2020年9月24日第15回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 
 
1.日時 令和2年9月24日(木)15:00~17:00
 
2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)
 
3.出席者
井出アドバイザー、岩崎アドバイザー、小川アドバイザー、佐藤アドバイザー、野澤アドバイザー、橋本アドバイザー、田村アドバイザー、赤澤障害保健福祉部長、源河企画課長、竹内障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、河村障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、石井障害福祉課長補佐、諏訪林障害福祉課就労支援係長、井上障害福祉課就労支援専門官、古屋企画課データ解析専門官
 
4.議題
(1)令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型)
(2)その他
 
5.議事
○竹内障害福祉課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第15回会合を開催いたします。
 アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日も、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、アドバイザーの皆様にはオンライン会議にて御参加いただいております。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日のアドバイザーの皆様の出席状況でございますが、石津アドバイザー、小船アドバイザー、平野アドバイザーにつきましては、所用により御欠席でございます。
 なお、本検討チームの主査としてこやり厚生労働大臣政務官が着任しておりますが、本日は公務により御欠席でございます。
 それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 資料1「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」。
 資料2「就労継続支援に係る報酬・基準について」。
 資料3「就労系サービス(横断事項)に係る報酬・基準について」。
 参考資料「第13回報酬改定検討チーム等における主なご意見について」。
 資料の不足等がございましたら、恐縮でございますが、ホームページからダウンロードいただくなどの対応をお願いいたします。
 会議の運営方法でございますが、資料について事務局から御説明させていただいた後に、アドバイザーの皆様からの御質問、御意見をいただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、資料1について事務局から説明をいたします。
○石井障害福祉課長補佐 事務局でございます。障害福祉課就労担当の石井でございます。
 資料1に基づきまして、就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準等について御説明をさせていただきます。
 2ページ目でございます。
 まず、就労移行支援の概要でございます。就労移行支援につきましては、一般就労を目指す障害者の方に一定程度訓練をし、一般就労を目指していただくといったサービスでございます。平成30年度の報酬改定により、左下にありますとおり、基本報酬について実績に応じたメリハリのある報酬区分とさせていただいているところでございます。
 そういったものを踏まえまして、現状、一般就労がどれぐらい進んでいるかというところにつきましては6ページ目でございます。
 一般就労への移行者数でございますが、直近、就労移行支援から1万2244人の方が一般就労を実現しているという状況でございます。
 8ページ目以降が、先般、関係団体へのヒアリングにおいてあった主な意見でございます。
 こういったものを踏まえまして、就労移行支援につきましては11ページ目以降に論点等を示させていただいております。
 論点は3つ掲げさせていただいておりまして、まず論点1「基本報酬について」。
 論点2「支援の質の向上について」。
 論点3「一般就労の範囲等について」でございます。
 論点1につきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、就労移行支援につきましては平成30年から実績に応じた基本報酬としておりますので、そういった実績に応じた基本報酬というものを引き続き堅持すべきかどうかといった論点になっているところでございます。
 では、具体的には12ページ目以降から御説明をさせていただきます。
 論点1「基本報酬について」、現状・課題についてでございます。
 1マル目にありますとおり、就労移行支援の基本報酬につきましては、平成27年の社会保障審議会障害者部会の報告書等を踏まえまして、就職後6か月以上定着した者の割合に応じて、メリハリのある報酬体系とさせていただいたところでございます。
 2マル目にありますとおり、具体的には「前年度就職6月に達した者の数を当該前年度の利用定員で除した割合」、いわゆる就労定着率というものを実績として評価しているところでございます。
 3マル目にありますとおり、実際にそういったメリハリのある報酬区分にさせていただきまして、現状どのようなものになっているかというところ、15ページ目にその数字が書かれておりますので、後ほど御確認いただければなと思います。
 一方で、現状・課題の4マル目にありますとおり、就労移行支援の標準利用期間は2年であるということを踏まえながら、前年度の実績ではなくて過去2年間の実績をみてほしい等の見直しの意見もあるところでございます。
 そういったものを踏まえまして、論点としまして、1マル目でございます。先ほど申し上げましたとおり、平成30年度の報酬改定により実績に応じたメリハリのある報酬体系にしておりますので、引き続きそういった実績に応じたメリハリのある報酬体系にしていくかどうかといったことを論点の1マル目に挙げているところでございます。
 2マル目としましては、現行の取扱いに何か見直すところはないかといったところを論点に挙げさせていただいております。
 これらの論点につきまして、検討の方向性でございます。
 1マル目でございます。先ほど15ページを御案内させていただきましたとおり、各事業所の実績につきましては、実績が高いほうの事業所が増えているという状況にもございますので、下線を引かせていただいていますとおり、引き続き実績に応じた報酬体系にしてはどうかと考えているところでございます。また、その実績につきましても、引き続き就労定着率で評価してはどうかと考えているところでございます。
 その上で、2マル目でございます。さきに御紹介させていただきましたとおり、就労移行支援につきましては、標準利用期間が2年であることもございますので、そういったことを踏まえまして、就労定着率の算出に当たりましては、前年度だけの実績ではなくて過去2年間の実績を踏まえたものとしてみてはどうかという検討の方向性を示させていただいているところでございます。
 なお、いわゆる養成機関につきましては、標準利用期間が2年間ではなく3年だったり5年だったりしますので、それはまた別途検討させていただきたいと考えているところでございます。
  駆け足でございますが、続いて、論点2「支援の質の向上について」でございます。
 17ページをお開きください。
 就労移行支援につきましては、働きたい障害のある方の一般就労を実現するという観点から非常に重要なサービスでございます。このため、現状・課題の1マル目にありますとおり、就労移行支援事業所につきましては、引き続き効果的で質の高い支援を実施していただく必要性がございます。
 実際に、2マル目にありますとおり、先般の報酬改定におきましても、就労移行支援の具体的な支援内容については引き続き検討、検証を行ってほしいといった御意見も頂戴しているところでございます。
 一方で、3マル目にありますとおり、一就労移行支援事業所だけがノウハウを蓄積して頑張ればいいというものでもございません。後半に書かせていただいていますとおり、例えば他の就労系のサービス事業所、もしくは他の移行支援事業所といったところとのノウハウの共有なども重要ではないかといったところを現状・課題として挙げさせていただいているところでございます。
 4マル目にありますとおり、実際に、平成27年社会保障審議会障害者部会の報告書につきましても、就労移行支援の持っている就労支援ノウハウにつきましては共有等を進めていくべきであるという御意見も頂戴しているところでございます。
 これら現状・課題を踏まえまして、論点として2つ挙げさせていただいているところでございます。
 1マル目、各事業所において支援の質を向上させていくためにはどのような取組が必要であるか。
 また、2マル目としまして、先ほど申し上げましたとおり、就労支援ノウハウというものをどのような形で他の事業所、もしくは他の就労継続支援事業所等と共有していくことができるかどうかといったことを論点として挙げさせていただいているところでございます。
 これにつきまして、18ページ目に検討の方向性を書かせていただいているところでございます。
 1マル目でございます。就労移行支援事業所が行っている支援は非常に多岐にわたるものでございます。例えば、これをやれば必ず就職する、これをやれば就労定着が図られるといったものはないというところでございまして、実際には障害者本人の希望と適性等を合わせながら、いろいろ効果的な支援を組み合わせていかなければならないというのが現状でございます。
 ですので、1マル目前段に書かせていただいていますとおり、当たり前のことではございますけれども、まずは確実に各事業所において御本人さんの希望、適性・能力等を的確に把握・評価する、いわゆるアセスメントを実施していただくことが重要ではないかということ。また、後段でございます。このため、アセスメントについて、例えば他の就労移行支援、もしくは医療機関、その他もろもろ関係機関の方々のノウハウを活用しながら、アセスメントの精度を上げて支援効果を高めるための取組等をしていただいた場合については、当該取組について報酬上何らかの評価をしてみてはどうかというところを検討の方向性として挙げさせていただいているところでございます。
 いわゆる就労支援に係るアセスメントにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、当たり前のことかもしれませんが、例えば就労支援ニーズにつきましては非常に多様化しているところでございます。精神障害のある方、もしくは難病の方等が増えている中において、自分の事業所では対応したことがない障害のある方がもしかしたら利用するかもしれない。そういった場合でも確実に高い精度で就労アセスメントをしていただくという観点から、ほかの支援機関と連携しながら就労のアセスメントの精度を上げていくといった取組を応援してはどうかというのが1マル目の検討の方向性でございます。
 加えまして、2マル目でございます。いわゆる就労支援ノウハウの共有につきましては、就労移行支援において就労支援の中心的な役割を担っていただいております就労支援員さんにつきまして、例えば同一法人内のA型なりB型の就労継続支援事業所や就労定着支援事業所においても、就労支援員さんのノウハウを活用していただく、もしくはそういった優秀な方の人材の利活用という観点から、現状、常勤配置が必須要件となっています就労支援員につきまして常勤要件を緩和しまして、例えば常勤換算による配置を可能とするといったことも検討してみてはどうかというところを2マル目の検討の方向性として挙げさせていただいているところでございます。
 当然、常勤換算にすることは、支援の質を担保した上でということが前提になりますので、いわゆる支援能力の高い就労支援員さんにつきましては、他の就労継続支援事業所等でぜひ御活躍いただきたいといった趣旨がこの2マル目でございます。
 駆け足でございますが、論点3「一般就労の範囲について」でございます。
 ページ数で申し上げますと23ページ目でございます。
 論点3につきましては、実は現状・課題の1マル目に書いておりますとおり、平成30年、前回の報酬改定におきまして、引き続き対応を検討するとされている事項でございます。一般就労された後の働き方、一般就労と一言で言ってもどのようなものが一般就労に該当するのかどうかといったことにつきましては、引き続き対応を検討してほしいといった御意見を頂戴していたところでございます。
 2マル目にありますとおり、では、実際にどのような形で一般就労が実現しているかというものを調査させていただいた結果、そこの表にありますとおり、例えば正規職員、例えば労働時間ではどうかというものをそちらのほうに記載しているところでございますので、御確認いただければと思います。
