第2回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)

 

1.日時 令和2年6月12日(金) 09:57~11:53
 
2.場所 日比谷国際ビルコンファレンススクエア8Dルーム
     (東京都千代田区内幸町2丁目2-3日比谷国際ビル8階)

 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
○筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
○東京海洋大学大学院海洋工学系流通情報工学部門教授 寺田一薫
○法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授 藤村博之
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授 両角道代

(労働者代表委員)
○日本私鉄労働組合総連合会交通政策局長 池之谷潤
○全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
○全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
○日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
○全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
○全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
  
(使用者代表委員)
○公益社団法人日本バス協会労務委員会委員長 齋藤隆
○一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会労務副委員長 清水始
○一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会副会長兼労務委員長 武居利春
○公益社団法人全日本トラック協会物流政策委員会委員 浜島和利
○公益社団法人日本バス協会労務委員会副委員長 槇田浩昭
○公益社団法人全日本トラック協会副会長 馬渡雅敏
 
4.議題
(1)自動車運転者の労働時間等に係る実態調査検討会報告書等について
(2)自動車運転者労働時間等の実態調査の方向性について
(3)その他
 
5.議 事
○監督課長補佐 おはようございます。定刻より少し早いですが、皆様おそろいですので、ただいまから第2回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただき誠にありがとうございます。本専門委員会の議事進行についてですが、冒頭の資料説明までは事務局におきまして進めさせていただきます。私は労働基準局監督課の小笠原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、感染症予防のため、各委員の席の間隔を空け、マスク着用で開催させていただきますので、御協力よろしくお願い申し上げます。なお、入口にマスクと消毒液を設置させていただいております。適宜御利用いただければと思います。
 次に、当専門委員会の委員と本日の出席状況についてです。お手元の委員名簿と座席表により御紹介に代えさせていただきます。本日は、公益代表の首藤委員が御欠席ですので、17名の委員が御出席です。労働者代表、使用者代表、公益代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。なお、国土交通省自動車局安全政策課の石田課長におかれましては、第1回専門委員会より引き続きオブザーバーとして御出席いただいております。
 続きまして、お配りした資料の確認をいたします。右上に資料番号を付しております。資料1は実態調査検討会の報告書です。通しで35ページの冊子になっております。資料2は類似調査報告書です。薄いブルーの冊子で、本の形式になっています。資料3は、実態調査の実施方法と調査項目について(案)という表題で、9ページにわたる資料です。資料4は今後のスケジュール(案)で、これは1枚の資料です。このほかに参考資料がございます。参考資料1として第1回専門委員会の資料で添付しておりました専門委員会の今後の進め方の案、参考資料2として実態調査検討会事業の概要が記載されている1枚の資料でございます。資料は以上です。不足のある場合は、事務局までお申し付けいただければと思います。詳細につきましては、後ほど事務局から改めて説明をさせていただきます。
 それでは、これ以降の進行につきましては、第1回専門委員会に引き続き藤村委員長にお願いいたします。カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。それでは、委員長、よろしくお願いします。
○藤村委員長 皆さま、おはようございます。久しぶりの委員会ということで、この間に新型コロナウイルス感染症への対応で、それぞれ多忙な日々を送ってこられたと思います。今日は、お手元の議事次第にあるように、2つの議題プラスその他となります。主には、今年度の実態調査をどのように行うかという議論が中心になるかと思います。昨年の12月19日に第1回の専門委員会を開催し、その後今年の1月から3月に、業態ごとの実態調査検討会において、実態調査の方向性などについて議論をしていただいたところです。そこで、まず議題1、自動車運転者の労働時間等に係る実態調査検討会報告書等について、事務局から資料説明をしていただき、御意見、御質問をお聞きし、それが終わりましたら、議題2、自動車運転者労働時間等の実態調査の方向性について、事務局から資料説明をしてもらい、委員の皆様から意見を聞いて議論するという段取りで進めたいと思っております。
 それでは、議題1、自動車運転者の労働時間等に係る実態調査検討会報告書等についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 労働基準局監督課の黒部と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、まず資料1、自動車運転者の労働時間等に係る実態調査検討会報告書を御覧ください。35ページのものです。上から順に、ハイヤー・タクシー関係、トラック関係、バス関係と3種類あります。ただいま、藤村委員長からも御説明がありましたとおり、1月から3月にかけて各業態ごとに3回ずつ実態調査検討会を実施しており、その結果を報告書として取りまとめたものです。報告書につきましては、いずれの業態も、おおむね同じ構成で取りまとめておりますが、例えばということでハイヤー・タクシー関係を御覧ください。通し番号3ページから第1章として検討会の概要や開催日程、委員の一覧があります。次に2章として、実態調査に向けた議論の論点や論点に対応した委員の皆様の各意見が記載されております。通し番号6ページからは第3章として、これはあくまでも3月までの議論ということですが、例えば調査時期や調査期間をどうするのかや調査対象事業場、調査対象労働者をどのように選定するのか、あるいは調査項目はどのようなものを考えられるのか等の意見が記載されております。報告書の最後に、参考資料1として、詳細な調査項目、これは事業者向けと運転者向けの2種類がありますが、それに対応した委員の皆様の御意見をまとめたものが添付されている構成です。それぞれの報告書につきまして、特徴を含めて簡単に紹介いたします。
 まず、ハイヤー・タクシー関係についてです。少し戻っていただき通し番号5ページ、論点に対応した各意見についてです。一番上の拘束時間では、使用者側の方から、1か月の拘束時間を見直すのであれば1日の拘束時間の弾力性を持たせるべきではないかというような意見があります。そして、その下の休息期間では、労働者側の委員から勤務間インターバル制度の普及促進といった動向も見据えるべきではないかというような意見が出されているわけです。次の通し番号6ページですが、実態調査の概要についてです。1及び2の調査時期等につきましては、繁忙期12月、通常期10月の各1か月間の実態を調査するのがいいのではないかということと、4の調査対象者につきましては、調査の対象事業場の全ての自動車運転者を対象として調査するという意見でまとめられております。
 続きまして、トラック関係です。通し番号の16ページからです。論点に対応した各意見では、拘束時間の部分で、労働者側からは、年間の最大拘束時間や1か月の拘束時間の見直しは絶対に必要であるとの意見、使用者側からは、1年の拘束時間は見直す一方で、1日や1か月の拘束時間を柔軟にとの意見があります。下から3つ目の運転時間・連続運転時間では、公益、労働者、使用者側のいずれの先生も、運転者の疲労蓄積の状況によっては連続運転時間を少し延ばしてもいいのではないかという意見。また、使用者側から、例えば駐車スペースの問題でやむなく連続運転を超える等の場合の柔軟な対応の検討が必要ではないかというような意見が出されております。17ページの実態調査の概要ですが、1及び2の調査時期等につきまして、繁忙期は12月、そして通常期は11月か10月というようなことの各1か月間の実態の調査ということです。そして、4の調査対象者につきましては、典型的な勤務実態が把握できるように1社当たり数名を選定するというような意見でまとめられているわけです。
 最後に、バス関係です。通し番号28ページを御覧ください。論点に対応した各意見です。この一番上の拘束時間の部分では、公益と労働者側の委員から、1日の拘束時間が15時間を超える会社について、現在の2回が妥当かどうかという意見がありました。そして、使用者側からは、折待時間という折返し運転で発車するまでの待機時間のこと、そして勤務解放時間、これは中間解放とも言いまして、朝や夕方に運転して昼間の時間帯を休むという形態ですが、これらにつきまして、拘束時間に含めるのかどうか明確すべきという意見が出されております。そして、その下の休息期間では、労働者側が現行の8時間の休息が十分なのか検討が必要だという意見がある一方で、使用者側からは8時間を超えると、例えばダイヤが組みづらくなるなどの課題が生じるといった意見が出されたところです。
