第5回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会 

健康局 結核感染症課

日時

平成30年9月5日(水)
13:00~15:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)

議題

  1. 1.薬事耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(2018年度版)について
  2. 2.その他

議事

 
○国際感染症対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」を開催いたします。
 開会に当たりまして、新しく着任をいたしました宇都宮健康局長より御挨拶申し上げます。
○健康局長 この7月31日付で健康局長を拝命いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は皆さん、大変御多忙の中、また、昨日の台風で非常に交通が不便だった先生もいらっしゃると思いますけれども、そういう中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。また、平素より感染症対策の推進に御協力いただいておりますこと、この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げます。
 御承知のように、AMR対策ではヒトに対する医療というだけではなくて、農林水産、畜産、そういったこと、あるいは食品安全等も含めました分野横断的な対策を行うワンヘルスアプローチというものが重要ということでございまして、日本ではヒトと動物の薬剤耐性に関する動向調査のデータを収集して、比較可能とする取り組みを進めてきたところでございます。
 昨年10月には、この検討会におきまして年次報告書を作成いただいたということでございますが、いわゆる感染症分野だけではなくて、厚労省として例えば本年4月に行われました診療報酬改定、そういった医療の報酬の改定の中でも抗微生物薬適正使用につきまして加算をつけて、できるだけ不必要な抗生剤を使わないというような取り組みを進めるなど、さまざまな分野においてこういう取り組みを進めていこうというような流れになってきているところでございます。
 今回、アクションプランが作成されました2016年以降のデータについても収集が進んだということで、ようやく議論が始められる状況となってまいりました。本検討会で作成されます年次報告書、これは関係各分野におきます対策の効果を評価する意味でも極めて重要なものでございます。ぜひ委員の皆様方には活発な御議論、忌憚のない御意見をいただきまして、実りある会議としていただければと申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○国際感染症対策室長 なお、公務のため宇都宮健康局長は途中退席とさせていただきます。
 本日の構成員の出席状況を御報告いたします。
 本日は、黒田構成員より欠席の御連絡をいたただいております。また、参考人といたしまして、東京都健康安全研究センターの小西典子先生に御出席をいただいております。
 また、早川構成員につきましては、途中退席と伺っております。
 続きまして、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第のほか、資料1~3、参考資料1、2を御用意しております。不足している資料等ございましたら事務局までお申しつけください。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、以上とさせていただきます。
 以降の議事運営につきましては、渡邉座長にお願いをいたします。
○渡邉座長 渡邉です。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2018について」及び報告事項として「最近のAMR対策について」という大きな2課題を用意しております。皆さんのお手元にあるたたき台、結構分厚いものでありますけれども、これの全体をオーバービューしたいと思いますので、もし発言する場合にはできるだけ簡潔に時間を使っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 まずは資料1の構成について、事務局から説明をお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 資料1の目次をごらんください。「前文」「略称」「抗菌薬・抗菌剤の種類と略号」「要旨」「アクションプランの成果指標」に始まり、「6.日本における耐性菌の現状」「7.日本における抗菌薬使用量の現状」「8.日本における薬剤耐性に関する国民意識」「9.今後の展望」と続き、各調査に関しての詳細は巻末の「参考資料」に記載してあります。なお、「要旨」にアクションプランの成果指標の表を載せてありますが、今回の会議で御意見を賜り、適宜、文章を追記したいと考えております。よろしくお願いします。
○渡邉座長 構成につきましては、皆さんのお手元に参考資料2として、2017年版の報告書があると思いますので、これを参照しながら見ていただければと思います。2017年度のものとほぼ同じような構成になっていると思いますけれども、2017年版と比べた場合に構成で一部違うところは何かありますか。
○結核感染症課長補佐 構成につきまして大きな違いはございません。
○渡邉座長 ということです。まず構成全体について、こういう形でよろしいかどうかの御意見をお願いいたします。皆さんに2018年のたたき台は、事前にと言っても1日か2日前ですけれども、それで見る十分な時間があったかどうかあれですが、回っていたと思いますので、ごらんになっている方々は多いのではないかと思います。何か構成について御意見はありますか。よろしいでしょうか。特にないようでしたら、2017年度版とほぼ同じような構成で2018年版も行うということで。
 では、中身に移っていきたいと思いますが、まず資料1の2018年版のたたき台をごらんいだいて、「前文」「略称」「抗菌薬・抗菌剤の種類と略号」及び「要旨」、この辺をまず見て議論したいと思います。
 「前文」は前回を見ていただきますと、ほぼ同じようなくくりになっていると思います。
 続いて「略称」も特に前回と変更はないと思います。
 3番目の「抗菌薬・抗菌剤の種類と略号」も前回とほぼ同じだと思います。今回フォントが違っているので字の大きさが違うのですが、全体の書かれていることは変わっていないと思いますけれども、よろしいでしょうか。どうぞ。
○藤本構成員 ほかのところも共通なのですが、略語のところでCDIのCの部分がClostridiumのままになっているので、これはClostridioides、どちらかを括弧に、Clostridiumを括弧にするのが適当だと思いますけれども、変えて、ほかの本文の中でも基本的にはそこは全部変えていただいたほうがいいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 スピーシーズの名前が新しく提唱された形に変わっているということですので、それは後で訂正を事務局お願いいたします。
 続いて「要旨」はいかがでしょうか。これも背景と方法はほぼ同じでしょうか。結果のところで数値が2017年度と異なるところがあると思いますけれども、これから中身を見ていきますが、その中身で2017年度のサーベイランスのデータが加わっておりますので、そこと過去との比較をした結果が結果のところに書かれていると思います。いかがでしょうか。
○御手洗構成員 「要旨」の中で、フルオロキノロン系とキノロン系という用語が混在して使われているようですが、どちらか統一するかしていただいたらいいかなと思います。
○渡邉座長 「要旨」のところで、7ページ目の下から7行目あたりではフルオロキノロン系と書いてあり、8ページの上から2番目はキノロン系と書かれているということで、あとは真ん中の段の6行目あたりもフルオロキノロン系と書かれている。8ページの2段目のこれはフルオロキノロン系としたほうがいいですね。これは訂正していただきたいと思います。
 ほかにございますか。ここで重要なことは、1つは2017年耐性率の肺炎球菌のペニシリン耐性が2015年が40%前後だったが、2017年度が耐性が29.1と低下が見られている。これは非常にいい傾向だと思いますけれども、これが1つのポイントです。8ページ目を見ると内服薬の抗菌薬全体の比率として、使用量を2013年と比較すると内服薬はセファロスポリン系、マクロライド系、フルオロキノロン系の使用量が13.5%、14.2%、9.1%に減少している。これも非常にいい結果だと思うのですけれども、一方、注射用抗菌薬が逆に4.9%増加している。これも重要な所見だと思うのですが、逆に増加しているような問題もある。これが要旨として書かれているわけであります。
○村木構成員 9ページの表に2017年の販売量が示されていますが、12.67は内服薬の合計値になっていますので、全体の使用量は本文の要旨のように13.7に変更していただきたいと思います。
○渡邉座長 7ページの結果の最後の行の13.7が、ここに来るべきだということですね。
○村木構成員 そうです。ここの12.67というのが経口薬の合計量の記載になっていますので。
○結核感染症課長補佐 わかりました。
○渡邉座長 2013年のこれは14で問題ないわけですね。
○村木構成員 そう思います。
○渡邉座長 ヒトのほうでの結果も。
○村木構成員 これもひょっとすると内服薬かもわからないので、値に関しては後でしっかりと間違った記載のないように確認させていただきたいと思います。
○渡邉座長 どこがですか。
○村木構成員 表のところです。販売量のところも13.91というのを48ページの13年の値と見比べると、2013年の内服薬の合計値と一緒になっていますので、後で確認させていただきたいと思います。
