第10回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

平成30年5月18日(金)13:00~15:00

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

議事

 
○阿部座長 ただいまから、第10回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会を開催いたします。本日は全委員に御出席いただいておりますが、長谷川委員が所用により途中退席すると伺っております。また雇用開発部長は、他の公務により途中からお見えになるということです。
 早速議事に入ります。本日の進め方ですが、資料1の前半部分である在宅就業支援制度について事務局から説明をしていただき、意見交換の時間を取ります。その後、事務局から資料1の後半部分である在宅雇用について説明をしていただき、意見交換の時間を取ります。それでは資料1の前半部分について、事務局から説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の中村より説明いたします。今日のテーマは、在宅就業等の雇用以外の働き方をする障害者への対応ということで、在宅就業支援制度等を足掛かりに御議論を頂きたいと考えております。
 4ページです。本日御議論いただく部分を赤の枠で囲っています。障害者の多様な働き方の希望を実現するためには、雇用に限定せず、企業活動の中で障害者の就労に対する支援も促していくことも求められているのではないか。こうした取組が、中期的には障害者雇用の促進につながるようなことも考えられるが、在宅就業支援制度等について、どのような対応が求められているのかということで、既に設定をさせていただいているところです。
 5ページです。これまでこの在宅就業支援制度等に関して、ヒアリング等で頂いた御意見を列挙しておりますので、確認も兼ねて紹介いたします。そもそも活用方法が余り周知されていないといったことのほか、能力評価や技能習得の教育機会、研修機会の拡充が必要だといったようなこと。それから後ほどまた説明いたしますが、障害福祉サービスへの作業発注の促進の機能も持っておりますので、この辺りに対するインセンティブの付与や、いわゆるみなし雇用の扱いについて積極、慎重の双方の意見がありました。その他、働き方の選択肢を拡大することが重要とか、先ほどの発注促進の効果なども考えると、名称の変更もあったほうがいいのではないかといったような意見などを頂いております。
 6ページです。改めて、この在宅就業障害者支援制度という既存の制度について説明いたします。簡単に申し上げますと、在宅就業障害者で自宅等において就業する障害者の方に仕事を発注する企業に対して、納付金制度の下で特例調整金をお出しするということでして、パターンとして2つあります。図の中でマル1発注と書いてありますが、企業から在宅就業の障害者の方に直接発注をするケースで、この場合に、その実績に応じて調整金を支給するということが1つあります。これが在宅就業障害者支援制度という名前を見たときに通常想像するイメージの形かと思います。
 実際の制度においては、もう1つのルートとして、その下の在宅就業支援団体を介して実際に障害者の方に仕事を提供する場合のルートがあります。その際に、この在宅就業支援団体としては、いわゆるB型事業所等の福祉施設が、この支援団体という位置付けを取得して、障害者がそこで就労をしていて、そこに企業が発注をしたという場合についても、対象になります。
 ただ、違いがあるのは、最初の企業から直接という場合には発注額がそのまま調整金の金額を計算する際の基礎になるのに対して、後者の場合は中間の在宅就業支援団体が発注を受けた後、更にその障害者の方に工賃などの形で対価を支払った場合、この金額を基礎として計算をするとなっております。その計算式が上に書いてありますが、こういった発注額や障害者の方が在宅就業支援団体から受け取った額を対価額と称しておりますが、金額を35万円で割って、これに対して2万1,000円を掛けるという計算式になっております。ちなみに、この35万円という数字は障害者の平均の賃金が約20万円程度の水準で、これに加えて、在宅就業の場合に自ら環境を整えなければならないようなコスト等もあるということで、それらを加味した形で設定している金額です。
 7ページです。改めて確認ですが、この制度の趣旨とそれを踏まえたこれまでの改正を整理したものです。内容の後に趣旨を申し上げて恐縮ですが、この制度創設の趣旨は、障害者雇用促進法の目的の下で障害者の社会参加が進展して、障害者の就業に対する意欲も高まってきている中で、障害者の就業機会の拡大を図るということで、その多様な働き方の選択肢の1つとして、雇用そのものではないのですが、在宅就業に対する支援策を講ずることにしたものです。この在宅就業を支援対象とする考え方としては、障害の程度や交通機関等の状況から通勤が困難な方にとっての選択肢となるといったことや、雇用に移行するに当たっての準備期間として職業能力・経験を高める機会になるといったようなことを踏まえて、雇用の促進を阻害しないよう留意しつつではありますが、促進することが適切とされたということです。
 平成27年に、先ほど御紹介しました算式が改められて、現行のものになっております。それ以前のものは、ここで改正前とされておりますが、支払総額を割る分母の金額(105万円)が、先ほどの35万円に3か月分を掛けるという発想になっていました。これに6万3,000円で、この掛ける金額のほうも2万1,000円に3か月分を掛けるとして計算していました。105万円で割り切れる金額であれば同じ額になるのですが、要は小口の発注であっても1に満たない、切り捨ての対象にならないので、特例調整金が何らかの形でもらいやすくなるという見直しをしているということで、より小口発注でも使えるように使いやすくしたことが、一度制度改正としてはあります。
 8ページです。特例調整金と同じように、やや低い金額で報奨金を用意しておりますが、その算式を書いているものです。この中で先ほど説明しなかったことで申し上げますと、真ん中に書いてありますが、法定雇用率未達成の企業においても、上限額はありますが、特例調整金の支給対象となります。その特例調整金の金額に応じて、納付金が相殺、減額されるという仕組みになっております。また、その下ですが、特例調整金には上限額が設定されており、2万1,000円の単位的な金額に、各月の雇用障害者の年度合計数を掛けて、これを上限額として定めております。この結果、雇用障害者がいない、いわゆるゼロ企業といったような所は上限額がゼロとなるので、この制度は使えないというか、特例調整金等はもらえないということになっております。
 9ページは、この制度の活用実績です。少しずつ増えてきてはいるものの、総額として634万円というレベルです。その支給対象の事業主数も10前後で停滞をしているということで、よく活用されているとはとても言えない状況ではないかと思っております。
 10ページは、そういった活用の実績を少し細かく見ているものです。支給額のデータを基にして、障害者本人への支払いの総額や、そこから発注先障害者1人あたりの報酬額を年額、月額という感じで計算していっているものになります。ちなみに、最後の発注先障害者1人あたりの報酬額を御覧いただきますと、やはり直接発注という欄に○が付いている所は相対的に高めの金額になっているのに対して、団体経由の所は低めということではあります。ただ、3,977円という低い金額の所もありますが、支援団体、福祉事業所だと思いますが、そちらの単位として見れば、他にも作業をしていればその分の工賃もあるはずですので、これが障害者の方の収入の全部というわけでは必ずしもないだろうとは思います。全体のそれぞれの利用状況としては、このとおりです。
 11ページは、在宅就業障害者支援制度の対象となる場所を改めて整理をして示しております。1つ目は当然ながら自宅です。2つ目として、障害者が物品製造等業務を実施するために必要な施設及び設備を有する場所でもいいということで、例えば※の2つ目ですが、在宅就業支援団体を通じて在宅就業障害者に発注を行った事業主については、当該発注をした事業主の事業所でもよいということになっております。3つ目として、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜が供与される場所ということで、福祉施設などでもよいということです。その他、障害の種類及び程度に応じて準備、訓練等が行われる場所などが定められております。
 12ページは、在宅就業支援団体の現況です。厚生労働大臣に登録をすることになっておりますが、平成29年6月時点で22団体で、実際に制度の中で活動をした実績があるのは18団体ということで、こちらも余り広がりがない状況です。
