第6回 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会 議事録


 
○日時 令和元年5月15日(水)13:30~15:44

○場所 中央合同庁舎第5号館 3階13号室 共用第6会議室

○出席者(敬称略)
岡部 卓 (座長) 大西 豊美 (構成員) 奥田 知志 (構成員)
坂本 尚史 (構成員) 滝脇 憲 (構成員) 立岡 学 (構成員)
菱田 貴大 (構成員) 平野 方紹 (構成員) 宮澤 進 (構成員)
向井 順子 (構成員) 山田 壮志郎 (構成員)  
 
 
 
  
○議題

 無料低額宿泊事業の最低基準の考え方
 
 
○議事

○岡部座長 定刻になりましたので、ただいまから第6回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」を開催します。
 皆様におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
まず初めに、構成員の交代について御紹介をいたします。
前年度の東京都福祉保健局生活福祉部保護課長の野村泰洋構成員が、今年度から東京都福祉保健局生活福祉部長の坂本尚史様に交代されております。
○坂本構成員 よろしくお願いいたします。
○岡部座長 また、前年度の大阪市福祉局生活福祉部保護課長の難波勉構成員が、今年度から大阪市福祉局生活福祉部保護課長の向井順子様に交代されておりますので、御承知おきください。
○向井構成員 向井でございます。どうぞよろしくお願いします。
○岡部座長 坂本部長、向井課長、よろしくお願いいたします。なお、私の所属であります首都大学東京人文科学研究科から明治大学公共政策大学院に変更となっておりますので、あわせて御承知おきのほどよろしくお願いいたします。
 そのほか、本日の出席者につきましては、お手元の座席表のとおりとなっておりますので、これをもって紹介にかえさせていただきます。なお、辻井構成員、水内構成員は御都合により御欠席となります。また、平野構成員は御都合によりおくれての御出席の予定です。
 早速、本日の議事に入ります。
 冒頭のカメラ撮影はここまでとなりますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
 
(カメラ退室)
 
 それでは「無料低額宿泊事業の最低基準の考え方」について、事務局から本日の議題及び資料の説明をお願いいたします。
 事務局、よろしくお願いします。
○矢田貝保護課長 それでは、まず私のほうから全体について御説明いたしまして、その後、清水のほうから資料について御説明をさせていただければと思います。
 本検討会におきましては、これまで無料低額宿泊所の最低基準のあり方について御意見をいただいてきたところです。前回、3月26日の検討会におきまして、それまでの御意見を踏まえた最低基準の考え方をお示しさせていただいたところでございます。その際にも申し上げましたが、前回のときの御意見、その後、個々に各委員からいただきました御意見というもので、全て意見がある前には出し尽くしてくださいというお願いをさせていただきましたが、その御意見を多々いただいておりますので、今回はいただいた御意見を踏まえまして資料を作成してございます。
 まず、後ほど御説明しますが、御意見を踏まえた基準の案が資料1でございます。
 資料2を主に御説明させていただきますが、いただいた御意見についてどう考えるかというものの考え方を整理させていただいたものが資料2になります。
 資料3につきましては、資料2も踏まえまして、資料1の基準案にさらに考え方、解釈を加えたもの、将来の解釈通知のようなものに書き込んでいくであろうことを整理したものという3点セットで、今回資料を用意してございます。
 検討会全体のスケジュールといたしましては、前回お願いいたしましたとおり、最低基準に関してのこの場での御議論というのは、これで最終回にさせていただきたいと考えてございます。御意見をいただきまして、そこで調整がつけばいいのですけれども、調整がさらに必要な場合には、個別に厚労省のほうで必要な調整をさせていただいて、その上で省令案を策定する段取りで進めたいと考えてございます。
 基本的な考え方といたしましては、最低基準を策定する趣旨というものでございますが、やはり貧困ビジネスを排除するということがもともとの目的でございます。さまざまな事業者が適切に事業を実施するため、一定のルールを策定する。我々としては範囲のところで御議論いただきましたとおり、なるべく幅広く規制の対象になるように明確に設定をして、特に事業者というのが生活保護費をもとに事業を行っているという実態を踏まえまして、その届け出をなるべくたくさんしていただいて、ルールと行政による監督のもとで適切に事業を実施していただく。逆に無届けでやっているところについては、福祉事務所からそこに紹介するようなことをしないことはもちろんのこと、仮に無届けのところにいらっしゃる方がいれば、届け出のあるところのほうに転居を促していくなどによって貧困ビジネスというものをなくしていき、そして、利用者保護を図っていくという基本的な考え方で、今回の考え方についても整理しているところでございます。
 きょうの御議論を踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり必要な調整をさらに行った上で、省令案を作成していただきたいと思っています。この場での議論が一番大事でございますので、きょうも積極的に御意見をいただければと考えてございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の説明については清水のほうからさせますので、よろしくお願いいたします。
○清水室長補佐 それでは、資料説明に入らせていただきますが、まず配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 資料については、上から議事次第、構成員名簿、先ほど矢田貝のほうからも触れました資料1、資料2、資料3とホチキスどめのものが3種類。また、構成員の方からの提出資料といたしまして、山田構成員、東京都の坂本構成員からの資料ということで、最低基準に関する要望についてということで資料の提出をいただいております。一番下に座席表がついてございます。
 不足等がございましたら、申し出ていただければと思います。
 資料1、資料2、資料3の構成については、先ほど矢田貝のほうから申し上げましたとおり、資料1が前回3月26日の資料につきまして、皆様方からの御意見等を踏まえて、また、技術的な修正等も少し加えたものというところになっておりまして、最低基準の考え方、骨格等になるものということで考えてございます。赤字部分が前回からの主な修正点ということで記載をしてございます。
 資料2が前回の検討会、また、それ以後にいただいた御意見を踏まえて、その意見についての対応方針、考え方というものをまとめたもの、また、資料3がそれに加えて、これまで御説明をさせていただいたことや、資料2で記載をさせていただいている最低基準の解釈とか考え方について触れたものということでございます。
 本日の説明につきましては、資料2のほうを中心に説明させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。また、資料1のほうも資料2の考え方を踏まえて修正したものですので、必要に応じて開きながらお聞きいただければと思ってございます。
 それでは、資料2の最低基準に関する意見についての対応方針ということでお開きいただければと思います。
 まず、2ページ目からでございますけれども、1つ目の項目「無料低額宿泊事業の範囲」というところで一番上の行から順に説明させていただきますが、もともと3月のときに「無料低額宿泊事業の範囲」ということで、他の法令に基づく事業は届出の対象外とするということで記載していたもので、御意見として、他の通達、予算等で実施されている事業についても対象外とすべきではないかということで、御意見をいただいたところでございまして、右側の対応方針のところですけれども、最低基準上、他の法令に基づく事業、また、無料低額宿泊所と明らかに目的が異なることで実施されると認められる場合ということで、他の事業から補助金を受けていたり、委託を受けていたりということで目的が異なる場合のものについては、対象外ということで規定をさせていただければと考えてございます。
 2番目は事業の範囲というか、その届出を忌避する事業者に対する取り扱いということで、本来届け出るべき事業所であるにもかかわらず、届出を忌避する場合等については福祉事務所からの新規の紹介ですとか、既に入居されている方の転居を促す等の取り扱いとすべきではないかということで御意見をいただきました。これについては、最低基準ではございませんけれども、福祉事務所等における業務の実施通知等について、そのような趣旨を踏まえて必要な記載を行いたいということで考えてございます。
 また、事業の範囲の一番下、3つ目の行でございますけれども、無料低額宿泊所の運営主体について、法人格を有している者に限定すべきということで御意見をいただいたところでございますけれども、これは社会福祉法上、第2種社会福祉事業の経営主体については特に限定をしていないというところで、最低基準によって制限するということは困難であろうかと考えてございます。また、※で書いてございますけれども、これは今後の議論ではございますが、後段のほうの議論、日常生活支援住居施設の委託費の対象となる認定要件については、法人格を有するものに限定することを今後検討してまいりたいということで思ってございます。
 「基本方針」の記載に関してというところで、御意見としましては、低廉性と居住の一時性が無料低額宿泊所のもともとの考え方であったというところから、「一時的な居住の場」であることを明記すべきではないかという御意見をいただいてございます。
 右側に長々書いてございますけれども、基本的には、そういった施設の性格、趣旨というものを変えるものではございませんが、無料低額宿泊所についてはやはり何らかの課題があり、居宅での生活が直ちに困難な方、また、ほかの社会福祉施設等の入所対象とはならない程度ではあるけれども、一定の支援が必要な方等が入居することであろうかと思ってございまして、そういった意味では、「一時的な居住の場」というものも個々の状況等によって異なるものであろうかと思っていまして、そういった課題が解消されるまでの間といった概念での「一時的な居住の場」ということになろうかと考えてございます。
 また、今回、日常生活の支援が必要な者については、認定を受ける「日常生活支援住居施設」において一定程度入居するということも想定されることもございますので、最低基準上で一律に入居期間を限定するような、また、そういった入居期間を限定的に捉えかねないような記載というところは、少し最低基準に書き込むのが適当ではないのかなということで考えてございます。ただ、先ほど申し上げました課題が解消され、居宅生活が可能な状態になれば当然一般住宅に移っていただくようなところですので、最低基準上は独立して生活を営むことができるかで常に配慮するというところと、円滑な退去のための必要な援助に努めるという規定をするところと、また、解説つきでといいますか、この規定を設けた趣旨として解釈通知等において、無料低額宿泊所の性格は基本的に一時的な居住の場であるということを明記してはどうかということで、考え方の提示をさせていただいております。
 「低額」の定義についても「基本方針」に記載をすべきというところで、低額の考え方、近隣同種の住宅と比較して均衡を失しない範囲ということで、かつ、今回は具体的な要件といたしまして、住宅扶助基準以下であることですとか、敷金等の一時金を求めないということを記載してございますので、それをもって低額としているということで記載をしたいと考えてございます。
