第5回社会福祉法人の事業展開等に関する検討会 議事録

日時

令和元年11月29日(金) 15:00~17:00

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール6C(6階)
(東京都新宿区市谷八幡町8番地 TKP市ヶ谷ビル)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・神田(かんだ) 浩之(ひろゆき)      京都府健康福祉部地域福祉推進課長
 ・久木元(くきもと) (つかさ)     日本知的障害者福祉協会社会福祉法人経営の在り方検討委員会委員長
 (しば)  (たけし)      日本公認会計士協会前常務理事
 ・田中(たなか) (しげる)(座長)   埼玉県立大学理事長
 ・千葉(ちば) 正展(まさのぶ)      独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターシニアリサーチャー
 ・塚本(つかもと) 秀一(しゅういち)       全国私立保育園連盟常務理事
 ・原田(はらだ) 正樹(まさき)      日本福祉大学副学長
 ・藤井(ふじい) (けん)一郎(いちろう)     上智大学総合人間科学部准教授
 ・松原(まつばら) 由美(ゆみ)          早稲田大学人間科学学術院准教授
 ・宮田(みやた) 裕司(ひろし)      全国社会福祉法人経営者協議会地域共生社会推進委員会副委員長
 ・本永(もとなが) 史郎(ふみお)      全国老人福祉施設協議会老施協総研運営委員会委員長

参考人(敬称略)
 ・栗谷(くりや) 義樹(よしき)   地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネット代表理事

議題

(1)関係者からのヒアリング
(2)報告書案について

議事


○高坂福祉基盤課長補佐 それでは、定刻前でございますけれども、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより第5回「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、地域医療連携推進法人の取り組みについてのヒアリングを行うこととしており、そのヒアリングに御快諾いただいた参考人を御紹介いたします。
地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネットの栗谷義樹参考人でございます。
○栗谷参考人 栗谷でございます。どうぞよろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 なお、本日、松原構成員が16時40分ごろ退席の予定と伺っております。
また、谷内局長は公務のため、15時50分ごろ退席の予定です。
続きまして、資料の確認です。本日はペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて資料の御説明をさせていただきます。
それでは、ここからの議事運営につきまして、田中座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々はこれで御退室ください。
○田中座長 皆さん、こんにちは。早速ですが、議事に入ります。
本日は、今紹介がありました関係者のヒアリングのためにわざわざ遠くから来ていただきました。参考人から説明資料を御提出していただいています。まず、資料について説明をお願いいたします。その後、30分程度質疑応答の時間とする予定でございます。
それでは、栗谷参考人、よろしくお願いいたします。
○栗谷参考人 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
私が御指示いただきましたのは資料1の5項目についての御質問でございましたので、それに沿って話を進めさせていただきます。
1ページ目ですが、まず設立背景でございます。当病院機構の位置する庄内二次医療圏とは山形県の日本海側に位置する地域です。医療圏の人口は2015年で27万9000人ほどで、2次医療機関が4つで、人口10万当たり一般病床数が約625床、療養病床が266床で、一般病床は全国平均の694床より少し少な目ですけれども、療養病床は既に平均の245床を上回っております。
3ページです。当病院機構は、平成20年4月に県立日本海病院と市立酒田病院の統合・再編で発足しました。統合の主な背景は、県立病院の赤字経営と不良債務、市立病院の老朽化と、診療機能が重複していること、二次医療圏全体で三次救急の対応ができていなかったことです。このままだと両病院とも共倒れするという危機感から、当時の知事と市長が平成18年9月に統合に合意して、その1年半後、平成20年4月に地方独立行政法人として病院機構が発足しています。旧県立を急性期、旧市立を回復期リハとして、完全に機能分化がこの時に行われています。
4ページです。統合後、病院の経営状況は劇的に好転しました。現在、病院機構は日本海総合、酒田リハビリテーション病院に加えて、赤の点線で囲っている診療所を平成30年に酒田市から編入して、2病院6診療所を運営しています。
法人概要図の下が病院ごとの概要ですが、機構全体で経常収支黒字が維持できるように心がけています。
資料の右側は、日本海総合病院と酒田リハビリテーション病院の経営状況を、統合前の平成19年度と統合年度の平成20年度、そして昨年度で比較した表です。機構全体としては、設立後から11年連続で経常収支を黒字にできています。
2病院の統合・再編と昨年の無床診療所にした市立八幡病院の編入に伴う、北庄内医療圏の病床数の変化です。一般病床は統合・再編で328床減少して、回復期・療養が114床新設されました。平成26年に日本海総合の16床を休床して、うち12床を今年度廃止しましたので、現在まで340床が削減されています。残り4床は連携推進法人制度を活用して、日本海ヘルスケアネットに参加している本間病院に融通することになり、今月8日に厚生局の許可が出て、来月1日から稼働することになっています。
次です。地域の最大の問題は過疎化と高齢化です。二次医療圏の人口推移ですが、昭和55年の酒田市は人口12万5000人、高齢化率が10.9%でした。しかし、平成30年の現在では、平成17年の平成の大合併があったにもかかわらず10万4000人余りと、2万以上減少して、高齢化率は33%になっています。国の2040年の推定高齢化率の36%に20年以上早く到達しています。医療圏全体の人口推計では、2015年から10年間の間に3万人強減る、25年以降も過疎化はさらに進みますので、40年には19万人以下になると推測されています。
7ページです。地域の今後の医療需要の予測です。後期高齢者人口は2030年が最大になりますけれども、それで15年比で112%ぐらい。特に急性期の医療需要は2015年あたりで既にピークを打っており、その後は減少しています。介護需要も30年あたりが最大と予測されていますが、それもいいところ8%増程度で、財源が厳しくなって給付負担割合が改正されれば、推計値よりも低くなるかもしれません。
8ページです。日本海総合の新入院患者数の年次推移です。統計では、統合・再編が完了した2011年から16年まで、年マイナス1.5%ぐらいの緩やかな減少に見えますが、医療圏の北と南に分けますと、地元、北庄内の患者数は年マイナス3%ぐらいずつかなり急激に減ってきています。統計の緩やかな減少は、南庄内地域からの患者流入がふえて修飾されているためです。2017年に少しふえているのは、地域医療連携推進法人の前倒し事業で行った入退院パスの共同運用が功を奏した一時的なもので、継続性はないと考えています。
9ページです。地域の急速に進む過疎化と今後の診療報酬動向懸念を受けまして、当地区では医師会や病院長などで懇談の機会をつくっていました。この次の議論は、確実な未来である過疎・高齢化時代をどうやって乗り切るか、深刻な医療人材の不足をどうやって解決するのかということで意見を交換し合っておりました。
10ページです。連携推進法人設立に至る考え方です。病院機構は病院単体の事業計画は今後恐らくできなくなる。非営利を徹底して、地域内にある程度の寡占が許容されないと、医療機関も介護機関も今後は継続が難しいのではないか。地域で必要な医療・介護にかかる費用を地域の連結決算で考えて、我々で効率化を目指せないだろうかということを軸に議論を深めていきました。三師会がまとまる形で連携推進法人設立に動いたのは、深刻な経営環境の変化に対して危機感を共有したことが一番の理由であります。
11ページです。設立協議会の立ち上げに至る経緯です。平成28年に、当初から北庄内の5法人には私が声をかけて、法人設立に向けた実務者会議を設置、共同事業の項目確認等を行っています。9月に第1回の設立協議会を開催し、10月に当初の5法人に、地区歯科医師会と薬剤師会と精神科の特定医療法人等々4法人が新たに参加を表明して、平成30年2月に法人の設立登記、審議会の承認を経て、去年の4月から正式にスタートしました。
12ページです。現在参加10法人の概要です。当初からの参加は5法人ですが、最終的に病院機構のほかに地区医師会と歯科医師会、薬剤師会が参加して、これに健友会本間病院、精神科特定医療法人と1医療法人、2つの社会福祉法人が参加しています。ことしになって社会福祉法人がもう一つ参加の申し入れがあり、現在10法人になっております。
13ページです。連携推進法人日本海ヘルスケアネットの地域でのシェアです。病院の病床数は北庄内地域の68%、老健施設定員のシェアで、酒田市で63%、北庄内地域の47%になります。以下、特養老人ホームのシェアです。
各参加法人の課題についてまとめたものです。事業内容によって課題は分かれますが、共通しているのはいずれも経営持続性への不安と医療人材の確保です。
15ページです。新法人設立協議会立ち上げの前に、参加法人の抱える課題、業務、財務情報を共有することにしました。提出してもらった資料は、この資料にあるように、職員数、患者動態のほかに財務諸表を全て提出することを提案しています。この辺で、先に進めなくなるかもしれないと思いましたが、全ての法人が資料提出に応じてくれました。
16ページです。この中で提出された本間病院の事業概況を見ますと、介護事業でバランスがとれているので、経営が危機的ではありませんがこの時点でわずかながら債務超過の状態にあり、病院単体では営業損失が発生しているという状況でした。市内の一般病床を持つ病院は、当院と本間病院だけですので、後方同院としての同院の役割は極めて重要です。
健友会本間病院とは、新法人の設立前から業務調整をこのために行ってきました。この中で、民間医局の高額な日当直の応援医師の費用が、当院から出せば3分の1にできますので、一昨年の4月から病院機構から応援を出しました。また、維持透析の安定期に入った患者は本間病院に集約化して、日本海総合では高リスクと不安定患者だけを受け持って、そのために本間病院の透析稼働率を5割以上上げる必要があるが、これに要するスタッフを日本海総合から出向させる。両院で行われている手術について、今後集約化するという合意をしております。
17ページです。連携推進法人の前倒し実施あるいは準備事業です。参加法人、特に介護系の喫緊の課題は看護師、介護士の確保が極めて困難なことで、去年の4月から病院機構の職員の出向を開始させました。本間病院の経営状況を考慮して、維持透析集約化については平成29年6月から前倒しで実施しています。維持透析集約化が順調に進みましたので、本間病院は本年12月から維持透析を20床ふやします。現在、透析コンソールをふやす地方病院はほとんどないそうでありまして、連携推進法人に参加することで本間病院の透析医師確保の見通しと、透析拡大のための地銀からの信用融資にもかなり有利に働いていると理事長から報告がありました。