 13ページは、在宅ワーク全体の現状です。この在宅ワーカーというのは、請負契約に基づいてサービスの提供等を行う在宅形態での就労です。これは障害者に限らない統計でして、ワーカーの数としては全体として徐々に増加してきておりますが、年齢層や経験年数については非常に様々です。
 14ページからは、発注という側面に着目して、幾つか資料を用意しております。在宅就業障害者支援制度において発注の仕方を整理してみますと、パターンマル1は障害者が特に自宅で働くので、企業は直接そこに発注をしている。あるいは、このルートの発注の途中に就業支援団体が入ることも概念上は可能ですが、実態としてはほぼないです。パターンマル2は、就労移行支援事業所やB型事業所などの福祉法人が、在宅就業支援団体としての登録も受け、そういう看板を持って、そこで請負の形で発注を受けると。他方、利用される障害者の方が通所で、その事業所において就労をされて、最終的に報酬を受け取るのというパターンです。パターンマル3は、働く場所は発注をした企業でもいいと先ほど説明いたしましたので、今のパターンから就業場所がいわゆる施設外就労ということで、その企業へ行っているものです。このようなものが、一応大きなものとして考えられます。
 15ページは、発注ともらえる調整金との関係を整理しております。障害者雇用納付金の1人分は年60万円となりますので、例えばこの制度を使って、仮に在宅障害者に発注をして取り戻そうとする場合に、どういう違いが出るかということですが、在宅障害者に直接発注することでそれをしようとした場合には、下に3つ書いてある図の真ん中にありますように、1,000万円を発注してあげると計算上60万円程度で釣り合うのに対して、支援団体を介して発注しようとした場合には、一番下の図を見ていただきますと、発注額ではなくて、実際に渡した工賃を基に計算することになるので、同じことをやろうとすると、この発注額は1,000万円では足りなくて、ここでは仮に3割程度を占めるという発注額に対して、この制度を活用して工賃相当のものがいく割合は、マクロ的には3割程度となっているので、仮にそれで割り戻してあげると、3,300万円の発注をしないといけないというようなことになっており、そのどちらに発注するかによって、受け取れる額が開いてくるという状況になっているものです。
 16ページでは、在宅就業障害者の事例を幾つか挙げております。上の2つは直接発注の事例です。マル1は、網膜色素変性症を発症した障害者の方自身が事業会社を立ち上げたのですが、その会社からの業務委託の形で、在宅で就業をされているものです。マル2は、運動機能障害がある方なのですが、CADシステムを使うことができる方で、それを使った業務を自宅でされています。事例マル3とマル4は、支援団体を介した発注です。マル3はIT系企業などでの投稿物に不適切な内容がないか等のモニタリング業務を実施していた方でして、この方などは、例えば発注元の企業においては、それをトライアルと位置付けて、正社員として採用したという流れのようです。また事例マル4においては、施設外就労として在宅就業支援団体を通して、食品スーパーが障害者を受け入れ、きちんと支援団体の職員なども付いて施設外就労をやりつつ、これをステップに就職する障害者の方もいらっしゃるという事例です。
 17ページは、以上申し上げたようなことを踏まえ、細かな論点を設定しております。在宅就業等の雇用以外の働き方をする障害者への対応として、在宅就業支援制度における対応を図るべきとの声が多いけれども、この対応の方向性として、次のような論点が考えられるのではないかということです。まず大きな考え方としては、繰り返しですが、在宅就業支援制度には、通勤が困難な障害者にとっての就業機会の選択局面と、雇用に移行するに当たっての準備期間として能力・経験を高めることになるという側面がある中で、制度創設時期と比較すると、就業を希望する障害者の数自体は相当増えているにもかかわらず、本制度の利活用は低水準のままですので、この利活用を促進し、特に一般雇用への更なる転換等を進めていくということで、通勤等に困難を抱える障害者の就労機会の確保を図ることの見直しが求められているのではないかということです。
 ただ、その際に制度創設時期とも比較して、法定雇用率と実雇用率がかなり近付いていることなどを踏まえると、企業による発注を雇用とみなすということが雇用の阻害につながるということから、この点には留意した検討が必要ではないかということを述べております。
 その上で、具体的な対応の論点を少し細かく設定しております。18ページに文字で書いてあるようなことを19ページの図で示しておりますので、そちらで説明いたします。特に一般雇用への転換を促進していく観点から、幾つか考えてみたものです。先ほどのパターンマル3の資料を持ってきておりますが、この場合に限らない論点もありますので、分かりやすくこちらで示しております。1つ目は、対象とする障害者は自宅で就業する障害者に限らないので、この範囲を適切に表現した制度名に変更するということが考えられるのではないかということです。2つ目は、施設外就労は、やはり一般雇用へ転換していくという意味では、効果が大きいのではないかと考えました。正にパターンマル3のように、施設外就労で障害者を受け入れるという場合に、発注等に対する経済的メリットを更に付与するということは考えられるのではないかということです。3つ目は、発注の仕方によって受け取れる金額が違うことから、在宅就業支援団体を介した発注の場合には、工賃ではなく発注額を算定の基礎とすることとしてはどうかということ。4つ目は、能力向上を図る機会にもなるという観点も含めて、一般雇用転換等に積極的に取り組んでいる団体に対しては、新たな助成措置を講ずることとしてはどうかというものです。最後に、上限額の関係で、障害者雇用ゼロ企業が使えないということで、まずは障害者の方に接していただくという意味からすると、このゼロ企業に対しても何らかの形で活用できるようにすることが考えられるのではないかということです。事務局からは以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明に関して御意見、御質問を賜わりたいと思うのですが、毎回お願いしていますように、御発言の際は挙手をしていただき、お名前を言っていただいてから御発言をお願いしたいと思います。それでは、どなたからでも結構です。よろしくお願いします。では、漆原委員どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原です。質問が1点と、その後に意見を述べたいと思います。まず、質問です。10ページの活用状況の右の所に年額と月額とあります。毎月発注があるかどうかということも関係があるかと思いますが、この月額というのは、単純に年額を12で割った数字なのか、あるいは、ここで数字が記載されているものは毎月平均して発注があるものなのかを教えていただければと思います。
 意見です。この制度の名前が、少し分かりづらいところもありますので、これまで周知・広報もそれなりにされているとは思いますが、名前をもう少し分かりやすくしたうえで、周知・広報に力を入れることも、勘案すべきだと思います。ただ、そうは言っても、この制度の活用によって、一般雇用への転換が仮に進んでいくとすれば、是非、進めていただきたいと考えています。一方で、調整額が小額であるため、どれだけのインセンティブが、個々の発注側、受注側にあるのかというのは、一概には言えないと思っております。特に、最後に御説明のあった一般雇用への更なる転換を進めている所には、これまで以上に何らかのインセンティブがあってもしかるべきではないかと思うところです。以上です。
○阿部座長 それでは、御質問がありましたのでお願いします。
○障害者雇用対策課長 事務局です。このお尋ねの月額と書いてあるものですが、これは議論の御参考ということで、単純に年額を12で割ったものです。
○阿部座長 よろしいですか。
○漆原委員 はい。
○阿部座長 御意見としては、制度の名称が分かりにくいということだと思うのですが、そもそも、別なものが2つあるようにも見えると、本来の在宅就業されている方への助成と、そうではないものとがあるので、確かに、漆原委員のおっしゃるように、分かりづらい名称になっているかと、漆原委員の御意見ですと、1つの名称の下で今のような制度を維持するという考え方なのだと思うのです。
 ただ、私がここで意見を言わせていただくと、別の制度にして名称を変えるというのも1つ考えられるのではないかと、在宅就業向けの場合と、それ以外の、いわゆる通所型のケースと分けて名称を付けるというのも1つあるのではという気がしております。また、皆さんから御意見を賜わればと思います。
