2019年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室/環境改善室

日時

令和元年8月5日(月)13:30~15:30

場所

中央合同庁舎第5号館18階 専用第22会議室

議題

  1. がん原性指針対象物質等の検討について
    1. アクリル酸メチル【新規】
    2. アクロレイン【新規】
    3. メタクリル酸2,3-エポキシプロピル【既存/測定分析手法等】
  2. マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について
  3. 作業環境測定基準の見直し等について
  4. 外部放射線による線量当量率又は線量当量
  5. その他

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、お時間になりましたので、2019年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催させていただきたいと思います。
  委員各位におかれましては、本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  まず、委員の出席状況について、小西先生のご欠席以外は全員おそろいです。
そのほか、本日は、議題2のマンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について関連して、特別参集者として、溶接ヒューム対策に精通されている独立行政法人労働者健康安全機構、労働安全衛生総合研究所、作業環境研究グルーブ上席研究員の小嶋様に御出席いただいております。
  また、議題3の作業環境測定基準の見直し等についてに関連して、新たな測定方法を開発した中央労働災害防止協会から労働衛生調査分析センター副所長の大淵様と化学物質調査分析課課長の岡田様に御出席いただいております。
  その他、前回の開催から行政側で異動がございましたので、御紹介いたします。
  化学物質評価室長の内田になります。
○内田化学物質評価室長 内田です。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 環境改善室長、安井です。
○安井環境改善室長 安井と申します。よろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 同じく環境改善室室長補佐の米倉です。
○米倉環境改善室長補佐 米倉です。よろしくお願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 私、中央労働衛生専門官の阿部になります。化学物質評価室なのか、対策課なのかよくわからないのですけれども、中央労働衛生専門官ということで、阿部のほうが今、やらせていただいているところでございます。よろしくお願いいたします。
  それでは、座長の小野先生に以下、議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小野座長 労働安全衛生総合研究所の小野でございます。本日もお暑い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
  では、早速始めさせていただきます。
  まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 事務局のほうから配付資料の確認をさせていただきたいと思います。後ろ、聞こえますか。大丈夫ですか。大丈夫ですね。ありがとうございます。
  審議会等のペーパーレス化の取組の推進の観点から、本日の検討会はペーパーレスで実施させていただいております。委員各位のお手元にはタブレットを配付させていただいておりますので、使用方法、何かございましたら、操作説明書をお手元に配付してございますので、御覧いただければと思います。また何かちょっとID・Passを入れなきゃいけないとか、そういった事情が出ましたら、近くに、近くにというほどそんなに近くにいないですけど、職員にお声がけいただければと思います。
  開催案内のほうでも記載させていただいておりましたが、議事1につきましては化学物質評価室、残りの議事については環境改善室の担当ということになっております。だいぶ、中身もそれぞれ異なるというところがございますので、一括で御説明するというのもなかなかわかりくいかなということで、ちょっと便宜上、議事1のみ先に御説明させていただきつつ、議事2以降につきましては、議事1が終わった後に改めて資料の御説明からさせていただければと考えているところでございます。
  そうしましたら、具体的な中身のほうになります。まず、タブレットのほうを御覧いただくと、資料がずらっと参考資料から含めて並んでおるかと思います。傍聴者の方々におかれては、Web上で配布させていただいている資料がございますので、そちらを御覧いただければと思いますが、まずは、Web上ではがん原性指針の関係という括りでお配りしている資料になります。資料1として、労働安全衛生法第28条第3項第2号の規定に基づく指針(がん原性指針)対象物質の選定の考え方というところを、お配りしてございます。こちらにつきましては、後ほど御報告ベースということで御説明させていただくことになります。それから、資料2-1から2-3までということで、それぞれがん原性指針の今回検討をお願いする対象物質の基本情報をその1、その作業環境測定方法をその2、それから、使用すべき保護具、こちらを資料2-3という形でお配りしているところでございます。
  議事1につきましては、資料の構成は以上になります。
○小野座長 ありがとうございました。
  では、本日の議題に入ります。
  まず、議題1、がん原性指針の対象とする物質についての検討を行います。事務局から御説明をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、資料1を順次御覧いただければと思います。
  資料1-1としましては、先ほど申し上げましたがん原性指針の対象物質の選定の考え方ということで、こちらの紙自体は御報告ベースになるのですけれども、従前、がん原性指針の対象物質の選定に当たっては、有害性評価小検討会等の場でいろいろ御議論いただいておったわけなんですが、その際にどういったものを選んできているかという点について、この措置検討会のほうで事務局から御説明させていただくに当たり、こんな感じでピックアップされてきた物質なんですよというところをお示ししていたペーパーになります。
  このがん原性指針の候補物質に関しては、前回検討いただいたのが平成27年度第6回の健康障害防止措置検討会なのですが、そこからはだいぶ間があいてしまいましたので、ちょこちょこアップデートする点がございます。資料を御覧いただくと、「労働安全衛生法」と字を埋めていたりですとか、「化学物質のリスク評価検討会等における議論を踏まえ」というのを入れていたりですとか、この辺は形式的な、事務的な修正ですけれども、(1)として、国が実施した発がん性試験というところの括弧の中に、「遺伝子改変動物を用いたがん原性試験を含む」というこの一筆を入れさせていただきました。こちらが中身のアップデート部分でございまして、これは平成27年第6回の検討会の後に、遺伝子改変動物を用いたがん原性試験というのを国のほうで開始しておりまして、今後、そういった物質についても検討対象になってくるよというところを一筆入れさせていただいたものです。以上、資料1については、そういった情勢の変化があったというところで御承知いただければと思う次第です。
  ここまでは事務局からの形式的なご報告でして、具体的に今回御議論いただきたい点としましては、資料2-1以降になります。今回取り上げさせていただきますのが、資料2-1の3つの物質でして、その1としてアクロレイン、その2としてアクリル酸メチル、その3としてメタクリル酸2,3-エポキシプロピルという、この3つの物質を取り上げさせていただきました。
  簡単に御説明しますと、アクロレインとアクリル酸メチルにつきましては、従前の有害性評価小検討会の中でもろもろ御議論いただきまして、がん原性指針の対象とすべきという旨の結論をいただいたものになります。それから、その3としておつけしましたメタクリル酸2,3-エポキシプロピル、こちらにつきましては、既にがん原性指針の対象に加えているものになります。
  それでは、特にその3のメタクリル酸2,3-エポキシプロピルは、何でここでもう一回検討する必要があるのかという話なのですけれども、こちらはちょっと参考のほうを必要に応じて御覧いただければと思うんですが、参考2-1としてがん原性指針の本体、参考2-2としてがん原性指針で具体的にどういうことを規定しているのかというところの概要をお示ししているほか、さらに参考2-3としまして、基発0331第26号という労働基準局長通達をおつけしています。これらの関係を端的に申し上げますと、がん原性指針の中では、いわゆるばく露防止措置ですとか、そういったものをもろもろ規定しておるのですけれども、それぞれの具体的な方法、例えば作業環境測定の手法とか、あるいは、使用すべき保護具とか、そういったところの具体的な中身は、局長通知のほうでお示しするという形をとらせていただいております。ところが、このメタクリル酸2,3-エポキシプロピルにつきましては、平成28年の改正の際、がん原性指針の対象にとりあえず追加するということはしていたのですけれども、その当時、実は、まだ保護具の検討ですとか、そういったものができておりませんで、その部分は局長通知のほうで空欄になっているというものになります。具体的にどんな書き方をしているかといいますと、参考2-3のPDFをおつけしているのですが、一番最後のページにメタクリル酸2,3-エポキシプロピル、黄色くぴょっと書いてあるところがございまして。ここは、測定分析方法を記載するところなのですけれども、現行の局長通知では、こちらが空欄の状態になってございます。こういった空欄のところをもろもろ検討しまして埋めましょうというのが、今回のお話のうちメタクリル酸2,3-エポキシプロピルに関する部分でございます。
  以上、3つの物質につきまして測定方法と保護具、それぞれの検討状況を取りまとめたものを2-2と2-3という形で資料としておつけしているものになります。一つ目、資料2-2のほうですね、こちらはがん原性指針の関係検討対象物質の作業環境測定方法(案)ということで、アクロレイン、アクリル酸メチル、メタクリル酸2,3-エポキシプロピル、この各物質につきまして、それぞれ作業環境測定方法の案を記載してございます。
  アクリル酸メチルとメタクリル酸2,3-エポキシプロピルにつきましては、球状活性炭捕集。この辺りは、委託事業の中で検討させていただいておりまして、その結果を取りまとめたものということになります。
  ただし、アクロレインについては、検討中という形でセルのほうに色をつけた形でお配りしてございます。こちらは何でかといいますと、実は、このアクロレインの測定分析手法については、先週7月26日に本年度第1回のばく露評価小検討会を開催させていただいておりまして、その中で測定分析手法の御検討をお願いした際にお示ししていたもののうちの1件なのですけれども、これは捕集法のところに書いてございます機材に特注品を使っているということがございまして。委託事業でばく露実態調査を進めるに当たっては、その特注品を使うこと自体に特に支障もありませんので、これはこれでやりましょうということで御了解いただいたのですけれども、さすがに広く一般にお願いするがん原性指針の中身としては、特注品前提の測定手法というのはなかなか厳しいかなということがございますので、今回は、いまのステータスのままでは局長通知にまではちょっと書き込めないというベースで、事務局から検討の途中の御報告だけさせていただく形としているところでございます。
