薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会 令和元年度第3回運営委員会

日時

令和元年11月22日(金)16:00~18:00

場所

航空会館貸会議室701+702会議室
(東京都港区新橋1-18-1 7階)

出席者

出席委員(8名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 大隈 和



日本赤十字社:敬称略
     
  • 瀧川 正弘
  • 石丸 健
  • 後藤 直子




事務局:
 
  • 石川 直子  (血液対策課長)
  • 菅原 高志  (血液対策課長補佐)
  • 松永 夏来  (血液対策課長補佐)
  • 富樫 直之  (血液対策課長補佐)
  • 田井 貴    (血液対策課長補佐)
  • 大島 雅和   (需給専門官)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.各調査会の審議結果について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

○松永血液対策課長補佐 定刻より早いのですが、皆様お揃いになられましたので、令和元年度第3回血液事業部会運営委員会を開催します。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の皆様方におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 まず、本日の出席状況ですが、委員8名全員に御出席いただいていることを御報告します。また、本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室の大隈和室長にお越しいただいています。また、日本赤十字社血液事業本部より、瀧川正弘経営企画部次長、石丸健技術部次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいています。

 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。

 本日の会議についてはペーパーレスで行わせていただきます。資料はお手元のタブレットを御覧ください。議事に入る前に、本日の資料の確認をさせていただきます。タブレット上に、マル1議事次第からマル13資料3-4までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合については、お近くの職員にお声かけください。タブレットの使用方法については、お手元のペーパーレス審議会タブレット操作説明書を御覧いただき、御不明な点等がありましたら、事務局までお声かけください。

 間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。これ以降の進行は、田野﨑委員長にお願いいたします。

○田野﨑委員長 皆様、こんにちは。それでは、議事に入りたいと思います。まず最初に議題1の「感染症定期報告について」、事務局より資料の御説明をお願いします。

○富樫血液対策課長補佐 資料1-1、資料1-2を説明させていただきます。まずタブレットで、資料1-1をお開きください。本年の6月から8月に受理した感染症定期報告についてです。合計7件あります。

 2ページ目を御覧ください。右端から2列目の番号で「1」の行になりますが、こちらはA、B、C型肝炎に関する報告です。それぞれにワクチンや有効な治療法等があるにも関わらず、相当の罹患者がおり、A型肝炎であれば2016年以降、複数の州においてヒトからヒトへ蔓延を伴うアウトブレイクが起きていることや、C型肝炎の新規症例の増加が見られること。また、最近のウイルス性肝炎感染については、注射薬物使用による増加が見られるという報告になっています。

 次に番号2です。こちらは米国におけるA型肝炎の発症率についてです。近年、薬物使用者やホームレスの間で多発するアウトブレイクに関連して発生が見られるなどの報告となっています。

 番号3、こちらはE型肝炎に関して、ドイツのポール=エールリッヒ研究所では、献血者にE型肝炎検査が必要として、その要件を定めたものとなっています。製品によっては2020年、あるいは2021年1月からE型肝炎検査を義務化するという報告となっています。

 続きまして、その他のウイルスになります。番号4に関しては、原因不明の熱性疾患により内モンゴル自治区の病院を受診した患者から未知の分節RNAウイルス(Alongshanウイルス)が発見されたという事例報告となっています。

 番号5ですが、こちらは米国において、ウシ白血病ウイルス(以下BLV)のヒト血球中への存在の有無、BLV抗体の血球感染への関連について調査された報告となっています。こちらは、抗体の存在とBLV DNAの存在との間に有意な相関関係は見られていないと報告されています。

 番号6は、バングラデシュにおけるニパウイルスの集団発生に関する調査で、その感染リスクに関する報告となっています。

 最後、その他ですが、番号7、米国食品医薬局より業界向けガイダンスで「輸血によるバベシア病の伝播のリスクを低減するための勧告」が発出されたという報告となっています。

 資料1-2については、文献の詳細をまとめています。資料についての説明は以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。本年の6月から8月までの3か月間での7件ということで、大隈参考人から何か追加で御発言いただければと思います。

○大隈参考人 国立感染症研究所の大隈です。宜しくお願いします。私からのコメントは、研究報告3のE型肝炎ウイルスHEVでの感染に関してのみコメントさせていただきたいと思います。

 ドイツのポール=エールリッヒ研究所は、近年のHEV感染報告の増加を受けまして献血血液においてHEV検査を実施することを決定しました。一応、血液製剤を投与されるレシピエントの安全性を第一に考えたということで、血液製剤に関する血液全般にわたってHEV検査を実施することにしたとのことでした。今回、輸血用に加えまして臍帯血等も対象になっていますが、この血液に対して特別に急ぐ理由は特にないということで、他のものと一律に実施するということにしたということをポール=エールリッヒ研究所の担当者の方に一応、確認を取っています。日本でも同様の時期に検査を導入予定ということですので、今回の報告を受けて、新たな対応の必要性はないか、少ないのではないかと考えています。以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他の委員の皆さんからは。

○岡田委員 A型肝炎の件に関して、我が国においても去年、A型肝炎が例年よりも数倍多かったことが報告されていて、そのうちの何分の1かはMSMの方に起こったということです。それは台湾で流行していた株が日本に入ってきて、台湾はヨーロッパのMSMの間で流行していた株が入ってきたということで、結構、A型肝炎のMSMを介した感染というのが問題になっています。

 3番のE型肝炎に関しては、輸血用血液ではなく造血幹細胞移植に関するものも検査を導入するということになっていて、2012年にどの程度の献血者が感染しているかという評価がもう終わっていて、そうすると日本と同じぐらいの頻度でRNAが検出されるということです。導入は時間の問題かなと思っていましたので、実際はそうなりました。

