第3回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会(議事録)

日時

令和2年11月4日(水) 10:00~12:00

場所

経済産業省別館227号会議室

議事

○秋場地域就労支援室長補佐 それでは、ただいまから、第3回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会を開催いたします。参集者の皆様方には、御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。本日も、前回に引き続きペーパーレス開催となりますので、タブレットに関して操作方法が分からないことがありましたら、挙手をお願いします。会議の途中でも事務局が個別に御説明に伺いますので、よろしくお願いいたします。それでは、議事進行につきましては、朝日座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 皆さん、おはようございます。本日も、従来どおり活発な御議論、情報交換をお願いします。また、本日は松為委員から御欠席の御連絡を頂戴しております。それでは、早速ですが、本日の議事に入ります。本日は、具体的なカリキュラムの見直しや、研修方法の見直しについて、議論を進めてまいります。
また、前回、小川委員から御提案がありました、大学等における職場適応援助者養成研修については、3番目の議題とさせていただき、議論を進めていきたいと思います。それではまず、議題1の養成研修のカリキュラムの見直しについて、事務局から御説明をお願いします。
○秋場地域就労支援室長補佐 資料1-1を御覧ください。養成研修のカリキュラムの見直しにつきまして、第1回、第2回で頂いた御意見をまとめたものです。なお、これまで議論してきた、現状と中・長期的課題や求められる役割、必要なスキルに関する御意見については、参考資料1に付けており、第2回で頂いた御意見は下線を付けています。全体の説明はいたしませんが、1点だけ補足させていただきますと、第1回で頂いた、直接作業支援をするというケースよりも、相談を通じて支援するケースが増えてきたという御意見に対して、前回の資料では、「作業支援型」、「相談支援型」としておりましたが、「相談支援型」というワードは別のイメージもあるので、ワードの使い方は慎重にすべきという御意見もありましたので、今回の資料では、文章で説明する形に修正をしております。説明ぶりにつきましては、更に御意見もあるかと思いますが、今後、全体の議論をする機会にでも、改めて御意見を頂ければと思います。それでは、資料1-1の説明にまいります。
こちらの資料も、第2回の御意見について下線を付けております。また、モデルカリキュラムの見直し案を1-2に付けておりますが、御意見の中でモデルカリキュラムに反映した部分については、赤字にしております。1ページ上の箱の2つ目の○ですが、モデルカリキュラムは、現在はどこに重点を置いてどのように教えるかといった詳細は明示されていない点について、自由度が高くて良い面もあるが、今後研修の質を担保するということを考えると、より具体的に、何をどのように教えるのかを示したほうがよいのではないかという御意見を頂いております。また、3つ目から6つ目の○ですが、受講者層の変化や受講者のニーズに対応して、各機関で行っている様々な工夫について御紹介を頂きました。2ページは、上の箱の4つ目から6つ目の○になりますが、研修の中で当事者の話を聞くということについて、複数の委員から様々な御意見を頂いたところです。プラス面もありますが、マイナス面もあるので、工夫の1つとして入れることは考えられるのではないかという御意見がありましたので、モデルカリキュラムの案にも反映しております。
3ページは、スキルアップ研修についても、たくさん御意見を頂いたところです。一度に多くの知識を与えるのではなく、実務をやってからのほうが受け止めやすくなるのではないかという御意見や、根幹の部分をしっかり教えれば、経験の蓄積などで上がっていくスキルもあるのではないかという御意見など、研修と実務を組み合わせてやっていくことの重要性に関する御意見を多く頂きました。
4ページ目は、こちらは、下線は引いていないのですが、全て第2回で、具体的に各科目について頂いた御意見・工夫をまとめたものです。特に赤字の部分はモデルカリキュラムに反映した部分になりますので、こちらはモデルカリキュラムの資料で補足説明をしたいと思います。
続いて、具体的なモデルカリキュラムの見直し案については、資料1-2になります。第1回、第2回で頂いた御意見を、具体的なモデルカリキュラムに落とし込んだものです。右側の表の赤字の下線が今回修正した部分で、ジョブコーチに求められる基本的な役割やスキルは大きく変わっていないということでしたので、大枠は変えずに、主に内容面を追記する形で変更をしております。
最初の科目については、①②を統合したことと、就労支援の制度が分断されたことによってプロセスを伝える重要性が高まっているという御意見があり、就労支援のプロセスの中でジョブコーチはどのような役割を担うかということを明示いたしました。2点目は、この10年で合理的配慮の提供が義務化されたということや、小川委員から頂きました、「障害者の権利とジョブコーチの職業倫理」という新しい科目を追加したらよいのではないかという御意見を受け、③に「職場における障害者の権利擁護」を追加しております。3点目は、④障害特性と職業的課題の所で、アセスメントが重要で、その前提として障害特性の理解が大事だという御意見や、視覚・聴覚障害者のジョブコーチ支援も根強い課題であるという御意見などを受け、細かく障害種別を明示しております。また、可能であればという形で前回、複数の委員から、障害当事者の御意見を聞く重要性について御意見がありました。科目内の工夫の1つとして、④か⑯のどちらに入れようかと思ったのですが、可能であればという形で一旦両方に入れております。5点目について、⑥職場における雇用管理の中で、精神障害者の支援割合が増えていることや、前回の小川委員からの御意見を受けて、「ストレスの把握と対処」を入れております。6点目は、演習の中で面談や面接を通じたアセスメントのポイントを伝えているという御紹介がありましたので、⑧に「面接・面談のポイント」を追加しております。7点目は、支援対象者の変化によって直接作業指導する支援が減っており、科目を短くするか、行動観察を追加してはどうかという御意見を受けて、⑪に「行動観察とフィードバック」を追加しております。次ページは企業在籍型のプログラムですが、こちらも同様に修正をしております。資料の説明は以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。前回までの議論の内容を、資料1-2のカリキュラムに具体的に反映いただいています。大枠はいずれも重要であるということで変わっておりませんが、これまでの議論を踏まえて、内容を評価・追加し、このような形になっていると理解をしております。今までの説明を聞いていただきまして、更にこの辺りの内容を追加したほうがいいとか、あるいは表現などの工夫又は全体をカリキュラムで見渡したときの御意見でも結構ですので、委員の皆様方から御発言を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。
○小川委員 この具体的な変更の背景というか、基本になる情報として、参考資料2にジョブコーチ連絡協議会で行ったジョブコーチの専門性に関する調査がありますので、手短に御説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○朝日座長 是非お願いいたします。
○小川委員 それでは、ポイントだけお伝えをさせていただきます。厚労省で行っていただいた調査と同じですが、ジョブコーチ連絡協議会では、厚生労働大臣指定機関による職場適応援助者養成研修修了者のうち、過去3年間に修了した者を対象に、Web調査を行いました。有効回答数は364です。※の所で、調査に関わった機関を記載しておりますが、南高愛隣会が抜けておりましたので、追加をさせていただきます。できましたら、公表する資料にも付け加えていただけたらと思います。