  どうやらこのアクロレインというのが非常に測定しにくい物質だということのようですので、具体的な局長通知への書き込みについては、その特注品というのがだんだん商品化されていくのかとか、そもそも別のやり方があるのかとか、そういったところの検討の様子を踏まえながら、後日別途御相談させていただく形になるかなと思っているところでございます。
  それから、資料2-3としておつけしておりますのが、使用すべき保護具の案です。こちらも委託事業の中で検討いただいているものなのですけれども、アクロレインにつきましては、呼吸用保護具が例えば有機ガス用防毒マスク、ただし、アクロレインの環境濃度が高い場合には送気マスクや空気呼吸器の使用が推奨されるですとか、あるいは、保護衣、保護手袋につきましても、素材別の耐透過性といった点について一つ一つ試験をやらせていただきまして、この材質であれば、クラス6で行けたねとかということをまとめさせていただきました。
  物質ごとに一つ一つ記載してございます個々の中身につきましては、詳細はなかなか御説明しにくい部分がございますので、お読みいただければと思うのですけれども。明示的には記載していない部分だけ何点か補足させていただきますと、保護衣、保護手袋につきましては、ここに記載されていない材質についてはどうなのだというところにつきましては、クラス1に至らなかったものだというふうにご理解いただければと思います。これは、クラス1に至らなかった素材というのを全て書いていくと、ちょっと紙面のスペースも厳しいものがございましたので割愛させていただいているものです。例えば、アクロレインのところで書いてある材質ので、アクリル酸メチルには何も書いていないよというものは、一応試験はやっているのだけれども、結果としてクラス1に至らなかったものだというふうに見ていただければと。
  それから、眼の保護については、薬液飛沫からの保護という観点で書いているものと蒸気からの保護という観点で書いているものがございます。こちらにつきましては、資料2-1の物質の基本情報をあわせて御覧いただければと思うのですけれども、融点、沸点等、もろもろ考慮しまして、常温でどういう性状のものなのかというところを踏まえて、蒸発しやすいものですとか、そういったものは蒸気からの保護が必要であろうという観点で検討されているものになります。逆に、基本的に常温で液状のもので、液体で取り扱われているものという前提であれば、薬液飛沫の保護という観点で保護眼鏡等についても記載されているという状況でございます。
  ちょっと長くなりましたが、以上、委託事業のほうでもろもろ検討した結果を取りまとめて、こちらでお示ししました。今回、アクロレインとアクリル酸メチルにつきましては、がん原性指針に新しく追加する形で改定等を検討させていただきたいと考えておりますし、メタクリル酸2,3-エポキシプロピルにつきましては、局長通知のほうに測定分析手法と保護具を書き込んでいくと。ただし、先ほど申し上げましたように、アクロレインにつきましては、作業環境測定の方法だけはちょっと空欄でやらせていただきたいという御提案になります。
  事務局のほうから以上です。よろしくお願いいたします。
○小野座長 ありがとうございました。
  では、がん原性指針対象物質等の検討につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
  いかがでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、補足だけさせていただきますと、参考3以降は、個々の物質ごとの検討の結果ですとか、測定分析の検討の結果ですとか、アクロレイン、アクリル酸メチルにつきましては、新規に追加するものだということもございまして、有害性評価小検討会のほうでどういう御議論をいただいたのかというところの紙をおつけしてございます。こんな経緯があって選ばれてきた物質なのだなということをうっすらと見ていただければなと思う次第です。
  あとは、今後がん原性指針への対象物質の追加を順次させていただくということになりますので、そのタイミングは事務局のほうで御相談させていただきながらやらせていただく感じかなと。
○小野座長 唐沢委員、お願いいたします。
○唐沢委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですが、アクロレインの作業環境測定方法は、局長通達では空欄にするという、ちょっとそういう御説明があったように思いますが、それは測定法もあわせて示さないと、指針としては不十分になっちゃいますよね。それをどういう形でお示しになるのでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 おっしゃるとおりで、本来であれば、セットでお示しするべきところではございます。ただ、ちょっと一部検討が間に合っていないといいますか、示し切れていないものにつきましては、実は、今回追加で御検討をお願いする対象に入れておりますメタクリル酸2,3-エポキシプロピルみたいに、その部分だけ空欄でやらせていただかざるを得ないと。これは検討ができ次第、追加で方法をお示ししますという前提で、行政としてはお示ししていくという形にならざるを得ないのかなと思っております。
○小野座長 よろしいでしょうか。
○唐沢委員 はい。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
  すみません、自分が関与していた部分ではありますが、保護具のところなのですが、保護手袋のクラス分けの破過時間が記載されています。クラス6が480分以上というのは、これは性能としていいですよということになるのですけれども、クラス1、クラス2の書き方が10分以上、30分以上と、上限がないというのが何かいいのか悪いのか、この書き方ではわからないのではないかと思うのですけども。ある程度の幅がないと。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、おっしゃるとおりで。実際には、例えば、先ほどおっしゃったクラス1であれば、10分は耐えたよという話ではあるのですが、クラス2の30分にまでは至らなかったというような見方になります。資料の書き方はちょっとすみません、気をつけます。
○小野座長 よろしくお願いします。
  あともう一点、保護眼鏡の書き方で、これも保護眼鏡だけではよろしくないということで、全面形を推奨するという書き方をした記憶があるのですけれども、保護具の委員会のほうで。ただ、ここで保護眼鏡の使用は不適切と書いてしまうと、保護眼鏡が全く役に立たないという解釈になってしまうのではないかというおそれを今になって思います。その辺の書きぶりについて、全面形のほうがいいのはもちろんなのですけれども、この紙がどのように表に出るかにもよりますが、御検討いただけるようお願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 この検討会の資料自体は、すみません、全国配信といいますか、全世界発信していますというお話にはなるのですけれども、実際の通達への反映のさせ方については、場合によっては御相談かなと思っておりまして。これらの検討は委託事業で実施してきたものというふうに申し上げましたけれども、実は実際に検討を行っているタイミングは3物質バラバラで、ちょっとずつ年度が違うんですね。この点、実施年度によって報告書での書き方が違っているのは何でなんだろうという点は、委託事業の受託者である中災防さんとも──ここにいらっしゃるメンバーではないのですけれども──お話をしているのですが、こうして一度に3つ並べると書き方の違いが目に付きますが、各年度の報告書をまとめる段階ではそこまで並びを揃えていなかったようです。
 今回、検討会の資料としてお示しするに当たっては、事務局の判断で書きぶりをある程度、そろえられそうなところはそろえつつという形でやらせていただいたのですけれども、蒸気からの保護が必要な場合の保護眼鏡の使用に関する記載につきましては、これは委託事業の実施結果報告書の中の記載を参考にさせていただきました。保護めがねは蒸気からの保護を想定したものではなく、蒸気からの保護が必要な場合には保護めがねだけでは不適切なのでは……という点は、ある年度の検討のプロセスで受託者内で指摘があり、その年度の報告書から明示的に記載されるようになったようです。
○小野座長 松村委員、お願いします。
○松村委員 その点なのですけども、私は、NIOSH発行の物質ごとに適した保護具の種類のハンドブックを見ておりましたら、アクロレンに対しては保護眼鏡ではなくて、ゴーグルを使うようにと書いてありました。ゴーグルでしたらかなり密着しますので、NIOSHはそれでよいとしているという参考情報です。
○阿部中央労働衛生専門官 正直、ちょっと事務局的にはどういった書き方がちょうどいいのかというのがなかなか判断が難しいところがある気がしますので、場合によってはちょっと委員各位にこのぐらいの形でよろしいでしょうかというのを御相談させていただきながら、最終的な通達への反映を検討させていただこうかと……。
  一応、具体的に現状の通達上ではどういう書き方をしているかといいますと、先ほど申し上げました参考2-3の施行通達のところを御覧いただければと思うのですけれども。大ざっぱに申し上げますと、この参考2-3のページで行きますと、PDFの15ページ目ですね、呼吸用保護具とか、保護衣、保護手袋等という形でお示ししております。割とざっくりこのぐらいで通知上は書いているというところがございまして、先ほどご指摘いただきました点をどのようにここに反映するかというのが、ちょっと悩ましいかなと。したがって、通知での具体的な書きぶりにつきましては、申し訳ございませんが、今回の検討会の資料を事後修正するという形をとるかどうかも含めて、別途御相談させていただければと思う次第です。
  ちなみに、保護めがねに関しては、具体的に、じゃあ、どういう議論……というか検討が委託事業の方でされていたのかというところについては、ちょっと中災防さんからもらった情報がありまして。保護眼鏡については、平成29年度に、JIS T8147で規定する「保護眼鏡」が、「浮遊粉じん、薬液飛沫、飛来物から作業者の目を保護」するためのものというふうにされていて、蒸気が適用範囲となっていないというところを踏まえて、ちょっと書きぶりに気をつけた……というふうに伺っています。いずれにせよ、蒸気とか諸々から保護する観点からは、やっぱり全面形がいいよねという話に最終的な結論としてはなるのだと思うのですけれども、今回ご指摘いただいた保護眼鏡が蒸気を全くNOという話なのかというのは……すみません、中災防さんから提供いただいたその当時の検討状況とかを踏まえると、うーん、さてどうしようかなと正直、ちょっと悩ましいなと思っておりまして、例えば、今申し上げたアクリル酸メチルの検討を平成29年度の委託事業の中でしているんですが、その時点で、保護眼鏡はゴーグル型であっても、JIS規格で蒸気に対応できるとしていないという表現は、一応伝えられておりまして。飛沫を防ぐためには、スペクタクル型またはゴーグル型の保護眼鏡、蒸気を防ぐ必要があるのであれば全面形の防毒マスクが必要だという結論に至ったそうです。