 次のページの真ん中以下ですが、実態調査の概要です。1及び2の調査時期等につきましては、乗合と貸切の2つがありますが、乗合は10月の4週間か1か月のどちらかが取れればいいのではないかということ、貸切は地域によってシーズンとそうでない時期が違うということで、少し柔軟に考えるべきではないかというような意見があります。4の調査対象者につきましては、1社当たり数名という考え方と対象事業場の全数という両論併記というような形でまとめられております。資料1の説明は以上です。
 続きまして、資料2、薄い青の冊子です。自動車運転者の労働時間等に係る実態調査の類似調査研究事業報告書を御覧ください。こちらは、実態調査検討会を進める中におきまして、委員の先生の皆様から、例えば実態調査の調査票をこれから具体的に作り込んでいくに当たり、過去の類似調査を整理し、例えば分かっていること、分かっていないこと等を把握しておくと議論しやすいのではないかとの御意見を頂いたことを踏まえて、富士通総研においてまとめていただいたものです。数枚めくっていただき、目次を御覧ください。全体として3ページから14ページまでの前までが、過去の類似調査の概要の一覧です。これは、実態調査検討会でも添付していた資料です。ハイヤー・タクシーでは3種類の調査、トラックは5種類の調査、そしてバスも5種類の調査が、この調査の対象となっております。そして、そのまま14ページから、これらの調査の結果のそれぞれについて主要な項目ごとにまとめさせていただいております。15ページから43ページまでは、ハイヤー・タクシーの事業者向け調査と労働者向け調査をまとめたものです。そして、44ページから79ページ辺りまでがトラックの関係のもので、80ページから115ページまではバス関係のものとなっております。各項目について、何らかの調査が行われているのであれば、その調査名と調査結果が書かれており、行われていなければ調査が実施されていないというように書かれております。
 またハイヤー・タクシーの関係で恐縮ですが、25ページを御覧ください。改善基準告示の拘束時間について調査が行われております。これは過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査ということで行われているものです。飛んで29ページを御覧ください。休息期間についてですが、これは乗務員の睡眠管理に関するアンケート調査で、休息期間ではなく睡眠時間で調査されております。同じページの真ん中下辺りのアルコールチェックや点呼時間等については、いずれの調査でも調査が実施されていないとなっております。このように見ていただくというものです。そして、この全体の報告書の最後には付録があります。実際の調査票を幾つか添付しております。公開されていないものもあるため、全部ではないですが、6種類の調査票を添付しております。今後、具体的な調査票を作り込んでいく際に、字引き的に確認していただく等、参考にしていただけたらと存じます。資料2の説明は以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。今、資料1並びに資料2について御説明いただきましたが、御意見、御質問等があればお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。これを検討していた時期には、今年はオリンピック・パラリンピックが開かれるということで、それを考慮しながら検討していたわけですが、来年に延期になったということで、状況が大分変わりました。その後、各業界で需要が減ったところ、あるいは逆に増えたところもあると思いますので、その辺りは議題2でいろいろお伺いしていきたいと思います。では、議題1についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、次の議題、自動車運転者労働時間等の実態調査の方向性について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○過重労働特別対策室長 資料3、実態調査の実施方法と調査項目についての案となっていますが、御覧いただきたいと存じます。大きく1と2に分かれておりますが、1ページの1、実態調査の実施方法について、説明をさせていただきます。皆様におかれましては、業態ごとに実態調査検討会において実態調査の進め方、これは3月までですが、御議論いただいたということです。
 今、委員長からも話がありましたように、その後業態を取り巻く状況が変わっているということでお聞きしているわけですが、このため各業態で3月までに御議論いただいた内容、具体的には各実態調査検討会の報告書の内容ですが、これを踏まえさせていただきつつも皆様が一堂に会せるこの委員会において、改めて実態調査の進め方の大枠、共通的なものについて、今日御議論を頂きたいということで、事務局では案として作成をさせていただきましたので、御意見を賜れたらと存じます。それでは、説明させていただきます。
 1の(1)と(2)をまとめて説明させていただきます。繰り返しになりますが、3月以降、各業態の状況が大分異なっており、来年もこの状況が収まるのか、経済活動が元に戻っているのか、今の段階でははっきりしないというような状況です。
 そのような中で、私どもとしては、今年の段階で少なくとも昨年度の、例えばいわゆる平時の状況などをできる範囲で取っておくことが必要なのではないかということで、(1)の実態調査の実施時期については、一応本年10月から12月に実施をするということです。また、(2)の調査対象期間につきましては、昨年の実態を調べるというパターンと、今年の実態をそのまま調査するというパターンと、2つのパターンを記載させているということです。最終的にはこの辺りを、8月中旬あるいは8月下旬ぐらいになるかも分かりませんが、次回の専門委員会で確定することになろうかとは思いますが、例えばハイヤー・タクシーについては、令和元年か若しくは今年の10月と12月を調査すると。そして、トラックについては、これも昨年か今年の11月と12月を調査するということです。バスですが、乗合については昨年の10月の4週間と今年の10月の4週間。貸切については、令和元年若しくは今年の10月から12月のうちのどこか4週間、事業場が選択をしていただくということとしています。なお、各業態ごとに事情も異なるというような状況もあろうかと思いますので、(2)の調査対象時期は、業態ごとに異なっても、こちらとしてはやむを得ないのかと思っていますが、できる範囲で取るのがいいのではないかと考えています。
 次に、(3)の調査対象事業場数と自動車運転者数です。検討会の御議論においては、業態によって調査対象事業場の全運転者を調査対象としたほうがいいという意見もありますし、あるいはその一部の運転者の抽出でよいという意見など、様々でした。このため、それぞれ全運転者の1%に網を掛けるという考え方で、調査対象の事業場数と運転者数のバランスを各業態ごとに調整検討を頂くことを考えています。
 次のページの一番上の参考ですが、運転者全体の1%がどのぐらいかを記載させていただいています。全体でおおむね1万2,900人という数字が出ていますが、それぞれの業態の運転者数は表の中のとおりです。
 前のページに戻り、一番下のイです。調査対象事業場数の選定ですが、各業態それぞれの意見をお聞きしながら、例えば大規模、中規模、それから組合の有無、大都市、地方など、業態ごとの分布とかバランスを踏まえて選定することを考えています。いずれにしても、(3)、(2)、(1)、この辺りを次回の専門委員会までに確定をしたいと考えています。
 次に、2ページの(4)です。アからエまでありますが、調査方法です。調査は基本的には通信調査、つまりは調査票を郵送するという形で考えています。まず、委託業者が事業場用と運転者用の調査票を併せて送付することからスタートするわけですが、事業場においては事業者用を記入いただいて送っていただきます。そして、運転者用については、事業者から運転者に渡していただいて、運転者が直接委託業者に送っていただく方法で考えています。また、委託業者に届いた各個票、つまり調査票は委託業者にとどめる形でして、厚生労働省にはその整理後のデータを頂く形で考えています。また、調査を行うに当たっては、申し訳ないのですが、各業態の団体の皆様の御協力をお願いしたいと考えています。
 最後に(5)です。その他の調査と書いていますが、特に実態調査検討会においては、どの業態とも疲労度に関する調査をしたほうがいいのではないかということで、通信調査だけでは拾いにくいものを突っ込んで調査するために、各業態30事業場程度に協力をお願いして、例えばその中の労働時間の長い人とか、あるいは運転者としての経験が長い人などに、疲労についての自覚症状のようなものをヒアリングするという調査を行いたいと考えています。
 最後、イと書いていますが、これはヒアリング以外に更に何かあればということで、念のために書かせていただいています。疲労の状況について更に突っ込んだ、例えば医学的とか生理学的とか、そういう観点からの調査が不可欠のような状況になった場合には、また別途調査を行う場合も考えています。1については以上です。
 続いて、3ページです。2の実態調査の調査項目についてです。本専門委員会については、改善基準告示の見直しに向けた検討を行っていくということで、告示の主要な部分、大きく言いますと拘束時間、休息時間、運転時間について、現在の告示がどうなっているのかということ、また参考として、これは批准しているわけではありませんが、国際的な水準はどうなのかということ、そして今の段階での実態調査検討会などにおける各業態ごとの労働者側、使用者側の主な御意見はどうかということ、そして実態調査としてどういった内容が主要なポイントになるかというのを、改めて共通的に御認識いただくために記載しています。
 まず、3ページの拘束時間ですが、改善基準告示の概要については御覧のとおりです。その下のILO条約と勧告、これは参考として書かせてございますが、拘束時間ずばりの規定はありませんが、休息時間の規定から裏返して、事実上拘束時間の水準がどうなるのか記載をさせていただいています。
