2019年7月22日 第22回社会保障審議会福祉部会

1.日時

令和元年7月22日(月)16:00~18:00
 

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館 ホール12E
 

3.出席者(五十音順)

4.議題

(1)地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進について
(2)社会福祉法人の事業展開等の在り方について
(3)その他
 

5.議事

(以下、各委員等発言内容)

○田中部会長 定刻になりましたので、ただ今より「第22回社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきどうもありがとうございます。
まずは、事務局より、新たに就任された委員の御紹介と、本日の委員の出欠状況について説明をお願いします。
○高橋総務課長 4月9日付で、朝川の後任として社会・援護局総務課長を拝命いたしました高橋でございます。委員各位におかれましては、今後、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私より、新たに就任された委員の御紹介をさせていただきます。
地域共生に関して、社会福祉協議会の立場から現場の取り組みなどに関して御意見を頂戴するため、井手之上優大阪府社会福祉協議会会長に新たに御就任いただいております。一言御挨拶をお願いいたします。
○井手之上委員 大阪府社会福祉協議会の井手之上でございます。今、御紹介ありましたように、社協の現場からの意見ということでございます。どれだけの意見が述べられるか、少し不安ですけれども、よろしくお願いいたします。
○高橋総務課長 ありがとうございました。
続きまして、5月31日付で御就任いただきました委員のうち、前回御欠席の委員の御紹介をさせていただきます。
沼尾波子委員でございます。
○沼尾委員 東洋大学の沼尾でございます。専門は地方財政論でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋総務課長 ありがとうございました。
保井美樹委員でございます。
○保井委員 法政大学の保井と申します。都市計画とまちづくりなどを専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋総務課長 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、井上委員、川井委員、黒岩委員、新保委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、松原委員外何名かの委員から、遅れて御出席されるとの御連絡をいただいております。
○田中部会長 ありがとうございました。
次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がございましたので、紹介をお願いいたします。
○高橋総務課長 福祉基盤課長の宇野でございます。
○宇野福祉基盤課長 福祉基盤課長の宇野でございます。よろしくお願いします。
○高橋総務課長 地域福祉課生活困窮者自立支援室長の吉田でございます。
○吉田生活困窮者自立支援室長 吉田でございます。よろしくお願いいたします。
○高橋総務課長 以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
議事に入る前に資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。
○高橋総務課長 お手元のタブレットに、
資料1 「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」中間とりまとめ(概要)
資料2 「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」中間とりまとめ(本文)
資料3 「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」(第1回~第3回)これまでの議論の整理(概要)
資料4 「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」(第1回~第3回)これまでの議論の整理
参考資料 参考資料集
の5種類の資料を保存させていただいております。
なお、別フォルダに前回の福祉部会の資料も格納されておりますので、必要に応じて御参照ください。
不備はございませんでしょうか。
○田中部会長 よろしければ、早速、議事に入ります。
まず、資料1及び資料2について事務局より説明をお願いします。
○野﨑地域共生社会推進室参与 野﨑でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、資料1、資料2の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の中間とりまとめがまとまりましたので、そちらについて御報告をいたします。
資料1を使って御説明申し上げますので、資料1を開いていただければと思います。
前回の福祉部会でも私から御説明申し上げましたが、まず、この地域共生社会の検討会が設置された政策的背景について御説明をしたいと思います。
資料1の1ページになります。こちらは、平成29年の介護保険法改正において、社会福祉法も改正されていますが、その内容についてまとめた資料となります。このうち、1の地域福祉推進の理念を規定するであるとか、地域福祉計画の充実を図ることとあわせて、2番にありますけれども、地域福祉推進の理念を実現するために市町村が以下の包括的な支援体制づくりに努めるという旨の努力義務が規定されております。その1つ目が、地域住民の皆さんの地域福祉活動への参加を促進するための環境整備。また、2番目の○、3番目の○が主に相談支援体制に関するものになりますが、まず、2番目の○は、住民に身近な圏域において、分野を超えて地域の様々な生活課題について総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整を行う体制。また、その中で現れてくる、複合的課題なども含めた様々な難しい課題に対して、主に市町村圏域、より広域の範囲において、生活困窮者自立相談支援機関等の関係機関が協働してこのような課題を解決するための体制をつくる。このような3つの機能を包括的支援体制として位置づけて、これを市町村が確保することを努力義務として規定しております。
欄外にあります※印に「附則において」とございますが、法律の公布後3年を目途として、今申し上げた「包括的な支援体制を全国的に整備するための方策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」という附則の規定がございます。公布後3年というのが来年の令和2年となりますが、介護保険法の改正に向けた議論が行われている中で、それと歩みを同じくして、この社会福祉法の附則の規定を受けた対応を考えていく必要があるということでございます。
2ページをご覧いただきますと、今申し上げたような法律上の市町村の努力義務規定とあわせて、平成29年度から3年間モデル事業を展開しております。その具体的な中身は、今申し上げたように、住民に身近な圏域において地域福祉を推進するために必要な環境の整備と、2番にあります地域の課題を包括的に受けとめる場を置くということ。また、3番にありますけれども、相談支援包括化推進員として、その複合課題にも対応できる職員や機能などを置くという事業を実施しております。平成29年度に100自治体だったものが、令和元年度には200を超える自治体で、この事業が展開をされているというのが政策的な流れでございます。
このような背景から、次の3ページになりますけれども、今年の5月に開催されました2040年を展望した省内の改革本部においても「地域共生・地域の支え合いの実現に向けて」ということが政策の柱の一つとして位置づけられまして、ここにありますⅠの「丸ごと相談(断らない相談)の実現」、Ⅱの「地域共生に資する取組の促進」、Ⅲの「高齢者も障害者も利用できるサービスの推進」が3つの柱として掲げられております。
今、私が御説明申し上げている検討会については、このⅠとⅡ、つまり「断らない相談の実現」と「地域共生に資する取組の促進」のところを中心に議論いただいたというものでございます。
次のページを見ていただきますと、検討会の概要を書かせていただいております。詳細は御説明申し上げませんが、「2 主な検討項目」を見ていただければ、「次期社会福祉法改正に向けた市町村における包括的な支援体制の整備のあり方」、また、それとあわせて「地域共生社会の実現に向け、中長期の視点から社会保障・生活支援において今後強化すべき機能」を検討項目として、5月以降、これまで5回にわたりまして議論いただき、7月16日の第5回で中間とりまとめ案を御議論いただきまして、先日公表したという流れとなっております。
その具体的な内容を5ページに書かせていただいております。大きく3つに分かれております。1つは、福祉政策の新たなアプローチとして、これからどのようなことを福祉政策として目指していくべきなのかをまとめております。
御説明申し上げますと、個人や世帯を取り巻く環境の変化、あるいは、生きづらさやリスクが多様化・複雑化していることを踏まえると、一人一人の生が尊重され、複雑かつ多様な問題を抱えながらも、社会との多様なかかわりを基礎として自律的な生を継続していくことを支援する機能を強化していくことが求められています。
このようなアプローチのもとで制度を検討する際には、現行の現金・現物給付の制度に加えて、専門職の伴走型支援により地域や社会とのつながりが希薄な個人をつなぎ戻していくことで包摂を実現していく視点。また、地域社会に多様なつながりが生まれやすくするための環境整備を進める視点。2つの視点の双方が重要で、これらが相まって地域における重層的なセーフティーネットとして機能するのではないかと考えられます。
3つ目として、福祉の対人支援においては、従来の具体的な課題解決を目的とするアプローチとあわせて、つながり続けること自体を目的とするアプローチの機能の充実が求められるのではないかということです。
これらが新たなアプローチとして書かせていただいている部分です。
また、2で、それを踏まえた具体的な対応の方向性ですが、1つは、包括的支援体制の整備を促進するための方策、もう一つは、多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進という大きく2つに分かれます。
(1)で書かせていただいているのが、先ほど御説明した社会福祉法の改正に向けて、法律に位置づけていくことを念頭に置いた改正内容や具体的な措置の内容などでございます。(2)は、法律に必ずしも位置づけるということではありませんが、より広い視点から様々な地域活動をどうやって促していけるのかという視点で書いていただいています。
包括的支援体制の整備促進のための方策について申し上げると、市町村が整備する包括的な支援体制は大きく以下の3つの機能を一体的に備えることが必要とされています。1つは、断らない相談支援であり、2つ目は、社会とのつながりや参加のベースをつくっていく支援としての参加支援、3つ目が、地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性を育てていく支援。この3つの機能を一体的に備えることが必要となります。