  今、おっしゃっていただいていたのは、ゴーグル型は蒸気もOKなはずだということでしょうか。ちょっと確認が必要とは思いますが……。
○小野座長 そうですね。ちょっとその辺のJIS規格も含めて、もう一度確認をしていただいて、それで修正するか、このままで注意書きをつけるかというようなことで、このままではなくてということで、それでお進めいただけるとよいかと思います。
  ほかに、皆様のほうからこの点について、御意見がございましたら。よろしいでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。今、御指摘の点を踏まえて、ちょっと調整させていただきます。
○小野座長 ほかに、がん原性指針対象物質等の検討について、御質問、御意見はございませんでしょうか。
○松村委員 もう一度よろしいですか。
○小野座長 はい、松村委員。
○松村委員 アクロレインは、防毒マスクで対応するのはよいのですけれども、アクロレインは非常に臭気が強い物質ですけれども、臭気の閾値が今回管理濃度として決める予定の2 ppmですか、それよりも高いのですね。10 ppmと書いてあります。ですから、破過検知には臭気に頼ることができないので、その点を注意書きとして書いてもよいかなと思います。検討会の結果では、ちゃんと破過時間を予測して使用計画を立てると書かれておりますので、それで吸収缶の使用時間を設定していただければ大丈夫ですけれども、臭気には頼らないということも注意としてはあってもよいのではないかと思います。
○小野座長 ありがとうございます。
  ほかにはよろしいでしょうか。
(なし)
○小野座長 ありがとうございます。
  では、がん原性指針対象物質等の検討については、事務局案、一部議論を踏まえて必要な修正を行っていただくということで、議論終了とさせていただきます。
  では、続きまして、次の議題です。残りの資料、残りというか、先ほど説明をしていない部分の資料の確認をお願いいたします。
○米倉環境改善室長補佐 それでは、議題2、議題3の資料につきまして、御確認をお願いします。
  議題2、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討についての資料でございます。資料3、「マンガン及びその化合物」の管理濃度について、資料3-1、前回までの議論のポイント、資料3-2、前回までの議論を踏まえた現在の検討状況、資料3-3、溶接ヒュームに含まれるマンガンのばく露実態調査についてでございます。それから、議題3の作業環境測定基準の見直し等についての資料でございますけれども、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、通称MOCAといいますので、今後、MOCAと省略させていただきます。MOCAの資料につきましては、資料4、MOCAの概要、それから資料4-1、MOCAの測定方法について(案)、資料4-2、MOCA標準測定分析法、資料4-3、作業環境中MOCAの新規測定法の開発でございます。それから、外部放射線による線量当量率又は線量当量の測定の関係でございますけれども、資料5、放射線測定機器に関する作業環境測定基準の改正についてでございます。
  資料に不足等がございましたら、申しつけください。
○小野座長 資料のほうはよろしいでしょうか。よろしければ、まず議題2、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置についての検討を行います。事務局から御説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、資料3ですね、横置きの資料から御説明をさせていただきます。
  こちらにつきましては、一昨年来、御議論させていただいているわけでございますが、マンガン及びその化合物が特化物に指定されております。塩基性酸化マンガンにつきましては、適用対象外ということでございます。従来の管理濃度は、マンガンとして0.2mg/m3でございますけれども、これにつきまして、見直し、ACGIHとECの欧州科学委員会におきまして、粒径別のばく露限界値が勧告されたということでございまして、ACGIHにつきましては、レスピラブルが0.02mg/m3、インハラブルが0.1 mg/m3、それから、EC科学委員会につきましては、レスピラブルが0.05 mg/m3、インハラブルが0.2 mg/m3ということでございます。
  続きまして、3-1につきまして、御説明をさせていただきます。既に数回、旧管理濃度検討会、それから今回の措置検討会におきまして、議論させていただいておりますので、それの議論のポイントをまとめたのが資料3-1でございます。
  まず、1番の管理濃度の粒子の粒径ということでございますけれども、いろいろ議論がございましたけれども、吸入性(レスピラブル)粒子でよいのではないかということでございまして、理由といたしましては、ACGIHの提案書で、ほぼ全てのマンガンが、いわゆる肺のガス交換領域に沈着する粒子(レスピラブル粒子)から吸収されるとしております。また、ただし、一方で、ACGIHは、上気道、鼻や咽頭等に沈着したものが消化管から吸収される、それから、水溶性の高いものが上気道から直接吸収される可能性というのが否定できないということで、セーフガードとして、インハラブル粒子の限度値を勧告しているわけでございますが、そういったインハラブル粒子がどのような経路でどの程度吸収されて、中枢神経障害を起こしたという直接のエビデンスはないということでございまして、レスピラブルの限度値からインハラブルの限度値を計算しているにすぎないということでございます。結論といたしましては、レスピラブル粒子を測定すればよいのではないかということでございます。
  それから、管理濃度の値につきまして、ACGIHの0.02、それからECの0.05につきましては、現時点では突っ込んだ議論はしておりませんので、こちらにつきましては、いずれかとするということになってございます。
  それから、インハラブル粒子とレスピラブル粒子の比ということでございますが、ACGIHの提案書によりますと、この二つの比は、溶接については1対1、フェロアロイ合金等製造につきましては10対1と、非常に違いがあって、中間値としての5対1を採用して、インハラブル粒子の上限値を推定したという記述がございます。前回お示ししたアンケート調査によりますと、フェロマンガン合金の出湯作業における総粉じんとレスピラブルの比率が6%から21%であったということでございますので、レスピラブル粒子が総粉じんの10分の1程度という文献が正しければ、今回、レスピラブル粒子を例えばACGIHは0.02 mg/m3と、10分の1程度に減少させても、現状のレベルと大きく変わらないのではないかと、そういう御意見がございました。
  それから、4番の健康影響でございますが、こちらも前回お示ししたアンケートによりますと、健康影響は出ていないのではないかという意見が多かったということでございますが、こちらにつきましては、ACGIHにせよ、日本産業衛生学会にせよ、ECにせよ、神経行動学テストバッテリーの結果に基づいて、用量反応関係があることを根拠にしておりますので、いわゆる中毒というような有所見があるようなレベルで決めているわけではないということでございます。ですので、特殊健診で有所見がないから健康影響はないということではないというような御説明がございました。
  それから、5番の工学的対策と呼吸用保護具についてということでございますが、こちらは、現状で空気中濃度が管理濃度の数倍あるようなところでは、管理濃度の引き下げを工学的対策だけで対応するのはかなり難しいのであって、やはり現場を管理することに主眼を置いて、適切な呼吸用保護具の使用も含めて考えるべきだと、そういう御意見がございました。また、呼吸用保護具による対策につきましては、濃度の測定結果を踏まえまして、必要な防護係数を有する保護具の選定というものが必要だという御意見、それから、マスクにつきましては、熱により溶融するとか、そういった御意見もございました。
  それから、6番の溶接ヒュームでございますけれども、溶接作業につきましては、従来、粉じん則が適用されてきたわけでございますけれども、呼吸用保護具の使用が義務づけられる作業に該当するわけですが、作業環境測定が必要な特定粉じん作業には該当しないという整理になってございました。また、特化則の第2類物質といたしましても「マンガン及び化合物」の後ろに括弧書きで「塩基性酸化マンガンを除く。」という規定が入ってございますけども、溶接業界としては、この溶接ヒュームのマンガンというのは塩基性マンガンであるという認識をしてきたという、そういうアンケート調査でございました。また、溶接作業につきましては、一定以上の風速があると溶接不良が起きるということから、局所排気装置による粉じん対策は困難であると、そういった御意見もございました。
  こういった御議論を踏まえまして、今回、現在、どういった検討状況になっておりますかというのを資料3-2で御説明をさせていただきます。
  まず、1でございますが、マンガン合金製造におけるマンガンばく露低減措置についてということでございますが、こちらにつきましては、先ほど御説明したとおり、インハラブルとレスピラブルの粒子の比が10対1程度とされているということがございますので、まず、製鉄あるいはマンガン合金製造等におけるレスピラブル粒子と総粉じんの比率というのを調査いたしまして、その結果を踏まえて、マンガンばく露低減措置の内容を検討するということにしたいというふうに考えてございます。
  2番目の溶接ヒュームによるマンガンばく露の低減措置でございますけれども、まず(1)でございますが、溶接ヒュームに係る特化則の適用につきましては、法令改正をきちんとする形で明確化するということで、現状の条文で適用するということはしないという方針でございます。さらに、こちらにつきましても、溶接ヒュームの実際の溶接作業におけるばく露というのが必ずしもはっきりしていないということでございますので、実態調査を行いまして、その結果を踏まえまして、マンガンばく露低減措置の内容を検討するというふうにさせていただきたいと考えております。
  三つ目の呼吸用保護具でございますけれども、こちらも測定結果を踏まえて、工学的対策のみで対応することが難しいということであった場合は、必要な防護係数を有する保護具の選定方法というのを検討したいと。検討に当たりましては、指定防護係数、こちらは訓練された労働者が正常に機能する呼吸用保護具を正しく着用した場合に、少なくとも得られるであろうと期待される防護係数ということでございまして、それぞれマスクの形態別に定まるものでございますけれども、それを規定しておりますJISのT8150の中で、こういったものを明確化するというところを踏まえまして、対応を検討したいと考えております。
  それから、管理濃度の値につきましては、文献を精査いたしまして、管理濃度をACGIHの0.02 mgとするか、ECの0.05 mgとするかということを御検討いただきたいと考えております。こちらにつきましては、双方、引用されている文献はほぼ同じでございまして、その違い、考え方の違いを整理した上で、次回、御議論いただきたいというふうに考えているところでございます。
  続きまして、資料3-3でございます。こちらは、現在実施しようとしている、溶接ヒュームに含まれるマンガのばく露実態調査の内容でございます。
  目的につきましては、先ほど御説明したので省略いたします。
  調査内容につきましては、まず(1)で業種等、(2)で溶接の方法、溶接材料、化学組成も含めてですね、それから母材の材質、こういったものを調べて、それから、作業の内容と換気装置、工学的対策の内容を調べると。