 5番で、初めて聞く人はびっくりするかもしれませんが、ヒトの血液の中からウシの白血病ウイルス、これはレトロウイルスなのですが、そのDNAが検出されたというのが報告されています。これまでもヒトの乳がんの組織から、このBLVが見つかったという報告はいくつかあります。それを否定するような報告もありますので、この報告が本当に正しいかどうかと、今後、様子を見る必要があると思います。

 7番のバベシア症のスクリーニングですが、我が国では輸血による1例のみの感染が起こっていますが、米国では結構症例が多いです。それで導入ということになりましたが、一応、核酸増幅検査によって検出するということが書いてあります。このガイドラインで、何か新しい検査をするときに、どういうように判断して、その後の陽性になった人をどのように扱うかというところまで、このガイダンスに書いてあるのです。ですので我が国においても、もし新たな病原体の検査を導入するときというのは、このガイダンスを参考にするとスムーズに導入することができるということで、結構、バベシアには関係ないのですが、このガイダンスの中身はよく書かれているということを、ここでは紹介したいと思います。以上です。

○田野﨑委員長 貴重な御意見、どうもありがとうございます。他に委員の先生方から宜しいですか。

○花井委員 ドイツのE型肝炎の件ですが、この検査の導入というのは、輸血用血液の話をここでは書いてあると思うのですが、献血はと言っているのですが、ドイツの場合は恐らく原料血漿も献血と言ったりしていて、それは採血業者は別に民間と両方あると思うのですが、それについて、これはいわゆる原料血漿に関しては、この検査導入は政策的には直接関係ないという理解でいいのかという話と、そうであるならば、日本の場合は導入すれば全部に導入されるということなので、その辺の整理はどう理解したら宜しいのでしょうか。

○田野﨑委員長 これに関しては、大隈参考人は何かお分かりになりますか。

○大隈参考人 はい、御質問ありがとうございます。これについては、関係書類も検索してみたのですが、ちょっと明らかに示されているものは探せていないのが現状です。とりあえず文献中には、「献血に対して」という言葉が一応出てくるということで、その明言化はされていなかったので、あくまでここは今、輸血用や臍帯血用ということしかはっきり言えないというところです。回答にあまりなっていないかもしれないですが。

○田野﨑委員長 ありがとうございます。他には宜しいですか。

○濵口委員 E型肝炎について話題が出ていますので、少しWHO内での動きについて、お話をします。WHOの中に、ブラッドレギュレーターズネットワークというのがありまして、そこにはヨーロッパ、アメリカ、日本、オーストラリア、全部で7か国が参加して、E型肝炎についてのポジションペーパーを今まとめています。多分、近年中に出ると考えられますが、各国、E型肝炎に対しての対策は違います。アメリカ、カナダは基本的に感染が少ないので、対策を全く取らないスタンスです。その一方で、日本、ヨーロッパ、特にフランスとドイツについては、対策が必要だという認識です。今回、そういう意味では日本と非常に近いところの情報が出てきています。しかしながら、これは必ずしも世界的にこういううねりであるというところまでは、まだないということだけは付け加えておきたいと思います。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。宜しいでしょうか。そうしましたら、引き続き事務局におかれましては感染症の定期報告をお願いしたいと思います。

 次に議題2に移りたいと思います。議題2は、「血液製剤に関する感染症報告事例等について」です。事務局から御説明をお願いします。

○富樫血液対策課長補佐 事務局から説明させていただきます。資料2-1と2-2です。資料2-1ですが、供血者からの遡及調査の進捗状況についてです。

 1ページ目をお開きください。供血者から始まる遡及調査実施状況と書いていますが、こちらの表の一番右側が平成31年4月1日から令和元年8月31日までの速報値となっています。今回、遡及調査の対象とした献血件数というのが、2,145件です。そのうち輸血用血液製剤が、2,183本製造されており、そのうち医療機関に情報提供を行った本数が、1,161本となっています。個別NAT関連情報において、遡及調査の対象のうちプールNAT時代の検体で個別NATが陽性となったという献血件数は2件ありました。そのうち医療機関に提供された製剤に関する報告件数が、2件。さらにそのうち受血者情報が判明した件数というのが1件あり、陽転事例はありませんでした。

 2ページ目に、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況があります。本年6月から8月の間で5件の回収報告がありました。

 資料2-2に移ります。こちらは血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例です。先程と同じく、本年6月から8月までの医療機関からの感染症報告事例となります。1ページ目に、感染症報告事例のまとめを付けています。この3か月間において報告があったもので、輸血用血液製剤が21件、血漿分画製剤が0件でした。そのうち輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は4件でしたので17件が対象になります。

 その下に輸血用血液製剤による病原体の感染事例の内訳を記載しています。HBVは1件の感染疑い例がありました。HCVが5件、HIVがなし、その他としてHEV感染が1件、HGV感染が1件、パルボウイルスB19感染が2件、細菌等の感染が7件となっています。

 細菌等感染報告事例においては、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験を行っています。無菌試験が陽性となった事例というのはありませんでした。事例の詳細については、感染症報告事例一覧を2ページ目以降に付けています。詳細は飛ばさせていただきます。

 続きまして7ページに移ります。北海道地区で実施されている試行的HEV-NATの実施状況についてです。一番下に平成31年1月から4月及び令和元年5月から8月までの8か月間の結果が記載されています。HEV-RNA陽性者数が88例ありました。陽性率としては、0.053%。Genotypeに関しては、Genotype3が74件、Genotype4が12件、検査不能が2件という結果になっています。資料2-2については、以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。続きまして、日本赤十字社から補足説明があるということなので、宜しくお願いいたします。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 日赤安全管理課の後藤から症例について、いくつか簡単にコメントします。