1つ目の○の後段になりますが、このような体制の整備に積極的に取り組む市町村に対して国としても政策的な支援を行っていくべきであるという内容になっております。
2つ目の○にその具体的な内容を書いておりますが、このような包括的支援体制を各市町村がそれぞれの状況にあわせて整備することを後押しする観点から、属性や課題に基づいた縦割りの制度を再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきとされています。
また、次の○でございますが、そのような制度枠組みに対する国の財政支援についても、市町村が住民一人一人のニーズや地域の個別性に基づいて、柔軟かつ円滑に支援が提供できるような仕組みを検討すべきである。その際、従来の経費の性格の維持など、国による財政保障のあり方にも十分配慮すべきであるという内容になっております。
(2)は、より広い観点から、特に他省庁との政策の連携も視野に入れた内容となっています。地域共生に資するような様々な地域活動というのは、必ずしも福祉の世界だけで生まれているものではなく、関係する分野の中からも生まれてきています。そういう動きを政策の射程として捉えていくことが必要ではないかという観点です。具体的に申し上げますと、地方創生施策やまちづくり施策などほかの分野との連携を進めていくとともに、ほかの領域の関係者と福祉の関係者が相互の接点を広げ、地域を構成する多様な主体が出会い、学び合うことのできるプラットフォームを構築していくという方向性を書いていただいております。
また、「3 今後の主な検討項目」として、先ほど申し上げました多様なつながりや参加を支援していく参加支援の具体的内容であるとか、包括的支援体制の圏域、協議体、計画などのあり方、また、広域自治体としての都道府県の役割など、今後の検討項目としてお示しをいただいています。これらの検討項目については、今回、一旦中間とりまとめとしてまとめましたけれども、また秋以降の詳細な議論につなげてまいりたいと考えております。
6ページ以降は、今、申し上げた概要をそれぞれ説明する資料です。
まず、6ページは、新たな福祉政策のアプローチとして、これまでの社会福祉政策の枠組みと課題、また個人を取り巻く環境の変化を踏まえて、先ほど申し上げたような一人一人が課題を抱えながらも自律的な生を継続していくことを支援するという機能を強化していくという方向性の資料でございます。
7ページ目は、その際の支援の両輪と考えられるアプローチで、左側の「具体的な課題解決を目的とするアプローチ」に加えて、右側の「つながり続けることを目的とするアプローチ」を両輪として組み合わせていくことが必要なのではないか、また、その際、両方のアプローチに共通する基盤として、本人を中心として伴走していくという意識を持っていくことが必要なのではないかということを書いております。
8ページは、上の左側ですが、今、申し上げたような専門職による伴走支援と、右側にあります地域住民同士のケア・支え合う関係性が多様にあることがセーフティーネット構築につながっていくのではないかという基本的な考え方を書かせていただいた資料です。
9ページは、今、申し上げたような新たな包括的な支援の機能について見取り図という形でまとめさせていただいております。左下は【断らない相談】で、そこに必要な機能として、黒字で書いておりますが、属性にかかわらず、地域の様々な相談を受けとめ、自ら対応またはつないでいく機能と、そのような関係機関の協働の中核となるような機能、この2つが必要なのではないかということです。また、この【断らない相談】と一体的に機能するものとして、右側ですけれども、社会とのつながりや参加を支援する機能、いわゆる【参加支援】として、例えば下の方ですが、多様な社会参加・就労の支援を進めていく、あるいは住まいの確保のための支援を提供していく。また、真ん中ぐらいにありますが、権利擁護のための支援であるとか、社会との接点の確保・包摂の支援をしていくといったこと、このような参加支援が【断らない相談】と一体的に機能することが必要なのではないかと考えられます。
また、同時に、上の部分ですけれども、地域住民同士のケア・支え合う関係性をどのように育てていくのかということも包括的支援の機能として必要なのではないか。大きく1つは、場の機能であり、もう一つは、右側ですが、地域づくりをコーディネートする機能として4つぐらいの具体的な機能を書かせていただいているということです。
このように、【断らない相談】【参加支援】また【地域住民同士のケア・支え合う関係性の育成支援】という3つのものが一体として機能するような包括的支援体制を目指していくべきではないかというのが検討会の報告書の柱となっております。
一方、このような相談支援などの地域づくりに資する事業を一体的に展開していこう、包括的に展開していこうというときに、10ページにありますように、現行の財政支援というものが、介護、障害、子供、生活困窮で、実施主体も違うことがありますが、真ん中ぐらいにありますように国費の性質も一部は義務的経費になっていたり、一部は裁量的経費になっていたり、また一部は地方交付税措置として一般財源化されていたり、複雑に入り組んでおります。また、国費の負担割合も制度によって大きく異なるという状況にございまして、このようなことを踏まえた検討が必要なのではないかというのを11ページに書かせていただいております。
1つ目の◆は、今、申し上げたとおりですが、2つ目の◆では、今でも市町村による運用で一体的な実施を進めてもらいたいという通知などをお示ししているわけですが、これをもう一歩進めていくためには、このような制度ごとの違いを整理した上で新たな財政支援の仕組みを構築していく必要があるのではないか。その際、自治体における事業実施の柔軟性と、あわせて、その財政保障を図りながら検討を行う必要があるのではないかというのを11ページにお示ししています。
最後に、12ページ、13ページで、多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の普及にどのように取り組んでいくのかということをまとめた資料となります。
12ページはその見取り図になります。真ん中に「地域共生に資する地域活動」として、括弧書きの中で幾つか例をお示ししております。この中には、もちろん認知症・高齢者の方の見守りといった、いわゆる福祉的な色彩が非常に強いものから、例えば地域食堂であるとか、空き家を活用した世代間交流の拠点のように、必ずしも福祉分野ではなく、例えばまちづくりの分野でそういった取り組みが生まれている、あるいは地方創生の分野でそういった取り組みが生まれているというものもございます。
このような様々な地域活動を必ずしも福祉の分野に限って考えるのではなくて、様々な主体がつながっていけるようなダイナミズムを捉えていく必要があるのではないかということでございます。
福祉の関係とまちづくりを例に、その関係性をお示ししたのが13ページになります。福祉サイドからのアプローチは、個別支援(相談支援)から派生して、地域課題の解決を目指した地域づくりにつながり、または変化していくことがあります。一方で、右側ですけれども、興味・関心から始まるまちづくりが、様々な出会いを通じて、人・暮らしを中心に据えたまちづくりに変化をしていくこともあります。このような変化を促していくような出会いと学びのプラットフォームを置くことを政策的に進めていく必要があるのではないかということもこの報告書の中に書いていただいているということでございます。
14ページ、15ページは、今、検討が行われている議論について、例えば14ページは骨太の方針で記載されているであるとか、15ページは、まち・ひと・しごと創生基本方針の中でも触れられているということを御紹介した資料になりますが、説明は割愛させていただきます。
以上で事務局の説明を終わります。ありがとうございました。
○田中部会長 説明ありがとうございました。
それでは、ただ今説明がありました資料1について御意見、御質問等があれば、お願いいたします。
三好委員、お願いします。
○三好委員 前回の部会においてもお話し申し上げたのですけれども、地方においては地域を守ってくれている人材が非常に少なくなってきています。元気な高齢者がお年寄や障害者に対応しなければならない状況になっています。特に民生委員ですとか、児童委員ですとか、自治会の役員などの人材がここ数年非常に少なくなっていて、地域の安全への対応が難しくなっております。いろいろ聞いてみましても、自治会役員なり民生委員を担っていただける方たちは、退職してからその任に就く方が非常に多いということでございまして、70歳、74~75歳ぐらいの人たちが就いております。そういう方たちに聞きますと、いざ退職した後にすぐに自治会等に対応するということは非常に難しいということです。退職してすぐ、地域に協力したり、活動したりすることが非常に難しいということですから、前回もお話し申し上げましたけれども、企業に勤務している、職場で勤務しているときから地元のお手伝いをするような仕組みづくり。企業にとって、自分の住んでいるところを応援するような仕組み、社会貢献として企業に何かしらのメリットを与えるような仕組みを現役の時代からつくっておかないと、いざ退職してからすぐやれといっても難しいのではないかと思います。企業に勤めている段階から自治会活動をするなどの社会貢献を促すような仕組みを検討してはいかがかと思います。
○田中部会長 御提案ですね。退職していきなりでは難しいので、事前に準備過程があったらいいのではないかと御指摘いただきました。
小林委員、お願いします。
○小林委員 三好委員と同意見なのですけれども、2ページの組織のところの「総合的な相談支援体制作り」の中に、企業というか、組織というか、そこらあたりも含めていただけると、働いているときからこのような形の総合支援や共生社会という意識が芽生えてくるのではないかと思うので、全く同じような意見を私は述べたいと思います。
○田中部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○三好委員 私も、今回この発言をしましたのは、やはり災害でございます。災害が常態化しています。災害のときに支援をするのに、地域を知らなくて災害の支援はできません。特に要支援者の方たちを地域でどう支えていくかというのは、人の安全のために、地域の安全のためにも必要です。そうなりますと、通常のうちからそういう仕組みづくりの中に参加して勉強しておく必要があるのではないかと私は思います。そのためにも、勤めているうちに地域で貢献する仕組みができれば、何がしかあったときにも対応できる、さらには退職した後もすんなりと入っていけるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○田中部会長 ありがとうございました。
野﨑参与、何かお答えになりますか。
○野﨑地域共生社会推進室参与 企業を通じた現役時代からの地域へのかかわりというのは、一つの政策課題として認識しておりまして、今年度から研究事業という形で、特に50代、退職前の世代の地域貢献というか、ボランティア活動をどのように促していけるのかということを事業化しておりますので、その中で研究を進めたいと考えています。もちろん、これらの成果は、こういう大きな包括的支援体制をつくっていく際にきちんと生かしていきたいと思っております。