○渡邉座長 わかりました。今のは表9のヒトに関するアクションプランの成果指標の抗菌薬使用量、販売量、DIDのところの2013年の販売量、全抗菌薬であるか、内服薬であるか、そこを確認するということですね。ありがとうございます。
 どうぞ。
○境構成員 この要旨のところに、7ページの一番下とか、8ページの上のほうとか一番下のところに数値の変化が出てきているわけですけれども、薬剤耐性菌問題というのは、もちろんモニタリングという1つ指標を使ってリスク評価、リスク管理をやることが重要ですので、個別のところでまたお願いしようと思っているのですけれども、この要約のところでも定型的なこういった措置を講じたことからこう変化したとか、もし書ければそういったリスク管理措置とか、変化の要因といったものを一言、記載していただければと思います。
○渡邉座長 わかりました。なかなか難しいのは、実際にアクションを起こした2017年4月か5月以降にいろいろな対策等がとられてきているので、本来は2017年の途中経過を見るよりは、私個人としては2018年のほうが重要ではないかと思います。1年以上経過した後にどうなるかということのほうが重要だと思うのですが、これは今の境先生が言われるような形での対策との関係は何か書けますか。
○国際感染症対策室長 本日、報告事項で最後、対策についての進捗については最新のことをお話させていただきたいと思っております。ただ、対策の効果についてはもちろん今、座長よりありましたように、なかなか難しいとは思っておりますが、そこも可能であれば含めて御議論をいただいてもよろしいかと思っております。
○渡邉座長 わかりました。ではまた最後にここのところに戻って、書けるようでしたら何か適切な言葉で書くという形で処理したいと思います。
 8ページの2段目、動物についての記載のところはいかがでしょうか。どうぞ。
○遠藤構成員 動物につきましては、後ろのほうを見ていただくとわかるのですけれども、まだデータが出そろっておりませんので、またそれを見て、その結果を反映させて、次回、追記できるところまで追記したい。今回は暫定版ということなので、そのような取り扱いにしていただければと思います。
○渡邉座長 わかりました。次回までにこのところをもう一回精査するということです。
 そうすると、これは動物の抗菌薬等の使用量についても同じことでよろしいでしょうか。
○遠藤構成員 使用量については今回出しておりますので、使用量はこの形でいいと思います。
○渡邉座長 わかりました。
 よろしいでしょうか。
○藤本構成員 今回のデータで新しいこととして、ヒト、動物、農業、全ての領域での抗菌薬の使用量がトンで出たというところがありますので、これは今までなかったことですから、ここに入れてもいいのではないかと考えます。
○渡邉座長 動物のほうはそれが書いてあるわけですが、ヒトも入れたほうがいいと。
○藤本構成員 ヒトと農業と全部がトンで今回の報告書のデータの中にはございますので。
○渡邉座長 わかりました。そうするとこれは行分けして動物、ヒト、ほかのものも使用量がこういうふうになっているというのを書いたほうがよろしいですかね。事務局いかがですか。
○国際感染症対策室長 了解いたしました。それはすなわち例えば全て合わせたような数字もお示しするような形なのか、個別の部分でお示しするのかということではいかがでしょうか。
○藤本構成員 合計量にも意味があると思いますが、個別、ヒトにどのぐらいで、それに対して動物がすごく多いのではないかというと、まあまあそうでもないというようなことがわかるように、あるいは農業でこのぐらい使われているんだということがわかるように記していただければと思います。
○国際感染症対策室長 了解いたしました。では事務局のほうで次回そのような形で出させていただきたいと思います。
○渡邉座長 確かにほかの国に比べると動物が思ったより少ない。中国なんかと比べると莫大な差がヒトと動物であるということですので、日本ではこういう状況であるというのを世界に向けて示すのは、有意義なことだと思われます。
 ほかにいかがでしょうか。もしないようでしたら、細部、個々のところを見ていただいた後に、またつけ加えるべきことがありましたら言っていただければと思います。
 続いて11ページの「6.日本における耐性菌の現状」、JANISのデータに基づいてグラム陰性菌について御意見を伺えればと思います。これはJANISの柴山先生から何か強調すべき点とかありましたら。
○柴山構成員 そうですね。ここにデータを載せている、このとおりなのですが、冒頭の要旨にも若干、結果についてのコメントがありますとおり、多くの菌種で耐性率が減っている傾向にはあります。ただ、目標値を考えたときに、これまでの減少率の傾きを見ると減ってはいるのですけれども、目標値に到達するにはかなり努力が必要かなと思います。
 特に大腸菌では薬剤耐性の割合というのがむしろ増加傾向にありまして、このアクションプランにあります例えばフルオロキノロン耐性などはむしろ増加傾向にあるということで、ここにもデータにも示しているとおりなのですが、今後さらなる対策の強化が必要だと思います。
 私からは以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、何か気づかれた点がありましたらお願いいたします。
 今回この表で、17ページで200床以上、200床未満、この辺は前回なかったデータでしょうか。ありましたか。私が見ている限りないような気がするのですが。
○柴山構成員 200床以上、200床未満の集計を始めたのが2014年からですので、昨年度の報告書をまとめた段階では、まだデータの蓄積が余りなかったので載せなかったのだと思うのですけれども、今回4年分データが蓄積されましたので、今回載せていただいたということだと思います。
○渡邉座長 ここは分けてこのように分類すると、何か違った点が見えてくるというか、何かあるのでしょうか。
○柴山構成員 大規模な医療機関、小規模な医療機関で比較いたしますと、薬剤耐性、菌種によっても違うのですが、いろいろな違いが見えてくるものもありますので、まだ始めて4年目なのですけれども、こういったことでいろいろな菌種について薬剤耐性の違いを見ていこうと考えております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかの先生方よろしいですか。どうぞ。
○藤本構成員 大きい数字はいいのですけれども、小さい数字のところで、例えば大腸菌のIPM耐性とか0.1で切ってしまっているのです。これは分母が大きいので、こういうところはもう少し有効数字を大きくして出してもらえたらとか、あるいは分子はどうなのか。フェカーリスのバンコマイシン耐性も0.05未満というのでずっと書いてあって、これがだんだんふえているのかふえていないのかというのは、センチネルとしては興味があるところだと思うのですが、いかがでしょうか。
○柴山構成員 非常に耐性率が低い菌種につきましては、絶対数、その数字自体がかなり小さいということもありまして、余り小数点以下を細かく載せてしまいますと、かなりぶれが大きいということもありますので、そういうことで小数点第1位で切っているということがございます。ですので細かく見ても少ない数字だと、逆に言うとぶれが大きくなってしまうかなと思います。
○渡邉座長 よろしいでしょうか。実際としては、例えば17ページのバンコマイシン耐性は検査数が例えば10万とか、そういう値ですよね。それに対して耐性菌の数というのは実際に何個ぐらいですか。
○柴山構成員 実数で言いますと、数十から百幾つだったと思いますので、結構ぶれてしまうと思います。
○渡邉座長 そういうことだということで、このままでよろしいでしょうか。
 ほかに御質問等がありましたら。村木先生、どうぞ。
○村木構成員 自分の興味になってしまうかもわからないのですが、200床以上と200床未満の数字を見た場合に、何施設からやっているみたいな情報は、この表の中になくても正しく評価できるのでしょうか。例えば1つの施設はたくさん出しているけれども、もう一つの施設は検査自体を余り出していないとか、そういったばらつきみたいなものは考慮しなくても大丈夫なのでしょうか。
○柴山構成員 病院ごとの検査のクオリティーといいますか、データのクオリティーにばらつきがないかということですか。
○村木構成員 そうです。この200床未満というのは、全体的に見ても200床以上施設の医療機関数の分離患者数も全然違うのですが、提出されている医療機関数みたいなものがそれぞれないと、余り評価できないのかなと思ったりもしたのですが。
○柴山構成員 参加している200床以上の集計対象になっている医療機関の数については、もちろん数字は手持ちにございますので、もし必要でしたらこの表に追加することはすぐにできると思いますので、事務局と相談させていただければと思います。
○渡邉座長 参考資料のサーベイランス、JANISの62ページ、ここには実際のサーベイランスがどのような形で行われているのかということで、対象機関数とかそういうものはここには入っていないのですね。JANISの検査部門で1,482病院が参加しているとか書いてありますけれども、2015年ですね。これは今のお話ですと200床以上。
○柴山構成員 これは200床以上、200床未満全てを合算した数字になりますので、内訳は当然私たちは把握しておりますので出せると思いますので、事務局と相談したいと思います。
○渡邉座長 先ほどの前のところに入れていただいてもいいのですが、どういう形でのサーベイランスが行われているかというところが62ページに来ると思うので、この中にもう少し内訳を細かく書いていただくと、これと先ほどの表とを見比べてもらう。ここは2015年しか書いていないのですが、このデータが2017年ですので、その辺ももう少し詳しく書いていただければと思うのですけれども、その辺でよろしいでしょうか。