 さらに、インセンティブが小額、特に一般雇用への転換に関してのインセンティブが少ないのではないかという御意見も賜わりました。また、これに関しても、委員の皆様から御意見があれば頂きたいと思います。長谷川委員どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。今の点に関わることで、質問も含め意見も述べつつお話いたします。阿部先生がおっしゃったように、同質ではないものが今は1つの制度に入っているので、在宅で就業しているパターンと、施設で通所型あるいは企業に行ってというパターンについて、分けて制度を作っていったほうが良いのではと感じています。
 質問は、例えば6ページの図にあるように、企業が直接在宅就業障害者に発注する場合は発注額となっており、支援団体を介して、恐らくほとんどの場合が就労支援事業所だと思いますが、そこに仕事を依頼する場合は対価額となっています。この発注額と対価額というのは、どのように違うのか、その中身を教えていただきたいのが1つでして、教えていただいてから次の話をしたいと思います。
○阿部座長 対価額と発注額の関係についてお願いします。
○障害者雇用対策課長 事務局です。この違いは、この図で言いますと、企業側から支援団体に何らかの発注を行ったという、その金額を計算するのが発注額なのですが、それに対して、次の仕事提供・対価支払というものについては、その受けた発注に対して、その就業支援団体が工賃などの形で実際に障害者の方に幾らお支払いをしたかというもので、それも書面によって幾ら支払ったのかを確認するようにしております。
○長谷川委員 福島大の長谷川です。細かい話になっていくのかもしれませんが、工賃を支払うのは、在宅就業支援団体ではなく就労支援事業所、例えば、B型だったらB型事業所が工賃を払うのですよね。なので、支援団体がB型事業所に支払った金額なのか、それともB型事業所が直接、障害者に支払った工賃の枠なのか、どちらなのですか。
○眞保委員 在宅就業支援団体はB型事業所やA型事業所を同一法人内にもっていることが多い。
○長谷川委員 それは分かるんですけど、でも別組織であることも有り得るわけですよね。
○眞保委員 在宅就業支援団体単独で設置しているところは少ないでしょう。
○阿部座長 現実はない。 
○眞保委員 在宅就業支援団体単独では報酬がありませんから、単独で設置するとそれ自体では経営が成り立たない。A型、B型事業やNPO法人などで何か事業を行っていてそれをベースに在宅就業支援団体の認可を受ける。
○阿部座長 今のところは。
○長谷川委員 今のところは、でも理論的には。
○阿部座長 でも、理論的には有り得るんですか。
○眞保委員 理論的には有り得ます。
○障害者雇用対策課長 有り得たとしても、この計算上はその支援団体が支払った金額になるので、もし別であれば、その支援団体とB型の事業所の間で、どのような関係の整理をしているかということになるのだと思います。
○長谷川委員 ということは、支援団体が別組織であれば、別組織の事業所に支払った金額が対価額、逆ですか。
○阿部座長 少し待ってください。今、知りたい具体的なこと、具体的な質問は何でしょうか。もう一度整理をして。
○長谷川委員 具体的には、その対価額というものが、支援団体が事業所に支払った金額を言っているのか、事業所が直接、障害者に支払っている工賃の額を言っているのか、どちらと整理してあるのかです。
○障害者雇用対策課長 事務局です。それはあくまでも団体が障害者の方に支払った金額で、それで工賃という名目とは限らないです。
○阿部座長 例えば10ページで、それは障害者本人で支払っていた額そのものが出ているわけですよね。
○長谷川委員 と理解していました。
○阿部座長 いいんですよね。はい。ただ、ここには企業が発注した発注額は、必ずしもここには載っていないですよね。
○障害者雇用対策課長 発注額はないです。
○阿部座長 ないんですよ。だから発注額と、この障害者本人の方々へ支払われた総額とには差はあるかもしれないのですが、ただ、この特例調整金には、本人への支払額を基に調整金は決まっているという理解でいいのですよね。
○障害者雇用対策課長 はい、そうです。
○阿部座長 長谷川委員がお聞きになりたいのは、それでよろしいですか、企業が発注元が支払っているものと、障害者へ支払われているものとは違いがあるということの理解でいいのですよね。
○長谷川委員 はい。
○阿部座長 いいですよね。調整金は障害者へ支払われた金額で支払われている。
○長谷川委員 はい、分かりました。
○阿部座長 それで、御意見を。
○長谷川委員 それを聞いて、うまく整理できていないんですけれども、先ほど調整金の算式が書いてある6ページの図で、上の青の矢印で書いてある真ん中の所に、分母に35万円という数字があり、先ほど御説明がありましたように、障害者の平均賃金が大体20万円で、自ら就業関係を整える費用としてプラス15万円ぐらいが要るであろうという御説明を受けました。確かに、自宅で在宅就業障害者として働いている場合には、その15万円というのは、掛かってくる金額であろうと思います。
 ただ、B型や就労移行支援事業所というのは、その15万円というのが本当に掛かっているのだろうか、障害者総合支援法からの障害福祉報酬等が出ているということを、どのように整理していけばいいのだろうかと、いろいろ考え出すと、最初の意見に戻るのですが、別の制度としてやっていったほうが整理しやすくなっていくのではと感じているということです。以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。ということで、つまり、同じ制度だとその分母の35万円は変わらないので、別の制度にして、その分母の数字も少し変えてみるというのも1つではないかという御意見と理解してよろしいでしょうか。
○長谷川委員 はい、ありがとうございます。
○阿部座長 では、関連して眞保委員どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保です。そう考えますと、ただ、在宅就労支援団体を通しても、いわゆる自宅でパソコン等を使って入力等の業務を行うというケースも、ないわけではないのです。そうすると、それをどう考えていくのかというのが、その場合にパソコン等をB型事業所や就労移行支援事業所が障害者のために整備をするかというと、そういう制度にも総合支援法がなっていない気がいたしますので、一概に今言われたことでの整理で、35万円を議論することは少し難しいのではと思います。以上です。
○阿部座長 それは、今は在宅就業支援団体が在宅ワークをしている方へ発注したケースで、35万円のほうが望ましいという。
○眞保委員 場合も出てきますよね。今の長谷川委員のお話ですと、恐らく、在宅就業支援団体が企業から発注を受ける仕事というのが、先ほどの絵などを見ていただくと、何ページでしたか、お掃除をしていたりという絵があったと思うのですが、そういうイメージですと、確かに15万円はどうなのかということになろうかと思うのです。逆に、在宅就業支援団体を通じて、自宅でのパソコン等での入力業務の発注を受けるということは当然あるわけで、むしろ、そういうことも増えてほしいわけで、そうすると、在宅就業支援団体を通じたからといって、15万円の環境整備が必要ないとはならないのではないかと思います。
○阿部座長 なるほど、分かりました。では、そういう御意見だということで。では、関連してお話があるようで。
○長谷川委員 関連して何度もすみません。福島大の長谷川です。確かに、今の御意見はそうだなと思ったのですけれども、私の言い方が不適切だったのですが、私の頭の中はそのようになっていたわけではなく、在宅就業支援団体を介するのか介さないのかというところに注目していたわけてはなく、在宅でやるのか施設等でやるのかという、最後の部分で就労場所で分ければ、もしかしたら、今、眞保先生がおっしゃってくださった問題は解決できるかもしれないです。
