思いますので、スタート地点に立つまでの丁寧な対応ですとか、そのあたりの支援を含めて、サポートも御検討いただいたほうが混乱なくスタートがきれるできるのではないかと考えているところです。
それで、質問としましては、運用が始まった場合にマイナンバーカードを自分で管理できない方などの運用についてはどのように考えていくのかというのが1点です。
あとは、子供たちですね。被保護世帯の子供たち一人一人もマイナンバーカードを必要とするのかというあたりについて教えていただければと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
特に後者の2点の質問に関して、いずれも大変リアルな御質問だと思いますが、いかがでしょうか。
○西澤室長 これは医療保険のほうでもスタートしますので、その運用のほうをよく見ていきたいというのが1つございますし、先ほど申したように、なくしてしまったりとか、持っていなかった場合どうやって確認するかといったことも共通すると思いますので、その辺のことはよく検討していきたいと思っています。何にせよ、必要な医療の給付に支障がないようにはしてまいりたいと思います。
それで、お子さんの件ですけれども、保険証のほうも今は基本的に一枚一枚になっていますし、マイナンバーカードも一枚一枚になっていますし、医療券もそもそも基本的には一枚一枚ということになっていますので、マイナンバーカードはお子さんも1枚というふうになると思っております。以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。保護受給世帯のお子さんの受診率というのは、保険世帯のお子さんの受診率より随分低いというデータもはっきりしていまして、そのあたりはカードの有無を問わずきちんと受けるべき治療を受けてもらうのかということも課題だと思います。
ほかにいかがでしょうか。もうデジタル的ではなくて実際に手を挙げてもらう形が定着していますが、浦野委員、お願いいたします。
○浦野委員 質問と、それから後段で意見をちょっと申し上げたいと思います。
資料1の6ページで、実態としては診療が先に行われて要否意見書、あるいは医療券の交付が事後になっていることのほうが圧倒的に多いというふうにこの資料で拝見をしました。
それで、現実にはそうなのだろうと思うのですけれども、実際に診療行為が発生した後に、福祉事務所から医療券が交付されないなどということはまずないんだろうと思います。実態としてはもう既に行われていることですから、まずないのだろうと思います。それがないであろうということを確認的に質問します。
それから、その上で、法の立てつけが確かに公的医療保険の場合にはフリーアクセスなのに対して、生活保護の場合には委託という行為が入るということですけれども、それがどれほどの意味があるのか。例えば、それは過剰に頻回な診療をコントロールするとか、そういうこともあるのかもしれないんですけれども、同じような仕組みで、私も児童養護施設を経営しておるのですが、例えば児童福祉法の児童養護施設の児童にも別の法律ですが、医療券が交付されているのです。それで、この医療券については児童を入所措置した段階から基本的には交付されていることが多いのではないかと思うのですけれども、一々特定の医療機関に委託という行為がなく診療が行われている。
そういうことを考えると、法の立てつけまで今回変えるという話ではないのかもしれませんけれども、しかも今回オンライン化をしていく、デジタル化をしていくということで、診療情報というのは非常に一覧性が高まる。そうすると、それによって過剰な頻回医療などということも、ある意味ではウオッチしていくことができる。そうすると、法の立てつけとしてもあらかじめ要否を認定して委託するという手続を入れることを続けていく必要があるのかどうか。ここについては、私は多少疑問に感じているところでございます。後段は、意見でございます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。2点、御質問でした。医療券が出ないというケースもあるのかどうか。それから、2番目は恐らく多くの委員も御関心がおありかと思うのですけれども、頻回受診との関係ですね。こういう制度がしばしば抑制ということで、行き過ぎると医療サービスからの排除にもつながりかねないのだけれども、今、委員が御指摘のとおり、そこはきちんと合理的に進めていく必要もあるというわけで、その関係はいかがでしょうか。2点についてお願いをいたします。
○西澤室長 医療券が出ているかどうかというところでございますが、医療券がない場合に受けるというのは、基本的には救急だったり、いつも行っている医療機関が休みだったり、そういうやむを得ないケースというふうには考えられますので、そういった場合には事後に医療券が出ているというケースなのではないか。医療券がないと請求できないというルールになっていますので、事後に医療券が出るということが行われているということでございます。
2点目は、非常にバランスが必要な部分だと思っております。やはり国保の医療に委託するかどうかということについては、生活保護の趣旨が最低限を上回っても下回ってもいけないという生活保護の原理の中でどうやっていくかというところの運用を今、具現化したのが国保の医療を委託するという仕組みなのかと思いまして、やはりそこはほかとは少し違ってくる部分があるかと思います。
それで、これはやはり無料で受けるということと結びついておりまして、これはいろいろな御意見がありまして、3年前の部会でも自己負担の問題とか、そういった課題がございますので、どういった形で適正な医療を、最低生活を割らないで維持していくかということについての一定のやり方というのは今の仕組みなのかなとは考えてございます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
浦野委員、今のお答えでよろしいでしょうか。委員の御質問の趣旨をもう一回振り返ると、要するに手続の簡略化という点ではむしろ受診しやすくなるんだけれども、恐らくマイナンバーカードにデータが残って、あまりに頻回に医療を受けると、それがそのデータの上で抑制される。これをどう評価するかはともかく、そういうことも可能になっていく。
今、事務局からのお答えで、合理的な制御というのも一つの期待される効果であるというお話でしたが、どういう回路で合理的な制御がこのマイナンバーによって行われるのか。そのあたりは、少し言葉を足していただければと思います。
○西澤室長 頻回受診の対策などの必要性というのは言われているわけです。それで、実際、現に対応もしてございます。
ただ、頻回受診というのは、要はある程度基準を決めて、その中で本当に必要な医療というのは一応チェックした上で、必要ではないのだけれども受診してしまっているというようなケースを指導するという仕組みですので、それはやり方として今レセプトを見てやったりしているわけですが、これはシステム上そうできるかどうかというのは別として、例えばそれがもう少し早く把握できるようになるといった場合でも、当然必要な医療を抑制するということではなくて、必要以上にやってしまっているところを適正化していくという基本的な考え方は変わらないのかなと思っています。
ですから、これはやり方の問題と、どのレベルで適正な医療を確保していくかということは、関係はしますけれども、全く同じではないということなのかと思います。
お答えになっているかは分からないですけれども、以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。マイナンバーカードにどういう情報を持っていくのかということは、本当に私たちの基本的な人権にも関わることであると思いますので、この部会でもしっかり討議をしていきたいと思います。
何やら文科省などでは、マイナンバーカードに小中学校の成績をひもづけるみたいな報道もありましたが、私などはそれはいかがなものかと思っています。
ちょっと余計なことを申し上げましたが、ほかにいかがでしょうか。
大阪府は代理人であったと思いますけれども、林参考人よろしくお願いします。
○林参考人 大阪府で生活保護を担当しています林と申します。自治体の立場で、実施機関である福祉事務所と受給者の方という観点から、主には要望になりますけれども、お伝えできたらと思っています。
皆さんと一緒で、一番の懸念はやはりマイナンバーカードの普及状況が今でも低いということが言われておりますけれども、受給者の方々が通知カードを紛失されたとか、あとは住民票のところに住んでおられないとか、転々とされているという方も多いですので、取得も難しい方が多いですし、管理も難しい方がいらっしゃるということでは、制度化されてマイナンバーカードの取得を進めていければとは思いますけれども、持っておられない方がスムーズに受診できる体制は必要かと思っております。
紙の医療券ではなくてオンラインになることにつきまして、メリットとしましては、もちろん福祉事務所は紙の削減にもなりますし、毎月医療機関ごとに医療券を送付しておりますので、その送付の手間が省かれるというところはあります。
あとは、受給者の方が夜間、休日とか、急に受診したい、福祉事務所になかなか連絡するのも難しいというときに、どうスムーズに窓口で受診できるかというのを声としては多くお聞きしておりますので、このオンライン化が進むことによって受給者であるということがスムーズに確認できることで、窓口でスムーズに受診ができるということになればメリットかと考えておりますし、実施機関から、福祉事務所から遠い施設で入所されている方などもスムーズに受診できればと思います。
ただ、デメリットとしましては、福祉事務所は今でもたくさんの事務量があるんですけれども、この事務が増えたりとか、それで事務が遅れることで受診が速やかに円滑に行えなかったりしないかという心配があります。
あとは、福祉事務所が使っているシステムですけれども、どんなふうに入力したことが反映されていくかというところもあるのですが、多くの福祉事務所からできるだけの国庫補助をお願いしたいということをお聞きしておりますし、その適用期間ですね。福祉事務所もいろいろなシステムを使っておりますので、5年度の運用に向けて幅のある適用期間で出していただけたらとても助かると思っています。
全体的には、カードを持っている人には利便性がありますし、持っていない方も医療扶助は保障できるという方向で進んでいったらいいかと思っております。
あとは、今、各実施機関で一生懸命やろうとしています健康管理支援事業でも、頻回受診とか重複受診ということではその方に必要な医療をということと、医療扶助の適正化ということで取り組んでおりますので、今のレセプトを見るとか分析をするという手間がオンラインになることで受診が速やかに把握できるようなシステムになれば、よりタイムリーに医療について受給者の方と相談していけるのかと思います。
要望になりますけれども、よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。
1点目は持たない方へのサポートで、2点目は先ほど吉田町長からも自治体としての御意見がありましたけれども、都道府県というお立場から懸念と期待と両面にわたって御意見がありましたが、事務局いかがでしょうか。