17ページです。人事交流による支援状況です。医師不足、看護師不足は、参加法人にとって一番切実な喫緊の課題で、最優先事項でした。現在、病院機構と健友会の間で医師6名の相互派遣をしています。健友会の土日の宿日直に加えて水曜日の医師支援も追加して、このことでそれまで多額の費用をかけていたフライトドクターの契約費用が大幅に削減できました。看護師は病院機構から計4法人に8名が出向しています。精神科特定医療法人の山容会には、病院機構の薬剤師が1名出向しています。透析については、日本海総合病院は、先ほど話したように新規導入と重症透析だけで、本間病院は維持透析と、完全に機能を明確にすることにしました。新規の導入患者が安定すれば、本間病院に移動するということになります。これらの支援策によりまして、本間病院は平成29年度から営業収益が黒字に転換されています。
19ページです。出向職員の出向先法人と病院機構の給料の差額です。機構給与のほうが高いのですけれども、9名の出向で給与差額は年2000万弱ぐらいです。在籍出向にして給与は病院機構が支払って、出向先法人は自法人の給与体系に応じた額を法人に入金してもらうだけで、差額の上乗せは求めないことにしています。出向の形は研修目的となっています。
20ページです。また、医師を地域で融通し合って助け合う仕組みを作り、病院医師の過重労働削減や共同研修に役立てています。資料は、病院機構が受けている関連大学以外の地域内の応援医師の派遣状況です。医師会からは、10診療科に診療支援と研修などが行われています。当院は、救命救急センターと同じ区域に市立の平日夜間急病診療所を併設していますがも、ここに地区医師会員が交代で診療業務についています。また、酒田リハビリテーション病院の日当直業務に医師会から支援が行われています。社会福祉法人の正覚会の現在嘱託医が来年3月に退職しますので、本間病院から嘱託医の手配をするということも決まりました。
病院機構が行っている医師支援の状況です。これは連携推進法人事業ではないのですが、南の鶴岡市立荘内病院への診療応援や、酒田市内の本間病院、精神科単科の山容病院への日当直支援、消化器内科クリニックと検診センターへの応援を出しています。連携推進法人に地区医師会が参加していることが、地域で助け合って効率的な医療提供を行う上で大きな力になっていると考えています。
22ページです。診療機能の集約化については、急性期を日本海総合に集約化するということに合意しました。地域フォーミュラリについては、本日述べませんが、地区薬剤師会の提案で、医師会、病院機構と検討を重ねて、去年の11月からスタートして、現在、6種の薬剤で運用されています。病院機構の4床融通については、既にお話ししたとおりです。
23ページです。検体検査の地域集約化を目指して、日本海総合は去年ISO 15189を取得しました。しかし、外注の検体検査会社と価格で競争するのは相当厳しいようで、これは難しいかもしれません。電子カルテの共有化に向けた検討は、地域ICT「ちょうかいネット」が11年から順調に稼働していますので、これと調整する形で検討を進めます。高度医療機器の共同利用については、既に地域医療支援病院の要件を取得した前後から始まっていますが、効率的配置については別に検討が必要で、国による何らかの指針があれば進めやすくなるかと考えています。
24ページです。訪問看護ステーションの新法人一元化です。ことし6月に既に2つのステーションを統合させましたが、来年の4月に残る2つをまとめて、最終的に21年に全てのステーションを連携推進法人の運営に移行する計画を進めています。
25ページです。医療・介護の連携強化については、医療・介護と口腔ケアで2つのワーキンググループが立ち上がって事業計画を立案しています。特定医療法人山容会が計画する複合型介護施設の設置は、連携推進法人が設置された早期から同法人から事業計画が提出されていたもので、理事会で承認を行って、補助金申請も通り、今、建設が開始されているところです。
26ページです。地域での財務の連結、特に費用の連結決算については、手法について野村ヘルスケア社と既に契約が終わり、現在、解析方法について検討を進めています。参加法人の委託費用なども含めて資料提出と解析に必要なので、今、その作業を進めています。出資と基金の拠出については、一般地独、社福では認められていませんので、これは今後の展開を待つしかないということになります。
27ページです。連携推進法人創設後1年3か月経過時点での連携効果に対する各法人からの意見です。健友会は維持透析件数が1日7名増加して、医業収益が5900万増加し、日本海総合から紹介した安定的な入院患者の確保と、機構の応援医師派遣により、費用が大幅に減少したということ。精神科特定医療法人からは、困難だった薬剤師が確保されたこと。医師会訪問看護ステーションからは、機能強化型の施設基準の取得をしたこと。薬剤師会からは、地域フォーミュラリの導入による薬剤費用の削減や在庫縮減などが報告されています。
28ページです。社会福祉法人からの意見のまとめです。光風会からは、獲得困難だった老健の看護師の独法からの出向が得られたことと、かたばみ会からは、研修による職員スキルアップと情報共有、社会福祉法人としての立ち位置が少し見えてきたという御意見をいただいています。正覚会からは、差し迫った嘱託医の確保の見通しがついたということ、これが一番大きなことだったと思います。
29ページです。酒田市には市の所管の社会福祉法人は24、うち介護事業関連施設は10法人です。医師配置の必要な施設はうち11カ所で、特養がほとんどを占めています。地区医師会も高齢化していますので、今後、医師配置が必要な施設の維持を地域全体でどう継続していくのかが課題になっていくと思います。
30ページです。評議会は年1回の開催で、評議員はここにある資料のとおりです。地区医師会、歯科医師会、薬剤師会が参加していますので、医師会関係者は南庄内の鶴岡地区医師会長に就任していただいています。今年度の評議会は既に終え、設立後まだ1年半経過時の判断ですが、共同事業についてはおおむね好意的な評価をいただいています。
最後の資料です。新法人設立の今後の業務展開と方針についてまとめました。地域包括ケアを実現するには、それぞれの各事業の経営が成り立たないことにはどうにもなりません。このためには、地域全体の黒字経営と連結経費管理を行うことが有効ですが単に連携、機能分化を今までより強力に進めるというだけだと、不利益をこうむる法人がどうしても出てきます。
地方独法や社会福祉法人は、出資、融資、債務保証ができませんので、業務調整をすることでこれに対応するしかありません。具体的な業務展開は共同事業を推進していくことですが、いわゆる地域密着型の関連施設は、過疎化の進行で、密着してきた地域そのものが蒸発の瀬戸際にあります。これまでの施設最適化を目指す経営は、今後立ち行かなくなっているのではないかと考えます。地域の実態に合わせた医療・介護の新しい複合事業体を模索すべきではないかと考えています。が御説明は以上であります。
どうもありがとうございました。
○田中座長 どうもありがとうございました。
地域医療連携推進法人ができるまでの努力、できてからどのような人事交流やお互いの調整ができているか、大変わかりやすくお話しいただきました。ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に対して、委員の皆様からの御質問や御意見があればお願いいたします。
藤井構成員。
○藤井構成員 大変な御苦労をなさっていることを、コンパクトにかつわかりやすくまとめていただきありがとうございました。
連携推進法人のもともとのベースが、まず県立病院と市立病院が合併した病院機構があり、人口減少地域であるという危機感の共有があったということでございますが、3点ほどお伺いしたいのですけれども、1点は、連携推進法人ができ上がって以降、お話を聞く限り、機構がかなりほかを支えるというか、人材派遣を中心として、ほかの法人のメリットは見えやすい形ですけれども、むしろ機構のほうはそういった法人を支える側に回っているかのように見えるのです。一方で、メリットのところでは平均在院日数等が減ったと書かれておりますけれども、病院機構にとってそこまで医師、看護師を出されるというのは、病院機構側にも十分メリットがある話ではないと思いますので、そういう支える側、支えられる側みたいな構造があるやなしやということをお聞きしたいのが1点でございます。
2点目ですけれども、社会福祉法人が入っておりまして、メリットのところでは看護師あるいは嘱託医といったことにメリットを感じておられるということなのですけれども、高齢領域の社会福祉法人が、人口減少といっても高齢者減少を含め医療機関までの危機感はまだそうそう抱きにくいのかなと。そして、看護師あるいは嘱託医の人材確保ということだけでこの機構に加わろうというようなインセンティブというのでしょうか、そういうものが直ちに湧くようにはちょっと想像しにくいものですから、恐らく事情というか、それなりの経営上のお考えがあってここに参加されているのではないかのように思うのですけれども、そのあたりがもしわかれば教えていただきたい。
最後でございますけれども、かなり病院機構が中心となって支援をするというふうに聞こえたのですけれども、私が感じ取ったのですけれども、そうなりますと、例えば健友会さんは機構からスタッフを派遣していただいて成り立って経営がうまくいっているという見え方を仮にすれば、健友会さんの経営の独自性といいますか、これはどこまでグループ経営化が進むのか、独自の経営が成り立つのか、営利法人のホールディングスとは大分様相が違ってくると思いますので、グループとしての経営と個別の法人としての経営というのが、この推進法人をつくったことによってどんなふうに変わってきていて、今後どうなっていきそうかというような点がもしわかればお教えいただけますでしょうか。
以上です。
○田中座長 3点質問がございました。わかる範囲で結構ですので、お答えください。
○栗谷参考人 わかる範囲でお話しします。
まず、病院機構が支える部分が大きく見えるが機構にメリットはどういうものがあるのだろうというお話ですがこれは病院機構の経営持続性から経営方針の一環として考えたことです。日本海総合病院は平成24年からDPC対象病院に入って、平成28年からⅡ群になりましたが、これによる年間の増収分が大きく平成30年に特定病院群として更新されてからはその維持について判断を迫られました。特定病院群の中で中間よりは下で、Ⅲ群の上にいたほうがストレスはなくて経営的にも有利かもしれないと迷いましたが統合の最初の理由が二次医療圏にない三次救急を整備することであり医療圏としては他の三次医療提供施設のある地域まで3時間前後ぐらいかかる地域で、この2次医療圏で完結させるには特定病院群としての業務内容が必要と考えました。 Ⅱ群要件と業務構造、収益を健全に保とうと思うと、我々のような地域だと在院日数は11日から12日ぐらいで回さなければいけない。似たような病院がほかにもあるのですが入院患者さんの多くが入退院を繰り返すフレイル状態の高齢者が多く、在院日数も長いので経営的には相当厳しい状態です。我々が在院日数を地方の病院としては短い平均入院日数を維持できているのは、本間病院が後方病院として機能していること、なおかつ経営が健全で持続可能な状態であることが我々が特定病院群を維持できるための重要条件だと考えました。
そのために、本間病院の経営が成り立つように支援をすることが、我々の急性期基幹病院としての業務構造と経営を支えていくための要件だと判断したのが今回の経営支援の理由です。
云うまでもなく急性期基幹病院だけで地域包括ケアが回るわけではありません。関連する他の医療機関、施設が健全でなければ、我々の急性期基幹病院もいずれ行き詰るので、地域全体の健全経営が必要と考えたのが一番の理由です。