○阿部座長 分かりました。結局、介すか介さないかではなく、どこで働くかということなのでしょうかね。実は、私も先週少しお話をしましたけれども、先週、在宅ワークの所も少し出ていたり、あるいは、20時間未満の短時間就業というお話もあり、特に、20時間未満の短時間就業の話の際には、一般雇用への移行支援という面もありますので、例えば、そういったところで、1つ括れるかなと。あと、在宅就業ですが、今ここで念頭に置いているのは、いわゆる自営、あるいはインディペンデント・コントラクターといわれるような請負をするということを前提に置かれてはいるのですが、例えば、実際もう雇用されて、在宅で就業している、いわゆるテレワークで就業しているケースというのを、どのように考えていくかというのも、少し見据えながら整理をしていったほうがいいのではという気がしていますので、意見としてこの場で述べたいと思います。では、先ほど工藤委員が手が挙がっていましたがよろしいですか。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤です。まず、この在宅就業制度というのが出来たのは、そもそも何が発端だったのかなと考えていたのです。そうすると、本来はやはり企業に雇用されたい、雇用でやりたいのだけれども、雇用納付金を使うわけですから、大きい所では雇用で整理するのです。でも、どうしても車椅子であったり、通勤の環境が整っていないということで、在宅で自営のような形でとか、そういう形で仕事をせざるを得ないと。そういう人たちが安定して働けるように、そういうことだったのかなと思ったのです。
 そして、在宅就業支援団体というのを間に介すのは、やはり個人対企業とかいう形で請負契約であったりということをすると、いろいろな手続的なことだとか、場合によっては障害者の側が不利益を被ると、いろいろなトラブルが発生したりするということで、そういうことを防ぐために、厚生労働大臣に登録した在宅就労支援団体がまずあって、そこにぶら下がるような形で地域の自営業者なり、そういう人たちがいるという、そのように捉えていたのです。
 これが、今まで制度が発足してから大分たっていますが、22の支援団体、そして、実際に稼働した支援団体が18ということで、思うように伸びていないのです。視覚障害者の立場で、最初この制度が出来たときに、我々視覚障害者にとって一番大きな職業というと、特に在宅、自営業者でして、按摩、針灸、これとうまくリンクできないのかなと考えて、実際に動いた経験があるのです。企業に働き掛けたりしてですね。そのときに結局、なかなか進まなかったのです。というのは、ヘルスキーパーという仕事があるのですが、企業が職員の福利厚生、健康の維持・増進、そのために企業の中にヘルスキーパーという視覚障害者を雇用して、これは雇用率にカウントされるものなのです。ところが、会社側の組織が大きくて、営業所があったり、支店がたくさんあったりすると、会社自体も本社にはヘルスキーパーを雇用するけれども、職員全体で見たときに、職員に余り福利厚生が行き渡らないと、そういったところをカバーするために、自営業者はそれぞれの街の中に点在しているわけですから、そういう針灸マッサージ師たちが在宅就業支援団体に登録することによって、そこに仕事が回っていかないかなということで、企業に対して在宅就業支援制度の話をして、それからヘルスキーパーという仕事があると、本社ではもちろん雇用してほしいのですと、ただし、普段外回りをしている従業員で会社に来ないとか、そういう人たちも同じように疲れを取るとか、そのためには街の中にいる自営業者の所に行ってマッサージを受けるとか、その対価を工賃という形でできないだろうかということで、何社か回った経験があるのです。そしたら結局、それはいいアイディアですねということで、要するにうちの会社のお抱えのヘルスキーパーは、街の中にたくさんいるということなのです。登録している所には、好きな所に行ける、好きな時間に行ける、土日でもということだったのです。ところが、いざやるかとなったら、やはり雇用できるのであれば雇用したいということで、やはり雇用のほうに進んでしまって、雇用を進めたということにはかなり寄与できたなと思っているのですが、結果的に在宅就業は、視覚障害者についてはうまくいかなかったという経験があります。
 長くなってすみません。もう1つ、視覚障害者にとって在宅になるというのは、1つは見えなくなったことで、通勤ができなくなるということと、仕事そのものができなくなるということなのです。最初から在宅で仕事をしようということは、普通は考えないのです。按摩、針灸を選んだ人は別ですけれど、やはり企業に雇用されて、そこで働きたいと思う。ところが、目が見えなくなって、進行して、仕事ができなくなる、通勤ができなくなったといったときに、結局辞めてしまうことになるのですが、それだけではなくて、在宅でいろいろな仕事をするにしても、按摩、針灸以外の仕事をするとすれば、やはり能力開発ということが保証されないと、それがまた視覚障害者には成り立たなくなっていく。
 ということで、次の研究会のときになると思うのですが、やはり視覚障害者の場合には、まずは今働いている人が辞めないで済むような仕組みということが、視覚障害者の立場で言うと、それが大事なのかなと感じました。そして、事例の15ページの所に、網膜色素変性症という視覚障害者の事例が先ほど紹介されたのですが、これは多分ICTを活用した相当レベルの高い人だと思うのです。ですから、こういう人であれば、このような形でもできますが、これは本当に数としては非常に少ないケースだと思います。感想も含めてまとまりのない発言でしたが、以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。前段のお話で言うと、企業は在宅ワークというより雇用したいという方向にあるので、それは漆原委員がおっしゃったのと近いのかもしれませんが、インセンティブとしては若干この制度は弱いのかなということが、おっしゃった裏側にあるのかなと思いました。
 もう1点目では大事な点で、能力開発をどのように付け加えていくかというのは、非常に重要な点かなと思います。これについては、また別の機会で議論させていただければと思います。ありがとうございました。では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。この制度の対象になる障害を持たれている方というのは、精神の方ばかりではないですよね。
○阿部座長 そうです。
○栗原委員 となりますと、まず1つ、特殊な業務だとか、非常に金額が高く頂けるような業務であれば、ある程度これがサンプルになると思うのですが、まず7ページの改正前・改正後ということで、改正前の評価額が105万円、それが評価額35万円まで落ちるということで、この金額は非常にいいと私は思うのです。低くなるということ。ということは、105万円と金額が大きくなりますと、なかなか発注を出すことが難しくなる。企業のサイドから言わせていただくと。
 それと同時に、15ページの2番目になりますか。直接発注額1,000万という、これは金額が大きすぎて個人では多分受けられませんので、いわゆる団体を通じてというと、就労支援のB型だとか、そういう所を通じて発注をされる金額ではないかと思うのです。ただ、この金額1,000万ですが、発注する企業はあるのかなと。例えば我々サイドから言わせていただくと、それだけのお客さんが、それだけの金額を発注するとなると、自分の所の協力メーカーさんに発注する金額ではないかなと。ですから、これが一般的には、このような大きな数字が動くということは余り考えられないと、私は思っています。団体への発注額3,300万なんていうのは論外だと、私は思っています。これは意見です。
○阿部座長 ありがとうございます。そうすると、障害者雇用納付金1人分が年60万円に対して、やはり低いという御意見かと思います。確かにそうですよね。ただ、この算式でいくと、どこまで障害者雇用納付金とそろえるべきかという議論はあると思うのですが、それはいずれにしても、まだそれでも低いということであれば、調整するとなると、評価額が35万円でいいのかという部分と、それから調整額、今は2万1,000円ですが、それでいいのかという、この2つを調整していくということに、この制度でいえばなるのかなと思うのです。
 先ほど評価額35万円と言った所でいうと、平均的な給料プラス機器などの整備等に乗せているということで、35万円ということなのですが、その必要経費15万円というのが、そこまで必要なのかどうかというのは、議論の余地もあるのではないかなと。例えば昔のように、利用する機器等に相当の金額が必要だとかいうことであれば、もちろん15万円と設定するのはあり得ると思うのですが、今はどうなのかなという。例えば在宅ワークで多いのはデータの入力とか、あるいはプログラミングとか、こういうところにあるのだろうと思うのですが、そうするとパソコンの代金は15万円あれば1台買えてしまうなとか、それを毎月12か月、15万円必要なのかなとか、いろいろなことが考えられるのかなという気はします。ですので、評価額をどのように考えるか。
 それから、調整額そのものも2万1,000円、以前は6万3,000円ぐらいだったのですよね。これが3か月分、3倍だということで6万3,000円になって、それが今は3分の1になって、2万1,000円になっているのですが、このままでいいのかというのも、栗原委員の御意見からすると、この辺りをいじっていくのかなという気がします。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。志賀委員、お願いします。
