2018年12月3日 新型インフルエンザ対策に関する小委員会 第3回公衆衛生対策作業班会議 議事録

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

日時

平成30年12月3日(月)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1) 新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領について
(2) 医療体制においての情報提供・共有の強化について
(3) 異なる亜型間の相互作用に関する研究(成果報告)
(4) 「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業について (報告)

議事

 
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それではお時間となりましたので、ただいまから第3回新型インフルエンザ対策に関する小委員会の公衆衛生対策作業班会議を開催いたします。開会に当りまして、結核感染症課長の三宅から御挨拶を申し上げます。
○三宅結核感染症課長 おはようございます。12月ということで師走になったわけですが、本当にそのようなお忙しい中に、わざわざこの会議にお集りを頂きまして本当にありがとうございます。本日は新型インフルエンザ対策に関する小委員会ということで、新型インフルエンザ対策、ちょうどスペインインフルエンザ100周年、発生から100年ということで、いろいろなイベント等もありますが、今後ともしっかりこの対策を進めていかなければならないと思っております。そのような中で住民接種という、本当に起きた際の一番の基礎自治体が、どのようにしっかりやれるかということについて、本日もう少し掘り下げて話をしていきたいということを考えていますし、また、それ以外にもいざ起きたときの医療機関に対して、どのように事前に順備をして、事前にそのために支援をしていくか、そんなことについてもいろいろなことを議論をしていただきたいと思っています。
 また、本日は参考人として西浦先生にも来ていただきまして、いろいろな理論的な話の中で、どのような流行が考えられるか、そのようなことについても、もう少し掘り下げていただきまして、対策の前提となるものでございますので、それを使って薬やワクチンの準備をどうするか、そしてどのように被害を見ていくか、そのようなこともいろいろ考えながら、この議論を進めていただきたいと思っております。本日はよろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、三宅課長は所用のため退席させていただきます。続きまして、本日の委員の出席について、谷口委員、丸井委員から欠席の連絡を頂いております。本日は、委員11名中9名の出席です。定足数に達しておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。
 なお、参考人として、1名の方をお招きしております。御紹介いたします。北海道大学大学院医学研究家教授の西浦博様です。
○西浦参考人 西浦です。どうぞよろしくお願いします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 続きまして、前回の開催より人事異動がありましたので御紹介します。結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長の丹藤です。
○丹藤新型インフルエンザ対策推進室長 丹藤です。よろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 同じく、新型インフルエンザ対策推進室専門官の福田です。
○福田新型インフルエンザ対策推進室専門官 情報分析専門官の福田と申します。よろしくお願いいたします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 私は、同じく結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室室長補佐の福井です。よろしくお願いいたします。
 続きまして、審議参加について御報告します。本日御出席をされた各委員の方々の過去3年度における、関連企業からの寄付金・契約金などの受取状況について、申告をしていただきました。事務局で申告内容を確認しましたが、寄付金等の受取状況につきましては、審議や議決に不参加となる基準に該当はありませんでした。以上です。ここからは、岡部班長に進行をお願いいたします。  
○岡部班長 おはようございます。川崎市の健康安全研究所の岡部です。この班、新型インフルエンザ対策に関係する委員会の構造はなかなか分かりにくいところもあるのですが、ここは公衆衛生のことで、内閣官房との連絡を取りながらやる厚生労働省の委員会であるという位置付けですので、ちょっと再確認をしておきたいと思います。それから先日、確か、これは内閣官房のほうで、政府の訓練といったようなことも行われたと聞いておりますが、一方では100年たった新型インフルエンザ、それがどういう形で来るかどうかということについても、明日来るわけではないだろうと思いつつも、放っておけない状況であるということなので、特に、今回のこの委員会のテーマである実際の場面を想定してどういうことが起きるか。なかなか想像の中で難しいことはあると思うのですけれど、一定の見解はやっぱり出しておかなくてはいけないので、それを一つ一つやっていっていくというのが、この会の趣旨と言っていいのではないかと思います。それでは、早速議事のほうに入りたいと思うのですが、まず、事務局のほうから配布資料といってもこれ(タブレット内)になりますが、これの御説明をお願いします。 
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 事務局から配布資料の確認をお願いします。議事次第、配布資料のほか、資料1から4、参考資料1から4-4まで用意しております。配布資料一覧と照らして、もし、不足の資料がありましたら事務局のほうにお申し付けください。
○岡部班長 それでは、タブレット内のこれらの資料に基づいてやるということで、まず議事次第を見ていただくと、今日は、(1)新型インフルエンザ等における住民接種の接種要領について、それから、(2)医療体制においての情報提供・共有の強化について、それから、(3)異なる亜型間の相互作用に関する研究、これは西浦先生に、今日北のほうからおいでいただいて御説明をいただくのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最初に1つ目の議題ですが、新型インフルエンザ等における住民接種 接種要領についてということで、事務局の竹下補佐からこれについての御説明をいただきたいと思います。竹下補佐よろしくお願します。
います。それでは新型インフルエンザ等における住民接種の接種要領について、御説明します。資料については、資料1になります。1ページ、住民接種については、実施主体が市町村ということで、市町村は国・都道府県の協力を得ながら、未発生期から接種体制の構築を図るとされています。
 接種順位に関しては、➀医学的ハイリスク者、➁小児、➂成人・若年者、➃高齢者の4つの群に分類し、基本的対処方針等諮問委員会に諮った上で、政府対策本部で決定すると。これは実際に発生したときにこの4群を、それぞれに発生した新型インフルエンザの状態、特徴に合わせて順番が決まっていくとされています。
 なお、接種体制については、原則として集団的接種により接種をする。接種会場は保健所・保健センター・体育館などの公的施設の活用等により確保し、人口1万人に1か所程度とするとされています。また、地域医師会等の協力を得て、医師や看護師等の医療従事者を確保するということが、これまで手引き等で示されています。
 2ページです。住民接種に関するこれまでの経緯を御説明いたします。平成21年4月、新型インフルエンザ(A/H1N1)が発生し、翌年、新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書が出ました。その討議の結果を踏まえまして、平成23年7月に予防接種法を改正し、「感染力は強いが、病原性が高くない新型インフルエンザ」が発生した場合の臨時の予防接種が可能にということが決められています。また平成25年4月に、新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されており、同年6月にはそれに基づいて、政府行動計画及びガイドラインが策定されています。翌年3月には、岡部先生の研究班で市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)が策定され、また翌年には、住民接種体制構築に関する手引き(暫定版)が策定され、いずれも検討会等で審議を頂いた上で厚生労働省のホームページに掲載して、皆さんに見ていただいているということになっています。
 そういった手引き等も踏まえ、行動計画・ガイドライン及びこの手引きを含めて見ていただいて、都道府県行動計画や市町村行動計画を策定していただき、市町村におけるマニュアル策定・具体的なシミュレーションや訓練をしていただいていたというのが、これまでの経緯になります。
 続きまして、先ほどお示ししました手引きについて、簡単に概要を説明いたします。3ページ、まず1つ目が、市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)です。これは、集団接種というのが昨今ではほとんど行われなくなってきたという背景もありまして、このような形でまとめていただいています。
 手引きの概要の2つ目の○ですけれども、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び政府行動計画において、市町村が住民接種の実施主体として定められたことを受けて、市町村において速やかに集団的予防接種の体制を構築し実施できるよう、有識者や自治体担当者の参画を得て検討を行い、集団的予防接種のための手引きを策定することを目的としています。本手引きは、主に「臨時接種」をイメージしてまとめられていますが、「新臨時接種」の場合でも同様の方法で実施できることが多いと考えられるため、適宜参考にされたいとされています。また、構成としては、「行動計画・ガイドライン記載事項」及び「基本的考え方」、「取組みの具体例」、「根拠法令等」を示し、市町村が行う住民接種の体制に関する準備に資するように構成がされています。「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」を補完する位置付けとして、この手引きは策定されています。
 続きまして、4ページですけれども、新型インフルエンザ発生時における住民接種体制構築に関する手引きです。こちらも同じ研究班で策定されていますが、手引きの概要の3つ目の○ですけれども、新型インフルエンザ等発生時の住民接種を円滑に実施するため、各市町村におけるマニュアル作成やシミュレーション実施の参考となることを目的としています。各市町村における住民接種体制の構築を規定するものではないとされています。
 さらに2つ下の○ですけれども、住民接種の実施主体である市町村のうち、大規模市、中規模市、小規模市をモデル市として、実際に検討を頂いたというものがこの手引きです。
 5ページを御覧ください。このような手引きを示させていただいて、各市町村での訓練等を実施していただいて、その意見等も踏まえて、今回、新型インフルエンザ等住民接種の接種要領を、現在、準備していて、今回、(案)を示させていただきたいと考えています。今回の接種要領(案)については、まず概要として、背景ですけれども、新型インフルエンザ等対策特別措置法や政府行動計画において、市町村が住民接種の実施主体として定められたことを受け、市町村において速やかに住民接種の体制を構築し実施できるよう、接種のための要領を作成するとしています。