また、もう一つの視点として、先ほど小林委員から、2ページの地域の体制づくりのところに企業の視点をということがございました。上の輪の中にも「企業、商店」というのは書いてございます。これは、もちろん、働いていらっしゃる方がいるという視点もございますが、一方で、先ほど申し上げた中で「参加支援」という言葉がありましたけれども、いろいろな生きづらさを抱える方が社会につながり参加していくということを実現していくためにも、企業の存在というのは非常に大きなものです。今回、参加支援ということを枠組みに入れていますので、その中でも企業のかかわりということをきちんと進めていきたいと思います。
最後に、三好委員から御指摘がありました災害の視点というのも、特に地域の地縁というか、地域をベースとしたつながりを考えていく際には非常に重要な視点だと思っておりますので、これについても体制づくりの中で検討していきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 日本商工会議所の荒井でございます。企業の話題がいろいろと出ておりますので、関連したお話をさせていただきます。
今回、検討会の中で、多様な参加を促すということでカテゴリーをつくっていただき、検討テーマを挙げて、それを政策に結びつけていくことは非常に大事なことだと思い、ありがたく思っております。
資料1の13ページでご紹介いただきましたが、福祉サイドからのアプローチとまちづくり・地方創生サイドからのアプローチが、かみ合ったところを政策のターゲットとしていくことが、とても大事だと思っています。どうしても企業側は、事業活動のほうからアプローチをしていきますが、個々で見ると、地域ごとの取り組みは、少しずつ出てきています。例えば、福島県の会津地域では、65歳以上の高齢者が、運転免許証を自主返納する際に交付される運転経歴証明書を提示することで、公共交通機関の利用時や商店街で買い物をする際に、割引や商品配送などのサービスが受けられるようにしています。あるいは、石川県の輪島市では、高齢化と人口減少が進む都市に適した地域住民の足として、ゴルフ場の電動カートを改良したエコカートを公道で走行させる社会実験を実施しています。最初は、観光客の利用を考えていたのですが、実際にやってみると、交通手段を持たない高齢者等の重要な交通手段となっています。
こういった取り組みは、まだ点でしかなく、これを面として広げていくことが大事だと思っています。その際に事業者側からすると、行政との関係は商工部門とのつき合いが深く、他方で今回は福祉サイドからの本来のアプローチがありますので、各地域において福祉部門と商工・観光部門がより深く交流することで横展開を行い、いろいろな好事例を増やすことで、面として広がっていくことが大事だと思っています。
それから、災害支援についてお話がありましたが、非常に大事だと思っています。過去いろいろな災害があった際に、自治体は避難してくる住民の方々がいるので、まずは人命救助や避難所の運営等に人を割かなければなりません。東日本大震災や熊本地震のときもそうですが、少し落ちついてくると、事業をそこで再開しないといけません。街のにぎわいを戻さないといけないですし、何よりも市民の方々の働く場が、もとに戻らないといけません。自治体の方々は、どうしても住民の支援を優先的に取り組まないとならないので、事業の再開支援はおくれがちになります。ここはまさに経済界や地域の商工業の方たちがサポートをしていく、あるいは地域外からサポートする必要があります。予算や寄付金など様々な制約もありますが、過去にこういった課題を乗り越えてやってきた地域連携の素地が出てきているので、それを広げていくことが大事だと思っています。
以上です。
○田中部会長 御意見ありがとうございました。
西島委員、どうぞ。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
先ほど事務局で説明いただいている中で、課題というか、これからの方向性として、全国でモデル事業が200か所ほど取り組まれているところというのは、資料を見させていただくと、丸ごと受けとめるというか、その仕組みも、1回ではなかなかうまくいかないものをまた工夫しながら修正していって、それはすごくいいことだなと思います。私どもも専門職の一員として、そういう幅広い相談、それの原因の学びというのを、これから自分たちでもしっかり仕組みをつくっていかないといけないと思っているのです。
一方で、この仕組みを進めていくために、今回、努力義務ということで行政・市町村がしっかりかかわることがうたわれているわけですけれども、実際には進捗の差があるのではないかと思うのです。工程表でも示されているとは思うのです。この進んでいっているところはいいと思うのですけれども、若干まだ検討中というところもあります。地域福祉計画の中にしっかり落とし込めていればいいのですけれども、それをどうするか検討するというような地域福祉計画のところも多分あるのではないのかなと思うのです。その辺のところ、全体的に推し進めていくというところで、どのような方策をお持ちなのか少し教えていただけたらと思います。
○田中部会長 お答えいただけますか。
○野﨑地域共生社会推進室参与 地域差があるということはまさにおっしゃるとおりで、モデル事業に手を挙げている自治体もまだ1割強でありますので、9割弱の自治体ではまだモデル事業という取り組みはされていません。
一方で、このモデル事業を実施している自治体も、大きくいうと、2つに分けて考えなければいけないと思っています。モデル事業をやっていらっしゃるような自治体を含めて、このような包括的な支援体制を組んでいこうとしたときに、どうしても現行の制度が若干支障になっているという部分に対応していくという部分と、もう一つは、それ以外の自治体の底上げを図っていくという部分の両面があるのではないかと思っています。
後者については、まさに前回の社会福祉法の中で努力義務規定を置いたということで、まだ施行されてから2年たっていないぐらいですから、これからそういう運動論というか、そのような機運を高めていくために、様々な機会を捉えて好事例を展開するとか、御紹介をするとか、あるいは、我々もフォーラムのようなものもやったりしていますので、そういう中で周知していくということが1つあろうかと思います。
もう一つは、より頑張ろうとしている自治体を応援していくことが、一方で底上げにもつながっていくという側面もあるのではないかと思っています。前回御説明したように、包括的支援体制を組んでいこうとすると、例えば会計検査において事業費の按分を求められたり、それで実績に応じて按分をしたり、タイムスタディをやって按分をしたりという手間が生じています。いわば前に進もうという自治体ほどそういう余計な手間がかかっているということがあるので、そこを国の制度としてもきちんと整理する必要があるのではないかと考えています。ただ、それは、自治体によって様々な意向がある中で、しかも、今、モデル事業の足元の実施自治体が1割ぐらいだと考えると、いきなりその1700強の基礎自治体を対象とする制度としてつくるよりも、むしろ積極的にやろうとしている自治体を後押ししていく制度を、今、具体的に検討を進めているところであります。これが2点目です。
もう一点は、専門職の養成の中でも、今回、社会福祉士のカリキュラムを見直していて、その中でも地域福祉と包括的支援というものを位置づけたりしているので、もちろん、自治体の取り組みもそうですが、先ほど申し上げた運動論というか、こういうものの認識を高めていくというときに、専門職の養成など、そのような様々な取り組みを一体的に進めていくということでございます。具体的にそのような機運を高めていくことがやはり重要なのではないかと考えておりますので、制度的な対応と運動論的な部分と両方組み合わせてやっていきたいと考えております。
以上です。
○田中部会長 お待たせしました。内田委員、どうぞ。
○内田委員 全国老施協の内田です。
実は、御存じのように、社会福祉法人の改革が前回ございまして、社会福祉法人の公益的活動の義務づけが始まりました。そういった背景の中で、県単位、市町単位で協議会がたくさん産声を上げて動き出しました。その中で、自治体との協働で事業を行ったりだとか、事業内容が福祉計画の中に組み込まれていたりとか、その輪は徐々に広がりつつあります。そういった事業の中で、必ずと言っていいほど実際に行われている事業の1つが多様な相談業務です。今、産声を上げ始めたそれらの仕組みを育む仕組みづくりを今後ぜひ応援していただきたい。自治体とともにこういった活動も応援していただければと強く願っております。よろしくお願いいたします。
○田中部会長 ありがとうございます。
社会福祉法人の取り組みを自治体が支援することも忘れてはならないとの御指摘でした。ありがとうございます。
石本委員、お願いします。
○石本委員 ありがとうございます。介護福祉士会の石本です。
2点申し上げます。
1点目は、今のお話にも通ずるかと思いますし、介護保険部会でも似たような発言をさせていただいているのですが、新たな仕組みをこれ以上いろいろ複雑につくっていくというのは得策ではないと思っています。既存の社会資源や現行制度をうまく活用しながら形を変えていくというふうにしなければ、最終的に国民や住民の方に理解していただくときに、とてもわかりづらくて複雑というのは、このような制度を進めていく、浸透させていく上での足かせになっているような気がしています。これは介護保険制度も同じですので、現状ある仕組みなどをどうすればうまくパッケージ化できるのか、そういう視点が大事ではないかと思うのが1つです。
あと、いわゆる担い手の話をさせていただくと、特に我々介護福祉士という介護従事者の現状は、制度ができて30年過ぎまして、その中で、有資格で経験があるけれども、70歳を過ぎてリタイヤした人材が地域の中に一定程度いらっしゃいます。このような人たちの知見や経験値を地域の中で生かしていただくような位置づけで、活用も検討されていいのではないかと思いましたので、その2点を申し上げたいと思います。
以上です。
○田中部会長 いずれも貴重な御指摘です。ありがとうございます。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員 全国福祉高等学校長会の奥山と申します。よろしくお願いいたします。学校の立場から少しお話をさせてください。
2ページのところに「ボランティア、学校、PTA、老人クラブ」という言葉が出てまいりまして、学校がしっかりここに入っていてありがたいと思いました。また、12ページのところには「福祉教育の推進」という言葉が入っておりまして、これがますます重要になってくるだろうと私も思っております。
私、福祉学科という専門学科を持った高等学校から参っておりますが、学科を卒業した子供たちは18歳という若さで介護福祉士のプロとして社会に出てまいります。その子たちを考えますと、14歳~15歳という中学校時代に、介護福祉士になろう、介護の道に進もうと情熱を持って高等学校へ上がってまいります。もちろん、高校生としての文科省の学習と厚生労働省で行わなければならない介護福祉士の学習と両立で一生懸命やっておりますので、地域で育てました子供たちにつきましては、ぜひまた地域で活用していただけるとありがたく思います。
3年間の学習の中で、また、各施設等でお世話になりながら、実地的な学習を進めながらプロとなるわけですけれども、そういった学習をする間にも、こういう学科があって、地域でそういった学習をしている子供たちを取り入れて、もっと力をつけてやろうとか、そういう子供たちがいることを地域に知らせてやろうとか、そういうことが何かあると、若い力があるのだというところがもっと広まっていくのではないかと思いました。