 4ページです。拘束時間に関する現在の労使の主な御意見です。ここは、先ほど御説明した実態調査検討会の報告書と少しかぶる部分がありますが、ハイヤー・タクシーについては、労働者側は勤務間インターバル、休息時間11時間を想定しての拘束時間を考えていくべきだということです。使用者側としては、年960時間、これは上限規制の関係ですが、これとの整合性を念頭に置きつつ、1日の拘束時間について弾力性を持たせていくべきとの御意見です。
 トラックについては、労使とも、1年の拘束時間の見直しを念頭に置きつつ、1か月とか1日の拘束時間について考える必要があるという御意見です。バスについては、年間とか4週間といった大枠というよりも、1日の拘束時間の回数とか拘束時間に含めるものの整理について意見がされたということです。
 また、③の実態調査の方向性については、調べるべき主要なものを記載させていただいていますが、具体的には実態調査の検討会の報告書の資料1の別添、参考資料1の横表、詳細な調査項目をベースに調査票を作り込んでいくような形になるかと思います。
 次に、5ページですが、休息期間です。告示の概要、ILO条約、勧告水準が書かれています。御覧のとおりです。6ページの労使の御意見ですが、これはハイヤー・タクシー、トラック、バス、いずれも労働者側の委員の方は、休息時間を延ばす方向で見直すことが必要だという御意見、そして使用者側では現行の水準が妥当なのではないかという御意見です。③の実態調査の方向性については、休息や休日の時間数はもとより、休息期間の中身をきちんと聞いておくことが必要であると考えています。
 次に、7ページの運転時間です。改善基準告示では、トラックとバスが該当するわけですが、告示の内容とILO条約勧告についての記載があります。なお、トラックとバスの実態調査検討会の中で、渋滞とか、あるいは休憩場所がないことによって、予期しない連続運転時間超過などの問題が発生するというような話が出ていることから、ILOの勧告にある、事故や予見されない遅延とか不可抗力などの場合の例外措置規定を、参考として記載をさせていただいています。
 8ページの労使の御意見ですが、トラックとバスについて、労使いずれも、疲労の状況によっては連続運転時間を柔軟に考えてもいいのではないかというような意見があります。そして、トラックの使用者側の御意見については、例えば駐車スペース不足などによる連続運転超過などについて、少し猶予措置があってもいいのではないかという意見が出されています。③の実態調査の方向性については、運転時間の内訳などを丁寧に聞く必要があると考えています。
 最後、(4)その他です。これは労使等の御意見というわけではありませんが、特にトラックの検討会において、荷主に対しても何らかの調査等が必要なのではないかというようなお話があったので、記載させていただいています。トラック運転手の長時間労働の解消については荷主の協力が不可欠ではありますが、これに関しては取引環境全体の改善という観点も含めて、トラック輸送に関する労使であるとか、あるいは複数の関係省庁だけでなくて、荷主団体も参加する中央協議会で議論されて、各種の取組事業が進められているというような現状です。
 一方、本専門委員会については、改善基準告示の見直しに関することを検討することとしていて、この委員会で実施する実態調査については、荷主対策にも資するというようなものよりも、告示見直しの議論にちゃんと反映できるようなデータを中心に取っていくということで、これは既にトラックの検討会でも整理をされているかと考えていますが、確認という意味で記載させていただきました。
 なお、中央協議会においては、私どもにおいても、現在、改善基準告示の改正の議論を進めているということと、その中で企業教育においても、これは発荷主だけではなく着荷主も含めて、荷主の問題についてしっかりと議論いただきたい旨を発信していきたいと考えていますし、また中央協議会の議論については、この専門委員会の皆様にも共有、反映できるように考えています。資料3は以上です。
 最後に、資料4を説明させていただきます。今後のスケジュールですが、第1回の専門委員会の際に、改善基準告示の改正公布については、令和3年12月を念頭に置いている旨を説明させていただいたところですが、そこを基準とすると、現在のところ資料4の進め方を検討しているわけです。本年度、今日が第2回の専門委員会ですが、この後実態調査を10月に行うという前提ではありますが、各業態ごとに調査票の作成とか事業場の選定の作業を進めて、8月中旬と9月中旬頃に調査票の作成状況などについて、これが1回になるかもしれませんが、専門委員会を実施して御確認を頂いた上で、10月から実態調査に入ることを予定にしているところです。その結果を、今のところ3月に開催予定の専門委員会で御説明することとしています。
 その後、来年度ですが、4月から11月ぐらいにかけて具体的な改正の議論ということで、これは専門委員会だけではなく、業態ごとの検討会も開催しながら進めていき、最終的には労働条件分科会に報告をして、令和3年12月に告示改正という運びを予定しています。私からの説明は以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。これからこの議論をしていくわけですが、いきなり皆さまから一気に各方面にわたって意見が出てまいりますと、まとめるのが難しくなりますので、ちょっと交通整理をしながら進めていきたいと思います。
 資料3、大きくは1の実施方法についてと、それから3ページ以降の2の調査項目についてとなっております。まずは、この実施方法について議論していきたいと思っております。使用者側それから労働者側、それぞれに最初一通り御意見を伺って、その後で更に議論としていきたいと思います。
 まずは、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を非常に大きく受けていると思われますバスの業界、使用者側の方から、現状それからこの実施方法についてのお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○齋藤委員 日本バス協会の齋藤でございます。突然指名されましたので何と答えていいかですけれども、コロナによるバス事業への影響は、私のほうで全国を把握しているわけではないのですが、大体の感じでお話しますと、4月と5月の乗合バスは、お客様の数が50%から60%減っているという感じでございます。緊急事態宣言が解除されて、おおよそ2週間ちょっとたつのですが、10%ぐらいそれが改善されてきているかなと、10%から20%ですかね、状況としてはそういうことでございます。
 乗合の運行状況でございますが、各社それぞれ違います。例えば私どもでは基本的にお客様の数は減っていたのですが、通常の平日ダイヤ運行をいたしました。会社によっては休日ダイヤにする、あるいは密を避けるために休日ダイヤプラスアルファにするというような会社もあったようでございます。
 次に、高速バスでございますが、大体90%ぐらい、お客さんの数、収入が減っているという状況でございます。走らせているのに利用者が減少というのと運休をしているというのが、その要因でございます。現在、ちょっとは戻りつつありますが、状況は4月5月と、そう大きく変わっていません。特に空港輸送につきましては壊滅的です。それから、テーマパークなども大阪のほうでは一部動き始めているようですけれども、これも今は休止状態でございます。
 そして、貸切でございますが、聞いているところではほとんど、いわゆるサイトシーイングでは、稼働をしていないという状況ということでございます。今後どういうふうになるか、全くもって分からないということでございます。
 したがいまして、この調査方法にも書いてありますが、前年の数値を基に調査をするのか、あるいはこれから来る10月ぐらいの調査にするのかということなのですが、いわゆる平常時という考え方を取るのであれば、前年のということにならざるを得ないのではないかなと思っております。
 ただ、これからコロナの関係もあり、運行ダイヤの見直しであるとか、そういうことを踏まえますと、前年の数値が果たして現状を表す一定水準の数字になるのかどうかというのは、ちょっと微妙なのかなと思っております。バスの現状、調査方法についてということについては、大体以上でございます。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。相当需要が減っているということですね。分かります。では次に、ハイヤー・タクシーの状況と、それから1の実施方法についての御意見をお願いしたいと思います。
○武居委員 全タクで労務委員長を仰せつかっております武居でございます。今のハイ・タクの状況と言いますと、御存知のとおり4月7日の緊急事態宣言以前の2月の後半ぐらいから非常に需要が落ち込んできまして、もちろん4月の緊急事態宣言が出てから、全国平均が、現状で6割から8割の売上減という実態が続いております。特に、インバウンドに対応している関西圏ですと、京都ですとか大阪もインバウンドのお客様が多いのですけれども、そういった所については8割、京都については9割減というような、非常に厳しい状態が続いております。
 現状として、全国でどういう対応をしているかと言いますと、我々は休業要請を受けていない産業でございまして、ある意味では感染を予防しながら動いてくださいという国の方針でございます。4月7日の緊急事態宣言が行われまして、実は需要が今も申し上げたとおり6割7割の減少、そして8割9割の減少と地域によって違うのですけれども、そういう実態の中で車を動かしても売上げが最低賃金に行かないというのが全国の状況でございます。全国的には、雇用調整助成金を利用しながら車を半分動かしたり、2割か3割動かしたりという形で、あとは休業をしながら、何とか雇用維持をしながら動いているという実態でございます。