 内容としては、住民接種の進め方に従って、「実施計画の策定」、「流通」、「実施方法」を示し、市町村が行う住民接種の体制に関する準備に資するように構成をしています。平成25年に策定された「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」を補完するものとして策定し、本接種要領は、主に緊急時態宣言に基づき実施される「臨時接種」において使用されることを想定して取りまとめ、緊急事態宣言が出されていない状況で、実施される場合でも参考とするとしています。
 経緯としては、これまで説明いたしましたところになりますので、割愛させていただきますが、今後の予定(案)としては、今回、公衆衛生作業班で御審議いただき、またその頂いた内容を踏まえた上で、来年1月31日に新型インフルエンザ対策に関する小委員会で御審議いただき、そちらの内容を踏まえた上で同年の1月か2月、まだ日程は決まっておりませんが、厚生科学審議会感染症部会で御審議いただきたいと考えています。その内容を踏まえた上で、厚生労働省のホームページに公表、通知を3月以降に考えたいと考えています。
 6ページを御覧ください。住民接種に係る接種要領作成における今後の論点ということで、これは昨年の3月に実施した第2回の公衆衛生作業班でも同じような形で説明させていただいた内容です。平成30年度末にパンデミックワクチンの製造体制が整備されるめどが立ち、3事業者からなる具体的な製造スケジュールが示されています。国としては、市町村の実施体制を構築していただくために示す、住民接種実施要領を作成するために必要な情報が整ったと考えており、本スケジュールを踏まえた流行期の流通体制を検討する必要性があると考え、今回、このような形で進めています。
 ここに書いてある現状と課題というのは、この手引きが作成された段階から、以前から指摘された現状と課題について、昨年、再度その時点での課題等を含めて整理したものになります。まず、1つ目としてはパンデミックワクチンの確保ということで、平成30年度末にパンデミックワクチンの製造体制が整備されるめどが立ち、具体的な製造スケジュールの見込みも示されています。細胞培養法はメーカー間で規格・製法が異なるため、運用の際に留意が必要ということが、以前から先生方からもお示しいただいておりますので、今後の方向性として決める上では、製法・規格が異なるワクチンの運用方法を示す必要性があると考えています。これは後ほど、論点➀として挙げさせていただきたいと思います。
 続きまして、接種対象者ということで言いますと、「特定接種」の対象者は、今回は含まれない形にはなるのですけれども、「住民接種」の接種順位に関して、政府行動計画で示された分類をもとに国において示されます。原則として、集団的接種で実施することと言われていますので、これは前回の公衆衛生作業班で一応、議論していただきました接種未発生期に、実施主体である市町村の接種順位ごとの人数を把握するということで、この青の四角で囲まれている所に関しては、既に議論していただいた内容ですが、今回はいろいろ実施する上で皆さんから御意見を頂いてる内容の1つとして、居住地以外の接種について、市町村間の接種法を検討するということが挙げられています。これは論点➁という形で、挙げさせていただきたいと考えています、
 また、3つ目として流通体制です。都道府県の流通調整のもと、販社・卸売販売業者を通じて、接種会場に納入されるとされています。接種会場は、医療機関でなく、公的施設等が主体となることが想定されていることを踏まえています。また、予約に関しては住民接種については、市町村に予約窓口が一元化されるとなっていますので、接種順位は実際の流行時に決定されること、ワクチンの供給量が示されており、市町村での接種順位内での接種確認を行う必要があると考えられる。また、基本的には2回接種があることを考慮する必要があるということが、現状と課題ということで挙げられています。その内容を踏まえた上で、ここの現状と課題がかなり複合的な内容になりますので、3つの論点に整理させていただいています。
 1つ目が、3事業者のワクチンが同時でないことを前提とした接種計画を立てる必要性があるということ。2つ目として、接種に必要な時間及び人員、被接種者人数の算出等について検証し、効率的な接種体制を検討するということがありまして、これを論点➂、➃、➄という形に改めて整理をさせていただいて、議論していただきたいと考えています。
 7ページ、現在、考えています接種要領の目次の(案)になります。概要はこういった形で作りたいと思っています。
 8ページから、実際の御審議していただきたい内容を説明させていただきます。8ページ、異なる種類のワクチンを用いた複数回接種です。論点➀として、複数回接種を行う場合、異なる種類のワクチンを用いることについて、以下のように取り扱うこととしてはどうかとしています。背景として、ワクチンの内容については製造販売業者ごとに、ワクチンの製造方法、アジュバントの有無等の違いがあります。現時点では、異なる種類のワクチンを複数回接種した場合の有効性・安全性は確認されていません。
 このような背景を踏まえた上で、以下の2点として(案)を考えています。ワクチンの種類によって、製造方法等の違いがあるため、複数回接種する場合には、原則として、同一種類のワクチンで実施をすることとしたいと考えています。また例外として、異なる種類のワクチンでも有効性が認められた場合には、複数回接種の際に、異なる種類のワクチンを接種することも可能とすることという形で考えています。
 続きまして、論点➁になりますけれども、居住地域以外での接種についてということで考えています。住民接種の対象者については、区域内に居住する者を原則とする一方で、例外として市町村長が認める者として、単身赴任者、DV被害者等を例示することとしてはどうかとされています。住民接種の対象者は、当該市町村の区域内に定住する者を原則とするとされています。当該市町村に所在する医療機関に勤務する医療従事者及び入院中の患者等に対しても、接種を実施する場合が考えられます。これはガイドラインで示されている内容になります。また、(ア)長期入院・入所者や(イ)里帰り分娩の妊産婦、及び、同伴の小児、(ウ)その他市町村長が認める者として、単身赴任者や大学生等で住民票を異動せず、住民基本台帳に登録がない市町村で接種を希望する者については、ワクチンの供給状況や接種の進捗状況、接種を行う医療従事者の確保状況、居住の状況、公衆衛生的観点から、当該市町村の判断で対象とする場合もあり得ると考えています。その場合、接種にかかる費用は接種する市町村が支弁するとしています。また、ドメスティック・バイオレンス被害者等については、個別の事情に応じて都度検討し、市町村長の判断に対処に含めるとしています。これは限られた時間内で、全国民に接種をするというようなことを検討した場合、やはり20代、30代、40代、50代の社会的活動が非常に多い人たちをいかに早く接種するかということを踏まえた上で、こういった記載を考えています。また住民基本台帳に記載された者以外の接種に当たっては、事前に当該市町村に接種希望をする旨の申請が、接種希望者から必要と考えています。
 続きまして、接種会場における実施計画の策定ということを、論点➂として挙げさせていただきたいと考えています。10ページ、実施計画の策定に当たっては、接種会場における受付場所、待合場所等を含めて作成するとともに、実施計画には対応人数等の実施体制や、ワクチン保管体制等を記載することを求めてはどうかとしています。各接種会場に関する実施計画の策定に当たっては、接種会場における受付場所、待合場所、問診を行う場所、接種を実施する場所、経過観察を行う場所、応急処置を行う場所及び接種実施に当たる人員の配置図を含めて、作成をしていただきたいと考えています。なお、人員に関しては、医師・看護師については、具体的な配置場所、人員をたくさん図示したときにどこの人が医師で、どこの人が看護師なのかというところも含めて、配置場所を明記していただきたいと考えています。問診を行う場所及び接種を行う場所においては、被接種者のプライバシーに十分配慮して実施することとしたいと考えています。実施計画には、1時間当たりの対応人数、開設予定時間を記載していただき、市町村の計画策定時点での予定開設日数も記載することが望ましいと考えています。ワクチンの搬入方法及び保管体制については、品質を維持できるような体制も含めて具体的に明示するとしています。これはワクチンが冷所で保存する必要性があるということの観点から、このような記載を加えさせていただきたいと考えています。
 次の論点ですけれども、論点➃として、保護者の同伴についてということを挙げさせていただきたいと思います。ワクチンの接種を行う際の保護者の同伴については、平成21年の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種において以下のように実施し、特段の混乱はみられなかったため、同様の対応としてはどうかとしています。16歳未満の者のうち、中学生に相等する年齢の者が接種を受ける場合は、その保護者が当該ワクチンの接種に係る安全性等を十分に理解し同意することにより、その保護者の同伴がなくても接種を受けられるものとするとしています。なお、その場合に当たっては、当該接種対象者が持参した予診票上の自署欄に、当該接種対象者の保護者の署名があることを確認した上で接種を行うこと。また、接種の実施に当たっては、接種対象本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に関する本人への問診等を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に確認するなどして接種への不適用要件の事実関係等を確認するための予診に努めることとしています。これは平成21年11月4日に、事務連絡を出させていただいた内容を引用したものになります。
 12ページ、論点➄としてワクチンの流通スキームの策定についてを示させていただきたいと思います。通常の予防接種体制と異なるため、新型インフルエンザワクチンの流通スキームを策定する必要性があると考えております。全国民のワクチンを短期間で接種する必要があり、集団接種を含めた対応が求められています。都道府県の流通調整をもとに、販売業者・卸売販売業者を通じて、接種会場に納入されること。また、3事業者の、どの種類のワクチンでも、接種ができるように流通体制を構築する必要性があると考えています。ワクチンの安全な保管を考慮した体制も求められています。いろいろなワクチンが十分に供給されるときや、ワクチンの供給よりも接種者が多いような、需要が供給よりも多い状況も考えられます。いろいろなシチュエーションが考えられますけれども、今回例示させていただくのはワクチンの数がどちらかと言うと少なくて、受ける人がまだたくさんいるという状況のときをもとに記載をさせていただいています。
 13ページです、新型インフルエンザワクチンの流通スキーム住民接種(案)というものを出させていただいています。基本的には右の厚生労働省、都道府県、市区町村・広域連合がありますけれども、まず、製造販売業者から厚生労働省が購入をした上で、事前に厚生労働省に報告を頂いた都道府県ごとの案文、先ほど言いました4群のどれぐらいの人数がいるかということを伺った上で、その都道府県別の配分数を製造販売業者及び販売業者(販社)に通知をします。また同時に、都道府県別の配分数を都道府県に通知をします。都道府県においては、事前に都道府県卸組合と卸業者、※で都道府県協力卸物流センターと記載がありますが、この物流センターというのはあくまでも大きな冷所の保管場所を持っているような所で、かなりの数のワクチンを保管できるというような所を、事前に契約又は約束をしていただいた形で決めていただいて、そこに都道府県分の数が配分される形と考えています。