結果の概要について、基礎データは御覧のとおりです。主な支援対象者という所をご覧ください。支援対象者は、精神障害が増えてきている印象がありましたが、第1位が知的障害、第2位が精神障害という割合になっておりました。基礎データの右端の「資格」についてですが、社会福祉士と精神保健福祉士を持っている人の数が、少し多くなっております。やはり、こういった基礎的な国家資格の上に、養成研修を受けている方も増えてきているように思います。
次のページにまいりまして、職場適応援助者助成金の活用状況ですが、助成金を使っている人は12%で、やはり非常に限定されており、助成金の下で活動していない方が82%でした。企業在籍型と訪問型でいうと、企業在籍型が6割ですので、このあと御紹介するデータの中で、訪問型と企業在籍型を分けていない場合には、若干、企業在籍型のほうのデータが重みを持っていると理解していただければと思います。専任・兼任、助成金での活動日数については御覧のとおりです。
続いて、業務についてです。現在、どのような業務を担当していますかということで聞いています。設問①というのは全体のもので、少し分かりにくいと思いますので、要約したデータについて御説明いたします。次のグラフが、訪問型業務上位10項目というグラフです。訪問型について、青の「よく行う」とオレンジの「やや行う」、を合わせた割合が高かった順に並べたもので、下の企業在籍型も同様の順番で並べています。訪問型と企業在籍型の違いというのが明確に出ているのが、非常に興味深かった点です。企業在籍型のほうでは、仕事の行い方の習得に関する直接支援や障害特性に応じた業務内容及び実施方法の調整等、直接業務に関する支援が、内容としてかなり含まれています。
一方、訪問型では、実際の業務に関して現場で教えたり、現場で調整したりする項目がほとんど見られないというのが特徴で、どちらかというと、就職前の準備、アセスメント、マッチングに関する業務は行っているけれども、実際に職場に入って企業側と連携して支援することは非常に少ないのが実態ではないかというふうに見てとれます。
次にまいります。現在行っている業務を、知的障害を第1に支援しているという回答と、精神障害を第1に支援しているという回答で比較したものですが、両者には、それほど顕著な差は見られませんでした。私は精神障害だけとか、知的障害だけと、明確な役割分担があるわけではないので、余り差が出なかったのではないかと思います。
重要だが行えていない業務という、次のスライドを御覧ください。対象者のアセスメントが2位に挙がっています。対象者の特性や関わり方、仕事の教え方、雇用管理等に関する上司や同僚に対する助言が3位に挙がっています。以降は御確認ください。訪問型と企業在籍型では分けていませんが、分けてみると、また面白い傾向が見られるかもしれません。
4の知識・スキルについてですが、これはジョブコーチとして、必要とされる知識にはどのようなものがあるのかということに対する答えです。これも訪問型と企業在籍型で、随分差が出てきております。訪問型のほうは、実際の職場での職務の支援、あるいは実際の職場の従業員に対する支援や調整というのが余り多く入っておりません。逆に企業在籍型は、そちらのほうが多く入っています。この中で53 3-4「不安・緊張・ストレス軽減支援のスキル」、企業在籍型の47 2-4「行動観察と記録作成のスキル」、また、「不安・緊張・ストレス軽減支援のスキル」、企業在籍型の51 3-2「職業相談、カウンセリングスキル」といった項目が企業在籍型でも入っておりますので、今回、カリキュラムの変更で入れていただいた内容とマッチしているかと思います。必要と思われる知識・スキルの知的と精神の比較については、大きな違いはありませんでしたので、スキップをさせていただきます。あと、自分に備わっていると思う知識・スキルも御覧いただければと思います。これは研究会用に、要点だけ簡易に整理をしたものですが、いろいろな角度で分析をすると、また面白い傾向が出てくるかなと思いました。以上、簡単ですが、御報告させていただきます。
○朝日座長 小川委員、ありがとうございました。今回のカリキュラムの見直し案、具体的な項目追加などの背景となる情報として、改めて御説明いただきました。委員の皆様方におかれましても、確認をお願いできればと思います。
では、その上で、この項目案等について、御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。便宜的に座長から振らせていただきますので、該当される委員の方、御意見を頂ければと思います。まず行動観察というのが今、小川委員からもありましたが、実際には行動観察のフィードバックというのは、研修の場面ではどのような項目でなされるのでしょうか。障害の種類でいうと、やはり身体障害よりは知的障害、精神障害、発達障害に焦点化されるのかなと思っているのですが、実際の場面、あるいは研修での工夫などで何かお気づきのことがあれば、行動観察とフィードバックについて、少し期待を込めて補足していただけますでしょうか。酒井委員お願いします。
○酒井委員 全国就業支援ネットワークの研修では、実際に職場で働いている場面のビデオを撮らせていただき、一連の手順の中で、ここは修正したほうがいいかなということを盛り込んだビデオを作成し、それを受講者の方に見ていただいた上でアセスメントしていただくという方法をとっております。それがそのまま、そこに適用できるのかなと思っております。
○朝日座長 そのときの実際の職場での場面、あるいは事例や出来事について、障害の種類的に特化しているようなことは、ございますか。
○酒井委員 実際は精神障害の方が働いておられる場面ではありますが、障害の特性を踏まえてというような作り方にはなっておりません。
○朝日座長 研修では、精神障害の方の事例が用いられているということですね。ほかにいかがでしょうか。
○佐藤委員 JEEDの研修では、職務分析と作業指導の講義の中で、行動観察とフィードバックに該当する部分を行っています。まず、学習のメカニズムの強化と弱化について解説をした上で、演習として作業課題を分析していただき、実際に受講者同士で行動観察をして記録を取って、記録に基づいてフィードバックをするというところまでを演習として行っています。
○朝日座長 やはりジョブコーチ研修なので、具体的な場面というのは、仕事に関連するところに焦点化されていくという理解でよろしいでしょうか。
○佐藤委員 そうですね。仕事に関連する作業やその課題ということでやっております。
○朝日座長 ソーシャルワーク全般からすると、もしかすると違う場面について、その現象の背景には何があるかというようなやり取りも出てくると思いですが、ジョブコーチの場合には、やはり仕事を切り口とするところは一貫しているという理解でよろしいでしょうか。
○鈴木委員 私たちも動画を撮り、事例として活用しています。動画を見て、どちらかというとアセスメント的なところもありますが、どこを切り取って何を見るかということについて、グループワークを行っています。ただ、精神障害の方は、なかなか動画だけでは難しいところがありますので、発せられた言葉等から、行動観察とはちょっと違いますが、どうやってフィードバックしていったらいいのだろうかということを様々な演習の中で、行っています。また、動画を見たときの切り口は、受講生によってまちまちで、企業在籍型と訪問型で視点の違いがものすごく明らかになるというようなところもあります。入り口の所でいろんな意見が活発に出されるという傾向は否めないのではないかなと思っています。以上です。
○朝日座長 発せられた言葉というところで、企業秘密でなければ、少し御紹介いただきたいのですが、例えばどのようなフレーズが用いられているのでしょうか。
○鈴木委員 例えば、フォローアップ支援をしていた方が、昼食中にゲップを出してしまい、「そんなこと、いきなりやめてよ」といったことを言われて心が痛いといったことを言った際に、就労支援機関の人に相談したら、「いじめの始まりだみたいな言葉を言われた」という例がありました。その場面を切り取った中で、私たちの実際の現場で起きたことに対して、どうしたかということもセットで考えていきます。また、「気持ち悪いから挨拶をしないようにしている」と会社の人に言われたとか、精神障害の方の場合は、ショートメッセージで来た言葉についても考えていきます。
○朝日座長 ありがとうございました。