 3ページになります。「居室の要件」に関してですけれども、居室面積は原則7.43㎡で、地域の事情によって4.95㎡以上とすることができるということでございますけれども、その適用範囲について、明確化すべきではないかということで御意見をいただいているところでございます。こちらについても、基本的にはそれぞれの地域の事情に応じて定めていただくべきものというところで、考慮する要素として住宅事情ですとか、利用者の対象者数、地域の状況等を勘案して設定していただきたいというところと、設定方法につきましても一定の地域を設定するのか、また、それぞれ個別に判断をするのかというところで、各地域の実情を踏まえた考え方でお願いをしたいということで、考え方を記載してございます。
 その下のところでございますけれども、これまでもガイドライン上の規定で、4.95㎡以上7.43㎡未満で運営を認めていたところについては、引き続きその基準をもって運営が可能となるよう明記すべきではないかということで御意見をいただきましたが、これもそれぞれの設定については、地域のそれぞれの判断ということになりますけれども、その御意見のあった点については各自治体に省令等の説明をする際に、留意すべき事項として周知をさせていただければということで思ってございます。
 「居室の要件」の3点目でございますけれども、家族等で、複数人で入居することを前提とした居室の場合ということの面積基準についても記載すべきということで、これもいろいろな人数の構成等はあるかと思いますが、解釈通知のほうで「原則1人あたり7.43㎡以上とすること」ということで記載をさせていただければと考えてございます。
 その下「居室以外の設備の要件」ということで、設置義務として浴槽を設けることを規定してはどうかということで考え方を記載しておりますけれども、ほかの社会福祉施設では、そこまで限定的に明記されていないのではないかという御意見もございました。他の社会福祉施設でも、一般的に浴室については浴槽が設置されていることが前提とされているというもので考えられることですから、入浴を希望する場合に対応できる設備を設けるという観点から浴槽については設けることを求めたいと思ってございます。
 「居室面積の経過措置」の関係については、居室面積について経過措置を設ける必要性についてということで御意見をいただいてございます。これについては、これまでの検討会でも考え方をお示しさせていただいたものと変わりはございませんけれども、大規模な工事等が必要になる場合等々があることから、他の社会福祉施設で基準面積を引き上げるときもそういった旧基準を適用させることが一般的であるということから、一律の年限は区切らないこととしたいということを記載してございます。
 一方で、「段階的・計画的に基準を満たすように整備すること」ということで、明確化をしたいということで、施設においてそれぞれ計画を策定、また、提出するということを、経過措置を適用する場合の要件としたいということと、軽微なものについてはその中で年限を区切って、対応することを求めたいということで考えてございます。
 また、その改善計画に関しまして、その策定に当たって自治体と協議を行うようにすべきであるとか、計画で定めた期間、内容が遵守されないときは改善命令等ができるようにすべきではないかということで御意見をいただいたところで、今回はその旨に関する規定ということで、改善計画の策定に当たって、都道府県等と協議を行うことですとか内容が履行されない場合、改善命令の対象となり得るという記載をさせていただければということで整理をしてございます。
 続いて4ページ、同じく「居室面積の経過措置」に関連する事項でございます。これはガイドライン改定以前、前回、平成27年7月施行のガイドラインで最低限の面積を3.3㎡から4.95㎡に引き上げたところでございますけれども、その時点で届出を行っていた施設に限定すべきというところと、いろいろな自治体との協議によって無料低額宿泊所の届出を行っていなかった施設についても、含めるべきという両論の意見があったかということで思ってございます。
 こちらについても、経過措置の対象とする施設、基本的には平成27年6月末時点、ガイドライン改定前から事業実施をしていたものということでございます。また、今般無料低額宿泊所の範囲を明確化すること等も踏まえまして、従前から無料低額宿泊事業に該当していたものということで、これもいろいろな類型があるかと思いますけれども、そういった事業運営が既にされていたということを自治体が認める場合に限り、経過措置の対象となり得るものということで、整理させていただければということで記載をしてございます。
 「居室面積の経過措置」の要件の一つとして、定員増の増改築を行わないことということで記載してございましたけれども、これを同一施設内の増改築だけではなくて、ほかの地域での増築とか開設も規制をすべきではないかという御意見をいただいてございました。
 同一敷地内も含み、定員増のために増改築を認めないというものは同じ施設で事業拡大をしようとするのであれば、既にある居室の面積拡大を優先して、設定いただくということで、ほかの地域での事情等もございますので、ほかの地域での事業実施までは妨げるものではないということで、同一施設同一敷地内ということで要件を設定させていただければと思ってございます。
 その下の「多人数居室・簡易個室の経過措置」につきましても、これまでそれぞれ3年を限度として解消を図るということで、方針を示させていただいたところでございますけれども、これを1年間とすべきではないかということで御意見をいただいていたところでございます。
 こちらも、それぞれ経過措置期間中の取り扱いについては、これまでの検討会でも触れさせていただいたところでございますけれども、転居に当たっては既に入居されている方の希望、状態を考慮する必要があることですとか、それぞれの地域の事情によって適切な転居先が見つからない場合等々もあろうかと思いますので、そういった入所者、入居が必要とされる方の状況から一定程度の期間というものは必要であろうかと思ってございまして、この規制強化の円滑な実施ということも踏まえると、3年間の経過措置ということで設定をさせていただければと思ってございます。
 5ページ「施設長の資格要件」というところで、前回、社会福祉事業に2年以上従事していた者というところについて、類似のものといいますか、そのほかの事業についても読めるようにすべきではないかという御意見がございました。こちらについてもそのほかの事業といたしまして、生活困窮者自立支援制度の事業ですとか有料老人ホーム、サービスつき高齢者住宅等の業務に従事した者も含めるということで考えてまいりたいと思ってございます。
 その下の業務の従事に関してでございますけれども、御意見として、宿泊所の利用者が補助的な業務につく場合については含めるのかどうなのか、整理をすべきではないかということでございますが、利用者であるうちに内部雇用として、何か補助的な業務についていただく場合については、社会福祉事業の従事経験には含まないことで整理をしたいということと、あわせて、利用者であるまま施設長、管理業務につくというところは認めない旨を解釈等のほうで整理をしてございます。
 また、同等の能力を有する者という判断基準、研修の種類についても、前回、御意見が出たところでございますけれども、基本的には、他の社会福祉施設共通の研修ということで施設長資格認定講習会としていることから、それを統一することとしたいということで記載をしてございます。
下の「施設長の専従等」というところで、これを専任とした場合についても、複数の施設の施設長を兼務することができないようにすべきではないかということで御意見をいただきました。
 施設長につきましては、社会福祉法で「専任」ということで今回規定をされているわけでございますけれども、専任の解釈について、解釈通知等で主に当該施設の施設長の業務を行うことで記載をしたいということですので、ほかに複数の施設の施設長を兼務することは認められないということに整理をしたいと考えてございます。
 6ページ目でございますけれども、利用料に関してということで、これも費目の設定等々について前回の検討会でも御意見が出たというところで、何らかの制限をかけるべきではないかという御意見等々もいただいたところでございます。
 これも対応方針ということで、貧困ビジネスの規制ということで言えば、何の費用かがわからないものが説明もなく、利用者から請求をされるというところは適正化を図らなければいけないというところでございますので、運営規定にそういった利用料も規定をするということと利用者に対して説明を行うこと、また、自治体への届出や公表等々、適切なサービス選択を行えるように規定をするというのは、一つの前提として整理をしたいということで思ってございます。
 その上でということで、無料低額宿泊事業として提供されるサービスの内容について、無料低額宿泊事業で基本的に行うこととする利用者の状況把握ですとか、それに付随した軽微な生活上の相談に応じる費用、人件費については、基本サービス費として受領可能な費目として位置づけるということで、その上で、必要な人件費等々を勘案して設定をするということで、イメージ図としては7ページに書いてございましたけれども、またごらんいただければと思います。
 その他、利用者の選択によるサービス、プラスの支援、より手厚いサービスということになるかと思いますけれども、こういったものについては、一定の要件を満たす日常生活支援住居施設の要件を満たす場合に限り、受領ができるものとさせていただければということで規定を設けられればと思ってございます。
 下段の「契約等」というところで、居室の利用契約とサービス契約を分けるべきではないかという御意見をいただいたところでございます。これも最低基準上、きちんとサービスの選択に資すると認められる重要事項をきちんと文書で交付して説明を行うということは利用者保護の観点から前提といたしまして、その上で契約自体は、居室の利用契約とそれ以外のサービスに係る契約をそれぞれ締結することというところと、その際ということで、利用者が望まないサービスの提供を強要することがあってはならない旨の記載をさせていただければということで考えてございます。
 下段の一番下でございますけれども、「1か月以内等の短期間で退居ができるよう、利用者からの解約にかかる規定を設けるべき」ということで、契約期間が残っているから退去を認めないという運用がなされないようにとの御意見でございました。これも最低基準上、入居者が解約を申し入れたときは、契約を終了する旨をそれぞれの事業者で定めなければならないという規定をさせていただければと思ってございます。
 8ページの「利用者の状況把握」ということで、それぞれのサービスを利用している場合に、原則1日1回の状況把握ということで要件を設けたいと提示をさせていただいていますけれども、ほかの代替手段とか不在にしている場合についての取り扱いということで御意見、御質問をいただいたところでございます。
 これも右側に書いてございますとおり、障害者のグループホーム、特にサテライト住居等の取り扱いというところで規定をされているものを参考にして、解釈通知に以下のとおり記載をしたいということで、基本的には趣旨として状況の変化等がないかとか、問題等を抱えていないかどうかというところの支援を行う観点から行うということで、基本的には居室への訪問等を想定しているというところで、いろいろな利用者の状況等もございますので、適切なアセスメント、マネジメント等をした上で、必ずしも訪問等を行わない日があることを妨げるものではない、という通知等の記載をしたいと考えてございます。
 その下「地域住民との関係」というところについては、御意見として施設設置に当たって、近隣住民の合意を得るということを規定すべきではないか等々の御意見をいただいていたところでございます。こちらも施設の利用者、まさしく地域の住民として生活するということになりますので、最低基準上はその地域との結びつきを重視した運営を行うということを規定するとともに、それに付随した解釈通知において開設に当たって、地域住民に対して説明会等を開催して、理解を得るよう努めることという記載をしたいということで考えてございます。
