2019年3月7日 第4回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

平成31年3月7日(木)15:30~17:30

場所

中央労働委員会6階 第606会議室
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館)

出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:座長)

  石原 真三子
  稲葉 由之
 ○今野 浩一郎
  神林 龍
  野口 晴子
  山田 久

事務局

  吉永審議官
  瀧原統計管理官
  細井統計企画調整官
  田中審査解析官
  村木雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

(1)本系列と比較した「共通事業所」の集計値の特性等について
(2)その他

議事


○細井統計企画調整官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。
 構成員の皆様方には本日、お足元の悪い中、かつ、お忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 本日の出席状況でございますが、樋田構成員から御欠席の御連絡をいただいているところでございます。
 早速ですが、以下の進行については、座長にお願いをしたいと思います。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○今野座長
 よろしくお願いします。
 お手元の議事次第に「本系列と比較した「共通事業所」の集計値の特性等について」とありますけれども、今日、2つのことを議論していただきたいと思って、統計の専門的な話をまず議論していただきたいのですけれども、その後に、議論したところでどういう問題点があるのかをちょっとずつ整理していきたいと思います。事務局が考えている範囲内の問題点を今日リストアップしていただきましたので、それをめぐって議論していただいて、これまで皆さんが議論された中の論点もありますけれども、それに加えてこれもあるぞみたいなことを出していただければと考えています。
 それでは、まず資料の説明からお願いします。瀧原さん。

○瀧原統計管理官
 では、事務局から資料の説明をさせていただきたいと思いますけれども、その前に今回稲葉先生から御質問をいただいております。最後に参考資料でつけているものですけれども、これは稲葉先生が第2回に御欠席されましたので、その後に資料について御質問をいただきました。このことについて、もちろん稲葉先生にお答えするものではあるのですけれども、この中身を読みまして、せっかくですので、ほかの委員の方々にも共有していただく中身かなと思いまして、今回稲葉先生の御了解のもとで参考資料としてつけさせていただきました。
 第2回のときの御質問ということですので、そちらのほうから最初に入らせていただいてよろしいでしょうか。

○稲葉構成員
 それでは、1つずつでよろしいでしょうか。少し長くなってしまいます。申しわけありません。まず1番目の共通事業所が本系列と異なりベンチマークの影響を受けないといった解釈なのですけれども、今日の資料を見ながら考えていきますと、2ページの推計比率といったところで赤くなっているところ、これが前年と当年といったところで同じものを使用している。すなわち、当年の月のベンチマークを前年の同月に掛けているため、ここではベンチマークの影響を受けないと言っているものと解釈しましたが、これでよろしいでしょうかということです。

○瀧原統計管理官
 ありがとうございます。
 先生にこの質問票に書いていただきました当時の資料の3ページ、1行目というのは、当時に「特性について」という1枚紙を用意しておりまして、そこの中で本系列と異なり、ベンチマークの影響を受けないということがありましたので、そこの部分への御質問という形になりますけれども、中身としては今、言っていただきましたように、今回の資料の2ページ目のものになります。
 イメージとしては、先生の御理解のとおりで結構なのですけれども、考え方としては、この2ページの上の点線で囲まれた四角の中に「共通事業所の集計値」とはということで、なぜこれを入れているかといいますと、そこに2つの要素を組み込んだ集計値という意味合いがございまして、この話の発端となりましたのが、毎勤統計において従来ですと3年に一度サンプルの入れ替えをやっております。その際に本統計のベンチマーク、労働者のウエイトとかのベースとしております全数調査が経済センサスでございます。この経済センサスが新しく変わっていた場合には、サンプルの入れ替え時に同時にベンチマークも更新という形で、新しいベンチマークに置きかえることをします。
 それをやった場合に何が起こりますかといいますと、まず一つは、サンプルを入れ替えるということで、サンプルの違うことによる標本誤差が出てくるということです。それはもちろんプラスの場合もマイナスの場合もあるわけですけれども、基本的には生き残りバイアスと言われるものがあって、大体下がる場合が多いのですが、いずれにしても入れ替えの誤差が一定程度ギャップという形で発生します。
 それとは別にウエイトも、これこそどちらに振れるかわからないのですけれども、産業、事業所規模の構成が日本、オールジャパンで変わったときに、そこの部分でのウエイトの変化によって毎勤の集計値、規模計なり産業計の値にずれが出てくる。そういうギャップが発生する。その2つが発生しますので、その部分を除去した、そこを除いた形での変化率を見られないかということで、この共通事業所という概念が出てきたものでございます。
 実際にはどうやっているかといいますと、まず、入れ替えの影響が出ないようにするということで、ある月とその1年後の月で共通に存在するものを対象とする。これは実は以前は毎勤統計の場合は、サンプルを30~499人規模については総入れ替えしていましたので、総入れ替えした場合には、これはできなかったことになります。ですが、今回から部分入れ替えという形でローテーション・サンプリングを入れましたので、一部については1年間継続してとる部分ができますので、そこの部分だけをとることによってまず部分入れ替えによるギャップを除くというものでございます。
 それと併せて、では、ベンチマークの更新はいかに除くかということで、先ほど稲葉先生におっしゃっていただいたこの推計比率のところ、これがベンチマークのウエイト更新によって影響が出てくるところですので、表の前年のほうですね。左側のEのところに通常n-1を入れるわけですけれども、そこにnを入れることによって、ウエイトをこの場合だと当年ですね。後のほうの年に揃えて、それで計算することによってベンチマークの影響を出ないものとして集計値、賃金なりを計算するということであります。まさにそういう定義でもって、共通事業所を集計しているということになります。ですので、その定義に基づくと、当然ではありますけれども、本系列はこのベンチマークのウエイトの影響が出るわけですが、共通事業所には出ないという趣旨の文言であります。

○稲葉構成員
 ありがとうございます。
 関連して、少し確認したい事項があります。今、共通事業所の集計値と言われているものは、それぞれの調査結果の平均値と前年同月が出されているわけですが、この前年同月の計算においては、ウエイトを変えて更新している面で見ますと、2年間公表した平均値を比べても、出てきた前年同月比は計算できないということになるわけですね。
 つまり、この表の下のほうの3ページを見ていただくとわかるかと思うのですが、公表したものと前年同月で比較をするものが違っているので、前年同月比の計算自体はユーザーの側にはどれに基づいて前年同月を計算したかはわからないということになるのでしょうか。

○瀧原統計管理官
 まず、今、おっしゃった公表値として出ている数字としましては、この本系列の数字になろうかと思いますので、この3ページの表ですと、例えば一番上の列の左側にあります、30年の1月ですと27万3961とかという数が、まず毎勤の公表値として存在します。それにかかわる前年同月比などになりましては、例えば本系列の30年の0.7%プラスというところがそれに対応するものになります。
 一方、共通事業所につきましては、共通するところを30年と29年とで比べている数字というのは、この表でいきますと0.3%というものがございます。右側の一番上の1月ですね。この1月の0.3を計算したもとというのは、先ほど申しました本系列の数字とは全く異なっておりまして、ここで言いますと、ブルーの29年1月のところに縦に2つ数字が並んでおりますけれども、これの下のほうの27万6964円と翌年30年の27万7697円、これの前年同月比を求めたものです。ちなみに、この数字は参考値の中で公表はさせていただいておりますので、見ることはできますけれども、ただ、この数字と本系列の数字とは全く別物になっているということでございます。
 先ほどの話と加えさせていただきますと、共通事業所の実額、29年のところに縦に2つ並んでおります。この2つの数字は、一方が27万2965円で、一方が27万6964円という違いはありますけれども、この違いは事業所が30年と同じものになっているのが下で、28年と同じものが上という違いが一点と、ベンチマークの時期も違いますので、下の27万6964円のほうは30年のウエイトでやっている、上のほうは29年のウエイトでやるということで、そこの点でも比較はできないものになっているという形です。

○稲葉構成員
 私の質問として今後のことに関連しますが、例えばこの平成30年の値が平均値として出ていて、次に平成31年、2019年度といったほうがいいのかもしれませんが、そこでの値が出てきたとして、前年同月として平成30年と比較をするといったときに、平成30年の数値自体は平成31年度のウエイトで更新されるので、公表された数値を取り上げて伸びを考えたとしても、前年同月で出てきている公表値とは一致しないことになるのでしょうか。

○瀧原統計管理官
 今、おっしゃっている数値は、本系列の数値ですか。参考値の中ですか。

○稲葉構成員
 共通事業所のほうの数値です。

○瀧原統計管理官
 まさに次の31年と30年を比べた場合の前年同月比を出す場合には、例えば30年1月で、共通事業所について。

○稲葉構成員
 また計算し直すわけですね。

○瀧原統計管理官
 また新しい数字が出てきて、このやり方でやると、毎年2つの数字が常に並んでいく形がずっと続いていって、それは斜めになっているような形で、比較できるのはこの直前の2つだけ、くっついている2つだけという形になります。

○稲葉構成員
 もちろん1年前に公表した数字を変えるというか、上下2段で公表することはないわけですね。

○瀧原統計管理官
 例えば0.3とかで出したときの数字のもとはこれとこれですという形でお示ししていますので、常に発表される数字が2つあるといいますか。

○稲葉構成員 
 わかりました。

○瀧原統計管理官
 ですから、今年これが出たので去年のものはもう関係ないという形ではなくて、去年出しているときはこの数字です、今年出しているときはこの数字ですという、2つの数字が常に並び立っている形になります。

○稲葉構成員
 わかりました。ありがとうございます。
 もう少し踏み込んで質問いたしますと、ユーザーの側が指数を作りたいときには、どの数値を使うのかでかなり迷ってしまうことになるのではないでしょうか。

○瀧原統計管理官
 実は後の今日説明する資料の中でも触れさせていただきたいと思っているのですけれども、指数化をする場合の課題として、当たり前ですけれども、左側の本系列のときは、各年各月に1つの数字がありますので、それをつなげていく感じでできるわけなのですけれども、共通事業所の場合は、今、稲葉先生がおっしゃったとおり、常に新しい数字が、同じ時点なのだけれども1年たつと別の数字が出てくる。それは比較できないものとして出てきますので、それをつなげて一本のラインをとることは果たしてできるのかどうかというところが、根本の問題として存在しております。