 ほかに何か御質問がありましたら。よろしいでしょうか。
 続いて、NESIDのデータが20ページに書かれていますが、これについて松井先生から何かコメントがありましたら。
○松井構成員 特段追加はございません。
○渡邉座長 前にもお話が出たのですが、これとJANISの関係をどういうふうに比較できるのかということに関する検討というのは、何かされているのでしょうか。
○松井構成員 柳原班という研究班におきまして、手始めにVREについてJANISの公開データとNESIDのデータを比較するというような検討を行っております。当然のことながら違う対象医療機関から違う目的で集められた結果でございますが、それぞれに特徴ある所見があり、あわせて見ることでより有用性が高いのではないかというところが、昨年度の暫定的な結果と聞いております。今年度はまたさらに少し詳しい情報まで含めた形で解析を行っているところでございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。データだけが出るというのも1つそれは意味があることですけれども、その出ているデータの意義がどういう形になっているかというのは、今回年数がたつにつれてそこはちゃんとしておかないと、ただデータだけ出ていて、この意味は何だと外から聞かれてくることがあるので、その辺は検討事項だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。ほかに何かありましたら。
 続いて21ページ、これがJANISとかNESIDで捉え切れないところ。そこが個々の疾患、例えばカンピロバクター、サルモネラという形で挙げられているわけですが、その他の細菌の中でカンピロバクターは都衛研、今の健康安全研究センターで長らくデータを収集してこられておりますので、そのデータが表16、17に載っていると思います。これについてはきょう小西先生がいらしておりますので、何か追加事項がありましたらお願いいたします。
○小西参考人 昨年までの報告書の中に2011年から2015年のデータを載せていまして、ことしは2016年分のデータをアップデートさせていただきました。
 1つ間違えてしまつたところがありまして、表16のCampylobacter jejuniのほうなのですが、2016年の供試数、nが133になっていますけれども、113の間違いです。耐性率としてはこのままでエリスロマイシンが0.9%で、キノロン系薬剤に対しては52.2%ということで、これは正しい数字となっています。
 毎年の傾向を見てみますと、エリスロマイシンは耐性率はそれほど高くないという傾向が続いています。2011年から比べると若干減少しているかなという傾向が認められます。キノロン系の薬剤は大体50~60%ぐらいが耐性率ということで、2015年だけ少し耐性率が低かったのですが、また2016年に戻りましたので、ほぼ横ばい傾向が続いています。
 表17のCampylobacter coliのほうですが、全体的に見て供試数が非常に少なくなっているので、1つ耐性が入ってしまうとパーセンテージが上ってしまうということがあります。そういうのも含めて見ていただきたいと思うのですが、一般的にjejuniよりもcoliのほうがやや耐性率が高いという傾向です。エリスロマイシンについてはほぼ横ばい。フルオロキノロン系薬剤に対しては、若干の減少傾向が認められているという成績でした。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 Campylobacter jejuniでエリスロマイシンの耐性値が2011年のこれと比べると、最近だんだん減ってきているように見えるのですが、これは何か理由は考えられる点があるのでしょうか。
○小西参考人 現段階ではこれといった理由は考えられないというか、わからない状況です。
○渡邉座長 これは動物のほうから見てどうでしょうか。
○田村構成員 キノロンの中にナリジクス酸が入っていて少し数字が大きくなってしまうので、フルオロキノロンとナリジクス酸は分けたほうがいいと思います。それにしても動物のほうが耐性率は低い値で、ヒトで治療に使った抗菌薬が反映したのではないかと考えています。
○渡邉座長 正常な動物の糞便からとれるCampylobacter jejuniのエリスロマイシンまたはキノロン系の耐性のほうがもっと低い。
○田村構成員 はい。
○渡邉座長 そうすると、これはヒトの治療に使った結果が反映されているのではないかと考えられるということでしょうか。
 エリスロマイシンが低くなってきているのは、これはヒトの治療としてエリスロマイシンは余り使われていないと考えてよろしいですか。誰か臨床の先生でわかる先生はおりますか。どうぞ。
○早川構成員 カンピロバクターの治療は、クラリスロマイシンもしくはアジスロマイシンが現場では第1選択で使われています。添付文書上の適応はクラリスロマイシンです。
○小西参考人 ただ、治療で使うときにカンピロバクターをきちんと同定してから使うという例がどの程度あるのかなというのがありまして、まず病院に行って処方されたときにキノロンが一般的に出される。セフェムなんかも出されるかもしれませんけれども、そういうところでキノロンのほうが高くなっているのかなと思っています。
○渡邉座長 臨床の先生が第1選択薬として先ほど早川先生からあったようにクラリスロマイシンが使われる。余りキノロン系は使われていない。
○早川構成員 感染症科や細菌検査室がある程度しっかりしている病院ですと、グラム染色の時点でカンピロバクターの診断ができる場合がありますので、その際は受診された日にかなり強く疑って処方を開始することになります。そういった場合はマクロライドで始めます。いわゆる急性下痢症で一般内科の先生などがご覧になっていると、もしかしたらキノロンを最初に使われて、培養結果が出るまでに時間がかかるということは起こっている可能性はあるかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○釜萢構成員 私は小児科ですか、小児科の場合は下痢に対してすぐキノロンなどは使いませんので、これは必ずクラリスロマイシンから入ります。ですから内科のほうでそんなに下痢に対してキノロンの使用が多いという印象も私自身は持っていないです。
○渡邉座長 わかりました。この辺は何がセレクションになっているかというのは、実際の現場でどういう抗菌薬が使われるかというデータも本来だったらとって、そことの関係を見ていかないとなかなかわからない点が出てくるのではないかと思います。本来そのような点もJANISか何かでうまくできるのかどうか。JANISは今の集めるシステムだとするとなかなか実際の現場でどういう治療薬を使ったということとか、経過がどうだとか、なかなか出ないですよね。
○柴山構成員 それは出ないです。
○渡邉座長 だからその辺はほかの国、WHOとかはそういうところもデータをとるようにと推奨しているのだと思うのですが、日本としてどういう形でのデータの収集が今後あるべきかというのは検討課題だと思うのです。徐々にそういうところにも厚労省も含めた形で検討をして、実際に耐性率が減る減らないと、現場とのどういう治療方針で行ったかというものがうまくパラレルになると、臨床の先生方も非常に役に立つのではないかと思います。
 よろしいでしょうか。ほかにカンピロバクターはいかがですか。
 続いてNon-typhoidal Salmonellaで、これは地方衛生研究所から主に食中毒関係のデータとして集められたものが25ページまで出ておりますけれども、この点に四宮先生、何かコメントがありましたら。
○四宮構成員 前回のものに2017年の分離株が加わりましたので、本文に書かれているようにサルモネラ属菌として1,438株が通算の分離株数になります。そのうちの1,087株がヒト由来で、351株が食品由来です。食品は主として国産の鶏肉です。ヒト由来株では1剤以上の耐性を示すものが51.4%で、食品由来のものが89.7%、このパーセントは耐性、非耐性にかかわらず、分離してきたサルモネラ株の株ベースのパーセンテージになっています。
 表18に、ヒト由来株と食品由来株のそれぞれの血清型を示しています。ヒト由来株ではトップ10を書いておりますが、そのトップ10を除いてもその他が59.9%で、60%はまだその他に入るということで、ヒト由来のサルモネラ株の血清型というのは極めて多彩であるということが言えます。
 一方で食品、これは主として国産鶏肉ですけれども、そちらのほうはトップ5で80%になって、特にInfantis、Schwarzengrund、Manhattanが過去3年間では安定的に高率に分離される血清型になっています。
 表19がヒト有症者由来の耐性率で、それぞれの薬剤に対する耐性率を示しています。ヒトではストレプトマイシン、テトラサイクリンが高くて、それは2015、2016、2017で全体的な傾向というのはよく似ていると思いますので、これは現在の日本のヒト由来サルモネラ株の耐性の状況を示していると考えています。
 表20は、食品由来のサルモネラ株ですが、こちらは先ほど言いましたようにストレプトマイシン、テトラサイクリンに対しては80%程度の耐性を示すということで、これも2015、2016、2017で比較的一定の傾向を示しております。
 2017と2016を通して見たときに、CTX、CAZ、CFX、第3セフェムに対するパーセントが2015年では4.8、4.2、2.4が2017年では8.2、8.2、7.1となっていまして、やや増加傾向を示しているのかなと思いますけれども、今後の継続的なモニターが必要と思います。
 表21は、ヒトと食品とで共通して認められたもの。表22が食品からは検出されなかった血清型のヒト由来株の耐性率を示しています。