 「ただし」というところで、住民の同意を要件という形にするかとの御意見でございますけれども、開設に当たってその同意を必要とする。また、制限をするという法的根拠はなく、ほかの社会福祉施設の例でもないということから無料低額宿泊所の最低基準として近隣住民の同意については、その要件としての規定を設けないということとしたいと考えてございます。
 「秘密の保持」については、「個人情報保護法を遵守することを明記すべき」ということで、解釈通知等でその旨を記載したいということと、「衛生管理」は「病害虫等の駆除についても記載すべき」。9ページ「健康管理」についても、現行ガイドラインにも記載しているとおり健康管理に留意することを記載すべきということで、それぞれ必要な規定を設けたいということで考えてございます。
 「受動喫煙防止」につきましても、最低基準上、共同で住まう場でありますから、共用部分の円滑な使用に配慮するということの規定を予定してございますけれども、その内容として受動喫煙の防止に努めるということも触れさせていただければと思ってございます。
 空調設備の整備について御意見があったところでございますけれども、これも施設の構造設備についてということで、日照、採光、換気等の保健衛生に関する事項について考慮されたものでなければならないということを規定してございます。また、それぞれどのような形でそれに配慮するかというところは、それぞれの施設の実情に応じて対応されるというところから、必ずしも要件として空調設備の整備まで設けるというところについては、最低基準としては、規定をしないこととしてはどうかということで考えてございます。
 「洗濯設備」についても、必要な要件ということで、入居定員に適した設備ということで必要な規定を行いたいと思ってございます。
 「暴力団の排除」についても規定をすべきという御意見をいただきましたので、これも必要な規定ということで、それぞれ職員、その他運営の関係者については、暴力団員等々ではあってはならないということの規定をさせていただければと思ってございます。
 「行政への届出」というところで、運営規程、また、金銭管理に関する規程についても自治体に届け出るようということで御意見をいただきましたので、その旨の規程を設けたいということで考えてございます。
 10ページ以降、サテライト型住居の設置に関してということでそれぞれ意見をいただいてございます。一つは巡回による支援で共同居住する形態については、地域共生社会との実現に向けた事業として位置づけるべきではないかということ。また、一方で各地域では、サテライト型のような形式で実施をされているところもあり、そういったものについても規制の対象にすべきという意見がございました。
 それに対する考え方としまして、無料低額宿泊所の要件は生計困難者を対象として、その住居の提供とあわせて利用料を受領して、サービス提供を行っているという事業形態については、利用者保護の観点からその範囲に含めて、我々としては規制の対象とすることができるようにする必要があるのではないかということで考えてございます。
 その下で、そういったサテライト型住居につきましては、物件の確保等が容易であることから新規参入など箇所数が増大するのではないかという御懸念、いろいろな事業者が参入してくるのではないかということで御意見もいただいていたところでございます。
 サテライト型住居につきましては、通常の無料低額宿泊所より入居定員を限定することによって、職員配置が20対1以上となるように制御をするとか、利用期間を1年間に限定する等の上乗せの規制を設けるということにさせていただければということで、こちらもそういった要件を満たして事業を行う場合につきましては、貧困ビジネスの規制の観点、または利用者保護の観点、さらに長期間の入居を防止する、居宅移行を進めるという利用者保護の観点からも無料低額宿泊所と整理して、規制の対象とすべきではないかということで考え方を示させていただいてございます。
 その下の職員を常駐させない形については、支援の質の低下、事故リスクの高まりを招くのではないかという御意見、また、類似のものでそのような形態につきましても、その下の欄でございますけれども、それぞれの対象に応じたものとしてサテライト型住居を活用していく必要があるのではないかという御意見もいただいたところでございます。
 こちらについては、居宅移行に向けた準備、訓練を目的としたものとして役割を区分して、基本的に日常生活については、ある程度自分自身で管理ができる方が実際に一般住宅に移行するための期間のためのものとして設置を明確化するということで、先ほど触れたような要件として、利用期間原則を1年間に限定することを課すということで、それぞれ対象者像が異なることも踏まえて設置をしたいということで考えてございまして、必ずしもリスクが増大することは一概に言えないのではないかということで考え方を記載してございます。
 11ページでございますけれども、社会福祉法上、5人に満たない場合については社会福祉事業に該当しないということでございますが、4人以下の住居、サテライト型住居を社会福祉事業の範囲に含めることは、適当なのかどうかということで御意見をいただいたところでございます。
右側でございますけれども、今回、無料低額宿泊所の本体施設の近距離に立地して、一体的に運営されている場合については本体施設に附属する事業ということで、全体を一つの無料低額宿泊所ということで届出の対象とすることで、整理をすることとしたいと考えてございます。
 一方、5人未満の住居のみを設置している場合については、社会福祉法の規定から届出対象には、現行では含まれないものということで考えてございます。
 その下、2番目の枠でございますけれども、今回全体の定員の要件ということで20名までとしておりますが、その設置形態について、例えば6人定員の3カ所を設置した場合でも、また、15人定員のところで1つだけサテライト型住居を設置するということでも、全体としては、20名の範囲には含まれるのではないかという御意見もいただいたところでございます。
 サテライト型住居については、あくまでも一般の居宅生活に近いある程度の少人数ということで、区切りとしては、5人未満の住居を用いて、居宅移行に向けた訓練を行うものとして位置づけるということで、5人以上のところについては単体施設としてもなり得るものとして、それぞれ施設長等を配置していただくことを求めたいということで、また、本体施設が一定規模以上になる場合については、その施設の運営に専任をいただくということを前提にサテライト型住居の設置はできないものとするということで、今の10人以下の施設にサテライト型住居が付随をする形で考えたいということで思ってございます。
 また、その下のところで、5人以上の本体施設に属する住居ではなくても、5人未満の単体施設、また、1人で居住している方に対する支援というものも考えるべきではないかということで御意見をいただいてございます。
 こちらも社会福祉法の規定により、現行の5人未満の事業者については対象外となっているというところでございますけれども、そういった単独で設置されているもの、また、これは本当に一般の住宅で居住されている人も含めて、そういった巡回、見守りによる支援というものについては、支援のあり方を引き続き検討することとしたいということで挙げてございます。
 12ページになります。「サテライト型住居を活用した支援内容」ということで、居宅移行の準備等を行うこととされてございますけれども、そういった巡回による支援で、実施可能なのかどうかということで御意見をいただいてございます。
こちらについても、基本的には小規模な住宅等を活用してということで、居宅の移行ということで言えばそれぞれある程度食事の準備、周りのことを原則本人が行う上で、支援としては本人の生活を問題なく営むことができるよう確認し、必要な助言を行うということが中心として考えられますので、むしろ直接的な支援というのは最小限にとどまるものかなということで思ってございます。そういったことで解釈通知については、特にサテライト型住居については、日々の自己管理というものを本人自身が行うものということで記載をできればと思ってございます。
 また、居宅移行に向けた支援については、行政、福祉事務所の連携により実施をするものということで、そういった支援のあり方、居宅生活への移行に向けた支援の強化ということに関しましては、現行も補助事業等で居宅生活移行支援事業等々を実施してございますので、そういったものの活用も踏まえて居宅生活への移行、その定着支援というものの推進も検討させていただければということで思ってございます。
 今回、サテライト型住居につきましては、基本的に巡回による支援を行うものということで、その実施状況についてはまた確認ができるよう、日々の巡回記録について整備というのは求めるべきではないかという御意見もありましたので、そういったものも記載してはどうかということで書いてございます。
 その下の「日常生活支援の委託」ということで、サテライト型住居につきましても、日常生活支援住居施設の認定の範囲として含めるべきではないかということで御意見をいただいてございます。
 御議論としましては、日常生活支援住居施設の議論を行う中で検討していくということになりますけれども、今、申し上げましたとおりサテライト型住居は、基本的には居宅生活への移行支援を目指すということでございますので、日常生活支援の必要度ということで言えば少し異なるものかなと思ってございますが、いずれにせよ後段のほうの議論の中で整理をさせていただきたいと思ってございます。
 「事業の要件」ということで13ページになりますけれども、1年間に限定されているが、一定期間の入居というものも状況によって認めるべきではないかというところでございますが、もともと先ほどの一時的なところも含めて、無料低額宿泊事業は居宅移行を目的としたものというところで、さらにサテライト型住居については、そういった役割に特化したものとして設けたいということで思ってございますので、利用期間については限定をすることとさせていただければと思ってございます。
 また、事業規模についても、基本的には職員1人当たりの対象者数ということで20名までとされていますけれども、お二人いる場合については40名、また、設置箇所数は倍等にしてはどうかということで、その意見も踏まえて要件としては、施設長と別に同じ要件を満たす職員が配置されている場合に限りということで、本体施設とあわせて40名、住居については8カ所までということで整理をしたいと考えてございます。
 この考え方を踏まえて最低基準の考え方、それ以降に付随する解釈通知をまとめたものが資料3ということでございますので、これは適宜ごらんをいただければということで説明は省略させていただきます。
 長々説明して申しわけございませんが、説明は以上でございます。
○岡部座長 説明ありがとうございます。
 事務局から、貧困ビジネスの廃絶と利用者保護の観点から本検討会で御審議をしていただいた。そのことを踏まえ、最低基準のルールについて事務局にまとめて提示をしていただきました。なお、本検討会では最低基準に関する議論は本日が最終回ということにさせていただくため、御意見がある場合についてはこの場で御発言をしていただければと考えます。
 まず、今回2人の構成員から資料が出されております。まず山田構成員から資料の御説明をお願いします。
○山田構成員 お願いします。
 私のほうからは、これまでの検討会の中でも繰り返し申し上げてきた部分ではあるのですけれども、無料低額宿泊所というものが一時的な居住の場であることについて、ペーパーを提出させていただきました。
 最初のところでは、無料低額宿泊所が一時的な居住の場であることは言ってみれば定説となっていると書きました。1つ目の○に書いてあるように、社会福祉法のコンメンタールでもそのように書いてありますし、2つ目の○のところに書いたように、こういう解釈は社会福祉事業法の時代から引き継がれているということもあって、3つ目の○のところに書いたように、これまで厚労省が発出してきたさまざまな通知の中でも、無低が一時的な居住の場であることを前提にされてきたと理解しております。