また、そうなりますと、高等学校の専門学科だけではなく、普通科、そして総合学科というのもございまして、こちらの方では、福祉を学んでいる子供はわずかでございます。コースとして福祉コースを置いているところでは、初任者研修を学習しておりますので、卒業するときには初任者研修を修了して卒業してまいります。ぜひこういう子供たちも社会で福祉を学んだ若者として活用していただければ、また地域が活性化してくるのではないかと感じております。
あわせまして、高等学校だけではなく、小学校、中学校、高校、大学と、発達段階に応じた教育が必要ではないかと思います。そういった意味で、12ページのところに「福祉教育の推進」と書かれておりますが、厚生労働省だけではなく文科省との連携によってこれから学習を進めていき、若い子供たちに福祉を理解させなければならないかなと、お話を聞いていて思いました。
簡単でございますが、よろしくお願いいたします。
○田中部会長 石本委員は70歳の人、奥山委員は18歳の人の活用ということを言っていただきました。
井手之上委員、どうぞ。
○井手之上委員 大阪府社会福祉協議会の井手之上です。
これを見させていただきまして、特にこれからこれを進めるに当たって社会福祉協議会の役割が非常に大きいのかなと思っております。具体的に社協として取り組んでいく必要性を感じております。
12ページの「地域共生に資する取組の促進」で「考えられる取組」が書かれていますけれども、特に、プラットフォーム機能を初めとしていろいろな面で社会福祉協議会がかかわっていくことが大事だと思っております。特にこのプラットフォームですけれども、社協には、ボランティアセンターというのがございます。地縁型の活動であるとか、テーマ型のボランティア、市民活動を営利・非営利を問わずにかかわることのできる多者協働の場となっているのがこの社協ボランティアセンターだと私どもは思っております。福祉分野に限らず、例えばまちづくりや、地域産業など、他の分野との連携・協働を強化していくことも必要かなと思っています。
この社協のボランティアセンターは、参加支援、地域づくりにも大きな役割を果たしていますので、今回のまとめの方向である参加支援でありますとか、地域づくりに対応するよう機能するのではないかと思っております。この既存の社協ボランティアセンターの強化がこのプラットフォームを構築する上では重要な地域の資源になるのではないかと思っています。
以前に地域力強化検討会で様々議論されましたが、その中間まとめの中で、「ボランティアセンターはボランティアを通じたまちづくりのためのプラットフォームとなるまちづくりボランティアセンターへと機能を拡充させて関係機関と協働していくことについて検討する必要がある」と記載していただいております。こういったことを踏まえまして、社協ボランティアセンターを活用していくことが大事かと思っていますので、その点についてよろしくお願いいたします。
○田中部会長 大事な資源ですね。ありがとうございます。
和気委員、お願いします。
○和気委員 日本ソーシャルワーク教育学校連盟から出席しております首都大学東京の和気と申します。
12ページのところで、今、社協の委員からも御指摘がありました。私は大学でソーシャルワークを教えているのですけれども、介護保険の領域では地域ケア会議というのが位置づけられておりまして、個別の支援困難ケースについて多職種が検討する中で、それを地域ケア推進会議のような、市町村におけるより政策立案機能を持った協議体でそういう課題を出して、地域で問題を解決するという仕組みが法律上も明記されています。日ごろ私もいろいろな自治体において委員としてかかわっているのですけれども、これを見ますと、プラットフォームのところに地域活動と書かれております。個別の活動から課題解決あるいは政策形成といったソーシャルワークは、個別支援から政策形成まで非常に幅広い射程を持つ相談援助制度なのですけれども、その辺の動態的な仕組みがもう少し明記されますと、一人一人の対人援助も日本の国の政策も変えていけるのだということがわかりやすくなります。介護保険上との重複などもあるかと思いますので、その辺も整理していただきながらやっていただければいいのかなと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。後でまとめて答えていただきます。
保井委員、手を挙げていらっしゃいましたね。
○保井委員 ありがとうございます。法政大学の保井と申します。
私は、現代福祉学部という福祉学部の中で、先ほど申しましたまちづくりや都市計画を教えております。その視点から意見を申し上げたいと思います。
今の次のページになりますけれども、13ページに「福祉サイドからのアプローチ」と「まちづくり・地方創生サイドからのアプローチ」という整理がなされております。今、和気先生からもソーシャルワーク教育のお話がありましたけれども、私も福祉学部で大学生を教えている立場からすると、こういう整理はとてもいいと思います。私どもの学部には、ソーシャルワークを学びながらもいわゆるソーシャルワーカーにはならず、もう少し広い意味での地域づくりから福祉的な分野にかかわりたい人がいます。そういう人は企業や地方自治体でつとめるほか、最近は地域おこし協力隊になって、その後の起業を目指すなどして、自分なりのやり方を模索している人も何人か生まれています。
私は、そういうアプローチは非常に重要だと思っています。先ほど、今の制度を生かすべきだというお話もありました。そこも大変重要だと思うのですけれども、すき間のない支援、あるいはもう少し未来志向なこれからの支援のあり方を考えたときに、今の制度の外側の人たちが福祉にかかわっていくような仕組みづくりも大事ではないかと思っています。それが、今回示された、出会い、学びのプラットフォーム、あるいは、そこから始まる地域課題の解決という言葉なのかなと思って、そこは大変支持をしております。先ほど出ておりましたが、こういうところに、恐らく企業との連携なども入ってきて、何らかの形で働きながらかかわりたいと思っている人たちが、この図で言えば右側から入っていけるような、そんな仕組みができるといいのではないかなと思っています。
「いろいろな人がかかわっていける」ことを促進する意味で言うと、施策として二つの方向があると思っています。一つ目は、インセンティブの授与です。例えば場を使いやすくする。空き家を使うときに、税制の部分の免除があるとか、企業の人たちが活動するときのインセンティブとして、例えば地方に出かけるときの移動を支援するとか、いろいろな形があるかなと思います。
それから二つ目は、プラットフォームを動かす専門人材の検討です。このプラットフォーム、出会いを広くつくっていくというのはとても大事なのですけれども、実は私、自治体は結構苦手とする分野ではないかと思っていたりします。どうしても市民と対応すると、要望・対応みたいな関係になってしまう。しかも、こういう縦割りを超えたようなものはどこの部署が行うのかといったことも課題となります。
リーダーシップをもって全庁でやっていただくということはもちろんなのですけれども、このプラットフォームを誰が運営するのかということももう少し考えてもいいのかなという気がしています。せっかく福祉サイドからのアプローチ、外側からのアプローチを入れていますので、外の人材をもう少し巻き込むような仕掛けをモデル事業等で考えていただくといいのではないかと思っています。いろいろな地方で見ていますと、こういうプラットフォームをつくるところに非常勤の公務員の人を入れていたり、地方創生の中に活性化の伝道師みたいな方がいらっしゃいますけれども、そういう方が入っていたり、少し違う視点で見る人が入りながら、福祉の課題も認識しつつ、いろいろな人をつなげていくというプラットフォームづくりも少し工夫しながら行っていくといいのではないかと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
対馬委員、お願いします。
○対馬委員 対馬でございます。私どもは、36年間、デンマークと交流してまいりました。デンマークを訪問した際、日本で言うところの定期巡回のデイサービスの訪問に同行しましたが、12時間サービスしている中で、現地のヘルパーさんは高齢者だけではなく障害者に対しても必ずサービスを提供しています。訪問リハビリ、訪問看護の場面でのセラピスト、看護師も同様です。
同行して見ていますと、高齢者の方に対するサービスの内容と障害者の方に対するサービスの内容にはやはり違いがあります。今まで日本は、高齢者は高齢者、障害者は障害者というサービスの枠組みでやってきました。しかし、共生社会の実現とは、この仕組みを変えようということです。高齢者の事業所は、今後、障害者の介護についても勉強しなければならないと考えます。相談業務も大切ですが、もう一方で、障害者にサービスを提供している事業所も実際には介護で支えるという場面がこれから多くなると思いますので、事前準備をするべきではないかと考えます。
またデンマークでは、障害者と高齢者のサービスを調整しているのは実質ソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーが非常に巧みに調整をして適切なサービスが提供されています。その上で、共生社会の実現を考えますと、これからソーシャルワーカーの役割が今まで以上に増すという認識は皆さん同じだと思いますが、私は、その役割を担うために必要なことが2つあると考えます。
今まで以上に幅広い人たちへの相談援助を行うため、その質を高めるということが1つ。
2つ目は、地域の社会資源をどうやって掘り起こすのか。そして、地域の仕組みを、ある意味ではまちおこしをどうするか。こういった課題への取組みもソーシャルワーカーが担うべきではないかと考えています。先ほど委員の方からも御意見がありましたが、新たな仕組みをつくることを考えるのではなく、既存の仕組みにどうやって上乗せをすると切れ目のない相談の仕組みになるかを考えるべきです。具体的には、地域包括支援センターにソーシャルワーカーを増員して、その部分で障害者の相談業務を担ってもらう。あるいは、特養であれば、100床の施設には2名のソーシャルワーカーがいますので、増員して地域の障害者の相談に乗る。地域として、あそこに行けば障害者のことも高齢者のことも相談に乗ってくれるのだという単純な仕組みの方が大変使いやすい形になるのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
前半の時間が迫ってまいりましたので、最後にします。その後、また後半で時間が余れば言っていただいても結構です。
沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。東洋大学の沼尾でございます。
今回この資料を見せていただいて、福祉という枠組みを超えて、包括的な地域づくりという観点から多様な参加や協働を考えるという姿勢には大変共感しておりまして、そのための仕組みをさらに強固につくっていくことが大事だと思っております。