○志賀委員 志賀です。よろしくお願いします。在宅就業の目標数が100なのですが、支援団体が本当に数が伸びないというので、これはどうなのだろうかと思いながら、今回の説明を聞かせていただきました。
 14ページの3つのパターンがあるうちの、パターンマル1のほうではなかなか伸びないので、パターンマル2、マル3をある程度広げていきましょうと、そのために名称をどうするのかなというのも今までの議論だったかと思いますが、パターンマル2、パターンマル3のほうを考えると、私どもは障害者の総合支援法以降の共同発注窓口のことが、どうしても頭の中によぎってしまいます。そうなると、在宅就業支援団体と、いわゆる施設B型の運営の団体は当然違うと、先ほどの話ではないですが、そういった形が出てきます。
 在宅就業の今のパターンマル2、パターンマル3の場合は、個人的には発注側の企業にも、金額は別として、何らかのインセンティブがあるということ。さらに、この事業によって実質的にどれくらいというのはまだ分かりませんが、働く障害者の人の雇用への転換というのも促す可能性がありますし、在宅就業支援団体と施設を運営している所が同じであれば、支援団体としてもB型の給付費が上がるということで、どれもメリットがあると思います。ただ、事務手続であったり金額であったり、それが非常に薄くて、なかなか伸びないのだなと思いますが、今は全国でほぼ都道府県で行われている共同受注窓口がそれをやるとなると、在宅支援団体にとってはやるメリットが何もなくて、さらに事務手続だけが、どこがやるのかという感じで、こちらは労働制度と福祉制度とはちょっと違いますが、B型の工賃アップを目指して、今は共同受注を積極的にやりましょう。効果がどれぐらいというのは、まだはっきりは見えてきておりませんが、そういった中で使うのも1つの手かなと思いながらも、この仕組みだと使えるものがないのかなという意見で見させていただいておりました。以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。塩野委員、お願いします。
○塩野委員 塩野です。19ページの論点のマル5にある「障害者雇用ゼロ企業であっても活用できることとすることはどうか」について、意見を述べさせていただきます。
 障害者雇用をまだ全く行っていない企業が、これを活用できるということは、雇用するひとつのきっかけにはなるかと思います。ただし、現在全く雇用していない企業の中には、納付金の対象外である社員100人以下の企業も相当数含まれているため、こういった企業に特例報奨金を支払うことについては、慎重に検討したほうがいいのではないかと思っています。以上です。
○阿部座長 例えば今、19ページの論点について出てきていますが、マル3とマル4に関しては、皆様からまだ直接の言及はなかったように思います。何かこれに関連して御意見はありますか。
 多分、先ほど栗原委員は、私の理解ではマル3に近いのですが、マル3は個人への発注ではなくて、団体への発注で、団体の発注だと、かなり巨額にならないと60万円を満たさないということなので、ここで言っているのは工賃ではなくて、発注額のほうを基礎としたらどうかと。ただ、これは事務局にお伺いしたいのですが、個人への発注の場合は、それは発注額でいいのですよね。
○障害者雇用対策課長 事務局です。そのとおりです。
○阿部座長 ですから、それはそろえてしまうと。
○障害者雇用対策課長 そうです。
○栗原委員 栗原です。ただ、先ほど私もお話しましたように、金額が大きくなると、これは団体で受けるしかない。個人では受けるだけの力が多分ないと思うのです。ですから、先ほどああいうお話をさせていただきました。
○阿部座長 分かりました。一応、団体でも発注額にするというのは、賛成だということですね。
○栗原委員 賛成です。
○阿部座長 ただ、それでも発注額としても大きいのではないかと。
○栗原委員 そうです。
○障害者雇用対策課長 すみません、事務局ですが、一応私どもとしては、1つのイメージとか比較の対象ということで、仮に60万円を同額まで積もうとすれば、こういうことになりますということをお示ししたという、事務局としてはそういうことです。
○阿部座長 だから、先ほど私も言いましたが、60万円にすべきかどうかは、また議論する余地はあるかもしれませんが、ただ、するとしたら2つの変数をいじるということになるのかなということですね。マル4についてはどうでしょう。これは在宅就業支援団体に対するインセンティブということなのですが、この制度の中では、今は全くないのですよね。
 私はこれに関して、余り皆さんから御意見がない中で言うのも何なのですが、一応、漆原委員からはそういった御意見もありましたので、具体的にどのようにしていくかというところを少し考えていたのです。この後、また皆さんと議論しなければいけないとは思うのですが、この制度、今は1本であるのを、大きく2つに分けられるのではないかと。
 これは眞保委員や長谷川委員からもありましたが、やはり在宅で働いているケースと、それから在宅ではなくて、通所ないし事業所へ通って仕事をしているケースと、大きく分かれている。今は同じ制度の中でやっているわけですが、これを大きく分けてしまって、職場に通うよりは、あるいはどこか施設に通うよりは、在宅でやったほうが本人にとってはいい環境だという場合には、在宅ワークをしていただくのだろうと思うのです。そういう人たちに対する制度として準備するということ。もう1つ、ここでよく出てきますが、一般雇用への移行支援としてこの制度があるのだといったところをいかしていくと、やはり一般雇用へ移行したかどうかというのが、1つのポイントになるのではないかなと。
 そうしますと、例えば在宅就業支援団体については、この制度を使って一般雇用へ移行した場合について、例えばインセンティブを与えるような制度としたらというのを考えてもいいのかなと思いました。つまり2段階と言うのでしょうか。この支援制度そのものは、1つは発注元に対して調整金を助成するという形と、それから在宅就業支援団体に対しては、一般雇用への移行をどれだけしているのかをベースに、助成をしていくという考え方もあるのかなと、これは私個人の意見です。
 ということで、マル4はそのようなことも考えられるのかなということでして、最終的には、この在宅就業障害者支援制度全体に関して、また事務局のほうで整理していただいて、また皆さんから御意見を頂きます。志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 まとめていただいているときに申し訳ありません。志賀です。今のマル4のほうについて、やはりイメージが一番難しいのは在宅就業支援団体と、実際に工賃等を支払っている施設等というのは、一体前提でないとなかなか今は難しいのだろうと思っている中で、だとするならば一般就労に向けての、いわゆる一般雇用への転換のインセンティブは、就労継続A型の雇用は対象ではないわけですから、B型か生活介護となると、どちらについても障害者総合支援法の制度の就労移行体制加算が付きますから、それだけでも既にあると言えばある。プラス、それにまたお金を加えるのかという話なのだろうかと思って聞いておりますが、どうなのかなというのが、まず1点です。
 もう1つは、在宅就業支援団体の発注額にした場合、障害のある方、働いている方がもらえる金額で算定をされていたものが、B型なり生活介護事業所から、その後どのように分配されたかが問われない形になるのも、障害のある方にとってのメリットがどこまであるのかなという、本当にどちらも細かい事務的な、方針としてはそれはいいかなと思いますが、運用する際には結構気を付けないと難しい問題かなと思って、聞かせていただいていました。
○阿部座長 ありがとうございました。大事な御意見かと思いますので、またそれについても考えていただきたいと思います。久保委員、どうぞ。
○久保委員 全国手をつなぐ育成会連合会の久保です。今の皆さんの御議論は、ややこしくなっているこの制度を整理して、分けたりして考えたらどうかという御議論かと思います。それはそれで、別に私は反対するものでもないと思うのですが、ただ、この制度で在宅雇用というのを活用すべき対象者というのが、精神障害もおられますが、余り知的に重度ではない発達障害の方もおられますし、引きこもりの方もおられると思うのです。
 そういう人たちが、企業から直接では難しいという部分があると思います。やはりどこかでワンクッション置いて、支援をしてあげないと、あとは自分でできるというのはあると思うのですが、何かそういうところを、少し手立てを考えていただけたらいいのかなとは思っています。