○西澤室長 ありがとうございます。非常に現場の意見をおっしゃっていただいてありがたいです。できるだけ御期待に沿えるように頑張りたいと思います。特に、予算要求などはシステム改修の補助はしっかり要求ができるように検討したいと思っております。
それで、マイナンバーカードはやはりおっしゃるとおり住民票が消除されていたりとか、いろんなケースがあると思いますので、そういったところを一定、柔軟に対応する必要があるかと私どもも思ってございます。
システムの問題で、確かにおっしゃるとおり、入力した情報が速やかにできるだけいくようにするシステムを標準的にしていきたいとは思っていますので、これは今後どういった改修がいいのかということを我々のほうでも検討させていただいてお示しをさせていただく。そして、具体的なシステム改修に入っていくというようなことを今後検討していきたいと思っております。
あとは、健康管理支援事業が1月から始まりますので、そういったところでもできるだけ役に立つようなかたちになればと思っております。以上です。
○宮本部会長 林参考人、よろしいでしょうか。
○林参考人 はい。
○宮本部会長 ほかにいかがでしょうか。
浦野委員、どうぞ。
○浦野委員 先ほどの私の発言が少し要領を得ない発言になってしまったかと思うので、もう一回整理をして申し上げたいと思います。
法律の立てつけは、あらかじめ申請をして、要否意見書が出て、医療券が出てという順序で、その後に診察ということですが、実態はそうはなっていない。そうなっていない中で、現実に既に行われた医療について医療扶助がされないということは事実上ないのだろう。
ないとすれば、その法律の立てつけそのものが必要なのか。ここから先は推察なんですけれども、必要だというのは健康で文化的な最低限の生活という法律の趣旨からいって、過剰に頻回な受診等を抑制することがこの仕組みによって担保されているのか。でも、実態としては既に行われてしまっているので、事後的な話になると思うんです。
事後的な話であれば、今回このマイナンバーカードを利用していくことによってデータを見ていくのだから、何も事前に医療券の交付を受けなければ受けられないというようなことではなくてもいいのではないか。
しかも、実例として、例えば児童福祉法の児童養護施設などの児童は医療券が交付されると、特にこの病気のこの医療機関というのが個別に一々指定されなくても医療を受けることができる仕組みになっているのではないか。こちらも、100%公費でやっているわけです。同じように100%公費でやっている部分であれば、そこはそろえても差し支えないのではないかというのが私の意見でございました。
○宮本部会長 すみません。余計な要約をして、逆に混乱させてしまいました。
今、非常に丁寧にお話がありましたけれども、先ほどお答えいただいている部分もありますが、もう一度いかがでしょうか。
○西澤室長 ありがとうございます。事後に適正さを担保するのか、事前に適正さを担保するのかというのは制度論としてある話だと思います。それで、やはり全部事後にやることになると、事後に全部チェックするというのはなかなか手間もかかりますし、いいのかということもございます。受けてしまった以上、事後にどうこうというのは難しい話でございます。
ですから、今の仕組みとしては、事前にある程度必要性というものを見るということにして、これによってかなり効果が効いている部分もあると思います。例えば、一般の医療保険の方よりは特定の医療機関に行っているというのも実態としてございますので、やはりここはどちらかだけでやるというよりは、事前も事後もやりながらやっていくということが必要なのかと我々としては考えてございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、川崎市の田辺参考人、お願いできますでしょうか。
○田辺参考人 先ほど、大阪府の林参考人さんのほうから御意見をいただいたところに加えて、実施機関の立場から何点かお願いといいますか、配慮していただきたいことを伝えさせていただきたいと思います。
まず1点目でございます。オンライン資格確認について、いい方向に活用できればと思いつつ、若干の懸念がございます。今後、過誤調整については減るとは思うのですが、どうしても国保など他法とのタイムラグがありますのでゼロにはならないと思います。ですので、この部分について国保連合会さん等との振替えの簡素な仕組みなどを御検討の一つにお願いしたいと思っております。
2点目は、生活保護の被保護者につきましては、他法、具体的に自立支援医療等を適用されている方が多いと思います。保護の適正実施という観点から、我々のほうも他法適用するよう実施機関等において努力しているところでございます。ですので生活保護の情報以外に自立支援医療等の情報を取り入れていただかないと、本来生保ではないのに生保で医療費を支給してしまう事例が発生することが予想されますので、その仕組みも併せて御検討願いたいと思っております。
3点目は、特定健診の結果について、適切な医療という観点からその情報を利用するというのは有意義なことだと思いますが、健診受診率がなかなか上がりません。本市でいいますと11%位で、全国的には1桁なのかなと認識しています。これは、生活保護というよりは、他の部分のことなのかなと思いつつ、健診率を上げるための方法というのも検討の一つに加えていただければと思っております。
私からは、以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
国保等の振替えの問題、自立支援医療との関連、さらには健診の受診率ということだと思いますけれども、その向上への手はず、3点いかがでしょうか。
○西澤室長 ありがとうございます。国保連の振替えは、いろいろな事務の課題があると思いますので、一つ一つ意見交換させていただければと思ってございます。
自立支援医療の件です。これは、今、医療保険がこの仕組みに乗っていまして、公費負担医療としては生活保護が初めて乗るようになります。それで、全体的な方向性としては、できるだけ公費負担医療も乗せていきたいとは考えているのですけれども、これはそれぞれ制度改正やシステム改修が必要ですので、まず生活保護をやって、そこから公費負担医療をどうするかということかと思います。
そうすると、当然両方の資格があれば確認できますので、それは非常に我々としてもいい話だなと思っていますけれども、これは今後の課題かと思ってございます。
それから、健診率ですが、特定健診は保険局のほうでやっていますし、健康管理支援事業のほうでも被保護者の場合は特定健診の対象になりませんので、健康増進法の健診を受けていただくというふうになっていますけれども、やはり御本人に受けていただくということはなかなか難しい部分もございますが、健康管理支援事業は1月から始まりますので、どうやったら受けていただけるのかということは、実態も把握しながら検討していきたいと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
田辺参考人、こちらからは様子がうかがえないのですけれども、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。保護受給者等の健康増進という問題は、そもそも困窮者自立支援制度を作ったときに看護師さんなどを事務所に配置して、そこをきちんとアドバイスできるようにしていくという趣旨の報告書だったと思いますけれども、なかなかそこが整わない形が続いていると思います。
情報でということもいいのですけれども、やはり健康増進ということをまず第一に考えていくことが基本的な視点なのかなとも思います。今の御発言、どうもありがとうございました。
奥田委員、よろしくお願いします。次に、岡部委員お願いをいたします。
○奥田委員 私は基本的に賛成なんですけれども、今後、健康管理指導なども入っていくということも聞いているのですが、20ページの絵を見ると、現在の受診の流れというのが上にあって、下がマイナンバーカード導入後ということなのですが、現場の感覚からいうと、福祉事務所と受給者と医療機関というのが現場で、上は矢印が一言で言うと多いわけです。
私は、生活保護で課題だと思うのは、やはり給付の管理とともにケアをどうするのかというのが非常に大きな問題で、例えば上の図と下の図を比べると、最初の申請と診療依頼書と電話連絡云々という1番、2番が双方向になっていたりとか、医療券の送付で医療機関と福祉事務所のやり取りがあったり、これがいわば合理化されて手間が解消される。これはいいことなのだろうけれども、例えば困窮者の支援の現場でいうと、金銭管理などは結構大きな手間になっていまして、金銭管理というのは手間がかかるんですけれども、そこがケアのチャンスになるんですね。
例えば、金銭管理支援をやっているときにネットバンクなども使うのですけれども、ネットバンクだけでやってしまうと本人と会わないということになりかねないんです。管理はできても、本人と出会うチャンスがどんどんなくなる。
だから、私は全体的に少し危惧というか、手当てが必要だと思うのは、本人と出会うとか、本人とのやり取り、あるいは本人がかかる医療機関とのやり取りというものが、こういう合理的なシステムに入っていくと現実的に減っていくのだろう。
管理は非常にやりやすくなるし、本人も直接医療機関に行く。実質そうなっていくだろうとさっき御意見が出ていましたけれども、単純に私はそのやり取りが減った分、非常に合理化していくのはいいが、一方で実際のケアという観点からするとチャンスが減ります。このチャンスが減るということを頭に置いておかないと、書類だけが非常に合理的に回っていく。書類というか、情報が回っていく。これはいいんだけれども、実際に本人と会ったりやり取りするというところはより丁寧にやっていかなければいけないということで、健康管理指導等も含めた形でケアは充実していき、手間は省く。
この難しい両輪を一気にやっていかないと、合理化だけではますます給付とケアの一体からいくと、ケアのチャンスが減るということにもなりかねないというのが、正直この絵を見た私の率直な感想です。意見です。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。奥田さんらしい、大変現場感覚あふれる、一見、無駄なようでいて、そういうインタラクションが非常にケアの中身として大事なんだというお話でした。
意見ということですが、先ほど事務局のほうから健康増進を併せて図るとか、健康管理を重視するというお話もありました。それとの関連で、今の奥田さんのコメントはいかがでしょうか。
○西澤室長 ありがとうございます。非常に大事な視点だと思います。
やはり事務的な負担というのはできるだけ減らしていきたい。そういった手間を対人的な仕事に回していただく。これは大きな方向で、医療だけではなくてあるのかなと思っていますので、それは様々な検討をしていきたいと思います。
これは別にオンライン資格確認をしなくても、例えばレセプトでもどういった受診をしているかというのは把握できますし、会わなくても分かる情報をというのをできるだけ把握できるような仕組みを作っていって、そして会うときにはちゃんと会うというような形で、うまく組み合わせていくことが必要なのかなとは思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
奥田委員、よろしいでしょうか。
○奥田委員 ありがとうございます。
○宮本部会長 岡部委員、お願いをいたします。