 表21と22の2017年を見ると、例えばストレプトマイシン、テトラサイクリン、ABPCの数字が2015、2016と比べて少し動いているのですけれども、これは食品からまれにしか分離されない、表18で見ていただくと、ヒトの第4位であるS. 4:i:-、第2相の鞭毛抗原の発現がないものですが、それが2015、2016では少ないながらも国産鶏肉から分離されていたのですが、2017の検体では分離されなかったという影響がここの数字で出ておりますので、今後はいくつもの血清型を1グループとしてまとめるのではなくて、食品由来のトップ3の血清型やヒト由来の主な血清型について、単一の血清型として経年的な変化を見ていくことにしたほうが適当かなと考えています。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 今、四宮先生からお話がありましたように、サルモネラの場合には血清型によって耐性のパターンがかなり違ってくるという傾向があるということで、そういう意味では血清型で見るというのも非常に重要なポイントではないかと思います。
 これと表20の2017年のCTX、CAZ、CFXの耐性値が結構上がっているということと、後で動物のほうから報告があると思うのですけれども、動物の側からすると、例えば鶏肉の場合にこれらの耐性値というのは、だんだん逆に下がってきているということだと思うのです。この辺の説明というか、ヒトでなぜふえるのか。動物のほうはむしろ下がってきているのに、ヒトでなぜふえるのかというのは、何か説明できそうな理由というのは考えられるのでしょうか。これは四宮先生、また、動物のほうで遠藤先生、境先生から何かコメントがあればと思うのですが。
○四宮構成員 これは厚労科研の研究班として実施しているものなのですが、2017年に関しては国産だけではなくて外国産鶏肉を積極的にやろうということで、ここで行った検体85株というのは国産鶏肉、外国産鶏肉、それから、少数ながら鶏肉以外の食肉、そういうものを全て含んだ結果になっています。それは2015年、2016年に関しても同じなので、例えば外国産と国産とで分けた表記にして、内容別に表記したほうがいいのではなかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。なかなか日本の食品ということを考えると、国内産ばかりが流通しているわけではなくて、国外産も流通しているということで、日本だけの規制とか対策をやって耐性値が下がったとしても、国外から来るものが下がっていなければ元も子もないというようなことが起こり得るのかなと思うのですけれども、動物側から見ていかがでしょうか。
○遠藤構成員 動物側から見ますと、動物のモニタリングは糞便なので、食品のほうは肉ですよね。本体の鶏から肉になる間もありますので、そこのつながりが重要なのかなと思います。
○渡邉座長 食鳥処理場でのコンタミということも考えないといけないということだと思うのです。非常にプロセスが多様というか、供給されるまでのプロセスが幾つかありますので、その辺のところのクロスコンタミということも国内の鶏肉に対しては考えなければいけない。国外のものは輸入したときの状態も考えないといけないということで、なかなか複雑な点がこの辺には隠れているのではないかということになると思います。
○藤本構成員 ヒト由来の原因食物というのは、動物のほうは鶏が90%で、それ以外のものも10%入っているということですが、だんだん鶏とか畜産物以外の原因の食中毒もふえているかと思うのですが、それについて情報はあるのですか。
○渡邉座長 いかがでしょうか。
○四宮構成員 情報というのは、さまざまな食品でこういうことがされているかということでしょうか。
○藤本構成員 ヒト由来の株は鶏肉とか豚肉とか、それによる発症のヒト由来のものに限られているのでしょうか。それともほかのものがだんだんふえていると思うのですが、そういうものも含まれているのでしょうか。
○四宮構成員 ヒト由来のものは、表18のところで示したように血清型としても極めて多彩で、その中でInfantisとかSchwarzengrund、Manhattanに関しては鶏肉からも高率に分離されるので、例えばInfantisとかSchwarzengrundの単一の血清型で鶏肉由来のものとヒト由来のものを比べると、耐性のアンチバイオグラムのパターンというのは非常に近似しています。
 ただ、ヒト由来のものは原因が極めて多彩で、食品に関してももちろん鶏肉以外にいろいろなものを人間は食べるわけですので、豚では例えばTyphimuriumとか、エンテリティディスの場合は鶏卵とか、そういうものがあります。それから、先ほど座長が言われたように、日本で流通している約3分の1は外国産鶏肉と聞いているのですが、それらは半加工状態になっている場合も多くて、例えば焼き鳥とかそういうことで、そういう半加工状態になっているものからの耐性率の評価というのは、ほとんどされていないと思います。
○渡邉座長 サルモネラは非常に難しいというか、鶏汚染しているものが必ずしも全部人間に病原性があるかというと、そうではない。例えば先ほど卵ということで、卵だったらサルモネラ・エンテリティディスがメーンですけれども、恐らく食品由来の中でエンテリティディスの割合はここで見られるようにそんなに高くないけれども、人間に入ると病気を起こすわけですから、人間からそういうものがとられる可能性がある。その耐性パターンがほかのTyphimuriumなんかと大分違うということで、先ほどそれで四宮先生が、血清型でここは表記したほうがよいのではないか。それによって大分様相が違ってくるのではないかと思われますが、それは今後の検討課題かと思います。よろしいでしょうか。食品由来の場合は複雑な要素が非常に絡み合うところだと思うのですが、今後、徐々に整理していく必要があると思います。
 続いてNeisseria、淋菌ですか。きょう大西先生が来られていないので、これに対しての詳しい説明はないわけですが、特に表23を見ていただいて一番問題なのは、セフトリアキソンに対する耐性値がどうなるのかというのが淋菌では今、世界中で非常に注目を浴びているところであります。
 ただ、このセフトリアキソンの耐性値を見るのになかなか難しいのが、EUCASTというヨーロッパの方式で見るのか、アメリカの方式で見るのかによって耐性のあらわし方が、ブレーキポイントが違ってくるのでなかなか難しいのですけれども、日本の場合は表23に見られますようにEUCASTを用いてあらわしている。そうするとCTRXの耐性値が2015年が6.2だったのが、現在は4.3ぐらいで落ち着いているということになるかと思います。
 WHOの今後の薬剤の開発という点においても、淋菌のセフトリアキソン耐性がふえた場合に何で治療するか。そこの開発というのがトッププライオリティーの1つに挙げられているところで、重要なところだと思います。よろしいでしょうか。もし詳しい説明が必要でしたら、大西先生から次回でも説明していただければと思います。
 続いて、Salmonella TyphiとParatyphi、Shigella、これも泉谷先生が今日は来られていないということで、Salmonella Typhi、Paratyphiの場合には輸入事例のほうが多い。つまり、外国に行ってかかってきて、それが日本で分離されることが多いということで、これも一番の問題はNAと書いてありますけれども、ナリジクス酸耐性であるとニューキノロンに対して低感受性になるという傾向がありますので、ナリジクス酸の耐性を見ることによってニューキノロン系が効かなくなるかどうかが推察できるわけです。
 これで見ていただきますと、Typhiはかなりのパーセンテージで、2017年は8割以上がニューキノロンに対して低感受性になっている。あと、CPFXがこちらで出ていますが、これもほとんどNAと同じような耐性値を示すわけで、これは高度耐性にほとんどなってしまっているわけです。現在のところ、幸いなことにCTXは感受性であるということで、治療としてはこの辺が使われるというのが現実であると思います。Salmorella Paratyphiも同じような傾向にあります。
 どうしても後進国においてはすぐにキノロン系、ニューキノロン系を治療に使ってしまうということで、耐性値がこのような形でふえてきてしまっている状況だと思います。
 Shigellaに関しても、ほぼ全てがかなりの耐性値を示しているという状況であります。これも輸入事例がほとんどですので、東南アジア等で感染した場合にこういう耐性菌にかかってしまうということで、日本で医療をする場合に非常に問題な点になっていると思います。臨床の先生にとっては、この情報というのは非常に重要なものであると考えられます。よろしいでしょうか。あと御質問がありましたら、また追加事項がありましたらお願いいたします。
 では続いて27ページの5のMycobacterium tuberculosisで、これは御手洗先生からお願いいたします。
○御手洗構成員 結核については28ページの表27を見ていただきますと、2017年のデータまで入れてありますが、培養母数はだんだんと減ってというか、ほぼ横ばいぐらいなのですが、それに対して数値的にはそう大きくはないのですけれども、2012年ぐらいを耐性の底にして、2017年に向けてイソニアジド、ファンピシン、ストマイも、エタンプトールもありますが、耐性が増加してきているというのが今回のというか、最近の特徴。これは外国出生者の割合が、特に若いヒトのところで耐性をたくさん持っているところで60%を超えているところもありますので、そういった影響だろうと考えています。
 今回どうなるかわかりませんが、多剤耐性そのものは結核の領域では新薬が出たこともあったりして余り大きな問題というか、治療上、多剤耐性ごときは何とでもなるという感じに今なりつつあります。あと超多剤耐性が3種に指定されていますので、この耐性の情報に関しても超多剤がどのぐらいいるのかわかるような情報にしないといけないのかなと思っております。そのためには、少なくともカナマイシン、レボフロキサシンの耐性率をここに加えていく必要があるだろうと思います。逆に言うと、ストマイなんていうのは今は初回で使うことはほぼありませんので、逆になくてもいい。WHOなんかではストマイについてはほとんど無視されたような状態になっていますので、そういった方向で考えてもいいのかと思っております。