 まずHBVの症例、資料2-2の1ページのまとめの中にありますが、2番のHBV報告事例の()に、献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例が1件ありました。こちらは、HBc抗体の陽転に係る遡及調査で前回の献血時の保管検体で個別NATを行ったところ、陽性だったことが判明した事例です。前回の献血時は、まだプールNATの時代でしたので、今回、保管検体で個別NATを行いました。そして、この患者さんは2016年に死亡されたという情報が得られていまして、検体の入手ができませんでしたので、ウイルスのシークエンス等の確認はできませんでした。

 HEVの事例も1例、製剤中にウイルスが見つかったものがあったのですが、こちらは原料血漿のHEV-NATで陽性になったという情報を基に調査を行った事例になっています。原料血漿の同時製造品の血小板製剤の受血者の方を調査したところ、HEV陽性となっています。ウイルスはGenotype3で、製剤のウイルスと受血者のウイルスのシークエンスも一致していたという事例でした。

 1例、HGV感染の事例がありましたが、こちらは文献で報告された事例となっていました。九州大学病院での肝移植の患者さんについて、ずっと調査を行っておられた中で、輸血後にHGVの感染が認められて院内で輸血した血液を調査してFFPから1本、陽性が出たというような文献の報告でした。医療機関にも調査を行いまして情報は得られています。

 日赤でも該当する血液の保管検体がありましたので調査したところ、陽性となっていました。受血者の方との比較はできませんでしたが、文献に記載されていたウイルスのシークエンスと合わせて見たところ、一致しているということが分かりました。日赤からは以上、3例について御報告しました。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。以上について、委員の先生方から御意見、コメントなどお願いいたします。

○花井委員 先程の話とも関連するのですが、それは、メーカーがプール化する前に検査したということですよね。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 はい。

○花井委員 ロットが分かったということは、それは薬機法上のレギュレーション、生原基(生物由来原料基準)はどうなっているのですか。たまたま、そのメーカーがやっているということでしょうか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 原料の基準にはないかと思うのですが、原料の調査としてプール前に行っているのだろうと思います。

○花井委員 参考までに、それはどのメーカーでもそうしているということなのですか。そのメーカーだけですか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 ちょっと分からないのですが、連絡がくるのは大体そうです。

○花井委員 そうですか、事務局の方で分かれば教えてください。

○石川血液対策課長 どこまでメーカーが表に出しているのかという問題もあるのですが、

 独自の取り組みでされている場合には、それぞれ差があるのだろうと思います。

○岡田委員 ボランタリーにやっていると。だから例えば、色んな製剤によってウイルスの除去能が低いなどということがあったりすると、プールで調べて入るウイルスの量を減らして、それでやるということです。メーカーごとに色々。やっていないところも、もちろんあると思います。

○田野﨑委員長 他は宜しいでしょうか。

○岡田委員 10歳代の子供さんがパルボに感染をしていますが、このウイルスの量はどのくらいの量だったのでしょうか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 すみません、ちょっと手元にウイルス量のデータがありませんので、申し訳ありません。お答えは、今はできません。

○岡田委員 分かりました。というのはパルボウイルスもある程度の濃度がないと、感染しないと言われていますので、後でもいいですので、ちょっと教えてください。

○松下委員 HBV感染報告の方ですが、2016年に死亡されていて、2013年にs抗原、s抗体、c抗体をやっていて、このときはHBV感染があったとは担当医の先生は気付いていないのですか?

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 日赤には御連絡いただいていませんので、このときに輸血による感染が疑われて報告されたということはなかったです。

○松下委員 ドナーの方は、2010年当時の個別NATが遡って陽性で、今回また個別NATが陰性になったのですか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 そうですね。

○松下委員 別にHBVの治療をされたわけでもないと。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 ドナーさんですので、少しその辺りの細かい事情というのは。

○松下委員 9年ぶりに献血されて、そのときのということですか。c抗体陽性が唯一の鍵ということですね。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 そうですね。

○松下委員 こういう方は、c抗体で網に掛けるというのと、個別NATの網に掛けるということで、大体、今後供給できる血液は、ほぼふるい分けできると考えていいのでしょうか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 前回の献血は2010年で、2012年にc抗体の判定基準を厳しくしていますので、もう現在ではこの献血者の方などは、こういう既往が考えられるような方ははじかれると考えています。

○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。重篤か否かというところの表の見方のところですが、重篤性がみんな、こういう形式になった場合は、重篤が多くなってしまって、E型肝炎も重篤になってしまっていますので、これは基本的には臨床計画から見て、それほど重篤ではないというようなことで宜しいのでしょうか。

○富樫血液対策課長補佐 もともと医師の見解で、重篤だったか非重篤だったかというところは重篤性という項目に書いてあったのですが、今年2月の運営委員会でも報告したのですが、今年度から医師の判断を踏まえた企業の判断をこの重篤性という項目に書いています。ですので、企業で重篤と判断したものは重篤となっているというところです。

○田野﨑委員長 そうしますと、例えばE型感染した場合に、Genotype3が多いですし、あまり重篤にならないから大丈夫ですというような立場の御説明をするのでいいですと、日赤さんからも言われていたかなと思ったのですが、こういうような形で重篤と入ってくると、どのように御説明したらいいのかというのは分かりづらいかなとも思いますが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 ここの部分に関しては、副作用感染症の症例報告の決まりというものがあります。感染症で重篤な症例については報告するというような決まりになっています。企業の判断として重篤と考えて、感染症については全て報告するというようなスタンスでやっています。日赤で重篤として報告したものが全て、感染症の症状として重篤であるというわけではないということを補足させていただきます。