○稲葉構成員
 わかりました。ありがとうございます。
 では、2点目に移らせていただきたいと思います。2点目と4点目につきましては、質問の内容としては同じですので、あわせて質問させていただきます。これは推定比率の扱いに関する質問ですが、本日の資料の5ページをごらんください。この5ページでは本系列と共通事業所、それぞれの該当する事業所数が示されています。推定においては、最後に比推定を掛けるということで、推定比率を掛けることをしているわけですが、具体的に言いますと、鉱業、採石業の500人以上がゼロになっている。こういったときに、どのような推定の仕方をしているのかを伺いたかったのが2点目で、4点目も同じような話でございます。

○瀧原統計管理官
 これも非常に重要なポイントかなと我々も感じているところでございますけれども、まず、推定比率で規模計なり産業計を出すときの考え方なのですが、まず、単位集計区分というものがございまして、規模で、かつ産業についてもクロスをとって、単位集計区分の中でそこに属する企業の賃金の総額と労働者の総人数を割り算することによって、平均賃金を出します。もちろんその中に異なる抽出倍率があれば、それをちゃんとウエイトづけをした上にはなりますけれども、ただ、いずれにしても、その単位集計区分の中で賃金総額、労働者数を出して、割り算することによって平均賃金を出すということで、まず単位集計区分ごとの平均賃金が出ます。
 その上で、例えば産業計ですと、各産業の加重平均をとることになりますし、産業規模の日本全体の平均賃金であれば縦横全てにわたってその平均をとるわけですけれども、その場合に加重平均をとります。その加重平均のとり方が母集団労働者数で、その区分に属する人は日本、オールジャパンで何万人いるか。それを全部のオールジャパンの労働者数で割り算をすることによって加重が出ることになりますので、例えばここの枠には、人数が多いかもしれませんけれども、日本の中で5%のウエイトを占めるとわかれば、その賃金には5%のウエイトをかけて、他10とか、8とか、0.3とかを全部足して1を出します。
 その場合に、今、御指摘のありましたように、そこの労働者がゼロだったらどうなるかという形になりますけれども、ここは単純に加重平均はそのままやっております。ですので、何が起こるのかといいますと、全体が100にならなくて、全体が95になる形でございます。

○稲葉構成員
 ゼロのまま置いているということですか。

○瀧原統計管理官
 はい。ゼロのままです。ただ、そこがゼロになって、賃金を引き下げることにはならないということです。全体が95を100とするという形ですので、単純に言うと、そこの部分がほかの平均賃金と同じ扱いになると考えていただくことになります。
 ですので、ここは非常に問題があるところでございまして、そこの平均賃金が常に大体低いような区分があると、いつも3つとか4つあったのだけれども、たまたま全部なかった。あるいは共通事業所という形で4割ぐらいしかとれないために、全部落ちてしまう形になると、そこの部分がもし低かったとすると、平均賃金の扱いにかかわってしまいますので上げる効果になりますし、高い部分が欠けると下げる効果をあらわすことになります。
 ですので、この毎勤での集計を出すときには、そういう単位集計区分が落ちることがないようなぐらいのサンプルをちゃんととることでもちろんやっているわけなのですけれども、そのうちの一部だけを集計すると何が起こるかというと、単に誤差が大きいだけではなくてゼロ区分のところが出てしまうと、それは影響が出てくる可能性があります。
 ですので、そういう意味ではこの4割ぐらいというのを、単純に4割にすることによっての誤差の大きさは一定程度推測できるかもしれませんが、ただ、それのあらわれ方が、単位集計区分が落ちるようなあらわれ方で偏りが出ると、それ以上の影響が出ている可能性があるかもしれません。

○今野座長
 でも、それはあれですね。ゼロもそうだけれども、例えばここにある1もそうだよね。結局、1がすごく高いのだけ残ったり、低いのだけ残ったりするから、同じだよね。

○山田構成員
 ある程度数が小さければ小さいほどバイアスがかかりますね。たまたまそのときにとってきたということですから、十分な数がないと。

○瀧原統計管理官
 ただ、一応セルの中のサンプルが少ないと、復元倍率の問題はありますけれども、そこのウエイトは全体としては比較的小さくなっている可能性があるので、影響的には限定的になる可能性があります。ただ、そうは言いつつも、そこでの影響は明らかに出てくる。あと、中でのぶれも当然そこに大きく影響が出てくると。

○今野座長
 確かに全体で計算すると、ゼロなどはもともとサンプル数というか、母集団が小さいところだから、ウエイトがもともと小さいから全体の影響は及びませんという可能性はあるけれども、特定の分野だけ調べようといったときにすごく影響が出ますね。

○神林構成員
 本系列の設計のときには、ゼロにならないようにサンプルを設計しているわけですね。

○瀧原統計管理官
 そうですね。セルごとで一定の標本誤差におさまるようにやっていますので、それがゼロになることは基本的にはないような形です。

○稲葉構成員
 よくわかりました。
 そうすると、4番目の質問として挙げた部分の1,048の事業所に基づいているところは、ここはかなりゼロになっているセルが存在している可能性が高いということですね。

○瀧原統計管理官
 そうですね。私もまだここの部分でどれぐらいゼロセルが出てきているのかは把握できていない部分がありますので、そこは見てみたいと思います。

○稲葉構成員
 関連してもう一点だけ。比推定を掛けるという、最後に精度の高い情報を用いて推定精度を上げる方法が比推定であって、この推定比率はそれに該当すると思うのですけれども、今回、この共通事業所といったものを参考値として公表するに当たって、比推定の方式さえ変えればゼロセルの問題はなくなるわけで、そういった検討はされなかったのでしょうか。

○瀧原統計管理官
 大変恐縮ではございますけれども、そこはやっていないというのが現状で、今は比推定、推計比率自身は本体の本系列のものをそのままスライドして使っていると。ただ、使っているけれども、今回指摘いただいたゼロの部分が出ると、そこはずれてしまうというものでやっているということでございます。

○稲葉構成員
 わかりました。手順としては、規模の併合は不可能であると思うのですけれども、産業を併合して入ってくる度数を多くして推定比率を掛けられるようにするというやり方はあると思いますが、そうすると、本系列とは推定方法が違うということになると思います。

○神林構成員
 乗率が変わりますね。

○稲葉構成員
 そうですね。今日調べてみたのですけれども、ほかの調査でどのような比推定のものがあるかというと、就業構造基本調査という約50万世帯を調べている調査では、比推定の層を5,960区分つくっている。それに対して、同じように労働者を毎月調べている労働力調査、これは約4万世帯を調べている調査ですが、そこでは、比推定の層は少なく352区分ということで、比推定の層を変えることで対応しているということがあります。本系列と共通事業所という2つの規模の違うものを公表する際には、比推定の層を変えるというのが一つの方法ではないかと思います。ありがとうございます。私ばかり時間をかけてしまって申しわけありません。
 3番目に戻って、これはもう既に今日の資料にもあることですけれども、共通事業所系列のところをまとめていただきましたので、それからわかることをまとめてみました。2020年の1月以降、30人~499人の事業所においては、入れ替えが2分の1から3分の1に移行するということで、共通事業所の系列の集計値のもととなる事業所数がここで変化するということです。精度としては、どのくらい変わるのかは計算されていないのでわからないと思うのですけれども、精度が変わることは確実であるということで、まだ安定していないということが言えるのではないかと思います。
 最後に、資料に関する質問以外の事項で、一番初めにも考えたことなのですけれども、政府が出す統計数値でありますので、その精度がどのくらいであるのかということを我々は把握しておく必要があると思います。本系列と共通事業所系列の精度評価といったものを基本の情報として、今後の統計数値の活用を考えるべきではないかと思います。今、簡単に質問してしまうと、共通事業所での標準誤差の計算はされていないという。

○瀧原統計管理官
 やっておりません。

○稲葉構成員
 わかりました。
 ウエブで入手できる資料を見ますと、本系列の標準誤差の計算に関しては実際されているのですけれども、比推定を含めての精度評価ではないと考えます。つまり、抽出率の逆数にかかわる理論的な精度評価にはなっているのですが、調査結果を提出された事業所は80%ということで、最終的にはベンチマークに合わせる処理をして、それが推定比率と言われているのですが、その推定比率が固定された値ならば、固定された値を使って誤差を計算できるのですけれども、そうではありません。このため、比推定も含めての精度評価には本系列はなっていないような気がします。

○瀧原統計管理官
 そこはまた改めて回答させていただければと思います。
 あと、先ほど3番のところで、おっしゃるとおりローテーション・サンプリングは今、途中段階ですので変わりますけれども、ここで書いていただいている話で、3番の文章の3行のところに、2020年1月を境に標準誤差が大きくなる可能性を書いていただいているのですけれども、これは2分の1が3分の1という意味で書いていただいているのですね。