 一方では、現実的には、2番のところに書きましたが、長期にわたって入所している、あるいは入所せざるを得ない現状というのがあって、そのことが問題視されてきた。1つ目の○に書いたように実際の施設の利用期間というのは、厚労省の調査でも1年超~3年が26%、4年以上が32%ということになっている。
 2つ目の○のところに書きましたが、厚労省としても、そういう本来のあり方とは異なる長期的な利用について否定的な認識を示されてきたのかなと思っています。
 本来は一時的な起居の場であるにもかかわらず、長期にわたって入所し続けているということは、時に無料低額宿泊所が「貧困ビジネス」と呼ばれてきた要因の一つでもあろうと思っておりまして、そういう現状を改善していこうというのが今回の改正法の趣旨と理解しております。
 もっとも、さまざまな事情で居宅への移行が難しくて、入所が長期化せざるを得ない場合があるということは、ここの検討会でも指摘されてきたことですけれども、そういう事態に対応することが日常生活支援住居施設をつくった目的なわけで、そこに該当しない無低については一時的な起居の場としなければ、日常生活支援住居施設の役割や性格が曖昧になってしまうのではないかと考えております。
 裏面のほうですけれども、3番のところに書きましたが、省令案の規定では一時的な居住の場であることが明確にならないということで、本日は省令案が配付されていないようですが、省令の中で「無料低額宿泊所は、入居者の心身の状況、その置かれている環境等に照らし、その者が独立して日常生活を営むことができるか常に配慮しなければならない」ということを定める予定と伺っております。この規定というのは、宿泊所が入居者の居宅生活の可能性に配慮しなければいけないということを定めているにすぎなくて、一時的な居住の場としての性格を示すものとは言えないのではないか。
 あるいは、2つ目の○に書きましたが、独立して日常生活を営むことができると認められる場合には、その人の希望とか退去後に置かれる環境を勘案して、円滑な退去のための援助に努めなければならないという形で定める予定と伺っていますが、これも、退所が可能となったときに円滑な退所ができるように援助しなければならないということなので、宿泊所の一時的な居住の場としての性格を示すものとは解釈できないのではないかということです。
 したがって、4番のところに書きましたが、私としては、基本方針の中で一時的な居住の場としての性格を明記すべきではないかと考えております。一時的な居住の場であるということは社会福祉事業法の時代から引き継がれている無料低額宿泊所の基本的な性格ですので、これを最低基準の基本方針として明記するべき事項ではないか。もちろん現実には、やむを得ず入所が長期化するということがあったとしても、それが本来の姿ではないということを明記しておかないと、現状を追認することになってしまうのではないかということで、省令の中で基本方針として、無料低額宿泊所が一時的な居住の場であることを明記すべきと。
 具体的には、囲みの中に書きましたが「一時的な居住の場であることに鑑み」という文言を追記することとか、最後の○のところに書きましたけれども、もし最低基準の中で一時的と明記することに差し支えがあるようであれば、解釈通知等の中で用いられようとしている表現などを踏まえて、先ほどの下線部のところを「一般住宅や社会福祉施設との中間的な居住の場であることに鑑み」とすることも考えられるだろうと思っておりますが、いずれにしても、基本方針の中でそういった性格を示すべきではないかと考えております。
 以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 この件に関して、後段でサテライト型の住居についての御議論をしていただきますが、東京都の坂本構成員のほうからもペーパーが出ていますので、事務局から出された案と山田構成員の出された意見をあわせたことに関連して、御意見等がございましたならば御発言いただければと思います。
 先ほど、冒頭にもお話をしましたが、最低基準に関しての議題として議論をさせていただくのは本日を最終回とさせていただきますので、御意見のある構成員の方は御発言をお願いしたいと思います。
○大西構成員 今、山田構成員が言われたのはまさにそのとおりで、これは絶対に譲るべきでない。基本的な考え方としては、「一時的」という文言はしっかり入れ、どうしても現状をある程度カバーしなければいけないというのであれば、解釈や通知でそういったことを認めるということで、今回の案の形では心配している貧困ビジネスの温床をそのまま引き継ぐような形になるのではないかなということを大変危惧しております。先ほどの山田構成員の資料も同様の趣旨かと思いますので、ご配慮いただければと思います。
 以上です。
○岡部座長 今、大西構成員のほうから御発言がありました。そのほかの構成員の方はいかがでしようか。
 10ページからのサテライト型住居について、東京都の坂本構成員から資料が出されております。坂本構成員から資料の説明等を含めて御発言をお願います。
○坂本構成員 改めまして、東京都の生活福祉部長の坂本でございます。前回まで野村のほうが参加させていただきましたが、人事異動もございましたので、野村とは2年8カ月間、部長と課長のコンビでやってまいりましたので、議論の経過も踏まえて継続という観点から、今回私のほうで出席させていただいた上での御説明をさせていただければと思います。
 まず、幾つかお話をさせていただければと思いますが、お手元にお配りしております「社会福祉住居施設の最低基準に係る要望について」という紙をごらんいただければと思います。
 右上でございますが、平成31年3月20日付で出しておりまして、先に裏面のほうから見ていただければと思いますが、これは東京都だけではなくて、埼玉県、千葉県、神奈川県、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の連名で、社会・援護局の課長宛てにお出ししているものでございます。
 表面のほうに戻っていただきまして、サテライト型に対する基本的なスタンスでございますが、まず誤解のないように先に申し上げておきますが、今回私どものほうとしてはサテライト型というものに関して、上からですと3つ目のブロックでございますけれども、今後の超高齢化社会における新たな地域居住のあり方としては、十分に意義があるものであるというのは前提として、私どもとしても十分認識しているというところでございますが、残念ながらここの部分というのは宿泊所というものの領分だけではなくて、地域における生計困難者に対する支援という部分も含めて、地域福祉、高齢者福祉、住宅政策などさまざまな視点での議論が必要だろうという重要な課題であると考えているところでございます。その上ででございますが、社会福祉法の改正に伴います社会福祉住居施設の中にサテライト型を導入することに関しては申しわけございませんが、課題が多くて、今回拙速に導入することについては反対であるという内容でございます。
 この点については、平成31年3月11日の第4回でお話をいただきまして、その中でも議論いたしまして、東京都だけではなくて、先ほど申し上げた近県の担当者とも議論を尽くした上で、結論としては課題があると考えているところでございまして、内容的には第一、第二、第三とございますけれども、従来の施設よりも人件費、運営費等の面でハードルが低くて新規参入が容易であるということで、今後、支援の薄い小規模型の施設が増大していくおそれがあるのではないかということ。
 第二に課題を抱えて、居宅生活が困難な宿泊所利用者がふえてきているという中で、職員を常駐させない小規模型の運営方法というものについては、支援の質の低下、事故リスクが高まり、利用者等に大きな不安を与えるものである。
 第三でございますが、基準条例を設けるのは私ども都道府県、政令市、中核市ということでございますけれども、それぞれにわたって条例をつくるということになろうかと思います。こういうときに小規模型の施設が複数の自治体にまたがってできたときの指導監督をどうするのかという課題も、十分議論し尽くされていないというところでございます。
 こういったことから一番下のところでございますが、無料低額宿泊所の小規模型については、貧困ビジネス拡大のおそれがある規制緩和にほかならないという観点から、今回の社会福祉法及び生活保護法改正の具体化として拙速に導入することはせず、地域共生社会の実現に向けた国民各層の多様なニーズに対応する検討課題として先送りしていただきたい。結論から申し上げますと、今回の省令案から見送っていただきたいというのが私ども都を初めとした8都県市の意見でございまして、8都県市でおおむね無料低額宿泊所の施設数及び利用者数の約3分の2を占めているという状況でございまして、私どもとしては、今回のサテライト型については十分詰め切れていないと考えておりますので、再考いただきたいという趣旨で3月20日に出させていただいたところでございます。
 しかし、残念ながらその後、前回の議論、今回出されたものについてもまだ案として示されているということは、厚労省のほうには申し上げにくいのですが、導入されるような方向でまだ検討されているということでございますけれども、私どもとしては非常に残念であるとしか申し上げようがないというところでございます。
 多分、構成員の中で私と大阪市の委員の2人だけは立場が違いまして、誤解のないように申し上げますが、法に基づく政省令は、法解釈通知も含めて基本的に厚労省の専管事項であるというのは重々承知しておりますし、それに関して地方自治体として踏み込めないということも十分承知しているところでございます。最終的には法改正に基づいて省令が出たもの、解釈通知が出たものについては、それに従って、きちんと地域において法の運用を図っていくというのが我々自治体の立場であるというのは十分理解しているところでございます。したがって、決まったことについてはきちんとやっていくというのが前提でございます。しかしながら、省令案については、今後自治体において条例を策定した上で、運用を図っていくという立場でございますので、省令が出た後に少なくとも年内には各自治体において議会に条例案を提出して、議論を尽くした上で成立を目指し、来年4月からの施行を粛々とやっていくというのが我々の立場でございます。
 そうした中で少なくとも実際に運用する立場である私どもとしては、今回のサテライトについては見直していただきたいと再三再四申し上げているというところでございますが、今、拙速な導入に反対であるということを明らかに申し上げているにもかかわらず、まだ出されているということについては正直理解に苦しむところでございます。したがいまして、このサテライト型については、改めて今回の省令案には見送りをお願いしたいというのが私どものお願いであるというところでございます。議論はさまざまあろうかと思いますけれども、最終的には、厚労省の判断であると十分私どもが理解した上で発言しているところでございます。
 実際、制度の運用にかかわりますと、責任を持つのは我々地方自治体であるということでございますし、私もこの仕事に関わりまして、経歴の半分ぐらいは低所得者行政をやってきておりますので、先ほど山田先生がおっしゃられたような社会福祉事業法の時代から宿泊所の関係についてはかかわってきておりますし、貧困ビジネスということが出る前の宿泊所の時代というのも十分見てきている。バブルがはじけた後にこういった課題が出た上で、私どもとしては国に対して、再三こういった形の法改正をお願いしてきたというところもあるので、法改正そのものについては、国の皆様の御尽力に実は大変感謝しているというところは事実でございますが、ただ、ここの点については、私どもとしても譲れない線であるということは申し上げたいと思います。
 もう一点でございますが、今回出されたものについて、お書きになっている内容に関しては、先ほど山田先生も言われたように、今回省令案が出されていないというものですから、省令案と局長通知等の解釈通知の書き分けに関して、どういうふうにやられるかというのは正直わからないところでありますけれども、少なくとも省令案で出されるものについては我々の条例の内容を縛るものでありますので、特に私どもで懸念に思っておりますのは経過措置に関してでございます。これは、前回、前々回においても、大阪市さんのほうからもお話がございましたけれども、経過措置について長くしてしまうと、その間改善が図れないということもあるので、大阪市さんは要らないという御発言も以前あったようには聞いておりますが、そこの経過措置に対しては、私どもとしても条例制定の議論の中で十分議会のほうからも質問を受ける流れにございますし、地域において、経過措置というのは多分変わってくるのだろうと思いますので、そこについては一律に省令案で縛るようなことはやめていただきたいというところでございます。
