小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.10.11(火)12:06 ~ 12:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お待たせいたしました。今日は閣議の後、中央防災会議があり、また政府と連合のトップ会談があったものですから、こういう時間になりました。冒頭、私から2点申し上げたいと思います。 1点は、福島県の子どもを対象とする甲状腺検査について厚生労働省としての取り組みについてです。これは、もう既に報道されているように、福島県「県民健康管理調査」では、福島県の18歳以下の全ての方について、甲状腺の超音波検査を行い、放射線による影響を把握することとされています。9日の日曜日から福島県立医大に来ていただく方法によって、この甲状腺検査が開始されました。ただ一方で、ご承知のように対象が非常に広く人数も多い大規模な事業ですので、今後学校などを巡回して実施をする方法が検討されています。このため、県や経済産業省と連携をして7日の金曜日に甲状腺の超音波検査に詳しい医師の皆様に参画していただけるよう、甲状腺の専門医を会員とする全国の学会にお願いをいたしました。今後、地域の医師会とも調整を行ってなるべく早く多くのお子さんたちが検査を受けられるように学校などを巡回して検査することを検討してきたいと思っています。1点は以上です。 それからもう1つは、生活不活発病への対策についてということで、お手元に資料をお配りしてあるかと思いますが、仮設住宅や賃貸住宅に避難されている被災地の高齢の方が住み慣れた地域や住まいを離れて暮らしてらっしゃるため、ひきこもりですとか日常的な活動が不活発になり、ひいては要介護になるリスクが高まると指摘されています。私も日曜日に宮城に行ってきましたけれども、割と大規模な仮設住宅に行ったところ、前の出てすぐのところが砂利道なので、(手押し)車を押して高齢の方が歩くことが出来ないという話などがあって、それで外へ出られないと介護度が上がっているという現状もあるということなので、そうした対応も当然国交省などと連携をして改善できるようにしていきたいと思いますが、今日は厚生労働省といたしまして、こうしたことを未然に防ぐために地元の自治体と連携をしながら生活不活発病対策を実施することにいたしました。1つは、健康生活サポーター、これは仮称ですけれども、その実践養成事業です。この事業は研修を受けた地域住民の方を「健康生活サポーター(仮称)」として高齢者のお宅での健康・生活相談を行うとともに、地域での体操ですとか食事会など様々な活動への参加を促す役割を担っていただく事業です。2つめは、健康相談室の設置の推進です。サポート拠点や仮設診療所に健康相談室を設置して健康・生活相談を行い、生活不活発病の方を早期に発見するという事業です。そして3つめは、訪問型健康相談の推進です。訪問看護事業所の看護師が高齢者の方のお宅を訪問して健康・生活相談を行って生活不活発病の方を早期に発見するという事業です。今後とも厚生労働省としましては、財政面・人的な支援の両面から現地と一体になりまして全力でこうした対策に取り組んでいきたいと思っています。 私の方からは以上です。