○稲葉構成員
 そうです。そういう意味です。

○瀧原統計管理官
 そういう意味では、実は3分の1入れ替えになりますと、3分の2が1年間になります。

○稲葉構成員
 逆ですか。

○瀧原統計管理官
 はい。ですので、対象としては増える形になるのかなと。

○稲葉構成員
 そうですね。入れ替えが3分の1ですから。

○瀧原統計管理官
 はい。残る形にはなります。

○稲葉構成員
 わかりました。勘違いしていました。

○瀧原統計管理官
 御理解いただいたとおりですので、そこの部分はそういう形になるということで御紹介させていただきました。

○稲葉構成員
 わかりました。

○瀧原統計管理官
 標準誤差については、次回にまたお答えさせていただきたいと思います。

○稲葉構成員
 すみません。長くなりました。

○今野座長
 ありがとうございました。
 では、事務局からの説明をお願いします。

○瀧原統計管理官
 では、続きまして、その他の部分も含めて資料を説明させていただきたいと思います。
 基本的には同じ資料を今回も皆さんの御議論のもとということで載せておりますので、2ページは前回と同様でございます。
 3ページも前回と同様でございますけれども、実は1点、申しわけありませんが、サンプル数の計算のマクロの中にエラーがありまして、大きな違いではないのですが、実は前回に示した資料と比べて、3ページの一番右側になります、平成30年のサンプル数が少し数が前回と動いておりますので、そこだけ訂正させていただければと思っております。実際には、例えば一番上のところ、平成30年の今回の資料で9,927となっておりますけれども、前回は9,860という形で70ほど数字が動いたというのはございますが、今回の分が正しいという形で御了解いただければと思います。
 それに伴って、この表は同じつくりですけれども、次の4ページ、これも前回と同じでございますが、その次の5ページがサンプル数割合を出しておりますので、これの数字も少し部分的に動いております。共通事業所の集計値のところのみでございますけれども、そこは少し動いておりまして、その結果、6ページの割合のところが前回よりも少し変わっております。前回は6ページの表の産業規模計というのは一番右下になりますけれども、今40.2%という形になっておりますが、前回の資料では39.9ということで、0.3ポイント上がった形になります。
 ただ、全体的な流れとしましては、500人以上のところが80%を超えている。100~499、30~99のところは40%を少し超えた形で、5~29が30%程度というところで、流れとしては変わっておりませんけれども、少し数字が動いていることをおわび申し上げます。

○今野座長
 その結果、3ページ目の実額の数字は変わらない。

○瀧原統計管理官
 実額のほうは、変わりません。これは実は出し方が、今回のサンプルを出すためだけに別に計算したもので、ですので、公表数値には影響はないのですけれども、サンプル数の数え方にエラーが出たということでございます。
 7ページの部分もローテーション、この辺りも後ほどの議論のときにまた見ていただけるかと思って、同じものを用意させていただいております。
今回の作業でやりましたのが、次の8ページになります。前回のときに、この共通事業所と未提出事業所、同じときに調査対象になっているのだけれども、両年ともに調査票を出したところと、29年は出したけれども、30年は出さなかったところについて、29年時点の賃金等を比較しようというものでございます。これを前回は29年1月のみを出しておりましたけれども、月によって違いがあるかもしれないということを踏まえまして、1月から12月までをずっと並べました。ですので、前回は1枚の表に現金給与総額とか全部入っていたのですけれども、まず、8ページの表にはサンプル数のみを記載させていただきました。参考までに、本系列のサンプル数も出しております。
 見ていただきますと、比較的ぶれがあるとはいえ、これを大きいと見るか、小さいと見るかという評価はございますけれども、大体同じレベルのものが並んでいるのかなと。ただ、少しぶれがあるのかなと。
 すみません。私、今、見て気がつきましたけれども、8月と9月に同じ数字が入ってしまっていますね。これは多分間違いでございます。コピーミスだと思いますので、ここは次回に修正させてください。8月と9月はどちらか片方の数字がコピーされていますので、申しわけありません。そこは修正させてください。
 ただ、全体的な流れとして、オーダー的には比較的同じような数字が横に並んでいるというのが、ぱっと見た目の感じではございます。これについては後でまた補足いたしますが、以上がサンプル数でございます。ここから次の9ページ以降が、各調査項目、給与と労働時間に関しまして、共通事業所と未提出事業所について並べて、その比率を出したものでございます。
 9ページ、上のほうが現金給与総額でございますけれども、規模計5人以上のところで見た場合には未提出事業所がやや小さい、下の○1で○2を割ると、1を切る数字が並んでいて、この辺りは規模の大きいほうはより顕著に出ているのかなと思いますけれども、一方で、規模が小さくなると1を超える部分も見えてくる感じではございます。
 その辺は次のきまって支給する給与のほうがより明確かもしれません。500人以上のところは1を切る数字が並んでおりますけれども、例えば5~29ですと1を超える部分が3カ所ほど、30~99もそうですね。こちらは4カ所ですか、出てくるということで、少し規模によって差があります。ただ、全体としては、未提出事業所と共通事業所で一定のレベルの違いがあり得るのかなということが見えるものでございます。
 10ページ、所定内給与と所定外給与を並べております。
 ぶれという意味では、特別給与の部分は結構ぶれが出ているというのが、11ページのところでございます。これは先ほどまでのものが0.9前後が並んでいるのに対して、特別給与のほうはかなりぶれが出ているということで、未提出事業所の差が出ているというのが現状かなと思います。
 労働時間のほうも、総実労働時間のほうが11ページの下にありますけれども、これはそんなに大きな差は出ていないのですが、ただ、1を切る部分が多いというのが全般的な状況かとは思います。
 同じような形で、次の12ページが所定内労働時間と所定外労働時間ということで、時間のほうは、特に所定内のほうは近い差なのかなという形はいたしますけれども、ただ、それでも0.96とか0.97とかの数字が多くなっていて、給与的にはやや低い、時間的にはやや短いというのが未提出の事業所の傾向として見られるのかなと思います。
 その上で、もう一つ新しい数値を計算させていただいたのが、次の13ページでございます。これは先ほどの議論でもありましけれども、共通事業所が4割程度ということになりますが、では、その共通事業所となっているものが、翌月、次の月も共通事業所になるのはどれぐらいの割合なのだろうかということで、隣の月ですね。1月と2月あるいは2月と3月を比べる形で計算したものでございます。
 同じ年であっても、基本的には調査対象は同じになっているはずであっても、月々で比較する事業所分が異なるということで、これを計算したのが、まず共通事業所についてはブルーのところでございます。例えば29年1月に翌年の30年1月との共通事業所になっているものは9,927あります。この内数で、これらのうちの中で、次の2月において29年2月と30年2月の共通事業所になっている事業所がどれぐらいあるかを計算しますと、9,213ということで、割合は92.8%、これが高いか低いかというのはありますけれども、全体的にぱっと見た感じでは94~95%くらいなのかなと。これの比較として本系列のほうを見てみました。本系列のほうも、これも当然ではございますけれども、本系列の例えば29年1月の集計対象になった事業所が、翌2月において集計対象になるかというのは、調査票を提出する、しないというものが出てきますので、全てがならない場合が一般的でございます。
 それを計算しますと、29年1月に本系列で集計対象となった事業所が2万4200、そのうち翌2月においても集計対象、回答をちゃんとしていただいた事業所が2万2869で、割合的には94.5ということになりまして、全体で見ますと、こちらの割合は96前後ということで、基本的には各月とも本系列のほうが割合的には少し高い。どうしても共通事業所のほうが翌月に回答していて、かつその1年後にも回答をしているという制約がかかりますので、どうしても制約が厳しいということでやや低くなるのは想定されることなのですけれども、その割合を計算してみると、このぐらいの差が出てくるということが今回の計算したもので出てくるものでございます。
 この数字をごらんいただいて、皆さんお気づきかと思いますけれども、6月のところで1カ所違う数字が出てきております。共通事業所でいきますと50.1%ということで、約半分になっている。あるいは本系列のほうでも76.6ということで、4分の3ぐらいの数字になっている。これはなぜかといいますと、先ほどのローテーションですけれども、ローテーション・サンプリングの中でも5~29のところのローテーション・サンプリングは既にずっと実施しておりまして、半年ごとに3分の1を入れ替えるということをやっておりますので、6月と12月にそこの部分が出てくるということで、6月に減っているのは5~29の入れ替えによる影響で、本系列においても次月は対象でなくなったので、そこは出なくなったというものがここに出てきているということでございます。
 ちなみに、これはまだ31年の1月が公表されていないので、12月のところがまだ埋まっておりませんけれども、12月と翌月1月の比較をすると、その数字が出てきますと、今度は30~499のところが入れ替わりになりますので、そこの影響で下がるということになります。ですので、共通事業所の比較でギャップができるとすると、6月と入れ替えのある12月のところですね。12月のところにこのようなギャップが出てくるのであろうということが見てとれるものでございます。
 それを少し見ていただけるものかと思っておりますのが、8ページに戻っていただきまして、共通事業所と未提出事業所のサンプル数というものをお示ししております。これで大体同じような数字が横に並んでいるという形で申し上げましたけれども、実は一番下の5~29のところを見ていただきますと、わずかではあるのですけれども、6月から7月の数字が、5~29の6月までは4,700ぐらいの数字が出てきて、未提出の割合が450前後ということで、1月、2月は違うのかもしれませんけれども、そうなっているのに対して、7月のところで少し数字がぶれております。4,500台になったということと、未提出の部分が500に上がった形になっております。
 これは少し落ちつく、最初のときはまだ安定していない部分が出てきて、8、9と進んでだんだん落ちついていくのかなと思いまして、そういう目で見ると、実はここに示しております1月、2月のところと、3月、4月、5月あたりで見ると、1月、2月と3月、4月、5月で違ってくるのは、1月とかの部分は恐らくその前の12月から1月にかけての入れ替えで、新しいところが入ってきたところがぶれの要素になっているのかなと。ただ、入れ替えがあってもトータルの数自身はそれほど大きなぶれにはなっていないということで、一定程度5,000なりのサンプルでとっていく中では、ある程度は安定した数字にはなっているのかなというところが見てとれるところでございます。
 今回、計算させていただきました月々のサンプルあるいは未提出事業所と共通事業所の関係と、サンプルが翌月も対象サンプルになる部分を計算しましたので、御説明させていただきました。これについて御議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○今野座長
 ありがとうございました。
 それでは、資料について、御意見、御質問があれば。
 これは特に今日出していただいたデータですけれども、賞与のところを見るとすごく差が大きいですね。提出と未提出ですね。
 でも、これは全般的には給料の低いところは未提出が多いということだよね。

○瀧原統計管理官
 というイメージではと思っております。規模計などで見ると、総じて平均するとそれぐらいになるのかなと。ただ、ぶれ自身は結構あって、未提出がどんと高い。例えば100~499のうち、3月などは逆に未提出のほうが倍ぐらいになっている特殊な例もあります。その下とかもそういうものが出てきたり、30~99もありますので、賃金はなかなか決まっては払えないけれども、払えるときにもうかったからばっと払ってしまうということもあるのかもしれません。