 現状の3マル目でございます。では、福祉施策においては、どのような形でそのような就労移行支援から一般就労に移行しているかというところで、いろいろと御意見を頂戴しているところではございますが、3マル目に書かせていただいているのが、一般就労した先、雇用施策においては今、どのような動向になっているかというものを現状・課題として記載させていただいているところでございます。令和2年4月に施行されました改正障害者雇用促進法においては、短時間であれば就労可能である障害のある方の雇用機会を確保するための制度改正をされているところでございます。
そういった雇用施策の動向等も踏まえながら、論点に掲げさせていただいているのが1マルでございます。調査結果等を踏まえながら、一般就労の範囲についてどのように考えていくかどうか、具体的にはということで、例えば雇用形態もしくは労働時間数などで一定の線引きをすべきかどうかといったものを論点として掲げさせていただいているところでございます。
 これにつきまして、24ページ目、検討の方向性でございます。
 1マル目に記載してありますとおり、一般就労の範囲につきましては、先ほど現状・課題でも申し上げましたとおり、様々な雇用形態もしくは勤務形態、労働時間数等で就労を実現されている障害のある方が実際にいらっしゃいます。また、さきに御紹介したとおり、雇用施策においても、例えば短時間なら働けるといった方に関しても、雇用施策として十分支援していこうという現状にあるところでございます。
 そういった中におきましては、1マル目の最後でございます。何らかの形で雇用形態もしくは労働時間数で就労移行支援の一般就労の範囲を線引きするのは、現状においては難しいのではないかというものを検討の方向性として掲げさせていただいているところでございます。
 では、具体的にはどういったことかというところが2マル目でございます。現時点においては線引きは難しいので、まずは雇用契約の有無というものをもって判断してみてはどうかというものが1つ検討の方向性で掲げさせていただいているところでございます。雇用契約の有無となっておりますが、もちろん本人の希望に添っていることが前提でございますので、例えば本人の希望に添うことなく短時間もしくは異なる働き方というものを事業所が支援することを評価しているものではございません。本人の希望に添った形において短時間等の働き方を支援した場合においては、そういった事業所の取組は確実に一般就労の範囲として評価してはどうかといった趣旨でございます。
 以上が就労移行支援に係る主な論点等でございます。
 続きまして、就労定着支援について御説明させていただきます。
 29ページをお開きください。
 就労定着支援の概要等が書かれているところでございます。就労定着支援につきましては、先ほど就労移行支援を御説明させていただいたとおり、一般就労を実現した後、職場において職場定着を図っていただく。そのための日常生活、社会生活等の支援をさせていただくというのが就労定着支援でございます。
 就労定着支援につきましては、平成30年4月から創設させていただいたサービスでございます。サービスの内容等は先ほど御説明したとおりでございます。基本報酬につきましては、他の就労系サービスと同様でございます。左下に基本報酬がございますが、基本報酬につきましては3年間の就労定着率で7段階に分けている。こちらも実績に応じたメリハリのある報酬体系にしているところでございます。
 この就労定着支援事業につきましては、33ページ目以降、関係団体の皆様方からもいろいろな御意見を頂戴しているところでございます。そういった御意見等を踏まえまして、36ページ目以降、就労定着支援に係る主な論点等を掲げさせていただいているところでございます。
 論点1「基本報酬等について」。論点2「支給要件等について」でございます。
 論点1につきましては、先ほどの就労移行支援と同じでございます。実績に応じたメリハリのある報酬体系にしているところでございますので、それがいいかどうか等の内容でございます。
 具体的には37ページ目以降でございます。
 現状・課題の1マル目でございます。平成30年4月から就労定着支援につきましては創設させていただいているところでございます。さきに御紹介したとおり、基本報酬につきましても、他の就労系サービスと同様に実績に応じたメリハリのある報酬体系にしているところでございます。
 2マル目にありますとおり、具体的には過去3年間の利用者のうち、前年度末時点において就労継続していた者の割合において基本報酬を評価しているところでございます。具体的には39ページを後ほど御確認ください。
 こういった報酬体系、報酬区分において、各事業所が現状においてどのような実績を上げているかというところを3マル目に書いているところでございます。具体的な表につきましては40ページに記載しておりますので、そちらを御確認ください。
 4マル目でございます。30年4月から創設している就労定着支援でございますが、一方で、その事業所数につきましては今、約1,288でございます。就労移行支援事業所、送り出すほうの事業所が約3,000でございますので、それに比べて送り出した後のサービス、支援をする就労定着支援事業所というものは約5分の2程度にとどまっている状況でございます。そういった就労移行支援に比べて、就労定着支援の事業がなかなか開始されない理由としましては、4マル目後段に書いてありますとおり、例えば人手不足を理由に挙げる事業所、もしくは報酬等の関係で少し収支バランスが取れていないのではないか等の御意見を指摘する声があるところでございます。
 そういったものを踏まえまして、論点で2つ挙げさせていただいております。
 1マル目でございます。先ほどの就労移行支援と同様でございます。実績に応じたメリハリのある報酬体系にしていることについて、それをどう考えるか。
 また、2マル目でございます。現行の取扱いで何か見直すべきものはないかということを論点に挙げさせていただいております。
 38ページ目以降、検討の方向性でございます。
 1マル目でございます。こちらにつきましても、さきに御紹介させていただきましたとおり、就労定着支援事業所につきましては、比較的高い実績で推移している事業所が多くいらっしゃるということもございます。確実に実績を上げている事業所が多いという観点からも、下線でございますが、引き続き実績に応じた報酬体系としてみてはどうかということ。また、その評価につきましても、支援期間に係る就労定着率で評価してはどうかということを御提案させていただいているところでございます。
 その上でということで、2マル目でございます。現状、実は上位2区分に約8割の事業所が占めるというところでございます。具体的なイメージは後ほど42ページ目を御確認ください。7段階でメリハリをつけているところでございますが、上位2区分にほとんどの事業所がいらっしゃるというところでございますので、より各事業所の実績をきめ細やかに評価する観点からは、この7区分の範囲につきましても少し見直しを加えてはどうかということを考えているところでございます。それが2マル目でございます。
 3マル目につきましては、先ほど少し申し上げましたとおり、就労定着支援がやりづらいとおっしゃっている事業所の中には、就職6か月後から就労定着支援が始まるものでございますが、6か月間空いてしまうことがなかなか就労定着支援につながらないのではないかといった御意見も頂戴しているところでございます。ですので、この就職後6か月間につきましては3マル目に書かせていただいているところでございます。
 就職6か月後に確実に就労定着支援事業を開始していただくよう、送り出した就労移行支援事業所等が6か月の間就労定着支援をやることになっておりますが、加えて、就労定着支援にも確実につなげていただくような形で運営基準の見直しを図れないかといったところを考えているところでございます。下線に書かせていただいていますとおり、就労移行支援事業所及び就労継続支援事業所における6か月間の職場の定着支援の義務期間において、本人が希望する場合には就労移行支援事業所等が就労定着支援事業所等と連絡調整を図るといったことを運営基準に規定してはどうかと考えているところでございます。こういった取組等により、就職後6か月間がいたずらに過ぎることがないよう、確実に支援がつながるように考えているところでございます。
 4マル目でございます。こちらは再掲となっておりますが、先ほど就労移行支援のところで御紹介させていただきましたとおり、就労定着支援においても、当然、就労支援のノウハウの高い就労支援員が対応するのが非常に効果的な支援ができるというところでございます。そういった就労支援ノウハウを持っている方が、仮に就労移行支援、送り出した移行支援事業所にいるのであれば、当然、就労定着支援事業所等においてそのような人材の利活用も十分見込まれるものであろうというところで、再掲として掲げさせていただいているところでございます。
 先ほど御紹介させていただきましたとおり、就労移行支援事業所における就労支援員を就労定着支援事業所でもぜひ活躍いただけないか。そのために常勤換算にしてはどうかという御提案でございます。
 以上が論点1でございます。
 最後に、就労定着支援の論点2「支給要件等について」でございます。
 44ページをお開きください。
 現状・課題の1マル目でございます。現在、就労定着支援事業所につきましては、運営基準において最低限この支援はしてくださいというものが書かれているところでございます。具体的には、1マル目に書かれておりますとおり、利用者との対面による月1回以上の支援を行ってくださいと書かれているところでございます。また、この利用者との月1回以上の対面による支援というものは、各事業所が報酬を請求するためのいわゆる支給要件にもなっているところでございます。少なくとも月1回対面で利用者と支援をしていただかないことには、報酬はお支払いできないといった基準になっているところでございます。
 一方で、3マル目に書かせていただいておりますとおり、当該支給要件があることによって、例えば四角囲みで少し書かせていただいておりますけれども、利用者との対面による月1回の支援を行えばよい、それをやれば就労定着支援になるのだという形で、少し違った受け止めをされている事業所さんがいらっしゃる。もしくは、報酬を得るために訪問している、わざわざ本人と会っているという、少しやり方と手段が逆になってしまっている事業所がいるのではないかといった声が聞こえているところでございます。
 後段でございます。さらには、各事業所の中には月1回の対面支援が定着支援事業ではない、定着支援ではない、そういったことがサービス内容なのであれば就労定着支援事業所にはならないといったことまでおっしゃっている事業所がいるという現状でございます。
 そういった月1回の対面の支援だけでいいと考えている事業所がいる一方で、4マル目でございます。例えば実態としましては、各事業所の中には仕事の遂行に関すること、もしくは体調・健康状態に関すること等、就労定着支援事業所だけではなかなか対応が難しいケースもちゃんと対応している事業所もいらっしゃるといった実態にあるというところでございます。
 そういった支給要件に係り、志の低い事業所がいる一方で、就業上の支援、健康上の支援といった支援もしている事業所がある。こういったことを踏まえまして、論点1マル目でございます。現状掲げさせていただいております利用者との対面による月1回以上の支援につきまして、この支給要件を見直す必要はないかというところ。もしくは2マル目にありますとおり、就労定着支援事業所だけではなかなか支援が難しいところ、関係機関との連携で何とか支援しているといった、関係機関との連携強化に向けて何か取組ができることはないかといったことを論点に挙げさせていただいているところでございます。
 こういったものを踏まえまして、45ページ目、検討の方向性です。
 1マル目でございます。下線を引かせていただいているところでございますが、現状、利用者との対面による月1回以上の支援につきましては、最低限やっていただきたいことということでお示ししているところでございますが、これにより、支援内容がいたずらに限定されてしまっているといった現状もあるという声を踏まえますと、後段でございます。引き続き支給要件を設けたとしても、その内容については見直してはどうかという点。
 2マル目でございます。では、具体的にはどのような内容に見直させていただくかというところでございますが、何個かポツを書かせていただいておりますけれども、結論を申し上げますと、後段でございます。就労定着支援事業につきましては、このような支援をやれば必ず定着する、もしくは何らか特定の支援内容をした場合、またその支援だけをやればいいといった形で受け止めてしまう事業所がいらっしゃるかもしれません。ですので、後段、特定の支援内容や方法等を要件とするのではなくて、どのような支援を実施したか等をまとめた支援レポートを本人その他必要な関係者、例えば企業さん等と月1回共有することをもって要件としてみてはどうかという提案をさせていただいているところでございます。