 この物流センターに関しては、必ずしも同じ所在する都道府県内になくてもよいと考えています。また、必ずしも都道府県に当たり、例えば1つの都道府県に1つの物流センターということではなく、全管区内を十分に網羅できるような形で契約していただきたいということと、その物流センターも、例えば1か所の県と契約をしたからほかの県と契約できないということにはならないという形で、複数の県と契約することも可能という形で考えています。そのようにすることで、通常の予防ワクチンの配分スキームと極めて大きく変化のない形での流通の流れが維持できると考えています。
 また都道府県に関しては、市区町村ごと、広域連合ごとの配分数、場合によってはこの段階で接種会場ごとの配分数となるかもしれませんが、そこは市町村との相談の上で決めていただいてそれに基づいて、卸業者、都道府県協力物流センターから納品を頂いて、そこから接種会場又は接種会場を担う保健センターや医療機関等に納入、納品されるということを考えています。実際に接種した数をもとに、それを市町村は都道府県に報告していただいて、都道府県から厚生労働省に報告していただいて、また在庫数を調整していくという形で考えたいと思っています。
 その後の2ページに関しては、今、御説明した内容をそれぞれ説明した内容になります。以上です。
○岡部班長 どうもありがとうございました。大変広範なところをいろいろきちんとした提案をしていただいて、大変だったと思います。ありがとうございました。ただ、それについて一つ一つディスカッションをしていく必要があるので、一応論点別に御意見を頂いて、今日で決定するということではないのですよね。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今日の意見を踏まえまして、また小委員会のほうに提出させていただきたいと考えております。
○岡部班長 そうですね、そこで是非議論を頂きたいのですが、最初に論点を示してあるところに行く前に、前提のところで何か御質問がありましたらどうぞ。
○釜萢委員 ちょっとうっかりいたしましたが、最初の「市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き」が暫定版になっているのですけれども、これは今後、暫定が取れたりすることについての検討はどうなっていたのだか忘れてしまったので、教えてください。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 このときの暫定版に関しては、そのとき議論をされた上で、実際に発生した段階で、先ほどお示ししたように、市町村とかに実際に現場でやっていただくといろいろな問題が出てくるのではないかということで、そのまま暫定版という形になっているのですけれども、今回は暫定版になっている2つの手引きの内容を踏襲した形で、その後のいろいろな意見等を反映させた形で接種要領を1つにまとめたいと考えております。
○釜萢委員 分かりました。
○岡部班長 中里委員、どうぞ。その次に大石委員、関連してですか。いいですか、では中里委員お先にどうぞ。
○中里委員 本日の議題に入る前にということで、特定接種に関して6ページの資料で「公務員」となっております。前回の新型インフルエンザのときに、保健所の職員が医療従事者に入るか入らないかで打てる打てないという議論がありましたので、こういう形で書いていただくと現場の保健所の職員が安心して対応に望めるかと思います。どうもありがとうございました。
○岡部班長 特定接種の範囲内のことですね。では、大石委員、お願いいたします。
○大石委員 確認です。3業者からのパンデミックワクチンの議論があると思うのですけれども、業者によってアジュバントのあるなしがあるということは理解しておりましたが、ワクチン抗原としてはホールビリオンの場合はアジュバントがなくて、不活化抗原の場合がアジュバントありというように理解してよかったでしょうか。ちょっと記憶が曖昧になっております。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 いずれにしても不活化なのですけれども、また、今製造されているものに関しても、今後どのような対策をするのかというのもありますので、不活化の中でもアジュバントが入っていないものもありますし、入っているのもあるという形で理解いただければと思います。
○岡部班長 いずれも一覧表が出ていて、表があるのですけれどもばらばらで、メーカーが全部統一のものではなくてアジュバント入り、なし、それからアジュバントの種類も違うし、パッケージも9ccですか。そうであったり、アジュバントがバイアルに入っているのもあれば別々のものもあるということで今のところメーカーによって、もちろん工夫をそれぞれがやっているので違うものが結果として出ているけれども、それを実際に使うとなると、例えば北海道はA社ので佐賀はC社だということになれば、当然違うワクチンが入ってくることになるので、それをどのようにしようかという議論だと思いますので、すみません。
○大石委員 了解いたしました。
○岡部班長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、論点➀に行きたいと思うのですけれども、今の要領で言うと8ページです。正しく今の大石委員の御質問の所だと思います。そういう製造法も違う、基本的には不活化ワクチンであるということはそうなのですけれども、実際作り方や何かが随分違うときに、1つはばらばらなのが入らないときとか、そうなると異なるワクチンの複数回接種ということも想定しなければいけないのですが、これについて御意見を頂ければと思います。事務局では、基本的には同一種類のを使ってもらうと。それから、余りそれをリジッドにやりすぎてしまうと、札幌に住んでいる人が佐賀に行ったら打てないということになってしまう可能性があるので、そういう場合は、ある程度フレックスにしてしまってもよいのではないかというのが趣旨だと思うのですが。
○押谷委員 まず、この論点に書かれていることなのですけれども、中段の所は「有効性・安全性は確認されていない」となっていて、下の所では「有効性等が認められた場合には」となっていて、事前に頂いたやつは上のほうも安全性が入っていなかったのですが、より問題なのは安全性のほうなのではないかなと。これは未知数の部分でよく分かっていない、有効性もそうなのですけれども、特に安全性の問題、アジュバントあるなしをやって本当に安全性の点で大丈夫なのかということは大きな問題なので、下の所にも安全性のことは入れるべきなのではないかと思います。
 もう一点です。これは以前にも議論をしたと思うのですけれども、複数回接種を別々のワクチンでやるということも問題なのですが、それ以上に実質的に問題になるのは、それぞれのワクチンの有効性・安全性が異なることが十分考えられるわけですよね。そのデータは多分、2009年のときもそうだったのですけれども、外国のデータ等はメディア等を通していろいろな形で流れると。そうなった場合に、このワクチンはこのワクチンと比べて有効ではない、あるいはこのワクチンは、このワクチンに比べてより安全性に懸念が残るというようなデータが出た場合にどうするかということのほうが、この問題よりもはるかに大きな問題ではないかと思うのですが、そのことには一切触れられていないので、その辺は問題なのかなと思います。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 パンデミックが発生したときのワクチンに関しては、今のところプロトタイプワクチンというスキームで承認がされる形になりますので、通常のワクチンよりもかなり早い段階で承認が進むと考えております。ただ、一方で早く進むということもありますので、実際に接種が始まった後の評価もきちんとしていくというふうに考えていますので、そこのところは今後、更に検討していきたいと考えております。
○押谷委員 その評価の結果、出たデータをどう扱うか。そのことによって、有効性とか安全性が異なるワクチン、当然異なる可能性のほうが多分高いと思うのですけれども、それが複数あって、それを国民にどう説明するのかとか接種をどう進めるとか、もしかすると小児に対してより安全なワクチンをやるとか、そういう選択肢もあるのかなと思うのですが、そういうことは一切ここには書かれていないので、データが出たときどうするかということです。
○大石委員 同様のことなのですけれども、これまで季節性として経験したことのあるH1N1であるとかH3N2であるとか、そういった亜型がパンデミックになった場合には、ある程度効果は期待できるのであろうとは思うのですが、亜型によってはアジュバントなしでは効果が出ないとか、そういうことも想定に入れておく必要があるのではないかと思いますので、パンデミックが発生したときのデシジョンメイクというのは、非常にクリティカルになるような気がいたします。以上です。
○岡部班長 普通に使われているワクチンもそうですけれども、例えば抗体獲得率が95%のワクチンと93%のワクチンを使った場合に、多くの人が95%を求めるというのが我が国の実情なので、その微妙な差であった場合にどのように説明するかというのは確かにそうですが、押谷先生は多分もっと差が開いているときだろうと思うのです。それから、小規模のトライアルでやってOKだけれども、例えばこの間のパンデミックでもナルコレプシーの問題が出てきて、そこの地域は全く使わなくなったけれども、後になって、これは相当時間を掛けて対処しなければ分からないのですが、結果としてはあれはナルコレプシーは余り関係ないという話ですよね。そういったようなのも出てきているときに、やめてしまったときは困ったものだと、後からいろいろな議論が出てくるのはあるのですけれども、ある程度その場で、デシジョンメイキングはしなければいけないので、それをどこがやるかということも多分、押谷先生の質問の1つではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
 私は、ある程度データのそろったところで、それしかしようがない場合にはそれしかないだろうと思うのですけれども、確かに多くの方からは質問が出てくる可能性はありますね。そういうときに余りぐらぐらしていると結局、全くやめてしまって、そこの場には使うワクチンが全くなくなったとか、欠品が生ずるということもあるので、もちろんきちんとした科学的な根拠を持ってある程度使えるものというので、この緩い幅ならば何とか説明しなければいけないけれども、幅が大きい場合にはやはり決定としては使わないということも出得るとは思うのですが、事務局あるいは室長、いかがですか。
○丹藤新型インフルエンザ対策推進室長 正に岡部先生に先ほどまとめていただいたような意見になろうかと思っています。これはワクチンに限らず、あらゆる医薬品や医療機器についても、ある程度の安全性・有効性をクリアしたものを認めていくというようにして、あとは使っていく中でいろいろなことが分かってくるというのは当然あって、そのときにまたどう対応するかという話になってくると思っていますので、そこはずっと評価をし続けながら、そんなに大きな差があるようなものであれば、そのときにまた安全性を議論しながら使っていくしかないのかなと思っています。
○岡部班長 ここには、認められた場合にはこうするというのが書いてあるので、押谷委員のは、認められない場合はどうするかということも、検討材料の中に入れておくべきであるということだと思うので、そういうことでよろしいですか。