○大平委員長代理 今のお話なのですが、症状というか全体の疾患としての症状として重篤性という話なのですが、このウイルスによる感染によって、それが重篤性を帯びるのかどうなのかというところは、ここではちょっと判断は着かないという形になるわけですか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全管理課長 現在のこの調票に書かれている項目では、そのようになります。ただ、日赤としてはやはり輸血用血液による感染という事例は、重篤と考えるべきと考えています。そのようなことで、重篤ということを報告させていただいています。

○田野﨑委員長 前回の私どもから少し日赤の方に、実際に感染が成立した場合、そういう事例がありましたので、そういう場合に、どう説明したらいいかということで、1つ例を作っていただくと、みんな助かるのではないかということをお伝え申し上げたかなと思いますので、また宜しくお願いいたします。他は宜しいでしょうか。

○花井委員 今のやりとりを一応確認なのですが、いわゆる一般の副作用のときに通常その医薬品の既知の副作用で重篤ではないものは報告しなくていいよという立付けがあるから、こういう特殊な血液の場合は、薬機法上全部重篤にするという整理にしているだけの話を今、やりとりとして言っているわけですよね。そこはちょっと古い話なのですが、結局、一般の医薬品とヘモビジランスはちょっと違うのだけれども、同じ法体系で代用しているところがそこだと思うので、何か工夫して、感染症の転帰だけを何か知る術を考えてくれると、今みたいな議論はすっきりすると思いますが。

○石川血液対策課長 この定例の報告は基本が薬機法に基づく報告になっています。プラス血液製剤は血液法で、審議会この運営委員会でも報告をすることになっています。基本の資料としては、医薬品等安全対策部会における薬機法上の報告内容と同じになっています。そこは、もしかすると向こうでも同じようなことは言われているのかもしれませんので、局内で少し意見交換をしておきたいと思います。

○田野﨑委員長 宜しくお願いいたします。そういうことで、宜しいでしょうか。そうしましたら、引き続き遡及調査結果、そして感染症症例の報告をお願いいたしたいと思います。

 議題3、「各調査会の審議結果について」に移りたいと思います。資料3-1から3まで、事務局より資料の御説明をお願いいたします。

○富樫血液対策課長補佐 事務局です。資料3-1から資料3-3について説明いたします。まず資料3-1は、本年9月13日に開催しました適正使用調査会の審議結果の概要です。議題としては、座長の選出のみですけれども、座長に半田委員が選出されたという報告となっております。

 資料3-2は、同日に行いました適正使用調査会・安全技術調査会合同会議の審議結果となっております。1ページを御覧ください。3の議事概要に会議の内容をまとめております。議題1が、日本赤十字社におけるヘモビジランスについてです。日本赤十字社より、医療機関から報告のあった輸血後感染症と、輸血副作用と遡及調査、献血者の追跡状況等について報告がありました。近年はHBVHCVHIVの感染リスクが極めて小さくなっている状況で、2014年に個別NATが導入されて以降はHBVも、年に1件以下となっております。日本赤十字社では、HBVHCV感染が疑われた献血血液について、再来献血がない場合も事後検査の協力依頼を実施し、9割以上が追跡されて検査は陰性であることが確認されているという報告がなされました。委員からは、感染症に関して1980年代からこれまでの間に格段の安全性が得られており、様々な関係者の方々の努力の成果であるという御意見を頂きました。

 2ページ目は議題2、輸血療法の実施に関する指針の改正についてです。松下参考人より、副作用合併症と安全対策、自己血輸血、赤血球製剤の温度管理、管理体制、小児の検査といった本指針の改正のポイントに関する研究成果について御報告を頂きました。事務局からは今回の改正案の要点としまして、先程、ヘモビジランスの所でも出てきましたが、HBVHCVHIVの感染リスクの低下を踏まえた見直し、研究成果、松下先生の研究班の成果の反映、輸血療法の実施体制の見直し等について説明し、本合同会議の意見を踏まえ、血液事業部会での本指針の審議に向けて手続を進めるということとされました。

 最後に、半田座長より、輸血療法の安全確保というのは、これまで約40年間、本指針と「血液製剤の使用指針」の2つの通知をもとに国主導で取組が進められてきたが、急速に進歩する科学的知見と指針の内容が乖離してきており、例えば他分野のガイドラインのように学会を中心として作成するということなど、指針の今後の在り方について検討してはどうかという御提案がありました。委員からは、学会と行政との協調による、より効率的な運用を考えても良いのではないか、あるいは歴史的な経緯を踏まえ、国民の理解を得ながら進めることが重要、通知では大枠を示し、医療に関する具体的な内容については学会に移管しても良いのでは、といった御意見をいただいております。

 今後の改正については、血液法の理念を踏まえた上で2つの指針の在り方を含めて検討を進めることで了承していただきました。委員からの主な御意見が下に書いてありますので、こちらも御覧ください。

 続いて、資料3-3、安全技術調査会の審議結果についてです。1ページ目は、先程と同様に3番に議事概要がありまして、議題1として、座長に濱口委員が選出され、座長代理として岡田委員が指名されました。

 続いて、議題2は感染症安全対策体制整備事業についてです。こちらは新たな病原体が国内に移入した場合などに備えて血液対策課が国立感染症研究所に実施を依頼している事業となります。大隈参考人より、2018年度の成果として、黄熱ウイルスに対する高感度核酸増幅検査については、7つの遺伝子系がありますが、その6タイプを高感度検出できるPrimer及びProbeセットを同定したということや、検査落ちとなった献血血液でのデングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス及び黄熱の各ウイルスの検査が全て陰性であったなどが報告されました。2019年度は黄熱ウイルスの全遺伝子系の検出確認や、デング、チクングニア、ジカ、黄熱の各ウイルスの高感度核酸検査法のマルチプレックス化に取り組んでいくという話と、2018年度と同様、検査落ちとなった献血血液での検査や海外における血液安全に関する情報収集及び交換を行っていくという報告がなされました。