 当然、企業との共有に当たりましては、いわゆるクローズでその企業に就職されている方もいらっしゃるかもしれません。そういった点につきましては重々留意、配慮させていただきまして、何らかの形で支援レポートを本人もしくは企業等の関係者と共有できないか、それをもって報酬をお支払いすることとしてはどうかという提案でございます。
 最後に3マル目でございます。就労定着支援を実施する上で、関係機関との連携等につきましては引き続きさらに推進していく必要があるところでございます。ですので、下線を引かせていただいているところでございます。就労定着支援事業所の音頭、連絡調整の下、関係機関等と何らかのケース会議を開いた場合においては、一定程度報酬上で評価してみてはどうかといった提案をさせていただいているところでございます。
 なお、現状につきましても、企業との連絡調整につきましては、その後段に書かせていただいておりますが、支援開始1年間だけつく企業連携等調整特別加算というものを創設させていただいているところでございます。支援開始1年間については、企業、関係機関をはじめ、連絡調整が非常に多くなるだろうということで、1年目だけにつけている加算でございますが、現状、関係機関との連携等につきましては、決して1年目に限られるものではないというところでございます。ですので、関係機関との連携を進める上で、報酬上一定の評価をするというところに係りましては、現行ある企業連携等調整特別加算の見直しと併せまして、1年目に限らず支援期間全てを通じて連携した場合においては何らかの評価をしてみてはどうか。そのような形で検討の方向性を示させていただいているところでございます。
 以上が就労移行支援・就労定着支援事業に係る主な論点、もしくは検討の方向性でございます。
 以上で説明を終了します。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー ありがとうございます。
 私、この分野におきましては本当に素人なものですから、ひょっとするととんちんかんな質問やコメントになっているかもしれませんけれども、そのときはお許しください。
 6ページから7ページの一般の就労の方々が非常に右肩上がりに増えているというのはすばらしいことだと思います。非常に御丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございます。
 ただ、4ページから5ページの各種の加算のところで、取得率が0の項目が結構たくさんあると思うのですけれども、これはこのまま続けるということがよろしいのか。0%ということが分かっているのであれば、そういうものは取り消すほうがむしろ無駄な時間をかけずに済むのではないかなと思いました。
 それから、25ページで、5日間勤めておられる方が結構おられますのに、正規の職員になっておられる方が18.3%と非常に少ないということで、やはりいろいろ障害を抱えておられる方でも、基本的には正規職員を目指す、それを支援するのが本来の姿ではないかと思いますので、この5日間以上勤めているのにもかかわらず正規職員にはなっていないという辺りのことにつきましては、いろいろ調査をした上で、何とかそういう方が正規職員になれるような形のサービス、手当をお考えになっていただければと思います。
 それから、37ページで、定着支援の事業所が移行支援の事業所の3分の1しかないということですけれども、定着支援だけをやっておられる事業所は果たしてあるのでしょうか。それとも、定着支援の事業所のほとんどが移行支援事業所なのでしょうか。もしそれがそうでないとすれば、先ほどおっしゃいました常勤のスタッフが両方ダブってもいいというような形で、移行支援事業所の中で定着支援の事業所がどんどん増えてくるということであれば、それは非常にいいアイデアではないかなと思いました。
 最後に、44ページで定着支援が月1回の面接だけでは形式的に終わっているのではないかという情報があったということで、それで45ページで単なる面接だけではなくて支援レポートを作成するということを御提案されておられます。ただ、そこで仕事をしている障害を持った方にしてみると、月1回だけでもその仕事ぶりを見ながらいろいろアドバイスをしてくださるということは、それ自体僕は意味があることではないかと思うので、それをいきなりレポートの形にするというのは、一方では御本人そのものにとってはかえっていろいろ負担が増えたりするようなことになるのではないかなということを危惧しますけれども、その辺りについてはどうお考えでしょうか。
 実際に大事なことは移行して仕事を始めた方がちゃんと定着していることなので、むしろ、ちゃんと定着している期間が6か月以上延びれば、それに応じてどんどん加算が増えるという仕組みのほうが合理的ではないかなと考えますけれども、それについてのお考えをお示しいただければ幸いに存じます。
 私の質問は以上です。
○石井障害福祉課長補佐 就労担当の石井でございます。
 田村アドバイザー、非常にいい御質問等、ありがとうございます。
 何点かいただいておりますので、それにつきまして回答、見解を少し述べさせていただきます。
 まず、取得率が0%の加算があるよねと。そこら辺を見直してはどうかという御意見をありがとうございます。就労移行支援だけにかかわらず、就労系サービス、その他のサービスにも係るものでございますので、こういった取得率0%の加算の必要性につきましては、そういうものの加算の趣旨等を見させていただいて、検討を重ねさせていただきたいと思います。
 また、いわゆる障害者で就労されている方は正規の職員が少ないのではないかと。正規の職員といったところで活躍の場をどんどん増やしていったほうがいいのではないか。これにつきましても、非常にそのとおりだと思います。福祉政策だけではなくて、雇用政策と連携しながら、そういった障害のある方がどのような形で活躍できるかどうか、活躍の場を広げていくかというテーマは非常に重要でございますので、福祉政策としてどこまでできるか、もしくは企業のほうでどこまで頑張っていただくか。いわゆる雇用施策においてどこまで頑張っていただくかというところにつきましては、雇用政策との連携の中で少し考えていきたいと思っているところでございます。
 また、定着支援だけをやっている事業所はいらっしゃるのかどうかといった御質問もあったところでございます。就労定着支援事業所につきましては、実は他のサービスと少し違いまして、就労定着支援の指定を受けるに当たりましては、就労移行支援、就労継続支援、自立訓練、生活介護、これらのサービスで就職実績を出している事業所が指定を受けられるというところになっております。実態としましては、やはり就職実績があるというふうになりますと就労移行支援事業所がほとんどでございますので、そういった観点からは、就労定着支援事業所であれば大体就労移行支援等をやられているといった事実関係があるところでございます。
 また、月1回の対面ではなくてというところでございます。支援レポートにつきましては、一義的には事業所がお作りになる。レポートという表現を便宜上させていただいておりますが、つまるところ、ただ単に「1回会ったよ」ではなくて、どのような支援を御本人にしたか、それが何のための支援なのであるかと。就労定着につきましては、一回一回会うことが重要なのではなくて、支援が終了した後も働き続けていただくための力を本人につけていただく。そういったものが就労系サービスの就労定着支援でございます。
 ですので、例えば対面1回をやらなくていいという趣旨ではなくて、対面1回でお会いしてどのようなアドバイスをしたか、どのような観点から御本人に力をつけていただくような支援をしたか。そういったものをちゃんと形にして、御本人、その他の方々と共有してみてはどうかといったことでございます。ですので、実践している事業所は既にやっているのだろうと。一方で、先ほど少し申し上げましたとおり、ただ単に会っているというような事業所が仮にあるのであれば、それは何のために会っているのか等をもう一度振り返っていただいて、ちゃんと形にして関係者と共有してみてはどうかといった観点でございますので、御本人の負担を強いるというよりは、事業所に確実に何のために支援をやっているかというものを形にして、皆さんと共有してくださいといった内容の御提案でございます。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
 ただ会っているというだけでこの加算を取っているという施設は、単にレポートを書けばいいということだけであれば、今、ワープロ化された時代ですから、いろいろな1つの形式になっている書類さえ作っておけば、それを日を変えたことにしてどんどん出すなんてことも可能なので、むしろ、レポートを事業所が出すからといって、本当にこの制度を悪用している施設が減らせるようになるのかどうかという点については疑問があるかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
○石井障害福祉課長補佐 最後のコメント、ありがとうございます。
 おっしゃるとおりでございまして、ただ単に会っている事業所は、今度はそれがレポートを書けばいいだけかというふうに受け止めかねません。ですので、当然当該レポートにつきましては、御本人だけではなくて企業等にもちゃんと共有してくださいというふうになっております。それがどこまでちゃんとやっていただくための効果になるかどうかと言われると、まだまだ不十分かもしれませんが、少なくとも第三者の方の目に触れるということをもってして、「会いました」というような一言だけは当然ないのだろうと。もしくは、何のために自社の社員がその支援を受けているのか、自社の社員がどのような支援を受けて、今後どのような形で成長していこうとしているのかといったものを形にして企業等と共有することは、一定程度の意味があるのかなと思っています。
 ただ、田村アドバイザーが言うように、それで全部が解決できるのかと言われると、なかなか難しいところもあると思っていますので、支援の質をどのような形で引き続き上げていくかどうかというところは、また検討を重ねさせていただきたいと思います。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○竹内障害福祉課長 それでは、野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 多岐にわたる御説明、ありがとうございました。
 順不同ですけれども、思ったことを幾つか述べたいと思います。
 就労支援員の常勤換算は、ほかのところでも横断的にいろいろ出てくるのですけれども、基本的にはこれは当然だろうと私は思います。今の人材不足の中で効率化していくということは当然の流れだと思いますし、形式的な要件を簡素化して内容を見ていくという方向に評価を変えていくべきだろうと思うので、この辺は賛成したいと思います。
 もう一つは、何をもって正社員とするのかということです。一般の雇用のほうでもはすごく揺れ動いています。基本的には、御本人の意思を尊重して、本人の権利といいますか待遇を保障しながら多様な働き方を認めていくという方向で検討していってほしいと思います。トライアル雇用をはじめ、障害者雇用が先導役になって一般の我々の就労形態を変えてきたという歴史があることを踏まえると、今、一般のほうが変わろうとしているのに、障害者雇用が逆行してはならないと私は思っているのです。なので、ここはチャレンジングにいろいろ大胆に、御本人の権利を守るということを中心に打ち出していければいいと思います。
 定着支援についてです。月1回の対面調査、こういうことをやられているところはすごく多いのではないかなと肌感覚で思っています。そもそも月1回会って何が分かるのだろうというかと思います。会って、それを聞いた上で何をしてくれるのだろうところがやはり重要だと思うのです。さっきおっしゃったように、そこで本人のいろいろなアドバイスをするということなのでしょうが、本当は大事なのは、本人を変えるのではなくて企業を変えなければいけないということです。
 前からずっと思っているのですけれども、就労移行や定着は、障害福祉の分野から見れば本人を支援するというところにどうしてもいくわけです。しかし、これは2つあって、本人を指導したり訓練したり、本人を変えて企業に適応できるというのも必要ですよね。もっと必要なのは、企業が障害のある方たちの特性を理解し、合理的な配慮をして、障害のある方たちが働けるように定着できるように企業を変えなければいけないわけです。むしろ企業を変えたほうがうまくいっている例が多いと私は思います。本人を変えて、逆に本人にストレスをかけて鬱に追い込んでしまうみたいな例はいっぱいあります。だから、ここをあまり頑張ってしまって、障害福祉の分野が就労移行定着のほうを力入れて頑張らせて、本人のほうにどんどん圧をかけていったら、むしろ思っているものとは違う方向に行ってしまうのではないかなと思います。