○岡部委員 私は、確認です。1つ目は、医療扶助のオンライン化の方向性について積極的に進めていただければと考えております。これは、当事者にとっても、医療機関にとっても、実施機関にとってもメリットが非常に大きいと考えております。
その上で確認は、当然医療情報が流通しますので、個人情報の保護についてです。医療情報の保護ということで、医療保険制度の「オンライン資格確認の導入」ということで、これは医療保険を例にして10ページにプライバシーの保護を行いますと記述されているのですが、生活保護の場合も同じように理解してよいかどうか。その記載が医療扶助のところには入っておりませんので、同様の理解でよいのかどうかです。
2つ目は、健康管理の支援事業にも活用するということですが、これについての同意ということで、治療等でデータを取るわけですが、そういうことにも活用することについて、オンラインで資格を取るときに同意を取るのかどうかということです。
これはどういうことかといいますと、この活用の仕方とかデータベースが、自分のデータがどのように活用されているかによっては、医療扶助を利用されている方が非常に受けづらくなることにつながらないように、本人の健康増進を図るということの趣旨を明確に打ち出していただくことが大切と思っています。基本的には、三者にとって非常によいことであると思います。
そのことの関連で3つ目は、10ページのところに書いてありますが、健康保険事業関連事務以外にはデータは使用しないということも同様に考えてよいかどうか。
この3点、確認をさせて下さい。
○宮本部会長 ありがとうございました。
個人情報の保護管理という点に関わって、3点の御質問でした。事務局、お願いをいたします。
○西澤室長 先ほどの10ページの資料のほうですけれども、ちょっと順序は逆転してしまいますが、被保険者番号の告知要求制限などの法的措置は、医療保険並びで受給者番号も書こうということで法的な準備をしたいと思っています。基本的にそういう対応をするということでございます。
システム面では医療保険と同じシステムで、そこのセキュリティーの中に入っていくということで、そちらのほうで対応するということで、そういった対応をしっかりしていきたいと思っております。これが、個人情報の件でございます。
もう一つの点ですけれども、同意の件でございます。要は、健診情報とか医療情報を医療機関で見ていいかどうかという同意なのですけれども、医療保険のほうでもカードリーダーをチェックするときに、同意しますかというふうに聞く形になってございまして、これは基本的に同じ形になりますので、医療機関のほうでその医療情報を見ていいかどうかというところは同意を取るという仕組みになるということでございます。
以上でございます。
○宮本部会長 御質問は3点あったように思いますが、3点目を岡部委員からもう一回リピートいただけますか。
○西澤室長 3点目は、恐らく告知要求制限のことだと思うのですが、そこは医療保険の被保険者番号と同じように法的な措置を取ろうと考えております。
○宮本部会長 分かりました。
岡部委員、よろしいでしょうか。
○岡部委員 ありがとうございます。それで結構です。
○宮本部会長 大分時間もたってまいりましたけれども、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 御質問というよりは、お願いというか、今後に向けて私は基本的には賛成です。
それで、そうなったときにいろいろな治験というのも取りやすくなると思うのですけれども、うちの学習会に来ていた子の事例で1件、中学生だったんですが、部活で足をくじいてしまったのですが、生活保護家庭だったのでいろんな事前のことだとか、かかれる病院が制限されるということで、なかなかうまく医療にかかれなくて、結果、非常に完治までに時間がかかってしまったり、若干後遺症が残るようなことがあって、生活保護を受けているとそこも大変なのかというのは私も不勉強だったのですごく思ったところです。
多分、頻回受診などを防ぐために医療機関の指定ですとか、そういうことがあると思うのですけれども、子供に関してまでそういうことをするのは、さっき生水委員からもあったように、国保と同じにしてみんなと一緒に痛くなったらすぐ自分の行きたい病院に行けるように子供には適用してもいいんじゃないかとか、例えば免許証のゴールドカードでもないですけれども、ちゃんとやっているんだったらそこの縛りはなくしていくということとかも、このデジタル化の中では進めていけるのかなと思うので、今の制度でいいところもあれば、子供にとってはもうちょっとできることもあるのかなと思いますので、そういったところもぜひこの先、御検討いただければと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。マイナンバーに関わる部分と、それを超えた保護受給世帯の子供のケアの問題、両面あったと思います。
意見ということでしたけれども、大事な問題でもありますので、事務局から一言お願いします。
○西澤室長 ありがとうございます。非常に大事なポイントだと思います。
医療扶助検討会でも資料を出しましたし、今日の基礎資料でも出していますけれども、実は子どもの受診率というのが生活保護家庭は低いということがあります。ですから、その点については何年か前から子どもに医療をどうやって受けていただくかというモデル事業などもやっていまして、今年は調査研究でそういった自治体の取組なども調べております。それで、生活保護家庭だけの医療の取組でやるのがいいのかどうかも含めて、いろいろな自治体の取組も研究しながら、今後何ができるかということを考えていきたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。特に、歯科の受診が低いという話も聞いております。このあたりはどう進めるか、大事なところだと思います。
高知の川村参考人、お願いいたします。
○川村参考人 幾つか、生活保護の方の国保への移行というお話が出ましたので、全国市長会と町村会の連名でそういった論議が財務省を中心に出ておりますけれども、もともと国の中で憲法第25条で定める国の責務を医療保険として付け替えるというのは到底容認できないということで、強く反対するという声明を全国市長会と町村会で出しておりますので、高知市だけでなく医療保険側から見るとなかなか難しいというのはこの場でお話をさせていただきます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。付け替え問題は単純ではないということだと思います。これは、川村参考人、特にレスポンスは必要ないということですか。
了解です。
よろしいでしょうか。それでは、大分密度の濃い議論ができたかと思いますので、本件についての議論はここまでとさせていただきたいと思います。ぜひ事務局におかれては、今日出た一連の御意見、酌めるべき点は酌んでお進めいただきたいと思います。
それでは、続きまして新型コロナウイルス感染拡大の影響とその対応についてということです。事務局のほうから、引き続き御説明をお願いします。
○唐木室長 生活困窮者自立支援室長の唐木でございます。
資料2として「生活困窮者自立支援における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」の御報告をさせていただきます。
まず、1ページを御覧ください。今年の春以降、拡大いたしました新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、自立相談支援機関等の現場は感染防止策も講じながら、連日、急増する相談に御対応いただきました。
生活困窮者自立支援制度の支援策は、生活にお困りの方の暮らしの支援に大きな役割を果たしてきたという話は様々な方面からもいただいているところであります。こうした状況の中で、一生懸命毎日御対応いただきました全国の関係者の皆様には厚く御礼を申し上げるとともに、その状況についての御説明をさせていただきます。
資料にも書いておりますが、まず相談や給付金、貸付けの件数の増加について御報告をさせていただきます。
「自立相談支援件数」につきましては、本年4月から9月の半期で約39.2万件と、前年度の約2倍弱の増加となっております。また、「住居確保給付金」は約11万件と前年度の25倍以上、「緊急小口資金等の特例貸付」は11月で約133万件と、前年度の約100倍以上となっております。
それに伴い、現場では相談件数の急増による深刻な人手不足、相談員等の方の時間外労働が過重となるといったような労働環境の改善の必要性、また貸付け等の業務が増加した結果、相談支援が行えない等の声がございました。
続いて、2ページを御覧ください。そうした状況の中にありましても、例えば、個人事業主や外国籍の方等、これまでつながりの薄かった方々の相談が増えていることや、対面支援が困難となっていることなどに現場では試行錯誤しながらも御対応いただきました。
具体的には、持続化給付金など、事業者向け、他制度も含めたパンフレットでの説明や、翻訳アプリや外国語のパンフレットを活用した外国人への相談支援、対面支援が困難な状況下でのSNSやオンラインの活用、フードバンク等と連携した食料支援や関係機関へのつなぎです。
国としても、次のページ以降で詳しく説明するように、様々な政策的対応を行ってきました。
いずれにしても、コロナへの対応を通じて見えた課題については、今後、国としても調査研究等により、しっかりとまとめていきたいと考えております。
3ページ以降、具体的な施策についての御説明をさせていただきます。
3ページですが、緊急小口資金等の特例貸付けです。本年3月末から、新型コロナ感染症による経済への影響による休業等を理由にしまして、一時的な資金が必要な方に対して緊急の貸付けを実施いたしました。
緊急小口資金等の特例貸付けについては、これまで6月、9月、12月の3回、受付期間の延長を実施してきました。今回、第3次補正予算で約4,200億円を確保いたしまして、特例措置の新規申請受付期限を令和2年12月末から令和3年3月末に延長いたしました。
なお、令和2年4月以降の新規貸付けについては本則貸付けで対応予定でございます。
また、償還免除の基準については引き続き検討していきたいと考えております。
4ページ目は、「緊急小口資金、総合支援資金の申請件数の推移」です。これまで申請件数については、12月9日時点で緊急小口資金が約85.6万件、総合支援資金が約51.7万件に上っております。申請件数は、緊急小口資金は5月のゴールデンウィーク明け、総合支援資金は7月末頃にピークを迎えて、現在は減少傾向で推移をしております。
続きまして、5ページは住居確保給付金です。住居確保給付金につきましては、これまで最長9か月の給付期間について、一番下の吹出しにありますとおり、令和2年度に新規に申請をし、受給を開始した者については、特例として最長12か月まで再々延長可能という形にいたしております。
この措置に併せて支給要件を見直しまして、資産要件については10か月目以降の延長を申請しようとする場合には3月分を超えないこと。ただし、50万円を超えない額とします。
また、求職活動要件については、本来の住居確保給付金の目的である自立支援の目的に則りまして、4月より緩和してきた求職活動要件を従前のとおり戻します。
なお、自立相談支援機関の報告については、これまでどおりの月1回は維持する形にしたいと思っております。