○山田構成員
 単純な確認なのですけれども、先ほどの共通事業所と未提出事業所の現金給与からずっと賃金水準を並べていただいていますが、これは両方、共通事業所の数字も未提出事業所の数字も母集団に戻す処理をしているということですね。だから、比較できると。例えば未提出事業所の単純に平均をとっているということではなくて、両方戻しているということですね。それは最初に稲葉先生の御質問とかで、前提がそうなっているということだと思います。確認で。

○瀧原統計管理官
 おっしゃるとおり、これは戻しておりますけれども、逆に未提出事業所はさらに数が少なくなっておりますので、先ほどの問題はより出ている可能性はあります。

○山田構成員
 そこと関係しているといえば関係しているのですけれども、少し戻るのですが、3ページの最初に稲葉先生の質問1のところで議論になったところで、あれでかなりクリアにわかったのですけれども、共通事業所の集計値、ここで言うと、要は平成28年と29年がセットで、29年と30年がセットということになるわけですね。
 これは結局、1年間は比較的安定したサンプルだが―これも実はどこまで安定しているのかというのはあるのですが、でも、1年変わるとがらっとかなり変わってしまう。本来は時系列で指数化するという話で言いますと、本当はそこの数字があまり乖離していると、結果的に乖離していなかったら問題ではないのですけれども、これを見るとものすごく数字が乖離している部分がある。
 逆に言うと、共通事業所というものをずっと時系列で見るときに、信頼できる数字ということであるならば、平成30年の毎月の前年同月比を計算するときに、今はまさにここで定義している共通事業所というもので去年も提出したもので出していますけれども、本来はそうではない、この上段のほうで計算したものとそんなに差がなければ時系列的に連続性があるとは言えるわけですけれども、私が計算すると、かなりぶれているわけですね。伸び率がかなりずれるのですね。だから、そういう意味では時系列的な信頼性というか、危うい数字だなという印象は持ちます。

○瀧原統計管理官
 ただ、今、おっしゃっている部分が、例えば29年の特に2つ並んでいます同じ年、同じ月の上下の数字でのぶれという意味でおっしゃっている面があるとしたら。

○山田構成員
 違うものだからなのですけれども、でも、本来は母集団に戻して。

○瀧原統計管理官
 そうなのですけれども、もちろんこれが1年前と1年後と比べたので、集団として変わっているというのはありますが、それに加えて、上と下でベンチマークが違います。

○山田構成員
 そこが違っているのですか。

○瀧原統計管理官
 はい。例えば29年の1月の上の数字は29年のベンチマークで、下の部分は30年のベンチマークになっていますので、それの効きもそれなりにあります。ですから、実はここに2つの数字があるというのは、集団が2つというのもあると思いますけれども、片方に寄せたベンチマーク比較をやっているというところを、それを一本の指数で見るときには、ベンチマークの影響をどう見るのかが非常に難しい話として。

○山田構成員
 逆に言うと、ベンチマークをまだこの3年間しか数字が出ていませんけれども、この後に蓄積したときに、もうベンチマークはある、例えば平成30年にそろえてしまうと。そうやって計算していくとどれぐらい。だから、28年と29年の数字を、ここでは30年のベンチマークを使っていると思うのですけれども、下のほうですね。それをあえて28、29も30年のベンチマークを使ってみる。そのときに出てきた上段のほうの29年の数字と30年の下の段の数字を比較してみたときに、29年の下段の数字と30年の下段の数字との差がどれぐらいなのか。これは乖離しているということになると、ものすごく不安定だということになるということですかね。

○瀧原統計管理官
 そういう意味では、この評価のベンチマークの部分をどうするか。実はこれまでの議論で、今日いらっしゃらないのですが、樋田先生からいただいた資料にそこの部分の要因分解はできないのかというお話がありまして、そこはまだお答えできていないのですけれども、ここの違いがサンプルの違いの部分とベンチマークの違いの部分、両方を含んでいるのは確かでございます。その部分を長期的に比べていくための指数としたときにどう処理するか。ただ、その中で一つ、今、おっしゃったように、例えば30年ベンチマークでそろえてしまうのも確かにあるのかなと思いますけれども、それは指数として一体どういうものかというところは、全部ベンチマークをずっと同じにしていくというのは、それはベンチマークの実質化みたいな話なのかなと。
 ただ、経済変化としては、産業構造の変化も含めて変化だと思いますので、そのときにベンチマークを抜くというところを評価するやり方というか、どう処理するかは引き続き存在しているのかなと。

○神林構成員
 ただ、ベンチマークのウエイトの変化がどういう影響を及ぼしているのかは今ある資料で計算すればわかる話なので、それはとりあえず脇に置いておいたほうがいいと思います。なので、それはそれで実際には難しい問題ですけれども、ベンチマークの影響を除く、抽出率の影響を除く、その後に入ってくるサバイバルバイアスはどれぐらいあるのかをまずは確かめるというのが最初の一歩だと思います。それがまだよくわかっていない。サバイバルバイアスがあるのかないのか。
 今日出していただいた資料で見る限り、例えば499人以下のほうでは、結構比率がぶれますね。時々1倍以上というものが出るので、もしかしたらこれは誤差の範囲でぶれているだけと見えなくもないです。500人以上のほうは、コンスタントに1を下回っているので、これは何らかのバイアスが発生していると考えたほうがいいと思います。なので、まずはそこが最初なのではないでしょうか。サバイバルバイアスがあるかないか、どれぐらい大きいのかを確かめて、それが修正できるかどうかを確かめるというのが第一歩だと思います。
 その後、指数化するのであればウエイトをどうするかという、昨日の阿部さんの話がまともに出てくるわけで、今のやり方だと前年同月比のあるひとつのポイントでしか比較できないわけですね。つまり、1.8と0.3は足して2.1になりましたとはいえないわけで、指数をつくるのだったら、日銀がやっているみたいな連鎖指数みたいに、あまり理論的根拠はないのだけれども、無理やりつなげてしまうみたいなことをやらなければいけないのかもしれない。
 あるいは、ベンチマークを更新しまくるというものですね。半年ごとに系列全部入れ替えるという、そういうことをやるしかないのかなとなりますね。それは多分どの物価指数のつくり方にせよ、ほかの調査でもいろいろ考えているところなので、そこはまずは置いておいて、この調査の特性であるパネル部分の性質を確かめるというのが必要不可欠かなと思います。

○瀧原統計管理官
 そういう意味では、自分で自分の首を絞めるようなことを言うのもあれなのですけれども、その辺の議論を今後していくために、もう少しこういう数字があったらというのがもしあれば。先ほどおっしゃったように、例えば30年のベンチマークでそろえてみると、この2つの集団でどれぐらい差が出ているのかを見てみるのは一つの手かなというのはあります。部分的ではありますけれども。

○神林構成員
 ただ、共通事業所だけに今は議論を絞っていますけれども、本系列にもサバイバルバイアスは出ているはずなのですね。なので、その本系列のサバイバルバイアスと共通事業所と呼ばれるもののサバイバルバイアスを比べるべきなのかというのが、今日の13ページの資料を見て思ったのです。

○今野座長
 本系列のほうのサバイバルバイアスを是正するということは、オールジャパンの正確な情報を得たいという話だね。それはいいのですけれども、共通系列のサバイバルバイアスを一生懸命是正して推定し直したときに、何をはかるのだ。

○神林構成員
 それは残っている事業所に対して共通事業所が持っている性質を特定するということですね。

○今野座長
 ということは、共通事業所の対前年比較を正確にしたいということだね。そういうことだね。

○神林構成員
 もっとテクニカルに言うと、恐らく抽出率のところを修正するということです。産業と規模と都道府県で説明できるのだったら、抽出率を修正するという格好で説明できると思います。

○今野座長
 我々が今、迷っているのは、一生懸命バイアスを是正して正しい数字を出したときに、それはオールジャパンの数字ではないな。オールジャパンの数字を出すのだったら、別に共通系列などは使わなくてもいいわけで、そうすると、既存店の変化を正確に見たいというだけかな。そこはどうなのでしょう。

○神林構成員
 既存店の変化を正確に見たいのだけれども、全国全体の店舗における既存店のウエイトがわかっていないので、現在は既存店があたかも全体であるかのように考えているわけですね。それで平均値を出して、つまり、店舗全体は全て既存店であってという経済を考えて、その平均値を求めていこうというのが。

○今野座長
 でも、それはオールジャパンではなくて、既存店だけの範囲内の話だな。

○神林構成員
 質的にはそうです。ただ、量的には規模全体を指し示すことになります。

○山田構成員
 もともと本系列自体がベンチマークでギャップが生じてしまう。これはもうそういうやり方で決めてしまったので、だから時系列で見られないので、時系列的に見たときに次善の策であろうがギャップがないと考えられる系列を考えていこう、そこで共通事業所が出てきたという流れではないかと思うのです。前回、そういう議論はありましたが。

○今野座長
 そういうことではなくて、私を理解させてほしいのですけれども、この共通系列のバイアスを一生懸命是正して正しい数字を出した、その数字の意味は何かということなのです。

○石原構成員
 私もそこはすごく疑問で、本来に立ち返ってみると、本系列に対してサバイバルバイアスと、それから、ベンチマークの変化という2つの問題でサンプルの偏りがあるわけですね。もしできればサバイバルバイアスもなくベンチマークも変化しないような数字があれば、共通事業所などは要らないわけですね。なので。

○神林構成員
 本系列をちゃんと作れという話ですね。

○石原構成員
 そうです。それで、共通事業所と未提出事業所の比較をするというのは、もしできれば、これだけサバイバルバイアスがありますというのを見つける。

○神林構成員
 なので、まずは本系列の話は置いておきましょう。本系列は改善できないというふうにまずは考えて、そうしたら、時系列的には。

○石原構成員
 でも、何で改善できないと考えるの。

○神林構成員
 それはお題がそうだからではないですか。よくわからないですけれども。

○今野座長
 でも、とりあえず改善したほうがいいと思っているのならば、言っておいたほうがいいよ。改善したほうがいいのではないのと。それは意見だから。

○神林構成員
 もちろん。そちらができるのだったら、そちらのことを話したほうが早いと思いますけれども。

○石原構成員
 ただ、今は共通事業所の話をしたいと。

○今野座長
 前回のヒアリングの明石さんはそういう結論だったな。

○神林構成員
 そうです。個人的な意見は自分もそう思いますけれども、一応、これは共通事業所の話をするというお話だったので。

○今野座長
 でも、そういうことはあるのだけれども、山田さんが言うのは、それは全体、オールジャパンはわかっても、既存店の動きを知りたいのだというニーズがユーザーにあると言ったのだよね。