○山地委員 精神障害と発達障害の方の行動観察についてですが、極度の緊張感を特性にもっています。私も現場に入らせていただいて、事務補助として就職された方の初日に半日いたことがあるのですが、シーンとした場所で、緊張が非常に高い状態で勤務されていました。難しいのは緊張が取れてなじんできたときに、どのぐらい実力を発揮するかということも見極めていかなければいけないということと、会社の方にも、特性上今はこんなだけど、大体このぐらいで職場になじめば、このような力が発揮できるのではないかということの大よそをきちんと伝える必要があるということです。本人は、まずは仕事を覚えるところに集中しているので、その環境調整とか、職場にはどんな感じの人たちがいるのか、誰が御本人の指示者になるのか、最適な人は誰かという人間関係のところについては、ジョブコーチが見ていく必要があると思います。就職当初と1か月後とか3か月後にはギャップがあると感じています。
○朝日座長 誰にどう返すのかということも含めて、行動観察した結果のフィードバックについて、御示唆いただいたものと受け止めました。ほかにいかがでしょうか。カリキュラムに新たに赤字で盛り込まれた行動観察については、今までも取り組んできた部分もありますが、その重要性を更に確認するという点で、おおむね御賛同いただけたのかなと思っております。ほかの部分については、いかがでしょうか。
○岡本委員 改めてカリキュラムを見ると、行動観察について、アセスメントの中でも、実は少し触れられているのではないかと思うのと、複数の委員の話を聞いていますと、作業指導についての行動観察だけではなく、環境調査的な行動観察というのも、どうもあるようなので、その区別が付いてカリキュラムに盛り込まれていると、より良いのではないかと思いました。
○朝日座長 キーワードはほかの項目でも出てくるけれども、モデルカリキュラムのどこに置き所を考えるかということですよね。いろいろな科目の中で出てくるかもしれないので、重複はあっても、どこに重点を置かれているかがはっきりすると良いという理解でよろしいでしょうか。確かに、作業場面だからこそ見えてくる課題と、職場での行動が実は定着などの課題につながっていくことも少なくないのかもしれません。障害当事者の方のお話を聞くことについては、④の障害特性と職業的課題と、⑯の事業所における支援の実際にも入っていますが、ここについては何か御意見はあるでしょうか。全体を通して障害当事者の声にきちっと触れていくということについては、前回までに皆さんの御同意を得たところだと思いますが、この点について何かございますでしょうか。井田委員にお伺いします。企業で企業在籍型ジョブコーチとして実践に携わっていらっしゃったと思いますが、障害当事者のお話を聞くということは、研修する方とか、あるいは企業在籍型のジョブコーチになろうとする方にとって、どのように受け止められるのでしょうか。
○井田委員 前回の研究会でも話したのですが、是非入れてほしいと思います。私は発達障害の方への支援が長いものですから、そちらの話ばかりになって恐縮なのですが、JEEDでは、本人の特性を周りに分かってもらうため、本人が、自身の特性を一覧にして作成するための、ナビゲーションブックを活用して研修等を行っていると思います。従来は、支援機関の方や御家族、職場の人間が作ったものが比較的中心だったのですが、ナビゲーションブックは本人が作ったものを開示し、生の声を聞いてもらうというところが一番いいところだと思っています。そのいった本人の特性を、本人の口から伝えるということを、ジョブコーチ養成研修でできるということは、非常に重要なことだと考えております。
○朝日座長 ナビゲーションブック、あと就労パスポートもある訳ですが、御自身が、自身の障害なり特性をどう捉えているかということを開示するツールのようなものを素材にして研修にしていくのもよいのではないかとことでよろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。
○酒井委員 これまで出た意見をカリキュラムに盛り込んでいただいて、ありがとうございます。全体のカリキュラムを見たときに、ジョブコーチ連絡協議会で挙がっていた意見として、企業の規模にもよりますが、産業医との情報のやり取りというか連携については、⑥の職場における雇用管理の中に入ってくるのかなと思われるのですが、産業医との付き合い方のポイントみたいなことも、研修の中に入れ込むべきではないかという意見がありました。また、労働法規各種の説明は、⑤の就労支援に関する制度の中で行うのですが、労働安全衛生法も1つのキーになったりしますし、休職した場合の制度についても、きっちり学んでおく必要であるのではないかというような意見も出ておりましたので、追記可能であれば、記載いただければと思います。
○朝日座長 労働安全衛生や、医療と現場の具体的な連携について御指摘いただけたと思います。どのように盛り込むかは、事務局で御検討いただきたいと思います。
○小川委員 カリキュラムのどこをどういうふうに変更してほしいということではないのですが、全体的なことで、先ほど調査結果の概要をお伝えしましたが、訪問型の養成研修を修了した人が実際に行っている業務と、カリキュラムの科目が合っていないということが、調査からも明らかだと思います。それについては、カリキュラムを通して、訪問型ジョブコーチの役割というのは、事前にアセスメントをしたり、その人にあった職場を見つけるだけではなく、事前のアセスメントの情報をきちんと職場に伝え、できる限り職場の初期の適応支援と調整を行っていくことが役割なんだということを、伝えていくことが必要なのではないかと思います。就労定着支援事業の加算で、訪問型の方たちが随分この研修を受講していますが、初期の適応支援と調整をスキップして、その後の6か月後の定着状況の把握と、問題のトラブルシューティングだけをするというようなイメージでは、やはり本来のジョブコーチの支援の意義、成果というのが発揮していけないと思いますので、今後この訪問型のカリキュラムに基づいて、どのような内容を受講者に伝えていくのかということは、重要になってくるかと思いました。
○朝日座長 ありがとうございます。
○鈴木委員 訪問型ジョブコーチについて、以前は1年に1回、職業センターに半年後の定着状況やペア支援の状況について、必ず年次報告を行っていました。訪問型ジョブコーチの活動状況などを職業センターで整理されていたかと思いますが、それが、助成金の変更とともに大きく変わってしまい、現在は、何もなくなってしまっています。職業センターが、どんな動きをしたらいいのだろうかというのが、つかもうと思っても、つかめないという感じはあると思います。別問題かもしれませんが、私は非常に重要なところではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。関連する御発言はございますか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 カリキュラムの細かいところに戻って恐縮なのですが、案で出していただいているカリキュラムの⑥に、ストレスの把握と対処が新しく記載されております。これはジョブコーチとしてはすごく大事な部分ではないかと思うのですが、実際にやろうと思ったら、結構時間が必要になると思います。前回の研究会でも小川先生が2、3時間必要ではないかとおっしゃっていたかと思いますが、私もそのように思いますので、入れるとすると、どの程度なのかとか、詳しくやるのであれば、養成研修ではなく、その後のフォローアップ研修の中で取り上げていく課題になるのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○朝日座長 ありがとうございます。ストレスの把握と対処は深掘りしていくと、どのようなツールを使ってどう見立てていくかということなので、生半可で対応されてしまうと、かえって逆効果になることもあると思います。御意見としては、本格的にやるのであれば別の機会にということでしょうし、そうでない場合には、ストレスの把握と対処方法の概要についてのみ押さえて、ジョブコーチとして必要な対処をしていく心構えが必要であるといったイントロダクションにとどめておくということかもしれません。ここについては、何か御意見はございますか。山地委員、お願いします。