社会福祉法人が単なる医師の派遣だけで連携推進法人に入ってくるのだろうかということでしたけれども、当地域では 今までは地元医師会から嘱託医の派遣を何とか都合をつけていたのですが、医師会も高齢化していて、業務の大きな部分を占める夜の看取りなどは特に難しくなっています。嘱託医を連携推進法人という全体の枠の中での確保を期待していたところはあったのだと思います。
あとは、情報を共有するためのいろいろなシステムが走っていますので、それもやはり自施設の業務効率化にとって魅力的だったと思います。地域包括ケアの中で、社会福祉法人としての業務管理は、急性期と在宅とを結ぶさまざまなところとつながって可能となることで、そういう理由があったのだろうと思います。
健友会との関係ですが、今はまだ共同事業が始まってから1年半ぐらいですが、病院機構に経営基盤を頼り過ぎて独自経営が成り立つのかどうかという話ですが、透析コンソールを20増やすことに集約化をするからには必要な事なので本間病院とは別に業務調整会議を何回か行って緊密に連携を取りながらやって来たので、現在のところではうまくいっていると思います。細かい経営に対して独立行政法人から細かい口出しをしているわけではありません。 現在のところ経営は改善しているわけですし、本間病院の受けるメリットのほうが増収と言う形で目に見えて表れているので、少なくとも信用醸成にはとても役に立っていると思います。
それから、これが重要だと思うのですけれども、先ほど医師の相互派遣と言いましたが、本間病院の若い医師たちが後方病院の慢性期患者だけを診なければいけないという状況から、急性期の患者も日本海総合病院で一緒に診る、手術、治療も行うことで、遣り甲斐を維持することにとても貢献している。実態は支援というより、むしろ後方病院の若い医師たちのキャリアパスのための研修に近い相互派遣になっています。
○田中座長 人材の育成にも役に立つという話でした。
ほかにいかがでしょうか。
本永構成員、お願いします。
○本永構成員 ここの中に特養施設をお持ちの社会福祉法人が加わっていますけれども、特養の場合には入院ベッドの確保という意味で、医療機関と契約等を結ぶという必要があったと思います。従前の法人はここの中に多分あったのだと思うのですけれども、そことの関係であったり、配置医師の確保が難しい。多くのところは常勤医師ではないので、もともとが外部の医師ですから、そこの確保というところで外部の医師を使うことに特段の違和感はないのでしょうけれども、これは日本海ヘルスケアネットさんに聞くのがいいのかどうかちょっとあれですけれども、そこで例えば看護職員等を出向させるといった場合に、看護職員等については人員配置基準が当然あるので、そこの部分で当該事業所の職員として、先ほどのお話の中ではあくまで人事交流、研修としてというお話だったので、そこのところの扱いをどのようにしているのかというのを教えていただければと思います。
○栗谷参考人 私はあまり詳しい知識を持っていないのですけれども、派遣業としてはできないことになっています。聞かれたこととは直接関係あるかどうか分かりませんが、急性期病院として余り役に立ちそうにないからとか、ちょっと周りとうまくいかないからとか、そのような事は出向の理由としないことを決めました。出向も長くて1年、1年半は絶対超えるなということと、優秀なスタッフを選抜して出向させることも確認しました。将来病院の管理職になる候補をキャリアパスのためとして出向させることを明確に伝えています。病院でスタッフをきちんと育てるための出向であること、地域の医療、介護の現場を自分の目でちゃんと見て学習してくるということが必ず急性期病院の管理職になったときに役に立つと判断しています。 クリアしなければならないさまざまな規則はあるのでしょうが細かいところで抵触することがあればご指摘いただきたいと思います。
○田中座長 地域全体をよくしようという理念があるから、ほかも一緒になっているのでしょうね。
ほかにいかがでしょうか。
柴構成員、どうぞ。
○柴構成員 栗谷参考人様、御説明ありがとうございました。
地域医療連携推進法人を制度にのっとって設立されたということですけれども、御説明のとおり、法人をつくればそれで済む話ではなくて、その後、さまざまな課題について真剣に取り組まれているというふうに御説明を伺ったのですけれども、地域医療連携推進法人制度の中でこれがあると課題の解決、乗り越えるのにハードルが高いとか、こういう制度だともっとやりやすいのではないかということがもしあれば教えていただきたいのです。
○栗谷参考人 一番先に思いつくのは診療報酬上のアドバンテージで、この制度ができたときから淡い期待はしていましたがそう簡単なものでもないでしょうからそれは別の話として、社会福祉法人でも云えることですが、地方独法の1つは内部留保、剰余金の還流についてもうちょっと弾力的なルールをつくってもいいのではないかということです。社会副法人は、現在でも項目別に剰余金を分ければ、事実上の出資ができないわけではないらしいですけれども、地域医療連携推進法人の枠内での公益性が高いと判断された分野に一定の投資を認める、社会福祉充実残高部分については比較的弾力的に運用することが認められているらしいという話は聞いたのですけれども、地方独立行政法人の場合は全くできないので、何らかの資金融通の方法についてご配慮をお願いしたいと思います。
一般地方独法の場合には、剰余金の設置者への返還規定も制度上不明確なところがあります。この辺の整理明文化も是非お願いしたいと思ます。 連携推進法人自体は5年で制度見直しと聞いているので、あと2年半ぐらいで見直しがかかる筈ですそのときに資金投資や調達に関して何らかの弾力的な改正を期待しています。連携推進法人という言葉が、どうしても連携という言葉のほうが先に出て、法人としての本来の意味が少しあやふやになっているような気がします。運命共同体としての度合いをどこまで強めるのかは、今後のこの制度から引き出される実績度合で様々の形態が出て来ると思いますが、 大縮小時代を迎える地方の今後を考えれば、医療・介護・福祉の全く新しい広域共同事業体をつくるような方向、連携推進法人にもう少し新しい経営体という意味合いを強めたものができないものだろうかと個人的には思っています。
○田中座長 柴構成員、よろしゅうございますか。
では、千葉構成員。
○千葉構成員 大変貴重で、また興味深いお話をありがとうございました。
今の話の続きになるのかもしれないのですが、最終的に共同事業体になるとすれば、それこそ患者様に来ていただいて、診療をやって、またそれが介護に流れていってというのは、全部の報酬の収益なり、人件費というのが一元化されていくのだろうと思うし、今のところ、それを擬似的に連結決算のような形で評価していこうという取り組みだというふうに拝察しました。逆に言うと、現在ではそれぞれの医療行為なり、介護というのは、それぞれの参加している法人側の収益、費用になっているような気がするのですね。その際に、こちらの連結推進法人そのものの、一般社団法人としての例えば収益とか費用とか会費というのはどんなふうになっているのか。私が聞き漏らしたのかもしれないのですが、ちょっとわかったら教えていただけますか。
○栗谷参考人 一般社団としての連携推進法人の会費は年6万円。今のところ、事業はまだ何もしていませんが訪問看護ステーションを21年に一緒にしますので、そのときに初めて運営する事業部門ができる。 関係する事務業務や費用管理は、連携推進法人のほうで事務局など場所も含めて独立行政法人機構が日本海総病院内に「地域医療連携推進法人推進室」を設置して管理、調整しています。
○田中座長 一般社団としての財務は、本当に収入数十万円、支出数十万。
○栗谷参考人 言い忘れましたけれども、外部監査。6万円の会費に現在の外部監査費用をみると実態と監査が現実からだいぶ乖離しているので、そこのあたりも早急に改善していただきたいと思います。
○田中座長 まだ始まったばかりですからね。そんな状況です。
もうお一方ぐらい、時間がございますが、いかがですか。
○藤井構成員 先ほどお聞きした内容で、地域全体で危機感を共有し、それぞれの病院の困っている点といった、いわゆるウイン・ウインみたいな感じでうまくいっているイメージが湧いたのですけれども、連携事業の状況のところに、例えば地域フォーミュラリとか、今話に出た訪問看護ステーションの再編・統合というのが現に行われているのですけれども、この地域フォーミュラリもいわゆる薬剤を統一してバイイング・パワーを増そうとかそういう話ではなくて、かなりそもそも論でスタートしているように見えますし、訪問看護ステーションの再編そのものも、最初は余り大きな課題だったように思えないのですけれども、こういう一つ一つの、重要なのですけれども、もともとの大きな課題に比べれば、個別の課題がどんなふうにして取り上げられて現に動いているのかという点が1点。
それにひょっとしたら関連するのかもしれませんが、評議会のほうが5名いらっしゃって、県と市の福祉部長がお二人、医師会長、社協の会長、大学の教員ということですけれども、活動に関しての情報というのが、福祉部長と医師会長さんは日々関心もあるし、よくわかっている中で評議員としての意見もきちんと言えるように思うのですけれども、そうでない方々は年に1回とかで評議会として機能するのかどうかというあたりを教えていただければと思います。
○栗谷参考人 訪問看護ステーションの再編は、宏友会という、社福ではなくて一般医療法人の訪問看護ステーションが看護要員確保が困難となったこともあり市立の八幡病院訪問看護ステーションと地理的に近いので統合させました。
他には医師会の運営する訪問看護ステーションと本間病院の訪問看護ステーションも統合の計画です。同じ訪問看護ステーションといっても、地域の過疎化の度合い、スタッフの需給状況、経営スキルなど、さまざまな要因が絡んだそれぞれの特性があります。ただそれぞれカバーする地域は異なっておりなくなれば困りますから、それをどうやれば存続できるかという話から訪問看護ステーションの再編が始まりました。
連携推進法人理事会の中で、各訪問看護ステーションの状況が出たときに、危機感を非常に強く発言されたので、その中で統合再編も進んで行きました。
○藤井構成員 各法人がお持ちの経営課題を全部グループとしてやるわけではないと思うのですね。そうすると、理事会に参加している各法人が、連携法人の中で提案していくといいますか、問題提起していくものがグループとして取り組むものに取り上げられていく、そんなスタイルだと想像すればよろしいのですか。
○栗谷参考人 必ずしもそうではないです。提案というよりも何が喫緊の課題なのか。地方では訪問看護ステーションの課題は時間との闘いみたいなところがありますが、地方に住んでいない人は余り理解できないかもしれません。スタッフ確保も経営上の課題も相当差し迫っています。
我々は、これを連携推進法人事業の中に入れて、連携推進法人に参加の訪問看護ステーションをどういう形で持続運営が可能な形態にもっていくのかという話の中でこれが出てきた。
評議員の話は、実を言うと私も今まで余り考えたことがありませんでした。事業の細部について、財源、社会保障という制度の枠から大所高所で深掘りしていく議論はなかなか難しいですし今のところは評議員と理事会で事業評価を厳格に行うというようなところまでは行っていないです。
○田中座長 評議会は戦略を決めるところではなく、ガバナンスの話であって、理事会や理事がきちんと機能しているか、動いているか、不正はないかをチェックするのが社会的役割で、戦略を決めるのは理事会のほうですからね。評議会が新しい戦略を出してくると、かえって二頭政治になって混乱してしまいますから。この法人は大丈夫ですね。