また、一方で、年収減少により受給している受給者の方については、再延長期間までは求職の申込みは求めないということとしております。
続きまして、6ページが「住居確保給付金の申請・決定件数の推移」であります。5月が申請の、6月が決定のピークでありまして、その後、減少傾向で推移をしてきております。
続いて、7ページを御覧ください。4月以降取り組んできました、運用面の改善についての御説明を幾つかさせていただきます。
まず、生活福祉資金の特例貸付けや住居確保給付金に関する特設サイトを開設いたしまして、自治体の相談窓口や申請方法を御案内しております。
また、この特例貸付けや住居確保給付金についてはコールセンターをそれぞれ開設いたしまして、毎日、朝9時から夜21時まで、利用者からのお問合せに対応しているところでございます。
続きまして、8ページです。特に、緊急小口資金等の特例貸付けについては、市区町村の社会福祉協議会や厚生労働省のコールセンター等に多数の問合せが入ってございます。効率的な制度周知の強化等の観点から、制度概要や申請書の書き方・留意事項等をまとめた動画を作成いたしまして、You Tubeに掲載しております。
続きまして、9ページです。特例貸付けと住居確保給付金については、日本に在住の外国人の方も支援の対象としていますことから、9種類の外国語のパンフレットを作成いたしまして、自立相談支援機関、社会福祉協議会に配布をしてまいりました。
10ページを御覧ください。制度を支えるための各種手当や助成金等の支援策を分かりやすくまとめたリーフレット「生活を支えるための支援のご案内」を作成いたしまして、厚生労働省のホームページやSNS等において周知をしてまいりました。
続きまして、2次補正予算等々に関してのお話ですけれども、11ページです。6月に成立した2次補正予算では、生活困窮者等への住まい対策として、住居喪失者など住まいに困窮している方に対して、入居から見守りまでの一貫した居住支援を行っております。
具体的には、相談者の物件ニーズの把握や安価な物件等の情報提供、賃貸借契約に関する同行支援等の入居に当たっての支援や、アパート入居後の訪問や見守りなどの支援を行うことを補正予算により支援しております。
続いて、12ページです。これまでも冒頭で御説明したとおり、自立相談支援機関の業務がひっ迫していたことから、2次補正予算による自立相談支援機関の加配等の支援等を行ってきたところですけれども、引き続き自立相談支援体制の強化を図るとともに、家計改善支援の人員体制の強化や、就労準備支援や子供の学習・生活支援事業のICT化、住まい支援の強化などを進めることにより、困窮制度自体の機能強化を促進するために、3次補正予算案においても所要の額を措置しているところです。
13ページになります。こちらは、緊急小口資金等の特例貸付けと、生活保護等との連携になります。
特例貸付けにおいては、総合支援資金について自立相談支援機関からの支援を受けることを同意の貸付け要件といたしまして、自立に向けた相談と併せて支援を実施してまいりました。
また、総合支援資金は、初めに3か月間の生活費を貸し付け、3か月目において引き続き生活に困窮している世帯については自立相談支援機関が面談を行いまして、支援を継続的に行うとともに、3か月目の延長貸付けを実施してきました。
○の4つ目に書いておりますけれども、福祉事務所による対応が必要と考えられるケースについては、生活保護担当への情報の共有、必要に応じた同行支援の実施等を行うことによりまして、生活保護制度との連携を適切に実施しています。
最後のページになりますが、14ページです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もありまして、本年の年末年始においては居所を失った、または居所を失うおそれがある方等、その他、生活に困窮された方への迅速な対応が例年以上に必要となることが考えられます。
このため、生活困窮者自立支援制度の相談等の対応については、地方自治体に対して以下のような対応例を示して、福祉事務所とも連携をして地域の実情を踏まえた必要な対応を行うよう、依頼しております。
また、昨日、年末年始の対応に向けて、事前に御相談いただく自立相談支援機関の一覧や、支援団体の食料支援、相談支援等の情報をホームページにアップしたところです。年末年始に生活困窮者の皆様にしっかりと支援が行き届くよう、対応してまいりたいと考えております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、西澤室長のほうから資料3の御説明です。
○西澤室長 資料3でございます。
1枚目でございます。こちらは、生活保護の数でございます。いろいろこれまでも受給者などを発表してございまして、報道等もございます。
受給者数についてはあまり増えていないという状況でございますけれども、申請のところを見ていただくと、やはり緊急事態宣言のあった4月にかなり増えていて、その後はやや落ち着いているという状況でございます。これは、今、唐木のほうから説明のあった困窮者施策のほうでかなり受け止められているのではないかというような状況でございます。
次のスライドは、生活保護での対応でございます。こちらは、各自治体の福祉事務所の方に大変御協力をいただいているところでございまして、感謝申し上げます。
この青の部分につきましては、できるだけ速やかな保護決定をお願いするといったようなこと、あとはやはり居所の確保ということが重要でございますので、そういうことのお願いをしております。
緑のほうですけれども、これは一定の範囲において弾力的な運用をしていただくということを周知しているところでございます。
オレンジの部分でございますけれども、これは予算面として保護施設や無料定額宿泊所でございますが、感染予防のグッズを買ったりするような予算措置を講じております。
次の資料でございますけれども、福祉事務所のほうでそういった対応をしていただく中で、相談員さんとか事務員さんを雇っていただくというようなことについても予算措置をしているところでございます。
最後のところですけれども、デジタル化について業務の効率化をしていかなければいけませんので、こういったことも補正予算の中で確保しているところでございます。
説明は、以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、以上の御説明について委員の皆さんから御質問、御意見等よろしくお願いいたします。先ほどと同じような形で、挙手をいただければと思います。
生水委員、お願いします。
○生水委員 御説明ありがとうございました。私のほうからは、2点要望をお伝えさせてください。
まず、1つ目は資料2の3ページの特例貸付けです。先ほど御説明の中で、生活保護受給世帯が増えていないということは、この特例貸付けがあることが要因だと私は思っています。償還免除の方法については、まだ詳細が示されていないため、利用者や相談現場は混乱しています。
資料の下段に、「償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」という記載があって、併せて国は案内時に相談者にちゃんと説明するようにと事務連絡まで何度もあったのですから、この従来の説明どおり、非課税世帯については、以後の償還が一括で全額免除されることとか、また非課税でなくても償還が困難な場合には柔軟に応じるなど、具体的な要件について現場にしっかり示していただきたいと思っています。
相談者と直接面談し支援しているのは、全国の社会福祉協議会や自立相談支援機関の相談員、職員なんですから、この利用者や矢面に立っている現場が安心して相談できるようにしていただきたいと思います。
2つ目は、資料2の5ページにあります住居確保給付金についてです。12月8日の国からの事務連絡では、求職活動要件の復活が通知されています。先ほど、唐木室長からの御説明にもありました。
しかしながら、例えば求職活動要件にあります、週に1回以上の企業等への応募、面接の実施を1月から満たすのは、このコロナウイルス感染症の拡大影響をまだまだ受ける中では求職活動が厳しい状況だと思います。
例えば、個人事業主が収入減少で住居確保給付金を受給している場合、10か月目からは常用就職を目指す就職活動をしないといけなくなるので、自営業を辞めて雇用される働き方に変えなければならなくなります。
また、自営業を持ち直すために営業活動を頑張ってやったとしても、それでは給付金の対象外となります。
また、給料が減収したので、その減収分を稼ぐために、ハローワークに行くだけではなくてフリーランスという形で自ら仕事を探したり、やることも対象外となります。
取扱い問答では、フリーランスや自営業などの雇用契約によらない方については、短期的な雇用でも認めるとされているのですが、しかし、施行規則の10条には常用就職を目指す就職活動を要件とされているため、問答にあったとしても自治体間で運用に違いが生じています。
この雇用ありきの働き方しか認めないというのは、地域共生社会を目指して多様な働き方を推進しようとされているのに、目指していることがちぐはぐではないかと思います。この求職活動要件については、コロナ禍の中での厳しさ、また多様な働き方も踏まえて実情に合った要件にすることが必要だと思います。
それと同じく、事務連絡の中に求職者支援制度について紹介されているのですが、この求職者支援制度の職業訓練受講給付金を受給すると、住居確保給付金を受給することができないという調整規定があります。この支給事務の取扱い問答においても、職業訓練については求職活動とみなしているのだから、この職業訓練受講給付金を受給すれば対象外とするのは、やはり困窮者の実情に合っていないものだと思います。
雇用保険の基本手当を受給していても住居確保給付金の対象となるのであれば、この求職者支援制度の給付金の扱いも同じく対象とするように調整規定を見直すことが必要ではないかと考えます。
あと、相談現場において支障になっているのが、人生1回のみの利用という縛りです。解雇や事業主の都合による離職の場合は2回目も申請できるのですけれども、自己都合退職の場合は申請ができません。
例えば、コロナが原因で減収して住居確保給付金を活用して増収のために転職したけれども、また転職先で減収となった人は住居確保給付金の再度の申請ができません。この減収要件が省令化されて加わったのですから、本人ではどうしようもできない減収において、解雇と同じく再度の申請ができるようにしなければ、これも実情に合っていないです。
それと、そもそもこの人生1回のみという制限についても緩和の検討いただければと思います。
最後になりますが、何よりも思うのが、コロナ禍において住まいを守る制度として機能したのが、人生1回しか利用できず、有期限であり、求職活動要件が課せられた住居確保給付金でしかないというのは脆弱過ぎるのではないかと思います。
ぜひ、このコロナ禍で学んだことを生かして、市民さんが困ったときに、必要なときに安心して使える住宅保証制度になるよう、ぜひ御検討いただきますよう、現場からのお願いです。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。大変大事な問題、2点について質問がありました。
償還免除については、給付時に給付に等しいというような説明もあったように伺っております。現場が支援どころか、返済業務に追われるというようなことになってはいけない。住居確保給付金の求職活動要件の問題についても質問がありました。
