2019年5月30日 第4回賃金構造基本統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和元年5月30日(木)9:30~12:00

場所

厚生労働省共用第9会議室
(中央合同庁舎第5号館20階16号室)

出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:主査)

  黒田 祥子
 ○玄田 有史
  樋田 勉

事務局

  細井統計企画調整室長
  官野統計企画調整室長補佐
  田中審査解析室長
  中原賃金福祉統計室長
  長山統計・情報総務室長補佐
  山口賃金福祉統計室長補佐
  小梶賃金福祉統計室企画調整係長

議題

1.令和元年賃金構造基本統計調査の変更について(報告)
2.賃金構造基本統計調査の復元方法の見直しについて
3.賃金構造基本統計調査の調査事項及び集計事項の見直しについて
 (1)職種区分
 (2)新規学卒者の初任給
 (3)その他
4.その他

議事

 


○細井統計企画調整室長 
 定刻になりましたので、ただいまから「第4回賃金構造基本統計調査の改善に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。委員の皆様には、お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の出席状況ですが、阿部委員から御欠席の御連絡を頂いております。
 それでは、これからの進行につきましては、玄田主査にお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○玄田主査
 早速ではございますが、第4回ワーキンググループの議事を進めてまいりたいと思います。今日は予定では2時間半という長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。
 本日の議事ですが、議事次第にありますとおり、1つ目の議事として「令和元年賃金構造基本統計調査の変更について(報告)」、2つ目が「賃金構造基本統計調査の復元方法の見直しについて」、3つ目が「賃金構造基本統計調査の調査事項及び集計事項の見直しについて」、4つ目が「その他」となっております。
 初めに、報告事項の令和元年賃金構造基本統計調査の変更について、事務局より説明をお願いいたします。

○中原賃金福祉統計室長
 賃金福祉統計室の中原でございます。前回のワーキンググループでは、委員の皆様から貴重な御意見を頂くことができましたことを、この場を借りまして御礼申し上げます。
 本日の議事1令和元年調査の変更についての説明の前に、今般の賃金構造基本統計調査をめぐる不祥事につきまして、委員の皆様におわびを申し上げたいと思っております。賃金構造基本統計調査につきましては、調査計画において調査員調査により実施するとしていたところ、長年にわたり、ほとんどについて郵送調査により実施していたところでございました。その他にも調査計画と異なる実態があったといったところでございます。そのような状況にありながら、1月に持ち回り開催をさせていただきました「厚生労働統計の整備に関する検討会」におきまして、実態を伏せたまま、調査員調査から郵送調査に変更するといった内容の変更計画案をお諮りしたことにつきまして、重ねておわび申し上げる次第でございます。大変申し訳ございませんでした。今回のことを真摯に反省いたしまして、今後は調査の適正化を図るとともに透明性を高めてまいりたいと考えております。今後とも御指導賜りたくお願いいたします。
 それでは資料1の「令和元年「賃金構造基本統計調査」計画の変更について」を説明させていただきます。今回の調査計画の変更ですが、調査計画と実態が異なっていたことの適正化、政策ニーズへの対応とともに、来年の調査からオンライン調査の導入を考えておりますが、それを念頭に、行政事務の効率化を図りつつ、報告者負担の軽減と、回収率と統計精度の向上を目指し、調査計画の変更を総務大臣に申請したところです。4月26日に統計委員会の答申、5月16日に総務大臣の承認を得たところです。
 変更内容について資料1に基づいて説明させていただきます。資料1の1ページ目、令和元年調査の内容です。左のほうに今回の諸般の問題事項、改善すべき事項を書いております。その結果として右のほう、こういった形でやっていくとなっております。右のほうですが、令和元年調査の調査方法につきましては、郵送調査を基本とし、調査票は本省から事業所に直接配布、本社一括調査の実施、電子媒体による調査の試行的実施ということを予定しております。
 次の四角のところですが、提出期限を早めたことについて、提出期限については7月31日に統一するとしております。
 調査対象範囲ですが、計画上で、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を調査の範囲から除外していた部分につきましては、回収・督促が困難な業種であると考えており、調査対象から除外する計画で総務大臣に申請を行っていたところですが、統計委員会の答申、また総務大臣の承認の中では、これらを含めて調査をすることとされております。
 一番下の四角、政策ニーズへの対応ですが、外国人の賃金の実態等を把握するため、在留資格を把握する調査項目を追加することとしております。
 2ページ以降に統計委員会の審議の状況をまとめております。統計委員会の審議の中では、本ワーキンググループで議論いただいている内容に関係することとして、回収率を考慮した復元の見直しについて、回収率の逆数を乗じる方法では層内で優良企業のみ回答するような偏りが考慮できないのではないかといった御指摘、復元方法の見直しに当たり、可能な限り過去に遡って推計・公表を行うことを検討すべきであること、日本の職業分類は階級という考え方が入っていないので、企業規模100人未満についても役職を調査することで同じ職種の中での階級が分かるのではないか、外国人労働者について国籍を調査すべきであるといったこと、そういった御意見をいただいておりまして、今後検討を行っていくことが必要となっています。
 なお、変更後の調査計画ですが、本日の資料の参考資料1のほうで付けさせていただいております。説明は以上となります。

○玄田主査
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明につきまして、御意見、御質問などございましたらお願いいたします。特にはよろしゅうございますか。それでは、御報告は承ったというようにしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、議事2の、賃金構造基本統計調査の復元方法の見直しにつきまして、御説明をお願いいたします。