初めての試みでありながらここまで来ています。おわかりのとおり、基本的に地域がこのままではだめになってしまうので、地域の中での教育訓練機能とかマネジメント機能を周りにも出すことによって地域全体がよくなる、そういう役割をこの連携法人は担っていると我々も理解できました。
本日はお越しいただきまして、どうもありがとうございました。
まだ御質問があるかもしれませんが、時間の都合もありますので、議題(1)はここまでといたします。
次に議題(2)「報告書案について」に移ります。事務局から資料の説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。私から、資料2の報告書(案)を説明させていただきます。
前回、こちらのほうから資料を出させていただきまして、活発な御議論をいただき、本当にありがとうございました。また、前回の資料と御議論の御意見、その後も各委員の方々に個別にお話をさせていただいた御意見、あと、実はこの事業展開検討会ですけれども、11月11日に社会保障審議会福祉部会に前回の資料と、そのときの御意見を報告させていただきました。その際に、福祉部会の委員の方々からも御意見をいただいています。意見書という形でもいただいています。こういったもろもろのものを踏まえまして、この検討会報告書を我々事務局としてたたき台としてつくらせていただきました。
では、報告書自体を説明させていただきます。
まず1ページ目を見ていただきますと、最初の事業展開検討会の問題意識でございます。そもそも社会福祉法人とはどういったものなのかというところを、そもそも戦後すぐのときから、社会福祉法人の意義、その後、平成12年の介護保険法の施行の変化、社会福祉法人の今日の意義と、平成28年の社会福祉法の改正の状況、ここまではまさにこれまでの歴史と現状が書いてあります。
「一方、我が国の社会の人口動態を見ると」という1ページ目の下から2つ目のパラグラフからですけれども、ここは今後の見通しでございます。先ほど栗谷参考人からもお話がありましたし、この検討会の第1回のときに資料を出させていただいたものですが、人口動態、これがこのまま福祉サービスの需要側になってくると思うのですが、一つのポイントとしましては、高齢者人口は2025年までは急速に増加しますが、その後、増加は緩やかになるという点。あと、これはマクロ的なニーズですが、実は地方においては相当動きに差があるというところで、都市部と地方部の高齢者の増加の状況の差がある。
もう一つは、サービスの供給側を考えた場合に、供給の担い手。福祉サービスはどうしても人件費率が高いというか、人材の集中のところですけれども、そういう産業の中で担い手の生産年齢人口の減少が2025年以降加速する。こういったような人口動態の変化がある。ここは押さえなければいけないなと思っております。
加えて、ではその人口動態の変化に伴い、人が減ると福祉ニーズが減るのかというとそうではなくて、ここにありますけれども、まさに共同体の機能の脆弱化とか社会構造の変化によって、実は福祉ニーズ自体が複雑化・多様化するのだと。そういう意味では、むしろニーズとしてはふえるとともに、その案件、案件が複雑化・多様化するのだと。こういったところが問題意識としてあるのではないかということで書かせていただいています。
そういった問題意識のもとに、社会福祉法人が法人の自主的な判断が前提ですが、地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供を可能としまして、かつ、経営基盤の強化を図るというところから、連携・協働化しやすい環境整備を図っていくというところを問題意識として書かせていただいています。その問題意識のもとに、1番以降で提言案として内容を書かせていただいているということでございます。
まず、大きく提言の内容としては、1、2、3と3本柱になっております。1番目が、主に1回目から3回目まで御議論いただいた「社会福祉法人の連携・協働化の方法」ということで、その際に3つの方法があるのではないかという形で整理されたと理解しております。
1つは、社会福祉協議会による連携とか社会福祉法人の法人間連携ということで、その後、社会福祉協議会についての現在の状況ないしは社会福祉協議会の活用ということで、積極的な活用を図っていくべきだというのが1、2、3回の御議論であったと思っております。その後、厚生労働省の取り組みを御紹介しつつ、法人間連携の更なる推進を図る必要があるという形になっております。
また、福祉ニーズの多様化と先ほど申し上げましたが、そういった中で地域貢献の責務を負っておりますので、そういった中で自主的に連携・協働化の取り組みを進めることが重要だという形になっておりますし、最近、特に台風等もありまして、災害時の支援体制についてもここで触れさせていただいているということでございます。
続きまして、(2)がその中核となる非営利連携法人の創設ということになります。ここは問題意識だけ書かせていただきまして、その後、具体的な制度については2番のほうで記述させていただいています。
(3)が、希望する法人が合併・事業譲渡に円滑に取り組めるような環境整備ということで、合併・事業譲渡についてのガイドラインの策定を進めるべきだという形。また、会計専門家による検討会。これは柴委員が座長を務めていただいていますけれども、こちらのことについても触れさせていただいているところでございます。
続きまして、2番が「社会福祉法人を中核とする非営利連携法人」ということで、連携法人の制度概要でございます。先ほどのような問題意識のもとに、連携・協働化の選択肢をふやすために制度を創設することが適当であるという形で、仕組みとしては以下のとおりとすることが適当であるとしております。
1つは法人格。これは地域医療と同様に、一般社団法人のうち一定の基準に適合するものを都道府県知事などの所轄庁が認定する仕組みとすることが適当だというふうに整理しています。
また、その連携法人の業務としては、社会福祉事業は行わずに、連携の推進を図ることを目的とする業務として、マル1からマル5まで、ここにありますような形で書いております。
5ページに参りまして、連携法人の業務を実施するに当たっては、連携法人が作成する「社会福祉に係る業務の連携を推進するための方針」というものをつくっていただき、この方針に記載して、所轄庁の認定を受けることが適当であるということで、所轄庁の認定の関与という形になっております。
「なお」のところで、災害対応。今でも、地方公共団体とか地方公共団体以外の団体でもいろいろ取り組まれて地方でやっていますので、そういったものと調和するように努めることが適当だということを入れさせていただいております。
また、一般社団法人は認定した形の連携法人でございますけれども、基本はマル1~マル5の連携を推進することを図ることを目的とする業務、方針に書いた業務をやることが中心の法人でございますけれども、その推進業務以外に、支障を及ぼすおそれがない範囲の業務を行うことは可能だと。ただ、あくまでも連携推進業務がメーンなので、支障を及ぼさない形にしてほしいということを書いてあります。
続きまして、連携法人に参加できる社員ということでございます。社会福祉法人を初めとする社会福祉事業を行う事業者のほか、社会福祉従事者の養成施設、連携業務に関する業務を行う者を認めることが適当であると。ただし、これは社会福祉法人の事業展開、社会福祉法人が中核でありますので、社員は社会福祉事業を実施している法人を2以上として、そのうち社会福祉法人が1以上であることを必須とすることが適当であるとしております。
なお、先ほど議題(1)で御紹介いただいた地域医療連携推進法人では、社員のうち参加法人という類型がございまして、参加法人はあらかじめ意見を求めなければならない仕組みがありますけれども、連携法人については、後ほど(7)の貸付業務を除いて設けないものとすることが適当であるとしております。
(4)活動区域ですが、医療の世界とは異なりまして、こちらのほうには社会福祉協議会というものが都道府県域、市町村域にございますので、連携法人の活動区域自体は自治体単位でも構わないのですが、自治体単位にかかわらず連携法人の自主的な判断で決めることが適当である。ただし、どこで活動するかという区域自体はあらかじめ方針に盛り込む。方針に盛り込むということは、当然、所轄庁が認定するということになりますので、そういったことは必須とすることが適当であるとしております。
連携法人の経費につきましては、貸付業務を除きまして、社員からの会費、業務委託費で運営することが適当である。貸付業務については、後ほど(7)のとおり行うことが適当であるとしております。
議決権につきましては、原則として社員は各一個の議決権を有することとし、一定の要件のもと、定款で別段の定めをすることができることとすることが適当であるとしております。また、連携法人が社会福祉法人を中核とした連携・協働化の選択肢であるという観点を踏まえ、議決権の過半数を社会福祉法人とすることが適当であるということで、社会福祉法人の中核だということを踏まえた御意見もありましたので、こういった格好で議決権のところには議決権の過半数を社会福祉法人とすることが適当であるということを入れております。
(7)の貸付業務ですけれども、社会福祉法人は収入・収益については法人外への支出が認められていない現状がございます。そのため、下の4つの○の仕組みにしてはどうかということで書いてあります。
1つ目は、貸し付けを受ける社会福祉法人ごとに、当該法人への貸し付けの内容を所轄庁が認定する仕組みとすること。2つ目が、貸し付け等の原資として、貸付対象ではない社員である社会福祉法人から連携法人への貸し付けを認めること。認める貸し付けの限度額は、連携法人の貸し付けが当該社会福祉法人の拠点において運営に影響を与えないようにするため、拠点から法人本部に繰り入れが可能な範囲で認めることとしております。3つ目の○が、連携法人は社員である社会福祉法人から貸し付けられた資金について、他の資金とは区分経理をし、社会福祉法人への貸し付け以外用途への使用は一切認めないこととしています。次に4つ目として、貸し付けを受ける社会福祉法人の社員が予算や事業計画等の重要事項を決定する際には、連携法人の承認を受けなければならないということでございます。
(8)地域の意見の反映でございます。これは、前回のところでも、連携法人がガバナンスを形成するためには、活動区域の地域住民の意向を十分に反映する必要があるということで、ここは詳し目に書かせていただいております。地域の福祉サービスの維持・向上に資する存在となるよう、福祉サービスを受ける立場にある者や、社会福祉に関する団体、地域福祉の実情を知る専門家、例示として社会福祉士を入れさせていただいておりますけれども、そういった専門家等の地域関係者から成る評議会を設置することが適当であるとしております。
また、この評議会自体は、連携法人の運営状況を評価する役割や、社員総会及び理事会に意見具申をする役割を持たせることが必要だと。また、評議会が把握した連携法人の運営状況の評価を地域住民に伝える仕組みもあわせて整備することが適当だとしております。
その他といたしまして、代表理事の選任、連携法人のその他の仕組みについては、地域医療連携推進法人の仕組みを参考に、以下のようにしてはどうかと。
1つ目は、代表理事の選任は所轄庁の認可を必要とする。また、理事会は必置とする。名称は「社会福祉連携推進法人」を基本に、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人であることが明らかになるものとする。3つ目として、連携法人の合併は地域医療連携推進法人と同様に認めないこととする。4つ目としまして、連携法人の社員は当該の法人の社員であるということを示すということ。5つ目は、連携法人の公益性に鑑み、次に掲げる項目等の法人のガバナンスについては社会福祉法人と同様とするということで、理事会・理事・監事・会計監査人の機関の設置、定款変更の所轄庁認可、財務諸表等の閲覧・公表義務、解散・清算の手続、残余財産の帰属先というふうにしております。