勝部委員も手を振っておられますが、重なる問題として理解してよろしいでしょうか。
では、両方併せてお伺いした上で事務局に御説明、御回答をお願いします。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 今、宮本先生からのお話もありましたが、私たち現場では3月の末から本当に食べることができない、突然収入を断たれた人たちに対して、緊急小口資金ですね。目の前で自殺したいと言われる。こんなことだったら死んでしまいたいと言われる人たちに対して、政府は給付同然のお金ですというような説明があったことから、5月から一気にこの相談が増えていきました。そして、目の前で泣き崩れる人たちに対して、命を守るためにこのお金を借りてくださいと、一生懸命、私たちは訴えました。それで、最大限、今140万の借金を皆さんが背負われています。
この方々に対して、返済要件についていろいろとちまたでうわさが飛び交っておりまして、10年縛りだと、毎年要件を出さない限りはその都度督促を続けるんだというようなお話が出てきたり、または家族全体の要件、家族全員が収入が非課税でない限りは返さないといけないというふうなお話が出てきたり、非常に後出しジャンケンのようなお話がたくさんあり、私たちは目の前でたくさんの人たちの命を救ったような思いでいたんですけれども、結果としてこの人たちを裏切るのではないかと今、物すごく苦しい思いでおります。
たくさんの方たちの命を絶たない形で応援してきた全国の社会福祉協議会の仲間のことを考えたり、また目の前で苦しんでいる人たちのことを考えると、この一括の償還免除、あるいは2年目に生活が落ちればその段階で免除していくような積極的な姿勢、支援を考えていただきたいと思います。
貸付けの範囲で考えるのであれば、結果としてこれは自助です。自助だけでこのコロナの問題を解決することは、大変おかしい。これは、誰の責任でもないというふうに私は思います。災害と同じような状況の中でこの人たちを追い込んでいくというのは、これから多くの自殺者を迎えるのではないかというような危惧があります。
それから、2点目です。生水さんがおっしゃっていましたが、住居確保給付金の就労義務につきましては、そもそも我々が対応している人たちというのは自営業やフリーランスの人たちがとても多くて、職業を変えたくないんです。自分ができる仕事はこれしかないというふうに皆さん思っておられます。コロナが収まれば、何とか元の仕事で頑張れるというふうに思っておられる人たちに対して、違う職業に向かいなさいという指導をすることは、現実から非常に離れていると思います。
さらに、少しお客さんが戻ってきていると喜んでおられる方々に対して、毎週ハローワークに行ってそこで求職活動をしろということになれば、固定費が一定ですので、その方々がお店を閉めて収入が減っていくということになると、本来この方たちを応援する指導なのか、あるいはこの人たちの足を引っ張る指導なのか、どちらなのかというのが問われるように思います。
ハローワークは、日曜日開けていただけるのでしょうか。時間外も、対応していただけるのでしょうか。彼らの生活を守るために、我々の求職活動や就労義務というものが時間外対応などをせずに、そのままの体制でやろうとするのは非常におかしい。それは、実態に合っていないと思います。
そんな形で、例えばある程度、状況が改善に向かっているような人たちに対してまで仕事を変えていくような指導をするのではなく、そこを応援できるような自立相談支援機関に一定の裁量権があるような指導ができるようにならないのかという思いが非常にあります。
3点目ですが、生活保護にいくぐらいならば死んだほうがましだと、私たちの目の前でみんなが言うんです。そんなにバッシングを受けるような生活保護であり続けることがとても厳しい。そもそも生活保護とは無縁のような生活をしていたのに、このたびのコロナの問題で一気に生活が転落した人たちがたくさんいるわけですから、そういう方々に生活保護だけはいきたくないということを言わせないためには、政府としてぜひGo ToキャンペーンではなくてGo To生活保護、こういうことをみんなに発表していただいて、安心して生活保護でこのコロナ禍の間は、この数か月間はいろいろな条件を問わず支えますというふうなセーフティーネットを打ち出していただきたいというふうに切に思います。
この会議の直前も、今、公園でホームレスの人がいるということで連絡がありました。住居を失っている人たちがたくさんいます。現実は厳しいです。こういう状況だけで予算を確保するためには財政がどうだということではなくて、ぜひ災害と同じだというような対応で考えていただきたいというふうに切に思います。よろしくお願いします。
○宮本部会長 ありがとうございました。特例貸付け、住居確保給付金、さらには生活保護、コロナ禍の経済対応について3点、現場の非常に切実なお話がありました。
とりあえずこの2つの問題提起に対しての事務局の対応を求めていきたいと思います。いかがでしょうか。
○唐木室長 生水委員、勝部委員から切実なお話をいただきました。
まず、償還免除、貸付けの関係についてなのですけれども、御案内にありましたように償還免除については、償還時において、なお所得の減収が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができるという形でしております。現在は、その詳細については、貸付けを受けている方の実態なども踏まえまして、生活に困窮している方の生活へのきめ細やかな配慮を行うべく検討しているところでございますので、償還開始時に貸付金の全額を一括免除するのか、償還年ごとに免除を行うのか、現時点では具体的な取扱いについては決まってございません。
こちらについても御不安をお持ちの方もおられますように、引き続きしっかりと検討を進めまして、生活に困窮された方に対してきめ細やかな配慮を行うものとしていきたいと考えております。
続きまして、住居確保給付金についてです。こちらは、現在、省令案についてのパブリックコメントをかけているところでございまして、そちらについての御意見等も踏まえながら対応を検討したいと思っております。
求職活動の要件については、フリーランスとか、現在仕事をお持ちの方についての一定の配慮というようなことで、1月からも、1月目から9月目までは従来どおりの取扱いをそのまま変えていないということでございます。今回、10から12か月まで延長する形となったわけですけれども、現時点では12か月目以上の延長というのは住居確保給付金という形ではできない中で、ではそのまま自立支援にどういうふうにつなげていくかということが非常に大事かと思っておりまして、そういう趣旨も踏まえながら考えていくべき話かと考えております。
あとは、生水委員からお話がありました求職者支援制度についてなのですけれども、御指摘がありますように、こちらについては併給がかかってございます。ですので、住居確保給付金がある中では求職者支援制度における給付金というのは出ない形になっておりますけれども、こちらについては労働部局とも調整の上、改めて事務連絡でも周知をしまして、就労につながるような方がいるのであれば、住居確保給付金が切れる場合には次の制度を受けていただくというようなこともできますし、訓練と給付は別ですので、訓練はそのまま受けていただく形のことも可能ですので、そういう取扱いというのもしっかりと周知をしていきたいと思っております。
○西澤室長 生活保護の件でございます。もちろん、生活保護の申請というのは国民の権利でございます。その点は国会でも、例えば総理から答弁させていただいたりしておりますし、例えば最近はヤフーのバナー広告で生活保護などを取り上げていただいたりしているところで、努力が足りない部分はあるかもしれませんけれども、広報の努力をしておりますし、今後も取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○宮本部会長 生水委員のほうから、住居確保給付金の申請が1回限りという点についてもお話がありましたけれども、そのあたりは再検討の余地等を含めていかがでしょうか。
それから、生水委員、勝部委員、今、事務局からお話があったのですけれども、よろしいでしょうか。
○生水委員 今、唐木室長から御説明があった求職者支援制度は、10万円と交通費の支給がされる職業訓練受講給付金と住居確保給付金は併給ではなく調整されて受けられませんよね。これを受けられるようにしていただきたいという要望なんです。
○宮本部会長 今の生水委員のお話を含めて、いかがでしょうか。
○唐木室長 現時点で併給にはなっておりますので、その趣旨を踏まえながら労働部局のほうと話はしてみたいと思いますが、同じように居住支援に関わる給付でありますので、ダブルで受ける形になるといった点も考慮しながら検討することが必要かと思います。
また、生水委員のほうからお話がありました、支給期間終了後に収入が減少した場合の再支給についてなのですけれども、こちらは住居確保給付金については就労による自立支援を図るための有期の家賃支援というようなことになっておりまして、コロナ対応以前にも離職、廃業については再度の離職という形になった場合、再支給ができるというようなことで、年収減少の方の場合、自己の責めに帰すべきというような話ではないのですけれども、再就職の場合も解雇とかその他の事業主の都合の離職により対象としなければならない場合について再支給というような形になっておりました。
ですので、そういったところも考えながら見ていかなければいけないのかなと考えております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、勝部委員のほうからもう一回、それからその後、田辺参考人にもお願いをいたします。
○勝部委員 住居確保給付金の就労義務は非常に実態に合わないということで、今ハローワークでは仕事がなかなかありませんし、例えば飲食の方は同じ経験のものを選ばれようとしても、同じ業種のものはほとんど仕事がないということになるので、これは形だけの、いわゆるペナルティーのような形に見えかねないということをお考えいただいて、自立相談支援機関でしっかりとお話を聞くことは、時間外対応も含めていろいろと対応できるかと思いますけれども、ハローワークへ行くことだけをやって、それが就活だというのは少し実態と合わないと思いますので、再度御検討いただきたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
今のやり取りですけれども、今の勝部委員のお話はお聞きいただいたとおりであると同時に、特例貸付けの償還条件については唐木室長のほうからまだ決定はされていないというお話でありましたが、ぜひとも現場からの切実な声を反映させて、また給付に等しい対応であるというような説明があったという事情も鑑みて、その点、特に収入の継続的な減少等の解釈についても免除の幅が広がるように、特段の御努力を部会長としてもお願いをしたいと思います。
川村参考人、その後、奥田委員にお願いして、会場のほうから佐保委員、菊池委員、続けてお願いをいたします。
○川村参考人 生水委員に関連しまして、高知市のほうから全国市長会を通じて今回意見書として出させていただいておりますのが、生水委員がおっしゃったことと同じでございまして、生涯1回限りの件につきまして、現在まさに第3波が高知県も襲っておりまして、4月、5月の波よりもまだひどい状態になっております。