その上で、すでに議論として出ているところですけれども、このプラットフォームというものをどう考えるかというところが大変気にかかったところです。プラットフォームの担い手は誰かというところにもかかわるのですけれども、まず、私は、日ごろ自治体とのつき合いが多いので、どうしても自治体の目線で見てしまうのですが、初めに断らない相談支援ということが出てきたときに、これは自治体の職員から見ると、恐らく、ある意味非常に脅威に感じるのではないか。つまり、ある制度から見たときに、これはもう断らざるを得ないというものを断らないというのはどういうことなのか。つまり、断らないためには、これはなかなか制度に乗らないけれども、地域のプラットフォームでそれを支えるという基盤なりつながりがあって、行政単独ではだめだけれども、こちらで受け取れるよねというものがあって初めて断らないということが言えるのだろうと思っています。ここでは、ある意味、決意表明のような形で、断らない相談支援ということを謳っているのかもしれないのですが、断らない相談支援を可能とするような仕組みをもう一方でつくっていかないと、多分、行政の現場は精神的に非常に追い詰められるのではないか。そのことが気にかかっています。
では、そのためのプラットフォームをどう考えるかということです。私、地方財政をやっていて大変気にかかっているのは、今、増大する社会保障の給付費に対しては、消費税の増税分を充てるとかいうことで、現金給付、現物給付に対しては様々な財政措置の考え方が出てきているのですけれども、それを支えるプラットフォームの部分です。例えば、福祉事務所の運営費ですとか、人件費の部分にはなかなか財源がつきにくいところがある。そう考えたときに、今、行革の中で、自治体も職員がどんどん減ってきている。他方で、地方に行くと、高齢化が進んで人口も減っている。そのときの人材とプラットフォームを支えるための体制づくりを行うための財源をどのように手当てしていくのかということが大変重要になってくるのではないかと考えています。
先ほど相談支援事業の財政支援について幾つか御紹介があって、これを整えていくことで、個別の制度よりは全体として使い勝手がいいものをつくっていくことが大変大事だと思うのですけれども、このあたりのところをいわゆる財政支援としてやるのか、民間からの資金や人員などの協力も含めて場の構築を考えるのか、今後ぜひ考えていっていただきたいと思っているところです。
あともう一点だけ気になっているのが、こうしたプラットフォームをつくって、最初の方で防災という話も出たのですけれども、実際に何かを支え合う仕組みをいろいろな人の参加でやっていこうとすると、必ず現場で出るのが個人情報保護の問題です。そこをどういうふうに乗り越えて、必要なところに必要な支援がというところの情報をどこまで誰が共有しながら支え合う仕組みをつくるかというところは、一つ乗り越えなければいけない点であり、制度の見直しも含めて考えていく必要がある領域ではないかと思いますので、そのあたりもぜひ検討していただければと思っております。
以上です。
○田中部会長 多彩な意見をありがとうございました。
まず、野﨑参与からお答えすべきところがあればお答えください。全部に答えていくとまた1時間かかってしまうから要点のところを。最後に、検討会の座長でもあられる宮本部会長代理からこの課題について一言言っていただき、そして後半に移ります。
お願いします。
○野﨑地域共生社会推進室参与 資料1の5ページをご覧いただければと思います。「3 今後の主な検討項目」のところに、「参加支援の具体的内容」「包括的支援体制の圏域、協議体、計画、人員配置等のあり方」「広域自治体としての都道府県の役割」「保健医療福祉の担い手の参画促進」を検討課題として書かせていただいております。というわけで、先ほど来先生方からいただいた御意見のうち、地域ケア会議のような協議体のあり方をどう考えるのかとか、社会福祉協議会も含めて社会福祉法人の役割をどう考えるのか、このようなことというのは、こうやりますというところまでまだ十分議論を行っていないので、後半戦に向けてもう少し具体化していきたいと思っております。
その上で、石本委員からありました、新しい大きな制度をつくるよりも既存のものを生かしながら検討すべきとのご指摘は、事務局としてもそのとおりだと思っていまして、例えば断らない相談というのを、全く新しい別のものとしてつくるよりも、既存のいろいろな相談支援機関の機能なども生かしながら、市町村としてどういうふうな体制を組んでいけるのかということを、これまでの制度ごと、機関ごとのアプローチではなくて、市町村全体の体制としてどう組んでいくのかというのが、今回の、今目指している大きな仕組みの骨になりますので、そこは十分踏まえて議論を進めていきたいと思います。
また、子供のころからの福祉教育の重要性に関する奥山委員からのお話についても、検討会の中でも教育分野との連携はかなり言われておりますので、このあたり、深めていきたいと思っております。
次に、プラットフォームについてですが、正直まだ十分具体性を持った形では議論されていなくて、今の段階では、福祉とそれ以外の多領域を掛け合わせていこうという、その両方の視点を政策の視野に入れていかないといけないのではないかという問題提起にとどまっております。ここも、先ほどのお話と一緒ですが、既存の様々な関係者、政策資源がある中で、行政の機構の問題も含めてどういうふうにうまくやると地域で領域横断的な地域づくりの取り組みが生まれやすくなっていくのか、といった議論をもう少し深めていく必要があるだろうと思っています。
最後に、沼尾委員からありましたが、断らない相談の部分は重要だと思うのです。検討会の議論の中でも、つなぐ先というか、受けとめるのはできるけれども、今回の検討会の議論では、つながり続けることを目的とするアプローチというものを出しているわけです。そうだとすると、それを全て専門職が担っていく、あるいは相談支援の入り口の機能が担っていくとすると、確かに、業務過多になりかねないので、今回、相談支援と一体的な参加支援のあり方、そこでは、例えば就労だけでなく幅広い社会参加をどう考えていくのか、あるいは住まいをどう考えていくのかなどといったこと。もう一つ、地域住民相互の支え合う関係性というものも1つの円の中におさめている趣旨は、相談だけでは機能し切らないのではないか、つまり、地域の包括的体制を考えていく上では、それと組み合わせた参加支援と、地域の関係性を豊かにしていく地域づくりの取り組みと、それを同時に進めていかないと包括的支援体制の機能が十分に発揮できないだろうという観点からですので、そこは十分留意をした上で進めていきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 中間取りまとめ以降、秋以降の取り組みの決意が伺えたので、ありがとうございます。
宮本部会長代理から御説明をお願いします。
○宮本部会長代理 大変有益で示唆的な御議論、深く感謝したいと思います。これはあくまで中間とりまとめでございますので、このとりまとめ自体がこの福祉部会等で積み重ねられてきた議論に学び、かつ、関係諸団体、自治体で取り組まれてきた先駆的な事例から吸収しながらつくったものでありますけれども、さらにここでの議論を継承しながら、秋以降、議論を続けてまいりたいと思っております。
幾つか印象深かった点だけ述べさせていただきますと、1つは、三好委員から出されて、かつ、小林委員や荒井委員からも議論が続けられた点でございますけれども、この地域共生社会というのは、しばしば誤解されているように、地域共生、地域の支え合いに投げるというのではなくて、地域の支え合いをいかに支えていくのか、あるいは少し長いタイムスパンで、会社に勤めているころからとか、子供のころからとかいったスタートラインを踏まえながら、支え合いの関係をどう形成をしていく、育んでいくということに一つポイントがあると思っております。支え合いを支えるというのがこの地域共生社会になるのかなと思います。
それから、石本委員から出たポイントは、野﨑参与からもフォローがありましたけれども、断らない支援ついてであれ、参加支援についてであれ、支え合う、支えるという点であれ、機能論というか、やや抽象的な表現が多いのは、ほかでもなく、それぞれの自治体でこの機能をどの機関でどういう連携で実現していただくのかということを考えていただきたいのです。何か決まった青写真をつくって、それを上意下達的に提起していくということでは決してありません。そうであるがゆえに、少し抽象的に聞こえる部分もあろうかと思います。これをどういうふうに地域とうまくコミュニケーションしていったらいいのか、この点についてもぜひこの部会で具体的なアイデア等をいただければと思います。
そして、最後は今ある資源を生かすという点とプラットフォームという点にかかわると思われる点です。縦割りを超えるということは随分前から言われてきたことなのですが、同時に、それを断らないということになってしまうと、沼尾委員からも御指摘あったように、それが自治体の職員に大きなプレッシャーになりかねないというところがあります。しかし、同時に、縦割りが煩瑣な業務を増殖させてきた面も否定できないと思いますし、また、目の前にあるニードというのは複合的であるのに、自分の手元のツールというのは一そろいしかないということで、支援者や自治体職員が悔しい思いをしてきたことも否定できないと思います。断らない相談支援というのはややセンセーショナルな言い方ではあるのですけれども、支援者や職員が振り向けばちゃんと後ろでつながっている、そのことによって職員や支援者がストレスを感じることなく達成感をおぼえることができる、そういう状況を目指していくのだということが一つ大きなポイントだと思っております。
それから、保井委員、荒井委員からもお話がありました。おっしゃるとおりでありまして、これまでの福祉の枠を越え出ていく。そういう意味では、大きな冒険になるのかなと思います。しかし、なぜそれが必要かというのは、皆さんの御議論を伺っていて、そのとおりだなと思うところであります。
実はプラットフォームというのは福祉の枠を超えていく場になると思います。それが具体的にどんなふうに設定されるかというのも、先ほど申し上げたように、自治体ごとに違ってくると思うのです。一例をあげれば、介護保険で提起されている協議体もプラットフォームの出発点ではないかと思います。これを横に広げていくという方法もあるのだろうと思います。あるいは、その協議体にこだわらずにプラットフォームを設置することも考えられるのかなと思います。そのあたり、皆さんの御議論を続けていただき、そこと強く連携しながら、この報告書の中身を充実させていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○田中部会長 ありがとうございました。
では、ここから議題(2)に移ります。
社会福祉法人の事業展開についての説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 福祉基盤課長の宇野と申します。私の方から、社会福祉法人の事業展開等に関する検討会に関して、資料3と資料4番になりますけれども、こちらを御説明させていただきたいと思います。
前回、この福祉部会でこの検討会の検討状況について御説明させていただきましたが、その後、6月17日に第3回検討会を開催しております。それまでの検討会における御意見等を事務局にて整理しまして、その第3回検討会で出た意見も踏まえまして再度整理したものを資料4「『社会福祉法人事業展開等に関する検討会』(第1回~第3回)これまでの議論の整理」にまとめさせていただいておりまして、厚生労働省のホームページにも掲載しております。本日は、時間の関係で、資料4のエッセンスをまとめました資料3を私から説明させていただきますので、資料3をご覧いただければと思っております。