○中原賃金福祉統計室長
 資料2-1の「賃金構造基本統計調査の標準誤差率について」、資料2-2の「賃金構造基本統計調査における労働者抽出に係る復元方法の見直しについて」を説明させていただきます。
 まず資料2-1を御覧ください。2ページになります。これまでのワーキンググループでの議論の内容を振り返らせていただきます。回収率を考慮した復元方法として、これまでワーキンググループでここにあります3つの案を提示させていただき、この中の案1の、事業所の回収率の逆数を乗じる方法が合理的、簡潔で適当ではないかという方向性を頂いたところです。
 3ページです。復元方法の違いにより標準誤差率がどのようになっているかについて、報告書に記載する誤差率の計算方法であります副標本方式、標本設計を行う際に用いる理論的な方法である分散推定方式、この2通りの計算結果をお示ししたところでございますが、この2つの方式による誤差率の水準に乖離があるという御指摘を頂いたところです。その御指摘に基づき、事務局で再度検証を行いました。
 4ページですが、第2回ワーキンググループでお示しさせていただいた標準誤差率です。ここにございますように、副標本方式による誤差率が分散推定方式による誤差率よりも相対的に小さくなっているといった御指摘について何かということでした。
 5ページからは検証の結果、考え方といったものを示させていただいております。まず、副標本方式です。これはデータを任意の5つの組に分けて、それぞれの組の平均値の平均平方誤差を取る方法です。組に分ける方法につきまして、これまで賃金構造基本統計調査の中でやっておりましたのはこの図にあります上のほうのところで、従来は労働者個人ごとに分かれておりました。この方法によりますと、ここにありますとおり、全ての組に同一の事業所のデータが含まれるといったことになってきます。そういうことがあり、事業所抽出に由来する誤差が適切に評価できない可能性があるのではないかと考えられたところでございます。そのため、下の図のように、事業所単位で組に分ける方法に変更して計算を行いました。
 また、分散推定方式ですが、こちらも式のほうが層化二段抽出法に対応した理論式と若干ずれがあったところがありましたので、その部分について修正しており、それをもって再評価させていただいております。
 6ページは、修正した方法で再計算を行った結果です。分散推定方式の場合、案2につきましては、母集団の労働者数に合わせに行く推計方法ですが、推計値が不偏推定量となっていないこともあり、きちんとした分散の評価は困難ということもあって今回計算を行っておりません。この結果につきまして数字を見てみますと、従来お示しした内容と比べますと、その差は小さくなっていると考えております。
 これをグラフにしてみたほうが分かりやすいと思いますので7ページで示しております。上のほうが一般労働者の副標本方式と分散推定方式による計算結果です。2つの方式によります誤差率について水準の乖離は解消されていると考えておりまして、修正した計算方法により適切に評価できているのではないかと考えております。また、特に案1と案3につきましては、復元方法によって誤差率に有意な差はないということも確認できると考えています。
 続いて8ページです。今回の検証を踏まえ、今後の誤差率の評価についての対応方針です。副標本方式、分散推定方式それぞれ長所と短所がありますけれども、将来的には厳密な推計手法である分散推定方式に移行するのが望ましいのではないかと考えているところです。しかしながら、やはり計算プログラムがこちらのほうは複雑になってしまうというところがございます。そのため、今回、この調査の集計につきましては独立行政法人統計センターに委託しているところですが、そちらの事務コストの対応が可能かどうかといったところも検討する必要がございます。
 また、この復元方法につきましては、ワーキンググループとして案1というところでお示しいただいたところですが、統計委員会の中でまた改めて審議することになっており、その結果によってはまたいろいろな検討も出てくるかと思っております。こういった状況も見ながら、可能な時期に誤差率の推計方式を検討することとしたいと考えておりますが、最終的には分散推定方式でありますが、当面のところにつきましては、状況に応じて副標本方式もあり得るといったところでやらせていただければと考えております。
 続きまして、資料2-2に移らせていただきます。労働者抽出に係る復元方法の関係でございます。これまで事業所抽出に係る復元方法の見直しについて御議論いただいてきたところですが、労働者抽出に係る復元方法についても見直しを検討したいと考えております。
 2ページの現在の労働者抽出に係る復元方法ですが、ここの枠囲みのとおり、①として、原則は設定された労働者抽出率の逆数を復元倍率としておりますが、②として、実際に抽出された労働者数が、設定された抽出率によって抽出される人数から一定基準を超えて乖離した場合についてです。単純にやっていきますと端数処理の関係である一定の数に入るはずですが、そこを外れて出てくることも多々ございます。多めに書いてきたりとか少なめに書いてきたりとかございますので、その場合には、回収率を考慮するなどの関係で実際の労働者の数に戻すといった形で復元をしているといったところがあります。このように特定の場合のみ復元倍率を実際の回答状況に合わせて再計算することについては、統計精度の観点、また処理の煩雑さ、分かりやすさといった観点から改善の余地があると思われ、全てのケースについて、②の方法、基本的には調査された人数をその常用労働者の数に戻すといった方法に見直すことを検討しているところでございます。
 3ページ、新たな労働者復元方法として3つの案を検討しております。現在、事業所におきまして、正社員・正社員以外の別及び男女の別に、事業所全体の常用労働者数を調査しております。この「案A」につきましては、現行どおり常用労働者全体を一括りにして復元する方法でございます。復元倍率は必ず事業所票の常用労働者数と抽出された労働者数の比とするものです。「案B」はこれを正社員・正社員以外の雇用形態別ごとに復元するもの、「案C」は更にこれを男女別に復元するものです。ここにありますとおり、労働者数全体についてはほぼ常用労働者全体の計のほうに近付いてくると。ただ、その内訳について見ていきますと、それぞれごとに若干の差が出てきているといったことがあります。
 この特徴をまとめた表が次の4ページです。案Aの場合は復元した常用労働者数が必ず事業所票の常用労働者数と一致するといったところ、案Bと案Cは常用労働者数の合計は一致しない場合がありますが、復元した常用労働者数の雇用形態別、性別の内訳が事業所票と一致するといったところがあります。
 なお、この調査につきましては、労働者の抽出に当たり正社員、正社員以外、臨時労働者、この3つのグループ別に無作為抽出するように事業所のほうにお願いしており、案Bは抽出方法と整合的な方法となっております。ここで常用労働者数が一致しない場合があるということがございますが、これは数が少ない所で、結果的に0人の抽出があった場合、そういった場合にこういった差が出やすい傾向があるといったことでございます。
 5ページをお開きください。この新たな労働者復元方法によってどうなるかという試算結果です。労働者構成につきましては、それぞれの特徴から予想されるとおり、事業所票からの乖離は常用労働者数については案Cが最も大きく、構成比の乖離は案Aが最も大きくなっています。案Aでは現行と同様に、事業所票よりも正社員の構成比が低くなっておりますが、これは正社員以外が労働者抽出率未満の少数しかいない事業所におきまして、正社員以外が1人抽出されることによって、常用労働者全体で一律に復元すると正社員以外の人数が過大になるということが原因として考えられます。
 一方、案Bや案Cでは事業所票よりも正社員の構成比が高くなっております。これは正社員以外の常用労働者がいるにもかかわらず、抽出された労働者に正社員がいないといった事業所が一定程度あるため、そうした事業所の正社員の部分が欠けてしまうことが原因と考えられます。ただ、その差につきましてはそれぞれそれほど大きくないと考えているところです。
 6ページ、賃金額についての試算結果です。案Aにつきましては現行と大きく変わらない状況となっておりますが、案B、案Cでは特に正社員以外での賃金が低下するといった状況となっております。一般労働者の正社員以外のところで0.5%程度というのは若干大きい乖離となっています。この理由といたしましては、現行で正社員以外の復元数が過大となっておりますのは、抽出率が高い大規模事業所が中心であると考えております。小規模事業所ですと全数が対象となっておりますので、こういった差が出てこないのでちゃんとした数が入ってくる。ですので、差が出てくるのは大規模のところであろうと考えております。そういったことがございまして、これが是正されることによって、相対的に賃金の高い大規模事業所のウエイトが低下したといったことなどが原因として考えられるところです。
 7ページ、対応方針案でございます。今後の方針といたしましては、事業所票の労働者数及び内訳をできるだけ正確に再現できる労働者復元方法という観点を考えますと、それぞれの案で一長一短があるというところですが、案Bにつきましては、事業所に示している抽出方法と整合した復元方法であるという点について理にかなった方法ではないかと考えているところでございます。
 事業所票で男女別の労働者数を調査しておりますので案Cも考えられるところですが、雇用形態・性別の4つのグループの中に、実際には労働者がいるにもかかわらず労働者が抽出されないグループが生じますと、復元した労働者数が欠損する。このようなことが生じないようにするには雇用形態・性別に労働者を抽出するよう指導する必要がありますが、一般的に労働者名簿につきましては、現在、男女混合となっているところが多いと思われますことから、そこまで分けると事業所の負担が大きくなるのではないかとも予想しているところです。そこで、労働者抽出に係る復元につきましては案Bの雇用形態別に復元する方法を採用して、事業所の復元方法の見直しと併せて変更してはどうかと考えているところです。なお、先ほど案B、Cにつきまして賃金の動きが大きいという説明をいたしましたが、これは労働者構成比が適正になっていくといった過程の中で生じるものでありますので、より実態を表した結果になるのではないかと考えるところではございます。
 なお、賃金構造基本統計調査につきましては、令和2年からオンライン調査を導入する予定としております。これに関して、統計委員会からは、オンライン調査を導入した際には、労働者を抽出せずに全労働者が回答することを可能としてはどうかと、抽出する手間を省いてやる方法もあるのではないかといったことも指摘されております。そのような場合、事業所によって抽出率がいろいろ異なってきたり、例えば正社員については全部データ化し、書くけれども、正社員以外はなかなかそのようにいかないから抽出でということも生じるかと思っています。そういった場合につきましても、今回の見直し、例えば案B、案Cといったやり方であれば、そのような状況にも適切に対応できるのではないかと考えているところです。
 議事2につきましての私からの説明は以上です、よろしくお願いいたします。

○玄田主査
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見などがございましたらお願いいたします。

○樋田委員
 御説明ありがとうございました。資料2-1の分散の推定についてですが、今回ご報告いただいた数字は、理論式と副標本法の乖離が一定程度に収まっていておおむね妥当な数字だろうという印象を持ちました。御説明にありましたが、将来的には可能であれば理論式を用いて分散を推定をすることが適切だと思います。しかし、現状ではコスト面で難しいということですので、それまでの間、引き続き副標本方式を使っていくということでよろしいのではないかと思います。
 また、今回御説明いただいた副標本方式は、層化二段抽出に対応した形になっているので、分散の推定が適切に行われるのではないかと思います。前回の方法は層化一段に対応する方法なので、今回の方法が適切かと思います。
 1点質問です。現在公表されている統計でも副標本法が利用されていると思うのですが、副標本法の処理についての問題は起きていないのでしょうか。

○玄田主査
 まず、その点についてお答えいただけますか。現行の方法に問題はないかということです。

○長山統計・情報総務室長補佐
 現行の方法については、前回のワーキンググループでお示ししたような、いわゆる層化一段に対応した簡便な方法で今までやってきたというところがありますので、それを過去に遡って正しい方法にするかどうかという議論はあるかと思いますが、今まではそういう簡便な方法でやってきたというところでございます。

○樋田委員
 そうすると、分散は過小推計されていたということですか。

○中原賃金福祉統計室長
 まず、推計式の方法につきましてはいろいろやり方があろうかと思います。現在においては、かなりコンピューターの性能が良くなってきて、細かい推計ができるようになってきたこともございますが、やはり、従来、この時代で従来のことをしても仕方がないのですが、従来からやってきた中ではやはりある程度簡便な方法でやらざるを得ない部分もあったといったところがあります。結果として、誤差率が小さめに出ていたのですが、必ずしもそのやり方が間違っていたかというと間違っていたとまでは考えていないと。ただ、やはり技術の進歩などに沿って見直すべきことがあったという状況の中で、その見直しがちょっと遅れていたというのは事実です。そういった観点では、やはり厳密なやり方に比べると小さく出ていたというのは事実ではないかということになろうかと思います。

○玄田主査
 よろしいですか。

○樋田委員
 他の統計でも同じような問題があるかもしれませんので、検討してはいかがかと思います。
 それから資料2-2のほうですが、御提案いただいたこのB案がよろしいのかなというように思います。御説明いただいたように、事業所内での抽出に対応しているということと、今まで端数処理で多めあるいは少なめに労働者を抽出されていた部分が、今回の方法では事業所票に合わされるということです。そうしますと、事業所ごとのぶれが調整された形で推計され、推計方法としてより適切ではないかという印象を持ちました。以上です。

○玄田主査
 では、2つ目についての御意見ということで。黒田さん、何かございますか。よろしいですか。案A、案B、案Cに関して何か、一応、案Bということで御提案を頂いていますけれども、何かこの点について。

○黒田委員
 私も異存ございません。御提案のとおりでよろしいかと思います。

○玄田主査
 分かりました。一応確認ですが、資料2-1の最後のページに書いてあった、下の○の、「プログラム変更に係る事務処理コストが大きい」というのは具体的にどの辺のコストが大きいのですか。

○中原賃金福祉統計室長
 これはこれから統計センターとの協議になろうかと思っています。その中で、こういった式に変えたいとなった場合に、いずれできるのではないかと考えています。

