加藤大臣会見概要

H30.7.20(金)9:44 ~ 10:01 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。児童虐待防止対策について、まず目黒区で発生いたしました事案について、子どもさんが亡くなられたことは誠に遺憾であり、改めて御冥福をお祈り申し上げます。先月15日に開催いたしました関係閣僚会議において安倍内閣総理大臣からのご指示を受け、関係府省庁が連携の上、児童虐待防止対策の強化に向けた検討を進めてまいりましたが、本日の関係閣僚会議において、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を決定いたしました。会議において、安倍内閣総理大臣から、私、厚生労働大臣を中心に、各大臣において、子どもの命を守るため、あらゆる手段を尽くし、やれることはすべてやるという強い決意で、取り組むことなどについて重ねてご指示をいただきました。今後、この対策に基づいて、転居した場合の児童相談所間における引継ぎルールを見直し、徹底すること。虐待通告から48時間以内に子どもの安全確認ができない場合は、立入調査の実施をルール化すること。子どもの安全確認ができない場合など、児童相談所と警察の情報共有ルールを明確化すること。子どもの安全確保を最優先とし、リスクが高い場合には躊躇なく一時保護を実施すること。乳幼児健診未受診者、未就園、不就学児等の緊急把握を9月末までに実施することについて早急に行うこととしております。また、現行の「児童相談所強化プラン」を前倒しをして見直し、来年度から2022年度までを期間とする新たな体制強化プランを策定し、その中で、児童相談所の児童福祉司の配置について、児童虐待相談への対応件数のみならず、非行等の相談件数も加味した配置標準へ見直し、現行約3200人に加え、さらに約2000人程度の増加を図るとともに、市町村における体制の強化等にも取り組むこととしております。さらに、児童虐待防止対策に関する課題を踏まえ、「児童虐待防止のための総合対策」を講じていくこととしております。今後、政府一体となって、自治体や関係機関とともに、本対策を迅速かつ着実に実施し、地域社会全体で子どもの命を守る社会づくりを全力で進めてまいりたいと考えております。