○山田構成員
 それはそうです。

○今野座長
 別の意味で必要だというのが山田さんの意見。それは本系列がうまくいかないから、共通系列で代替しようということとは別に。

○山田構成員
 それは正確に言うと、アナロジーで持ち出して、百貨店などに関してはその意味合いはあるのですね。新規出店、もともと新規出店自体が断続的に行われたりとか、そこで全体の数字がぶれたりするので、既存事業所で連続して見ようとやっている。でも、今回は実は違うのです。違うというか、アナロジーで申し上げただけで、ここはまた話が戻ってしまうとあれなのですけれども、本当は本系列のほうがいいのでしょうけれども、なかなか制約で出ないときに、共通事業所ということが出てきた。ただ、共通事業所の性格があまりよくわかっていないので、それが代理変数として、代理変数という言い方がいいのかどうかはわからないですけれども、本当は本系列がいいのですけれども、いろいろな制約があるのでできないので、とりあえず連続性というところでは有意性があると思われる共通事業所ということを取り出してきたのだけれども、本当に連続性としてすぐれたものなのか。連続性という問題と、もう一つは、あまりにも母集団からサンプリングが乖離するという不安定なもの、要は、標本誤差が大き過ぎるものであれば、それはかなり注意して使わないとだめだということで。

○今野座長
 ということは、既存店ではなくて共通事業所という限定されたデータで、オールジャパンの情報をもう一度。

○神林構成員
 復元するということですね。

○今野座長
 そういうことなのだね。

○神林構成員
 逆に言うと、それが正しいという議論を、今、しているのだと思います。その背後にあるのは、単月の平均賃金を求めるよりも全国の伸び率を復元することを考えると、例えば平成30年1月の1年前に比べた伸び率を算出するためには、共通事業所しかサンプルがないと考えるわけですね。そのほかのサンプルというのは、後で計算するためにとってある、予備的に調査をしたものである。なので、共通事業所だけを使って全体を膨らませれば、名目賃金の伸び率に関してはコンシステントなエスティメーターができるはずだと考える。それが統計委員会がいっている考え方だと思っています。
 ただ、クロスセクションで平均賃金を求めてしまうときに、共通事業所以外の事業所を含めて求め、そこで求めた平均賃金を2つ出して伸び率をつくってしまっています。この伸び率の2つの計算の仕方は、非常に理想的な世界でない限りはずれるということになる。

○今野座長
 そうすると、そのときに出てきた推定結果が、本当に安定的で誤差が小さくてということになるのかならないのかはわからないということだな。

○神林構成員
 まず、誤差に関してはサンプルサイズが4分の1ぐらいに減ってしまっているので、明らかに標準誤差は大きくなっていると思います。サンプルサイズ経由の標準誤差は確実に大きくなるはずですので。ただ、誤差に関しては、どうしようもないかなと。

○稲葉構成員
 変化に関しては小さくなるかもしれないですね。

○神林構成員
 わからないです。

○稲葉構成員
 計算しないとわからないですね。

○石原構成員
 そうなのですか。

○稲葉構成員
 前年同月に関しては同じなので。

○石原構成員
 確かにそうですね。

○神林構成員
 バイアスがあるとどうにもならない。

○今野座長
 それで数字が出たとするでしょう。でも、こちらには本系列のデータがあるのですね。それと誰かが計算してみてやったら全然違うというのだったら、これも格好悪いよね。

○神林構成員
 だから、全然違わないように、ウエイトを計算して復元していくという話をしているのかなと。

○石原構成員
 あと、連続性を考えると、本系列のほうもすごく不連続な状態になっているものに、共通事業所でとってきた伸び率を合わせる感じになるわけですね。そうすると、不連続になってしまう。

○山田構成員
 全く違うあれではないですか。本系列のほうは本系列の考えでつくっていて、共通事業所はまた違う考えでつくっているということではないでしょうか。ベンチマークの問題とは全く違うし、サンプリングのところで、本系列のほうは今は入れ替えていくわけですね。ところが、これは1年ごとですけれども、共通している、入れ替えはないというほうが共通事業所なので、そこは分断されているのではないでしょうか。

○神林構成員
 何となくわかってきました。

○山田構成員
 もともと共通事業所自体は、先ほど議論があったようにまさに共通なので、新しい動きなどはほとんど入ってこないので、そこのバイアスはかかって、変動は恐らく小さくなるわけですね。そういう問題と、理屈から言うと、ただ、標準誤差は大きくなってくるだろうなと。
 そうすると、いろいろな議論になってくるときに、例えばその後の実質賃金がプラスかマイナスかというのは、結構クルーシャルな議論がされているわけですけれども、これは別の要素が前のヒアリングでわかったように、消費者物価自体がかなり不安定な数字なので、本当は注意して見ないとだめなのですが、もともと賃金の数字自体も標準誤差が大きいというと、スポットで出てきた数字がかなり幅を持ってこないとだめなので、数字は出せたとしても、ここはかなり慎重に解釈しないだめだということになるということだと思うのです。

○今野座長
 もう一度理解させて。共通事業所のデータを使って、結局、オールジャパンの状況を推定するのですけれども、そのときに、実額幾らというよりは、伸び率がどれだけかということを推計するわけね。そういうことね。
 でも、だけれども、そのためにはどこかで実額を計算しているのだな。

○神林構成員
 そこのグループに関しては実額を計算しますね。

○今野座長
 アイデアは、そこでオールジャパンの増加率をもし正しく推定できたとしたら、その増加率をつなげていけばいいということだね。系列をつくるとしたら。

○神林構成員
 ウエイトのことを考えなければ、ですね。

○山田構成員
 ウエイトは結構大きいと思います。先ほどのお話だと、チェーンにするしかないかなぐらいに思うのですけれども。

○神林構成員
 ウエイトのことを考えなければ、つなげていけばいい。なので、ローテーティング・サンプリングを文字通り集計上もローテートさせていくということですね。

○山田構成員
 今、公表されている、多分、共通事業所という言葉からイメージされているものとは違うのですね。毎年そこのベンチマークは変わっているので、時系列でずっと見られるものではないのですね。だから、そこは誤解を解かないとだめで、そういうものをつくれるのかということですね。ここでいろいろな議論をして。

○稲葉構成員
 多分、指数は計算すればできるかもしれないけれども、公表されている前年同月比と整合性はとれないということになるわけですね。

○今野座長
 本系列を変えてもらったらこんな議論はしなくてもいいのだけれども。

○石原構成員
 そう私も思いますけれども。
 ベンチマークとおっしゃっている言葉なのですけれども、先ほどの共通事業所に関するベンチマークというのは、何をというか、経済センサスから出てきたものですか。

○瀧原統計管理官
 同じものです。

○石原構成員
 全く同じもの。

○瀧原統計管理官
 全く同じものです。

○石原構成員
 そうすると、1年ごとにちゃんと出てくるわけですね。

○瀧原統計管理官
 そうですね。そういう意味では正しく言いますと、ベンチマーク自身はいわゆる単位集計区分の部分にかけるウエイトの構成ですね。ウエイトの構成をどうするかですけれども、そのときに、基礎となるのは経済センサスです。経済センサスは、最新ですと26年の6月にありましたので、その部分の産業・事業所規模ごとのウエイトがつくられるわけですけれども、ただ、そのときから、月単位で毎勤のデータで修正をかけていきます。具体的にはベンチマークの基準になったときの、これはイメージなのですけれども、ベンチマークの基準になったところから、毎勤で各区分ごとの労働者が増えたり減ったりしますので、そこの部分を加算していきますので、ウエイトはその月々でどんどん変わっていく形になっていきます。ですから、ウエイトは固定というよりは、月単位で毎月勤労統計の集計値によって補正されていくと。

○石原構成員
 労働者の数に関して補正されていくと。

○瀧原統計管理官
 数が補正されて、それによって構成比が変わってくる。

○石原構成員
 構成比も変わっている。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 補正しても、補正し切れていなくてギャップが発生しているわけね。そういうことね。

○瀧原統計管理官
 はい。ただし、毎勤の数字で補正していたものと、実際の世の中の動きというのはずれがありますので、5年に1回なりに経済センサスが変わったときに、同時点で見比べると、構成比がかなり違うとギャップが大きく出てくるということです。

○石原構成員
 昨日の明石先生の数字だと、そちらのほうがギャップに対する貢献が大きいと。

○瀧原統計管理官
 少なくとも30年1月のときは、ギャップの大きさが全体で0.5%ぐらいあったのですけれども、そのうち0.4がベンチマークの入れ替わり、ウエイトの変更による、更新によるものが0.4あって、サンプルを入れ替えたものは0.1程度であったというのが今回の実態でございます。

○石原構成員
 そうすると、本系列を何とかしたいという立場から言うと、そこをもうちょっと近づけられないのかと。5年に1回の経済センサスは難しいですね。

○瀧原統計管理官
 そこはいろいろ議論はあろうかと思います。5年に1回なのですけれども、これはまだ総務省が検討されている経済センサスなのですが、それをベースに事業所母集団データベースがありますので、補正をかけて毎年新しいデータベースを使って、それをもとにベンチマークをやれば、ある年にどんと出なくて、少しずつ緩和できるのではないかという議論というか、そういう形でやっていけないかという検討がされているところではあります。