表紙の後、1ページ目のところはこの検討会の概要でございます。「設置の趣旨」にございますとおり、人口減少や急速な高齢化、地域社会の脆弱化等の社会構造が変化し、国民の抱える福祉ニーズの多様化・複雑化が進み、また、2040年に向け、生産年齢人口の減少による人手不足などの問題がさらに深刻化するおそれがある中、社会福祉法人の事業展開等のあり方について検討を行うといった趣旨で、3の構成員の方々にお集まりいただきまして、田中部会長に座長をお願いしてございます。
審議スケジュール等は1ページ目にありますとおりです。
具体的なこれまでの議論の整理につきましては、2ページをご覧いただければと思います。
まず、1で「社会福祉法人における連携や協働化、大規模化の意義」について整理させていただいています。
1つ目の○は、連携や協働化、大規模化などの組織再編を含む方法です。これは希望する法人の自主的な判断にもとで進められるべきというのは当然でございますけれども、赤字にありますように、社会福祉法人が高まる地域の期待ですとか役割に応えていくために有効な手段であるということです。
2つ目の○で、例えばということで、連携・協働化におきましては、社会福祉法人の地域貢献の取り組みを行うに当たりまして、それぞれの強みを生かした活動を展開することが可能となるといった効果ですとか、人材確保です。法人化で連携・協働化することで、新規職員の採用、離職防止に資する活動の効果的な実施につながる、もう一つは、人口減少下において地域の様々な状況がございますけれども、そういう中で、地域の福祉サービスの維持ですとか、事業の効率化に資する活動が可能となると考えられると整理してございます。
3つ目の○のところで、大規模化に関しましても、非効率な施設が増えても単純に経営が効率化・安定化するものではないというのは前提なのですが、一般には、事業の多角化による様々な福祉ニーズへの対応が可能となるなどの効果が考えられると整理してございます。
これらの意義を踏まえまして、具体的な対応の方向性をまとめたものが2番目になります。大きく分けて3つの方策がございます。
まず(1)といたしまして、社会福祉協議会の活用を挙げさせていただいております。
社会福祉法人の連携・協働化の取り組みの推進ですが、社会福祉協議会の役割に鑑みまして、社会福祉法人の連携の中核として都道府県域での複数法人化連携による地域貢献の取り組みをさらに推進するなど、社会福祉協議会の積極的な活用を図っていくことが重要だと整理しています。
また、2つ目の○で、現在、予算事業でやっております「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」の実施状況や課題を把握しまして、法人間連携のさらなる推進を図るとともに、連携・協働化の事例収集等による横展開に努めていきたいと整理しております。
また(2)ですけれども、社会福祉法人が主体となった連携法人制度の創設の検討を挙げさせていただいています。
社会福祉協議会の仕組みもありますし、こちらの活用は重要なのですけれども、社会福祉法人にいろいろな事情がございますので、そういった中で取り得る連携方策の選択肢の一つとして、社会福祉法人の非営利性・公益性を踏まえつつ、社会福祉法人主体の連携法人制度の創設に向け検討を進めてはどうかと整理させていただいています。
(3)でございます。希望する法人が大規模化・連携に円滑に取り組めるような環境整備がさらに必要ではないかということでございます。
1つ目の○は、好事例の収集等を行いまして、合併や事業譲渡、法人間連携、こういったものを希望される法人向けのガイドラインの策定(改定)を進めるべきではないか。
また、2つ目の○ですけれども、組織再編に当たっての会計処理につきまして、社会福祉法人は法人財産に持ち分がないことなどに留意しつつ、会計専門家による検討会で整理を進めていくということになっております。
一応、1回目から3回目までこういう形でまとめさせていただいたのですが、具体的にどういうふうな形で進めていけばいいのか。さらに検討が必要な事項につきましては、事務局で検討を進めまして、秋以降、本検討会で御議論を深めていただくことと考えております。
3ページ目は参考でございまして、成長戦略フォローアップ。これは本年6月21日に閣議決定されておりますけれども、本検討会につきましての記述がございます。
また、4ページ目でございますけれども、これも参考です。先ほど御説明いたしました組織再編に当たっての会計処理について会計専門家による検討会で整理を進めると申し上げましたけれども、具体的な検討の場をこちらの社会福祉法人会計基準検討会という形で新たに設置しております。これまで2回開催しておりますけれども、今年度は「主な検討項目」の(1)にあります「法人の組織再編に関する会計処理」を中心に議論を進めていきたいと思っております。また、(2)(3)の課題につきましては、(1)の取りまとめ後に順次検討していくことを考えております。
私の説明は以上でございます。
○田中部会長 説明ありがとうございました。
では、資料3に関する御質問、御意見があれば、お願いいたします。
高橋委員。
○高橋委員 日本保育協会の高橋でございます。社会福祉法人の事業展開等に関して幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、社会福祉法人の連携・協働化の取り組みの推進ですけれども、そのこと自体は大変大切なことであると思っております。その上で、まずは、それぞれの現在の社会福祉法人が法人としての経営の多角化などをさらに推し進めていく必要があるのではないかと思っております。
一方、地域福祉の推進にかかわりますと、資料に記載してありますように、社会福祉協議会の今後の役割やあり方、それぞれ社会福祉法人との連携なども含めたあり方なども考えていくことが必要なのではないかと思います。
次に、社会福祉法人の大規模化についてです。効率化のみをもって大規模化という考え方ではないと思うわけでございますけれども、法人そのものをどうするかということにつきましては、個々の社会福祉法人の判断にゆだねるべきでありまして、制度的に強制されるべきものではないと思っております。
一方、一法人一施設のような小規模の法人が保育に非常に多いわけでございます。今後の少子化の影響などを考えますと、合併や法人間連携も希望するところが円滑にできるようにさらに検討することが一方では必要ではないかと思っております。
また、現実的に、小規模であったとしても、現在においても事業を立ち上げるために新たに社会福祉法人をつくるというケースが非常に多くあります。そういったことは、大規模化とはまた逆の意味で、事業をするために社会福祉法人をつくっていく数が、しかも小規模なものが増えているという現状を果たしてこれからどのように考えていくのかなというのもちょっと考えるところではないかと思っております。
以上でございます。
○田中部会長 御指摘ありがとうございました。
平田委員、お願いします。
○平田委員 2点。
先ほど説明がありました、専門家による伴走支援、地域へのソーシャルワーク機能の強化を進めていくためには、今後、社会福祉法人は各種別の専門家を地域に出していく、アウトリーチは非常に重要なことだろうと思います。
ただ、前回も申しましたけれども、高齢関係、障害関係、つまり、介護保険制度や障害者支援制度などでは、全国経営協も要望しまして、専従要件の緩和をしていただきました。当然、各事業所のサービスの質を担保するという意味では、最低基準の職員はきっちりいなければならないというのが大前提なのですけれども、現状、社会福祉法人は基準以上の職員を抱えていますので、勤務表で明確にすれば、地域で何かあった場合、地域共生のために外に出ていいということになっています。
ただ、これが特養ではどうなるか。それは可能ですが、では、デイサービスはどうなるか、地域包括支援センターはどうなるか、ショートステイ事業に従事している職員はどうなるかといったように、同じ種別の仕事でも少し縛りが異なります。
さらに、地域の子供さんに対して、乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設などの措置施設や保育所等の職員は出られるのか、全種別の職員が地域への伴走支援、ソーシャルワーキングとして出られるのかというのは、先ほどの資金の縛りと同時に、人員基準の再確認と緩和が必要です。
先ほど対馬委員から提案がありました職員の増員が一番望ましいのですけれども、資金的な面で今すぐ難しいのであれば、人員基準と設備基準の緩和も必要です。例えば、高齢者施設、児童施設等のベッドが1ベッド空いたら、緊急保護のためにそのベッドも使ったらどうかといったこともございます。先ほど申しましたが、事業所ごとのサービスの質の担保というのがまず大前提でありますけれども、社会福祉法人の本質としては、あわせて両輪として地域も支援するのであれば、両方担保する方策が要るのだろうと思います。
少し長くなって申しわけありません。
もう一点は、新しい連携推進法人をつくることは、地域によって人口減少が激しいところ、ニーズが少なくなっても供給主体が必要なところというのは、社会福祉法人間の連携あるいは新しい形が要るのだろうと思います。なかなか難しいのは新しい社会福祉法人を主体とした連携推進法人のあり方です。社会福祉法人は、社会福祉法改正でガバナンスの強化を図り、財団法人よりも厳しい要件を設けています。その上に位置付ける新しい法人をつくるときに、社団でいいのか、今の社会福祉法人と同じように財団的な公益性を持ち、公益性のある法人として位置づけるのか。地域医療連携推進法人とは性格が異なりますし、支配、被支配の関係や、秋以降のこの議論においては、現在の社会福祉法人のガバナンスをきっちり守れて、資本の概念がなく、解散時の残余財産は国庫に帰属すること等を勘案して、どのような法人形態が良いのかいうのは今後の大きな課題だろうと思いますので、吟味していただければと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。秋以降のこちらの検討会での課題と、規制に関して、これは検討会ではなく政府全体での話でしょうが、考えるべき課題を言っていただきまして、ありがとうございます。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 本日の議事が2つあるわけですけれども、先ほど議論した第1点目と第2点目の関係を考えますと、第2点の社会福祉法人の事業展開等というのは、(1)の手段となってこそ初めて意味があるのではないかと思います。社会福祉法人というのは、特に地方部に行きますと、社会福祉法人のない自治体はない、あらゆる自治体にあるという強みと、専門職を配置し、継続的に事業を行い続けている。そこから、今ほど平田委員からありましたように、アウトリーチをしっかりやっていける、そういうものを持っているということ。
3番目に、そういう働き手あるいは経営者を外から呼び込める。かなりイノベーティブな仕事をやっていらっしゃる方というのは、その地方に生まれ育った方ばかりではなく、違うところから来られた方。今後ですと、外国人の雇用が進み、総務省では多文化共生のプランを都道府県の各自治体はつくることになっていますけれども、今後、外国人の方の定着を生かした地域づくりをやっていかれる自治体も出てくる中で、当然のことながら、これは社会福祉法人に雇用されているというケースが、田舎に行けば行くほど、最大の事業所が介護・障害であると。そこをやっているのは社会福祉法人であるという自治体はかなり多数に上ると思いますので、特に地方部においては、(1)の議題に関していかに(2)が応えていくか。最終的に取りまとめいただくときにはこのつながりを明確にしていただければというのが第1点でございます。