 議題3につきましては、NATコントロールサーベイ事業についてです。NATの精度管理の実情を把握するということで、先程と同様、血液対策課が国立感染症研究所に実施を依頼している事業となります。松岡参考人からは、WHOHIV-1のサブタイプパネルを用いたNATコントロールサーベイを実施して、2018年度は血漿分画製剤メーカーの原料血漿プールのNAT試験を対象として実施し、全施設において、そのHIV-NATの精度管理が適切に実施されていることが報告されました。2019年度はHCV NATの特異性の実情把握を目的としてコントロールサーベイを実施することが予定されております。

 最後に、議題4において、日本赤十字社におけるHEV-NAT導入準備状況について報告がありました。日本赤十字社では、現在開発中の4価NAT試薬によってHEV-NAT全数検査が準備されているところで、その状況についての報告となっております。具体的には検査システムとして、HBVHCVHIVに加え、HEVも同時に検出するといったマルチプレックス試薬を使用して、既存の検査機器を使用して検査を行います。試薬の検出感度は、北海道地区で試行的に実施しているHEV-NAT試薬と同等であるということ、さらにこの全数検査の開始時期としては、来年、令和2年の秋頃を予定していることが報告されました。長くなりましたが、私からは以上となります。

○田野﨑委員長 資料3-1から資料3-3まで御説明いただきましたが、ここまでで委員の先生方から御質問、コメントなどお願いします。

○松下委員 当日の適正調査会合同会議において、実施指針の改定案が提出されたことを今御紹介いただいたのですが、今、御紹介がなかった資料3-2の中で、現在の実施指針の第Ⅻ章に、院内採血における注意点について記載があります。たまたま先週、学会のガイドライン委員会とそれに引き続いて日本輸血・細胞治療学会のシンポジウムで、この実施指針の改定に関する意見交換がありました。そこでいただいた意見として、血液法の理念から院内採血を原則行わないというのは理解できるのですが、例えば災害時とか離島において日赤血が直ちに得られないような状況において、どのようにして安全に院内採血を、やむを得ず、行うような方法はないのかということに関する何らかのスタンダードがなくなってしまうのはいかがなものかという意見がありました。確かに、この案に関しては当日も、実際にはあまり議論はなく、この資料の70ページにありますように、一応削除となっておりますが、私は参考人として松下班における研究成果を発表したのですが、その中でもⅫ章の削除ということが特に提案はしておりませんので、今後、この点に関してはもう少し議論を深めていただくのが良いのではないかという学会参加者からのフィードバックがありましたので、ここで御報告しておきたいと思います。

○田野﨑委員長 この点については、学会からは、削除とはあえて提案していなかったところではありますが、実際には削除になっていたことについて、何か事務局から宜しくお願いします。

○石川血液対策課長 これは通知ですが、これの上位概念として基本方針がありまして、そちらは昨年度、審議会でも色々御議論いただいて、今、松下委員からお話があったとおり、原則として院内採血については、今までは積極的な書き方をされていたものを記載を変えたという背景があります。具体的に、読み上げますと、「自己血輸血を除き、院内血輸血は安全性の問題等があることから、原則として行うべきではない」という記載に、昨年その基本方針を変えたときに変更しており、それを受けて、指針、すなわち通知においても積極的な記載はやめようということでした。確かに、こちらを全て削除してしまうと、その項目自体が消えてしまいますので、今お手元のタブレットの資料3-2の31ページご覧いただければと思いますが、輸血の方法として、成分輸血、自己血輸血とあるのですが、ここに院内輸血ということで項目出しをさせていただいて、松下委員からお話があったように、例外的にこういうケースを除いて原則としては行うべきではないという基本方針の趣旨を踏襲しながら、現場で混乱がないように少し記載の変更をしたいと思います。その修文をした上で、最終的にはまた部会にお諮りをします。今、修文作業をしていますので、また案ができ次第、お示しさせていただければと思います。その際には、他の章でも今回参考に落とした章もありますので、先生のおっしゃられたⅫ章は、院内輸血を実施する場合には参考を守って実施することなど、ちょっと今具体的な修文はありませんけれども、参考として残す、そういう方法はあるかと思っております。

○松下委員 ありがとうございます。その方向で私としてもいいと思うのですが、実際、学会では日赤血が得られずに、やむを得ず院内血を行わざるを得なくて、それにより救命できた事例も報告に上がっておりますので、そういうことを汲み取っていただいて御検討いただければと思います。

○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。今後、学会の指針をどこまで、ここに反映させていくか、そのままというような意見もありますが、輸血行政において政策的なところも当然あるとは思いますので、うまいところで調整していく必要があるのかなと思います。

○大平委員長代理 学会でのガイドラインを示していただくことは、もっと積極的に色々と現場の声を伝えていただくことが大事かと思うのですが、1つは一般的な医療界での学会の方針とは違っていて、血液事業はもともとは国の責任で全てを行うという国の責務は大変重要な位地を占めていると。そして、ただ国は最終的には責任を負うところはありますけれども、そこに血液法で書かれているように、関係者の責務というところでは医療者の責務というのも大きいところがあると思うのです。ですから、そういった点で輸血療法の安全の問題とか、そういうものに関して積極的にこういう提案があることが出されることが大変重要かと思うのです。その点では是非、学会からも先程、松下委員が言われたように、離島の問題とかなかなか行き届かない所の問題についてどうしていくかは、先生方からの意見は具体的に示していただいて、それを反映していただいた案を是非、国に示していただくことによって、より良いガイドラインができていくのではないかと思います。この血液に関しては、学会の先生たちからもっと積極的に発言していただいて責任を持ってやっていただけることが大事かと思います。ちょっと言いすぎているかもしれませんけれども、宜しくお願いしたいなと思います。