以上が連携法人の制度の枠組みについて記述した部分でございます。
最後に、3番目の柱としまして、この検討会でなるべく多くの課題が解決できればよろしかったのですけれども、今後の課題として、この中で委員の御意見があったものについてここに書かせていただいています。
最初に、この報告書自体は、社会福祉法人が人口構造の変化や複雑化・多様化する福祉ニーズに対応するため、連携・協働化が可能となるよう、既存の仕組みの活性化を図るとともに新たな制度を創設することを盛り込んだもの。今後、福祉サービスの質の向上のためには、こうした仕組みが実際に機能するよう、厚生労働省が関係団体と協力して取り組む必要がある。こうした観点から、社会福祉法人の実質的なガバナンスを高めるため、株式会社におけるコーポレートガバナンス・コードの社会福祉法人版を検討すべきではないかとの意見があった。また、小規模法人が会費の負担が困難なために結果として連携法人に参加できないことがないよう配慮すべきとの意見もあった。
一方、社会福祉法人本体の経営基盤を高める観点から、現行の社会福祉法人の会計に係る規制について見直すべきではないかとの意見があった。この「一方」のところの記載は、たしか前回宮田委員からも御指摘がありましたし、福祉部会でもこういったような御指摘がございました。要は、連携法人が貸付業務という形で認めるのですが、社会福祉法人内の資金の形について、今の規制を緩めるような形ができないができないかという御指摘だと理解しております。
それにつきましては、参考資料の2番を見ていただきますと、現行の資金の取り扱いについて整理をさせていただいております。これを見ますと、やはり福祉というといろいろなサービスがございますけれども、大きく分けますと、介護老人福祉施設の部分、あとは指定障害者支援施設の部分、こういったものは利用契約型のものでございます。また、保育所のようなものは委託という形でやっております。また、措置施設もまだ残っておりまして、これは措置という考えでやっております。そうすると、それぞれの制度にのっとって、それぞれの考え方にのっとった形で資金の融通の仕方がこれだけ差があるということをお示ししているものでございます。これは現状でございます。
また、貸し付けの話について出たと思うのですが、左から6番目と7番目の枠のところに、「同じ種別の社会福祉事業の拠点への貸付」、「異なる種別の社会福祉事業の拠点への貸付」とあります。今の貸し付けにつきましては、繰り替えの使用は、括弧にあります同一年度内ということであります。実は、介護老人福祉施設の場合は、同じ福祉施設であれば実は同一年度内という規制はございません。ただ、ほかのところは同じ種別であっても、異なる種別であっても同一年度内。異なる種別というのは、例えば介護から障害とか、介護から保育とか、障害から保育とか、こういったものについては同一年度内という貸し付けですので、例えば10月に貸したら3月までに返さなければいけない。年度を越えてはいけないということです。最大1年間です。そういうような形の規制になっているというのが現状でございます。
それを踏まえまして、戻っていただいて資料2の最後の8ページですけれども、現行の社会福祉法人の会計に係る規制について見直すべきではないかとの意見があった。特に、法人内の1年以上の貸し付けを認めるべきとの意見があった。この点については、厚生労働省において必要性、実施可能性も含めた検討を行うべきであるということで、これは検討会の報告書ですので、この事業展開検討会から厚生労働省に対しての宿題のような形での書きぶりにさせていただいています。
最後に、今後とも、地域における良質かつ適切な福祉の提供主体として社会福祉法人が事業展開していくことが期待されるということで終わらせていただいています。
次の9ページ以降は、資料として3枚ほどつけさせていただいたものとなっております。
私から以上です。
○田中座長 説明、ありがとうございました。
ただいまの報告書(案)についての意見交換を行います。どなたからでも結構です。御意見、御質問があればお願いします。
宮田構成員。
○宮田構成員 ありがとうございます。
私のほうから確認が1つと質問が1つですが、6月の取りまとめのときには社会福祉法人を主体とする非営利連携法人というような表現をされていまして、今回は中核という表現に変わっております。一般的には、主体というのは組織を構成する大半を占めることが主体という意味で、量的な概念だろうと認識しています。一方中核というのは組織の中心だという質的な概念で、今回、議決権のところで過半だということで、量的なところは担保したので、質のところを強調するためにこの言葉の変更を行ったという理解をしているのですが、それでよろしいかというのが1点。
その上で、今回、社員のところでは1以上が社会福祉法人で、それ以外のところは幾らでもよろしいというたてつけになっておりまして、一方、議決権のところでは過半が社会福祉法人だと。議決権というところでロックするわけですから、強固なことになっているのだろうと思うのですけれども、実際に、例えば社会福祉法人が1つでほかの法人が3つというような社員の構成になったときの議決権の過半をどう担保するのかというところを少し御説明いただきたいと思っております。
○田中座長 お答えください。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
主体となる、中核となるという言葉に、事務局としては実はそれほど強い意味を持たせたわけではございません。中核という言葉は、実は地域医療連携推進法人のときの検討段階では、医療法人を中核とするという言い方をしていました。そういったものを参考にして言葉を使っていただきました。質、量という意味合いを持たせることは、確かに宮田構成員がおっしゃるとおりなのですが、要は社会福祉法人の事業展開検討会ですから、当然ターゲットは社会福祉法人ということになります。
一方で、今いろいろな福祉サービスの主体がいろいろあって、イコールフッティングという議論もございますので、そういったものもきちんと踏まえた形の整理をしたほうがいいのではないかという、両方のことを考えながら使わせていただいていますので、例えば主体のほうは主体でも、中核は中核でも、これは検討会の御意思だと思っております。
その上で、議決権のところでございます。ここは福祉部会のときに委員のほうから御意見があって、たしか社会福祉法人経営者協議会のほうからもペーパーで意見書が出されている。そこでは社員の過半数となっていると思います。ここは社員の過半数という形にするのか、議決権が過半数とするのか、それは今、宮田構成員がおっしゃるとおり、議決権のほうがより議決には影響します。かつ、一定の要件のもとで議決権は1法人1票ということについての原則を変えることができると書いてあります。そこに社会福祉法人の議決権が過半数という要件を入れることによって、当然、過半数という要件を満たすための議決権の定款の変更というのは、そこは整合性をとらないと、そもそも認定されませんという形になっていますので、そこはそういうふうになっていくと思います。
ただ、そこはまさにここの検討会の御議論で、議決権という形でやったほうがいいのか、それとも社員の数としてやったほうがいいのか。社会福祉法人が数としてそろっていないとこの法人はできない形にしたほうがいいのか。そこは実際のニーズとか、この法人の意味合いも含めて御議論いただければと思っております。
○宮田構成員 ありがとうございます。ぜひ議決権のほうがより重要な決定権があると思いますので、その方向で進めていただけたらと思っております。
○宇野福祉基盤課長 それは、今の原案の方向でということですか。
○宮田構成員 はい。
○宇野福祉基盤課長 わかりました。
○田中座長 お願いします。
○原田構成員 今のところ、自分はちょっと意見が違いまして、逆に数の部分として、社会福祉法人がある一定なければ、議決権だけではいけないのではないか。つまり、連携法人そのものの意味を考えるときに、社会福祉法人の参加の割合が1法人しかなくて、それでいいのかというところは少し気になるところで、ぜひもう少し議論を深めていただければというのがあります。
もう一つは、総論のところで1ページのところですけれども、ニーズの複雑化、多様化という現状はそのとおりなのですけれども、地域共生社会の記述が全くなくて、業務のところに地域共生社会の実現という話が出てくるのですけれども、地域共生社会の重層的なセーフティーネットをきちっとつくっていくというときに、この法人の役割があるのではないかという文脈が位置づけられるといかがなというのがあります。
そこの部分で、先ほど言った4ページのところに具体的な業務として、マル1の「地域包括ケアシステムの構築も含めた、地域共生社会の実現に向けた連携」という内容には非常に幅があって、マル2、マル3、マル4とのバランスが悪いような感じがします。例えば成年後見利用の促進みたいなものはマル1の中に入ってくるのかどうなのかとか、そのあたりももう少し整理をいただけるといいなと思いました。
○田中座長 御意見ですね。ありがとうございました。
千葉構成員、お願いします。
○千葉構成員 今のお話の関連ですけれども、4ページの連携法人の業務の中で、マル1からマル5が方針に記載して所轄庁から認定を受ける対象となる事業となっていて、それ以外もできなくはないのだけれども、本体事業に影響しないようにということで、ある意味、附帯事業のような扱いになっているように思います。そうなると、逆にこの5つだけでいいのかという議論は考えておかなければいけないのかなと思います。
この5つで十分かどうか、何かこれを考えたときの機軸があったのか、これで必要かつ十分かどうかがちょっとわからなかったので、そこのところは事務局としてのお考えも聞きたいし、皆さんの御意見とかも聞きたいなと。
例えばITとかロボットを開発するときの共同的な受け皿とか、施設を建てかえるとき仮園舎をつくるのだけれども、1法人では無理だからみんなで共用できるものを共同で作ろうというときに、これのどれになるかというと、多分どれにもならないような気がします。でもそれは連携事業の一つの柱になっていくのではないかと思います。今言ったのは細かい事例かもしれませんが、要は連携法人になり得るための事業で現段階では想定されないいろいろな使われ方についても許容しておいたほうがいいのではないか思います。そこのところはほかの構成員の方々の御意見を聞きたいのと、つくった事務局としての御趣旨も聞きたいと思います。
以上です。
○田中座長 事務局に対する質問ですね。
○千葉構成員 できれば事務局と、皆さん、もし何か御意見があればお伺いしたいと思います。
○田中座長 お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
ここの業務のところは、まさに私どももこれで足りるのか足りないのかというのは御議論いただければと思っておりますけれども、我々がこういうふうに御提案した考え方を説明させていただきますと、連携というのはいろいろなことがあって、それをなるべくいろいろ幅広くやったほうがいいと思っております。そうは言っても、これは法律でありますので、やはり過去のいろいろな比較等も必要なものですから、そういったものもあります。
主にここで言うところのがマル3、マル4、マル5、これは地域医療連携の並びと考えていただいていいと思います。表現ぶりは違っても、基本的には地域医療に入っているものがマル3、マル4、マル5です。ただ、今回、社会福祉法人の連携法人として必要なものと事務局として考えたものとしてマル1、マル2を加えた。