 なので、ここでメリハリのついた云々とありますけれども、あえて今以上にあまりメリハリをつけないほうがいいのではないかなと逆に思っているのです。すごくやっているところはあるのでメリハリをつけるのは当然だと思いますけれども、それよりも、むしろこの局面は、障害福祉課とか企画課ではなくて、障対課のほうに頑張ってほしいと思っているのです。ここで議論してもしようがないのですけれども、むしろ企業のほうをてこ入れしなければいけない状況になっている。障害者本人は十分頑張っていますよ。このあたりを踏み違えてしまうと不幸なことになってしまわないかなと思っています。
 あと、支援レポートについてはいろいろ評価がありますけれども、私は基本的に賛成なのです。というのは、私、千葉県で中核地域生活支援センターという制度をつくって、評価委員会の委員長を十何年やっているのですけれども、最初、この中核センターというのはあらゆる相談事を365日24時間受けて解決するというすごく難しい事業で、これは国の生活困窮者自立支援法の一つのモデルになったとも言われているのですが、最初にやはり何件訪問したかとか何件電話相談を受けたかとかという数字だけの定量評価をやっていたのです。これは全然分からないのです。明らかにこの人数でこんな件数をやれているわけじゃないのにというものが出てきてしまって、あなたたちはどんなやり方をしているのだ、どんなカウントをしているのだと言ってもやはり分からないのです。
 ある年から、定量評価の数字を出してもらうのは、それはそれで結構だけれども、今年1年間で本当に自分たちが頑張ってこれは仕事をしたぞというものを、3つ例を挙げてレポートしてくれ、説明してくれと言ったのです。そうしたら、どんなふうに相談を受けて、アセスメントをして、調査に入って解決していったのかということが、それぞれがレポートを出してくれて発表してくれると、どのぐらいの本気度でどのぐらい難しい問題を工夫しながらやっているかということがこちらも分かってくるのです。なので、こういう定性的なレポートの評価も私は必要だなと思っています。
 大事なのは、ただレポートを書けばそれでオーケーとしてしまうのでは何のためにやっているのか分からないので、誰がどうチェックするかというところが一つのみそかなと思っているのです。これは企業だけではどうなのかな。ちょっと大変かもしれないけれども、公的なところが内容についても本当にちゃんとしたレポートなのかということを見る必要があるのかもしれないなということを担保した上で、この支援レポートというのは、私は賛成したいと思います。
 以上です。
○石井障害福祉課長補佐 野澤アドバイザー、ありがとうございます。
 就労定着支援事業を超えて、就労定着支援とはどうあるべきかというようなところで御意見を頂戴したと受け止めているところでございます。
 おっしゃるとおり、就労定着支援事業だけでは解決できない部分もございますので、先ほどと同じように、雇用と福祉の連携のテーマの中でその対応、どのような形の役割分担、もしくは連携できるのかというところは引き続き検討を重ねさせていただきたいと思います。
 支援レポートにつきましても、どのような形が一番いわゆる現場、もしくは御本人、企業にとっていいかという形は引き続き検討を重ねさせていただきたいと思います。
○竹内障害福祉課長 続きまして、井出アドバイザー、お願いします。
○井出アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 今、お二人の先生方がお話しされたことはもっともだと思っていて、まずは今、全体像をお見せいただいて、私はこれで基本的にはよろしいのではないかなと思っています。
 よろしいのではないかなという意味は、変な言い方をしますけれども、これは30年から始まって、私はそのとき、前回もいたのですけれども、私は意外と、もう改定が来て、いろいろな状況があるとはいえ、むしろ微調整でいいかなと感覚論で思っていたのですけれども、実は、今日御説明いただくと、ドラスティックに変えるかどうかは別として、意外と戦術というかいろいろなことをやろうとしていて、アイデアがちょっと多過ぎるのではないかなというぐらいに思っています。
 それはこれから取捨選択いただければといいと思っていますけれども、着実に実績を上げていることもあるし、あるいは今回の内容、方向性については、団体の方からヒアリングをして、その要望もお聞きしていると幾つか盛り込んでいるということもあるので、基本線は、私はこの方向でいいかなと。あるいは、意見を言うとすれば、今幾つか、意外と私の中では挙がっている、この中からしっかりピックアップして、今回の改定において流れていくときに実効性のあるものをきっちりイメージしていただければありがたいなと思います。
 それから、レポートについても、書き留めておく、残しておくということはすごく重要なので、私はぜひやっていただきたいのと、ただ、ほかの先生からも出ていますが、担当の方も言われましたけれども、行政の望むようなこんなことはちゃんと書いてねとか、こういうこと、ああいうことってあるので、野澤先生もおっしゃっていましたが、形式ばったものというよりは実態が把握できるようなレポートに、これは簡単ではないと思いますけれども、チェックを入れることも含めて御検討いただければと思います。
 質問というより意見だけですけれども、以上でございます。
○竹内障害福祉課長 では、橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 就労移行支援についてですが、基本報酬については報酬改定に連動して、各事業所の実績が引き上がったことからも、就労定着率を実績として評価してよいと思っています。また、就労移行は標準利用期間の2年を目安として支援に当たることも多いと思いますし、平均利用月数も15.9か月と1年を超えています。このことからも、過去2年間の実績を踏まえての就労定着率で評価したほうがよいと思います。
 支援の質の向上については、就労移行支援には高いアセスメント力が必要であり、そのためにも事業所内や法人内でとどまらずに、広く他機関と関わり、本人を含めた他機関とのケース会議や自立支援協議会の就労部会などを活用したアセスメントの向上や、ノウハウの共有の取組が必要になってきます。そのような取組を評価できるとよいと思います。
 また、就労支援員の常勤換算による配置を可能とすることで、就労系の多機能事業所では広い視点で利用者をアセスメントすることができ、1か所にとどまらせることなく、次の支援につなげることがスムーズにできるようになるかと思います。ただ、取り組みやすくなる反面、先ほどの御説明にもありましたが、支援の質の担保を図る仕組みもつくっていただきたいと思います。
 一般就労の範囲については、一般就労をした方の中には非正規で短時間勤務の方も多く、私の娘も特別支援学校を卒業してから障害者枠で就労して4年目になりますが、週18時間の勤務で週20時間を超えてはいませんが、仕事を継続できることで収入と社会的役割を持ち、自信をつけながら生活をすることができています。それぞれその人に合った働き方があり、一般就労の枠組みをあまり厳しくすることはかえって就労に結びつきにくくなり、福祉サービスに流れてしまう方もいるのではないかなと思うので、今までどおり雇用契約の有無をもって判断してよいかと思います。
 そして、就労定着支援についてですが、実績に応じた報酬体系でよいと思いますが、障害者の就労定着率が課題である中で、ほとんどの方が8割以上の定着率であるという高い実績は、反面、定着が難しい方にサービスが行き渡っているのか心配なところでもあり、本当に支援が必要な方がサービスを使えるような仕組みが必要なのではないかと思います。データにある月5回以上の支援が求められている方が手厚い支援が必要な方だと思いますが、この方々がどのような方なのかが分かり、当てはまる基準があればよいのですが、例えば高い支援ニーズに挙げられている体調・健康状態への手厚い支援を行う必要がある精神障害者に対する支援を評価してもよいのではないかと思いました。私の勤める法人の事業所でも、精神障害者のピアスタッフが定着支援を利用しながら勤務して、今年で3年目になりますが、職場以外に定期的に相談する場があることが継続できている理由の一つだと思います。
 また、7段階の報酬区分については、下位2区分の事業所がほとんどいないのであれば、3割未満からのスタートで、3割以上4割未満と1割ずつの区分にして7段階にしてもよいのではないかと思います。
 また、就労移行支援事業所等の運営基準に規定することと支援レポートについては賛成です。支援レポートは、本人と受入先の企業と共有することで、定着支援が終了した後の企業側の支援マニュアルになるものであればと思います。関係機関とのケース会議については、企業が本人をどのように支援ながら雇用していくかを学び、支援者との顔つなぎの場となるためにも、本人と企業は当然ながら、ほかに障害者就業・生活支援センターや医療、相談支援事業所など、他の関係機関を含めたケース会議としていただければと思います。
 企業連携等調整特別加算については、関係機関との連携と内容がかぶるものであれば、見直しの検討をしてもよいかと思います。
 以上です。
○竹内障害福祉課長 続いて、佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。
 井出先生もおっしゃいましたけれども、いろいろな新しい御提案があって、この御提案は現段階でおおむね方針としては結構なものではないかなと思いますが、現実に載せるところではもう少し工夫なりしなければいけないなと思われるところが残っていると感じました。
 1つは、職場定着ですか。就労移行の後の6か月のところを運用してもらおうというところですけれども、あそこはマニュアルに書き込んでというだけだとなかなか難しいのではないかなと思うのですが、それを実際に実行していただくための工夫ですね。38ページだったかな。ただでさえも定着支援が煩雑だ、みたいなヒアリング結果もございましたので、煩雑にならない程度に、かつ移行から定着の間の6か月をどうするかということはぜひ工夫していただければと思います。
 それから、支援レポートのところは、やはり関係機関と連携したとかということも書き込みながら作っていただけるようにするとよいのではないかと思いました。ただ、事業所の皆さんは現場で既に忙しくていらっしゃって、新しいレポートの様式などを作る暇は絶対にないと思うので、障害福祉のほうで原案みたいなものはフォーマットを作っていただいて、しかも、それが変更できる余裕のある、例えば自由記述欄がいっぱいあるなど、何かそういう工夫をしていただいて、原案ですけれども変えて使っていただいていいですよ、みたいなものも出してあげて、また仕事は増えますけれども、ぜひこれは書き込んでほしいという項目は網羅したようなものを作成していただくと、実のあるレポートになるのではないかと思いました。
 最初に田村先生と野澤先生がおっしゃった、正規雇用になかなかならないねというところですけれども、結局、今、正規と非正規というのは、日本の場合は実質のところ、時間ではなくて雇用契約に期限があるかないかだけだと思うのです。それで、短時間でも繰り返し更新は可能です、あるいは、上限は初め3年だとしても更新したら次は、5年は継続とかという形で、雇用期間みたいなものを延ばしていくような、短時間正社員みたいな働き方が日本の企業に広がればいいと思うのです。常に1年契約で来年仕事があるかどうか分からないということが非正規であることの問題なので、複数年契約みたいな雇用契約が結べるようになったらば、それを評価してさしあげられるといいなと考えております。
 以上です。
○竹内障害福祉課長 小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。
 それでは、私のほうからは就労移行支援と就労定着支援についてそれぞれ意見を述べさせていただきます。
 最初に就労移行支援についてでございますが、17ページ、18ページの論点2「支援の質の向上について」でございます。支援の質の向上においては、就労移行支援事業所のノウハウを共有するには就労移行と就労定着を切れ目なく行っていくことが重要となります。
 資料にありますとおり、就労定着支援事業所のうち、約9割が就労移行支援事業所を併設しているといった現状があること、また、地方によってはずっといなければならない、常勤1人では厳しいといった声もあるかと思いますので、18ページの検討の方向性の2つ目の○にも記載がございますが、常勤要件の緩和を検討する。具体的に申し上げますと、例えば職員の兼務、両事業所で常勤2名とするなどを柔軟に認めること。あるいは、利用者について、両施設の併用等、例えば定着の利用者が週1で移行を利用するなどを柔軟に認めていくなどを考えてみてはどうかと思います。また、将来的には就労移行と就労定着を一体化することも視野に入れるといった方法もあるのではないかと思います。
 続いて、就労定着支援についてでございます。37、38ページの論点1についてでございます。基本報酬等についてでございますが、就労移行支援事業所から就労定着支援事業所にうまく引継ぎがいくよう、就労支援のノウハウを共有して一体的な運用を図るための一つの方法といたしましては、例えば就労移行と併設している就労定着支援事業所に対する加算を新設するといった方法もあるのではないかと思います。