○山田構成員
 内閣府は、雇用者報酬というのを、SNAで推計するわけですけれども、そのときに、当然賃金、毎勤から使っているのですね。そこも実は、彼らは彼らで系列を独自につくって接続してやっていますね。でも、そのときに過去の数字ががらっと変わるのですね。こちらとしてはそこのところが問題ある、差し障りがあるというお考えで、なかなかそのように過去に遡及していかない。ギャップが生じますから、ギャップを埋めて、そうすると、過去の数字ががらっと変わってしまうわけですね。全く水準がですね。
 多分、毎勤のやり方というのは変えるのですけれども、ベンチマークとベンチマークを固定してやるというやり方で、何か折衷のやり方をやっているのだと思うのです。そこに対しての過去の連続性とか、いろいろな事情があるのだと思うのですけれども、完全に内閣府と同じ考え方でそういうやり方というのも私はあると思います。そこは議論があるのではないかと私は個人的には理解しているのですが。

○野口構成員
 毎勤が補正した場合にずれが生じるというのは、ここでの未提出者がいて、セレクションバイアスがかかっているということではなくて。

○神林構成員
 ではなくて、人口統計と同じですね。毎月のウエイトは雇用保険データのデータベースからどれだけ事業所がふえたのかという情報をとってきて調整する。けれども、5年に一度の経済センサスは、ストックの全数を調査するので、どうしても、ちょっとずつフローで調整したものと、最終的にずれてしまうわけです。それを一度に直さないといけないので、国勢調査でもやりますね、労働力調査で、国勢調査のベンチマーク年が変わると、労調の数字も過去にさかのぼって変わりますね。あれと同じです。そのときのベンチマークの置き方が、俗に言う三角補正ですね。これは本当に俗に言っている、何かよくわからないのですけれども、昔のベンチマークは動かさない、今のベンチマークは動かさない、間はつなげるというよくわからない補正の仕方をしている。

○野口構成員
 なるほど。

○今野座長
 滑らかにすればいいのだろう。

○瀧原統計管理官
 そうですね。要は、滑らかな。

○野口構成員
 線形で。

○今野座長
 線形で。

○神林構成員
 線形になっているのかどうかもよくわからないのですけれども。

○今野座長
 そういうところは線形でやっているのだよね。

○瀧原統計管理官
 そうです。そういう形で、一部平行で動かして、平行のところは前年同月比は変わらない形になるのですけれども、ただ、それですと、ぴったり合わなくなるので、前回のベンチマークのところに合わせる必要があるということで、そこはきゅっと曲げて。

○山田構成員
 時系列データは、内閣府を中心にやっているのは、全部その三角をやらないでそのまま平行移動させるのです。だから、直近のベンチマークが一番正しいというようにして、過去をがらっと変えてしまうのです。

○野口構成員
 だから、こういうふうに上がっていく。

○山田構成員
 そうなのです。上がるのか、下がるのかというのはあるのですけれども、そういうところが、毎勤に関してはその三角法をやってきたと。そこの連続性の問題とかで、ちょっとという話。

○神林構成員
 それが根本にありますね。
 ただ、本系列のほうはそういう形で毎月ウエイトをつくっているので、一つできるのは、共通事業所と呼ばれるこの事業所の集計方法についても、本系列で使っているウエイトをそのまま使ってしまう手はあるわけですね。なので、2ページの一番最後の数式ですけれども、抽出率であるdというのは、本系列と同じものを使っているわけですね。推計比率のEというところが、本系列の場合には、当年がベンチマーク年だとすると、前年に関しては、当年のベンチマークをそのまま使っているわけではなくて、先ほどの昔だったら三角補正を経たEというものを使っていて、あるいは三角補正をしないのだったら、前回のベンチマークのときのEを使っているわけです。
 いずれにしても、本系列で前年に当たる月にどういうウエイトを使っているのかというのははっきりしているので、それを使って推計比率をつくって復元してあげれば、単純に全体のサンプルの中で共通事業所が持っている性質だけを拾って、平均値を求めてあげることができるのではないかと思います。それを比較して、ウエイトの話と推計比率の話を除いたとして、共通事業所の平均値と非共通事業所の平均値がどれだけずれているのかを追いかけることはできると思います。そうすれば、ウエイトの話はとりあえず置いておいて、本当に特に平均賃金ですね。そういうものがずれているかどうかを見られるということになると思います。

○瀧原統計管理官
 今のお話は、2点間だけでベンチマークをそろえていますけれども、それをさらにという話ですね。

○神林構成員
 例えば30年1月の前年同月比をつくるためには、30年1月のサンプルと、29年1月のサンプルを比べるわけですね。その中で共通事業所というものがありますと。本系列をつくるときには、30年1月のウエイトと29年1月のウエイトがあって、それで膨らませて平均賃金を求めて変化を見ているわけです。共通事業所に関しても単純に同じことをやる。そして、共通事業所が全体に対してランダム・サンプリングになっているとすれば、同じ数字が出てくるはずです。それをまずは確かめるというのが先決ではないかと。

○今野座長
 どのぐらいの誤差が発生するかだね。

○神林構成員
 それでこれをつくってみると、とりあえず未提出事業所は考えなくて、それでこういうものをつくってみるというふうにすると、いわゆる共通事業所と全体のサンプルの中のウエイトを除いた部分の違いを見てあげることができる。
 次に、それがなぜ発生するのかを考える。それが通常のサバイバルバイアスのうち、本当に廃業してしまうというサバイバルバイアスであれば、それは調整してはいけないサバイバルバイアスです。でも、未提出事業所であるということで発生しているサバイバルバイアスだと、それは調整しないといけないので、それを分けて後者の部分だけ全体の中でどれぐらいあるのかを見せてあげることができれば、本系列とコンシステントな共通事業所の数字は出せるのかなという気がしないでもないです。

○山田構成員
 ウエイトのところを一緒にしてしまうと、ベンチマークのギャップのところはそのまま残ってしまうのではないですか。そうすると、恐らくもともと意味がないのですよ。そうではなくて。

○神林構成員
 本系列の数字が正しいかどうかわからないですが、本系列の数字に対して共通事業所の数字が持っている相対的な意味がわかってくると思います。

○山田構成員
 発表するということではなくて、分析する。なるほど。わかりました。

○神林構成員
 ずれがわかってくるので、これが大きいか小さいかを基本的には理解しておかないといけないと思います。

○今野座長
 あるいはそのまま発表して、こういう誤差というか、こういう特徴がありますと書いて出してしまうというのもあるかもしれないな。

○神林構成員
 でも、これはもう公開されているので。

○今野座長
 ここはね。公開の仕方。計算方法を変えましたと。

○野口構成員
 ランダムに捉えたら同じになるし、あるいは未回答のところがランダムに未回答だったら同じになる。

○神林構成員
 そうです。ただ、何となくバイアスがかかっているのではないかと予想はできます。

○野口構成員
 絶対にかかっている。

○神林構成員
 その雰囲気が濃厚なので、それが実際にどれぐらいの数字として推計できるのかが知りたいところだろうと思います。

○今野座長
 それをしてから、またその先を考えると。

○石原構成員
 そこから無理やり継続的な数字をというのは置いておいて、まず、性質を見るということですね。

○神林構成員
 そうです。

○今野座長
 そうすると、もし本系列と大きな差が出たとすると、サンプリングがすごく偏っているか、未提出企業がどこかに偏っているか。

○神林構成員
 か、本系列がおかしいか。

○今野座長
 でも、本系列も未提出はあるのだな。

○神林構成員
 そうです。なので、本系列がおかしいか。なので、どちらを信用するかという難しい話がそこで出てくるということになるかと。

○山田構成員
 でも、普通はサンプルが多いほうが安定していると考えますね。共通事業所にはかなり偏りがあるのだという認識ですね。

○今野座長
 あるいは、未提出の件は諦めるということにすれば、それはサンプルのずれですねというようにも。
 次に、一応事務局に考えていただいたポイントみたいなものを聞いてからまた議論しましょうか。
では、資料2について。