○山地委員 定着が長く続く場合は、ストレス対処がうまくいっていることや、どなたと相談して自分の抱えている問題を伝えていくか、どう解消するか、愚痴を言うかなどの相談力と関係性をもっています。とても大事なことなので、佐藤委員のおっしゃったように、フォローアップ研修の中できちんと取り上げていくということは大賛成です。
先ほどの当事者の話を聞くことに戻りますが、関わり方というところでは、経験を積み重ねていかないと力がつかないと思います。企業在籍型ジョブコーチは、自分の事業所で採用された方のことはとても深く知っていらっしゃいますが、雇用している方の人材の傾向はやはりありますので、タイプの違う人たちや、本当に病気の苦労をして、働けないのではないかと病院で思われているような方が、働くというステップにいくプロセスなどに触れていく機会は、どこにあってもいいのではないかと思います。また、ジョブコーチは、経験数や幅で力量が、分かれていると思っていますので、どこに入れるかが問題ではなく、そのチャンスをきちんと機会としてカリキュラムに入れてもらえればいいのではないかと思います。
○朝日座長 ストレス対応と当事者の声を聞くということの重要性が、更に語られたということだと思います。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 訪問型の方たちというのは、企業の中でストレスチェックなどをやられているといったことすら知らない方が多いと思います。くらしえん・しごとえんの研修の中では、諸制度のところや、ナチュラルサポートの中で、一般の労働者に対するストレスチェックではこういうふうにやっているということを伝えています。また、ストレスチェックについてだけでなく、実際にやった後にどうすればいいのかというような話や、産業医との関連、課題はこういうところにある、こういう視点があるんだということも触れていますが、そういったことをきちんと伝えるということが入口としてギリギリできることかなと思います。
○朝日座長 小川委員、お願いします。
○小川委員 今回のカリキュラムの変更では、この辺もやる必要があるということを発言させていただき、それをかなり盛り込んでいただきました。前回の委員会でも発言しましたが、研修時間は決まっているので、あふれるということはあると思います。あふれたものについては、スキルアップ研修やそういった研修に位置付けて、オーソライズしていくことが重要で、基本的には、その方向で考えることが大事なのではないかと思います。
ストレスについては、ストレスチェックやストレスファクターをきちんとアセスメントしておくこと、御本人が自分でモニタリングすること、ストレス対応を周りがきちんと共有すること、相談のラインをきちんと整備しておくことと、幾つかの項目に分けられると思います。全部入れていったらあふれてしまうので、今回はこのカリキュラムのどこかにストレスの把握と対処について、まず明記しておくということをファーストステップにして、どこの科目で触れるかについては実際の研修の運営の中で、それぞれの研修機関が工夫していくということでいいのではないかと思います。
○朝日座長 モデルカリキュラム見直し案について多方面から皆様の御意見を頂きました。ざっくりとまとめておきます。
1つは、スクラップアンドビルドで、スクラップするものがないその中で、重要なものを認識しながら盛り込み、右側のカリキュラム案について、朱字で示した部分があることを理解していただいたと思います。例えば当事者の話を聞く機会を設けることについては、必要だということで、おそらくコンセンサスを得られていると思うのですが、可能であればここの科目で、あるいはここの科目でという表現の仕方になるのではないかと思っております。それから、ストレスの把握と対処については、ストレスの把握と対応方法の詳細を伝えるのではなく、ストレスの把握と対応の重要性と考え得るアウトラインを、きちっと押さえておくということになるかと思います。
また、訪問型ジョブコーチについては、小川委員から御説明いただいた資料にもありましたように、企業在籍型ジョブコーチとの違いが非常に明らかになって、実施する支援について、企業在籍型が直接の場面でのアプローチが多いのに対し、訪問型は準備に焦点化したものが多いということなのですが、今の議論を聞いていると、準備というのは御本人の準備だけではなく、職場側、企業側の準備にも資するような伝え方であったり、そういった観点が必要ではないかと感じました。以上、ざっくりとですが、議題1をまとめさせていただきました。また何か気が付いたことがあれば、御指摘を頂ければと思います。
それでは、議題2の「養成研修の研修方法等の見直しについて」に移りたいと思います。同様にまず、事務局から御説明をお願いします。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。資料2を御覧ください。研修方法等の見直しについて第1回、第2回で頂いた御意見をまとめたものになります。全体的な話として、研修日程の分割や多様な立場の講師陣、実際の支援との関係を冒頭で説明すること、修了後のOJTについての御意見を頂きました。演習については、御紹介いただいた演習方法については、なるべくカリキュラムの見直しのほうに盛りこんでおります。実習は、受講者にとってより効果的になるよう、様々な工夫をしていただいていることを御紹介いただきました。最後の御意見については、第1回で頂いたものになりますが、コロナウイルス感染対策の影響で、実習先の確保に苦労しているという御意見がありました。
2ページ目ですが、本日御議論いただきたい点として、2つ挙げています。1つ目は、講義や演習の具体的な方法についてです。これまで全て集合形式で行ってきましたが、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、今年度については特例的にオンラインでの実施も可能としています。今後の恒常的な研修スタイルとしてどのような研修方法が考えられるかについて、御意見を頂きたいと思います。
議論の出発点として、事務局としての案をお示しさせていただきました。講義については、双方向性が確保されて、参加状況が確認できるような形式であれば、オンラインでも実施してもいいのではないかとしております。演習については、原則は集合形式で行っていただきたいと思っていますが、講義とのミックスの部分である講義部分であったり、個別ワークを行う部分はオンラインでもできるのではないかという案になっています。
2点目です。実習については、今年度は実習先の確保が困難という御意見を頂いているところですが、受講者からの評価が非常に高い科目ですし、今年度は何とか工夫をして実施していただいているところです。議論の出発点としての事務局案ですが、やはり現行どおり、実地で実施していただきたいと思っています。ただ、時期的になかなか難しい時には、できるだけ早期、年度内というのを基本としながら、それでも難しい場合は、年度をまたいでの実施も可にするという案をご提案いたします。なお、研修期間の指定は、3年ごとの更新になっており、実施計画は毎年、年度計画を出していただいています。
資料には、主に講義、演習、実習という研修方法について記載していますが、それ以外の研修方法についても御意見があれば頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 具体的に議論していただきたい点ということで挙げていただいていますので、ただいまの御説明を基に、委員の皆様方から御意見を頂戴できればと思います。養成研修の講義、演習、実習のあり方と、それから講師の要件ほか様々な、その他の研修方法に関わる御提案等を頂戴できればと思います。どの切り口からでも結構ですが、いかがでしょうか。岡本委員、お願いします。
○岡本委員 日頃の支援は今、オンラインによる支援の要請が本当に多いです。JEEDでは機器がなく、相手の機器に乗っかるというやり方をしていますが、この状況は今後も続きそうで、いまだに50%の従業員がテレワーク勤務となっている会社がたくさんあります。ですから、実習について、我々外部者が行くということの難しさは、当面続くような気がしてなりません。
理解してくれる会社はあるので、行ける場所はゼロではないと思うのですが、折衷案的に、カリキュラムだと実習は7、8時間ですので、これの何パーセントか何時間かを、企業の担当者の話を聞いたり、演習したりという形に一部振替ができたりする考え方を持てないかと考えたのですが、いかがでしょうか。