 各地方においても新規感染者数は大分収まってきているのですが、トラックとバスとの大きな違いは、私どもには固定給という制度があまりございません。簡単に申し上げると、売上げに掛ける歩合という考え方がありますので、ある意味では、夜のお客様に戻ってきていただかないと、タクシーの生産性は全く上がってこないという現状が続いているということでございます。これがいつの段階でどのようになるかは、タクシーの場合には、多分一番最後に復活になるのだろうということで、全国では最低2年、下手をすると3年戻ってこないだろうと言われております。我々としてはそれに対応するべく、今いろいろな形で工夫して、御存じのとおりデリバリーをやったり、タクシーとしてはいろいろな形で対応しながら、何とか生産性を上げようとしているわけですが、ある意味では需給を調整しながら、仕事に出た人が何とか最賃を割らずに車庫に帰ってくるという形を取っているのが実態でございます。
 となりますと、実態調査をする時期について、これははっきり申し上げると、我々タクシー業は来年でも戻らないだろうと思います。今年は正常な時期ではないと考えておりまして、実態調査するなら、平常な時期を対象にするとすると昨年以外に方法がないというのが1つです。
 それと、今年度で終わりが決まっているものですから、これを何とか考えてくれないかというお願いをしたいということです。つまり、実態調査を年度中にやっても多分正常の実態調査になりません。では来年どうかといったときに、今年秋冬にもし第2波が来たときには、我々の産業が多分一番大きく響くでしょうから、そういう場合はタクシー業は通常の実態にならないということです。令和3年という、ある意味では終わりが詰まっている部分も、やはり少し考えていく時期が来るのではないかなということです。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。昨年度と言いますか、今年の1月から3月の検討をしていただいたのを読みますと、それぞれの事業所で全数調査が必要だという、そういう御意見だったと思うのですが。
○武居委員 先ほど言ったように1%という人数がございました。これでいきますと、例えばこの1%というと3,000人でしたか、それでは少なくて実態調査にならないというのが我々タクシー業界の本音でございます。例えば各社で10人とか20人調査しても、これはある意味では各社で調整してしまうと思います。ある意味では、この実態調査というのは、何か後で事業者が処分を受けるのではないかみたいな、そういう考えの経営者が多くいます。その辺は私はきちんと各会社にお話しようと思っていますが、やはり各事業者に実態調査の必要性を知っていただいて、実態を全て出さないと、タクシー業の実態調査にはならないですよというお話をさせていただいたということです。
 ですから人数で、例えば1%だけ、例えば30代ぐらいの10人を調査しても実態調査にはなりませんということをお話したわけです。
○藤村委員長 分かりました。ありがとうございます。では続いて、トラックの業界の現状を、馬渡さんお願いします。
○馬渡委員 全ト協の馬渡でございます。いろいろ皆さん、業界ごとに状況が違うのですけれども、我々はどのくらい減ったとか、そういうことは業種によっているのです。お客様が例えば工場を2か月間パタッと自動車業界みたいにストップしたという所に納品している会社は、本当にみんな四苦八苦して、ところがさっきおっしゃったように休業要請はないものですから、どうにかして荷物を探して動かしているというような状況です。
 何を言いたいかというと、我々の業界も、今年いろいろヒアリングをしたりとか調べても、通常の実態にはなり得ないだろうと。皆さんと若干違うのは、我々としては来年調べてほしいなと思っています。来年というのが、トラックにとってどういう年になるかというのは、こういうニューノーマルをやっていこうと、一応1年ぐらいで、これからのアフターコロナなのかウイズコロナなのか、そういう状態になった時点で本当の実態を調べていただきたいなということです。景気うんぬんで我々の実態が変わるとは思えないのですけれども、コロナでは確かに今回変わっていますので、荷主さんが倒れられた所もありますし、運送の荷種によって運送屋の状況も違いますので、例えば影響がなかった所だけ選んで調べようよとかいう話になっても、それもまた偏った話になるのかなと思うのです。
 そう考えると、令和3年の実態調査にしていただきたいなと。先ほど、スケジュールの案をおっしゃって、12月に告示改正ですよというのをスケジューリングでやられていますけれども、前からこういうスケジュールで御説明をされていましたが、コロナが来たのをあっという間に突然みんなやってきている状況なので、そのスケジュールをオンスケジュールでどうしてもやりますと言われるのには、ものすごく違和感があります。できれば、令和6年に施行しようというのに何とか間に合わせたいというお話はあっても、1年ぐらい調査が遅れて、でも実態でやはり運転手たち、我々だと8,300人と書いてありますけれども、いろいろな実態を本当に調査して、どうだというお話をするのであれば、今年ではなくて来年のデータを取っていただきたいなと思っているところであります。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。では続きまして、労働者代表の方々の御意見を伺いたいと思います。まずはバスの業界、いかがでしょうか。
○池之谷委員 私鉄総連の池之谷です。バスの状態につきまして、先ほど使用者側からありました数字については、ほぼ共通認識として持っています。今回のコロナの影響では、公共交通は止めないのだという政府の動きもございますし、その中で密にしてはいけないというところでは、一定程度の間引きをしたくても間引きができないという状態も一方であったと感じています。
 貸切の関係では、先ほどありましたが、やはり壊滅的であります。貸切のドライバーから路線バスのほうのドライバーにお手伝いを、同じ乗り貸しのある会社では、そういうこともございますから、今、要員不足ということが随分緩和されているという状態であります。
 そういうことを考えますと、やはり今、実態調査をするということはそぐわないと思います。もともと、長時間労働是正に向けてといった自動車運転者の労働時間の改善には実態として合わないのだろうなと思っていますし、この貸切の影響というのが、この先にどうなるか、1年後なのか、2年後なのか、3年後なのか、やはり復活するまでには、かなりの時間を要すると見ています。
 そうしますと、先ほど言った貸切のドライバーが路線バスのお手伝いに行くといった状態は、この先も続くのだろうと思っています。そうなってくると、やはりそこでの実態は見えてこないわけです。そして、アフターコロナと言われていますが、この生活様式が変わっていく中で、時差出勤がどんどん進んでいくということになりますと、現行の朝ラッシュ・夕ラッシュのダイヤの組み方ということ自体も、やはり変化が出てくるのだろうなと思っています。その変化が出てくると、当然でありますが、今の中間解放、中抜けということが減ってくるのではないのかなと、ただ、それは想像でしかありませんから、どうなっていくか分からない。
 そうすると、回りくどい言い方をしましたが、この調査対象につきましては、もともとの長時間労働の是正をしましょうよと、その議論をしましょうよと言っていた、昨年度の実態数字、実態の労働時間をやはり参考にしながら、どうあったのか、どのように変えていかなければいけないのかというところを議論するべきなのだろうなと思っています。
 (3)までも入っていいのでしたか。(3)は後ほどですか。
○藤村委員長 いや、今、一緒にお願いします。
○池之谷委員 (3)の調査対象の事業数などについても、ヒアリングのときにもいろいろ一定程度の数字は見させてもらったのですが、バスに関しましては、乗合・貸切・高速乗合、それぞれの業種がございますから、それを全体的に考えると、どうしても前回に見せられた数字では、とても足りないなと思っています。それぞれの業種に合わせた実態調査、また、日本の47都道府県をしっかり見たときには、もう少し事業数を増やしながら対応するべきなのだろうと。その数については、また次回ということでありましたが、前回のヒアリングで受けた感覚として申し上げたいと思います。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。では続きまして、ハイヤー・タクシーの労働者側の委員の方、どうぞ。
○松永委員 お疲れ様です。先ほど事業者側の武居委員から、ハイヤー・タクシーの状況という説明がありました。そのとおりかと思っております。国から「公共交通として走らせろ」という命の中で、必死にドライバーは頑張っているのですが、4月からの流れ以前に、先ほど言ったように2月の後半から、どんどんこの業界が厳しい状況になっているというのは言うまでもないのですが、現状も半分休車している状況で、売上げは当然まだまだ戻ってこない厳しい環境にある中で、緊急事態の状況を解除された中でも、6月に入って北海道で個人と法人の乗務員が1人ずつコロナに感染しました。ですから、本当にコロナとの感染リスクは高い職業であるというのは皆さんにも御理解いただきながら、医療従事者の方たちの苦労、そして私たち公共交通の苦労も一帯の議論をしていただいて、各都道府県でも今は感染予防に対する補助金、例えばビニールを張るとか、そういったものが少しずつ都道府県で理解していただいて出始めているのですが、やはりドライバー側から言うと、お客様を乗せている環境は大変怖いというのが実態だと、まず、その報告をさせていただきたいと思っております。
 そういった中で、この調査についてでありますが、当然今年の調査対象では、全く対応できないと思っておりますので、もし調査を実行するのであれば、昨年実績です。ただ、今それぞれから声があったように、今やるべきなのかという問題はあると思っておりますので、是非そこは専門委員会も含めて議論をさせていただかなくてはいけないのだと思うことと、先ほど武居委員から出たように、アンケートの対象数というのが私たちも全く納得いく数字ではないので、1%ではなく、是非専門委員会でしっかり議論をしたいことと、今後専門委員会がある中で、トラック・バス・タクシーがそれぞれパーセントが変わってしまっていいものかどうかというのは当然あると思っていますので、私たちは当然もっと多くの数のアンケートを取りたいということが、当初から専門委員会でも申し上げてきたので、是非この数というのは、今後も議論させていただきたいと思っております。