 特に私どもで懸念しているのは、4.95㎡未満の事業者について期限がないということです。先ほど御説明がございましたけれども、これについて私どもとしては、これまでの経過を踏まえると、期限が無く取り扱われることを非常に懸念しているところでございますし、また、届出がされていないものまでについてもみなしで見ること自体についても、前回野村からも反対と申し上げているとおりで、それについても十分御理解の上、実際に運営をするのは都道府県、政令市、中核市である我々でありますので、そこについては重く受けとめた上で、省令案、通知案のほうの制定については御再考いただければというのがお願いでございます。
 以上でございます。
○岡部座長 今、坂本構成員から文書を出されたものと幾つかの懸念をお話しされました。、この件に関してどういたしましょうか。ほかの構成員の方々あるいは事務局のほうで何かございますか。
 向井構成員、ご発言をお願いします。
○向井構成員 大阪市です。
 サテライト型の住居については、大阪市も同じく今回盛り込むのについては少し考えていただきたいなと思っております。先ほど説明をいろいろいただいたのですけれども、比較的自立というか単独生活に近い方、しかも、1年なので今回対象としている方の中では、比較的支援期間が短くて済むような方を想定されているようでもあったり、一方でいろいろサービスが要るのだという書き方があったりして、私の中でサテライトを利用する方というのは余りイメージがつきにくいというのが実際です。もし、ここに書いてあるものをそのまま受け取るとしたら、例えば月に1回訪問して、御本人さんの様子を見る日常生活自立支援事業とか日中の通いの場、生活保護施設で行っている通所の事業ということで、夜抜きで毎日のように何らかの形で生活を確認できれば足りるという方であれば、わざわざサテライト型をつくる必要があるのかなと。そこにニッチマーケットがあるのかどうかというのが理解できないかなというのがございます。
 今回から来て申し上げるのも大変恐縮なのですけれども、対象者の状況から申しますと、山田先生もおっしゃっていたのですが、そもそも入り口のところで無料低額宿泊所について一時的なものにするのか、お住まいとして取り扱っていくのかという最初の入り口の整理がされないままずっとこの間来ているので、その結果、面積がどうとかいう話などが一つにまとまらない。やはり、入り口のところの整理が不十分だったのかなと感じております。
 今後の話し合いにはなるかもしれないですけれども、ある程度の支援をして課題が解消をされるという方は、当初どういうアセスメントをして解消できたのか、また、結果として一時的なところに長い間、1年も2年も入っておられるという方は、少なくとも入居された御本人さんの持っておられた課題と支援内容がミスマッチだったということは間違いないことになりますので、実施機関や事業者がそこら辺も含めてきちんとアセスメントができるような仕組みを構築していただかないといけないかなというふうには思っております。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございます。
 直接生活保護の行政運営に携わる2つの自治体のほうからお話をいただきました。事務局はいかがでしょうか。
○矢田貝保護課長 ほかの委員の方からも御意見をいただいて、ここのところで御議論をいただければなと思っていますが、国としての考え方を改めまして御説明させていただきますと、サテライトの話をする前に、山田先生と大西先生からございました一時的なというところを基準に書くかどうかにつきましても議論がまざってしまうかもしれないのですけれども、我々としては通知のほうに書いてはどうかということで御提示させていただいていたのですが、省令に「一時的に」と書いて、通知のほうで「一時的に」と書いてあるけれども日住というところもあるので、これは、原則、理念が一時的だけれどもこういう場合もあるので、一律に期間を制限するものではないということを通知に書くという逆のやり方もあるかなとは思っていましたので、「一時的に」を省令に書くことについての御意見があればいただければと思っていますし、もし御意見がなければ、規定することは同じなのですけれども、基準のほうに書いた上で、解釈でこういうことだということを書く整理もできるかなと思っていますので、サテライトの話とは別に無料低額宿泊所全体として「一時的に」をどう書くかというところについては、御意見をいただければと思っています。
 今回、向井構成員からもございましたけれども、我々は一時的な場であると。終の住みかのような取り扱いをする場ではないというのが我々の基本スタンスです。特に無料低額宿泊所はそうなのですけれども、厚労省全体の施設なり、福祉の考え方として、在宅で暮らせる方は在宅、もちろんそうでない難しい方は施設というのがあるわけですが、例えば障害であれば施設よりもグループホーム、なるべく一般の住まいに近しいところに可能な方は住んでいただくというのが福祉の基本的な考え方になりますので、無料低額宿泊所も目的としてはそこにずっと住まわれるということではなくて、一般の住宅で暮らせるようになるのであれば、そこで暮らせるようにしていくというのは当然のことで、そのための支援をしていくという場でございますので、理念として一時的な住宅であるということは間違いなくそのとおりでございますので、そのことを結果として長く住まわれるという方も現在いらっしゃるということについて、どう整理して書くかということでございますので、そこについてはそういう基本的考え方のもとで、書き方について御議論をいただければなというのが「一時的に」のところの整理でございます。
 2点目でございますが、サテライトのところはきょうまた御議論いただければと思っていますが、坂本構成員御指摘のとおり3月20日にこの要望書をいただいた後、3月26日の検討会、本日の検討会のほうでも国としては、サテライト型というものを、今回を機に位置づけるべきではないかということで御提案をさせていただいているというものでございます。3月20日の御要望書で御指摘いただいていることも含めまして、資料2の10ページにいただいていることについての考え方をるる整理しているところですが、基本的な考え方を申し上げますと、我々は向井構成員からもありますが、我々はサテライト型をふやしていきたいとか、これを今後世の中に蔓延させていきたいということで考えていることではなく、現にそういう事業をされている方がいて、実際に住宅扶助だけではなくて、生活扶助をいただいて事業をしているという実態があることを踏まえて、それに対して今回どう対応すべきかということで考えたというのが1点目です。
 我々の基本スタンスは、我々の見えないところでの貧困ビジネスというものをどうなくしていくのかというのが我々の命題で、我々行政の監視下にないところで生活保護の人を住まわせて、利用料といって生活扶助のほうからもある程度高いお金をいただいて、ある意味で我々の生活扶助費を使ってビジネスをしているというのは、この際なくしていかなければならないというのが国の基本的な立場になります。
そうした考えで言いますと、こういう巡回型でやっているものが現在あるというのであれば、これについて、社会福祉法の法体系の中で規制の対象にできるもの、具体的に言うと、障害のサテライトの規定も参考にサテライト型ということで、規制の対象とできるものについてなるべく我々としては、そういう規制の対象にできるものは今回規制の対象として、そこはしっかりルールと行政の監視のもとで事業を実施していただく。無届けでやっているような貧困ビジネスのところについては、当然冒頭申し上げましたけれども、そこには紹介しない、もしくはそこに住まわれている方がいれば届出のところに移行をさせていく。そうしたことによって無届け、見えないところでやっている貧困ビジネスをなくしていくという観点からすれば、こうしたサテライト型というのを位置づけるべきではないか。
 その際に、サテライト型はどういう方を対象にやっていただくかという順番で考えますと、そこはどちらかというといわゆる施設型、大人数で住むところよりは、障害で言えばグループホームに近いような、一般住居に住めないような方なので、そこは一般住居の移行の場として捉えて入居期間を1年に限定する。先ほどの終の住みかで言うと、それと正反対、まさにホームレスの方が一定期間そこで生活を整えて、在宅に戻っていくための施設の役割を果たすものとして、行政の監視下とルールのもとで事業を実施できる形をつくって、できればそういうところでやるのであれば、そちらのほうで生活保護の方を住まわせていったらどうかという考え方のもとで案を示しているものでございます。
 ただ、冒頭も申し上げましたが、これにつきましては、今日もこれから御意見をいただければと思いますが、8都県市からも御意見をいただいていますので、きょうの御意見も踏まえて、この後、8都県市とも調整を別途させていただいて、最終的に我々としてどうしていくかは考えたいということでやっていきたいという基本的なスタンスでございます。
 最後、今の話とも絡みますが、経過措置のところにつきましても、いただいた御意見についての考え方につきましては、資料2の「居室面積の経過措置」のほうで示させていただいております。
 我々としては、多人数部屋、簡易個室についてはなくそうと思えばあしたにもなくせるもの。要は、簡易個室は壁を取っ払えばいいですし、多人数で住んでいるところはもう2人で住むなと言えばいいので、そこについてはすぐにでもなくせるものなのですけれども、現に住まわれている方等々のことを考えて、1年以内に転居などを指導していくということを前提に3年間、施行後3年後には、この世から簡易個室と多人数部屋がなくなるという形での経過措置を設定しました。
 一方で部屋の面積につきましては、工事をしないと解消ができないということがありますので、そこは、国としてはいつまでにということは限らないのですけれども、きょうの資料にも入ってございますが、そこは事業の改善の計画というものを立てていただいて、その計画を立てるときには自治体と協議していただく。自治体と協議した上で計画を立てていただいて、合理的理由なく、それに従わない場合には改善命令なりの指導の対象にしていくという形での、ある意味、どちらかというと、年限を区切ってということではなくて、自治体との協議の上でそれぞれの実情に応じて、その解消を図っていくという形での御提案をさせていただいているというところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど坂本構成員からもございましたが、我々は今回、省令というものでお示しいたしますけれども、実は、この省令は最後まで効力があるものではなくて、それをもとに自治体が条例をつくって、それがまさに事業者に適用となる規制でございます。その省令につきましては、中身に応じて絶対に従うべき基準というものと、理由を付して、自治体のところで改定、運用ができる標準基準、それと一応参酌して自治体で決める参酌基準に分けてございますけれども、我々の基本的な考えでは、きょうお示ししたような形で実施していただければということで、省令案または解釈通知等をお示しした上で、具体的には、自治体のほうである程度地域の実情に応じて条例を策定していただくことは可能であるということが基本的な考え方でございます。
 私ばかり長く話してしまいましたが、一時的なところとサテライトのところについては、きょうほかの委員の方からも御意見をいただいた上で、我々のほうで検討、調整させていただいて省令案にしていきたいと思いますので、特にその2点。もしくはほかのところも御意見がありましたら、この後、各委員から御意見をいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