質疑

記者:
民主党の方で、社会保障と税の一体改革を議論するための調査会を設置して、会長に細川前厚生労働大臣をあてるようですけれども、厚生労働省では社会保障推進本部とか審議会とかいろいろありますけれども、そことの関係は一体どのように進めて行くのですか。
大臣:
これからどういう風に進んでいくかというのは進めてみないと分かりませんが、とにかく政府と党と一体になって、社会保障と税の一体改革は全力をあげて最優先の課題として取り組むというのが野田内閣の姿勢です。そういう意味で、党の方で社会保障の調査会ができて、そこに前大臣である細川さんが座長になられ、元大臣である長妻さんが事務局長とうかがっていますので、そういう意味では、これまでのいろいろな流れや事情を知っている方が座長や事務局長になられたので、私としては心強い限りだと思っています。これからやはり党の方で与野党の協議もしていただなくてはいけない部分もありますし、いろんな意味でしっかりと連携をとりながらやっていけるように努めていきたいと思っています。
記者:
それから先程政府と連合によるトップ会談がありました。連合側と確認したり合意したりといったことはありましたか。
大臣:
今日は民主党主体の政権になって7回目の政府と連合のトップ会談ですが、野田政権になってからは初めてでしたので、そういう意味では意見交換ということで何かを合意したということではありません。ブリーフィングも官邸であったかと思いますけれども、連合は定期大会を終えたばかりなので、これから進めていく観点の説明があり、そしてこちらからも関係の大臣から被災地での仕事への取り組みですとか、あるいは3次補正の問題とか、あるいは社会保障を進めるための番号制度の問題とかいくつかのことを意見交換をしたということで、特に今日何かを決めたということではありません。これからは短い時間なのでなるべくテーマを決めて実質的に議論ができるようにしていこうという提起が連合の側からございました。
記者:
それからもう1点、TPPの件なのですけれども野田総理は11月のAPEC首脳会議でもTPP交渉参加に向けて政府民主党内での検討へと早期に入りたいというようなお話をしましたけれども閣僚の一員として、TPP交渉参加についてはどのようなご見解をお持ちですか。
大臣:
それは野田総理と直接関係をする閣僚のところでしっかりと方針が決められていくものだというふうに思っています。私から今特にコメントをすることはありません。
記者:
今日社会保障審議会の年金部会が開かれて、その中で支給対象年齢の引き上げについて話し合われることになっていると思いますが、厚生年金の支給開始を65歳に引き上げている途中でもあり、その支給が開始されるまでに雇用の確保をどうするかという問題もあり、あとは後々の世代への負担が重いなどいろいろな論点があるかと思いますが、この議論についてどのように進めて行ってほしいと思われますか。
大臣:
今仰ったように、年金の支給開始年齢と雇用の方の関連というのは非常に重要な問題だと思っています。社会保障と税の一体改革の成案では、高齢者雇用の確保を図りつつ、更なる引き上げを検討していると。また、厚生年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールの前倒しを検討することとされていますので、その成案に盛り込まれているもの、その具体的な内容について今日年金部会で議論していただくようになっています。それがどうも、この間も申し上げたように、各紙さんでだいぶ早回しに、こういうことが決まったとかいう報道がされますと大変混乱しますので、年金部会では今日から議論しますので、まだ何も決まっていることはありません。
記者:
成案の中には68歳から70歳まで引き上げという具体的な数字も出ていますが。
大臣:
ご承知のように、今65歳までの引き上げをしている最中ですので、そのスケジュールとの絡みもありますから、それは方向性としてはそうご説明されていますけれども、そうそう簡単な話ではないので、これから議論していくということです。
記者:
先程の連合の関係で、その前の定期大会でも連合の方は、分厚い中間層をということについて、それに対して今日野田総理の方からも同じ思いであるというような言葉があったという風にありましたけれども、その辺り小宮山大臣はどうお考えかということと、そうしますと一体改革のポイントというのもそういうのに合わせていくということも必要なのかなと思うのですが、その辺りはいかがですか。
大臣:
分厚い中間層というのは本当に日本の社会の中核を成していたところなので、そこがやはり非正規が増えたりだとかいろいろなことから崩れているということは大変な問題で、そこを新たに構築していくということは私自身も大事だと思っています。ということで昨年私が副大臣として参加した政府の方の税調の中でも、再分配の構造をしっかりと深めるための提言を、残念ながら23年度の税制改正案はまだ通ってませんけれども、そういうことをやっています。それから今回の社会保障の中でもですね、やはり子どもの健康の問題とかしっかりと取り組んでいきたいと思っていますので、社会保障と税制といろいろな仕組みの中から改善を図っていくことが必要だと思っています。日本は特に女性の場合は、社会保障とか税をかけたことによって差が逆に開くというような、税制とか社会保障の仕組みが再分配機能を果たすどころか逆に働いている面がありますので、そういったところは改めていかなければいけないという問題意識はもっています。
記者:
10月から子ども手当の支給要件や支給額が変わるので、申請書の受付が今各自治体で行われていますけれど、支給要件などが変わることでシステム改修費がまたかなりかかることになります。更に、来年4月にまた新たな手当に切り替わり、更に改修費がかかることになりますが、このことについてどのように受け止めていらっしゃいますか。
大臣:
本当に最初からきちんと確定した方法で出来ればいちばん良かったと私も思います。ただご承知のように国会がねじれている中で、半年半年とつなぎつなぎになってしまいました。ただ今回のシステム改修は、最初に盛り込んであった全ての子どものためにということで、施設入所の子どもに関する支給の問題とか、地方から非常にご要望の多かった保育料を手当から徴収可能とする仕組みとか、あるいは国内居住要件の創設とか、国会の議論、あるいは地方自治体のご意見を踏まえて、これからの子どもに対する手当の中身として必要なものを盛り込んでいますので、そこの改修にかかっている部分は、当初であれ今回であれ、かかるべきものだったと思っています。ただ今後また4月以降、これから3党でそこをまたしっかりとご議論いただく訳ですけれども、また仕組みが変わるということになると地方に大変手間をおかけすることになってしまいますが、そういう意味でも4月以降のものはこれで確定というしっかりとしたものがつくれるように、3党でご協力をいただき、政府としてもしっかりと対応していきたいと思っています。そしてシステム改修の必要な費用につきましては、自治体の過剰な負担とならないように国としてしっかり対応する予定です。
記者:
全然話が変わりますが、先程のTPPの問題なのですが、TPPは推し進めて行くと、例えば国が診療報酬というものを定めて、一律に医療を同じ値段で受けられるという制度を日本はとっていますが、そういうことについても、過剰な規制であるということで、撤廃しろというような動きになっていくかもしれないですが、厚労省としては今TPPについてどういう対応で臨むかということについて、お考えがあれば教えてください。
大臣:
そういう詰めた議論をしているとは私は承知していません。そもそもAPECまでにと言っているのは、話し合いに参加しないと材料が何も来ないと。具体的な材料がなくて議論する訳にはいかないから、そこで参加をするかどうかの判断をするのだと思っています。そこで見た上で、今ご指摘の点などいろいろな点で不都合があればそれは参加をしないという判断もあると思いますし、とにかく材料を手にしないことには判断が出来ないということで今進んでいったと私は理解しています。

(了)