○調委員 今のことに関連してです。少なくとも季節性インフルエンザのワクチンにはアジュバントは入っていなかったわけで、今回パンデミックに2つの会社が違う種類のアジュバントを入れていて、もう1つは入っていないと。それは、会場ごとに1種類のワクチンを輸送するのでしょうか。例えば、アジュバントが入っていないものを打ってもらいたいというときに、住民の人たちはそれを選択できる形になるのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 そこのところは、現時点ではまだ今後検討していかなければいけない点と考えております。理由としては、まずはどこの会社でも、それ以外にもあって、どこの会社のものでも都道府県のどの会場でも販売というか、納品できるような流通のスキームを作ってくださいというのを、正にこの後、審議していただく内容に入れていて、例えば市町村さんが実際に接種計画を作るのに、市町村としてのマンパワーとかいろいろな問題として1会場にするのか、それとも3つ、もし3つ入ったら3つ納入したいのか。それとも、実際にはそれはできないから、そうは選ばないのか。そういったところも含めて、実施計画を立ててみないと分からないところもありますので、例えば3社どの会社の分でも納入できるとなった場合でも、どのように取り扱っていくかということに関しては、実施計画をある程度進めたところで、また議論いただかなければいけない内容と考えております。
○岡部班長 実際面からいったら、まず自治体が3種類ないし4種類を同時に用意して、しかも潤沢に用意して、こちらの人はA社を使い、こちらの人はB社を使い、あなたは何を使いますかというのは実際には無理で、これは緊急事態のときにやるものなので、どの程度住民の方に我慢していただくかということがあります。現代の多くの人が知らなくなってしまっていると思うのですけれども、例えば給食をやっていた頃に、A社とB社とD社とどのお昼御飯を食べたいなどということはなくて、そのときはあるものしかしようがないという考え方にならざるを得ない状況で、緊急事態というのはそういうものだと思うのです。
 ただ、今みたいなことは議論しておいたほうがいいし、本当は全社で同じようなものができればいいのですけれども、そうするとその製法では生産量が低いとなったような場合になった時には全体量として足りないということもにもなるので、また、セーフティーからいっても、1つの製法のものが副反応などで全滅してしまったらもう駄目、というわけにもいかないので、幾つかばらばらのという妥協的なところが含まれているということも承知しながら、それをクライシス・コミュニケーションではなくて、リスクコミュニケーションとして伝えていく努力は必要だろうと思います。ちょっと私のほうで言いすぎてしまったところがあってすみませんけれども、ほかにもう1つぐらい御意見があったらお願いいたします。一応よろしいですか。幾つか問題点は出てきているので、これに対する検討も必要だと思うので、よろしくお願いいたします。
 論点➁が次の9ページですけれども、居住地以外での接種についてはいかがでしょうか。
○坂元委員 川崎市の坂元です。1つお尋ねが、通常の予防接種ですと、現段階では市町村が予防接種に要した費用の9割程度を国がみる、という形での対処がなされていると思うのですが、この場合に市町村間を越えたりとか、市町村の住民でない方も打ったりする形で、場合によると接種の数が市町村によって偏るということが起こり得ると思います。この場合に、従来からの予防接種に関わる9割程度の費用を国がみるという形は、最終的に予防接種が終わった場合に、市町村がそれぞれやった接種回数でのおおむね9割程度を、国に地方交付税でみていただけるという解釈でよろしいのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 予算のことに関係することなので、財務当局との検討というのは今後必要になってくるのですけれども、そういった形ができるかどうかというのを、今後考えたいと思っております。
○岡部班長 ほかはいかがでしょうか。ここで書かれているのは、基本的には住民票のある人だと思うのですけれども、その点はある程度は自治体のほうで判断すると。ただ、お隣とよく相談しておかないと、特に隣同士は自治体の境を超えて行ったり来たりがあるので、遠い所はある程度例外になると思うのですが、そこら辺は自治体間の話合いを進めることが必要だと思います。
 私がちょっと気になっていたのは、この赤字の所でドメスティック・バイオレンスの被害者だけが特出しにされているのが、何か異質な感じがしたのですけれども、これは事務局のほうで何か理由がありますか。以前のことも含めてだと思うのですが。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 これは作成の段階で、いろいろな所から御意見を頂きながら、策定していた中で入ったと思うのですけれども、もし特別にここ記載しなくてもと、確かに含めることはできるかもしれませんので、文に関してはまた検討したいと思っております。
○岡部班長 横田委員、どうぞ。
○横田委員 私もそう思いました。例えば介護で実家に帰っているとか、離婚調停中で実家に帰っているとかそういう方もいますので、何らかの理由でとかというようにしておいたほうがよろしいのではないかと思いました。
○坂元委員 あと1点ですが、実際に都市部ではある一定の数が出てくると思うのですけれども、在留資格との問題です。その場合どう取り扱うかというのはある程度考えておかないと、実際に接種に来られたときに、地方自治体としても対処を求められます。通常は地方公務員が在留許可のない者を発見した場合には、国に通告するとなっています。ただ、災害救助法等は取りあえず在留資格の有無を問わず治療をして、その後適切な措置を執るとなっておりますので、例えば災害救助法の準用みたいな形でやるのか、例えばやはり感染が広がるということを防ぐ意味では取りあえず接種して、その後適当な措置を執るみたいな形の指針も必要かなと思っています。
○岡部班長 私も今ちょっと思い付いたのですけれども、今、国会で海外からの労働者を大量に入れようという方向になるときに、その人の所在地はどこになって、今の日本の考え方だと、基本的にはそこに住んでいる人は全部対象で別に国籍は問わないというのがあると思うのですが、そういう方の場合にどうするかというのも考えておかなければいけないことです。公衆衛生の観点から言えば対象にしておかないと、一緒に防いであげようという気持ちももちろんあれば、そこから広がっても困るという両方の観点があると思うのですが、いかがですか。それもこの中に組み入れていくということで、課題になっているということをノートしておいていただければと思います。ほかになければ、では調委員、これを最後にしたいと思います。
○調委員 「その他市町村長が認める者」ということで、例外的に接種をするということだと思います。この中にはやはり大学生というのがあって、学生がどの程度住民票を移しているのかというのは、私もよく分からないのですけれども、大学生のポピュレーションはかなりの人たちが自治体を離れて住んでいると思われるので、その人たちがどれぐらいいて、例えばワクチンの供給に影響を与えるぐらいの人たちが、実際には別の自治体に住んでいる可能性もあると思われるので、その辺の調査はやはり必要なのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 最初に住民接種の案文を頂いている中で、一般の方も何人いるかというのは算出するようになってはいるのですけれども、一番の問題は大学生が今何人いるかというのは、多分年によってかなり変動が大きい項目と考えております。各市町村が実際に接種していく中で、何人接種したかというのは報告をしていく形になりまして、その数を組み込んで、その後の流通量に一応反映させていくという形を考えておりますので、その中である程度対応できるのではないかと考えています。
 もう1つは、そのために接種をしたい人は各市町村に自分で申し出ていただきたいと考えておりますので、その数の中には地元に戻っている方もいらっしゃると思いますし、大学も緊急事態宣言が出ると、学校自体が休みになるかもしれないので、そういったことも含めた上で、実際の数はそこで判断していく形になるのではないかと考えています。
○岡部班長 それでは、限られた時間の中のディスカッションなので、ちょっと先に進めておきたいと思います。11ページの保護者の同伴についてはいかがでしょうか。ごめんなさい、飛ばしてしまったのが10ページの接種会場における実施会計画の策定で、論点➂でした。失礼いたしました。これも実際にシュミレーションをやってみないと地域によって随分違うし、やってみた結果でこれはOKなのか、OKでなければ何が必要かということをやっていかなければいけないので、最初からできそうだとか、できないとかとやってしまうと先に進まなくなるというのが今のところだと思うのですが、何か御意見がありましたらお願いいたします。自治体のほうでは、中里委員、どうぞ。
○中里委員 特に、応急処置はどの程度のものが求められるのかによって、先ほど岡部班長が言われたとおり、できるできないが変わってくるかと思いますので、少し例示等をお願いいたします。この程度のものを準備すれば大丈夫とか、あと医療機関との連携はこういったものがあれば大丈夫とか、そういった例示をしていただけると自治体としては検討がしやすくなるのではないかと思います。
○岡部班長 ほかはいかがでしょうか。
○押谷委員 先ほどいろいろなシナリオがあるという話が事務局からあって、ここではワクチンが比較的足りないことを想定しているという話でした。それも大変だと思うのですが、そういうことが本当に考えられるかどうかは分からないのですけれども、一気にワクチンが供給されて非常に多くの人に接種しなければいけない。これも非常に大きな混乱をもたらすシナリオだと思うので、その辺りのところは多分多くの自治体が余り考えていなくて、私もいろいろな自治体の人と話をしてもそういうことは余り考えていないので、それも1つきちんと考えておくべきことなのかなと思います。
 それと、今気が付いたのですけれども、その前の4ページの所です。モデル市というのが設定されていて、小規模市というのが鈴鹿市と武蔵村山市になっていて、人口規模からいうと多分これより下の自治体が大半ではないかと思うのですけれども、これで本当にそれ以下の小さな自治体が、これがモデル市になって対応できるのかと。保健医療分野に数人しかいないというところも多分たくさんあるのだと思うのですけれども、武蔵村山市が一番小さなモデルになっていて本当に大丈夫かなということは、今気が付いたのですが思いました。以上です。
○岡部班長 研究班をやったほうとしては1万人、3万人、5万人ととてもできないので、それと、余り小さい所だとこういうことを担当できる方が実際にいないのです。なので、やはりモデルとして出せる所で、なおかつそういうことの経験がある方ということで鈴鹿市と武蔵村山市にお願いしたというのが実情です。これはやはりモデルなので、川崎市、神戸市は150万ですけれども、東京都なんてもっと大きくなってしまうので、区別にするということもありますが、これは1つの提言なので、それをもとに自分の所で応用を考えていただきたいというのが趣旨です。ですから実際に自治体で模擬訓練などをやってみないといけないと思います。
○押谷委員 ただ、三重県などもそうなのですけれども、本当に小さい所は非常に苦労をしていろいろな業務をやっていて、そういう中でこういうことをやらなければいけないという所と、ある程度人員にゆとりがあってできる所というのは、状況がかなり違うのではないかと思うので、そこのモデルというのをやはりある程度検討する必要はあるのではないかと、私は思うのですけれども。
○岡部班長 当時やったのでは、人口が数万人の所でやった場合だと、医療機関の協力があると結構短時間でできてしまうというのがあるのです。ただ、事前の話合いをどうするかということがあるので、そこはやはり同じ小さい市であなた全部やりなさいではなくて、やはり周りのほうの、そこの上になる所になるのですが、そういう所がシュミレーションをやるのに、応援体制を敷くといったことも必要だと思うのですけれども、確かにおっしゃるように、幾つか課題があります。