 前もって言った中で、専門委員会の議論になると思いますので、またそこでも申し上げておきたいと思いますが、今は何せ、とにかくこの業界が、この1、2か月この状況が続けば、本当に3分の1ぐらいの事業者が廃業するような環境にあるということは申し上げておかなくてはいけない中で、それに反して、やはり公共交通として走らせるという覚悟を持ってやっておりますので、是非そこも皆さんにはお伝えしておかなくてはいけないと思いながら、こういう調査、改善基準に対しては前向きに取り組むというのが労働組合側の考え方でありますので、今後もこの専門委員会で、いろいろな議論をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。何か補足があるかもしれないですが、いいですか。では、ありがとうございました。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。では、トラックの関係をお願いします。
○貫委員 交通労連の貫でございます。よろしくお願いいたします。トラックの現状といたしましては、馬渡委員のおっしゃられたとおりで、大体我々も8割方の稼働だと聞いてございます。ただやはり、荷主、業態、業種などによっては、通常時よりも忙しかったという声も聞いておりますし、工場の停止によって休業を余儀なくされているという組合員の仲間も中にはいるということで、耳に入っているところでございます。
 調査につきましては、我々も使用者側と同じ意見でございまして、やはり来年度調査ができないかというのが実際のところでございます。恐らく、今までどおりの輸送形態には戻らないだろうと思っておりますので、1年たてばある程度、その先の様子も見えてくるのではないかということもあって、馬渡委員のおっしゃったとおり、ウイズコロナの状態での運び方・働き方という中において、トラックの実態というものが見えてくる。今後の改善基準告示の見直しの中において、今後のドライバーに対する改善基準告示になるわけですから、ある意味、昨年の実績というもの、また、今の調査対象にならないと思われる今年の実績を使用するよりはいいのではないかなと感じます。
 昨年の実績をなぜというふうに、ほかのモードのほうは言われておりますが、我々からすると昨年の実績を取るにも、運行記録計の付いていない車両を対象としたドライバーに対して、どのような形で実態の把握をするのかと、実際にそれは把握できないのではないかなと思ってございますので、それでは生の数字にもならないだろうと思います。ですので、昨年の調査をするということであれば、運行記録計の対象車となる中型車以上しか生の数字というのは取れないと思っておりますので、そうであれば来年の調査が可能であれば来年の数字を使うことを検討することができないかというのが、我々労働側としての意見でございます。
○藤村委員長 今、お話を伺っておりますと、調査対象時期を今年とするのは、平常ではないので余り良くないと。だとすれば、昨年度の実績を取るというのが1つです。特に、バスの業界の方、ハイヤー・タクシーの方々からは、昨年度であればまあまあいいのではないかと。ただ、トラックの業界の方は、来年度のほうがいいんじゃないですかという御意見なのです。まずはどうでしょう。
○久松委員 私のほうからも意見です。今、昨年の実績を取ればいいのではないかという御意見もあり、もちろんそれもそのとおりだろうなと思うのですが、事業者向けの調査については数量的な調査が多いのです。昨年のデータを見ようと思って見ることは可能かもしれませんが、運転者向けの調査には疲労度とか感覚的な調査がありますので、去年の通常期と繁忙期を思い出せというような調査になると、非常に曖昧なものになりかねないのです。ですから、事業者向けの調査と運転者向けの調査を、必ずしも同じ時期に合わせなくてはいけないということではないのではと思いますから、その点も留意していただけたらと思います。
○藤村委員長 いろいろと難しい注文が出ておりますが、事務局からどうぞお願いします。
○国土交通省(オブザーバー) 国土交通省でございます。今、労使ともども業界の方々から、いろいろな御意見を頂きましたし、国交省もいろいろな事業報告を聞いているので、業界としてどのぐらい大変なのかというのは、今おっしゃったとおりの実感を得ております。政府としては、新型コロナに基づく基本的対処方針というのがあって、公共事業若しくは物流に関しては持続的に行っていただく業務と指定し、実際に業務に当たっていただいております。そのために、国交省としても1月の中旬以降今までに20本以上、個別のことに関していろいろなお願いを通達で出させていただいているぐらい大変な業種でございます。
 これまで議論に出てなかったので、そのことをちょっと踏まえさせていただきたいと思います。思い出していただければ、1月に一番初めに日本人で感染者が出たのがバスの運転手の方でした。そういったところから、運転手の方の健康状態を把握してくださいというお願いをかなりしております。朝行ったら検温を必ずしてくださいというように、健康状態を確認して駄目だったら絶対に乗務させないでくださいというようのに、作業がプラスになっております。また、乗務が終わった場合や乗務の途中であっても換気をしてください、若しくは車内消毒をしてくださいということで、この作業量も増えております。トラックの方に関しては、やはり積込みの最中にいろいろなクライアントの御意見もあるので、消毒作業等、防菌対策もしなければいけないということで、数々の作業がプラスになっています。こうやって様々苦労されながら事業を経営しているという実態にあります。
 やはり、今後決めていくに当たっては、ウイズコロナのニューノーマルかもしれませんが、実態に合わせた調査項目というのを考えていかなければいけないのではないかと思っております。今、お聞きしていて、過去のデータで取れる項目もあると思いますし、コロナに伴って新たに取らなければいけない項目もあろうかと思っております。バスなど、中間開放の議論をする場合については、コロナとは余り関係のない話なので、過去のデータなども使えるのかもしれませんけれども、業務の在り方などがごろっと変わっているので、コロナを踏まえた対応も必要かと思います。何をどう調査するかというのを少し深く考えないと、なかなか項目を絞れないのではないかというのは、国土交通行政でいろいろなお願いをしている立場から言うと、そういう状況です。
○藤村委員長 では、調査時期について、事務局としてはどのようにお考えかというのをお願いしたいと思います。
○過重労働特別対策室長 まず、調査時期については、先ほどの説明とかぶるわけですが、今、幾つかの業態の皆様から御意見を頂いて、来年調査をした場合に果たしてその時期のもので本当に実態がちゃんと取れるのかどうか。要は、まだ業態が戻ってない所も当然あるわけですから、今取れるべき時期に取っておくことが大事だろうということを1つ考えています。
 それから、ニューノーマルとかアフターコロナという話がありました。その中で今年1回取ってみて、どうしてもここはこれまでと状況が違うということが、もし御意見で幾つかあるのであれば、それは来年度にということで、告示の改正の議論と並行するような形になりますけれども、ユースポット的にその部分を取ってみるということも、こちらとしてはやぶさかではないと考えているわけです。仮に、完全に今年はやらないで来年調査するということになって、例えばタクシーあるいはバスについては今年調査をして、トラックについてはまた来年調査するということになりますと、どうしても告示と見直しの議論は相互に関連するものもありますので、3業体同時並行で行うのが一番望ましいかなと思っております。そうしますと、実際の告示見直しの議論は令和3年4月からではなくて、令和4年4月から開始するということになってしまうということです。
○藤村委員長 確かに、このコロナの状況が、来年どうなっているかというのは誰も分からないですよね。今年調査をやれば割と時期が近いので、去年の実態はある程度分かるだろうし、今年の状況も今年調査をして、ある程度は把握できるでしょうけれども、それが来年以降、実態と大きく駆け離れるようであれば追加で調査をするということも考えられるというのが、今の事務局のお話だったと思います。いかがでしょうか。馬渡さん、どうですか。
○馬渡委員 今、令和3年12月の告示改正には別にこだわってないと、はっきりおっしゃったと思います。令和4年でもいいというのは、そういう意味ですか。
○過重労働特別対策室長 こだわってないという意味ではなく、やはり令和3年12月に改正して、その後の十分な周知期間をということです。いろいろな調査を見ますと、皆さん告示もまだなかなか理解いただいてない部分もあろうかと思いますし、実態調査検討会の中でも、その辺の認知度が足りないのではないかということでしたので、ある程度周知期間はしっかり取るべきだろうと思います。そういう意味でも令和3年12月という形で、我々としては改正を考えたいということです。ただし、議論を進める中で、どうしてもここはもう少しというものがあれば、それは少し延びるというのはやぶさかではないのかなと思っております。
○馬渡委員 先ほども申し上げましたけれども、来年調査をしていただきたいと思っている身としては、本スケジュールで絶対ここで決め打ちしなければいけないから、前に遡ってここで絶対にやらなければいけないという話にしないでほしいと思っております。最初に言いましたように、令和6年度の4月施行で周知期間を十分にとおっしゃいますけれども、その間にいろいろな見直しの議論をしていますとか、いろいろなことの頭出しはできるのではないかと思いますので、告示が令和3年12月ありきという話でないのであるなら、可能であれば来年の調査をしていただきたいです。
 先ほどおっしゃいましたけれども、デジタコの問題、アナログタコの問題というのは、我々の業界には非常にあるのです。アナログタコの所も相当ありますので、本当に拾えと言ったら、今コロナでこんなに大変なときに何を言ってるんだという話になると、手がそろっている大手の業者しか回答しなかったという、本当に偏った形になりかねないと思っています。そういう意味でもいろいろな中小の業者だったり、地方と都会の業者だったり、荷種が違ったり、特積みと一般と違いますから、そういうものを割り振って8,300人ぐらいを想定するのであれば、やはり偏らないで回答してほしいわけです。