○朝日座長 代替実習というか、それをもって実習とみなすという方向があっていいのではないかということですね。全部ではなく、一定の割合を示してという御意見です。関連しても結構ですし、ほかの観点からの御意見でも結構ですので、是非お願いしたいと思います。いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 障対課で示していただいた代替案も必要なことかと思うのですが、実習だけが受講できず、年度をまたいでできるときにやるということだと、修了がどんどん遅れてしまい、本当に活動をしようとする人がなかなか修了できないという弊害になってしまうので、他の代替案も検討する必要があるのではないかと思います。
JEEDの場合、7時間を実習の科目に当てているのですが、7時間全部を事業所内で実習するのは難しいけれども、教材としてビデオを撮って、事業所担当者にセンターに来ていただいて、それを基に演習するとか、そういった形だったら何とか協力ができるという所もあります。あと、JEEDは全国で実技研修をやっているのですが、地方の余り感染者が多くない地域でも、事業所の抵抗感が結構強く、小人数でも難しいというような声も聞くので、何とか別の代替案というのも検討いただけないかと思います。
○朝日座長 実施時期は一定の期限を切るけれども、それを担保していくために、代替プログラムについても検討の余地を残していただきたいという御意見ですね。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 実習に関連してですが、私たちも、他県、関東圏、関西圏の方はお断りしますということが実際にありました。その中でも、小さな所など、いろいろ探しながらやっていますが、断られる所があるのは事実です。
実習もそうですが、養成研修はやはり対面が基本だと思いますので、現場でというところは非常に重要だと思います。これは突飛な考え方かもしれませんけれども、例えば、実習だけであれば連絡協議会などで、1日、他機関の実習を受講できるとかいった方法をできないかと思っています。
○朝日座長 小川委員、お願いします。
○小川委員 今年度のコロナウイルスへの臨時的な対応と、対応を行った上で若干ノウハウが蓄績されるので、それを今後の研修のあり方にどう反映するかという、2つの軸があると思いますが、今年度の対応に関して、実習は確かに確保するのがちょっと厳しく、例年の70数名という枠でやろうとすると、全部は確保できないというのがJCネットの実情です。ただ、この11月に実施する分の42名分は確保できています。2月の研修も状況が悪化しなければ、恐らく確保できるのではないかと読んでいます。先ほど御提案があったような代替案を準備するのか、それとも規模を縮小して、確保できる中で、今年度については乗り切っていこうと考えるか、そのどちらかだと思います。
演習については、今年度はオンラインで演習をするということで組み立てて、オンラインでもできるだけ質を担保できるように、障対課の方にも御説明させていただいております。これは今後もずっとそうあるべきではないと考えていますが、演習でのオンライン化というのも作っておかないと、来年の2月の研修や、夏の研修がどうなるか分からないので、そのときに中止にならないように、まず11月の研修でオンラインによる実施を試みたいと思っています。
講義のオンライン化は当然できて、今後も可能性として検討できるのではないかと思うのですが、大学でのオンライン授業のときには、受講者の状況をきちんと把握しないと、画面を見えない形にして、授業中に何をしているかについては、いろいろな可能性が出てくるわけです。オンラインで実施する場合は、リアルタイムでやるということと、レポートを提出させたりとか、授業の前半と中盤と後半で小テストを設けたりとか、学習状況の把握を対面式よりも、よりきちんとやっていく必要があるのではないかと思います。今後、恒常的にオンライン講義を取り入れるのであれば、基本的な共通テストなどの実施を検討していくといいのではないかと思います。
○朝日座長 当面のウィズコロナと、これからのポストコロナについて、どうやっていくかということと、ある程度見通しを持ちながらやっていくという御意見だと思います。高岡委員にお伺いします。医療機関の事業所ですので、コロナ対策では御苦心されていると思うのですが、実習を受け入れるということについて、何かアイデアなり、実情の課題などはありますでしょうか。
○高岡委員 看護学生の実習については、やはり、実習の時期がずれ込みました。ただ看護学生の場合、どうしても実習が外せないので、日にちを今までよりも少なくしてというところと、感染対策は徹底的に行いました。手洗い、うがいは当然なのですが、休憩場所の確保だったり、食堂で食事をする際も、直前までマスクを着けて、食べ終わったらすぐまた着けてということや休憩室でのおしゃべりとか、そういうところからの感染も指摘されていますので、しっかり対応しました。陽性者が出たときに、それだけの感染対策をしていれば、職員は濃厚接触者に当たらないというようなところまで徹底し、保健所からの指摘が入ったときに、このような対策をしていますと説明できるよう、対策を行いました。
病院ですので、患者さんや外部の方、学生からなど、いろいろとリスクは高いので、できる範囲のことはやった上で学生の受入れ、入ってくる方には必ず受付で検温をしていただき、消毒もしていただくというところを徹底し、看護学生や心理の方、OTの実習は受け入れています。
もし熱が出たとなった場合には、学校からすぐに連絡を頂いて、待機していただくという形を取っていますので、実習場所の感染対策と企業の理念を噛み合わせて、できる範囲でのすり合わせが必要だと思います。実習で得るものは、座学とはやはり全然違うものがありますので、短縮したとしても、その場の確保ができるのが望ましいのではないかと思います。
○朝日座長 医療機関でも休憩室がクラスターになったということがあるので、ジョブコーチ研修だと、病室というのはなかなかないかも知れませんが、苦心する部分があるのかなと聞かせていただきました。
やはり息づかいと鼓動を感じながら、演習では相互作用をダイナミックな中でやっていくというのが、本来あるべき姿で、実際に現場を見ることに勝るものはなかなかないと思いますが、考え得る方法で対応していくということは、当然求められてくるという立場で、いつも考えています。
視点を変えて、今回オンラインで講義、演習を行った上で、ポストコロナのほうを少し見据えることになりますが、メリットという点では何か感じたことはありますか。小川委員がおっしゃったように、双方向性というのが非常に大事なので、オンラインと言ってもオンデマンドで、録画を送っておいて好きな時間に見るといったときには双方向性というのは、難しくなりますよね。
小さなクエスチョンをやり取りしたり、小テストをやるということでの、広い意味での双方向性というのはあるかもしれないですが、リアルタイムという観点からすると、オンデマンド方式だと、通信教育の材料が送られてきて、自分でレポートを書いて送って、添削を受けるみたいなイメージもあると思うので、今回の見直し案としては、双方向性と参加状況が確認できるという点では、リアルタイムをイメージしているのかなと考えているところです。
必ずしもメリットだけでなくても結構ですけれども、何かアイデア、御意見があれば是非お聞かせいただければと思います。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 私どもは先月、研修を行ったのですが、受講決定通知を送ったあとに、コロナウイルスの影響で大阪には行けないために辞退するといった例がありました。辞退された方は法人の了解が取れなかったということですが、オンラインであれば、そこはクリアできるので、すごく大きいメリットかなと思います。先ほど鈴木委員からも、東京や大阪の方の実習を受け入れてもらえない事業所があったというお話がありましたが、私も実習については対面が基本だと思います。また、講義については、現在は、3日間ずつ、前半と後半に分かれているので、遠方の方は分けることによって交通費が2回発生するのですが、前半の講義の部分はオンラインにすることによって、交通費1回分を節約できるという意味も含めて、メリットは大きいかと思っています。