  その上で、溶接ヒュームの濃度をまず作業環境測定基準に基づいた形で測定するということでございまして、質量濃度測定法、こちらは分粒装置を用いたろ過捕集方式及び質量分析法、それから相対濃度測定方法を両方やるということでございます。また、マンガン濃度測定を同時に行う必要がございますので、フッ素樹脂加工グラスファイバーろ紙等を使用するということでございます。それから、粒径につきましては、幅広く調べるということでございまして、レスピラブル及びインハラブル、インハラブルにつきましては総粉じんとすることも検討しているところでございます。測定箇所につきましては、呼吸域、それから、これはB測定ですね。それから、通常のA測定ということでございます。
  それから、(5)が溶接ヒュームの濃度を個人サンプラーを用いた測定方法につきましても、測定するということでございます。こちらは、管理濃度というよりは、全体のばく露を調べるという趣旨でございますけれども、こちらにつきましては、分粒装置付きの個人サンプラーによる質量濃度測定法を行う予定でございます。
  それから、(6)で、溶接ヒューム中のマンガン濃度をサンプリングしたものから測るということでございます。
  最後に、作業環境評価基準に則りまして、第1評価、第2評価値につきましても、算定をするということでございます。
  調査の対象につきましては、溶接作業は幅広い業種において行われておりますので、幅広い業界団体12団体に御協力をいただきまして、計26事業場につきまして調査を行う予定でございます。それぞれの業界団体で、主要な溶接方法と溶接材料の組み合わせを調査するという予定でございます。
  スケジュールでございますけれども、現在、実態調査を実施中でございます。こちらは、中央労働災害防止協会に委託してございますけれども、9月中に測定を一旦終わって、暫定報告をいただくという予定にしてございます。
  説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
  では、マンガンにつきまして、過去の議論のポイントと現在の検討状況辺りで、まず御意見等をいただいて、それから、あとはばく露実態調査、もうちょっと具体的なほうは、次の段階というふうにさせていただきたいと思います。
  では、皆様のほうから御質問、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
  小嶋委員。
○小嶋委員 すみません、今回初めてで、前回までにどういう経緯の議論があったかわからないのでちょっと教えてください。
  今、資料3-2を見ているのですけど、その最後のほうに管理濃度の値についてと書いてあるんですけど、管理濃度を決めるということは、つまり溶接ヒュームの作業環境測定を今後義務づけるということでしょうか。
○安井環境改善室長 2番の溶接ヒュームにおけるマンガンばく露の低減措置についてというところに書いてございますように、とりあえず実態調査を行って、必要となるマンガンばく露低減措置の内容を検討するということでございますので、現時点で、作業環境測定を義務づけるかどうかということは、まだ決めてはおりません。
○小嶋委員 わかりました。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
  松村委員、お願いいたします。
○松村委員 粉じんのサンプリングについては専門ではないのですけれども、一般的に行われる作業環境測定の粉じんの捕集でレスピラブルとインハラブルというのは、どのぐらいクリアに分かれてサンプリングができるのでしょうか。今、この3の中に総粉じんとするか要検討と書いてあるのも、その辺の事情が反映しているかなとは思うのですけれども、実情が私はわからないので、教えていただければと思います。
○小野座長 それに関連しまして、名古屋委員のほうからお答えいただきます。
○名古屋委員 インハラブルとレスピラブルを同時に測定できる粉じん計は、ドイツ・フンド社製のレスピコンという粉じん計がありますけども、多分、それは高価ですし、なかなか使い勝手が難しいので、レスピコン粉じん計を使用するのは現実的ではありません。それについて、旧管理濃度委員会で検討した結果、インハラブルとレスピラブルは別々に測定することになりました。要するに、インハラブルの測定は、面速でいくという話になるのか、IOMを使うのか、このことについてはちょっとわかりませんが。いずれにしても、別々に測定することになっています。
○小野座長 事務局、お願いいたします。
○安井環境改善室長 名古屋先生のおっしゃるとおりでございまして、レスピラブルにつきましては、従来の粉じん測定で使っておりまして、普通の分粒装置がございますので、それを使います。インハラブルにつきましては、基本的にIOMを使う方向で、検討してございます。総粉じんは、従来のやり方でございまして、総粉じんというか、要するに粒径を指定しないということで、測定するということでございます。
○小野座長 ありがとうございます。
  資料3-3とも絡んでまいりますけれども、一応、原則としては、レスピラブルと場合によってインハラブルをはかるということでよろしいわけですね。
○名古屋委員 そうですね。
○小野座長 溶接の場合には、粒子が小さいので、どちらではかっても、あまり大きな違いは出てこないかと思いますけれども、そういったことで、別々だけれども、できれば同じ場所で測定したいということで、中災防さんのほうで今、御検討いただいているという理解でよろしいでしょうか。
  櫻井委員、お願いいたします。
○櫻井委員 特化則で「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」となっている件なのですが、それはどういう議論に今までなっているか、ちょっとそれは取り消す方向なんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
○小野座長 その辺の経緯を一番御存じの名古屋委員のほうから御説明いただきます。
○名古屋委員 特化則がつくられたときには、どういう理由で塩基性マンガンが除外になったかは分からないため、行政が調べてくれていますけれども、当時は塩基性マンガンを除くよという形になっていましたので、溶接業界としては、溶接ヒュームを測定してみたところ、溶接ヒューム中のマンガンの多くが塩基性マンガンであったので、溶接ヒュームは特化則の対象にはならないと考えていたようです。ただ、今回の管理濃度の変更の場合は、ACGIHの勧告値そのもの自体に塩基性マンガンを除くという項目がないので、ACGIHの濃度である0.02ミリグラムにはもう塩基性マンガンは含まない、要するに、溶接ヒュームは特化則対象物質として取り扱うということで議論しているところです。
○小野座長 安井室長、お願いいたします。
○安井環境改善室長 名古屋委員の御指摘のとおりでございまして、まず、行政のほうで塩基性マンガンを除くというところについて、かなり調べたのですけれども、明示的な理由というのは出てはこなかったということでございますが、特定の業界からそういう要望があって除いたという経緯だけはわかりました。ただ、先ほど名古屋委員からもございましたとおり、ACGIHあるいはEC、いずれの文献につきましても、そういった化学形態別に有害性に違いがあるような文献というのは発見できておりませんので、基本的には新たな規制を検討するときには、この塩基性マンガンを除くというものは削除する方向で検討したいというふうに考えてございます。
○小野座長 ありがとうございます。
  マンガン及びその化合物という形になるわけですね。
○安井環境改善室長 溶接ヒュームがございますので、物質名ではなくて「溶接ヒューム」という言葉を使うかもしれませんし、そこにつきましては、実態を踏まえて、また、その規制の体系にもよりますので、次回、検討会でまた御議論いただきたいと考えております。
○小野座長 ほかにはよろしいでしょうか。
  名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 ちょっと1点聞かせてほしいのですけども、3-2の資料で、2の溶接ヒュームによるマンガンばく露の低減化について、溶接ヒュームに係る特定化学物質で、法令改正によって明確化する。この明確化というのはどういうふうにするというふうに考えていらっしゃるのですか。
○小野座長 お願いいたします。
○安井環境改善室長 現状では、先ほど申し上げましたとおり、括弧書きで塩基性マンガンを除くというのが入っておりますので、この記述があるがゆえに、溶接ヒュームについての適用関係が不明確ということでございますので、そういった文言の削除をすることも含めて、検討しております。どういった事項を義務づけるかと、適用するにしても、じゃあ、何を義務づけるかということも含めまして、実態調査の結果を踏まえて検討したいと考えております。
○名古屋委員 ありがとうございます。
○小野座長 中明委員、お願いいたします。
○中明委員 今、おっしゃった実態調査で、かなりにシビアにレスピラブルとインハラブルを分けて、今、実際にデータをとっているの。とっていますかと聞いているの。だから、そこら辺がクリアにならないと、幾らそんなことを言ったってしようがないんだよ。数値が出てこないことには、考えようがないでしょう。だから、どうやって現場でちゃんと測っているかということが大事なのです。そこら辺に言及がないと、簡単に数値を出してこられても困るわけ。
○安井環境改善室長 資料3-3で御説明しましたとおり、溶接の26事業場につきましては、レスピラブルとインハラブルのそれぞれの濃度測定を行う予定でございます。
○中明委員 それは何検体ぐらい。
○安井環境改善室長 検体、事業場によって一つの単位作業場ということもあるでしょうし、複数の数もあると思いますので、何検体というのはちょっとすぐわかりませんが、それなりの数はとる予定でございます。
○中明委員 要するに、10検体、20検体ぐらいで数値を出すというのには、僕は疑問があるので、ちゃんとしたデータを出してくれるなら、それはそれでいいと思いますが。
○小野座長 では、あわせて資料3-3のほうにも入ってまいりますので、こちらのほうに、26事業場ですね、調査対象としては12団体、26事業場で、26事業場は全て入ることができる、今、始まったばかりのところですよね。
  室長、お願いいたします。
○安井環境改善室長 26事業場につきましては、それぞれの団体から御推薦をいただいておりまして、全ての事業場について受け入れというか、測定いただくことについては御了承いただいております。まず、事前にお伺いして、どういった測定をするかというプランニングをした上で、実際の測定を行う予定にしてございます。今、事前の調査をやっている段階でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
  もう既に8月になっておりますので、これから事業場に入っていただいて、9月末までに全てのところのデータが出るというのはちょっと厳しいかなという気はするんですけれども、マンガンを測っていただけるという計画のようですので、進めていただければと思います。
  1点だけ私がちょっと気にしているのは、全てのマンガン濃度をはかれない場合に、K値から推定値をしていくと。普通の質量濃度変換係数は粉じん濃度になりますけども、マンガンに換算するという換算濃度をお使いになるというお話なのですが、多分、溶接の場合ですと、発生源がすぐ近くと離れてA測定とかになるようなところでは、大分環境が違うと思いますので、そのときのK値の取り扱い方については御検討いただけるとよろしいかと思っております。