○阿部座長 ありがとうございました。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大の長谷川です。細かい話だし、言わなくていいかなと思っていたのですが、加算などの一般雇用に行ったときにインセンティブをという話が出てきたので、言っておいたほうがいいかなと思いました。
 現行の在宅就業障害者支援制度の対象となる障害者というのは、雇用義務制度の対象者とイコールだと思います。いわゆる障害者手帳を持っている方々。他方で、B型や就労移行支援事業を利用している方というのは、手帳を持っていらっしゃらない方もいて、そういったときに結局手帳を持っていない方が一般雇用に移ったとしても、それはやはり雇用率における加算の対象にならないのかとか、もっと根本的にB型とか就労移行支援に仕事を発注しているけれども、実はそこで働いている障害者は、手帳を持っている人がほとんどいないというような実態があったとしても、この制度を使えてしまうのかとか、その辺りも利用されるようになればなるほど問題になってくるのではないかなと思いながら、話を聞いていました。
○阿部座長 ありがとうございました。そういった点もあるということで、非常に重要な意見ではないかと思いますので、是非整理をしていただければと思います。それでは時間もありますので、またこの点に関して、この後、是非事務局に伝えておきたいという御意見等がありましたら、本日の研究会の後でも結構ですので、事務局に御連絡を頂ければと思います。
 それでは、後半の議論に移りたいと思います。資料1の後半について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長 では、事務局でございます。後半につきましては、本日のお題自体はもともと雇用以外の働き方ということなのですけれども、在宅就業に関連する問題ということで、在宅雇用、要は雇用契約を結んで、在宅などを含めたテレワークなどのような形で働くという場合を想定した御議論を頂ければということで、御用意しています。
 こういった意味合いの在宅雇用の在り方等に関しましては、20ページですが、幾つか御意見を頂いておりまして、雇用管理ノウハウが企業側に不足していることのほか、就労支援が困難とされる方々や、通勤困難者の雇用を進めていく上での選択肢として重要というのは在宅就業という、先ほどまでの議論と重なるものですけれども、そういったものですとか、地方の方で、まだ力があるのに通勤のすべがないといった方に、働く機会を広げていくという意味で、テレワークは重要なものだと考えられるといった御意見も頂いております。他方で、最後のほうですけれども、ノーマライゼーションの観点等も踏まえると、こうした働き方が望ましいと考えられる障害者の範囲等については議論の余地があって、必ずしも安易に在宅で働く方向に誘導すべきかどうかというところが、議論の必要な場合もあるのではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして21ページです。こちらは、いわゆる在宅雇用、その他のテレワークが全体としてどれぐらい広がってきているかというものでありまして、平成26年におきまして、いわゆる在宅型のテレワーカーの数というのは、平成20年と比べると1.6倍となっているというものです。また、テレワークを実施している企業もやや上下動がございますけれども、おおむね近年、上昇傾向にあるということかと思います。
 そういった中で、22ページですが、こういった在宅雇用が効果的と考えられる場合というのを、これから幾つか見ていきたいと思っております。まず、22ページにつきましては、身体障害者の離職理由を整理しています。全体で多い順番ということで見ますと、「賃金、労働条件」や「仕事内容」などについて不満等があってということが多いわけですけれども、「障害のため働けなくなった」、「通勤が困難」といったような声も一定程度ありまして、このような方につきましては、テレワークによる働く場の確保が効果的な方法となる可能性も考えられるのではないかというものです。
 23、24ページにつきましては、障害者の方で地方にいらっしゃる方という御意見があったわけですけれども、こういう都市・地方という観点で見ますと、求職の側にとってもメリットが考えられるのではないかということで、障害者求人の充足率を都道府県別で見ているものです。23ページは職種全体で、24ページについては高度なスキルがある場合は別として、在宅ワーク雇用が比較的一般的と思われる事務職について、区分をして整理をしたものです。おおむねの傾向として、23ページで職種合計を見ても、都市部では低く、地方部では高いという傾向があるというように捉えております。24ページ、事務職のほうを見ても、そういった都市部・地方部という比較においては同様の傾向と理解しておりますけれども、更に全般的に見ますと、職種計の場合と比べて、その充足率の水準がやや低いと示されますので、なかなか都市部において確保しにくい状況があると思っております。
 さらに、現状の在宅雇用ないしテレワークに関する取組を、幾つかここで御紹介させていただきます。25ページです。これは表題を付けていなくて恐縮ですけれども、働き方改革実行計画が政府において決定しており、この中で障害者雇用の就労に関わる分の工程表を抜粋しているものです。その下の矢印で工程表になっているようなところを見ていただきますと、この2017、18、19年度におきまして、障害者テレワークのモデル構築というものをやることになっておりまして、今年度におきましてはサテライト型オフィスというものが書いてあります。これを26ページでありますが、実際に今年度の予算事業として、今度、進めることといたしておりますので、その内容をここで御紹介させていただきます。考え方といたしましては趣旨・目的のところにありますけれども、特に精神障害者の方を想定しつつ、全般的に雇用が進むという中でも定着率の問題があって、定着促進は大きな課題となっています。そういった中で、障害者の中には「不安を感じやすく疲れやすい」ですとか、「人間関係が大きなストレスになる」、「同僚とのコミュニケーションが取れない」などのいろいろな理由で、そういった特性を持っているとか、また、長時間の通勤が難しいということがあって、職業能力があったとしても、いわゆる通常の職場においては、なかなか勤務が難しい場合があります。こういった中で、定着促進のためには、その障害特性に配慮した環境を、その本社とは別の、より障害者の方に通いやすい所で、サテライトオフィスというものを用意して、そこで働いていただくことが有効ではないかと考えられるということです。ただ、こういった取組については、まだ効果が期待される割に導入は進んでいないということで、これをどのようにして進めていくのがいいのかをモデル的に取り組んで、マニュアルの作成ですとか、その周知を進めていくといった内容の事業を、これからなのですが、今年度実施することにいたしております。このような形態も考えられるのではないかということです。
 続きまして27ページですが、中小企業において、テレワークを導入しているという事例も幾つかあるということで、御紹介をさせていただいております。事例1においては、完全在宅勤務で、身体障害者を雇用して、いわゆるヘルプデスクの業務をやっていると。実際、配属部署の社員の方に対して理解を深める取組をしているものです。
 事例2は不動産業ということなのですが、これも完全在宅雇用で、地方の精神障害者の方を雇用していて、間取り図の作成、写真の補正、物件情報の入力といった不動産業の様々な事務的な作業をやってもらっています。この中で地元の、要するに場所が離れているわけですけれども、その障害者の方の地元の就労支援機関と連携する体制を構築しながら、雇用して働いていただいている事例です。
 28ページ、具体的な論点ということで、以上のようなものを踏まえて設定させていただいております。2つございまして、障害者の雇用促進の観点から、地方部の求職者の方を、都市部の、先ほど充足率が低いというのをお示ししましたけれども、そういった所の求人ですとか、中小企業の求人などとの間で、在宅雇用によってマッチングしていく取組も有効と考えておりますが、具体的にどのような方策が求められるかということが1つです。
 もう1つは、障害者の在宅雇用を進める場合に、一般の労働者と比較しても、様々な配慮や能力向上に向けた支援等が必要ではないかと思われるのですが、具体的にはどのようなものが考えられるといった御意見を賜ればと思っております。以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関連して、御意見や御質問があればお願いいたします。では、工藤委員どうぞ。