○瀧原統計管理官
 では、資料2、簡単な1枚紙で恐縮ですけれども、これまでの検討会の議論のポイント、今までの論点ということで3つほど提示していたのですが、もう少し具体的なものをという形で、ポイントをまとめさせていただきました。
 ただ、これ自身、事務局のほうで提出させていただいている資料をベースにある程度事実関係あるいはそこから読み取れる大まかなことという形で整理させていただいておりまして、大変恐縮なのですけれども、今まで構成員の皆様方から出た意見をここに反映しているというところまではできておりません。率直な話でいきますと、まだ議事録ができておりませんので、先生方の発言をしっかり整理できていない部分がありますけれども、早急にそこは加えていきたいと思いますが、とりあえず資料ベースで何がわかってきているか、あるいは何が課題であるかを整理させていただいたものでございます。
 まず、多く時間をとっていただいております共通事業所の集計値の特性という形で、ここで(P)と書いてありますのは、今日の資料で関わるようなことが出ているところで、あえて見ていただかなくても大丈夫かと思いますけれども、最初のポツ、当月と1年前あるいは1年後との両方に回答している事業所に限定。これは定義に当たるもので、資料の2ページ目に書いてあるもの。
その際に、復元自身はもちろん次に出てきますけれども、実際の規模とか偏りがありますが、あくまでも母集団労働者への復元のウエイトは本系列と同じ。これ特有の復元の仕方をしていなくて全く同じものでやっているというもの、定義上の式で同じでございますので、2ページ目のところに書いております。
 実際、今ごらんいただいておりましたけれども、本系列と共通事業所の割合が事業所規模等でどうなっているかというのは5ページにありますけれども、本系列に比べて、トータルで言うと4割程度になっている。ただ、産業、事業所規模で偏りがあるということは見てとれるかなと。
あと、今日お示ししましたけれども、未提出事業所と比べると、一定のバイアスがあるのではないかというところが賃金を中心に見てとれるのかなと。規模別のところしか見ておりませんけれども、そういう部分があるのかなというところが、特性で大きなところであります。もっとあるかもしれませんけれども、とりあえず4点を書かせていただきました。
 指数化というところでは、3ページのほうですけれども、同年同月に2つの賃金額があるという形で、比べるのが前か後かで、事業所群が変わるために2つの賃金額が存在する。こういうところの指数化はいかにできるのだろうかということで、今日既にこれまでの議論で出てきたところですけれども、そこの部分を挙げさせていただいていると。
 別途、今日13ページのところで入れ替わっていくという、1月と2月で少し変わる、2月と3月で変わるというところで、各月の事業所群が異なっている。ただし、これは本系列のほうでももちろん起きていることですので、本系列で回答事業所が月々で変化、変移していくものとの相違はあるのか、ないのか、同じレベルなのかというところも課題なのかということです。
 これは先ほど少し言いましたけれども、2ページ目の定義のところで、共通事業所自身がベンチマークの影響を除去していることがありますので、その瞬間というか、前年同月比を比べるという意味では除去することが明確な目的でありますし、そのとおり計算しているわけですけれども、それをさらにつなげていく形になると、そこは課題となり得るのではないかということで挙げさせていただいております。
 それから、データの蓄積が少ないということで、これ自身、ローテーション・サンプリングがこれから平準化されていく中で、定期的にサンプルが変わっていく。今、確実に言っているのは、5~29のところの半年ごとに3分の1というところだけは平準化されておりますけれども、30~499のところは、これから3分の1のローテーション・サンプリングになっていく。500人以上のところも、今、東京都の全数ができていないところを、これから全数に進めていくというところで、違いがこれから発生するところになりますので、そういう部分でのデータの蓄積はこれから見ていかないといけないだろうということでございます。
 この辺り、資料の中で少し説明させていただいておりますけれども、最後のところは、実質化に係るということで、これについては資料的にはそれほど示しておりませんが、昨日、お二人の方からヒアリングをさせていただいて、明石弁護士からは前年同月比を作ることに関して、前年との指数を想定して、それを消費者物価指数で割るという形での実質化を示していただきましたけれども、実際、指数がない指標について実質化はどういう意味があるのかというところは、これもいろいろ御議論をいただいているところであります。
 それから、昨日阿部教授から物価についての調整といいますか、デフレーター等について幾つかお話をいただいたので、それを仮に共通事業所に当てはめるとするとどのようになるかを考えるかというのは課題としてあるのかなということで入れました。
 これはまだまだ網羅できていない部分はありますので、これについてもう少し議論を深めていただくなり、あるいは追加的な部分も御指摘いただいて、今後の進め方のベースにできればということでまとめさせていただきました。
 私からは以上でございます。

○今野座長
 昨日の阿部さんの話は、デフレーターを地域別に考えるのは無理だという話。結局そういう結論だったね。

○神林構成員
 結論はそうですね。なので、どちらかというと共通事業所の指数をつくらないと無理そうだという話になっているのではないかと思います。

○今野座長
 ということは、もしそれであれば、最後のデフレーターの問題はもうないということだ。というか、ほかに選択肢がないというね。

○山田構成員
 あの議論というのは、本系列でも実はかなり危うい数字だということなのですね。本来的には恐らくかなり幅を持って考えないと、もともと帰属家賃というのは推計に物すごく誤差があるし、よくわからないところがあるので。

○今野座長
 でも、帰属家賃を除くのはいいぞということですね。

○山田構成員
 それは正しいということだと思うのですけれども。

○野口構成員
 昨日出ていなかったので、その都道府県ごとの推計が難しいというのは、サンプルの問題ですか。何でそれが難しい。阿部さんの話、デフレーターですか。

○今野座長
 そんな研究がないなと。

○神林構成員
 せいぜい年齢階層で、60歳以上、70歳以上でしたか、高齢者のデフレーターと若年層のデフレーターは違うというのはわかってきた。それぐらいという話です。

○山田構成員
 実際のデータがないのですね。ないわけではないのでしょうけれども、例えば家計調査はあるのですけれども、サンプルはすごく小さいですね。だから、あまり信用できないのではないかと。

○野口構成員
 だから、もうセルになくなってしまうと。

○稲葉構成員
 世帯種類によって消費者物価指数は出ているのですけれども、それを除外して新しい指数をつくること自体が難しい。

○山田構成員
 それを言うと、共通事業所の問題よりももともと本系列の問題になってくるので、何で共通事業所だけそこまで精密にするのかという別の問題が出てくると思います。

○神林構成員
 でも、本系列はちゃんと平均の名目賃金がきちんと推定できていると考えるべきなのでしょう。

○山田構成員
 なのですけれども、実質化という意味が、本来は昨日の阿部先生のお話で言うと、個人で最終的に考えないとだめということですから、集計データでやるということの意味合いというのは、どういうものというお話だったと思うので。

○野口構成員
 元も子もない。

○山田構成員
 そうなのですよ。そこまでいくと元も子もないのですよ。

○神林構成員
 それは結構原理主義的な考え方で、自分はもうちょっと実際的かなと思っていますけれども。

○野口構成員
 GDPは意味がない。なるほど。

○神林構成員
 ただ、共通事業所の性質に合った形でのデフレーターをつくるというのは、多分諦めたほうがいいだろうというのが直感ですね。なので、共通事業所をなるべく全国平均に近づける。共通事業所の情報を使って全国平均を求めるとしたら、どういう計算をすればいいかを考えるということではないでしょうか。

○今野座長
 そうすると、また元に戻ってくる。

○神林構成員
 先ほどの話ですね。

○今野座長
 全国でやるのだったら、別に本系列を使えばいいではないかということに戻るのだよ、どうしても。

○山田構成員
 だから、出すとしたら、本系列でも出しているから、ちなみに出しましたぐらいの意味しかないですね。そもそもは。

○今野座長
 ちなみにでもいいのですけれども、これこれの意味でちなみにと言わないと。

○山田構成員
 だから、ここは書けないというか、非常にストレートに考えていくと、今、本系列で出されている実質賃金自体の意味合いもかなり曖昧です、一定の前提を置いたとしても、かなり幅を持って見ないとだめな数字ですと。でも、既にこれを出しているので、その程度のものということを御理解いただいた上で、合わせるために出しますけれども、そのように御理解くださいと。

○今野座長
 それでは理解できない。つまり、共通系列をわざわざ出すことの意味の理解ができない。

○山田構成員
 それは、三角方式というやり方を今回やらないようにしたので、ギャップが生じるので。

○今野座長
 ということは、昨日の明石さんと同じで、三角方式になればもう要らないということね。

○山田構成員
 三角方式か、あるいはギャップをなくすことにすれば問題ない。でも、恐らくは毎勤自体は三角法でやってきたという経緯もあるので、今回はそういうやり方もしないという御判断をされたので、別の時系列的に連続性のある数字を出さないとだめなので、共通事業所を出しますと。ただ、この共通事業所というのはかなりバイアスなり癖があるので、こういうものだと理解してくださいと。

○今野座長
 気をつけろと。

○山田構成員
 出すのだったらですよ。

○今野座長
 でも、少なくとも共通事業所版デフレーターは無理だということは1個片づいたのね。そこはもうね。

○山田構成員
 そこは分ける意味がないというか。

○神林構成員
 指数化に関しては、もうどんなことをやっても頑張ってやるしかないと思いますので、チェーンをつくるなり、三角方式をするなり、全部取りかえるなり、ベンチマークを更新することによるウエイトの変化はあらゆる統計が、時系列的な統計がこうむっている問題で、それは毎勤だけではない話ですので、これは何か比較的決心すればできそうな話だと思います。
 ただ、話をかえていいですか。共通事業所だけを取り出して見る意味は、賃金の変化率を見るときに、別の言葉で言うと新しく参入した事業所の賃金というのをどう考えるのか。新規出店と同じですね。昔はないので、そこは伸び率はないです。それを考慮せずに伸び率を考えるべきなのか、平均をとって伸び率を考えるべきなのか、どちらなのか。結構重要な問題のような気がします。
 今、いる事業所から離れて転職できて、新しい事業所に行くことができると考えるのであれば、もしかすると新しい事業所を含めて平均賃金は計算すべきだと考えるかもしれない。伸び率としてですね。実際にその人は転職しなかったら新しい部分はもらえないわけですけれども、潜在的に労働市場で平均的に稼ぐことができる賃金という意味では、新規事業所でどれだけ賃金がもらえるのかを考慮した上で、前の年の平均賃金と今の平均賃金を比べることが必要になるかもしれない。

○今野座長
 そのとき、共通事業所は消えてしまうのではないの。

○神林構成員
 共通事業所でやらないほうがいいということですね。

○今野座長
 そういうことだな。

○神林構成員
 はい。ただ、転職はできませんと。去年、29年の1月に働いていたところでしか労働者は働けませんと考えれば、共通事業所で計算される賃金の伸び率が、まさに賃金の伸び率になると。何かへ理屈だな。

○石原構成員
 西村先生が思ったのはそれですよね。ほとんどの人が転職をしないから、同じ事業所同士で比べたら。

○神林構成員
 そんなことを言っているのですか。

○石原構成員
 何かに書いてあった。この資料に書いてありましたよ。

○神林構成員
 不勉強ですみません。

○山田構成員
 自分の事業所の平均賃金が上がったかと。

○石原構成員
 そうですね。

○今野座長
 山田さんが言う、既存店と同じこと。

○山田構成員
 そうなのです。だから、そういうイメージでお話しされているのではないかと思います。

○今野座長
 でも、新しく入ってきた人たちはそんなことは思わないよなとか。

○神林構成員
 なので、既存店と新規出店の関係で見ると、これは分けることができて、それを出すというのは望ましいでしょうね。もし仮に自分がその企業にずっと居続けたとしたら、名目賃金の伸び率はこのぐらいですよと。けれども、実は経済には新しいところがいっぱいできていて、そこを含めて名目賃金の伸び率を見たら、実はもっと高いのですよということは、頑張って転職しましょうみたいな話になるかもしれないし、逆だったら、頑張ってしがみつきましょうという話になるかもしれない。でも、それは経済、労働市場の実態をあらわすいい指標になるかもしれないですね。