○岡部座長 大西構成員、よろしいでしょうか。
○大西構成員 矢田貝課長が言われた省令に「一時的に」と書いて、解釈で説明する案でいいのではないかと私は思います。ただ、基本はしっかり押さえておかないと、課長通知でこんなこともありますよということは許容できる範囲なのですけれども、基本線は最低基準ですから、そこはしっかり押さえていかないと、いろいろな事態が起きるのではないかなということを危惧しています。
 それだったら、山田先生、どうですか。
○山田構成員 私もそれでいいです。
○大西構成員 許容の範囲だと思います。
 以上です。
○岡部座長 ほかにいかがでしょうか。
 坂本構成員、お願いします。
○坂本構成員 私ばかりしゃべってしまうとあれなのですが、今の課長のお話を受けてなのですけれども、一時的な居住の場の話ですが、基本的に省令に書かれますと参酌とか標準、従うべき基準とございましたけれども、基本的に私どもはよほどの事情がない限り国の基準に従って条例をつくるというのがこれまでの通例であります。
 今の一時的な居住の場の話ですと、省令に書かれれば条例として書くかどうかも含めて検討して、条例で書けばその域内においては法律と同じような適用効力がありますので、省令に書かれるか、それとも解釈通知になるかの大きな違いというのは、私どものほうで条例に書くかどうか、目的のところで書くかどうかということも含めて、どういう形で省令のほうに書かれるかにもよるのですけれども、それが大きな違いですね。今、お話の中の解釈通知をもし書かれるということになると、私どものほうで条例は書かないということになりますし、省令で書かれるというと書かれ方によって、条例の中に「一時的な居住の場」という文言を盛り込むかどうかということになりますので、結果としては効果が大分違うというところでございます。
 私どもとしては、過去の社会福祉事業法の時代からの解釈通知から考えると、お二人の先生方がおっしゃったことは十分私も理解しておりますので、明確に示すのだったら省令で示したいただいたほうが条例で書き込めるというところでございますが、多分ここは議論の分かれるところだろうと思います。
 サテライトの話については先ほど申し上げましたので、これ以上申し上げませんが、基本的に今回いろいろなお話を受けて、今回の対応方針についても十分読み込んだ上で、門前払いということで申し上げているわけではなくて、あくまでそういったものを全て担当者も含めて中で議論した上で、結果として今回の導入について見送るべきだというのが結論であるところでございます。
 経過措置について、すぐにできるだろうと言われてしまうと、実際にこれに基づいて運用、指導していくのは我々の立場なので、3年間で改正しろということで省令に書かれれば、その3年間で私どもが全力で改修に向けて事業者の皆様等に御協力いただきながらやっていくということになりますし、一方でもう一つの法の経過措置は逆でございまして、そこで経過措置として当面の間認めるということになってしまうと、その間私どもとしては指導ができないということになりますし、それを省令で書かれてしまうと条例の中の経過措置でも書かざるを得なくなりますので、条例としても経過措置を設けることになるかと。そこの大きな違いがありますので、私どもと大阪市さん等は地域事情が違いますので、一律的に狭隘な部屋についての経過措置を書かれてしまうと、そこは実態に合っていないかなというところでございます。したがって、経過措置のお話についてもわからないわけではないのですが、これまでのそれぞれの自治体での努力というのも踏まえた上で、余り経過措置については、私ども自治体のほうの決めるべき内容について縛らないようにしていただきたい。それは地域事情においてと課長が言われたとおりなので、それについては十分御理解いただければというところでございます。
 以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○大西構成員 念のために言っておきたい。
 独立して日常生活を営むことができるか常に配慮すること、円滑な退去のために必要な援助に努めなければならないと。これを評価するのは誰がするのかなという心配を初めから持っているのです。そこをしっかり押さえていられない状況の中で、最低基準で「一時的な」を飛ばしてしまうと、またややこしい話になるに違いないのではないかということ。またこの話はこの先出てくると思いますが、そういう理由からこの意見を出している次第ですのでよろしくお願いします。
○岡部座長 平野構成員、お願いします。
○平野構成員 大学の用務でおくれてまいりまして、失礼いたしました。
 第1点目なのですけれども、山田構成員さんが言われた短期だという期間を限定するところはそのとおりだと思っています。先ほどの課長の答弁にありましたように、基本は在宅で生活することが今の流れですから地域に行ける人はそのまま行く。地域に行くことが難しくて、濃厚なケアが必要な人はそういうところに行ってもらう。ある程度移行期を保障するという意味ですから、その趣旨のとおりにやってもらえばいいと思いますし、逆に言えば、そういう移行にするためのサポートができるようなところであってほしい。ただ預かればいいのではなくて、そういう移行をできるようにサポートする。あるいはより濃厚なケアが必要ならそういうところに移るような支援をしていく。そういう機能を持たせることのほうがすごく大事だと思っています。
 2つ目のサテライトなのですけれども、先ほど坂本構成員さんのほうからこれを否定しているわけではないと。理念的にもわかっている、ただ検討が必要との趣旨だということで聞いて、こちらも安心してお話を伺ったのですけれども、この中では、1、2、3の懸念が出されていまして、その辺の懸念は私もかつて自治体の職員でしたからよくわかるのですが、実は、私も障害関係が長かったもので、平成26年から障害もサテライト型を導入していまして、その前に議論を重ねてサテライトを導入した経緯がありまして、その中でもこういう問題が出てきたのですけれども、現実に今はどうなっているのかということなのですが、この間首都圏も含めて聞いてみたのですけれども、3番の問題は該当しないと思うのですが、1番、2番の問題でいろいろな事業者の参入だとか、利用者の質に問題があったということで指定を取り消したとか、指定を廃止した事例はどこの県もないということを障害関係は聞いているのです。ですから、もちろん障害か生活保護かという種別の違いとかホームの性格の違いがありますから、そこのことは踏まえるつもりですけれども、1、2のところはそのままイコールなのかなというのはちょっと疑問があるのが1点。
 この前、ある障害者の社会福祉法人なのですけれども、先ほど課長も言っていたが、実際に先行しているのです。私がお伺いしたところは2人で、1人はIQが80~85ぐらい、ですから療育手帳に該当しないけれども誰かが見なければならない。どうも施設にいると周りに振り回されてしまうということでなかなか難しかった。もう一人の方は発達障害で、夜に同じ部屋に4人ぐらいいると空気が読めなくなって落ちつかなくなる。
 この制度がないので法人が独自にアパートを借りて、生活保護を受けて生活しているのですけれども、法人のほうが訪問しているのですが、そしたらすごく落ちついたというのです。特に発達障害の人は今まで4人のグループホームで生活すると、どうしても空気を読まなければいけないという感じになったのが、1人で生活をつくるようになってくるとすごく落ちついてきた。知的障害のほうも周りに振り回されるのが、自分で考えて、自分のペースでやるようになったという形で、事実上はサテライトになってしまっている。
 たまたまそこは障害者の法人がサテライトの法人をやっているので、そのノウハウを持っていたのでやっていたということなのですけれども、そういう意味でニードというのはあるとは思うのです。もちろん手放しで全部やれとは言いませんし、一定の規制だとか監督は必要だし、詰めなければならないこともいっぱいあると思うのですけれども、それを全部先に送ってしまう、しかも、いつという期限がないまま送ってしまうというのもどうなのかなと。その辺の現状と他の領域は全くイコールではありませんけれども、それを選んできた部分もあるのかなと。その辺は考えていく必要があるのかなと思っています。
 以上です。
○坂本構成員 私がお答えしましょうか。
○岡部座長 はい。
○坂本構成員 今のお話で誤解があったようなので、若干補足させていただければと思うのですが、私も別に障害の仕事をしていなかったわけではないですし、グループホーム等はやっていますので、障害のグループホームと今回の御提案の中身も十分承知しながら御発言しているというところは御理解いただければと思います。
 今回の懸念に関しては、これは後で申し上げようかなと思っていたのですけれども、実は全て先送りしろという話をしていたわけではなくて、事前に事務的に厚労省のほうへ御助言を申し上げたのは、本当にこの基準できちんとした支援ができるのかということがわからないというか正直懸念が残るというのだったらば、3年程度の実証期間を置いて、助成等をした上で、本当にこれでできるかどうかというのを確認した上で、3年後に本格実施するといった方法があるのではないかというのは事務的に御提案を申し上げているところでございまして、そういったこともあるので冒頭のところを全面的に否定しているわけではないことを申し上げているのです。
 ですから、きちんと今回の法改正とか省令の趣旨を座長もおっしゃっていたとおりで、そもそもの貧困ビジネスという課題があって、それを規制していくのだ、プラスアルファで今後は今の状況に合わせて、利用者保護の観点からきちんと正しいものにしていくのだというのがベースにあるということから、障害があそこまで行くのに何年かかったかとなるわけです。今回全く同じ考えを宿泊所にいきなり持ってきて、すぐ同じような形で支援が成功するとはとても思えないというのが私の今の経験則上のところなのです。したがって、だから冒頭のところで全面的に否定しているわけではない。ただ、一定の検証期間が必要だろう。その間、今回の経過措置にしても3年間で見直せということですから、今回の省令そのものにも附則の中で3年後に見直しを図るといったものを入れていただければ、それで済むのかなというところでございまして、それが補足でございます。
○岡部座長 ほかの構成員はいかがでしょうか。
 立岡構成員、お願いします。
○立岡構成員 いまいちよくわからないところもあるのですけれども、とりあえず、きょうはサテライトの話の中で、本当だったら辻井先生がおられたら、多分辻井先生がいろいろお話されるのかなと思うところが、辻井先生の調査研究の中で救護施設とか無低に入っている入居者の実態を把握したときに、IQであるとか、認知能力、自閉症状、ADHD症状、抑鬱、身体症状とかのいろいろなデータを一応分析していくと、救護施設の中には7%症状がないという人が出ていて、それと無料低額宿泊所には24%症状がないという形で、居宅に移行できる人たちが一定程度いるというデータが、昨年度の社会保障推進事業で先生がそういう調査をしている中において、一定程度居宅移行ができるということを踏まえて、実際の調査をかけた段階、そういう人がいるというところの中において、もしかすると、今回サテライトということも一定国のほうで出してきたのかなとちょっと思ったりはしていました。
 ただ、これが絶対ではないとは思うのですけれども、一応そういったことを踏まえてなのかなと。なので、居宅移行に向けたサテライトというものの必要性みたいなものを国のほうでは考えたのかなと思いながら、いろいろな各地域、やはり実態が違うという状況の中において、今、うちというのはどうなるのかなとか、結局、仙台だと完全にアパート型、ある意味で居宅になっているような形での無料低額宿泊所という形になっているので、そういったものがかえって今回なくなったら今のままみたいな、どんな感じになるのかなと思ったりしながら、一定前に進める必要もありつつ、先ほども矢田貝課長さんがお話しになっていましたけれども、現在やっている形のものの位置づけというものをやはり明確にすべき必要はあるのではないかと思いますし、自分たちがやってきていることというものが、ある意味で否定されていると思うのだが、一体どういったものなのかなという、実際にサテライトみたいなものを認めないという形で今後なっていくのであれば、今の形のまま進んでいくのかなというふうにも思いつつ、実態、対象者というものの中において居宅に移行できる人も一定いるというデータが出ている形からすると、何らか前に進めるような形のものも必要なのかなとちょっと感じた次第です。