○田野﨑委員長 貴重な御意見どうもありがとうございます。他に宜しいでしょうか。松下委員、学会からは他には特に問題はなかったということで宜しかったでしょうか。

○松下委員 細かいことを言えば、色々な意見は確かにあったのですが、この件が最も委員会等で発言が多かった部分と認識しています。詳細に関してはまだ少し時間もあるので、というように私から学会にフィードバックしていますので、引き続き意見調整を行いながら、事務局の皆さんとお話していきたいと考えています。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。それでは、資料3-4について事務局から資料の御説明をお願いいたします。

○菅原血液対策課長補佐 事務局です。資料3-4を御覧ください。本年、1017日に開催いたしました令和元年度第2回献血推進調査会の審議結果について御説明いたします。当日の資料が多いですので、1ページの概要で御説明いたします。献血推進調査会の主な議題として、令和2年度の献血の推進に関する計画()、及び日赤から需要推計に基づく献血者シミュレーションについての報告の2件について御議論いただきました。

 まず、令和2年度の献血の推進に関する計画()についてですが、血液法第10条第1項の規定に基づき、毎年度、厚生労働大臣は翌年度の献血推進に関する計画、いわゆる献血推進計画を定めることとされているものです。

 調査会当日は、こちらが提示した計画案をお示しし、御議論いただきました。その中で委員からは、「複数回献血の推進」については、年間の献血回数にこだわらず、まずは継続的に献血への協力を得られるような取組を推進すること。また、「効果的な広報手段を活用した取組」については、若年層からアイディアを聞きながら広報の内容を検討するとともに、広報の効果の評価については、閲覧数やその広報をきっかけに献血に協力した人数など定量的な調査を行うことといったものがありました。これらの御意見を踏まえて計画案を修正し、12月の血液事業部会で御審議いただくこととしております。

 次に、日赤から需要推計に基づく献血者シミュレーションについての報告です。これは、血漿分画製剤の需要量が増加していることを踏まえ、本年2月の平成30年度第4回運営委員会において、2022年度及び2027年度の原料血漿量の予測値が示されたことを踏まえ、日赤でそれらの年度について必要な献血者についてシミュレーションした結果を調査会にて報告したものです。その結果の説明を踏まえて、委員からは以下の御意見がありました。まず1つは、原料血漿の需要の予測値に当たっては、需要が増大しているグロブリン製剤について、今後の適応拡大や海外製品の輸入量等を踏まえて行う必要があるということ、2つ目は、都道府件別の献血者シミュレーションについては、各地域の特性を踏まえた上で実施するということ、3つ目として、献血率の低い地域については、原因を分析するとともに、献血率が高い地域の取組を参考にするなど効果的な対策を実施し、その成果について確認を行い、次の対策に生かすことといった意見がありました。第2回の献血推進調査会の報告は以上です。宜しくお願いいたします。

○田野﨑委員長 大きく2つの議題についてのことですが、委員の先生方からコメント、御質問をお願いいたします。

○濵口委員 議題2のポツ1ですが、グロブリン製剤のことについてのお話がありますが、献血者のシミュレーションのこと等も関連して、日赤では次年度の血漿の需要はどのぐらいになりそうなのかというのは、既に予測はある程度、掴まれているのでしょうか。

○日本赤十字社瀧川血液事業本部経営企画部次長 来年度の需要については、血液対策課と連携を取りながら、示されているポジティブ予測、ネガティブ予測で取り進めていただいているというところです。今後、今年度の推移を見ながら来年度に反映していかなければいけないと思っていますので、これからも積極的に需要動向を調査しながら進めてまいりますし、その分野の先生方から御意見を聴取しながら進めていきたいと考えているところです。

○松本委員 グロブリン製剤の逼迫ということで、私の勤めている三重大学病院でも、逼迫ということに関しての適用として、この病態にはこのグロブリン製剤を使ってくれというようなことを薬剤部からアナウンスされている状況ではあります。そういうことも踏まえて、やはり増産が必要になってくるのかなとは思うのですけれども、そのためには、まずは原料の確保ということで議論がなされていたと思うのですが、増産するに当たっては、工場での生産ラインが今のままで、原料が手に入ったとしても供給があったとしても増産に対して見合うような供給、生産、増産ができるということはどうなのかはちょっと気になるところではあります。この辺りに関しては、どなたか知識をお持ちの方はいらっしゃいますか。

○石川血液対策課長 先程のどういう検査を独自にしているのかということと同じで、各企業の状況を、ここで詳らかにすることはなかなかできないのですが、医療現場で使われている需要の伸びというのは、我々も毎年審議会等でもお出しして、大体5%とか、6%ぐらい伸びてきているという状況です。ただ一方で、適応が正に今年追加されたものとか、そういうものがこれからどれぐらい伸びていくのかというところは、実際は難病の患者さんが多いのですが、研究班なりでどういう治療ガイドラインが作られていくのかといったことにもよると思います。量が増えていって逼迫するから使用を抑えるというのではなく、本当に必要な患者さんに必要なお薬が届くようにするためには、血液製剤の場合は原料が献血から作られているのだということも踏まえた上で、使用される先生にも御理解いただきながらガイドラインをしっかり作っていただくことが必要なのかなということです。