 また、44、45ページの論点2「支給要件等について」でございます。関係機関とのケース会議等の実施に関する評価についてここでは記載されてございますが、関係機関とのケース会議についてはそもそも必要不可欠な部分であると考えられるため、これについても報酬請求の必要要件にした上で、加算ではなく報酬の増額を検討してもいいのではないかと思います。
 私からは以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議事に移らせていただきます。
 資料2につきまして、事務局から説明いたします。
○石井障害福祉課長補佐 引き続き、障害福祉課就労担当の石井でございます。
 資料2「就労継続支援にかかる報酬・基準について」の御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目でございます。
 就労継続支援につきましてはA型、B型とあるところでございますが、まずA型でございます。雇用契約を結びながら、その中で働きながら訓練をして一般就労等を目指していただくといった支援でございます。こちらにつきましても、他の就労支援サービスと同じように、実績に応じたメリハリというところを平成30年4月に導入させていただいております。2ページ目左下にありますように、1日の平均労働時間で7段階のメリハリとさせていただいているところでございます。
 現状、A型につきましては、働いてどれぐらいの賃金を就労継続支援A型で払われているのかというところが7ページ目でございます。就労継続支援A型における平均賃金月額の推移でございますが、直近、一番新しい数字で平成30年の数字でございます。全国平均で月額7万6887円が就労継続支援A型でお勤めになっている、利用されている障害のある方にお支払いしている賃金となっております。
 8ページ目以降に、就労継続支援A型につきまして関係団体ヒアリングにおける主な意見を記載しているところでございます。
 こういったものを踏まえまして、9ページ目以降でございます。就労継続支援A型につきましては、論点を3つ挙げさせていただいております。
 論点1「基本報酬について」。こちらにつきましては、先ほどの移行・定着と同じでございます。メリハリのあるものがいいかどうかといったことでございます。
 論点2「一般就労への移行の促進について」。
 論点3「最低賃金減額特例等について」。こちらについては、前回30年の報酬改定で引き続き検討とされていた事項でございます。
 では、具体的な中身でございます。10ページ目以降でございます。
 論点1「基本報酬について」でございます。
 現状・課題の1マル目でございます。先ほど申し上げましたとおり、平成30年の報酬改定でA型については1日の平均労働時間に応じたメリハリというところでございます。
 2マル目で、そのメリハリ、基本報酬の算定状況はどうかというところが資料の13ページ目にありますので、後ほど御確認ください。
 3マル目でございます。1日の平均労働時間でメリハリをつけているところでございますが、一方で、例えば精神障害のある方にとっては、なかなか労働時間で見るのはなじまないのではないか、短時間での就労ニーズに対応できていないのではないかといった御意見もあるところでございます。
 4マル目でございます。一方で、A型事業所につきましては、先ほどそこで働いている方の平均賃金を御紹介させていただきましたが、障害のある方が雇用関係で働いておりますので、ちゃんとA型においていわゆる生産活動をしていただいて、稼いで、その収益の中で障害のある方に賃金をお支払いしなければいけない。そういった意味で、生産活動の経営状況も非常に重要になっているところでございます。
 一方で、4マル目にありますとおり、現状のA型事業所につきましては、全体の約7割が障害のある方に生産活動の収益の中で最低賃金での賃金をお支払いにできる状態にない、経営改善計画の提出が必要であるといった状態にあるところでございます。また、4マル目後段でございますが、報酬区分で上位2区分、報酬上は高く評価されている事業所であっても経営改善が必要である事業所も一方でいるというのがA型の現状でございます。
 また、5マル目でございます。雇用施策の動向としましても、令和2年4月に施行された改正障害者雇用促進法の中においては、後段に書いておりますけれども、「もにす認定企業」という新しい制度ができているところでございます。中小企業の中でも障害のある方に活躍の場を提供して、意欲的な取組をしている企業があるだろう、そういった優良企業を認定している制度が雇用施策の中であるよといった動向について御紹介させていただいているところでございます。
 これらを踏まえながら、11ページ目、上の部分でございます。
 論点としましては、先ほどの就労移行・就労定着と同じでございます。引き続き実績に応じたメリハリのある報酬体系にしていくかどうか、何らかの現行の取扱いを見直す必要がないかどうかの2点を挙げさせていただいております。
 これらにつきまして、検討の方向性の1マル目でございます。この段階において就労系のサービスにつきましては、やはり実績に応じた報酬体系でやるべきではないかというところが1マル目。
 その上で、2マル目でございます。1日の平均労働時間というのは、やはり長く働いているということはその分長く支援しているということでございますので、長く支援している事業所のほうが、報酬が高くなる。そういった意味での一定の合理性はあるものの、真ん中に書いておりますけれども、短時間から働きたいよという障害のある方のニーズ等がなかなか反映できないのではないかということで、下線に書かせていただいていますとおり、十分に反映することが難しい側面もあることから、一部見直してはどうかと考えているところでございます。
 3マル目で、例えば具体的にこんなものがあるのではないかということに書かせていただいておりますが、下線でございます。現状の「1日の平均労働時間」に加えて、例えば「経営改善計画の有無」等について、複数の指標をもってしてA型事業所の評価をしてみてはどうか。複数の指標を検討するに当たっては、例えば質の高い支援を行っている事業所の取組とか、さきに御紹介した「もにす企業」の取組といったものを参考にしながら指標を検討してみてはどうかという御提案を考えているところでございます。
 具体的なイメージは資料の18ページに書かれておりますので、そちらのほう、後ほど御覧になっていただければなと思うところでございます。
 また、4マル目でございます。複数の項目で評価した内容につきましては、全てホームページ等を通じて利用者等に見える形で公表してみてはどうか、それを義務づけてみてはどうかということを書かせていただいているところでございます。
 これが論点の1つ目でございます。
 続きまして、論点2「一般就労への移行の促進について」でございます。
 22ページ目でございます。
 資料1で御紹介させていただきました就労移行支援事業につきましては、専ら一般就労への移行を目指しているものでございますが、今御紹介しております就労継続支援事業所につきましても、一般就労できる方、一般就労を目指せる方につきましては、一般就労への移行を進めていただきたいということで、現状・課題の1マル目でございます。30年の報酬改定におきましても、一般就労への移行を進めた就労継続支援事業所の評価は少し見直し、拡充をさせていただいているところでございます。
 また、2マル目でございます。令和3年4月から適用になる第6期障害福祉計画に係る基本方針につきましても、就労継続支援事業所においても一般就労の移行者数というものの数値目標の目安を掲げてみてはどうかという形でお示しさせていただいているところでございます。こういったところも踏まえまして、就労継続支援事業所から何らかの形で一般就労をさらに進めてみてはどうかと。そのようなところが現状・課題でございます。
 4マル目に書かせていただいておりますが、さきの30年報酬改定において就労移行支援につきましては、就労移行支援がさらに進むという観点から、作業療法士を事業所に配置した場合においては一定の評価をさせていただいているということをこちらのほうで御紹介させていただきます。
 これらを踏まえて、論点につきましては、就労継続支援における一般就労に向けた支援としてどのようなことが考えられるかでございます。
 23ページでございます。
 検討の方向性の1マル目でございます。就労継続支援についてもやはり本人の能力等に応じて一般就労の移行を実現していくということは重要だという観点から、引き続き報酬加算によって実績を評価してみてはどうか。後段、さらにその評価を拡充、さらなる評価も検討してみてはどうかというところを検討の方向性で掲げさせていただいております。
 2マル目でございます。一般就労に直ちに移行させることがなかなか難しくても、次のステップということで就労移行支援につなげた場合についても一定程度評価を検討してみてはどうかということを提案させていただいております。
 3マル目でございます。30年報酬改定において、就労移行支援においては作業療法士の評価をしているところでございますので、就労継続支援事業所においても一般就労を進めていく観点から、作業療法士を配置した場合については一定の評価をしてみてはどうかと。そのようなものを検討の方向性として掲げさせていただいております。
 最後に4マル目、再掲でございます。先ほど就労移行支援のときに御紹介させていただきましたとおり、就労移行支援の移行支援員のノウハウを就労継続支援事業所でも利活用できないかといった観点から、再掲ということで載せさせていただいております。
 これが論点2でございます。
 続きまして、論点3「最低賃金減額特例等について」でございます。
 28ページ目を御覧ください。
 現状・課題の1マル目でございます。平成30年の報酬改定につきまして、A型事業所につきましては、最低賃金の減額特例についてその状況等を見てくださいと。その実態を把握した上で対応を検討してくださいということと、送迎加算についても実態を把握した上で在り方を検討してくださいという形で御意見を頂戴しているところでございます。
 これにつきまして、実際に調査をしたところ、2マル目でございます。A型事業所における最低賃金減額特例の適用状況等につきましてはそちらに書かれているとおりでございます。ほとんど適用していない事業所が多数を占めている状況でございます。
 3マル目が送迎加算の状況でございます。A型における送迎加算の実態はどのようになっているかというところでございますが、1ポツ目にありますとおり、大体42%、4割ぐらいの事業所がいわゆる送迎加算というものを算定している。2ポツ目にありますとおり、どのようなときに送迎をしているかと言われると、公共交通機関が不便な場合、もしくは自ら通所が困難な場合等について送迎をしているというのが多数を占めている状況でございました。
 これらの調査結果等を踏まえまして、29ページ目でございます。
 A型における最低賃金減額特例及び送迎加算についてどのように考えるかというものを論点に挙げさせていただいております。
 検討の方向性、1マル目でございます。最低賃金減額特例に係りましては、先ほど少し御紹介させていただきましたとおり、ほとんどの事業所が最低賃金減額特例の適用者がいないという状況でございます。このような状況に鑑みますと、今回の報酬改定において、あえて減額特例の有無等で何らかの評価等をするのはまだまだやらなくてもいいのではないか、特段対応しなくてもいいのではないかというところを検討の方向性で示させていただいているところでございます。
 また、送迎加算につきましては、実態把握をしたところ、公共交通機関がない地域での利用、もしくは重度障害があるなどの障害特性などを理由に、やむを得ない事情で送迎加算を用いながら送迎をされている事業所が多数であるといったことを踏まえますと、やはりA型における送迎加算につきましても、下線を引かせていただいておりますとおり、引き続き継続することを検討してみてはどうかという形で検討の方向性を示させていただいているところでございます。
 一方、「その上で」ということで後段に書かせていただいておりますが、就労継続支援A型につきましては、利用者と雇用契約を締結しているということ、もしくは一般就労に向けた訓練をしていただいているといったこともございますので、下線を引かせていただいておりますとおり、ただ単に何でもかんでも送迎をするというものではなくて、事業所へはやはり利用者自ら通うこと、通える方は自ら通っていただくよということが基本である旨を改めて周知徹底を図ってみてはどうかというところを検討の方向性で示させていただいているところでございます。
 続きまして、就労継続支援B型でございます。
 33ページ目をお開きください。
 就労継続支援B型につきましては、雇用契約がない形で、事業所でお働きになっていただき、訓練等をしながら一般就労を目指していただくといったサービスでございます。
 33ページ左下でございます。こちらにつきましても、平成30年4月の報酬改定におきまして、平均工賃月額で7段階のメリハリをつけた報酬体系にしているところでございます。