○岡部座長 よろしいですか。
○立岡構成員 はい。
○岡部座長 滝脇構成員、お願いします。
○滝脇構成員 先ほどから議論になっております個室の面積の経過措置につきましては、ふるさとの会にもかかわることなので、これまでの検討会で述べてきたこととも重複しますがけれども、改めて発言したいと思います。
 まず、私どもふるさとの会としても、最低基準というものが必要であるという認識は前提です。しかし、長年取り組んできた実践を、後からできた物差しではかられると、別の問題が生じてしまいます。第1回の検討会では、10年前に起きた「たまゆら」の火災問題を挙げて、東京では独居困難な高齢の低所得者、生活保護受給者がなかなか地域で暮らし続けることができない状況を指摘しました。それをなんとかしたいと思い、住まいと生活支援ということをやってきました。実際にたまゆらで生活をされ、そこで被災された方も、私どもが生活支援をして、10年間地域で生活をされています。地域の方々とたくさんのつながりが生まれながら、今も暮らしている。そのような独居生活が難しい利用者の方に、不利益が及ばないような方策や知恵というものを皆さまから賜りたいとお願いしました。
 先ほど、坂本構成員が東京都という自治体の立場からお話しになったことには、背景となる問題があることと推察します。ただ、私たちは、一人一人の利用者のことを考え、一人一人の地域のつながりを大切にしてきました。利用者の方々が住みなれた居場所を失ってしまったり、地域生活を支える生活支援が継続できなくなるということは、この検討会が目指すところでもないと思います。
 あくまで私たちの個室の中でもごく一部の問題ではありますが、そこで暮らしている一人一人の生活はかけがえのないものです。最低基準にわずかに満たない一部の個室があっても、これから増えるわけではありません。今の居場所を支えるということも、利用者保護の一つだと思います。そういうことに配慮された書き方が、居室面積の経過措置についてはされたと認識をしております。さらに、これはふるさとの会が勝手にやったことではなく、資料にもありますように東京都や複数の福祉事務所と話し合いの上で、2005年から自立支援と住まいを結びつけて行っていこうと始めた経緯もあります。とはいえ、自治体の問題意識もあるかと思いますので、それについては今後改善計画というものをどのように策定していくのかを協議する中で、相談させていただければと思っております。
 以上です。
○岡部座長 菱田構成員、お願いします。
○菱田構成員 私どもエス・エス・エスからとしましては、こちらの資料のほうには面積についての経過措置の話が今滝脇さんからありましたけれども、多人数部屋と簡易個室について3年となっていますが、先ほど矢田貝課長のほうからすぐにでもなくせるという発言としてございましたので、一応そこについてだけ簡単にというか事情をちょっとお話しさせていただきます。まずは多人数居室と簡易個室を解消していくことについては、エス・エス・エスは以前もお話ししたとおり賛同しております。ただ、まずはすぐに解消するというところで考えますと、現在、入所している利用者さんの生活、地域での生活というところをちゃんと保護しながら進めていかなくてはいけないところが1つ。
 それと2つ目としましては、これは先ほど坂本部長からあったお話だと思うのですけれども、多人数居室というのは東京都だけになるとは思うのですが、これも基本的には行政からの指導に従って、平成15年のときにガイドラインが初めて出て、そこから改訂されていくガイドラインの中で基本的には行政の指導であったり、地域の事情に従って進めてきたものであるという点が2つ目です。
 3つ目としましては、この検討会の初期のほうにお話させていただいた、平米を確保して、個室にしていくという中で、施設長であったり、職員を配置して支援を行って、事業を継続していくというところが都市特有の不動産事情等を踏まえると難しい側面もあったという点。
 あと、これはすごく細かい話になってしまうのですけれども、直ちに解消するといっても、例えば現物件の支払い家賃だったりとか、施設を解約するにも解約通知の問題ですとか、現在、事業を運営する中で必要不可欠な既に結んでしまっている契約等も全ての事業者さんにあると思うので、その辺もすぐに解消と言われても難しい点にはなってくるというのと、これも細かい話になってしまうかもしれないですが、例えば簡易個室の間仕切りを撤去するといっても、それはやはり予算がかかることで、ちゃんと予算を組んで、計画的にやっていかないとならない。
 これらを踏まえながら簡易個室や多人数居室の解消であったり、改善というものを事業者として進めていきたいとは思っていますので、その辺について実現可能なというか、冷静に進めていければとお願いしたいと思います。
 以上です。
○岡部座長 奥田構成員、お願いします。
○奥田構成員 私も大体わかってきたような気はするのですけれども、もう一回最初の基本方針で言うと、先ほどの一時的ということを踏まえて言うと、入居者が地域において自立した日常生活、または社会生活を営むことができるようにまずは住居と設備を提供しまうしょう。一時的だから移行の支援をしましょうというのが無低の役割ですよという理解でいいのですよね。だから私はサテライトであるか、集合であるかの居住の形が問題なのではなくて、何のニーズがあるのか、どういう対象者なのかということがもう少し明確になって、つまり、すぐには住宅の確保はできない。あるいはすぐには生活の再開というのはできない。でも、十分できる人たちが前提というか対象者なのだということです。だからこそ一時的なのだということできょうの議論を理解しているのですけれども、それはそれでそうだろうと思うのです。それ以外のニーズがある人は、私はサテライト型であろうが、集合型であろうが、日住でやるのだということでまず整理していいのかということが一つです。
 その上で、地域移行とか住居の確保というのは、実は、きょうの質問表の中で基本サービス費とは何かということが書かれているのですが、基本サービス費は利用者の状況把握にかかる費用と軽微な生活上の相談に応じる費用である。今、居住の問題というのは厚労省も国交省も挙げてやっていまして、住宅確保、居住の入居支援というのは、実は相当なスキル等々が必要なのです。確かにどう規制するかが問題だし、貧困ビジネスをやめてほしいというのは私も本当にそうなのです。正直一生懸命やってきている者にしてみたら、そういうイメージで全ての無低が捉えられるというのはすごく迷惑で、そういうのは1日も早くやめていただきたいと本当に思っているのです。
 でも、一方で、無低の必要性というのは何なのかということがもう一つ明確になっていなくて、ざくっと言えば無低は今家がなくて、1人では住居の確保ができなくて、生活を取り戻すには一定の、一時的な期間が必要で、しかし、日常生活は地域で十分できますよという見込みというか、そういうプランが立てられる人ということならば、早期の段階で地域への移行の支援とか居宅の確保、住居の設置で私自身が見てきた方々はほとんど保証人等を立てられない人たちが多かったですから、そういうものとの調整等々を含めて、本来そこは生活保護なのだから、ケースワーカーがやったらいいのではないのかというのがもう一方であるのだけれども、それが実情はなかなかできないという中で、無低のニーズというのが出てきたのです。
 ですから、無低というのは何のために残すのですか。例えば居宅の確保だけだったらケースワーカーがやればいいではないですかというのは、多分、山田先生なども昔からおっしゃっていること。無低はそもそも要らないのではないのか。でも、一方で無低が必要だとするならばまさに移行の支援なのだろうと思うのです。移行の支援の施設としてはどういう対象者像で、どういう支援の中身で、それに見合う料金とは一体何なのかということをもう少しきちんと結びつけないと、私は利用者の状況把握にかかる費用と軽微な生活上の相談で、本当に早期の移行支援というのはできるのかなというのが逆に心配になってきたのです。
 長期にわたる生活上の支援とかさまざまな支援、もっと重いというか、そういう多様な支援が必要な人は日住をやりましょうと。これはその整理で全くいいと思いますので、先ほど平野先生がおっしゃったサテライト型で、そういうケアが必要な人が個別に住んでいくというのはどちらかといったら日住の話になっていくのかな。その方は多分移行される対象ではなくて、サテライト型でずっと行くわけですから、そのほうが落ち着くという方ですから、そうなるとそれも日住の話かなと。そうなると、居住形態の問題ではなくて、どういう支援ニーズを持っている人が対象で、支援の中身は何かということをもう一言きちんと書かないと、何を議論しているかというのがだんだんと明確になってきているようで、先ほど向井さんがおっしゃったように元に戻った。これは何がスタートだったのかというところはちょっと。私は繰り返し言いますけれども、十分ひとり暮らしができる人で地域移行を進めていくための施設である。そのための支援をするのである。だからこそ一時的なのであるということだったら理解できるということです。
 以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
○滝脇構成員 次回以降の論点かと思いますが、資料2の7ページに「事業費と利用料等の設定方法に関するイメージ図」というものがあります。左の事業費を右の利用料等収入に組みなおしていますが、視覚的には居室使用料から基本サービス費までの積み上げで、生活保護費をオーバーしかねないぐらいになっているように見えます。
 ここで「基本サービス費」というものは、定員が多ければ多いほど一人当たりの負担は圧縮されていきます。逆に言うと、小規模の定員であればあるほど、一人当たりの「基本サービス費」が高くなって生活保護費では負担できなくなる。そこのところを日常生活支援の委託事務費がカバーしてくれるならいいのですが、今後の議論ということになるかと思います。現段階で申し上げたいこととしては、定員が少なければ、基本サービス費に含まれる「状況把握及び軽微な生活上の相談等の業務」と外形的に似ていることも、きめ細かく専門性の高い業務になりえます。ここの線引きというのは、これからとても丁寧に見ていく必要があると思います。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 山田構成員、何かありますか。一言でお願いします。
○山田構成員 別の話でいいですか。
○岡部座長 はい。もう時間となりますが、お願いします。
○山田構成員 そうですよね。でも、きょうが最後と聞いているので、私、別のところで少し気になっていることを確認させていただければと思っていたのですけれども、これは資料3の8ページの「入居申込者等に対する説明等」の解釈取り扱いのところです。2つ目の○のところなのですけれども、契約の更新に関する話が出てきていて、最低基準のほうでは更新の話が必ずしも書いていないのかもしれないのですが、契約期間の終了前には、契約の更新に関して入居者の意向を確認するとともにカンファレンスをやって、必要性が認められるか協議をする。要するに、契約期間は基本1年なのだけれども、入居が必要であれば更新も可能だという話になっていて、入居の必要性というところを判断する主体が誰なのかを確認させてもらいたかったなと思っていました。