あと、前々回も各都道府県の職場適応援助者の稼働状況を出していただきましたが、かなり地域差がある中で、地方の方が遠方からはなかなか受けにくい状況があるからこそ、オンラインの講義を受けていただきたいと思います。
○朝日座長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 私たちも、10月後半の研修の際に、一部の講師の方が来られないといったことが実際にありました。オンラインでも、受講生も講師も完全にオンラインにするというやり方と、遠方の講師をオンラインでつないで、会場で受講するというやり方もあるので、そうすると、お忙しい方など本当にいろいろな方たちに講師をお願いでき、講師の幅が広がるというメリットがあると思います。
ただ、訪問型の場合などはジョブコーチを全く知らないような方がぽんと来て、ジョブコーチって何なのといった状況で、6日間しかない中、オンラインでは、お互いの観察や距離の縮め方がわからないままに、研修を修了してしまいます。そう考えると、サービス管理責任者などの研修は福祉の制度の中でずっとあるわけですが、ジョブコーチ研修は、初めてジョブコーチという名前が出てくるだけに、オンラインによる実施というのは、可能性としてはあると思いますが、対面で一つ一つやっていくという基軸をずらしてしまうのは、やはりいけないのだろうと思います。
また、非常事態に対応できるようなスキルというのは本当に持っておかないといけないと思いますし、演習等では、顔を合わせた上でのスキルアップなど、そういったものがオンされるところは非常に有効だろうと思います。
○朝日座長 そもそもジョブコーチというのは、現場で支援をするというのが本旨なので、ジョブコーチ研修も現場において、双方向の関係でやっていくというのが、本来求められるということかと思いました。小川委員、お願いします。
○小川委員 同じ1時間の講義でも、対面でやるのとオンラインでやるのとでは、伝える内容がずいぶん違ってくると思います。対面でやるときには、かなり早いスピードで、いろいろなエピソードを入れたり、臨場感のある中で基本的な理論を伝えつつ、実践ではそれがどのように応用されているのかという、たくさんの情報量を伝えていきます。ジョブコーチ研修の場合は、特にそれが重要なのではないかと思っています。
オンラインでそれをすると情報過多になって、2時間ぐらい講義を聞いたら、みんな倒れるのではないかと思います。ですからオンラインでやるときは、基礎的な理論だけに絞って、クリアに伝えて、ちゃんと身に付いたかどうかをチェックするというやり方が必要になると思います。通信の教育の仕方と対面の教育の仕方の違いだと思います。
先ほど、講義の部分については、今後もオンラインの可能性が、と言いましたが、それについては本当に基礎的な理論だけを押さえて、他の部分を厚くして演習などでカバーしていく組立て方にしないと、ジョブコーチ研修にはふさわしくない部分があるのではないかと思います。恐らくジョブコーチ研修をやっている機関は、講義の部分も学識経験者が職業リハビリテーションの理論などについて講義し、それ以外については実践経験があって、それを理論的に伝えられる講師をピックアップして、理論と実践を融合させて講義で伝えていると思いますので、そのスタイルができるのは、基本的には対面型であると考えたほうがいいと思っています。
○朝日座長 更にはいかがでしょうか。3点目の講師の要件については、先ほど鈴木委員からは、オンラインだと普段は来ていただきにくい講師にも依頼できるメリットがあるとの御発言がありました。海外の方でもOKというわけにはいかないかもしれませんが、時と場所を選ばずに、依頼できるということはあると思います。ほかに講師の要件等で、お気付きの点はあるでしょうか。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 大臣指定の研修機関についての現行の要件ということで、参考資料3に講師の要件が示されていますが、10にあります「職業リハビリテーション業務に精通し、職場適応援助者による援助に関し学識経験を有する者又はこれに準ずる者」ということで、⑧の「アセスメントの視点と支援計画に関する理解」と⑮の「ケースから学ぶジョブコーチ支援の実際」という科目が入っています。
ケースから学ぶジョブコーチ支援の実際はケーススタディで、現場の支援から学ぶべきところがすごく大きいので、学識経験というよりは、実際に現場での支援経験のほうが、優先されるべきなのかなと考えています。ここはできれば、障害者の就労支援及び事業所における障害者の雇用管理に関し、例えば3年以上の実務経験を有する者と変更していただけると、実際の講義にも役立つと思います。
○朝日座長 酒井委員の取組の中では、学識経験者というのは、何をもって学識経験者と言うのか難しいのですが、実際にはそれに準ずるというということで、実践経験の豊富な方がケース検討などに携わっているという理解でよろしいですか。
○酒井委員 そうですね、現場経験が豊富な方に講師を務めていただいています。手続のときには、学識経験の範囲があいまいな部分もあって、準ずる者となっているのですが、どのような学識経験があるのかを問われることが多いので、講師要件を何とかスムーズにクリアできるようにしたいと思っています。
○朝日座長 ほかに講師要件等について、何かありますか。事務局にお伺いしますが、学識経験を有する者というのは、例えば内規的に、定められた判断基準というのはないのでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 大学で教えていたりとか、学会での発表であったりとか、そういうものを指していますが、確かにこちらの要件については、実際の運用の中では「準ずる者」のほうの要件を満たされている方が多いと思います。
○朝日座長 要件を担保しながら、できるだけ講師の範囲を広げていく方向性で、表現などに工夫が必要かもしれないと、酒井委員からの御意見を伺って思いました。それでは、このぐらいの御意見で大丈夫でしょうか。議題2では、実践に基づいて研修の方法論、講義、演習、そして実習のあり方について御意見を頂きました。
簡単にまとめますと、オンラインのメリットを生かせるところと、ジョブコーチ研修ならではの担保していきたい方法論とを、コロナウイルスの状況も見据えながら検討していくことということ。それから実習については、代替なり、規模を縮小して、期限については一定の期限を保持していくスタンスが必要ではないかということ。そして、その方法論については、さらに検討を進めていくということ。このような形でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは次に、議題3「大学等における職場適応援助者養成研修について」に移りたいと思います。前回、小川委員から大学における養成研修について、論点にも入れてほしいという御発言があり、資料を御提出していただいています。そこで、小川委員から御発表、御説明を頂いたあとに、大学等における養成について、議論、意見交換をしていきたいと思います。では小川委員、よろしくお願いします。
○小川委員 それでは、資料3「高等教育機関における職場適応援助者養成研修」に沿って御説明させていただきます。実施要領の変更で、高等教育機関が職場適応援助者養成研修の指定を受けられるようになりましたので、本学で取り組み始めました。
本学がジョブコーチ研修に取り組み始めた背景として、まず特に特例子会社においては大学新卒者の採用はなかなか難しいという御意見を長く聞いてきたのですが、だんだん精神障害・発達障害の従業員の方が多くなって、資格や専門性を持った新卒の方を受け入れて、自分の所で育てていくことも必要なのではないかという声も、それほど多くはありませんが伺うようになってきました。企業側の人材ニーズがあるということです。それから、これまでは職場適応援助者の養成課程はなかったわけですが、本学科を卒業して、特例子会社に新卒で採用され、3年、5年と実務経験を積んで、中核で活躍している人材も出てきていましたので、その実績を踏まえて、これは新卒でも会社によってはいけるのではないかと考えました。大学側の事情、学生の希望は資料を御覧ください。