マル2は、確かに今回、むしろ我々は、これは医療でも必要なのですけれども、時代背景ではないですが、まさに今の時代で、かつ、今は福祉のほうも災害対応が非常に重要だということは、恐らく福祉の関係者間で皆さん思っていらっしゃるのではないか。我が省の関係局もそう思っているところでありますので、そこであえて入れた部分です。
マル1は、先ほど原田構成員から御指摘いただきましたとおり、地域共生社会、今は別の検討会、原田構成員も御参加いただいている検討会でやっていただいていると思うのですが、私の思っている地域共生社会という大きな傘というのは、やはり社会福祉はいろいろな業務がございます。さっきみたいに、参考資料2のように4つぐらい主体があったとしても、それを包含して、もっと種別を超えた形でいろいろなニーズに対応できるようなものと考えております。
そういう意味では、ここは幅広く、もっと言うと、今やっている別の検討会よりももっと広く、地域共生社会というワーディングは使いつつ、また法律でも既に医療の世界では、高齢者向けですけれども、地域包括ケアというのも踏まえつつ、さまざまな今の福祉の課題、それは先ほど御指摘いただいた成年後見もあるかもしれません。そういったものは種別を超えてやっていただくようなイメージということを考えているところです。
だから、ここは法律上の定義としては、地域福祉のような形にはなってくると思うのですが、そういう中で幅広くマル1は読めた形にしたほうがいいのかなと思っております。
いずれにしても、今、千葉構成員からの御質問に対しては今みたいなお答えで、マル1、マル2は加えたもので、がマル3、マル4、マル5はもともとあった地域医療の並びということでございます。
○田中座長 藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 今まで御意見があったことについて、3点ほど。
まず1点目、原田構成員のおっしゃった地域共生社会についての書きぶりがこれで十分かという点は、私も全くそのとおりだと思いますので、そもそも地域共生社会を実現するために非営利共同セクターの核である社会福祉法人の事業展開に関する検討をやったという問題意識のもと書かれたほうがいいのではないかと思います。
2番目、千葉委員のおっしゃった、ここに書いてある業務のことでございますけれども、今回検討している社会福祉連携推進法人と地域医療の大きな違いといいますか、地域医療のほうは地域医療構想があり、あるいは地域における機能分担とか病床の調整といったようなものが中核にある話であります。それに対して今回の検討というものは、そこまで明確な政策課題があるわけではなくて、私の頭では全国津々浦々、どこの市町村にもあるインフラとしての社会福祉法人をいかに守るか、そのために合併していくという中間的な存在が必要なのではないかということと、それから連携してこそできる地公取のようなものをどう推進していくかという、その両方がある。
先々週末に、ここでも取り上げられたリガーレグループの6法人の理事長や施設長等に、リガーレグループの山田代表から頼まれましてインタビューしたのですが、実はこの2つの問題は別々の問題ではなくて、合併していく、共同していくというものの中に、地公取なんかの取り組みという基本的な考え方やビジョンがそろっていないと、よほど潰れそうであれば別ですけれども、なかなか進まないのだということがわかりました。
何が言いたいかと言いますと、この業務に関しては、マル1で様々なものが読み込めますが、限定列挙的なものではなく、例示が書かれているという整理でいいのかなと。ただ、千葉構成員がおっしゃった点については、これを活用して何ができるのかという意味で列挙しているということでいいのではないか。リガーレグループもそうなのですけれども、福祉村サミットという、100億円前後売り上げがある法人が20近く集まって、ことしで19年目の研修会をやっているところで発表させていただいて、事前にアンケートをとったのですけれども、リガーレグループもそのグループも約半数がこの地域福祉連携法人に期待する、自分の法人でも使えるとお答えいただきました。ただ、個別に何に使うのですかと聞きますと、非常に曖昧なケースが多いですし、いろいろなことに思いをはせている。したがって、そういったものをどうそれぞれに生かしていただくかというのは、次の段階の勝負になるのではないかと思います。
現に地域医療連携推進法人も、地域医療構想とは全く関係のないような形で、3法人、2法人が連携している、例えば透析の標準化みたいなことで連携しているといったケースも出てきておりまして、そういったものに多様に活用されていってさまざまな価値を生み出していくというのが重要なのではないかと思います。
千葉構成員のことに関して言うと、いろいろなアイデアになるものが掲載されていることはいいと思うのですけれども、ここにあるもの以外はできないという整理でない形であればいいのではないかと思っております。
今の話で、3番目の宮田構成員のお話になるのですけれども、先ほど栗谷参考人の話からも、地方部では本当に人口がどんどん減少していく中で社会がどうなっていくかわからないと。また、社会そのもののあり方も変わってくる中で、ニーズというものが複雑化、多様化と言いますけれども、一番重要なのは今まで考えもしなかったようなことがあらわれる。それを迅速に見つけ出して、見える化して対応していく。そして制度につなげていくというのが非営利共同セクターの非常に重要な役割であり、それの中核を社福が担うのだ、社福が担ってくれなければ困るのだという中で、この社会福祉連携推進法人に社福がどの割合で入っていただけるかということだと思います。
基本的には、私は社員にせよ、議決権にせよ、過半数という考え方は賛成ではあります。賛成ではあるのですが、実は私、連携法人をやろうよと仲間たちに呼びかけているのがあるのですけれども、今考えているところで呼びかけてすぐ集まってくれるそうなのが、社福が1つ、NPOが1つ、一般社団が1つということでこれだと社福が過半数にはならないのです。
社会福祉法人は絶対になければいけないですし、中核にはいなければいけない。それから、過半数以上あるべきという宮田構成員の意見に対して私も賛成でございますが、過半数を前提に考えると、例えば、2つの社会福祉法人が社員の場合,その他の非営利法人は1つしか参加できないわけで、例えば社員は今までどおりの位置づけにしていただいて、議決権に関しては半数以上ぐらいにしていただいたほうが、一歩後退させる形にはなりますけれども、社会福祉法人が中核になっていただく上でも、NPOや一般社団と連携してやっていくと。一般社団やNPOのほうが非常に身軽といいますか、さまざまな規制がない分だけいろいろなニーズに対応している部分が現状ではございますから、そういった部分の協働を考えたときに、過半数というのが私は具体的に考えたときに厳しい例があるという意味で、逆に言えば少しトーンダウンしていただいても。趣旨は、宮田構成員、原田構成員と全く一緒でございますけれども、もう一歩融通してもらえないかなというのが意見でございます。
以上です。
○田中座長 どうぞ、順番に。
○塚本構成員 ありがとうございます。
今の過半数、半数以上という考え方につきましては、私はやはり社会福祉法人が過半数という組織であってほしいと思います。
今回、この報告書案を読ませていただいて、これまでの議論を本当にたくさん盛り込んでいただいた報告書にしていただいたと思っています。
その上で、実は先日、長崎県の私ども私立保育園連盟の会員の先生方からお聞きした話です。カトリック系の保育園を運営していた法人が、法人合併で今までのカトリック保育を実践できなくなって、それこそ職員の過半数がやめてしまったという事例があったわけです。恐らくカトリック系の保育園を運営した法人がそうでない法人に吸収合併されたという事例だと思うのですが、長崎県です。保育の内容面でも、合併・事業譲渡というのは難しい大きな壁があるなというのを実感したところです。
そういった意味で、今回の中間的な位置づけの連携法人というのはぜひ進めていただけたらと考えているのですが、前回も発言させていただいたのですが、元気なうちに法人が連携法人に参加するような仕組みが必要ですねと申し上げたのですが、先ほど栗谷先生がおっしゃったように、医療報酬のアドバンテージとか内部留保の弾力化というような、社福の連携法人にも一定のインセンティブがあれば、経営が難しくなったところも参加できるということではありがたいなと。保育は1法人1施設というところが多いものですか、ぜひそんなことも考えていただくとありがたいなと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。宮田構成員、どうぞ。
○宮田構成員 やはり私は、社会福祉法人の中核性なり、主体性なりを強固に担保するためには、過半数の議決権なり、社員の数が必要なのだろうと思っております。
そういうところでもう少し意見と質問ですが、最後の「連携・協働化に向けた今後の課題」の部分で、私から提案させていただいた法人内の1年以上の貸し付けというのを明確に入れていただいてありがとうございました。その上で、本部経費の拡充、それは各施設から本部経費への繰り入れ上限の拡大と法人内の使途制限の柔軟化も含めてですけれども、そういうところもぜひここに加えていただきたいというのが1点。
もう一つは、最後の課題のところで、株式会社におけるコーポレートガバナンス・コードの社会福祉法人版の検討ということが書かれていますけれども、これにつきましては、私の理解としてはこういったものは行政から強制されるものではなくて、経営協なり、いろいろな業界団体としてつくっていくべきものだろうと考えております。その認識でよろしいかということを確認したいと思います。
以上です。
○田中座長 お願いします。
○宇野福祉基盤課長 今、お話があった件は、最後の件をお答えすればよろしいですかね。ここは、私どもとしましては、これは具体的には藤井構成員から前回御意見があったソフトローというのをここに表現したつもりでございます。ですので、私どもがやるかやらないかというよりも、ここはまさに御意見があったということで書かせていただいていますので、今すぐこれをどういうふうにしてやるかというのは、また今後の我々の検討になりますけれども、逆に言うと、私どもは藤井構成員の御発言をこういう形に表現したのですが、逆にこれは藤井構成員の意図に合っているか、合っていないか、またこれをここに表現するかしないかということについては、また検討会で御議論いただければと思っております。
○藤井構成員 私のほうから。コーポレートガバナンス・コードというのは、今ありましたようにソフトローでございまして、それを守らないから何かにひっかかるということではないのですけれども、株式会社の場合は上場企業が守るべき行動規範として東京証券取引所と金融庁が共同でつくったものでありますので、政府が関与していることは間違いないと思います。
私の趣旨とすれば、例えば、今、理事会には外部理事が参加する必要はないということになっておりますが、やはり必要なケースもあるのではないかと思います。あるいは、活用することに意義があるケースもあるのではないかと思うのですけれども、そういったことに対する考え方がどこにも存在していない。だから、外部理事は別にいなくてもいいのではないかという話になりかねないわけです。
そういった一つ一つの考え方みたいなものを整理されたものがあり、経営協でおつくりになれば、恐らくこれは社会福祉法人全体が参照していただけることになるのですけれども、さらに厚労省のほうでもこういうものが出ているということを所轄庁にお示しいただいて、これはハードローではない、ただし、こういう趣旨というものは守るべき基準としてあるので、この基準を守らない場合には理由があるから守らないのだということを言及せよということになっていますので、こういうのは参考にしてくださいというぐらいの、ニュアンスで現実の運用はいろいろ変わってくるのですけれども、とにかく国のほうでルールとして出すものではない。業界団体の自主的な要素というのは非常に強いものであるという想定でございます。