○押谷委員 今、岡部先生はそうおっしゃいましたけれども、やはり医療体制そのものが崩壊しているような所もあって、東北地方等には結構そういう自治体があります。医療従事者自身が非常に高齢化していて機動力もなくて、そういう所で本当に接種ができるのかどうか、全ての自治体が本当にできるのかどうかという検討は必要なのではないかと思うのですが。
○岡部班長 誤解を招く可能性がありますけれども、非常に乱暴なことを言うと、パンデミックが起きて大混乱になるのは、やはり大都市部なのです。小規模で本当に人口が少ない所は、そこを見捨てるとかそういう話ではなくて、非常に感染も小規模になるし広がりの動きが遅くなるということは、実態としてあるわけだけれども、そこにもきちんと行くような形というのは想定としてやっておかなければいけないのは、おっしゃるとおりだと思いますので、その辺も工夫すべき所として入れていただければと思います。では坂元委員、これを最後にお願いいたします。
○坂元委員 接種会場なのですが、市町村が接種会場を定めたときに、この接種会場というのは、例えば県のほうに一応集約して報告とか、そういう取りまとめを一括的にしておいたほうがよいと思うのですが、今の段階ではどのような取扱いになるのでしょうか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現在、検討している案の中では、実際に市町村自体も実施計画を作ることになりますので、市町村の計画をもとに、都道府県が管内の市区町村全体の計画を作る形になると思います。実際に各県の接種計画がまとまりましたら、私たち国のほうで実際に整合性というか、そういうのを考えていく必要性があるのではないかと考えております。
○横田委員 小さな自治体の問題なのですけれども、医師会が幾つかの市町村をまたいでできていますので、そういうところは医師会単位で考えたほうが、接種要領会場を探すなどのときに都合がよいのではないかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○岡部班長 医師会の御協力を得るということは、その前からの話合いが必要になってくるわけですけれども、それは是非入れておいていただければと思いました。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 流通のほうには図に入れたのですけれども、広域援護というのも視野に置いて文章として入れていこうと考えております。
○岡部班長 ありがとうございました。ちょっと次のほうに持っていきたいと思います。今度は接種要領ですね。失礼いたしました。前に戻ったので、11ページの論点➃で、保護者の同伴についてです。これについての御意見を頂ければと思います。今のところは中学生、高校生で分かれてくるという感じになりますが、いかがでしょうか。大体コンセンサスは得られていますかね。ごめんなさい、中学、高校ではないですね。中学生までは、親の了解があれば保護者なしでも行ける。ただし、小学校になるとやはり付添いが要るのではないかという提案になると思うのですけれども、これはもしも痛くて迷走神経反射を起こしてしまったとか、そういうことも含めてのことだと思うのですが、いかがでしょうか。おおむねこの辺は合意が得られた感じですかね、ありがとうございます。
 そうすると、12ページの論点➄に行きたいと思います。流通スキームについては、ここに案として提言がなされていますけれども、これについて御質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。
○押谷委員 先ほど事務局からもコールドチェーンの問題というのが言われていたと思うのですけれども、接種会場にワクチンをストックしておくのに足り得るきちんとしたコールドチェーンというか、冷蔵庫等がない所が多いのではないかと思います。これは業者が毎日そこに持っていくことを想定しているのか、そこに置くための設備のための何らかの予算措置をするとか、そういうことを考えられているのか、その辺を教えていただきたいのですが。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点では、これは卸売業者さんとかの普段の販路の流れを伺ったところでは、毎日実施することは可能ということで伺っています。ただ、実際は市町村さんが作っていく実施計画とか、そういったものがどういうものになるかによって変わってきますので、先ほどの実施計画の所にどういった形で保管するのか。毎日持ってくるのか、それとも、きちんと保管できる医療機関であれば、例えば1週間ごとに保管するみたいなことも含めて書いていただくようにしていただけると、はっきりするのではないかと考えております。
○岡部班長 これはむしろ、医療関係者よりも医師会とか卸の方とか、製造販売業者の方の意見も頂かなければいけないので、それは委員会というところとは別に是非意見を頂いて、少しでもスムーズに行けるような工夫をして小委員会への提案というところまで持っていっていただければと思います。ほかはよろしいでしょうか。
○中里委員 今回、私は所長会の代表で来たのですけれども、都道府県が実際にこのワクチンに関しては取りまとめることになると思います。政令市を抱える都道府県では、前回もかなり業務量が負担になったと聞いておりますので、その辺りを国のほうでもよろしくお願いしたいと思っております。
○岡部班長 それでは、少し時間が過ぎていますので、これについては後で小委員会に報告するまで、もうちょっと事務局でつめて、もし何かありましたら私もその中に入れていただいて、議論をしていきたいと思います。
 2つ目の議題に移りたいと思うのですが、医療体制における情報提供・共有の強化、これはリスクコミュニケーションとかそういうほうにも関わることですけれども、これについての説明も竹下補佐からよろしくお願いいたします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、資料2について説明させていただきます。参考資料1も併せて御説明に使用いたしますので、御用意いただければと思います。医療体制においての情報提供・共有の強化について、御説明させていただきます。国の方針としては、行動計画及びガイドラインにおいて、(1)●◇ですが、医療体制について、国及び都道府県は未発生期から医療体制の整備に努め、そのフォローアップを行うこととし、さらに、新型インフルエンザ等患者の国内初発例を確認してから地域発生早期までは、新型インフルエンザ等患者は発生したときには感染症法を基に入院措置の対象となるとしております。都道府県等は新型インフルエンザ等患者の入院可能病床数を事前に把握することが必要としております。これは、同じ新型インフルエンザガイドラインのリスクコミュニケーションに書いてありますが、情報提供・共有の観点からも、国及び地方公共団体は、平時から情報提供に努めることとされております。
 そういった背景があり、(2)ですが、医療体制の整備と調査に関して、これまで取り組んでおりました。1つ目の●ですが、国は「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づき、平成20年10月に、都道府県が確保した新型インフルエンザの患者の入院医療を提供する医療機関(以下「新型インフルエンザ患者入院医療機関」という。)において、必要な病床及び医療資器材等についてあらかじめ整備し、医療体制の強化を図ることを目的としております。それに関して、「新型インフルエンザ患者入院医療機関設備整備事業補助金」制度を開始しております。
 また、国は、新型インフルエンザが発生した平成21年に、「新型インフルエンザ患者の入院医療を行う医療機関の受入可能病床数の報告について」という事務連絡を出しており、都道府県に対し入院可能病床数等の報告を要請しております。翌年には、都道府県に対し実態把握を毎年実施しており、現在、毎年、新型インフルエンザ患者入院医療機関の確保病床数の報告を受けていることになっております。
 また、(3)その他として、過去の新型インフルエンザ等対策有識者会議において、地域の医療体制の整理について、国民の理解を得るための情報公表の重要性、必要性について、委員の先生方から意見を頂いているとなっております。
 そういった状況を踏まえ、2つ提案があります。2.医療体制においての情報提供・共有強化についてということで、説明させていただきます。提案の1つ目としては、「新型インフルエンザ患者入院医療機関」の情報を厚生労働省ホームページにまとめて掲載するとしております。医療施設は、全ての調査結果を都道府県に提示し、都道府県から国に情報共有するとともに、公表に関しては、施設ごとに状況が異なるため、施設ごとにホームページの公表の可否を判断し、その情報を含めて都道府県に提示する。その情報について厚生労働省ホームページにまとめて掲載してはどうかとしております。
 (1)理由しては、「新型インフルエンザの入院医療機関」に関して、年に一度の調査活動が実施されており、都道府県から国への医療機関情報の提示がされているため、その情報収集の手段を確保されております。また、平成30年度の「新型インフルエンザ入院医療機関」調査結果では、全ての都道府県で一定程度の入院医療機関が既に確保されております。そのため、今後、国民に平時から一元的な情報提供の共有を行うことにより、発生時に国民が迅速かつ適切に診断、治療を受けることが可能となると考えられております。
 (2)留意事項としては、調査結果の記載を統一するため、公表の目的を再度都道府県に通知して説明したいと考えております。また、ホームページの情報公表に関しては、平成31年度の調査後に掲載したいと考えております。
 提案2としては、今後、コールセンター、帰国者・接触者センター及び帰国者・接触者外来も同ホームページに掲載し、情報公表をしたいと考えております。今後、コールセンター、帰国者・接触者センター及び帰国者・接触者外来も同ホームページに掲載し、情報公表を目指すこととしてはどうかとしております。
 (1)理由としては、同様に新型インフルエンザ発生時に、国民からの相談に応じるコールセンター、症状がある際に帰国者や接触者の相談に応じる帰国者・接触者相談センター及び新型インフルエンザの疑いがある際に診療を行う帰国者・接触者外来も、同ホームページで情報共有が必要と考えております。
 (2)留意事項として、コールセンターと帰国者・接触者相談センターは、新型インフルエンザ等が発生した場合に設置されるため、発生後に掲載するという形を取りたいと考えております。また、帰国者・接触者外来について、現在、調査対象としておらず集約的な情報がないため、平成31年度の調査に追加し同時に掲載を目指したいと考えております。
 参考資料1の5ページに、ちょうど厚生労働省ホームページの一部を記載しております。ホームページのある所としては、新型インフルエンザに関しての「一般の皆様へ」の「特定接種管理システム公表データ」の1つ上に用意したいと考えております。
 6ページ、実際に発生したときに、相談先と医療機関が分かる形で、今の場所をクリックすると出る形にして、それぞれの目的ごとにこういうものがあるのだということを、まず説明する形にした上で、選べるようにしたいと考えております。
 7ページ、例えばコールセンターの場合は、まず目的として、黒字で記載がありますが、そのような形で説明した上で、現時点では新型インフルエンザは発生しておりませんので、「開設しておりません」という形で記載をしたいと考えております。これは、実際に電話番号を置いてしまうと、多分掛かる形になってしまうことも考えておりますので、現時点では実際には開設しておりませんので、こういう形にしたいと思っております。
 8ページが帰国者・接触者相談センターですが、これも同様の形を取りたいと思っております。