 この解釈案の書きぶりを見ると、入居者の意向を確認するというのは、当然、宿泊所がやるような書きぶりに見えるかなと思いますし、関係機関と協議するのも無低の側ということになると、更新をすることの必要性というものを判断するのが無低のようにも見えると思うのです。ただ、無料低額宿泊所というのは措置施設ではなくて、契約施設なわけだから、無低と入居者というのは契約の主体としては対等なわけで、ですから、本人が更新を希望しないというのに無低側の判断で契約が更新されるということは、契約関係からしてないのかなと思うのだけれども、それを間違いないのかというのが一つ。
 それと関連するのですが、特に無料低額宿泊所の入居者は弱い立場にあることが多いので、念押しのような形で、本人が希望しなければ、契約を更新することができないということをこの基準なり解釈の中で入れてはどうかなと思っているのですけれども、それはいかがかなと。ちょっとそこは確認したかったところです。
○奥田構成員 同じことでちょっといいですか。
○岡部座長 はい。
○奥田構成員 その逆も私は聞きたかったのです。まさに契約施設なのだから、例えばうちのケースで、うちのケアの限界がありますから、もうあなたは介護系の施設に移りませんかと。けれども、一方で本人の強い希望でどうしてもここで一緒に暮らしたいという人がいるわけです。これは契約施設だからどうしようかというのは現場で実はすごく悩んでいるところなのです。できれば引き受けてあげたい。だから今回のことでも従っていないところには紹介しない。これは保護課の判断だからできると思うのです。
 けれども、いる人に転居のお勧めをするというときに御本人が私、せっかく仲間ができたのに、何でその基準に合わないから私を引っ越しさせるのかという話になったときに、これはもっと原則的な話で言うと基本的な人権の取り扱いの問題として、本人が嫌だと言っていても、あなたは保護世帯だから従いなさいというのはそもそもができないと思うのです。基本は契約概念であるというところは立場の弱い人が当然いる。そこの配慮が必要だけれども、一方で弱いか強いかではなくて、御本人が選びとっている場合はどうなるのかというところ、転居指導ができるのかというところです。
○岡部座長 向井構成員、お願いします。
○向井構成員 私も質問、資料3の6ページの「居室面積に係る経過措置」のところの一番下のポツで「現在、適用除外となっている住宅扶助の面積減額は、適用する」というのはわかるのですが、括弧して別途定めるということについてすごく怖いのですけれども、これも教えてください。
○岡部座長 手短にお願いします。
○清水室長補佐 まず、一つは契約のところなのですけれども、今の最低基準の案というか考え方でお示しさせていただいているのは、契約期間終了前には入居者の意向を確認し、ということで、契約を継続するかどうかの確認をするというところで、当然おっしゃられるとおり契約なので利用者さんが合意しない契約というところはあり得ないことでは大前提であるかと思います。かつ、必要性を判断して、協議をした上でということで生活保護受給者であれば、関係機関ということで福祉事務所と協議をしてというところでありますけれども、そこの必要性がないとか、先ほど奥田構成員のほうからも発言がありましたが、例えば本来はほかの施設にということであれば、基本的には転居なり違う施設への転所を促していくということになろうかと思います。
 一方で、無届けとか劣悪な施設で最低限の生活を営むには適切ではないようなところという場合については、転居の指導というのは行い得るのかなということで、それは、少し最低基準というよりは実際の事務処理のところで、また整理をさせていただければということで思ってございます。
 面積のところですけれども、今、面積に応じた減額というのは、支援を行っている無低については適用を猶予しているというところでございますので、一方で日常生活支援の委託等も行い、制度改正をするというところを踏まえて、基本的には面積の減額措置というのは適用をする方向で、狭いところについては適用するということで考えてございまして、そのときに今の面積の規定で平米とかが今の取り扱いでいいのかというのは、また少し実態を踏まえながら整理をしていくということで考えてございます。
○岡部座長 時間が迫ってきましたので、少し私のほうで引き取らせていただきたいと思います。
 1つ目は、期間についてです。これは、事務局からお話があったかと思いますが、無料低額宿泊所あるいは福祉施設そのものは、基本的には、居宅の移行をするために機能しなければいけないが、これは長い短いは別にして基本的に、山田構成員が述べたように一時的な場であるという考え方が構成員共通で確認ができるのではないかなと考えます。
 2つ目は、なぜこの検討会が立ち上がったのかということです。貧困ビジネスを廃絶するということが目的として挙げられます。そのための規制をどうするかということで、この最低基準というのは、ある意味では貧困ビジネスを根絶するための規制をどう行うのか、その中で利用者の保護はどう考えるか、両立のところで考えてきました。そういったときに本来受給者の中に入る保護費がゆがめられ給付されることは正さなければいけない。そのことについて、どう考えたらよいのかということがそもそもの議論です。
 ですので、そういったときに最低基準というものを設けるということは、貧困ビジネスを生み出さないためにはどうしたらよいのか。そのためのルールとして、給付を行う行政関係の方と積極的に良質な支援を行っているサービス事業者の方が入っていらっしゃる。その中でそういうことを行わないためには、どうしたらよいのかの議論でのまとめ上げ方をここでしたということなのです。それぞれのところで実態としては非常によいことをやっている。しかしながら、ルールとしては守らなければいけないことを決めなければいけない。これが最後の場ですよと。今回の議論の中ではそれを行うということです。
 これは、サービス事業者の方からの御意見と、もう一つは、実際に生活保護の行政の運営を行うところの行政機関、2つの団体の方からお話があって、この点について少し意見が分かれているところについては、事務局と座長である私、関東8団体の代表として東京都、大阪市に出ていただいています。そこはもう一回、運営するところからこれだけの声が上がっていますので、改めて調整するということが必要なのではないかと考えます。
 もう一つは基準に関しては、基本的には、この場で構成員の皆さんに御議論いただきましたので、整理させていただいて、一定の成案というものを出させていただければと思っております。それ以外に、ここで御意見をという方がいらっしゃればお願いをします。
 坂本構成員、どうぞ。
○坂本構成員 私どもの意見については先ほど申し上げましたので、それ以外に事務局と座長のほうに私のほうからお願いでございます。
 今回で、社会福祉法の改正絡みのものは終わり、一区切りというお話をいただいているかと思いますし、前任の野村も含めて、ここにいらっしゃる委員の皆様からは現場の状況を踏まえて、私どもとしても参考になる意見をいただいたと思っておりますので、私ども実際に運営をしている立場としても、現場で実態に合わせて利用者保護の観点からしっかり仕事をしていきたいと考えております。そういう点については感謝しているところでございます。
 ただ、次回から日常生活住居施設のほうのお話に移るということでございますが、先ほど大阪市さんのほうからも住宅扶助のあり方であるとか、先ほどの御意見の中でも実際に転居指導をするかしないとか、そのあたりの話があろうかと思うのですけれども、こういった生活保護上の実施に関する権限というよりは、基本的には法に基づきまして、各自治体の福祉事務所長の専管事項でございます。したがって、日常生活住居施設の議論をするに当たっては、私と大阪市さんだけでは自治体の意見として非常に不足するのかなという感じもしていますので、ぜひ現場の意見を聞いていただきたいというお願いがございまして、今後次回以降の構成員については再調整のお願いをしたいというのが要望でございます。これについてはあくまで要望でございますので、座長と事務局のほうにお任せいたしますが、あくまで意見として申し上げさせていただければと思います。
 ありがとうございました。
○岡部座長 向井構成員、どうぞ。
○向井構成員 大阪市も、それでよろしくお願いいたします。
○岡部座長 今、検討会の構成員の再調整について御提案がありましたが、この件については私のほうで引き取らせていただいて、事務局と相談をさせていただきたいと考えておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○岡部座長 御了解いただいたということで、事務局と相談、調整をさせていただければと思っております。
 本日、さまざまな御意見をいただきました。最低基準に関する議論は本日が最終回ということですが、事務局から今後の進め方について御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○矢田貝保護課長 最後、座長にまとめていただきましたけれども、特に一時的なところをどう書くかというところについて、私どものほうで今日の議論を踏まえまして検討したいと考えてございます。また、サテライト型住居のところにつきましては、さまざまな御意見をいただきましたけれども、この場では結論が得られないということだと思いますので、特に8都県市、大阪市とも御相談をして、私どものほうで調整をさせていただきたいと思っております。目指すべきところは先ほど座長も申し上げられた貧困ビジネスの排除で、いかに共通の規制をかけていくかというところでございますので、それも含めて私どもとしては引き続き調整をさせていただければなと考えてございまして、その結果、次は具体的な省令案というものを厚生労働省のほうでつくるわけでございますけれども、次回の検討会におきましては、省令案という形で検討状況がまとまっているかどうかはこれからの調整次第かとは思いますけれども、御検討案を示せるように調整していって、次回はその状況について御報告させていただければと考えてございますので、よろしくお願いいたします。
 最後に本来は局長が来る予定ではあったのですが、国会のほうに呼ばれておりまして来られないのですけれども、節目でございますので、総務課長のほうから最後に御挨拶をさせていただければと思います。
○朝川総務課長 恐れ入ります。
 本来、社会・援護局長が申し上げるべきところでございますが、国会業務で今日は出席できませんでしたので、御挨拶を兼ねて一言発言させていただきます。
 この検討会はまだ続けさせていただきますけれども、最低基準に関する議論につきましては区切りの会ということでございます。まず最低基準の策定に関して、本日も含めて活発な御議論をいただきまして感謝を申し上げます。今回法改正をいたしまして、最低基準を策定する最も重要な目的は本日もたくさん出ましたけれども、貧困ビジネスの排除と利用者保護の推進でございます。そういう観点から無料低額宿泊事業としての範囲を明確化して、これまで届出をされてこなかった事業者も事業の範囲に含めて、一定のルールに従っていただくということ、また、いたずらに入居期間が長期化しないよう入居の必要性を定期的に検証する取り扱い、さらには、提供するサービス内容や利用料などについて届出や公開を行うなど、事業の透明性を担保して利用者の選択性を確保するための規定の整備など、検討会での御議論をいただきましたことにより、最低基準の考え方について整理ができたものと考えてございます。
 本日の検討会の御意見も踏まえまして、先ほど来座長からもおっしゃっていただいております必要な調整を行った上で、厚生労働省令を策定してまいりたいと考えております。
 本検討会では、次回以降、日常生活支援のあり方について意見をいただきたいと存じておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 それでは、本日の検討会はこのあたりまでとさせていただきます。
 事務局から次回の予定についての連絡をお願いいたします。
○清水室長補佐 次回の検討会でございますけれども、6月4日火曜日の16時からの開催を予定してございます。
 開催場所と詳細につきましては、現在調整を行っておりますので、確定次第御案内をさせていただきたいと思っております。
○岡部座長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。