○玄田主査
 当面ということですか。

○中原賃金福祉統計室長
 はい。計画的にやっていくことになりますので、当面の間といように思っていただければと思っております。

○玄田主査
 あと、私も案Bで結構かと思うのですが、唯一、懸念とまでは言いませんが、正社員と正社員以外というのが昔に比べてかなり境界が曖昧といいますか、明確に区分できにくくなっていると思います。例えば「多様な正社員」という、厚生労働省が比較的拡大といいますか、目指している部分は、正社員だけどキャリア形成助成金などで言う正規雇用労働者ではないとか、一般にはなかなか理解しにくいようなところがある。もし、回答する側で正社員と正社員以外に区分することに混乱とかがなければ案Bというのは大変いいと思いますが、その辺り、正社員と正社員以外に分けることについて、これまでも賃金構造基本統計調査で分けてきたわけですが、特段、区分に関する取扱いなどについて御意見などは届いていないという理解でよろしいですか。

○中原賃金福祉統計室長
 分け方についての問合せというのはそれなりにあろうかと思っております。賃金構造基本統計調査の「正社員」「正社員以外」の分け方について厳密に定義して境界線を引いているわけではないわけです。いわゆるそこの企業、事業所の中において、正社員とみなしている人、そうでない人という分け方になるかと思います。

○玄田主査
 そういう身分ということですね。

○中原賃金福祉統計室長
 はい。それでやっております。前回の改正の際に、そこの立て付けにつきましても厳密な区分に分けるべきではないかという話もあったのですが、いや、なかなかそうはいかないですねという話と、一方で厳密に分けるべきだという強い意見もある中で、やはり企業出身の委員の方ですと、大体普通は分かりますよねというようなような言葉もあり、そこでみなしている人ということで続いております。確かに状況に応じて、その内容は変わってくるかと思いますけれども、やはり私たちが数字として見たいのは、どういうように見られているかというところで分けるべきものであると思っておりますので、当面というか、現状において、この見方については現状のままでいいのではないかと考えております。また、いろいろな声があれば、そういう声もちゃんと蓄積しながら今後の検討を続けていければと思っております。

○玄田主査
 今おっしゃったように身分なので、ただ、最近ずっと正規・非正規問題が社会問題化したときに、身分によって分けるということが果たしてどうなのか。非常に意地悪な言い方をするとある意味では公的な統計がそういう身分という存在を認めているというか、それを分けること自体を1つ社会的に是認しているという見方もあるわけです。本当は今、室長もおっしゃったようにもっと客観的な、法に基づいた区分を、政府としても推進とまではいかないまでも、その存在をより強調するとすると、正社員と正社員以外という言い方に政府がこれからどういうように向かっていくかというのは、もちろん賃金構造基本統計調査だけの問題ではないけれども、引き続きその点も含めて検討していくことがとても大事ではないかと思いませんか。

○黒田委員
 玄田先生のおっしゃることは私も全く同感です。ただ、統計はどうしても時代の後追い的な感じになってしまいがちなところもあって、時代に合せながら慎重にモデルチェンジをしていく必要があるという考え方も、データの継続性の観点からは重要だろうと思います。その辺りのトレードオフが難しいところではあると思います。
 一方で労基法が改正され、同一労働同一賃金も法制化されて、玄田主査がおっしゃるように今後は以前のような区分では難しくなっていく可能性も考えられます。そうした中で、賃金構造基本統計調査ないしその他の統計が将来の動向も見据えたうえで、早めにどういう区分に見直してべきかという点は、今後の課題としてワーキンググループでも考えていく必要があろうかと思います。

○玄田主査
 ありがとうございました。樋田さん、他に御意見はいいですか。

○樋田委員
 特にありません。

○玄田主査
 それでは、まず御提案につきましては、特に労働者復元方法については案Bという御提案に対して特段の御異論はなかったと理解いたしますので、このワーキンググループとしては案Bでお認めしてよろしいというように整理させていただきたいと思います。ありがとうございました。そちらのほうで進めていただければと思います。
 次に、議題3の「賃金構造基本統計調査の調査事項及び集計事項の見直しについて」です。まず、(1)職種区分について、事務局より説明をお願いいたします。