 そう考えると、今年調査しますと言ったら、去年の分のアナログタコをほじくり返してきて、会社が一生懸命見なければいけないという話に、本当に付き合ってくれるかというのは疑問です。ですから、ギチギチのオンスケジュールではなく、「来年も調査してもいいよ」と言っていただいているというように受け止めると、我々としてはそこの部分は来年調査をしていただいて、できれば来年11月とか12月の分を取っていただいた上で、次の年に見直しの議論の素案を、成案を持っていくということができないのかなと強く思います。
○藤村委員長 石垣さん、何かありますか。
○監督課長 いろいろな御意見を頂いてありがとうございます。まず、告示改正のスケジュールについてです。これは、私どもが昨年議論を始めさせていただいたときには、もちろんコロナの話など全くない状態のときにスケジュールを作らせていただいています。そのときの状況で、昨年の12月に皆様方にも、大体このようなスケジュールでというお話をいたしました。その後、今お話があったように、急激にコロナウイルスの対策などで業界を取り巻く状況も変わっていて、労使の方々は非常に御苦労されているということは、おっしゃるとおりあると思っています。そういう状況があっても、初めから決めたスケジュールで必ずやらなければいけないということでは決してないと思っております。
 ただ、一方で1つ我々がニュートラルな感じで申し上げたいことは、調査を全く1年後ろにずらしてしまうと、告示の議論もデータを見ないと議論できないことがありますので、当然出来上がりも遅れていくわけでして、そうなったときに、先ほど黒部室長からも申しましたように、十分な周知期間が取れなくなってくるということも1つあります。
 もう1つは、告示改正の内容によってかもしれませんし、少し先の話なので確定的なことは言えませんが、改正した後の告示を守っていただくためには、いろいろな環境整備をするのもあろうかと思うのです。その辺についても、やはり対応できる期間がかなり十分でないことになる可能性がありますので、延ばすこともできるとは思いますが、延ばした場合には、そういうことも含め、労使の方々にメリットやデメリットを御理解して御議論を頂く必要があるのではないかと思っております。
 もう1つ申し上げたいのが、確かにデータと言っても、今お話を伺っていてもいろいろなものがあると思います。労働時間に関するデータであれば、法定帳簿で3年は保存しておかなければいけないものがありますし、ものによってはもともとデータを保存しなくていいようになっているとか、取るのが大変なものもあります。疲労度などは、もちろん昨年のことを思い出して言えないものもあろうかと思います。
 それから、これから先しばらく使う最低限度の基準というか、いろいろな状況に対応するための基準だと思いますので、先ほどどなたかがおっしゃっていたように、中間開放のようなことが必要になるときに、その関連のデータを取って、それを基にどう議論するのかと、一方でこれから先、ウイズコロナで働き方が変わるとか従業員の方の意識が、お客さんを運ぶだけで怖いというような話が出てくるときに拘束時間をどうするかというような、そういったものは取る時期が様々にならざるを得ないものもあると思いますので、これも先ほど黒部から申し上げたと思いますが、全部のデータを必ずこの時期に取るのではないにしても、今のうちでないと保存の関係からなどで取れなくなってしまうデータもあると思っています。その辺は正にいろいろなデータとか業態とか、議論したいものに応じて是非御検討いただきたいと思っています。
○藤村委員長 調査できるときにしておこうと、それで不足があれば更に付け加えてというように柔軟に対応していこうというのが、事務局のお考えかと思います。
○武居委員 1つだけお伺いしたいと思います。大変申し訳ないのですが、先ほど労働組合の委員の方が言いましたとおり、8割ぐらいとのことですが、正直言って、タクシーは8割ではなくて、2割しかお客さんが戻ってきていないのです。要するに、今は異常な世界なのです。最賃も取れない。1日働いて8,000円とか5,000円しか売上げがないのですから。こういう状態で実態調査は現状ではできないです。私が言っているのは今年度のことです。タクシー業界は異常な事態なのです。
 この間、各方面から今回の新型コロナウイルスの影響について業界としてヒアリングを受けました。そのときに、タクシーは土砂降りなんですと言いました。そういう現状の中で我々タクシー業界は今申し上げたとおり、いつ乗客が戻るか分からない現状です。いつになれば労働時間の実態を調査できる時期が来るのかどうかという疑問感が私にはあります。
 やはり、今回の問題というのは、あくまでも参議院の付帯決議の中で、拘束時間の見直しという部分で出来上がってきたと私は理解しています。働き方改革のアクションプランも3団体で作りました。その中で、今回の参議院を含めての拘束時間の見直し、改善基準の見直しというのは、残業時間を短くしましょう、グローバルの世界に持っていきましょうという発想の下から来たというように、私は理解しています。ですから、異常な現状のもとで調査をするとすると、我々タクシーの産業は今は残業ゼロどころではなくて、時間短縮をしてやっているという状態ですから、この中で改善基準の実態調査をするという状態ではないというところを是非、理解していただきたいのです。
 つまり、去年12月までの正常な状態に戻すべく、我々はこれから産業的に努力していくわけです。ですから、去年の実態の中での調査で、見直しについてはどういうものができるかという形にしていただきたいというのが、我々ハイ・タク業界の考え方です。業界によって状態が全く違う。はっきり申し上げて我々タクシー業界は今、土砂降りなのですから。地方では、働けば働くほど企業が維持していけないのです。そこだけは是非、理解をしていただきたいと考えております。
○藤村委員長 私が先ほど申し上げたのは、トラックが来年でいいとは思ってないのです。基本は、今年調査をしましょうと。ただ、調査の対象となる年を、例えば去年としていただくのもあるだろうし、実際に調査をやる10月、11月、12月ぐらいの状況がどうなっているかにもよると思うのです。取れるデータは今取っておきましょうというのが私の考え方です。それによって、これでは実態を表してないとか、更にデータが必要ということになれば、来年度に追加で調査を行うということで、正に議論をするための実態を反映した正しいデータを集めることが大事かと思っております。
 その上でもう1つ、実はサンプル数をどうするかという調査の数があります。1%というのが事務局からの御提案です。それに対して、いや、10%要るのではないかといった御意見もあります。そこで、いわゆる統計学的にその辺りのことはどうなのかというのを、公益委員の先生方にも御発言いただきたいと思っています。寺田先生、いかがでしょうか。
○寺田委員 一概には言えないのですけれども、サンプル率1%では足りないか足りなくないかというのは何とも言えないのです。理屈で言うと、母集団推定のための拡大というのがあって、いろいろマイナーな働き方の方などを拾っておいて、一方でどこか1か所だけ全数調査をやっておいて、そういう方の割合がどのぐらいというのを把握しておくのが普通かとは思うのです。たとえば会社1つだけ全員を調べておけば、サンプル率が低くてもいいといえます。全体がどうなっているか、全体がどうなっているかというのを推定しやすいということはあろうかと思います。ですから、1%か10%かというのは何とも言えないのです。繰り返しですが、例えばタクシーのケースでも隔勤で月12、13日勤務が多いとか、地方だと日勤で昼間が多いなどといっても、それ以外のシフトの方もいらっしゃるので、それも調査対象に入る程度の数を確保すべきだと思います。
○武居委員 我々タクシー会社にとって、1%アンケートをするというのは非常に楽なのです。簡単に申し上げると、1%でいいというのなら、実態ではなくて会社が調整してしまいます。例えば、3,000人といったら、1%では各エリアで何十人のレベルなのです。そうしたら各エリアの1社か2社に依頼したら、それでできてしまいます。それでは実態調査にならないのではないですかという話をさせていただいているのです。我々調査される側からすると、1%でいいというのだったら1週間でできます。そういうように言っただけです。1%でいいというのなら、大変有り難いです。でも、これでは実態調査にならないので、そのときにどういう形で論議ができるのかという話です。
○寺田委員 無作為抽出のようにできるかどうか。例えばデジタコやアナログタコグラフも頂いて、それを無作為に抽出するとか、生年月日の末尾が何日の人だけを拾うとか、そういう形で無作為抽出がちゃんとできるのであればいいと思うのです。武居委員がおっしゃっているのは、それができない前提かと思うのです。
○藤村委員長 川田先生、どうでしょうか。
○川田委員 私も統計に関して、必ずしも専門というわけでもありませんので、統計の話からは離れてしまうかもしれませんが、まず1つ非常に大きな前提として、このコロナウイルスの問題が起きたことで、改善基準の見直しに伴うデータを、どういう調査を使ってそこからどういうことを得ようとしているのかという、データを取る際の考え方については、かなり考え直さないといけない部分が出てくるのではないかと思います。
 今の話からはちょっと外れてしまうのですけれども、例えばコロナウイルスの問題が起きた後の状況というのは、これまでの議論の中でも出てきたように、流動的な部分がかなり多いと個人的には思います。そうすると、数字で定量的なデータを取って何かを分析するかということと比べると、ヒアリング等で定性的なデータを取ることを重視する必要性などが相対的に高まるということもあると思います。