 あとは、その治療を受けたいと思われる患者さん自身も、他に治療がないからどうしてもこの注射をしてほしいというお気持ちは分かりますが、やはり血液製剤はリスクもあるといった、そういう特徴もしっかり御理解していただいた上で、きちんと効果のあるときには使っていただくということを我々の方でも、周知、説明をしっかりしながら、今まで分画製剤についての周知というのは、どちらかというとアルブミンをどうするかという議論でここ数年前まで来ていたと思いますので、これからはグロブリン製剤についても、きちんとそういう説明を私たちもしていく必要があるかなと思っています。前も御紹介させていただいたと思いますが、今、日本赤十字社でも、そういう普及啓発の資材を作っていただいていますので、そういうものも活用しながら適正使用に向けてやっていきたいと思っています。

○松本委員 もちろん、濫用するというのは論外な話だろうと思うのですが、やはり使用するというガイドライン等でも示されてくると思いますが、その中で使うということにはなってくると思いますので、それでも新しい疾患が適応になれば、需要は確実に増えると思います。その辺りの需要をきちんと踏まえた上で、これは献血のお話ですので献血量を増やすということももちろん大事なのですが、生産余力がどれぐらいあるかというのも、やはりきちんと把握しておくべきではないかなということで、この発言をさせていただきました。

○田野﨑委員長 こちらに関しては、今、課長からも御説明がありましたように、日赤の方からは、このぐらい増産できるというようなお話は、なかなかし難いということで宜しいですか。

○日本赤十字社瀧川血液事業本部経営企画部次長 血漿分画製剤の増産については、私どもが関わる部分ではなくて製造3社の部分ですので、日赤としての発言は差し控えます。

○田野﨑委員長 今、課長からお話がありましたが、適正使用に関してはガイドラインに適切にということになると、前回からもちょっとお話していますけれども、実際にはγ-グロブリン(免疫グロブリン)はどこが管理するかと、各病院の中で、実際には薬剤部がやっていて、医師が使いたいと言うと、それに合わせて処方されると。そういうときに、添付文書なり適応に従ってやっているということで、アルブミンでやられたように、あれは輸血部でかなり業者で指導しながらということがありましたが、免疫グロブリンに関しては、今のところ全国的にまだそういう体制になっていないと思っております。何かそこで、国としてアクションを起こ術きであると考えていらっしゃるのかどうか、いかがでしょうか。

○石川血液対策課長 それは、どちらかというと国としてというよりは、逆に松下先生に現場で、どういうやり方が現場で取られていることが多いのか、こうした方が現場はやりやすいということがあるのか、そこはお聞きしてみたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松下委員 この問題は前回の適正使用調査会でも、輸血学会に対して、濫用に繋がらないのかと、ちゃんと見ているのかというコメントをいただいています。現状、神経疾患とか自己免疫疾患に対するγ-グロブリンの効能は免疫調節療法なわけです。免疫抑制療法かもしれませんが。ですので、治療アウトカムが臨床的症状の改善とか維持、悪化の予防等といったことになってくるので、それが得られている間であって、なおかつ添付文書上の用法・用量どおりに使われている以上、医療として正しく行われていると判断せざるを得ないわけですよね。それをチェックする装置がどこにあるかというと、今のところは健康保険の審査しかないわけです。恐らく専門家の先生方は、どこまで使えば大丈夫なのかということは測りながら使用されていると思われます。学会としてどうするのかということは過去にも検討はしたことはありますが、アルブミンのように補充療法ではないので、治療アウトカムを数字として測ることがなかなか困難であると、どうしても臨床症状が改善している以上は使うべきである。あるいは、患者さんたちの気持ちを考えると、せっかくうまくいっている治療を中断してもらっては困るという意見も多分あるでしょうから、ですので、この点は慎重に考えていかないといけないと思うのです。

 ただ将来、振り返ってみて、そうは言っても、あのときこんなに濫用が危惧されたのにチェックしなかったとかというようにならないように、学会としても少しずつアクションを起こすべきなのではないかという意見は色々な所で出ています。ちょっと持ち帰らせていただくというか、ここで具体的なお約束はまだできる状況ではないのですが、議論としてはどんどん出てきていますので、必ず考えていきたいと考えております。

○田野﨑委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員長代理 免疫グロブリンについては、当然、輸血部で管理されているのかなと思っていました。そういうお話ではないような内容も伺っていたので、献血血液から作られている問題もありますが、適正使用もそうなのですけれども、やはり大切に使っていくということの重要さというのは、献血血液由来の製剤を治療で使っているのだということを患者さん、また医療機関の先生方に周知できるような形にしていくには、輸血部の先生方から積極的にそれぞれの院内へ啓発していくことも大事なのではないかなと思います。薬剤部でもきちんとやってくれるのだろうと思うのですが、血液由来製剤の問題として、輸血部でそれをきちんと管理されて、その後の安全管理のフォローのことも含めて是非、本来はその形でやっていただけたら私自身は有り難いなと思うのです。輸血の安全性と安全リスクを最小限に抑えていく、そういうことを考えていくと、かなり介入していてもいいのではないかなと思います。

 その中で、患者さんにも血液製剤の大切さとかそういうのも啓発していただいて、患者は本当はもっと使いたいのだろうなというところはあると思いますが、そこのバランスを考えていく中では、やはり輸血部の先生たちに一生懸命色々調整していただけるといいのではないかなと。素人なりの発言なのですが、考えてちょっと言わせていただきました。

○田野﨑委員長 濵口委員、どうぞ。

○濵口委員 私も大平委員の意見に賛成です。その上でですが、今、日本赤十字社で採血されている血液というのは、基本的にはグロブリンを作るための目的だけではなくて、やはり輸血用の血液製剤がメインと思うのですけれども、こういう形で、もし血漿だけが非常に需要が高まっても献血者の方がそれに合わせて増えてこないような状況が起こってくると非常にバランスを欠いてくるのではなかろうかなというのを心配しているのです。その辺り、もし何か情報があれば教えていただきたいと思います。