以上です。
○田中座長 答えますか。いいですか。
○宇野福祉基盤課長 はい。
○田中座長 では、千葉構成員、どうぞ。
○千葉構成員 ガバナンスの関係ということで、ガバナンスというキーワードに絡ませて何点かお話し申し上げたいと思います。まず、今の点については、コーポレートガバナンス・コードの社会福祉法人版ということで、あえてそれをつくるかどうか。それは、さきの社会福祉法人の制度改革ではいろいろなガバナンスの話もあって、公益財団よりもさらに強い、いろいろなガバナンスの仕組みというのを入れたばかりで、そこにこのガバナンスコードを考えるというのは、やり方を間違えると屋上屋になってしまうおそれもあると思います。そう性急になる必要はないのではないかというのがまず一つあります。
むしろ、ここで書くべきものがあるとするのであれば、連携法人のほうのガバナンスのところをもうちょっと明確にしておいたほうがいいのかなという気がしております。当然、報告書の中でも、ガバナンスの関係については、例えば7ページの下のところの○で、社会福祉法人と同様のものにするべきということで列挙されていますが、こんなものもしっかりやっていく。要は社会福祉法人並みということを多少意識しながらということが必要かなと思います。
なぜそんなことを言うかというと、今回、連携法人の器になるものというのが、一般社団財団法に基づく一般法人である一般社団法人。これは御存じのとおり、法人の設立には準則主義で設立ができます。法務局で登記して、公証人役場で認証を受ければ、別に所轄庁の認可もなくても設立できるし、やめるのだって所轄庁の認可もなくやめられるわけです。というので、所轄庁、公的なコントロールが全くない法人の器だというのをまず活用の前提にしているということを念頭に置いておくべきだと思います。
その中で、今回はあえてそこに所轄庁というものを置いて、方針に対して認定をしてというようなつくり込みが、多分医療連携法人に準じた形でやられるのだろうということです。ここで問題になるのは医療連携法人と同じ仕組みでそれを担保するだけでいいのかという問題であります。というのは、社会福祉法人というのは医療法人よりも格段にその辺の規制レベルが高いところでありますので、仮に福祉の連携法人が医療連携法人と同じレベル感だと、そこの規制レベルは相対的に極めて緩いものとなってしまいます。規制レベルの緩いものときついものとがくっつくと、大体緩いところにしわ寄せが行って、下手をすればそこが不正の温床になったり、場合によっては不適正な事例が出て、社会福祉法人の信用を毀損したりしかねないということも起きます。そこのところは十分慎重に検討するべきなのではないかと思います。
もう一つ言うと、今申し上げた所轄庁がないということなので、この報告書の中には所轄庁という項目をしっかり書き込んでおくべきではないか。それがどんな権限があるかというのを具体的に書き込めないまでも、一定の社会福祉法人の所轄庁の権限を参照しつつ、所轄庁には権限を与えるみたいなことは明記しておくべきではないかと思います。
その上、さらに申し上げれば連携法人にある一般社団法人については、皆さん御存じだと思うのですが、一般社団法人に適用される会計基準は実はないのです。一部、公益認定を目指す法人等については公益法人会計基準というのがあるのですけれども、一般法人についてはないというのが通説でありまして、そこについても、例えばこの後、私が申し上げたいと思う貸付業務のところでは、例えば経理を分けろ、しかもほかのをまぜるなということで言うと、貸借対照表まで分けなければいけないことになると思うのですが、それは公益法人会計基準でさえ、そこまでの規定はないのです。ある意味、社会福祉法人会計基準ぐらいまでしっかりしたものを作り込まないと、そうした会計の区分も実現できないのではないかという気がしております。
そういう意味では、社会福祉法人の連携法人というものの設計は、相当その辺のしっかりとしたガバナンスを確保するべきというようなことを報告書のどこかに書き込んでおく必要がある。一番落ちつきがいいのは、7ページの「(9)その他」のところあたりの中に書き込むのが一番いいのかなと思うのですが、そういうところでガバナンスについては、社会福祉法人と同様とするということの中にそういうのも入れておくべきではないか。
もっと言うと、言ったついでに今の7ページのところで言えば、連携法人のガバナンスについてということで社福同様になっていますが、ここに列挙されているものの中で、例えば所轄庁による監査・指導みたいなものが入っていない。つまり、何かあったときにちゃんと是正が求められる状態になっていない。指導監督で大きな穴が開いてしまう。それは民のやることだから、民ベースの契約だから何も口を出せないということになってしまうと、この法人制度の大きな欠陥になるのではないかということもあると考えられます。そういうことも含めて、しっかりしたガバナンスと、制度的にしり抜けのないようにするということは重要ではないか。やり過ぎるとまた連携が進まないという問題もありますから、その辺はバランスの問題だと思います。そこのところはぜひ御検討いただきたいということであります。
最後に1点だけ、貸付業務の関係ですけれども、本当にお金が動くことを伴いますので、なおさら不正の温床にならないようにということで、よほど注意しておく必要があるし、また、どの程度厳格にやるのか、福祉医療機構の貸付審査や債権管理みたいなことをしっかりやるのかというと、そんなことはないと思うのですね。となると、例えば融資判断、これを融資していいのかどうかという融資の可否の判断の専門家がいるのかとか、それが専用の職員を雇うのかという問題も起きてくる。また、一旦貸したら、それがちゃんと返っているのかを誰が管理するのか。今月返せないから来月、来月返せないから再来月というのを、何となくずるずると許しているようなことをやると、それは多分破綻に向かって突っ走っている予兆になる可能性もあるわけです。
そうなると、そこに拠出した法人の財産が全部貸倒損失で吹っ飛ぶわけでありますから、そこのところについて、この法人制度では拠出した財産はどぶに捨てたつもりでやりなさいということを言うのかどうか。それも含めて貸付業務については相当しっかり考えてつくっておかないと、後々難しいことが起きるのではないかと思います。特に貸付先の法人が破綻した場合だと、その法人が抱えている別の債務について、債権者集会で切った張ったをするということが本当にこの法人でできるのかとか、いろいろな問題が多分あると思います。そういうことも含めて、慎重な検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○田中座長 課長、どうぞお願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
今、千葉委員の御指摘いただいた件は、大きく分ければ2点かもしれませんけれども、4点。まず、ガバナンスのところにつきましては、御指摘のとおり、確かにこれは一般社団法人がベースになって、ただ、これは所轄庁というか、社会福祉法人と同じような形の事業区域に分けたそれぞれの公的な都道府県なり、市町村なり、あるいは厚生労働省なりが認定しないと社会福祉の連携法人はできないという仕組みになっていますので、そういう意味では、法律用語的には法人の設立ではありません、認可という言葉ではないのですけれども、そういう意味では同じような形で認定という形で、それがないと単なる一般社団法人ですから、一般社団法人の業務を規制することはできませんけれども、ここに掲げられているような連携業務、特に貸付業務はできませんので、そういう意味の法律効果というのは当然生じます。そういう意味での認定はございます。
ここの所轄庁の定義というのをもう少し書いたほうがいいという御指摘は、私も確かにそう思いましたので、そこは修正したいと思います。かつ、所轄庁についての役割は、それぞれの業務ごとに書いてあります。例えば代表理事は所轄庁認定だとか。だから、これは座長とも御相談ですけれども、それはそれとして書いておいて、重複かもしれませんけれども、あえて所轄庁というところにまた同じように2度でも書くかどうかとか、そこは工夫させていただきたいと思います。
あと、会計基準の関係だと思いますけれども、会計基準は確かにここには書いていないので、これは書いたほうがいいと思いますが、今のところ我々が考えているのは、今、社会福祉法では会計基準を省令で落としています。その規定はこの法人にも準用するつもりです。ですから、ここの会計基準は省令で書き込むことになると思います。ただ、社会福祉法人会計基準を適用するのか、それともこれと別途の会計基準、また連携法人向けの会計基準をつくるのかは、これからの検討だと思っています。
ちなみに、地域医療は地域医療用の会計基準をつくっている形になっています。ただ、それを検討するのにかなりの時間がかかって、施行までに1年半ぐらいかかっているのです。そういった時間との関係も含めて、ここは検討させていただきます。いずれにしても、会計基準がないというわけではなくて、何らかの社会福祉法人会計基準ぐらいのものは適用されますので、逆にここはむしろ書いたほうがいいのかもしれません。
またもう一つ御指摘いただいた、監査・指導の部分も当然それは準用しますので、そこももしかしたら書いたほうがいいのかもしれません。そこは検討させていただきたいと思います。
あと、貸し付けのところは、確かに私どもも実は地域医療連携推進法人のところの貸し付けはほとんど通知では書いていない、どうぞ御自由にという言葉は悪いかもしれませんが、制約がない形になっていますけれども、そこは医療法人と社会福祉法人はかなり違いますので、そこのところの御懸念もありますので、そこは運用のところでも我々も慎重にはやっていきたいと思っています。
ここの法人をここまでまとめていだたきましたので、まずは始めていただくことが必要だと思います。慎重な形で進めていきながら、不都合な部分を直していくという形のほうが、よりこの法人としてはいいのかなと思っていますので、そういう意味でも貸付業務のところは慎重にやっていきたいと思っております。そのあたりをこの報告書に検討会の御意思として書くのであれば、どう表現するかはまた御相談させていただきたいと思っています。
○田中座長 久木元構成員。
○久木元構成員 意見と質問をさせていただきたいと思います。
まず意見としては、例の議決権の件につきましては、私どもとしても過半数でぜひお願いしたい。と言いますのも、やはり社会福祉法人の経営基盤を強化する目的であったり、あるいは中核とした役割を社会福祉法人に求められているという観点からして、この内容どおりで進めていただきたいと意見として出させていただきます。
質問ですけれども、千葉構成員のほうからも、所轄庁の関与についての質問ですが、代表理事は認可、貸付業務等々については認定と、あえてそこは書き方を変えているだろうと私自身は認識をしているのですが、貸付業務について所轄庁が認定する認定ルールにつきまして、ここは国が示していくのか、あるいはもう所轄庁に委ねて、裁量のもとにいわゆる自治事務の範疇の中で取り扱うのか、ここを一つ質問させていただきたいということと。
先ほど来出ているように、貸し付けを行う場合に、その社会福祉法人で措置施設を運営している場合は直接公金が入っているわけでありますので、そこの取り扱いは慎重にしていかなければいけませんし、チェックをどうしていくのかという観点からすると、執行状況につきましては、恐らく認定をした所轄庁がそこをしっかりチェックをする仕組みを考えておられるのだろうと思いますけれども、ここのところをどういうふうに仕組みとして考えておられるのか。この2点を質問させていただきたいと思います。
○田中座長 質問にお答えください。