○今野座長
 それはそれでいいのだよね。でも、そう考えたときに、それをつなげられるかな。対前年でどのぐらい上がりましたよということはわかるのだけれども。

○山田構成員 
 多分、チェーンウエイトみたいなことをやると、これも神林さんはずっとおっしゃっているように、いつもこの問題は発生するので、決めでやってしまうと。

○今野座長
 決めで。でも、対前年だけずっと示しておいて、後は勝手に使ってよというのもあるけれどもね。

○山田構成員
 今はそういう形ですね。私もこの前は勝手にアナロジーで百貨店の既存店のイメージを持っていたのです。だから、同じ事業所をずっと継続しているのかなと思っていたのです。でも、実は違うということなので、普通の人はそう誤解して使うわけですね。しっかりとそこはこういうものだという定義を言わないと。

○今野座長
 例えば、コンビニなどの既存店で売り上げ何ぼ伸びましたと言っている、あれは完全に入れ替えているわけだね。そのときの既存店だね。これはその感じだね。

○山田構成員
 そうですね。でも、それよりも毎年毎年の既存店の変化が激しいのです。あれはそれほど大きく動かない。しょっちゅう入れ替えている。もちろん入れ替わっていくのですけれども。

○今野座長
 しょっちゅう入れ替わるというのはサンプリングしているから。

○山田構成員
 向こうは全数調査ですね。

○今野座長
 向こうはね。

○山田構成員
 だから、サンプリングが入ってくるので問題が。

○今野座長
 でも、相対的に西村さんが言うように、ずっといる人がどれだけ賃金上昇の実感を得るかについてはそれに近いデータは出るけれども、それはオールジャパンとは関係ない話ですという話だね。

○神林構成員
 そうなると、実質化の話が入ってきてしまうのですけれども、それをデフレートするときに、自分の企業にずっと勤続するような人たちが多い地域と、そうではなくて、新しい産業が興っているような地域でもし仮に物価が違うとしたら、あるいは居残るという人たちは結構年齢がいったような人たちで。

○今野座長
 その問題は、もう実質化しないと言えばいい。もうデフレーターはないのだから。

○山田構成員
 本系列はあくまで本系列、新規も入っているけれども、既存は既存なので、そうすると、当然デフレートするときに、全体の数字で新規も入っているものはとれるのだけれども、既存の人たちのものはとれないので、実質はできませんということですね。

○神林構成員
 そういう意味では、名目の既存店の伸び率と、新規出店の比率みたいなものを出す。名目で出しておけば、全体の平均に対しては実質化してくださいと、実質化してしまえばいいので、あとは比率さえ出しておけばいいのかな。それが一つのアイデアかもしれないですね。

○野口構成員
 CPIは商品を固定するではないですか。それで、5年間ぐらい続けてまたあれするではないですか。

○神林構成員
 ちょっとずつ入れ替えていると言っていますけれども。

○野口構成員
 それと同じ感じ。

○神林構成員
 そうです。先ほどのウエイトを固定するというのは、ラスパイレスとかどっちをとるかという話です。基準年をとるか、当年をとるか。けれども、ウエイトは固定してしまいますと。なので、推移性がなくなってしまいますと。

○野口構成員
 なるほど。

○今野座長
 既存店のことだけちゃんとデータを示してあげればいいのだぐらいにしておけば気が楽で、いろいろ苦労してオールジャパンに復元しなくてもいいわけでしょう。
 ただ、そうはいっても、このデータは少し癖があるとかというのは、ちゃんと明確にしておかなければいけない。

○山田構成員
 だから、特に既存店といったときに、普通にやられている統計というのは全数調査をやっているわけです。これはサンプルなので、しかも、サンプルは結構ぶれるので、その程度のものだというとあれですけれども、そこははっきり示すと。

○神林構成員
 なので、繰り返しになってしまうかもしれないですけれども、ウエイトと抽出率が変わらないという前提だったら話は結構簡単で、実際のサンプルの平均値、平均比率だけをとってくれば変わらないので、それでいいのですけれども、問題はそれが変わるのかどうかですね。共通事業所であるがゆえに、実は30年の1月に出てきたときの抽出倍率というのが、実質的に変わってしまうことがあるかどうかが問題だと。それは調べましょう。

○今野座長
 それはいいんじゃない。どちらにしたってね。誰が調べるの。

○山田構成員
 標本誤差を示すと大体それでわかってしまうのではないですか。共通事業所の。そうでもないのかな。

○稲葉構成員
 この計算はすごく難しいと思います。

○山田構成員
 それは難しいのですね。

○稲葉構成員
 というのは、比推定を最後に掛けているので、理論上の算出は難しく、副標本法という方法で推定するしかないと思うのですけれども、標本設計上6とか8とかとれる層がないので、リサンプリングをベースにした方法を多分とれないのではないかと。

○神林構成員
 少ない。

○稲葉構成員
 少な過ぎるのです。ですから、本来ならば共通事業所という系列を出すときに層を現状の層ではなくて違う層でやるという検討をするべきだったのかもしれません。今の推定ですと、先ほど御説明があったように、ゼロのところは全部平均に置きかわってしまいますので、層で分けている意味がまるでないということになります。

○神林構成員
 そうしてしまうと、それと比較する本系列も切り直さないといけないですね。

○稲葉構成員
 層を同じにするのだったら、切り直しですね。3倍ですから落ちてくるのとは思うのですけれども、3分の1にしてしまったときにとても少なくて、一つの事業所の状況がその層を全て代表したりとか、全然なかったりとかというところで、そのぶれがどのくらいあるのかが現状ではわからないですね。

○野口構成員
 1回でも全数調査をやるといいのですけれどもね。1回でいいから。

○神林構成員
 別の資料を使いませんか。賃金センサスとか。6月に関しては賃金センサスと同時にやっていますから。

○稲葉構成員
 どうなのでしょうか。

○神林構成員
 そうしたら、サンプルサイズが単純に倍になりますね。

○今野座長
 具体的にどうするかよくわからないので、相談してやってよ。それでアウトプット、知りたいことはもう決まっているので。

○稲葉構成員
 多分、すぐ出る話ではないと思うのです。やろうとしたら、数カ月かかる話だと思います。

○今野座長
 それはやらなくてもいいから、こういう手順が必要だというのでもいいのですね。そこが明示できていれば。

○稲葉構成員
 その話の関連で言いますと、先ほど教えていただいた推定比率の層でゼロになってしまうことで、本系列と共通事業所を一緒に扱うというのは、私はかなり違和感があります。
 というのは、ベンチマークとして、労働者数に合わせるようにしているのにもかかわらず、実際、労働者数としては出ていないかもしれないけれども、全然足りないわけですね。というのは、やはり違和感があります。平均値として出しているので、数値としては出てきていませんが、裏の計算としては足りない部分で計算をしていることになります。

○今野座長
 我々としては、今、言われた問題も含めて、我々の知りたいことをやろうとしたらやらなければいけないことはこういうことがあって、これをやるにはこんな手順でやらなければいけないということをまとめればいいかなと。その手順どおりやるかどうかは別。すぐできるものはやってもらってもいいですけれども。そのマップができ上がれば、一段階の整理かなと思うのです。そこから先はどこまでやるかは、いろいろなことがありますね。リソースの問題もあるし、時間の問題もあるし、もしかしたらわからないけれども、理論的な問題もあるかもしれないので、それは次の段階で考えればいいのかなと思うのですけれども。

○稲葉構成員
 マップで考えると、情報公開に関することも含めていただければと思います。つまり、今、我々が見ている共通事業所の前年同月比の計算はこのようになっているというのはウエブ上では見られないのですけれども、これはどこかで公表されている話になっているのでしょうか。

○瀧原統計管理官
 そこは実際、我々としては、月々の公表資料の中で共通事業所はどのようにやっているのかというのは言葉では書いているのですけれども、ただ、そこがここまで読み切れるかどうかが。

○稲葉構成員
 これで内容を詳しく説明していただけると、本系列と共通事業所の系列の計算方法は違うということが周りに知れ渡ることになると思います。現状、言葉で説明したものだけで判断するのは難しいのではないかと思います。
 指数化できないと言った理由も、ここの根本的なところがわかっていないと、指数を計算すればいいではないか、指数を計算して実質化すればいいではないかという意見が出てくるのはしようがない話なのかもしれないと思います。

○瀧原統計管理官
 そういう意味では、今回、この検討会で資料を整理させていただきましたけれども、これ自身は統計委員会が昨日ありまして、報告したのですけれども、統計委員会もこの資料でやっとわかるというか、こういうものがあると非常にユーザーに対していい資料になっているというお話がありましたので、そういう意味では今回の資料はどんどん公開というか、皆さんに知っていただいて、それで理解していただくための一つの資料としては使わせていただきたいと思っております。

○今野座長
 今日は、その公開の仕方の問題も重要だと。それは何か最終的にどういう我々は産物を考えるかはわかりませんけれども、それをみんなに理解してもらうことが重要だということも、我々が考えなければいけない問題点リストに当然入ったと思います。
 では、今日はこのぐらいにして、先ほど瀧原さんが言われたように、我々が議論した内容について整理してもらって課題リストみたいなものをつくっていただきますので、それをもう一度見て議論をして、そこで一段落かな。そこから先どうするかは次の問題として。ここはやるぞとか、ここは厚労省がやれよとか、ここは神林がやれよとか、そういうのを。あるいはここはやらないとかね。それも含めて。

○瀧原統計管理官
 その整理を。

○今野座長
 そのリストが外部の人にもすごく参考になるのではないかと思いますよ。

○稲葉構成員
 そうですね。理解される方は多いのではないかと思います。

○今野座長
 それでは、今日は時間ですので、この辺にさせていただいて、「その他」とあるけれども。

○瀧原統計管理官
 特にはございません。

○今野座長
 大体論点はできた感じだね。
 では、今日はこの辺で終わります。

○細井統計企画調整官
 今日も長時間にわたりまして御審議いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催でございますが、3月12日火曜日、10時から12時を予定させていただければと思っております。開催案内は追って御連絡を申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、第4回の検討会を閉会させていただきます。
 本日はお忙しい中、ありがとうございました。             
                                        
                                                                                                                                                                               (了)

照会先

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7609,7610) 03-5253-1111(内線7373)