○日本赤十字社瀧川血液事業本部経営企画部次長 本年度も112万Lを適正に採らせていただき確保しておりますし、来年度を見据えて、確保に向けてしっかり取り組んでいるところです。また、本年2月開催の本運営委員会で、輸血用血液製剤のみならず、分画製剤用原料血漿も確保するというお話をさせていただいております。当然、来年度に向けても、これからの使用が増加することを前提に、単年度ではなく将来を見据えた中で、どのように確保していくかを考えておりますし、しっかりと確保していきたいと思っているところです。

○田野﨑委員長 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 臨床の現場で、特に神経内科の分野で、これまで血漿交換を行っていた患者さんが免疫グロブリンの大量療法に移っているということがあるのです。それは、患者さんにとっては外来でできるというメリットがあって、しかも血漿と違って副反応が少ないといって、患者さんにとっても結構喜ばれている療法なのです。ですので、急速にその分野では血漿交換がほとんど実施されなくなって、グロブリンに移行しているというのが臨床の現状です。

 それに見合うような原料血漿の確保ですが、アルブミンと異なり、使用者に関しては、恐らく適応が決められているので適正使用といっても使用が減るという可能性としては低いのではないかと思うのです。そうなると、ある程度の原料血漿を確保しなくてはいけないということなのです。確か、以前の議論で原料血漿を確保するために、置換血小板の開発を日本赤十字社の方で行っているという話が出たと思いますが、原料血漿に回すとすると大量の血漿が確保できるということだと思うのです。現実の開発状況はどうなのでしょうか。

○日本赤十字社後藤血液事業本部安全対策課長 置換血小板についての検討というはずっと進めており、実際には採血のときに置換してしまうような形になるのだろうと思うのですが、それができるような方向に向けて色々と調整を進めているところです。来年にできるとか、そういう近い将来にすぐ実現するということではないですが、早く実現できるように検討を進めているというところです。

○田野﨑委員長 宜しいでしょうか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 結構してきた議論で、以前にも発言したと思うのですが、これまでの、ここ20年のアルブミンの過剰利用を適正化して何とかという文脈と、免疫グロブリンは明らかに違うという認識を持つ必要があります。適正使用は当たり前の話なのですが、問題は今の置換血小板も含めて、実はそれも既に数字としては折り込んでいて、このぐらいと。なだらかな感じであれば、先程、課長はちょっと言いにくかったかもしれませんが、私の理解では、製造キャパと日赤の置換血小板も含めて、ぎりぎりバランスしているというのが現状だと思うのです。このバランスが崩れるのかというのが大きな問題で、なので、このバランスは、ある意味血液事業が目指してきた、これは輸入もちょっと含んでいるのですけれども、一部の輸入も含んで逆に割と理想的なバランスをしていると。これが実は免疫グロブリンの需要が増えることによって崩れるのではないかというのが今の危惧だと思うのです。

 キャパシティーについてもバランスしているということなので、必ずしも十分な余裕は、国内企業に関してはないというのは多分そうなのではないかと。そうなると当然、設備投資の話になってくるわけですよね。設備投資とかという話になってくると、やはりすぐにできる話ではなくなるので、事務局においては、内資、外資を問わず、設備投資の話はなかなか平場でしにくい議論ですが、やはり行政事務局としては、その将来像というのを情報収集を適切にされて、今のちょうどいいバランスがちょっと崩れるとたちまちショートすると思うのです。そういう危機もあり得る現状なのです。

 なので、そこを安定供給ということを考えれば、それに対する事前の準備というのが必要になってきますので、情報収集は強化していただいて、もちろん内資の企業がもうちょっとキャパを上げてくれれば嬉しいのですが、そうなると、それがもし他の抗体製剤に置換された瞬間に、今度はここだけが潰れるということがあっても困るという非常に難しい問題を秘めていますので、情報収集を踏まえて、平場で議論できないレベルでも、やはり事務局としては十分、将来設計というのも検討していただきたいと思います。

 それから、日本赤十字社においても、先程、言いましたが、置換を折り込んで何とかという感じなので、その先が恐らく本当の課題だと思うのです。そういったことも踏まえて、なるべくスピード感を持っていただければ、何とかいくのではないかと思いました。以上です。

○田野﨑委員長 既に、この春に規格が変わったということもありますが、免疫グロブリンが各診療の場で足りなくなって欠品があったということで、色々動いたということがありましたし、アメリカでは、オフラベルで、免疫グロブリンのユースが非常に増えているということが報告されておりますので、そういうので少し予測が、今はバランスが取れているのか、そうではないという意見も多分あるのではないかなということもありますので、十分また検討していただければと思います。12月6日の会議のときにでも、この話の延長があるのかなと思いますので、そういうことで宜しいですか。

○石川血液対策課長 今の花井委員からの御指摘を承りまして、我々の方でも検討を進めさせていただきたいと思います。ただ、12月6日は公開の審議会ですので、通常の需給計画の次年度の審議ということでお願いできればと思います。

○田野﨑委員長 他は、宜しいでしょうか。そうしましたら、色々意見を頂きましたが、最後に議題のその他について、事務局から何かありましたら宜しくお願いいたします。

○松永血液対策課長補佐 特にございません。なお、次回の運営委員会の日程については別途、御連絡を差し上げます。

○田野﨑委員長 本日は、予定よりもかなり早く終わりましたが、一応、用意されていた議題は以上です。あと、何かございましたらと思うのですが、宜しいでしょうか。そうしましたら、司会を事務局に戻させていただきますが、宜しいでしょうか。

○松永血液対策課長補佐 本日は、定刻より短い時間となりましたが、お時間を頂きまして誠にありがとうございました。以上で、令和元年度第3回血液事業部会運営委員会を終了させていただきます。本日は、誠にありがとうございました。
 

(了)