そういった方が、室長がおっしゃったように本来の要件に戻るということであれば、高知市の場合は32万人都市ですけれども、400件ぐらいの方が途中で利用を終了されております。こういった方が救えないということは、最後のセーフティーネットで受けざるを得なくなるということになりますので、自立を支援するという観点からいうと、当該年度だけでも運用につきまして頑張っていただいて、収入減の要件をもってせめてこの12か月の間に、3月までの間は要件を緩和していただきたいということで、高知市長名で意見書を出させていただいておりますので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、奥田委員お願いします。
○奥田委員 私は、住居確保給付金のその後のことについて3つぐらい質問というか、意見です。
住居確保給付金、12か月まで延長された。様々、就労指導とか課題はありますけれども、延長されたことはひとまずよかった。
ただ、その後のことなのですが、やはりコロナ自体の収束と経済の回復というのはずれていくと思うんですね。ですので、やはり一定の方々が生活保護への申請に向かわれる可能性は高いと思わざるを得ないというか、当然だと思います。そして、世間のいろいろな逆風はあっても、ちゃんと権利なんだから使っていただきたいということは胸を張って言っていく。
ただ、そのときに非常にテクニカルな問題なのですが、現在住まれている家賃と生活保護の住宅給付の扶助の差額が出る場合というのが多分出ます。私の周りにも、もう既にそれが想定されるケースがあって、北九州は単身者の場合、住宅扶助が2万9000円という家賃レベルです。そうなると、4万円、5万円の家賃で今、暮らしているんだけれども、ほぼ申請の時点で、原則的に言うと転居指導が入るということになると思うんです。これは、すごく大変だと思います。
何よりも、御本人がコロナで経済的に追い詰められた中での転居ですから、華々しい転居ではないんですね。大きな家に移るんじゃなくて小さな家に移るというようなパターンは、気持ち的にも落ちますし、何よりも生活保護の担当者のケースワーカーさんの実情からいうと、家を見つけるとか保証人の確保というあたりはほぼできないと思います。そうなると、転居指導をするのかというそもそも論になります。
第1の課題としては、転居指導の在り方をよく考えないといけない。
第2の在り方としては、思い切って転居しないで何らかの手を打てないのかということですね。そこは、人にもよると思うんです。ある程度、計画を立てた上でのことになると思うのですが、私の現場の感覚からすると、なるべく転居しないで再スタートを切るというのは最善だと思います。その方法を検討すべきだというのが2点目です。
3点目として、ではその方法で周りを見渡してこれと思うのは、厚労省ではありませんが、生活保護をベースとした上で例えば家賃低廉化補助ですが、これも大家さんに対する補助なんですね。これは、国土交通省の住宅セーフティーネット改正案の施策の一部です。
しかし、今の立てつけでは、生活保護と家賃低廉化は併用できない。多分、国費の二重払いというのが理由になっていると思うんですけれども、できないんですね。だから、この辺りも含めてやはり大きな手を打たないとまずいんじゃないかというのが1つです。
2点目の質問というか、指摘は、住居確保給付金の対象者は賃貸者契約を結んだ人たちだという前提、借地借家法上の契約ですが、一方でやはり会社の寮とか住み込み型で働いている人たちが落ちているんじゃないか。住居確保給付金が去年に比べて25倍とか30倍の数が出ているのは事実ですけれども、一方でそこで救い切れていない人たちの存在というのはどこまで把握できるか。特に、会社の寮ですね。寮つき就労という人たちが、今後どうなるかというのが2点目です。
3点目として、資料3の2ページ目に、年末年始というか、今後の対応として「一時的な居所の確保が緊急的に必要な場合の支援」をすると書かれているのですが、やはりこれも申し訳ないけれども、これまでのケースワーカーさんのみんながみんなではないですが、やはり少なくないケースがなかなか住宅の確保まで踏み込んでのケースワークができていないというか、実際できないという実情があると思うんです。住まいの確保の推進と書いていますけれども、お金を出すだけでは住まいの確保はできないので、どうするのかというところは一歩踏み込んで、例えば居住支援法人との連携等、具体的にどうするかというのを出さないと、幾ら書いても使えないという話になりかねないと思うんですね。
私からは、以上3点であります。
○宮本部会長 ありがとうございました。生保受給に当たっての住宅扶助との差額の扱い、それから住居確保給付金等を巡って3点の御質問でした。
事務局からお答えいただく前に、私の不手際で予定された時間を過ぎております。冒頭申し上げたように、議論すべき点はきちんと議論したいと思っておりますので、少し延長させていただきたいのですけれども、会場におられる菊池委員、佐保委員、ひょっとしたらこの後の御予定等があるかもしれませんので、先に御発言いただければと思います。ほかに何かこの後御予定がある方で御発言がおありの方は、またその旨、お示しください。
菊池委員、よろしいでしょうか。
○菊池委員 以心伝心というか、大学に戻って授業があるのでそろそろ退席しようと思っていたので、ありがとうございます。
生水さん、勝部さん、奥田さんのお話を伺って胸が詰まる思いがして、そういう現場の苦悩というか、私は制度を作る側ではないですけれども、実態を受け止めて、どこまでこれを工夫して仕組みとして作っていただけるかということで、ぜひ頑張っていただきたいと事務局にはお願いしたいと思います。
私は今日ちょっと遅れてきましたが、医療保険部会を並行してやっていましたので途中から参加をしていますけれども、医療保険のようにがんじがらめに法律、法令で縛られている世界に対して、こちらもそうではあるのですが、まだ創意工夫の余地があり得る部分が相対的に多いと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
それで、私からは少し抽象的な話ですけれども、今日のお話でも予算措置で随分きめ細かくやってくださっているなという印象を受けています。
ただ、これはある意味で恒常的にあったほうがいいものも随分あるのだろうと思っていて、この補正予算でついている、これをいかに恒久化していくかということがこれからの課題だと思います。
そして、関連して生活困窮者自立支援制度の枠組みを超えて、ある意味で今、起こっていることの多くは、従来からあった日本の社会保障制度に欠けていたもの、潜在的なニーズとして大きくあったものが顕在化したという見方ができると思っています。
3つ挙げれば、先ほどもいろいろ議論になった住居費の支援が弱いというか、あまりなかったということ。それから、ひとり親世帯の支援についても弱い。それから、先ほど議論が出ましたが、いわゆる自営的就業者が最近増えている。これに対する法的な規制というのもこれからという部分。これらを住宅手当的な恒常的な仕組みにしていく。児童扶養手当なども充実していく。さらに自営的就業者に対する働き方の就業規制、そして社会保障制度としての支援の仕組みを整えていくということを、これを機にぜひ考えていただきたい。まだ大変ですけれども、大変な状況の中からも、その先を見据えた政策の枠組みを考えていく必要があると思っています。
最後に1点、これはちょっとここでの議論から外れているんですけれども、ひとり親世帯支援との関係で、私は最近、民法上の扶養義務との関連が気になっています。特に、離婚したひとり親世帯に対して、私の議論は決して公的な支援を抑制するという趣旨ではなくて、そこはさらにしっかりとやっていく。それに加えてという話ですけれども、養育費の取決め自体それほど多くないと聞いていますし、さらに取決めがあってもそれが履行されていないという実態があるということを承知しています。
私は、公的な仕組みとして所得保障を充実させると同時に、扶養義務というのは相対化、社会化という流れがあると思いますが、最後まで残るのは親の未成年子に対す扶養義務で、これは残り続けると思っています。この部分で、しっかりした養育費の確保が図られるような仕組みづくりというものをお考えいただきたい。
これは、生活保護を管轄するこちらの部局から子ども家庭局に伝えてほしいですし、同じような問題意識を共有できるのであれば法務省民事局の家族法の担当者にもお伝えいただいて、社会保障審議会委員からもそういう問題意識を持った発言があるということをお伝えいただいて、ぜひこの部分を進めてほしいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○宮本部会長 ありがとうございました。
菊池委員のほうからも支援に関わって、さらには養育費の扱いに関わって、スウェーデンやドイツなどでは養育費も立替払制度が進んでいるわけですけれども、そういった支援を日本でも考えていく必要があるのかもしれません。ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
これまで生水委員、勝部委員、奥田委員をはじめ、皆さん方から発言があったものと重複する部分がありますが、極力、簡潔に意見を述べたいと思います。私からは、5点ほど発言させていただきます。
まず1点目、住居確保給付金の支給期間延長は、連合もこの間、要請してきた内容であり、一人でも多くの方が制度を活用し、寒さが増す年末年始を自宅で過ごせるようにしていただきたいと考えております。
2点目ですが、先ほど来出ています求職活動要件等の設定について、離職していない休業者等に対してまで求職活動を求めることは受給者の負担となりかねず、申請件数が増大している相談窓口のさらなる負担にもつながりかねないため、慎重な検討をお願いしたいと思っております。
3点目、新型コロナの感染症の拡大は予断を許さない状況が続いております。先ほど菊池先生からもお話がありましたように、今日、東京都で新たに822人の新規感染者が確認されたという報道が出ております。恐らく、全国でも相当数の新規感染者が出るものと予想しております。
この先、第1波、第2波で大きな影響を受けた業界をはじめ、多くの業界や働く者がさらに厳しい状況にさらされるということが予想されます。住まいを失うことは衣食住の土台を失うことであり、住所がないと職に就けないだけではなく、社会からの孤立にもつながると思います。国としても、長期的な視点で、制度の拡充、改善を行うとともに、住まい保障について検討を進めていただきたいと思います。
4点目ですが、これが一番重い話になると思います。生活保護の件数が増加してこなかったのは、先ほど事務局の説明があったとおり、緊急小口資金等の特例貸付けによるところが多いと思われます。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響がどこまで続くか見通せない中で、困窮状態が続く方、償還が始まるとさらに生活に困窮する方、生活に困窮しているが生活保護の申請はしたくないと思う方も少なくないと考えております。貸付けの継続や、償還に当たっての免除要件の拡大など、生活に困窮するあまり、自殺に至る方を救う方策を改めて求めたいと思っております。