○中原賃金福祉統計室長
 それでは、資料3-1の「賃金構造基本統計調査における職種区分の見直しについて」以下、資料3-4までを説明させていただきます。
 まず、資料3-1です。資料3-1の2ページ、前回のワーキンググループでの御議論の内容です。前回のワーキンググループにおいては、職種の見直しについて、試験調査については、特に無回答の部分をもう少し分析してはどうかといった御意見、また個別の職種区分についての御意見を頂いたところです。今回、更に分析を行うとともに、企業ヒアリングも実施していますので、その中で職種区分を更に検討したところです。職種の関係については、一覧としては資料3-2ですが、こちらに新職種区分案としてまとめております。また、参考資料2をお手元に紙でお配りしていますが、こちらは新職種区分案と日本標準職業分類、国勢調査の職業分類との対応関係、このようなものを整理していますので、併せて御覧いただければと考えています。
 資料3-1の3ページです。試験調査については、前回のワーキンググループで大企業で無回答が多く発生しているのではないかという議論がありましたので、規模別に無回答の状況を確認したところです。試験調査では、国勢調査の分類に倣って、無回答を分類不能の職業として集計しています。企業規模計では、復元した人数で13.1%が無回答であるのに対し、赤囲みしている1,000人以上の大企業の部分では、30.0%が無回答ということで、全体の数値よりも相当多くなっています。一方で、100~999人、10~99人の所では無回答はさほど大きくないといったところです。やはり大企業での無回答が多くなる傾向があるといえます。
 大企業について、無回答になっているところで、どの職業が欠落しているかということを就業構造基本調査、こちらにおける規模別職業構成と比較して見てみました。結果を見ると、試験調査では事務従事者が15.1ポイント、続いて生産工程従事者が8.9ポイント少なくなっている状況で、これらの職業の労働者が記入されていないのではないかと推測されるといったところです。この辺については、例えば事務従事者については、机上配布している参考資料2の6ページに事務従事者の区分がありますが、試験調査の区分については、人事事務、企画事務、総合事務など、かなり細かい区分を調査していたことなどが1つの原因ではないかと考えています。なかなか1つの所に絞り切れないということもあったのではないかと思っています。
 資料3-1に戻って4ページです。試験調査と同時に実施したアンケート調査から、職種が無回答の事業所について、回答が困難な理由について確認しました。職種が未記入の事業所については「該当する職種がない、分からない」「職種情報は人事データで保有していない」といった意見が多く、試験調査で設定した職種区分と事業所で持っている職種、業務内容に関する情報がうまくリンクされていないと考えています。また、アンケートでは職種の回答が可能であるとしつつ、職種の記入がない、あるいは調査票が提出されないといった事業所もありました。職種一覧をよく調べて考えれば回答は可能であるが、それに時間を割けない、面倒という事情も無回答につながっているのではないかと考えています。無回答を完全になくすことについては困難であろうと考えていますが、少しでも記入率を上げるという観点から、該当する職種を探しやすくしたいと考えています。そのために、区分を必要以上に細分化することは避ける、事業所に配布する職種一覧については職種名と併せて代表的な職種の例も載せる、これは、資料3-2に付けていますが、代表例を職種名と一緒に付けるといった工夫をしたいと考えています。また、業種別によくある職種を集めた早見表を作る、そのようなことをして短時間で効率よく探せるようにする工夫を行っていきたいと考えています。
 5ページ以降ですが、前回御意見を頂いた職種等についての検討結果です。まず、「製造技術者」ですが、製造技術者については、試験調査では製造業関連については「製造技術者」として一括りで調査しましたが、将来のニーズ等を考え、図のように細分化を検討し、このような区分で記入が可能かを企業ヒアリングで確認してきたところです。一部の企業において、機械と電気のはっきりした区分はない、また設計と研究の2つのグループで管理しているところもあります。また、大学の専門と一致しない場合については難しいといった御意見もありましたが、おおむね全般的には細分化しても回答可能といった結果となっています。
 6ページの「理学療法士、作業療法士」です。企業ヒアリングを行っていく中で、これに「言語聴覚士」、これについても理学療法、作業療法と同じリハビリの専門職であるということ、診療報酬の体系が同じであり、別の区分とするのは違和感があるという意見が複数ありました。そのようなことを踏まえて、日本標準職業分類の小分類の「言語聴覚士、視能訓練士」と統合してはどうかと考えています。
 7ページ、「公認会計士、税理士」についてです。こちらの区分については、現行調査でも労働者数が少なく、時系列変動も非常に大きいところで、区分を存続させるべきか検討してきたところですが、前回のワーキンググループでは、公認会計士と税理士という賃金水準が異なるものを同じ区分にしていることから、結果の変動が大きくなる可能性があるのではないかという御指摘をいただいたところです。この現行調査の中で、「公認会計士、税理士」として回答があったデータを、事業所名簿まで遡ることで、公認会計士と税理士に分けて賃金等を比較したところです。これが下の表ですが、賃金水準については、公認会計士がやや高いという結果が出てきています。ですが、標準偏差を見てみると、分離したほうがばらつきが小さくなるとまでは必ずしも言えないといった結果と考えています。また、サンプル労働者数についても、「公認会計士、税理士」全体で300~400人程度と少ないところから、御指摘の方向とは逆の方向となってしまいますが、同じ中分類で証券アナリストやアクチュアリーなどを含む「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」と統合してはどうかと考えています。証券アナリストなどとは比較的業務の性質や必要な知識など、類似点もありますので、中分類で1つの職種区分とするという考え方の原則に沿った形で、それほど違和感なく区分をまとめられるのではないかと考えています。
 8ページ、「一般事務従事者」です。先ほど、大企業のところでもお話させていただきましたが、「一般事務従事者」については、一般事務を一括りにするとボリュームが大きくなるということから、区分を分けることができないか検討したところです。しかしながら、企業ヒアリングの中では、中小の事業所では事務一般を横断的・総合的に行っていること、大規模事業所においては、総合職と一般職、企画業務と定型業務等で区分していたり、人事異動によってその都度配属先の業務を行っているにすぎず、職種としての区分という考え方はないと。そのような状況が確認されたところです。そのようなことから、日本標準職業分類の小分類に沿った形で細分化するのは困難と考えています。
 一方で、日本標準職業分類と異なる概念として、例えば総合職や一般職といった区分に分けることも考えられますが、このように定義をとっている例はほかにないということで、本調査で先行的に定義付けをするということまでは至らないのではないかと考えています。
 9ページ、「介護職員(医療・福祉施設等)」についてです。以前、厚生労働省外に対して職種区分に関する意見募集を行った際に、医療施設と福祉施設に分けてはどうかといった御意見が複数寄せられたところです。このような細分化の可能性について、政策部局とも協議し、また企業ヒアリングも行って検討を行ってきました。その結果、医療施設と福祉施設の両方の性格を併せ持つ施設も存在し、事業所で明確に区分できない可能性があること、現行の職種区分の「福祉施設介護員」との接続についても、医療施設と福祉施設を合わせて「介護職員」として調査し、産業とクロスして特別集計することにより、接続性を確保できるのではないかと考えられることなどから、ここの細分化を見送り、日本標準職業分類の小分類である「介護職員(医療・福祉施設等)」を1つの職種区分としてはどうかと考えているところです。
  10ページ、その他の職種についても、労働者数がそれほど多くなく、単独の職種区分として調査する意義に乏しい区分については、過度な細分化を避けるといった観点からも、ここの表にあるとおり、統合を行いたいと考えています。ただし、労働者数が少なくても、同じ中分類の中で、他の職種と統合するとかえって分かりづらかったり、賃金水準が大きく異なるものが一緒になってしまう場合、例えば医師関係で歯科医師と獣医師、航空機の操縦士関係、このようなところについては統合しないことで考えています。これらの職種は、やや結果が不安定になってしまうというおそれはありますが、誤差率も併せて公表することで、結果の利用の是非については利用者の判断に委ねることにしたいと考えています。
 11ページ、最終的な職種区分について、大分類別の数をまとめたところです。上の右から2列目が新しい職種区分の区分数、その左隣が現行の職種区分数です。これを比較すると、専門的・技術的職業が充実し、生産工程従事者や建設・採掘従事者は数が減っています。一番右の試験調査の区分と比較すると、16区分減らして、合計139区分としています。
 ここまで、職種についてどのような形で調査していくかということでしたが、続いて集計について説明させていただきます。
 資料3-3を御覧ください。今回、職種区分の見直しに当たり、現行の集計表についても精査を行い、職種関係の集計表について見直しを行いたいと考えています。まず、職種区分を日本標準職業分類と整合的なものにすることに伴い、職業大分類別の集計表を追加し、また大分類で産業と職業のクロス集計を行うことを検討しています。現行の集計表については、男女計の集計がないものもあるため、今後については全区分の職種について男女計を表章することを考えています。また、都道府県別、年齢階級別の集計になると、サンプル数が著しく少なくなっているものもあります。やはり、クロスを重ねて階層が深くなると非常に厳しいものもあるので、そのようなものについては廃止するという方向を考えています。企業規模5~9人の職種、性別集計、短時間労働者の経験年数別集計など、実際に調査をしていたにもかかわらず公表ができていなかったところについても、可能な範囲で表章して公表していくといった観点で検討しています。
 2から3ページについては、これらを反映した見直し案です。繰り返しになりますが、年齢階級別、性別といった詳細について、このようなものについては特掲職種に限るとか大分類の集計、そのようなものを考えた提案としています。
 4ページ、見直しのイメージについて具体的な例で説明します。現行の職種について、集計表があるものについて○を付けています。これについては、年齢階級別、経験年数別といったところで少し深くなっている表ですが、年齢階級別、経験年数別については、男女計の集計表がない、また一部の職種については男女どちらかのみの表章になっています。これについて、全職種、全集計表について、基本的には男女計を公表する、全体の合計として男女計は公表するとともに、年齢階級別といったクロスの次元が多い集計表については、男女ともに一定以上の労働者が存在する職種について、男女別の集計を行うこととしてはどうかと考えています。ここでは例として、男女とも500以上サンプル数がある職種として、ここを水色でマーキングしています。これは一部の職種ですが、このようなところが男女それぞれでそれなりに人数がいる職種といったところです。また、一番右端、5~9人のサンプル数のところです。職種別にサンプル数を見ていくと、ほとんどのところで数が少なくなっていて、1桁、2桁のところも多数あります。このような状況を見ると、多くの職種については年齢階級別の集計には耐えられないと考えていて、この部分については年齢計・性別のみ表章すると考えています。ここまでが、職種の集計のことです。
 資料3-4に移ります。資料3-4ですが、今回、職種区分の見直しに伴い、短時間労働者の集計条件の見直しを考えています。2ページです。現在、短時間労働者について、報告書の注意書きにも書いていますが、特定の職種であって1時間当たりの所定内給与額が著しく高い者を通常の集計から除外しているところです。2つ目の四角の囲みにあるとおり、書きぶりとしては、「1時間当たりの所定内給与額が著しく高い者が少数であるが存在する。これらの労働者を集計に含めると平均値が大きく上昇するので、これを避けるため、短時間労働者の統計表では集計から除いている。ただし、短時間労働者の職種別統計表では、これらの労働者が集中している職種で集計から除くと、その職種の賃金が実態と乖離するため、集計に含めている」、このような注意書きを付けています。ただし一方で、具体的に何をやっているかという情報公開までは至っていません。
 実際に、具体的にどのようなところをやっているか、下の囲みのところですが、この表にあるとおり、医師、教員関係の職種、産業大分類が「教育,学習支援業」の場合には、さらに、職種が空欄の労働者について、1時間当たり所定内給与額が3,000円を超える労働者を除外して集計している状況です。これは、いわゆる賃金構造基本統計調査の基本的な全体の表、1表、2表、3表と書いているところですが、それについてです。なお、職種別統計表については、これらの労働者、3,000円を超えている者についても含めて集計しているところです。
 今回、職種区分を見直すことに併せて、集計要件についても再検討しました。3ページに、具体的な見直し案として3つ掲げています。案①ですが、これは現行の集計値との接続性を重視して集計範囲を決定するものです。これについては現行の集計値との接続がある程度可能になると考えているところです。しかしながら、短時間労働者で時給が高額な者がほとんど医師や教員に限られた時代には、これらの職種を通常の短時間労働者と異なる、いわゆる外れ値として除外することについては一定の合理性もあったと考えていますが、現在については他の専門職でも賃金の高い労働者がいるという実態も考えられるので、除外職種を医師と教員に限定するということが社会情勢上、どうなのかといったこともあります。また、3,000円という基準については、相当昔に遡ると、もっと違う金額で除外した時期もありますが、3,000円という基準で結構長い期間について除外していますが、同じ金額でやるということは接続性の観点では合理性はあると考えていますが、最低賃金の状況やパートタイム労働者の平均時給、このようなものが昔と比べて大きく上昇しているのではないかと思っており、そのような中で改めて基準を設定するに当たっては、十分検討する必要はあるということで、見直しの基準を考えるのも非常に難しいところがあるのではないかと考えています。
 案②ですが、職種による限定をやめて、時間当たり所定内給与額が3,000円以下の労働者を集計対象とするといったものです。職種の限定がない分、シンプルな方法ではありますが、現行の集計値とは接続しない状況になるのかと思っています。また3,000円という基準についても、案①の問題と同様の問題があると考えています。
 案③ですが、職種や給与による除外を行わず、短時間労働者全体を集計対象とするということです。現行の集計値との乖離が大きくなる可能性はありますが、集計値の意味するところは短時間労働者全体の集計であるといったことで明確であり、網羅性があるのではないかと考えています。
 4ページです。検討に当たり、現在、集計から除外されている労働者の状況を確認したものです。ここの表にあるとおり、除外される労働者は「教育,学習支援業」と「医療,福祉」に集中しています。これらの雇用に関連する職種なので当然ですが、「教育,学習支援業」では、全体の3割以上が除外されている、産業計でいうと、3%程度が除外されている状況です。
 5ページ、除外されている職種です。労働者を職種別に見ると、大学講師、医師が多く、これらで全体の6割以上を占めている状況です。
 6ページ、職種が記入されておらず除外されている者の産業別内訳です。除外されている労働者のうち、職種が空欄のものを見ていくと、これは教育関係に限るところですが、「816 高等教育機関」が半数以上となっています。ここについては、大学、高等専門学校などが該当し、本調査で調査していない職種ということで考えると、助教や高専の教員、このような者が除外されているのではないかと考えています。
 7ページです。案①の、現行の集計値との接続性を重視して集計範囲を決定する場合、職種が空欄のもの、これは教育関係ですが、どのように接続させるかという問題になりますが、時給が3,000円以上というところで考えると、ほとんどが教員であると考えられることから、こちらの区分については医師、歯科医師、教員関係とするのが適当ではないかと考えています。
 8ページです。案②の検討のため、短時間労働者を、時給が3,000円以下かどうかで分けて集計したものです。案②は3,000円を超える者は全て除くという考え方ですが、3,000円超の労働者が短時間労働者全体に占める割合は3~4%という状況で、現行の除外者よりも0.5~0.7ポイント程度増加となっています。また、時給が3,000円以下の労働者の時間当たり所定内給与額、これは現行の集計値よりも20円から30円程度低下し、「学術研究,専門・技術サービス業」では100円以上低下するという結果になっています。
 9ページ、短時間労働者全体の時給の累積分布、産業分布です。産業計で言うと、時給1,700円までで90%を超える状況ですが、それ以上については広い範囲に分布しているという状況です。「教育,学習支援業」、この赤い線ですが、こちらについては他の産業と比べて特異な分布となっていて、産業一律の除外基準を設定するのが適切かどうかといった問題もあるのではないかと思っています。
 10ページ、案③の場合です。これは一切除外を行わないものですが、このような場合において、全てを集計対象とした場合には、産業計において200円程度、「教育,学習支援業」において1,500円程度、「医療,福祉」において500円程度賃金が上昇するということになっていて、一部の産業においては、現行の集計値よりも非常に高額となっています。ただ、一部のもの以外については乖離はそれほど大きくないという実態も出ています。
 11ページ、今後の対応方針案です。案①、案②については、現行との数字の乖離は小さいものの、現在の社会情勢を踏まえると、集計値の意味するところについて利用者が分かりにくくなるおそれがあること、また定期的に集計範囲を見直す必要があることから、その度に接続性の問題も発生するし、調査の実施に当たっての事務コストも非常に大きなものとなってきます。
 一方、案③については、利用者がイメージする短時間労働者、いわゆる従来型のパートタイム労働者などですが、そのような方とは異なる少数の者の影響で、一部の産業を中心に平均賃金額が大きく上昇するといったデメリットが考えられますが、短時間労働者についても分布表の集計・公表を行っているところもあり、更に今後、全調査対象労働者について職種を調査するということもあるので、そのような者も含めて短時間労働者の全体像が把握可能になるのではないかと考えています。短時間正社員制度が導入されるなど、働き方の多様化により、短時間労働者の賃金水準が高くないとは必ずしも言えない状況となってきていると考えていて、今後は短時間労働者の全体像を把握するという観点から、案③を採用してはどうかと考えています。
 なお、いずれの案を採用するにしても、集計範囲についてはこれまで以上に詳細に情報提供をしていきたいと思っています。例えば今年の報告書の作成においては、除外している産業を明確に示した上で報告書も作成したいと考えています。私からの説明は以上です。