○工藤委員 充足率ということについてなのですが、大都市部は充足率が20%とか30%と低い。それから鳥取とか向こうのほうが、非常に高かったというふうに聞いたのです、7割8割とか。これを出してきたのは、例えば都市圏は、結局求人がこんなにあるのに2割ぐらいしか充足していないと。そうすると、もったいないではないかということだと思ったのですね。
 そこにそんなにあるのであれば、もっと実際に在宅勤務とか、そういう形で働きたいという人が、全国を見渡せばたくさんいるだろうと。その求人をそちらに回せば、それこそお互いにみんなウインウインということで、そういうことかなと思ったのです。そういうことを1つ考えているのかということが、これは質問です。
 充足率といっても、大都市圏が本当にそういうものなのかなということ。実際にまず充足率とはどういうものなのかということを、改めて確認したいのです。実際に求人が出てきて、それから求職者もたくさんいて、そして実際に紹介も何件も紹介したりして、そしてマッチングで決まって最終的には充足と。そういうことを考えると、ただ単にこの充足率だけ見て、それともう1つは本当にそこにたくさん求人が出たものが、遠方にいる所にそれを回せばいいのではないかと。遠方のほうで在宅勤務の形で雇用してもらう。本当にそういうふうにいくのかなと、何となく考え方としておもしろいなとは思ったのですけれども、実際にはかなり難しいのではないかなとは思いました。これは感想です。
○阿部座長 では、御質問がありましたので、お願いします。
○障害者雇用対策課長 事務局でございます。事務局としてお示ししましたのは、確かに正にこの論点のところにも書いてあるのですけれども、一般に言われている状況としても、都市部で現状において、思うように障害者の方を採用できなくなっているというような声も伺っています。
 他方で地方においては、マクロ的にどれぐらいの量が出てくるかということはともかくとして、その都市部で求人をされている所と、地方の障害者の方を結び付けていく、在宅雇用のような形で結び付けていくことには意義があるのではないかということを、少し提示させているということです。
 その中で、確かにこの充足率というデータの水準自体が、直ちにそれにクリアに結び付くものかということはあるのですけれども、傾向をお示ししたいという思いで、この図は入れさせていただいています。
○阿部座長 よろしいですか、工藤委員。工藤委員がおっしゃった感想というのは、確かにおっしゃるとおり、そういうこともあるだろうけれども、これをどういうふうにしていくかというのは、今、我々が議論すべき課題かなということなのではないかと思うのですが。加賀委員どうぞ。
○加賀委員 日身連です。ちょっと個人的なことかも分かりませんが、私は地元で障害者雇用、100%障害者を雇用して仕事をしております。今、精神的な人たちを使うということに対して、なかなか苦労をしているのです。
 先日もアメリカの障害者の雇用と日本の障害者の雇用とがどう違うかというお話があって、アメリカの方がお見えになっていろいろな話をしてくれたのですが、やはり福祉雇用はやめて、とにかく働いた以上は、お金を払ってやらないといかんじゃないかと。ただ、小さな工賃だけで払ったというのではいけないから、そういうところはなくして、とにかく仕事をしたら障害者であってもお金を払ってやらなきゃいけないというようなことを、アメリカのほうではやっているようなことを聞きました。
 精神の方はどうですかという話を聞いたのです。鬱も入っていたり、精神も鬱も一緒かも分かりませんが、仕事をしていても、何かこう、途中でふっと仕事がしたくなくなってみたり、それから昨日は働けたけれども、朝起きると行きたくなくなってしまったりという、いろいろな面があるものです。アメリカでは、働いた分だけお金を払えばいいではないかということで気にしなくて、あなたが出て来られるだけ出てこいと。それで仕事をして、例え1時間でも働けば、タイムカード1時間打った分だけお金を払う。休めば休んでいていいんだと、もう勝手気ままなような形で、その人を雇用しているようなことを聞きました。ですから、うちのほうで1人精神障害者を使っておりますが、いいよお前、働きたかったら昼からでも出てこい、その代わり、タイムカード打って、そのタイムカードの働いた分だけしか給料やらないぞということで、働けよということを言っています。それじゃ悪いから辞めようかと思っているということを言いますので、辞めるなと。お前が来ればうちは助かるんだから、遠慮しないで来いと言って、私はやっていますけれども、向こうがかえって遠慮するようになりまして、今のところは頑張って出て来ています。
 やはり、障害者雇用で障害者を使うということは、本当に一般の方がどれぐらい理解をしてくれて、どれぐらいどうやってくれるかなということがあります。なかなか課長だとか部長さんたちは理解してくれていても、パートのおばちゃんたちが理解できなくて、いじめてしまうようなことがあって、子供たちが辞めてしまうようなことがあったり、そういう面があるものですから、そういう面に対しても一生懸命に頑張っている、そういう障害者を使っている雇用の会社には、是非とも費用をたくさん回していただいて、応援していただければということは思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○本條委員 最後の28ページの○の所に、マッチングするという言葉がありますが、これは私は重要なキーワードになるのではないかなと思っています。今までの障害者施策、雇用促進施策もそうなのですが、障害のある方を支援訓練することにより、能力を上昇させて一般健常者に近付けるということに重きを置いていました。
 もちろんそれも大事ですが、先ほど加賀委員から、アメリカのお話がありましたけれども、IPSモデルという職場開拓を中心にやっているわけなのです。IPSスペシャリストという人は、1週間のうち5社程度、企業訪問をする。そうしておいて、いろいろな情報を持っておいて、それで精神病患者が退院してくれば、即時間を置かずに、もちろんそれまで入院中もヒヤリングをして、アセスメントをしているわけですけれども、マッチングをさせて就職させます。先日の近藤准教授のお話にもありましたように、余り試用期間とかは要らないと。即戦力にもなっていくわけです。
 それから在宅雇用についても、そういういろいろな企業にもニーズがあると思いますから、それに合う人をマッチングさせていくことによって進むのではないかと。ですから、雇用促進ということは、職場開拓をやはり大きな柱として進めていくことが大事ではないかなと思っています。そうすることによって、在宅でも、十分に戦力になるということが可能になってくると思います。
 問題点は、社員として雇用した以上、その本人のスキルアップが大事になってくると思いますが、今はもうICTがものすごく進んでいますので、例えばスカイプによってスーパーバイズしていくとかも可能になりますので、1つちょっと発想の転換をしていただいて、企業の方にこういうようにすれば、十分に戦力になりますよということを、ジョブコーチングをしていくという発想も大事ではないかと思っています。
○阿部座長 ありがとうございました。本條委員のお話から言うと、前回の近藤先生のお話とも関連するとは思うのですが、その仕事をうまく開拓するというか、切り出すというようなことをして、それが在宅になれば在宅ワークというふうにして、マッチングに持っていくというようなイメージでお聞きしましたけれども、そういうことですよね。
 そういった仕事の切り出しをうまくできるような支援というのも、必要だという趣旨でお伺いをしました。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
○工藤委員 テレワークに関係してくると思うのですけれども、前に新聞記事を見ていて、ある東北地方の企業だったのですけれども、たくさん求人を出して、こんな所でそんなに就職できるのかと思ったのですけれども、それが実は遠方でもどこでもいいということだったのです。ところが、決して労働条件だとか、雇用の実態としては良くないということを聞いたりしていました。
 やはり、離れるわけですから、本当に雇用管理がしっかりされるかどうか、雇用のそういうトラブルが起きないように、労働者がきちんと守られるような、こういうテレワークだとか在宅勤務を進めると同時に、そういう労働者をしっかり守ると、雇用をしっかり安定したいい条件にしていくということを、やはり一緒に重視していく必要があると思っています。よろしくお願いします。