5点目です。各種周知活動につきましては、先ほど事務局から説明がおありになったように、いろいろ御苦労されていると思います。
ただ、困窮する者の中には、これまでの公的支援とあまり縁のなかった若年層等もいて、相談することへのハードルが高かったり、情報が届いていなかったりするケースがあると聞いております。制度を必要とする者の手元に情報が届くよう、様々なチャンネルを活用し、制度周知を進めるようお願いしたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。奥田委員、菊池委員、佐保委員、それぞれかなり重なる論点があったかと思います。
西澤室長、唐木室長が御苦労されているのを間近で拝見しているんですけれども、しかし、こういう状況の中で一丸となって立ち向かっていくためには特段の御尽力も求められます。
いかがでしょうか。今のお三方からの御発言をまとめて御回答いただければと思います。
○西澤室長 まず、奥田委員からいただいた住宅の件でございます。
家賃低廉化の件は国交省のほうで予算要求をしているところなので、それがどうなるかというところはあるかと思います。
転居の件でございます。住居扶助基準というのも、やはり一定の範囲で上限を決めるということは必要であると思います。そこはやむを得ない部分はございまして、そこで合わないケースがあるということもそうかと思います。そうなった場合、一定の場合、転居を控えるというようなこともあるかとは思うのですけれども、どうしても家賃が生活費のほうに食い込む部分が出てくるということもございます。そうしたところで、バランスをどう考えるかといった点も含めて検討が必要かと思ってございます。
とりあえずこちらからは以上ですので、替わります。
○唐木室長 自立支援室長です。奥田委員からお話がありました社員寮の件ですけれども、過日、社員寮については雇い止めされた後にも引き続き住居という形で使えるようなお願いは厚労省のほうからしておりまして、実際にそうなりますと一定の期間、賃貸契約を結んでいただいてお借りいただけるということです。今、手元に具体的なものはないのですけれども、実際にそれで切り替えたという例も幾つか聞いているところでございます。
それで、そこに住居確保給付金を使っていたかどうかというところまでは分からないのですが、就業の切れ目が住まいも失うということがないようにということは、厚労省としてもぜひ引き続き取り組んでいきたいと思っております。
それから、菊池委員から、コロナの中で対応するものを恒久的な仕組みにというお話がございました。私のプレゼンの中でもお話しさせいただきましたけれども、現場でどういうことが起こって、どういう対応が必要になったのかというような課題については、今後調査研究等によりまとめていきたいと考えておりますし、生活困窮者自立支援法も平成30年の改正以降の定期的な見直しのタイミングもまたありますので、そういった対応の中でどういったものを実際に制度化しなければいけないかというような検討につなげていければと思っております。
また、養育費の確保の仕組みの件については、菊池先生からもありましたけれども、子ども家庭局と法務省のほうには、委員からこういう御意見があったということはしっかりと伝えていきたいと思います。
佐保委員からお話がありました住居の関係の支払い延長、年末年始対策ですけれども、こちらはしっかりやっていきたいと思っております。
求職活動要件については様々な委員から御指摘がございましたので、どういった対応ができるかというようなことは内部でも議論したいと思っております。
あとは、コロナの感染の関係で厳しい状況にさらされる方、社会から孤立するような方への対応ということもしっかりしていきたいと思っておりますし、年末年始対応の中でも少しお話しましたけれども、どういう支援を行っているかというようなことは特に年末年始は必要だと思いますので、先ほども申し上げましたが、自立相談支援機関の一覧と支援段階、あとは自治体のほうにも地域の実情を踏まえて窓口の開設や、連絡先の確保など、どういった形があるかというのを検討してほしいということをお願いしておりますので、その検討の結果は厚労省としてもしっかり皆様に御案内できるような対応を年末年始に向けて取っていきたいと思っております。
もう一度、保護課に替わります。
○西澤室長 すみません。お答え漏れが1つございました。
奥田委員からいただいた居住の支援の件で、確かにおっしゃるとおり福祉事務所はなかなかそこまでできないという現実が一部であることはあるかと思います。これは、資料2のほうで御説明させていただいたように、2次補正で住まいの支援の事業というものをやっていまして、自治体がそういう居住支援法人などに委託してアパート探しとか入居支援をするという事業を作りました。
これは来年度の当初予算でもできるように要求をしているところで、もう少しで来年度予算というのも見えてくると思いますけれども、一応努力をしていきたいと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
今、御発言、御質問されたお三方、菊池委員はお帰りかもしれませんけれども、よろしいでしょうか。
時間も15分超えていますが、この後、御発言ある方は今、最後に承りたいと思います。
では、岡部委員、渡辺委員、それから池永委員からもう一言ということで、お三方から承ります。
会場のほうではよろしいですか。
それでは、岡部委員からお願いいたします。
○岡部委員 資料2の14ページの下で、年末年始対策のお話が出ていたかと思いますが、これは11月24日に保護課と地域福祉課の生活困窮者自立支援室が発出していただいて、非常によい連絡であると考えます。

年末年始期は、仕事がない、居所がない、医療にかかれない困難な人が増えてくる時期でもあり、この文書を発出していただいたというのは非常にありがたいです。これは、以前は年末年始対策を行政機関が行っていたこともありますが、最近は、特にリーマン以降、いろいろ対策整備をして年末年始対策を行わない自治体が多くなってきています。しかし、今回のコロナに関してはぜひ行政、あるいは自立相談支援機関、社協、それから福祉施設、万難を排してやっていただきたい。
実際の場面では、やはり事前の準備が必要です。住まいの確保であるとか、施設の受入れであるとか、医療機関が受け入れる準備であるとか、相談をされたときに給付であるとか貸付けが行われるかということがどれだけ事前に準備できるかということで決まってきます。事前に医療機関であるとか施設などの枠の確保であるとか、そういうことを詰めていただくということが大切ですので、この年末年始の対応をしていただくという事務連絡は非常にありがたいです。
事前の対応でどういう準備をされているのかということは各自治体の判断になると考えますが、ぜひ国としても、また自治体としてもどういう対応ができるかということのシミュレーションをしていただきたいという要望です。
 
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 ありがとうございます。本当に様々な施策をしていただいて、住居確保給付金とか、総合支援貸付け、緊急小口資金、すごく助かっている方は多いと思います。
私たちも、コロナで全国の困窮子育て家庭と今コンタクトを取りながらやっているんですけれども、4月の時点でつながった方で、今月緊急事態で仕事ができません。そうすると、来月の収入がゼロなので家賃が払えないから私は子連れホームレスになるんでしょうかと言ってきた方がいらっしゃって、こういう制度があるのでぜひ使ってくださいということでつながっています。
ずっとコンタクトをいろいろな方と取っているのですが、例えば今も住宅確保給付金が使えたので、仕事はまだ見つからないんだけれども、総合支援金があるのでこれで何とか生活している。子供に何とか御飯を食べさせられているというようなお母さんたちがたくさんいるので、この制度は本当によかったなと思います。
ただ、それが切れてしまうということで、例えば12月でもし切れるのであれば、その後、仕事が見つからなければ本当に生活保護とかに移っていくしかないと思うんですけれども、そこのところはぜひ丁寧につないでいただかないと、非常に情報収集力が低い方なので、終わりますというだけでは、本当にないんだということで途方に暮れる。
先日もNHKのテレビで、子育て家庭のお母さんで仕事がない方が覚悟を決めて風俗を始めましたというような話が出ていましたけれども、本当に福祉の敗北でしかないので、そういうことのないように、セーフティーネットですし、特に子育て家庭は子供がいるのでそこの方たちの生活が途切れることのないように、本当に子連れホームレスが出ることになったら大変なことなので、そこはすごく配慮していただいてやってほしいということが1つあります。
2つ目が、先ほどから就労の話が出てきていますけれども、本当は皆さんお仕事をされたいんですよね。でも、お母さんたちもずっと仕事を探しているけれども見つからない。40とか50とかになって、なかなか仕事がないという方たちがいらっしゃる中で、求職者支援制度というものがもし使えるのであればそれを使ってほしいと思いますし、1つはそれも要は認知がないと知らないということがあります。
今回、住宅確保とか総合支援貸付けがこれだけ使われたのは、非常に広報を頑張ったということがあると思うので、もし就労に向けて求職者支援制度を推していくのであれば、そこの認知をもっとやって、もっと使ってくださいと言うことはすごく重要だと思いますし、今の制度だけでいいのかとか、手厚くするとか、これを広げていくということをやらないと延々とよくはなっていかないので、早めに就労の支援ということをどうしていくのかということで、給付型の就労訓練みたいなことがもっと手厚くなることが重要だと思いますし、やはり他国と比べても就労の支援みたいなところはすごく弱いのかなと感じています。
最後、3つ目に、もう一つすごく気になっている層が今の高校3年生です。私たちは、大学受験をしたいという子に何とか支援をしていますけれども、今までは何とか私立でもいいかと思っていた子が、受験料もないから国立1本、1校しか受けませんという子がたくさんいるわけです。そうなると、受かればいいですけれども、受からない子もたくさん出てきたときに、この子たちというのは、要は大学にも行っていない。専門学校にも行っていない。でも、就職もしていないという子になる。
この子たちをどう支援していくのかという制度が、今はないんです。これが、本当に卒業してしまった後だとつかまえられないんです。高校を中退しちゃった子を支援するのがすごく難しいように、高校を離れてしまった子たちはどうなっているのかという実態も把握できない中で、私たちが想像しているのは、卒業式が終わった後でやむなくコンビニでバイトを始めて、ずっとそのコンビニバイトで一生を送らざるを得なくなるとか、ウーバーイーツの配達員をやるとか、そういうふうになってしまう可能性のある子がすごくたくさんいると思います。