 あと、28ページの上から4行目のところ、年間50~60名でMDRは推移しているというので、「0.5%~0.7」で%が抜けていますので、そこだけ追記していただければと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 XDRというのは、日本ではどのぐらいあるのですか。
○御手洗構成員 別のAMEDの研究班で調べたところでは0.4%ぐらいです。オーバーオールでですが。
○渡邉座長 増加傾向ですか。
○御手洗構成員 前のデータというか、比較的概念として新しいこともあって前がありませんので、特に増加しているということはないと思いますが、横ばい程度ではないかと思います。
○渡邉座長 これは先ほどの多剤耐性または超多剤耐性のデータがあったほうがいいということですと、例えば表27なり28にして、別個にそういうものを加えたほうがよろしいでしょうか。
○御手洗構成員 これにそのまま追加する形で十分だろうと思います。超多剤の定義はMDR+注射剤+キノロンですので、並列してというか、同じ表の中に情報があったほうがいいかなと。
 ただ、もう一つ分けて考えるとするのであれば、これも可能であれば日本国内で耐性はほとんどつくっていませんので、外国からでき上がったものを輸入するというのが最近の傾向ですので、外国出生者ということで別枠にするとわかりやすいかなという気がいたします。
○渡邉座長 ここの1つの提案は、レボフロかカナマイの耐性の枠を用意できるかということと、それで超多剤耐性等の割合を付記できるかです。あと、この耐性を示す人たちが国籍でやるのですかね。
○御手洗構成員 日本出生か、外国出生かという意味合いです。
○渡邉座長 可能ですか。
○御手洗構成員 データ上は可能だと思うのですが、問題はカナマイシンとかレボフロは入力が必須でないので、データがそろわない可能性があるかなと思います。
○渡邉座長 厚労省、いかがですか。
○結核感染症課長補佐 レボフロキサシン、カナマイシン、MDRの割合を足すのは大丈夫だと思いますが、外国の出生者については。
○国際感染症対策室長 可能かどうかも含めて検討させていだきたいと思います。ちょっと難しいかなという気はしておりますが。
○渡邉座長 人権問題とかそういうものが背後にあると思うので、厚労省のほうで検討していただければと思います。
 ほかに結核に対してのコメント等ありましたら。よろしいでしょうか。
 では続いて院内感染のサーベイランス、JANISのほうについて加えることとか何か。これは柴山先生ですか。
○柴山構成員 これについては表にあるとおりで、特につけ加えることはないのですけれども、SSIあるいはICUに関しても全体的に横ばいという状況だと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかにこれについてよろしいでしょうか。
 それとClostridium difficileはスピーシーズ名が変わったということで、ここは訂正願うといたしまして、これについて日本ではCDIについての動向調査は行われていないわけですが、文献的な形での考察というか、データがここに加えられていますが、これはよろしいでしょうか。
 JANIS以外では医療センターは院内感染等も含めて、このデータは集めていらっしゃるのですか。
○早川構成員 2019年から本稼働する予定のJ-SIPHEというシステムの中にCDIを入力する窓はできますので、入力してくれた施設の情報に関しては年報等で来年以降、出せるようになってくるかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。外国では非常に問題だけれども、日本でもCDIを研究している人たちから、何でちゃんとしないんだというクレームが出ているところで、情報も今のお話では医療センターの研究というか、これは研究というよりは事業としてそれが入ることになるということです。
 続きまして、動物で家畜由来、JVARMのデータについて何かつけ加えることがありましたらお願いいたします。
○遠藤構成員 30ページのところからのJVARMなのですが、今後、改定予定と書かせていただいております。
 病畜由来につきましては、サルモネラとスタフィロコッカスを2016年まで書いておりまして、これについてはこの先の追加はないのです。E. coliについては2016の追記は次回できると思います。健康家畜のほうについては追加をしておりませんが、収集方法が変わってしまったこともありまして農場由来のデータが2016年以降はなくて、食鳥処理場とと畜場からのみだということがあります。こちらにつきましては次回、追記できればしたいと思いますけれども、もしかしたら追記できない可能性もあるかなと思います。
 以上です。
○渡邉座長 サーベイランスのやり方が変わったのですか。そこ辺の説明をお願いします。
○遠藤構成員 サーベイランスの健康家畜のほうですけれども、当初から農場由来で全国の家畜保健衛生所の方たちから集めていただいた株について調査していたのですが、と畜場とか食鳥処理場のほうが消費者に近いとか、サンプリングの検体数も上がるということがありまして、途中から並行で続けてきまして、途中から切りかえということで2016年以降は食鳥処理場とと畜場からの採材のみとなりましたので、そういうことで今、併記しておりますが、今後、農場からのデータはふえることはなく、と畜場と食鳥処理場のみで健康家畜については続けていくという形になります。
○渡邉座長 そうすると、データとしては39ページ以降のデータが加わってくると考えてよろしいのですか。
○遠藤構成員 今後、健康家畜について2016年以降の追加は39ページ以降になります。
○渡邉座長 境先生、よろしいですか。
○境構成員 今、採材場所が変わったというお話だったのですが、当初、JVARMでは農場由来株の採取の際には、あわせて抗菌剤の使用実績の調査も行っておりました。それは実際にいろいろな耐性菌がとれたときに、リスク管理措置を講じるモデルとして農場を使えるというような意味合いもあったかと思います。現在、と畜場あるいは食鳥処理場由来においては、そういった農場ごとに抗菌剤の使用動向調査というのはやられているのでしょうか。
○遠藤構成員 農場のときにはそういう調査もしておりました。まだ全国の家畜保健衛生所の方たちからは、病畜のデータもいただいておりますので、その意味ではそういう調査は可能だと思います。ただ、と畜場あるいは食鳥処理場由来の株についてこの農場からとった、ここでどうやって使用したかの調査というところまでは、少し難しくなってきているかなと思います。
○境構成員 そうすると病畜由来の場合には、抗菌剤の使用動向もあわせて調査できると考えてよろしいですか。
○遠藤構成員 それは可能というか、大丈夫だと思います。
○渡邉座長 どうして農場における調査をやめられて、と畜場、食鳥処理場一本に変えられたのか。その辺の理由というのは農林省側は何かあるのですか。予算の問題ですか。
○佐藤構成員 農水省のレギュラトリーサイエンス事業でJVARMの採材の仕方の見直しを私どものほうでいたしまして、その中では海外のデータをどのようにとっているのかということの情報収集もしてまいりました。その中で、農場での採材の場合は年齢による、要は幼弱な動物なのか、肥育のものなのか、そういったことによってかなりバイアスがかかってくるとか、あるいは採材の仕方につきまして、今、日本の家畜保健衛生所の中でも採材農場が限られること、株数をどの様にするか、どの様に解析するか等、それからもう一つ、先ほど抗菌剤の利用ということのデータもありましたが、それもなかなかしっかりとした因果関係があるようなデータとして考えられるのだろうかとか、さまざまな要因を疫学者、epidemiologistのほうでいろいろ考えあわせまして、効率性も考えてと畜場や食鳥処理場のほうが適切であろうという、評価結果を出しまして、農水省のほうに、報告をいたしました。
○渡邉座長 わかりました。
 どうぞ。
○境構成員 私が農水省の現役のときには農場からの採材という話で、抗菌剤の使用動向調査をやっていたわけです。これは最初、冒頭に申し上げましたように、薬剤耐性菌対策の中で、モニタリングは1つの動向調査の指標として、リスク管理措置の必要性とか、成果を見るという手法ですので、リスク管理措置をどう講じていくかというのが薬剤耐性菌に対してはとても重要だと思っています。
 その際に、と畜場とか食鳥処理場で効率的に採材できる。それは当然そのとおりでよいと思うのですが、次のリスク管理措置を考慮した場合には、実際に使っている抗菌剤をどうやめさせるのか、あるいはどう効果的に使うのかという、その見直しの結果、耐性菌の率が変化したという形に持っていかないと、全国的なリスク管理措置としては具体的に打ち出すのが難しくなってくるのではないかと思います。
 以前、農場でとっていたときには、例えばVREがとれたというときには、農場の御理解を得てバンコマイシンとか飼料添加物みたいなものをやめて、耐性動向を見るというデータがとれたわけで、それがうまくいけば全国的なリスク管理措置に反映できると考えていたので、若干残念だったなという思いがありましたので、御質問させていただきました。
○佐藤構成員 JVARMのほうではそういった形で、境構成員がおっしゃったとおりにはなっているのですが、最近の研究というか、野外のほうでそういった研究も徐々に出てきていまして、こういったものを使っていますよ、それによってどういう耐性が出ていますよとか、使用量も含めて非常に良いデータも個別の形ですけれども、徐々に蓄積されつつあるのではないかと考えております。
○渡邉座長 どうぞ。
○矢野構成員 畜産センターです。