  室長、お願いいたします。
○安井環境改善室長 御指摘のとおりと思いますので、基本的に質量濃度測定法で重量分析したそのサンプルをそのまま原子吸光ないしICPで分析して、マンガンの比率を出すことにしております。それが一番眼目でございます。ただ、K値も一応測っておかないと、今後の相対濃度測定の関係もございますので、一応両方やる予定にしてございます。
○小野座長 小嶋委員。
○小嶋委員 資料3-3を見ているのですけれども、溶接ヒューム濃度の測定(作業環境測定基準による方法)で、今、K値のお話が出ているのですけども、御参考までに申し上げますと、溶接作業場のK値というのは非常にぶれやすくて、一定しません。どういうことかといいますと、発生源から粉じん計までの距離が数十センチ変わるだけで、K値は数倍変わってきます。ですので、並行測定する際には、K値は何種類も用意していて、その何種類もあるK値の中からそれぞれの測定点において最適なK値を選ぶようにしないと、正確な作業環境測定が難しくなると思います。
  それから、K値というのは、溶接現場では時間的な変動もしやすいということがありまして、例えば溶接方法とか、溶接条件、そういったものがちょっと変わっただけで、K値は大幅に変わってきます。例えば、同じ溶接方法であっても、溶接電流、これを作業中に適宜変えることは普通にあると思うのですけども、その溶接電流をちょっと変えただけで、K値ががらっと変わってきます。ですから、測定中にK値が変わっていないかどうかという、変わったときですね、何アンペアから何アンペアに変わった、そういったことも調べて、それぞれの溶接条件において、K値が幾つぐらいになっているか、そういうことも含めて、多数のK値というのを事前に調べて、それで最適なK値をそれぞれの測定点に沿って当てはめないと、正確な測定というのは不可能かと思います。
○小野座長 室長、お願いいたします。
○安井環境改善室長 御指摘を踏まえまして、そんなにたくさんK値を評価するのは難しいと思いますが、できるだけ御指摘を踏まえて対応したいと思います。
○小野座長 小嶋委員。
○小嶋委員 もう一点、これを見ていて、光散乱方式による測定でA測定とB測定と書いてあるのですけども、B測定は、この場合、呼吸域でとるということでしょうか。
○安井環境改善室長 はい、資料3-3の(4)のウにありますように、B測につきましては、呼吸域ということで、JISのZ3950の場所をはかるということでございまして、1ページめくっていただいて、注の2に改定中のJISのZ3950の規定が書いてございますけれども、溶接面の内側に今、吸引口を設置するという形で測定する予定でございます。
○小嶋委員 光散乱方式の粉じん計は溶接作業者の呼吸域呼吸域には入らないのですけども、だったら、最初から、ろ過捕集方式で直接質量濃度をはかって、それをB測定の結果としたほうがよろしいんじゃないでしょうか。
○安井環境改善室長 現在、中災防のほうでつくっていただいた案ですと、B測定はデジタル粉じん計になっていますので、この辺りは踏まえて何か対応できそうですか。
○小野座長 じゃあ、すみません、お願いいたします。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 中災防の岡田でございます。
  現状、B測定についても粉じん計を使っての測定ということで、LD-6Nを使って、粉じん濃度を測定するということを計画しております。
○小嶋委員 LD-6Nを使う際には、やはり並行測定でK値を出すわけですよね。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 はい、そのような形で考えています。
○小嶋委員 併行測定をした時点で質量濃度がわかっているのですから、わざわざ質量濃度をはかった後に相対濃度をはかって、また変換係数で質量濃度に戻すのは、不合理な気がするんですけど、最初にはかった質量濃度で対応したほうが合理的なのではないでしょうか。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 LD-6Nにもフィルターがセットできますので、そちらの濃度も測定するということで、今のところ計画をしているというところと、あとは、逆にLD-5などを使ってしまいますと、どうしてもK値が必要になってくるということで、仕様に基づいて、まず、相対濃度で各粉じんの濃度は測定するのですけれども、それぞれ可能な限り、粉じん自身も捕集をして、その質量濃度等も測定するような計画を立てているところになります。
○小嶋委員 しつこいようですみませんけども、もう一点以前から疑問に思っているのですけど、LD-6Nというのは、溶接の遮光面の内側に入らない。つまり、呼吸域外でとってしまうことになるのですけど、それについてはどうするべきでしょうか。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 実際、サンプリング口と実際のポンプの部分ですね、こちらはチューブで接続をされているような形になっておりますので、そのチューブを延長するような形で極力保護面の内側にセットをするような形で、作業者の方に装着をするということを考えております。
○小嶋委員 わかりました。さっきも言ったのですけど、K値というのはすごく変動しやすいので、B測定10分間と書いてありますけど、その10分間の間に溶接条件とか、そういったものが変わっていないことというのはちゃんと確認する必要があると思います。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 そういったところも踏まえて、作業状況等を記録させていただきたいと思います。
○小野座長 松村委員、お願いします。
○松村委員 今、小嶋さんが問題にされている溶接ヒュームの質量濃度換算計数が変化しやすいということですけど、光散乱方式粉じん計というのは粒子が小さいと感じないのです。粒径が0.3ミクロン以上ないと、光散乱が効率よく起こらないので、カウント外になってしまうのですね。溶接ヒュームは発生当初は非常に小さい粒子だと思いますので、とても光散乱ではカウントしにくい相手じゃないかというふうに思います。もしより小さい粒子を検知したいならば、CPCのついたパーティクルカウンターのようなものもやはり必要になってくる部分じゃないかという気がします。
○小野座長 ありがとうございます。
  中災防さんのほうには、厚生労働省との打ち合わせで内容等は十分詰めていただいていると思いますので、あくまでも、まずマンガン濃度を測定したいということが第一義的な測定だと思いますので、K値、粉じん計というものは、今後活用できるかどうかということも踏まえてということになると思います。まず,新たに測定しなければいけないかもしれない物質として、マンガンについてのデータを出していただくというところが一番重要ではないかというふうに考えます。
  資料3について、大分時間も押しておりますけれどもいかがでしょうか。
  大前委員、お願いします。
○大前委員 参考資料の1-2のリスク評価の実施状況というのを見ているのですけども、どうもこの中でマンガンがまだ入っていないということは、有害性評価がまだできていないということだと思うんですね。先ほどの塩基性酸化マンガンですか、これを入れるか入れないかというのは、有害性評価はちゃんとやらないと、除いていいものなのか、あるいは、除く必要がないものなのかというのがあると思うので、その点も、有害性評価に載っけるかどうかも考えていただきたいと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 それは、化学物質評価室のほうで、リスク評価の企画検討会からなのか、ちょっとすみません、どこから流し込むか考えますが、御指摘の点を踏まえて、ちょっと取り扱いを検討させていただきます。
○小野座長 よろしくお願いします。
○米倉環境改善室長補佐 すみません。マンガン及びその化合物につきましては、現在、特化物として規制されている物質ですので、既に有害性があるということで規制されている物質という扱いになっております。一方、リスク評価は規制されていないものをどう評価していくかという話ですので、そのスキームとは違うのかなというところでございます。
○大前委員 今、問題になっているのは、塩基性酸化マンガンを外していいものかどうか、マンガンは恐らく有害性があることはわかっていて、もう入っているのでしょうけども、そこのところはチェックしなくていいのですか。今まで何で塩基性酸化マンガンが外れていたかというと、先ほどの御説明ですと、業界のほうから何らかのアクションがあったという御説明だったので、それが妥当かどうか、やはりチェックする必要があるんじゃないかと思います。
○小野座長 お願いいたします。
○安井環境改善室長 そういった観点はもちろん必要だと思いますので、次回、検討いただきたい、従来、管理濃度検討会があれば、そちらで御検討いただけたと思うのですけども、こちらには統合されておりますので、この場をおかりして、もう一回、ACGIHとかの論文も含めて、もともと数値をどうするかという議論も含めまして、次回以降、御議論いただきたいと考えております。
○小野座長 お願いいたします。
  すみません、時間が押しているのに、ちょっとお聞きしたいのですが、レスピラブルでばく露限界値を決めることについては、それは理解できるんですけれども。実際に、フェロアロイとかのインハラブルの大きな粒子が多いところで、レスピラブルでサンプリングをしてしまうと、過小評価になってしまうのではないかという懸念があるのですけれど、いかがでしょうか。そこの測定法についてまではまだ規定しないという理解でよろしいですか。情報を仕入れるというようなことも書いてあるのですけれども。
  お願いいたします。
○安井環境改善室長 管理濃度の粒径につきましては、今までちょっと御議論いただいていまして、基本的にレスピラブルで濃度は規制するということでございますので、管理濃度を満たしているかどうか、測定につきましても、レスピラブル粒子での測定を考えてございます。
○小野座長 ただ、インハラブルまではかると、もっと濃度が高くなるという心配、ことがあるので、インハラブルの規制値も、ACGIHとかEUにはあるのではないかと思うのですけれども、サンプリングをレスピラブルだけでやると、規制をクリアしやすい環境もあって,管理ができるかどうかという不安があるんですけれども。
  お願いいたします。
○安井環境改善室長 資料3-1の1番で書いてございますけれども、御指摘のとおり、ACGIHにつきましては、基本的にほぼ全てのマンガンがレスピラブル粒子から吸収されるということでなっております。一方で、消化管からの吸収、あるいは、水溶性の高いものからの直接吸収については、セーフガードとしてインハラブル粒子ということで限度値を勧告してございますが、これがレスピラブルの限度値にレスピラブルとインハラブルの比を掛け算して決めているということなので、レスピラブルを測って、それで規制すれば、健康影響というのは予測可能ではないかという御議論だったというふうに記憶しております。
○小野座長 多分、アロイのほうの業界でも一部データをお持ちかもしれませんので、多分、大丈夫なのかなとは思うのですけれども、わかりました。
  大前委員。