質疑

記者:
児童虐待防止強化プランの件で、2022年度までの4年間に児童福祉司を2000人増員ということですが、来年度つまりプランの初年度になるかと思いますが、19年度は何人ほど増やせる見通しなのか、また、それは当初計画よりも何人の上乗せなのかをお願いいたします。
大臣:
今回は今お話のありました2022年度までということで、その骨子をお示ししたところですが、具体的な中身については最新の児童虐待相談対応件数等を考慮して年内にプランそのものを作ることとしております。従ってそれを踏まえて来年度具体的に何人分を交付税措置されるかについては、予算編成過程の中において検討するということにしておりますが、少なくとも現在2019年度まで決めておりますから、当然それに上乗せした形で決めていくことになります。
記者:
昨日、裁量労働制データ問題で関係者の処分が発表されました。事務次官以下訓告、戒告等の処分が下されております。しかし、大臣については特に処分のようなものといいますか給与の自主返納等はありませんでした。今回の問題で大臣の責任はないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
まず今回の処分にあたっては、厚労省の監察チームに、これは外部の方にもお入りいただいておりますけれども、検証していただいた結果を踏まえて、また過去の処分事例等を総合的に考慮して、お示しをした処分を行ったところでございます。これまでも国会等で申し上げてまいりましたが、働き方改革関連法案に係るデータの不適切な取扱いについては、国会そして国民の皆さんにも大変な御迷惑をお掛けしたことを改めて深くおわびを申し上げます。監察チームの報告書においては、調査方法やチェック体制において様々な指摘がなされているところでございます。今後は、政策企画立案の根拠となる統計データが正確であるということは当然でありますが、そうした正確な統計データを作り、そして分析能力を高めるための研修を実施して、必要な対策を講じていくことを推進していくことが私自身の責任であると考えております。
記者:
虐待防止の案件で、警察と児相との間で情報共有ルールを明確化すると伺ったのですが、具体的にどういうことなのかということと、今回全件情報共有というところまで踏み込むのかということについて教えてください。
大臣:
児童相談所の対応する虐待相談の中には、保護者や家族が時間をかけて信頼関係を醸成しつつ継続指導を行うことによって改善が図られているケースが相当数あると承知しておりますが、一方で重篤な事案等については早急に子どもの安全を確保するため、迅速かつ確実に警察と情報共有を行う必要があるということで、今回緊急に実施する重点対策として児童相談所と警察との間で共有する情報を明確化し、これを全国ルールとして徹底することとしています。具体的には、緊急総合対策の中に盛り込まれておりますが、三点、虐待による外傷、ネグレクト、性的虐待があると考えられる事案等に関する情報、二つ目として、通告受理後子どもと面会ができず48時間以内に児童相談所や関係機関において安全確認ができない事案に関する情報、三点目として、最初に申し上げた一点目の児童虐待に起因した一時保護や施設入所等の処置をしている事案であって当該措置を解除し家庭復帰するものに関する情報、これについては児童相談所と警察の間で共有化するということを明確化しているということであります。また、情報共有の在り方については、引き続き検討していくところですが、全てのケースを機械的・一律的に共有することについては、警察に相談内容を知られることで保護者、関係機関等が相談を控えるおそれがあるのではないかといった指摘もなされていることから、すでに全件共有している自治体もございますから、その自治体の取組実績も踏まえながら、警察との情報共有の在り方については今後検討してまいります。     
記者:
昨日、大阪府の松井知事が会見されて、全件情報共有対策として行いたいという形で、自治体がこういう流れで、高知や茨城、愛知等、こういう複数の自治体が増えている中で、国としては一歩引き下がっているように見えるのですが、今、大臣もおっしゃっていましたが実績を踏まえながらということは、今後全件情報共有を国としてルール化するということも視野に入れているということでしょうか。
大臣:
まず、今回は、少なくとも先ほど申し上げた3点については情報共有の徹底化を図るということを全国的に徹底するということを決めたということです。その上で全件共有については、私の方で承知している限りは、今、茨城を初め4県、そして大阪のお話もありましたが、逆に言うとそういうぐらいです。他方で、全件共有に関する慎重な意見も、市町間、都道府県を始め関係者の中にもありますから、そういった意味で具体的にそれぞれの全件共有されているところでのやり方等もあるのだと思います。そういったものも含めて、大事なことは必要な情報がきちんとお互い共有されているということですから、そういう観点に立って引き続き、全件共有は適切でないと我々が考えているわけではありませんし、今の段階で直ちにすべての都道府県でやるべきだというところまでは至っているわけでもない、その間であるということは事実でありますので、引き続き実際やっておられるところの情報等も聞かせていただきながら、また懸念をされている方々の声も聞かせていただきながら、どういうやり様があるのかを含めてさらに検討を深めていきたいと思います。
記者:
虐待の関係で児童福祉司を2000人程度増やすという計画なのですが、現在の配置基準でも達成できていない都道府県が複数あると思います。プラン先行で本当にできるのかという懸念の声もあるのですが、児童福祉司の確保に向けて具体的にどのように取り組みをお考えでしょうか。
大臣:
児童福祉司の増員に向けて今回の対策のとりまとめと併せて専門職団体に対して通知を発出し、児童相談所の専門人材確保への協力や支援の依頼、また自治体に対しては、福祉系の大学や専門学校等の就職担当者と連携を図り業務紹介の機会を設け、早い段階から学生への働きかけ、専門職団体等への働きかけによる人材の掘り起し、人事当局への積極的な働きかけによる専門職採用の推進、あるいは個々の児童福祉司等が必要な専門性を確保できるように人事異動サイクルの見直しなど計画的な人材確保・育成策を講じることを依頼をしていきたいと思っております。また児童相談所の職員の専門性を高めていくということで、平成28年の改正児童福祉法において都道府県、指定都市、児童相談所設置市には新たに児童福祉司の任用後研修、社会福祉主事を児童福祉司として任用する場合の任用前研修、要保護児童対策地域協議会の調整機関に配置される専門職の任用後研修、これが義務化されているわけでありますが、国としても29年度に調査研究を行いまして、各義務研修テキスト案を作成しお示ししていくということ、平成30年度においても各自治体における研修の取組や人材育成、専門性確保についての実態を把握、分析して、より効果的な研修内容や方法等をお示しできるよう、調査研究を実施する予定であります。さらには児童相談所の職員の専門性向上のため、地域の関係機関、有識者等を含めたケース検討や、死亡事例検証結果を活用したより実践的な研修についてブロック単位で実施する等きめ細かい手法で実施することを検討しております。そういった意味で、採用、そして研修についてこれまで以上に取り組んでいくことで、これから最終的な具体的なプランを作るわけですが、そのプランを着実に実施する。そして各児相においてより体制の強化につながっていけるよう、国として取り組んでいきたいと思っております。
記者:
新プランのことでお伺いしたいのですが、先ほど交付税措置を考えているということでしたが、具体的に2000人増となった場合にどれぐらいの予算を想定されていますか。
大臣:
現在の児童福祉司等については交付税措置で対応されていますから、当然交付税措置で予算を獲得して増員を図っているということでありますが、すみませんが具体的な予算の数字はなく、もし必要でしたら担当課の方に聞いていただければ、手元に用意したものは説明できると思います。     
記者:
遅れて申し訳ありません。重複していたら申し訳ないのですが、昨日発表されたデータ問題の処分の件で改めて受け止めと、あとこれに関して大臣の責任についてどのように考えているかということを教えてください。
大臣:
それは最初に申し上げたところですが、こうした事態は本当に遺憾な事態であります。こうしたことが二度と起きないようにしっかりと体制を作っていく。そして職員等の統計活用・分析能力を高めるために研修を実施するなど、再発防止、これをしっかりと進めていくということが私の責任であり、それによって信頼される統計のもとに立った的確な政策を進めていく、それに邁進していきたいと思います。
記者:
連日大変厳しい暑さが続いておりますが、注意喚起等があればお願いいたします。
大臣:
各地で熱中症で病院に運ばれる方、あるいは亡くなられる方も残念ながらおられました。引き続きまだ続いておりまして、大変注意が必要であります。熱中症予防のためには、こまめに水分と、塩分も補給していただき、暑さを避け、室内では扇風機やエアコンで温度を調整すること、外出時には日傘や帽子の着用を行うことが大事であります。さらに、めまい、頭痛など熱中症が疑われる場合は、涼しい場所へ移動し、首回りなど身体を冷やすこと、水分・塩分の補給を行い、自力で水を飲めない場合は、速やかに医療機関にご連絡をいただきたいと思います。厚労省としては、これらの注意事項をまとめたリーフレットを地方自治体に配布するとともに、医療機関にも協力依頼を行っておりますし、ホームページやツイッター等で広く国民に熱中症予防の注意喚起を行っているところであります。まだまだ猛暑が続くということが予想されておりますので、特に高齢者、子どもさん、障害者の方にはご注意いただきたいと思いますし、また、被災地において復旧にあたっている被災された方々、ボランティアの方々、そういった方にもその旨をしっかりと周知及び啓発を図っていきたいと思います。
 

(了)