 JVARMについて家畜保健衛生所で少し関わらせていただきましたので感じているのですけれども、鶏に抗生物質を投与したらすぐ耐性菌ができるというイメージの方が結構いらっしゃるのですが、JVARMの調査結果でも経験上必ずしもそうではないと思っています。先ほど佐藤委員がおっしゃったように、そういう研究の結果も反映できるような調査をしていただけたらと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 今の評価の中に、ここのと畜場及び食鳥処理場の調査をすれば、そのデータが現場、農場と相関があるというような、類推できるというような評価結果になっているのですか。なぜかというと、それがないと境先生がおっしゃったように、このと畜場の食鳥処理場の結果が実際の現場での対策にどういうふうに結びつけられるのかというのが、私もそこが重要だと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
○佐藤構成員 数年前のことでうろ覚えなのですが、epidemiologistの解析の結果、当初の抗菌剤の利用とJVARMの結果というのが余りしっかりとひもづけられていなかったといういきさつがあったのではないかと思います。そういったことから、そのような状況では農場の抗菌剤使用のことを反映させるということを、そのときのJVARMの採材の仕方、それから、データの収集の仕方では、食鳥処理場あるいはと畜場と余り変わりがないのではないかという結果が導かれたのだというように記憶をしております。
○渡邉座長 どうぞ。
○浅井構成員 今、渡邉先生がおっしゃった部分はすごく大きなところで、同じような取り扱いができるかどうかというのは、すごく重要なところだと思います。今まで例えば現在、食品安全委員会の評価、抗菌剤使用と耐性菌の評価においてもJVARMのデータを使っていますので、どのように見ていったらいいのかというのは農水省側はきちんと説明する必要があるのではないかと思います。
 その話はその話として、もう一個、先ほど四宮先生のお話のときに、ヒトと食肉の話、サルモネラの血清型の話が出ていますので、これもsppで出ていますから、血清型の情報と耐性の状況については、わかるような形での取りまとめをしていただくことが必要かなと思います。
○渡邉座長 と畜場、食鳥処理場の家畜由来のサルモネラに関してですね。これは可能ですか。
○遠藤構成員 可能だと思いますので、この形で追記をしたい。ただ、まだ整理がついておりませんので、今年間に合うかどうかわかりませんが、恐らく大丈夫だと思います。
 それから、先ほどの御質問の農場由来株とと畜場、食鳥処理場由来株の薬剤感受性の比較については、並行で4年間見ておりますので、それは一応、解析しておりまして、傾向は一緒かなということも検討して、学会に発表したりしておりますので、それも情報提供できると思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。それは非常に重要なデータだと思いますので、相関があるというデータを出していただいて、このように変更になったという説明をしていただくと、皆さん理解ができるのだと思うので、その辺のところをよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○境構成員 動物のほうは牛とか豚とか鶏ごとに耐性率が0~何%と書いてあるのですが、データとしてせっかく2011年以降のものがありますので、全部書く必要はないと思いますが、耐性率が変化しているものとか動いているものについては、その推移を記載されたほうがよいのではないか。ゼロから幾らと幅を書いても余り意味がない。表を見ればわかりますので、その推移を書いていただいて、今は難しいのかもしれませんが、目標の2020年までにはその推移の要因、どうしてそうなったのかということの説明につながればと思いますので、幅ではなくて変化を記載してもらえればと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思いますので、今の記述のところは農林省で書いているのですか。
○国際感染症対策室長 事務局のほうでまとめさせていただきます。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
○浅井構成員 お願いのついでで申しわけないのですが、エンテロコッカスについてもフェシウム、フェカーリスの菌種別の情報で取りまとめをするようにしていただいたほうが、ヒトとの関係が見えるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 そうですね。それも重要だと思います。ほかによろしいでしょうか。
 続いて44ページの養殖水産。これは説明か何かは。
○遠藤構成員 特に追加で説明させていただくところはないと思います。こちらはJVARMの一環としてもやっています。
○渡邉座長 あと、愛玩動物が今、実際に研究班でやられているわけですね。そのうちデータがまとまり次第、報告が上がるということですね。
 食品に関しては、サルモネラに関しては先ほど四宮先生のデータが食品の関係になると思います。あと食品としてはカンピロバクターは都衛研がメーンにやっていますので、そこが1つなると思います。
 大腸菌については、現在これは研究班のほうでデータは出ているのですけれども、今後は地方衛生研究所を中心としたネットワークでサルモネラ、カンピロバクター、大腸菌のデータが収集されていくということで、四宮先生よろしいですか。
○四宮構成員 一応その3種類の菌種について耐性の評価をする予定にしています。
○渡邉座長 その辺はもう少し膨らませて書くことにいたします。
 続いて環境について、これはきょう黒田先生がいらっしゃらないので、事務局いいですか。
○結核感染症課長補佐 こちらについては今後また改定予定とさせてもらいます。
○渡邉座長 WHOを中心としたメタジェノミクスを使って河川等でとれる菌、菌はできないのですかね。耐性遺伝子の状況を見ていくことになると思うのですが、それだけでいいのかどうか。これはいろいろ御意見があるのではないかと思うのですが、お願いします。
○田中構成員 黒田先生とも少し情報交換させていただいて、それと直接リンクしているわけではないのですが、我々のほうでもサイトとしては我々の研究室のある琵琶湖で今、定期的に大腸菌の調査をやっているのです。それについての薬剤耐性の遺伝子の保有率と、先ほどから話が出ているようにヒトなのか、鶏なのか、牛なのか、そういう固有の大腸菌をソーストラッキングする方法が今、出てきていますので、それと今、組み合わせて調べ出しています。
 我々は固有でやっていますので全面的にはできないのですけれども、ちょうど昨日日本水環境学会のシンポジウムがありまして、そこで水中健康微生物の研究会で我々のグループから1例ちょっと出したのですが、下水処理水の中で出てくる大腸菌の由来、それから、薬剤耐性の由来と琵琶湖の水、特に南湖のほうです。ここの由来を今、調べています。
 そうすると下水処理水と琵琶湖由来の薬剤耐性遺伝子の由来は似ているのですが、もともと持って出てきた多剤耐性が大分違っていて、下水処理水側は多剤耐性が割と多い傾向にあるのだけれども、琵琶湖側は必ずしもそうとは言えなくて、1剤由来のものが割と多いとか、下水処理水が当然由来としてヒトの大腸菌が多くて、一部、鶏とか牛とかが入るのですが、琵琶湖の南湖の場合は下水処理水を消毒していることと、出口付近にバイパスしていることもあって、ヒト由来の大腸菌が比較的少ないのです。むしろ鶏とか牛由来のものが多くて、必ずしもこれまで我々も川で調べると、下水処理水の放流した先で直ちに下水由来の薬剤耐性のパターンと似ていたのですが、一旦、水がたまる、あるいは少し時間がかかるようなところでは、その構成がどうも変わるかもしれない。つまり由来が下水処理水から流れている、あるいはいきなり畜産から流れてということ以外に、ひょっとすると野生の鳥由来とか、そういうものが入っている可能性もあるのかなということで、さらに我々としては少し検討をやり始めています。
○渡邉座長 環境はいろいろなミックスポピュレーションでなってしまうので、評価が逆に難しくなるかもしれないのですが、その辺の研究成果が出ましたら報告書にいただいて、そのデータというのが随時そろっていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 どうぞ。
○遠藤構成員 今の畜産施設からのという話もありましたけれども、畜産施設のほうも堆肥化とか処理とかもしていますので、かなりの部分、きれいになったものが出ていっていると思いますので、それも情報提供させていただきます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 時間もだんだん少なくなってきています。皆さんのほうでいろいろな意見をいただいてありがたいのですが、続いて「6.日本における抗菌薬使用量の現状」ということで、これがずっと続いておりますが、村木先生からコメントがありましたら。
○村木構成員 表44に示しますのは、内服薬の抗菌薬の使用量で、表45が注射薬、そして表46につきましては、44と45の使用量はWHOで定められた維持量で人口補正した値になっておりますが、表46はその使用量の本数に力価を掛けて、それをトンに、重量ベースで計算したものになりますので、ワンヘルスの調査という意味でお示ししましたので、これを今後ほかの動物用の資料等のデータとつけ合わせれば、日本での全体の使用量が出るような形でお示しさせていただいてあります。
 内容のほうなのですが、前半のところにサマリーはさせていただきましたが、内服薬に関しては減少傾向にありまして、主な減少した薬に関してはアクションプランで目標とされている経口のセファロスポリン、マクロライド、フルオロキノロンといったところになっております。