 9ページが帰国者・接触者外来ですが、これも目的を記載した上で、こういった医療機関が該当しますという所を、各都道府県で見られるように、こちらは記載をしたいと考えております。
 10ページですが、入院医療機関も同様の形で都道府県ごとのクリックする場を作っております。例えば、11ページですが、実際に出るページに記載できる内容としては、こういう形にしたいと思います。例えば、実際の県を押すと、こういった形で幾つかの病院が出ます。公表を希望されない医療機関はあると思いますので、そういった医療機関に関しては、その他医療機関という形で、ここは施設が何施設みたいに出る形で考えたいと思っております。以上です。
○岡部班長 ありがとうございました。丸井委員、福田委員がおいでになると、コメントを頂きたかった所ですが、現場でこういう情報が公開、もちろんあらかじめ全部ではないわけですが公開されることについて、御意見を頂ければと思います。特に日医などはあると思うので。
○釜萢委員 この情報の公開については、公開をすることによって、発生時に非常に集中して、業務が果たしてうまくできるのだろうかという不安を訴えてくる意見も一部あります。しかし、少なくとも入院と外来を担当する医療機関については、平時にしっかり公表しておいて、もしそのことによって業務が非常に集中して対応がかなり困難になる場合については、どうするかについても、それぞれの医療機関、これは入院ができる病院の外来がある程度担っていただくことになるのかと予想しますが、その辺りの準備をして、それぞれ覚悟をしておくことが非常に大事だろうと思っております。ですから、この形の公表をあらかじめ行うことについては、日本医師会としては大変望ましい方向だろうと思っております。
○岡部班長 ありがとうございました。西浦先生も議論にどうぞ参加してください。もし御意見があったら、いつでもどうぞ。
○中里委員 啓発はとても大事なので、素晴らしい取組なので、是非やっていただきたいと思います。
 2点お願いしたいこととして、1つは、若い人はスマホで大体情報を集めていますので、例えばインフォグラフィックなどもありますように、分かりやすい情報の発信に努めていただきたいというのが、1点。もう1つは、興味を引くための取組としても、AMRではガンダムが取り組まれたみたいですし、先日、飛行機に乗ってたら、機内の安全で歌舞伎の人が出てきて、そこまで機内の安全は余り見たことがなかったのですが、今回は見てみようと思ったので、何かそういう若い人の興味を引くような取組ができると、もっといいと感じています。
○釜萢委員 私も言い忘れましたが、先ほどの御説明のとおり、医療機関の公表に当たっては、医療機関の意向をしっかり踏まえて、準備ができた所を出してくださるということは、よく周知していただいていることなので、その点をもう一度触れておきたいと思います。
○岡部班長 ありがとうございます。
○押谷委員 医療機関を公表することについて私も異論はないのですが、状況によって、フェーズによって対応しなくてはいけない医療機関は、どんどんリアルタイムに変わっていくと思うので、その辺を本当に都道府県がきちんとリアルタイムに把握して、その情報を政府ときちんと共有できるようなシステムがないと、この情報がどんどんアウトリエテットしていって、ここではない所が対応しているのに、ホームページの情報はそのままということになりかねないので、その辺りの体制整備が必要かと。
 コールセンターに関しても、多分ここで考えているのは都道府県のコールセンターとかを考えているのではないかと思うのですが、フェーズによっては広がってくると、それだけでは対応できない。保健所で対応しなくてはいけないとか、私の記憶では、特措法の中でも自治体も住民への情報提供が役割としてあったと思うので、自治体がやらなくてはいけないというフェーズも多分あるのだと思うので、では、そのときに、どこが、どうしてこういう相談窓口になっているのかを、これも都道府県がリアルタイムに把握していかないと、この情報がどんどん違ったもの、実態に合わないものになってしまうので、その辺りの本当に起きたときの対応を、考えておく必要があるのではないかと思います。
○岡部班長 ありがとうございます。総論として、今、こういう所を見ておけば、情報が出るのですということと、これは逐次変わる可能性があって、そうすると、変わるのを国が変えるのか、自治体が変えるかと、ホームページの権利の問題、権利というか書換えのできる場所をはっきりしておくのも必要だろうと思います。確かにおっしゃるように、今の考え方は、フェーズは一律に決まるものではなくて、北海道と九州ではがらっと違うこともあるので、その辺も踏まえた上で。しかし、全体としては、こういう公表形式はやったほうがいいという意見に集約されると思うのですが。
○大石委員 この体制は、すごくいい取組だと思うのですが、コールセンターも帰国者・接触者相談センター、外来、医療機関、こういったものも平成31年度に各医療機関等々と接触し、具体的にどういう内容の相談センターにするのかとか。医療機関もパンデミックから10年たっているので、何をすればいいのかが、相談センターあるいは外来、求められる内容、そういったものも次年度に詰めておかないといけないのではないかと思います。以上です。
○岡部班長 地域の医師会などで、横田先生、何か御意見はありますか。
○横田委員 私たちもこういう情報があるほうが、万が一起こったときにすぐ対応できるので、非常に有用だと思いますが、釜萢先生もおっしゃったように、医療機関の意向をよく聞いていただければ、公表していただくことは全然問題ないと思います。
○岡部班長 そこのところは、国の働き掛けと自治体における連携が十分必要になってくるところだと思うのですが、その辺は公表しておくという方式でよろしいですね。細かいところは、もう少しきちんとやらなくてはいけないところがあるということだと思います。
 それでは、論点に関しては、一応、用意した所としてはこれまでですが、論点について全体で、もし先生方から何か御意見、少し戻って何か言っておくべきことがあれば、どうぞおっしゃってください。
○坂元委員 住民対象の予防接種を始める前、当然、国は考えられているのだろうと思いますが、例えば公共放送を使って、やはりかなり大掛かりに広報やっておかないと、通知にアクセスできない人もいるので、その辺の体制は国でしっかりお願いしたいと思います。
○押谷委員 いろんなシナリオがあるという話があって、それもいろいろなことを考えておかなくてはいけなくて、実際に住民接種ですが、本当にどのぐらいの期間やらなくてはいけないのかというも、例えば2、3週間なら医師会などがある程度協力できるかもしれないけれども、もしかすると2、3か月とか、もっと長くだらだらと、どんどんワクチンが供給されていって、長期にわたってやらなくてはいけないといったときに、では、その人員をどうやって確保するのかとか。これもいろいろなシナリオがあり得て、それによってはかなり困難な状況も予想されるので、その辺りを国としては考えておかなくてはいけないし、それは市町村とかにも説明しておく必要があるのだろうと思っています。
○岡部班長 御意見ありがとうございました。それもノートを取っておいていただきます。私が質問しようと思っていたのは、これも思い付きみたいな質問ですが、例えば災害が起きたときに、そういうときの広報は、重要な役割を果たしているメディアなどとあらかじめどういうことをやっておくかというのは、災害などのときには相談されているのですかね。広報の在り方として、そういうときだと、多分、記者会見もやって、ざあっと流していくというのは、ルーチンでやっていることですが、パンデミックだと一瞬の災害ではなくて、持続する可能性が今あったようにあるので、その場合にあらかじめ、例えばメディアの代表の方と、こういう場合にはどういう放送というか広報を流すかどうかというのは、災害のときに何か話はあるのですかね。これは単なる質問ですが。大石委員、何かありますか。
○大石委員 災害については、厚労省も自治体も、結構ばらばらといったら何ですが、余りまとまってなくて、そういうリスコミの在り方というかシナリオみたいなことは、余り相談されていないと思いますが、岡部先生がおっしゃるように、パンデミックの場合には、ある程度の流れを、リスコミの流れを作っておかれるのは、非常にいいことだと思います。
○岡部班長 坂元先生、災害のときの経験で何かありますか。
○坂元委員 災害の場合は、おそらく都道府県が災害救助法の指定を発令するという形で自治体には通知が来るのですが、それ以外はニュースで流れて、ああ、水害が起きたんだとか、その程度で、まとまった広報体制は特にされていないように思います。
○岡部班長 課題としては検討すべき事項の中に入ってくるような気がするので、思い付きの質問で申し訳なかったのですが、今後、考慮すべきこととして入れておいていただければ。室長、何かありますか。
○丹藤新型インフルエンザ対策推進室長 御意見ありがとうございます。地方提供とか、リスクコミュニケーションについては、国制度の行動計画やガイドラインにも書かれておりますので、メディアとの関係、在り方も含めて検討しておきたいと思います。
○坂元委員 これは市町村から要望ですが、この予防接種をやるときに、諸々の費用が掛かる。通常の予防接種法の予防接種ですと、ワクチンと接種をお願いしている医師会の先生等の技術料等々の費用を、国が9割程度みる形になっていますが、今回の場合は、例えば場合によっては会場の借上費用とか、あとガードマンの配置とか、恐らく市町村にとっては通常の予防接種とは異なる諸々の費用が掛かるという形で、その辺も財政的に厳しい市町村もありますので、諸事情を勘案して補助等の考慮を頂けたらと考えております。これは要望です。
○岡部班長 ありがとうございました。幾つかの提案、御意見を頂いているので、また、その辺は整理をして、場合によってはお諮りしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、西浦先生のお話を十分聴かなくてはいけないので、西浦先生、どうぞよろしくお願いします。
○西浦参考人 資料3を御覧ください。資料3、異なる亜型間の相互作用に関する研究に関してです。以前、研究計画の段階で報告を差し上げたのですが、そのまま2枚目のスライドを御覧ください。行動計画に関連してなのですが、抗インフルエンザウイルス薬の備畜に関連して、同時流行に関する可能性がこれまでに想定されてきた、としてあります。私は研究者として、同時流行というものがはたして本当にあるのですかという問題と、同時流行する場合に全く独立に流行するのか否かということに関して、最初に口頭で質問で受けました。独立に流行するということは実際にはないのですけれども、科学的に適切な方法を伴うエビデンスとして考えを見直していくことというのは必要で、同時流行がどのように起こるかをちゃんとサイエンティフィックに分析することが必要なのです。
 そこに書かれているとおり、背景としてインフルエンザの流行というのは皆さん御存じのとおりA型のH1とH3、それからB型ウイルス、主に3つに大きく分けられる型で流行が起こっています。更にほかのウイルス、RSウイルスだったりアデノウイルス、コクサッキーウイルスというあたりが有力なのですが、それらと相互作用を起こしているということがどうも確からしいという、辺縁的なエビデンスが今まで報告されてきました。それを疫学的干渉(epidemiological interference)と呼ぶのですが、その程度だったり疫学パターンが日本に関して特に十分に理解されていませんでしたので、これまでの季節性インフルエンザの同シーズンの流行に関して、規模とタイミングがそれぞれどのように相互に関係しつつ流行しているのかということを分析し、研究班で研究報告させていただいたので、今日はその成果を簡単に報告させていただきます。