 そういう中で、アンケートのような形での調査を取るときに、どういうところが大切かということを私なりに考えますと、各業態ごとの違いもあると思いますが、地域差とか企業規模の違いなどがある程度ある中で、そういういろいろある中でのそれぞれのデータが一定程度集まるような調査の仕方がされることが重要ではないかと思います。具体的にそれをどういうやり方でやるかという詳しいところには立ち入れませんが、仮にそういうことができているのであれば、パーセントで出したときの数字というのは、例えば1%でもいいのではないでしょうか。ただ、調査をした中で、先ほど言ったような多様な地域や業種のデータが入ってくるということと、回収率にばらつきが出てしまったようなときに、後からそれを調整した上でそのデータを使うとか、データの使い方を適切に考えることが重要かと思っております。
○藤村委員長 私は昔、統計学というものを勉強しました。そのときの知識で覚えているのは、母集団が無限大のときにちゃんとサンプルを取れば、360ぐらいのサンプル数で全体の状況を把握できるということです。そうすると、各業態で少しずつは違いますが、1%をこの数字で十分ではないかと思っています。ただ、武居さんがおっしゃるように、事業者を通じて配布するとなると、事業者の恣意的な選別が働く可能性があるので、それをどうやって避けるか。あるいは、同じトラックでも、先ほど馬渡委員からありましたように相当状況が違うので、どういうように適正なサンプルを集めるかというところは工夫が必要だと思います。事務局は、その辺をどうお考えですか。
○過重労働特別対策室長 恣意的なデータにならないようにというのは、確かに我々も重要なことだろうというのは当然思っております。ですから、まず事業者に向けては、どういうところのサンプルを取ってほしいかという、ある程度一定のルールを定めることが必要です。例えば、ある企業について調査対象者を20名と定めて、拘束時間が上位の者を10名、平均的な者を10名出してくれとした場合には、それについての事業者の月の拘束時間数の一覧表のような全体の客観的な資料も添付してもらうなどして、要は事業者に恣意的な申請ができないような条件を設定するということを検討していく。これは、また皆様との御議論の中、御検討の中だろうと思います。そのようなことで考えております。
○藤村委員長 小田切先生、どうぞ。
○小田切委員 公衆衛生学におりますので、その立場から少しお話させていただければと思います。最終的な回収率が何パーセントかということがとても重要だと思っていて、手元の過去の調査を私もいろいろ見せていただいたのですが、過去の調査では企業調査で大体19%ぐらい、労働者レベルだと10%ぐらいの回収率です。厚生労働省の平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」というデータを見ると、そういう状況です。そこから考えますと、今回コロナの状況があって御回答いただくのも、先ほどお話がありましたように御負担が大きいので、御無理にお願いするにしても、恐らく10%を切る可能性があると考えておかなければいけないのではないかと考えると、その結果、回収した件数が100に満たない状況であれば、かなり特別な状況の回答になっている可能性も懸念しなければいけないのではないかと思います。そのような状況から、個人的には1%でなく2%ぐらいまでは上げて想定を考えたほうがいいのではないかとも思うのですが、それは御予算が、事情があるだろうと思っています。
 それを最大限に多くしていくというよりは、改善基準告示が今現在、守られていない状況が残念ながらあって、それをどのような改善基準告示の修正の仕方をすれば守っていただけて、なおかつ健康被害が起きない状況になるのかということを想定しながら、実際にドライバーの方も疲労がたまってきてお休みしたいけれども、どこまでであれば自分の体が大丈夫だったのかといったような、個別の働いている状況における疲労の状況と、実際に改善基準告示をここまで直せば疲労が回避できるといったことを、労働者の方にかなり御協力いただいて、そういう疲労実態調査のようなものが、ヒアリングとは別にできるといいのではないかと思います。なので、できれば予算をそちらのほうにもと思いまして、それは尿を採るとか血液を採るということではなく、実際にドライバーの方が運転しているどの状況で、どの程度の疲労なのかといったものを、例えば日記のような形で本当に御回答自体は数秒で済むようなものですが、時系列できちんと追っていって疲労を把握し、それと改善基準告示の案を照らし合わせることができればいいのかなと思っています。
○藤村委員長 世永さん、どうぞ。
○世永委員 先ほど、武居さんから土砂降りだということで、御意見、現状の報告を受けました。そもそもの話はここではしませんけれども、労働組合としては国会における審議なり附帯決議ということで、今の現状の過労死を何とか改善していくんだということでこの会議に臨んでいますので、そこは第一に持っているということです。
 私もトラックのことを言いますと、確かに8割動いています。ただ、馬渡さんからあったとおり、宅配の関係等はかなり増えているわけです。それがコロナ禍の中での現状だということです。昨年の段階で、この集配、コンビニ配送なり宅配の関係のドライバーから、去年のデータで、それこそアナログのタコグラフでヒアリングしていくのは、正直言ってかなり厳しいと思います。そういうことを考えてトラックの立場で申し上げれば、きちんとコロナの状況における経済なり物流というところでの調査ということが、一番必要なのだろうと思っています。ただ、先ほど申し上げたとおり、モードの関係がありますので、そこはどこまですり合わせできるかということについては、組合側としても今後の会議に臨んでいきたいということが1つです。
 それと、先ほど行政のほうから周知期間として2年3か月、いろいろな環境整備のために必要なのだということがありました。これも馬渡委員のほうからありましたけれども、いろいろな意味で出していけば対応できるのだと私は思います。多少告示が半年遅れても、1年9か月で荷主対応も含めてやり切れないようでは私は駄目だと思っています。労働組合としては、告示の施行につきまして1年前倒しということをずっと申し上げてきました。ただ、コロナの状況でそれは厳しいと理解しても、何としてもドライバーの上限規制とセットでということで行政のほうも言っていましたので、ここは譲れないということです。あと、中身について、もう少し知恵を出して労使でも話をしていきたいと思いますし、モードが違いますので、なかなか統一的にできるかということはちょっとクエスチョンですけれども、知恵を出していきたいというのが現状の考えです。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。対象者数については、小田切委員がおっしゃったようなことも考慮して、ちゃんと回答が集まるようにしていかなければいけないと思いますが、どうぞ。
○過重労働特別対策室長 確かに、回答率を上げるというのは非常に重要なことだろうと思います。申し訳ございません。全体の枠があり、なかなか無尽蔵というわけではございませんので、そういう意味でも回答率は重要なのかなと思います。今、私どもで考えて皆様にも御検討いただきたいのですが、事業者の回答につきましては、例えば1か月の拘束時間の記録を手書きでちゃんと書いてくれという話になると、なかなか事業者も書きづらいところもございますから、それは会社で資料があるのであれば、そのデジタコ等の記録を添付してもらって、それで替えるという形の回収率向上に向けた手法もあろうかと思います。また、特に自動車運転者の方の回答につきましては、調査票という紙の手法だけでなく、併せて例えばQRコードを読み込んで、それで回答してもいいですというように、どっちでも対応できるような形にすれば、通常の紙だけでやるよりも更なる回収率の向上につながるのではないかと思っています。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。それぞれの業界、業種で相当状況が違う中で、統一的にこうだというのはなかなか言い難い状況ですが、今、私たちが手に入れなければいけないデータというのは、働いている方々の実態をちゃんと把握できるものである必要があると思います。それが、去年のデータのほうがいいというのであれば、それはそれで構いませんし、現状はこういうふうになっていて、調査の結果これでいいということになる場合もあるでしょうし、これでは不十分ということもあるでしょう。そこは柔軟に対応していきたいというのが事務局側のお考えだと思います。限られた時間の中で議論していく必要があるのですが、2の実態調査の調査項目についてという部分が、まだ全く議論がなされておりません。ただ、これは今年の1月、2月、3月、そこでそれぞれ3つに分かれて御議論いただいた内容が反映されていると思いますので、この2について御意見がございましたらここで御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。2については大体よろしいですか。馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 検討会の中でも、こういうことは気を付けてやってほしいと思います。特に、荷主さんの部分というのは、これもまた業態の特性だと思いますけれども、スケジュールどおりに運行して来いよというのは、きちっと会社では言いますが、本当にその日の状況とか、行った先の荷主さんの考え方、若しくは状況によって帰れと言われる場合もあれば、8時に着けなさいと言われたのに13時にしか作業が始まらないとか、そういうのはいろいろな所で日常茶飯事で起きているわけです。発荷主さんからしたら、向こうから8時に着けろと言ったら絶対に8時に行けよとおっしゃるのですが、実際に行ってみると8時に下ろさせていただけるバス予約システムとか、今いろいろなことを考えてやってはいただいているのですが、現実的には錯綜したら待ってねという話で終わってしまうのです。
 そういうことも考えると、我々の業界というのは自分で決められない部分が多過ぎて、できれば枠はないほうが嬉しいのですが、ここから先は崖から落ちますよというところはきちっと示していただいて、崖の上にいる間はどこの部門を通ろうが自由にいいですよと言っていただくのが本音としては一番いいです。なぜかと言ったら、経営者が、こういうふうにしてこいよといくら言っても、そのとおりに毎日ならないのです。そこの部分を一律で、時間はこうだから、これを過ぎたら、あなた違反ですからねと決められることが苦痛と言えば苦痛ですね。経営者にとってもそうでしょうし、運転手さんも同じような部分はあると思います。