○大前委員 今の点なのですけども、レスピラブルで規制をかけていいというものの条件は、肺に影響があって、肺以外のところ、例えば、今回、中枢神経系ですけども、そちらのほうには影響はないというときは、レスピラブルで肺でいいと思うんですけども、それ以外に、全身で吸収されて、例えば中枢神経とか、ほかの臓器とか、そういうものに影響がある場合は、やっぱりレスピラブルだけではまずいというふうに僕は思います。だから、両方掛けるのがベターかなと、単純に言いますと。そういうふうに思いますが。
  この場合、確かにマンガンというのは、吸収率は非常に悪い、消化管吸収率は非常に悪いことはわかっているのですけども。例えば、ここにありますように、水溶性の高いマンガン、これはちょっと僕も吸収率が高いかどうか、あまり自信がないものですから。
  それから、いわゆるマンガンで起きてくる病気で結構あるのは、井戸水から何かのマンガンの中毒って結構あるのですよね。だから、決して、消化管からの吸収が少ないというふうに思わないので、やはりレスピラブルだけで規制するのは何となく違和感があります。
○小野座長 お願いいたします。
○安井環境改善室長 今までの御議論がとりあえずレスピラブルで行こうということでまとまっておりますので。大前先生が前回、そういう御議論されたのは、踏まえてのことなのですけども、先ほど水の話とかもございましたけれども、産業現場における、今回、ACGIHが引用している文献は、いずれも呼吸によるばく露のものしかないということなので、そういった部分について、エビデンスはないといえばないんですが、そういったことが産業現場においてあるとは考えていないということです。現状のエビデンスから言うと、基本的に肺からのガス、いわゆるガス交換領域に沈着したレスピラブルということなので、新たなエビデンスが出てくれば、インハラブルが優位にきくというエビデンスが出てくれば、もちろんだと思いますけども、ACGIHもそこまではエビデンスを出していないということなので、この形でやるということで、前回、管理濃度検討会の段階から、そのようにまとまっているというふうに認識しております。
○小野座長 すみません、ちょっと座長の仕切りが悪くて、座長がかき回している状態になって申し訳ないです。
  松村委員、お願いいたします。
○松村委員 すみません、マスクのことでもいいですか。
○小野座長 はい、大丈夫です。
○松村委員 マスクが前回、高温でエラスティックな面体が溶けて、皮膚が炎症を起こしたということがありましたけど、そういう心配がないものというと、使い捨ての不織布性のマスクしか使えないわけで、そうすると、あまり防護係数が高くはない。10倍までしか得られないということです。もし、それで防護係数が足りない場合には、結局、送気マスクで面の中が陽圧になるようなものでしたら、面体が例えばシリコンゴムでできていても、面と皮膚の間に何かもう一つフィルターをかますというようなことが、そういう使い方が許されるかという問題はありますけれど、そうすれば、面体が溶けても皮膚には炎症が来ないということも考えられるかなという気はしております。
  すみません、思いつきですけれど。
○小野座長 名古屋委員。
○名古屋委員 多分、今、心配されているのは、そういうのがあったよということであって、そういうのがしょっちゅうあるわけじゃないと思います。普通、溶接作業ではそういうことはないので、その心配はないと思います、一般的に。
○松村委員 溶接じゃなくて、金属の溶融などの現場で……。
○小野座長 そっちのお湯のほうかもしれないですね。
○名古屋委員 溶解作業のほう、そっちは高いかもしれない。
○小野座長 ただ、マスクが溶けるのだと、顔もやけどしていますよね。
○名古屋委員 その地点、マスク以上にそのことの方が問題じゃないかな。
○松村委員 顔がやけどするという話を聞いたことがあるので。
○小野座長 その辺につきましては、まだこれから多少情報も入ってくるかもしれませんし、対策については、また次回、次々回ということになるかと思いますので、それまでに私どもも、あと事務局のほうも情報を収集していただくということで、先の議論のほうに行かせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  いかがでしょう。大分、押してしまいまして、すみません。
  すみません、では、藤間委員。
○藤間委員 1点、実態調査の中で、溶接材のいろいろ組成の問題ですね、それと、実際に測定する現場との関係で、通常の実態に合ったところがちゃんと選ばれているかどうかというのは、重要なポイントじゃないかなと思います。
  以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
  室長、お願いします。
○安井環境改善室長 各団体にお願いしたときに、その業界で最も標準的な一番よく使われる組み合わせについて、使っている事業場を御紹介してくださいとお願いしておりまして、そういった趣旨で御推薦をいただいているとは考えております。
○小野座長 ありがとうございます。
  では、まだ御議論もおありかと思いますが、一旦、マンガンについては、ここまでで議論を終了とさせていただきます。
  続きまして、議題の3、作業環境測定基準の見直し等についての検討を行います。まず初めに、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○米倉環境改善室長補佐 資料4を御覧ください。
  通称MOCAということで、今後、説明させていただきます。
  MOCAの概要でございますけれども、規制対象としては、既に特化物になっているものでございます。主な用途としまして、液状品としてウレタンエラストマー用硬化剤ということで、ウレタンゴム、タールウレタン、ウレタン床材、発泡ウレタンで使われているものでございます。粒状品としまして、ポリウレタンエラストマー用硬化剤、エポキシ樹脂及びエポキシウレタン樹脂用硬化剤ということで使われているものでございます。生産・輸入量につきましては、経済産業省のほうで発表されている数値を見ますと、1,000トン以上2,000トン未満ということになっております。管理濃度につきましては、0.005 mg/m3でございます。日本産衛学会の許容濃度としまして0,005 mg/m3、それから、ACGIHのほうでTWAとして0.01 ppmが示されているところでございます。その他でございますけれども、IARCで1ということで、ヒトに対する発癌性が認められるということで評価されているものでございます。
  資料4-1でございます。こちらは、測定方法についての改正案でございます。
  MOCAにつきまして、新たに測定方法が開発されたことを踏まえまして、作業環境測定の方法を改正すべきではないかということで、資料としてまとめたものでございます。
  捕集方法、分析方法の見直しでございます。定量下限(管理濃度の10分の1)、それから保存安定性等の条件を満たすため、次の1物質について、作業環境測定基準を次のとおり改正するということでございます。
  測定方法(現行)でございますけれども、試料採取方法がろ過捕集方法で、分析方法が吸光光度分析方法、ガスクロマトグラフ分析方法又は高速液体クロマトグラフ分析方法となっているところを、今回、新たに測定方法が開発されたということで、試料採取方法を固体捕集方法、分析方法をガスクロマトグラフ分析方法に改正すべきではないかと考えているところでございます。
  具体的な測定方法につきましては、測定方法を新たに開発しました中央労働災害防止協会から御説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○中央労働災害防止協会/岡田氏 それでは、中災防の岡田から改めて御説明させていただきたいと思います。
  お手元の資料4-3をまず御確認いただければと思います。
  こちらは、研究論文として、私ども中災防の大阪労働衛生総合センターから日測協の雑誌のほうに投稿させていただきました研究論文になります。
  こちら、2ページ目を開いていただきますと、下のほうに緒言と書かれているところの後半部分ですね、2番の方法の上辺りをちょっと御覧いただければと思いますが、もともとろ過捕集方法等々でガイドブックで規定されていたというところであったのですけれども、今回、昨年の10月に、厚生労働省のほうから硫酸含浸フィルターを用いた方法、具体的にはOSHAのMethod No.71と呼ばれる方法になりますけれども、こちらを使った方法を併用するのが望ましいという通達が出たところになります。具体的にはガス状のMOCAも捕集ができるというところがポイントとして挙げられていたかと思います。そういったことを踏まえて、このOSHAのNo.71のMethodを大阪センターのほうで検討していただきまして、このOSHAのMethodですと、採気量が毎分1Lで100L、100分必要だというふうになっていたんですけども、通常、作業環境測定、B測定ですと10分間ということですので、採気量が10分の1になってしまって、管理濃度の10分の1をクリアすることができない定量下限になってしまうということがあり、従来の方法、この方法をそのまま使うことができないということで、新たにGC-ECDを使ったOSHAのMethodからGC-MSを使った方法を新たに改良して大阪センターのほうで作成をしていただいたというところになります。また、さらに、それを改善させていただきまして、新たな誘導体化試薬を使って、より前処理等を簡便にした新たな手法、ここではJISHA法と呼ばせていただきますけれども、JISHA法の開発を行ったといったところになります。
  具体的に使用する分析機器がOSHAではGC-ECDだったものがGC-MSを使って高感度化を図っているというところになります。そして、まず、その高感度化を図った時点で、OSHAのMethod No.71で使っているヘプタフルオロ酪酸無水物という誘導体化試薬ですね、こちらを使っていたのですけれども、こちらを使っていた場合、4ページ目を御確認いただければと思います。こちら4ページ目、図の1に前処理方法というところがあるかと思うのですけれども、こちらは新たにOSHA法をベースに改良した方法と、あとはJISHA法ですね、こちらを並列で書かせていただいたものになりまして、硫酸含浸フィルターで捕集したフィルターについて、超純水や水酸化ナトリウム等を使っていただいて取り出しをする。その取り出したものについて、改良OSHA法では、こちらのヘプタフルオロ酪酸無水物、通称がHFBAという誘導体化試薬を加えまして、誘導体化をして、GC-MSに分析をするという、このステップを使っているんですけれども、中災防が開発したJISHA法ですと、N-メチルビス(トリフルオロアセトアミド)と呼ばれる誘導体化試薬を使うことによって、非常にステップ数を少なくして、手間をなく分析することが可能になるという手法を発表した論文になってまいります。
  この手法を使うことによって、先ほどお話しした定量下限の問題をクリアすることができ、なおかつ、測定のステップ数を少なくすることができるといったような状況になっているということになります。
  そちらを一覧表にさせていただきましたのが、配付資料4-2になります。こちらは、今、論文でお示しさせていただきました二つの方法のうち、JISHA法ですね、よりステップ数の少ない方法を一覧にまとめたものになります。具体的には、左側の上の部分、サンプリングというところになりますけれども、サンプラーは硫酸含浸前層・後層の2枚の硫酸含侵フィルター、ガステック社製のものを使います。こちらを毎分1Lのサンプリング流量で10分間10Lサンプリングをするといったような手法になってまいります。そして、この状態で保存性としては、冷蔵で少なくとも5日間までは変化がないことを確認していると。ただ、7日目以降ですと、保存率が若干減衰する、90%程度まで減衰するといったような状況が見られたといったような形ですが、通常、5日間あれば十分分析できるということですので、保存性は非常に問題ないといったような状態になってくるかと思います。
