技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第31回)議事要旨

                          人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 平成31年3月4日(月) 10:00~11:00

○場所 経済産業省第1031会議室(10階)

○出席者
  大迫委員、岡野委員、下村委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課、外務省領事局外国人課
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (ビルクリーニング職種関係)公益財団法人全国ビルメンテナンス協会、厚生労働省(生活衛生課)
 
○議題
 (1)ビルクリーニング職種の3号整備について
 
○議事
 1 ビルクリーニング職種の3号整備について
 〇 全国ビルメンテナンス協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ ビルクリーニングは、作業場所、頻度、汚れの量によって技術者がオーダーメイドで技術を提供している。
  ビルクリーニング技術の複雑化に伴い、技術者の標準化、技能の向上を図る必要が出てきたため、職業能力開発
  促進法に基づくビルクリーニングの技能検定制度が昭和57年に創設された。
 ・ ビルクリーニング技能検定は、昭和58年に第1回の技能士が誕生し、平成13年に指定試験機関として本協会が
  指定された。ビルクリーニングは単一等級で実施してきたが、清掃技術の複雑化等を背景に平成28年には複数
  等級化し、現在は1級、2級、3級、基礎級で試験を実施している。技能実習生の技能等の評価でも本技能検定
  制度が活用されている。
 ・ 本協会は、ビルメンテナンス業を展開する業界唯一の団体で、現在2,800社を正会員として構成している。
  技能検定制度をはじめ、業界と事業者の資質向上を図るための各種事業を実施している。東京に本部があり、
  その他全国に9地区本部がある。
 ・ 平成28年4月にビルクリーニング職種が2号移行対象職種として認められ、平成29年5月には必須業務に
  ベッドメイキング作業の追加が認められた。平成25年5月から基礎級の試験がスタートし、平成29年度は488名
  の方が新規に受検された。平成31年2月までに624名の方が新規に受検されており、平成30年度では約1,000名
  に達するのではないかと予測している。ビルクリーニング職種の2号実習生は1,000名を超す現状にある。
  基礎級の次に受検される随時3級の試験が今年1月からスタートし、10数名の方が受検を終えられた。
 ・ 今回、審査基準の3つの改訂を御審議いただきたい。まず1つ目が、技能実習3号の追加だが、技能実習2号
  の「クリーニング作業」に、【3】中間清掃作業、【4】臨時清掃作業を追加している。
 ・ 2つ目が、「作業の定義」で、ビルクリーニング職種は、不特定多数の利用者が利用する建築物の内部を対象
  にしており、(注1)で、「住居(戸建て、集合住宅等)を除く」を「住居(戸建て、共同住宅の専有部分等)
  を除く」に改訂したい。
 ・ 3つ目が、必須業務の「ベッドメイク作業」を「客室のベッドメイク作業」と明確化し、関連業務に「客室
  以外のベッドメイク作業」を追加したい。
 ・ これらの3点について御説明したい。まず、ビルクリーニングの作業区分だが、ビルクリーニングの技術は
  複雑化しており、日常清掃作業と定期清掃作業は計画的に清掃し、中間清掃作業と臨時清掃作業は清掃契約
  の年度途中に汚れの状況を見ながら対応する。
 ・ 技能実習2号の必須業務は、日常清掃作業とトイレが除かれた定期清掃作業だが、技術者一人が全ての作業
  をこなすことを目標とする。
 ・ 技能実習3号の必須業務は、2号と比して、トイレの定期清掃作業、すなわち、便座を取り外して普段行うこと
  ができない清掃作業、中間清掃作業、臨時清掃作業が追加される。そして、定期清掃作業などはチームで
  行われることが多くなり、技能実習3号では、チームリーダーとして進行管理なども必要となる。
 ・ 次に、清掃を行う前の作業の段取りだが、技能実習2号の間は、必要な清掃を行う前の資機材の準備、清掃
  を行って資機材をしまう前の簡単な手入れを学ぶ。3号では、機械の資機材が安全な状態で使われるかを
  チェックしたり、中間清掃作業・臨時清掃作業において汚れの状態に応じた資機材の選択・準備、汚れに
  応じた資材(洗浄液)の選択・希釈を行う。また、什器・備品等の取扱作業だが、技能実習2号は什器・備品
  等を破損せずに清掃する、什器・備品等を安全かつ破損せずに移動し元の状態に戻す。3号では、什器・備品
  等のレイアウトを記録し安全かつ破損せずに移動し元の状態に戻す、中間清掃作業・臨時清掃作業で什器・
  備品の汚損を防ぐため養生を適切に行う。
 ・ 学科試験は、随時2級は一般的な知識を有することが求められ、随時3級は色々な項目について概略的な
  知識を有することが求められる。また、実技試験は随時2級は随時3級から難易度が増すことになる。
 ・ 審査基準の「作業の定義」で、住宅の戸建てと集合住宅のクリーニングが除外されていた。しかし、会員企業
  から、共同住宅の共用部分のビルクリーニングも実習生が技術を学ぶ場所として活用したいとの要望が寄せ
  られた。共同住宅は、階段、玄関等の共用部分と各住人の専有部分に大きく2つに分かれているが、共用部分
  はビルクリーニング業務の一環であり、他の建築物と同様のビルクリーニング技術が用いられているため、
  共用部分を実習場所として認めていただきたい。なお、「集合住宅」から「共同住宅」への名称変更は、
  法規上、正確にしたためである。
 ・ 最後に、ベッドメイク作業は、ホテルの客室等を対象に平成29年に必須業務に追加された。近年、色々な
  ベッドメイク作業が行われることがあり、必須業務で行う作業を明確化するため、「客室の」という文言を追加
  した。また、近年、病院では、チーム医療の推進のため、ベッドメイキングが業者に委託される可能性があり、
  ビルメンテナンス会社がこれを受託することも想定し、関連業務に「客室以外のベッドメイク作業」を追加
  させていただきたい。
 
 ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)試験監督者の評価に差が出ないように、これは可、これは不可などを写真で示す限度見本を作成される
   ことをお勧めする。
  委員)第3号では便座の脱臭フィルターを取り出す実習が行われるが、脱臭フィルターは便座によってあったり
   なかったりするのではないか。
  説明者)脱臭フィルターは温水洗浄便座に取り付けられている。業界団体に確認したところ温水洗浄便座は
   かなり普及しており、実習現場でも直面することは非常に多くなっている。
 
 ○ 検討の結果、ビルクリーニング職種(ビルクリーニング作業)の3号整備について、了承された。
 
 (以上)