 では、現状、平均工賃月額はどのような形で全国平均を推移しているかという数字が38ページ目でございます。38ページ目に全国平均の平均工賃月額を示しているところでございますが、現状、平成30年の平均工賃月額が1万6118円でございます。年々右肩上がりで増加しているという状況でございます。
 また、39ページ目以降にさきの関係団体ヒアリングにおける主な意見を記載させていただいております。
 これらを踏まえまして、41ページ目以降でございます。
 就労継続支援B型に係る論点として、こちらも3つ掲げさせていただいております。
 論点1「基本報酬について」。
 論点2「多様な就労支援ニーズへの対応について」。
 論点3「一般就労への移行の促進について」でございます。
 では、具体的に論点の1つ目でございます。42ページ目をお開きください。
 現状・課題の1マル目でございます。B型の基本報酬につきましては、平成27年社会保障審議会等の報告書において示していただいていますとおり、実績に応じたメリハリのある報酬体系としており、さきに御紹介したとおり、それを平均工賃月額でさせていただいているところでございます。実際に平均工賃月額での基本報酬の算定状況はどのような状況になっているかというところは、46ページ目にその図をつけておりますので、後ほど御確認ください。
 3マル目でございます。これらを踏まえて、現状、全国のB型の平均工賃月額は1万6118円であるというところを御紹介させていただいております。
 4マル目でございます。一方で、平均工賃月額で実績のメリハリをつけることにつきましては、さきの関係団体ヒアリング等においても多くの意見を頂戴しているところでございまして、例えば重度障害のある方や精神障害のある方等についてはなかなかなじまないのではないかといった意見をいただいているところでございます。
 これらを踏まえながら、論点を2つ挙げさせていただいています。
 他の就労系サービスと同様に、論点としては引き続き実績に応じた報酬体系としていくことについてどう考えるか。また、何らかの見直しが必要かどうかと。そのような2つを論点として挙げさせていただいております。
 検討の方向性、43ページ目でございます。
 1マル目でございます。46ページ目で示させていただいていますとおり、一定程度各事業所の実績の底上げが図られていること等からも、引き続き実績に応じた報酬体系としてみてはどうか。また、実績としては平均工賃月額を引き続き利用してみてはどうか。それらを検討の方向性として示させていただいております。
 その上で、2マル目でございます。現行の7段階の報酬区分につきましては、下位3区分に8割の事業所が集まっているという状況でございます。こちらにつきましても、きめ細やかな実績を反映する観点から、各区分の範囲を少し見直してみてはどうかと考えているところでございます。イメージにつきましては、48ページ目に図を載せておりますので、後ほど御確認していただければと思います。
 最後のマルでございます。「一方で」のところでございます。こちらは論点2に係るところでございますので、さらっと御紹介させていただきますが、平均工賃月額で引き続き評価してみてはどうかと考える一方で、就労継続支援B型につきましては多様なニーズを受け止めているということから、多様なニーズを反映する観点から、平均工賃月額以外の別の報酬体系みたいなものも検討してみてはどうかとこちらでは書かせていただいております。こちらは論点2に係るところでございますので、引き続き論点2を説明させていただきます。
 論点2「多様な就労支援ニーズへの対応について」でございます。
 49ページをお開きください。
 現状・課題の1マル目でございます。先ほど御紹介したとおり、B型につきましては平均工賃月額の体系にしているところでございます。
 一方で、2マル目に書かせていただいておりますとおり、現在の就労継続支援B型の利用者につきましては、精神障害のある方の利用が非常に増えている、もしくは難病のある方も非常に増えているところでございます。そのほか、例えば実例としましては、若年性認知症のある方、もしくは65歳以上で新たにB型を利用される方も年々増えている状況でございます。
 つまるところ、後段に書かせていただいておりますが、B型につきましては、地域の実情に応じて障害特性なり高齢化なり、利用者の多様な就労ニーズに応えているというのが現状でございます。
 このような現状の中において、3マル目でございます。平均工賃月額だけで評価していることに係りまして、現状のB型の実態を十分に反映するのは難しい側面もあるのではないかというところ。
 そして、4マル目に書かせていただいていますとおり、実際、各現場の皆様方の声等からも、精神障害のある方等につきましては、なかなか平均工賃月額だけではなじまないのではないかといったお声も頂戴しているところでございます。
 ですので、下、論点に掲げさせていただいていますとおり、こういった多様な就労ニーズに対応しているB型において、本当に平均工賃月額という実績だけをもって評価する、それが難しい部分についてはどのように考えるかといったものを論点として提示させていただいているところでございます。
 50ページをお開きください。
 検討の方向性でございます。1マル目に掲げさせていただいているのは再掲でございます。就労継続支援B型につきましては、やはり平均工賃月額で見る部分も引き続きあるよねとさせていただいた上で、2マル目でございます。多様な就労ニーズにつきましては、引き続きそういったニーズが増えるだろうということが見込まれておりますので、後段、平均工賃月額に応じた報酬体系とは別の報酬体系なるものを検討してみてはどうかと御提案をさせていただいているところでございます。
 3マル目、「例えば」と書かせていただいておりますが、現行の平均工賃月額に応じた報酬体系のほかに、利用者の生産活動への参加をもって一律評価する報酬体系を創設するなど、いわゆる報酬体系の類型化なるものを検討してみてはどうかというようなところを書かせていただいていたところでございます。49ページ目にイメージを書いておりますので、そちらを後ほど御確認いただければと思います。
 ただ、なお書きで書かせていただいておりますが、類型化して新たに何らかの報酬体系を仮に創設した場合においても、新たに創設される報酬体系のいわゆる報酬の水準というものは、やはりB型については平均工賃月額に応じた報酬体系を一義的には一つ指標とさせていただいているところもございますので、後段に書かれておりますとおり、平均工賃月額に応じた報酬体系とバランスを取って設定する必要があるよねというところを入念に書かせていただいているところでございます。
 こちらが論点2「多様な就労支援ニーズへの対応について」でございます。
 最後に、論点3「一般就労への移行の促進について」でございます。
 56ページ目でございます。
 こちらにつきましては、実は先ほど就労継続支援A型で御紹介させていただいた内容と同じでございます。就労継続支援のA型についても一般就労を引き続きというところでございましたので、同じく就労継続支援B型につきましても、一般就労を引き続き進めてみてはどうか等を御提案させていただいているところでございます。内容は同じでございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
 就労継続支援に係る説明は以上でございます。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 御説明ありがとうございます。
 3つほど意見を述べたいと思います。
 1つは、A型のところで、短時間でも障害者の特性とか実情に応じた取組をしているところを評価しようということは、私、賛成したいと思います。前から短時間で悪いということをずっと言われてきたのですが、精神障害の方や難病の方など、短時間じゃないと働けないという方も実際にいるわけで、こういう方に特性に応じてきちんと仕事を与え、支援しているところはちゃんと評価してあげてほしいなと思うのです。
 昨今、A型はあしきAとか言われて、いろいろ問題もあり、制度自体が一番大きく揺れ動いてきたのはこのA型だと思うのですけれども、A型とは一体何なんだ、Aがある必要性はどこにあるんだという議論がずっとされていたのですが、一つはやはりこういうところかなという気はするのです。能力は高いけれども一般就労ではなかなかなじまない人がやはりいるわけで、そこを福祉のほうで全部受け止めるというよりも、Aぐらいのところでいろいろとチャレンジしてもらうということもありなのかなと思うと、これだけだとは思いませんけれども、A型が存在する理由みたいなところでこういうものを打ち出すということは、私は賛成したいなと思います。
 もう一つ、継続支援から一般就労に移行した人のケースをもっと評価しようと。これも私、賛成です。継続というのは就労移行と違って、一人利用者が一般就労すると、利用者自体には非常にいいことだし、支援者としてはすばらしいのですが、その分補助金が減ってしまうわけですよね。自分たちの事業の継続性から見ると、やはりピンチなわけです。でも、それでもあえて自分たちの利用者を一般就労にチャレンジさせてあげようと努力しているところは、私はあっぱれだと思いますし、もっともっとこういうところを評価してあげることで就労継続、志の高いところをエンカレッジするという意味で、こういうところを評価するともっといいのではないかなと思うのです。
 もう一つ言わせていただくのが、A型とB型で作業療法士の配置に報酬をつけようと。これは結果として多分よくなるとは思うのですが、あえて私はこれについて反対したいと思います。
 理由は2つあります。1つは、資格要件や人数など形式的な要件を評価するのではなくて、それによってどういう実績が上がったのが、どういう支援の中身がよくなかったのかというところを評価するのが流れだと思いますし、何でまたここでこういう資格要件のところで評価しようとするのかなというのは、理由がよく分かりません。この前の改定で移行がこういうものを持ち込んだからということですか。移行はまだ分からなくもないのですけれども、AやBはやはり違うような気がしますし、全体の流れからいうとこれはちょっと違和感があります。
 もう一つ反対する理由は何かというと、例えばB型で賃金の水準が上がってきたとはいえ、まだ1万6000円程度ですよね。これに年金を合わせたってとても自立できるような賃金水準ではないと思います。やはり賃金を上げなければいけないと思うときに、作業療法士さんを導入して、本人の支援能力を上げるというところで、果たして賃金はどのぐらい上がるのかなと私は思うのです。
 賃金が上がらない理由というのは、本人の能力ではなくて、むしろ付加価値の高い仕事を確保できない事業所側の問題だと思います。あるいは、売れる商品を開発できないとか、販路を開拓できないとかね。
 そういうことを考えたときに、必要なのは作業療法士よりもむしろ商品開発のセンスだとかノウハウだとか、あるいは販路開拓の人脈だとか、企業と売れるものを作って、付加価値の高いものを作業に持ち込んで、それで事業所全体の仕事をいいものをつくっていけるような人のほうが必要なのではないかなと思うし、そういう人をうまく導入している事業所で結構収益を上げているところもあります。あるいはそういうコンサルや企業と提携しながら、いいものを作り出して、かなりの収益を上げているところもあるのです。ということを考えたときに、インセンティブをつけていい人材を導入するということは必要だと思いますけれども、それは作業療法士よりももっとビジネスをやってきた人、そういう人脈を持っている人なのではないかなと思います。
 そういう観点から、最後の作業療法士さんへの評価というのは検討したほうがいいのではないかなと私は思います。
 以上です。
○石井障害福祉課長補佐 野澤アドバイザー、御意見ありがとうございます。
 A型の短時間労働につきましては、また内容についてはいろいろとこれから詰めていきたいと思いますので、今の御意見も踏まえながら考えていきたいと思います。
 その上で、作業療法士につきましては、明確にちょっとおかしいのではないかと。今までの説明の流れから、ここだけ違和感があるよというような御意見を頂戴したところでございます。もちろん今までの御説明の流れで、常勤換算にしましょうといった資格要件以外の御提案をいろいろさせていただいている中での作業療法士でございますので、御意見を踏まえながら少し考えたいと思います。
 ただ、一方で、先ほどの付加価値をつけられる人を評価したほうがいいのではないかというのは、実は既にA型とB型につきましては別の加算があるところでございます。そういった加算の対応状況なども見ながら、作業療法士をつけると本当にA型、B型の支援の質が上がるのかどうかといったところは、今般、数字を見ながらもう少し考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○竹内障害福祉課長 そのほかにいかがでしょうか。
 岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございます。