  そして、これをどのような形で分析するのかというのが右側のカラムになります。分析法としては、ガスクロマトグラフ質量分析法ということで、超純水2mLと0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1mLを加えて、内部標準入りの抽出用トルエン溶液2mLを加えて振とうする。そして、遠心分離をして、脱着をするといったような流れになってまいります。そして、その脱着したものを、脱着したトルエン溶液を0.5mL分取しまして、誘導体化試薬、N-メチルビス(トリフルオロアセトアミド)、こちらを10μL添加して10秒間撹はんをして、30分間室温で静置をすることにより、誘導体化を行った後、1μLをGC-MSで注入するといったような手法になってまいります。ここで加える内部標準としては、3,3’-ジクロロベンジジン 5μg/mL inトルエンといったような濃度のものになってまいります。
  その下、使用した分析装置ですね、GC-MS等の条件が記載をされているといったようなところになりますが、この条件で分析をした精度としましては、また左側の表のほうを見ていただければと思いますが、添加回収率として、添加量を0.005μg、0.025μg、0.050μg、0.1μgといったような形で添加量を振って、添加量を確認したところ、ほぼ90%以上の、100%前後の数字が出ているといったような状況になってきています。また、保存性ですけれども、先ほどお話ししましたが、添加量を0.005、0.050、0.100μgを添加したものについてそれぞれ保存性を確認したところ、5日目までは90%以上の保存性を確保することができているといったような形になります。
  そして、定量下限ですけれども、0.00037μg/mL、これは10σの値をとった定量下限になりますけども、サンプル濃度として0.00037μg/mLということで、これを10L採気で換算をしますと、0.074μg/m3というところになってまいります。管理濃度の10分の1、0.0005 mg/m3はクリアしているといったような形になってまいります。
  こういったような手法でより高感度に精度よく分析できる手法を今回御報告させていただくといったような形になります。
  以上になります。
○小野座長 ありがとうございました。
  MOCAについての御説明は以上で終了かと思います。皆様のほうから御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
  保利委員、お願いします。
○保利委員 従来の方法を廃止して、これに変えるということでよろしいですか。それとも、従来の方法はまだ生きているという考えでいいですか。
○小野座長 お願いいたします、事務局。
○安井環境改善室長 過去の経緯から申し上げますと、先ほど御説明がありましたガスは測定しやすいとか、あるいは、飽和蒸気圧よりも管理濃度が低いという事情もちょっとございまして、従来のろ過捕集方法でももちろん測れることは測れるのですけれども、今回の硫酸含浸のほうがより確実性が高いということでございますので、できれば、事務局としましては、このろ過捕集方法を廃止して、この固体捕集方法のほうに移行したいというふうに考えてございます。
○小野座長 お願いします。
○保利委員 これは硫酸含浸フィルターで捕集するという方法なのですか。これは、固体捕集方法と言っていいのですかね。
○小野座長 安井室長、お願いします。
○安井環境改善室長 御指摘はごもっともと思うんですけども、過去、同じ硫酸含浸フィルターを固体捕集法というふうに整理してございまして、その整理に則ったということでございます。
○保利委員 作業環境測定基準には、固体捕集方法の定義として、確か「試料空気を固体の粒子の層を通して吸引すること等により吸着等をさせて、当該固体の粒子に測定しようとする物を捕集する方法をいう」と書いてあったと思うのですけど。
○安井環境改善室長 過去の整理がそのようになってございまして、いわゆるグラスファイバーとかでありますれば、物理的に捕集するわけですけども、今回、化学的な成分、化学的な手法も用いているということでございますので、固体捕集法に分類しているということでございます。
○小野座長 保利委員からの御指摘については、私どもも、ほかにも何種類かありますので、この整理で本当にいいのかという、実際がわかっている人間にとっては不思議な感じがするのですけれども、いつかのディスカッションでそういうふうに決まっているということで、やむを得ないのかなと思うようにしています。
  松村委員、お願いします。
○松村委員 これは、微粒子状と、それから、濃度は低くても蒸気が共存するということですよね。その蒸気の部分を活性炭ではなくて、こういうフィルターに含侵させた硫酸だけでもかなりとれるということで、それで固体捕集なのだろうと、私は理解しておりますけれども。
○小野座長 よろしいですか。
  海外はもう基本的に硫酸含浸フィルターで粒子状のMOCAも蒸気になったMOCAもサンプリングできるということで、それで分析をしております。
  一応、2層になっていて、1段目で漏れた分は2段目でとれるという形で、補正は可能であると思います。
  中明委員、お願いします。
○中明委員 今回のこのMOCAについての測定法の中で、一番ポイントは要するに組み合わせの中で、固体捕集にするかしないかは、それはどうでもいいのだけど、固体捕集にしてガスクロマトグラフ分析法と書いてあるよね。検出器がGC-MSなんだよね。そのMSについては、今までだと全くないですよね。それが説明ないんじゃないの。だって、ガイドブックにだって、MSの説明なんかは何も書いていない、大部分が。
  それで、僕、一番ポイント。いいよ、それはまた後で見てもらえれば。だって、GC-MSのMSについての説明って、ほとんどガイドブックにないんだよね。時間を食っちゃうね。いや、室長、いいよ、そんなの後で。
○小野座長 基準のほうは、ガスクロマトグラフとか液体クロマトグラフとかは書いてありますけれども、検出器を何にするかまでは基準には書いていませんが、例えば、今回、表でまとめていただいた4-2みたいな形になっているところには、検出器も書かれていますし、ガイドブックにも書かれています。それで、どこかにその質量分析というものも入れるべきではない、入れたほうがいいのではないかという御意見というふうに考えてよろしいでしょうか。
○中明委員 室長、それと一番大事なことは、ここで過去の測定法のそれをキャンセルしますと、新しいのに変えますというところなんだよね。今、古いやつをどんどん変えてもらいたいのがたくさんあるわけよ。だって、吸光光度分析法なんて今さらやったって、困っちゃう部分があるわけだよね、新しい分析法が出て。だから、それでキャンセルできるのだったら、すごくうれしいんだけど、そういう方向。
○小野座長 事務局、お願いいたします。
○安井環境改善室長 座長からも御説明がございましたけれども、法令上は、ガスクロマトグラフ分析法としか書かなくて、GC-MSなのかとか、そういった細かいところについては、法令上の規定はしておりません。それは、ICPとか、その辺も全部MSなのかどうなのかというのは書いていないので、それはおっしゃるように、ガイドブックの中で書かれる話でございます。
  あと、吸光分析法とか古いものにつきまして、アップデートすべきではないかという御議論は、御指摘をいろんなところからいただいておりまして、昨年度から日測協のほうにこれまでの測定方法についてのレビューと、その新しい測定方法で取り入れるべきものがないかというのをやっておりますので、その結果を踏まえて、随時見直していく予定にはしてございます。
○小野座長 ありがとうございます。
○中明委員 3分くらいいい。
○小野座長 2分。
○中明委員 1分で行きます。いずれにしろ、今までのもので感度が不足するものなどはカットしてほしいというのと、それから新しいのが入ったらどんどん入れていってほしいというのはあるのです。ただ、今回のMOCAについても一つの論文でしょう。一つの論文で論文と言えるかどうかわからない。作業環境しか載っかっていないのだから、ほかにはないわけなんだ。誰かがそれをちゃんとフォローしたのかどうかという、実際に同じような数値が出たよとか、そういうのがないと、やっぱり厳しいような気がするのだけども、今、それを期待しても無理だからいいです。
○小野座長 事務局、お願いいたします。
○安井環境改善室長 OSHA法につきましては、もともとOSHAで定められたメソッドでございますので、バックになる文献というのはたくさんございます。こちらにつきましては、日本でやったときには、前処理がかなり難しいという御議論がありました。そのため、今回、中災防のほうでやっていただいて、より前処理が簡単になるものを開発したということでございます。いずれにしても、ここに書いてある固体捕集法というやり方が別にOSHA法でもいいですし、このもちろん今回開発されたJISHA法でも構わないということでございますので、特定の今回1本の論文で特定された方法だけに限定するような趣旨ではございません。
○小野座長 ありがとうございます。
  ほかにはよろしいでしょうか。
  大前委員、お願いいたします。
○大前委員 すみません、一つはつまらないことで、一つは僕はよく覚えていないのですけども、資料4の主な用途のところの「発砲」の字が間違っておりますので、これは修正してください。これだと、鉄砲を撃つほうになっちゃうので。
  それから、今の3,3’-ジクロロベンジジン、これは発がん性は大丈夫でしたっけ。それをちょっとどこかでチェックしていただいて、できれば使う試薬もそういうような影響がないものがベターだと思うので。
○小野座長 その点につきましてなんですが、3,3’-ジクロロベンジジンは特化物です。実は、この測定法を開発した方とお話をしまして、ほかの内部標準を使いませんかというお話はしています。ただ、MOCAに割と形が似ていて、誘導体化反応がしやすいということで、やっぱりこれを使いたいということなのです。特化物の測定に特化物を使うというのについてはやはり抵抗もございますので、どうしても使わないと測れない場合には、この表の資料4-2のようなところに、内部標準物質は特定化学物質であるので、十分に注意して分析を実施すべきであると書いてはいかがでしょうか。NIOSHのマニュアルは、こういう物質にはこういう有害性がありますよというのを全部書き出した形で、マニュアルをつくっています。日本の場合には、この紙1枚、とりあえずはこの紙1枚ですが、特化物であるというようなことは、適用とか妨害とか参考文献と下にありますけれども、こういったところに、少なくとも1文付けていただけるとよろしいのではないかというふうに、私も考えております。
  あと、細かくてすみませんけれども、3,3’の間は、中点ではなくてカンマですので、すみません、お願いいたします。
  ほかにはよろしいでしょうか。すみません、時間が。
(なし)