○宇野福祉基盤課長 質問の件で、貸付業務のルールにつきましては、今後の検討会の御意思もありますし、その後、実際に法案として出していくときの調整過程、その後の国会とかでいろいろな調整過程もありますので、ここでこうやるということを言うことはなかなか難しいのですが、私としましては、社会福祉法人がこれまで所轄庁なりなんなり、あとは各法人にお示しした形の、今までの積み重ねからすると、当然、医療連携のようにある程度フリーというわけにはいかないのではないかと思っております。それはこちらのほうで何かしら示していきながらとは思っております。
どこまで箸の上げ下ろしまでやっていくのか、そこはもう少し自由裁量で行くのかという部分があるかもしれませんけれども、そうは言っても非課税だという法人が社員であること、あとは公金が入っているということも踏まえますと、私が先ほど慎重に行きたいというのは、そういう意味で慎重にやっていきたいと思っております。
今のところここに書いてあるところでの整理をしますと、まず連携法人が貸付業務を行う際には、ここにありますとおり、貸付先はどこの社会福祉法人か、あとは貸し付けの原資を出す社会福祉法人も含めて方針に書き込んでいただく。それは一件一件書き込んでいただく。一件というのは、貸付先の社会福祉法人ごとにやってもらうという形ですが、これは認定という形になります。
実は、地域医療連携推進法人は、最初のできた設立のところで方針を認定して、そこでおしまいなのです。ただ、今回、社会福祉連携推進法人は方針の変更も認定という形にしております。そういう意味では、一件一件の貸し付けはこの連携法人の所轄庁の認定になります。
また、原資を出す法人は、貸し付けをするためには定款変更が必要になってきます。社会福祉法人自体の所轄庁も、当然、貸し付けということは知っていただく。貸付金額自体は、毎年度毎年度、財務諸表等で確認できますし、そういう意味では監査の中でも当然チェックしていただかなければいけないになってくると思います。
また、貸し付けを受けるほうの法人も、貸し付けを受けるわけですから、受ける形では定款変更等が必要になってきますので、そこでまた貸し付けを受ける社会福祉法人も当然わかっている。社会福祉法人の所轄庁もわかっているような仕組みを考えているところでございます。
そういうふうにして、どうしても今回、そもそも法人外流出が禁止になったところについての仕組みをつくっていくので、そこは少し慎重な形でやっていきたいなと思っております。
医療連携法人も貸付業務という業務はあるのですが、実際にやっていらっしゃる連携法人は今まで皆無でございます。そういう意味では、そういったものも踏まえながら、今後、ここは慎重に検討していきたいと思っております。
○田中座長 あと二人ぐらいですね。本永構成員、そして藤井構成員。
○本永構成員 業務のところへ戻るのですけれども、ここの書きぶりから言うと、連携の推進を図ることを目的とする業務としてマル1~マル5を対象とすることが適当であるというのがあって、その後段に、マル1~マル5の業務以外の業務を実施することについては、マル1~マル5に支障を及ぼすおそれがない範囲にとどめることとすることが適当であるという書きぶりなので、この書きぶりだと、マル1~マル5はこの法人としてある意味必須で、ここのところは必ずやってくださいねと。それ以外のことをやるのでも、影響を及ぼさない範囲でやってくださいねと。つまり、マル1~マル5が、先ほど来、これは例示ですということなのですけれども、この書きぶりだと、マル1~マル5を全部やらなければいけないと思いませんけれども、これを主たる目的として行う事業としてはここの中のマル1~マル5の事業は必ずやってくださいね、どれかはやってくださいねと読めるのですけれども、そういう意味合いでとっていいのか。
そうした一番初めにやる、地域共生社会の実現に向けた連携を社会福祉法人等が連携して対応するためということを、議決権の問題で言えば、方針を決めるのは当然議決権ですけれども、実施するということを考えると、社会福祉法人の数が過半数以上ないと中心になってできない。1人が3票持っていたとしても、行動するときには1でしかないので、そういうことになると過半数を超える構成員が社会福祉法人であるというほうが、業務を実施する場合には実効性を得るのではないかなと思うのです。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございました。
この業務のところは、正確に申しますと、マル1、マル2、マル3、マル4、マル5のいずれかはやっていただかなければいけない。それは義務です。それがないと連携法人にならない。ただ、マル1、マル2、マル3、マル4、マル5を全部やる必要はない。例えばどれか1つであってもいいし、2つでもいいし、3つでもいいというつもりで書いています。もしそうは読めないというのであれば、御指摘いただければ修正しますけれども、マル1、マル2、マル3、マル4、マル5はどれか1つ以上はやらなければいけない。それは必須です。ただ、マル1、マル2、マル3、マル4、マル5全てをやれということではありません。だから、貸付業務をやらなくてもいいです。ただ、どれをやるかというのは、あらかじめちゃんと方針に書いてもらわなければいけないということです。
○藤井構成員 先ほど千葉構成員と久木元構成員からありましたガバナンスと貸し付けの件ですが、連携法人のイメージといいますか、あり方ですが、マル5の貸し付けというのはかなり特殊だと思いますが、今のマル1から特にマル3までで言いますと、社会福祉事業をこの連携法人で行わないという方針ですから、各事業を行うのは、本永構成員がおっしゃるように各法人がやると。この社会福祉連携法人は、方針とか考え方、やり方を決めるということにならざるを得ないのかなと思います。
一部は連携法人自体が主となってやるものがあるかもしれませんが、基本的に社会福祉事業をやらないということですし、先ほど栗谷参考人のほうから年間6万円ぐらいのものでやっているということでございますし、貸し付け以外に関して言うと、連携法人そのものは全体の意思決定をしていく機関に等しいものであると考えますと、千葉構成員がおっしゃったガバナンスは厳しくあるべきという部分について言いますと、私は社会福祉法人が中核になって連携になる法人なので、社会福祉法人並みというところまでは理解できるのですけれども、余り厳しくしなくてもいいのではないかと思っております。
例えば本文には明言されていませんけれども、資料の9ページなんかでは理事会に理事6名以上及び監事2名以上と書いてありますけれども、法人が3つ、4つ集まるぐらいの連携法人ができたときに、理事が本当に6名要るのだろうかとか、小規模な年間10万とか15万しか収入がないところに監事が2人要るのだろうか。貸し付けに関しては、貸し付けをかなり厳しく、なおかつ不正が起きないようにしていただくチェック及びガバナンスの仕組みは必要だと思いますけれども、それを行わない社会福祉連携法人であれば、そこまでのチェックは必要ないのではないか。社会福祉法人そのものが、公金が入っている、税をとらないということで厳しいチェックをするということは当然だと思いますし、それでも現に不正がごく一部起きている問題があるということを厳正に受けとめるべきでございますけれども、一方で社会福祉法人がNPOや一般社団に対して社会のニーズに迅速に応えるという面でなかなか十分ではないというのは、私はいろいろな形で縛り続けてきた、それが問題だと思っておりますので、この一般社団はむしろ縛らないようなやり方をすべきではないか。連携法人であるその分だけ一般社団そのものが不正は起きないものである、起きにくいものだと思っております。
そのあたり、千葉構成員がまさにおっしゃったとおり、バランス論だと思いますけれども、バランス論をもとに、どういうふうな制度にできるのかよくわかりませんけれども、例えば連携推進法人の事業がかなり大きな金額になった場合にはガバナンスは厳しくあるべきかもしれませんけれども、連携推進法人は方針とか考え方を決める機関のようなものであれば、そうした厳しいチェックは不要なのではないかと思います。
以上です。
○田中座長 時間になってきたので、短目にお願いします。
○千葉構成員 1点だけ確認ですけれども、前から気になっていたのですけれども、社会福祉事業は行わないという今の連携法人の話ですが、社会福祉事業という社会福祉法第2条に掲げられていない事業だったら事業は行えると考えてもいいのでしょうか。
○宇野福祉基盤課長 お答えします。それは、先ほどのページで言うと5ページ、業務のところです。上記マル1~マル5の連携の推進を図ることを目的とする業務以外の業務を実施することについては実施可能とするとしていますので、ここで実施可能だと思います。
○千葉構成員 それは、マル1のほうには入らないのですか。
○宇野福祉基盤課長 マル1のほうに入るというのは。
○千葉構成員 例えばこども食堂をやるとか、そういうものはマル1の業務としてやってはだめですか。
○宇野福祉基盤課長 それは社会福祉事業ではない形ということですか。
○千葉構成員 こども食堂は社会福祉事業ではないですよね。
○宇野福祉基盤課長 そうですね。
○千葉構成員 ですから、そういう事業はマル1としてやってしまう。
○宇野福祉基盤課長 それは別にやっていただいても構わないと思います。だから、あとはそれを実際にどういうふうにやっていくか。
時間もあれですが、先ほどの藤井構成員の御指摘も踏まえて答えますと、確かにマル5の業務とマル1~マル4は確かに若干変わってきます。確かに業務の内容において、全部軽いものかというと、例えばマル3なんかは、後ろの図にも書いてありますけれども、ここが実は人材を確保する主体になる可能性もあります。そうすると、これは会費だけではできませんので、例えば各法人の委託費みたいなものが入ってきます。
あと、マル4のところは、先ほど千葉委員が最初のほうにITロボットはこれでは読めないとおっしゃいましたが、実はマル4はITのところのセンサーとかロボットを読めるためにこれを入れたものなので、マル4とかになってくるとこれはかなりの費用が。これは当然委託費とか対価のあるお金ですから、対価性がある形でできます。そういうものがあります。
その意味では、マル5以外は全てもっと軽いので緩くすることができるかというのはなかなか難しくて、やはりマル1~マル5まで一体となる形で法人としてのガバナンスは考えなければいけない。ただ、マル5につきましては、それとは別に貸付業務というところに付随するとして、どういうふうに整理していくかというところになります。
いずれにしても、きょうの御意見を踏まえまして、ここのガバナンスのところはまた整理したいと思いますので、お願いしたいと思います。
○田中座長 皆さん方の質問を通じて大分理解が深まりました。きょうはここまでといたしますが、事務局におかれてはきょうの意見を踏まえて報告書案の修正を行い、次回の検討会に提出をお願いします。また、委員の皆様、それぞれ考え方があれば、何らかの形で事務局に伝えていただいても結構です。そろそろまとめなければいけません。大分理解が深まったので、きっとよいものができるものと期待しております。
事務局から何か、今後について説明はありますか。
○高坂福祉基盤課長補佐 次回の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○田中座長 では、本日の検討会は終了いたします。また、参考人にはお越しいただきましてありがとうございました。御多忙の折、お集まりいただき、貴重な発言に感謝いたします。

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社会・援護局福祉基盤課

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