 先ほどの就労移行の御説明でも例えば就労実績をどう見るかといったときに、雇用契約がなされていれば日数とか時間数については問わないという方向性が示されていらっしゃったと思います。その背景には働き方の多様化ということがあって、超短時間労働というような働き方の有効性についても皆さん結構評価されていると思います。私も同様にそう思いますし、そういう時代になってきているということは分かるのですけれども、その一方で、これまでA型の事業に関しては、そこでどのぐらい働いたかということが評価の中心になっていて、逆に時間数が少ないことによって減算があるという仕組みでございましたので、今後これを少し変えていく方向性もあるのかなとお話を聞いていて思いました。就労支援にもいろいろな矛盾があると思うのです。
 ですので、新たなA型に対する指標の検討に大いに期待したいと思います。      そもそもA型とはというところに話が戻るのですが、非常に経営改善を求められている事業所が多いですね。以前、給付からお給料を出してはいけないとなって以降、かなり悪しきA型と言われたところが撤退したり、いろいろな形で少なくなってきているという状況だと思うのです。また、経営が本当に立ち行かないところはB型に転用されたりだとかという経過があったりして、A型については減ってきている。でも、経営的な実態を見ると、今でも運営が厳しいということ。これをどう考えるのだろうかということも検討していかなければいけないのだろうと思うのです。
 これは質問なのですが、経営改善が必要になってしまっている原因というのをお分かりになる範囲で御説明をいただきたいなと思います。
 私も、労働時間が短いということで、その人の自己実現を果たせたりとか、働きたいという希望がかなうという意味で、それはいいのですけれども、反面、障害のある方たちの所得保障を考えたときに、一概に労働時間が短くていいのかというと、そういうわけではない方たちもいます。A型を利用されている方で本当はもっと働きたいんだという人もいるけれども、事業者の側の事情で、残念だけれども働いてもらえるような経営状況にないということもあったりします。ですので、そこら辺をこれからどう考えていくのかということもすごく課題だなと感じています。
 あと、B型に関してなのですけれども、新たな御提案について反対するというわけではないのですけれども、もともと精神障害の方たちに関しては、生活介護やほかのサービスが障害支援区分の制限があるという事情などで利用しづらいという実態がありますよね。ですので、自立支援法あるいは総合支援法になっていくプロセスの中で、B型をやむを得ず選択された事業体も結構あるのではないかと思います。ですので、就労継続支援という枠組みの中で、表現としては多様な就労ニーズに応えるために見直しを行うとなりますけれども、実態としては、これは就労ニーズだけなのだろうかとちょっと懐疑的に考えてしまうところもございます。
 実は就労だけではないいろいろなニーズをかなえたいというのが現場の実態だったりする点もあるのかなと。この就Bに関する見直しに関してもどういう指標でこの体系について再検討していくのかということは非常に重要だと思います。
 最後に、作業療法士のことなのですが、野澤先生の意見に反対してしまうようで申し訳ないのですが、私は就労というか作業などに特化して何らかのサービスの質を評価していくことなのだとしたならば、作業療法士さんの専門性を生かしていただける場面もあるのかなということです。
 長くなってすみません。以上です。
○石井障害福祉課長補佐 岩崎アドバイザー、A型、B型にいろいろとついてありがとうございます。
 そもそもA型についても、今後A型がどうあるべきか、もしくはB型についても、他のサービスで受けられないからB型に来ている、やむを得なく受けているのではないか、そういった意味では就労支援なのかといった御意見かなと思います。それにつきましては、いわゆる報酬改定の中で十分に議論もしくは検討が重ねられない部分もございますので、そういったところにつきましては、引き続きA型、B型はどのような制度であるべきかどうかといことを考えていきたいと思います。
 その中で、御質問ということで、A型について経営改善が必要になっているところが多いけれども、どんな理由なのかなといな御質問をいただいたところでございます。これにつきまして、端的に申し上げますと、先ほど野澤アドバイザーからもありましたとおり、経営改善が必要な理由は、十分な生産活動ができていないという1点に尽きるところでございます。簡単に言いますと、稼ぐという言い方がいいかどうかは置いておいて、ちゃんと利用に賃金を払えるだけの事業ができる、そのためにいろいろな企業から仕事を取ってくる、もしくは新たな仕事をつくり出すといった、少し福祉の支援とは違った観点からのノウハウなり知識なり経験なりがA型には求められているのかなと。それがまだまだ不十分な事業所がいらっしゃるということが原因の一つかなと考えているところでございます。
○竹内障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。
 そうしましたら、私のほうから就労継続支援B型について1点だけ意見を述べさせていただきます。
 資料49、50ページの論点2「多様な就労支援ニーズへの対応について」でございます。
 B型の報酬体系につきましては、就労継続支援の本質を鑑みますと、障害者であっても働いて給料をもらうという概念は当然必要であり、やはり工賃向上とリンクさせることは必要であると考えております。その上で、報酬よりも働くことを生きがいにしている障害者も実際にいることから、生活介護の利用要件の緩和、先ほどもお話に出たように、区分の関係があって、現状の区分3以上の引下げやあるいは新たな就労継続支援、C型と言っていいのか分からないですけれども、C型、工賃収入を拠り所としない報酬体系とB型より厚い職員配置の設置を検討してみてはどうかと思います。
 評価につきましては、基本報酬に加えまして、CからB、Aに移行させた人数による加算、あるいは高齢障害者、精神障害者の受入割合に応じた加算等を検討してはどうかと思います。
 私からは以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
 橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 全体の約7割の事業所が事業収入だけでは利用者の賃金をまかなえない状況が続いている中で、高い実績を出している事業所や質の高い支援をしている事業所にさらなる評価をしていくためにも、1日の平均労働時間のみではなく、複数の評価をプラスして質の評価ができるようにすることには賛成します。
 短時間勤務についてですが、現在、私の娘は生活困窮者自立支援制度の雇用型の就労訓練事業を利用して週18時間の就労をしています。入社当初は週12時間の勤務から開始して、徐々に勤務時間を増やして働いています。短時間であれば労働可能という障害者の特性や可能性を踏まえ、継続やステップアップを目指していくような柔軟な対応ができるように、短時間勤務希望者の受入状況もスコアに反映させていただきたいところです。
 就労を継続するためには生活や健康の安定が重要なことから、福祉や医療などの関係機関との連携に対しても、例えば本人を含めた関係機関とのケア会議などもスコアに反映してよいのではないかと思います。また、透明性を持った事業運営のためにも、情報公開は必要になると思います。
 また、一般就労に向けた評価は、就労移行支援のステップアップも含めて行っていくべきだと思います。
 送迎加算についてですが、利用者が自ら通うことが基本であり、個別の判断を行うことが必要ですが、このコロナ禍において通勤時の感染リスクを減らすことからも、今回は引き続き継続することがよいのではないかと思います。
 就労継続支援B型ですが、多様な就労支援ニーズへの対応で事業所を2類型に分けるという御提案がありましたが、事業所には様々な人がいるので、どちらかの類型に事業所を振り分けることはなかなか難しいと思います。利用者のニーズとしては、就労継続支援を選ぶ方はまずは働きたいというニーズが一番で、その上で様々な生活の支援のニーズが出てくるのだと思います。働けて工賃をもらうことに喜びとプライドを持っている気持ちを支えるためにも、平均工賃月額で評価することが必要だと思います。しかし、多様な支援ニーズによる居場所としての機能が求められている方に対する評価も必要で、もし2類型にするとしたら、適宜類型の移行ができるような配慮が必要かと思います。
 質問なのですが、この2類型というのは事業所で分けるしかなくて、事業所の中の利用者で分けることはできないのでしょうか。
 また、一般就労への移行がB型では低下傾向にあることから、就労移行支援体制加算に加えてのさらなる評価としては、まずは一般就労に結びつけたことを評価する加算があると思います。また、就労支援移行支援へのステップアップも評価していくべきだと思います。
 ありがとうございます。
○石井障害福祉課長補佐 橋本アドバイザー、いろいろと御意見をありがとうございます。
 その中で1点、B型の類型化について御質問をいただいたところでございます。現状において、類型化はどのような仕組みでやっていくかと。例えば行き来ができるようになるのか、事業所単位なのか、本人単位というのが現状すぐにこういった形かなというのは思い浮かばないところでございますが、そういったものも含めて、類型化についてはもう少し今後検討させていただきたいと考えているところでございますので、いただいた御意見を踏まえながら、ここはもう少し具体化の中で皆様方の御意見を頂戴していきたいと思っているところでございます。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○竹内障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議事に移らせていただきます。
 資料3について、事務局から説明いたします。
○石井障害福祉課長補佐 引き続き、障害福祉課就労担当の石井でございます。
 資料3に基づきまして、就労系サービス(横断事項)に係る報酬・基準等について御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページでございます。
 横断事項に係る報酬・基準等についてということで、論点を3つ挙げさせていただいております。
 論点1「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた実績算出について」。
 論点2「在宅でのサービス利用の要件等について」。
 論点3「施設外就労について」でございます。
 2ページ目以降、具体的に御説明をさせていただきたいと思います。
 論点1「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた実績算出について」でございます。
 現状・課題でございます。こちら、どのような論点かと申し上げますと、就労系サービスにつきましては、今まで就労移行・定着等説明させていただきましたとおり、前年度の実績等に応じましてメリハリのある報酬体系としているところでございます。つまるところ、今までやっていた実績が来年度以降の報酬の多い少ないに影響しているといった制度設計をさせていただいているところでございます。
 2マル目でございます。今般、新型コロナウイルス感染症の影響により、いわゆる経済全般への影響も大きい中で、例えば実習が行えないとか販売機会等がなくなってしまったよということで、就労系サービスの取組にも非常に大きな影響が出ているところでございます。
 こういったところを踏まえまして、3マル目、現状でございますが、新型コロナウイルス感染症への対応としまして、現在、就労継続A型とB型につきましては、前年度の実績に応じてという部分を少し柔軟に運用しているところでございます。具体的には、令和2年度、まさに今年度の報酬算定に当たりましては、令和元年度の実績ではなくて、前々年度、平成30年度の実績に基づいても報酬区分を算定していいよという取扱いもさせていただいているところでございます。
 論点でございます。まさに今、就労継続支援A型、B型等でやらせていただいております前年度実績以外の形でやる方式について、令和3年度以降はどのように考えるかというところを論点に挙げさせていただいているところでございます。今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、令和3年度以降の報酬算定に係る実績算定をどのように考えるかどうか。
 検討の方向性でございます。1マル目でございます。就労継続支援に係りまして、就労継続支援のみならず、いわゆる就労系サービスにつきましては、やはりそこで利用する障害者、もしくは事業所の影響を今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえて最小限にしていくことが重要なのではないかというところでございます。