○小野座長 では、大分押しておりますので、MOCAについては、これで議論終了とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○小野座長 MOCAの測定法について、資料4-1から2あるいは3で御議論いただいたように、変更することでよろしいでしょうかというところを皆様から了承をいただかないといけないのですけれども、とりあえずこの方法を採用する形で提案していただくということでよろしいでしょうか。修正が一部ある、文言とか誤字とか、そういったところの修正は含みますけれども、この測定法でよろしいでしょうか。すみません,測定法じゃなくて見直しですね、基準の見直し。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小野座長 異議がございませんようでしたら、異議なしということで、MOCAについての議論はこれで終了させていただきます。
  続きまして、外部放射線による線量当量率又は線量当量についての検討を行います。事務局より御説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、資料5という横置きのパワーポイントのほうでちょっと御説明させていただきます。
  こちらにつきましては、放射線測定ということでございますので、今回、措置検というのはもともと化学物質に係る措置検ということで、なぜ入っているかということでございますが、旧管理濃度検討会は、こういったものにつきましても含んでおりましたということで、その措置検と統合されたということがございましたので、今回、念のために報告をさせていただくという趣旨でございます。なお、この資料につきましては、8月1日に開催されました「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」という検討会がございまして、その中にJAEAであるとか、日本アイソトープ協会の御専門の方に御議論いただいて妥当であるという結論をいただいた資料でございます。
  1ページめくっていただきまして、まず、電離放射線障害防止規則に定める作業環境測定につきましての内容でございますけれども、まず、法律の65条に規定されておりますけれども、それを受けまして、電離則の54条で、管理区域については一月以内に一回、定期に外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定するということになってございます。その測定装置につきまして、作環基準の8条のほうに、右下に表が出ております。この右下の表を見ていただきますとわかりますように、例えば中性子であれば、計数管式とかシンチレーション式とかルミネッセンス式と。ガンマ線又はエックス線であれば、電離箱式、ガイガー・ミュラー式という、測定器の種類別に法令を組み立ててきたというところでございます。
  それから、3ページ目でございますが、まず、サーベイメータ、こちらのサーベイメータと申しますのは、受動形ではない、一般的に皆さん御存じのとおり、GM計数管のようなものでございますけれども、こちらにつきまして、従来はJISの中で電離箱式、ガイガー・ミュラー計数管あるいはシンチレーションサーベイメータみたいに分かれたJISになっておったわけでございますけども、これが1984年に廃止されまして、X線及びγ線サーベイメータ、それから、さらに1990年にはX線及びγ線サーベイメータという形で、あと、2014年の改正でβ線も入っておりますけども、このような形で統合されているということでございます。中性子用につきましては、これも中性子用線量当量率サーベイメータというのがJISのZ4341というのが2006年に定められているということでございます。
  続きまして、次のページでございますけども、受動形、パッシブの積算線量計によるJISということでございますが、こちらにつきましても、1956年にフィルムバッジが始まって、その辺りでJISがいろいろ光ルミネッセンスとか蛍光ガラスとか、種類別のJISが制定されたわけでございますけれども、こちらにつきましても、2017年にIECに整合する形で、X・γ線及びβ線用受動形個人線量計に関するJISに統合されているという形でございまして、それぞれの種類別に規制をするような形にはもうなっていないという形でございます。
  5ページ目でございますが、これはJISの4333の比較でございますが、ちょっとこちらは専門的でございますので、省略させていただきます。
  6ページにつきましても、ちょっと省略をさせていただきまして、7ページ目でございます。こちらにつきましては、従来の守備範囲ということで、従来比の2002年のJISは、個人モニタリング用と作業環境測定モニタリング用、環境モニタリング用になっておりましたけども、まずは、環境モニタリング用というのが外に出まして、別のJISになりました。それを踏まえて、2017年に全部で五つの線量がはかれることになっておりますけど、その下に、下二つ、周辺線量当量H(10)、それから方向性線量当量H’(0.07)という、こういったものではかれる形で規定がされたという形でございます。
  続きまして、8ページ目でございますが、現状の問題点でございます。まず、サーベイメータにつきましては、非常によく使われている半導体線量計というのがなぜか書いていないと。それから、電離箱式照射線量計というのは逆にもう使われていないということ。それから、先ほど御説明いたしましたように、最新のJISのZの4333は、もう種類別の規定が削除されておりますので、測定器の種類名で法令上規定するというのが、それを受けるJISがなくなってしまったということでございます。
  続きまして、9ページ目でございますが、受動形測定器につきましても同様でございまして、まず、フィルムバッジというのは既に使用されていない。あるいは、中性子測定用で広く使われている固体飛跡検出器が規定されていない。あるいは、非常によく使われている光刺激ルミネッセンス線量計が規定されていない。そういう問題がございます。また、これに加えまして、JISのほうで従来のような測定器の種類名を定めていたJISというのが廃止されたということがございまして、これも測定器の種類別に法令上規定するということが難しくなったということでございます。
  それから、β線につきましては、電離則54条3項で70マイクロメートル線量当量というのを一定の場合に測らなきゃいけないということでございまして、これは主にβ線を意図しているわけでございますけども、そのβ線の測定器が規定されていないという問題がございました。
  以上を踏まえまして、まず、10ページ目でございますが、サーベイメータにつきましては、性能要件化するという趣旨でございまして、JISのZの4333またはJISのZの4341に適合するサーベイメータを作業環境測定基準に盛り込むために、従来の規定にかえて、以下のような規定とするということでございまして、サーベイメータのうち、次に掲げるものということで、(1)でガンマ線又はエックス線については一センチメートル線量当量、それから、70マイクロ線量当量を適切に測定できるもの。それから、中性子線につきましては、一センチメートル線量当量を適切に測定できるもの、こういった形で規定をさせていただきたい。
  続きまして、11ページでございますけれども、受動形放射線測定器につきましても、JISのZ4345又はJISのZの4416に適合するようなものを盛り込むという趣旨で、従来の規定にかえて、以下のような規定とするということでございまして、まず、受動形測定器のうち、次に掲げるものということで、ガンマ線又はエックス線については、一センチメートル線量当量、それから、又は70マイクロメートル線量当量を適切に測定できるもの。中性子につきましては、一センチメートル線量当量を適切に測定できるものという性能規定化させていただくと。それから、ベータ線につきましても、規定を新設いたしまして、同様にサーベイメータ又は受動形の両方について、70マイクロメートル線量当量を適切に測定できるものということを規定させていただくという趣旨でございます。こういった形で、性能要件化を図って、適切に測定できるものというのを具体的には通達で解釈として示して、JISなどを引用するという形で対応することを考えてございます。
  説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
  この議題4につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
○中明委員 ちょっといいですか。
○小野座長 はい、中明委員。
○中明委員 これは、結局、作業環境測定士の放射線を受験なさる方のあれがありますよね。今現在あって、それの試験のときにかなり変わる部分が多いのでしょうか。僕も、そんなのはよくわからないから、あれしていないのだけど。そうなると、やっぱりどこかでちゃんと補正なり何なりをよく考えていかなきゃいけないのですけども。
○安井環境改善室長 規定ぶりは当然、いわゆるお名前による規制から性能要件に変わりますので、変わります。ただ、実際の測定現場が変わるかというと、実はあまり変わらないという実態はございまして、別に性能規定化したからといって、従来使っていた線量計が使えなくなるとかではありません。そういう意味では、実態的には変わりませんが、法令上の見た目はかなり変わるという形になります。
  当然、法令を改正したときには施行通達というのをお出しして、その趣旨、内容につきましては、通達をさせていただく予定でございます。
○中明委員 施行通達っていつごろ出るんですか。もう出た。まだ出ていない。
○安井環境改善室長 いえ、ここで御審議いただいて、御了承いただきまして、改正につきまして、パブリックコメントを経て、その後に交付させていただく予定でございます。
○中明委員 はい、わかりました。
○小野座長 すみません、ここまでの御議論、この書類ができるまでの議論も放射線の専門家の方に御検討いただいていて、これができた後、施行通達をつくるときにも、また事務局とそちらのほうで調整をしていただいて、最終版が出るという。要するに、私ども、ここの検討会がやることは、この変更を了承しますということまでが仕事と考えてよろしいですか。
○安井環境改善室長 そのように理解してございます。
○小野座長 わかりました。
  いかがでしょうか。特に御異議がありませんようでしたら、御了承いただいたということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小野座長 ありがとうございます。
  では、議題のほうは終わりましたが、その他ございましたら。その他、ないようです。
  事務局のほうからその他ということで、お願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 もろもろ長時間にわたって、ありがとうございました。ちょっと予定よりも早く終わったという感じがあるんですけれども、一応、次回のスケジュール、見込みというところで御案内だけさせていただきます。
  今、テクノヒル社のほうから日程調整、委員各位と進めさせていただいておるかと思いますけれども、一応、11月の頭ですかね、本年度第2回を開催できればという話をさせていただいているところだったと思います。スケジュールの細かいところにつきましては、個別にテクノヒル社のほうから御連絡させていただいているかと思いますので、そちらで皆さまのご予定を押さえさせていただく日程に応じてということになりますけれども、ネタとしましては、今回の残課題を中心にやらせていただくのかなというところを想定しております。開催案内を含めて、決まりましたら別途御連絡させていただく形になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
  では、以上で、本日の措置検討会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。