第2点は、先ほど行政の話で保井委員から、行政は柔軟性に欠ける面があるのでないかということが出てきました。私もそういう自治体はかなり多いのではないかと思います。
それから、沼尾委員から、断らないということになると、行政とすれば恐怖だという話がございました。行政の側にこういった相談に応える受け皿というのがありますが、1つは、専門性が付与される形で日本の地方公共団体が成立してこなかったということがあります。社会福祉法人はこの柔軟性と専門性を強く求めていけるようなメッセージを送るべきではないかというのが2番目でございます。
それから、3番目。当然のことながら、こういう流れですから、これは検討会でも申し上げましたけれども、社会福祉法人のためだけにある協働ではなくして、様々なNPOを含め、あるいは地域にある様々な資源が一緒にやれる。しかし、地方部に行けば、社会福祉法人の重要なプレーヤーであるからこそコアの一つになるべきだと思いますけれども、社会福祉法人を救うための議論に終始してはいけないと思います。さはさりながら、地方部では子供さんがどんどん減っていく中で、非常に小規模な保育園、一施設一法人をどうしていくのだという具体的な課題がございます。それはそれとしてありますけれども、あくまで(1)の議題に応じた(2)があるということかと思います。
最後、4番目です。今ほど平田委員から、社会福祉法人の協働のあり方はどういうものが想定されるであろうかと。医療法人の場合は一般社団を一つの仕組みとして使いました。これは私、検討会で申し上げましたが、社会福祉協議会というのは、法のもとで社団的な性格を既に与えられているものでございます。せっかく法改正をするのであれば、社会福祉協議会は社会福祉法人の中の社団である、医療法人と同じように社団も財団もあるというような形で、地域の様々な主体が一メンバーとして参加し、一メンバーとして意思決定をし、行えるという社団的な性格を持たせて使うというのは一つの選択肢としてお考えいただきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 2つの検討会がリンクしていると指摘いただきました。ありがとうございます。
西島委員。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
私どもの会員も、社会福祉法人、高齢者施設や障害者施設などでたくさん働いておりますし、法人としては、社会福祉事業を実施していく、その現場の担い手として、私たちでいえば、ソーシャルワーカーとして社会福祉士がその社会福祉法人の中でいろいろ業務をさせていただいているのですけれども、そういう意味では、この議論というのは非常に大切なことかな、大きなことかなと思っているのです。
先ほどのお話の中でも、大規模化イコール、当然、効率的になる部分もあるけれども、必ずしもそうでないというところも十分配慮いただきたいと思いますし、実際に、小規模であっても地域に密着してしっかり地域のニーズに応えて対応しているという例も多々あると思います。
そんな中で、これからの人口減少社会であるとか、様々な社会の変化の中でのあり方というのはあると思うのです。先ほど来お話が出ていますけれども、まず、それぞれの多角化・多機能化という取り組みが一つあって、その上で、社会福祉法人の連携・協働。この資料の中にもありましたけれども、災害支援などに関しても、今、社会福祉法人の連携が全国の都道府県で進んでいっていると聞いています。私も大阪にいますし、大阪でもそういう取り組みがこれから始まっていく中で、岡山などでも取り上げられましたDWATというところだと思うのですけれども、これが全国に広がっていく。社会福祉法人さんがこういう連携をしていく中で、一法人ではなかなかできない部分を、こういういろいろな連携を通じて、採用の問題であったり、キャリアアップや人材の教育の問題であったり、できるところも多々あると思いますので、まず、身近にできることも一つ取り組みとしては大事ではないかと感じています。
その上で、場合によっては、事業譲渡や、法人さんの意思で大規模化というところで合併というのはあってもいいとは思うのですけれども、プロセスや法人さんの考え方というのは大事だと思いますし、前回でも非常に議論があったと思うのですけれども、それぞれ法人の理念というものがありますので、ここがしっかり共有できてというか、同じ思いであって、次の事業につながっていくと思いますので、そういうところというのは十分配慮されていって、このあり方が考えられればいいと思います。今後、その連携法人のあり方について御議論いただくと聞いているのですけれども、社会福祉法人ゆえの社会福祉事業を実施する上での特質や固有性というのがあると思いますので、そういうところも十分配慮しながら尊重して御検討いただけたらありがたいかなと思っております。
○田中部会長 秋以降の検討に対しての視点を言っていただきました。
井手之上委員。
○井手之上委員 大阪府社会福祉協議会の井手之上です。
「具体的な対応の方向性」の中で、1つ目の「社会福祉法人の連携・協働化の取組の推進」のところで、社会福祉協議会が社会福祉法人の連携の中核に、ということを書いていただいています。社会福祉協議会に対する期待が大きいかなという感じを受けております。
ここで書かれておりますように、都道府県域での法人間の連携につきましては、今、かなり進んでいると思います。ほとんどの都道府県でこういうような法人間の連携。例えば総合相談でありますとか、生活困窮への対応ということで進んでいるのかなと思います。全国経営協がかなり力を入れ進められた結果、こういう形でほとんどの都道府県で取り組まれているというのが今の状況だと思うのです。これからは、より身近な単位で対応していく、重層的に取り組むというのがこれから重要と考えますので、市区町村単位といいますか、そういった圏域の中で法人間連携、例えば市区町村社協が中核になりながら施設と連携できる調整役を担っていくことがこれからますます重要になってくるのかなと思います。そういったことについても具体的な支援をしていただくよう検討していただけたらありがたいと思います。
○田中部会長 ありがとうございました。
課長、ここまでのところで何かお答えすることはありますか。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございました。皆様方から今後の検討について示唆となる御意見をいただいたと思っております。
2040年に向けて人口減少が続く中で、様々な社会福祉法人、規模の大小、あとは、やっていらっしゃる仕事の内容など、そういったものについて、地域の状況を含めて課題が様々あると思うのです。そういう中で、我々といたしましては、いろいろなツールを用意しまして、そこの社会福祉法人がその地域において福祉の担い手としてこれからきちんと提供していくような形でやっていきたいと思いますし、その中で、地域の課題を解決するためには、先ほど藤井先生からもお話がありましたとおり、社会福祉法人だけではなくて、地域の様々なプレーヤーの方々とどう連携を深めていくかということについても大事な視点だと思っています。
今、個別にはお答えしませんが、いただいた意見を踏まえまして、また検討会の中で十分議論していきたいと思います。
○田中部会長 内田委員、どうぞ。
○内田委員 全国老施協の内田です。
今、多様な意見がございました。確かに、人口減少を含めて、我々社会福祉法人も非常に危機感を持っております。あわせて、社会福祉法人にとって一番大事なものは何かと問われたら、やはり事業継続の一言に尽きると思いますが、現在、それが危ぶまれるような状況です。
だからといって、法人を合併させて一つにまとめれば効率がいいという乱暴な考え方はいかがなものかと思います。社会福祉法人と一言で言いましても、非常に多様な事業をやっておりまして、なおかつ、専門性の高いものがたくさんございます。ですから、それぞれの社会福祉法人の専門性、特性を十分に生かせられるような仕組みづくりといったものが今後必要ではないでしょうか。
言い方はちょっと古いですけれども、連合艦隊的に社会福祉法人が多く集まって一緒に協働でやっていく。その中には、資金的なものも含めて、もっと柔軟に法人同士の協力体制ができる仕組み。御存じのように、社会福祉法人の設立の当初の資金というものは全て寄附でございます。ただ、寄附といいましても、いろいろな寄附がございまして、個人が借金して寄附をしたり、あるいは自分の財産である不動産を全て寄附したり、そういう中で実は社会福祉法人というのは発足しております。ですから、それらのところも考えてやっていきませんと、協力体制はなかなかできかねるというところもあります。そうはいっても、冒頭に申し上げました事業継続が一番大切なところですから、そのためには、柔軟な今後の制度も御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
平川委員。
○平川委員 済みません、質問があります。
この検討なのですけれども、例えば、ほかの福祉サービスの計画、例えば介護保険事業計画や子ども・子育ての計画、障害者福祉計画もそうですけれども、それらの計画とリンクした上でこの社会福祉法人のあり方について検討されるのか。それとも、それとは全く別のものとして、あくまで選択肢として検討しているものであって、それ以上でもそれ以下でもないということなのか、この検討の意図を教えていただければと思います。
○田中部会長 基盤課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございました。
検討の意図自体は、先ほどの資料3の1ページの趣旨にあるとおりでございます。現時点で介護保険事業計画などとの直接的なリンクを意図しているものではありませんが、この検討会の議論を踏まえまして、その議論の結論に応じまして、必要なところでまたそこは各部局とも調整しながらやっていきたいと思っております。趣旨自体は、ここの1の趣旨を踏まえて今回検討を行っているということでございます。
○田中部会長 どうぞ。
○平川委員 ありがとうございました。
それでは、今、いろいろ御発言ありましたけれども、これからの人口減少の中で様々な地域的な変動がさらに大きくなる中で計画も変わらざるを得ないという状況もあるかと思います。その場合に、今、この検討がその選択肢としてあるのだということが強く認識されるようなものが必要ではないかと思いました。
以上です。
○田中部会長 松原委員、どうぞ。
○松原委員 先ほどの平田委員の御意見に賛成です。人口問題を解決していく方策としては、きょうこの部会でお話しするテーマではないのは十分わかっていますけれども、今までのような、人が何人いて幾らという支払いの仕方ではどうしても限界があると思います。やはり機能に応じた包括的な支払いをもっと検討して導入していかないと、この時代の流れ、人口が減少していく中で対応できないのではないかと強く思っております。