○漆原委員 22ページの身体障害者の離職理由についてですが、このデータは確か、今現在仕事をしている方が前の会社を辞めた「理由」を調査したものだったのではないかなと思います。ですから、この結果とテレワークを結び付けることは難しいのかなというような思いもあります。ただし、そういった方にとってもテレワークが1つの選択肢になるとは思うのですが、そのパーセンテージで見ると、少々そこが低いところが更に気になっているところです。
 最後のページのマッチングについても、通勤が困難なため、あるいはいろいろな家の事情等で就労することができなかった方を、単にマッチングということだけではなくて、新たに掘り起こしていくということも必要なのではないかなと思っています。何らかの理由で就労できなかった方に、テレワークという形で、新たに仕事していただくということについても併せて考えていただければと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。働く側と働かせる側で、それぞれテレワークを活用するような仕組み作りということが必要だと理解しましたが、それでいいですか。ありがとうございました。加賀委員どうぞ。
○加賀委員 うちの場合、やれるかやれないかではなくて、やれるのだと。何を言っている、自分はやれるじゃないか、やれないことはない、やれるのだということで話をすれば、やってくれるのです。知的障害の子たちは本当に素直なのです。
 だから、失礼ですが、お前は馬鹿だ、やれるわけがないということを言ったら、とても駄目なのですけれども、とにかくやれる、私もやる、一緒にやろうじゃないか、やってみろと言ってやらせると、遅れても結構やれるのです。
 褒める言葉というとおかしいのですが、アメとムチで話をしているのですけれども、とにかくその子に対して自信を持たせてやると、本当にどんどん動いてくれて、知らないうちに黙っていてもどんどん動くようになってしまうことが、幾らでもあるのです。精神障害の子たちは、本当になまじ我々障害者自身より、知的障害の子のほうが真面目でよく働きますね。だから給料もたくさん払ってやらないといけない。
 今はサービスがありませんので、一緒なのですけれども、とにかく褒め言葉で子供を扱ってやれば、喜んでくれるだろうと思います。それから、違う職場を何で辞めたかというのはタブーですので、うちの方は聞きません。辞めた理由を聞くと、障害者だったからどうだったからという、いろいろなことを思い出して、パニックになるのです。前の会社は前の会社、たまたま辞めて探してうちに来たという形で、前は忘れよう。うちに来た以上はうちのことだけやってくださいという感じでやっています。それは結構あります。前の会社うんぬんというのは、結局は首になった。自分から辞めたのではなくて、首にされたという面がある。だから確かに気の毒ですね。そういうことがあります。
○塩野委員 塩野です。今後については、障害の有無にかかわらず、多様で柔軟な働き方が強く求められていくと思っています。最近では、在宅勤務も含めたテレワークの推進を行っている企業も増えてきています。
 ただ、テレワークを推進している企業であっても、全ての勤務を在宅で行う、いわゆる完全在宅勤務制度を入れている企業は、実はまだまだ少ないのではないかと思います。なぜ完全在宅にしないのかというと、理由はいろいろあるかと思いますが、やはりコミュニケーションの問題や、場合によっては働く人の意識の問題も実際にはあり、そういった中で、なかなか完全在宅に踏み切れていない現状があると思います。
 例えば障害のある方で通勤が困難な方にとっては、在宅勤務や在宅雇用は、非常に重要な選択肢の1つだと思いますが、現在の企業実態を踏まえると、1つ1つ丁寧に課題を解決しながら、進めていかなければいけないのではないかと思っています。
○阿部座長 はい、ありがとうございました。多分以前、塩野委員がおっしゃったことは、工藤委員もおっしゃっていて、働きがいということを考えると、単にずっと在宅でいいのかという御発言が、以前あったような気がするのです。多分いろいろな問題が、働く側にも働かせる側にも、この在宅ワークにはまだいろいろ整理すべき点はあるというのは、十分にあるかなと理解します。
 ただ、技術も発展してくるとか、多様な働き方に対応した形で、どういった仕事があるのかということを考えると、このテレワークなり在宅就労というのが、1つの解になる可能性はあると考えてもいいのかなと、個人的には思っています。
 ただ、塩野委員や皆さんがおっしゃっているように、いろいろな面を解決していくということは必要なので、その辺りをどういうふうに今後していくかというのは、まだ議論すべき点はあるのではないかと思います。ありがとうございました。他にいかがでしょう。
○眞保委員 法政大学の眞保です。少し戻ってしまうかもしれないのですけれども、先ほど本條委員がおっしゃった仕事のマッチングということなのですが、私もその辺りが非常に重要なところだと思っています。
 ちょっと戻ると言ったのは、在宅就業支援団体の話なのですけれども、先ほど一般の雇用につながった場合に、少し団体側にインセンティブが付くようにという話もあったのですが、それについては手帳を持っていない人も利用するという点で、ちょっと慎重にならなくてはという意見も、長谷川委員から出たところです。在宅就業支援団体が、多分知的障害者や発達障害の方がこの制度を使うということは、当初それほど予定されていたわけではないと思うのです。多分支援機関側の努力、在宅就業支援団体側の努力によって、例えば清掃の仕事とか、それを年間何百万で請け負うですとか、そのような新たな働ける障害の種別も広げましたし、企業の中で働くとか、仕事自体を実際に取り出してきて、就労支援機関の中で働くとか、非常に選択肢を広げた部分があると思います。
 例えば、企業側に行って働く仕事を何件掘り起こしてきたかですとか、この資料の中でも、正社員が9人になったという話もありました。その事業所に行って、在宅就業支援機関が支援しながら働くということは、一般の雇用につながるということなので、そうした場を用意した支援団体に、少しインセンティブを付けるというのは、考えられるのかなと思っています。
 今、議論になっていたテレワークの話なのですけれども、これも障害者雇用に非常に有効だと私自身は思っています。例えば本社が東京の会社で、一般的ないろいろな事務作業を、はるかかなたの北海道ですとか、鹿児島ですとか、そうした所で通勤の足がなかなか確保しづらい身体障害の方と、ICTの技術を使ってつなげて、雇用の場を広げている、正に掘り起こしているという部分がありますので、そうしたことをしている企業に、少し助成金を出すとかといったことも考えられます。
 ここで今、サテライトの事業がありましたけれども、塩野委員もおっしゃいましたように、雇用管理の手法がまだ確立されているわけではありませんので、こうしたサテライトの事業で、そうした雇用のノウハウを積み上げていただいて、広げていただくというのもありなのかなと思っています。
 基本的にテレワークというのは、非常に有効だと思っています。ただ1つ心配な点を、この議論を通じて感じました。それは身体障害の方で、その方が発注という仕事の中で在宅就業支援団体を使って個人への発注という形で、請負の仕事でよろしいということなのか。一方で、これは実際には正社員として雇用している中小企業の事例もあるわけです。そこのところをどう整理していくのか。本当に高い能力があって、高い金額の仕事が受けられるということであれば、労働者にとって、それは雇用ではないほうがいい理由はどこにあるのか。あるいは企業が雇用しないというのはなぜなのか。その部分というのは、丁寧に見ていく必要があるのかなと思いました。
○阿部座長 はい、ありがとうございました。眞保委員が最後におっしゃったところは、障害者以外の労働者のところでも起こっていることですので、それはそれで全体として見ていく必要があると思います。他にはいかがでしょうか。よろしいですか。またお気付きの点があれば、研究会終了後で結構ですので、事務局に御意見をしていただければと思います。
 それでは、本日大きく2つについて議論してきましたが、本日皆様から頂いた御意見については、事務局で適宜取りまとめていただいて、今後の議論に反映させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次回の日程について、事務局より説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長 事務局です。次回の日程や開催場所等については、追って御連絡しますので、よろしくお願いします。
○阿部座長 ありがとうございました。それでは本日の研究会はこれで終了したいと思います。本日もお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。