 表45を見ていただきますと、若干ですけれども、注射用抗菌薬に関しては減少というのは認められておりませんが、表45の48ページの主にふえているところは、第1世代のセファロスポリンや配合ペニシリンといったところでありまして、主に手術件数の増加であるとか、注射用抗菌薬が使用されている背景は、ナショナルデータベースの検討によってほとんど高齢者となっております。日本の死亡原因の第3位が肺炎ということもありますように、主に使われている抗菌薬に関してもスルバクタムアンピシリンというところになりますので、注射用抗菌薬の減少というのは、なかなか今後の高齢化社会を考えても難しいものではないかと思っております。ですが、一方で内服抗菌薬に関してはアクションプランの目標が掲げられたものが2016年以降、さまざまな取り組みによって減少しているのではないかと考察しております。
 したがいまして、1回の使用量が配合ペニシリン等は多いですので、重量ベースで換算した場合は、全体的な使用量の変化が認められていないということになっておりますけれども、内訳、抗菌薬の選択圧のかかる状況としては、確実に変化しているものではないかと考察しております。
 簡単ですけれども、以上になります。
○渡邉座長 ありがとうございます。経口抗菌薬が徐々に減っているというのは、今いろいろやられている呼吸器感染症または下痢症等に抗菌薬の使用を少なくしようというのがもし反映された結果だとすると、非常にいい結果だと思うのですが、これは2018年とか2019年を見ていかないと、なかなかはっきりしないところもあるのかと思うのですが、今後、ひとつ楽しみなところだと思います。
 何か御質問等がありましたら。よろしいでしょうか。
 続いてJVARMのほうをお願いいたします。
○遠藤構成員 JVARMについて50ページからになります。
 表47は原末換算量で、トータルの値として合計値が780だったり749だったりとかしまして、傾向としては横ばいか、でこぼこがある、また次の年のことも考えたいと思いますので、特に上昇傾向とは考えておりません。それから、この中で人の医療に重要な第3世代のセファロスポリンとかフルオロキノロンにつきましては横ばいであると思います。また、割合的にもかなり低く抑えられていると思います。
 畜産動物、水産動物につきましては、これは何に使っているかというのはこのデータのもとになった製造販売業者さんの推定ということですので、推定という形で出させていただいております。
 以上ということです。これについて今後追加はなく、2016年までの値だけになります。
 愛玩動物につきましても2016年までの間のもの。ただ、これは動物用医薬品としての承認があるものに限られておりまして、ヒト用の医薬品を愛玩動物に使っているものについては調査を始めたところなので、またそのうちデータがまとまりましたら報告させていただくことになります。
 以上です。
○渡邊座長 ありがとうございました。
 御質問等ありますか。
○藤本構成員 村木先生のところとも関連するのですが、力価換算、原末換算、実効力価換算、この言葉について簡単な説明を添えていただければと思います。
○遠藤構成員 次回のときに説明いたします。
○渡邉座長 言葉の説明はどこに入れればいいですか。ここの表に入れればいいですか。最初のほうですか。2ページ、3ページは英文の略称になっているから。
○浅井構成員 6ページのところに参考という形で、括弧書きの部分がありますので、このような形で書いてみるのも1つではないかなと思います。用語集みたいなものを最初のほうにつけていただいてもいいのかもしれないのですが、確かに先生がおっしゃったように混乱するところは明確にしておかないと、読んでいるほうがわかりにくいかと思います。
○渡邉座長 今の言葉以外で難しい言葉というか、説明をつけておいたほうがいいような言葉はありますか。もしありましたら時間の関係で事務局のほうに言っていただいて、参考のところにそこら辺の言葉の説明をつけていただくと、皆さんの理解が、これを読む対象者が理解しやすいようにという形で説明を少し加えた用語集というか、言葉の説明をもう少し充実していただければと思います。
 ほかにございますか。どうぞ。
○境構成員 この50ページを見ると、動物用の抗菌剤の使用量、2013年から2016年まで横ばいか何かふえているように見えるのですが、実はJVARMは田村構成員の御尽力で早くから取り組んでいて、あわせてリスク管理措置もずっと講じてきました。たしか私の記憶で2013年ぐらいの数字だったと思いますが、ここの数字が1,069トンか何かでしたので、それから見れば相当減っているんだということを御承知おきいただければと思います。
○渡邉座長 これはさっき事務局とも議論していたのですけれども、多分、2000年の初めぐらいを入れてもらうと極端に減っていることがわかるのだと思うのです。2013年ではなくて1つ例として、一番高いところの値をどこか入れておくと、相当減っているわけです。
○遠藤構成員 それでは、次回、追加をさせていただきます。
○渡邉座長 ヒト側は、もっともっと前はどうだったかわかりますか。余りデータはないですか。
○村木構成員 2013年が一番最新という形になります。
○国際感染症対策室長 ヒトと動物の体裁を整えるという部分もあると思いますので、例えば特に古いデータでJVARMの関係で載せるという部分で言いますと、後ろのほうにJVARMの説明などもございますので、そういうところに過去の推移などについても入れさせていただくということは、1つあるかと思っています。
○渡邉座長 その辺については事務局と相談していただいて、何せそこがわかるようにしていただくということが重要だと思いますので。
 どうぞ。
○釜萢構成員 全く私は素人なのですが、これまで抗微生物薬の使用量に関していろいろ言われてきていたイメージと、きょうお示しいただいたものは大分違うように思うのです。これまではヒトの使用量に比べて動物とかそれ以外の部分が非常に多いんだということが言われておりまして、政治家の方もそのような発言をしておられたと記憶しておりますが、今日お示しいただいてこういうきちんとした積み上げをしてみると、そうではなかったというような感じに私は受けたのですけれども、先生方ずっとやっていらして、そのあたりのところ何かコメントをいただければ大変ありがたいと思います。
○渡邉座長 これは臨床家から見た場合に、どういうイメージだったのでしょうか。
○早川構成員 割合に関してヒトの臨床医がどう感じるかということですか。
○渡邉座長 臨床家から見た場合に、耐性菌が出てきている原因というのは動物にたくさん抗菌薬を使っているから、それがヒトに入ってどんどんヒトの耐性率も上がっているんだというイメージが多分、臨床家の中にはあったのではないかというのが先生のあれですか。
○釜萢構成員 そこまでは思っていないのですけれども、ただ、これまで消費される抗生剤の中で、ヒトに投与されるものと、それ以外に投与されるものとの割合について、かなり極端にヒトのほうが少ないんだというようなイメージが出ていたように思うのですが、積み上げてみるとそうではなかったような、きょうは大変貴重なデータを見せていただいているのですが、そのあたりについて先生方、何かコメントがあればと思って。
○田村構成員 その点について私はいろいろな講演会でも言っていたのですが、動物のほうは2000年から抗菌薬の使用量のデータというのはずっと公表していたわけです。今まで医療側でどのぐらいの抗菌薬が使われているということの実際のデータがありませんでした。イメージで動物はたくさん使うと思われてきました。1,000トンというのが先ほど出ましたが、ああいう数字が出ていましたので動物で非常に多く使われている。耐性菌は動物からヒトに行っているというのが新聞もそのような論調が多かったので、そういうイメージがついたのではないかと思います。ですので、こういうワンヘルスの動向調査が出たということで、よく抗菌薬の使用実態がわかったのではないかと思います。そういう意味では非常に意義がある検討会だと思います。
○渡邉座長 そういう意味ではヒトの正確なデータが出せるようになったということは、これからのイメージの転換にもなるのだと思うのですが、だからといって動物からヒトに耐性菌が移動していないというわけではなくて、多分、昔はそういうので移動したのが現在、定着してしまっている。
○田村構成員 私は両方だと、双方向にあると考えています。
○渡邉座長 余りお互いに責任をなすり合わないで、今後はそれこそワンヘルスの立場で耐性菌対策をやることが必要なのだということだと思います。
 続いて56ページの7番、国民へのいろいろな意識調査について御説明をお願いいたします。
○早川構成員 AMRセンターの教育啓発部門が出しているデータですけれども、私のほうで簡単に説明させていただきます。
 一般国民への調査に関しましては、2017年に行ったものと今年度提供しているデータに関しまして、大きな差はありませんでした。いずれも3,000人を超える一般市民の方の回答ですが、やはり半数ぐらいの回答者が風邪を理由として抗菌薬を飲んだことがある、また、約4割の回答者が、風邪やインフルエンザに対して抗菌薬は有効であるという回答をしておりました。全体の数字から見て著しく1年で変わったところはないという印象であります。
 続きまして、医療関係者への調査ですが、(1)とあります58ページの中浜先生の研究に関しましては、前回載せているものと同じデータになります。
 今回新しく加わったものが(2)とありますもので、これは当センターが中心になって行った、医師会を通じて行わせていただきました意識調査です。2,000人ほどの先生方に調査票を配付して、回答率は約20%でした。中浜先生のデータと比べまして、感冒と診断した場合に抗菌薬を処方する割合に関しては、大きなずれはなく、20%以下と回答された先生が大半を占めておりました。抗菌薬を投与する理由に関しては、感染症状の重症化の防止に関してが3割以上と最多で、患者さんの希望に関しましては昨年の中浜先生のデータですと2割程度という数字なのですが、今回は10%を切っておりまして7.8%という回答でありました。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これは今、医療センター、また、厚労省も含めてやっているリスクコミュニケーションというか、その成果が出てきていると解釈してよろしいのですか。まだそこまでは言えないですか。