この子たちも、例えば求職者支援制度があるから無料でトレーニングを受けて仕事ができるんだったらそういうことにつなげていくとか、浪人をしてもう一回勉強を頑張るんだったらそこの支援に何があるとか、奨学金はどうあるんだとか、そこへつなげていくことをしていかないとだめなので、本当に卒業して切れる前に、例えば高校の段階で進路が決まっていなかったらハローワークとちゃんとつないでくださいとか、その支援団体とつながってくださいとか、何かに登録してくださいとか、とにかく情報を届ける方法を作っておかないと、就職氷河期でもないですけれども、ここの層が将来的にすごく大変になってくると思うので、ぜひそこに関しては早めに手を打って、途方に暮れた高校3年生が町にあふれるということがないように、またそういう子たちが風俗でもないですけれども、そういうふうなところにやむなく落ちていくのは日本にとってもすごく損失だと思うので、ぜひそこに関しては何らかの配慮ということを早めに検討いただければと思います。
私からは、以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
池永委員、その後、私は気づかずに失礼いたしました。竹田委員、朝比奈委員も手を挙げておられます。時間もかなり過ぎておりますので、その点もお含みいただいた上でおっしゃるべきことをおっしゃってください。よろしくお願いします。
では、池永さん。
○池永委員 池永でございます。初めて参加させていただきました。
私は専門的な知識というものはあまり持ち合わせていませんので、委員の皆さまのいろいろなお話をお聞きしまして本当に胸が裂かれるというか、私はいろいろなことを知らなさ過ぎたなというような思いがしております。
通常、私たちは生活福祉資金の貸付にあたっては借受人の申請書に意見書を書くことがありますが、今回の特例貸付では、そういうものがありませんので、どういう方が、高知市社協に行ってお金を借りられたかはなかなか分からないわけです。この制度で借りたお金も無くなると、生活保護制度を利用する方が多くなるだろうということは前からお聞きしていました。 私たちが普段関わっているのは高齢者が多いもので、その方たちであればある程度のことが分かっているんですけれども、今まであまり関わりのなかったような方がそのような状況になられたときに、どのような関わり方をしていったらいいのかということが、これからの課題だと思います。その方たちが、お仕事ができるようになれば生活保護制度などを利用しなくてよくなるわけですから、そういう面では早く穏やかな社会になってほしいと思います。
それから、冒頭に説明がありました医療扶助のマイナンバーカードのことですけれども、これも制度としての周知をしっかりやっていただきたい。そうじゃないと、なかなかそういうことが分からないという方が多いのではないかと思います。
民生委員活動の今の状況を申し上げれば、高知県では子ども食堂などに取り組んでいます。子ども食堂といってもお弁当ですし、食材の支援もしていますが、なかなか十分なことはできていないなというふうな感想を持っております。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
朝比奈委員、お願いできますでしょうか。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
最初に生水委員、それから勝部委員がおっしゃったことに尽きるかと思いますが、資料2の中に現場で本来の相談支援ができないという指摘があったかと思います。
現実に、先ほど住居確保給付金の就労支援のことについても議論がありましたけれども、就職活動が思うように進まず、延長申請を重ねていくたびにどんどん傷ついていく人たちを私たちは目の当たりにせざるを得なくて、とてもつらい状況にあります。
相談支援は、本来はエンパワーメントを目指すべきであると思いますが、どんどん傷ついていって、傷ついた最後に生活保護にたどり着くという状況だと、多分、生活保護からの自立の時間も相応にかかるだろうと思っています。そういう意味では、全体の数字の中で緊急小口や総合支援資金、住居確保給付金の棒グラフがどんと伸びて、生活保護が実はあまり増えていないんだという事柄の評価ということをいろいろな角度から検討していく必要があるのではないかと思います。
そういう現場にいると、先ほど勝部さんもおっしゃっていましたが、国からの通知の中で求められる就労支援ということが、本来、困窮者支援が夢見た多様な働き方とか柔軟な働き方というところから非常に遠いものに感じられていて、どんどんパワレスな方向に相談者の方々を追い込んでいっているんじゃないかと、今、現場は非常にジレンマにあります。
自立にどんどん予算がつく形で人員が増えていますけれども、少なくとも私たちの現場は新規相談者は増えていますし、住居の支給決定は増えていますが、任意事業を含めたプランが全然追いついていない状況の中で、もしかしたら近いうちにその評価を受けざるを得ないのかもしれないという悩みも感じています。
どこの相談機関も訪問を控えるという緊急事態宣言のさなかで、困窮の現場も社協さんも窓口を閉じるなというふうな指示を受けていました。密を避けられない状況も起きていました。そんな状況も含めて、現場の状況を丁寧に拾いながら今後の分析につなげていっていただきたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
最後になりますが、竹田委員、お願いいたします。
○竹田委員 では、手短に1点だけ述べさせていただきたいと思います。
既に報道等で出ていますけれども、自殺者数がかなり増えているということもございますので、そこへの手立ても併せて検討していただきたい。特に女性や子供の自殺者が増えているというデータも出ていますので、自殺者数を抑えていくという横のつながり、制度・施策の展開も必要と思っていますので、その点を1点述べさせていただきます。
以上です
○宮本部会長 ありがとうございました。
岡部委員、渡辺委員、池永委員、朝比奈委員、竹田委員から、岡部委員におかれましては年末年始の役所、自治体の対応の問題、渡辺委員からは大きく3点、池永委員からは制度の周知徹底について、また朝比奈委員からはともかく支援員はこれまで厳しい環境の中で当事者をエンパワーできるということを心の支えにしてきたんだけれども、現下の状況の中でそれが果たせない焦燥感や、こうした条件で業務に当たるつらさを感じ取ってほしいというお話でした。竹田委員からは、自殺の問題が出ました。
もう時間が30分以上過ぎていますし、非常に多面的多様な問題ですけれども、一つ一つが極めて切実、重要な問題でもあります。お答えいただける範囲でお願いできれば幸いですが、いかがでしょうか。
○唐木室長 いろいろと御意見ありがとうございます。
岡部委員からいただいていました事前の準備についてなのですけれども、リーマンショックのときと異なりまして、今回、生活困窮者自立支援制度の中では一時生活支援事業等の支援をしっかり確保するような形になってございます。
11月末の事務連絡で、年末年始の住まいの確保でありますとか、あとはしっかりと受止めができるような体制というものを各自治体で地域の実情に応じながら考えているところですので、都道府県を通じて連絡等をしながらしっかり体制を組んでいきたいと思っております。
渡辺委員からお話がありましたことについてなのですが、求職者支援制度についての認知がないというようなことですけれども、こちらについては労働部局とも連携をしながらしっかりと周知をしていきたいと思っています。
あとは、高校生に対しての支援の在り方ですけれども、高校で就職をすると決めている方についてはハローワークが高校の先生としっかり連携を取りながら支援するということはあるのですが、進路に迷って卒業までにというような方に対しても、どういったことができるのかというのを労働部局と連絡を取りながら考えてまいりたいと思っております。
あとは、池永委員からお話がありましたようなことについてもしっかり受け止めていきたいと思いますし、竹田委員からお話がありました自殺者数の増加についても、社会局内の自殺対策推進室といったところで受け止めのための対策を取っておりますので、自殺者の増加につながらないようにしっかりと対策を取っていきたいと思います。
朝比奈委員からお話がありました事柄の評価については、こちらとしても今、数字的な部分だけではなくてやっていきたいと思いますし、やはり自立相談支援がしっかりとしたエンパワーメントにつながっていかなければいけないので、そういったところができるように対応は図っていきたいと思っております。
○西澤室長 補足させていただきます。保護課です。
池永委員からいただいた医療扶助の周知の件は、しっかり周知をしていきたいと思っております。
あとは、池永委員の御発言の中で、今までやはり生活保護を受けることを考えたことがないような層の方がいらっしゃるということはおっしゃるとおりかと思います。この辺は、先ほどもちょっとお答えしたように、やはり広報というところをしっかりとやっていかなければいけないのかなとは思ってございます。
あとは、朝比奈委員から、生活保護が伸びていない点の評価ということですが、困窮者制度が効いているという部分があるかと思うのですけれども、あとは生活保護の中では先ほどの章で御説明したとおり、ある程度、柔軟な対応の周知をお願いしているところでございまして、どういったことが必要かということはまた引き続き考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
時間なんですけれども、では勝部委員から本当に短く、一言だけお願いします。
○勝部委員 生活保護が伸びなかったというのは、やはり入りにくくて出にくい制度であるからだということを感じます。ぜひこれを機に評価をいただいて、困窮のいわゆる貸付けは皆さん受けやすかったわけです。だから、受けやすい、入りやすい生活保護に改革できるように、ぜひこれを機にしっかりと構築し直していきたいなということを、私も含めて皆さんと一緒にそういうことを進めていきたいと強く思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
私の不手際で、大幅に時間を超過してしまったことをおわびいたします。
しかし、必要な議論であったし、かつ、まだまだ議論は足りないのかもしれないと思いながらも、皆さんそれぞれこの後の時間に御予定もおありでしょうし、ここまでとさせていただきたいと思います。
ともかく、コロナ禍に対応する中で培ってきた経験や制度を後退させてしまうのか、それともこれを継承し、発展させて、私たちの制度を新しい次元に到達させるのかという岐路なのだろうと思いますし、また恐らく年末年始にかけては私たちの想像を超えた事態が広がりつつあるというような予感もいたしております。
こうした中で、事務局の御苦労は分かるわけでありますけれども、ぜひ庁内内での調整のみならず、政治も巻き込んで、政治も民主主義の回路がある以上、こうした事態に対応しなければ存在意義が問われる状況にあると思いますので、制度の発展のためにともに互いに知恵を出し合い、力を尽くしていきたいと思います。
今日の議論はここまでとさせていただいて、この後のこの部会の予定等を事務局からお話しいただきたいと思います。
○西澤室長 本部会につきましては、今後の開催予定は現在のところございません。開催の必要が生じましたら、改めて御案内をさせていただきたいと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
予定はございませんけれども、この後の状況によってはこの部会でまた議論をする必要も当然出てくると思いますので、皆様からの御意見等もいろいろなルートで承れればと思います。
今日は、長時間どうもありがとうございました。本部会は、ここまでとさせていただきます。