次の「国家資格の上に専門科目を履修」という組立てですが、社会福祉士の養成と精神保健福祉士の養成を行っていますので、基本的にその養成課程の上にジョブコーチ養成課程を乗せているということです。
科目としては、ジョブコーチ論、障害特性論、ジョブコーチ専門実習が新しく作った科目になります。実際には、ジョブコーチ養成と深く関連している就労支援サービスという科目でかなり読み替えているのですが、現在は社会福祉士養成科目にそれが含まれており、全ての学生が受講していますので、ジョブコーチ養成課程に就労支援サービスは書き込んでいません。ただ、後ほど御説明しますが、来年度から社会福祉士養成課程の指定科目から外れることになりますので、ジョブコーチ養成課程のほうに就労支援サービスを入れないといけない状況になってきます。
次にまいります。これは参考までにということで、ジョブコーチの問題に限定せずに、現行の社会福祉士の養成科目の見直しについて、次のページは精神保健福祉士の養成科目の見直しについて、現在、このような科目で構成されているのが、来年度以降のカリキュラム改定でこうなりますということをお示ししています。社会福祉士養成科目の⑰就労支援サービスが見直し後の右側ではなくなってしまうのが、非常に困ったところです。また、精神保健福祉士の養成科目をざっと見ていただくと、就労支援の土台として知っておかなくてはならない内容が、随分押さえられていることが分かると思います。
基本的な仕組みにまいります。左側ですが、現在の職場適応援助者養成研修の科目を、便宜的にですが、就労支援及び障害者雇用の基礎科目群、障害特性と職業的課題に関する科目、ジョブコーチの方法論・技術論に関する科目、事業所実習、ケース検討・ケース記録に関する科目に、カテゴライズしています。
基礎科目群については、社会福祉士養成の既存科目の就労支援サービスと障害者福祉論で読み替えることができます。ただ、障害特性と職業的課題とジョブコーチの方法論・技術論に関しては、読み替えが困難ですので、新規科目を立ち上げてやっていくということで、障害特性論とジョブコーチ論という科目を立ち上げました、
事業所実習に関しては、社会福祉士、精神保健福祉士の実習はありますが、その上に現場実習、ジョブコーチ専門実習を作っています。厚労省の規定上は、5日間で済むことになっていますが、本学は背伸びをして2週間ぐらいやらせようということで、2週間と規定しています。
次のページの基本的な仕組みですが、今、ざっくりお話をした仕組みで、職場適応援助者養成研修におけるそれぞれの科目が大学のどういう正規科目に読み替えられているのかを整理したものになります。就労支援サービスのところで、就労支援及び障害者雇用の基礎科目群が多く読み替えられている所を見ていただきますと、就労支援サービスがなくなったのは痛いなと思います。ジョブコーチ論は、ジョブコーチの方法論・技術論で、講義と演習を行います。演習が入ってくるものについては、ジョブコーチ論のほうで押さえて、かなり少人数で演習を含めた授業を行うようにしています。
次は、1期生の状況です。平成30年度の入学生から職場適応援助者養成の指定が開始されて、1期生が現在3年生になっています。説明会の段階では15名の希望者がいて、全部来るのかと思ったのですが、4年生に実習をして、この養成課程を修了しますと決めている学生は、5名に絞られました。卒業と同時に国家試験合格が求められていますので、それをもし落ちてしまうと、せっかくジョブコーチについてかなり労力をかけて学んだことがゼロになってしまうというのが学生にとってビビる要素になっていると思います。それで、社会福祉士だけにしておこうとか、社会福祉士と精神保健福祉士のダブルでジョブコーチを外しておこうとか、そういった選択になっているようです。今後、毎年、コンスタントに10名程度の修了者を出していくことが、目標になると考えています。
10名についての評価ですが、多い少ないが考えられるかもしれませんが、人間福祉学科の定員が100人です。社会福祉士を目指そうという学生が、大体60~70人。これが3、4年生になると、だんだん絞られていって、最後に試験を受ける人数が60人ぐらいかと思います。精神保健福祉士は10名です。ただ、この10名も、これまでは多くが社会福祉士とダブルで受けてきています。社会福祉士や精神保健福祉士の受験資格取得者のうち、卒業後の進路として専門領域に進む人は、大体6~7割です。60~70人が高齢者福祉、児童福祉、公務員、社会福祉協議会、民間企業といった進路に分かれていくわけなので、障害分野に興味のある学生を頑張って2割ぐらい確保して、その中で更に就労支援に興味を持ち、ジョブコーチ養成研修修了まで目指そうという学生は更に絞られるので、10名ぐらいが妥当なところかと思います。今後ほかの大学が取り組む場合にも、それぐらいのめどで養成課程の修了者は見積もっておくことがいいのではないかと思っています。
今後の課題ですが、今後、就労支援、障害者雇用領域の人材確保は、ますます厳しさが増していくことが予想されます。これまでは、障害分野を志して就労移行支援事業に就職したり、ナカポツセンターに就職したりする学生が一定の割合いましたが、企業の採用が活発になると、そちらのほうに流れていきますし、伝統的な障害者施設で働きたいという学生もいますので、なかなか就労支援というニッチな領域の学生を確保するのは、送り出す側の高等教育機関としても難しいです。特例子会社等でも、指導員あるいは定着支援員、この辺の確保の難しさは、言われているところかと思います。高等教育機関での人材養成の取組は、こうした人材の輩出だけではなくて、大学が取り組むということで、教育や研究で、この分野が活性化していき、広い意味での発展と質の向上に、つながっていくのではないかと思います。
就労支援サービスという科目がありますが、全国で調べたときには、ほぼ8割以上の講師が非常勤の方で、大学に所属して大学の正規科目を教えている方は、かなり限られていました。研究者・教育者を育てていくという意味でも、高等教育機関にこういった科目を置くのは、重要なのではないかと思います。
これまでインフォーマルにいろいろ接してきた中では、複数の大学が興味を示しておられますが、最低3つの新規科目を立ち上げることや、就労支援サービスがなくなった場合には、多くの大学はそれを手放して、更にまた立ち上げるとなると、大変かと思っています。担当教員の確保と科目を立ち上げるのは、コストが掛かって、大学当局がそう簡単に許してくれることではないので、その場合、かなりネゴシエーションが必要なことです。そうすると、コストに見合うだけの学生確保のために、魅力を高めていく必要があって、養成研修を修了すると、良い所に就職できるとか、あるいは仕事の社会・経済的なステータスが良いとか、今後、そういった魅力出しもしていかないといけないかと思います。
就労支援サービスがなくなった問題については、これまでお話しました。これがなくなるということは、これからのソーシャルワーク教育の中で、就労支援がすごく薄くなるわけです。サビ管研修でも就労支援がなくなって、今、就労支援での人材育成が逆にマイナスの方向にどんどん向かっていくところですので、就労支援サービスがなくなったからといって、立ち止まってしまうのではなく、むしろ大学での就労支援の人材育成を、積極的に進めていくと考えなければいけないと思っています。
高等教育機関における職場適応援助者養成研修が、労働と複祉をまたぐ就労支援・障害者雇用のコーディネーター的役割の養成へと発展していくことを、期待したいと思っています。以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。大妻女子大学での取組について、詳細な御説明を頂きました。それでは、大学等でジョブコーチを養成していく件について、何か御質問あるいは御意見等がありましたら、お願いします。同じ大学の立場として2点よろしいでしょうか。1点目は、今年度、この状況の中で実習や演習をどう対応されているのかということです。2点目は感想ですが、最終的な修了者は5~10名ぐらいですが、現在の社会福祉士・精神保健福祉士の枠組みだとしても、33名の方がジョブコーチ論を学んだということは、どこへ就職しようとも、非常に意味があり、とても重要ことではないかと思いました。前者のほうはいかがでしょうか。