例えば、組織心理学とか、いろいろな研究分野で、頭を使って仕事をすることでモチベーションが非常に上がるというのは実証されていまして、そういうモチベーションの上げ方を考えても機能に応じた包括的な支払いをもっと検討すべきではないかなと。その際に、ITも導入することで、例えばDPCを見れば、データが明らかになることで包括でも質の低下が比較的起きていないということから見ても、イノベーション、ITをもっと活用した包括的な支払いの検討ということで、人手不足や教育、連携など、社会福祉法人がもっと地域貢献しやすくするとか、いろいろな策につながっていくだろうと思います。この点も、別の会ですけれども、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
○田中部会長 ありがとうございました。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 今の平川委員の御意見に関して、非常に重要な御指摘だと思うのです。地域福祉計画の中に住民たちが主体的に取り組むものをしっかり位置づけておくことが重要だということですけれども、同様に、住民というのは、社会福祉法人あるいはNPO等々も法人で住民の一つなわけでございますから、こういう法人たちが地域福祉計画策定に参加して、自分たちが主体的に地域の中でどうやっていくかということを行政側と話し合って計画に位置づけてもらうということは、地域福祉計画のガイドライン等を出されるときに、済みません、勉強不足で、書いてあるような気がするのですけれども、2番目の議題ともう少し連携をとっていただければ、2番目が手段であり、1番目が目的だということにつながるのではないかと思います。
ただし、非営利法人というものの意義は、社会福祉法の改正をしてまで24条の第2項に地公取を義務づけたことの意義なのですけれども、計画や政府などではやれないことを取り組んでいただく。これは社会福祉法人に限りませんけれども、情報というのは、現場を持っているところに一番入ってきます。やはり政治過程を通じての対応というのは時間がかかります。例えば、年越し派遣村への対応などというのは計画してできることではございません。年越し派遣村は社会福祉法人ではほとんど何もできなかったわけですけれども、こういった問題が今後様々どんどん増えてくる。災害時の問題などというのは、30年前はこんなふうにどんどん出てくるとは思わなかったわけですし、そういったものに柔軟に取り組んでいくことこそ非営利法人の一つの非課税の恩恵がある、財政的な力が一番あるはずの社会福祉法人が取り組む意義というのが、そういった計画的ではない柔軟な取り組みをどうやっていくかということですので、両面あるという御理解をいただければいいのではないかと思います。
以上です。
○田中部会長 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 今の藤井委員の御発言ともちょっとかかわるのですけれども、この資料を最初に見せていただいたときに、私、社会福祉法人のことについては詳しくないので、とんちんかんなことを申し上げてしまうかもしれないのですが、地域の現場からすると、連携・協働・大規模化ということが例えば地域の介護保険の運営のあり方などに対して常に効率的に働くのかというと、やはり一定の条件が必要なのではないかという印象を持ちました。
例えば、法人が大規模化していって、複数の自治体をまたがった場合に、個々の地域によって、地域福祉計画や介護保険事業計画を立てていて、大手の大規模法人の全体の方向性に従って、それぞれの市町村が対応を変えていかなければいけなくなるとか、法人自体がサービスを供給する主体として大きな発言力を持った場合に、自治体の方がそれに合わせて介護保険の運営を考えざるを得ないということも起こるかもしれません。特に小規模の町村で、担い手が限られているところであれば、事業者との関係に苦慮しているという話も聞くこともございます。
本当に必要なサービスのニーズがどこにあって、それをできるだけ少ないコストで効果的に提供するというところについては、事業者が集まって事業者運営協議会の場を設け、そこに自治体も入って、一体的に必要なニーズとサービス供給のあり方や人材育成を考えていくようなことを個々の事業者を超えてやっていく。まさにそういうプラットフォームをつくっているような事例もあると思います。連携や協働化、大規模化自体が一定の意義があるということはわかるのですけれども、その意義というのが満たされるためには、事業者が短期的な事業者の利益だけを追求することにならないような一定の条件があると思いますので、そのあたりはぜひ留意した上でこれを進めていくことが大事なのではないのかなという印象を持ちました。
以上でございます。
○田中部会長 秋以降の検討でもその点は十分に留意してまいります。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。
確認になりますが、法人ないしは地域の多様なニーズに応えていくために、連携・協働、それと大規模化という選択肢があって、それらの選択肢をもってして柔軟に対応ができるという意味で、決してそれありきではないという認識でよろしいですよねということの確認です。
あと、先ほど他の委員からも出ましたけれども、法人が生産性を上げるためや、効率化を図るため、という側面の議論に資するのではなく、その結果として、地域の住民など、利用者の方々にとってというところの視点もすごく大事ではないかなと思いますので、今後もいろいろ議論されていく中においては、そういった側面からもお話ししていただけるとありがたいなと。この点だけ申し上げておきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 松原委員、どうぞ。
○松原委員 先ほどの藤井委員の非営利組織こそ、政府ができなかったり、また、株式会社でできないようなところに柔軟に対応できたり、そこによさ、存在意義があるという御指摘については私も大賛成です。社会福祉法人がぜひそのような非営利組織としての存在意義を発揮できるようになってほしいと切に願っております。
一方で、そういった柔軟な対応ができる理由の一つに、非課税だからその分余裕があるのではないかということに関しては疑問があります。非課税であっても、例えば公定価格が非常に締めつけてあれば余裕はないはずなので、その点は理由ではないと思っております。それよりも、非営利組織としてそのよさをますます発揮できるような環境づくりが重要だと考えております。
以上です。
○田中部会長 学問的整理をありがとうございます。
安河内委員、お願いします。
○安河内委員 全国児童養護施設協議会の安河内と言います。
私自身は、児童養護施設を1つ運営している一法人一事業です。今、話を聞いて、社会福祉法人の存在の意義をよくわかっていない社会福祉法人があるのではないかと思っています。
というのは、数年前の法改正で社会福祉法人は地域において公益的な取組みをすることが義務づけられました。全国的にはレスキュー事業を展開されるところが多かっただろうと思います。私は長崎なのですが、そのレスキュー事業に参画する、手を挙げる社会福祉法人が当時は少なかったのです。もう一つは、社会福祉法人経営者協議会に参画している法人も少なかった。本来は全ての社会福祉法人が参加してもよいものだと思います。私は長崎だから、長崎だけの特徴かなと思うのですが、全国的には、社会福祉法人経営者協議会に会員として参画している施設がどのくらいの割合あるのかというのを、後で結構ですけれども、教えていただきたいです。
レスキュー事業にうちの法人はもちろん参加しました。児童養護施設でも参加したのです。ただ、そのときのネックは、法人内でレスキュー事業を担当する人員を確保することでした。児童養護施設の人員基準をクリアして、さらにプラスアルファで採用している職員を充てないと対応できないようでは、本来的な社会福祉というのはできないのではないかと思ったのです。
今、ここで社会福祉法人の事業展開等を検討するとき一番大事なのは、社会福祉法人の存在意義です。正確にはどのような表現になるかわかりませんが、社会や地域への貢献が本来の社会福祉法人の存在意義だろうと思うのです。その点を全国の社会福祉法人の特に経営者の方にはわかっていただかないと、この社会福祉法人の事業展開等を検討してもなかなか難しい。私は実感としてそう思うのです。 何であなたは社会福祉法人を経営しているのか。今、老人の場合は介護職員が足りないとか、保育園では保育士が足りないとか、言われています。確かにその通りなのですが、社会福祉法人の原点のところをきちんと踏まえれば、そういう法人には自然と人が集まるという面も多少なりあると思います。実際、私が知っている、その辺がきちんとしている社会福祉法人は職員不足で困っていないところがあります。仕方のないことではありますが、職員不足に追われることで社会福祉法人としての本来の目的を忘れてしまっている法人もあるのではないでしょうか。だから、その点をしっかりするべきではないかなと私は思います。
以上です。
○田中部会長 経営者としての視点でお互いに厳しさも必要ですね。
平田委員、組織率を言ってしまったほうがよければ言ってください。
○平田委員 アバウトですけれども、施設経営法人は1万8000ぐらいあって、経協には全国より8000法人ぐらいが参画しているという現状です。100%ではないです。
以上でよろしいですか。
○田中部会長 でも、半分くらいですね。
○安河内委員 全国的には結構高いのですね。地域性があるのですか。例えば、東京は平田先生がおられる福岡より高いとか、東京は低いとか、そういうのはありますか。
○平田委員 別の機会にお願いします。
○田中部会長 これ以上の細かい数字は別の機会にお願いいたします。
○安河内委員 わかりました。
○田中部会長 そろそろ時間になってまいりましたが、最後に何か発言ございますか。
秋以降の検討についてもう少し基盤課長から説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。先ほど石本委員からもお話しがありましたそもそもの検討の趣旨ですけれども、先ほど御説明しました資料3の2ページ目の1の意義のところにも書いてありますが、あくまで希望する法人の自主的な判断のもと進められるべきものだということで、そのような視点で検討を進めたいと思っております。
あと、今、様々御意見をいただきましたので、きょうの貴重な意見をきちんと検討会にも持ち帰りまして、秋以降、またきっちり検討させていただきたいと思います。
きょうはありがとうございました。
○田中部会長 よろしゅうございますか。皆さん、御懸念になっていらっしゃるとおり、大規模化を義務づけるとか、その方向で全てを引っ張っていこうと考えている検討会委員はいませんので、あくまで希望する法人が使える道具として様々な方策を考えましょうということに留まります。大規模化なる言葉ですが、巨大法人をつくるとの意味ではなくて、小規模なところが連合して、サービスの中身ではなく、特に経営の面でその方がやりやすければ活用してもよいとの位置づけです。したがって、小さいところがやや大きくなる意味の大規模化であって、巨大法人を目指す検討はしておりませんので、御安心ください。
よろしいですか。
それでは、活発な御議論、ありがとうございました。
最後に、事務局から次回の日程について説明をお願いします。
○高橋総務課長 次回につきましては、秋以降、検討会の議論の状況を踏まえつつ、当部会の開催を予定しております。具体的な日時、開催場所につきましては、追って調整をさせていただきます。ありがとうございました。
○田中部会長 本日は、御多忙のところ、お集まりいただき、活発な御議論を頂戴しました。感謝いたします。どうもありがとうございました。