 次のスライドがアメリカの例です。3つ図があるのですが、(A)、(B)、(C)それぞれ、縦軸を先に見ていただきたいのですが、Cumulative、つまり累積患者数が書かれていてH1だったりH3だったりBと書いてあるのですが、H1、H3、B、それぞれ1つのシーズンにおける累積罹患率が縦軸の意味です。それに対して、横軸に取っているものは何かというと、AのH1のときはAのH1ではないほかの型が流行の第16週でどの程度の感染者数かということです。日本で言うと大体1月の前半に対応するのですが、そのときまでにH1ではないもの、H3かBなのですが、どれぐらい流行しているかを横軸に取る。つまり、反対側の(complementary)タイプというのはH1ではないタイプというのがパネル(A)です。パネル(B)だとH3ではないものが横軸なのですが、それを見ていくとH1、H3もBも全てネガティブなコリレーションが見られますよということが、このPLoS Medicineに報告されています。
 これはどういうことかと言うと、ある流行のシーズンで、流行の途中経過までに特定の亜型に関する流行のサイズがどれぐらいかを見たければ、干渉の作用を見ればそのコリレーションを使うだけで未来さえ予測できてしまう、ということです。それぐらいインフルエンザウイルスというのは3つの型で干渉が強いということを、指し示しているということなのです。なので、同時流行の話を伺ったとき、私はすぐにこの研究を思い出しました。そう言えば、こういった研究というものが日本を対象に行われていなかったので、系統的に日本で手に入るデータを今のうち分析をして、ちゃんと国際的なエビデンスとして創出しておこうとして研究を実施しました。
 次のスライドを御覧ください。たくさん流行曲線があります。これがH1とH3とBに関して、対象として見た6年間の流行曲線です。国立感染症研究所のインフルエンザ研究センターでウイルス・サーベイランスとして報告されているデータを分析させていただいています。赤の点線、あるいは緑の点線が流行の途中で入っています。横軸の流行は週でカウントしているのですが、毎年大体36週からカウントしていて、先ほどもお話しましたけれども16週ぐらいのところで年が変わって、その先ぐらいで1月になるということで、12月の後半や1月の段階で、それぞれがどういう相互作用をしているのかを検討し始めたというというあたりのラインを点線で引いています。赤で引いているものは何かというと、反対側のストレイン、H1の場合は非H1が先に流行して、その後A1がどうなったかを検討しているものです。緑のラインというのは自分のストレインが先に流行して、異なるものがあとから流行した時にどうなったのかを検討できる材料になるものです。
 次のスライドを御覧ください。9パネルあります。インフルエンザの週がどんどん進んでいって、12月末から1月に入って、これは9パネル全部H1に関する話なのですが、H1に対して反対側の(complementaryな)タイプの罹患率が横軸にあたります。それをリアルタイムで見ていったとき、どの週でH1の累積罹患率がほぼ予測可能になるのかをコリレーションを見ながら見たものです。
5つ目と6つ目のパネルのところで赤線を引いているのですが、有意なコリレーションが出たところが1月の後半から2月の頭ぐらい、weekで言うとここで数えている22週と23週ぐらいで有意で、また有意ではなくなるのです。特定の週のインシデンスばかり見ていても、うまく予測できないのですが、流行の途中だけこういう相互作用が明確に見える瞬間が訪れるということです。
 次のスライドを御覧ください。H1だけでなく、H3を予測したりB型の流行を予測したりする時も、同様に流行の途中でcomplementaryなタイプを見ると、H3だったりBの流行サイズ、つまり累積罹患率がこれぐらいになりますよというものを、有意に予測するような相互作用が見て取れるということを示しています。
 次のスライドを御覧ください。今のは累積罹患率がcomplementaryなタイプによってどうやって予測できるかという話でした。つまり、相互作用の強さだけを見ていたのですが、もう1つ見ておかないといけないのが同時流行という話をしているので、流行の時期を見ないといけません。左の上からH1の流行時期を横軸に取ったもの、H3の流行時期を横軸に取ったもの、B型を横軸に取ったものを縦に3枚並べています。ピークの週を当該のH1やH3、Bに関しては0としたとき、complementaryなタイプの流行のピークがどれぐらいずれているのかを見たものです。
 例えば、左の一番上のパネルで言うと、H1のパンデミックのタイプ、Aカリフォルニアというものが、流行週0とした時に、H3がどこでピークを迎えているかというものです。平均値muが0となっていますけれども、H3とH1はほぼ同時に流行した場合は流行ピークがほぼ一緒ということです。右上はH1に対して、B型の流行がいつかというと、B型に関しては平均値muが2になっていますよね。2週遅れて大体ピークがやってきていますというのを、指し示しているというようなものです。それを逆さまにしたようなものとかが、下に並んでいたりします。見ていただきたいのは平均値muの値を見ると分かるのですが、H1とH3の流行に関して平均値だけを取ると流行のピークの時期はほぼ一緒、ということは流行が同時、異なる空間で大体流行するということなのですが、その時は流行のピークというのはほぼ同じ時期に来て、その時は独立に違う地域で流行しているので起こっているようである。
 一方、Bに関しては明らかにAに押し寄せられていて、Aよりも遅れてBが流行しているということを指し示すものです。時期だけを見るとAとBの間に強い差を認めて、H1とH3の間には余り時期に関する作用というのは国全体では見られないということです。
 次のスライド、御覧ください。日本国内の分析結果の(3)です。これは先ほどまでの負の相関を逆手に取って作ったものです。左上がH1で右上がH3、左下がBの累積罹患率というものが、特定の週でほかのcomplementaryタイプだけを見て予測可能かどうかを見たものです。これは何を示しているかというと、H1のパンデミックの累積罹患率というものを知りたければ、このルールに従って、H3とBの流行状況を特定の週まで観察すれば、ある程度どれぐらいの累積罹患率になるかというものが、予測可能なぐらい強い相互作用を持っているというものです。つまり、complementaryなタイプというものを利用すると、同時流行の話ではないのですが、相互作用によって、どれぐらい他方が抑制されているかというものが、しっかりと分かるということです。
 以上をまとめたものが最後のスライドです。特定の型や亜型の早期の流行は別の型・亜型の同シーズンでの流行を抑制するということを、日本のデータでもちゃんと示すことができました。意外に分析は簡単です。皆さん相互作用しているということは暗にご存知かもしれないのですが、そういう想像をちゃんとした統計学的な分析をして、国際的なエビデンスで出せる機会になりそうですので、貴重な研究機会になったと思っています。
 流行を予測できる時期というのが、ダイナミックに変化する中では多少違うのです。A型の2つの間の相互作用は22週から23週ぐらいとか、B型が19週から22週ぐらいということで、予測できる時期がそれぞれ違うということなのです。
 少なくともA型の2つはものすごく強く干渉し合っていて、A型とB型はちょっと弱いか、あるいは「ない」ぐらいで干渉し合ってそうである。
 ピークに関してなのですが、すみません、誤植なのですが、A型同士はピークの時刻に関しては干渉し合っていません。A型とB型が強く干渉し合って、異なる時期にどうも流行が起こってそうであるということがある程度分かりました。なので今年、あるいは昨シーズンを思い出していただきたいのですが、H3の毒力の強いストレインが海外で大変大きな流行を起こしている一方で、日本はH1が優勢(ドミナント)になったということがあったのですが、H1が先に海外から流入して一定の規模の流行を起こすことによって、H3を押し退けるという作用がそこにはあったということを示唆する詳査ではあります。というようなことで、同じような形でのポピュレーションのimmunityというのは大きく修飾されていく可能性があるということが示唆される研究になりました。以上です。
○岡部班長 ありがとうございました。いろいろなデータをお示しいただきました、これについて御質問、コメントを頂ければと思います。なかなか一遍で消化し切れないところがあって申し訳ないのですが。
○大石委員 データとしての質問です。Bについてはビクトリアや山形で抗原性が異なると言われているのですが、これについては余り干渉はないのですか。
○西浦参考人 BはBの中での干渉があるというか、Bの中での免疫というのは一度流行すると集団免疫(herd immunity)をほぼ達成した上で入れ替わるということが良く知られています。ビクトリア、山形に関してはAよりもすごく良く最近研究されています。herd immunityが達成されてスイッチするのですが、そのherd immunityの度合いを見ると、来年はビクトリアか山形かという予測は、実はAよりうまくいくのです。
 それはまた別の話で、今回、抗原抗体反応に関して生物学的にほぼ反応が交差反応(cross reaction)しないというようなもの同士で関係を見るとしても、押し合っている、干渉し合っているというのを示しているのが本研究です。そのとき、Bは一括りにして分析したものも、分けて分析したものも結果は余り変わりません。
○調委員 よく理解できなかった点があるのですが、H1とH3は干渉し合っていてという説明だったと思います。この論文のデータの中では、muが0になっているのでピークがずれていないという御説明だったと思うのですが、最後に先生が説明された昨シーズンは、H1が先に流行ってH3が遅れたというのは、干渉してピークがずれたように思えます。そこは何か、説明が矛盾しているような気がしたのですが、どうなのでしょうか。昨シーズン、H1が先に流行ったためにH3が入ってこなかったということは、それでピークがずれたんだという御説明だったと思ったのですが。
○西浦参考人 時期に関しての話も干渉はし合っていないというわけではないのです。どういうことかと言うと、H1がドミナントで流行すると、今までのデータを見ている限りでは、どうもH3の流行規模はとても小さくなります。データを空間的に、まだしっかり見られていないので、はっきりとしたことは言えないのですが、H1とH3の流行のピークの時期がほぼ同じというものに関しては、どうしてこういうものが起こっているかというと、H1で流行が起こっている地理的なスペースと、H3のスペースが恐らくちょっと違う場所で起こっていることが多いからなのだと思われます。だから、H1とH3は流行に関して干渉が全くないのではなくて、むしろものすごくある。
 去年に関しては、海外で早期にH3が流行したところでは、重症患者が結構一定数出たのですが、日本ではそれが起こるのかどうかを待ちつつ観察を続けていてもH3流行が起こらなかった。というのは、H1が流行したことによる間接的な恩恵を受けて、累積の規模が変わった影響ではないのか、ということはスペキュレーションの範囲ですが考えられます。
○調委員 もともとはと言いますか、先生の御研究は、季節性インフルエンザと新型インフルエンザが同時流行するかということも、ある程度予測できるといいますか、いろいろ読んでみると、やはりH5もH7もH1とH3との抗原類似性があるようなので、新型インフルエンザと季節性インフルエンザの流行もやはり干渉し合うのではないかと思います。それに関して先生のお考えはいかがでしょうか。
○西浦参考人 今は間接的なエビデンスしかないのです。数少ないパンデミックが流行したときで、complementaryな亜型がどうなっていたかを知るよしのある流行というのは1977と2009だけで、少なくとも1977の時はH1の流行が拡大せずにH3の流行が見られたということが知られています。2009に関してはH3がずっとcirculationしていたのですが、2009だけに限ってH3はほとんど押し寄られたということが知られています。