○小川委員 今年度、この状況で、大学もオンライン授業になりましたので、講義で押さえる部分について、まず押さえています。講義で伝えられる部分について実施して、演習として定められている部分については、養成研修修了を目指す5名については、本学は後期に一部対面授業が認められましたので、そこで補講という形で研修を集中的に行って、課程を修了させる予定です。
後半の御感想を頂いて、大変有り難いのですが、就労支援サービスは、制度論しか教えずに、援助技術論、就労支援をどう進めるかという方法と技術についての内容がありません。ジョブコーチ論で特に伝えるのは、ジョブコーチは、企業をサポートするということです。障害のある御本人もサポートするけれども、企業サポートの視点がないと、実際の就労支援は、なかなか成果が上がっていかないという理念をまずきちんと伝えた上で、方法論・技術論等を教えます。こういったところで企業がどのようなことに困ると思うかとか、企業でどのような仕事があると思うか、あるいは、こういったことで企業側からどのようなクレームがあるかなど、そういった演習をすると、学生はいろいろ意見を言ってくれて、やり取りの中で学生の視点が変わっていくのを感じます。
○朝日座長 大学等におけるジョブコーチ養成への期待など、委員の皆様方からは、何かありますか。
○鈴木委員 就労支援サービスがなくなるということについて、就労支援サービスには10年ぐらい関わっていますが、私が関わっている大学などは、来年度は少し短くして、集中講義的にという形になっていき、少し関わる、少し伝えるぐらいなところです。サビ管についてもそうですが、就労支援サービスがなくなることで、就労という問題が欠けていくのは、何か次のものが必要なのだというのを、私自身もものすごく感じています。社会福祉の中では、どちらかと言うと、本人のニーズに焦点が当てられますが、就労といった場合は、企業ニーズというところについて、話をします。就労定着支援において加算になるというメリットではなく、卒業して単位を取って、ジョブコーチの仕事として次のところを見据えられるような、学生にとって未来のある仕事にしていくということは大きなテーマであり、すごく必要だと思います。
○朝日座長 ほかに、いかがでしょうか。
○酒井委員 就労支援を担う人材を考えたときに、この10数年で就労移行支援事業が3,000か所できましたが、担う人材が本当に薄いというのは、実際あると思います。高等教育においても、きっちりと学んでおく、そういう人材をどんどん就労支援の分野や社会に輩出する仕組みは、すごく大事だと思います。
私は、OTの養成大学に就労支援の部分で関わっているのですが、1クラス40人いたら、何人かは就労にすごく興味を持ってもらえます。ほぼ皆さん医療分野に進みますが、就労に興味を持って、もっと深く知りたいということで、見学に行っていいですかということを言ってきてくれる学生もいるので、就労に興味を持つきっかけとなる環境・土台を作っておくという意味でも、素晴らしい取組かと思います。
○朝日座長 更にいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 まだ今後の話というか、しっかりと共有をさせていただいていないので、次回以降、然るべきタイミングで、この研究会の場でも共有をさせていただきたいと思っていますが、この研究会は、まず足元のカリキュラムについて御議論いただくことを最初の回でも申し上げたところです。一方で、11月16日の障害者雇用分科会の中で、雇用と福祉が連携して課題解決に向けた検討を進めてきていた省内のプロジェクトチームの中間取りまとめの御報告させていただきました。19日には、障害者部会でも、この中間取りまとめについて御報告したところです。
中間取りまとめの中で、大きなテーマ立てとして3つの柱があり、1つ目が雇用・福祉、共通のプラットフォーム的なアセスメントの仕組みを作ることです。2つ目は、今、御指摘があったように、就労支援、福祉サービスの様々な場面において活躍していただいている人材について、どう育成し、どう確保していくのかということです。最後は、地域にある様々な支援機関、プレイヤーの在り方をどう考えていくのかということです。例えば新たに定着支援事業が加わる中で、改めてそれぞれの役割や立ち位置について、抜け、漏れ、重複はないのかについて整理するという大きな視点を掲げて、今後、議論を進めていくことになります。3つの柱の2つ目で、人材の育成支援・確保について、どう考えていくのかという中での1つの大きなポイントが、雇用・福祉、それぞれの立場で専門性を積み重ねる前に、ベーシックになる横断的なカリキュラムなり人材の育成の場面が、必要なのではないかということです。
そういう意味では、ジョブコーチとしての専門的な勉強に入る前に、横断的に何か勉強する場面を作るとか、専門的な研修なり講習を受ける前に、横断的、悉皆的、基礎的な研修を仕組んでいくのも、1つの検討の方向性になってくるかと思います。
今回、最終的な研究会報告書の中では、来年度以降のカリキュラムが大きな成果物の1つにはなりますが、ジョブコーチに対して、今後の期待や、御意見として頂いた総括的な話も報告書に少し盛り込んだ上で、今後、雇用・福祉連携の中で議論していく場面においても共有をして、将来的には、先生方の御意見を生かしてまいりたいと考えています。
○朝日座長 雇用・労働、福祉と、それぞれの専門性の追求なり、専門職の有り様がどうしても語られるわけですが、現場では、両方を見据えたニーズがあって、そちらを出発点とすれば、自ずと横断的なベースになる人材育成の有り様というのが問われてくるのだということですね。今回はモデルカリキュラムの検討でしたが、この報告書の中では、前提なのか、あるいは今後の見通しなのか、将来像も含めて、横断的な人材養成の必要性みたいなところは、是非押さえておきたいと私も感じました。ほかにいかがでしょうか。
○井田委員 直接関係ないのですが、私は、法政大学の現代福祉学部の100名ぐらいの生徒の前で、実際の企業の実態について45分、当時の私が支援していた発達障害の当事者の話が45分という形で、話をさせていただきました。どちらかと言えば発達障害の内容を話したので、ジョブコーチというポイントではなかったかもしれないのですが、御本人から生の声で聞いて、現代福祉の勉強をしている学生ですから、障害者とか発達障害についての学問的な知識は豊富な方たちばかりなのですが、その実態が分かって、学問的なところの裏付けが分かったという感想が多かったです。また、企業が求めているのはこういうところなのだというところが分かったという感想もありました。
○朝日座長 福祉を学ぶ学生に実践的なお話をされて、フィードバックを得られたということの重要性を御指摘いただけたのではないかと思います。山地委員お願いします。
○山地委員 自立支援法か何かのときにも、就労支援が抜かれるのではないかという話がありませんでしたか。ジョブコーチは、会社寄りでもなく、本人寄りでもない、うまいバランスで支援することがとても大事なので、そういったことをきちんと教える機会がなくなってしまうのは、すごく残念です。私は、ジョブコーチのイメージとして、どちらかというと、企業側に寄る方が少し目立っている感じがしていたので、イメージが違ったことに気が付きました。地域の就労支援だと、枠付けがはっきりしてしまっていて、企業の要望ばかりに応えていってしまいがちなところがあるので、そこでちゃんとブレーキを掛けたりするという学びがあるといいと思いました。
○朝日座長 福祉を学ぶ上で、就労支援があることの意義は、山地委員がおっしゃったところにも通ずるのではないかと、いつも考えています。それでは、議題3についてもこの辺りまでとさせていただきたいと思います。予定されていた今日の議題は、以上になりますが、これまでの御議論なども踏まえて、何かお気付きの点、御発言はありますか。では、皆さんの意見を踏まえて、事務局でまた取りまとめいただくことし、次の日程等についての連絡を、事務局からお願いします。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。次回の開催は、12月3日を予定しております。会場は、厚労省の省議室になりますので、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 それでは、以上をもちまして、本日の研究会は終了させていただきます。お忙しいところ、ありがとうございました。