○玄田主査
 ありがとうございました。具体的な提案も含めて御説明いただきました。特に除外問題はかなり大きな問題になって、新聞に出そうな感じのテーマですので、その辺も含めて是非御意見を頂ければと思います。

○黒田委員
 御説明ありがとうございます。資料3-1からでよろしいでしょうか。

○玄田主査
 はい。どうぞ。

○黒田委員
 追って順々に、資料3-4までという感じで、質問などをさせていただきたいと思います。まず、資料3-1ですが、7ページ目で示した、「公認会計士、税理士」と分けた場合の給与額の平均値、標準偏差などを載せていただきました。私が聞きそびれてしまったのかもしれませんが、ゆえに、他のものも一緒にしてはどうかという案になったとお聞きしました。「公認会計士、税理士」に関しては、その違いを示していただきましたが、それ以外の「社会保険労務士」とか「金融・保険専門職業従事者」に関しても、一緒にしてもいいというような御提案はどの辺りから発生したのか、もう一回教えていただければ有り難いです。

○中原賃金福祉統計室長
 まず、全部が全部同じ理屈ではないのですけれども、例えば、この「公認会計士、税理士」の区分については、現在も調査しているのですが、やはりサンプル数が少なくて、数字については安定性に欠けるところがございます。そういった観点から、単独で表章するのは厳しいのではないかと。安定性に欠けるところについては樋田委員からも御指摘がありまして、水準が違うからではないかというお話もありましたが、必ずしもそれだけが原因でないという状況も見えてきています。
 それと、併せて「社会保険労務士」、これも数字のほうで言いますと、例えば、国勢調査の労働者数を見ると非常に少ない数になっていて、ここから出てくる結果についても、安定性に欠けるのではないかというのが想定されています。そういったことも踏まえると、ここも単独で表章するのは難しいのではないかと考えております。そう考えた際に、それ以外のところ、これらの区分の上位分類、中分類にある「経営・金融・保険専門職業従事者」、この1本で調査、そして集計してはどうかといった考え方で整理をしたいといったところです。

○黒田委員
 サンプル数が少ないことは分かったのですが、サンプル数が少ないもの同士は全部一緒にしていいかというと、また話は別だと思いますので、そういう意味では、現在得られているサンプルの中での「社会保険労務士」と「金融・保険専門職業従事者」の平均賃金や標準偏差を一度観察してみて、ご提案の職種と一緒にしていいかどうかを最終的に確認してはどうかと思います。
 ちなみに、日本では現在、社会保険労務士は4万人ぐらいいると、社会保険労務士協会の方から伺ったことがありますが、雇われている人はそのうちの一部で、多くは自営で開業されている方と理解しております。そういう意味では、サンプルが少ないことも分かりますが、自営で開業されている方が大勢の中で、あえて雇われている方の給料が、他の職種の雇われている方々の給料と一緒なのかどうかは、慎重に考えたほうがいいのかと思います。

○玄田主査
 何かございますか。

○小梶賃金福祉統計室企画調整係長
 「社会保険労務士」ですが、現行でも調査をしておりますが、復元した労働者数が全体でも500人いかないぐらい、400人程度となっておりますので、ここは調査はなかなか難しいかと考えております。今回、職種区分全体を表章可能かどうかというところで、社会保険労務士のように自営業がほとんどだという職種もあるので、改めて全体を見直してみまして、サンプル数が少なくて、かつ、同じ中分類の中でまとめてもそれほど違和感はないというところはまとめる方向で、今回、検討させていただいたところです。

○玄田主査
 いいですか。

○樋田委員
 今の点ですが、私も黒田委員の御意見に賛成です。「公認会計士」と「税理士」を統合することの妥当性は、この表から納得できると思います。サンプルサイズが小さいことと、水準のずれはありますが、ばらつきを考慮すれば統合してもよいのかなと思います。ですが、その他の部分については、公認会計士と税理士についてのようなデータに基づく検証はされておりませんし、統合したときに、それがどのような職業を意味するのか曖昧になってしまいそうです。ですので、「公認会計士、税理士」に、その他を加えることは、慎重な検討が必要なのではないかと考えます。以上です。

○玄田主査
 「その他」とは具体的に何ですか。雇用者数が39,152人と書いてある、金融・保険専門職業。

○樋田委員
 例えばアナリストとかでしょうか。

○玄田主査
 アナリストとか、いろいろ複数持っている人がきっといますね。アナリストだけで4万人もいないよね。

○樋田委員
 いないと思いますね。

○玄田主査
 その他とはどう考えればいいのだろう。

○長山統計・情報総務室長補佐
 アクチュアリー。

○玄田主査
 アクチュアリーとか。アクチュアリーはいますよね。保険会社とか。きっとたくさんいますよね。この辺りは生命保険とか金融とかだろうから、少し検討させていただくということですね。他に何かありますか。資料3-1以外でも結構です。3-2、3-3、3-4と、特に御意見は。3-4の案①から案③という、短時間労働者に対する見方をガラリと変える可能性がある御提案です。私から言うと、案③がいいのではないかと思いますが、条件付きというか。案③だときっと中央値を出すのでしょうね、平均値と同時に中央値を示すのが一番落ち着きがいいのと、おっしゃったように、接続で、既存のやり方でやった場合は当面続けるということと、最大の問題は今まで除外していたという情報を十分に伝えていなかったわけだから、今までは伝えていなかった内容を正確に示した上で、案③。除外情報と接続の問題と、多分、中央値というもので着地するというのがいいのではないかと思いますが。樋田さん、どうですか。

○樋田委員
 私も主査の御意見に賛成です。3,000円の根拠が不明確ですし、今後、この3,000円をどう変えていったらよいのかというのも不明確です。そういった意味では、案③が一番透明性があり分かりやすいです。ですが、現行の集計値と大きく変わることが予想されるので、その点についてデータを詳細に公表して、今までの集計とは異なる数字であることを分かりやすく示す必要があると思います。
 それから、今、主査がおっしゃったように、分布のスソの部分の数字が集計対象に入ってきますので、平均値がかなり高くなる可能性があると思います。ですので、分布を事前に確認して平均だけでなく、中央値や分位点の公表についても検討する必要があるかと思います。以上です。

○玄田主査
 ありがとうございます。黒田さん、この点についていかがですか。

○黒田委員
 ありがとうございます。私も今のお二人の先生方の意見と一緒です。最近では、プラットホームワーカーやクラウドワーカーなど、時間で仕事を切り売りするような仕事も増えてきていますので、短時間でも高所得を得るような人たちの動向を把握していく意味でも、今後の時代には案③がよろしいかと思います。その点で幾つか、今、先生方のおっしゃったことの繰り返しにもなりますが、私も、3,000円以上の労働者をこれまで除外してきたことの説明を丁寧にしていく必要はあるかと思います。そのときに、なぜ3,000円にしたかというような、何かしらの根拠などがあれば説明に加えていただく。それから、いつから3,000円にしているのかという情報もあったほうが丁寧かと思います。その際、3,000円を検討されたときの当時の資料などが残っていますでしょうか。例えば、こういった分布に歪みがあるときの平均値の出し方としては、先ほど先生方がおっしゃったように、中位数をメインに出していくか、あるいは、刈り込み平均のように、両裾を何らかの客観的な方法で切り取った上で平均値を出すとかいった方法があろうかと思いますそうした中で、そういった方法をとらずに3,000円となったことの説明はあったほうがよいと思います。もしかしたら資料は残っていないかもしれませんが、あるとより丁寧かと思います。
 2点目は、案③を採った場合なのですけれども、先生方が今おっしゃった点と全く一緒ですが、ちょっと教えていただきたいのは、現在、短時間労働者も中位数とかは全く出していないのでしたか。その辺りをちょっと。