 ですので、下線を引かせていただいていますとおり、令和3年度の報酬算定に係る実績算定につきましては、令和元年度または令和2年度の実績を用いなくてもいいのではないかといった少し柔軟な取扱いを検討してみてはどうかと考えているところでございます。つまるところ、新型コロナウイルス感染症の影響により、少し実績が伸び悩んでいる場合においても、前々年度等の実績で報酬算定をして、事業所の継続をまず図っていただくといったことが重要ではないかということで、このような御提案をさせていただいているところでございます。
 その上で、2マル目でございます。少し先の話になりますが、令和4年度目以降につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響がどのようになっているかということが見えないこともございますので、それは改めて対応方針を検討してみてはどうかというところを示させていただいているところでございます。
 これが論点1つ目でございます。
 次に、論点2「在宅でのサービス利用の要件等について」でございます。
 7ページ目を御確認ください。
 現状・課題の1マル目でございます。現在、就労移行支援・就労継続支援につきましては、平成24年度から、通所サービスではあるものの在宅での利用を認めさせていただいているところでございます。前回の平成30年度報酬改定におきましても、在宅での利用要件の緩和等をさせていただいていたところでございます。
 2マル目でございます。現状、新型コロナウイルス感染症への対応としまして、在宅での利用に係りまして、暫定的に利用要件の緩和等をさせていただいているところでございます。具体的には資料の11ページ、12ページ目を御確認いただければなと思います。
 3マル目でございます。新型コロナウイルス感染症への対応として要件緩和等をさせていただいているところではございますが、この在宅利用に関しましてはさらなる要件緩和なり新型コロナウイルス感染症に係る対応が終わった後、もしくは平時の事態でも在宅での利用を引き続きやっていただけないかといったお声もあるところでございます。
 4マル目でございます。移行支援・継続支援についてはさきのとおりでございますが、定着支援につきましても、運営基準で月1回以上の対面での支援をしなければいけないのではないかとなっているところ、これも新型コロナウイルス感染症への対応としまして、当分の間、対面要件を現状緩和している状況にあるところでございます。
 就労移行、就労継続、就労定着、それぞれ新型コロナウイルス感染症に係り一定の要件緩和等をしているといったことを踏まえまして、論点でございます。
 1マル目、就労移行支援・就労継続支援における在宅でのサービス利用要件についてどう考えるか。また、定着支援における対面での支援についてどう考えるかというところでございます。
 8ページ目、検討の方向性でございます。
 1マル目でございます。ICT等の技術革新等がございますので、結論を申し上げますと、在宅でのサービス利用に関しましては、利用要件の緩和を引き続き検討してみてはどうかと。
 具体的には、2マル目に書かせていただいていますとおり、現在、新型コロナウイルス感染症の対応として臨時的に要件緩和をさせていただいている内容がございますので、この臨時的な内容を令和3年度以降常時の取扱いとしてみてはどうかと考えているところでございます。こちらにつきましては、在宅で雇用されたい等のニーズも増えているところでございますので、そういった意味で、サービスの質を落とさずして在宅で提供することが可能なのであれば、そういった在宅での利用要件を緩和してみてはどうかと思っているところでございます。
 ですので、2マル目の※で書かせていただいておりますが、適切かつ効果的な支援をどのような形でやるべきか、というものにつきましては、厚生労働省のほうでガイドラインの作成等も併せて検討させていただければと考えているところでございます。
 また、定着支援につきましては3マル目でございます。定着支援の要件、対面での支援につきましても、必ずしも対面ということは想定せず、ICTの利活用も念頭に、対面要件の緩和というものを検討してみてはどうかと考えているところでございます。
 以上が論点2つ目でございます。
 最後に、論点3「施設外就労について」でございます。
 14ページをお開きください。
 施設外就労につきましては、いわゆる通所サービスであっても施設の外で何らかの御活動をした場合においても基本報酬の算定としますよといった取扱いでございます。
 現状・課題の1マル目に書かせていただいておりますが、現在、就労継続支援・就労移行支援において施設外就労を認めておりまして、制度ができた翌年の平成19年4月から施設外の活動に関しても基本報酬の対象としますという取扱いをし、また、平成21年度からはその取扱いについて加算を設けているところでございます。当該加算につきましては、※で書かせていただいておりますが、例えばA型については約6割強の事業所がそういった加算を取得してございます。また、当該加算に係りましては、年額大体120億を支出しているところでございますので、資料16ページ等、後ほど御確認いただければと思います。
 現状・課題の2マル目でございます。例えばA型で約6割超施設外就労の加算等をしている一方で、施設外就労をやっているからといって労働時間が延びているかというと、必ずしもそういったものになっていない。もしくは平均賃金が上がっているかというと、必ずしもそういった状態にはなっていないというデータがあるところでございます。一方で、就労継続支援B型については、施設外就労を実施している場合だと工賃向上が見込まれるといったデータもあるところでございます。
 また、現状・課題の3マル目でございます。施設外就労につきましては、少しやりづらさがあるという声も聞こえているところが現状でございます。
 そういったものを踏まえまして、論点の1マル目でございます。就労系サービスにおいて、施設外就労がどうあるべきか、というところで、現在、就労系サービスにつきましては、実績に応じたメリハリのある報酬体系とさせていただいているところでございます。そういった中において、施設外就労というやり方、手段、方法につきまして、実績への効果を踏まえてそれを推進していくよというのが必要だということと、一方で、それを報酬、つまり加算として引き続き評価すべきかどうかといったところを少し分けて考えていくべきではないかというところで論点提示させていただいているところでございます。
 検討の方向性としては、1マル目でございます。施設外就労につきましては、サービス創設当初から工賃等の向上もしくは一般就労への移行に一定程度有効であろうというところでその取組を推進していったところでございますので、下線に書かせていただいておりますとおり、それを引き続き推進することは重要であろうと。また、例えば職員の配置要件の緩和など、実施に係り少しやりづらさを感じている部分があれば、サービスの質を担保した上で要件緩和等も検討してみてはどうかというところを提案させていただいております。
 一方で、2マル目でございます。その上で、現状、施設外就労につけている加算につきましては、就労継続・就労移行支援につきましては既に基本報酬において平均工賃や賃金が上がれば当然一定程度の評価がされる、一般就労が進めばその評価をされるという実績に応じた報酬体系としているところもございますので、あえて施設外就労という取組に対して加算することについては、既に基本報酬において一般就労への促進等は評価していることとの関係において、必要性を踏まえて廃止を含めて見直しを検討してみてはどうかという形で御提案をさせていただいているところでございます。
 以上、論点1から論点3、横断事項に関しての説明は以上でございます。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につき、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 時間がないところで、私、5時きっかりに出なければいけないので発言させていただきます。
 最後の施設外就労のところだけです。私はこの「廃止を含めて」という文言がやっている側にとってすごくマイナスのメッセージになってしまうのではないかなということは恐れます。
 A型で賃金、時間の向上に結びついていないという御指摘はあるかもしれませんけれども、労働とか障害のある方の活動が必須というところを見ると、やはり施設の中だけでの就労や活動よりも、社会に出て、施設外で社会との接点がある中で働く。そういう働いているところを見てもらう、本人たちにも味わってもらうということはとても大事なことだと思っているのです。ここをもっともっと進めていってほしいし、要件の緩和は当然だと思いますけれども、加算もなくしてしまうよとなると相当なマイナスになってしまうのではないかなと思います。
 先ほどもお話が出ましたけれども、C型就労というものを提案している事業所もヒアリングであったと思うのです。これは地域共生社会という考え方にもすごく結びついていて、必ずしも賃金や雇用の形態などに限らずに、障害がある方も社会に参加し、社会に役立つ出番、役割があるというところを進めていくという面ではとても大事な考え方だと思うのです。施設外就労というのはそういう側面を持った一つの形態だと思いますので、ここは守っていきたいなと個人的には思いますけれども、どうでしょうか。いろいろな考え方はあると思いますし、筋を通すとなくして本体で見ていくというのも否定するつもりは、私は全くないのですけれども、現実的にそういう流れを阻害してしまうかなということを恐れます。
 私、ここで退出させていただきますので、言いっぱなしになりますけれども、すみません。ありがとうございます。
○石井障害福祉課長補佐 野澤アドバイザー、ありがとうございます。
 いろいろ御意見があると思いますので、ここは慎重に検討させていただきたいと思います。
○竹内障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 今の議題の論点の最初のコロナの影響で、報酬体系に使う実績は令和2年度は、使わないということは方針として妥当だと思います。ですが、1~3月が入りますから令和元年、2年の実績が残らないということはやはり問題だと思うので、コロナでどのくらい影響があったかということを後々評価するためにも、数字は出してもらったほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○石井障害福祉課長補佐 佐藤アドバイザー、非常にありがとうございます。
 我々の何らかの形でコロナの影響がどれだけ本当にあるのかどうか、今般、緊急的に資料のほうにもつけておりますが、そういった調査もさせていただいております。こういったやり方ではなくて、すべての事業所に御協力いただきながらということも、どこまでできるかということがございますが、考えていきたいと思います。
○佐藤アドバイザー よろしくお願いいたします。御検討ください。
○竹内障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 新型コロナウイルスという災禍に見舞われた状況で、半数の事業所が今後の回復の見通しも全く立たないと言っている中では、まずは事業所の存続が先決であると思います。そのため、御提案の柔軟な取扱いをすることに賛成します。
 在宅ワークについては、コロナを経てテレワークの就労形態の効率のよさが認められていることからも、移行就労でもうまく取り入れていくことで、ひきこもりの方や様々な障害特性で通所が難しかった方への就労機会にもつながると思います。そのためにも、利用要件の緩和や常時の取扱いとしていくことは、時代の流れに沿っていると思います。ただ、対面での支援が減ることによる質の担保はしっかりと図っていただきたいと思います。
 施設外就労についての職員の配置要件に関しては、実情と合うように緩和することで無理な人員配置の必要がなくなり、人件費のコストも抑えられるのではないかと思います。
 気になる点は、団体ヒアリングで施設外就労がよくないA型の温床にもなる可能性が高いので、適正な運用をされているか調査、確認をしてほしいとの御意見がありました。このような調査、確認をした上で検討していくということでもよいのかと思います。とにかく、そのために施設外就労の機会が失われることがないように御配慮をいただきたいと思います。
 以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、予定した時間を少し超過してございますけれども、最後に、全体を通しまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、本日予定している議事は以上で終了となります。
 次回の検討チームは10月5日月曜日15時より、本日と同様のオンライン会議にて開催予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会いたします。
 お忙しいところ、ありがとうございました。