○調委員 直接反映させるのは難しいかもしれないのですが、季節性と新型インフルエンザが同時流行するかどうかということは抗インフルエンザ薬の備蓄量にも関連してくる話だと思うので、研究の進展によってはそういうところに反映させていただくことができるかどうかも、御検討いただければと思います。
○大石委員 ちょっと質問の内容が変わったのですが、基本的には先生の季節性インフルエンザの中での亜型とB型間の干渉ということについては、パンデミックが発生した時も適用できるというお考えなのでしょうか。
○西浦参考人 AとBの間ですか。
○大石委員 AとB、あるいはAの中の亜型。
○西浦参考人 季節性のエビデンスに関しては季節性のエビデンスです。そこから飛躍するというのはまあまあ難しい。
 少なくとも文献的には、今までのBの流行というのは、A/H1N1の……のラインのときも見られてはいます。あるいは、ほかのcomplementaryなウイルスが流行しているという、2009年のH1N1のときは、RSウイルスの流行とかが結構な規模でした。だから、complementaryな流行だけれども、規模が違うけれども、ちょっと離れた時期で流行しているというのがどうも起こっているようです。
○大石委員 ということは、基本的には季節性インフルエンザのパターンとパンデミックの時のパターンは少し違う考えを持って検討していく必要があるということでよろしいのですか。同じコンセプトで考えていいものかどうか。
○西浦参考人 何が違うかというと、H1に関して思い出していただきたいのですが、パンデミックが起こったときは、新しい亜型が生まれて流行しているわけです。それに対する免疫を持たない人がほとんどの集団で流行が起こるので、そこで感染が大規模になることによって、H3がものすごく長くcirculationしていたタイプでヒトの免疫から逃げていたものが押し寄られたわけです。そのような、よりダイナミックなことが起こるということなのだと理解はしています。原理は似ているのですが、流行規模がH1に関しては相当数の感染者が2009とかで出ているので、むしろ干渉は強くなるかもしれません。
○押谷委員 今の説明とも関連するのですが、結局パンデミックは非常にメジャーな抗原変異が起こるということですよね。そうすると流行規模が大きくなって、より強い干渉が起こり得るのではないかなという気がします。実際、2009年の時にも、あの時期、先ほど先生もおっしゃられたようにH3もBも流行中はほとんど見られていない。それを考えると、ここでは抗原変異の程度とかは全然考慮していないわけですよね。そこのところが新型インフルエンザの同時流行ということを考えたとき、そこは考えておくべきことなのではないか。
 2009年の状況を見ても、時期はずれていますがB型が年明けて流行しました。だから、パンデミックH1N1が流行終わって直後から、B型が結構な流行を起こしているので、これを同時流行と言うのかどうかとか、備蓄の問題を考える上では遅れて流行というのはこのデータを見ても多分あり得るのだと思います。そうすると、備蓄をどう考えるかも考えなければいけないのかなという気がします。
○西浦参考人 おっしゃるとおりだと思います。この間の流行シーズンなど見ていると、H1とBがまあまあ同じような時期でピークを迎えていたりするので、そういう点では同時流行というような文脈で、これを見たほうがいいのかもしれないというようなこともあります。
 今のところだと、とりあえず基礎的なものをエビデンスでまとめたのですが、その上でどうやってこれを読めるか、解釈するかというのは今のところだとAとBだったり、あるいはH1とH3とかいうものの組合せとシナリオによって、どちらもあり得る、同時流行があると読める場合も、ないと読める場合もそれぞれ詳細にある。なので、もうちょっと施策的な部分は検討しないといけないところだと思っています。
○押谷委員 これは純粋な興味なのですが、そもそもパンデミックが起こると今回、2009年のものはそうでもなかったですが、それ以前の1918年、1957年、1968年、1977年もそうですけれども、それまでのウイルスが駆逐されているんですよね。そこをきちんと説明する手段を誰も持っていないような気がするのですが、そこは説明できるのでしょうか。
○西浦参考人 いいえ、できません。
○調委員 同時流行という言葉がちょっと分かりにくかったかもしれないのですが、要するに加算的に起こるのかどうかということでは、医療体制や抗インフルエンザ薬の備蓄に非常に大事で、恐らく今の抗インフルエンザ薬の備蓄は加算的に起こることを想定して、備蓄を決めていると思います。先生、是非どの程度加算的に起こり得るのか、御研究を続けていただきたいと思います。
○岡部班長 まさに加算的な部分で同時流行という言葉が先に出ると、例えば通常の500万から2,000万人ぐらいのインフルエンザ(季節型)に加えて、パンデミックは1,500万から2,000万、あるいは2,500万ぐらい増えてトータル4,000万とか5,000万になるのか、あるいは季節性インフルエンザはやれば分かるけれどもせいぜい数百万人ぐらいで、ドミナントはやはりパンデミックであるということになれば、どっちみち同じものを使うわけだからトータルの備蓄量は余り大して変わらないと思います。
 今年のB型を見ていると、通常のインフルエンザに加えてB型が同じぐらい増えている。そうだとするとA型とB型が、A型がパンデミックで、私はそのようなことは考えていなかったのですが、B型も入ってくると加算的に考えなくてはいけないのかなという感じがないわけでもないのです。西浦先生、どうですか。
○西浦参考人 「加算的に考える」という日本語を数式にして考えていただきたいのですが、足し算ができるということは、2つのストレインが全く独立に流行するということが背景の想定にあるものです。今、こうやって1つずつ過去の流行を細かく分析して、まずエビデンスとして作っているのは、2つの型の間が独立ではないということをまず実証したということに相当します。ですので、単純な足し算ではなくなったというのが、まず一歩前進と捉えていただければと思っています。
○岡部班長 ありがとうございました、ほかに1つぐらい御質問はよろしいでしょうか。西浦先生もおっしゃっていたように、まだこれがストレートに、施策的に何か結び付くというところまでは行かないかと思います。ステップを踏んで、更に検討して教えていただければと思います。これを直ちに応用して、ストックがどれぐらいがどうだというところまではまだまだとても持っていけないので、今のところは今のやり方、推計値で行くというところではないかと思います。今の段階ではそのようなところでよろしいでしょうか、ありがとうございました。西浦先生、更にどうぞよろしくお願いいたします。
 4つ目の議題、これは報告事項に近いと思うのですが、「スペインインフルエンザから100年」、これについてまず事務局からお願いします。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料4、参考資料3を説明させていただきたいと思います。先日の感染症部会でも報告された内容になりますので重複するところもあります。
 スペインかぜ、「スペインインフルエンザから100年」に向けた啓発事業として、今年度は主に国民向けの情報の充実と医療従事者向けの情報提供を実施しております。特に、国民向けの情報の充実という点に関しましては、参考資料3にございます政府公報のオンラインという形で、内閣官房の新型インフルエンザ対策等対策室と一緒にこちらの内容を変更させていただきました。主なポイントとしましては、2009年の頃の新型インフルエンザを余り経験しなかったりとか、記憶から忘れてしまったりしている方が多いと思いますので、そもそもどのようなものだったのかとか、その当時どういうことをしたのか、また2009年の後からいろいろな医療体制なども整備されてきておりますので、実際に起きたときはどういうことをしなくてはいけないのかということを中心に、記載させていただいた内容になっております。以上です。
○岡部班長 ありがとうございました。これについても、もし何か御意見・コメントがありましたらお願いいたします。やること自体はもちろん、啓発というところでいい区切りになると思います。
 感染症部会でちょっと質問が出たのが、スペインインフルエンザから100年について議論しますというところと、例えば国民向けの情報の充実のところで、感染研が主催するメディアセミナーではスペインかぜから100年、この「かぜ」と「インフルエンザ」をどう考えるかという質問が感染症部会で出ました。事務局のほうは何かありますか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的には「スペインインフルエンザ」で統一して使うようにはしてはいるのですが、やはり「スペインかぜ」というほうが耳として残っているかとかイメージしやすいという意見もございますので、なるべく「スペインインフルエンザ」という言葉を使いながら、たまに必要な時には併用したいと考えています。
○岡部班長 ありがとうございました。田代先生や私がやっていたときに、これは「かぜ」ではなく「インフルエンザ」なのだから「スペインかぜはおかしい」と随分言ったことがあります。分かりやすさも含めて使い分けをしていただければと思います。ほかにありますか。
○押谷委員 私も全部知っているわけではないですけれども、諸外国は結構大規模なイベントをやっていて、CDCは9月ぐらいにやったと思います。中国も非常に大規模な、私も行ってきたのですが、100年のイベントを1万人ぐらい来たというものをやっています。イギリスもかなり積極的に大きなイベントがやられていて、それから比べると日本は少しこじんまりとやっているかなという感じはします。
○岡部班長 それはサイエンスを中心にしたイベントなのですか、それとも一般向けの啓発も含めてのものなのですか。
○押谷委員 CDCは公開されていますけれども、両方向けという感じだと思います。あと、『The New England Journal of Medicine』が4月、これはサイエンス中心で、ビル・ゲイツなどが出てかなり大規模な、それもサイエンス中心ですが一般の人たちが見ても割と分かるようなものを、Webでも公開しながらやっているという感じです。だからもう少し工夫があっても、感染研のセミナーだけではなくて、一般の人たちにもリーチできるような形のものがあってもいいのかなという気はします。Potcastなどかなり使われているかと思います。
○岡部班長 広報にもっとお金を使いなさいという感じでしょうか。メディアの方の御協力などもいただかないと、なかなか一般の方に伝わっていくということがないと思うので、そういうことも含めてリスコミの1つであるということで是非、100年ではないですね、100年を経過したのでリマインドするということでやっていただければと思います。
 ほかに全体としてはいかがでしょうか。大体、これで今日お伝えすること、御審議いただくことは終わったと思います。課題もかなり出てきたり、あるいはまだ十分結論が出ていないことがあると思うのですが、今日の審議の結果を基にしてもう一回事務局のほうで整理をしていただいて、ものによっては、あるいは委員の先生方にお尋ねしなければいけないことがあるかと思います。一応まとめるような形にして、小委員会のほうに報告をするという形で提出をすると思います。小委員会は平成31年1月11日に予定されていますので、併せてよろしくお願いいたします。
 特になければ、本日の審議はこれで終了したいと思います。事務局からこの次のこと、その他含めてアナウンスがありましたらお願いします。
○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 本日の議事は以上です、事務局から何かありますか。
 本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。