○長山統計・情報総務室長補佐
 現在も分布表の中で、中位数と、第1・四分位とか、第1・十分位とか、第3・四分位、第9・十分位は公表しております。ただし、これは除外した中での中位数となりますので、決して高い人も含めた全体の中での中位数ではないということです。

○黒田委員
 御説明ありがとうございます。そうしますと、平均値を出す表に併せて、そのすぐ下に中位数とか第9・十分位とかを載せると、結果が独り歩きするリスクが大分減るのではないかと思います。別の表に掲載すると分布のほうの情報を見ず、平均値だけを議論されるリスクもありますので、この辺の出し方の工夫をなさるといいのかと思いました。

○玄田主査
 先ほど御質問のあった、いつから3,000円とかを除外という、何か情報は残っているのですか。

○中原賃金福祉統計室長
 手元にないのですが、ある程度の情報は持っておりますので、できる限り情報を開示できるような形でできればと思います。

○玄田主査
 ずっと昔からそういう取扱いだったのですか。

○小梶賃金福祉統計室企画調整係長
 ちょっとはっきりした時期はしっかり確認できていないのですが、平成の初期ぐらいから3,000円以上を除外していたのではないかと。

○玄田主査
 昔、パート労働者と言っていたのが短時間労働者に変わったときぐらいからでしょうか、平成何年ぐらいでしたか。

○長山統計・情報総務室長補佐
 平成17年です。

○玄田主査
 平成17年ですか。もうちょっと前ですか。

○長山統計・情報総務室長補佐
 もうちょっと前から3,000円でという状況がありました。

○玄田主査
 何で3,000円なのでしょうか。

 ○中原賃金福祉統計室長
 過去の数字、これが時期的に確かなのかどうか分からない部分があるのですが、確かに2,500円とか2,000円とかという時代もあったようだとか。

○玄田主査
 そうなんだ。

○中原賃金福祉統計室長
 はい。やはり全体の水準が動くに従って、何らかで見直しをしたのだろうとは思われますが、何せ記録が残っていない部分があるので。

○玄田主査
 分かりました。それも分かる限り、いつからこういう経緯で除外していったというのがあったほうが、記録がないことも含めて、ここは必ず聞かれますよね。なぜ除外して平均が上がったかというと、いろいろと考える人が出てくるだろうから、何か政策的な意図があったのではないかとか、そこはきちんと説明しなければ混乱しますね。
 ありがとうございました。これについては案③に幾つか条件を付けてというような、いろいろと具体的な御提案も頂きましたので、そちらで御検討いただければと思います。その他の点で、職種区分についていかがですか。前回のワーキンググループより、集計区分の変更の御提案もありましたが、特によろしいですか。

○樋田委員
 私は御提案どおりでよろしいと思います。

○玄田主査
 では、先ほどの金融・保険うんぬんのところは少し調べてみてということで。黒田さん、他によろしいですか。その御意見を頂いた部分に関しては、更に事務局で整理していただいた上で、私のほうに一任させていただいてよろしいですか。ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。引き続き、議題3の(2)の「新規学卒者の初任給」について、事務局から改めて御説明をお願いします。

○中原賃金福祉統計室長
 こちらは、本日、机上配布させていただいております訂正の資料です。御確認いただければと思います。資料4の「賃金構造基本統計調査における新規学卒者の初任給に係る調査の廃止について」を説明させていただきます。賃金構造基本統計調査では、事業所票において、新規学卒者の初任給を調査しておりますが、今回、この調査事項の廃止を検討しています。
 3ページに背景として書いておりますが、政府として行政手続コストの2割削減という目標に取り組んでおり、その中で、統計調査に係るコスト、いわゆる事業所の調査票の記入負担、これも重点項目として挙げられております。特に賃金構造基本統計調査については、類似の賃金統計との調査項目の重複による負担感も指摘されているところでして、調査対象事業所数や調査項目の削減を強く求められているところです。
 しかしながら、令和元年調査からは、外国人の在留資格の調査項目を追加するといったこと、さらに、令和2年調査からは職種の調査対象範囲を全労働者に拡大するなど、更に負担増となる調査の変更を予定しているところです。
 また、近年、企業における雇用形態や賃金制度が多様化していることから、本調査についても、これまで以上に全体として内容審査に時間を要するといった状況になっており、調査項目の精査等の効率化を行う必要があるところです。
  これらの課題への対応策として、結果精度の維持及び政府統計全体としての統計ニーズへの対応という観点から検討した結果、他の統計で同様の項目を調査しており、重複が生じていること、本調査でも個人票で年齢、勤続年数等から新規学卒者と考えられる者について集計を行うことによって、一定の代替が可能であることから、新規学卒者の初任給に係る項目の廃止が適当ではないかと考えているところです。
 4ページですが、初任給に係る統計調査等の比較です。他の統計で初任給を把握できるものといたしましては、人事院が実施しております職種別民間給与実態調査のほか、業務統計という扱いになりますが、雇用保険データを集計することにより、学歴別の初任給が把握できるところです。これについて、厚生労働省のホームページでは公表されていませんが、各労働局において公表されているといったところです。
 5ページです。現在、初任給についてどういう状況なのかも含めて、いろいろ分析をした結果です。例えば、先ほど代替集計のことをお話させていただきましたが、仮に代替集計を行うに際し、現在、事業所票で計上されております「新規学卒者」の属性を、対応する個人票データでマッチングすることによって、どのようなものかと類推したものです。年齢で見ますと、下の表のとおり高卒・大卒ともに最低年齢が6割以上で、その1つ上の年齢が3割以上を占めているところです。雇用形態別に見ますと、正社員・正職員で無期雇用の者がほとんどといったところです。
 6ページは、逆の方向から見たものですが、個人票で勤続0年の一般労働者について、事業所票ではどの程度新規学卒者として計上されているかを見たものです。正社員・正職員で無期雇用については、高卒18歳で95%程度、19歳で3分の2程度、大卒22歳で9割以上、23歳の8割近くが新規学卒者として計上されているのではないかと考えているところです。一方、正社員・正職員以外については、高卒・大卒ともに新規学卒者として計上されている比率は3分の1以下と、非常に小さくなっているといったところです。
 7ページです。個人票を用いた代替集計を行うとした場合の範囲について考えますと、勤続0年の労働者のうち、年齢については最低年齢と最低年齢プラス1歳、雇用形態については一般労働者のうち「正社員・正職員かつ無期雇用」を対象とするのが、現在の新規学卒者に近いものになるのではないかと考えているところです。
 8ページですが、初任給額の試算結果について、幾つか分析もしております。8、9ページは、説明を割愛させていただきます。10ページです。新規学卒者に係る代替集計をした結果と現行の初任給額の比較です。先ほど示しました勤続0年で、かつ、最低年齢と最低年齢プラス1歳の所で集計した結果です。太い実線が代替集計で、太い点線が現行の初任給額です。ここの違いですが、定義としては、実際のところ通勤手当が入っている・入っていないというところが、定義上違っております。先ほど説明を割愛させていただいたのですが、分析を見ていきますと、各種手当が入っている・入っていないという差があるのではないかといったところがあり、その影響がここの差に出ているのではないかと見ております。数字の傾向としては、代替集計と同じような傾向になるのではないかとは考えております。
 また、参考といたしまして、小さい点線で、雇用保険データにおける初任給額も示しております。こちらについては、雇用保険データとして登録されている全数調査となっていることもあり、時系列的に見ましても、安定した結果が得られていると考えております。
 11ページです。以上を踏まえまして、初任給について、雇用保険データもあるといったことを踏まえての対応方針ですが、初任給については、雇用保険データもあり、他の調査もあるといったこともあり、複数のデータがあるということで、賃金構造基本統計調査での新規学卒者の初任給調査について廃止してはどうかと考えているところです。
 論点といたしましては、ここにありますとおり、事業所票による新規学卒者の初任給に係る調査を廃止するという方向性は、利用者ニーズ、報告者負担の軽減及び調査の効率化の観点から適切かということ、また、利用者ニーズ等々の観点から、代替集計を行うべきかどうかが論点だろうかと思っております。説明は以上です。

○玄田主査
 ありがとうございました。こちらも比較的大きな御提案かと思います。特に、今、御説明のあった11ページの対応方針案について、こちらを含めて是非御意見を頂きたいと思いますが、樋田さん、いかがですか。

○樋田委員
 御説明ありがとうございました。基本的には、この御提案に賛成です。初任給は重要な経済情報で注目度が高い統計ですが、他統計からも把握できるということと、賃金構造基本統計からも代替集計によっておおむね同等の数字を把握できるということですので、統計業務の効率化のために、削減は妥当な方針ではないかと思います。
 代替集計については、私は是非お願いしたいと思います。賃金構造基本統計調査を用いてわが国の労働者の賃金構造の全体像を把握するニーズは高いと思います。初任給についても、賃金構造基本統計調査のなかで数字を利用できるように、代替集計を行っていただきたいと考えています。
 それから、今回、現行の数値、代替集計の数値、雇用保険の数字の比較をしていただきました。このような情報提供も大事だと思いますし、利用する統計により初任給にどのくらいの差があるのかも見ておくと、統計の作成者・利用者の双方に有益な情報になると思います。以上です。

○玄田主査
 何かありますか。

○中原賃金福祉統計室長
 他統計については資料を付けておらず、申し訳ありません。傾向としては、それほど違いがあるものではなく、日本の実態をそれぞれ捉えているものですから、それほど違いがないということについては確認をさせていただきます。