○早川構成員 そうですね。臨床医のほうに関しては一定の成果があるものと考えてもいいのかもしれません。
○渡邉座長 リスクコミュニケーションを続けることが非常に重要だと思いますので、我々も昔、別のところでやったデータだと、コミュニケーションを強調してやった年、また次の年ぐらいまでは効果があるのですが、その後、2~3年たつともとに戻るというのが大体一般的な傾向だと思いますので、継続は力なりということですので、その辺はぜひAMR臨床疫学センターでの今後の活躍をよろしくお願いしたいと思います。
 ほかにこのアンケート調査に関していかがでしょうか。医師会側から何かコメントはありますか。
○釜萢構成員 大変貴重なデータを集めていただきまして、しっかりこれを会員に周知したいと思いますが、今、渡邉座長からも話がありましたけれども、抗菌薬の適正使用についての会員に対する啓発活動は継続することが大事でありますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
 続きまして、今後の展望。ここに1段落書いてありますが、これは少し今後膨らませる予定だと思います。きょうは時間が座長の不手際で少なくなってきていますので、ここは皆さんのほうからきょういろいろディスカッションをした結果、こういうことを加えたほうがいいということがありましたら、ぜひ事務局にメールで送付をしていただければと思います。それを次回、提示していただいて、ファイナルバージョン等に持っていければと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あと参考資料の62ページから、その後、75ページまで、ここも先ほどこういう形のものを追加してほしいということがありましたので、その辺の追加事項を各担当の方々やっていただいて、それを事務局のほうにお願いできればと思います。
 あと、言葉の定義については幾つか薬剤の使用量の点で幾つか挙がったのですが、それ以外のところも言葉の説明を加えておいたほうがいいという点がありましたら、これも事務局に送っていただいて、先ほどの6ページ目の参考と書いてある、ここのところをもう少し膨らませるような形にしていければと思います。
 最後に全体を通して。
○藤本構成員 細かいことで恐縮なのですが、何カ所かRICSSのことが出ておりますが、これは今、早川先生のところでJ-SIPHEということで組織がえして行っていますので、適当な形で変えておいてください。
○渡邉座長 それは変えた形でここに入れてしまって構わないと。
○藤本構成員 はい、変えていただいていいし、もし前年とのつながりがわかりにくいようであれば、旧RICSSというのをつながりの年、1年ぐらいは入れたらいいかなと思います。
○渡邉座長 そのシステムがどうなっているかというのは、参考資料に、例えば69ページにJACSというのがありますので、その後あたりにどこかに加えていただくことは可能でしょうか。
○藤本構成員 私が答えてはまずいのですけれども、加えていいのではないかと思います。
○村木構成員 私が加えるというか、その文章を修正したいと思います。
○渡邉座長 わかりました。それも事務局にまた送っていただければと思います。
 ほかに何か参考資料のところで変えるべき点がありましたら、ぜひアップデートしていただいて、日付というか年度が多分2014年、2015年とかになっているところがあると思うので、2018年度版になりますので、2017年の情報でつけ加えるべきことがあれば、この参考資料のところを見直していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 あとほかに全体的なところで何かコメントがありましたら。重要な点は先ほどの要旨のところです。ここもつけ加えるべき点がありましたら、ぜひそこを修正した形で事務局に送っていただければと思います。よろしいでしょうか。
 では、あと事務局からいただいています資料の説明がありますので、資料3の説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 報告事項といたしまして、最近のAMR対策について説明します。資料2と資料3を御準備ください。
 まず資料2からですが、こちらの薬剤耐性アクションプランの中で、医療機関における抗微生物薬の適正使用を推進するための具体的な取組といたしまして、抗微生物薬の添付文書の記載事項、使用上の注意等、科学的根拠に基づく見直しというものが掲げられていることを踏まえて対応したものです。
 具体的な対応といたしましては、「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」に基づきまして、第一版の対象とされています急性上気道炎及び急性下痢症関連の適応を有する医薬品の添付文書におきまして、手引きに基づき適正使用がなされるように注意喚起を行うものでございます。
 具体的な対象の医薬品としましては、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、副鼻腔炎のいずれかの効果・効能を有する微生物薬といたしました。
 裏のほうを見ていただくと、注意喚起が載っています。
 資料2の説明はおしまいで、次に資料3は平成30年度の診療報酬改定に関しまして、AMR対策の観点から行ったものについての説明です。
 1こま目のところに細かなことを書いているのですが、入院とそれぞれ外来のこれまでの取り組みと新たな取り組みのところに書いていまして、感染症対策という点からのこれまでの取り組みとしては、感染防止に関しての診療報酬での評価としていましたが、今後はAMR対策に関しての重要性が増してきたということで、今回、新たな取り組みとしましては入院の観点では抗菌薬の適正使用支援加算、こちらは抗菌薬の適正使用支援チームをつくるなどの体制を整えた場合の加算ということを新たに設けました。また、下のほうですが、外来に関しましては新たな取り組みとしまして、小児科外来診療料におきまして抗菌薬の適正使用に関する小児抗菌薬適正使用加算を新設するとともに、地域包括支援加算などにおきまして、こうした抗菌薬適正使用の普及啓発の取り組みを行っていることを要件化するといった要件を含めています。
 具体的なものとしてめくっていただいて、抗菌薬適正使用支援加算の新設ですが、これはAMR対策の推進、特に抗菌薬の適正使用推進の観点からの抗菌薬適正使用支援チームの組織を含む抗菌薬適正使用を支援する体制の評価にかかわる加算の新設という形で、感染防止対策加算の中に抗菌薬適正使用支援加算というものを新たに設けています。
 次の3枚目ですが、外来における抗菌薬適正使用の取り組みに対する評価については、こちらは外来に対する観点でして、1つ目は小児外来診療における抗菌薬の適正使用の推進という形で、小児科の外来診療及び小児科のかかりつけ診療料におきまして、急性気道感染症、また、急性下痢症により受診した基礎疾患のない小児のお子さんに対して、診察の結果、抗菌薬の投与が必要ないと認められたために抗菌薬を使用しないものとして療養上、必要な指導などを行った場合に、さらにそれを文書によって説明した場合の加算になっています。これが小児の抗菌薬の適正使用支援加算というものです。
 また、下の段については、外来診療における抗菌薬の適正使用の推進という観点から、地域包括診療加算におきまして先ほど説明しました抗菌薬の使用の手引きを参考にして、抗菌薬の適正使用の普及啓発に関しての取り組みを行っていくといったものを要件として組み込んだものです。
 資料2と資料3は以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これに対して御質問等ありましたら。
 抗菌薬の適正使用支援チームを組織した病院が、例えば実際に耐性菌等の割合が減るということの評価というか、そういうものは何か厚労省は考えられているのですか。
○国際感染症対策室長 なかなかどこまで、例えば今おっしゃっていただいたような耐性率が下がるかどうかというところまで調べるのは、実際の一般の部分の診療報酬の調査という部分では難しいと思いますけれども、いずれにしても診療報酬を新たに入れた場合には、ある程度の調査を行っていくという形になりますので、そこのところの評価についは今後、保険局のほうでされていくと考えております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 なかなか難しいとは思うのですが、対策と実効性を担保するという観点からすると、評価というのも何年かに一度ぐらいやらなければいけないとか、重要なポイントなのではないかと思いますけれども、ほかに御質問等はありますか。よろしいでしょうか。
 全体を通して何か御質問等よろしいでしょうか。もしないようでしたら、これで今日の会は終了ということで、5分ぐらい早く終わらせることができましたけれども、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○国際感染症対策室長 では事務局からでございます。
 次回の第6回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会につきましては、来月10月22日の14時からを予定しております。場所につきましては追って御連絡をさせていただきます。
○渡邉座長 ありがとうございました。では、皆さん効率的な議論に御協力ありがとうございました。今日の会議はこれで終了いたします。