 だから、業界の特性でまた違う部分はありますので、さっき我々はこういうふうにしたいということを申し上げましたけれども、それを踏まえた上で全体でいろいろ議論していただくというのは非常に有り難いなと。バスとかタクシーの方たちも、例えば去年のを取っていろいろ調べたけど、調べ切れないという部分は結構出てくると思いますから、そういう部分は来年調べていただき、我々も来年調べて、そろったところでやろうという話ができると嬉しいなと思っています。
○藤村委員長 その辺り、事務局はいかがですか。
○馬渡委員 今日決める話ではないのかもしれないですが、意見は述べさせていただきたいと思います。
○審議官 いろいろスケジュールについて御意見を頂いて、労側からも出ましたけれども、私どもとしてもデッドラインは令和6年4月の施行に向けて、新たな改善基準告示を3業態全部でスタートさせていきたいと思っているところです。令和3年12月を固定的に考えているのかについては、この調査で実態が出てきて基準見直しの御議論をすることになりますが、この改善基準告示というのは実態調査だけで決まるものではないのです。これは今、論点の所で総拘束の話、休息の話、その他いろいろ書いていますけれども、労使でいろいろ考えの違いがあるわけですから、そこをしっかり話し合っていく時間が非常に重要なのではないかと私は思っています。そこが一番重要な時間なのではないかと思うのです。
 そうすると、調査を来年度にやって、再来年度まで話合いができないということでいいのかなということがあります。過労死が一番多いのはトラックなのです。そこのところも含めて、議論を棚上げして進めないということで、本当に労使の方々はいいのか、しっかり御議論いただければ有り難いなと思っています。
 調査できるところはデータを取って、議論は始めて、データが足りないところはまた集めていく。そうしながら、なるべく早く進めていく。見直しが早く出来上がれば早く施行準備に入れる。当然、労使でいろいろ御議論があり、それがうまく進み、すぐにまとまればということで来年4月から12月までの検討期間を書いてあるのですが、いやいや、とてもとてもという議論になる場合も当然あるわけです。そういうのもいろいろ見込んでバッファ期間も含めて施行準備期間を長く取っているわけですので、その使い方をどうするかというのは議論があると思いますけれども、議論のスタートを遅らせていくというのはどうなのかなというふうに思っています。そこはしっかり労使の方の御意見も承りたいと思います。国会からは、政府は早く議論を開始すべきというふうに附帯決議で言われていますので、そういう点も含めて労使で御議論して、今、御意見を頂ければ有り難いと思います。
○藤村委員長 労使双方に、今、ボールが投げられましたが、いかがでしょうか。世永さん、どうぞ。
○世永委員 この場では、ちょっと御回答できないかなと思いますので、あとで事業者さんと御相談させていただければと思っております。
○藤村委員長 労使それぞれに、ゆっくりやっていいとは思っていらっしゃらないと思います。ただ、こういう状況なので、なかなか議論の前提を置きにくいと、だから少し様子を見てということだと思います。しかし、今年の10月、11月、12月、今から5か月後ぐらいが、当初の案では調査の対象の時期になっています。その頃にどうなっているかは分からないですよね。ですから、今年度できることはやっていこうというふうに合意していただければ、具体的に調査をどういうふうに進めていくかというのは、割とテクニカルな話になってくると思いますので、その部分はこの第2回委員会の合意事項として取っておきたいと思います。第3回で具体的な調査の設計を決めていく必要があるわけですけれども、そこに向けて2か月ぐらい時間がありますので、また労使それぞれに御議論いただいてというふうにしていきたいと思っています。馬渡さん、とうぞ。
○馬渡委員 今、藤村先生がおっしゃったような形で、次の会合のときにはしっかり決めておかないと無駄に時間を過ごすようになりますから、世永さんがおっしゃったように、その時間内で我々も業界でいろいろな方がいらっしゃいますので、事務方とお話をさせていただきたいと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。そろそろ終わりの時間が近付いてまいりましたので、本日のこの委員会の議論はここまでとしたいと思います。
○世永委員 1点、よろしいですか。
○藤村委員長 どうぞ。
○世永委員 この場でなくてもいいですので、実は兼業の関係で1つ確認したいことがあります。当然、スケジュールと関わってくる部分です。改善基準告示に当てはまるものとしましては、事業者団体でも解説を出していただいていますし、働き方改革を推進する関連法律の整備に関する改正後の労働基準法関係の解釈については、平成30年12月28日に発出していただいて、ドライバーの自動車運転業務の範囲を明確にしていただいたと思っています。
 今、地方からいろいろ問合せがあるのは、トラックドライバーがコロナ禍の関係で、いわゆるアルバイトをした場合どうなるのかということです。この告示の対象となるのか。例えば、雇用・雇用ということで考えますと、ドライバーがウーバーイーツのバイトをする分には、個人事業主ですから対象とならないのかなということですけれども、副業でトラックドライバーが就業規則上、今は駄目になっている企業でも、他で働いた場合、トラックドライバーでなくバス、ハイ・タクもそうですが、こういった場合はどういうふうに把握していくのかということです。あるいは、ドライバーの人が時間が空いたので、コンビニやガソリンスタンドでアルバイトをした。こういった場合は労働時間管理と告示のダブルカウントになるのか。そういったことが、いろいろコロナ禍の中で質問等々があるということです。
 この場では、拘束時間を含めて告示の見直しということを議論しているのですが、他方で働きし放題と言いますか、アルバイトし放題ということになってしまうと、これは問題がありますので、長時間労働の拡大につながらないという解釈なりが必要だということについて御質問します。今後の場でもいいですから御回答いただければと思います。
○藤村委員長 石垣さん、どうぞ。
○監督課長 事務局でございます。今、副業・兼業に関してのお話を頂きました。具体的には、いろいろなケースとか個別のお話を頂きまして、私どもでそれを整理してお答えできるようにしたいというのはございますけれども、この場で申し上げたいのは、副業・兼業につきましてはドライバーの方々も含めてということになりますが、労働基準法上の中では、異なる事業場で働いている場合でも労働時間全体を通算するということが基本的な考え方です。それは雇用と雇用の場合ということですので、雇用と非雇用、今、世永委員がおっしゃったウーバーイーツみたいな形の場合には雇用ではありません。雇用でないということであれば通算をしないということにもなってきます。まず、それがあります。
 通算をする場合というのは、ほかの業態でもそうですが、今、副業・兼業の働き方のガイドラインというのを全般的な形で出させていただいています。そこの中では、御本人がいろいろな所で働いておられるというパターンですので、基本は自己申告で全体の状況、その方の働いている全体の状況を把握することになってきますけれども、会社のほうで過重労働を防止するために、もともとその辺を届出制にしていたり、手続を設けたりしている場合もあると思いますので、そういったことがどうなっているのかによって労働者の方に手続をしていただいて、全体を把握したら、それが何社かで働いているときに過重労働にならないようにするということで、それぞれの事業主の方に御配慮いただく必要があるというのが、大まかな全般の考え方です。多分いろいろな形態があると思いますので、それはまた別の場でお話を伺い、その状況に応じて私どもが整理して御説明できればと思っています。取りあえずは以上です。
○藤村委員長 世永さん、いいですか。
○世永委員 はい。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、今日いろいろ御議論いただいて御意見も出てまいりました。今日はここで終わりとしたいのですが、事務局から本日の議論を受けて御発言等がございましたら、お願いいたします。
○審議官 本日は、いろいろ御議論いただきましてありがとうございます。全体の進め方について多様な御意見を頂きましたので、また次回のときにスケジュール感、調査、それぞれ業態の置かれている状況が違いますし、コロナの予想できない状況、そうは言っても来年、再来年になってどうなっているか分からないところもあるので、そこら辺を含めて長時間労働を是正するという、この改善基準告示の見直しをどういうスケジュール感で進めていくべきなのか。本当に調査が全くできないということであればそういうことになるでしょうし、できるのであれば、一定の調査、全部ではないとしても調査をして、ある程度議論の素材にして、議論ができる部分から開始していくというふうに進めていきたいと思っていますが、そういう点も含めまして、また次回のときにこの場で公労使で議論いただいて、進めさせていただければ有り難いと思っているところでございます。引き続き、この改善基準告示の改正に向けまして御協力をお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
○藤村委員長 ありがとうございました。最後に、次回の日程等について事務局からお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 次回、第3回ということになりますが、8月中旬から場合によっては9月の頭ぐらいになるかもしれません。次回の日程、場所につきましては調整の上、追って御連絡させていただきます。ありがとうございました。
○藤村委員長 それでは、これをもちまして第2回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会を終了いたします。なお、本日の議事録の署名につきましては、労働者代表の世永委員、使用者代表の馬渡委員にお願いしたいと思います。ありがとうございました。
(以上)