○玄田主査 
 この雇用保険の業務統計は、初任給として定期的に公表しているのですかね。

○中原賃金福祉統計室長
 集計としてはしているものですが。

○玄田主査
 プレスリリースしているわけではないのですね。

○中原賃金福祉統計室長
 はい。実際に全国全体でまとめているものでもなく、ありがちなのは各労働局で毎月雇用情勢の実態とか。すみません、全国でも取っているものもありまして、失礼いたしました。数字はありますので、こういった統計の活用とか公表の仕方は、業務統計をどう活用するかという統計全体の考え方もありますので、そういった観点で、業務統計を実施している部局とこれから協議も進めていければと思っております。

○玄田主査
 それは、実際、事業所から、各都道府県の労働局に、初任給は大体どのぐらいかという問合せとか、情報として求められているということなのですかね。

○中原賃金福祉統計室長
 よくある話で、各労働局で雇用状況の実勢について、求人倍率とかが出たときなどにありますが、そういった説明とかをしていますので、その際に併せて、今年の新規学卒者の賃金はこういうものですといったところを情報提供するとかは一般的です。

○玄田主査
 そのときに使っているのは、どちらかというと、賃金センサスではなくて業務統計ですか。

○中原賃金福祉統計室長
 そうです。

○玄田主査
 だから、実際の問合せがあった場合には、業務統計のほうで対応しているのが実情だということですかね。あまり賃金センサスを見て、「よし、来年は初任給はこれでいこう」という感じではないということですかね。

○中原賃金福祉統計室長
 使い方はいろいろあるかと思っています。ただ、この数字が出てくるタイミングというのもあり、賃金構造基本統計調査の場合、今、公表しているのは11月ですが、業務統計ですと比較的早い時期に出るというような問題があると思っています。ただ、今後の問題として1つあるのですが、今、初任給については先行して集計して、11月公表ということで、今お話させていただいたのですが、代替集計となりますと全体の集計と同じスケジュールになりますので、全体の集計の公表が、2、3月という状況になりますので、その時期になって情報提供となることについては、御留意していただく必要があるかと思っております。

○玄田主査
 黒田さん、何か御意見、御質問はありますか。

○黒田委員
 御説明ありがとうございました。回答者負担をいかに減らしていくかは非常に悩ましい中で考えてくださった案で、私も基本的に御提案のとおりでよろしいかと思います。ただ、樋田先生もおっしゃっていましたが、タイミングがずれてしまうとはいえ、代替集計の御提供があったほうがいいのではないかと私も思います。各事業所ベースで参考にしているかどうかは、業務統計は参考値になっているのかもしれませんが、統計を利用する側からしますと、初任給はかなり注目度が高い統計でもあり、全くなくなってしまうのはどうかと思いますから、代替集計はあったほうがよろしいかと思います。
 その際に、今回も2009年から代替集計を集計していただいたわけすが、どのぐらい遡及データとして御提供いただけるかも、御検討いただきたいところではあります。例えば、分析者や研究者からしますと、直近だけというよりは、時系列での変化がどうしても気になるところであります。水準自体に違いがでてしまうという点は、諸手当の有無の違いなどで理解できますので、それが長期時系列でみてもこれまでの系列と概ねパラレルに動いている、といった情報などがあれば、より利用者としても有り難いと思います。

○玄田主査
 10ページにあるとおり、正社員かつ無期雇用という区分があったのは、何年でしたか。

○中原賃金福祉統計室長
 平成17年(2005年)からです。とりあえず、今回、復元方法の見直しもありますので、そこもある程度遡及推計するという考え方でいます。だから、そこの期間とも合わせながら考えていくのかもありますし、一方で、私どものマンパワーのこともありますので、その中で御要望をどこまで社会の皆様からの要請に応えられるか分かりませんが、検討はしていきたいと思っております。正社員がない所についても、扱いが何かできるかどうかについても併せて。例えば、そこの部分はしないにしても、こういう数字になりますというものの出し方もあろうかと思いますので、これについても考えてみたいと思います。

○玄田主査
 私は若いときに、初任給に注目したのは、景気感応性という観点で、やはり初任給が景気動向に一番敏感に反応するから、その初任給の上がり額が労働市場の需給ひっ迫動向の目安になるのだと言われたような気がするのだけれども、考えてみると余り確認していないというか。高度成長の頃は、どんどん初任給が上がったけれども、平成は初任給は景気は感応的かどうかは、明らかではないですね。あるところから、パートの時給のほうが、何となく需給にというイメージが世の中に行き渡って、初任給は比較的硬直的な感じ。初任給も、上がることがあっても、下がらないという、下方硬直性があるのかもしれない。

○黒田委員
 賃金カーブのフラット化との兼ね合いで、初任給に注目する分析などはあると思います。

○玄田主査
 ガンガン上がっている?

○黒田委員
 初任給は比較的上昇傾向にある一方で、40、50代は少し下がっているとか、そういった感じの研究なども、賃金センサスを使ってやられているように思います。

○玄田主査
 そういう初任給に当たるものの情報は、今後、広く賃金制度そのものがどう変わってきたのかを見る上でも大事だということですね。

○黒田委員
 はい。

○玄田主査
 では、お二人の案としては、廃止は、特に業務コストの効率化、今度、職種が新しい部分が増えていくので、統計はどうしてもスクラップ・アンド・ビルドは避けられないので、廃止に関しては異論がないと。ただ、代替集計については、時期が多少遅れることはあっても、こちらについては是非検討していただきたいという御意見だったかと思いますので、その辺りは事務局として整理していただき、御検討いただければと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 次に、議題3の(3)その他がありますので、こちらについてお願いします。

○中原賃金福祉統計室長
 事務局から、資料5「賃金構造基本統計調査における手当に係る調査の廃止について」及び資料6「賃金構造基本統計調査の新調査票(案)」について、説明いたします。まず、諸手当の廃止について、資料5を御覧ください。これまで最低賃金の審議資料として、賃金構造基本統計調査の結果を活用しています。小規模事業所の数字をよく使っているわけですが、小規模事業所において「通勤手当」「精皆勤手当」及び「家族手当」を調査してきており、これについては、最低賃金では、これらの3手当を算入しないとされており、そのため、賃金からこの手当を抜くために、この調査をしていたところがあります。ですので、賃金構造基本統計調査としては、これらの3手当の集計、公表はこれまで行っておりません。
 これらの3手当については、特定産業の小規模事業所に限り調査をしているところで、最低賃金の審議資料としての活用以外に、政策立案上の利用は把握していないところです。また繰り返しになりますが、現在の3手当の調査ですが、特定産業の小規模事業所、※で付けておりますが、小規模事業所は、製造業で99人以下、卸・小売業、物品賃貸業などでは29人以下ということで、産業も全体として網羅していない、また、規模も全体として網羅していない、こういった特定の事業所に限って調査をしています。やはり、大規模事業所を含む全体を示す数値ではないことから、一般的な利用については活用しづらい数字ではないかと考えております。
 併せて、他の統計調査でも、これら諸手当の額を把握することができ、必ずしも賃金構造基本統計調査結果がなくとも、最低賃金の審議資料を用意できますし、社会的にもそういった情報を把握することはできる状況です。こういったことから、今後とも調査を継続する意義に乏しいと考えております。特に、最低賃金のために取っていた項目であることから、そちらからの要請がなくなったことを踏まえると、報告者の記入負担なども考慮して、今後はこれら3手当に関する調査項目を廃止することとしたいと考えているところです。
 続いて、資料6ですが、令和2年以降に使用する調査票のイメージを示しております。これから、まだ更に精査するとか、説明書きが必要なところは入れるなど、いろいろと必要かとは考えております。先ほど説明いたしました初任給調査の廃止を前提として、現在、事業所票と個人票に分かれている調査票を1枚にまとめた案としております。また、今説明いたしました3手当の廃止を前提に、記入欄の削減を行う一方、最終学歴の選択肢の細分化を行っております。現在の調査票と比べると、手当の分がなくなった分、横にすっきりしています。それから、調査票も1枚ということで、すっきりさせているのではないかということを、うたっております。また1枚にすることにより、上のほうの事業所全体の従業者数の状況と、個人票のほうの状況とを一緒に見比べることができることは、実査の面からもメリットがあり、そういった観点からもこういった形は優れているのではないかと思っています。ただ、いずれにしても、もう少し精査する必要があると思いますが、現在のところはこういった案で考えているところです。説明は以上です。

○玄田主査
 ありがとうございました。初任給と並んで手当についても、一定の社会的な役割を終えて、代替可能なので、廃止の方向にという御提案ですが。これは何でここにある※の部分だけを調べていたのですかね。

○中原賃金福祉統計室長
 まず基本的に、最低賃金を見る場合に、小規模事業所の賃金の動向を重視して見ているところがあり、そういった関係でここをやってきたという歴史的背景があります。最低賃金のほうでも独自に調査をしておりますが、やはりデータとしてたくさん欲しいところもあったものですから、賃金構造基本統計調査のほうのデータも使えないかという考え方もありながら、こういった小さい区分についてのみ使うために、こういった調査をしていたというのが、これまでの。

○玄田主査
 手当が充実しているのは製造ですか。何か建設とかのほうが手当は多いかなとか。金融は手当多いのですか。そうでもないのですか。

○黒田委員
 どうでしょうか。

○玄田主査
 そういうのは、ほぼ入っていないですね。

○玄田主査
 何でここだったのだろうね。何か廃止の御提案について、黒田委員、いかがでしょうか。

○黒田委員
 御説明ありがとうございます。念のため教えていただきたいのですが、最低賃金の資料として、今までは必要だということで調査をされてこられたわけです。今回、他の統計でも十分に審議資料は用意できるということなのですが、具体的にどの統計を使うことになるかを教えていただければ幸いです。

○中原賃金福祉統計室長
 他の統計と言いますと、2つの側面があります。最低賃金のほうで言いますと、最低賃金に関する実態調査で賃金を独自に調査しております。その中で、これからやっていけるという結論に至りました。やはり、2種類の統計を併せて使っていくというのは煩雑なところもありますので、そちら1本でやっていける、しっかり取っていくのが1つです。もう1つは、一般的な面でいきますと、これも私どもの室でやっている調査ですが、就労条件総合調査の中で、5年に1回のローテーション項目ではあるのですが、諸手当についていろいろと取っております。例えば、ここに「通勤手当」「家族手当」「精皆勤手当」とありますが、それ以外に、住宅手当や単身赴任手当等も併せて取っておりますので、そういった数字を使っていただくことが世間的、一般的にはあるのではないかと考えております。

○玄田主査
 よろしいですか。

○黒田委員
 御説明ありがとうございました。回答者負担もあるので、今回の御提案自体は賛成なのですが、これまでの慣例に沿って審議の資料をずっと検討されていた各都道府県にも一応は了承を得ておいたほうが、その辺りの十分な説明も必要かと思います。以上です。

○玄田主査
 いかがですか。

○中原賃金福祉統計室長
 最低賃金については、労働基準局で各都道府県の労働局のほうの指導をしておりますので、労働基準局とはこの3手当の廃止については合意は得ている状態です。

○黒田委員
 もう合意を得ていらっしゃるのですね。

○中原賃金福祉統計室長
 はい。

○黒田委員
 大変失礼いたしました。

○玄田主査
 樋田さん、いかがでしょうか。

○樋田委員
 特にありません。

○玄田主査
 では、お二人からも特段御異論はなかったと思いますので、こちらの方向で進めていただければと思います。ありがとうございました。
 最後の議題4「その他」となっております。事務局から御説明をお願いいたします。

○中原賃金福祉統計室長
 資料7の「賃金構造基本統計調査における集計事項のうち、一部が未公表・未集計となっていたことへの対応について」を説明いたします。賃金構造基本統計調査の調査計画における「8 集計事項」において集計することとされている事項のうち、「企業規模5~9人」の区分について、「企業規模5~9人」の集計結果は存在しているものの、統計表を公表していなかったというもの、また、これらの区分を集計していなかったものがあることが他省庁からの照会を契機に確認されたところです。
 2ページに、調査計画の抜粋を付けております。ここにあります集計事項のうち、(ア)(イ)(ウ)の3表は、賃金構造基本統計調査の中の基本的な集計表で、(ア)が基本的なもの、(イ)が勤続年数別、(ウ)が中位数や分位数が載っているものです。この集計表については、「企業規模5~9人」についても集計しておりました。これらは、基本的に5~9人のサンプルとして出てくる労働者全てを集計対象としているところです。
 集計はしておりましたが未公表であった表が、ここで言います(ケ)(職種、年齢階級別所定内給与額等)、それから(シ)(初任給額等)となっています。これについては、少なくとも平成元年から調査計画、従来は総務大臣の承認事項に記載があり、企業規模5~9人についても常に集計対象としつつも、公表をしていなかったものです。これらの表については、(ア)~(ウ)の表と異なり、該当するもののみが記入対象であり、また集計対象となるものとなっております。その結果、全体としてサンプル数が相対的に少なくなっており、今般、未公表などを確認した職種や初任給に係る集計結果については、回答にばらつきが出る、またセルによってはサンプルがないといった状況となっております。このため、統計としての精度が担保されない可能性が非常に高いと考えているところです。いずれにしても、調査計画の適正化に至っていなかったところです。
 (オ)(標準労働者の特定年齢別所定内給与額分布)と、(ス)(初任給額の分布)は、集計がされていなかったものです。この2表については、平成16年以前から企業規模10人以上について公表していたものですが、集計事項として載っていなかったものでした。それを、平成17年の調査計画変更の際に、追加をして載せたものです。1つ上の(エ)を御覧ください。(標準労働者の学歴、年齢各歳別所定内給与額等)があります。ここの一番最後に、常用労働者5人以上9人以下を雇用する企業に係る集計は除くという記載をしております。(エ)は(オ)の基本的な集計表であり、(オ)は(エ)の集計表を詳細に見た分布表ですので、当然ここでも5~9人の企業を除くと書くべきものでしたが、この記載を当時忘れてしまったものと考えております。(ス)(初任給額の分布)についても同様に、この文言を入れるのを忘れたと考えております。なお、この初任給額の分布の表は、平成21年に集計を始めておりますが、その結果を見てみますと、ほとんどのセルはサンプルがないという状況で、バー(-)がほとんどという表になっている状態です。また、この件について、今年1月に実施されました総務省の基幹統計の点検がありましたが、この際に未公表・未集計は確認されませんでした。これについては、こういった事案を防げなかったこと、及びこの点検のタイミングで発見できなかったこと、また、これらの集計事項について、集計・調査事項、職種、初任給とありますが、報告者の協力を得たにもかかわらず未公表等の理由を明らかにしなかったまま公表せず、また必要な変更申請手続もしなかったことについては、真摯に反省して、お詫び申し上げる次第です。重ね重ね申し訳ないことだと思っております。
 今後の対応に関連して、令和2年以降の調査の対応について、説明いたします。1ページの下の囲みですが、ここで資料の訂正をお願いいたします。(ケ)の「性別計のみ、5~9人についても公表する(資料3-4を参照)」ですが、この「性別計のみ」を「年齢計」として、資料3-4を資料3-3に訂正させていただきます。つまり、ここの文章については、「年齢計のみ、5~9人についても公表する(資料3-3を参照)」となります。これについては、先ほど議事3の(1)において、職種の集計事項で説明させていただいたとおり、サンプル数の関係から見て、年齢計のみの集計が妥当ではないかと考えております。今後、過去の公表についても検討していかなければいけませんが、そういった状況を踏まえながら、また総務省との協議も踏まえながら、どういう形で公表していくかは検討していきたいと思っております。
 続いて、標準労働者のところです。本日、机上配布資料の統計表の数字がありますが、①は標準労働者の統計表です。例えば、2ページで高卒(男)の標準労働者の表を付けております。右端が5~9人の区分です。実は10人以上の所は公表資料なのですが、5~9人は公表していなくて、先ほど集計事項からも除くとなっている所ですが、その部分について集計してみて、どういう状況かを見たものです。高卒は比較的サンプル数が多い区分ですが、労働者数を見ますと他の区分と比べて少数です。実際にサンプル数も少ない状況で、その影響もあり、グラフ化はしておりませんが、賃金の状況を見ていきますと、他の区分では年齢を重ねるごとに徐々に賃金が上昇していくという動きがあり、60歳辺りを境に減少に転じていきます。5~9人も全体を見ればそうかもしれないのですが、デコボコが非常に激しく出ており、その結果、数値の安定性、信頼性に欠ける状況です。4ページの大卒についても同様の状況ですし、学歴によってはもっと安定性に欠ける状況になっております。こういった状況が背景にあり、標準労働者の集計はこれまでは基本的な表を5~9人を除くとさせていただいております。
 今回、未集計が判明した所については分布の表ですので、更に詳細な集計となります。この表を9ページ以降に付けておりますが、これを見ていただきますと、多くの区分でサンプルがないバー(-)の表示が非常に多くなっており、令和2年以降の調査については、これらについて集計・公表はしないことと考えております。
 初任給額については、先ほど説明させていただいたとおり、令和2年調査から初任給の調査を廃止することとしておりますので、それに伴い集計事項は削除することと考えております。なお、初任給の集計表は、机上配布資料の③④のとおりです。5~9人規模については、そもそも新規学卒者が非常に少ないといった状況で、やはり規模的に、それほど入ってこない区分ですので、実際にこれまでも表章に耐えられないような水準であったと。サンプル数が非常に少ない、あるいは誤差率も非常に高い状況が見てとれて、なかなか厳しい表であったのではないかと考えております。ただ、いずれにしても、これらの状況をしっかり把握した上で、適切な対応をとらなかったことについて真摯に反省して、適正化を図っていきたいと思っております。
 なお、本日の机上配布資料ですが、まだ精査中でもありますし、一部未公表の数字もありますので、これについては会議終了後に回収とさせていただければと考えております。説明は以上です。

○玄田主査
 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問などありましたら、お願いいたします。よろしいですか。標準労働者は、いつまで調べますかね。平成という時代には、随分生え抜きという言葉が大分使われなくなって、標準労働者を使う研究はありますか。この時代になると、それは標準と呼ぶこと自体にも違和感があるというような意見がありそうですね。ただ、継続は1つの意味があるので、統計的に意味があるものについては継続するとして。先ほどの5~9人の所とか。特に御意見がなければ、御提案のとおりということで、是非進めていただければと思います。
 それでは、本日予定しておりました議題は以上です。これまでの議論を踏まえて、次回は来年調査に向けて本ワーキンググループとしての取りまとめを行うことを予定しております。全体を通して御質問、御意見などがありましたら、お願いいたします。
 特に御意見はないということですので、本日の議題は全て終了となります。委員の皆様におかれましては、後日御不明な点や御意見がありましたら、今週の金曜日をめどに事務局宛にメールで御連絡をお願いいたします。阿部さんなどは、今日の議題に関して何か御意見はありますか。

○中原賃金福祉統計室長
 一応資料をお送りして意見があればとお願いしておりますが、意見は頂いておりません。

○玄田主査
 了解いたしました。それでは、事務局にお返しいたします。

○細井統計企画調整室長
 長時間にわたり御審議いただきまして、誠にありがとうございました。次回のワーキングは、6月6日(木)の10~12時の開催予定です。委員の皆様方におかれましては、審議への御協力をよろしくお願いいたします。それではこれをもちまして、第4回のワーキンググループを閉会いたします。本日は誠にありがとうございました。




                                                                                                                                                                                       (了)

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室 統計企画係

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